(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058299
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】搬送物の反転装置および搬送物の反転方法
(51)【国際特許分類】
B65G 47/248 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
B65G47/248 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165574
(22)【出願日】2022-10-14
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000128131
【氏名又は名称】株式会社エヌテック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松井 順
【テーマコード(参考)】
3F081
【Fターム(参考)】
3F081AA20
3F081BE03
3F081BE09
3F081CA04
3F081CC01
3F081CC08
3F081CC12
3F081CE10
3F081CE13
3F081EA09
3F081EA10
3F081FA01
3F081FA02
3F081FB01
3F081FB02
(57)【要約】
【課題】搬送物を搬送上の不都合を伴わず短時間でポケットに受け渡すことができ、ひいては反転処理のサイクルタイムを短縮できる搬送物の反転装置および搬送物の反転方法を提供する。
【解決手段】反転装置11は、第1搬送機構30と反転機構40とを備える。第1搬送機構30は、コンベヤ20から受け取ったケースWをポケット45内の受渡位置P2まで搬送する搬送体35を有する。反転機構40は、複数のポケット45を有する回転体41を備える。反転機構40は、ポケット45に搬入されたケースWを、回転体41の間欠的な回転により反転させる。第1搬送機構30は、ケースWをポケット45内に供給する搬送過程における搬送体35の最大速度が、コンベヤ20の最大速度よりも大きく、且つ搬送体35が受渡位置P2に停止するまでの減速過程の最大減速度がコンベヤ20の停止時の最大減速度よりも小さく設定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤから受け取った直方体状の搬送物を反転させる搬送物の反転装置であって、
回転方向に間隔をおいた位置に配置され且つ径方向に前記搬送物の搬入及び搬出が可能に構成される複数のポケットを有する回転体を備え、複数の前記ポケットのうち搬入位置にある1つの前記ポケットに搬入された前記搬送物を、前記回転体の間欠的な回転により反転させる反転機構と、
前記コンベヤから受取位置で受け取った前記搬送物を前記反転機構の前記1つのポケット内の受渡位置まで搬送することで当該搬送物を前記1つのポケット内に供給する搬送体を有する搬送機構と、
を備え、
前記搬送機構は、前記搬送物を前記ポケット内に供給する供給過程における前記搬送体の最大速度が、前記コンベヤの最大速度よりも大きく、且つ前記搬送体が前記最大速度から前記受渡位置に停止するまでの減速過程の最大減速度が前記コンベヤの停止時の最大減速度よりも小さく設定されていることを特徴とする搬送物の反転装置。
【請求項2】
コンベヤから受け取った直方体状の搬送物を反転させる搬送物の反転装置であって、
回転方向に間隔をおいた位置に配置され且つ径方向に前記搬送物の搬入及び搬出が可能に構成される複数のポケットを有する回転体を備え、複数の前記ポケットのうち搬入位置にある1つの前記ポケットに搬入された前記搬送物を、前記回転体の間欠的な回転により反転させる反転機構と、
前記コンベヤから前記搬送物を受け取る受取位置と前記反転機構の前記1つのポケット内の受渡位置との間の搬送経路上を往復移動可能な搬送体を有し、前記コンベヤから前記受取位置で受け取った前記搬送物を前記1つのポケット内の前記受渡位置まで搬送する搬送機構と、
を備え、
前記コンベヤは、前記搬送物の搬送方向と交差する幅方向に第1間隔を隔てて一対配置され、
前記ポケットは、前記幅方向に第2間隔を隔てた一対の支持部を有し、
前記搬送体は、昇降可能なテーブルを有し、
前記第1間隔及び前記第2間隔は、前記搬送物の幅寸法よりも狭く、且つ前記テーブルの幅寸法よりも広く設定され、
前記搬送体は、前記受取位置で前記テーブルを前記第1間隔の隙間を通って上昇させることで前記コンベヤから前記テーブルへ前記搬送物を受け取り、前記受渡位置で前記テーブルを前記第2間隔の隙間を通って下降させることで前記テーブルから前記ポケットへ前記搬送物を受け渡し可能に構成されることを特徴とする搬送物の反転装置。
【請求項3】
前記搬送機構は、前記受取位置で前記搬送物を受け取った前記搬送体が前記最大速度まで加速する加速過程の最大加速度よりも、前記最大減速度の方が大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送物の反転装置。
【請求項4】
前記搬送体は、前記搬送物を載置して水平方向に移動可能なテーブルと、前記テーブルを昇降させる昇降機構とを備え、
前記ポケットは、前記テーブルが昇降可能な昇降通路を隔てた両側に前記搬送物を支持可能に設けられた一対の支持部を有し、
前記搬送機構は、前記受取位置で前記テーブルを上昇させることで前記コンベヤ上の前記搬送物を前記テーブル上に受け取る第1動作と、前記テーブルを前記受取位置から前記受渡位置まで前記水平方向に移動させる第2動作と、前記受渡位置で前記テーブルを下降させることで前記搬送物を前記ポケットに受け渡す第3動作と、前記テーブルを前記受渡位置から前記受取位置まで復帰させる第4動作とを行う、ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の搬送物の反転装置。
【請求項5】
前記テーブルが前記受渡位置に達すると同時、または前記受渡位置に達して下降を開始した前記テーブルが下降を終える前に、前記反転機構は、前記回転体の回転を開始することを特徴とする請求項4に記載の搬送物の反転装置。
【請求項6】
前記搬送体が前記受取位置から前記受渡位置まで移動する供給時の最大速度よりも、前記搬送体が前記受渡位置から前記受取位置まで移動する復帰時の最大速度の方が大きいことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の搬送物の反転装置。
【請求項7】
回転方向に間隔をおいた位置に配置され且つ径方向に搬送物の搬入及び搬出が可能に構成される複数のポケットを有する回転体を備える反転機構を用いて前記搬送物を反転させる搬送物の反転方法であって、
搬送体がコンベヤから前記搬送物を受け取る受取ステップと、
前記搬送体が受取位置から水平方向に移動することで複数の前記ポケットのうち1つの前記ポケット内の受渡位置まで前記搬送物を搬送する搬送ステップと、
前記回転体が間欠的に回転することによって前記1つのポケットに収容された前記搬送物を反転させる反転ステップと、
反転された前記搬送物を前記ポケットから搬出する搬出ステップと
を含み、
前記搬送ステップでは、前記搬送体の最大速度が、前記コンベヤの最大速度よりも大きく、かつ前記搬送体を前記受渡位置に停止させるまでの減速過程の最大減速度が前記コンベヤの停止時の最大減速度よりも小さく設定される、ことを特徴とする搬送物の反転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物を反転させる搬送物の反転装置および搬送物の反転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1~3には、搬送物を搬送経路の途中で反転させる反転装置が開示されている。この種の反転装置は、搬送物を所定位置まで搬入する搬入コンベヤと、搬入された搬送物を反転させる反転機構と、反転した搬送物を反転機構から搬出する搬出コンベヤとを備える。反転機構は、搬送物を反転させる回転体を備える。回転体は、回転方向に等角度間隔の各位置に搬送物を収容可能な収容部(ポケットの一例)を備える。回転体は間欠的に回転し、回転体の一方側から収容された搬送物を半回転することで反転させ、回転体の他方側から搬送物を搬出する。
【0003】
特許文献1、2に記載された反転装置では、搬入コンベヤ及び搬出コンベヤは、1つのコンベヤが兼ねる。回転体への搬送物の搬入は搬入コンベヤが行い、回転体からの搬送物の搬出は搬出コンベヤが行う。
【0004】
また、特許文献3の反転装置において、搬入コンベヤ及び搬出コンベヤは、回転体の回転軸の軸方向と平行な方向(搬送方向)かつ互いに逆向きに搬送物を搬送する。反転装置は、搬入コンベヤの搬送方向と交差する送り方向に搬送物を送ることで回転体に搬送物を搬入する搬入送り爪と、搬出コンベヤの搬送方向と交差する送り方向に搬送物を送ることで回転体から搬送物を搬出する搬出送り爪とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-267338号公報
【特許文献2】特開平8-133232号公報
【特許文献3】特開平2-233413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、反転装置のサイクルタイムを向上させるためには、搬入コンベヤ上の搬送物を回転体に収容する搬送物の受渡し作業を高速化する必要がある。
しかしながら、特許文献1、2では、搬入コンベヤが、搬送物を反転機構の所定の収容位置まで搬送すると、搬入コンベヤの急減速または減速なしでストッパと接触することで搬送物を停止させることになる。そのため、搬送コンベヤを高速化してサイクルタイムの向上を図る場合、高速化するほど停止時に搬送物に加わる衝撃が大きくなる。例えば、搬送物がケース等である場合、ケース内の収納物が衝撃に弱い製品などであると、停止時の衝撃によって製品が破損や破れなど何らかのダメージを受ける可能性がある。
【0007】
一方、特許文献3に記載された反転装置のように、搬入送り爪がコンベヤから搬送物を回転体へ移し替える作業を行う構成では、その移し替え作業が余分な作業であるため、サイクルタイムの向上を図りにくい。また、搬入送り爪に高速で送り動作をさせようとすると、搬送物が搬入送り爪上で滑ってしまい、搬送物を回転体に適切に受け渡すことが困難になる。このように、搬送物を回転体へ受け渡す処理を高速化しようとすると、衝撃や滑りなどの搬送上の不都合が伴うという課題がある。そのため、搬送物を搬送上の不都合を伴わず回転体に短時間で受け渡すことができ、ひいては搬送物の反転処理のサイクルタイムを短縮できる反転装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する搬送物の反転装置は、コンベヤから受け取った直方体状の搬送物を反転させる搬送物の反転装置であって、回転方向に間隔をおいた位置に配置され且つ径方向に前記搬送物の搬入及び搬出が可能に構成される複数のポケットを有する回転体を備え、複数の前記ポケットのうち搬入位置にある1つの前記ポケットに搬入された前記搬送物を、前記回転体の間欠的な回転により反転させる反転機構と、前記コンベヤから受取位置で受け取った前記搬送物を前記反転機構の前記1つのポケット内の受渡位置まで搬送することで当該搬送物を前記1つのポケット内に供給する搬送体を有する搬送機構と、を備え、前記搬送機構は、前記搬送物を前記ポケット内に供給する供給過程における前記搬送体の最大速度が、前記コンベヤの最大速度よりも大きく、且つ前記搬送体が前記最大速度から前記受渡位置に停止するまでの減速過程の最大減速度が前記コンベヤの停止時の最大減速度よりも小さく設定されている。
【0009】
この構成によれば、コンベヤにより搬送されてくる搬送物を反転機構のポケット内に供給して搬送物を反転する処理を、搬送物に加わる衝撃などの搬送上の不都合を抑えつつ高速で行うことができる。したがって、反転装置において、搬送物を搬送上の不都合を伴わず短時間でポケットに収容できるので、反転処理のサイクルタイムを短縮できる。
【0010】
上記課題を解決する搬送物の反転装置は、コンベヤから受け取った直方体状の搬送物を反転させる搬送物の反転装置であって、回転方向に間隔をおいた位置に配置され且つ径方向に前記搬送物の搬入及び搬出が可能に構成される複数のポケットを有する回転体を備え、複数の前記ポケットのうち搬入位置にある1つの前記ポケットに搬入された前記搬送物を、前記回転体の間欠的な回転により反転させる反転機構と、前記コンベヤから前記搬送物を受け取る受取位置と前記反転機構の前記1つのポケット内の受渡位置との間の搬送経路上を往復移動可能な搬送体を有し、前記コンベヤから前記受取位置で受け取った前記搬送物を前記1つのポケット内の前記受渡位置まで搬送する搬送機構と、を備え、前記コンベヤは、前記搬送物の搬送方向と交差する幅方向に第1間隔を隔てて一対配置され、前記ポケットは、前記幅方向に第2間隔を隔てた一対の支持部を有し、前記搬送体は、昇降可能なテーブルを有し、前記第1間隔及び前記第2間隔は、前記搬送物の幅寸法よりも狭く、且つ前記テーブルの幅寸法よりも広く設定され、前記搬送体は、前記受取位置で前記テーブルを前記第1間隔の隙間を通って上昇させることで前記コンベヤから前記テーブルへ前記搬送物を受け取り、前記受渡位置で前記テーブルを前記第2間隔の隙間を通って下降させることで前記テーブルから前記ポケットへ前記搬送物を受け渡し可能に構成される。
【0011】
この構成によれば、搬送物の幅寸法よりも狭い範囲内であれば、第1間隔及び第2間隔を必要な広さに設定できる。さらに、第1間隔及び第2間隔よりも狭い範囲内であれば、テーブルの幅寸法を必要な広さに設定できる。このため、搬送体を載せたテーブルを高速移動させても、搬送物をテーブル上で滑りにくくするために必要な接触面積を確保できるようにテーブルの幅寸法を設定できる。したがって、搬送体を高速で移動させてもテーブル上の搬送物はほぼ滑らないうえ、搬送体をコンベヤと独立して速度制御することができる。よって、反転装置において、搬送物を搬送上の不都合を伴わず短時間でポケットに収容できるので、反転処理のサイクルタイムを短縮できる。
【0012】
上記搬送物の反転装置において、前記搬送機構は、前記受取位置で前記搬送物を受け取った前記搬送体が最大速度まで加速する加速過程の最大加速度よりも、前記最大減速度の方が大きく設定されてもよい。
【0013】
この構成によれば、搬送物に加わる衝撃を小さく抑えつつ、搬送物を反転機構に受け渡すまでの搬送所要時間を効果的に短くすることができる。
上記搬送物の反転装置において、前記搬送体は、前記搬送物を載置して水平方向に移動可能なテーブルと、前記テーブルを昇降させる昇降機構とを備え、前記ポケットは、前記テーブルが昇降可能な昇降通路を隔てた両側に前記搬送物を支持可能に設けられた一対の前記支持部を有し、前記搬送機構は、前記受取位置で前記テーブルを上昇させることで前記コンベヤ上の前記搬送物を前記テーブル上に受け取る第1動作と、前記テーブルを前記受取位置から前記受渡位置まで前記水平方向に移動させる第2動作と、前記受渡位置で前記テーブルを下降させることで前記搬送物を前記ポケットに受け渡す第3動作と、前記テーブルを前記受渡位置から前記受取位置まで復帰させる第4動作とを行ってもよい。
【0014】
この構成によれば、搬送物を反転機構に受け渡す際の搬送所要時間を短くでき、且つ反転機構における回転体の回転の開始を早期に行うことができる。よって、搬送物の反転動作を高速処理できる。
【0015】
上記搬送物の反転装置において、前記テーブルが前記受渡位置に達すると同時、または前記受渡位置に達して下降を開始した前記テーブルが下降を終える前に、前記反転機構は、前記回転体の回転を開始してもよい。
【0016】
この構成によれば、搬送物の反転機構への受け渡しの際に、回転体の回転開始タイミングを早めることができる。よって、搬送物の反転をさらに高速処理できる。
上記搬送物の反転装置において、前記搬送体が前記受取位置から前記受渡位置まで移動する供給時の最大速度よりも、前記搬送体が前記受渡位置から前記受取位置まで移動する復帰時の最大速度の方が大きくてもよい。
【0017】
この構成によれば、搬送物を順次搬送する搬送機構のサイクルタイムを短縮できる。
上記課題を解決する搬送物の反転方法は、回転方向に間隔をおいた位置に配置され且つ径方向に搬送物の搬入及び搬出が可能に構成される複数のポケットを有する回転体を備える反転機構を用いて前記搬送物を反転させる搬送物の反転方法であって、搬送体がコンベヤから搬送物を受け取る受取ステップと、前記搬送体が受取位置から水平方向に移動することで複数の前記ポケットのうち1つの前記ポケット内の受渡位置まで前記搬送物を搬送する搬送ステップと、前記回転体が間欠的に回転することによって前記1つのポケットに収容された前記搬送物を反転させる反転ステップと、反転された前記搬送物を前記ポケットから搬出する搬出ステップとを含み、前記搬送ステップでは、前記搬送体の最大速度が、前記コンベヤの最大速度よりも大きく、かつ前記搬送体を前記受渡位置に停止させるまでの減速過程の最大減速度が前記コンベヤの停止時の最大減速度よりも小さく設定される。
【0018】
この方法によれば、コンベヤにより搬送されてくる搬送物を反転機構のポケット内に供給して反転機構が搬送物を反転する処理を、搬送物に加わる衝撃を抑えつつ高速で行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コンベヤにより搬送されてくる搬送物を反転機構のポケット内に供給して搬送物を反転する処理を、搬送物に加わる衝撃を抑えつつ高速で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態における搬送物の反転装置を示す側面図である。
【
図3】第1コンベヤ、第1搬送機構および反転機構を示す側面図である。
【
図4】第1コンベヤ、第1搬送機構および反転機構を示す平面図である。
【
図7】反転装置における搬送物の搬入工程を説明する側面図である。
【
図8】反転装置における搬送物の搬入工程を説明する側面図である。
【
図9】反転装置における搬送物の搬入工程を説明する側面図である。
【
図10】反転装置における搬送物の搬入工程を説明する側面図である。
【
図11】反転装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図12】第1コンベヤの搬送速度を示すグラフである。
【
図13】第1搬送機構の搬入時における搬送速度を示すグラフである。
【
図14】第1搬送機構の戻り時における搬送速度を示すグラフである。
【
図15】変更例において第1搬送機構の搬入時における搬送速度を示すグラフである。
【
図16】
図15と異なる変更例において第1搬送機構の搬入時における搬送速度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、搬送物の反転装置について、図面を参照して説明する。
図1に示す反転装置は、搬送物を搬送経路の途中で反転させる装置である。以下では、搬送方向をX方向、搬送される搬送物の一例であるケースWの搬送方向と交差する幅方向をY方向、鉛直方向をZ方向とする。このため、搬送方向X、幅方向Y、鉛直方向Zともいう。
【0022】
<反転装置11の構成>
図1~
図4を参照して反転装置11の構成について説明する。なお、
図1~
図4では、各ケースWの位置を示す符号P1,P2等を、ケースWの符号の( )内に記載している。
【0023】
図1に示すように、反転装置11は、コンベヤの一例としての第1コンベヤ20と、搬送機構の一例としての第1搬送機構30と、反転機構40と、第2搬送機構50と、第2コンベヤ60とを備える。
【0024】
第1コンベヤ20は、搬送物の一例としてのケースWを受取位置P1まで搬入するコンベヤである。
第1搬送機構30は、第1コンベヤ20と反転機構40との間でケースWを搬送して反転機構40のポケット45にケースWを受け渡す機構である。つまり、第1搬送機構30は、第1コンベヤ20により搬入されたケースWを受取位置P1で受け取る。そして、第1搬送機構30は、受け取ったケースWを受取位置P1から受渡位置P2まで搬送方向Xに搬送することで、ケースWを反転機構40のポケット45に収容する。
【0025】
反転機構40は、第1搬送機構30によりポケット45に収容されたケースWを反転させる機構である。反転機構40は、回転軸42を中心に回転可能な回転体41と、その駆動源である第3モータ43と、第3モータ43の動力を回転軸42に伝達する動力伝達機構44とを備える。
図2に示すように、回転軸42は、一対の軸受41Aにより回転可能に支持されている。
【0026】
図3、
図4に示すように、動力伝達機構44は、例えば、ベルト式動力伝達機構であり、第3モータ43の動力で回転する駆動プーリ46と、回転軸42と共に回転可能な被動プーリ47と、両プーリ46,47に巻き掛けられた無端状のタイミングベルト48とを備える。
【0027】
図1に示すように、回転体41は、回転方向に等角度間隔の各位置に複数のポケット45を有する。例えば、ポケット45の数がN個(但し、Nは自然数)である場合、回転体41は、回転方向に360°/Nごとにポケット45を有する。
図1に示す例では、N=4なので、回転体41は、回転方向に90度間隔の各位置に4つのポケット45を有する。
【0028】
回転体41は、回転軸42を中心に間欠的な回転が可能である。ポケット45の数がN個である場合、回転体41は360°/Nずつ間欠的に回転する。
図1に示すN=4の例では、回転体41は、90度ずつ間欠的に回転する。回転体41は、1つのポケット45が受渡位置P2で水平な姿勢をとる回転角度で停止する。つまり、回転体41は、4つのポケット45のうち1つのポケット45が、ケースWを搬入可能な搬入位置Pinに位置する状態で停止する。
【0029】
図1、
図2に示す第2搬送機構50は、反転機構40の受取位置P3でポケット45から受け取った反転後のケースWをポケット45から搬出する機構である。第2搬送機構50は、反転後のケースWを受取位置P3から第2コンベヤ60の受渡位置P4まで搬送し第2コンベヤ60に受け渡す。第2搬送機構50は、受取位置P3と受渡位置P4との間を移動可能な搬送体55を備える。搬送体55は、ケースWを載置可能な昇降式のテーブル51を有する。なお、
図1に示すように、1つのポケット45が搬入位置Pinにあるとき、このポケット45と180°反対側に位置する他の1つのポケット45が搬出位置Poutに配置される。
【0030】
第2コンベヤ60は、第2搬送機構50から受け渡された反転後のケースWを搬送先に搬送する。
次に、
図3~
図6を参照して、第1コンベヤ20、第1搬送機構30及び反転機構40について詳細に説明する。
【0031】
<第1コンベヤ20の詳細な構成>
図1、
図3に示すように、第1コンベヤ20は、複数のケースWをほぼ一定または不定の間隔を隔てた状態で搬送方向Xに搬送するコンベヤ21を備える。第1コンベヤ20は、その駆動源である第1モータ22と、第1モータ22の動力をコンベヤ21に伝達する動力伝達機構23とを備える。
【0032】
動力伝達機構23は、例えば、ベルト式動力伝達機構である。動力伝達機構23は、第1モータ22の回転がギヤボックス24を介して伝達される動力で回転する駆動プーリ25と被動プーリ26Aと、両プーリ25,26A(
図4参照)に巻き掛けられた無端状のタイミングベルト27とを備える。タイミングベルト27はローラ28より外周側から押さえられることで張力が付与される。コンベヤ21は、駆動プーリ26と被動プーリ29との外周に無端状の搬送ベルト又はチェーン等の無端状部材21Aが巻き掛けられることで構成される。コンベヤ21は、例えばチェーンコンベヤである場合、一対のプーリ26,29に替えて一対のスプロケットが設けられる。
【0033】
図2、
図4に示すように、第1コンベヤ20を構成するコンベヤ21は、幅方向Yに間隔を隔てて一対設けられる。コンベヤ21は、例えば、チェーンコンベヤであるが、ベルトコンベヤやローラコンベヤ等の他の形式のコンベヤでもよい。これらの他の種類のコンベヤ21である場合も、幅方向Yに間隔を隔てて一対設けられてもよい。これらの場合、一対のコンベヤ21の幅方向Yの隙間は、第1搬送機構30を構成する後述するテーブル31の昇降通路として使用されてもよい。なお、コンベヤ21は、ローラコンベヤである場合、プーリ26,29及び無端状部材21Aに替え、搬送方向Xに並ぶ複数のローラを備えてもよい。
【0034】
図1、
図3に示すように、コンベヤ21の搬送方向Xにおける下流端位置の近傍には、ケースWを受取位置P1に停止させるストッパ71が設けられている。ストッパ71は、例えば、シリンダ72を駆動源とする。シリンダ72が収縮状態にあるとき、ストッパ71は、
図3に示す退避位置にあり、シリンダ72が伸長駆動されると、ストッパ71は、ケースWを停止可能な規制位置(
図7参照)に配置される。このため、コンベヤ21の運転を継続していても、コンベヤ21上の最下流に位置するケースWを受取位置P1に停止させることが可能である。
【0035】
<第1搬送機構30の詳細な構成>
第1搬送機構30と第2搬送機構50とは、基本的な構成は同じである。すなわち、第1搬送機構30と第2搬送機構50は、部品のレイアウトや部品の寸法等に多少の違いがあるものの、基本的な構成はほぼ同じである。そのため、以下では、
図3、
図4を参照して、第1搬送機構30の構成について詳細に説明する。
【0036】
図4に示すように、一対のコンベヤ21の幅方向Yの間隔である第1間隔L1は、ケースWの幅寸法LWよりも狭い。このため、一対のコンベヤ21上にケースWを載せて搬送することが可能である。また、第1間隔L1は、第1搬送機構30のテーブル31の幅寸法LTよりも広い。一対のコンベヤ21の幅中心線は、テーブル31の幅中心線と一致する。このため、テーブル31は、一対のコンベヤ21の幅方向Yの隙間を通って一対のコンベヤ21の上面に対して低い下降位置と高い上昇位置とに昇降可能である。また、搬送体35は、テーブル31が上昇位置のままの状態で受取位置P1から受渡位置P2まで搬送経路に沿ってX方向に移動可能であり、テーブル31が下降位置のままの状態で受渡位置P2から受取位置P1まで搬送経路に沿って-X方向に移動可能である。
【0037】
このように、コンベヤ21、ケースW、テーブル31には、幅方向Yの位置及び寸法に以下の関係が成立する。すなわち、LT<L1<LWが成立する。テーブル31の幅寸法LTは、テーブル31とケースWとの接触面積を広く確保するうえで、LT≧LW/2が好ましい。
【0038】
図3に示すように、第1搬送機構30は、駆動源としての第2モータ32と、動力伝達機構33と、搬送体35とを備える。搬送体35は、第2モータ32から動力伝達機構33を介して伝達される動力により搬送方向Xに往復移動可能に構成される。搬送体35は、テーブル31と、テーブル31を昇降させる昇降機構の一例としての第1昇降シリンダ34とを備える。また、搬送体35には、電力線や第1昇降シリンダ34を制御する信号を伝送する信号線等が収容されたケーブルベヤ(登録商標)36が接続されている。搬送体35は第2モータ32の動力によりレール37に沿って搬送方向Xに移動する。
【0039】
搬送体35の下部には、レール37に沿って移動可能なキャリッジ37Aが固定されている。動力伝達機構33は、一対のプーリ38A,38Bと、一対のプーリ38A,38Bに巻き掛けられた無端状のタイミングベルト39とを有する。一方のプーリ38Aは、第2モータ32の動力で回転する。また、搬送体35には、タイミングベルト39の一部が固定されている。これにより、第2モータ32が正逆転駆動されてタイミングベルト39が正逆回転することで、搬送体35は搬送方向Xに往復移動可能である。
【0040】
図3に示すように、第1昇降シリンダ34は、搬送体35上に取り付けられている。第1昇降シリンダ34のロッド34Aの上端部には、テーブル31が固定されている。第1昇降シリンダ34が伸長駆動されるとテーブル31が上昇し、第1昇降シリンダ34が収縮駆動されるとテーブル31が下降する。
【0041】
図5に示すように、第1コンベヤ20の搬送方向Xにおける下流端付近には、ケースWを検知する第1センサ81が設けられている。第1センサ81は、受取位置P1もしくは受取位置P1よりも若干上流側の位置に到達したケースWを検知する。制御部100は、第1センサ81がケースWを検知すると、第1昇降シリンダ34を伸長駆動させることでテーブル31を上昇させる。
【0042】
<反転機構40の詳細な構成>
次に、
図3、
図4、
図6を参照して反転機構40の詳細な構成について説明する。
図3、
図4、
図6に示すように、反転機構40の回転体41は、回転停止状態において、複数のポケット45のうち1つの長手方向が水平方向と一致する水平な姿勢で配置される。この1つのポケット45の位置が搬入位置Pinである。この搬入位置Pinにある1つのポケット45の高さは、上昇位置にあるテーブル31が搬送方向Xに移動したときに、そのテーブル31上のケースWがポケット45の開口45Aから挿入可能な高さに設定されている。
【0043】
また、ポケット45は、開口45Aを形成する4つの断面L字状の枠体45Bにより構成される。4つの枠体45Bのうち下側の2つの枠体45Bは、受渡位置P2でポケット45に受け渡されたケースWが載置される一対の支持部の一例を構成する。受渡位置P2に到達したテーブル31が上昇位置から下降位置へ下降する過程で、テーブル31上のケースWがポケット45を構成する下側の一対の枠体45Bに載置されることで、ケースWはテーブル31からポケット45へ受け渡される。
【0044】
ポケット45には、搬送方向X(回転体41の径方向)において開口45Aとは反対側の奥方の位置に、ケースWのそれ以上の移動を規制するストッパ49が配置されている。ケースWの挿入方向(搬送方向X)の奥面がストッパ49に当たる位置かそれよりも若干搬送方向Xの上流位置が、ポケット45におけるケースWの受渡位置P2となる。このため、搬送体35は、テーブル31上のケースWの奥面がストッパ49に接触する位置かあるいはそれより若干手前の位置を停止目標として受渡位置P2に停止させる速度制御が行われる。すなわち、搬送体35は、受渡位置P2で、テーブル31上のケースWがストッパ49に軽く当たるかあるいはストッパ49に当たる位置よりも若干手前の位置で停止する。これにより、搬送体35が受渡位置P2に停止する際にケースWに加わる衝撃が抑制される。
【0045】
図4に示すように、ポケット45においてケースWが載置される一対の枠体45Bの間隔を第2間隔L2とする。テーブル31の幅中心線と、ポケット45の幅中心線とは一致する。第2間隔L2は、テーブル31の幅寸法LTよりも広く、且つケースWの幅寸法LWよりも狭い。つまり、LT<L2<LWが成立する。これにより、テーブル31は、一対の枠体45Bの幅方向Yの隙間を通って一対の枠体45Bの載置面に対して高い上昇位置と低い下降位置とに昇降可能である。また、一対の枠体45B上にケースWを載せて回転体41が回転することが可能である。よって、テーブル31上のケースWをポケット45へ受け渡すことが可能である。
【0046】
したがって、前述のLT<L1<LWの関係と、上述のLT<L2<LWの関係とから、LT<L1<LW、且つLT<L2<LWが成立する。ケースWとテーブル31との間に必要な接触面積が確保されるように、テーブル31に必要な幅寸法LTを決めると、LT<L1<LWを満たす範囲で第1間隔L1を決め、LT<L2<LWを満たす範囲で第2間隔L2を決めればよい。ここで、テーブル31の幅寸法LTは、必要な接触面積を確保するうえで、例えば、LT≧LW/2が好ましい。
【0047】
<第2搬送機構50の構成>
前述のとおり、第2搬送機構50は、第1搬送機構30と基本的に同様の構成である。すなわち、
図1、
図2に示すように、第2搬送機構50は、駆動源である第4モータ52と、動力伝達機構53と、搬送体55とを備える。搬送体55は、第4モータ52から動力伝達機構53を介して伝達される動力によって、レール57に沿って搬送方向Xに往復移動可能である。搬送体55は、テーブル51と、テーブル51を昇降させる第2昇降シリンダ54とを有する。搬送体55には、ケーブルベヤ(登録商標)56が接続されている。テーブル51の幅寸法は、搬出位置Poutにあるポケット45の下部を構成する一対の枠体45B(支持部)の幅方向Yの隙間よりも狭い。
【0048】
また、
図1に示すように、第2コンベヤ60は、コンベヤ61と、駆動源である第5モータ62と、動力伝達機構63とを備える。一対のコンベヤ61の幅方向Yの隙間は、テーブル51の幅寸法よりも広く、テーブル51の昇降通路とされる。
【0049】
<実施形態の反転装置11と比較例との比較>
ここで、従来の比較例の反転装置では、搬入コンベヤが搬送物をポケット内の停止位置(受渡位置)まで搬送する。この構成であると、通常、工場に設置される搬入コンベヤは、モータへの通電を遮断することで停止する。つまり、搬入コンベヤは減速度の制御ができない。また、搬入コンベヤを連続運転させる場合、搬送物をストッパに当ててポケット内の受渡位置で強制的に停止させる。このため、反転作業のサイクルタイムを短くするべく、搬入コンベヤの搬送速度を高速化するほど、搬送物はポケット内の受渡位置で急停止することになり、搬送物に加わる衝撃が大きくなる。例えば、搬送物が、衝撃を受けると、破損、破れあるいは特性の変化を招き易いデリケートな製品を収納したケースである場合、急停止時の大きな衝撃は避ける必要がある。
【0050】
そこで、本実施形態では、搬送物への衝撃を抑えつつ反転処理を高速に行うことができる反転装置11を提供する。反転装置11は、比較例の搬入コンベヤと同様の第1コンベヤ20と、反転機構40とを備える。比較例と異なる点は、第1コンベヤ20と反転機構40との間で水平に移動(横行)して搬送物の受取りおよび受渡し作業を行う第1搬送機構30を備える点である。
【0051】
第1搬送機構30は、受取位置P1で第1コンベヤ20からケースWを受け取る受取作業および受け取ったケースWを受渡位置P2まで搬送して反転機構40のポケット45に受け渡す受渡作業を行う。ポケット45は、回転体41の回転方向に所定の角度間隔をあけて複数設けられるケースWの収容部である。
図1、
図3に示す例では、回転体41が例えば90度ずつ間欠的に回転することで、複数のポケット45は、そのうちの1つが順番に受渡位置P2に間欠的に停止する。
【0052】
本実施形態の第1コンベヤ20は、ポケット45よりも所定距離手前の受取位置P1までのケースWの搬送を担う。受取位置P1は、ポケット45が搬入位置Pinに位置するときの開口45Aよりも搬送方向Xの上流に位置し、ケースWをポケット45に収容する際の収容開始位置である。そして、高速搬送且つ減速度制御が可能な第1搬送機構30が、ケースWをポケット45に収容する収容作業を担う。この第1搬送機構30における搬送体35の速度制御の詳細については、第1コンベヤ20の速度及び減速度などと対比しつつ後述する。
【0053】
なお、受渡位置P2に停止したテーブル31が下降位置に下降し終わる前に、回転体41の回転を開始する制御が行われてもよい。さらには、受渡位置P2に停止したテーブル31が上昇位置から下降位置への下降を開始する前あるいはほぼ同時に、回転体41の回転を開始する制御が行われてもよい。これらの場合、テーブル31上のケースWがポケット45により掬い取られる。このようなタイミング制御により、受渡位置P2に到達したケースWの反転の開始タイミングが早められる。これにより、受渡位置P2に到達してからケースWの反転が完了するまでの所要時間が短くなる。
【0054】
<反転装置11の電気的構成>
次に、
図11を参照して反転装置11の電気的構成について説明する。
制御部100は、反転装置11を制御する。制御部100には、第1センサ81、第2センサ82及び第3センサ83が電気的に接続されている。第1センサ81は、第1コンベヤ20のコンベヤ21上のケースWが受取位置P1もしくは受取位置P1よりも若干搬送方向Xの上流の位置に到達したことを検知する。
【0055】
第2センサ82は、反転機構40において搬入位置Pinにあるポケット45内の受渡位置P2にケースWが到達したことを検知する。
第3センサ83は、反転機構40においてポケット45内にある反転中のケースWが搬出位置Poutに到達したことを検知する。
【0056】
また、制御部100には、第1コンベヤ20、ストッパ71、第1搬送機構30、反転機構40、第2搬送機構50及び第2コンベヤ60が電気的に接続されている。
制御部100は、第1コンベヤ20の駆動源である第1モータ22を駆動制御する。
【0057】
制御部100は、不図示のセンサの検知信号に基づいてシリンダ72を駆動制御する。制御部100は、不図示のセンサが受渡位置P2よりも所定距離だけ上流側の位置に到達したケースWを検知すると、シリンダ72を伸長駆動させてストッパを待機位置から規制位置へ下降させることで、ケースWを受取位置P1に停止させる。制御部100は、テーブル31が上昇を開始してからケースWをテーブル31上に移載されるまでの所定のタイミングを不図示のセンサが検知すると、シリンダ72を収縮駆動させることで、ストッパ71を規制位置から待機位置へ上昇させる。
【0058】
制御部100は、第1センサ81の検知信号に基づいて第1搬送機構30の第2モータ32及びテーブル31の昇降機構である第1昇降シリンダ34を駆動制御する。詳しくは、制御部100は、第1センサ81の検知信号に基づいて第1昇降シリンダ34を伸長駆動させることでテーブル31を上昇させる。このテーブル31の上昇後、制御部100は、第2モータ32を駆動させることでテーブル31を上昇させた搬送体35を受取位置P1から受渡位置P2まで移動させる。制御部100は、搬送体35が受渡位置P2に到達すると、第1昇降シリンダ34を収縮駆動させることで、テーブル31を下降させる。テーブル31がケースWをポケット45に受渡しできた高さまで下降したことを不図示のセンサにより検知すると、第2モータ32を逆転駆動させることで、搬送体35を受取位置P1まで移動させる。
【0059】
制御部100は、反転機構40の駆動源である第3モータ43を駆動制御する。制御部100は、搬入位置Pinにあるポケット45に内の受渡位置P2までケースWが収容されると、第3モータ43を駆動させることで、回転体41を90度だけ回転方向に回転させる。以降、同様に搬入位置Pinにあるポケット45内の受渡位置P2までケースWが収容される度に第3モータ43を駆動させて回転体41を90度ずつ間欠的に回転させる。
【0060】
制御部100は、第2搬送機構50の駆動源である第4モータ52と、第2昇降シリンダ54とを駆動制御する。第2搬送機構50の制御は、第1搬送機構30の逆の動きするのみで、第2昇降シリンダ54の伸縮駆動によりテーブル51を昇降し、第4モータ52の正転駆動と逆転駆動とにより搬送体55を横行させる。
【0061】
制御部100は、第2コンベヤ60の駆動源である第5モータ62を駆動制御する。
<反転装置11の制御内容>
制御部100は、以下の制御を実行する。制御内容は制御部100内のコンピュータがプログラムを実行することにより実現される。制御内容は、以下の4つのステップにより構成される。これら4つのステップは、本実施形態の反転方法を構成する。
【0062】
受取ステップでは、第1コンベヤ20から搬送物の一例であるケースWを受け取るステップである。第1搬送機構30の搬送体35が受取位置P1でテーブル31を上昇させることで、第1コンベヤ20からテーブル31上にケースWを受け取る。
【0063】
搬送ステップでは、コンベヤ21から受け取ったケースWを水平方向(搬送方向X)に移動させることで反転機構40が有する回転体41のポケット45内にケースWを搬送するステップである。この搬送ステップでは、搬送体35の最大速度V1が第1コンベヤ20の最大速度V0よりも大きく、且つ搬送体35の減速過程の最大減速度β1が、コンベヤ21の停止時の最大減速度β0よりも小さく設定されている。
【0064】
反転ステップでは、回転体41が間欠的に回転することによってポケット45に収容されたケースWを反転させる。本実施形態では、回転体41が例えば90度(360°/N)ずつ間欠的に回転する。回転体41が90度の回転を2回(N/2回)行うことでケースWは反転する。
【0065】
搬出ステップでは、反転されたケースWをポケット45から搬出する。詳しくは、第2搬送機構50のテーブル51が受取位置P3で上昇することで、テーブル51がポケット45からケースWを受け取る。そして、搬送体55が受取位置P3から受渡位置P4まで移動することで、ケースWがポケット45から搬出される。なお、受渡位置P4でテーブル51が下降することで、ケースWがコンベヤ61上に受け渡される。
【0066】
<搬送体35の搬送動作>
搬送機構30は、搬送体35の動作として、第1動作、第2動作、第3動作および第4動作をこの順に行う。第1動作は、受取位置P1でテーブル31を上昇させることでコンベヤ20上のケースWをテーブル31上に受け取る動作である。第2動作は、テーブル31を受取位置P1から受渡位置P2まで水平方向に移動させる動作である。第3動作は、受渡位置P2でテーブル31を下降させることでケースWをポケット45に受け渡す動作である。第4動作は、テーブル31を受渡位置P2から受取位置P1まで復帰させる動作である。
【0067】
<加減速制御について>
次に、
図12~
図14を参照して、第1コンベヤ20及び第1搬送機構30の加減速度制御について説明する。
図12は、第1コンベヤ20の加減速制御を示す速度プロファイルである。
図13、
図14は、第1搬送機構30を構成する搬送体35(つまりテーブル31)の加減速制御を示す速度プロファイルである。
図13は、搬送体35がケースWを搬送する往動時の速度プロファイルである。
図14は、ケースWを受渡位置P2でポケット45に移載した後に搬送体35が受取位置P1まで復帰する復動時の速度プロファイルである。
図12~
図14に示すグラフは、第1搬送機構30の時間tと速度Vとの関係を示す。
【0068】
図12に示すように、コンベヤ21は、比較的大きな最大加速度α0で急加速し、一定の最大速度V0で搬送する。停止する際は、比較的大きな最大減速度β0で急停止する。ここでいう最大速度V0は、ケースWの種類ごとに作業者が設定するものであってもよい。また、加速度α0は、スイッチオン時に第1モータ22への通電が開始された際の加速度に相当する。減速度β0は、スイッチオフ時に第1モータ22への通電が遮断された際の減速度に相当する。本実施形態のコンベヤ21は、受取位置P1に到達したケースWをストッパ71が停止させる構成であるので、運転中は回転を継続する。なお、ストッパ71を用いる構成に替え、制御部100がスイッチング制御を行うことによりコンベヤ21の駆動を停止させることで、ケースWを受取位置P1に停止させる構成でもよい。
【0069】
特許文献1、2に記載された反転装置のように、搬入コンベヤが回転体のポケットにケースを収容する構成である場合、サイクルタイム向上のうえでコンベヤの最大速度V0を高めることが有効である。この場合、ストッパで停止させた際にケースに加わる衝撃が過大になる。また、モータの通電を遮断してコンベヤを停止させる構成の場合も、ケースに停止時に加わる衝撃が過大となる。これに対して本実施形態の反転装置11では、回転体41のポケット45へのケースWの収容は第1搬送機構30が担うので、コンベヤ21の最大速度V0をポケット45への収容速度を考慮して高速化する必要はない。そのため、受取位置P1で停止させた際にケースWに加わる衝撃が過大にならない。ゆえに、受取位置P1に到達したケースWをストッパ71が停止させる構成としている。
【0070】
図13に示すように、受取位置P1から受渡位置P2までケースWを搬送してポケット45内に供給する搬送過程において、搬送体35は最大速度V1でケースWを搬送する。この最大速度V1は、コンベヤ21の最大速度V0よりも大きい。しかも、搬送体35が受渡位置P2に停止するまでの減速過程の最大減速度β1がコンベヤ21の停止時の最大減速度β0よりも小さく設定されている。また、搬送体35が受取位置P1から最大速度V1まで加速する加速仮定の最大加速度α1が、コンベヤ21の加速過程の最大加速度α0よりも小さく設定されている。
【0071】
図14に示すように、搬送体35が受渡位置P2から受取位置P1まで移動する復帰過程の最大速度V2は、
図13に示す供給時の最大速度V1よりも大きく設定されている。また、搬送体35が受渡位置P2から最大速度V2まで加速する加速過程の最大加速度α2は、コンベヤ21の加速過程の最大加速度α0よりも小さく、且つ
図13に示す往動時の加速過程の最大加速度α1よりも大きく設定されている。搬送体35が最大速度V2から受取位置P1で停止するまでの減速過程の最大減速度β2は、コンベヤ21の停止時の最大減速度β0よりも小さく、且つ
図13に示す往動時の減速過程の最大減速度β1よりも大きく設定されている。
【0072】
ここで、減速度とは、マイマスの加速度を指す。つまり、減速過程の加速度を意味する。減速時の加速度αは、α<0である。減速度は、加速度αに絶対値を付けた値に相当する。このαの例では、α=-β<0とすると、β(=|α|)が減速度である。
【0073】
<実施形態の作用>
次に、反転装置11の作用について説明する。
図1、
図3に示すように、ケースWは、第1コンベヤ20により所定の搬送速度V0で搬送される。受取位置P1に到達するよりも少し搬送方向Xの上流の位置で不図示のセンサによりケースWが検知されると、制御部100は、
図7に示すように、シリンダ72を伸長駆動させることで、ストッパ71を退避位置から規制位置に移動させる。この結果、ケースWは、ストッパ71に当たり受取位置P1に停止する。
【0074】
通常の場合、このときまでにテーブル31を下降させた搬送体35が受取位置P1の下方で待機する。
図8に示すように、第1センサ81が受取位置P1に達したケースWを検知すると、制御部100は、第1昇降シリンダ34を伸長駆動させることでテーブル31を上昇させる。この上昇過程で、コンベヤ21上のケースWがテーブル31上に移載される。このテーブル31の上昇タイミングでストッパ71が退避位置へ退避する。
【0075】
次に、
図9に示すように、搬送体35が受取位置P1から受渡位置P2までレール37に沿って搬送方向Xに水平移動する。この搬送によってケースWは、4つのポケット45のうち搬入位置Pinにある1つのポケット45内の受渡位置P2に収容される。
【0076】
次に、
図10に示すように、第2センサ82が受渡位置P2に達したケースWを検知すると、制御部100は、第1昇降シリンダ34を収縮駆動させることでテーブル31を下降させるとともに、第3モータ43を正転駆動させることで回転体41の
図10に矢印で示す回転方向への回転を開始させる。このとき、制御部100は、テーブル31が受渡位置P2に達すると同時に回転体41の回転を開始させるか、または受渡位置P2に達して下降を開始したテーブル31が下降を終える前に、回転体41の回転を開始させる。これにより、ケースWがテーブル31からポケット45へ受け渡される際に、回転体41の回転開始タイミングを早めることができる。
【0077】
この結果、ケースWがテーブル31からポケット45に移載されるとともに、回転を開始した回転体41が1回分の回転量である90度だけ回転して停止する。ケースWをポケット45に受け渡す際にテーブル31を下降させた搬送体35は、受渡位置P2から受取位置P1まで復帰する。
【0078】
以後、
図7~
図10に示す処理を含む一連の処理が、受取位置P1にケースWが到達する度に、そのケースWに対して同様に行われる。すなわち、ケースWの受取位置P1でのストッパ71による停止(
図7)、ケースWのテーブル31上への移載(
図8)、ケースWの受取位置P1から受渡位置P2までの搬送(
図9)、ポケット45へのケースWの移載(
図10)、回転体41の間欠回転、及び搬送体35の受取位置P1への復帰動作が、次回以降のケースWに対して同様に行われる。
【0079】
ポケット45にケースWが搬入されたときから回転体41の2回の間欠的な回転が行われることで、そのケースWを収容したポケット45が搬出位置Poutに達する。搬出位置Poutに達した際のケースWは第3センサ83により検知される。
【0080】
第3センサ83がケースWを検知すると、制御部100は、それまでに受取位置P3に到達した、あるいはその直後に受取位置P3に到達した搬送体55が有する第2昇降シリンダ54を伸長駆動させることでテーブル51を上昇させる。この結果、ポケット45内のケースWがテーブル51上に移載される。
【0081】
搬送体55が受取位置P3から受渡位置P4に移動(横行)する。搬送体55が受渡位置P4に達すると、制御部100は、第2昇降シリンダ54を収縮駆動させることでテーブル51を下降させる。この下降過程で、テーブル51上のケースWが第2コンベヤ60のコンベヤ61上に移載される。そして、ケースWは第2コンベヤ60により搬出される。こうして、一連の処理がケースWに対して所定のサイクルタイムごとに繰り返し実行される。
【0082】
ここで、サイクルタイムの短縮効果について説明する。
第1コンベヤ20は、一定の搬送速度V0でケースWを搬送する。この一定の搬送速度V0は、
図12に示す速度プロファイル上の最大速度V0でもある。本実施形態の第1コンベヤ20は、受取位置P1に到達したケースWはストッパ71が停止させるので、運転中は回転を継続するが、最大速度V0から停止させる場合、
図12に示すように、比較的大きな最大減速度β0を伴って急停止する。つまり、第1コンベヤ20は、ケースWごとに毎回停止を伴うポケット45への高速搬送には向かない。第1コンベヤ20は、高速化するほど停止した際にケースWに加わる衝撃が大きくなるので、停止時の衝撃を抑えた高速化が困難である。そのため、本実施形態の第1コンベヤ20は、ポケット45に搬送する手前までのケースWの搬送を担う。第1コンベヤ20は、上流側のケースWの生産能力などに合わせた一定の搬送速度V0で駆動される。
【0083】
次に、ポケット45内にケースWを搬送する搬送体35の搬送処理について説明する。
ポケット45は、回転体41の回転で移動するので、ポケット45が搬入できる搬入位置Pinに到達するまでは、搬送体35はポケット45の外側で待機し搬入動作を開始できない。
【0084】
ポケット45が搬入位置Pinに到達すると、ポケット45の外側に位置する搬送体35は、受取位置P1からポケット45のおおよそ奥行き寸法に相当するストロークでケースWを搬送する必要がある。この搬送所要時間がサイクルタイムの短縮のうえで重要になる。
【0085】
比較的短い移動距離ではあるが、衝撃を抑えた高速化が困難なコンベヤ21の搬送速度V0では遅いため、より高速な搬送速度で搬送するために第1搬送機構30を採用する。ポケット45にケースWを収容するこの作業では、最終的にケースWをポケット45内に停止させる必要がある。また、停止位置精度もある程度要求される。例えば、ポケット45の奥方のストッパ49よりも過度に手前の位置でケースWが停止すると、回転体41が次の90度回転する過程でケースWが重力で落下することになるため、その際の落下衝撃がケースWに加わる。また、ケースWをストッパ49に当てて強制的に停止させると、ストッパ49に衝突した際の大きな衝撃がケースWに加わる。そのため、ストッパ49に軽く接触する位置か、あるいはストッパ49よりも僅かに手前の位置でケースWを停止させる停止制御が行われる。
【0086】
また、加速過程の最大加速度を大きくすれば搬送は短時間で済むが、最大加速度を大きくし過ぎると、テーブル31上でケースWの滑りが発生する。この場合、テーブル31の停止位置精度が正確でも、ケースWの停止位置精度を保証できなくなる。このため、最大加速度をなるべく大きくし且つケースWとテーブル31との滑りを抑える必要がある。この点は、減速過程でも同様であり、テーブル31に滑り対策が必要である。そのため、テーブル31の上面には摩擦シート(図示略)が貼り付けられている。これにより、搬送速度の高速化と、高い停止位置精度とを実現している。
【0087】
図12、
図13に示すように、ケースWをポケット45内に供給する搬送過程における搬送体35の最大速度V1(
図13)が、コンベヤ21の最大速度V0(
図12)よりも大きい。しかも、搬送体35が受渡位置P2に停止するまでの減速過程の最大減速度β1がコンベヤ21の停止時の最大減速度β0よりも小さく設定されている。これにより、ケースWに加わる衝撃を抑えつつケースWを受取位置P1から受渡位置P2まで高速で搬送することができる。
【0088】
また、
図14に示すように、搬送体35が受渡位置P2から受取位置P1まで移動する復帰過程の最大速度V2は、供給過程の最大速度V1よりも大きい。よって、ケースWを順次搬送する第1搬送機構30のサイクルタイムを短くすることができる。
【0089】
なお、第1搬送機構30の搬入動作と同時並行で行われる第2搬送機構50の搬出動作では、搬送体55の往動と復動で適用する速度プロファイルを第1搬送機構30とは逆にしている。すなわち、第2搬送機構50では、テーブル51を受取位置P3から受渡位置P4まで搬送する搬出過程に
図13に示す速度プロファイルを用いる。そして、テーブル51を受渡位置P4から受取位置P3まで復帰する復帰過程に
図14に示す速度プロファイルを用いる。よって、第1搬送機構30の搬入動作と第2搬送機構50の搬出動作とが同時並行に行われ、且つ第1搬送機構30の復帰動作と第2搬送機構50の復帰動作とが同時並行に行われる。この結果、回転体41の回転を早期に開始できるので、サイクルタイムの短縮に寄与する。例えば、搬送体35の復帰タイミングと搬送体55の復帰タイミングとの間にずれがあり一方が他方を待つ待機時間が発生すると、サイクルタイムが若干長くなるが、本実施形態ではそのような待機時間が発生しない、もしくは待機時間を極力小さくできるので、サイクルタイムが長くなることを回避できる。
【0090】
<テーブル搬送方式の利点>
次に、昇降式のテーブル31,51を搭載する本実施形態のテーブル搬送方式の利点について説明する。テーブル搬送方式以外の方式の搬送機構として、搬送物を把持して横行する把持方式、搬送物をポケット45内に押し込むプッシャー方式、搬送物を吊下して横行する吊下方式の搬送機構が挙げられる。吊下方式では、吸着方式、磁着方式、把持方式が挙げられる。
【0091】
例えば、把持方式では、搬送物を受け取る際の把持部の向きと、搬送物を受け渡す際の把持部の向きが異なる場合、搬送物を把持してからポケット45に置くまでに把持部の向きを変更する余分な動作が発生し、これが搬送所要時間を長くする。また、吊下方式の場合、把持部の向きを変更する必要はないが、ポケット45内に搬送物を置いた際の位置が搬送物の回転方向下流の位置なので、把持部がポケット45の外に復帰するまで回転体41の回転を開始することができない。この待ち時間は、サイクルタイムを長くする。また、プッシャー方式は、搬送物の側面を押すので、回転体41の回転開始タイミングを遅らせることはないが、搬送物の搬送速度の高速化を図る場合、勢いよく押す必要があるうえ、プッシャーの駆動速度を減速しても搬送物は慣性で高速移動するので、ストッパ49に当たった際の衝撃が大きい。また、プッシャー方式の場合、ケースWを搬送方向Xの上流側から押す構成を採用しようとすると、第1コンベヤ20を第1搬送機構30の搬送方向Xと交差する方向にケースWを搬送させる必要がある。この場合、第1コンベヤ20が搬送するケースWの向きと、テーブル31が搬送するときのケースWの向きが異なることになる。そのため、搬出側でケースWの向きを戻す余分な作業が増える場合がありうる。
【0092】
これらの他の方式に比べ、本実施形態のテーブル搬送方式によれば、加減速制御によりケースWの衝撃を抑えつつケースWを高速で受取位置P1から受渡位置P2まで搬送できる。そのうえ、ケースWをポケット45に移載した後のテーブル31がケースWに対してポケット45の回転方向の上流に位置する。つまり、回転体41を直ちに回転させてもケースWとテーブル31は干渉しない。よって、テーブル31の復帰を待つことなく直ちに回転体41の回転を開始することができる。よって、サイクルタイムの短縮に寄与する。
【0093】
また、反転装置11は、第1コンベヤ20、第1搬送機構30、反転機構40、第2搬送機構50、及び第2コンベヤ60は、ケースWの向き(例えば長手方向)を同じ向きに保ったまま搬送および反転を行う。そのため、反転装置11は、1ラインで、搬入、反転、搬出が行われる。例えば、特許文献3のように、回転軸42が搬送方向Xと平行な向きに回転体41が配置される構成である場合、少なくとも反転機構の部分で2ライン分の幅が必要になり、工場のスペースを有効利用しにくい。これに対して、本実施形態の反転装置11は、搬送、反転、搬送の一連の流れが1ラインの幅で済むので、工場のスペースを有効利用しやすい。
【0094】
<実施形態の効果>
以上、詳述した実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)反転装置11は、コンベヤ21から受け取った直方体状のケースWを反転させる。反転装置11は、搬送機構30と反転機構40とを備える。搬送機構30は、コンベヤ21から受取位置P1で受け取ったケースWを搬入位置Pinにある1つのポケット45内の受渡位置P2まで搬送する搬送体35を有する。搬送体35は、ケースWをポケット45内に供給する。反転機構40は、回転方向に間隔をおいた位置に配置され且つ径方向にケースWの搬入及び搬出が可能に構成される複数のポケット45を有する回転体41を備える。反転機構40は、複数のポケット45のうち搬入位置Pinに位置する1つのポケット45に搬入されたケースWを、回転体41の間欠的な回転により反転させる。搬送機構30は、ケースWをポケット45内に供給する供給過程における搬送体35の最大速度V1が、コンベヤ21の最大速度V0よりも大きく、且つ搬送体35が受渡位置P2に停止するまでの減速過程の最大減速度β1がコンベヤ21の停止時の最大減速度β0よりも小さく設定されている。この構成によれば、コンベヤ21により搬送されてくるケースWを反転機構40のポケット45内に供給してケースWを反転させる処理を、ケースWに加わる衝撃を抑えつつ高速で行うことができる。よって、反転装置11において、ケースWを搬送上の不都合を伴わず短時間でポケット45に収容できるので、反転処理のサイクルタイムを短縮できる。
【0095】
(2)コンベヤ21は、ケースWの搬送方向Xと交差する幅方向Yに第1間隔L1を隔てて一対配置される。ポケット45は、幅方向Yに第2間隔L2を隔てた一対の枠体45B(支持部の一例)を有する。搬送体35は、昇降可能なテーブル31を有する。第1間隔L1及び第2間隔L2は、テーブル31幅寸法よりも広く、且つケースWの幅寸法LWよりも狭く設定される。搬送体35は、受取位置P1でテーブル31を第1間隔L1の隙間を通って上昇させることでコンベヤ21からテーブル31へケースWを受け取る。また、搬送体35は、受渡位置P2でテーブル31を第2間隔L2の隙間を通って下降させることでテーブル31からポケット45へケースWを受け渡し可能に構成される。
【0096】
この構成によれば、ケースWの幅寸法LWよりも狭い範囲内であれば、第1間隔L1及び第2間隔L2を必要な広さに設定できる。さらに、第1間隔L1及び第2間隔L2よりも狭い範囲内であれば、テーブル31の幅寸法LTを必要な広さに設定できる。このため、搬送体35を載せたテーブル31を高速移動させても、ケースWをテーブル31上で滑りにくくするために必要な接触面積を確保できるようにテーブル31の幅寸法LTを設定できる。したがって、搬送体35を高速で移動させてもテーブル31上のケースWはほぼ滑らないうえ、搬送体35をコンベヤ21と独立して速度制御することができる。よって、反転装置11において、ケースWを搬送上の不都合を伴わず短時間でポケット45に収容できるので、反転処理のサイクルタイムを短縮できる。
【0097】
(3)搬送機構30は、受取位置P1でケースWを受け取った搬送体35が最大速度V1まで加速する加速過程の最大加速度α1と、最大速度V1から停止するまでの減速過程の最大減速度β1とがほぼ同じ大きさに設定されている(
図13参照)。この構成によれば、ケースWに加わる衝撃を小さく抑えつつ、ケースWを反転機構40に受け渡すまでの搬送所要時間を効果的に短くすることができる。
【0098】
(4)搬送体35は、ケースWを載置して水平方向に移動可能なテーブル31と、テーブル31を昇降させる昇降機構の一例としての第1昇降シリンダ34とを備える。ポケット45は、テーブル31が昇降可能な昇降通路を隔てた両側にケースWを支持可能に設けられた一対の支持部としての一対の枠体45Bを有する。搬送機構30は、受取位置P1でテーブル31を上昇させることでコンベヤ21上のケースWをテーブル31上に受け取る第1動作と、テーブル31を受取位置P1から受渡位置P2まで水平方向に移動させる第2動作と、受渡位置P2でテーブル31を下降させることでケースWをポケット45に受け渡す第3動作と、テーブル31を受渡位置P2から受取位置P1まで復帰させる第4動作とを行う。この構成によれば、ケースWを反転機構40に受け渡す際の搬送所要時間を短くでき、且つ反転機構40における回転体41の回転の開始を早期に行うことができる。よって、ケースWを受け取ってから反転動作を終えるまでの処理を高速化できる。
【0099】
(5)テーブル31が受渡位置P2に達すると同時、または受渡位置P2に達して下降を開始したテーブル31が下降を終える前に、反転機構40は、回転体41の回転を開始する。この構成によれば、ケースWの反転機構40への受け渡しの際に、回転体41の回転開始タイミングを早めることができる。よって、ケースWの反転をさらに高速処理できる。
【0100】
(6)搬送体35が受取位置P1から受渡位置P2まで移動する供給時の最大速度V1よりも、搬送体35が受渡位置P2から受取位置P1まで移動する復帰時の最大速度V2の方が大きい。この構成によれば、ケースWの位置ずれや衝撃を抑えつつ、ケースWを順次搬送する搬送機構30のサイクルタイムを短縮できる。
【0101】
(7)搬送物の反転方法は、回転方向に間隔をおいた位置に配置され且つ径方向に搬送物であるケースWの搬入及び搬出が可能に構成される複数のポケット45を有する回転体41を備える反転機構40を用いてケースWを反転させる。ケースWの反転方法は、受取ステップと、搬送ステップと、反転ステップと、搬出ステップとを含む。受取ステップでは、搬送体35がコンベヤ21からケースWを受け取る。搬送ステップでは、搬送体35が受取位置P1から水平方向に移動することで、複数のポケット45のうち1つのポケット45内の受渡位置P2までケースWを搬送する。反転ステップでは、回転体41が間欠的に回転することによって1つのポケット45に収容されたケースWを反転させる。搬出ステップでは、反転されたケースWをポケット45から搬出する。さらに、搬送ステップでは、搬送体35の最大速度V1が、コンベヤ21の最大速度V0よりも大きく、かつ搬送体35を受渡位置P2に停止させるまでの減速過程の最大減速度β1がコンベヤ21の停止時の最大減速度β0よりも小さく設定される。この方法によれば、コンベヤ21により搬送されてくるケースWを反転機構40のポケット45内に供給して反転機構40がケースWを反転させる処理を、ケースWに加わる衝撃を抑えつつ高速で行うことができる。
【0102】
実施形態は、上記に限定されず、以下の態様に変更してもよい。
・
図15のグラフに示すように、搬送体35の速度プロファイルは、加速過程の最大加速度α3よりも、減速過程の最大減速度β3の方が大きく設定されてもよい。このグラフの加減速制御であれば、最大減速度β3が大きい分、最大速度V3をより高速に設定できるので、搬送機構30の搬送所要時間を短縮できるという効果が得られる。よって、ケースWに加わる衝撃を小さく抑えつつ、ケースWを反転機構40に受け渡すまでの搬送所要時間をより効果的に短くすることができる。なお、往動と復動で適用する速度プロファイルを第1搬送機構30とは逆にして、同様の加減速制御を第2搬送機構50に採用してもよい。この場合、第2搬送機構50の搬送所要時間を一層短縮できる。
【0103】
・
図16のグラフに示すように、最大速度が最大速度V1に制限される場合、搬送体35は、一定の期間において最大速度V1で定速移動する期間があってもよい。この場合、搬送体35の速度プロファイルは、最大速度V1に達するまでの加速過程における最大加速度α4よりも、最大速度V1から停止するまでの減速過程における最大減速度β4の方が大きく設定されてもよい。このグラフの加減速制御であれば、最大速度V1での搬送時間を長く確保できるので、搬送機構30の搬送所要時間を短縮できるという効果が得られる。よって、ケースWに加わる衝撃を小さく抑えつつ、ケースWを反転機構40に受け渡すまでの搬送所要時間をより効果的に短くすることができる。なお、往動と復動で適用する速度プロファイルを第1搬送機構30とは逆にして、同様の加減速制御を第2搬送機構50に採用してもよい。
【0104】
・搬送機構30は、ベルトコンベヤ方式であってもよい。この場合、コンベヤベルトが搬送体の一例を構成する。例えば、コンベヤの一例である第1コンベヤ20の搬送方向Xの下流側に、搬送機構の一例としての第1移載コンベヤを配置する。第1移載コンベヤは、搬送体の一例を構成する、無端状のコンベヤベルトを有する。第1コンベヤ20の下流端と第1移載コンベヤの上流端は、ケースWを受渡し可能な範囲内の隙間を隔てて隣接する。第1コンベヤ20と第1移載コンベヤは、共に搬送方向Xに搬送物の一例であるケースWを搬送する。第1コンベヤ20は、例えば、駆動源であるモータの通電をオン・オフすることで駆動と停止が制御される。反転装置11の稼働中、第1コンベヤ20は一定速度で連続運転され、ケースWを逐次搬入する。第1移載コンベヤは、例えば、サーボモータ等の速度制御が可能な駆動源により駆動され、制御部100により速度制御される。第1移載コンベヤは、第1コンベヤ20により順次搬入されたケースWを、搬送方向Xの上流端部の受取位置P1で順次受け取る。第1移載コンベヤは、受取位置P1でケースWを受け取る際に、停止又は第1コンベヤ20と同速度の受取速度で駆動される。第1移載コンベヤは、ケースWを受け取ると、最大速度に達するまで加速する加速過程と、最高速度からポケット45内の受渡位置P2に停止するまで減速する減速過程とを含む所定の速度プロファイルに従って速度制御される。このケースWをポケット45に収容する供給過程において、第1移載コンベヤの最大速度が、第1コンベヤ20の最大速度よりも大きく、且つ第1移載コンベヤの減速過程の最大減速度が第1コンベヤ20の停止時の最大減速度よりも小さく設定される。こうして、第1移載コンベヤは、無端状のコンベヤベルトが回転(正転)することで、ケースWを受取位置P1から受渡位置P2まで高速に搬送する。前記実施形態におけるテーブル31を有する搬送体35は、移動体であるので、移動体が受渡位置P2から受取位置P1に復帰する復帰過程があるが、このベルトコンベヤ方式では復帰過程はない。また、第1移載コンベヤは、最大速度に保たれる定速期間がなくてもよいし(
図13、
図15を参照)、定速期間があってもよい(
図16参照)。なお、第1コンベヤ20は、ベルトコンベヤでもよいし、チェーンコンベヤ等でもよい。また、第1移載コンベヤは、ベルトコンベヤに限らず、ケースWとの接触面積を確保できるコンベヤであればよい。例えば、第1移載コンベヤは、ベルトコンベヤ又はチェーンコンベヤの外周に複数のテーブルが周方向に等間隔に固定されたテーブル循環方式でもよい。この場合、第1移載コンベヤは、循環するテーブルが搬送方向Xに移動する供給過程において、受取位置P1で受け取ったケースWを受渡位置P2まで搬送しポケット45に受け渡す。
【0105】
この構成によれば、搬送体がベルトコンベヤであるので、ケースWを複数の搬入送り爪に載せる送り爪タイプに比べ、ケースWとの接触面積を広く確保できる。よって、搬送中のケースWの滑りを抑制できるので、最大加速度及び最大減速度を大きく設定できる。このため、搬送距離の割に最大速度をより高く設定できる。よって、搬送中のケースWの滑りを抑制でき、且つ停止時の過度な衝撃を抑制できる。例えば、特許文献1、2のようにコンベヤが回転体に搬送物を搬入する構成では、ケースWがストッパに当たった際の過度な衝撃、コンベヤ停止時の過度な衝撃を回避するため、高速化が困難であった。これに対して、この変更例では、コンベヤを搬入用の第1コンベヤ20と供給用の第1移載コンベヤとに分離し、第1コンベヤ20を一定速度で連続運転させるとともに、第1移載コンベヤを速度制御可能に構成する。そして、第1移載コンベヤが、加速・減速・停止を伴う速度制御でケースWを回転体41のポケット45に供給する。したがって、ケースWを搬送上の不都合を抑えつつ短時間でポケット45に受け渡すことができ、ひいては反転処理のサイクルタイムを短縮できる。
【0106】
なお、第1移載コンベヤは、前記実施形態のテーブル31と同様に次の条件を満たしてもよい。第1コンベヤ20を幅方向Yに第1間隔L1を隔てた一対で構成する。第1移載コンベヤ(つまりコンベヤベルト)の幅寸法LC、ケースWの幅寸法LW、ポケット45を構成する一対の支持部(枠体45B)の第2間隔L2とすると、LC<L1<LW、且つLC<L2<LWが成立する。LCは、第1移載コンベヤとケースWとの接触面積を広く確保するうえで、LC≧LW/2が好ましい。
【0107】
・搬送機構30は、昇降テーブル方式に限定されない。搬送物を把持して横行する方式の搬送機構でもよい。また、搬送物をポケット45内に押し込むプッシャー方式の搬送機構でもよい。プッシャー方式でも、ケースWの押し込み方向下流側にストッパをプッシャーと共に移動可能に配置すれば、プッシャーの減速によりケースWを減速させることができる。さらに、搬送物を吊下して横行する吊下方式の搬送機構であってもよい。この場合、吊下する方式は、吸着方式、磁着方式、把持方式でもよい。このような他の方式の搬送機構であっても、供給過程において、搬送体の最大速度が、コンベヤ21の最大速度よりも大きく、且つ搬送体の最大減速度をコンベヤ21の停止時の最大減速度よりも小さく設定すれば、同様の効果が得られる。
【0108】
・第1搬送機構30の駆動源である第2モータ32と、第2搬送機構50の駆動源である第4モータ52とを、1つのモータに置き替えてもよい。
・搬送体35を横行させる機構は、単軸ロボットを用いるものでもよい。
【0109】
・第1コンベヤ20を構成するコンベヤ21、及び第2コンベヤ60を構成するコンベヤ61は、例えば、ケースWを載置する状態で搬送するチェーンコンベヤ、ベルトコンベヤ、ローラコンベヤ以外の他の方式のコンベヤでもよい。また、コンベヤ21は、ケースWを把持して搬送したり、ケースWを吊下する状態で搬送したりするものでもよい。
【0110】
・搬送物がケースWである場合、ケースWの収容物は特に限定されない。収容物は、例えば、空の容器、液体、固体、気体のうちの1つである内容物が収容された容器でもよい。搬送物は、例えば、ペットボトルや壜、缶等の容器を収容するケースでもよい。また、ケースWの収容物は、例えば、その他の食品や飲料物、電子部品、電化製品、日常用品、部品、部材、粉粒体又は液状等の原料又は製品等を収容する袋などであってもよい。ケースW内の収容物の数は、1つでも複数でもよい。さらに、搬送物は、空のケースでもよい。
【0111】
・ケースWは、段ボールケースに限定されず、段ボール以外の紙製のケースでもよい。また、ケースWは、プラスチック製のケースでもよい。搬送物は、ケースが包装紙で包装されたものでもよい。
【0112】
・搬送物は、直方体状であれば、ケースWに限定されない。例えば、ケースではなく、搬送物そのもの自体が直方体状の物品であってもよい。直方体状の材料、部材、部品、製品であってもよい。例えば、直方体状であれば、木材、金属板、プラスチック製品、セラミック製品等でもよい。
【0113】
・制御部100は、一部又は全部が、プログラムを実行するコンピュータよりなるソフトウェアにより構成されてもよいし、電子回路等のハードウェアにより構成されてもよい。さらに、制御部100は、ソフトウェアとハードウェアとの協働で機能するものであってもよい。
【符号の説明】
【0114】
11…反転装置、20…コンベヤの一例としての第1コンベヤ、21…コンベヤ、21A…無端状部材、22…第1モータ、23…動力伝達機構、24…ギヤボックス、25…プーリ、26…プーリ、27…ベルト、28…ローラ、29…被動プーリ、30…搬送機構の一例としての第1搬送機構、31…テーブル、32…第2モータ、33…動力伝達機構、34…第1昇降シリンダ、34A…ロッド、35…搬送体、36…ケーブルベヤ(登録商標)、37…レール、37A…キャリッジ、38A…プーリ、38B…プーリ、39…タイミングベルト、40…反転機構、41…回転体、42…回転軸、43…第3モータ、44…動力伝達機構、45…ポケット、45A…開口、45B…支持部の一例を構成する枠体、46…駆動プーリ、47…プーリ、48…タイミングベルト、49…ストッパ、50…第2搬送機構、51…テーブル、52…第4モータ、53…動力伝達機構、54…第2昇降シリンダ、55…搬送体、60…第2コンベヤ、61…コンベヤ、62…第5モータ、63…動力伝達機構、71…ストッパ、72…シリンダ、81…第1センサ、82…第2センサ、83…第3センサ、100…制御部、W…搬送物の一例としてのケース、X…搬送方向、Y…幅方向、Z…鉛直方向、P1…供給側の受取位置、P2…供給側の受渡位置、P3…搬出側の受取位置、P4…搬出側の受渡位置、Pin…ポケットの搬入位置、Pout…ポケットの搬出位置、L1…第1間隔、L2…第2間隔、LW…ケースの幅寸法、LT…テーブルの幅寸法、LC…第1移載コンベヤの幅寸法、V0…コンベヤの最大速度、α0…最大加速度、β0…最大減速度、V1…供給時の最大速度、α1…最大加速度、β1…最大減速度、V2…復帰時の最大速度、α2…最大加速度、β2…最大減速度、V3…供給時の最大速度、α3…最大加速度、β3…最大減速度、α4…最大加速度、β4…最大減速度。