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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058315
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】歩行補助車
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/04 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
A61H3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165594
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 立承
(72)【発明者】
【氏名】角倉 大樹
(72)【発明者】
【氏名】松藤 現
(72)【発明者】
【氏名】神籔 寿
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA24
4C046AA47
4C046BB07
4C046CC02
4C046DD08
4C046DD27
4C046DD32
4C046DD33
4C046DD42
(57)【要約】
【課題】本発明の目的の一つは、ユーザの身体の状態に適した使用を実現できる歩行補助車を提供することにある。
【解決手段】本発明のある態様の歩行補助車100は、ハンドルが接続される一対の支持フレーム21と、使用者の上半身の少なくとも一部を支持するパッド部材14と、一対の支持フレーム21に接続され、パッド部材14を保持する一対のパッド保持フレーム26と、を備え、パッド部材14が使用者の上半身の少なくとも一部の位置を規定して支持する第1状態とパッド部材14が使用者の肘及び前腕の少なくとも一方の位置を規定して支持する第2状態との間で変更可能である。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルが接続される一対の支持フレームと、
使用者の上半身の少なくとも一部を支持するパッド部材と、
前記一対の支持フレームに接続され、前記パッド部材を保持する一対のパッド保持フレームと、を備え、
前記パッド部材が前記使用者の上半身の少なくとも一部の位置を規定して支持する第1状態と前記パッド部材が前記使用者の肘及び前腕の少なくとも一方の位置を規定して支持する第2状態との間で変更可能である、
歩行補助車。
【請求項2】
前記パッド部材は、
前記一対のパッド保持フレームの上で保持され且つ前記使用者の肘及び前腕の少なくとも一方を支持可能に構成された一対の第1パッド部材と、
前記一対のパッド保持フレームの間にわたって前記一対のパッド保持フレームの上で保持されるように構成された第2パッド部材と、
を備え、
前記ハンドルに固定された回転軸部と、
一方の端部が前記第2パッド部材に固定され、他方の端部が前記回転軸部に回動可能に取り付けられたアーム部材と、
を備え、
前記第1状態は前記第1パッド部材の上で前記第2パッド部材が保持された状態であり、
前記第2状態は前記第1状態から前記回転軸部を支点として前記第2パッド部材を前記ハンドルよりも下側の位置まで回動させた状態である、
請求項1に記載の歩行補助車。
【請求項3】
前記パッド部材は前記一対のパッド保持フレームの間にわたって前記一対のパッド保持フレームの上で保持されるように構成され、
前記パッド部材上で保持されることにより前記パッド部材上での前記使用者の肘及び前腕の少なくとも一方の位置を決める凸部を前記パッド部材上に設ける位置決め部材を備え、
前記第1状態は前記パッド部材上に前記凸部が設けられていない状態であり、
前記第2状態は前記パッド部材上に前記凸部が設けられた状態である、
請求項1に記載の歩行補助車。
【請求項4】
前記パッド保持フレームは前記ハンドルに固定された回転軸部を備え、
前記回転軸部を支点として前記パッド部材が倒立する位置まで前記パッド部材を回動可能であり、
前記位置決め部材は第1状態のときに前記パッド部材の裏面に固定可能に構成される、
請求項3に記載の歩行補助車。
【請求項5】
前記パッド部材は前記パッド保持フレーム上で向きを変更可能に構成された位置決め部材であって、所定の向きで前記パッド部材上での使用者の肘及び前腕の少なくとも一方の位置を決める凸部を前記パッド部材上に設ける位置決め部材を備え、
前記第1状態は前記凸部が設けられていない状態であり、
前記第2状態は前記凸部が設けられた状態である、
請求項1に記載の歩行補助車。
【請求項6】
前記パッド部材は、
前記一対のパッド保持フレームの上で保持され且つ前記使用者の肘及び前腕の少なくとも一方を支持可能に構成された一対の第1パッド部材と、
前記一対のパッド保持フレームの間にわたって前記一対のパッド保持フレームの上で保持されるように構成された第2パッド部材と、
を備え、
前記第1パッド部材及び前記第2パッド部材は着脱可能に構成され、
前記第1パッド部材及び前記第2パッド部材の一方が取り外されたときに前記取り外された第1パッド部材及び第2パッド部材の一方を保管するための保管部を備え、
前記第1状態では前記一対の第1パッド部材が前記保管部に保管され、
前記第2状態では前記第2パッド部材が前記保管部に保管される、
請求項1に記載の歩行補助車。
【請求項7】
前記保管部は車体の前側の位置で前記取り外された第1パッド部材及び第2パッド部材の一方を保管する、
請求項6に記載の歩行補助車。
【請求項8】
ハンドルが接続される一対の支持フレームと、
前記一対の支持フレームにそれぞれ接続され、一対の前輪をそれぞれ支持する一対の前輪フレームと、
前記支持フレームと前記前輪フレームとの接続位置より下の位置で前記一対の支持フレーム同士を接続する下部フレームと、
を備える、歩行補助車。
【請求項9】
ハンドルが接続される一対の支持フレームと、
使用者の前腕の少なくとも一部を支持するパッド部材と、
前記一対の支持フレームに接続され、前記パッド部材を保持するパッド保持フレームと、
前記パッド保持フレームの上で前記パッド部材を固定する固定部と、
を備え、
前記固定部は前記パッド部材を固定する位置を前後方向に変更可能である、
歩行補助車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行補助車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの両肘を置くアームレストを備えており、より多くの荷重をかけて使用するタイプの歩行補助車が利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-59832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが望む歩行補助車の使用方法は、ユーザの身体の状態に応じて異なることが想定される。そのため、ユーザの身体の状態に適した使用を実現できる歩行補助車100が求められている。
【0005】
上記を鑑み、本発明の目的は、ユーザの身体の状態に適した使用を実現できる歩行補助車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の歩行補助車は、ハンドルが接続される一対の支持フレームと、使用者の上半身の少なくとも一部を支持するパッド部材と、前記一対の支持フレームに接続され、前記パッド部材を保持する一対のパッド保持フレームと、を備え、前記パッド部材が前記使用者の上半身の少なくとも一部の位置を規定して支持する第1状態と前記パッド部材が前記使用者の肘及び前腕の少なくとも一方の位置を規定して支持する第2状態との間で変更可能である。
【0007】
本発明の他の態様の歩行補助車は、ハンドルが接続される一対の支持フレームと、前記一対の支持フレームにそれぞれ接続され、一対の前輪をそれぞれ支持する一対の前輪フレームと、前記支持フレームと前記前輪フレームとの接続位置より下の位置で前記一対の支持フレーム同士を接続する下部フレームと、を備える。
【0008】
本発明のさらに他の態様の歩行補助車は、ハンドルが接続される一対の支持フレームと、使用者の前腕の少なくとも一部を支持するパッド部材と、前記一対の支持フレームに接続され、前記パッド部材を保持するパッド保持フレームと、前記パッド保持フレームの上で前記パッド部材を固定する固定部と、を備え、前記固定部は前記パッド部材を固定する位置を前後方向に変更可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザの身体の状態に適した使用を実現できる歩行補助車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の歩行補助車の斜視図である。
図2】第1実施形態の歩行補助車の側面図である。
図3】第1実施形態の変形例の歩行補助車の斜視図である。
図4】第1実施形態の変形例の歩行補助車の側面図である。
図5】第1実施形態の変形例の歩行補助車の斜視図である。
図6】第1実施形態の変形例の歩行補助車の斜視図である。
図7】第1実施形態の変形例の歩行補助車の斜視図である。
図8】第1実施形態の変形例の歩行補助車の側面図である。
図9】第2実施形態の歩行補助車を例示する側面図である。
図10】第2実施形態の歩行補助車を例示する側面図である。
図11】第2実施形態の第1パッド部材の構成を例示する図である。
図12】第3実施形態の歩行補助車の構成の部分正面図である。
図13】第3実施形態の歩行補助車の構成の部分正面図である。
図14】第3実施形態の歩行補助車の第1変形例の構成を例示する斜視図である。
図15】第3実施形態の歩行補助車の第1変形例の構成を例示する斜視図である。
図16】第3実施形態の歩行補助車の第1変形例におけるパッド部材及び位置決め部材の断面図である。
図17】第3実施形態の歩行補助車の第1変形例におけるパッド部材及び位置決め部材の断面図である。
図18】第3実施形態の歩行補助車の第2変形例の構成の背面斜視図である。
図19】第3実施形態の歩行補助車の第2変形例の構成の部分背面図である。
図20】第3実施形態の歩行補助車の第2変形例の構成の部分背面図である。
図21】3実施形態の歩行補助車の第2変形例における第3状態を例示する図である。
図22】第3実施形態の歩行補助車の第3変形例の構成の部分側面図である。
図23】第3実施形態の歩行補助車の第3変形例の構成の部分側面図である。
図24】第3実施形態の歩行補助車の第3変形例の構成の部分側面図である。
図25】第3実施形態の歩行補助車の第3変形例の構成の部分側面図である。
図26】第4実施形態の歩行補助車の構成の部分上面図である。
図27】第4実施形態の歩行補助車の構成の部分背面図である。
図28】第4実施形態の歩行補助車の構成の部分背面図である。
図29】第4実施形態の位置決め部材の取り付け方法の例を示す図である。
図30】第4実施形態の変形例の歩行補助車の構成の部分上面図である。
図31】第4実施形態の変形例の歩行補助車の構成の部分上面図である。
図32】第4実施形態の変形例の歩行補助車の構成の部分背面図である。
図33】第4実施形態の変形例の歩行補助車の構成の部分側面図である。
図34】第4実施形態の変形例の歩行補助車の構成の部分背面図である。
図35】第4実施形態の変形例の歩行補助車の構成の部分側面図である。
図36】第5実施形態の歩行補助車の側面図である。
図37】第5実施形態のパッド部材の上面図である。
図38】第5実施形態の収納部の構造を例示する側方断面図である。
図39】第5実施形態の収納部の構造の変形例を例示する側方断面図である。
図40】パッド部材を車体に取り付けて保管する保管部の例を示す図である。
図41】第6実施形態の歩行補助車の構成を例示する斜視図である。
図42】第6実施形態の歩行補助車の固定部の構成を例示する図である。
図43】第6実施形態の歩行補助車の固定部の構成を詳細に示す図である。
図44図43のA-A断面図である。
図45図43のB-B断面図である。
図46図44のC-C断面図である。
図47】第6実施形態のパッド部材の位置の調整手順について説明するための図である。
図48】第6実施形態のパッド部材の位置の調整手順について説明するための図である。
図49】第6実施形態のフック部の構成例を示す。
図50】第6実施形態のフック部の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
また、共通点のある別々の構成要素には、名称の冒頭に「第1、第2」等と付して区別し、総称するときはこれらを省略する。また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0013】
本明細書において、「前方向」及び「後方向」とは、それぞれ、歩行補助車100の通常の使用状態における前進方向及び後退方向を意味する。「上方向」及び「下方向」とは、それぞれ、歩行補助車100の通常の使用状態における鉛直上向き方向及び鉛直下向き方向を意味する。「左右方向」又は「幅方向」とは、前後方向に対して直交する水平な方向であって、歩行補助車100の通常の使用状態における使用者の視点から見たときの方向を意味する。
【0014】
第1実施形態
図1は、第1実施形態の歩行補助車100の斜視図である。図2は、第1実施形態の歩行補助車100の側面図である。本実施形態の歩行補助車100は、例えば高齢者の歩行を補助する歩行補助車100である。
【0015】
図1及び図2に示すように、歩行補助車100は、車体の本体フレーム11と、車体の本体フレーム11に設けられた一対の前輪12及び一対の後輪13と、本体フレーム11に設けられたパッド部材14とを含む。歩行補助車100は、老人や脚力の弱い人の歩行を補助する。使用者は、歩行補助車100の使用時にパッド部材14に前腕や肘を載せて、パッド部材14に体重(荷重)をかけた状態で、ハンドルバー15とブレーキレバー33とをつかみながらハンドルバー15を押して使用者が歩行補助車100に力を付与し歩行動作を行う。従ってハンドルバー15が使用者からの力を受ける受け部となり、歩行補助車100は受け部で受けた力で移動する。
【0016】
本体フレーム11は、一対の支持フレーム21と、一対の前輪フレーム22と、一対の後輪フレーム23と、架設フレーム24と、中央フレーム25と、一対のパッド保持フレーム26と、を含む。本体フレーム11におけるこれらの各フレームは、例えば、溶接により接続されてもよいし、ジョイント部品を介して接続されてもよい。本体フレーム11は、一例としてパイプ状の部材により構成される。
【0017】
一対の支持フレーム21は、歩行補助車100の設置面に垂直な方向から所定の角度だけ傾斜する。一対の支持フレーム21の上端部には、一対のハンドル17が接続される。一対の支持フレーム21の下端部には、架設フレーム24が接続される。一対の支持フレーム21の上端部と下端部との間には、一対の前輪フレーム22が接続される。
【0018】
一対の前輪フレーム22は、前側端部において上下方向に延在する上下延在部22aと、後側端部において前後方向に延在する前後延在部22bと、上下延在部22aと前後延在部22bとを繋ぐように屈曲する屈曲部22cと、を含む。一対の前側フレームの上下延在部22aの下端部には一対の前輪12が取り付けられ、一対の前輪12が一対の前輪フレーム22によってそれぞれ支持される。一対の前輪フレーム22の前後延在部22bの後側端部には、一対の後輪フレーム23が軸56を介して回動可能に接続される。一対の後輪フレーム23の他端側には、一対の後輪13がそれぞれ取り付けられ、一対の後輪13が一対の後輪フレーム23によってそれぞれ支持される。一対の前輪フレーム22の上下延在部22a及び一対の後輪フレーム23には、一対のリンク機構18が設けられる。
【0019】
一対の前輪フレーム22は、一対の支持フレーム21の間に配置される。本実施形態では、左右方向の外側を向く一対の前後延在部22bの外側面が、左右方向の内側を向く一対の支持フレーム21の内側面と接続されている。
【0020】
架設フレーム24は、一対の支持フレーム21に架設される下部フレーム24aと、支持フレーム21と前輪フレーム22とに架設される一対の側方フレーム24bと、を含む。下部フレーム24aは、支持フレーム21と前輪フレーム22との接続位置より下の位置で一対の支持フレーム21同士を接続する。本実施形態の下部フレーム24aは、支持フレーム21と別体で構成される。一対の側方フレーム24bは、下部フレーム24aの左右の両端部に接続され、下部フレーム24aとの接続部分から延在して前輪フレーム22に接続される。本実施形態の下部フレーム24a及び一対の側方フレーム24bは、一体に構成される。
【0021】
中央フレーム25は、一対の前輪フレーム22に架設される。これにより、前輪フレーム22のぐらつきを抑制できる。
【0022】
一対のパッド保持フレーム26は、一対の支持フレーム21の上端部に接続され、パッド部材14を保持する。本実施形態のパッド保持フレーム26は、ハンドル17と一体に支持フレーム21から後方向に延在する。一対のパッド保持フレーム26の後端部には、着座時に使用者が姿勢を安定させるためにつかまるグリップ部27がそれぞれ設けられる。
【0023】
一対のハンドル17は、歩行補助車100の設置面に対して概ね水平に設けられる。一対のハンドル17は、一例としてパイプ状部材により構成される。また、一対のハンドル17の前方側には、ハンドル17と一体的なパイプ状のハンドルバー15が形成される。ハンドルバー15の一端は一対のハンドル17のうちの一方のハンドル17に結合され、ハンドルバー15の他端は他方のハンドル17に結合される。なお、ハンドルバー15が、ハンドル17とは別部材により構成されてもよい。
【0024】
一対の後輪13の外周には、機械的に接触可能な一対のブレーキシュー31が設けられる。ブレーキシュー31は、本体フレーム11内に配設されたブレーキワイヤー(図示せず)の一端に接続される。ブレーキワイヤーの他端は、ハンドルバー15の両側に設けられた一対のブレーキユニット32のワイヤー接続機構に連結される。なお、ワイヤーは本体フレーム11内に格納されるが、ワイヤーを本体フレーム11の外側に配置することにより、外観上、ワイヤーが使用者から見えるように構成されてもよい。
【0025】
ハンドルバー15の前下方向には、ハンドルバー15に対向するようにブレーキレバー33が配置される。ブレーキレバー33の両端部は、一対のブレーキユニット32に連結される。ブレーキレバー33の両端部は、巻きばね等の付勢手段を介してブレーキユニット32に取り付けられる。使用者は、ブレーキレバー33を手前に引くことで、ワイヤアクションにより、機械的なブレーキをかけることができる。すなわち、ブレーキレバー33の操作によりブレーキシュー31が制御される。
【0026】
使用時に使用者は、ブレーキレバー33を手前側に(ハンドルバー15に近づける方向に)ブレーキ作動位置まで引く。ブレーキレバー33と連結されたブレーキワイヤーの動作によって、ブレーキシュー31が移動して後輪13の外周を押圧する。使用者がブレーキレバー33から手を離すと、ブレーキレバー33は元の位置(通常位置)に戻る。これに伴って、ブレーキシュー31も後輪13から離れ、機械的なブレーキが解除される。
【0027】
パッド部材14は、一対のアーム部材16に取り付けられ、一方のアーム部材16と他方のアーム部材16との間に架け渡された平面視略矩形状の部材である。パッド部材14は、一対のパッド保持フレーム26の上で保持される。本実施形態では、パッド部材14は、使用者の上半身の少なくとも一部を支持する。例えば、パッド部材14は、使用者の前腕、肘、手、顎、及び胸部の少なくとも1つの位置を規定して支持する。パッド部材14の形状は、馬蹄状、U字型形状等であるが、これに限定されず、他の任意の形状でもよい。パッド部材14は、スポンジまたはゴム製素材のようなクッション材を、板金、木板または樹脂板などの板材の上に置き、樹脂性や布製の任意の被覆材で被覆したものである。ただし、パッド部材14は、この構成に限定されず、板材のみの構成など、他の任意の構成であってもよい。
【0028】
一対のアーム部材16の一方の端部は、パッド部材14の下面の左右両側に固定される。一対のアーム部材16の他方の端部は、それぞれ、ハンドル17に固定された回転軸部28に回動可能に取り付けられる。回転軸部28は、例えば、ヒンジ機構である。一対のアーム部材16は、回転軸部28を支点として一対のハンドルバー15の外側を回動する。使用者がパッド部材14を上方に押し上げる(跳ね上げる)ことで、パッド部材14が図2の矢印R1の方向に回動し、パッド部材14が倒立する所定位置(退避位置)で固定される(図2の仮想線参照)。第1実施形態では、回転軸部28は図2の退避位置まで回動可能に構成されているが、これに限定されず、例えば、回転軸部28が図2の退避位置まで回動したときにパッド部材14を停止させるストッパがパッド部材14やハンドルバー15、ブレーキレバー33等に設けられてもよい。
【0029】
ここでは、使用者が手動でパッド部材14を押し上げる構成を示したが、別の例として、図示しないロック機構を設け、ロック機構により固定を解除することで、自動的にパッド部材14が押し上げられる構成であってもよい。あるいは、アーム部材16を回動させる電動機構(モータ等)を設け、電動機構をスイッチ起動により作動させ、パッド部材14を押し上げる構成であってもよい。
【0030】
一対の後輪フレーム23の上端部及び下端部には、それぞれ、一対の後輪フレーム23の上端部同士及び下端部同士を接続する補強パイプ19が設けられる。
【0031】
一対のリンク機構18の間には、上方向に曲してU字上に形成されたレバー20が設けられる。使用者がレバー20を上に引き上げることで、一対の後輪フレーム23および一対の後輪13が一対の前輪12に近づくようにリンク機構18が折り畳まれ、歩行補助車全体が折畳まれる。
【0032】
ところで、使用者の身体の状態に応じて歩行補助車100を使用する場合には歩行補助車100にはより大きな荷重がかかる場合もあり得るため、より高い剛性の歩行補助車100が求められている。第1実施形態によると、支持フレーム21と前輪フレーム22との接続位置より下の位置で一対の支持フレーム21同士を接続する下部フレーム24aを設けることにより、本体フレーム11の全体の剛性を高めることができるため、歩行補助車100の信頼性及び安全性を向上させることができる。
【0033】
第1実施形態の変形例を説明する。
【0034】
第1実施形態の下部フレーム24aは、支持フレーム21の下端部に設けられたが、これに限定されず、支持フレーム21と前輪フレーム22との接続位置より下の位置であればいずれの位置に設けられてもよい。ただし、下部フレーム24aを支持フレーム21の下端部に設けた場合には、本体フレーム11全体の剛性をより効果的に高めることができる。
【0035】
第1実施形態の一対の側方フレーム24bは、前輪フレーム22の上下延在部22aに接続されたが、これに限定されず、前輪フレーム22のいずれの位置に接続されてもよい。特に、図3に示すように、側方フレーム24bは、支持フレーム21の延在方向と平行に延在するように、前輪フレーム22と支持フレーム21とが接続されている位置に接続されてもよい。これにより、図4に示すように、この変形例の歩行補助車100を側方から見たときに、側方フレーム24bが支持フレーム21で隠れるため、シンプルなデザインとなり、意匠性を向上させることができる。
【0036】
第1実施形態の架設フレーム24は、一対の側方フレーム24bを備えたが、これを備えなくてもよい。また、図5に示すように、中央フレーム25は、一対の前輪フレーム22に架設されたが、一対の側方フレーム24bに架設されてもよい。
【0037】
第1実施形態の支持フレーム21は、歩行補助車100の設置面に垂直な方向から所定の角度だけ傾斜しているが、前記設置面に対して垂直であってもよい。また、支持フレーム21は、前後延在部22bに接続されたが、例えば、屈曲部22cに接続されてもよい。
【0038】
第1実施形態のパッド保持フレーム26は、ハンドル17と一体に構成されて支持フレーム21から後方向に延在するが、これに限定されず、ハンドル17と別体に構成されて支持フレーム21から後方向に延在してもよい。
【0039】
本実施形態の下部フレーム24aは、支持フレーム21と別体で構成されたが、これに限定されず、図6に示すように、支持フレーム21と一体に形成されてもよい。また、本実施形態の下部フレーム24aは、側方フレーム24bと一体に形成されたが、これに限定されず、側方フレーム24bと別体に形成されてもよい。
【0040】
図7及び図8に示すように、歩行補助車100は、使用者が着座するシート部35と、樹脂や布でできた収納部60とを備えてもよい。収納部60は、一対の前輪フレーム22の各前後延在部22a及び各屈曲部22cの間に吊り下げられるように設けられる。収納部60は、上方が開口した袋状で、荷を収容して保管する。着座用のシート部35は、収納部60の上部に設けられ、収納部60の蓋部としても機能する。使用者がパッド部材14を回動させてパッド部材14が倒立する所定位置(退避位置)で固定された場合、シート部35上には、使用者の上半身を収容する空間が確保される(図8参照)。この状態で、使用者は、一対のグリップ部27を両手でつかみながらパッド部材14を背中側にしてシート部35に着座できる。グリップ部27をつかむことで、使用者は、着座の際に自身の姿勢を安定させられる。このように、パッド部材14は、押し上げられる前の位置(通常位置)において歩行補助車100のシート部35に使用者が着座することを阻害し、押し上げられた後の位置(退避位置)において、シート部35に使用者が着座することを許容する。本実施形態では、下部フレーム24aを設けることにより本体フレーム11全体の剛性を高めることができるため、使用者がシート部35に着座したときの歩行補助車100の信頼性及び安全性を向上させることができる。
【0041】
第1実施形態では、歩行補助車100はグリップ部27を有したが、これを有さなくてもよい。
【0042】
第2実施形態
以下、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0043】
図9及び図10は、第2実施形態の歩行補助車100を例示する側面図である。第2実施形態のパッド部材14は、一対の第1パッド部材14aと、第2パッド部材14bと、を備える。第2実施形態では、回転軸部28は図2の退避位置を超えて第2パッド部材14bが支持フレーム21に当接するまで回動可能に構成されている(図10参照)。
【0044】
図11は、第2実施形態の第1パッド部材14aの構成を例示する。一対の第1パッド部材14aは、一対のパッド保持フレーム26の上で保持される。一対の第1パッド部材14aは、一対のパッド保持フレーム26の後端部及び一対のパッド保持フレーム26の間に架設されるパイプ部材29に取り付けられる。一対の第1パッド部材14aは、使用者の肘及び前腕の少なくとも一方を支持可能に構成される。第1パッド部材14aは、例えば、基本的にはパッド部材14によって身体を支持する必要なく歩行補助車100を運転できるが、休憩時にパッド部材14に肘等を支持させるような、運動能力の低下の度合いが比較的小さい使用者によって主に使用される。
【0045】
第2パッド部材14bは、一対のパッド保持フレーム26の間にわたって一対のパッド保持フレーム26の上で保持されるように構成される。第2パッド部材14bは、一対のアーム部材16に取り付けられ、一対のアーム部材16との間に架け渡された平面視略矩形状の部材である。第2パッド部材14bは、使用者の上半身の少なくとも一部の位置を規定して支持可能に構成される。第2パッド部材14bの使用対象者は、例えば、基本的には身体の少なくとも一部が常にパッド部材14によって支持された状態で歩行補助車100を運転するような、運動能力の低下の度合いが比較的大きい使用者によって主に使用される。
【0046】
第1パッド部材14aの左右方向の長さは、第2パッド部材14bの左右方向の長さよりも小さい。第1パッド部材14a及び第2パッド部材14bの形状は馬蹄状、U字型形状等であるが、これに限定されず、他の任意の形状でもよい。第1パッド部材14a及び第2パッド部材14bは、スポンジまたはゴム製素材のようなクッション材を、木板または樹脂板などの板材の上に置き、樹脂性や布製の任意の被覆材で被覆したものである。ただし、第1パッド部材14a及び第2パッド部材14bは、この構成に限定されず、板材のみの構成など、他の任意の構成であってもよい。
【0047】
ここで、図9は、第2実施形態の歩行補助車100において第2パッド部材14bを使用する態様を示している。まず、第2パッド部材14bを使用する場合について説明する。図9に示すように、第2パッド部材14bを第1パッド部材14a上に載せることで第2パッド部材14bがその第1パッド部材14a上で保持される。その結果、使用者は第2パッド部材14bを使用可能となる。このときの第1パッド部材14aの上で第2パッド部材14bが保持された状態は、パッド部材14が使用者の上半身の一部の位置を規定して支持する第1状態の一例である。なお、この状態では、第1パッド部材14aは第2パッド部材14bにより覆い被さられているため、使用者は第1パッド部材14aを使用できない。
【0048】
次に、第1パッド部材14aを使用する場合について説明する。図10は第1パッド部材14aを使用する態様を示す。図9の状態から使用者が第2パッド部材14bを上方に押し上げる(跳ね上げる)ことで、第2パッド部材14bを図9の矢印R1の方向に回動させる。これにより、第1パッド部材14aへの第2パッド部材14bの覆いが外され、上面視で第1パッド部材14aが現れるようになる。その後、第2パッド部材14bは、ハンドルバー15及びブレーキレバー33の内側を通って回動し、図10に示すように支持フレーム21に当接した状態で停止する。この状態では、第2パッド部材14bは支持フレーム21の長手方向に沿う形で保持され、上面視で第1パッド部材14aが完全に現われるため、使用者は第1パッド部材14aを使用可能となる。このときの第2パッド部材14bが支持フレーム21に沿って保持されて第1パッド部材14aが完全に現われた状態は、パッド部材14が使用者の肘及び前腕の少なくとも一方の位置を規定して支持する第2状態の一例である。このように、第2実施形態の歩行補助車100は、回転軸部28を用いて第2パッド部材14bを回動させることにより、第1状態と第2状態との間で変更可能である。
【0049】
ここで、従来、第1パッド部材14aのような使用者の肘等を支持できる比較的小さいパッド部材を備えた歩行補助車と、第2パッド部材14bのような使用者の上半身の少なくとも一部を支持できる比較的大きいパッド部材を備えた歩行補助車が存在しておるが、一台で両方を備えた歩行補助車は存在していなかった。そのため、使用者はその運動能力の低下の度合いに応じてこれらの一方を選択していた。しかし、その後の使用者の運動能力の更なる低下や歩行訓練等による運動能力の向上に伴い、それまで使用していた歩行補助車が使用者にとって適切なものではなくなり、異なるパッド部材を備えた他方の歩行補助車のパッド部材14の方が適切なものとなる場合が想定される。この場合に、例えば歩行補助車を別の歩行補助車に乗り換えたり、使用している歩行補助車を改造したりすると、メーカや仕様等の変更によって使い勝手が変わってしまい、使用者が不便に感じるおそれがある。
【0050】
第2実施形態では、パッド部材14が使用者の上半身の一部の位置を規定して支持する第1状態とパッド部材14が使用者の肘及び前腕の少なくとも一方の位置を規定して支持する第2状態との間で変更可能である。第2実施形態によると、歩行補助車100の乗り換えや改造等を伴わずに使用者の身体の状態に合わせて歩行補助車100を使用することが可能となる。
【0051】
ここで、パッド部材14は、使用者の体重を支え、かつ長時間の利用にも耐える強度及び快適性を必要とするため、必然的に厚くなる。そのため、一台の歩行補助車100で第1パッド部材14a及び第2パッド部材14bを兼用するにあたって未使用のパッド部材14の保管および取り換えが課題である。第2実施形態では、第1状態は第1パッド部材14aの上で第2パッド部材14bが保持された状態であり、第2状態は第1状態から回転軸部28を支点として第2パッド部材14bをハンドル17よりも下側の位置まで回動させた状態である。本構成によると、第2パッド部材14bを回動させるという簡易な動作により、工具等を使用することなくその使用するパッド部材14を容易に変更することが可能となる。
【0052】
第2実施形態の変形例について説明する。
【0053】
第2実施形態では、第1パッド部材14aは、パッド保持フレーム26及びパイプ部材29上で保持されたが、これに限定されず、少なくともパッド保持フレーム26で保持されればよく、パイプ部材29はなくてもよい。
【0054】
第2実施形態では、第2パッド部材14bが支持フレーム21に沿って保持された状態を第2状態としたが、これに限定されず、第2状態は、第2パッド部材14bをハンドル17よりも下側の位置まで回動させた状態であればよい。したがって、第2パッド部材14bは、回転軸部28を支点として180°以上回転できればよい。また、安全性の向上のため、第2パッド部材14bや前輪フレーム22等は、第2パッド部材14bが回転する際に前輪12よりも前に第2パッド部材14bが出ないような位置及び大きさとすることが望ましい。
【0055】
なお、第2実施形態では、架設フレーム24が設けられているが、架設フレーム24は設けらなくてもよい。以下の実施形態でも同様である。
【0056】
第3実施形態
以下、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態の図面および説明では、第2実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第2実施形態と重複する説明を適宜省略し、第2実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0057】
図12及び図13は、第3実施形態の歩行補助車100の構成を部分的に例示する正面図である。図12は第3実施形態の歩行補助車100において第1パッド部材14aを使用する態様を示し、図13は第2パッド部材14bを使用する態様を示す。第3実施形態の歩行補助車100は、第2パッド部材14bとは別体で第2パッド部材14bから取り外し可能に構成され且つ第2パッド部材14b上で保持されることにより第2パッド部材14b上での使用者の肘及び前腕の少なくとも一方の位置を決める凸部44を第2パッド部材14b上に設けることが可能な位置決め部材40を含む。
【0058】
位置決め部材40は、突起設置部41と、アーム部材42と、回転軸部43と、を備える。アーム部材42の一端には突起設置部41が接続されており、アーム部材42の他端には回転軸部43が接続される。回転軸部43は、例えば、第2パッド部材14bに取り付けられる。
【0059】
まず、第1パッド部材14aを使用する場合について説明する。図12に示すように、第2パッド部材14b上に突起設置部41を載せて保持することにより、第2パッド部材14b上に凸部44が設けられる。このとき、凸部44と凸部44よりも幅方向外側の第2パッド部材14bの部分により第1パッド部材14aが構成される。その結果、使用者は第1パッド部材14aを使用可能となる。このときの第2パッド部材14b上に凸部44が設けられた状態は、第2状態の一例である。
【0060】
次に、第2パッド部材14bを使用する場合について説明する。図12の状態から使用者が突起設置部41及びアーム部材42を上方に押し上げる(跳ね上げる)ことで、回転軸部43を支点として図12の矢印R2の方向に回動する。これにより、第2パッド部材14bから突起設置部41が取り外され、第2パッド部材14b上に凸部44が設けられていない状態となる。その結果、使用者は第2パッド部材14bを使用可能となる。このときの第2パッド部材14b上に凸部44が設けられていない状態は、第1状態の一例である。その後、突起部は、第2パッド部材14bの外側を通って回動し、図13に示すように支持フレーム21に当接した状態で停止する(図13参照)。
【0061】
第3実施形態では、パッド部材14は、一対のパッド保持フレーム26の間にわたって一対のパッド保持フレーム26の上で保持されるように構成され、歩行補助車100は、パッド部材14上で保持されることによりパッド部材14上での使用者の肘及び前腕の少なくとも一方の位置を決める凸部44をパッド部材14上に設ける位置決め部材40を備え、第1状態はパッド部材14上に凸部44が設けられていない状態であり、第2状態はパッド部材14上に凸部44が設けられた状態である。本構成によると、歩行補助車100の乗り換えや改造等を伴わずに使用者の身体の状態に合わせて歩行補助車100を使用することが可能となる。
【0062】
また、第3実施形態によると、位置決め部材40の突起設置部41を回動させるという簡易な動作により、工具等を使用することなくその使用するパッド部材14を容易に変更することが可能となる。
【0063】
第3実施形態の変形例について説明する。
【0064】
第1変形例
図14及び図15は第3実施形態の歩行補助車100の第1変形例の構成を例示する斜視図である。図16及び図17は、第3実施形態の歩行補助車100の第1変形例におけるパッド部材14及び位置決め部材40の断面図である。本変形例の位置決め部材40は上下両面で非対称の平板形状を有し、その第1面45aは平坦面で構成され、その反対側の第2面45bは2つの突起部45cを有する。図16及び図17に示すように、第2パッド部材14bは、第2面45bを下側に向けたときに突起部45cを受け入れて保持する凹部14cを有する。
【0065】
第2パッド部材14bを使用する場合には、図14及び図16に示すように、平坦な第1面45aを上側に向ける。その結果、第2パッド部材14b上に凸部44が設けられていない状態となり、使用者は第2パッド部材14bを使用可能となる。第1パッド部材14aを使用する場合には、図15及び図17に示すように、第2面45bを上側に向ける。その結果、突起部45cにより第2パッド部材14b上に凸部44が設けられた状態となり、使用者は第1パッド部材14aを使用可能となる。
【0066】
第2変形例
図18は、第3実施形態の歩行補助車100の第2変形例の構成の背面斜視図である。図19及び図20は、第3実施形態の歩行補助車100の第2変形例の構成を部分的に示す背面図である。図19は、第3実施形態の歩行補助車100の第2変形例において第1パッド部材14aを使用する態様を示す。図20は、第3実施形態の歩行補助車100の第2変形例において第2パッド部材14bを使用する態様を示す。
【0067】
本変形例の位置決め部材40は、平板形状を有し、スポンジまたはゴム製素材のようなクッション材で構成される。位置決め部材40の裏面には、面ファスナ46が設けられている。第2パッド部材14bの表側の面には表側面ファスナ14dが設けられ、裏側の面には裏側面ファスナ14eが設けられている。位置決め部材40は面ファスナ46を介して第2パッド部材14bの表側面ファスナ14d及び裏側面ファスナ14eに着脱可能である。したがって、位置決め部材40は第2パッド部材14bの表面及び裏面にそれぞれ固定可能に構成される。位置決め部材40を裏面に固定可能とすることにより、位置決め部材40を使用しない場合に位置決め部材40を容易に保管可能となる。
【0068】
第1パッド部材14aを使用する場合には、図19に示すように、面ファスナ46を介して位置決め部材40を表側面ファスナ14dに取り付ける。その結果、位置決め部材40の幅方向両側の端部により第2パッド部材14b上に凸部44が設けられた状態となり、使用者は第1パッド部材14aを使用可能となる。第2パッド部材14bを使用する場合には、図20に示すように、面ファスナ46を介して位置決め部材40を裏側面ファスナ14eに取り付ける。その結果、第2パッド部材14b上に凸部44が設けられていない状態となり、使用者は第2パッド部材14bを使用可能となる。
【0069】
図21は、第3実施形態の歩行補助車100の第2変形例における第3状態を例示する図である。ここで、第3状態は、回転軸部28を支点としてパッド部材14が倒立する所定位置(退避位置)まで第2パッド部材14bを回動させて固定した状態である(図21参照)。本変形例では、回転軸部28を支点としてパッド部材14が倒立する位置までパッド部材14が回動可能であり、位置決め部材40は第1状態のときにパッド部材14の裏面に固定可能に構成される。本変形例によると、第3状態において使用者がシート部35に着座するときに、位置決め部材40を背もたれ用のクッションとして使用することが可能となる。
【0070】
第3変形例
図22図25は、第3実施形態の歩行補助車100の第3変形例の構成を部分的に示す側面図である。図22は第1パッド部材14aを使用するために位置決め部材40を第2パッド部材14bに取り付ける様子を示し、図23は第1パッド部材14aを使用するために位置決め部材40を第2パッド部材14bに取り付けた後の様子を示す。図22は第3変形例において第2パッド部材14bを使用するために位置決め部材40を第2パッド部材14bに取り付ける様子を示し、図23は第2パッド部材14bを使用するために位置決め部材40を第2パッド部材14bに取り付けた後の様子を示す。
【0071】
上記第2変形例では、面ファスナ46、表側面ファスナ14d及び裏側面ファスナ14eを用いて第2パッド部材14bに位置決め部材40を着脱していたが、これに限定されない。第3変形例では、位置決め部材40のパッド部分49の裏面にU字形状又はJ字形状のフック部47が取り付けられる。フック部47は、第2パッド部材14bの中央部分14gの後側の後方端部14hに係合可能である(図18参照)。位置決め部材40は、面ファスナ46の代わりにフック部47が取り付けられている点を除き、第2変形例と同様の構成を有する。
【0072】
フック部47は、位置決め部材40のパッド部分49が取り付けられる取り付け面47aと、取り付け面47aの面方向に直交して延在し、第2パッド部材14bの後方端部14hにフック部47を差し込んだときに後方端部14hが突き当たる突き当て面47bと、突き当て面47bの面方向に直交して延在し、ねじ穴47dが形成されたねじ穴形成面47cと、を備える。
【0073】
第1パッド部材14aを使用する場合には、図22及び図23に示すように、位置決め部材40のパッド部分49を上向きにした状態でフック部47を第2パッド部材14bの後方端部14hに差し込んで係合させた後、フック部47のねじ穴47dを介して第2パッド部材14bのねじ穴14fにねじ48を挿入することにより第2パッド部材14bと位置決め部材40とが固定される。その結果、第2パッド部材14b上に凸部44が設けられた状態となり、使用者は第1パッド部材14aを使用可能となる。
【0074】
第2パッド部材14bを使用する場合には、図24及び図25に示すように、位置決め部材40のパッド部分49を下向きにした状態でフック部47を第2パッド部材14bの後方端部14hに差し込んで係合させた後、フック部47のねじ穴47dを介して第2パッド部材14bのねじ穴14fにねじ48を挿入することにより第2パッド部材14bと位置決め部材40とが固定される。その結果、第2パッド部材14b上に凸部44が設けられていない状態となり、使用者は第2パッド部材14bを使用可能となる。また、位置決め部材40のパッド部分を第2パッド部材14bの裏側に保管することが可能となる。本変形例によると、第3状態において使用者がシート部35に着座するときに、位置決め部材40を背もたれ用のクッションとして使用することが可能となる。
【0075】
第4実施形態
以下、本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態の図面および説明では、第3実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第3実施形態と重複する説明を適宜省略し、第2実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0076】
図26は、第4実施形態の歩行補助車100の構成を部分的に例示する上面図である。図27及び図28は、第4実施形態の歩行補助車100の構成を部分的に例示する背面図である。図27は第4実施形態の歩行補助車100において第1パッド部材14aを使用する態様を示し、図28は第2パッド部材14bを使用する態様を示す。第4実施形態の歩行補助車100の位置決め部材40は、第2パッド部材14bと一体に構成され且つ凸部44を第2パッド部材14b上に設けることが可能である。
【0077】
第4実施形態の第2パッド部材14bは、中央部分14gと、第2パッド部材14bの幅方向の両端部にそれぞれ位置する位置決め部材40と、を備える。中央部分14gは、パイプ部材29(図26では不図示)に固定される。位置決め部材40は、第1パッド面50と、第2パッド面51と、を備える。第1パッド面50は、使用者の肘及び前腕の少なくとも一方の位置を規定して支持するようにその中央部分が前後方向にわたって凹んだ凹部形状を有する。第2パッド面51は、第2パッド面51を上向きにしたときに前後方向にわたって幅方向外側の端部から幅方向内側の端部に向かって下方向に傾斜した形状を有する。例えば、第1パッド面50及び第2パッド面51のそれぞれの反対側の面と、パイプ部材29の上面とには、第1パッド面50又は第2パッド面51を上向きにした状態で固定するための面ファスナ(不図示)が設けられる。
【0078】
第1パッド部材14aを使用する場合について説明する。図27に示すように、位置決め部材40の第1パッド面50を上向きにすることにより、凹部形状の第1パッド面50の幅方向内側の端部により第2パッド部材14b上に凸部44が設けられる。このとき、凸部44と凸部44よりも幅方向外側の第2パッド部材14bの部分により第1パッド部材14aが構成される。その結果、使用者は第1パッド部材14aを使用可能となる。
【0079】
第2パッド部材14bを使用する場合について説明する。図28に示すように、第2パッド面51を上向きにすることにより、幅方向外側から内側に下方向に傾斜した第2パッド面51と中央部分14gの上面が面一な状態となり、第2パッド部材14b上に凸部44が設けられていない状態となる。その結果、使用者は第2パッド部材14bを使用可能となる。
【0080】
なお、第1パッド面50及び第2パッド面51の一方が上向きの状態から他方の面を上向きにする場合には、他方の面が上向きになるように位置決め部材40を回転させてパイプ部材29に取り付ければよい。また、図29に示すように、左右両側の位置決め部材40の左右を入れ替えて、他方の面が上向きになるように位置決め部材40をパイプ部材29に取り付けてもよい。
【0081】
第4実施形態では、パッド部材14は、パッド保持フレーム26上で向きを変更可能に構成された位置決め部材40であって、所定の向きでパッド部材14上での使用者の肘及び前腕の少なくとも一方の位置を決める凸部44をパッド部材14上に設ける位置決め部材40を備える。本構成によると、上向きにする面を第1パッド面50又は第2パッド面51に変更するという簡易な動作により、工具等を使用することなくその使用するパッド部材14を容易に変更することが可能となる。また、未使用のパッド部材14が発生しないため、パッド部材14を保管・管理する機構を別途設ける必要がない。
【0082】
第4実施形態の変形例について説明する。
【0083】
図30及び図31は、第4実施形態の変形例の歩行補助車100の構成を部分的に例示する上面図である。図32及び図34は、第4実施形態の変形例の歩行補助車100の構成を部分的に例示する背面図である。図33及び図35は、第4実施形態の変形例の歩行補助車100の構成を部分的に例示する側面図である。図30図32及び図33は第4実施形態の変形例の歩行補助車100において第2パッド部材14bを使用する態様を示す。図31図34及び図35は第4実施形態の変形例の歩行補助車100において第1パッド部材14aを使用する態様を示す。
【0084】
本変形例の位置決め部材40は、第1パッド部材14a又は第2パッド部材14bを構成可能な第3パッド面52を備える。例えば、第3パッド面52の反対側の面と、パイプ部材29の上面とには、第3パッド面52を上向きにした状態で固定するための面ファスナ(不図示)が設けられる。位置決め部材40は、第3パッド面52を上向きにした状態で図30及び図31の矢印R3の方向に向きを変えて配置可能である。本変形例の位置決め部材40の第3パッド面52は、幅方向外側から内側に下方向に傾斜した傾斜部52aを備える(図32及び図35参照)。本変形例の位置決め部材40の第3パッド面52は、凹部52bを備える(図33及び図34参照)。
【0085】
第2パッド部材14bを使用する場合について説明する。第3パッド面52を上向きにした状態で図30及び図31の矢印R3の方向に向きを調整して、傾斜部52aにおいて傾斜している両側の傾斜端部52cの配列方向を前後方向にする(図30参照)。これにより、幅方向外側から内側に下方向に傾斜した第3パッド面52と中央部分14gの上面が面一な状態となり(図32参照)、第2パッド部材14b上に凸部44が設けられていない状態となる。その結果、使用者は第2パッド部材14bを使用可能となる。
【0086】
第1パッド部材14aを使用する場合について説明する。第3パッド面52を上向きにした状態で図30及び図31の矢印R3の方向に向きを調整して、凹部52bにおいて凹部形状の両側の凹状端部52dの配列方向を前後方向にする(図31参照)。これにより、凹部形状の第3パッド面52の幅方向内側の端部により第2パッド部材14b上に凸部44が設けられた状態となる(図34参照)。このとき、凸部44と凸部44よりも幅方向外側の第2パッド部材14bの部分により第1パッド部材14aが構成される。その結果、使用者は第1パッド部材14aを使用可能となる。
【0087】
第5実施形態
以下、本発明の第5実施形態を説明する。第5実施形態の図面および説明では、第2実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第2実施形態と重複する説明を適宜省略し、第2実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0088】
図36は、第5実施形態の歩行補助車100の側面図である。第5実施形態の第1パッド部材14a及び第2パッド部材14bは、アーム部材16及びパイプ部材29上で着脱可能に構成される。第5実施形態では、取り外したパッド部材14は収納部60に保管される。第5実施形態の収納部60は、保管部の一例である。第5実施形態の第2パッド部材14bは、取り外したときに収納部60に収納しやすくするように2つに分割されたパッド部分14iを備える(図37参照)。例えば、第1パッド部材14a及び第2パッド部材14bのそれぞれの裏面と、アーム部材16及びパイプ部材29の上面とには、面ファスナ(不図示)が設けられる。
【0089】
第5実施形態では、アーム部材16及びパイプ部材29に取り付けるパッド部材14を交換することで、第1パッド部材14a及び第2パッド部材14bのうち使用するパッド部材14を選択できる。使用するパッド部材14を第1パッド部材14aから第2パッド部材14bに変更する場合、第1パッド部材14aをアーム部材16及びパイプ部材29から取り外し、保管部に保管されている第2パッド部材14bを取り出してアーム部材16及びパイプ部材29に取り付けて固定し、取り外した第1パッド部材14aを保管部に保管する。使用するパッド部材14を第2パッド部材14bから第1パッド部材14aに変更する場合、第2パッド部材14bをアーム部材16及びパイプ部材29から取り外し、保管部に保管されている第1パッド部材14aを取り出してアーム部材16及びパイプ部材29に取り付けて固定し、取り外した第2パッド部材14bを保管部に保管する。したがって、第1状態では一対の第1パッド部材14aが保管部に保管され、第2状態では第2パッド部材14bが保管部に保管されることになる。
【0090】
図38は、第5実施形態の収納部60の構造を例示する側方断面図である。図38に示すように、第5実施形態の収納部60は、使用者の荷物を保管する荷物保管部61と、第1パッド部材14a及び第2パッド部材14bの一方が取り外されたときにその取り外された第1パッド部材14a及び第2パッド部材14bの一方を保管するパッド保管部62と、を備える。図38の収納部60の構造例では、前側に荷物保管部61が設けられ、後側にパッド保管部62が設けられる。第2パッド部材14bを2つのパッド部分14iに分割した構造とすることにより、使用者の上半身の少なくとも一部を支持するために比較的大きく設計される第2パッド部材14bをパッド保管部62に容易に収容することができる。
【0091】
第5実施形態によると、パッド部材14の保管用の保管部を設けることにより、パッド部材14を紛失するリスクを低減できる。
【0092】
第5実施形態の変形例について説明する。
【0093】
第5実施形態では、荷物保管部61及びパッド保管部62は前後に分けられた構造であるが、これに限定されない。例えば、図39に示すように、上側に荷物保管部61に設け、下側にパッド保管部62を設けてもよい。また、収納部60において荷物保管部61及びパッド保管部62を分けずに1つの空間を用いて荷物やパッド部材14が保管されてもよい。
【0094】
第5実施形態では、第1パッド部材14a及び第2パッド部材14bは、アーム部材16及びパイプ部材29上で着脱可能に設けられたが、これに限定されず、例えば、支持フレーム21上で着脱可能に設けられてもよい。また、第2パッド部材14bは、2つのパッド部分14iに分割しなくてもよい。
【0095】
収納部60は、一対の前輪フレーム22の各前後延在部22a及び各屈曲部22cの間に吊り下げられるように設けられたが、これに限定されず、歩行補助車の他の箇所に設けられてもよい。
【0096】
第5実施形態では、保管部は、パッド部材14を収納して保管したが、これに限定されず、パッド部材14を車体に取り付けて保管してもよい。図40は、パッド部材14を車体に取り付けて保管する保管部の例を示す。図40に示すように、本変形例では、上下延在部22a22にパッド部材14を着脱可能に保持する保持部63が設けられる。本変形例の保持部63は、保管部の一例である。保持部63は、面ファスナやねじによって、取り付けられたパッド部材14を固定する。このように、保管部としての保持部63は、車体の支持フレーム21よりも前側の位置で、取り外された第1パッド部材14a及び第2パッド部材14bの一方を保管してもよい。本構成によると、パッド部材14を前方からの衝突による衝撃を和らげるクッションとして機能させることができる。
【0097】
第6実施形態
以下、本発明の第6実施形態を説明する。第6実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0098】
図41は、第6実施形態の歩行補助車100の構成を例示する斜視図である。第6実施形態の歩行補助車100は、パッド保持フレーム26の上でパッド部材14を固定する固定部70を備える。固定部70は、パッド保持フレーム26の上でパッド部材14を固定する位置を前後方向に変更可能である。
【0099】
図42は、第6実施形態の歩行補助車100の固定部70の構成を例示する図である。図42は、パッド部材14を下方から見たときの図であり、パッド部材14を後側に配置した例を示す。固定部70は、パッド部材14を後側パイプ部材29aに取り付けて固定するための第1及び第2取り付け部71及び72と、パッド部材14をアーム部材16に取り付けて固定するための第3取り付け部73と、を備える。第1~第3取り付け部71~73は、第1取り付け部71、第2取り付け部72、第3取り付け部73の順に、パッド部材14の裏面の後側(使用者側)から前側に配置される。第1~第3取り付け部71~73は、ゴムや樹脂等で構成される。パイプ部材29の幅方向外側には後側設置用のねじ穴76aが設けられ、パイプ部材29の幅方向内側には前側設置用のねじ穴76bが設けられる。アーム部材16の後側には後側設置用のねじ穴77aが設けられ、アーム部材16の前側には前側設置用のねじ穴77bが設けられる。
【0100】
図43は、第6実施形態の歩行補助車100の固定部の構成を詳細に示す図である。図44は、図43のA-A断面図であり、図45図43のB-B断面図である。図46図44のC-C断面図である。図42図44に示すように、第1~第3取り付け部71~73は、それぞれ、パッド部材14の裏面の板金部材82に設けられたクリンチングナット83にねじ78~80を圧入することにより、パッド部材14の左右両側にそれぞれ固定される。図44に示すように、第3取り付け部73は、アーム部材16の後側設置用のねじ穴77a及び第3取り付け部73の内部に設けられたナット81にねじ75を差し込むことでアーム部材16にねじ止め固定されている。同様に、第2取り付け部72は、後側パイプ部材29aの後側設置用のねじ穴76a及び第2取り付け部72の内部に設けられたナット(不図示)にねじ75を差し込むことで後側パイプ部材29aにねじ止め固定されている。図46に示すように、第3取り付け部73の内部では、その内壁間の間隔Dはナット2面幅であり、ナット2面幅の内壁によりナット81を押さえてナット81が回転しないようにしている(第1及び第2取り付け部71及び72も同様)。なお、パイプ部材29及びアーム部材16において、ねじ穴76a、76b、77a、77bの周囲は、ねじ74、75を挿入しやすくするように平坦に加工されている。
【0101】
図47及び図48を用いて、第6実施形態の歩行補助車100におけるパッド部材14の位置の調整手順について説明する。図47はパッド部材14を後側に配置した状態(後側配置状態)を示し、図48はパッド部材14を前側に配置した状態(前側配置状態)を示す。図47の後側配置状態では、左右両側のねじ74、75がねじ穴76a、77aを介して第2及び第3取り付け部72及び73にそれぞれ差し込まれて固定され、これによりパッド部材14が固定されている。この後側配置状態から前側配置状態に変更する場合、図47の後側配置状態から左右両側の4本のねじ74、75を外した後(図47中、点線の丸)、パッド部材14を前側に移動させ、左右両側のねじ74、75をねじ穴76b、77bを介して第1及び第3取り付け部71及び73にそれぞれ差し込んで固定することにより(図48中、点線の丸)、パッド部材14を固定する。前側配置状態から後側配置状態に変更する場合、上記と逆の手順によりパッド部材14を後側に移動させて固定する。
【0102】
第6実施形態によると、容易にパッド部材14の位置を前後に調整できるため、使用者の身体により適合した歩行補助車100を使用することが可能となる。
【0103】
第6実施形態では、一対のアーム部材16の間に前側パイプ部材29bが設けられたが、前側パイプ部材29bは設けられなくてもよい。
【0104】
第6実施形態では、固定部は、アーム部材16及びパイプ部材29に第1~第3取り付け部71~73を固定することによりアーム部材16及びパイプ部材29を介してパッド保持フレーム26の上にパッド部材14を固定したが、パッド保持フレーム26に第1~第3取り付け部71~73を直接固定することによりパッド保持フレーム26の上にパッド部材14を固定してもよい。
【0105】
第6実施形態では、固定部は、第1~第3取り付け部71~73を備えたが、これに限定されず、第1及び第2取り付け部71及び72と、第3取り付け部73との一方のみを備えてもよい。
【0106】
第6実施形態では、クリンチングナット83を用いて第1~第3取り付け部71~73をパッド部材14に固定したが、クリンチングナット83の代わりに爪付きナットを用いてもよい。
【0107】
第6実施形態では、ねじ穴76a、76b、77a、77bの周囲は、ねじ74、75を挿入しやすくするように平坦に加工されたが、平坦に加工されなくてもよい。また、ねじ穴76a、76b、77a、77bを楕円形とし、ねじ74、75を緩めるだけで無段階に前後位置を調整できるようにしてもよい。
【0108】
第1~第3取り付け部71~73は、アーム部材16またはパイプ部材29と係合可能なフック部84を有してもよい。図49及び図50は、フック部84の構成例を示す。図49及び図50では、第3取り付け部73をアーム部材16に取り付ける例を示すが、第1及び第2取り付け部71及び72をパイプ部材29に取り付ける場合も同様である。図49(a)及び図49(b)に示すように、第3取り付け部73は、その下方向の端部にフック部84を有し、アーム部材16に上方向から嵌め込まれて固定されてもよい。また、図50に示すように、第3取り付け部73は、その幅方向内側の端部にフック部84を有し、アーム部材16に左右方向から嵌め込まれて固定されてもよい。
【0109】
第6実施形態では、第1~第3取り付け部71~73を介してパッド部材14をアーム部材16及びパイプ部材29に固定したが、これに限定されない。例えば、パッド部材14をアーム部材16及びパイプ部材29にクリンチングナット又は爪付きナットを用いて直接ねじ止め固定してもよい。
【0110】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。実施形態は例示であり、それらの各構成要素やの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。上述した各実施形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。本明細書で開示した実施形態のうち、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0111】
11 本体フレーム、 14 パッド部材、 14a 第1パッド部材、 14b 第2パッド部材、 16 アーム部材、 21 支持フレーム、 22 前輪フレーム、 24 架設フレーム、 24a 下部フレーム、 24b 側方フレーム、 26 パッド保持フレーム、 29 パイプ部材、 40 位置決め部材、 60 収納部、 70 固定部、 100 歩行補助車。
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