(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058242
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20240418BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165477
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】寺戸 翔太朗
(72)【発明者】
【氏名】小田島 悠紀
(72)【発明者】
【氏名】須藤 隆徳
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】配達先に適した停車位置を提案する。
【解決手段】情報処理装置において、停車位置取得部は、車両に搭載された端末装置から、配達先と、当該配達先に対応する車両の停車位置を示す情報とを取得する。決定部は、配達先に対応する車両の停車位置の統計処理により、配達先毎に車両の最適停車位置を決定する。最適停車位置送信部は、端末装置から配達先を受信し、当該配達先に対応する最適停車位置を当該端末装置へ送信する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された端末装置から、配達先と、当該配達先に対応する車両の停車位置を示す情報とを取得する停車位置取得部と、
前記配達先に対応する車両の停車位置の統計処理により、配達先毎に車両の最適停車位置を決定する決定部と、
端末装置から配達先を受信し、当該配達先に対応する最適停車位置を当該端末装置へ送信する最適停車位置送信部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記決定部は、1つの配達先に対し停車位置が複数ある場合、最も利用頻度が高い停車位置を最適停車位置とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記車両の停車位置を示す情報に基づいて、前記配達先に対応する車両の停車位置を判定する停車位置判定部を備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記停車位置判定部は、1つの配達先に対して複数の停車位置がある場合、配達先との距離が最も近い停車位置を前記配達先に対応する車両の停車位置と決定する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記停車位置判定部は、停車時間が所定の標準配達時間内である停車位置を前記配達先に対応する車両の停車位置と決定する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記端末装置から、荷物の配達ステータスを取得するステータス取得部を備え、
前記停車位置判定部は、1つの配達先に対して複数の停車位置がある場合、停車時刻が配達ステータスの変更タイミングに最も近い停車位置を前記配達先に対応する車両の停車位置と決定する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理装置と、前記車両に搭載された端末装置とを備える情報処理システムであって、
前記端末装置は、
配達先と、当該配達先に対応する車両の停車位置を示す情報とを前記情報処理装置へ送信する停車位置送信部と、
を備える情報処理システム。
【請求項8】
情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
車両に搭載された端末装置から、配達先と、当該配達先に対応する車両の停車位置を示す情報とを取得する停車位置取得工程と、
前記配達先に対応する車両の停車位置の統計処理により、配達先毎に車両の最適停車位置を決定する決定工程と、
端末装置から配達先を受信し、当該配達先に対応する最適停車位置を当該端末装置へ送信する最適停車位置送信工程と、
を備える情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータを備える情報処理装置により実行されるプログラムであって、
車両に搭載された端末装置から、配達先と、当該配達先に対応する車両の停車位置を示す情報とを取得する停車位置取得部、
前記配達先に対応する車両の停車位置の統計処理により、配達先毎に車両の最適停車位置を決定する決定部、
端末装置から配達先を受信し、当該配達先に対応する最適停車位置を当該端末装置へ送信する最適停車位置送信部、
として前記コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配送業者などによる荷物の配達のために、複数の配達先を巡回する経路を作成するための様々な方法が提案されている。特許文献1は、時間指定配達にも対応した集配経路を設定する集配経路設定方法を開示している。また、特許文献2は、配送車両の停車位置を考慮して経路を作成する手法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-280972号公報
【特許文献2】国際公開WO2022/153485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
新しい配達先に荷物を届けるとき、車両の停車位置を見つけるのに時間がかかり、効率的に配達業務ができない場合がある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、配達先に適した停車位置を提案することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、情報処理装置であって、車両に搭載された端末装置から、配達先と、当該配達先に対応する車両の停車位置を示す情報とを取得する停車位置取得部と、前記配達先に対応する車両の停車位置の統計処理により、配達先毎に車両の最適停車位置を決定する決定部と、端末装置から配達先を受信し、当該配達先に対応する最適停車位置を当該端末装置へ送信する最適停車位置送信部と、を備える。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、情報処理装置により実行される情報処理方法であって、車両に搭載された端末装置から、配達先と、当該配達先に対応する車両の停車位置を示す情報とを取得する停車位置取得工程と、前記配達先に対応する車両の停車位置の統計処理により、配達先毎に車両の最適停車位置を決定する決定工程と、端末装置から配達先を受信し、当該配達先に対応する最適停車位置を当該端末装置へ送信する最適停車位置送信工程と、を備える。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、コンピュータを備える情報処理装置により実行されるプログラムであって、車両に搭載された端末装置から、配達先と、当該配達先に対応する車両の停車位置を示す情報とを取得する停車位置取得部、前記配達先に対応する車両の停車位置の統計処理により、配達先毎に車両の最適停車位置を決定する決定部、端末装置から配達先を受信し、当該配達先に対応する最適停車位置を当該端末装置へ送信する最適停車位置送信部、として前記コンピュータを機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図3】サーバ装置の概略構成の一例を示す図である。
【
図8】最適停車位置決定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つの好適な実施形態では、情報処理装置は、車両に搭載された端末装置から、配達先と、当該配達先に対応する車両の停車位置を示す情報とを取得する停車位置取得部と、前記配達先に対応する車両の停車位置の統計処理により、配達先毎に車両の最適停車位置を決定する決定部と、端末装置から配達先を受信し、当該配達先に対応する最適停車位置を当該端末装置へ送信する最適停車位置送信部と、を備える。
【0011】
上記の情報処理装置において、停車位置取得部は、車両に搭載された端末装置から、配達先と、当該配達先に対応する車両の停車位置を示す情報とを取得する。決定部は、配達先に対応する車両の停車位置の統計処理により、配達先毎に車両の最適停車位置を決定する。最適停車位置送信部は、端末装置から配達先を受信し、当該配達先に対応する最適停車位置を当該端末装置へ送信する。これにより、各配達先に対して最適な停車位置に車両を停車させ、荷物を配達することが可能となる。
【0012】
上記の情報処理装置の一態様では、前記決定部は、1つの配達先に対し停車位置が複数ある場合、最も利用頻度が高い停車位置を最適停車位置とする。
【0013】
上記の情報処理装置の他の一態様は、前記車両の停車位置を示す情報に基づいて、前記配達先に対応する車両の停車位置を判定する停車位置判定部を備える。
【0014】
上記の情報処理装置の他の一態様では、前記停車位置判定部は、1つの配達先に対して複数の停車位置がある場合、配達先との距離が最も近い停車位置を前記配達先に対応する車両の停車位置と決定する。
【0015】
上記の情報処理装置の他の一態様では、前記停車位置判定部は、停車時間が所定の標準配達時間内である停車位置を前記配達先に対応する車両の停車位置と決定する。
【0016】
上記の情報処理装置の他の一態様は、前記端末装置から、荷物の配達ステータスを取得するステータス取得部を備え、前記停車位置判定部は、1つの配達先に対して複数の停車位置がある場合、停車時刻が配達ステータスの変更タイミングに最も近い停車位置を前記配達先に対応する車両の停車位置と決定する。
【0017】
本発明の他の好適な実施形態では、情報処理システムは、上記の情報処理装置と、前記車両に搭載された端末装置とを備え、前記端末装置は、配達先と、当該配達先に対応する車両の停車位置を示す情報とを前記情報処理装置へ送信する停車位置送信部と、を備える。
【0018】
本発明の他の好適な実施形態では、情報処理装置により実行される情報処理方法は、車両に搭載された端末装置から、配達先と、当該配達先に対応する車両の停車位置を示す情報とを取得する停車位置取得工程と、前記配達先に対応する車両の停車位置の統計処理により、配達先毎に車両の最適停車位置を決定する決定工程と、端末装置から配達先を受信し、当該配達先に対応する最適停車位置を当該端末装置へ送信する最適停車位置送信工程と、を備える。これにより、各配達先に対して最適な停車位置に車両を停車させ、荷物を配達することが可能となる。
【0019】
本発明の他の好適な実施形態では、コンピュータを備える情報処理装置により実行されるプログラムは、車両に搭載された端末装置から、配達先と、当該配達先に対応する車両の停車位置を示す情報とを取得する停車位置取得部、前記配達先に対応する車両の停車位置の統計処理により、配達先毎に車両の最適停車位置を決定する決定部、端末装置から配達先を受信し、当該配達先に対応する最適停車位置を当該端末装置へ送信する最適停車位置送信部、として前記コンピュータを機能させる。これにより、各配達先に対して最適な停車位置に車両を停車させ、荷物を配達することが可能となる。このプログラムは記憶媒体に記憶して使用することができる。
【実施例0020】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
[全体構成]
図1は、実施例に係る情報処理システムの構成例を示す図である。情報処理システム1は、複数の端末装置100と、サーバ装置200とを備える。各端末装置100は、車両Vに搭載されている。サーバ装置200と複数の端末装置100は、有線又は無線により相互に通信可能に構成されている。車両Vは荷物の配達に使用されるトラックなどの車両である。即ち、車両Vには複数の配達先に配達される荷物が積載されており、配達員は車両Vで配達先を訪問し、荷物を配達する。端末装置100は、配達員が使用する端末装置であり、例えばスマートフォンなどである。
【0021】
各配達員には、配送会社により複数の配達先が割り当てられる。配達員は、端末装置100を操作してサーバ装置200へ接続し、自分に割り当てられた複数の配達先を指定して配達経路の作成を要求する。サーバ装置200は、配達員が指定した複数の配達先を効率よく回る配達経路を作成し、端末装置100へ送信する。こうして、端末装置100には、配達員がその日に回る配達先を含む配達経路が設定される。配達員は、配達する荷物を車両Vに積み、配達経路に従って各配達先を訪問して荷物を配達する。
【0022】
[端末装置]
端末装置100は、日々の配達時に各配達員により使用される。端末装置100は、配達員による配達中の車両Vの走行履歴(停車位置を示す情報の一例)を取得する。そして、配達員は、その日の配達の終了後などに、自己の配達員IDに対応付けて、その日の走行履歴と、その日の配達先リストとをサーバ装置200へ送信する。
【0023】
図2は、端末装置100の構成を示すブロック図である。端末装置100は、通信部111と、記憶部112と、制御部113と、GPS(Global Positioning System)受信機114と、表示部115と、入力部116とを備える。端末装置100の各要素は、バスライン110を介して相互に接続されている。
【0024】
通信部111は、制御部113の制御に基づき、サーバ装置200とのデータ通信を行う。具体的に、通信部111は、各配達先に荷物を配達する際に配達員が車両Vが駐車又は停車させた位置などをサーバ装置200へ送信する。なお、以下の説明では、「停車」の語は「駐車」を含む概念とし、配達員が車両Vを駐車又は停車させた位置を単に「停車位置」という。
【0025】
記憶部112は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリ(ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどを含む)などの各種のメモリにより構成される。記憶部112には、端末装置100が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。上述のプログラムは、配達経路に沿った経路案内を行うためのアプリケーションプログラム、荷物の配送状況を管理するためのプログラムなどを含む。また、記憶部112は、制御部113が各種の処理を実行する際に作業メモリとしても使用される。
【0026】
また、記憶部112は、地図データベース(以下、「データベース」を「DB」と表記する。)を記憶する。地
図DBには、経路案内に必要な種々のデータが記録されている。地
図DBは、例えば、道路網をノードとリンクの組合せにより表した道路データ、及び、目的地、立寄地、又はランドマークの候補となる地物を示す地物情報などを記憶している。地
図DBは、制御部113の制御に基づき、通信部111がサーバ装置200から受信する地図情報に基づき更新されてもよい。
【0027】
GPS受信機114は、GPS衛星からの電波を受信する。表示部115は、制御部113の制御に基づき表示を行うディスプレイ等である。入力部116は、ユーザが操作を入力するためのボタンやタッチパネル等である。
【0028】
制御部113は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などを含み、端末装置100の全体を制御する。例えば、制御部113は、GPS受信機114が受信した電波に基づき、車両Vの位置を推定する。また、制御部113は、サーバ200が作成した配達経路と、車両Vの現在位置と、地
図DBとに基づき、車両Vの経路案内を行う。この場合、制御部113は、配達経路を表示部115に表示させ、案内音声を図示しないスピーカなどから出力させる。
【0029】
[サーバ装置]
サーバ装置200は、各配達員についてその日の配達経路を作成し、各配達員が使用する端末装置100へ送信する。また、サーバ装置200は、各端末装置100から車両Vの走行履歴と、配達先リストとを受信する。サーバ装置200は、走行履歴と配達先リストを用いて、後述する配達履歴情報を作成する。そして、サーバ装置200は、複数の配達員の配達履歴情報に基づいて、各配達先に対する最適停車位置を生成する。「最適停車位置」は、配達先毎に設定され、その配達先に荷物を配達する際に車両Vを停車させるのに最適な位置である。
【0030】
図3は、サーバ装置の概略構成の一例を示す図である。サーバ装置200は、主に通信部211と、制御部212と、記憶部213とを備える。サーバ装置200の各要素は、バスライン210を通じて相互に接続されている。
【0031】
通信部211は、制御部212の制御に基づき、端末装置100などの外部装置とのデータ通信を行う。
【0032】
記憶部213は、RAM、ROM、不揮発性メモリ(ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどを含む)などの各種のメモリにより構成される。記憶部213には、サーバ装置200が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。記憶部213は、地
図DB214と、配達先DB215と、配達履歴DB216とを備える。
【0033】
地
図DB214には、経路案内に必要な種々のデータが記録されている。地
図DB214は、例えば、道路網をノードとリンクの組合せにより表した道路データ、及び、目的地、立寄地、又はランドマークの候補となる地物を示す地物情報などを記憶している。
【0034】
配達先DB215は、荷物の配達先を記憶したDBであり、例えば配送会社の顧客DBなどを用いてもよい。
図4は、配達先DB215の一例を示す。
図4の例では、配達先DB215は、配達先IDと、名称と、住所と、連絡先と、最適停車位置とを含む配達先情報を記憶している。「配達先ID」は、配達先の識別情報であり、配達先毎に一意に付与される。「名称」は、配達先の名称であり、個人名や会社名などが使用される。「住所」は配達先の住所である。「連絡先」は配達先の連絡先であり、通常は電話番号が使用される。「最適停車位置」は、その配達先に対する最適停車位置であり、地理的な位置を示す情報、典型的には緯度及び経度により示される。
【0035】
配達履歴DB216は、各配達員による日々の配達の履歴を記憶したDBである。サーバ装置200は、各配達員の端末装置100から車両Vの走行履歴と配達先リストを受信し、走行履歴と配達先リストとに基づいて各配達員の配達履歴情報を作成して配達履歴DB216に保存する。
図5は、配達履歴DB216の一例を示す。
図5の例では、配達履歴DB216は、日付と、時刻と、配達員IDと、配達先IDと、停車位置とを含む配達履歴情報を記憶する。「日付」は荷物が配達された日付を示し、「時刻」は荷物が配達された時刻を示す。「配達員ID」は、荷物の配達を行った配達員の識別情報である。「配達先ID」は、配達先リストに含まれる配達先の識別情報であり、
図4に示す配達先DBにおいて設定されたものが使用される。「停車位置」は、荷物を配達した際に配達員が車両Vを停車させた地理的位置であり、典型的には緯度及び経度で示される。
【0036】
図6は、配達先における車両の停車位置の例を示す。
図6において、配達先Aに荷物を配達する際に配達員が車両Vを配達先Aの前の停車位置Paに停車すると、配達履歴情報には停車位置Paが含められる。同様に、配達先Bに荷物を配達する際に配達員が車両Vを配達先Bの前の停車位置Pbに停車すると、配達履歴情報には停車位置Pbが含められる。
【0037】
通常、配達員は、配達先になるべく近い位置に車両Vを停車させる。よって、配達先の家や会社の前に車両Vを停車させることができる場合、停車位置は配達先の前の道路になることが多い。しかし、例えば配達先の前に別の車両が停車している場合、配達先の前の道路が狭い場合など、事情によっては配達先の前に車両Vを停車できないことがある。このため、同じ配達先であっても、配達員の車両の停車位置は、その日の状況や時間帯などによって変わることがある。
【0038】
[情報収集処理]
端末装置100は、各配達員による車両Vの走行履歴と、配達先リストと、その配達員に対応付けてサーバ装置200へ送信する。サーバ装置200は、各配達員の端末装置100から走行履歴と配達先リストとを受信し、配達履歴情報を作成して配達履歴DB216に記憶する。こうして、多数の配達員による配達履歴情報がサーバ装置200に収集される。
【0039】
次に、情報収集処理について説明する。
図7は、情報収集処理のフローチャートである。情報収集処理は、配達員が車両Vを利用して配達先に荷物を配達する際に、端末装置100が走行履歴を収集する処理である。この処理は、
図2に示す制御部113が予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0040】
まず、端末装置100は、配達経路を設定する(ステップS11)。具体的には、配達員は、端末装置100を利用して出発地、目的地、配達先などの情報をサーバ装置200へ送信し、サーバ装置200が作成した配達経路を受信して端末装置100に設定する。なお、サーバ装置200において、配達員ごとに予め配達先と配達経路が設定されている場合には、配達員は単に当日の自分の配達経路をダウンロードして端末装置100に設定すればよい。また、配達員は、サーバ装置200を利用せず、端末装置100の経路探索機能を用いて、配送会社を出発地及び目的地とし、当日の自分の配達先を経由地とする配達経路を作成してもよい。
【0041】
次に、配達員が設定された配達経路に従って車両Vを走行させ、端末装置100は車両Vの走行履歴を取得する(ステップS12)。次に、端末装置100は、その日に予定されている全ての配達先について配達が完了したか否かを判定する(ステップS13)。全ての配達先について配達が完了していない場合(ステップS13:No)、処理はステップS12へ戻り、端末装置100は引き続き車両Vの走行履歴を取得する。一方、全ての配達先について配達が完了した場合(ステップS14:Yes)、端末装置100は、収集した走行履歴と、配達リストとをサーバ装置200へ送信する(ステップS14)。そして、情報収集処理は終了する。
【0042】
[停車位置の判定]
次に、サーバ装置200による車両Vの停車位置の判定方法について説明する。サーバ装置200は、車両Vの走行履歴と配達リストとに基づいて、車両Vの停車位置を判定する。基本的には、サーバ装置200は、走行履歴に含まれる車両の停車位置のうち、各配達先に最も近い停車位置を、その配達先に対応する停車位置と判定する。よって、車両Vが荷物の配達のためだけに停車する場合、全ての停車位置は一対一で配達先に対応付けされる。
【0043】
但し、現実には、例えば配達員が休憩のために車両Vを停車させたり、渋滞などの道路事情によって車両Vを所定時間停車させざるをえない場合などがある。そのような場合でも、その地点が停車位置として走行履歴に含まれるので、ある配達先の近くで複数の停車位置が取得される場合がある。そのような場合には、何らかの方法で複数の停車位置から適切な停車位置を選択して配達先と対応付ける必要がある。
【0044】
このための1つ目の方法は、標準配達時間を利用する。「標準配達時間」とは、通常の状態で配達員が荷物を配達先に届けるために車両Vを停車させておく時間を言い、多数の配達員による配達履歴に基づいて統計的に求めることができる。例えば、複数の配達員による配達時間の平均値を標準配達時間としてもよい。いま、標準配達時間は3分~10分であると仮定する。サーバ装置200は、ある地点における停車時間が3分~10分の範囲内である場合には、その停車は荷物の配達のためであると判定し、その停車位置を最も近い配達先と対応付けて配達履歴DB216に記憶する。一方、ある地点における停車時間が3分未満又は10分を超える場合、サーバ装置200は、その停車は荷物の配達のためではないと判定する。これにより、配達員の休憩や渋滞などに起因する停車を除外することができる。
【0045】
2つ目の方法は、配達員が端末装置100に登録する配達のステータスを利用する。通常、配達員が所持する端末装置100は配達状況を管理するアプリケーションなどを実行しており、配達員は各配達先において配達のステータスを自己の端末装置100に登録する。例えば、配達員は、ある配達先に荷物を届け終わると、その配達先に対する配達が完了した旨を端末装置100に登録する。よって、配達員が入力した配達の配達のステータス(例えば、配達完了、未完了、再配達)をサーバ装置200へ送信し、サーバ装置200は配達のステータスを考慮して車両の停車が荷物の配達のための停車であるか否かを判定してもよい。具体的には、ある配達先の近くで複数の停車位置が取得された場合、サーバ装置200は、配達員が配達のステータスを「配達完了」に設定した時刻に最も近い時刻の停車位置を、配達のための停車位置と判定し、その停車位置を配達履歴DB216に記憶するとともに、それ以外の停車位置は配達履歴DB216に記憶しないこととすればよい。なお、受取人が不在であるなどの理由で配達ができなかった場合でも、配達員が配達のステータスを「未完了」や「再配達」などに変更するルールになっている場合には、サーバ装置200は、そのステータス変更時刻に最も近い時刻の停車位置を配達履歴DB216に記憶すればよい。
【0046】
[最適停車位置の決定]
次に、サーバ装置200による最適停車位置の決定方法について説明する。サーバ装置200は、日々作成される配達履歴情報に含まれる停車位置の統計処理により、配達先毎に最適停車位置を決定する。サーバ装置200は、基本的には利用頻度が最も高い停車位置を最適停車位置に決定する。配達員は、特別な事情が無い限り、配達先になるべく近い位置に車両Vを停車して荷物を配達する。よって、配達履歴に含まれる停車位置の統計処理で最適停車位置を決定することにより、特別な事情により停車位置が変わったような事例は最適停車位置の決定に対する寄与度が小さくなり、各配達先に対する最適停車位置を高精度で決定することが可能となる。サーバ装置200は、配達先毎に決定した最適停車位置を、
図4に例示するように配達先に関連付けて記憶する。また、サーバ装置200は、日々作成された配達履歴を用いて、配達先毎に最適停車位置を更新する。これにより、配達先の周辺環境や、配達先の前の道路状況などに変化があった場合などに、それに応じて最適停車位置を修正することができる。
【0047】
最適停車位置の更新方法の一例では、各停車位置が使用された頻度に応じて最適停車位置を更新する。例えば、ある配達先Xに対して荷物が10回配達され、そのうち停車位置P1が7回使用され、停車位置P2が3回使用された場合、サーバ装置200は停車位置P1を最適停車位置に決定する。その後、配達先Xに対する配達において停車位置P2が使用される頻度が増え、停車位置P1が使用された頻度よりも停車位置P2が使用された頻度が大きくなった場合、サーバ装置200は配達先Xに対する最適停車位置を停車位置P2に変更する。
【0048】
次に、最適停車位置決定処理について説明する。
図8は、最適停車位置決定処理のフローチャートである。最適停車位置決定処理は、複数の端末装置100から受信した配達履歴情報に基づいて、配達先毎に最適停車位置を決定する処理である。この処理は、
図3に示す制御部212が予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0049】
まず、サーバ装置200は、配達履歴DB216を参照し、その日の配達履歴から1つの配達先を選択する(ステップS21)。次に、サーバ装置200は、配達先DB215からその配達先の現在の最適停車位置を取得する(ステップS22)。なお、ある配達先に対して初めて配達が行われた時点では、その配達先に対する最適停車位置は未だ配達先DB215に登録されていないので、サーバ装置200は最適駐車位置を取得しない。
【0050】
次に、サーバ装置200は、その日に収集された停車位置と、現在の最適停車位置とに基づき、必要に応じて最適停車位置を更新する(ステップS23)。なお、同じ配達先に対して同一又は異なる配達員により複数回の配達が行われた場合、その日に収集された停車位置は複数となり、それら全ての停車位置を考慮して最適停車位置が更新される。
【0051】
次に、サーバ装置200は、その日に配達が行われた全ての配達先について上記の処理が完了したか否かを判定する(ステップS24)。全ての配達先について処理が完了していない場合(ステップS24:No)、処理はステップS21へ戻り、別の配達先についてステップS21~S23の処理が実行される。そして、全ての配達先について処理が完了した場合(ステップS24:Yes)、最適停車位置決定処理は終了する。
【0052】
こうして、配達履歴情報に基づき、各配達先に対する最適停車位置は日々更新される。そして、サーバ装置200は、端末装置100から最適停車位置の問合せがあったときは、その時点において配達先DB215に記憶されている最適停車位置を端末装置100へ送信する。
【0053】
例えば、ある配達員の端末装置100から、複数の配達先を含む配達経路の要求があった場合、サーバ装置200は、各配達先について配達先DB215から最適停車位置を取得し、それらを経由地とする配達経路を作成して要求元の端末装置100へ送信する。配達員は、サーバ装置200から受信した配達経路に従って走行することにより、各配達先について最適停車位置に車両Vを停車させ、効率的に荷物を配達することができる。
【0054】
[変形例]
(変形例1)
上記の実施例では、端末装置100が配達員の車両Vの走行履歴と、配達先リストとをサーバ装置200へ送信し、それらに基づいてサーバ装置200が車両Vの停車位置を判定している。その代わりに、端末装置100が車両Vの停車位置(停車位置を示す情報の一例)を検出し、走行履歴とともにサーバ装置200へ送信してもよい。この場合、サーバ装置200では、走行履歴と配達先リストに基づいて車両Vの停車位置を判定する処理を不要としてもよい。
【0055】
(変形例2)
上述した実施例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータである制御部等に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。
【0056】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。すなわち、本願発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。