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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058179
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
H01R13/52 301A
H01R13/52 301H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165378
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】宮村 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】田中 真二
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE14
5E087LL04
5E087LL13
5E087RR12
(57)【要約】
【課題】端子収容部を含む第1ハウジングと、第1ハウジングの作業用開口を塞ぐ第2ハウジングとの合体作業を容易に行え、かつ、ハウジング間の止水を容易に実現できるようにすることを目的とする。
【解決手段】コネクタ20は、端子収容孔35hが形成された端子収容部32と、電線収容部40とを含む第1ハウジング30と、第1ハウジングと合体する第2ハウジング50と、を備え、端子収容部及び電線収容部に作業用開口48が形成され、電線収容部の外側端部に電線引出用開口49が形成され、第2ハウジングは、作業用開口を塞ぐ蓋部52と、電線を、電線引出用開口の外側で案内する電線案内端部60とを含み、第1ハウジングと第2ハウジングとの間に、作業用開口及び電線引出用開口よりも端子収容部側に位置するように、電線収容部の延在方向に対して斜めに配置された弾性リング70が介在する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子の延在方向に対して交差する方向に電線が引出されるコネクタであって、
前記端子が装着される端子収容孔が形成された端子収容部と、前記端子収容部の外周の一部から外方に延出する電線収容部とを含む第1ハウジングと、
前記第1ハウジングと合体する第2ハウジングと、
を備え、
前記端子収容部及び前記電線収容部に、前記端子収容孔に対する前記端子の装着方向手前側に開口する作業用開口が形成され、
前記電線収容部の外側端部に、前記作業用開口に連続する電線引出用開口が形成され、
前記第2ハウジングは、前記作業用開口を塞ぐ蓋部と、前記端子から前記電線収容部を経由して引出される前記電線を、前記電線引出用開口の外側で案内する電線案内端部とを含み、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間に、前記作業用開口及び前記電線引出用開口よりも前記端子収容部側に位置するように、前記電線収容部の延在方向に対して斜めに配置された弾性リングが介在する、コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタであって、
前記電線収容部は、底部と、前記底部の両側から立上がる一対の側壁部とを有し、
前記第2ハウジングは、前記蓋部の両側から立上がる一対の内側壁部を有し、
前記一対の内側壁部が前記一対の側壁部の内側に重なる、コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタであって、
前記内側壁部は、前記電線案内端部から遠ざかるにつれて前記蓋部に対する突出寸法が小さくなる傾斜縁を有し、
前記側壁部の内側に前記傾斜縁に対向する傾斜段部が形成され、
前記傾斜縁と前記傾斜段部との間に前記弾性リングが介在する、コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタであって、
前記内側壁部は、前記傾斜縁の内側から突出して前記弾性リングの内周側に位置する位置決め延長縁を有する、コネクタ。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記底部は、前記電線収容部の外側端部に向うに連れて前記端子収容孔に対する前記端子の装着方向奥側に向うように傾斜する案内傾斜面を有する、コネクタ。
【請求項6】
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記電線案内端部は、筒形状に形成されており、
前記蓋部及び前記一対の内側壁部は、前記電線案内端部の一端部から延出する形状に形成されており、
前記電線案内端部の内周面と前記電線案内端部内を通る前記電線の外周面との間に止水状態で介在する電線止水部をさらに備える、コネクタ。
【請求項7】
請求項6に記載のコネクタであって、
前記内側壁部の内面に、前記電線止水部を通過する前記電線の延長上で部分的に凹む干渉回避溝が形成されている、コネクタ。
【請求項8】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタであって、
前記第1ハウジングは、第1方向係止部と第2方向係止部とを有し、
前記第2ハウジングは、前記第1方向係止部と係止する第1方向相手側係止部と、前記第2方向係止部と係止する第2方向相手側係止部とを有し、
前記第1方向係止部と前記第1方向相手側係止部との第1係止方向が前記端子の延在方向であり、
前記第2方向係止部と前記第2方向相手側係止部との第2係止方向が前記電線収容部の延在方向である、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コネクタ側端子が取り付けられる第1のハウジング要素と、第2のハウジング要素とを備えるコネクタのハウジングを開示している。第1のハウジング要素には、コネクタ側端子の取り付け時に挿入口として用いられる開口部が設けられており、第2のハウジング要素が前記開口部を塞ぐように第1のハウジング要素に合体する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-288116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のコネクタによると、第1のハウジング要素にコネクタ側端子を挿入する際に、コネクタ側端子から延びる電線を開口部から大きく引出しておくことが想定される。このため、第1のハウジング要素に第2のハウジング要素を合体させる際には、引出された電線を、ハウジングと干渉しないように第1のハウジング要素内に大きく引戻す作業を行うことが想定され、ハウジングの合体作業が面倒となることが想定される。
【0005】
そこで、本開示は、端子収容部を含む第1ハウジングと、第1ハウジングの作業用開口を塞ぐ第2ハウジングとの合体作業を容易に行え、かつ、第1ハウジングと第2ハウジングとの間の止水を容易に実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、端子の延在方向に対して交差する方向に電線が引出されるコネクタであって、前記端子が装着される端子収容孔が形成された端子収容部と、前記端子収容部の外周の一部から外方に延出する電線収容部とを含む第1ハウジングと、前記第1ハウジングと合体する第2ハウジングと、を備え、前記端子収容部及び前記電線収容部に、前記端子収容孔に対する前記端子の装着方向手前側に開口する作業用開口が形成され、前記電線収容部の外側端部に、前記作業用開口に連続する電線引出用開口が形成され、前記第2ハウジングは、前記作業用開口を塞ぐ蓋部と、前記端子から前記電線収容部を経由して引出される前記電線を、前記電線引出用開口の外側で案内する電線案内端部とを含み、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間に、前記作業用開口及び前記電線引出用開口よりも前記端子収容部側に位置するように、前記電線収容部の延在方向に対して斜めに配置された弾性リングが介在する、コネクタである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、端子収容部を含む第1ハウジングと、第1ハウジングの作業用開口を塞ぐ第2ハウジングとの合体作業を容易に行え、かつ、第1ハウジングと第2ハウジングとの間の止水を容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態に係るコネクタを示す斜視図である。
図2図2は実施形態に係るコネクタを示す斜視図である。
図3図3はコネクタを示す分解斜視図である。
図4図4はコネクタを示す分解斜視図である。
図5図5図1のV-V線断面図である。
図6図6図2のVI-VI線部分断面図である。
図7図7はコネクタの組立作業例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のコネクタは、次の通りである。
【0011】
(1)端子の延在方向に対して交差する方向に電線が引出されるコネクタであって、前記端子が装着される端子収容孔が形成された端子収容部と、前記端子収容部の外周の一部から外方に延出する電線収容部とを含む第1ハウジングと、前記第1ハウジングと合体する第2ハウジングと、を備え、前記端子収容部及び前記電線収容部に、前記端子収容孔に対する前記端子の装着方向手前側に開口する作業用開口が形成され、前記電線収容部の外側端部に、前記作業用開口に連続する電線引出用開口が形成され、前記第2ハウジングは、前記作業用開口を塞ぐ蓋部と、前記端子から前記電線収容部を経由して引出される前記電線を、前記電線引出用開口の外側で案内する電線案内端部とを含み、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間に、前記作業用開口及び前記電線引出用開口よりも前記端子収容部側に位置するように、前記電線収容部の延在方向に対して斜めに配置された弾性リングが介在する、コネクタである。
【0012】
このコネクタによると、第2ハウジングが電線案内端部を有している。このため、電線案内端部が第1ハウジングに形成されている場合と比較して、端子挿入時における電線の移動が自由であり、電線の引出を少なくしつつ端子の挿入作業を容易に行える。また、作業用開口と電線引出用開口とが連続している。このため、作業用開口を利用して端子の挿入作業を行った後に、電線を容易に電線引出用開口に配置することができる。そして、第1ハウジングと第2ハウジングとの合体状態において、第1ハウジングと第2ハウジングとの間に、作業用開口及び電線引出用開口よりも端子収容部側に位置するように、電線収容部の延在方向に対して斜めに配置された弾性リングによって、第1ハウジングと第2ハウジングとの間の止水を容易に実現できる。
【0013】
(2)(1)のコネクタであって、前記電線収容部は、底部と、前記底部の両側から立上がる一対の側壁部とを有し、前記第2ハウジングは、前記蓋部の両側から立上がる一対の内側壁部を有し、前記一対の内側壁部が前記一対の側壁部の内側に重なってもよい。
【0014】
この場合、端子の挿入時及び挿入後に、電線を一対の側壁部内に配置し易い。これにより、電線が他の部位に引っ掛り難くなる。
【0015】
(3)(2)のコネクタであって、前記内側壁部は、前記電線案内端部から遠ざかるにつれて前記蓋部に対する突出寸法が小さくなる傾斜縁を有し、前記側壁部の内側に前記傾斜縁に対向する傾斜段部が形成され、前記傾斜縁と前記傾斜段部との間に前記弾性リングが介在してもよい。
【0016】
これにより、弾性リングを斜めに配置する構成が容易に実現される。弾性リングが一対の側壁部のうち傾斜段部よりも先端側の部分の内側に配置されるため、弾性リングが位置ずれし難い。
【0017】
(4)(3)のコネクタであって、前記内側壁部は、前記傾斜縁の内側から突出して前記弾性リングの内周側に位置する位置決め延長縁を有してもよい。
【0018】
この位置決め延長縁によって弾性リングの位置ずれが抑制される。
【0019】
(5)(2)から(4)のいずれか1つのコネクタであって、前記底部は、前記電線収容部の外側端部に向うに連れて前記端子収容孔に対する前記端子の装着方向奥側に向うように傾斜する案内傾斜面を有してもよい。
【0020】
これにより、端子から端子の装着方向手前に引出された電線が、電線収容部において案内傾斜面に沿う経路に沿って安定して案内される。
【0021】
(6)(2)から(5)のいずれか1つのコネクタであって、前記電線案内端部は、筒形状に形成されており、前記蓋部及び前記一対の内側壁部は、前記電線案内端部の一端部から延出する形状に形成されており、前記電線案内端部の内周面と前記電線案内端部内を通る前記電線の外周面との間に止水状態で介在する電線止水部をさらに備えてもよい。
【0022】
これにより、電線止水部によって、電線を伝う水が第2ハウジング内に進入することが抑制される。また、第1ハウジングと第2ハウジングとの間は弾性リングによって止水されている。このため、端子の後側で、ハウジングの防水が効果的になされる。
【0023】
(7)(6)のコネクタであって、前記内側壁部の内面に、前記電線止水部を通過する前記電線の延長上で部分的に凹む干渉回避溝が形成されていてもよい。
【0024】
これにより、電線止水部による電線保持経路の延長上に内側壁部が位置する場合においてに、干渉回避溝によって、電線を内側壁部の内側に案内できる。
【0025】
(8)(1)から(7)のいずれか1つのコネクタであって、前記第1ハウジングは、第1方向係止部と第2方向係止部とを有し、前記第2ハウジングは、前記第1方向係止部と係止する第1方向相手側係止部と、前記第2方向係止部と係止する第2方向相手側係止部とを有し、前記第1方向係止部と前記第1方向相手側係止部との第1係止方向が前記端子の延在方向であり、前記第2方向係止部と前記第2方向相手側係止部との第2係止方向が前記電線収容部の延在方向であってもよい。
【0026】
このように、第2ハウジングを、異なる2方向から第1ハウジングに押付けることで、第1ハウジングと第2ハウジングとを強固に固定できる。また、弾性リングを効果的に圧縮状態に保ち、止水性を良好にできる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0028】
[実施形態]
以下、実施形態に係るコネクタについて説明する。図1及び図2はコネクタ20を示す斜視図である。図3及び図4はコネクタを示す分解斜視図である。図5図1のV-V線断面図である。
【0029】
<全体構造>
コネクタ20の全体構造について説明する。コネクタ20は、端子12の延在方向に対して交差する方向に電線16が引出されるコネクタである(図5参照)。
【0030】
コネクタ20は、第1ハウジング30と第2ハウジング50とを備えており、第1ハウジング30と第2ハウジング50とが合体することで、端子12を保持しかつ電線16を所定方向に引出すハウジングが構成される。
【0031】
第1ハウジング30は、樹脂等による金型成形品であり、端子収容部32と、電線収容部40とを備える。
【0032】
端子収容部32は、端子12が装着される端子収容孔35hが形成される部分である。本実施形態では、端子収容部32は、端子コアユニット22を収容することで、端子12を収容する(図3から図5参照)。
【0033】
端子コアユニット22は、端子12及び端子12を保持する端子ホルダ24を含む。端子12は、金属板のプレス加工等によって形成された部品であり、電線接続部と相手側端子接続部とを含む。電線接続部と相手側接続部とは例えば直線状に連なっている。端子12の一端部の電線接続部が電線16の端部に圧着等によって接続されている。相手側接続部は、例えば、筒状に形成されておおり、相手側端子のピン状又はタブ状のオス接続部が当該相手側接続部に挿入接続される。
【0034】
端子ホルダ24は、端子12を保持する樹脂部品である。例えば、端子コアユニット22は、複数の端子12を含む。端子ホルダ24は、複数の端子12を相互に絶縁した状態で、所定の配列で保持する。例えば、端子ホルダ24は、端子12を保持するキャビティを有するホルダ本体と、端子12をキャビティ内に押付けるリテーナとが合体した部材であってもよい。複数の端子12が端子ホルダ24によって保持された状態で、当該端子ホルダ24が第1ハウジング30の端子収容部32内に保持される。これにより、第1ハウジング30において、複数の端子12が所定の配列状態で容易に保持され得る。
【0035】
端子収容部32は、内部に端子ホルダ24を保持することによって、内部に端子12を保持する。端子収容部32に端子12が保持された状態で、相手側接続部が端子収容部32の一端側を向いている。相手側コネクタは、端子収容部32の一端部に接続される。
【0036】
電線16は、端子収容部32内の端子12から端子収容部32の他端側に延出する。電線収容部40は、端子収容部32の外周の一部から外方に延出する。端子12の延在方向と電線収容部40の延在方向とは交差している。端子12から延出する電線16は、端子収容部32の他端部内を通って電線収容部40内に案内され、電線収容部40の外方に引出される。このため、電線16は、端子12の延在方向とは異なる方向に引出される。
【0037】
端子収容部32及び電線収容部40に端子12及び電線16を装着するための作業用開口48が形成されている。また、電線収容部40に電線16を引出すための電線引出用開口49が形成されている。
【0038】
第2ハウジング50は、樹脂等による金型成形品であり、第1ハウジング30と合体可能である。第2ハウジング50が第1ハウジング30に合体することで、上記作業用開口48を閉じる。また、第2ハウジング50は、電線案内端部60を有している。第2ハウジング50が第1ハウジング30に合体することで、電線案内端部60によって、電線引出用開口49の外側位置で電線16を案内保持する。
【0039】
以下の説明において、端子収容部32に対して相手側コネクタが接続される側を前、その反対側を後側という場合がある。また、端子収容部32に対して電線収容部40が位置する側を下側、その反対側を上側という場合がある。また、それらの上下方向を前提として、前を向いた状態で、左右が参照される場合がある。
【0040】
各部構造についてより具体的に説明する。
【0041】
<第1ハウジング>
第1ハウジング30は、端子収容部32と、電線収容部40とを備える。
【0042】
本実施形態では、端子収容部32は、外筒部33を有する。外筒部33は、例えば、角が丸められた角筒状である。外筒部33の軸方向中間部内に仕切部34が形成されている。仕切部34から前側に向って内筒部35が延出する。外筒部33の内周面と内筒部35の内周面との間には環状隙間が形成されている。このため、端子収容部32の一端部は二重筒形状に形成されている。
【0043】
端子ホルダ24が収容される。端子収容部32の前端部に相手側コネクタが接続されることで、内筒部35内の端子12に、相手側コネクタの相手側端子が接続される。
【0044】
仕切部34の後面に内筒部35の後端が開口している。当該開口から端子ホルダ24が端子収容部32内に押込まれることで、端子ホルダ24が端子収容部32内に収容保持される。内筒部35の内周面によって囲まれる空間が、端子収容孔35hである。
【0045】
端子収容孔35h内における端子ホルダ24の位置決めは例えば次の構成によって実現される。すなわち、内筒部35の前端に凸部を有するホルダ係止片35Pが形成される(図2図3及び図5参照)。端子ホルダ24が端子収容孔35h内に挿入された状態で、ホルダ係止片35Pの凸部が端子ホルダ24の凹部24gに抜止め係止することで、端子ホルダ24が端子収容孔35hから後方に抜けることが規制される(図5参照)。
【0046】
また、端子ホルダ24の後端部から外方に突出する凸部24p(図3参照)が端子収容孔35hの後方開口の縁に当ることで、端子収容孔35h内の端子ホルダ24が前方に移動しないように規制される。
【0047】
端子収容孔35h内における端子ホルダ24の位置規制構造は任意である。例えば、端子ホルダ24が端子収容孔35hに圧入される構成によって位置規制されてもよいし、端子ホルダ24が前後方向において第1ハウジング30と第2ハウジング50との間で挟まれる構成によって位置規制されてもよい。
【0048】
外筒部33は、仕切部34よりも後方に延出している。外筒部33の後方は開口しており、内筒部35の後方開口は、当該外筒部33の後方開口を通じて後方に開口している。外筒部33のうち電線収容部40が連なる部分は当該電線収容部40内に向って開口している。
【0049】
外筒部33に相手側コネクタとの接続状態を維持するためのロック片36が形成されていてもよい。
【0050】
電線収容部40は、端子収容部32の外周の一部から外方に延出する。ここでは、電線収容部40は、端子収容部32のうち後端寄りの部分の下部からさらに下方に延出している。
【0051】
電線収容部40のうち端子収容部32に繋がる部分は、端子収容部32内の後部空間と連通している。電線収容部40のうち後側及び外側(下側)は開口している。
【0052】
より具体的には、電線収容部40は、底部41と一対の側壁部42とを有する。底部41は、端子収容部32の前後方向中間部から下方に向けて延びている。底部41の外向き面は、端子12の延在方向に対して直交する長方形状に形成されている。一対の側壁部42は、底部41の左右両側から後方に向うように延在している。一対の側壁部42の外向き面は、長方形状に形成されている。
【0053】
底部41と一対の側壁部42とで囲まれる空間は、端子収容部32内の後部空間に連続している。このため、端子収容部32の後部空間内に引出された電線16が電線収容部40内に向けて導入され得る。
【0054】
一対の側壁部42のうち底部41とは反対側は開口しており、当該開口は、端子収容部32の後方開口と連続している。端子収容部32及び電線収容部40の後方に存在する方形状の開口が、端子収容孔35hに対する端子12の装着方向手前側に開口する作業用開口48である。
【0055】
底部41と一対の側壁部42とで囲まれる空間は、端子収容部32とは反対側(下側)でも開口している。この開口は、電線収容部40の外側端部において、作業用開口48に連続する電線引出用開口49である。作業用開口48と電線引出用開口49とが連続していることから、端子12の装着作業時に、電線16が作業用開口48内を通されたとしても、当該電線16は電線引出用開口49内を通るように経路変更され得る。
【0056】
一対の側壁部42の内側に傾斜段部43aが形成されている(図4参照)。傾斜段部43aは、後述する傾斜縁55に対向する部分である。ここでは、傾斜段部43aは、側壁部42の内側において、電線収容部40の外側に向うに従って徐々に作業用開口48側に向うように傾斜している。一対の側壁部42のそれぞれに傾斜段部43aが形成されている。一対の傾斜段部43aの一端は、端子収容部32の後部の内側面を通り、作業用開口48の上側縁に達している。一対の傾斜段部43aの一端は、作業用開口48の上側縁に沿う細長い面43bによって連結されている。一対の傾斜段部43aの他端は、電線引出用開口49の前側縁に向って延びている。一対の傾斜段部43aの他端は、電線引出用開口49の前側縁に沿う細長い面43cによって連結されている。面43b、43cは、後方を向いており、一対の傾斜段部43aの斜め後ろ向き面に対して連続している。一対の傾斜段部43aと面43b、43cとによって、方形環状受面43が形成される。側面から透過視すると、方形環状受面43は、作業用開口48の上縁から電線引出用開口49の前縁に向うように傾斜している。後方から見ると、方形環状受面43は、作業用開口48の周縁の内側に沿っている。下方から見ると、方形環状受面43は、電線引出用開口49の周縁の内側に沿っている。
【0057】
底部41の内向き面は、電線収容部40の外側端部に向うに連れて端子収容孔35hに対する端子12の装着方向奥側に向うように傾斜する案内傾斜面41fを含む。本実施形態では、案内傾斜面41fは、傾斜段部43aと平行である。案内傾斜面41fは、第1ハウジング30と第2ハウジング50との間で、電線16の通過経路を案内する役割を果すことができる。なお、底部41の内向き面が案内傾斜面41fを含むことは必須ではない。例えば、底部41の内向き面は、端子12の延在方向に垂直な面に形成されていてもよい。
【0058】
また、第1ハウジング30は、第1方向係止部44と、第2方向係止部45とを含む。第1方向係止部44と、第2方向係止部45とは、例えば、一対の側壁部42のそれぞれの外側面に形成される。
【0059】
第1方向係止部44と第2方向係止部45とは、相手側係止部が異なる方向から係止可能な部分である。
【0060】
ここでは、第1方向係止部44は、相手側係止部が前後方向に沿って係止可能な部分である。より具体的には、第1方向係止部44は、側壁部42の外向き面のうち後寄りの部分に形成された凸部である。第1方向係止部44は、後方に向けて徐々に突出寸法を小さくするガイド面44f1と、前側を向く抜止め面44f2とを含む。後述する第1方向相手側係止部68は、後から前に向かって移動することで、当該ガイド面44f1を乗越えて、抜止め面44f2に抜止め係止することができる。
【0061】
また、第2方向係止部45は、相手側係止部が前後方向に沿って係止可能な部分である。より具体的には、第2方向係止部45は、側壁部42の外向き面のうち下寄りの部分に形成された凸部である。第2方向係止部45は、後方に向けて徐々に突出寸法を小さくするガイド面45f1と、前側を向く抜止め面45f2とを含む。後述する第2方向相手側係止部69は、下から上に向かって移動することで、当該ガイド面45f1を乗越えて、抜止め面45f2に抜止め係止することができる。
【0062】
<第2ハウジング>
第2ハウジング50は、第1ハウジング30と合体することで、上記作業用開口48を閉じると共に、電線16を電線引出用開口49の外側位置で案内する。第2ハウジング50は、蓋部52と、電線案内端部60とを含む。
【0063】
蓋部52は、作業用開口48を塞ぐ形状に形成されている。本実施形態では、蓋部52は、作業用開口48内に配置されて当該作業用開口48を塞ぐ長方形板状に形成されている。蓋部52の内側部分に、上記案内傾斜面41fと同じ方向に傾斜し、当該案内傾斜面に対向する案内傾斜面が形成されていてもよい。底部41に案内傾斜面41fが形成され、かつ、蓋部52にも案内傾斜面が形成されていると、電線16がコネクタ内においてより一定位置に配置されるように規制される。なお、底部41の案内傾斜面41fが省略され、蓋部52に案内傾斜面が形成されていてもよい。
【0064】
また、第2ハウジング50は、蓋部52の両側から立上がる一対の内側壁部54を有している。一対の内側壁部54は、一対の側壁部42の内側に重なるように配置される。例えば、一対の側壁部42の間に、一対の内側壁部54をがたつきなく配置できる程度に、一対の内側壁部54の外向き面間の距離は、一対の側壁部42の内向き面間の距離よりも小さい。一対の内側壁部54は、一対の側壁部42を上側に越えて端子収容部32の後部の内側面に達している。
【0065】
内側壁部54は、電線案内端部60から遠ざかるに連れて底部41に対する突出寸法が小さくなる傾斜縁55を有している。より具体的には、内側壁部54は、直角三角形板状に形成されている。内側壁部54のうち直角頂点を挟む2つの辺の一方に対応する部分が内側壁部54の後側縁に沿って配置され、直角頂点を挟む一対の辺の他方に対応する部分が電線案内端部60に連なっている。内側壁部54の斜辺に対応する部分が傾斜縁55に対応している。
【0066】
一対の内側壁部54のそれぞれが傾斜縁55を有している。第1ハウジング30と第2ハウジング50とが合体した状態で、一対の傾斜縁55は、上記一対の傾斜段部43aと平行姿勢で、当該一対の傾斜段部43aと対向して配置される。
【0067】
一対の傾斜縁55の一端は、蓋部52の先端に達し、当該蓋部52の先端に沿う面52fに連続している。一対の傾斜縁55の他端は、電線案内端部60のうち蓋部52とは反対側の位置に向っている。一対の傾斜縁55の他端を、連結板部57が連結している。一対の傾斜縁55の他端は、連結板部57の外向きの面57fに連続している。
【0068】
一対の傾斜縁55の端面と、面52f、57fとによって、方形環状押付面59が形成される。方形環状押付面59と上記方形環状受面43とが対向して配置され、それらの間に弾性リング70が介在する。
【0069】
弾性リング70は、ゴム等の弾性材料によって形成された環状部材である。弾性リング70は、方形環状押付面59と同様の方形環状に形成されている。弾性リング70は、方形環状押付面59と方形環状受面43との間に介在する。これにより、弾性リング70は、第1ハウジング30と第2ハウジング50との間で、作業用開口48及び電線引出用開口49よりも端子収容部32側に位置するように、電線収容部40の延在方向に対して斜めに配置される。
【0070】
内側壁部54は、傾斜縁55の内側から突出して弾性リング70の内周側に位置する位置決め延長縁55pを有している。上記面52f、57fの内側にも位置決め延長縁が存在している。このため、方形環状押付面59の内側に、位置決め延長縁55pの内側に方形環状の位置決め延長縁が形成される。弾性リング70は、当該方形環状の位置決め縁に外嵌めされた状態で、方形環状押付面59上に配置される。
【0071】
電線案内端部60は、蓋部52の一端部に連なる筒形状に形成されている。ここでは、電線案内端部60は、角部が丸められた角筒状に形成されている。
【0072】
電線案内端部60は、蓋部52及び一対の内側壁部54との間に空間に連なっている。電線16は、蓋部52及び一対の内側壁部54内の空間を経て、当該電線案内端部60内を通過することができる。電線16が電線案内端部60で囲まれることで、当該電線16が電線引出用開口49の外側位置で案内支持される。
【0073】
上記蓋部52及び一対の内側壁部54は、電線案内端部60の一端部から延出している。より具体的には、電線案内端部60の4つの壁部のうちの1つが蓋部52に連なり、2つが一対の内側壁部54に連なっている。電線案内端部60のうちの残りの1つの壁部は、底部41の延長上に配置される。
【0074】
コネクタ20は、電線止水部80を備える。電線止水部80は、電線案内端部60の内周面と電線16の外周面との間に止水状態で介在する部分である。本実施形態では、電線止水部80は、ゴム等の弾性部材によって形成されている。より具体的には、電線止水部80は、角が丸められた角柱状に形成されている。電線止水部80の外周面は、電線案内端部60内に圧入可能な形状に形成されている。例えば、電線止水部80の外周部に環状凸部が形成されている。なお、電線止水部80は、電線案内端部60に充填された止水剤等であってもよい。
【0075】
電線止水部80が電線案内端部60内に圧入された状態で、電線止水部80が電線案内端部60の奥側の底面60f(図4図5参照)に接触する。この状態で、当該環状凸部が電線案内端部60の内周面にその周方向全体に亘って押付けられる。これにより、電線止水部80と電線案内端部60との間が止水される。
【0076】
電線止水部80に電線16が通過可能な電線通過孔80hが形成されている。電線16が当該電線通過孔80hを通った状態で、電線通過孔80hの内周面が電線16の外周面に密着する。これにより、電線16の電線止水部80との間が止水される。
【0077】
電線16が電線止水部80を通って第2ハウジング50内に導かれるため、第2ハウジング50のうち電線案内端部60側から水が進入することが抑制される。
【0078】
本実施形態では、コネクタ20は、電線止水部80を電線案内端部60に向けて押付ける止水ホルダ84をさらに備える。止水ホルダ84は、電線案内端部60の外側開口に位置する押え板部85と、一対の係止片86とを備える。
【0079】
押え板部85には、電線16が通過可能な孔85hが形成されている。一対の係止片86は、押え板部85の両側から電線案内端部60の2つの外向き側面に向けて延びている。電線案内端部60の2つの外向き側面に係止凸部63が形成されている。
【0080】
電線案内端部60内に電線止水部80が圧入された状態で、一対の係止片86に係止凸部63を係止させるようにして、止水ホルダ84が電線案内端部60に取付けられる。この状態で、押え板部85が電線案内端部60の外側開口に位置しており、当該押え板部85が電線止水部80を電線案内端部60内から抜出ないように保持する。
【0081】
本実施形態において、電線止水部80には、複数(ここでは2つ)の電線通過孔80hが形成されている。電線通過孔80hの軸方向に沿ってみて、電線通過孔80hと内側壁部54とが重なっている。例えば、電線止水部80を形成するための金型の都合上、電線止水部80の強度上の都合等から、複数の電線通過孔80hを近くに配置することが困難となり、複数の電線通過孔80hを所定の距離を隔てて配置することが要請される場合がある。この場合に、複数の電線通過孔80hの距離に応じて、一対の内側壁部54の間隔を大きくすると、コネクタ20が大型化してしまう。複数の電線通過孔80hの距離に拘らず、一対の内側壁部54の間隔を小さくしようとすると、上記のように、電線通過孔80hと内側壁部54とが重なってしまうことがあり得る。
【0082】
そこで、本実施形態では、内側壁部54の内面に、電線通過孔80hの延長上で部分的に凹む干渉回避溝54gが形成されている(図6参照)。干渉回避溝54gは、例えば、弧状溝であってもよい。干渉回避溝54gは、内側壁部54のうち電線案内端部60側の端縁と、内側壁部54の延在方向中間部との間に形成されている。干渉回避溝54gは、先端側に向う途中で徐々に浅くなる部分を有していてもよい。本実施形態では、干渉回避溝54gの先端部は、先端側に向うにつれて徐々に浅くなる形状に形成されている。
【0083】
電線通過孔80hを通って第2ハウジング50内に案内された電線16は、部分的に干渉回避溝54g内を通って一対の内側壁部54間に案内される。
【0084】
第2ハウジング50は、上記第1方向係止部44と係止する第1方向相手側係止部68と、上記第2方向係止部45と係止する第2方向相手側係止部69とを含む。
【0085】
第1方向相手側係止部68は、内側壁部54の外面のうち蓋部52寄りの縁に形成されている。第1方向相手側係止部68は、内側壁部54の外面から側壁部42の厚み分突出する基部68aと、当該基部68aから前方に延びる係止片68bとを含む。係止片68bに第1方向係止部44が係止可能な凹部としての係止孔68bhが形成されている。
【0086】
第2方向相手側係止部69は、電線案内端部60のうち内側壁部54の外面より外側に張出す部分に形成されている。第2方向相手側係止部69は、内側壁部54の外面から側壁部42の厚み分離れた位置で、上方向に向う板状に形成されている。第2方向相手側係止部69に、第2方向係止部45が係止可能な凹部としての係止孔69bhが形成されている。
【0087】
ここで、係止部と相手側係止部とが係止する際の相対的な移動方向を係止方向とする。第1方向係止部44と第1方向相手側係止部68との係止方向は、端子12の延在方向である前後方向である。第1方向係止部44と第1方向相手側係止部68とは、端子12の延在方向である前後方向において、互いに離れない方向に抜止め係止する。第2方向係止部45と第2方向相手側係止部69との係止方向は、電線収容部40の延在方向である上下方向である。第2方向係止部45と第2方向相手側係止部69とは、電線収容部40の延在方向である上下方向において、互いに離れない方向に抜止め係止する。
【0088】
このため、方形環状受面43と方形環状押付面59との間の弾性リング70は、端子12の延在方向及び電線収容部40の延在方向において圧縮状態に保たれる。
【0089】
<コネクタの組立作業例>
コネクタ20の組立作業例について説明する。
【0090】
第1ハウジング30と第2ハウジング50とを準備する。第2ハウジング50の方形環状押付面59上には弾性リング70をセットしておく。この際、弾性リング70が位置決め延長縁55pを含む方形位置決め延長縁に外嵌めされるとよい。弾性リング70は、第1ハウジング30側にセットされていてもよい。
【0091】
また、電線16の端部に端子12が圧着された端子付電線を準備する。端子12を端子ホルダ24にセットし、端子コアユニット22を組立てておく。また、電線16については、電線止水部80の電線通過孔80hに通しておく。電線止水部80を電線案内端部60にセットしておくとよい。
【0092】
なお、端子12が4つで、電線通過孔80hが2つである場合、例えば、2つの電線が外被で覆われて1つのケーブルの形態とされ、当該2つのケーブルが2つの電線通過孔80hを通り、コネクタ内で4つの電線16に分れて、4つの端子12に接続される場合が想定される。
【0093】
そして、図7に示すように、作業用開口48を利用し、端子コアユニット22を端子収容部32の後方に移動させ、端子収容孔35hの後方に押込む。この際、電線16は、作業用開口48を通って端子コアユニット22の後方に延出して、第2ハウジング50の電線案内端部60によって保持されている。
【0094】
ここで、従来技術のように、端子の挿入開口に対してゴム栓が一定位置に位置していると、端子の挿入作業のために、端子の後方に電線を大きく引出しておくことが要請されることが想定される。
【0095】
本実施形態では、組立段階において、第1ハウジング30に形成された端子収容孔35hに対して、第2ハウジング50の電線案内端部60が位置変更可能である。このため、端子コアユニット22を端子収容孔35hに挿入する際に、端子コアユニット22の後方に延出する電線16の位置に応じて電線案内端部60の位置を調整することができる。例えば、端子コアユニット22を端子収容孔35hに挿入する前の状態では、電線16は、組立完了状態における位置よりも後ろ側に位置する。そこで、この状態では、電線案内端部60を電線引出用開口49よりも後方に位置させる。すると、端子コアユニット22と電線案内端部60との間で、電線16を大きく引出しておかなくてもよくなる。
【0096】
そして、端子コアユニット22を端子収容孔35hに装着した後、第2ハウジング50を作業用開口48及び電線引出用開口49側から第1ハウジング30に近付ける。電線16は、一対の内側壁部54内に配置されているので、電線16は第1ハウジング30または第2ハウジング50に引っ掛ったり擦れたりし難い。第1ハウジング30と第2ハウジング50とを近付ける際に、必要に応じて、電線止水部80から延出する電線16が外側に向けて引出されてもよい。この際にも、電線16は、一対の内側壁部54内に配置されているので、他の部位に引っ掛ったり擦れたりし難い。
【0097】
そして、第1方向係止部44と第2方向係止部45とを、第1方向相手側係止部68と第2方向相手側係止部69とに抜止め係止することで、第1ハウジング30と第2ハウジング50とが合体する。すると、方形環状押付面59と方形環状押付面59との間で、弾性リング70が圧縮状態で介在した状態となる。
【0098】
この状態では、第1ハウジング30と第2ハウジング50との境界は、弾性リング70によって止水されている。水が作業用開口48又は電線引出用開口49から第1ハウジング30内に進入しても、弾性リング70によってより奥に進入することが抑制される。また、第2ハウジング50の電線案内端部60は、弾性リング70によって止水されるハウジング内空間に連なっている。このため、電線案内端部60が電線止水部80によって止水されていれば、電線16を伝った水の進入も抑制されている。よって、コネクタ20全体としても止水が図られている。
【0099】
なお、電線収容部40のうち相手側コネクタが接続される側の部分については、当該相手側コネクタが接続された状態で、内筒部35の外周の止水シール92によって止水されるとよい(図5参照)。
【0100】
<効果等>
以上のように構成されたコネクタによると、第2ハウジング50が電線案内端部60を有している。このため、電線案内端部60に相当する部分が第1ハウジング30に形成されている場合と比較して、端子12の挿入時における電線16の移動が自由となる。このため、電線案内端部60から電線16の引出を少なくしつつ、端子12、ここでは、端子コアユニット22の挿入作業を容易に行える。電線16の引出量を少なくし、その引戻し作業を少なくできること、引出された電線16が他に引っ掛らないようにする気遣い作業を少なくできることからも、コネクタ20の組立作業が容易となる。
【0101】
また、作業用開口48と電線引出用開口49とが連続している。このため、作業用開口48を利用して端子12の挿入作業を行った後、電線16を容易に電線引出用開口49に配置することができる。そして、第1ハウジング30と第2ハウジング50との合体状態において、第1ハウジング30と第2ハウジング50との間に、作業用開口48及び電線引出用開口49よりも端子収容部32に位置するように、電線収容部40の延在方向に対して斜めに配置された弾性リング70によって、第1ハウジング30と第2ハウジング50との間の止水を容易に実現できる。
【0102】
また、電線収容部40は、底部41と一対の側壁部42とを有し、第2ハウジング50は、蓋部52と一対の内側壁部54とを有し、一対の内側壁部54が一対の側壁部42の内側に重なる。このため、端子12の挿入時及び挿入後に、電線16を一対の側壁部42の間に配置し易くなり、電線16が他の部位に引っ掛ったり、擦れたりし難くなる。
【0103】
また、内側壁部54が傾斜縁55を有し、側壁部42の内側に傾斜段部43aが形成されており、傾斜縁55と傾斜段部43aとの間に弾性リング70が介在する。このため、弾性リング70が上記斜め姿勢で位置する構成が容易に実現される。また、弾性リング70が一対の側壁部42のうち傾斜段部43aよりも先端側部分の内側に配置される。このため、弾性リング70が位置ずれし難い。
【0104】
また、内側壁部54は、位置決め延長縁55pを有しているため、当該位置決め延長縁55pによって弾性リング70の位置ずれが抑制される。
【0105】
また、底部41は、案内傾斜面41fを有するため、端子12の装着方向手前である後方に引出された電線16が、電線収容部40において、案内傾斜面41fに沿って徐々に前側に向うように安定して支持される。このため、電線16が、電線収容部40内で動き難い。
【0106】
また、電線止水部80にyとて、電線16を伝う水が第2ハウジング50内に進入することが抑制される。そして、第1ハウジング30と第2ハウジング50との間は弾性リング70によって止水されている。このため、端子12の後側でハウジング30、50の防水が効果的になされる。
【0107】
また、内側壁部54に、干渉回避溝54gが形成されている。このため、電線止水部80による電線16の保持経路延長上に内側壁部54が位置する場合において、干渉回避溝54gによよって、電線16を内側壁部54の内側に案内できる。電線止水部80のける電線通過孔80hの形成位置に制約がある場合においても、一対の内側壁部54の間隔を小さくすることができ、コネクタ20の小型化に貢献し得る。
【0108】
また、第1方向係止部44と第1方向相手側係止部68との第1係止方向が端子12の延在方向であり、第2方向係止部45と第2方向相手側係止部69との第2係止方向が電線収容部40の延在方向である。このため、第2ハウジング50を、第1ハウジング30に異なる方向から押しつけることで、両ハウジング30、50を強固に固定できる。また、弾性リング70を異なる方向から圧縮状態に保ち、止水性を良好にできる。
【0109】
[変形例]
なお、端子12が端子ホルダ24によって保持された状態で、端子収容部32に保持される必要はない。例えば、端子が直接、端子収容部に形成された端子保持用の孔に挿入保持されてもよい。
【0110】
また、コネクタが備える端子の数は任意である。例えば、第1ハウジングは、端子を1つのみ保持してもよい。
【0111】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0112】
12 端子
16 電線
20 コネクタ
22 端子コアユニット
24 端子ホルダ
24g 凹部
24p 凸部
30 第1ハウジング
32 端子収容部
33 外筒部
34 仕切部
35 内筒部
35P ホルダ係止片
35h 端子収容孔
36 ロック片
40 電線収容部
41 底部
41f 案内傾斜面
42 側壁部
43 方形環状受面
43a 傾斜段部
43b、43c 面
44 第1方向係止部
44f1、44f1 ガイド面
44f2、45f2 抜止め面
45 第2方向係止部
48 作業用開口
49 電線引出用開口
50 第2ハウジング
52 蓋部
52f、57f 面
54 内側壁部
54g 干渉回避溝
55 傾斜縁
55p 位置決め延長縁
57 連結板部
59 方形環状押付面
60 電線案内端部
60f 底面
63 係止凸部
68 第1方向相手側係止部
68a 基部
68b 係止片
68bh 係止孔
69 第2方向相手側係止部
69bh 係止孔
70 弾性リング
80 電線止水部
80h 電線通過孔
84 止水ホルダ
85 押え板部
85h 孔
86 係止片
92 止水シール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7