IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニトリホールディングスの特許一覧

<>
  • 特開-おろし器 図1
  • 特開-おろし器 図2
  • 特開-おろし器 図3
  • 特開-おろし器 図4
  • 特開-おろし器 図5
  • 特開-おろし器 図6
  • 特開-おろし器 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005819
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】おろし器
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/25 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A47J43/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106211
(22)【出願日】2022-06-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2022年4月20日にhttps://www.instagram.com/nitori_official/にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2022年1月24日にデコホーム ラソラ札幌店及びその他 デコホーム 各店舗にて販売 2022年2月 6日にデコホーム ラソラ札幌店及びその他 デコホーム 各店舗にて販売
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2022年6月 7日に『ヒルナンデス』日本テレビ系列にて放送
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2022年3月 5日にhttps://www.nitori-net.jp/ec/及びhttps://www.nitori-net.jp/ec/product/8978126/にて公開 2022年3月 5日にhttps://www.nitori-net.jp/ec/及びhttps://www.nitori-net.jp/ec/product/8978127/にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2022年3月11日にhttps://www.nitori-net.jp/ec/及びhttps://www.nitori-net.jp/ec/product/8978128/にて公開 2022年3月11日にhttps://www.nitori-net.jp/ec/及びhttps://www.nitori-net.jp/ec/product/8978129/にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2022年1月24日にニトリ 赤羽店及びその他 ニトリ各店舗にて販売 2022年2月 7日にニトリ 赤羽店及びその他 ニトリ各店舗にて販売 2022年2月 6日にニトリ 赤羽店及びその他 ニトリ各店舗にて販売
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2022年4月23日にhttps://store.shopping.yahoo.co.jp/nitori-net.html及びhttps://store.shopping.yahoo.co.jp/nitori-net/8978126.html及びhttps://store.shopping.yahoo.co.jp/nitori-net/8978127.html及びhttps://store.shopping.yahoo.co.jp/nitori-net/8978128.html及びhttps://store.shopping.yahoo.co.jp/nitori-net/8978129.htmlにて公開 2022年4月23日にhttps://item.rakuten.co.jp及びhttps://item.rakuten.co.jp/nitori/8978126/及びhttps://item.rakuten.co.jp/nitori/8978127/及びhttps://item.rakuten.co.jp/nitori/8978128/及びhttps://item.rakuten.co.jp/nitori/8978129/にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】500560129
【氏名又は名称】株式会社ニトリホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輝
(72)【発明者】
【氏名】岩田 学
(72)【発明者】
【氏名】尾島 千春
【テーマコード(参考)】
4B053
【Fターム(参考)】
4B053AA03
4B053CA03
4B053CD03
(57)【要約】
【課題】おろし器において、すりおろし後のおろし面上に残った食材を洗いやすくする。
【解決手段】直線部分を含む複数の長孔が形成されるとともに複数の突起14が設けられた略長方形のおろし面12を有するおろし器1であって、複数の長孔15の全ての直線部分は、おろし面12の長手方向Lに対して斜めに傾いた方向である第1方向に平行に延び、複数の突起14は、おろし面の短手方向Wの両端縁部を除き、第1方向と平行な方向に並んで、複数の長孔15に併設されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線部分を含む複数の長孔が形成されるとともに複数の突起が設けられた略長方形のおろし面を有するおろし器であって、
前記複数の長孔の全ての前記直線部分は、前記おろし面の長手方向に対して斜めに傾いた方向である第1方向に平行に延び、
前記複数の突起は、前記おろし面の短手方向の両端縁部を除き、前記第1方向に平行な方向に並んで、前記複数の長孔に併設されている、
おろし器。
【請求項2】
前記複数の長孔のうちの少なくとも二つは、前記第1方向に平行な方向に並ぶことで、列を形成して配置されており、
前記おろし面のうちの、前記第1方向に平行な方向に並ぶ二つの長孔の間の部分は、前記おろし面を補強する補強部であって、
二つの長孔間の前記補強部は、平坦である、
請求項1に記載のおろし器。
【請求項3】
前記列は、おろし面の長手方向に間隔を空けて複数設けられ、
前記長手方向において隣接する二つの前記列のうちの一方における前記補強部の位置と、前記長手方向において隣接する二つの前記列のうちの他方における前記補強部の位置とは、前記おろし面の幅方向においてずれている、
請求項2に記載のおろし器。
【請求項4】
前記複数の突起は、前記列に含まれる前記少なくとも二つの長孔を囲む角丸長方形を描くように並んで設けられており、且つ、前記短手方向の両端縁部では、前記短手方向の端部に位置する長孔の縁に沿って並列されている、
請求項2に記載のおろし器。
【請求項5】
前記長手方向と前記第1方向との間の角度よりも、前記短手方向と前記第1方向との間の角度の方が小さい、
請求項1に記載のおろし器。
【請求項6】
前記複数の突起の各突起は、前記おろし面から直角に立ち上がる直角起立面と、前記直角起立面の辺と連接する斜面を有する、上面視で二等辺三角形の四面体形状であり、
前記少なくとも二つの長孔を囲む前記角丸長方形の直線部に沿う突起は、前記長手方向とは異なる方向であって、前記直角起立面が前記角丸長方形の内側方向を向くように、配列されている、
請求項1に記載のおろし器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、おろし器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な樹脂製のおろし器では、おろし面に複数の円形の孔が形成され、その孔を取り囲むように突起が設けられている(例えば、特許文献1)。そして、孔の縁に沿って起立する突起の面は、孔の縁から連続して、おろし面に対して直角に起立していることが多い。
【0003】
一方、斜め方向に延びている長孔が形成されたおろし器も知られている。例えば、特許文献2には、おろし器の幅方向の左右で長孔の傾斜方向が異なり、幅方向中央では、V字状に長孔がつながる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6-13736号公報
【特許文献2】特開2014-113400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように、突起が円形の孔を取り囲むように設けられていると、孔の縁に沿って直角に起立する突起の面である直角起立面は円の中心を向くことになるため、一つの孔の周囲にある各直角起立面は別々の方向を向いている。そのため、おろし器で食材をすりおろした後、特に突起の直角起立面と接する斜面に残った食材がひっかかっている場合、洗い流しの際におろし面に沿って一方向に水が流れるように水をかけるだけでは、残った食材の一部しか流れず、他方向に水が流れるようにおろし器の向きを変える必要があり、洗いにくかった。また、水洗いの際にスポンジでおろし面を擦ると、スポンジの動作方向に対して、直角起立面が正対する突起が存在するため、スポンジに傷がつくことがあった。
【0006】
また、特許文献2のように、長孔延伸方向や突起配列方向が複数である場合、洗い流しの際には、残った食材が突起の配列方向に沿って中央に集まってしまい、集まった食材が洗いにくかった。
【0007】
そこで、すりおろし後のおろし面上に残った食材を洗いやすい、おろし器の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、
直線部分を含む複数の長孔が形成されるとともに複数の突起が設けられた略長方形のおろし面を有するおろし器であって、
前記複数の長孔の全ての前記直線部分は、前記おろし面の長手方向に対して斜めに傾いた方向である第1方向に平行に延び、
前記複数の突起は、前記おろし面の幅方向の両端縁部を除き、前記第1方向と平行な方向に前記複数の長孔に並んで併設されている。
【発明の効果】
【0009】
上述のおろし器は、すりおろし後のおろし面上に残った食材を洗いやすくする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1実施形態に係るおろし器の全体図。
図2】第1実施形態のおろし器の部分拡大図。
図3】第1実施形態のおろし器の部分断面斜視図。
図4】おろし器の洗い流しを説明する図。
図5】第1実施形態のおろし器と、指ガードとセットで使用する図。
図6】第2実施形態のおろし器を含む下ごしらえセットの全体分解図。
図7図6の下ごしらえセットに含まれる第2実施形態のおろし器の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
<第1実施形態>
まず、図1図2図3を用いて、第1実施形態に係るおろし器1の全体構成について説明する。図1は第1実施形態のおろし器1の全体図である。図2は第1実施形態のおろし器1の部分拡大図である。図3は第1実施形態のおろし器1の部分断面斜視図である。
【0013】
おろし器1は、大根、芋、人参等の野菜、しょうが等の薬味、りんご等の果物、あるいはゆで卵等の調理後食品を含む食材をすりおろす、おろし器である。おろし器は、すりおろし器、おろし金、おろし具ともいう。
【0014】
おろし器1は、スライサー付きのおろし器であって、おろし器本体10と、スライサー刃19を有する。おろし器本体10は、ABS等の樹脂で成形されている。おろし器本体10は、おろし面12を有するおろし板11と、おろし板11の短辺の中央から延びている持ち手18を備えている。おろし面12は、略長方形又は角丸長方形である。
【0015】
おろし板11には、複数の長孔15が形成されているとともに、一方の主面であるおろし面12から突出するように複数の突起14が設けられている。おろし面12は、突起14とともに長孔15が形成された野菜おろし領域Vと、取っ手18から離れた位置にあって、孔が形成されておらず突起14のみが設けられた薬味おろし領域Sと、を有する。
【0016】
また、本実施形態において、スライサー刃19は、おろし板11のおろし面12の反対側にある、おろし板11の他方の主面である背面13に取り付けられており、おろし面12側において、スライサー刃19が位置する領域は開口している。スライサー刃19は、例えばステンレス等の金属で形成されている。
【0017】
また、おろし器本体10には、おろし面12及び背面13の左右の外縁部を縁取るように立ち上がる枠部17が設けられている。おろし器本体10は、枠部17が形成されていることで、すりおろし動作中に外側に動いた食材の落下を防止し、おろし面12上に留めることができる。
【0018】
おろし板11に形成される複数の長孔15は、すりおろされた食材を落下させるための孔であり、角丸長方形状の孔である。そして、複数の長孔15の全ての直線部分は、おろし面12の長手方向Lに対して斜めに傾いた方向であって、本例では、右上向き及び左下向きのどちらも含む第1方向Iに延びている。
【0019】
複数の突起14は、おろし面12の幅方向(短手方向)の両端縁部Eを除き、複数の長孔15の第1方向Iと平行に並んで複数の長孔15に併設されている。即ち、おろし面12の、斜め方向の両端部以外の領域である中央領域CA、CBでは、第1方向Iと平行な方向に並んだ列以外の部分には、突起14が存在しない。また、長孔15の延伸方向及び突起14の配列方向である第1方向Iは、おろし面12の長手方向Lよりも短手方向Wに近い方向、詳しくは、長手方向Lと第1方向Iとの間の角度よりも、短手方向Wと第1方向Iとの間の角度の方が小さくなる、緩やかな傾斜方向であって、スライサー刃19の延伸方向と交差するような方向である。
【0020】
おろし面12上において、2つの長孔が第1方向Iに平行な方向にそれぞれ並ぶことで、複数の長孔の列を形成している領域があり、その領域を列形成領域Aとする。列形成領域Aでは、第1方向Iにおいて、同一直線上に並ぶ2つの長孔15の間の部分は、おろし面12の他の領域と同一平面上に位置する、おろし面12を補強する補強部16である。言い換えると、おろし面12の傾斜した第1方向Iにおいて、長孔15は補強部16を挟んで分割されて2つ設けられている。なお、本実施形態では、同一の第1方向Iにおいて、スライサー刃19を挟んで2つの孔が設けられている列もあるが、その列は列形成領域Aには相当しない。
【0021】
また、第1方向Iに2つの長孔15が並んだ長孔の列は、おろし面12の長手方向Lに複数並んで配置されている(R1~R6)。また、おろし面12の列形成領域以外の、同一の第1方向にて長孔15が1つである列も、長手方向Lに複数並んで配置されている。
【0022】
ここで、おろし面12の幅方向縁部やスライサー刃19近傍では、形状に応じて長孔15の長さは若干変化するが、原則、長孔の列は、一方の列R1、R3、R5では、幅方向左側から短い長孔15aと長い長孔15bによって構成されており、他方の列R2、R4、R6では、幅方向左から長い長孔15cと、短い長孔15dによって構成されている。そのため、一方の長孔の列R1、R3、R5では、おろし面12の幅方向を二分する中央直線CLの左側に位置する左側補強部16Lが設けられ、他の長孔の列R2、R4、R6では中央直線の右側に位置する複数の右側補強部16Rが設けられている。これにより、長手方向において隣接する長孔の列R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R5とR6では、それぞれおろし面12の幅方向における補強部16の位置はずれている。
【0023】
このように幅方向における補強部16の位置がずれていることで、長手方向で隣接する長孔の列R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R5とR6では、補強部16の幅方向の位置が連続することがない。そのため、食材によっておろし面12に力がかかった際の適度なしなりを確保する。一方、長手方向において左側補強部16Lと右側補強部16Rが交互に設けられていることによって、すりおろしの際に力を左右均等に受け、おろし面12における、長手方向に隣接する長孔間の細い帯状の領域12Bが折れることを予防できる。
【0024】
また、2つの長孔15の間に位置する補強部16には、長孔15の直線状の縁部に形成される複数の突起14Sv1、14Sv2と同一直線上に位置する、複数の突起14Sr1、14Sr2が設けられている。即ち、第1方向Iにおいて、補強部16に近い側の長孔15における湾曲する縁部には突起は設けられていない。これにより、補強部16は、第1方向Iに直交する方向の両端領域に位置して直線状に配列された複数の突起14Sv1、14Sv2を除き、平坦である。
【0025】
一方、長孔の列の第1方向Iの両端縁部である、おろし面12の幅方向の縁部領域Eでは、長孔15のカーブする縁に沿って複数の突起14Cl、14Crが並列されている。これにより、列形成領域Aでは、図2の太線で示すように、複数の突起14は、同一の列に含まれる複数の長孔15の縁を囲む角丸長方形RRを描くように並んで設けられている。
【0026】
さらに、列形成領域Aでは、同一の第1方向Iにおいて、2つ以上の補強部を挟んで3つ以上の長孔が設けられるとともに、複数の突起は同一の列に含まれる3つ以上の長孔の縁を囲む角丸長方形を描くように並んで設けられてもよい。この場合も、長手方向で隣接する長孔の列において、補強部の位置はずれていると好適である。
【0027】
図3を参照して、複数の突起14の各突起は、おろし面12から直角に立ち上がる直角起立面141と、直角起立面141の辺と連接する傾斜面142を有しており、図2で示すように上面視で二等辺三角形の四面体形状(三角錐体)である。
【0028】
図2図3に示すように、複数の突起が2つの長孔を囲む角丸長方形RRの直線部の、長孔15に沿っている部分では、突起14Sv1、14Sv2は、直角起立面141が、長孔15の内側方向H1、H2を向くように配列されている。詳しくは、中央領域CA、CBにおいて、複数の突起14が形成する列は、配列方向である第1方向Iに対して直交する一方向H1に直角起立面141Oが向いている第1の列P1と、第1方向Iに対して直交する他の方向H2に直角起立面141Tが向いている第2の列P2と、を有している。そして、第1の列P1に含まれる複数の突起14Sv1、14Sr1の直角起立面141Oと、第2の列P2に含まれる複数の突起14Sv2、Sr2の直角起立面141Tは、長孔15の直線部を挟んで向かい合っている。この際、すりおろしの際に食材を削る領域を広くするため、直角起立面141O、141Tが向かい合う突起14Sv1と14Sv2及び14Sr1と14Sr2では、直角起立面141O、141Tが長手方向において重ならないように、短手方向における位置が、少しずれるように配置されている。
【0029】
突起14の直角起立面141O、141Tが、第1方向Iに延伸する長孔15の内側に向いて長孔15の縁に沿って並設されていることで、中央領域CA、CBでは、直角起立面141O、141Tは、おろし面12の長手方向Lに対して正対していない。
【0030】
ここで、おろし器1では、おろし面12に食材をあてて長手方向Lに沿って食材を往復させることによって、食材が突起14の直角起立面141にぶつかって削られてすりおろされ、長孔15を通って落下することで、おろした食材が得られる。上記突起構成により、食材を長手方向Lに往復移動させてすりおろす際に、食材が直角起立面141に正面からぶつからずに傾斜面142と直角起立面141との境界の辺が最初にぶつかるため、接触開始面積が小さくなることで、スライド抵抗が小さくなり、スムーズなすりおろしが実現できる。
【0031】
図4は、おろし器1の洗い流しを説明する図である。おろし器1で食材をすりおろした後は、突起14の傾斜面142側に食材がひっかかることが多い。中央領域CA、CBでは、突起14の配列方向と長孔15の延伸方向が揃っているため、図4の拡大透視図に示すように、洗い流しの際に、水が背面13を伝って長孔15に入った後、第1の列P1の突起14には長孔15に沿って水が流れ、第2の列P2の突起14にはおろし面12を伝った水が流れる。ここで、長孔15の延伸方向及び突起14の配列方向は、おろし面12の長手方向よりも短手方向に近い角度であるため、おろし器1を少し傾けても、長孔15の延伸方向は、鉛直方向にはならずに、おろし面12上を水が伝いやすい。この構成により、使用者は、おろし器1の角度をあまり変化させなくても、残った食材を流すことが出来、洗い流しやすい。また、洗いの際にスポンジでおろし面12を擦った場合でも、突起14の直角起立面141がスポンジの動作方向と正対しないため、スポンジに傷がつくことを予防できる。
【0032】
なお、縁部領域Eでは、突起14Cl、14Crの直角起立面141は長孔15の湾曲する縁部に沿って幅方向内側を向いているが、おろし器1の外縁部には落下防止用の枠部17が設けられているため、枠部17近傍を重点的に洗う際に、縁部領域Eに残った食材も一緒に流すことができる。
【0033】
<押さえ具との組み合わせ>
図5は、第1実施形態のおろし器1と、押さえ具(指ガード)2とをセットで使用する様子を示す図である。図5に示すように、押さえ具2は、押さえ上面21と、側壁22、23を備えている。また、押さえ上面21の上面には、掴み突起24が形成され、押さえ上面21の背面には、おろし器1の複数の突起14よりも大きな穿刺突起(不図示)が1又は複数設けられている。
【0034】
本構成では、すりおろし動作前に押さえ具2を食材にかぶせて押し付けることで、押さえ具2の穿刺突起が食材に穿刺して押さえ具2と食材とが固定される。その後、押さえ具2と食材とが固定された状態で、使用者は、押さえ具2を把持して押さえ具2をおろし器1に対して移動させることで、食材もおろし器1に対して相対移動して、突起14によって食材がすりおろされる。
【0035】
このように、おろし器1を押さえ具2とともに使用することで、使用者は、食材が小さくなっても、突起14で手を切ることなく食材を最後まですりおろせる。さらに、使用者は、山芋や里芋などをすりおろす場合、かゆみ成分が手に付着することなくすりおろせる。
【0036】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るおろし器1αについて説明する。図6は、おろし器1αを含む下ごしらえセット8の全体分解図である。図7は、下ごしらえセット8に含まれるおろし器1αの正面図である。
【0037】
おろし器1αは、下ごしらえセットの一部品である。図6に示すように、下ごしらえセット8は、おろし器1αの他に、押さえ具2と受け皿3と蓋4を有し、さらに調理器具であるツマきり器5、千切り器6、及びスライサー7を有している。
【0038】
おろし器1αは、受け皿3に対して上面にかぶせられて受け皿3に固定された状態で、使用者によってすりおろし動作が実行される。そのため、おろし器1αは、おろし面12の四辺全域が枠部17αによって取り囲まれており、スライサー刃及び取っ手を有していない。その他の構造は、おろし器1と同様である。
【0039】
なお、長孔の延伸方向及び突起の配列方向は、第1実施形態(おろし器1)では右上がり、第2実施形態(おろし器1α)では左上がりの例を示したが、長孔の延伸方向及び突起の配列方向が揃っていれば、右上がりであっても左上がりであってもどちらでもよい。
【0040】
おろし器1αにおいても、図7に示すように、長孔15の延伸方向と突起14の配列方向がどちらも長手方向に対して斜めで方向が揃っている。そのため、食材をおろし面12の長手方向に往復移動させてすりおろす際にスムーズなすりおろしが実現できるとともに、残った食材を洗い流しやすい。
【0041】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1、1α おろし器
12 おろし面
14 突起
15、15a、15b、15c、15d 長孔
16(16L、16R) 補強部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7