(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058267
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】入場管理装置
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20240418BHJP
G06V 40/16 20220101ALI20240418BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240418BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20240418BHJP
【FI】
E05B49/00 R
E05B49/00 J
G06V40/16 A
G06T7/00 510F
G07B15/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165524
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000131511
【氏名又は名称】株式会社シブタニ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100127340
【弁理士】
【氏名又は名称】飛永 充啓
(72)【発明者】
【氏名】福田 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】奥野 啓
【テーマコード(参考)】
2E250
3E127
5B043
【Fターム(参考)】
2E250AA03
2E250BB04
2E250CC11
2E250DD02
2E250DD08
2E250EE03
2E250FF11
2E250FF28
2E250FF35
3E127AA02
3E127BA21
3E127CA02
3E127DA22
3E127FA44
3E127FA50
5B043AA04
5B043BA04
5B043GA18
(57)【要約】
【課題】顔認証と携帯キーに対するキー認証の2要素認証に基づいて認証対象者の入場可否を決定可能でありながら、携帯キーを所持している利用者が顔認証の際に他の利用者と誤認され得る場合に当該利用者に対するロックアウトの発生を予防可能な入場管理装置とする。
【解決手段】事前登録される携帯キーのキーID情報K1と、当該携帯キーの利用者として事前登録される複数人の顔画像データFace1~3とを対応付けて記憶する記憶部5と、それら顔画像データFace1~3の中からカメラ部1で撮影され得られた認証対象者の顔画像データと一致するものを特定し、当該特定した利用者の顔画像データと認証キー読取部2で読み取られたキーID情報K1との対応関係が記憶部5に記憶された複数人の利用者の顔画像データFace1~3とキーID情報K1との全対応付け関係のいずれかと一致する場合に当該認証対象者の入場可否を可に決定する演算処理部3と、を採用する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔認証と携帯キーに対するキー認証との2要素認証に基づいて認証対象者の入場可否を決定する入場管理装置において、
前記認証対象者の顔を撮影するカメラ部と、
キーID情報を保持している携帯キーから当該キーID情報を読み取る認証キー読取部と、
事前登録される前記携帯キーの前記キーID情報と、当該携帯キーの利用者として事前登録される複数人の顔画像データとを対応付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記複数人の利用者の顔画像データの中から前記カメラ部で撮影され得られた認証対象者の顔画像データと一致する利用者の顔画像データを特定し、当該特定した利用者の顔画像データと前記認証キー読取部で読み取られたキーID情報との対応関係が前記記憶部に記憶された前記複数人の利用者の顔画像データと前記キーID情報との全対応付け関係のいずれかと一致する場合に当該認証対象者の入場可否を可に決定する演算処理部と、を備えることを特徴とする入場管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、顔認証と携帯キーに対するキー認証との2要素認証に基づいて認証対象者の入場可否を決定する入場管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅、マンション、オフィスビル、商業施設等の建物の玄関や個室の出入口、敷地の入構口等を開閉する扉、門等の入場ゲートを入場管理装置で管理することが行われている。高いセキュリティが要求される玄関等の入場ゲートを管理する場合、その入場ゲートから入場する人物の顔認証と、その人物が所持している携帯キーに対するキー認証との2要素認証が採用されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
その2要素認証を実行する入場管理装置は、カメラ部と、認証キー読取部と、記憶部と、演算処理部と、を備える。その記憶部には、携帯キーのキーID情報と、当該携帯キーを使用する利用者の顔画像とが一対一の対応関係で事前登録される。カメラ部は、認証対象者の顔を撮影する。認証キー読取部は、キーID情報を保持している携帯キーから当該キーID情報を読み取る。演算処理部は、カメラ部で撮影された認証対象者の顔画像と、記憶部に記憶された利用者の顔画像とを照合し、顔照合で一致した利用者の顔画像に対応付けられたキーID情報を記憶部から取得し、認証キー読取部で読み取られたキーID情報(認証対象者が所持している携帯キーのキーID情報)と前述の取得したキーID情報とを照合して一致する場合に当該認証対象者の入場可否を可に決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、顔認証の正確性は100%近くまで向上しているが、互いの顔がよく似た血縁者同士の間では稀ながら互いの顔の特徴量に実質的な差が存在せず、顔認証において他人に誤認する可能性がある。入場管理装置が2要素認証を行う場合、顔認証において他人に誤認してしまうと、キー認証に失敗するため、本来、入場を許すべき認証対象者であるにもかかわらず、その入場を拒否してしまうロックアウトが発生する。
【0006】
例えば、一卵性の兄弟が居住する建物の玄関を従来の入場管理装置が2要素認証で管理する場合、その兄弟は入場管理装置に事前登録された正当な利用者であるが、兄が玄関を開くために入場管理装置に認証を要求し、カメラ部で撮影された兄の顔を演算処理部が顔認証において弟の顔に誤認してしまうと、誤認相手である弟用の携帯キーのキーID情報を記憶部から取得して、認証キー読取部が読み取ったキーID情報(そのとき兄が所持している兄用の携帯キーのキーID情報)と照合するので、キー認証に失敗し、兄の入場を拒否してしまう。
【0007】
上述の背景に鑑み、この発明が解決しようとする課題は、顔認証と携帯キーに対するキー認証の2要素認証に基づいて認証対象者の入場可否を決定可能でありながら、携帯キーを所持している利用者が顔認証の際に他の利用者と誤認され得る場合に当該利用者に対するロックアウトの発生を予防可能な入場管理装置とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するため、この発明は、顔認証と携帯キーに対するキー認証との2要素認証に基づいて認証対象者の入場可否を決定する入場管理装置において、前記認証対象者の顔を撮影するカメラ部と、キーID情報を保持している携帯キーから当該キーID情報を読み取る認証キー読取部と、事前登録される前記携帯キーの前記キーID情報と、当該携帯キーの利用者として事前登録される複数人の顔画像データとを対応付けて記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記複数人の利用者の顔画像データの中から前記カメラ部で撮影され得られた認証対象者の顔画像データと一致する利用者の顔画像データを特定し、当該特定した利用者の顔画像データと前記認証キー読取部で読み取られたキーID情報との対応関係が前記記憶部に記憶された前記複数人の利用者の顔画像データと前記キーID情報との全対応付け関係のいずれかと一致する場合に当該認証対象者の入場可否を可に決定する演算処理部と、を備えることを特徴とする入場管理装置、という構成を採用したものである。
【0009】
上記構成によれば、携帯キーを所持している利用者が顔認証の際に他の利用者と誤認され得る場合、入場管理装置に対する利用者登録として、当該利用者は、当該携帯キーのキーID情報と、当該利用者の顔画像データとを対応付けて記憶部に事前登録するだけでなく、当該キーID情報と、当該他の利用者の顔画像データとをも対応付けて記憶部に事前登録することも可能になり、この事前登録を行えば、当該利用者が認証対象者となるとき、カメラ部で撮影され得られた当該認証対象者の顔画像データを演算処理部が当該他の利用者に特定する誤認を行っても、当該他の利用者の顔画像データと認証キー読取部で読み取られたキーID情報(当該認証対象者が所持している当該携帯キーのキーID情報)との対応関係は、記憶部に記憶された複数人の利用者の顔画像データとキーID情報との全対応付け関係のうちの一つと一致することになる。このため、演算処理部が当該認証対象者の入場可否を可に決定することになり、当該利用者に対するロックアウトが発生しない。
【発明の効果】
【0010】
このように、この発明は、上記構成の採用により、顔認証と携帯キーに対するキー認証の2要素認証に基づいて認証対象者の入場可否を決定可能でありながら、携帯キーを所持している利用者が顔認証の際に他の利用者と誤認され得る場合に当該利用者に対するロックアウトの発生を予防可能な入場管理装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の実施形態に係る入場管理装置を示す機能ブロック図
【
図2】
図1の入場管理装置の認証処理を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の一例としての実施形態に係る入場管理装置(以下、「この入場管理装置」という。)を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1に示すように、この入場管理装置は、マンション、アパート、二世帯住宅等の集合住宅に設けられた各住戸への入場を管理するために集合住宅に設置された事例を想定したものである。この入場管理装置は、住戸への入場を玄関前で要求する人物(以下、この人物を認証対象者という。)の顔認証と携帯キーに対するキー認証とのうちの少なくとも一方の認証に成功するか否かで認証対象者の入場可否を決定し、入場可否を可に決定した場合、当該玄関の開放に必要な指令を配下機器に出力し、入場可否を否に決定した場合、当該玄関を閉鎖した状態に維持する。
【0014】
この入場管理装置は、認証対象者の顔を撮影するカメラ部1と、携帯キー(図示省略)と無線交信する認証キー読取部2と、認証対象者の入場可否を決定する演算処理部3と、入場管理装置のユーザインターフェースの構成要素である操作部4と、演算処理部3での情報処理に必要な情報を記憶する記憶部5と、を備え、演算処理部3とカメラ部1~記憶部5とをそれぞれ内部バス、電気配線、ネットワーク等の適宜の伝送媒体で接続したシステムになっている。また、演算処理部3は、配下機器としての錠装置6と同じく適宜の伝送媒体で接続されている。
【0015】
携帯キーは、当該携帯キーを他の携帯キーと識別可能に割り当てられたキーID情報を保持し、認証キー読取部2に当該キーID情報を無線送信する機能を有する携帯機器であり、例えば、ICカードキー等の非接触キー、ハンズフリーキー(スマートキー)等である。携帯キーを専用キーとして構成する必要はなく、RFID、NFC等の近距離無線通信機能付きスマートフォン等の移動体通信端末にキーID情報を保持させて携帯キーとしてもよい。
【0016】
カメラ部1は、2つの赤外線撮像素子を有し、認証対象者の顔を立体撮影し、その映像を演算処理部3に送信する。これにより、体調変化による顔色の変動の影響や、化粧や写真によるなりすましを排除することができる。
【0017】
認証キー読取部2は、カメラ部1の撮影範囲内に位置する携帯キーと無線交信することができる。認証キー読取部2は、キーID情報を保持している携帯キーから当該キーID情報を読み取り、読み取ったキーID情報を演算処理部3に送信する。認証キー読取部2は、例えば、扉や扉枠付近に固定されたRFID、NFC等の近距離無線通信対応のICリーダーである。
【0018】
演算処理部3は、顔認証に必要な画像処理を実行する画像処理部7を有する。画像処理部7は、カメラ部1から送信された映像を処理し、顔の各パーツの配置関係、凹凸、傾斜などの形状情報を顔画像データとして符号化する映像処理部8と、カメラ部1から送信された認証対象者の映像を処理することによって得られた顔画像データと記憶部5に記憶された利用者の顔画像データとを照合する顔照合部9と、を有する。
【0019】
また、演算処理部3は、認証キー読取部2で読み取られたキーID情報と記憶部5に記憶されたキーID情報とを照合するキーID照合部10と、顔照合部9の照合結果とキーID照合部10の照合結果とに応じて認証対象者の入場可否を決定する認証部11と、を有する。
【0020】
操作部4は、人物から演算処理部3に所定の要求を入力するために操作される入力デバイスである。操作部4は、利用者登録、顔画像データ登録、認証方式の指定、認証開始を入力可能に構成されている。操作部4は、カメラ部1の撮影範囲内かつ認証キー読取部2との交信エリア内に位置する人物が操作を行えるように設けられている。なお、操作部4は、扉や扉枠付近に固定されたものに限定されない。例えば、前述の移動体通信端末を操作部として機能させるようにしてもよいし、演算処理部3をホームゲートウェイに接続し、宅内LAN又はインターネット等のWANに接続されたパーソナルコンピュータ、移動体通信端末、ホーム家電等を操作部として機能させるようにしてもよい。
【0021】
記憶部5は、顔認証に必要な情報とキー認証に必要な情報として事前登録される所定項目の情報を所定に対応付けて記憶する。記憶部5は、所定項目の情報をデータベースDBとして不揮発性メモリ装置上に記憶し、演算処理部3からの閲覧、更新、新規登録、削除等の要求に従ってデータベースDBを管理する。
【0022】
データベースDBは、認証グループ情報(割り当て番号0~4)と、利用者ID情報(P0~P9)と、キーID情報(K0~K7)と、基準顔画像データ(Face1~7)と、認証方式情報(2要素又は顔認証のみもしくはキー認証のみの単要素)とを対応付けて保持する構造のテーブルになっている。基準顔画像データは、登録された利用者ID毎の顔の各パーツの配置関係、凹凸、傾斜などの形状情報を符号化したものである。
【0023】
認証グループ情報は、ユーザグループごとに割り当てられた識別情報である。ユーザグループには、1人以上の利用者と、1個以上の携帯キーとが属する。同一のユーザグループに属する全ての利用者は、当該同一のユーザグループに属する全ての携帯キーを使用する可能性がある。認証グループ情報は、例えば、入場ゲート単位で割り当てることができ、集合住宅の各住戸への入場を管理する場合、住戸単位で認証グループ情報を割り当てるようにし、宿泊施設の各客室への入場を管理する場合、客室単位で認証グループ情報を割り当てるようにすればよい。また、入場ゲートごとに1つの認証グループ情報を割り当てる必要はなく、同一の入場ゲートについて複数の認証グループ情報を割り当ててもよい。
【0024】
利用者ID情報P0~P9は、利用者ごとに割り当てられた識別情報である。このうち利用者ID情報P0は、後述する管理者に割り当てられる。
【0025】
キーID情報K0~K7は、携帯キーごとに割り当てられた識別情報である。このうちキーID情報K0は、後述するマスターキーに割り当てられる。
【0026】
基準顔画像データFace1~7は、顔認証において認証対象者の顔画像と照合させるための利用者の顔画像データとして事前登録された電子データである。利用者の顔画像データは、利用者の顔の特徴量を抽出可能な電子データであればよく、例えば利用者の顔の各パーツの配置関係、凹凸、傾斜などの形状情報などである。
【0027】
認証方式情報(2要素又は単要素)は、顔認証と携帯キーに対するキー認証との2要素認証又は顔認証のみもしくはキー認証のみの単要素認証を指定する情報である。認証方式情報は、利用者ごとに2要素認証に基づいて入場可否を決定すべき利用者とするか、単要素認証に基づいて入場可否を決定すべき利用者とするかを指定するためのものである。
【0028】
認証グループ1~4に対応する認証グループ情報及び携帯キーのキーID情報をデータベースDBに登録する初期登録作業は、この入場管理装置の管理権限を有する管理者のみが実行する。この管理者は、マスターキーである携帯キー(キーID情報K0)を所持している人物であり、例えば、マンション、宿泊施設等の管理会社の担当者である。演算処理部3は、マスターキーのキー認証に成功すると、初期登録作業の権限を認める。記憶部5は、初期登録作業において登録されるユーザグループ(認証グループ情報)と携帯キー(キーID情報)とを対応付けてデータベースDBに格納する。なお、図示例では、管理者の顔画像を登録不要にするため、基準顔画像データとして「NULL」が登録されている。また認証グループ0のキーID情報K0は、入場管理装置を建物に設置する段階で設定される。
【0029】
データベースDBに登録済みの携帯キー(キーID情報K1~K7)のいずれかを所持している人物は、操作部4を操作して利用者登録、顔画像登録、認証方式の指定を行うことができる。演算処理部3は、その人物が所持している携帯キーのキー認証に成功すると、カメラ部1で撮影された当該人物の顔画像データを基準顔画像データとして登録する権限と、顔認証とキー認証との2要素認証又は顔認証もしくはキー認証のみの単要素認証を指定する認証方式情報を登録する権限とを認め、これらの登録を記憶部5に要求する。記憶部5は、当該携帯キーのキーID情報に対応付けて当該人物の基準顔画像データと、当該認証方式情報とをデータベースDBに格納し、また、利用者ID情報を割り当てて当該携帯キーのキーID情報に対応付けてデータベースDBに格納する。これにより、当該人物が、この入場管理装置に対する利用者の事前登録が完了する。
【0030】
データベースDBには、各項目について所定の登録上限数があるが、認証グループ情報ごとに、2人分以上の利用者ID情報と、2人分以上のキーID情報と、2人分以上の基準顔画像データと、2人分以上の認証方式情報(2要素又は単要素)とを登録可能になっている。したがって、記憶部5は、事前登録される携帯キーのキーID情報と、当該携帯キーの利用者として事前登録される複数人の顔画像(基準顔画像データ)とを対応付けて記憶することができる。例えば、認証グループ情報1に関して成立する各キーID情報K1,K2,K3と複数人の基準顔画像データFace1~Face3との全対応付け関係は、それぞれ(K1:Face1,Face2,Face3)の3通りと、(K2:Face1,Face2,Face3)の3通りと、(K3:Face1,Face2,Face3)の3通りである。したがって、認証グループ情報1に関して成立する複数のキーID情報K1,K2,K3と複数人の基準顔画像データFace1~Face3との全対応付け関係は、合計9通りである。
【0031】
演算処理部3の映像処理部8は、カメラ部1で撮影された映像から認証対象者の顔の特徴量を抽出する演算処理を行う。顔照合部9は、映像処理部8で抽出された認証対象者の顔画像の特徴量と一致する特徴量をもった基準顔画像データ(利用者の顔画像データ)を記憶部5に記憶されたデータベースDBから検索し、その検索結果を認証部11に通知する。
【0032】
キーID照合部10は、認証キー読取部2で読み取られたキーID情報と一致するキーID情報を記憶部5に記憶されたデータベースDBから検索し、その検索結果を認証部11に通知する。
【0033】
認証部11は、2要素認証を実施する場合、同一の認証グループ情報と対応付けられた全ての基準顔画像データのうちのいずれか1つとカメラ部1で撮影された認証対象者の顔画像とが一致し、かつ当該同一の認証グループ情報と対応付けられた全てのキーID情報のうちのいずれか1つと認証キー読取部2で読み取られたキーID情報とが一致する場合に当該認証対象者の入場可否を可に決定する。これにより、演算処理部3は、記憶部5に記憶された複数人の利用者の顔画像データ(基準顔画像データ)の中からカメラ部1で撮影され得られた認証対象者の顔画像データと一致する利用者の顔画像データ(基準顔画像データ)を特定し、当該特定した利用者の顔画像データ(基準顔画像データ)と認証キー読取部2で読み取られたキーID情報との対応関係が記憶部5に記憶された複数人の利用者の顔画像データ(基準顔画像データ)とキーID情報との全対応付け関係のいずれかと一致する場合に当該認証対象者の入場可否を可に決定することができる。
【0034】
この入場管理装置の認証処理は、認証対象者が操作部4を操作して認証開始要求を入力することによって開始される。認証開始要求を受けた演算処理部3は、
図2に示す認証処理をスタートする(以下、適宜
図1も参照のこと。)。
【0035】
スタート後、先ず、カメラ部1は、当該認証対象者の顔画像を撮影する(ステップS1)。
【0036】
次に、映像処理部8は、カメラ部1で撮影された映像から当該認証対象者の顔の特徴量を抽出し、その抽出結果を顔照合部9に通知する(ステップS2)。
【0037】
次に、顔照合部9は、当該認証対象者の顔画像の特徴量と一致する特徴量をもった基準顔画像データ(利用者の顔画像データ)を記憶部5のデータベースDBから検索し、その検索結果を認証部11に通知する(ステップS3)。ここで、顔照合部9は、一致する基準顔画像データを発見した場合、当該一致した基準顔画像データに対応付けられた利用者ID情報と認証グループ情報X(図示例の場合、Xは1~4のいずれかの整数)とを取得し、これら両情報を含んだ検索結果を認証部11に通知する。一方、顔照合部9は、一致する基準顔画像データを発見しなかった場合、キー認証のみの単要素認証対象者とみなして、認証キーの読取りへと進む(ステップS4)。
【0038】
次に、認証部11は、ステップS3で特定された利用者ID情報に対応付けられた認証方式情報を記憶部5のデータベースDBから取得し、顔認証のみの単要素認証を指定する認証方式情報であるか2要素認証を指定する認証方式情報であるか読解する(ステップS5)。
【0039】
ステップS5において、顔認証のみの単要素認証を指定する認証方式情報を認証部11が取得した場合、認証部11は、指定された顔認証にステップS3で成功済みのため、キー認証を行わずに、当該認証対象者の入場可否を可に決定する(ステップS6)。これにより、この入場管理装置は、当該認証対象者に対する認証処理を終了する。
【0040】
一方、ステップS5において、2要素認証を指定する認証方式情報を認証部11が取得した場合、認証部11は、キーID照合部10に当該認証グループ情報Xを通知し、キーIDの照合を行うように要求する。なお、ステップS4において、キー認証のみの単要素認証対象者とみなされた場合も、認証部11は、キーIDの照合を行うように要求する。これに応えてキーID照合部10は、認証キー読取部2にキーID情報の読み取りを行うように要求する。これに応えて認証キー読取部2は、無線交信エリア内の携帯キーを探索する。ここで、当該認証対象者が携帯キーを所持している場合、当該携帯キーと認証キー読取部2とが無線交信し、認証キー読取部2は、当該携帯キーが保持しているキーID情報を読み取ることができる。認証キー読取部2は、読み取ったキーID情報をキーID照合部10に通知する(ステップS7)。なお、認証キー読取部2がキーID情報の読み取りに失敗した場合、タイムアウト処理でキー認証失敗となり、この入場管理装置は、当該認証対象者に対する認証処理を終了する。
【0041】
次に、ステップS5において、2要素認証を指定する認証方式情報を認証部11が取得した場合、キーID照合部10は、当該認証グループ情報Xに対応付けられた全てのキーID情報を記憶部5のデータベースDBから取得し、当該データベースDBから取得したキーID情報と当該認証キー読取部2から通知されたキーID情報とを照合し、その照合結果を認証部11に通知する(ステップS8)。
【0042】
また、ステップS4において、キー認証のみの単要素認証対象者とみなされた場合、キーID照合部10は、全てのキーID情報を記憶部5のデータベースDBから取得し、当該データベースDBから取得したキーID情報と当該認証キー読取部2から通知されたキーID情報とを照合し、その照合結果を認証部11に通知する(ステップS8)。なお、認証方式がキー認証のみの単要素認証である全てのキーID情報のみを取得し照合しても良い。
【0043】
ここで、キーID照合部10は、当該認証キー読取部2から通知されたキーID情報が当該データベースDBから取得した全てのキーID情報のいずれかと合致した場合、合致を示す照合結果を認証部11に通知し、当該認証キー読取部2から通知されたキーID情報が当該データベースDBから取得した全てのキーID情報のいずれとも合致しなかった場合、非合致を示す照合結果を認証部11に通知する。
【0044】
ステップS9において合致を示す照合結果が通知された場合、当該認証対象者の入場可否を可に決定する(ステップS10)。これにより、この入場管理装置は、当該認証対象者に対する認証処理を終了する。
【0045】
一方、ステップS9において非合致を示す照合結果が通知された場合、当該認証対象者の入場可否を否に決定する(ステップS11)。これにより、この入場管理装置は、当該認証対象者に対する認証処理を終了する。
【0046】
なお、認証部11は、ステップS6又はS10に至ると、施錠中の錠装置6に解錠への切り替えを指令し、ステップS11に至ると、施錠中の錠装置6に解錠への切り替えを指令しない。
【0047】
図2の認証処理によると、例えば、認証グループ情報1のユーザグループに属する3人家族の利用者(兄、弟、妹)は、いずれも2要素認証に成功しない限り、玄関から住戸に入場することができない。兄(利用者ID情報P1)と弟(利用者ID情報P2)が一卵性の兄弟である場合、兄(利用者ID情報P1)がキーID情報K1の携帯キーを所持し、弟(利用者ID情報P2)がキーID情報K2の携帯キーを所持する場合であっても、認証対象者である兄(利用者ID情報P1)の顔画像データがステップS3で弟の基準顔画像データFace2に一致すると誤認されたり、認証対象者である弟(利用者ID情報P2)の顔画像データがステップS3で兄の基準顔画像データFace1に一致すると誤認されたりする可能性がある。キーID情報K1の携帯キーを所持している認証対象者の兄(利用者ID情報P1)が弟(利用者ID情報P2,Face2)と誤認されたとしても、ステップS8では認証グループ情報1に対応付けられた全てのキーID情報K1~K3を認証キー読取部2で読み取られたキーID情報K1との照合相手にするため、キーID情報K1と3人の基準顔画像データFace1~Face3との全対応付け関係(K1:Face1,Face2,Face3)の一つである(K1:Face2)に一致することになり、キー認証に成功する。つまり、ステップS3において誤認ながらも顔認証に成功し、ステップS8においてキー認証に成功するため、2要素認証に成功する。同様に、キーID情報K2の携帯キーを所持している認証対象者の弟(利用者ID情報P2)が兄(利用者ID情報P1,Face1)と誤認されても、キーID情報K2と3人の基準顔画像データFace1~Face3との全対応付け関係(K2:Face1,Face2,Face3)の一つである(K2:Face1)に一致することになり、2要素認証に成功する。
【0048】
また、兄(利用者ID情報P1)がキーID情報K1の携帯キーを使用し、弟(利用者ID情報P2)がキーID情報K2の携帯キーを使用し、妹(利用者ID情報P3)がキーID情報K3の携帯キーを使用すると利用者間で取り決めてあっても、誰かが携帯キーを取り違えて外出してしまう可能性もある。例えば、兄(利用者ID情報P1)が使用するはずのキーID情報K1の携帯キーを妹(利用者ID情報P3)が所持して外出してしまった場合、認証対象者の妹の顔画像データがステップS3において妹の基準顔画像データFace3と一致して顔認証に成功し、ステップS8ではキーID情報K1と3人の基準顔画像データFace1~Face3との全対応付け関係(K1:Face1,Face2,Face3)の一つである(K1:Face3)に一致することになり、2要素認証に成功する。
【0049】
また、認証グループ情報2のユーザグループに属する母娘の家族(利用者ID情報P4、P5)は、1個の携帯キー(キーID情報K4)しか使用できないが、母娘のいずれが携帯キーを所持している認証対象者であっても、ステップS3において顔認証に成功し、ステップS8ではキーID情報K4と母娘の基準顔画像データFace4~Face5との全対応付け関係(K4:Face4,Face5)のいずれかに一致することになり、キー認証に成功するため、2要素認証に成功する。つまり、1個の携帯キー(キーID情報K4)しか使用できないユーザグループに属する各利用者に対して2要素認証を指定することが可能である。
【0050】
また、認証グループ情報3のユーザグループに属する祖父と孫の家族(利用者ID情報P6、P7)は、1個の携帯キー(キーID情報K5)しか使用できないが、2要素認証を祖父に指定し、孫に顔認証のみの単要素認証を指定しているため、携帯キーを所持している祖父が認証対象者である場合に2要素認証に成功するのは勿論、携帯キーを所持していない孫が認証対象者となる場合には、ステップS3において顔認証に成功してステップS6において入場を許すことが可能である。つまり、孫に携帯キーを所持させることが不要になる。このように構成すると、別居している孫が祖父のマンションに遊びに来る場合でも合鍵がなくとも顔認証のみで入場が可能になる。
【0051】
さらに、認証グループ情報4のユーザグループに属する夫と妻の家族(利用者ID情報P8、P9)のように、各自が携帯キー(キーID情報K6,K7)を保有し、顔認証を使用しない設定としてもよい。
【0052】
この入場管理装置は(
図1、
図2参照)、上述のように、顔認証と携帯キーに対するキー認証との2要素認証に基づいて認証対象者の入場可否を決定するものであって、認証対象者の顔を撮影するカメラ部1と、キーID情報を保持している携帯キーから当該キーID情報を読み取る認証キー読取部2と、事前登録される携帯キーのキーID情報K1~K7と、当該携帯キーの利用者として事前登録される複数人の顔画像データ(基準顔画像データFace1~Face7)とを対応付けて記憶する記憶部5と、記憶部5に記憶された複数人の利用者の顔画像データ(Face1~3,Face4~5,Face6~7)の中からカメラ部1で撮影され得られた認証対象者の顔画像データと一致する利用者の顔画像データを特定し、当該特定した利用者の顔画像データと認証キー読取部2で読み取られたキーID情報との対応関係が記憶部5に対応付けて記憶された複数人の利用者の顔画像データとキーID情報との全対応付け関係のいずれかと一致する場合に当該認証対象者の入場可否を可に決定する演算処理部と、を備えるものである。これにより、携帯キーを所持している利用者が顔認証の際に他の利用者と誤認され得る場合には、この入場管理装置に対する利用者登録として、当該利用者は、当該携帯キーのキーID情報と、当該利用者の顔画像とを対応付けて記憶部に事前登録するだけでなく、当該キーID情報と、当該他の利用者の顔画像とをも対応付けて記憶部に事前登録することも可能になり、このように事前登録を行えば、当該利用者が認証対象者となるとき、カメラ部1で撮影された当該認証対象者の顔画像を演算処理部3が当該他の利用者の顔画像に特定する誤認を行っても、当該他の利用者の顔画像と認証キー読取部2で読み取られたキーID情報(当該認証対象者が所持している当該携帯キーのキーID情報)との対応関係は、記憶部5に対応付けて記憶された複数人の利用者の顔画像とキーID情報との全対応関係のうちの一つと一致することになる。このため、演算処理部3が当該認証対象者の入場可否を可に決定することになり、当該利用者に対するロックアウトが発生しない。
【0053】
したがって、この入場管理装置は、顔認証と携帯キーに対するキー認証の2要素認証に基づいて認証対象者の入場可否を決定可能でありながら、携帯キーを所持している利用者が顔認証の際に他の利用者と誤認され得る場合に当該利用者に対するロックアウトの発生を予防可能なものとすることができる。
【0054】
また、この入場管理装置は、記憶部5が2要素認証又は顔認証のみもしくはキー認証のみの単要素認証を指定する認証方式情報と対応付けて情報として利用者の顔画像データ(基準顔画像データFace1~Face7)と対応付けて事前登録される認証方式情報を記憶するようになっており、演算処理部3が前記特定した利用者の顔画像データと対応付けられた認証方式情報を記憶部から取得し、当該取得した認証方式情報で指定された認証方式に基づいて当該認証対象者の入場可否を決定することにより、この入場管理装置に対する利用者登録として、2要素認証の対象とする利用者にするか、顔認証のみもしくはキー認証のみの対象とする利用者にするかを事前登録することが可能になり、したがって、携帯キーを紛失し易い児童、高齢者や別居している親族等には携帯キーの所持を不要にしつつ、それ以外の利用者や第三者に対しては2要素認証に基づいて比較的高いセキュリティを確保することが可能になる。
【0055】
この入場管理装置では、顔認証を行ってからキー認証を行うようにしたが、この順序を逆にしてもよく、この場合、キーID情報から認証グループ情報を特定し、特定した認証グループ情報に対応付けられた複数人の利用者の顔画像データと照合すればよい。
【0056】
また、この入場管理装置では、顔認証とキー認証を2段階に分けて実施し、認証対象者の顔画像データと認証キー読取部2で読み取られたキーID情報との対応関係と複数人の利用者の顔画像データとキーID情報との全対応付け関係との一致性を2段階に分けて判定したが、この一致性は、顔認証とキー認証の両結果が揃ってから演算処理部で行うようにすることも可能である。2段階に分けることにより、顔認証とキー認証の先に実施する方で認証に失敗した場合、残る無駄な認証処理を回避することができる。
【0057】
また、この入場管理装置では、2以上の住戸を1台の入場管理装置で管理する用途に対応するため、2つ以上の認証グループ情報をデータベースDBに登録できるようにしたが、住戸ごとに入場管理装置を設置する場合、認証グループ情報の項目を省略することも可能である。
【0058】
なお、この入場管理装置では、顔画像データとして、登録された利用者ID毎の顔の各パーツの配置関係、凹凸、傾斜などの形状情報を符号化したものを用いたが、これら符号化した情報を基にして一意に定まる顔IDを映像処理部で生成して記憶部に記憶しても良いし、登録時に撮影した立体画像そのものを顔画像データとしても良い。
【0059】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
1 カメラ部
2 認証キー読取部
3 演算処理部
5 記憶部