(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058226
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】保守装置、および、保守方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240418BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165453
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】有冨 陽子
(72)【発明者】
【氏名】渡部 道治
(72)【発明者】
【氏名】田中 来武
(72)【発明者】
【氏名】綿引 伸一
(72)【発明者】
【氏名】飯澤 憲次
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】家電機器の不具合対策を早期かつ手軽に開始させること。
【解決手段】保守事業者のサーバ4は、不具合への改善制御を家電機器1に実行させるための改善プログラムにより家電機器1の不具合を改善可能か否かを示す分類情報と、その分類情報において改善プログラムにより不具合を改善可能な場合には実行させる改善プログラムとを、不具合ごとに対応付ける通知データベース45Dと、通知データベース45Dを参照して、家電機器1に発生した不具合を改善可能な改善プログラムを特定し、その特定した改善プログラムの改善制御を家電機器1に実行させる改善方法判断部45と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不具合への改善制御を家電機器に実行させるための改善プログラムにより前記家電機器の不具合を改善可能か否かを示す分類情報と、その分類情報において前記改善プログラムにより不具合を改善可能な場合には実行させる前記改善プログラムとを、不具合ごとに対応付けるデータベースと、
前記データベースを参照して、前記家電機器に発生した不具合を改善可能な前記改善プログラムを特定し、その特定した前記改善プログラムの改善制御を前記家電機器に実行させる改善方法判断部と、を有することを特徴とする
保守装置。
【請求項2】
前記保守装置と前記家電機器とが、同一の装置に収容されることを特徴とする
請求項1に記載の保守装置。
【請求項3】
前記保守装置は、さらに、確認部を有しており、
前記確認部は、前記改善プログラムの改善制御を実行した後に前記家電機器から計測される所定期間の運転データに基づき、前記家電機器の不具合が解決したか否かを判定し、前記家電機器の不具合が解決していない場合には、保守員が使用する保守端末に対して、前記家電機器の修理を要請することを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の保守装置。
【請求項4】
前記保守装置は、さらに、送信部および受信部を有しており、
前記送信部は、前記家電機器のユーザが使用するユーザ端末に対して、前記データベースから特定した前記改善プログラムの実行可否を問い合わせ、
前記受信部は、前記ユーザ端末から前記改善プログラムの実行許可を受信した場合に、前記改善方法判断部から前記改善プログラムの改善制御を前記家電機器に実行させることを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の保守装置。
【請求項5】
前記確認部は、前記改善プログラムの改善制御を実行した後に前記家電機器から計測される所定期間の運転データに基づき、不具合の改善度合いを示す進捗状況を求め、その進捗状況に応じて変化する表示内容を前記家電機器または前記家電機器のユーザが使用するユーザ端末に表示させることを特徴とする
請求項3に記載の保守装置。
【請求項6】
前記データベースには、さらに、前記分類情報において前記改善プログラムにより不具合を改善不可能な場合には、前記家電機器の不具合を改善するために人に知らせる情報も、不具合ごとに対応付けられており、
前記改善方法判断部は、前記データベースを参照して、前記家電機器に発生した不具合を改善するために前記人に知らせる情報を特定し、その人に知らせる情報を、前記家電機器のユーザが使用するユーザ端末、および、保守員が使用する保守端末のうちの少なくとも一方の端末に対して提供することを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の保守装置。
【請求項7】
保守装置は、データベースと、改善方法判断部と、を有しており、
前記データベースには、不具合への改善制御を家電機器に実行させるための改善プログラムにより前記家電機器の不具合を改善可能か否かを示す分類情報と、その分類情報において前記改善プログラムにより不具合を改善可能な場合には実行させる前記改善プログラムとが、不具合ごとに対応付けられており、
前記改善方法判断部は、前記データベースを参照して、前記家電機器に発生した不具合を改善可能な前記改善プログラムを特定し、その特定した前記改善プログラムの改善制御を前記家電機器に実行させることを特徴とする
保守方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保守装置、および、保守方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家電機器に不具合が発生した時には、ユーザはメーカの保守サービスセンタに電話などで連絡を取る。保守サービスセンタでは、保守員(サービスマン)を派遣する必要が無い軽度な不具合でも、ユーザ宅へ保守員が派遣されることで、時間とコストがかかってしまう。
そこで、特許文献1には、家電機器自身が「自己診断」を行い、診断結果を液晶パネルに示す技術が開示されている。また、特許文献1には、自己診断の結果により不具合対策が必要と判断した場合、その自己診断の結果を保守サービスセンタに通報する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、通報された保守サービスセンタでの保守員が、コマンド等の送信により家電機器の遠隔操作を実行させることで不具合対策を開始する場合もある。しかし、保守員による遠隔操作であっても保守員の訪問であっても、保守員が対応可能な時間帯まで不具合対策が開始されない。そのため、例えば、冷蔵庫の霜付き状態による冷却機能の低下など、自己診断では不具合とされるものの霜取りモードの起動などで自己解決できるような軽度な不具合であっても、ユーザは不具合の解決まで長く待たされてしまう。
【0005】
そこで、本発明では、家電機器の不具合対策を早期かつ手軽に開始させることを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の保守装置は、以下の特徴を有する。
本発明は、不具合への改善制御を家電機器に実行させるための改善プログラムにより前記家電機器の不具合を改善可能か否かを示す分類情報と、その分類情報において前記改善プログラムにより不具合を改善可能な場合には実行させる前記改善プログラムとを、不具合ごとに対応付けるデータベースと、
前記データベースを参照して、前記家電機器に発生した不具合を改善可能な前記改善プログラムを特定し、その特定した前記改善プログラムの改善制御を前記家電機器に実行させる改善方法判断部と、を有することを特徴とする。
その他の手段は、後記する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、家電機器の不具合対策を早期かつ手軽に開始させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に関する家電機器の不具合を改善する様子を示す時系列グラフである。
【
図2】本実施形態に関する
図1の時系列グラフについて、不具合を改善が不充分である一例を示す時系列グラフである。
【
図3】本実施形態に関する保守システムを示す構成図である。
【
図4】本実施形態に関する保守システムの処理を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態に関する通知データベースの一例を示すテーブルである。
【
図6】本実施形態に関する保守システムの各装置のハードウェア構成図である。
【
図7】本実施形態に関するユーザ端末の表示部に表示される内容の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
まず、
図1および
図2を参照して、本実施形態で使用する用語を説明する。
図1は、
図3で後記する家電機器1の不具合を改善する様子を示す時系列グラフである。このグラフの縦軸は、家電機器1の運転データの計測値が正常であるほど数値が高くなる正常度合いを示す。例えば、家電機器1が冷蔵庫である場合、湿度の高い庫内の空気を冷却することで発生する霜付きによって冷蔵庫内の冷風の風量が少なくなり、冷却機能が低下する不具合が考えられる。その場合、冷蔵庫内のセンサで計測した風量が多いほど、冷蔵庫の正常度合いも高くなる。または、家電機器1の騒音の不具合については、騒音が小さいほど家電機器1の正常度合いは高くなる。
【0011】
時刻t0では、家電機器1の不具合を改善するための改善プログラムを家電機器1で実行させることで、不具合への対策を開始する。この開始時点での家電機器1の正常度合いを値Dとし、この値Dが閾値αを下回る状態を不具合とする。なお、改善プログラムは、家電機器1で改善制御を動作させるためのプログラムであり、例えば、冷蔵庫内の霜付きを改善するための除霜運転モードや製氷器の洗浄モードを動作させる。
時刻t11では、家電機器1の正常度合いが値Dよりも上昇する。このように、家電機器1の正常度合いが過去の値よりも上昇することを、家電機器1の不具合が改善された状態と呼ぶ。
【0012】
また、
図1のグラフには、正常度合いの閾値αが設定される。正常度合いが閾値αを上回る状態(
図1では時刻t12以降)を家電機器1の不具合が解決した状態と呼ぶ。時刻t13では、時刻t12よりもさらに家電機器1の不具合が改善している。
ここで、
図1のグラフには、対策の制限時間tmax=(時刻t19-時刻t0)も設定される。
図1では、対策の制限時間tmaxを経過する前に、家電機器1の不具合が解決した。
【0013】
図2は、
図1の時系列グラフについて、不具合を改善が不充分である一例を示す。
図2では
図1と同様に、時刻t0で値Dの状態から不具合への対策を開始し、その後の時刻t11、t12で多少の不具合が改善されるが、その改善速度はゆるやかである。
しかし、
図2では対策の制限時間tmaxを経過する時刻t19の段階でも、正常度合いが閾値αを超過しない状態であり、家電機器1の不具合は改善が見られるものの、今後も不具合が解決する見込みがうすい状態である。この
図2の場合は、
図3の保守事業者のサーバ4は、改善プログラムでの改善制御を断念し、保守員を呼ぶなどの別の対策を行うことが望ましい。または、保守事業者のサーバ4は、家電機器1の不具合は改善が見られたので、その旨をユーザに通知してもよい。
【0014】
図3は、保守システム100を示す構成図である。
保守システム100は、家電機器1の保守を支援する。そのため、保守システム100は、家電機器1と、ユーザ端末2と、保守端末3と、保守事業者のサーバ4とが、それぞれインターネットや電話回線などの通信ネットワーク6を介して、通信可能な状態で構成される。
ユーザ宅5の内部には家電機器1とユーザ端末2とが存在する。ユーザ宅5の外部には、保守端末3と保守事業者のサーバ4とが存在する。
【0015】
なお、
図3では、家電機器1と、保守事業者のサーバ4とを別々の装置として図示したが、家電機器1と、保守事業者のサーバ4とを同一の装置(筐体)に収容してもよい。その場合、家電機器1と保守事業者のサーバ4との間の通信を装置内通信に置き換えられるので、通信コストや通信デバイスのコストを削減できる。
【0016】
家電機器1は、本実施形態では洗濯乾燥機を例示するが、ユーザ宅5に設置される電気機器であればよく、冷蔵庫、空調機、IHクッキングヒータ、電子レンジ、炊飯器、給湯器、掃除機、太陽光発電機、蓄電池等でもよい。また、
図3では家電機器1の1台を対象に保守システム100が構成されているが、上述したような家電機器1が複数種類・複数台あってもよい。
家電機器1は、家電としての役割を果たすための家電機能を有する。例えば、家電機器1が洗濯乾燥機である場合には、家電機器1は家電機能として、洗濯機能や乾燥機能を有する。さらに、家電機器1は、記憶部11と、送信部12と、受信部13と、データ加工部14と、制御部15とを有する。
【0017】
記憶部11には、運転中のセンサデータや設定データなどの家電機器1の運転データが格納される。運転データは、運転モード時に計測される運転データでもよいし、診断モード時に計測される運転データだけでもよい。運転モードとは、洗濯乾燥機に洗濯物を入れた状態での洗濯モードなどの通常の使用に基づくモードである。
診断モードとは、不具合を特定することを目的に短期間運転するメンテナンス用のモードである。診断モードとは、例えば、洗濯乾燥機に洗濯物を入れない状態での櫓を回転させる清掃モードなどの家電機器1の通常の運転モードとは異なるモードである。また、診断モードでは、冷蔵庫のファンだけを動作させて使用電流を見るなど、通常の運転モードでは判別しにくい不具合を診断する。
【0018】
データ加工部14は、記憶部11に格納された運転データから、診断に必要なデータの抽出処理やデータ量の圧縮処理などにより、より少ないデータ量に加工する。送信部12は、データ加工部14により加工されたデータを外部へ送信する。受信部13は、外部からデータや改善プログラムを受信する。ここでの外部とは、ユーザ端末2か、保守端末3か、保守事業者のサーバ4かのいずれかの装置である。
制御部15は、例えば受信部13から制御実行の指令を受けた場合に、改善プログラムの実行により改善制御を動作させる。なお、改善プログラムは、改善プログラム内に記載される改善制御の指令コマンドを家電機器1内で動作させる制御プログラムでもよいし、家電機器1内に予め備えてある各種モード(運転モード、診断モード)を起動させるプログラムでもよい。
【0019】
ユーザ端末2は、家電機器1のユーザの所有する携帯端末であり、ここではスマートフォン等を想定している。なお、ユーザ端末2は保守システム100に指示を与えるとき以外は、ユーザ宅5の外部に持ち出してもよい。ユーザ端末2は、送信部21と、受信部22と、表示部23と、制御指令部24とを有する。
送信部21は、外部へデータを送信する。受信部22は、外部からデータを受信する。表示部23は、外部からの情報を表示する。
ユーザ端末2は、ユーザが家電機器1の不具合発生を感じた時に、送信部21から不具合を改善する要望(改善要望)を保守事業者のサーバ4に送信する。不具合発生を感じた時とは、ユーザが家電機器1に違和感を持った時でもよいし、家電機器1にアラームが発生した時でもよい。改善要望の具体例としては、家電機器1から異臭や異音を感じた場合などでもよい。また、予め、保守事業者のサーバ4での診断結果で不具合が検出された場合に保守事業者のサーバ4から受信部22で通知を受ける設定としておき、その通知を受けた時でもよい。
【0020】
制御指令部24は、家電機器1に改善プログラムを送信することで、改善制御の実行を指令する。ユーザ端末2は、送信部21から改善要望を送信した後、保守事業者のサーバ4から改善制御による改善が可能な不具合があることを受信部22で受信した場合、制御指令部24は、改善プログラムの改善制御を家電機器1に実行させる。また、改善プログラムは、保守事業者のサーバ4からだけでなく、改善要望からも開始可能としてもよい。これにより、ユーザの感じ方に関わる不具合や、運転データだけでは検知できない不具合に対しても、改善制御による改善が可能であれば、ユーザの任意のタイミングで改善可能である。
【0021】
保守端末3は、家電機器1のメンテナンスに関する専門的な技術を有する保守員が所有する携帯端末であり、ここでは保守用スマートフォンやモバイルPC等を想定している。保守端末3は、送信部31と、受信部32とを有する。
送信部31は、外部へデータを送信する。受信部32は、外部からデータを受信する。
なお、家電機器1、ユーザ端末2、および、保守端末3は、それぞれ上述した構成とするために家電機器1の家電機能を活用してもよい。
【0022】
保守事業者のサーバ4は、家電機器1を遠隔監視するためのサーバであり、送信部41と、受信部42と、診断部43と、記憶部44と、改善方法判断部45と、改善プログラムデータベース46と、改善確認部47とを有する。
また、改善方法判断部45は、通知データベース45Dを有する。ここで、通知データベース45Dおよび改善プログラムデータベース46などの各種データベースは、保守事業者のサーバ4の内部に備える構成としてもよいし、家電機器1などの他装置の内部に備える構成としてもよいし、データベース用の単独の装置の内部に備える構成としてもよい。つまり、保守事業者のサーバ4が、各種データベースを保守事業者のサーバ4の内部または外部から参照できる構成であればよい。
送信部41は、家電機器1に関するデータを外部へ送信する。受信部42は、家電機器1に関するデータを外部から受信する。ここでの外部とは、家電機器1か、ユーザ端末2か、保守端末3かのいずれかの装置である。
例えば、記憶部11の運転データ(データ加工部14により加工されたデータ)は、送信部12から通信ネットワーク6を介して保守事業者のサーバ4の受信部42へ送信される。また、受信部42はユーザ端末2から改善要望も受信する。
また、送信部41は、家電機器1のユーザが使用するユーザ端末2に対して、通知データベース45Dから特定した改善プログラムの実行可否を問い合わせる。そして、受信部42は、ユーザ端末2から改善プログラムの実行許可を受信した場合に、改善方法判断部45から改善プログラムの改善制御を家電機器1に実行させる。
【0023】
診断部43は、一定周期毎に受信部42で受信した運転データをもとに、家電機器1の不具合の有無に関わらず、家電機器1の状態を診断することで家電機器1の不具合の内容を特定し、その診断結果を記憶部44に格納する。診断部43の診断処理とは、例えば、家電機器1の運転データが示す正常度合いが
図1の閾値αを下回る状態になった場合、事前に運転データの種別ごとに対応付けられた家電機器1の不具合が発生したとする処理である。これにより、ユーザに不具合の内容をヒヤリングしなくても診断できる。一方、診断部43の診断には、家電機器1の運転データに加えて、家電機器1のユーザから報告されたり家電機器1のアラームが鳴ったりすることで判明した不具合の内容を加味してもよい。
記憶部44には、家電機器1の運転データや、診断部43の診断結果などの各種データが格納される。
【0024】
通知データベース45Dには、不具合への改善制御を家電機器1に実行させるための改善プログラムにより家電機器1の不具合を改善可能か否かを示す分類情報と、その分類情報において改善プログラムにより不具合を改善可能な場合には実行させる改善プログラムとが、不具合ごとに対応付けられている(詳細は
図5)。
改善プログラムデータベース46には、診断結果から判定された不具合に対する改善プログラムが格納されている。そして、通知データベース45D内の不具合ごとに、その不具合を改善するための改善プログラムデータベース46の改善プログラムが対応付け(リンク)されている。これにより、改善プログラムの専門知識をユーザが知らなくても、実行する改善プログラムをユーザが選ばなくて済む。
改善方法判断部45は、ユーザ端末2からの改善要望を受信した際には、記憶部44の診断結果をもとに通知データベース45Dを参照してユーザ端末2への通知内容を決定し、送信部41から通知内容をユーザ端末2に送信する。なお、ユーザの設定により、診断部43の診断結果で不具合が検出された場合にユーザへ通知する場合は、改善要望を受信した場合と同様に、送信部41から通知内容を送信する。
【0025】
改善方法判断部45は、診断部43の診断結果などから特定される不具合から通知データベース45Dを参照して、家電機器1に発生した不具合を改善可能な改善プログラムを特定し、その特定した改善プログラムの改善制御を家電機器1に実行させる。そのため、特定された改善プログラムは、送信部41からユーザ端末2へ送信され、ユーザ端末2から家電機器1へ送信される。
改善確認部47は、改善プログラムの改善制御を実行した後に家電機器1から計測される所定期間の運転データに基づき、家電機器1の不具合が解決したか否かを判定し、家電機器1の不具合が解決していない場合には、保守員が使用する保守端末3に対して、家電機器1の修理を要請する。
また、改善確認部47は、改善プログラムの改善制御を実行した後に家電機器1から計測される所定期間の運転データに基づき、不具合の改善度合いを示す進捗状況を求め、その進捗状況に応じて変化する表示内容(詳細は
図7)を家電機器1またはユーザ端末2に表示させる。
【0026】
また、通知データベース45Dには、さらに、分類情報において改善プログラムにより不具合を改善不可能な場合には、家電機器1の不具合を改善するために人に知らせる情報も、不具合ごとに対応付けられている。
改善方法判断部45は、通知データベース45Dを参照して、家電機器1に発生した不具合を改善するために人に知らせる情報を特定し、その人に知らせる情報を、家電機器1のユーザが使用するユーザ端末2、および、保守員が使用する保守端末3のうちの少なくとも一方の端末に対して提供する。保守端末3には、例えば、家電機器1に保守作業が必要であることが通知される。そして、保守作業を終えた保守員は、保守端末3の送信部31から、保守が完了したことを保守事業者のサーバ4へ送信する。
【0027】
図4は、保守システム100の処理を示すフローチャートである。
図4のフローチャートが実行される契機は、例えば以下の(1)または(2)である。この2つの契機のいずれか、または、両方を用いるかは、事前にユーザ端末2から保守事業者のサーバ4に設定しておく。
(1)保守事業者のサーバ4の診断結果で不具合が検出された場合。
(2)ユーザ端末2から改善要望が保守事業者のサーバ4に送信された場合。この場合には、改善要望により不具合内容が特定されているので、S112から処理を開始する。
【0028】
まず、保守事業者のサーバ4は、通信ネットワーク6を介して受信部42から家電機器1からの運転データを収集する(S101)。診断部43は、一定周期ごとに運転データを解析し、不具合の有無や、不具合有の場合はその内容を診断する(S102)。
不具合の有無により、不具合がない場合は(S111,No)、記憶部44に正常である結果を記憶して(S134)処理を終了する。ここで、正常である結果は、ユーザに通知しなくてもよいが、ユーザが家電機器1に違和感を持った時などユーザから問い合わせがあった場合には、ユーザに通知してもよい。
【0029】
一方、不具合がある場合は(S111,Yes)、送信部41からユーザ端末2を介してユーザに不具合を通知する(S112)。
改善方法判断部45は、S102で診断部43が推定した不具合の内容により、改善制御により改善が可能と判断した場合(S113,Yes)、不具合の内容に対応した「制御実行提案」のメッセージを通知データベース45Dから読み出し、不具合の内容に対応した改善プログラムを改善プログラムデータベース46から読み出す。改善方法判断部45は、読み出したメッセージおよび改善プログラムを送信部41からユーザ端末2に送付する(S114)。
【0030】
ユーザ端末2は、不具合の内容および改善プログラムの説明を含む受信したメッセージを表示することで、ユーザに改善プログラムの実行可否および実行可の場合の実行日時(または即時)を指定させる。そしてユーザ端末2の制御指令部24は、家電機器1に改善プログラムを送付して、指定された実行日時に改善プログラムを家電機器1に実行させるように指令する(S121)。これにより、家電機器1の制御部15は、指定された実行日時に改善プログラムを実行することで改善制御を開始する。送信部12は、その改善制御が実行された後の運転データを保守事業者のサーバ4に送信し続ける(S122)。
【0031】
なお、送信部12が改善プログラムを実行したかしないかにかかわらず、常時の運転データを家電機器1から保守事業者のサーバ4に送付し続ける設定にしてもよい。その場合、S122において、改善プログラムの実行日時(
図1では時刻t0)を示す制御実行信号を家電機器1の個体番号などの機器情報と合わせて、家電機器1から保守事業者のサーバ4に送付する。これにより、保守事業者のサーバ4側で、常時の運転データから改善制御が実行された後の運転データを切り分けることができる。
【0032】
保守事業者のサーバ4の改善確認部47は、改善制御の開始後に受信したS122の運転データが不具合の解決を示すものか否かを判定する(S123)。S123の判定処理は、例えば、
図1の時刻t12で示したように、正常度合いが閾値αを上回る状態を家電機器1の不具合が解決したと判定する処理である。以下、S123の判定結果により処理が分岐する。
図1および
図2の時刻t11のように、現時点で不具合が解決されない場合には(S123,No)、改善プログラムの実行回数(または実行時間)が所定回数(または所定期間)を超過するまでは(S124,No)、改善確認部47は、改善プログラムの実行を継続するために、処理をS122に戻す。
【0033】
図1では時刻t12以降のように、不具合が解決された場合は(S123,Yes)、改善確認部47は、不具合が解決されたことをユーザのユーザ端末2に通知する(S125)。S125の通知画面は、
図7の画面206のような不具合が解決されたことを文字列で通知する画面でもよい。または、S125の通知画面として、
図1、
図2のような不具合を改善する様子を示す時系列グラフを表示する画面でもよい。
つまり、S125の通知画面は、「不具合あり」の状態から「不具合なし」の状態までの改善制御の進捗状況を示す。これにより、ユーザは今後に安心して家電機器1を使うことができる。
【0034】
さらに、改善制御により不具合が解決された場合は(S123,Yes)、改善確認部47は、S125の通知画面を保守員の保守端末3にも通知(事後報告)してもよい。これにより、保守員は自身がユーザ宅5に出勤しなくても不具合が解決されたこと(保守員の現地への訪問回数などの保守コストが削減できたこと)、および、改善制御の効果により不具合が改善されたこと(不具合改善の根拠が明示されること)を確認できる。
また、不具合が解決された場合(S123,Yes)だけでなく、不具合が改善された場合にも、改善確認部47は、S125と同様の通知画面(不具合が改善された旨の通知画面)をユーザ端末2および保守端末3のうちの少なくとも1つの端末に通知してもよい。
【0035】
なお、家電機器は一律の運転条件で動かす産業用機器とは異なり、ユーザによって運転条件が様々である。そして、特許文献1のように、ユーザが家電機器に不具合が生じたと感じた場合に家電機器の自己診断を行うだけでは、不具合が発生した時の運転条件が再現されない場合もある。その場合、改善制御をしなくても現在は安定している運転条件での診断結果として「現在は不具合なし」と表示されることもある。
しかし、ユーザは「今回は偶然に安定状態で自己診断をしただけであり、その診断結果は運転条件が変化する将来の安定動作を保証しない」として、不具合の再発に不安になることもある。
【0036】
そのような不安に対して、本実施形態の保守事業者のサーバ4では、自己診断という情報収集よりも、さらに具体的な対策に踏み込んで、改善プログラムを家電機器1で動作させるなどの積極的な対策を実行し、その結果をユーザに提供する。これにより、保守員の派遣頻度を抑えるという効果は特許文献1と類似しつつ、根拠のある対策結果の提示によりユーザに安心感を与えるという本実施形態に独自の効果も得られる。
【0037】
本実施形態の説明に戻り、
図2の時刻t19以降のように、所定回数(または所定期間)を超過しても不具合が解決されない場合には(
図4のS124,Yes)、過去に改善制御で若干の改善が観察されたとしても、将来に不具合が解決される見込みがうすいと判定する。その場合、改善確認部47は、保守端末3から保守員にユーザ宅5への出動を要請して(事後フォロー)、保守員による作業を促す(S132)。これにより、見込みがうすい状況下では、家電機器1に改善プログラムの過剰な負荷を与えることを抑制し、製品寿命を損ねることを予防できる。
なお、S132の通知では、実行した改善プログラムの種類やその実行期間の情報、および、
図1、
図2のような不具合を改善する様子を示す時系列グラフも、併せて通知してもよい。これにより、保守員は、改善プログラムの効果がうすかったことで不具合が重度であることを出動前に把握できる。
【0038】
また、改善方法判断部45は、改善プログラムの実行結果である運転データに加えて、改善プログラムの実行回数(制御指令の回数)または改善プログラムの実行時間(制御指令されたモードの動作時間)を記録し、その記録内容もS132で保守員に通知する画面に表示することが望ましい。これにより、保守員は、ユーザの不備により改善プログラムの実行時間が不充分なのか、改善プログラムの実行時間が充分であったが改善プログラムの改善制御がソフト未調整なのか、改善プログラムの効果がなかったのかを判断する材料を得られる。
【0039】
また、改善制御により改善が可能ではない場合(S113,No)、改善方法判断部45は、お手入れや使い方などの不具合対策情報をユーザに教えることで、改善可能であると判断した場合(S131,Yes)、不具合対策情報を提示してユーザに作業を依頼する(S133)。
一方、改善方法判断部45は、不具合対策情報の通知では改善可能でないと判断した場合(S131,No)、保守員による作業を促す(S132)。または、改善方法判断部45は、改善可能であると判断した場合(S131,Yes)でも、「ユーザが動きが不自由な高齢者であり、自身でのお手入れが困難」などのユーザの要望により、保守員による作業を促す(S132)ようにしてもよい。
【0040】
図5は、通知データベース45Dの一例を示すテーブルである。通知データベース45Dは、診断部43で推定される(または改善要望で指定される)不具合の診断結果ごとに、改善方法の分類と、改善方法の通知先と、改善方法の通知内容とを対応付ける。改善方法の分類は、以下に示す分類A1~A4の通りである。
【0041】
分類A1は、通知先=ユーザのユーザ端末2、通知内容=制御実行提案の組み合わせである。「制御実行提案」とは、家電機器1に改善プログラムを実行させる旨の提案である。例えば、家電機器1が洗濯乾燥機である場合、その洗濯槽やファンの騒音などの不具合に対して、改善プログラムは、洗濯槽やファンの回転数を落とした運転に切り替えるなどの改善制御を家電機器1に動作させる。または、洗濯槽内の異臭の不具合に対して、改善プログラムは、洗濯乾燥機に既存で実装済の運転モードの一つである槽洗浄モードを家電機器1に動作させる。
改善方法判断部45は、分類A1の不具合に対して、改善制御により改善が可能と判断する(S113,Yes)。つまり、分類A1は、改善プログラムにより家電機器1の不具合を改善可能であることを示す分類情報である。
【0042】
分類A2は、通知先=ユーザのユーザ端末2、通知内容=メンテナンス案内の組み合わせである。「メンテナンス案内」とは、ユーザに家電機器1のメンテナンス作業を行ってもらう旨の提案である。メンテナンス作業は、例えば、フィルタ詰まりは、乾燥フィルタ詰まり、糸くずフィルタ詰まりなどの不具合に対して、該当するフィルタを掃除する作業である。メンテナンス案内はその掃除する作業の手順を案内する画面表示である。
改善方法判断部45は、分類A2の不具合に対して、お手入れにより改善可能であると判断する(S131,Yes)。つまり、分類A2は、改善プログラムにより家電機器1の不具合を改善不可能であることを示す分類情報である。
【0043】
分類A3は、通知先=ユーザのユーザ端末2、通知内容=使用法案内の組み合わせである。「使用法案内」とは、ユーザに家電機器1の使い方を修正する旨の提案である。例えば、洗濯槽に入れる洗濯物の量が多いや、洗剤を過剰に投入するなど、ユーザによる製品仕様の範囲を超えた使い方をすることを原因とする不具合に対して、使用法案内によりユーザが正しい使い方を学習できる。
改善方法判断部45は、分類A3の不具合に対して、使い方の修正により改善可能であると判断する(S131,Yes)。つまり、分類A3は、改善プログラムにより家電機器1の不具合を改善不可能であることを示す分類情報である。
【0044】
分類A4は、通知先=保守員の保守端末3、通知内容=不具合要因通知の組み合わせである。「不具合要因通知」とは、保守員の出動の要請を提案するものである。例えば、センサ不具合、ファンモータ不具合などの不具合は、機器の構造上または制御上に不具合があることにより生じる。このような不具合に対して、ユーザは自力で解決できないので、不具合要因通知は、専門知識や専門機材を備えた保守員による修理を要請する必要があることを保守員に知らせる。
改善方法判断部45は、分類A4の不具合に対して、お手入れや使い方の修正によっても改善不可能であると判断する(S131,No)。つまり、分類A4は、改善プログラムにより家電機器1の不具合を改善不可能であることを示す分類情報である。
【0045】
なお、所定回数(または所定期間)を超過しても不具合が解決されない場合には(S124,Yes)、改善方法判断部45は、分類A1「制御実行提案」から分類A4「不具合要因通知」に変更することで、保守員を出動させて改善作業を行わせる。これにより、データ上の診断だけでなく、専門的な知識を持った保守事業者が確認することで、制御指令を提案された場合にユーザは安心して実行を選択することができる。
また、実際に保守員がユーザ宅5に訪問するために、ユーザと保守員との間で日程調整を行う必要がある。よって、改善方法判断部45は、分類A4での不具合要因通知を保守端末3に通知するとともに、日程調整を行うための修理案内を、ユーザ端末2および保守端末3の双方に送信することが望ましい。
【0046】
図6は、保守システム100の各装置のハードウェア構成図である。
保守システム100の各装置(家電機器1、ユーザ端末2、保守端末3、保守事業者のサーバ4)は、CPU901と、RAM902と、ROM903と、HDD904と、通信I/F905と、入出力I/F906と、メディアI/F907とを有するコンピュータ900として構成される。
通信I/F905は、外部の通信装置915と接続される。入出力I/F906は、入出力装置916と接続される。メディアI/F907は、記録媒体917からデータを読み書きする。さらに、CPU901は、RAM902に読み込んだプログラム(アプリケーションや、その略のアプリとも呼ばれる)を実行することにより、各処理部を改善制御する。そして、このプログラムは、通信回線を介して配布したり、CD-ROM等の記録媒体917に記録して配布したりすることも可能である。
【0047】
図7は、ユーザ端末2の表示部23に表示される内容の一例である。画面201は、S102でユーザ端末2に不具合情報が通知されたときの初期画面である。ユーザ端末2は、以下の3つからユーザに選択させる。
(B1)「通知を確認する」。この選択をすると、画面201から画面202に遷移する。
(B2)「後で見る」。この選択をすると、任意の時間に画面201が再び表示される。
(B3)「通知を消す(通知を見ない)」。
【0048】
画面202は、検出された不具合の情報を表示して、不具合への対策を以下の3つからユーザに選択させる。ここでは、
図5の番号=2のファン騒音(分類A1)を例示する。
(C1)「対策する」。この選択をすると、S112からS113に遷移し、画面202から画面203に遷移する。
(C2)「後で対策する」。この選択をすると、任意の時間に画面202が再び表示される。
(C3)「何もしない」
【0049】
画面203は、ファン騒音(分類A1)の不具合に対して、改善プログラムの改善制御による改善を提案し、以下の3つからユーザに選択させる。
(D1)「実行する」。この選択をすると、S121からS122に遷移し、画面203から画面204に遷移する。
(D2)「後で実行する」。この選択をすると、任意の時間に画面203が再び表示される。
(D3)「サービスセンタに連絡」。この連絡とは、家電機器1のサービスセンタへの電話連絡でもよいし、家電機器1のサービスセンタへのボイスチャット連絡でもよい。
【0050】
このように、画面201-203では、不具合への対策方針の入力を先送りにする選択肢(B2)、(C2)、(D2)が存在する。これにより、ユーザが家電機器1を使用する時間帯に個人差があっても、ユーザは所望の時間に(ユーザ起点で)家電機器1を使用し、また、所望の時間に家電機器1の不具合対策を実行できる。よって、ユーザの利便性は阻害されずに済む。
【0051】
画面204は、改善プログラムの改善制御の進捗状況を示す画面であり、家電機器1で改善プログラムを実行中であり、その実行中の運転データを保守事業者のサーバ4に送信中(S122)であることを示す。なお、改善プログラムを実行中でも家電機器1の家電機能を並行して実行できる場合など、改善プログラムの実行に時間がかかる場合もある。その場合には、「冷凍庫では製氷器の洗浄モードを改善制御として実行中ですが、並行して冷蔵庫の通常の冷却モードを実行できます」など、改善制御と通常使用とを同時に実行できる旨を画面204においてユーザに通知してもよい。
【0052】
画面205は、改善プログラムの改善制御の進捗状況を示す画面であり、家電機器1で改善プログラムの実行が完了したことを示す。この段階では、S122からS123に遷移し、保守事業者のサーバ4の改善確認部47は、不具合が解決したか否かを、改善制御中の運転データから確認する。
画面206は、不具合が解決された場合に(S123,Yes)、改善確認部47が、不具合が解決されたことで通常通りに家電機器1を使用可能となったことをユーザに通知する(S125)画面である。
【0053】
以上、
図7を参照して、ユーザ端末2への通知内容およびユーザの選択内容を順に説明した。
図7の画面201-206は一例であってこの他、前の画面に戻るなど、ユーザが容易にやり直し可能なボタンが用意されていてもよい。また、進捗状況の出力形式は、
図7のようなユーザ端末2へのテキスト出力に限定せず、
図1、
図2のようなユーザ端末2へのグラフ形式の画面出力でもよいし、家電機器1の操作パネルのLED表示でもよい。このLED表示は、例えば、点灯消灯の変化や、点灯色の変化で進捗状況(改善前状態、改善中状態、不具合解決状態など)の変化を示す。
さらに、保守端末3を携帯する保守員がユーザ宅5へ出動中の場合には、ユーザ端末2の代わりに保守端末3から
図7の各画面を操作して、(D1)「実行する」などの制御指令を実行させてもよい。その場合には、保守端末3はユーザ端末2と同様に機能する。
【0054】
以上説明した本実施形態では、保守事業者のサーバ4は、改善制御で解決可能な不具合に対して、保守員を介さない早期の改善制御の実行を支援する。そのため、保守事業者のサーバ4は、改善プログラムを家電機器1に実行させることで不具合が改善される分類A1の不具合と、ユーザや保守員などの人の介入により不具合が改善される分類A2~A4の不具合とを区別して、通知データベース45Dに登録しておく。
そして、改善方法判断部45は、分類A1の不具合に対しては、保守員を介さずに改善プログラムを家電機器1に実行させることで、家電機器の不具合対策を早期かつ手軽に開始させることができる。その結果、不具合の解決を早期に実現できることが期待され、保守員の出動頻度を抑えるとともに、ユーザが安心して使用できる家電製品およびサービスを提供できる。
【0055】
さらに、本発明は上述した各実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。例えば、上述した各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために保守システム100の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成要素に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成要素を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成要素の追加又は置換、削除をすることも可能である。
【0056】
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。ハードウェアとして、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの広義のプロセッサデバイスを用いてもよい。
また、上述した実施形態にかかる保守システム100の各構成要素は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実行される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 家電機器
2 ユーザ端末
3 保守端末
4 保守事業者のサーバ(保守装置)
5 ユーザ宅
6 通信ネットワーク
11 記憶部
12 送信部
13 受信部
14 データ加工部
15 制御部
21 送信部
22 受信部
23 表示部
24 制御指令部
31 送信部
32 受信部
41 送信部
42 受信部
43 診断部
44 記憶部
45 改善方法判断部
45D 通知データベース(データベース)
46 改善プログラムデータベース(データベース)
47 改善確認部(確認部)
100 保守システム