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  • 特開-キャップ及び容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058327
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】キャップ及び容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/18 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
B65D41/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165613
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 龍太
(72)【発明者】
【氏名】梅永 健登
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA01
3E084CC04
3E084CC05
3E084DB13
3E084DC04
3E084DC05
3E084FC02
3E084GA08
3E084GB12
3E084GB17
(57)【要約】
【課題】外力が作用しても容器本体からキャップが外れてしまうことを抑制することのできるキャップ及び容器を提供する。
【解決手段】天面部111と、天面部111の周縁から垂下する第1筒部112と、天面部111の内面に設けられ容器本体200の口部210に密着する環状シール部と、を有するキャップ本体110と、第1筒部112の外周面を覆うように設けられる第2筒部120と、第1筒部112の内周面に設けられ、容器本体200の外周に設けられた環状突起211に係合する係合部113と、第2筒部120の外周面に設けられる取っ手部150と、第1筒部112と第2筒部120とを連結する連結部130と、を備え、第2筒部120の上端部は、キャップ本体110の上端よりも上方に突出している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面部と、前記天面部の周縁から垂下する第1筒部と、前記天面部の内面に設けられ容器本体の口部に密着する環状シール部と、を有するキャップ本体と、
前記第1筒部の外周面を覆うように設けられる第2筒部と、
前記第1筒部の内周面に設けられ、前記容器本体の外周に設けられた環状突起に係合する係合部と、
前記第2筒部の外周面に設けられる取っ手部と、
前記第1筒部と前記第2筒部とを連結する連結部と、
を備え、
前記第2筒部の上端部は、前記キャップ本体の上端よりも上方に突出していることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
前記第1筒部と前記第2筒部は、前記連結部とは別に、前記取っ手部が引っ張られた際に破断する弱化部によって連結されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記係合部と前記連結部は、上方から透視した場合に周方向において重ならない位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項4】
前記第1筒部における前記連結部が設けられた部分の両側には、前記第1筒部の内周面から外周面に貫通する一対のスリットが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項5】
前記環状シール部は、
前記天面部から前記容器本体側に突出し、前記口部の内周面に接する第1環状突出部と、
前記天面部から前記容器本体側に突出し、前記口部の外周面に接する第2環状突出部と、
で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項6】
口部と、前記口部の外周面に設けられる環状突起と、前記環状突起よりも容器底側に設けられるネックリングと、を有する容器本体と、
前記口部を塞ぐキャップと、
を備える容器であって、
前記キャップは、
天面部と、前記天面部の周縁から垂下する第1筒部と、前記天面部の内面に設けられ前記容器本体の前記口部に密着する環状シール部と、を有するキャップ本体と、
前記第1筒部の外周面を覆うように設けられる第2筒部と、
前記第1筒部の内周面に設けられ、前記環状突起に係合する係合部と、
前記第2筒部の外周面に設けられる取っ手部と、
前記第1筒部と前記第2筒部とを連結する連結部と、
を備え、
前記第2筒部の上端部は、前記キャップ本体の上端よりも上方に突出していることを特徴とする容器。
【請求項7】
前記ネックリングの径の大きさは、前記第2筒部の外周の径以上であることを特徴とする請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記第2筒部における上端部と前記天面部上端との高さ方向の距離は、前記第2筒部における下端部と前記ネックリング上面との高さ方向の間隔よりも長いことを特徴とする請
求項6に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ及び容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ペットボトルなどの容器において、容器本体の口部を塞ぐキャップとして、打栓機によってキャップを取り付ける打栓方式のキャップが知られている。一般的に、打栓方式のキャップにおいては、外力を受けた際に、容器本体から外れてしまわないようにする対策が重要な課題となっている。例えば、内容物が炭酸飲料などの場合、容器本体の内圧が高くなることがある。この場合、ネジ方式のキャップの場合、少しキャップを緩めた状態でもオネジとメネジは螺合した状態が維持されたまま、内部のガスが抜けるため、キャップが容器本体から飛び落ちてしまうことはない。これに対して、打栓方式のキャップの場合には、係合力を利用して容器本体の口部に対してキャップを取り付ける構造である。そのため、係合力以上の外力がキャップに作用すると、容器本体との係合部から内容物が漏洩したり容器本体からキャップが脱落してしまい易く、上記のように容器本体の内圧が高い場合にも、やはり容器本体との係合部から内容物が漏洩したり、吹き飛んだりしてしまう虞もある。
【0003】
勿論、容器本体の内圧が高くならない使用条件においても、キャップが容器本体から外れないようにする必要がある。従って、容器の落下によりキャップが衝撃を受けた場合や、容器が積み重ねられてキャップに大きな荷重が作用したとしても、漏洩が生じたり、キャップが容器本体から外れないように対策しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62-8943号公報
【特許文献2】特許第6016300号公報
【特許文献3】特許第5684624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、外力が作用しても容器本体からキャップが外れてしまうことを抑制することのできるキャップ及び容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0007】
すなわち、本発明のキャップは、天面部と、前記天面部の周縁から垂下する第1筒部と、前記天面部の内面に設けられ容器本体の口部に密着する環状シール部と、を有するキャップ本体と、
前記第1筒部の外周面を覆うように設けられる第2筒部と、
前記第1筒部の内周面に設けられ、前記容器本体の外周に設けられた環状突起に係合する係合部と、
前記第2筒部の外周面に設けられる取っ手部と、
前記第1筒部と前記第2筒部とを連結する連結部と、
を備え、
前記第2筒部の上端部は、前記キャップ本体の上端よりも上方に突出していることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第2筒部の上端部は、キャップ本体の上端よりも上方に突出しているため、容器を落下したり容器が積み重ねられたりしても、第2筒部に外力が作用し、キャップ本体には外力は直接作用しない。そのため、キャップ本体における第1筒部の内周面に設けられた係合部への影響を抑制することができる。
【0009】
前記第1筒部と前記第2筒部は、前記連結部とは別に、前記取っ手部が引っ張られた際に破断する弱化部によって連結されているとよい。
【0010】
このように、弱化部が設けられることで、意図せず第1筒部と第2筒部とが外れてしまうことを抑制しつつ、取っ手部が引っ張られると弱化部が破断することで、容器本体からキャップを取り外すことができる。
【0011】
前記係合部と前記連結部は、上方から透視した場合に周方向において重ならない位置に設けられているとよい。
【0012】
これにより、取っ手部が引っ張られた際には、係合部の係合を好適に外すことができる。
【0013】
前記第1筒部における前記連結部が設けられた部分の両側には、前記第1筒部の内周面から外周面に貫通する一対のスリットが設けられているとよい。
【0014】
これにより、取っ手部を引っ張ることで、キャップを容器本体から取り外す初期の段階で、容器本体の内部のガスを一対のスリットから外部に放出させることができる。従って、キャップが勢いよく容器本体から外れることを抑制することができる。また、開封時の工程において、取っ手を上方へ引っ張り上げ連結部が外方へ引っ張られる際に、連結部と接続している第1筒部が引っ張られることをきっかけとして容器口部から離脱させることができるため、過大な力を必要とせず開封することができる。
【0015】
前記環状シール部は、
前記天面部から前記容器本体側に突出し、前記口部の内周面に接する第1環状突出部と、
前記天面部から前記容器本体側に突出し、前記口部の外周面に接する第2環状突出部と、
で形成されているとよい。
【0016】
本発明の容器は、
口部と、前記口部の外周面に設けられる環状突起と、前記環状突起よりも容器底側に設けられるネックリングと、を有する容器本体と、
前記口部を塞ぐキャップと、
を備える容器であって、
前記キャップは、
天面部と、前記天面部の周縁から垂下する第1筒部と、前記天面部の内面に設けられ容器本体の口部に密着する環状シール部と、を有するキャップ本体と、
前記第1筒部の外周面を覆うように設けられる第2筒部と、
前記第1筒部の内周面に設けられ、前記環状突起に係合する係合部と、
前記第2筒部の外周面に設けられる取っ手部と、
前記第1筒部と前記第2筒部とを連結する連結部と、
を備え、
前記第2筒部の上端部は、前記キャップ本体の上端よりも上方に突出していることを特
徴とする。
【0017】
本発明によれば、第2筒部の上端部は、キャップ本体の上端よりも上方に突出しているため、容器が落下したり容器が積み重ねられたりしても、第2筒部に外力が作用し、キャップ本体には外力は直接作用しない。そのため、キャップ本体の第1筒部の内周面に設けられた係合部への影響を抑制することができる。
【0018】
前記ネックリングの径の大きさは、前記第2筒部の外周の径以上であるとよい。これにより、不用意に第2筒部の下端より衝撃などが加わった場合でもキャップに直接衝撃が加わることがなく、漏洩やキャップが容器口部から外れてしまうことを抑制できる。
【0019】
前記第2筒部における上端部と前記天面部上端との高さ方向の距離は、前記第2筒部における下端部と前記ネックリング上面との高さ方向の間隔よりも長いとよい。
【0020】
このように構成することで、容器が落下したり容器が積み重ねられたりした場合、第2筒部がネックリングに突き当たっても、天面部に直接的に外力が作用することを抑制することができる。また、第2筒部に作用した力はネックリングを介して容器本体に伝わることで、キャップ本体に過大な力が加わることを抑制することができる。
【0021】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、外力が作用しても容器本体からキャップが外れてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は本発明の実施例に係るキャップの平面図である。
図2図2は本発明の実施例に係るキャップの底面図である。
図3図3は本発明の実施例に係るキャップの模式的断面図である。
図4図4は本発明の実施例に係る容器の模式的断面図である。
図5図5は本発明の実施例に係るキャップの取り外し方の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0025】
(実施例)
図1図5を参照して、本発明の実施例に係るキャップ及び容器について説明する。図1は本発明の実施例に係るキャップの平面図である。図2は本発明の実施例に係るキャップの底面図である。図3は本発明の実施例に係るキャップの模式的断面図であり、図1中のAA断面図である。図4は本発明の実施例に係る容器の模式的断面図である。なお、図4中のキャップは図1中のAA断面図である。また、図4においては、容器本体については、口部付近のみを示し、胴体部分は省略している。図5は本発明の実施例に係るキャップの取り外し方の説明図である。図5においては、容器を模式的断面図にて示している。
【0026】
<容器>
容器10は、容器本体200と、容器本体200の口部210に取り付けられることで口部210を塞ぐキャップ100とを備えている。容器本体200はペットボトルなど各
種の公知技術を採用することができる。キャップ100は、ポリエチレンやポリプロピレンなどの材料により構成される。なお、「口部」は、一般的なボトルにおいては、胴の上部の肩よりも絞られた部分であって、先端に口(開口)を有する首の部分に相当する。
【0027】
容器本体200は、口部210の外周面に設けられる環状突起211と、環状突起211よりも容器底側に設けられるネックリング212とを有している。環状突起211は、キャップ100に係合される役割を担っている。また、ネックリング212は、容器本体200に内容物を充填させるために、容器10を充填ラインに搬送させる際において、ネックリング下面にレールを当接させた状態で滑らせて搬送するために使用される。なお、容器本体200に充填される内容物としては、飲料、調味料、日用品などを例として挙げることができる。
【0028】
本実施例に係るキャップ100は、公知の打栓機によって、容器本体200に取り付けることができる。なお、キャップ100を容器本体200に打栓する際、まず、ネックリング下面を保持してキャップ100が被せられる。この状態で、キャップ100に荷重が加えられることで、キャップ100は容器本体200に取り付けられる。一般的に、キャップ100の打栓には相当な荷重(例えば、100kgf程度)を必要とするため、容器本体200が打栓荷重で変形(特に肉薄な胴体の場合)してしまうおそれがある。その対策として、上記の通りネックリング212を設けて、打栓の際にネックリング212を保持することで容器本体200の変形を抑制することができる。もちろん、打栓荷重に耐えうる容器であれば、ネックリングを保持することなく容器本体200の底部を水平面に据え置き打栓することも可能である。
【0029】
<キャップ>
キャップ100の構成について、詳細に説明する。本実施例に係るキャップ100は、キャップ本体110を備えている。このキャップ本体110は、天面部111と、天面部111の周縁から垂下する第1筒部112と、天面部111の内面に設けられ容器本体200の口部210に密着する環状シール部とを有している。環状シール部は、天面部111から容器本体200側に突出し、口部210の内周面に接する第1環状突出部113と、天面部111から容器本体200側に突出し、口部210の外周面に接する第2環状突出部114とで形成されている。なお、本実施例では、第2環状突出部114は、その内周面が全周に亘って口部210の外周面に接することで、シール性を発揮する。これに対し、第1環状突出部113の外周面は口部210の内周面に対して接しない部分を有しており、主として環状シール部を口部210に対して位置決めする役割を担っており、補助的にシール機能を発揮する。
【0030】
ここで、第1筒部112の内周面には、容器本体200の外周に設けられた環状突起211に係合する係合部112aが設けられている。本実施例においては、周方向にそれぞれ間隔を空けて3か所に係合部112aが設けられている。打栓によって、これらの係合部112aが環状突起211に係合することによって、キャップ100が容器本体200に取り付けられる。また、第1環状突出部113の外周面には、周方向の1箇所に切り欠き113aが設けられている。
【0031】
そして、本実施例に係るキャップ100は、キャップ本体110における第1筒部112の外周面を覆うように設けられる第2筒部120と、第1筒部112と第2筒部120とを連結する連結部130とを備えている。連結部130は、通常の使用状態で想定される範囲の外力を大きく超える力が作用しない限り、破断されないように設計される。また、第1筒部112における連結部130が設けられた部分の両側には、第1筒部112の内周面から外周面に貫通する一対のスリット112bが設けられている。
【0032】
そして、第2筒部120の外周面には取っ手部150も設けられている。また、第1筒部112と第2筒部120は、連結部130とは別に、取っ手部150が引っ張られた際に破断する弱化部140によっても連結されている。本実施例では、2か所に弱化部140を設けているが、弱化部140の個数や配置位置は特に限定されるものではない。なお、キャップ100は成形加工により得ることができ、キャップ本体110、第2筒部120、連結部130、弱化部140、及び取っ手部150は、一体に構成されている。
【0033】
第1筒部112と第2筒部120は、円筒状に構成されており、これらは同心的に設けられている。また、環状シール部を構成する第1環状突出部113と第2環状突出部114も、これら第1筒部112及び第2筒部120と同心的に設けられている。以下、これら第1筒部112、第2筒部120、第1環状突出部113及び第2環状突出部114における円筒状の部分の中心軸線を、便宜上、「中心軸線」と称する。
【0034】
上記の取っ手部150の幅方向の中心が、中心軸線を挟んで、連結部130の幅方向の中心に対して反対の位置に位置するように、連結部130と取っ手部150は配されている。また、連結部130の幅方向の中心と切り欠き113aの幅方向の中心が、中心軸線を中心とする周方向の同じ位置に位置するように、連結部130と切り欠き113aは配されている。更に、3か所の係合部112aと連結部130は、中心軸線を中心とする周方向の異なる位置に配されている。言い換えると、係合部112aと連結部130は、上方から透視した場合に周方向において重ならない位置に設けられている。
【0035】
そして、本実施例に係るキャップ100においては、第2筒部120の上端部は、キャップ本体110の上端よりも上方に突出するように構成されている。より具体的には、第2筒部120における上端部と天面部111の上端との高さ方向の距離Hは、第2筒部120における下端部とネックリング212の上面との高さ方向の間隔Sよりも長くなるように構成されている(図4参照)。なお、ネックリング212の径の大きさは、第2筒部120の外周の径以上により構成されている。図4に示す例では、第2筒部120における下端部とネックリング212の上面との間に隙間が設けられるように構成する場合を示している。ただし、本発明においては、第2筒部120における下端部とネックリング212の上面とが接する構成(つまり隙間がない構成)も含まれる。
【0036】
<キャップの取り外し方>
容器本体200からキャップ100が取り外される場合には、まず、取っ手部150が上方に引っ張られる(図5(a)中、矢印X参照)。これにより、弱化部140は破断して、キャップ本体110は容器本体200の口部210に取り付けられたまま、連結部130は折れ曲がり、第2筒部120がキャップ本体110に対して傾いた状態となる(図5(b)参照)。その後、取っ手部150が図中矢印Y方向に引っ張られることで、係合部112aが環状突起211から外れて、容器本体200からキャップ100が取り外される(図5(c)参照)。
【0037】
<本実施例に係るキャップ及び容器の優れた点>
本実施例によれば、第2筒部120の上端部は、キャップ本体110の上端よりも上方に突出している。そのため、容器10が落下して、キャップ100が地面等に衝突した場合には、第2筒部120が地面等に衝突する。また、容器10が積み重ねられた場合には、第2筒部120が荷重を受ける。これにより、キャップ本体110には外力は直接作用しない。そのため、キャップ本体110における第1筒部112の内周面に設けられた係合部112aや、容器内との密封を構成する第1環状突出部113及び、第2環状突出部114への影響を抑制することができる。従って、キャップ100に外力が作用しても容器本体200からキャップ100が外れてしまうことを抑制することができる。
【0038】
また、本実施例に係る容器10においては、ネックリング212の径の大きさは、第2筒部120の外周の径以上である。これにより、不用意に第2筒部120の下面に衝撃や負荷がかかることを抑制でき、内容物の漏洩やキャップ100が容器本体200から外れてしまうことを防止できる。また、第2筒部120における上端部と天面部111の上端との高さ方向の距離Hは、第2筒部120における下端部とネックリング212の上面との高さ方向の間隔Sよりも長くなるように構成されている。これにより、容器10が落下して、第2筒部120が地面等に衝突した場合、第2筒部120がネックリング212に突き当たっても、キャップ本体110(天面部111)が地面等に衝突することを抑制することができる。また、容器10が積み重ねられた場合、第2筒部120はネックリング212に突き当たっても、天面部111に別の容器10が当たることはなく、天面部111に直接的に外力が作用することを抑制することができる。そして、第2筒部120に作用した力はネックリング212を介して容器本体200に伝わることで、キャップ本体110に伝わる力を抑制することができる。従って、容器本体200からキャップ100が外れてしまうことをより確実に抑制することができる。
【0039】
また、本実施例においては、第1筒部112と第2筒部120は、連結部130とは別に、取っ手部150が引っ張られた際に破断する弱化部140によって連結されている。これにより、意図せず第1筒部112と第2筒部120とが外れてしまうことを抑制しつつ、取っ手部150が引っ張られると弱化部140が破断することで、容器本体200からキャップ100を取り外すことができる。
【0040】
また、本実施例においては、係合部112aと連結部130は、上方から透視した場合に周方向において重ならない位置に設けられているので、取っ手部150が引っ張られた際には、係合部112aの係合を好適に外すことができる。
【0041】
更に、本実施例においては、第1筒部112における連結部130が設けられた部分の両側には、第1筒部112の内周面から外周面に貫通する一対のスリット112bが設けられている。これにより、取っ手部150を引っ張ることで、キャップ100を容器本体200から取り外す初期の段階で、容器本体200の内部のガスを一対のスリット112bから外部に放出させることができる。従って、キャップ100が勢いよく容器本体200から外れることを抑制することができる。また、開封時の工程において、取っ手部150を上方へ引っ張り上げ連結部130が外方へ引っ張られる際に、連結部130と接続している第1筒部112が引っ張られることをきっかけとして容器口部から離脱させることができるため、過大な力を必要とせず開封することができる。なお、本実施例においては、第1環状突出部113の外周面に設けられた切り欠き113aも、キャップ100を容器本体200から取り外す初期の段階で、容器本体200の内部のガスを外部に排出する機能を発揮する。
【0042】
(その他)
本実施例においては、各図に示すように、第2筒部120の上端部の全周が同一面上に位置するように構成されている。つまり、第2筒部120における上端部と天面部111の上端との高さ方向の距離Hは、全周に亘って等しく構成されている。しかしながら、キャップ本体110に直接的に外力を作用し難くすることが可能な範囲であれば、第2筒部120における上端部と天面部111の上端との高さ方向の距離Hが短くなる箇所が部分的に存在していても構わない。
【0043】
また、本実施例においては、各図に示すように、第2筒部120の下端部の全周が同一面上に位置するように構成されている。つまり、第2筒部120における下端部とネックリング212の上面との高さ方向の間隔Sは、全周に亘って等しく構成されている。しかしながら、第2筒部120における下端部とネックリング212の上面との高さ方向の間
隔Sが長くなる箇所が部分的に存在していても構わない。要は、第2筒部120における下端部がネックリング212に突き当たった際に、第2筒部120の上端部が、キャップ本体110の上端よりも上方に突出した状態が維持されていればよい。
【0044】
更に、本実施例においては、取っ手部150の上端と第2筒部120の上端が同一の高さとなるように構成する場合を示したが、取っ手部150の配置位置は限定されるものではない。また、本実施例では、取っ手部150の形状は指が入るように環状の形状の場合を示したが、取っ手部150の形状は限定されるものではない。例えば、鍔状の形状であったり棒状の形状であったり、棒状の先端に指を掛ける引っ掛け部を有する形状であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
10:容器 100:キャップ 110:キャップ本体 111:天面部 112:第1筒部 112a:係合部 112b:スリット 113:第1環状突出部 113a:切り欠き 114:第2環状突出部 120:第2筒部 130:連結部 140:弱化部 150:取っ手部 200:容器本体 210:口部 211:環状突起 212:ネックリング
図1
図2
図3
図4
図5