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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058227
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】加湿器
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20240418BHJP
   F24F 6/04 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
F24F6/00 A
F24F6/04
F24F6/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165454
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】久野 翔一
【テーマコード(参考)】
3L055
【Fターム(参考)】
3L055BA01
3L055DA01
(57)【要約】
【課題】 加湿フィルタへの給水の初期段階において外部に水が漏れることを抑制可能な加湿器を提供すること。
【解決手段】 加湿器A1は、加湿フィルタ22と、加湿フィルタ22へ供給される水を貯める貯水部3と、貯水部3から加湿フィルタ22へ水を供給する給水部4と、給水部4の動作を制御する制御部6と、を備え、制御部6は、準備モードMpと、準備モードMp後の運転モードMdと、を実行し、準備モードMpにおける給水部4からの給水量Wsは、運転モードMdにおける最大給水量Msxよりも小さく且つ経時的に増加する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加湿フィルタと、
前記加湿フィルタへ供給される水を貯める貯水部と、
前記貯水部から前記加湿フィルタへ水を供給する給水部と、
前記給水部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、準備モードと、前記準備モード後の運転モードと、を実行し、
前記準備モードにおける前記給水部からの給水量は、前記運転モードにおける最大給水量よりも小さく且つ経時的に増加する、加湿器。
【請求項2】
前記制御部は、前記準備モードにおいて、各々の給水量が一定である複数の給水量一定期間と、各々の給水量が経時的に単調増加する給水量増加期間と、が交互に配置されたステップ状の給水パターンとなるように、前記給水部を制御する、請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
前記複数の給水量一定期間の各々の継続時間は、時間的に後に実行されるものほど短い、請求項2に記載の加湿器。
【請求項4】
前記加湿フィルタを通過する気流を発生させる送風部をさらに備え、
前記送風部は、ファンと、前記ファンの上流側に位置し且つ前記加湿フィルタを通過した空気を吸入する吸気口を有し、
前記吸気口は、前記ファンの鉛直方向中心よりも下側に位置する部分の大きさが、前記ファンの鉛直方向中心よりも上側に位置する部分の大きさよりも小さい、請求項1に記載の加湿器。
【請求項5】
前記加湿フィルタおよび前記加湿フィルタを保持するフィルタケースを含む加湿部と、
前記加湿部から落下する水を受ける水受け部と、をさらに有し、
前記フィルタケースの上流側部分と前記水受け部との間に挟まれた封止部材が設けられている、請求項1に記載の加湿器。
【請求項6】
前記加湿フィルタ、前記貯水部、前記給水部および前記制御部を収容する筐体をさらに備え、
前記筐体は、前記貯水部とともに前記筐体の他の部位から離脱可能な貯水部パネルを有し、
前記貯水部パネルと前記貯水部とは、係合によって互いに着脱可能である、請求項1に記載の加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
室内等における空気の湿度を高める装置として、加湿器が広く用いられている。特許文献1には、従来の加湿器の一例が開示されている。同文献に開示された加湿器は、貯水部、給水部および加湿フィルタを備える。貯水部に貯められた水は、給水部によって加湿フィルタの上方から加湿フィルタに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-054194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加湿フィルタとしては、様々な特性を有するものが採用され得る。加湿フィルタによっては、たとえば給水が開始された初期段階において、十分に水を吸収し得ない状況が生じる場合がある。このような場合、吸収されなかった水が、加湿器の外部に漏れることが懸念される。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、加湿フィルタへの給水の初期段階において外部に水が漏れることを抑制可能な加湿器を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される加湿器は、加湿フィルタと、前記加湿フィルタへ供給される水を貯める貯水部と、前記貯水部から前記加湿フィルタへ水を供給する給水部と、前記給水部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、準備モードと、前記準備モード後の運転モードと、を実行し、前記準備モードにおける前記給水部からの給水量は、前記運転モードにおける最大給水量よりも小さく且つ経時的に増加する。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御部は、前記準備モードにおいて、各々の給水量が一定である複数の給水量一定期間と、各々の給水量が経時的に単調増加する給水量増加期間と、が交互に配置されたステップ状の給水パターンとなるように、前記給水部を制御する。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数の給水量一定期間の各々の継続時間は、時間的に後に実行されるものほど短い。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記加湿フィルタを通過する気流を発生させる送風部をさらに備え、前記送風部は、ファンと、前記ファンの上流側に位置し且つ前記加湿フィルタを通過した空気を吸入する吸気口を有し、前記吸気口は、前記ファンの鉛直方向中心よりも下側に位置する部分の大きさが、前記ファンの鉛直方向中心よりも上側に位置する部分の大きさよりも小さい。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記加湿フィルタおよび前記加湿フィルタを保持するフィルタケースを含む加湿部と、前記加湿部から落下する水を受ける水受け部と、をさらに有し、前記フィルタケースの上流側部分と前記水受け部との間に挟まれた封止部材が設けられている。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記加湿フィルタ、前記貯水部、前記給水部および前記制御部を収容する筐体をさらに備え、前記筐体は、前記貯水部とともに前記筐体の他の部位から離脱可能な貯水部パネルを有し、前記貯水部パネルと前記貯水部とは、係合によって互いに着脱可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、加湿フィルタへの給水の初期段階において外部に水が漏れることを抑制することができる。
【0013】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る加湿器を示す分解斜視図である。
図2】本発明に係る加湿器を示す分解斜視図である。
図3】本発明に係る加湿器を示す部分正面図である。
図4図3のIV-IV線に沿う断面図である。
図5図3のV-V線に沿う断面図である。
図6】本発明に係る加湿器を示すブロック構成図である。
図7】本発明に係る加湿器の送風部を示す正面図である。
図8】(a),(b)は、本発明に係る加湿器の加湿部の落下水回収部を示す斜視図である。
図9】本発明に係る加湿器の加湿部を示す部分拡大断面図である。
図10】本発明に係る加湿器の貯水部を示す斜視図である。
図11】本発明に係る加湿器の貯水部を示す部分拡大断面図である。
図12】本発明に係る加湿器の貯水部を示す分解斜視図である。
図13】本発明に係る加湿器の給水制御の一例を示すグラフである。
図14】本発明に係る加湿器の給水制御の他の例を示すグラフである。
図15】本発明に係る加湿器の給水制御の他の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
<加湿器A1>
図1図12は、本発明に係る加湿器の一例を示している。本実施形態の加湿器A1は、筐体1、加湿部2、貯水部3、給水部4、送風部5、制御部6、操作部7および電源部8を備えている。
【0017】
これらの図において、z方向は、上下方向または鉛直方向に対応しており、一方側を上側、他方側を下側と称する場合がある。x方向およびy方向は、水平面に含まれる方向である。y方向の一方側を前面側、他方側を背面側と称する場合がある。
【0018】
〔筐体1〕
筐体1は、図1図5に示すように、加湿部2、貯水部3、給水部4および送風部5等を収容しており、加湿器A1の外観の大部分を構成する。筐体1の具体的構成は何ら限定されず、本実施形態においては、筐体1は、前面パネル11、背面パネル12、一対の側面パネル13、上面パネル14および貯水部パネル15を有する。筐体1の材質は何ら限定されず、たとえば樹脂によって形成されている。
【0019】
前面パネル11は、y方向の前面側に配置されている。図示された例においては、前面パネル11は、矩形状である。背面パネル12は、y方向の背面側に配置されている。図示された例においては、背面パネル12は、矩形状である。一対の側面パネル13は、前面パネル11および背面パネル12のx方向の両側に配置されている。図示された例においては、側面パネル13は、矩形状である。
【0020】
上面パネル14は、前面パネル11、背面パネル12および一対の側面パネル13のz方向の上側に配置されている。図示された例においては、上面パネル14は、矩形状である。また、上面パネル14は、吹出口141を有する。吹出口141は、送風部5から送られた空気が、吹き出す部位である。
【0021】
貯水部パネル15は、y方向の前面側に配置されており、図示された例においては、前面パネル11に対してz方向の下方に位置している。貯水部パネル15は、貯水部3とともに、筐体1の貯水部パネル15以外の部位から離脱可能に構成されている。
【0022】
〔加湿部2〕
加湿部2は、外部から取り入れた空気に水分(湿気)を加える部位である。本実施形態の加湿部2は、防塵フィルタ21、加湿フィルタ22、フィルタケース23および落下水回収部24を有する。
【0023】
防塵フィルタ21は、外部から取り入れた空気に含まれる塵埃等を除くためのフィルタである。
【0024】
加湿フィルタ22は、通過する空気に水分(湿気)を加える機能を果たすフィルタである。加湿フィルタ22の具体的構成は何ら限定されず、適度な通気性および吸水性を有するものが採用される。図示された例においては、加湿フィルタ22は、zx平面に沿う平板状である。また、図示された例においては、加湿フィルタ22は、z方向の大きさがx方向の大きさよりも大きい。
【0025】
フィルタケース23は、加湿フィルタ22を保持するケースである。フィルタケース23は、加湿フィルタ22を通過させる空気をスムーズに通しうるように、たとえば枠状の構造体とされている。
【0026】
落下水回収部24は、加湿フィルタ22から落下した水を貯水部3に回収する部位である。図3図4図8および図9に示すように、本実施形態の落下水回収部24は、水受け部241、水路部242および封止部材243を有する。
【0027】
水受け部241は、加湿フィルタ22およびフィルタケース23のz方向の下方に位置している。落下水回収部24は、z方向の上方に開口しており、図示された例においては、x方向に長く延びた形状である。図示された例においては、水受け部241は、加湿フィルタ22およびフィルタケース23のz方向の下方の一部を収容している。
【0028】
本実施形態においては、図8(a),(b)および図9に示すように、水受け部241は、前壁部2411を有する。前壁部2411は、y方向の前面側に位置する部位であり、zx平面に沿った板状であって、x方向に長く延びている。図9に示すように、フィルタケース23は、下方部231を有する。下方部231は、加湿フィルタ22のz方向の下側部分を保持する部位である。
【0029】
図示された例においては、フィルタケース23の下方部231と落下水回収部24の前壁部2411とが、y方向において互いに対向している。そして、下方部231と前壁部2411との間に、封止部材243が挟まれている。封止部材243は、たとえばゴム等の可撓性に富んだ材質からなることが好ましい。図示された例においては、下方部231と前壁部2411との間は、封止部材243によって密閉されているが、下方部231および前壁部2411と封止部材243との間に、若干の隙間が存在していてもよい。
【0030】
水路部242は、水受け部241によって受けた水を貯水部3へと導く水路を構成している。図示された例においては、水路部242は、水受け部241のz方向の下側につながっており、また、水受け部241のx方向の略中央に繋がっている。
【0031】
〔貯水部3〕
貯水部3は、加湿部2に供給するための水を貯めるためのものである。貯水部3の具体的構成は何ら限定されず、本実施形態においては、図1図2図4図5図10および図11に示すように、貯水プール31、ハンドル32および貯水タンク33を有する。
【0032】
貯水タンク33は、加湿器A1の加湿に用いられる水を外部から導入するために用いられるものである。貯水タンク33の具体的構成は何ら限定されず、たとえば、タンク本体および弁付蓋部を有する。貯水タンク33の個数は何ら限定されず、本実施形態においては、2つの貯水タンク33が設けられている。
【0033】
貯水プール31は、貯水タンク33から注がれた水を給水部4によって給水可能な状態に貯めておく部位であり、有底容器として構成されている。ハンドル32は、貯水プール31に回動可能に取り付けられており、貯水プール31を移動等させる際に把持される部位である。
【0034】
本実施形態においては、貯水部3は、貯水部パネル15とともに筐体1の他の部位から離脱可能である。図10図12に示すように、貯水部パネル15と貯水部3とは、互いに着脱可能である。貯水部パネル15と貯水部3との着脱は、係合によって実現されている。
【0035】
貯水部パネル15と貯水部3との係合をなす具体的構成は何ら限定されず、図示された例においては、貯水部パネル15には、係止片151が形成されており、貯水プール31には、係止部311が形成されている。これらの個数は何ら限定されず、本例においては、x方向の両側に2つずつの係止片151および係止部311が形成されている。
【0036】
図10および図11に示すように、係止片151は、係止部1511、押圧部1512および支持部1513を有する。係止部1511は、z方向の下端がx方向の内側に突出した形状である。係止部311は、x方向の外側に突出した形状である。貯水部パネル15と貯水部3の貯水プール31とが装着されている場合、係止部1511と係止部311とが、互いに係合している。
【0037】
支持部1513は、係止片151が貯水部パネル15の周辺部位と繋がっている箇所である。図示された係止片151は、y方向の両側に2つの支持部1513を有する。係止片151は、たとえば樹脂材料からなることによる可撓性によって、支持部1513を通りy方向に延びる軸周りに回動可能である。押圧部1512は、支持部1513に対してz方向において係止部1511とは反対側の上側に位置する部位である。図11に示すように、係合状態にある係止片151の押圧部1512をx方向の内側に押圧すると、係止片151が図中の矢印の方向に回動し、二点鎖線で示す状態となる。これにより、係止部1511と係止部311との係合が解除され、図12に示すように、貯水部パネル15を貯水プール31から取り外すことが可能となる。
【0038】
〔給水部4〕
給水部4は、貯水部3の貯水プール31に貯められた水を、加湿部2の加湿フィルタ22に供給するためのものである。給水部4の具体的構成は何ら限定されず、本実施形態においては、図2図5図10および図12に示すように、給水ポンプ41、ポンプモータ42、プール側給水路43、コネクタ44、コネクタ45、本体側給水路46および給水口47を有する。
【0039】
給水ポンプ41は、貯水プール31に貯められた水を加湿フィルタ22のz方向の上方に揚水するための圧力を発生するものである。給水ポンプ41の具体的構成は何ら限定されず、図示された例においては、貯水プール31の底部付近に設置されている。
【0040】
ポンプモータ42は、給水ポンプ41を駆動するための駆動源であり、たとえば電動モータである。ポンプモータ42の具体的構成は何ら限定されず、図示された例においては、貯水プール31の外側であって、給水ポンプ41と貯水プール31の一部を挟んで対向する位置に配置されている。給水ポンプ41とポンプモータ42とは、たとえばマグネットカップリング等の非接触の動力伝達機構によって動力伝達がなされる。
【0041】
プール側給水路43は、貯水プール31内において、貯水プール31からの水をz方向の上方に導く水路である。コネクタ44は、プール側給水路43のz方向の上端に設けられており、図示された例においては、y方向の背面側を向いている。コネクタ45は、貯水部3が筐体1に装着された際に、コネクタ44と接続されるものである。図3に示すように、コネクタ45は、筐体1のz方向の下側部分であって、x方向の片側寄りに設けられている。
【0042】
本体側給水路46は、コネクタ45を経由した水を筐体1内においてz方向の上方に導く水路である。図5に示すように、図示された例においては、本体側給水路46は、筐体1内のy方向において背面パネル12付近を経由して、y方向の前面側であって加湿フィルタ22の上端付近に延びている。図5において太い点線で表された矢印は、本体側給水路46によって導かれる水を示している。
【0043】
給水口47は、図4に示すように、本体側給水路46の上端に取り付けられており、加湿フィルタ22に対してz方向の上方から水を供給するためのものである。給水口47の具体的構成は何ら限定されず、たとえば加湿フィルタ22のz方向の上方において、水がx方向により広く分布される構成であることが好ましい。
【0044】
〔送風部5〕
送風部5は、加湿フィルタ22を通過する気流を発生させるためのものである。送風部5の具体的構成は何ら限定されず、図示された例においては、図1図4および図7に示すように、送風ファン51、送風モータ52、ケーシング53および吸気フレーム54を有する。
【0045】
送風ファン51は、回転することによって気流を発生させる部位である。送風ファン51の具体的構成は何ら限定されず、図示された例においては、中心510を通りy方向に延びる軸周りに回転するシロッコファンである。送風モータ52は、送風ファン51を回転させる駆動源であり、たとえば電動モータである。ケーシング53は、送風ファン51の回転によって生じる気流の進行方向を規定するものである。本例においては、ケーシング53は、z方向の上側に開口している。ケーシング53の上端は、吹出口141の直下に配置されている。ケーシング53から送り出された空気は、吹出口141から加湿器A1の外部へと吹き出される。
【0046】
吸気フレーム54は、送風ファン51の上流側(吸気側)に設けられている。図7に示すように、吸気フレーム54は、枠部541、複数の開口部542および複数の遮蔽部543を有しており、全体として、中心510について送風ファン51と同心円状に配置されている。なお、同図においては、理解の便宜上、遮蔽部543にハッチングを付している。
【0047】
枠部541は、中心510を中心とした径方向および周方向に沿ってそれぞれ延びる部分の集合体である。複数の開口部542は、枠部541の各部によって囲まれた開口部分である。複数の開口部542によって、吸気口55が構成されている。吸気口55は、送風ファン51へと空気を吸入する開口である。
【0048】
複数の遮蔽部543は、枠部541の各部によって囲まれた領域を遮蔽する板状の部位である。本実施形態においては、複数の遮蔽部543は、中心510よりもz方向の下方に設けられている。複数の遮蔽部543が設けられていることにより、吸気口55のうち中心510よりもz方向の下側に位置する部分の開口面積は、吸気口55のうち中心510よりもz方向の上側に位置する部分の開口面積よりも小さい。
【0049】
なお、中心510よりも下方の開口面積が中心510よりも上方の開口面積よりも小さい吸気口55としては、枠部541、複数の開口部542および複数の遮蔽部543が設けられることによって実現される構成に限定されない。たとえば、吸気口55を構成する1つまたは複数の開口部が中心510に対してz方向の上側に偏って設けられ、枠部541における遮蔽部543が設けられていない構成であってもよい。
【0050】
図4において、点線矢印で示すように、送風部5の作動により、筐体1のy方向の前面側(たとえば前面パネル11と側面パネル13との間の隙間)から吸入された空気が、加湿フィルタ22を通過して、吸気フレーム54へと吸い込まれる。加湿フィルタ22を通過する際に、空気に水分(湿気)が加えられる。この加湿された空気が、送風ファン51からケーシング53、吹出口141を経由して、加湿器A1のz方向の上方に吹き出される。
【0051】
〔制御部6〕
制御部6は、加湿器A1の各部の動作を制御するためのものである。制御部6の具体的構成は何ら限定されず、たとえばCPU、メモリ等からなる。このメモリには、たとえば後述の制御部6による制御を実行するためのプログラムや、種々の運転条件に関する情報等が記憶されている。
【0052】
〔操作部7〕
操作部7は、加湿器A1のユーザが操作するための部位である。操作部7の具体的構成は何ら限定されず、図示された例においては、図1図2および図4に示すように、上面パネル14に設けられている。
【0053】
〔電源部8〕
電源部8は、図6に示すように、たとえば商用の100V交流電力を、加湿器A1の各部の動作に適した電力(たとえば直流電力)に変換するためのものである。電源部8は、たとえばAC/DCコンバータや変圧器等を有する。
【0054】
次に、加湿器A1の動作例について、図13を参照しつつ、以下に説明する。
【0055】
加湿器A1は、準備モードMpおよび運転モードMdを有する。準備モードMpは、たとえば加湿器A1の主電源がONとされた直後に実行されるモードである。運転モードMdは、準備モードMpの後に実行されるモードであり、加湿器A1によって空気の加湿が行われるモードである。本実施形態においては、準備モードMpにおいては、給水部4のポンプモータ42の電圧が経時的に増加し、運転モードMdにおいては、ポンプモータ42の電圧が略一定とされる。
【0056】
準備モードMpにおいては、給水部4による加湿フィルタ22への給水量Wsが、運転モードMdにおける最大給水量Wsxよりも小さい。また、準備モードMpにおいては、給水量Wsは、経時的に増加する。図示された例においては、給水量Wsは、複数の給水量一定期間Pcと複数の給水量増加期間Piとが交互に配置されたステップ状の給水パターンとなっている。同図においては、給水量Wsの給水パターンは、給水量一定期間Pc1,Pc2,Pc3と、給水量増加期間Pi1,Pi2とが、交互に配置されている。
【0057】
給水量一定期間Pc1,Pc2,Pc3は、給水量Wsが一定である期間である。給水量一定期間Pc1の給水量Ws1、給水量一定期間Pc2の給水量Ws2、給水量一定期間Pc3の給水量Ws3の順で、給水量Wsが多くなっている。給水量増加期間Pi1,Pi2は、給水量Wsが単調増加する期間である。図示された例においては、給水量一定期間Pc1の継続時間t1、給水量一定期間Pc2の継続時間t2、および給水量一定期間Pc3の継続時間t3が、互いに等しい時間に設定されている。ただし、継続時間t1,t2,t3は、互いに異なっていてもよい。
【0058】
図示された例においては、運転モードMdの給水量Wsは、給水量Ws3とされているが、これに限定されず、たとえば給水量Ws3よりも多くてもよい。
【0059】
制御部6による給水量Wsの制御は、具体的には、ポンプモータ42の回転数を制御することによって実現可能である。ただし、給水部4の具体的構成によっては、ポンプモータ42の回転数制御以外の手法によって、給水量Wsを制御してもよい。
【0060】
次に、加湿器A1の作用について説明する。
【0061】
本実施形態によれば、図13に示すように、給水部4から加湿フィルタ22への給水量Wsは、最大給水量Wsxよりも小さく、且つ時間的に増加する。このため、準備モードMpの初期においては、給水量Wsが、たとえば給水量Ws1に設定され、運転モードMdにおける給水量Wsよりも顕著に少ない。これにより、加湿フィルタ22の吸水性が低い場合に、給水部4からの水が加湿フィルタ22によって不当に吸収されない事態を回避可能である。また、給水量一定期間Pc1を終えると、加湿フィルタ22がある程度の水を吸収しており、さらなる給水が促されやすい状態となる。このため、給水量一定期間Pc2,Pc3となるにしたがって、給水量Wsが、給水量Ws2,Ws3と徐々に多くなっても、加湿フィルタ22によって、速やかに吸水することが可能である。したがって、加湿器A1の外部に水が漏れることを抑制することができる。また、運転モードMdの直前には、十分な給水量Wsを確保可能であり、運転モードMdを適切に開始することができる。
【0062】
図13に示す例においては、準備モードMpにおける給水パターンが、ステップ状に設定されている。これにより、給水量一定期間Pc1においては、給水量Wsが、給水量Ws1に一定とされた状態が維持される。このため、加湿フィルタ22に対して水をより確実に吸水させることが可能である。また、給水量一定期間Pc2,Pc3と、段階的に給水量Wsが一定である期間を設定することにより、各給水量Wsでの吸水をより安定して実現することが可能である。
【0063】
図7に示すように、吸気口55のうち中心510よりもz方向の下側の開口面積は、z方向の上側の開口面積よりも小さい。言い換えると、送風ファン51によって空気が吸引される領域(中心510を中心とする円形領域)のうち、z方向の下側部分が、遮蔽部543によって遮蔽された構造となっている。これにより、加湿フィルタ22のz方向の下方部分において、意図せずに水が溜まったり、漏れたりした場合に、この水が、吸気口55から吸い込まれることを抑制することが可能である。したがって、加湿フィルタ22から漏れた水が、加湿器A1外に空気とともに吹き出されることを回避することができる。
【0064】
図9および図10に示すように、落下水回収部24の水受け部241の前壁部2411とフィルタケース23の下方部231との間には、封止部材243が挟まっている。これにより、前壁部2411と下方部231との間の隙間が塞がれているか、略密閉に近い状態となっている。このような構成によれば、水受け部241に溜まった水が、前壁部2411と下方部231との隙間から入ってきた気流によって送風部5に吸い込まれてしまうことを抑制することができる。
【0065】
図10図12に示すように、貯水部パネル15は、貯水部3とともに筐体1から離脱可能であり、貯水部パネル15と貯水部3とは、係合によって互いに着脱可能である。このため、貯水タンク33への給水などを行う際には、貯水部パネル15とともに貯水部3を一括して取り出し、貯水タンク33に給水した後に、貯水部パネル15および貯水部3を一括して筐体1に装填することが可能である。また、たとえば、貯水プール31を清掃する際には、貯水部パネル15を貯水プール31から取り外すことにより、貯水プール31をより容易かつ確実に清掃することが可能である。
【0066】
<第1変形例>
図14は、給水量Wsの給水パターンの第1変形例を示している。本変形例においては、継続時間t1,t2,t3が、互いに異なっている。継続時間t1が最も長く、継続時間t3が最も短い。すなわち、継続時間t1,t2,t3は、時間的に後に実行されるものほど短い。
【0067】
本変形例によっても、加湿器A1の外部に水が漏れることを抑制することができる。また、給水量一定期間Pc1の継続時間t1が最も長いことにより、最も少ない給水量Ws1の状態で、より長い間、加湿フィルタ22に吸水させることが可能である。これは、加湿フィルタ22の初期の吸水性が十分ではない場合に、より確実に吸水を促すことができる。
【0068】
<第2変形例>
図15は、給水量Wsの給水パターンの第2変形例を示している。本変形例においては、準備モードMpにおいて、給水量Wsが時間的に単調増加(直線的に増加)しており、ステップ状とはなっていない。
【0069】
本変形例によっても、加湿器A1の外部に水が漏れることを抑制することができる。また、本変形例から理解されるように、給水量Wsの給水パターンは、ステップ状のパターンに限定されず、単調増加のパターンをはじめ、経時的に増加するものであれば、種々のパターンを採用可能である。
【0070】
本発明に係る加湿器は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る加湿器の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0071】
A1 :加湿器
1 :筐体
2 :加湿部
3 :貯水部
4 :給水部
5 :送風部
6 :制御部
7 :操作部
8 :電源部
11 :前面パネル
12 :背面パネル
13 :側面パネル
14 :上面パネル
15 :貯水部パネル
21 :防塵フィルタ
22 :加湿フィルタ
23 :フィルタケース
24 :落下水回収部
31 :貯水プール
32 :ハンドル
33 :貯水タンク
41 :給水ポンプ
42 :ポンプモータ
43 :プール側給水路
44,45:コネクタ
46 :本体側給水路
47 :給水口
51 :送風ファン
52 :送風モータ
53 :ケーシング
54 :吸気フレーム
55 :吸気口
141 :吹出口
151 :係止片
231 :下方部
241 :水受け部
242 :水路部
243 :封止部材
311 :係止部
510 :中心
541 :枠部
542 :開口部
543 :遮蔽部
1511 :係止部
1512 :押圧部
1513 :支持部
2411 :前壁部
Md :運転モード
Mp :準備モード
Pc,Pc1,Pc2,Pc3:給水量一定期間
Pi,Pi1,Pi2:給水量増加期間
Ws,Ws1,Ws2,Ws3:給水量
Wsx :最大給水量
t1,t2,t3:継続時間
図1
図2
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図15