(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005827
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電子デバイス
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240110BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240110BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240110BHJP
G06F 21/31 20130101ALI20240110BHJP
【FI】
B41J29/38 202
B41J29/00 Z
B41J29/38 401
H04N1/00 838
H04N1/00 127Z
G06F21/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106229
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田渕 茉也
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061CL08
2C061HJ08
2C061HK05
2C061HK11
2C061HK19
2C061HN04
2C061HN08
2C061HN15
2C061HQ02
5C062AA05
5C062AA35
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC58
(57)【要約】
【課題】複数の電子デバイスで設定情報を共有させるときのセキュリティ上の問題を回避する。
【解決手段】親機プリンタ2Aは、セキュリティコード印刷指示があった場合に、セキュリティコードを表す画像を印刷部24に印刷出力させるST25の手順と、セキュリティコードが入力された場合に、それがST25の手順で印刷出力したセキュリティコードに対応するかを判定するST45の手順と、セキュリティコードが一致すると判定された場合に、通信制御部25を介して接続される子機プリンタ2B1,2B2に対し、大容量記憶装置23に記憶しているプリンタ設定情報23bを送信するST120とST135の手順と、を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定情報を記憶する記憶部と、
通信部と、
画像を出力する出力部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
出力指示があった場合に、認証情報を表す画像を出力部に出力させる出力処理と、
第1情報が入力された場合に、前記第1情報が前記出力処理で出力した認証情報に対応するかを判定する第1判定処理と、
前記第1判定処理において前記認証情報に対応すると判定された場合に、前記通信部を介して接続される他の電子デバイスに対し、前記記憶部に記憶している前記設定情報を送信する第1送信処理と、
を実行する、電子デバイス。
【請求項2】
前記制御部は、さらに、
前記第1判定処理において前記認証情報に対応すると判定された場合に、前記通信部を介してブロードキャストパケットを送信する第2送信処理を実行し、
前記第1送信処理において、
前記第2送信処理で送信した前記ブロードキャストパケットに対し応答した前記他の電子デバイスに対して前記設定情報を送信する、請求項1記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、
前記他の電子デバイスとして動作する場合に、前記第2送信処理で送信された前記ブロードキャストパケットを前記通信部を介して受信する受信処理と、
第2情報の入力を受け付けている場合に、前記通信部を介して受信した前記設定情報を自装置に係わる設定情報として前記記憶部に記憶する記憶処理と、
を実行する、請求項2記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2送信処理において、前記認証情報を含む前記ブロードキャストパケットを送信し、
前記制御部は、さらに、
前記他の電子デバイスとして動作する場合に、前記受信処理で受信された前記ブロードキャストパケットに、前記第2情報に対応する情報が含まれているか否かを判定する第2判定処理を実行し、
前記第2判定処理により前記第2情報に対応する情報が含まれていると判定された場合に、前記ブロードキャストパケットに対する応答を送信する、請求項3記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1送信処理において、前記設定情報および前記認証情報を前記他の電子デバイスに送信し、
前記制御部は、さらに、
前記他の電子デバイスとして動作する場合に、前記通信部を介して受信した前記設定情報に、前記第2情報に対応する情報が含まれているか否かを判定する第3判定処理を実行し、
前記第3判定処理により前記第2情報に対応する情報が含まれていると判定された場合に、前記記憶処理において、前記受信した設定情報を前記記憶部に記憶する、請求項3記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1送信処理において、
あらかじめ設定された所定タイミングで前記設定情報を電子デバイスに送信する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記認証情報は、有効期間を有する可変パスワードである、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記電子デバイスは、前記出力部として印刷部を備えるプリンタであり、
前記制御部は、前記出力処理において、
前記認証情報を表す画像を前記印刷部により印字出力する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定情報を記憶する記憶部を備えた電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電子デバイスで設定情報を共有させる技術が知られている。例えば特許文献1には、Bluetooth(登録商標)による無線通信(以下適宜、単に「Bluetooth(登録商標)通信」という)によって接続されるラベルプリンタから取得した印刷設定データを用いて、メモリに記憶された自プリンタの印刷設定データを更新する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のデバイス間で自由に設定情報の共有ができてしまうと、ユーザの意図に反して設定情報が勝手に送信されてしまう恐れがある。
【0005】
本発明の目的は、複数の電子デバイスで設定情報を共有させるときのセキュリティ上の問題を回避できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明の電子デバイスは、設定情報を記憶する記憶部と、通信部と、画像を出力する出力部と、制御部と、を備え、前記制御部は、出力指示があった場合に、認証情報を表す画像を出力部に出力させる出力処理と、第1情報が入力された場合に、前記第1情報が前記出力処理で出力した認証情報に対応するかを判定する第1判定処理と、前記第1判定処理において前記認証情報に対応すると判定された場合に、前記通信部を介して接続される他の電子デバイスに対し、前記記憶部に記憶している前記設定情報を送信する第1送信処理と、を実行する。
【0007】
本願発明によれば、1つの電子デバイスは、出力指示があった場合に認証情報を表す画像を出力部から出力する。そして、出力部から出力した認証情報を表す画像に対応する情報の入力を入力部で受け付けた場合に、設定情報を1つの電子デバイスから他の電子デバイスに送信する。出力部から出力された画像を見ることができなければ、入力部から認証情報に対応する情報の入力ができない。そのため、例えば、外部からの遠隔操作等によりユーザの意図に反して設定情報の送信が勝手に行われるといったセキュリティ上の問題を回避することができる。
【0008】
なお、本願発明の電子デバイスは、印刷装置に限らず、例えば携帯端末等、適宜適用可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の電子デバイスで設定情報を共有させるときのセキュリティ上の問題を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態に係わる親機プリンタと子機プリンタと操作端末とを含む印刷システム全体の機能的構成を表す機能ブロック図である。
【
図2】操作端末の表示部に表示される詳細設定の操作画面の一例を表す図である。
【
図3】操作端末の表示部に表示される認証情報入力の操作画面の一例を表す図である。
【
図4】操作端末のCPUと親機プリンタの制御回路が実行する制御手順の一例を表すシーケンスチャートである。
【
図5】親機プリンタと各子機プリンタの制御回路が実行する制御手順の一例を表すシーケンスチャートである。
【
図6】子機プリンタにおいてもセキュリティ認証する場合に、操作端末のCPUと親機プリンタの制御回路が実行する制御手順の一例を表すシーケンスチャートである。
【
図7】子機プリンタにおいてもセキュリティ認証する場合に、親機プリンタと各子機プリンタの制御回路が実行する制御手順の一例を表すシーケンスチャートである。
【
図8】子機プリンタにおいてもセキュリティ認証する場合に、親機プリンタと各子機プリンタの制御回路が実行する制御手順の一例を表すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
<システム全体構成>
第1実施形態に係わるモバイルプリンタを含む印刷システム全体の構成を
図1に示す。
図1において、印刷システム1は、例えば汎用パーソナルコンピュータで構成された操作端末3と、複数台のモバイルプリンタ2とを有している。操作端末3は、各モバイルプリンタ2と相互に情報送受可能に接続されており、図示する例では操作端末3が特に図示しないアクセスポイントを介した無線通信で接続されている。なお特に図示しないが、操作端末3が各モバイルプリンタ2と有線通信を介して接続されてもよい。なお、操作端末3は、上述した汎用パーソナルコンピュータ以外でも、例えばスマートフォンやタブレットPCのような携帯端末であってもよい。また、無線通信は例えばWi-Fi(登録商標)などの無線LANやBluetooth(登録商標)であってもよいし、有線通信はETHERNET(登録商標)などの有線LANやUSB接続であってもよい。
【0013】
複数のモバイルプリンタ2のうちで特定の1台が親機プリンタ2Aとして機能し、それ以外の他のモバイルプリンタ2が子機プリンタ2Bとして機能する。なお、親機プリンタ2Aが電子デバイスの一例であり、子機プリンタ2Bが他の電子デバイスの一例である。
【0014】
<操作端末>
操作端末3は、
図2に示すように、CPU31と、例えばRAMやROM等からなるメモリ32と、操作部33と、表示部34と、通信制御部35と、大容量記憶装置36と、を備えている。
【0015】
操作部33は、ユーザからの指示や情報等が入力される例えばマウスおよびキーボード等により構成される。表示部34は、例えば液晶ディスプレイ等により構成されて、各種情報やメッセージを表示する。通信制御部35は、この例では上記無線通信を介して各モバイルプリンタ2との信号の授受の制御を行う。大容量記憶装置36は、各種のプログラムや情報を記憶する。CPU31は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMや大容量記憶装置36に予め記憶されたプログラムに従って、各種の処理やモバイルプリンタ2との間で各種の信号の送受を行う。この例では、上記のメモリ32又は大容量記憶装置36にあらかじめ後述するプリンタ制御プログラム36aなどが記憶されている。
【0016】
<モバイルプリンタ>
モバイルプリンタ2は、図示するように、制御回路21と、メモリ22と、大容量記憶装置23と、印刷部24と、通信制御部25と、表示部26と、操作部27とを有する。
【0017】
大容量記憶装置23は、あらかじめ後述する設定制御プログラム23aなどの各種のプログラムやプリンタ設定情報23bなどの各種情報を記憶する。制御回路21は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMや大容量記憶装置23に予め記憶されたプログラムに従って、当該モバイルプリンタ2における各種の処理を行う。モバイルプリンタ2は、ウェブサーバとして動作可能であり、操作端末3から、ユーザの操作に基づきウェブブラウザを介してモバイルプリンタ2にアクセス可能である。
【0018】
表示部26は、ユーザに対して各種情報を表示する例えば液晶ディスプレイなどで構成され、印字内容を表示する。操作部27は、ユーザが手作業で操作可能な例えばハードスイッチなどで構成される。なお、以上の表示部26と操作部27は、それぞれ液晶ディスプレイとタッチパッドを一体的に組み合わせたタッチパネルで構成されてもよい。
【0019】
制御回路21は、特に図示しない駆動機構を駆動するモータに対する機械的な制御と、印刷ヘッドに対する電気的な制御により、例えば各種の用紙やテープなどの印刷媒体に画像を印字出力する。
【0020】
なお、以上におけるモバイルプリンタ2がプリンタの一例であり、大容量記憶装置23が記憶部の一例であり、通信制御部25が通信部の一例であり、印刷部24が出力部の一例であり、制御回路21が制御部の一例であり、プリンタ設定情報23bが設定情報の一例である。
【0021】
<プリンタ設定情報の同期とそのための操作について>
モバイルプリンタ2などのプリンタにおいては、その動作内容を詳細に定義する複数の項目についてあらかじめユーザにより任意に設定される場合が多い。しかし、そのようなプリンタ設定情報を複数台のモバイルプリンタ2に対して逐一手作業で設定することは大変煩雑である。そこで本実施形態では、あらかじめ1台の親機プリンタ2Aに設定して記憶させたプリンタ設定情報23bを他の子機プリンタ2Bに自動的に同期して共有させる処理を行う。
図2、
図3に、操作端末3の表示部34に表示して操作するための操作画面の一例を示す。操作画面は、モバイルプリンタ2のウェブサーバにアクセスすることによりウェブブラウザで表示され、ユーザは、操作画面から、アクセス先のモバイルプリンタ2の各設定項目の設定値を表示したり、変更したりすることができる。
図2,
図3では、親機プリンタ2Aに設定して記憶させたプリンタ設定情報23bを他の子機プリンタ2Bに自動的に同期して共有させるための同期処理を実行するための一括設定機能を有効化するための設定画面である。
【0022】
プリンタ設定情報23bを同期するための「一括設定」の操作には、
図2に示す「詳細設定」と、
図3に示す「認証情報入力」の各操作画面がある。ユーザは各操作画面の左側の操作ボタンを操作することで、操作画面を切り替えて操作する。
図2に示す例の詳細設定の操作画面では、親機プリンタ2Aに登録する内容の設定操作と、セキュリティコードの印刷操作が可能となっている。親機プリンタ2Aに登録する内容の設定操作としては、同期処理を行うタイミングである送信タイミングと、プリンタ設定情報23bの内容のうちで同期させる設定項目の設定が行える。
【0023】
送信タイミングとは、親機プリンタ2Aから各子機プリンタ2Bへプリンタ設定情報23bを送信するタイミングであり、親機プリンタ2Aにおいてプリンタ設定情報23bが変更される頻度や、その設定情報をどの程度リアルタイムに反映させる必要があるかに応じて設定される。図示する例では、この送信タイミングの設定内容として、一定時間間隔で繰り返し送信する場合の「定期」と、一度だけ送信する場合の「随時」のいずれかを選択可能となっている。また、「定期」の送信タイミングを選択している場合には、その時間間隔として「毎日」と「毎週」のいずれかを選択でき、何時に送信するかの設定ができる。さらに「毎週」の場合にはどの曜日に送信するかも設定できる。
【0024】
またプリンタ設定情報23bのうち、図示する例では設定A~設定Hの8つの設定項目のうちのいずれを同期させるかについて設定可能となっている。設定A~設定Hは、親機プリンタ2Aに設定された各設定情報の各項目を表している。親機プリンタ2Aは、自身に設定されたすべての設定情報を子機プリンタ2Bに同期するのではなく、ユーザにより操作画面から指定された項目に対応する設定情報のみを子機プリンタ2Bへ共有する。親機プリンタ2Aに設定された各設定情報は、図示しない操作画面において設定を行い、大容量記憶装置23に記憶させておく。子機プリンタ2Bへの送信の際に、設定A~設定Hのうち指定された設定項目に対応する設定情報を大容量記憶装置23から読み出し、子機プリンタ2Bへ送信する。
【0025】
また、当該詳細設定の操作画面では、セキュリティコード印刷ボタン34aを押下操作することで、親機プリンタ2Aにセキュリティコードを用紙に印刷させて出力させることができる。このセキュリティコードは、当該親機プリンタ2A自身で生成した適宜の有効期間を有する可変パスワード(いわゆるワンタイムパスワード)であり、認証情報の一例である。ユーザは、手に取った用紙から視認した当該セキュリティコード(図示する例では「abc123」)を、その有効期間内に
図3に示す「認証情報入力」の操作画面で入力することで、一括設定を有効化させることができる。すなわち、親機プリンタ2Aが記憶しているプリンタ設定情報23bを、他の子機プリンタ2Bに同期させることができる。
【0026】
以上のようにして第1実施形態では、親機プリンタ2A自身が生成して用紙に印刷出力したセキュリティコードを、有効期間内で視認して手入力により操作端末3に操作入力できた操作者に対してセキュリティ認証する。そしてそのセキュリティ認証したタイミングで、当該親機プリンタ2Aの無線通信範囲内に存在する子機プリンタ2Bはいずれも信用できるデバイスであるとして、それぞれにプリンタ設定情報23bを送信する。
【0027】
<制御手順>
第1実施形態における上記の手法を実現するために、モバイルプリンタ2の制御回路21と操作端末3のCPU31が協働して実行する制御手順の一例を、
図4、
図5のシーケンスチャートにより説明する。このとき、モバイルプリンタ2の設定制御プログラム23aと、操作端末3のプリンタ制御プログラム36aとが協働して図示するシーケンスを実行する。
図4は、一括設定機能有効化処理におけるシーケンスチャートであり、
図5は、
図4において、一括設定機能が有効化された場合に、実際に一括設定を行う際のシーケンスチャートである。
【0028】
まずユーザが操作端末3で上記セキュリティコード印刷ボタン34aを押下操作した際に、
図4に示すST5の手順で操作端末3がその印刷指示を親機プリンタ2Aへ送信する。なお、この印刷指示が出力指示の一例である。またこのときには、印刷指示とともに上記詳細設定の操作画面で設定した送信タイミングや設定項目の内容も併せて送信される(図示省略)。それらを全て入力値として受信した親機プリンタ2Aは、ST10で入力値を大容量記憶装置23に保存する。ST15で新規のセキュリティコードを生成し、ST20で当該セキュリティコードを、現在時刻を表す日時情報と合わせて大容量記憶装置23に保存する。なお、過去にセキュリティコードを印刷したことがある場合は、過去に印刷したセキュリティコードおよび日時情報を、ST15で生成したセキュリティコードと現在時刻を表す日時情報とを大容量記憶装置23に上書きする。続いて、ST25で当該セキュリティコードを用紙に印刷して出力する。
【0029】
ST30では、印刷したセキュリティコードが有効期限内であるか否かを判断する。すなわち、ST20でセキュリティコードと合わせて保存した日時情報からあらかじめ決められた所定時間(たとえば、2時間)が経過したかを判断する。ST30で有効期限を超過した場合(所定時間が経過した場合)にはNO判定となり、セキュリティコードが有効期限内である場合にはYES判定となる。ST40では、ユーザが操作端末3で手入力したセキュリティコードの入力値を操作端末3から受信する。ST40の受信処理は、ST30の処理と並行して行われる。操作端末3からセキュリティコードの入力値を受信したタイミングが、有効期限を超過してから、すなわちST30でNO判定となってからであれば、ST35でエラー処理を実行した後にこのシーケンスを終了する。エラー処理は、例えば、認証に失敗したため、セキュリティコードの印刷指示からやり直す旨のメッセージを操作端末3の操作画面に表示させる。操作端末3からセキュリティコードの入力値を受信したタイミングが、有効期限内、すなわちST30でYES判定の場合はST45へ移行する。なお、ユーザが手入力したセキュリティコードの入力値が第1情報の一例である。
【0030】
ST45では、受信したセキュリティコードの入力値がST20で保存したものと一致するか否かを判断し、一致しない場合はNO判定となってST35でエラー処理を実行した後にこのシーケンスを終了する。
【0031】
一方、受信したセキュリティコードと生成保存したセキュリティコードが一致する場合はYES判定となり、ST50で一括設定機能を有効化し、このシーケンスを終了する。すなわち、一括設定機能有効化の指示がセキュリティ上信頼できるとして認証し、親機プリンタ2Aの無線通信範囲内に存在する他の子機プリンタ2Bにプリンタ設定情報23bの送信を許可する。
【0032】
続いて、
図5を用いて、一括設定機能が有効化された親機プリンタ2Aが子機プリンタ2B1,2B2に一括設定を行う場合の制御手順について説明する。
図5に示すST105で、上記詳細設定の操作画面で設定された送信タイミングに到達するまでループ待機する。
図2の例では、毎日20時が送信タイミングのため、現在時刻が20時になると、ST105でYESと判定される。送信タイミングとして、「随時」が設定されている場合は、
図4のST50で一括設定機能が有効化されると、
図5に示すST105でYES判定となり、引き続き、プリンタ設定情報23bの送信処理が開始される。なお、この送信タイミングが所定タイミングの一例である。送信タイミングに到達した際には、ST110で図示する例の全ての子機プリンタ2B1,2B2に対して一斉に応答要求のパケットをブロードキャストで送信する。応答要求を受信した2つの子機プリンタ2B1,2B2は、それぞれST115とST130で親機プリンタ2Aに応答信号を返信する。ST120とST135で親機プリンタ2Aは、応答のあった子機プリンタ2B1,2B2へそれぞれプリンタ設定情報23bを送信する。ST125とST140で、子機プリンタ2B1,2B2は、それぞれ、親機プリンタ2Aから受信したプリンタ設定情報23bを保存する。送信タイミングが「定期」と設定されている場合は、
図5のシーケンスが終了した後も、一括設定機能の有効化は維持され、次の送信タイミングとなったら、再びST105でYES判定となる。一方、「随時」と設定されている場合は、
図5のシーケンスが終了すると、一括設定機能は無効となる。
【0033】
なお、以上においてST25の手順が出力処理の一例であり、ST45の手順が第1判定処理の一例であり、ST120及びST135の各手順で親機プリンタ2Aが送信する処理が第1送信処理の一例であり、ST110の手順で親機プリンタ2Aが送信する処理が第2送信処理の一例である。
【0034】
<第1実施形態の効果>
以上説明したように、第1実施形態の親機のモバイルプリンタ2Aは、操作端末3から受信したセキュリティコード印刷指示に応じてセキュリティコードを表す画像を印刷部24から印字出力する。そして、印刷部24から出力したセキュリティコードを表す画像に対応する入力値が入力された場合に、プリンタ設定情報23bを親機プリンタ2Aから子機プリンタ2B1,2B2に送信する。印刷部24から出力された画像を見ることができなければ、セキュリティコードに対応する入力値の入力ができない。そのため、例えば、外部からの遠隔操作等によりユーザの意図に反してプリンタ設定情報23bの送信が勝手に行われるといったセキュリティ上の問題を回避することができる。
【0035】
なお、親機プリンタ2Aに対するセキュリティコード印刷指示は、当該親機プリンタ2Aの操作部27に対するユーザからの手入力操作によって行われてもよい。また、セキュリティコードの出力は用紙印刷に限られず、表示部26などにおける表示であってもよい。
【0036】
また、第1実施形態では特に、まずブロードキャストにより送信対象となり得る子機プリンタ2B1,2B2を探した後に、見つかった子機プリンタ2B1,2B2を送信対象として特定した状態でプリンタ設定情報23bを送信することができる。ST45の手順においてセキュリティコードと入力値が一致すると判定された場合にブロードキャストパケットを送信するため、ユーザの意図に反してブロードキャストが勝手に行われネットワーク上の通信負荷が高くなるといった問題を回避できる。
【0037】
また、第1実施形態では特に、親機プリンタ2Aの制御回路21があらかじめ設定された送信タイミングでのST120及びST135の各手順でプリンタ設定情報23bを各子機プリンタ2B1,2B2に送信する。これにより、印刷部24から印刷出力したセキュリティコードと一致する入力値が入力された場合に、例えば定期的にプリンタ設定情報23bを送信することで受信側の子機プリンタ2B1,2B2において定期的にプリンタ設定情報23bを自動更新することができる。
【0038】
また、第1実施形態では特に、有効期間を有する可変パスワードとしてのいわゆるワンタイムパスワードをセキュリティコードとして用いることで、高いセキュリティを確保することができる。
【0039】
また、第1実施形態では特に、親機プリンタ2Aが、セキュリティコードの出力部としての印刷部24を備えるプリンタであり、制御回路21は、ST25の手順において、セキュリティコードを表す画像を印刷部24により印字出力する。これにより、操作端末3から入力された入力値の内容と印字出力されたセキュリティコードの内容とが互いに対応しているかに応じて、プリンタ設定情報23bを送信することができる。印字出力される内容との照合はオフラインによるものとなるため、さらにセキュリティを向上することができる。
【0040】
なお、親機プリンタ2Aは、特にセキュリティコードの画像が印刷された印刷面を下面として用紙を排出する構成である場合に、当該用紙を直接手に取るユーザ以外はセキュリティコードの視認が困難となるためセキュリティの観点から望ましい。
【0041】
また、親機プリンタ2Aによるセキュリティコードの印刷出力は、上述したようにセキュリティコードの文字画像そのものの印刷以外にも、例えばQRコード(登録商標)などの2次元コードに符号化された画像を印刷出力してもよい。この場合には、操作端末3や親機プリンタ2Aに接続された光学リーダーを用いて当該2次元コード画像を読み取り、セキュリティコードの入力を行う。
【0042】
<第2実施形態>
第1実施形態では、セキュリティコードの照合によるセキュリティ認証を親機プリンタ2Aにおいてのみ行われたが、第2実施形態は、さらに各子機プリンタ2B1,2B2のそれぞれでもセキュリティ認証を行う。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の箇所については、適宜説明を省略する。
【0043】
第2実施形態における一括設定機能有効化処理では、
図4のシーケンスチャートに加え、
図6のシーケンスチャートで示す手順も実施される。具体的には、操作端末3を操作することで、一括設定機能により親機プリンタ2Aから送信された設定情報を自プリンタの設定値として保存させたい子機プリンタ2B(本実施形態では2つの子機プリンタ2B1,2B2)に対しST205とST210でそれぞれセキュリティコードの入力値を送信する。具体的には、ユーザは、操作端末3のウェブブラウザから、子機プリンタ2B1のウェブサーバにアクセスし、
図3に示す認証情報入力画面を表示する。そして、認証情報入力画面で、親機プリンタ2Aで入力したセキュリティコードと同じセキュリティコードを入力、入力ボタンを操作する。子機プリンタ2B2に対しても同様に、操作端末3のウェブブラウザから子機プリンタ2B2のウェブサーバにアクセスしセキュリティコードを入力、入力ボタンを操作する。子機プリンタ2B1,2B2は、それぞれST215とST220で操作端末3から受信したセキュリティコードの入力値を大容量記憶装置23に保存する。
【0044】
第2実施形態では、
図5に代えて
図7で示す手順を実行する。具体的には、親機プリンタ2Aは、ST110のブロードキャストパケットにST20で保存したセキュリティコードを含めて送信する。そしてブロードキャストパケットを受信した各子機プリンタ2B1,2B2が、それぞれすぐにST113とST128の手順であらかじめ保存していたセキュリティコードと、受信したブロードキャストパケットに含まれるセキュリティコードとが一致するか否かを判断する。一致しない、すなわち受信したセキュリティコードが適正でないと判断した場合にはNO判定となる。このとき、子機プリンタ2Bは、ブロードキャストパケットに対する応答パケットを送信しない。一方、受信したセキュリティコードがST113、ST128で保存していたセキュリティコードと一致する場合、すなわち、受信したセキュリティコードが適正であると判断した場合にはYES判定となり、それぞれST115とST130の手順に移行する。その後の処理は、第1実施例と同様であり、子機プリンタ2B1,2B2は、順次親機プリンタ2Aからのプリンタ設定情報23bの受信と保存を行う。
【0045】
なお、以上において、ST110の手順で各子機プリンタ2B1,2B2がそれぞれブロードキャストパケットを受信する処理が受信処理の一例であり、ST205とST210の手順でそれぞれ受信したセキュリティコードの入力値が第2情報の一例であり、ST120とST135の手順でそれぞれ受信したプリンタ設定情報23bが自装置に係わる設定情報の一例であり、ST125とST140の手順が記憶処理の一例であり、ST113とST128の手順が第2判定処理の一例である。
【0046】
<第2実施形態の効果>
以上説明したように、第2実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を奏する。さらに、第2実施形態では、子機のモバイルプリンタ2B1,2B2は、制御回路21が、さらに、ST110の手順で親機プリンタ2Aから送信されたブロードキャストパケットを受信し、あらかじめ保存しておいたセキュリティコードの入力を受け付けている場合に、受信したプリンタ設定情報23bを自装置に係わるプリンタ設定情報23bとしてST125とST140の手順で大容量記憶装置23に記憶する。
【0047】
これにより、プリンタ設定情報23bを受信する子機プリンタ2B1,2B2側において事前にセキュリティコードが入力、保存されていることを、受信したプリンタ設定情報23bを反映するための条件とすることができる。事前にセキュリティコードが入力、保存されていない子機プリンタ2Bは、親機プリンタ2Aの無線通信範囲内に存在していてもプリンタ設定情報23bを記憶しない。そのため、ユーザの意図に反して勝手に受信した設定を反映してしまうといったセキュリティ上の問題を回避することができる。
【0048】
また、第2実施形態では特に、親機プリンタ2Aの制御回路21が、ST110の手順でセキュリティコードを含むブロードキャストパケットを送信し、各子機プリンタ2B1,2B2の制御回路21が、さらに、ST110の手順で受信されたブロードキャストパケットに、あらかじめ保存していたセキュリティコードに対応する情報が含まれているか否かをST113とST128の手順で判定し、セキュリティコードに対応する情報が含まれていると判定された場合に、ブロードキャストパケットに対する応答を送信する。
【0049】
これにより、ブロードキャストパケットの受信時に行われた判定処理での判定が満たされなかった場合には受信側の子機プリンタ2B1,2B2からの応答信号は送信されず、その後のやりとりは行われない。その結果、無駄なプリンタ設定情報23bの送信を回避することができる。
【0050】
<変形例>
なお、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0051】
第2実施形態において、ブロードキャストパケットを送信するST110の手順で、親機プリンタ2Aから各子機プリンタ2B1,2B2へのセキュリティコードを送信したが、これに限らず、例えば、
図8に示すようにプリンタ設定情報23bを送信するST120とST135の各手順で行ってもよい。
【0052】
この場合に各子機プリンタ2B1,2B2は、ST110における親機プリンタ2Aからのブロードキャストを受信すると、ST215でコード情報が保存されているかにかかわらず、ST115,ST130にて応答パケットを送信する。その後、ST120とST135の各手順で親機プリンタ2Aからプリンタ設定情報23bとともにセキュリティコードが送信される。各子機プリンタ2B1,2B2は、ST123とST138の各手順で受信したセキュリティコードがST215で保存したセキュリティコードと一致するかのセキュリティコードの照合による適正判定を行う。そして、それぞれ適正でないとするNO判定の場合には受信したプリンタ設定情報23bを保存することなく、このシーケンスを終了する。セキュリティコードが適正であるとするYES判定の場合にはそれぞれST125とST140の各手順でプリンタ設定情報23bを保存する。なお、ST123とST138の各手順が第3判定処理の一例である。
【0053】
以上のように、親機プリンタ2Aの制御回路21が、ST120及びST135の各手順でセキュリティコード及びプリンタ設定情報23bを各子機プリンタ2B1,2B2へ送信し、各子機プリンタ2B1,2B2の制御回路21が、さらに、ST120及びST135の各手順で受信したプリンタ設定情報23bに、あらかじめ保存していたセキュリティコードに対応する情報が含まれているか否かをST123とST138の手順で判定し、セキュリティコードに対応する情報が含まれていると判定された場合に、ST125とST140の各手順において受信したプリンタ設定情報23bを大容量記憶装置23に記憶する。
【0054】
これにより、ブロードキャストパケット受信への応答を送信した後、プリンタ設定情報23bの受信時においてST123とST138の判定処理が行われる。そのため、親機プリンタ2Aでは、パケットを受信した子機プリンタ2B1,2B2の数を知ることができる。この数を可視化することで、一括設定対象とすべき子機プリンタ2Bの設定忘れなどの確認を行うことができる。
【0055】
また、
図8のST115,ST130の手順において、ST215でコードが保存されているか否かにかかわらず応答パケットを送信したが、これに限らず、ST215でコードが保存されている場合にのみ応答パケットを送信してもよい。そして、ST123とST138の手順でセキュリティコードに対応する情報が含まれていると判定された場合に、ST125とST140の各手順において受信したプリンタ設定情報23bを大容量記憶装置23に記憶するようにしてもよい。この場合、セキュリティコードが入力されていない子機プリンタ2B、すなわち一括設定の対象ではない子機プリンタ2Bは応答パケットを送信しないため、ブロードキャストパケットに対する応答パケット数増大による通信負荷を軽減させることができる。
【0056】
第2実施形態において、子機プリンタ2B1,2B2に保存するセキュリティコードは、親機プリンタ2AのST45において認証を行ったセキュリティコードと同じだが、別のコードを使用してもよい。この場合、ST15で生成されるセキュリティコードは、親機プリンタ2A用と子機プリンタ2B用との複数種類を生成するようにしてもよい。生成した複数のセキュリティコードは、1枚の用紙に印刷してもよいし、それぞれ別の用紙に印刷してもよい。ST110で送信する認証情報は、子機プリンタ2B用のセキュリティコードを送信してもよい。すなわち、ST20では、親機プリンタ2A用と子機プリンタ2B用との複数種類を記憶しており、ST45での判定処理と、ST113の判定処理とで、異なるセキュリティコードを用いて認証処理を行ってもよい。
【0057】
ST110の手順におけるブロードキャストパケットは送信しなくてもよい。例えば、一括設定の対象である子機プリンタ2Bの識別情報をユーザがあらかじめ設定してもよい。そして、ST105において送信タイミングとなった場合に、設定された子機プリンタ2Bに、設定情報を送信してもよい。
操作端末3から入力された情報は、例えば、モバイルプリンタ2の操作部27から入力されてもよい。例えば、ST5の手順におけるセキュリティコードの印刷指示を、親機プリンタ2Aの操作部27から行ってもよい。例えば、ST40の入力値は、親機プリンタ2Aの操作部27から行ってもよい。例えば、ST205の入力値は、子機プリンタ2B1の操作部27から行ってもよい。例えば,ST210の入力値は、子機プリンタ2B2の操作部27から行ってもよい。
【0058】
一括設定を行う設定情報は、ユーザが任意に設定した設定項目に対応する設定値に限らず、あらかじめ決められた固定の設定項目に対応する設定値を送ってもよい。設定情報を送信する送信タイミングは、定期的に送信する場合であっても、送信終了日を設定したり送信回数を設定したりして、送信処理に制限を持たせてもよい。このような構成により、一括設定機能を有効化したら、無効化するまで一括設定を繰り返す場合に比べて、セキュリティ向上が図れる。
【0059】
モバイルプリンタ2における一括設定を例に説明したが、モバイルプリンタ2に限らず、レーザープリンタや印字ジェット方式のプリンタであってもよい。また、プリンタに限らず、表示機能を備えた電子デバイスであってもよい。この場合、認証情報の出力は、印刷ではなく表示にて行ってもよい。
【0060】
また、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8に示すシーケンスチャートは本発明を上記シーケンスに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0061】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0062】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0063】
1 印刷システム
2 モバイルプリンタ(電子デバイス、他の電子デバイスの一例)
2A 親機プリンタ(電子デバイスの一例)
2B 子機プリンタ(他の電子デバイスの一例)
3 操作端末
21 制御回路(制御部の一例)
23 大容量記憶装置(記憶部の一例)
23b プリンタ設定情報(設定情報の一例)
24 印刷部(出力部の一例)