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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058287
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】サイリスタ整流器の制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
H02M7/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165555
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤木 啓太
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006AA04
5H006CA03
5H006CB01
5H006CB08
5H006DA02
5H006DB01
5H006DC02
5H006HA08
(57)【要約】
【課題】ゲートパルス試験を適切、かつ容易に実行することができるサイリスタ整流器の制御システムを提供する。
【解決手段】監視操作盤21は、遮断器投入準備完了信号がアサートされ、かつ遮断器操作切替スイッチによって遮断器の操作権を監視操作盤が取得し、かつ遮断器操作スイッチによって遮断器の投入が指示された場合に、遮断器を投入する遮断器制御回路81を備える。制御盤20は、サイリスタ整流器から出力される電流の大きさを第2の電流の大きさとして設定する第2の電流設定用操作器23と、第2の電流設定用操作器23によって設定された大きさの第2の電流を生成する第2の電流生成器24と、ゲートスタート信号がアサートされている条件を満たす場合に、遮断器投入準備完了信号をネゲートする第3の演算回路103とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御盤と、
監視操作盤とを備え、
前記監視操作盤は、
遮断器の操作権を取得するための遮断器操作切替スイッチと、
前記遮断器の投入または遮断を指示するための遮断器操作スイッチと、
遮断器投入準備完了信号がアサートされ、かつ前記遮断器操作切替スイッチによって前記遮断器の操作権を前記監視操作盤が取得し、かつ前記遮断器操作スイッチによって前記遮断器の投入が指示された場合に、前記遮断器を投入する遮断器制御回路と、
サイリスタ整流器から出力される電流の大きさを第1の電流の大きさとして設定する第1の電流設定用操作器と、
前記第1の電流設定用操作器によって設定された大きさの第1の電流を生成する第1の電流生成器とを備え、
前記制御盤は、
制御基板と、
試験を指示するための試験指示スイッチと、
前記試験指示スイッチがオンされ、かつ前記遮断器が遮断状態であることを確認する遮断器遮断確認信号がアサートされている条件を満たすときに、第1の試験モード信号をアサートする第1の演算回路と、
前記第1の試験モード信号がアサートされている条件を満たす場合に、ゲートスタート信号をアサートして、前記制御基板に供給する第2の演算回路と、
前記ゲートスタート信号がアサートされている条件を満たす場合に、前記遮断器投入準備完了信号をネゲートする第3の演算回路と、
前記サイリスタ整流器から出力される電流の大きさを第2の電流の大きさとして設定する第2の電流設定用操作器と、
前記第2の電流設定用操作器によって設定された大きさの第2の電流を生成する第2の電流生成器とを備え、
前記制御基板は、
前記ゲートスタート信号がアサートされているときに、ゲートパルス信号を生成して、前記サイリスタ整流器に供給するゲートパルス発生器と、
前記第1の電流または前記第2の電流に基づいて、前記ゲートパルス信号の位相角を設定する電流制御器と、を含む、サイリスタ整流器の制御システム。
【請求項2】
前記第1の演算回路は、前記第2の電流の大きさが下限である条件をさらに満たす場合に、前記第1の試験モード信号をアサートする、請求項1記載のサイリスタ整流器の制御システム。
【請求項3】
前記第1の演算回路は、前記試験指示スイッチがオフされ、または、整流器設備のいずれかの箇所で重故障が生じたという条件を満たす条件を満たす場合に、前記第1の試験モード信号をネゲートする、請求項2記載のサイリスタ整流器の制御システム。
【請求項4】
前記第2の演算回路は、前記第2の電流の大きさが下限でない条件をさらに満たす場合に、前記ゲートスタート信号をアサートして、前記制御基板に供給する、請求項1記載のサイリスタ整流器の制御システム。
【請求項5】
前記第2の電流設定用操作器は、リミットスイッチを含み、
前記第2の電流生成器は、前記リミットスイッチによって、抵抗値が変化する可変抵抗を含み、
前記第2の電流生成器は、前記可変抵抗の抵抗値に応じた前記第2の電流を生成する、請求項1記載のサイリスタ整流器の制御システム。
【請求項6】
前記第1の電流および前記第2の電流のうちのいずれかを前記制御基板に供給する切替スイッチを備え、
前記切替スイッチは、前記第1の試験モード信号がアサートされているときに、前記第2の電流を前記制御基板に供給し、前記第1の試験モード信号がネゲートされているときに、前記第1の電流を前記制御基板に供給する、請求項1記載のサイリスタ整流器の制御システム。
【請求項7】
前記第3の演算回路は、前記ゲートスタート信号がネゲートされている、または前記遮断器遮断確認信号がアサートされている条件を満たす場合に、前記遮断器投入準備完了信号をアサートする、請求項1記載のサイリスタ整流器の制御システム。
【請求項8】
前記第3の演算回路は、前記サイリスタ整流器の本体が故障しておらず、かつ前記制御盤の動作用の直流電源がオンであるという条件をさらに満たす場合に、前記遮断器投入準備完了信号をアサートする、請求項7記載のサイリスタ整流器の制御システム。
【請求項9】
第2の試験モード信号を前記監視操作盤に供給する第4の演算回路をさらに備え、
前記第4の演算回路は、前記試験指示スイッチがオンされ、かつ前記第1の試験モード信号をアサートされている条件を満たす場合に、前記第2の試験モード信号をアサートする、請求項1記載のサイリスタ整流器の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サイリスタ整流器の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、整流器を備える電力変換装置の試験設備が知られている。たとえば、特許文献1に記載の試験設備は、変圧器、試験装置、試験リアクトル、制御装置、電流検出器、監視装置、電流検出器、電圧検出器、第1リアクトル、第2リアクトルおよびキャパシタを備える。監視装置は、インバータの機能試験を行う。インバータの機能試験においては、例えば、監視装置は、電流検出器からインバータの出力電流と出力電圧の値を取得し、規定される試験条件に適合しているか否かを判定することにより、インバータの動作が正常か否かの機能試験を行う。試験装置は、制御装置の第2PWM制御部によってPWM制御されることにより、負荷の運転を模擬した電力変換動作をする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-145909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、操作機器を遠方に設置する監視操作盤内に設け、制御基板をサイリスタ整流器の本体に隣接する制御盤内に設ける場合がある。このような場合には、以下のような問題がある。ゲートパルス試験を実施する試験員は、電流設定のために監視操作盤へ移動する必要があり、不便である。制御盤を用いてゲートパルス試験中に遠方の監視操作盤で遮断器が投入される場合があり、ゲートパルス試験を適切に実行することができない。
【0005】
それゆえに、本開示の目的は、ゲートパルス試験を適切、かつ容易に実行することができるサイリスタ整流器の制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のサイリスタ整流器の制御システムは、制御盤と、監視操作盤とを備える。監視操作盤は、遮断器の操作権を取得するための遮断器操作切替スイッチと、遮断器の投入または遮断を指示するための遮断器操作スイッチと、遮断器投入準備完了信号がアサートされ、かつ遮断器操作切替スイッチによって遮断器の操作権を監視操作盤が取得し、かつ遮断器操作スイッチによって遮断器の投入が指示された場合に、遮断器を投入する遮断器制御回路と、サイリスタ整流器から出力される電流の大きさを第1の電流の大きさとして設定する第1の電流設定用操作器と、第1の電流設定用操作器によって設定された大きさの第1の電流を生成する第1の電流生成器とを備える。制御盤は、制御基板と、試験を指示するための試験指示スイッチと、試験指示スイッチがオンされ、かつ遮断器が遮断状態であることを確認する遮断器遮断確認信号がアサートされている条件を満たすときに、第1の試験モード信号をアサートする第1の演算回路と、第1の試験モード信号がアサートされている条件を満たす場合に、ゲートスタート信号をアサートして、制御基板に供給する第2の演算回路と、ゲートスタート信号がアサートされている条件を満たす場合に、遮断器投入準備完了信号をネゲートする第3の演算回路と、サイリスタ整流器から出力される電流の大きさを第2の電流の大きさとして設定する第2の電流設定用操作器と、第2の電流設定用操作器によって設定された大きさの第2の電流を生成する第2の電流生成器とを備える。制御基板は、ゲートスタート信号がアサートされているときに、ゲートパルス信号を生成して、サイリスタ整流器に供給するゲートパルス発生器と、第1の電流または第2の電流に基づいて、ゲートパルス信号の位相角を設定する電流制御器とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、制御盤が、サイリスタ整流器から出力される電流の大きさを第2の電流の大きさとして設定する第2の電流設定用操作器と、第2の電流設定用操作器によって設定された大きさの第2の電流を生成する第2の電流生成器と、ゲートスタート信号がアサートされている条件を満たす場合に、遮断器投入準備完了信号をネゲートする第3の演算回路とを備え、監視操作盤が、遮断器投入準備完了信号がアサートされ、かつ遮断器操作切替スイッチによって遮断器の操作権を監視操作盤が取得し、かつ遮断器操作スイッチによって遮断器の投入が指示された場合に、遮断器を投入する遮断器制御回路を備える。これによって、ゲートパルス試験を実施する試験員は、電流設定のために監視操作盤へ移動する必要がなく、制御盤を用いてゲートパルス試験中に遠方の監視操作盤で遮断器が投入されることを防止できる。その結果、ゲートパルス試験を適切、かつ容易に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】参考例の制御監視盤10の構成を表わす図である。
図2】制御基板14と、交流電源32と、遮断器33と、サイリスタ整流器31と、負荷LDとを表わす図である。
図3】実施の形態のサイリスタ整流器の制御システムの一例を表わす図である。
図4】第1の電流設定用操作器84および第1の電流生成器80を表わす図である。
図5】第2の電流設定用操作器23および第2の電流生成器24を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰り返さないものとする。
【0010】
[参考例]
図1は、参考例の制御監視盤10の構成を表わす図である。図2は、制御基板14と、交流電源32と、遮断器33と、サイリスタ整流器31と、負荷LDとを表わす図である。
【0011】
参考例において、サイリスタ整流器の制御機能と監視操作機能は、サイリスタ整流器の本体から遠方に設置されている制御監視盤10に集約されている。制御監視盤10内に設けられた操作機器と制御基板14とを用いることによって、ゲートパルス試験と軽負荷試験とが行われる。ここで、ゲートパルス試験では、遮断器を投入せずにゲートスタート信号を制御基板に供給することによって、制御基板からサイリスタ整流器にゲートパルス信号が送られる。軽負荷試験では、遮断器を投入後に、ゲートスタート信号を制御基板に供給することによって、制御基板からサイリスタ整流器にゲートパルス信号が送られる。
【0012】
制御監視盤10は、試験指示スイッチ51と、遮断器操作権取得スイッチ52と、電流設定操作権取得スイッチ53と、電流設定用操作器54と、PLC(Programmable Logic Controller)12と、制御基板14とを備える。
【0013】
PLC12は、AND回路55と、NAND回路57と、フリップフロップ56と、電流生成器60と、下限判定回路59と、AND回路58とを備える。
【0014】
試験指示スイッチ51がオンに設定されると、試験指示信号X1がハイレベルにアサートされる。試験指示スイッチ51がオフに設定されると、試験指示信号X1がロウレベルにネゲートされる。
【0015】
遮断器遮断確認信号X2は、他の制御盤から送られる。遮断器33が遮断されているときに、遮断器遮断確認信号X2はハイレベルにアサートされる。遮断器33が投入されているときに、遮断器遮断確認信号X2はロウレベルにネゲートされる。
【0016】
遮断器操作権取得スイッチ52は、制御監視盤10において遮断器33の操作権を取得するためのスイッチである。遮断器操作権取得スイッチ52がオンに設定されると、遮断器操作権取得信号X3がハイレベルにアサートされる。遮断器操作権取得スイッチ52がオフに設定されると、遮断器操作権取得信号X3がロウレベルにネゲートされる。
【0017】
電流設定操作権取得スイッチ53は、制御監視盤10においてサイリスタ整流器31の出力電流設定の権限を取得するためのスイッチである。電流設定操作権取得スイッチ53がオンに設定されると、電流設定操作権取得信号X4がハイレベルにアサートされる。電流設定操作権取得スイッチ53がオフに設定されると、電流設定操作権取得信号X4がロウレベルにネゲートされる。
【0018】
AND回路55は、試験指示信号X1、遮断器遮断確認信号X2、遮断器操作権取得信号X3、および電流設定操作権取得信号X4の論理積を表わす信号Y1を出力する。
【0019】
NAND回路57は、試験指示信号X1、遮断器操作権取得信号X3、および電流設定操作権取得信号X4の否定論理積を表わす信号Y2を出力する。
【0020】
フリップフロップ56は、AND回路55の出力信号Y1を受けるセット端子Sと、NAND回路57の出力信号Y2を受けるリセット端子Rと、試験モード信号TMを出力する出力端子とを有する。
【0021】
電流設定用操作器54は、サイリスタ整流器31から出力される電流の大きさを設定する。電流生成器60は、電流設定用操作器54によって設定された大きさの電流I0を生成して、制御基板14に供給する。
【0022】
下限判定回路59は、電流設定用操作器54によって設定された電流の大きさが下限値のときに、下限信号ILをアサートし、下限値よりも大きいときに、下限信号ILをネゲートする。
【0023】
AND回路58は、試験モード信号TMと下限信号ILとの論理積をゲートスタート信号GSとして出力する。ゲートスタート信号GSは、制御基板14に供給される。
【0024】
交流電源32は、遮断器33を介してサイリスタ整流器31と接続される。遮断器33が投入されると、交流電源32の交流電流は、サイリスタ整流器31に供給される。遮断器33が遮断されると、交流電源32からの交流電流は、サイリスタ整流器31に供給されない。
【0025】
サイリスタ整流器31は、U相のサイリスタ(サイリスタ素子)5U,5X、V相のサイリスタ5V,5Y、およびW相のサイリスタ5W,5Zを備える。サイリスタ5Xのカソードにはサイリスタ5Uのアノードが接続され、サイリスタ5Yのカソードにはサイリスタ5Vのアノードが接続され、サイリスタ5Zのカソードにはサイリスタ5Wのアノードが接続される。サイリスタ5X,5Y,5Zのアノードは共通であり、サイリスタ5U,5V,5Wのカソードは共通である。サイリスタ5Wのカソードとサイリスタ5Zのアノードの間には負荷LDが並列に接続される。
【0026】
制御基板14は、基準位相検出器16と、電流制御器15と、ゲートパルス発生器17とを備える。
【0027】
基準位相検出器16は、整流器交流電圧VU,VV,VWの線間電圧が負電圧から正電圧へ移動するポイントを基準点(基準位相)とし、UVW相の基準位相SU,SV,SWをゲートパルス発生器17へ出力する。
【0028】
電流制御器15は、PLC12から出力された電流I0に追従して、サイリスタ整流器31の制御角(ゲートパルス信号の位相角)を表わすサイリスタ制御角信号αに応じた電圧を出力する。
【0029】
ゲートパルス発生器17は、ゲートスタート信号GSがアサートされているときに、サイリスタ整流器31を点弧するためのゲートパルス信号PU,PX,PV,PY,PW,PZを出力する。ゲートパルス信号PUは、サイリスタ5Uを点弧するための信号である。ゲートパルス信号PXは、サイリスタ5Xを点弧するための信号である。ゲートパルス信号PVは、サイリスタ5Vを点弧するための信号である。ゲートパルス信号PYは、サイリスタ5Yを点弧するための信号である。ゲートパルス信号PWは、サイリスタ5Wを点弧するための信号である。ゲートパルス信号PZは、サイリスタ5Zを点弧するための信号である。
【0030】
ゲートパルス発生器17は、ゲートスタート信号GSがアサートされているときに、基準位相SU,SV,SWと、サイリスタ制御角信号αに基づいて、サイリスタ5U,5X,5V,5Y,5W,5Zを点弧するためのゲートパルス信号PU,PX,PV,PY,PW,PZを出力して、整流動作を行なう。
【0031】
サイリスタ整流器31は、ゲートパルス信号PU,PX,PV,PY,PW,PZのタイミングに応じた直流電圧を負荷LDに供給する。
【0032】
参考例では、サイリスタ整流器31の制御機能と監視操作機能は、サイリスタ整流器31の本体から遠く離れた位置に設置されている制御監視盤10に集約されている。参考例では、定電流制御機能を持つサイリスタサイリスタ整流器では、ゲートパルス試験と軽負荷試験とを行う際に、試験員は、電流設定のために遠方に設置されている制御監視盤10へ移動する必要があり、不便である。
【0033】
[実施の形態]
図3は、実施の形態のサイリスタ整流器の制御システムの一例を表わす図である。
【0034】
サイリスタ整流器の制御システムは、制御盤20と、監視操作盤21とを備える。
【0035】
制御盤20は、サイリスタ整流器31に隣接して設置される。監視操作盤21は、サイリスタ整流器31から遠く離れた位置に設置される。
【0036】
監視操作盤21は、遮断器操作権取得スイッチ82と、遮断器操作スイッチ83と、第1の電流設定用操作器84と、PLC22とを備える。PLC22は、遮断器制御回路81と、第1の電流生成器80とを備える。
【0037】
遮断器操作権取得スイッチ82は、遮断器33の操作権を取得するためのスイッチである。
【0038】
遮断器操作スイッチ83は、遮断器33の投入または遮断を指示するためのスイッチである。
【0039】
遮断器制御回路81は、遮断器投入準備完了信号CBPがアサートされ、かつ遮断器操作権取得スイッチ82によって遮断器33の操作権を監視操作盤21が取得し、かつ遮断器操作スイッチ83によって遮断器33の投入が指示された場合に、遮断器33を投入する。
【0040】
第1の電流設定用操作器84は、サイリスタ整流器31から出力される電流の大きさを第1の電流の大きさとして設定する。第1の電流生成器80は、第1の電流設定用操作器84によって設定された大きさの第1の電流Ixを生成する。第1の電流設定用操作器84は、サイリスタ整流器31が実運転するときに、監視員によって操作される。
【0041】
図4は、第1の電流設定用操作器84および第1の電流生成器80を表わす図である。第1の電流設定用操作器84は、ひねり操作スイッチである。第1の電流生成器80は、ひねり操作スイッチによる操作量に応じた大きさの第1の電流Ixを生成する。
【0042】
制御盤20は、試験指示スイッチ11と、第1の演算回路101と、第2の演算回路102と、第3の演算回路103と、第4の演算回路104と、第2の電流設定用操作器23と、第2の電流生成器24と、下限判定回路59と、切替スイッチSTと、制御基板14とを備える。
【0043】
試験指示スイッチ11は、試験を指示する。試験指示スイッチ11がオンに設定されると、試験指示信号X1がハイレベルにアサートされる。試験指示スイッチ11がオフに設定されると、試験指示信号X1がロウレベルにネゲートされる。
【0044】
遮断器33が遮断されているときに、遮断器遮断確認信号X2は、ハイレベルにアサートされる。遮断器33が投入されているときに、遮断器遮断確認信号X2は、ロウレベルにネゲートされる。
【0045】
第2の電流設定用操作器23は、サイリスタ整流器31から出力される電流の大きさを第2の電流の大きさとして設定する。第2の電流生成器24は、第2の電流設定用操作器23によって設定された大きさの第2の電流Iyを生成する。第2の電流設定用操作器23は、サイリスタ整流器31がテスト動作するときに、試験員によって操作される。
【0046】
図5は、第2の電流設定用操作器23および第2の電流生成器24を表わす図である。
【0047】
第2の電流設定用操作器23は、リミットスイッチ(電流設定下限で接点状態が変わるスイッチ)を含む。第2の電流生成器24は、分圧回路を含む。分圧回路は、電源VccとグランドVssとの間に直列に接続された抵抗R1、VR2、R3を含む。抵抗VR2は可変抵抗である。リミットスイッチによって、抵抗VR2の抵抗値が変化する。分圧回路は、抵抗VR2の抵抗値に応じた第2の電流Iyを生成する。
【0048】
下限判定回路59は、第2の電流の大きさが下限値のときに、下限信号ILをアサートし、第2の電流の大きさが下限値よりも大きいときに、下限信号ILをネゲートする。
【0049】
第1の演算回路101は、試験指示スイッチ11がオンされ、かつ遮断器遮断確認信号X2がアサートされている条件を満たすときに、第1の試験モード信号TM1をアサートする。第1の演算回路101は、第2の電流の大きさが下限であることを示す下限信号ILがアサートされている条件をさらに満たす場合に、第1の試験モード信号TM1をアサートするものとしてもよい。第1の演算回路101は、試験指示スイッチ11がオフされ、または、サイリスタ整流器31および整流器用変圧器などを含む整流器設備のいずれかの箇所で重故障が生じたことを示す信号X5がアサートされているという条件を満たす条件を満たす場合に、第1の試験モード信号TM1をネゲートするものとしてもよい。
【0050】
第1の演算回路101は、たとえば、AND回路62と、OR回路61と、フリップフロップ63とを備える。
【0051】
AND回路62は、試験指示信号X1、遮断器遮断確認信号X2、および下限信号ILの論理積を出力する。
【0052】
OR回路61は、サイリスタ整流器31および整流器用変圧器などを含む整流器設備のいずれかの箇所で重故障が生じたことを示す信号X5と試験指示信号X1の反転信号との論理和を出力する。
【0053】
フリップフロップ63は、AND回路62の出力を受けるセット端子Sと、OR回路61の出力を受けるリセット端子Rと、第1の試験モード信号TM1を出力する出力端子とを有する。
【0054】
第2の演算回路102は、第1の試験モード信号TM1がアサートされている条件を満たす場合に、ゲートスタート信号GSをアサートして、制御基板14に供給する。第2の演算回路102は、第2の電流の大きさが下限であることを示す下限信号ILがネゲートされている条件をさらに満たす場合に、ゲートスタート信号GSをアサートして、制御基板14に供給するものとしてもよい。
【0055】
第2の演算回路102は、たとえば、AND回路65を備える。
【0056】
AND回路65は、第1の試験モード信号TM1と下限信号ILの反転信号との論理積をゲートスタート信号GSとして出力する。
【0057】
第3の演算回路103は、ゲートスタート信号GSがアサートされている条件を満たす場合に、遮断器投入準備完了信号CBPをネゲートする。
【0058】
第3の演算回路103は、ゲートスタート信号GSがネゲートされている、または遮断器遮断確認信号X2がアサートされている条件を満たす場合に、遮断器投入準備完了信号CBPをアサートするものとしてもよい。第3の演算回路103は、サイリスタ整流器31の本体が故障していることを示す信号X3がネゲートされ、かつ制御盤20の動作用の直流電源がオンであることを示す信号X4がアサートされている条件をさらに満たす場合に、遮断器投入準備完了信号CBPをアサートするものとしてもよい。
【0059】
第3の演算回路103は、たとえば、OR回路67と、AND回路66とを備える。
【0060】
OR回路67は、ゲートスタート信号GSの反転信号と遮断器遮断確認信号X2との論理和を出力する。
【0061】
AND回路66は、サイリスタ整流器31の本体が故障していることを示す信号X3の反転信号と、制御盤20の動作用の直流電源がオンであることを示す信号X4と、OR回路67の出力信号との論理積を遮断器投入準備完了信号CBPとして出力する。
【0062】
第4の演算回路104は、第2の試験モード信号TM2を監視操作盤21に供給する。第4の演算回路104は、試験指示スイッチ11がオンされ、かつ第1の試験モード信号TM1をアサートされている条件を満たす場合に、第2の試験モード信号TM2をアサートする。
【0063】
第4の演算回路104は、たとえば、AND回路64を備える。
【0064】
AND回路64は、試験指示信号X1と第1の試験モード信号TM1との論理積を第2の試験モード信号TM2として監視操作盤21へ出力する。
【0065】
切替スイッチSTは、第1の電流Ixおよび第2の電流Iyのうちのいずれかを制御基板14に供給する。切替スイッチSTは、第1の試験モード信号TM1がアサートされているときに、第2の電流Iyを制御基板14に供給し、第1の試験モード信号TM1がネゲートされているときに、第1の電流Ixを制御基板14に供給する。
【0066】
以上のように、本実施の形態によれば、サイリスタ整流器31に隣接して設置される制御盤20に試験時の電流設定機能(第2の電流設定用操作器23および第2の電流生成器24)を設けることによって、試験員は、遠方に設置されている監視操作盤21へ移動する必要がないので、便利である。
【0067】
監視操作盤21において、遮断器33を投入する条件として、ゲートパルス試験中でないこと(ゲートスタート信号GSがネゲートされていること)を含めた。これによりゲートパルス試験中に遠方の監視操作盤21において遮断器33が投入させることを防止できるので、安全な試験が可能となる。
【0068】
制御盤20における第2の電流設定用操作器23としてリミットスイッチを使用し、第2の電流生成器24として可変抵抗を用いた分圧回路を用いることによって、制御盤20を小型化できる。これによって、コストダウンが可能となる。
【0069】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
5U,5V,5W,5X,5Y,5Z サイリスタ、LD 負荷、10 制御監視盤、11,51 試験指示スイッチ、14 制御基板、15 電流制御器、16 基準位相検出器、17 ゲートパルス発生器、20 制御盤、21 監視操作盤、23 第2の電流設定用操作器、24 第2の電流生成器、31 サイリスタ整流器、32 交流電源、33 遮断器、52,82 遮断器操作権取得スイッチ、53 電流設定操作権取得スイッチ、54 電流設定用操作器、56,63 フリップフロップ、59 下限判定回路、60 電流生成器、80 第1の電流生成器、81 遮断器制御回路、83 遮断器操作スイッチ、84 第1の電流設定用操作器、101 第1の演算回路、102 第2の演算回路、103 第3の演算回路、104 第4の演算回路、R1,VR,VR2 抵抗、ST 切替スイッチ。
図1
図2
図3
図4
図5