IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-タイヤ 図1
  • 特開-タイヤ 図2
  • 特開-タイヤ 図3
  • 特開-タイヤ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058210
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/00 20060101AFI20240418BHJP
   B60C 5/00 20060101ALI20240418BHJP
   B60C 11/13 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B60C11/00 C
B60C5/00 H
B60C11/00 B
B60C11/00 D
B60C11/13 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165429
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡林 志穂
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BA02
3D131BB01
3D131BC33
3D131BC44
3D131CB06
3D131EA02U
3D131EA05U
3D131EB05U
3D131EB11V
3D131EB11X
3D131EB20X
3D131EC01W
3D131EC01X
3D131EC02V
3D131EC12X
(57)【要約】
【課題】ノイズ性能を低下させることなく耐摩耗性の向上を達成できるタイヤ2の提供。
【解決手段】タイヤ2はトレッド4を備える。トレッド4はキャップ部18とベース部20とを備える。キャップ部18は、タイヤ2を車両に装着したときに、車両の幅方向外側に位置する外側キャップ部44と、車両の幅方向内側に位置する内側キャップ部46とを備える。内側キャップ部46の300%モジュラスは5.0MPa以上である。外側キャップ部44の300%モジュラスは内側キャップ部46の300%モジュラスよりも高い。外側キャップ部44の300%モジュラスは9.0MPa以下である。外側キャップ部44と内側キャップ部46との境界48を第一ショルダー陸部32s1が含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向にのびるトレッドを備え、前記トレッドの外周面がトレッド面である、タイヤであって、
前記トレッドが軸方向に並ぶ複数の周方向溝を有し、前記複数の周方向溝が前記トレッドを複数の陸部に区画し、
前記複数の周方向溝が、前記タイヤを車両に装着したときに、前記車両の幅方向外側に位置する第一ショルダー周方向溝と、前記車両の幅方向内側に位置する第二ショルダー周方向溝とを含み、
軸方向において、前記第一ショルダー周方向溝の外側に位置する陸部が第一ショルダー陸部であり、前記第二ショルダー周方向溝の外側に位置する陸部が第二ショルダー陸部であり、
前記トレッドが、路面と接地するキャップ部と、前記キャップ部の径方向内側に位置し、前記キャップ部で覆われるベース部とを備え、
前記キャップ部が、前記タイヤを車両に装着したときに、前記車両の幅方向外側に位置する外側キャップ部と、前記車両の幅方向内側に位置する内側キャップ部とを備え、
前記内側キャップ部の300%モジュラスが5.0MPa以上であり、
前記外側キャップ部の300%モジュラスが前記内側キャップ部の300%モジュラスよりも高く、
前記外側キャップ部の300%モジュラスが9.0MPa以下であり、
前記外側キャップ部と前記内側キャップ部との境界を前記第一ショルダー陸部が含む、
タイヤ。
【請求項2】
前記外側キャップ部と前記内側キャップ部との境界の、前記トレッド面側の端が、第一境界端であり、前記境界の、前記ベース部側の端が、第二境界端であり、
前記第一ショルダー周方向溝が、溝底と、軸方向において外側に位置する外側溝壁と、軸方向において内側に位置する内側溝壁とを備え、
前記溝底と前記外側溝壁との境界が前記第一ショルダー周方向溝の基準位置であり、
前記第一ショルダー周方向溝の基準位置から前記第一境界点までの軸方向距離が3mm以上であり、
前記軸方向距離の、前記第一ショルダー陸部の接地幅に対する比率が、20%以下である、
請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記タイヤの子午線断面において、赤道面から前記外側キャップ部と前記内側キャップ部との境界までの軸方向距離が、前記第一境界端から前記第二境界端に向かって、漸増する、
請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記タイヤの子午線断面において、前記第一境界端と前記第二境界端とを通る直線と、前記第一境界点における前記トレッド面の接線とがなす角度が、5度以上80度以下である、
請求項3に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤはトレッドにおいて路面と接地する。トレッドは摩耗する。トレッドの摩耗はタイヤ性能に影響する。耐摩耗性の向上を目指した検討が行われている(例えば、下記の特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-199456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トレッドは、路面と接地するキャップ部を備える。キャップ部は、耐摩耗性とグリップ性能とを考慮した架橋ゴムで構成される。80km/h以上の速度で車両が旋回すると、キャップ部の中でも、外側ショルダー部分(タイヤを車両に装着した際に、車両の幅方向外側に位置する陸部を含む部分)で摩耗が進行する傾向にある。
【0005】
キャップ部を構成する架橋ゴムの剛性を高めれば、タイヤは摩耗の進行を抑制できる。タイヤは耐摩耗性の向上を図れる。しかし、路面がキャップ部を叩く音が大きくなり、ノイズ性能が低下する恐れがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、ノイズ性能を低下させることなく、耐摩耗性の向上を達成できる、タイヤの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るタイヤは、周方向にのびるトレッドを備え、前記トレッドの外周面がトレッド面である、タイヤである。前記トレッドは軸方向に並ぶ複数の周方向溝を有し、前記複数の周方向溝が前記トレッドを複数の陸部に区画する。前記複数の周方向溝は、前記タイヤを車両に装着したときに、前記車両の幅方向外側に位置する第一ショルダー周方向溝と、前記車両の幅方向内側に位置する第二ショルダー周方向溝とを含む。軸方向において、前記第一ショルダー周方向溝の外側に位置する陸部が第一ショルダー陸部であり、前記第二ショルダー周方向溝の外側に位置する陸部が第二ショルダー陸部である。前記トレッドは、路面と接地するキャップ部と、前記キャップ部の径方向内側に位置し、前記キャップ部で覆われるベース部とを備える。前記キャップ部は、前記タイヤを車両に装着したときに、前記車両の幅方向外側に位置する外側キャップ部と、前記車両の幅方向内側に位置する内側キャップ部とを備える。前記内側キャップ部の300%モジュラスは5.0MPa以上である。前記外側キャップ部の300%モジュラスは前記内側キャップ部の300%モジュラスよりも高い。前記外側キャップ部の300%モジュラスは9.0MPa以下である。前記外側キャップ部と前記内側キャップ部との境界を前記第一ショルダー陸部が含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ノイズ性能を低下させることなく、耐摩耗性の向上を達成できる、タイヤが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤの一部を示す断面図である。
図2図2は、トレッドパターンの一部を示す展開図である。
図3図3は、第一ショルダー周方向溝の部分を示す断面図である。
図4図4は、第一ショルダー陸部の部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
【0011】
本発明のタイヤはリムに組まれる。タイヤの内部に空気が充填され、タイヤの内圧が調整される。リムに組まれたタイヤは、タイヤ-リム組立体とも呼ばれる。タイヤ-リム組立体は、リムと、このリムに組まれたタイヤとを備える。
【0012】
本発明においては、タイヤを正規リムに組み、タイヤの内圧を正規内圧に調整し、タイヤに荷重をかけていない状態は、正規状態と呼ばれる。
【0013】
本発明においては、特に言及がない限り、タイヤ各部の寸法及び角度は、正規状態で測定される。
正規リムにタイヤを組んだ状態で測定できない、タイヤの子午線断面における各部の寸法及び角度は、回転軸を含む平面に沿ってタイヤを切断することにより得られる、タイヤの断面において、測定される。この測定では、左右のビード間の距離は、正規リムに組んだタイヤにおけるビード間の距離に一致するように、タイヤはセットされる。
【0014】
正規リムとは、タイヤが依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。
【0015】
正規内圧とは、タイヤが依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
【0016】
正規荷重とは、タイヤが依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最大負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
【0017】
本発明において、ゴム組成物は、バンバリーミキサー等の混錬機において、基材ゴム及び薬品を混合することにより得られる、未架橋状態の基材ゴムを含む組成物である。架橋ゴムとは、ゴム組成物を加圧及び加熱して得られる、ゴム組成物の架橋物である。架橋ゴムは基材ゴムの架橋物を含む。架橋ゴムは加硫ゴムとも呼ばれ、ゴム組成物は未加硫ゴムとも呼ばれる。
【0018】
基材ゴムとしては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)及びブチルゴム(IIR)が例示される。薬品としては、カーボンブラックやシリカのような補強剤、アロマチックオイル等のような可塑剤、酸化亜鉛等のような充填剤、ステアリン酸のような滑剤、老化防止剤、加工助剤、硫黄及び加硫促進剤が例示される。基材ゴム及び薬品の選定、選定した薬品の含有量等は、ゴム組成物が適用される、トレッド、サイドウォール等の要素の仕様に応じて、適宜決められる。
【0019】
本発明において、タイヤを構成する要素のうち、架橋ゴムからなる要素の300%モジュラスとは、JIS K6251に規定される、300%伸びにおける引張応力を意味する。300%モジュラスは、JIS K6251の規定に準じて測定される。この測定では、試験片は、その長さ方向を、タイヤの周方向と一致させて、タイヤからサンプリングされる。タイヤから試験片をサンプリングできない場合、測定対象の要素の形成に用いられるゴム組成物を170℃の温度で12分間加圧及び加熱して得られる、シート状の架橋ゴム(以下、ゴムシートとも称される。)から試験片がサンプリングされる。
本発明において300%モジュラスは、100℃での300%モジュラスで表される。
【0020】
本発明において、タイヤのトレッド部とは、路面と接地する、タイヤの部位である。ビード部とは、リムに嵌め合わされる、タイヤの部位である。サイドウォール部とは、トレッド部とビード部との間を架け渡す、タイヤの部位である。タイヤは、部位として、トレッド部、一対のビード部及び一対のサイドウォール部を備える。
【0021】
[本発明の実施形態の概要]
[構成1]
本発明の一態様に係るタイヤは、周方向にのびるトレッドを備え、前記トレッドの外周面がトレッド面である、タイヤであって、前記トレッドが軸方向に並ぶ複数の周方向溝を有し、前記複数の周方向溝が前記トレッドを複数の陸部に区画し、前記複数の周方向溝が、前記タイヤを車両に装着したときに、前記車両の幅方向外側に位置する第一ショルダー周方向溝と、前記車両の幅方向内側に位置する第二ショルダー周方向溝とを含み、軸方向において、前記第一ショルダー周方向溝の外側に位置する陸部が第一ショルダー陸部であり、前記第二ショルダー周方向溝の外側に位置する陸部が第二ショルダー陸部であり、前記トレッドが、路面と接地するキャップ部と、前記キャップ部の径方向内側に位置し、前記キャップ部で覆われるベース部とを備え、前記キャップ部が、前記タイヤを車両に装着したときに、前記車両の幅方向外側に位置する外側キャップ部と、前記車両の幅方向内側に位置する内側キャップ部とを備え、前記内側キャップ部の300%モジュラスが5.0MPa以上であり、前記外側キャップ部の300%モジュラスが前記内側キャップ部の300%モジュラスよりも高く、前記外側キャップ部の300%モジュラスが9.0MPa以下であり、前記外側キャップ部と前記内側キャップ部との境界を前記第一ショルダー陸部が含む。
【0022】
このようにタイヤを整えることにより、80km/h以上の速度で車両が旋回した場合に、大きな負荷がかかる、第一ショルダー陸部の軸方向外側部分が、高い剛性を有する外側キャップ部で構成される。このタイヤのキャップ部では、高速で旋回する際の摩耗が抑制される。キャップ部のうち、第一ショルダー陸部の軸方向外側部分以外は、低い剛性を有する内側キャップ部で構成されるので、路面がキャップ部を叩く音が効果的に低減される。このタイヤは、良好なノイズ性能を維持できる。
このタイヤは、ノイズ性能を低下させることなく、耐摩耗性の向上を達成できる。
【0023】
[構成2]
好ましくは、前述の[構成1]に記載のタイヤにおいて、前記外側キャップ部と前記内側キャップ部との境界の、前記トレッド面側の端が第一境界端であり、前記境界の、前記ベース部側の端が第二境界端であり、前記第一ショルダー周方向溝が、溝底と、軸方向において外側に位置する外側溝壁と、軸方向において内側に位置する内側溝壁とを備え、前記溝底と前記外側溝壁との境界が前記第一ショルダー周方向溝の基準位置であり、前記第一ショルダー周方向溝の基準位置から前記第一境界点までの軸方向距離が3mm以上であり、前記軸方向距離の、前記第一ショルダー陸部の接地幅に対する比率が、20%以下である。
このようにタイヤを整えることにより、タイヤは、ノイズ性能を低下させることなく、耐摩耗性の向上を達成できる。
【0024】
[構成3]
好ましくは、前述の[構成1]又は[構成2]に記載のタイヤにおいて、前記タイヤの子午線断面において、赤道面から前記外側キャップ部と前記内側キャップ部との境界までの軸方向距離が、前記第一境界端から前記第二境界端に向かって、漸増する。
このようにタイヤを整えることにより、このタイヤは、第一ショルダー陸部での剛性差を徐々に変化させ、第一ショルダー陸部での偏摩耗の発生を効果的に抑制できる。このタイヤの外側キャップ部はその機能を十分に発揮できる。このタイヤは、ノイズ性能を低下させることなく、耐摩耗性の向上を達成できる。
【0025】
[構成4]
好ましくは、前述の[構成2]又は[構成3]に記載のタイヤにおいて、前記タイヤの子午線断面において、前記第一境界端と前記第二境界端とを通る直線と、前記第一境界点における前記トレッド面の接線とがなす角度が、5度以上80度以下である。
このようにタイヤを整えることにより、外側キャップ部がその機能を十分に発揮できる。このタイヤは、ノイズ性能を低下させることなく、耐摩耗性の向上を達成できる。
【0026】
[本発明の実施形態の詳細]
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ2の一部を示す。このタイヤ2は、乗用車用空気入りタイヤである。
図1は、タイヤ2の回転軸を含む平面に沿った、このタイヤ2の断面(以下、子午線断面)の一部を示す。図1において、左右方向はタイヤ2の軸方向であり、上下方向はタイヤ2の径方向である。図1の紙面に対して垂直な方向は、タイヤ2の周方向である。一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表す。
【0027】
図1は、タイヤ2のトレッド部を示す。トレッド部は、トレッド4、バンド6、ベルト8、カーカス10及びインナーライナー12を備える。図示されないが、これら要素以外に、タイヤ2はビードやクリンチ等の要素を備える。
トレッド4以外の要素は、タイヤの構成要素として一般的な構成を有する。トレッド4以外の要素の詳細な説明は省略される。
【0028】
トレッド4は架橋ゴムからなる。トレッド4は、タイヤ2の径方向外側に位置し、周方向にのびる。トレッド4の外周面がトレッド面14である。タイヤ2はトレッド面14において路面と接地する。
トレッド4には溝16が刻まれる。これにより、トレッドパターンが構成される。
【0029】
図1において符号PCで示される位置は、トレッド面14と赤道面との交点である。交点PCはタイヤ2の赤道である。赤道面上に溝16が位置する場合、溝16がないと仮定して得られる仮想トレッド面に基づいて赤道PCは特定される。赤道PCはタイヤ2の径方向外端でもある。
【0030】
トレッド4は、キャップ部18とベース部20とを備える。
キャップ部18はトレッド面14を含む。キャップ部18は路面と接地する。キャップ部18はグリップ性能及び耐摩耗性が考慮された架橋ゴムからなる。後述するが、このキャップ部18は、異なる剛性を有する2つの架橋ゴムを用いて構成される。
ベース部20はキャップ部18の径方向内側に位置する。ベース部20はその全体がキャップ部18で覆われる。ベース部20は低発熱性を考慮した架橋ゴムからなる。
【0031】
トレッド4の端に、タイヤ2の側面を構成するサイドウォール22が連なる。サイドウォール22はトレッド4の径方向内側に位置する。サイドウォール22はカーカス10の軸方向外側に位置する。サイドウォール22は耐カット性を考慮した架橋ゴムからなる。
図示されないが、サイドウォール22の径方向内側にリムに接触するクリンチが設けられる。クリンチの軸方向内側にビードが設けられる。
【0032】
図1に示されるように、ベース部20は、バンド6の径方向外側に位置する。ベース部20はバンド6を覆う。バンド6の径方向内側にベルト8が位置する。図1に示されたバンド6はベルト8を覆う。
【0033】
バンド6は径方向においてトレッド4とベルト8との間に位置する。バンド6はベルト8に積層される。このタイヤ2のバンド6はフルバンドである。バンド6が軸方向に離して配置される一対のエッジバンドをさらに備えてもよい。バンド6が一対のエッジバンドのみで構成されてもよい。
図示されないが、バンド6は、らせん状に巻かれたバンドコードを含む。バンドコードは実質的に周方向に延びる。有機繊維からなるコードがバンドコードとして用いられる。有機繊維としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維及びアラミド繊維が例示される。
軸方向において、バンド6の端はベルト8の端の外側に位置する。バンド6の端からベルト8の端までの長さは3mm以上7mm以下である。
バンド6はジョイントレス構造を有する。バンド6はベルト8を拘束する。
【0034】
ベルト8は径方向においてバンド6とカーカス10との間に位置する。ベルト8はカーカス10に積層される。
ベルト8は、内側層24と、外側層26とを備える。内側層24がカーカス10に積層される。外側層26は内側層24の径方向外側に位置し、内側層24に積層される。外側層26の端は内側層24の端の軸方向内側に位置する。外側層26の端から内側層24の端までの長さは3mm以上10mm以下である。
このタイヤ2は、内側層24と外側層26との間に、1又は2以上の層を設けることができる。軽量化の観点から、ベルト8は、内側層24及び外側層26からなる2枚の層で構成されるのが好ましい。
【0035】
図示されないが、内側層24及び外側層26はそれぞれ、並列した多数のベルトコードを含む。それぞれのベルトコードは赤道面に対して傾斜する。ベルトコードの材質はスチールである。
【0036】
図1において符号WBで示される長さは、ベルト8の軸方向幅である。軸方向幅WBはベルト8の第一端から第二端までの軸方向距離である。前述の赤道面は、ベルト8の軸方向幅WBの中心においてこのベルト8と交差する。
【0037】
トレッド部においてカーカス10はベルト8とインナーライナー12との間に位置する。図示されないが、カーカス10は一対のビードの間を架け渡す。
カーカス10は少なくとも1枚のカーカスプライ28を含む。このタイヤ2のカーカス10は2枚のカーカスプライ28で構成される。2枚のカーカスプライ28はそれぞれ、ビード(図示されず)で折り返される。
【0038】
図示されないが、カーカスプライ28は並列された多数のカーカスコードを含む。これらカーカスコードは赤道面と交差する。このタイヤ2のカーカス10はラジアル構造を有する。このタイヤ2では、有機繊維からなるコードがカーカスコードとして用いられる。有機繊維としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維及びアラミド繊維が例示される。
【0039】
インナーライナー12は、カーカス10の内側に位置する。インナーライナー12はタイヤ2の内面を構成する。インナーライナー12は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー12は、タイヤ2の内圧を保持する。
【0040】
図1において符号PHで示される位置は、トレッド面14上の位置である。位置PHは、タイヤ2の、路面との接地面の、軸方向外端に対応する。
【0041】
位置PHを特定するための接地面は、例えば、接地面形状測定装置(図示されず)を用いて得られる。この接地面は、この装置において、正規状態のタイヤ2のキャンバー角を0°とし、縦荷重として正規荷重をタイヤ2に負荷して、タイヤ2を平面に接触させて得られる。このようにして得られる接地面の軸方向外端に対応する、トレッド面14上の位置が、前述の位置PHである。本発明においては、この位置PHが接地端である。
図1において、左側に位置する接地端PHが第一接地端PH1であり、右側に位置する接地端PHが第二接地端PH2である。このタイヤ2を車両に装着したときに、第一接地端PH1が車両の幅方向外側に配置される。図1において「OUT」は車両の幅方向外側を表し、「IN」は車両の幅方向内側を表す。
【0042】
図1において符号WHで示される長さは、第一接地端PH1から第二接地端PH2までの軸方向距離である。
正規状態のタイヤにおいて得られる軸方向距離WHの、ベルト8の軸方向幅WBに対する比率(WH/WB)は、85%以上95%以下である。
【0043】
図2は、このタイヤ2のトレッドパターンの一部を示す。前述したように、トレッド4に溝16が刻まれ、トレッドパターンが構成される。トレッドパターンを構成する溝16のうち、1.5mm以下の溝幅を有する溝はサイプとも呼ばれる。
図2に示されたトレッドパターンは、トレッドパターンの一例である。このタイヤ2のトレッド4には、図2に示されたトレッドパターンとは異なるトレッドパターンが構成されてもよい。
【0044】
図2において両矢印WAで示される長さは、トレッド4の接地幅である。接地幅WAは、第一接地端PH1から第二接地端PH2までの軸方向距離である。図示されないが、接地幅WAは、前述の接地端PHを特定するために得られる接地面の接地幅で表される。
図2おいて一点鎖線MLは、図1に示された赤道面CLを表す。接地面において赤道面CLの特定が難しい場合、この直線MLは接地幅WAの中心線で表される。
【0045】
このタイヤ2のトレッドパターンは、周方向に連続してのびる周方向溝30を含む。このタイヤ2のトレッド4は、軸方向に並ぶ複数の周方向溝30を有する。複数の周方向溝30がトレッド4を複数の陸部32に区画する。このタイヤ2のトレッド4には4本の周方向溝30が刻まれ、軸方向に並ぶ5本の陸部32が構成される。
【0046】
4本の周方向溝30のうち、軸方向において最も外側に位置する周方向溝30がショルダー周方向溝30sである。第一接地端PH1側に位置するショルダー周方向溝30sが第一ショルダー周方向溝30s1であり、第二接地端PH2側に位置するショルダー周方向溝30sが第二ショルダー周方向溝30s2である。
ショルダー周方向溝30sの軸方向内側に位置する周方向溝30がミドル周方向溝30mである。第一ショルダー周方向溝30s1と赤道面との間に位置するミドル周方向溝30mが第一ミドル周方向溝30m1であり、第二ショルダー周方向溝30s2と赤道面との間に位置するミドル周方向溝30mが第二ミドル周方向溝30m2である。
【0047】
5本の陸部32のうち、軸方向において最も外側に位置する陸部32がショルダー陸部32sである。軸方向において、第一ショルダー周方向溝30s1の外側に位置する陸部32が第一ショルダー陸部32s1であり、第二ショルダー周方向溝30s2の外側に位置する陸部32が第二ショルダー陸部32s2である。第一ショルダー陸部32s1が第一接地端PH1を含み、第二ショルダー陸部32s2が第二接地端PH2を含む。
【0048】
5本の陸部32のうち、ショルダー陸部32sの軸方向内側に位置する陸部32がミドル陸部32mである。第一ショルダー周方向溝30s1と第一ミドル周方向溝30m1との間に位置する陸部32が第一ミドル陸部32m1であり、第二ショルダー周方向溝30s2と第二ミドル周方向溝30m2との間に位置する陸部32が第二ミドル陸部32m2である。
【0049】
5本の陸部32のうち、ミドル陸部32mの軸方向内側に位置する陸部32がセンター陸部32cである。センター陸部32cは、第一ミドル周方向溝30m1と第二ミドル周方向溝30m2との間に位置する。このタイヤ2のセンター陸部32cは、赤道面上に位置する。
【0050】
第一ショルダー陸部32s1には横溝として第一ショルダー横溝34が刻まれる。第一ショルダー横溝34は、少なくとも2.0mm以上の溝幅を有する。第一ショルダー横溝34は、第一接地端PH1と第一ショルダー周方向溝30s1との間を架け渡す。第一ショルダー横溝34は略軸方向にのびる。
第一ショルダー陸部32s1には、複数の第一ショルダー横溝34が刻まれる。これら第一ショルダー横溝34は、周方向に間隔をあけて配置される。
【0051】
本発明において、溝が略軸方向にのびるとは、溝が軸方向に対してなす角度が15度以下であることを意味する。
【0052】
第一ミドル陸部32m1には、横溝として第一ミドル横溝36が刻まれる。第一ミドル横溝36は、少なくとも2.0mm以上の溝幅を有する。第一ミドル横溝36の溝幅は第一ショルダー横溝34の溝幅より狭い。
第一ミドル横溝36は、第一ミドル陸部32s1内に端(以下、第一端)を有する。第一ミドル横溝36は、この第一端と第一ショルダー周方向溝30s1との間を架け渡す。第一ミドル横溝36は、第二端において、第一ショルダー周方向溝30s1と繋がる。第一ミドル横溝36は略軸方向にのびる。
第一ミドル陸部32m1には、複数の第一ミドル横溝36が刻まれる。これら第一ミドル横溝36は、周方向に間隔をあけて配置される。第一ミドル横溝36は、第一ショルダー周方向溝30s1を挟んで、第一ショルダー横溝34と対向するように配置される。
図2に示されるように、複数の第一ミドル横溝36の中には、サイプ37によって第一ミドル周方向溝30m1と繋げられる、第一ミドル横溝36aが含まれる。第一ミドル横溝36は、サイプ37によって第一ミドル周方向溝30m1と繋げられる、第一ミドル横溝36aと、そうでない第一ミドル横溝36bとを含む。第一ミドル横溝36aと、第一ミドル横溝36bとは、周方向に交互に配置される。
【0053】
センター陸部32cには、横溝としてセンター横溝38が刻まれる。センター横溝38は、少なくとも2.0mm以上の溝幅を有する。センター横溝38は、第一ミドル横溝36の溝幅と同程度の溝幅を有する。
センター横溝38は、センター陸部32c内に端(以下、第一端)を有する。センター横溝38は、この第一端と第一ミドル周方向溝30m1との間を架け渡す。センター横溝38は、その第二端において第一ミドル周方向溝30m1と繋がる。
センター横溝38の第二端は、赤道面の軸方向外側に位置する。センター横溝38は、第一ミドル周方向溝30m1と赤道面との間に位置する。
センター横溝38は軸方向に対して傾斜する。センター横溝38の第一端は、第二端よりも、前述の第一ミドル横溝36aに近い位置に配置される。
センター陸部32cには、複数のセンター横溝38が刻まれる。これらセンター横溝38は、周方向に間隔をあけて配置される。センター横溝38は、周方向において隣り合う2つの第一ミドル横溝36の間に位置する。
【0054】
第二ミドル陸部32m2には、横溝として第二ミドル横溝40が刻まれる。第二ミドル横溝40は、少なくとも2.0mm以上の溝幅を有する。第二ミドル横溝40は、センター横溝38の溝幅と同程度の溝幅を有する。
図2に示されるように、第二ミドル陸部32m2の内側部分と外側部分とに第二ミドル横溝40が刻まれる。このタイヤ2では、第二ミドル陸部32m2の内側部分に刻まれる第二ミドル横溝40が内側ミドル横溝40aとも呼ばれ、外側部分に刻まれる第二ミドル横溝40が外側ミドル横溝40bとも呼ばれる。
内側ミドル横溝40a及び外側ミドル横溝40bのそれぞれは、第二ミドル陸部32m2内に端(以下、第一端)を有する。内側ミドル横溝40aは、第一端と第二ミドル周方向溝30m2との間を架け渡す。内側ミドル横溝40aは、その第二端において第二ミドル周方向溝30m2と繋がる。外側ミドル横溝40bは、第一端と第二ショルダー周方向溝30s2との間を架け渡す。外側ミドル横溝40bは、その第二端において第二ショルダー周方向溝30s2と繋がる。
内側ミドル横溝40aと外側ミドル横溝40bとは軸方向に対して傾斜する。内側ミドル横溝40aの傾斜の向きは外側ミドル横溝40bの傾斜の向きと同じである。内側ミドル横溝40a及び外側ミドル横溝40bの傾斜の向きは、センター横溝38の傾斜の向きとは逆向きである。
第二ミドル陸部32m2には、複数の内側ミドル横溝40aと複数の外側ミドル横溝40bとが刻まれる。内側ミドル横溝40aと外側ミドル横溝40bとは、周方向に交互に配置される。内側ミドル横溝40a及び外側ミドル横溝40bからなる一組の第二ミドル横溝40のペアが、周方向において隣り合う2つのセンター横溝38の間に位置する。
【0055】
第二ショルダー陸部32s2には横溝として第二ショルダー横溝42が刻まれる。第一ショルダー横溝34は、少なくとも2.0mm以上の溝幅を有する。第二ショルダー横溝42は、第一ショルダー横溝34の溝幅と同程度の溝幅を有する。
第二ショルダー横溝42は、第二ショルダー陸部32s2内に端(以下、第一端)を有する。第二ショルダー横溝42は、この第一端と第二接地端PH2との間を架け渡す。第二ショルダー横溝42は、第二ショルダー周方向溝30s2とは繋がらない。
第二ショルダー横溝42は略軸方向にのびる。第二ショルダー陸部32s2には、複数の第二ショルダー横溝42が刻まれる。これら第二ショルダー横溝42は、周方向に間隔をあけて配置される。第二ショルダー横溝42は、周方向において隣り合う2つの第一ショルダー横溝34の間に位置する。
【0056】
図2において両矢印GS1は第一ショルダー周方向溝30s1の開口幅である。両矢印GM1は第一ミドル周方向溝30m1の開口幅である。両矢印GM2は第二ミドル周方向溝30m2の開口幅である。両矢印GS2は第二ショルダー周方向溝30s2の開口幅である。開口幅GS1、GM1、GM2及びGS2は、前述の接地端PHを特定するために得られる接地面を用いて特定される。
【0057】
図2において両矢印WS1で示される長さは、第一ショルダー陸部32s1の接地幅である。接地幅WS1は、第一接地端PH1から第一ショルダー周方向溝30s1の外側開口縁までの軸方向距離である。両矢印WM1で示される長さは、第一ミドル陸部32m1の接地幅である。接地幅WM1は、第一ショルダー周方向溝30s1の内側開口縁から第一ミドル周方向溝30m1の外側開口縁までの軸方向距離である。両矢印WC1で示される長さは、センター陸部32cの外側部分の接地幅である。接地幅WC1は、第一ミドル周方向溝30m1の内側開口縁から赤道面までの軸方向距離である。両矢印WC2で示される長さは、センター陸部32cの内側部分の接地幅である。接地幅WC2は、赤道面から第二ミドル周方向溝30m2の内側開口縁までの軸方向距離である。両矢印WM2で示される長さは、第二ミドル陸部32m2の接地幅である。接地幅WM2は、第二ミドル周方向溝30m2の外側開口縁から第二ショルダー周方向溝30s2の内側開口縁からまでの軸方向距離である。両矢印WS2で示される長さは、第二ショルダー陸部32s2の接地幅である。接地幅WS2は、第二ショルダー周方向溝30s2の外側開口縁から第二接地端PH2からまでの軸方向距離である。
接地幅WS1、WM1、WC1、WC2、WM2及びWS2は、前述の接地端PHを特定するために得られる接地面を用いて特定される。
【0058】
このタイヤ2では、第一ショルダー陸部32s1の接地幅WS1は、第二ショルダー陸部32s2の接地幅WS2よりも広い。センター陸部32cの外側部分の接地幅WC1は内側部分の接地幅WC2よりも広い。第一ミドル陸部32m1は、第二ミドル陸部32m2の接地幅WM2と同程度の接地幅WM1を有する。
接地幅WM1と接地幅WM2とが同程度であるとは、接地幅WM1の接地幅WM2に対する比(WM1/WM2)が0.95以上1.05以下であることを意味する。
【0059】
第一ショルダー周方向溝30s1の開口幅GS1は、第二ショルダー周方向溝30s2の開口幅GS2よりも狭い。第一ミドル周方向溝30m1の開口幅GM1は、第二ミドル周方向溝30m2の開口幅GM2よりも狭い。周方向溝30のうち、最も広い開口幅を有する周方向溝30は第二ミドル周方向溝30m2であり、最も狭い開口幅を有する周方向溝30は第一ショルダー周方向溝30s1である。
【0060】
前述したように、このタイヤ2のキャップ部18は異なる剛性を有する2つの架橋ゴムを用いて構成される。キャップ部18は外側キャップ部44と内側キャップ部46とを備える。外側キャップ部44は内側キャップ部46の剛性よりも高い剛性を有する。具体的には、内側キャップ部の300%モジュラスが5.0MPa以上であり、外側キャップ部44の300%モジュラスが内側キャップ部46の300%モジュラスよりも高く、外側キャップ部の300%モジュラスが9.0MPa以下である。
【0061】
図1において、符号PSで示される位置は、外側キャップ部44と内側キャップ部46との境界48の、トレッド面14側の端である。端PSは、第一境界端とも呼ばれる。このタイヤ2の第一境界端PSは、陸部32の外面に含まれる。符号PUで示される位置は、境界48の、ベース部20側の端である。端PUは、第二境界端とも呼ばれる。このタイヤ2の第二境界端PUは、キャップ部18とベース部20との界面に含まれる。
境界48は、外側キャップ部44と内側キャップ部46との界面である。キャップ部18は、外側キャップ部44及び内側キャップ部46からなる2つの要素で構成される。
【0062】
外側キャップ部44は第一接地端PH1を含み、内側キャップ部46は赤道PC及び第二接地端PH2を含む。タイヤ2を車両に装着したときに、外側キャップ部44は車両の幅方向外側に位置し、内側キャップ部46は車両の幅方向内側に位置する。
図1に示されるように、外側キャップ部44と内側キャップ部46との境界48は第一ショルダー陸部32s1に含まれる。第一接地端PH1を含む第一ショルダー陸部32s1の軸方向外側部分は、高い剛性を有する外側キャップ部44で構成される。そして、キャップ部18のうち、外側キャップ部44で構成される部分以外は、外側キャップ部44の剛性よりも低い剛性を有する内側キャップ部46で構成される。図1に示された第一ショルダー陸部32s1では、その外面に、第一境界端PSが含まれる。
【0063】
このタイヤ2では、80km/h以上の速度で車両が旋回した場合に、大きな負荷がかかる、第一ショルダー陸部32s1の軸方向外側部分が、高い剛性を有する外側キャップ部44で構成される。このタイヤ2のキャップ部18では、高速で旋回する際の摩耗が抑制される。
キャップ部18のうち、第一ショルダー陸部32s1の軸方向外側部分以外は、低い剛性を有する内側キャップ部46で構成されるので、路面がキャップ部18を叩く音が効果的に低減される。このタイヤ2は、良好なノイズ性能を維持できる。
しかも内側キャップ部46の300%モジュラスが5.0MPa以上であるので、外側キャップ部44に比べて、走行時の負荷が小さい、内側キャップ部46の摩耗も効果的に抑制される。
さらに外側キャップ部44の300%モジュラスが9.0MPa以下であるので、外側キャップ部44によるノイズ性能への影響も効果的に抑制される。
このタイヤ2は、ノイズ性能を低下させることなく、耐摩耗性の向上を達成できる。
【0064】
このタイヤ2の外側キャップ部44は、高速で旋回する際の摩耗の抑制に貢献できる。耐摩耗性のさらなる向上を図れる観点から、外側キャップ部44の300%モジュラスは8.0MPa以上であるのが好ましい。
【0065】
このタイヤ2の内側キャップ部46は、路面がキャップ部18を叩く音の低減に貢献できる。良好なノイズ性能を効果的に維持できる観点から、内側キャップ部46の300%モジュラスは7.0MPa以下であるのが好ましい。
【0066】
前述したように、外側キャップ部44の300%モジュラスは内側キャップ部46の300%モジュラスよりも高い。ノイズ性能と耐摩耗性とをバランスよく整えることができる観点から、外側キャップ部44の300%モジュラスの、内側キャップ部46の300%モジュラスに対する比は、1.1以上であるのが好ましく、1.2以上であるのがより好ましく、1.3以上であるのがさらに好ましい。同様の観点から、この比は1.8以下であるのが好ましく、1.7以下であるのがより好ましく、1.6以下であるのがさらに好ましい。
【0067】
図3は、第一ショルダー周方向溝30s1の部分を示す。図3は、図1に示された子午線断面の一部を示す。
【0068】
このタイヤ2の第一ショルダー周方向溝30s1は、溝底50と、溝底50からトレッド面14側に向かってのびる一対の溝壁52とを備える。一対の溝壁52のうち、軸方向において外側に位置する溝壁52が外側溝壁52sであり、内側に位置する溝壁52が内側溝壁52uである。第一ショルダー周方向溝30s1は、溝底50と、外側溝壁52sと、内側溝壁52uとを備える。
【0069】
図3において符号PBで示される位置は、溝底50と外側溝壁52sとの境界である。この境界PBは、溝底50の接線LBと、外側溝壁52sの輪郭線の延長線LWとの交点で表される。本発明においては、溝底50と外側溝壁52sとの境界PBが第一ショルダー周方向溝30s1の基準位置である。符号L1で示される長さは、基準位置PBから第一境界端PSまでの軸方向距離である。
【0070】
図3に示されるように、外側キャップ部44と内側キャップ部46との境界48の第一境界端PSは、第一ショルダー周方向溝30s1の軸方向外側に位置する。第一境界端PSは、第一ショルダー周方向溝30s1の基準位置PBから軸方向外側に所定距離、離して配置される。具体的には、基準位置PBから第一境界端PSまでの軸方向距離L1が3mm以上であるのが好ましい。これにより、第一ショルダー周方向溝30s1の溝底PBに歪が集中することが抑制される。境界48において、外側キャップ部44が内側キャップ部46から剥がれることが抑制される。このタイヤ2の外側キャップ部44はその機能を安定に発揮できる。この観点から、軸方向距離L1は4mm以上であるのがより好ましい。
【0071】
このタイヤ2では、基準位置PBから第一境界端PSまでの軸方向距離L1の、第一ショルダー陸部32s1の接地幅WS1に対する比率(L1/WS1)は20%以下であるのが好ましい。これにより、高速で旋回する際に大きな負荷がかかる、第一ショルダー陸部32s1において、その外側と内側との間における剛性差を、このタイヤ2は低減できる。このタイヤ2は、内側キャップ部46で構成される、第一ショルダー陸部32s1の内側部分の摩耗を効果的に抑制できる。この観点から、比率(L1/WS1)は15%以下であるのがより好ましい。
【0072】
このタイヤ2では、ノイズ性能を低下させることなく、耐摩耗性の向上を達成できる観点から、軸方向距離L1が3mm以上であり、比率(L1/WS1)が20%以下であるのがより好ましい。
【0073】
図4は、第一ショルダー陸部32s1の部分を示す。図4は、図1に示された子午線断面の一部を示す。
【0074】
図4に示されるように、外側キャップ部44と内側キャップ部46との境界48は、軸方向に対して傾斜してのびる。第二境界端PUは第一境界端PSの軸方向外側に位置する。言い換えれば、赤道面から外側キャップ部44と内側キャップ部46との境界48までの軸方向距離が、第一境界端PSから第二境界端PUに向かって、漸増する。
図示されないが、第二境界端PUの位置が軸方向において第一境界端PSの位置と一致するように、境界48が構成されてもよい。
【0075】
第一ショルダー陸部32s1において、境界48は剛性の変わり目である。そのため、図4に示されるように、境界48が傾斜するように、第一ショルダー陸部32s1を構成することで、このタイヤ2は、第一ショルダー陸部32s1での剛性差を徐々に変化させ、第一ショルダー陸部32s1での偏摩耗の発生を効果的に抑制できる。この場合、外側キャップ部44がその機能を十分に発揮できる。この観点から、赤道面から外側キャップ部44と内側キャップ部46との境界48までの軸方向距離が、第一境界端PSから第二境界端PUに向かって、漸増するように、この境界48が構成されるのが好ましい。言い換えれば、第一ショルダー陸部32s1における、外側キャップ部44と内側キャップ部46との境界48は、第二境界端PUが第一境界端PSの軸方向外側に位置するように構成されるのが好ましい。この場合、子午線断面における境界48の輪郭線は、湾曲していてもよく、直線で表されてもよい。輪郭線が湾曲している場合、ベース部20の露出を抑制するとの観点から、輪郭線はベース部20側に湾曲しているのが好ましい。
【0076】
図4において実線SUは、第一境界端PSと第二境界端PUとを通る直線である。実線LTは、第一境界端PSにおけるトレッド面14の接線である。角度θは、直線SUと接線LTとがなす角度である。この角度θが、タイヤ2の子午線断面において、第一境界端PSと第二境界端PUとを通る直線SUと、第一境界端PSにおけるトレッド面14の接線LTとがなす角度である。この角度θは境界48の傾斜角度とも呼ばれる。
【0077】
このタイヤ2では、境界48の傾斜角度θは5度以上80度以下であるのが好ましい。
傾斜角度θが5度以上に設定されることにより、外側キャップ部44が必要なボリュームを有するように第一ショルダー陸部32s1が構成される。このタイヤ2は、摩耗を効果的に抑制でき、内側キャップ部46の露出量を適切にコントロールできる。このタイヤ2では、外側キャップ部44がその機能を十分に発揮できる。この観点から、傾斜角度θは15度以上であるのがより好ましく、25度以上であるのがさらに好ましい。
傾斜角度θが80度以下に設定されることにより、このタイヤ2は、第一ショルダー陸部32s1での剛性差を徐々に変化させ、第一ショルダー陸部32s1での偏摩耗の発生を効果的に抑制できる。この場合も、外側キャップ部44がその機能を十分に発揮できる。この観点から、傾斜角度θは70度以下であるのがより好ましく、60度以下であるのがさらに好ましい。
【0078】
前述したように、このタイヤ2では、外側キャップ部44は第一ショルダー陸部32s1に設けられる。キャップ部18のうち、外側キャップ部44以外は、内側キャップ部46で構成される。
タイヤ2がノイズ性能を低下させることなく、耐摩耗性の向上を達成できる観点から、第一ショルダー陸部32s1の接地幅WS1の、接地幅WAに対する比率(WS1/WA)は、15%以上20%以下であるのが好ましい。
【0079】
前述したように、このタイヤ2では、第一ショルダー陸部32s1の接地幅WS1は、第二ショルダー陸部32s2の接地幅WS2よりも広い。このタイヤ2では、第一ショルダー陸部32s1の一部をなす外側キャップ部44がその機能を十分に発揮できる。この観点から、第一ショルダー陸部32s1の接地幅WS1の、第二ショルダー陸部32s2の接地幅WS2に対する比率(WS1/WS2)は120%以上130%以下であるのが好ましい。
【0080】
このタイヤ2のセンター陸部32cは、その外側部分の接地幅WC1が内側部分の接地幅WC2よりも広くなるように構成される。このセンター陸部32cは、ノイズ性能の低減と、耐摩耗性の向上とに貢献できる。この観点から、外側部分の接地幅WC1の、内側部分の接地幅WC2に対する比率(WC1/WC2)は、170%以上180%以下であるのが好ましい。
【0081】
図1に示されるように、赤道面から第一接地端PH1までのゾーンに第一ショルダー周方向溝30s1及び第一ミドル周方向溝30m1が位置し、赤道面から第二接地端PH2までのゾーンに第二ミドル周方向溝30m2及び第二ショルダー周方向溝30s2が位置する。外側キャップ部44及び内側キャップ部がそれぞれ、その機能を発揮できる観点から、赤道面から第一接地端PH1までのゾーンにおけるキャップ部18が、赤道面から第二接地端PH2までのゾーンにおけるキャップ部18の剛性よりも高い剛性を有するのが好ましい。この観点から、第一ショルダー周方向溝30s1の開口幅GS1と第一ミドル周方向溝30m1の開口幅GM1との合計(GS1+GM1)は、第二ミドル周方向溝30m2の開口幅GM2と第二ショルダー周方向溝30s2の開口幅GS2との合計(GM2+GS2)よりも小さいのが好ましい。具体的には、合計(GS1+GM1)の、合計(GM2+GS2)に対する比率((GS1+GM1)/(GM2+GS2))が、50%以上60%以下であるのがより好ましい。
【0082】
前述したように、このタイヤ2では、周方向溝30のうち、最も広い開口幅を有する周方向溝30は第二ミドル周方向溝30m2である。第二ミドル周方向溝30m2は内側キャップ部46に刻まれる。内側キャップ部46が良好なノイズ性能の維持に貢献できる観点から、第二ミドル周方向溝30m2の開口幅GM2の、接地幅WAに対する比率(GM2/WA)は、5%以上10%以下であるのが好ましい。
【0083】
前述したように、このタイヤ2では、最も狭い開口幅を有する周方向溝30は第一ショルダー周方向溝30s1である。外側キャップ部44が設けられる第一ショルダー陸部32s1は第一ショルダー周方向溝30s1の軸方向外側に位置する。狭い開口幅GS1を有する第一ショルダー周方向溝30s1は、外側キャップ部44の機能の発揮に貢献できる。この観点から、第一ショルダー周方向溝30s1の開口幅GS1の、第二ミドル周方向溝30m2の開口幅GM2に対する比率(GS1/GM2)は、30%以上40%以下であるのが好ましい。
【0084】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ノイズ性能を低下させることなく、耐摩耗性の向上を達成できる、タイヤ2が得られる。
【実施例0085】
以下、実施例などにより、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0086】
[実施例1]
図1に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた乗用車用の空気入りタイヤ(タイヤの呼び=235/35ZR19)を得た。
【0087】
内側キャップ部の300%モジュラスMu、外側キャップ部の300%モジュラスMs、比率(L1/WS1)及び境界の傾斜角度θを下記の表1に示される通りに設定した。
【0088】
[比較例1]
比較例1は従来タイヤである。この比較例1では、キャップ部を単一の架橋ゴムで構成した。表1の「Ms」の欄に記載があるように、このキャップ部の300%モジュラスは8.0MPaであった。
【0089】
[実施例2-3及び比較例2-3]
内側キャップ部の300%モジュラスMu、外側キャップ部の300%モジュラスMs、比率(L1/WS1)及び境界の傾斜角度θを下記の表1に示される通りに設定した他は実施例1と同様にして、実施例2-3及び比較例2-3のタイヤを得た。
【0090】
[ノイズ性能]
試作タイヤをリム(サイズ=19×8.0J)に組み、空気を充填して内圧を240kPaに調整した。タイヤを試験車両(乗用車)に装着した。ドライアスファルト路面のテストコースで試験車両を速度100km/hで走行させたときの車内騒音が測定された。その結果が、比較例1を100とした指数で下記の表1に示されている。数値が大きいほどノイズ性能に優れる。
【0091】
[耐摩耗性]
試作タイヤをリム(サイズ=19×8.0J)に組み、空気を充填して内圧を240kPaに調整した。タイヤを試験車両(乗用車)に装着した。ドライアスファルト路面のテストコースで試験車両を走行させた。走行後、第二ミドル周方向溝の溝深さCrと、第一ショルダー横溝の溝深さShとを計測し、比(Sh/Cr)を得た。その結果が、比較例1を100とした指数で下記の表1に示されている。数値が大きいほど耐摩耗性に優れる。
【0092】
【表1】
【0093】
表1に示されているように、実施例では、ノイズ性能を低下させることなく、耐摩耗性の向上が達成されていることが確認されている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上説明された、ノイズ性能を低下させることなく、耐摩耗性の向上を達成できる技術は種々のタイヤにも適用されうる。
【符号の説明】
【0095】
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
14・・・トレッド面
18・・・キャップ部
20・・・ベース部
30・・・周方向溝
32・・・陸部
30s1・・・第一ショルダー周方向溝
30s2・・・第二ショルダー周方向溝
32s1・・・第一ショルダー陸部
32s2・・・第二ショルダー陸部
44・・・外側キャップ部
46・・・内側キャップ部
48・・・境界
50・・・溝底
52s・・・外側溝壁
52u・・・内側溝壁
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向にのびるトレッドを備え、前記トレッドの外周面がトレッド面である、タイヤであって、
前記トレッドが軸方向に並ぶ複数の周方向溝を有し、前記複数の周方向溝が前記トレッドを複数の陸部に区画し、
前記複数の周方向溝が、前記タイヤを車両に装着したときに、前記車両の幅方向外側に位置する第一ショルダー周方向溝と、前記車両の幅方向内側に位置する第二ショルダー周方向溝とを含み、
軸方向において、前記第一ショルダー周方向溝の外側に位置する陸部が第一ショルダー陸部であり、前記第二ショルダー周方向溝の外側に位置する陸部が第二ショルダー陸部であり、
前記トレッドが、路面と接地するキャップ部と、前記キャップ部の径方向内側に位置し、前記キャップ部で覆われるベース部とを備え、
前記キャップ部が、前記タイヤを車両に装着したときに、前記車両の幅方向外側に位置する外側キャップ部と、前記車両の幅方向内側に位置する内側キャップ部とを備え、
前記内側キャップ部の300%モジュラスが5.0MPa以上であり、
前記外側キャップ部の300%モジュラスが前記内側キャップ部の300%モジュラスよりも高く、
前記外側キャップ部の300%モジュラスが9.0MPa以下であり、
前記外側キャップ部と前記内側キャップ部との境界を前記第一ショルダー陸部が含む、
タイヤ。
【請求項2】
前記外側キャップ部と前記内側キャップ部との境界の、前記トレッド面側の端が、第一境界端であり、前記境界の、前記ベース部側の端が、第二境界端であり、
前記第一ショルダー周方向溝が、溝底と、軸方向において外側に位置する外側溝壁と、軸方向において内側に位置する内側溝壁とを備え、
前記溝底と前記外側溝壁との境界が前記第一ショルダー周方向溝の基準位置であり、
前記第一ショルダー周方向溝の基準位置から前記第一境界までの軸方向距離が3mm以上であり、
前記軸方向距離の、前記第一ショルダー陸部の接地幅に対する比率が、20%以下である、
請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記タイヤの子午線断面において、赤道面から前記外側キャップ部と前記内側キャップ部との境界までの軸方向距離が、前記第一境界端から前記第二境界端に向かって、漸増する、
請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記タイヤの子午線断面において、前記第一境界端と前記第二境界端とを通る直線と、前記第一境界における前記トレッド面の接線とがなす角度が、5度以上80度以下である、
請求項3に記載のタイヤ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
[構成2]
好ましくは、前述の[構成1]に記載のタイヤにおいて、前記外側キャップ部と前記内側キャップ部との境界の、前記トレッド面側の端が第一境界端であり、前記境界の、前記ベース部側の端が第二境界端であり、前記第一ショルダー周方向溝が、溝底と、軸方向において外側に位置する外側溝壁と、軸方向において内側に位置する内側溝壁とを備え、前記溝底と前記外側溝壁との境界が前記第一ショルダー周方向溝の基準位置であり、前記第一ショルダー周方向溝の基準位置から前記第一境界までの軸方向距離が3mm以上であり、前記軸方向距離の、前記第一ショルダー陸部の接地幅に対する比率が、20%以下である。
このようにタイヤを整えることにより、タイヤは、ノイズ性能を低下させることなく、耐摩耗性の向上を達成できる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
[構成4]
好ましくは、前述の[構成2]又は[構成3]に記載のタイヤにおいて、前記タイヤの子午線断面において、前記第一境界端と前記第二境界端とを通る直線と、前記第一境界における前記トレッド面の接線とがなす角度が、5度以上80度以下である。
このようにタイヤを整えることにより、外側キャップ部がその機能を十分に発揮できる。このタイヤは、ノイズ性能を低下させることなく、耐摩耗性の向上を達成できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
図1において符号WHで示される長さは、第一接地端PH1から第二接地端PH2までの軸方向距離である。
正規状態のタイヤにおいて得られる軸方向距離WHの、ベルト8の軸方向幅WBに対する比率(WH/WB)は、85%以上95%以下である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
第一ミドル陸部32m1には、横溝として第一ミドル横溝36が刻まれる。第一ミドル横溝36は、少なくとも2.0mm以上の溝幅を有する。第一ミドル横溝36の溝幅は第一ショルダー横溝34の溝幅より狭い。
第一ミドル横溝36は、第一ミドル陸部321内に端(以下、第一端)を有する。第一ミドル横溝36は、この第一端と第一ショルダー周方向溝30s1との間を架け渡す。第一ミドル横溝36は、第二端において、第一ショルダー周方向溝30s1と繋がる。第一ミドル横溝36は略軸方向にのびる。
第一ミドル陸部32m1には、複数の第一ミドル横溝36が刻まれる。これら第一ミドル横溝36は、周方向に間隔をあけて配置される。第一ミドル横溝36は、第一ショルダー周方向溝30s1を挟んで、第一ショルダー横溝34と対向するように配置される。
図2に示されるように、複数の第一ミドル横溝36の中には、サイプ37によって第一ミドル周方向溝30m1と繋げられる、第一ミドル横溝36aが含まれる。第一ミドル横溝36は、サイプ37によって第一ミドル周方向溝30m1と繋げられる、第一ミドル横溝36aと、そうでない第一ミドル横溝36bとを含む。第一ミドル横溝36aと、第一ミドル横溝36bとは、周方向に交互に配置される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
センター陸部32cには、横溝としてセンター横溝38が刻まれる。センター横溝38は、少なくとも2.0mm以上の溝幅を有する。センター横溝38は、第一ミドル横溝36の溝幅と同程度の溝幅を有する。
センター横溝38は、センター陸部32c内に端(以下、第一端)を有する。センター横溝38は、この第一端と第一ミドル周方向溝30m1との間を架け渡す。センター横溝38は、その第二端において第一ミドル周方向溝30m1と繋がる。
センター横溝38の第二端は、赤道面の軸方向外側に位置する。センター横溝38は、第一ミドル周方向溝30m1と赤道面との間に位置する。
センター横溝38は軸方向に対して傾斜する。センター横溝38の第端は、第端よりも、前述の第一ミドル横溝36aに近い位置に配置される。
センター陸部32cには、複数のセンター横溝38が刻まれる。これらセンター横溝38は、周方向に間隔をあけて配置される。センター横溝38は、周方向において隣り合う2つの第一ミドル横溝36の間に位置する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
第二ショルダー陸部32s2には横溝として第二ショルダー横溝42が刻まれる。第ショルダー横溝42は、少なくとも2.0mm以上の溝幅を有する。第二ショルダー横溝42は、第一ショルダー横溝34の溝幅と同程度の溝幅を有する。
第二ショルダー横溝42は、第二ショルダー陸部32s2内に端(以下、第一端)を有する。第二ショルダー横溝42は、この第一端と第二接地端PH2との間を架け渡す。第二ショルダー横溝42は、第二ショルダー周方向溝30s2とは繋がらない。
第二ショルダー横溝42は略軸方向にのびる。第二ショルダー陸部32s2には、複数の第二ショルダー横溝42が刻まれる。これら第二ショルダー横溝42は、周方向に間隔をあけて配置される。第二ショルダー横溝42は、周方向において隣り合う2つの第一ショルダー横溝34の間に位置する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
前述したように、このタイヤ2のキャップ部18は異なる剛性を有する2つの架橋ゴムを用いて構成される。キャップ部18は外側キャップ部44と内側キャップ部46とを備える。外側キャップ部44は内側キャップ部46の剛性よりも高い剛性を有する。具体的には、内側キャップ部46の300%モジュラスが5.0MPa以上であり、外側キャップ部44の300%モジュラスが内側キャップ部46の300%モジュラスよりも高く、外側キャップ部の300%モジュラスが9.0MPa以下である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
図3に示されるように、外側キャップ部44と内側キャップ部46との境界48の第一境界端PSは、第一ショルダー周方向溝30s1の軸方向外側に位置する。第一境界端PSは、第一ショルダー周方向溝30s1の基準位置PBから軸方向外側に所定距離、離して配置される。具体的には、基準位置PBから第一境界端PSまでの軸方向距離L1が3mm以上であるのが好ましい。これにより、第一ショルダー周方向溝30s1の溝底50に歪が集中することが抑制される。境界48において、外側キャップ部44が内側キャップ部46から剥がれることが抑制される。このタイヤ2の外側キャップ部44はその機能を安定に発揮できる。この観点から、軸方向距離L1は4mm以上であるのがより好ましい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
このタイヤ2のセンター陸部32cは、その外側部分の接地幅WC1が内側部分の接地幅WC2よりも広くなるように構成される。このセンター陸部32cは、ノイズ性能を低下させることなく耐摩耗性の向上に貢献できる。この観点から、外側部分の接地幅WC1の、内側部分の接地幅WC2に対する比率(WC1/WC2)は、170%以上180%以下であるのが好ましい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
図1に示されるように、赤道面から第一接地端PH1までのゾーンに第一ショルダー周方向溝30s1及び第一ミドル周方向溝30m1が位置し、赤道面から第二接地端PH2までのゾーンに第二ミドル周方向溝30m2及び第二ショルダー周方向溝30s2が位置する。外側キャップ部44及び内側キャップ部46がそれぞれ、その機能を発揮できる観点から、赤道面から第一接地端PH1までのゾーンにおけるキャップ部18が、赤道面から第二接地端PH2までのゾーンにおけるキャップ部18の剛性よりも高い剛性を有するのが好ましい。この観点から、第一ショルダー周方向溝30s1の開口幅GS1と第一ミドル周方向溝30m1の開口幅GM1との合計(GS1+GM1)は、第二ミドル周方向溝30m2の開口幅GM2と第二ショルダー周方向溝30s2の開口幅GS2との合計(GM2+GS2)よりも小さいのが好ましい。具体的には、合計(GS1+GM1)の、合計(GM2+GS2)に対する比率((GS1+GM1)/(GM2+GS2))が、50%以上60%以下であるのがより好ましい。
【手続補正12】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3