(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058349
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】タイヤのシミュレーション方法及びタイヤの設計方法
(51)【国際特許分類】
B60C 19/12 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
B60C19/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165647
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】石田 孝明
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA35
3D131AA36
3D131AA39
3D131BB01
3D131BC55
3D131CA03
3D131CB11
3D131DA09
3D131DA34
3D131DA43
3D131GA19
3D131HA01
3D131HA32
3D131HA35
3D131LA33
3D131LA34
(57)【要約】
【課題】計算精度の向上と計算時間の短縮とを両立させることが可能なタイヤのシミュレーション方法を提供する。
【解決手段】タイヤの耐久性を、コンピュータを用いて計算するためのシミュレーション方法である。この方法は、コンピュータに、タイヤを離散化して、カーカスコードモデル41とトッピングゴムモデル42とを含むカーカスプライモデル43を具えたタイヤモデル34を入力するモデル設定ステップを含んでいる。モデル設定ステップは、トッピングゴムを、第1領域20と、第1領域20よりもタイヤ半径方向内側に位置する第2領域21とに区分し、第1領域20を、有限個の第1要素F(i)で離散化した第1トッピングゴムモデル23を定義し、第2領域21を、有限個かつ第1要素F(i)よりも小さい第2要素G(i)で離散化した第2トッピングゴムモデル25を定義する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部からサイドウォール部を経てビード部に至る複数本のカーカスコードをトッピングゴムで被覆したカーカスプライを具えたタイヤの耐久性を、コンピュータを用いて計算するためのシミュレーション方法であって、
前記コンピュータに、前記タイヤを離散化して、カーカスコードモデルとトッピングゴムモデルとを含むカーカスプライモデルを具えたタイヤモデルを入力するモデル設定ステップを含み、
前記モデル設定ステップは、
前記トッピングゴムを、第1領域と、前記第1領域よりもタイヤ半径方向内側に位置する第2領域とに区分するステップと、
前記第1領域を、有限個の第1要素で離散化した第1トッピングゴムモデルを定義するステップと、
前記第2領域を、有限個かつ前記第1要素よりも小さい第2要素で離散化した第2トッピングゴムモデルを定義するステップとを含む、
タイヤのシミュレーション方法。
【請求項2】
前記第1領域及び前記第2領域は、予め定められた基準位置で区分され、
前記基準位置は、タイヤ最大幅位置を中心としたタイヤ断面高さの20%以下の範囲内にある、請求項1に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項3】
前記基準位置は、前記タイヤ最大幅位置である、請求項2に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項4】
前記タイヤモデルのタイヤ回転軸を含む断面において、前記第1要素及び前記第2要素は、それぞれ、前記カーカスコードモデルに面した辺を備え、
前記第2要素の前記カーカスコードに面した前記辺の長さである第2長さは、前記第1要素の前記カーカスコードに面した前記辺の長さである第1長さの85%以下である、請求項1に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項5】
前記第1長さは、1.6~2.4mmであり、
前記第2長さは、1.5mm以下である、請求項4に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項6】
前記タイヤモデルは、二次元モデルであり、
少なくとも一部の前記第2要素は、四角形要素である、請求項1又は2に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項7】
前記タイヤモデルは、三次元モデルであり、
少なくとも一部の前記第2要素は、六面体要素である、請求項1又は2に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項8】
前記コンピュータが、前記タイヤモデルを用いて、前記耐久性に関する物理量を計算するステップを含む、請求項1又は2に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項9】
計算された前記物理量を予め定められた基準と比較して、前記耐久性を評価するステップをさらに含む、請求項8に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項10】
トレッド部からサイドウォール部を経てビード部に至る複数本のカーカスコードをトッピングゴムで被覆したカーカスプライを具えたタイヤの設計方法であって、
請求項1又は2に記載のタイヤのシミュレーション方法に基づいて、前記タイヤモデルを入力するモデル設定ステップと、
前記コンピュータが、前記タイヤモデルを用いて、前記タイヤの耐久性に関する物理量を計算するステップと、
前記物理量が予め定められた基準を満足するまで、前記タイヤモデルを変更するステップとを含む、
タイヤの設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤのシミュレーション方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、コード材料で補強されたタイヤの耐久性を、コンピュータシミュレーションを用いて予測する方法が提案されている。この方法には、コンピュータに、コード材料が要素でモデル化されたコードモデルと、コード材料に添設されたトッピングゴムが要素でモデル化されたトッピングゴムモデルとを含むタイヤモデルを入力するモデル設定ステップと、コンピュータが、予め定められた内圧及び荷重の条件に基づいてタイヤモデルの変形計算を行う変形計算ステップとが含まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような方法において、タイヤの耐久性の計算精度を向上させるには、タイヤモデルの要素の大きさを小さくすることが考えられる。しかしながら、タイヤの各部の要素の大きさを一律に小さくすると、計算時間が増大するという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、計算精度の向上と、計算時間の短縮とを両立させることが可能なタイヤのシミュレーション方法の提供を主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部に至る複数本のカーカスコードをトッピングゴムで被覆したカーカスプライを具えたタイヤの耐久性を、コンピュータを用いて計算するためのシミュレーション方法であって、前記コンピュータに、前記タイヤを離散化して、カーカスコードモデルとトッピングゴムモデルとを含むカーカスプライモデルを具えたタイヤモデルを入力するモデル設定ステップを含み、前記モデル設定ステップは、前記トッピングゴムを、第1領域と、前記第1領域よりもタイヤ半径方向内側に位置する第2領域とに区分するステップと、前記第1領域を、有限個の第1要素で離散化した第1トッピングゴムモデルを定義するステップと、前記第2領域を、有限個かつ前記第1要素よりも小さい第2要素で離散化した第2トッピングゴムモデルを定義するステップとを含む、タイヤのシミュレーション方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のタイヤのシミュレーション方法は、上記のステップを採用したことによって、計算精度の向上と、計算時間の短縮とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】タイヤのシミュレーション方法及びタイヤの設計方法を実施するためのコンピュータ装置の構成図である。
【
図2】タイヤのシミュレーション方法及びタイヤの設計方法によってモデリングされるタイヤの一例を示す断面図である。
【
図3】カーカスプライの一例を示す部分斜視図である。
【
図4】タイヤのシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】モデル設定ステップの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】タイヤの設計データ(輪郭データ)の一例を示す概念図である。
【
図7】カーカスプライの輪郭データの一例を示す分解図である。
【
図10】カーカスプライモデルの部分斜視図である。
【
図11】本実施形態で用いたタイヤモデル及び路面モデルの斜視図である。
【
図12】タイヤの設計方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。なお、各図面は、発明の内容の理解を高めるためのものであり、誇張された表示が含まれる他、各図面間において、縮尺等は厳密に一致していない点が予め指摘される。
【0010】
本実施形態のタイヤのシミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある。)では、評価対象のタイヤの耐久性が、コンピュータを用いて評価される。
【0011】
[コンピュータ]
図1は、本実施形態のシミュレーション方法、及び、タイヤの設計方法(以下、単に「設計方法」ということがある。)を実行するためのコンピュータ1を示している。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dが含まれる。この本体1aには、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリー、磁気ディスクなどの記憶装置及びディスクドライブ装置1a1、1a2などが設けられている。なお、記憶装置には、本実施形態のシミュレーション方法及びタイヤの設計方法を実行するための処理手順(プログラム)が予め記憶されている。
【0012】
[タイヤ]
図2は、タイヤ2の一例を示す断面図である。本実施形態のタイヤ2は、乗用車用のものが例示されているが、特に限定されるわけではない。タイヤ2は、例えば、トラックやバスなどの重荷重用や、二輪自動車用等として用いられるものでもよい。なお、タイヤ2は、実在するか否かについては問われない。
【0013】
本実施形態のタイヤ2は、ゴム部材3と、コードプライ4とを含んで構成されている。
【0014】
本実施形態のゴム部材3は、トレッドゴム5、サイドウォールゴム6、クリンチゴム7、ビードエーペックスゴム8、及び、インナーライナーゴム9を含んで構成されている。なお、ゴム部材3には、これらの構成に限定されるわけではなく、例えば、一対のサイドウォール部2bにそれぞれ配される補強ゴム層(図示省略)などが含まれてもよい。
【0015】
トレッドゴム5は、トレッド部2aにおいて、ベルト層10のタイヤ半径方向の外側に配されている。サイドウォールゴム6は、トレッドゴム5のタイヤ半径方向内側に配されており、サイドウォール部2bにおいて、カーカス11のタイヤ軸方向の外側に配されている。クリンチゴム7は、サイドウォールゴム6のタイヤ半径方向内側(本例では、ビード部2c)に配されている。ビードエーペックスゴム8は、ビードコア12からタイヤ半径方向外側にのびている。インナーライナーゴム9は、カーカス11の内面に配置されている。
【0016】
コードプライ4は、複数本のコードがトッピングゴムで被覆されたものである。本実施形態のコードプライ4は、カーカスプライ15及びベルトプライ16を含んで構成されている。なお、コードプライ4は、このような態様に限定されるわけではなく、例えば、バンドプライ(図示省略)が含まれてもよい。
【0017】
カーカスプライ15は、カーカス11を構成している。本実施形態のカーカスプライ15は、第1カーカスプライ15A及び第2カーカスプライ15Bで構成されているが、1枚のカーカスプライ15で構成されていてもよい。
【0018】
本実施形態の第1カーカスプライ15A及び第2カーカスプライ15Bは、トレッド部2aから一対のサイドウォール部2b、2bを経て、一対のビードコア12、12に至る本体部15iと、この本体部15iに連なり、ビードコア12で折り返された折り返し部15oとを、それぞれ含んでいる。
【0019】
図3は、カーカスプライ15の部分斜視図である。
図3では、第1カーカスプライ15Aのみが代表して示されている。第1カーカスプライ15A及び第2カーカスプライ15Bは、それぞれ、複数本のカーカスコード13がトッピングゴム14で被覆されることで形成されている。これらのカーカスコード13は、
図2に示したトレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cに至っている。複数本のカーカスコード13は、タイヤ赤道Cに対して、例えば65~90度の角度θ1で配列(並列)されている。カーカスコード13としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、又は、アラミドなどの有機繊維コード等が採用される。
【0020】
図2に示されるように、ベルトプライ16は、カーカス11のタイヤ半径方向の外側、かつ、トレッド部2aの内部に配されたベルト層10を構成している。本実施形態のベルトプライ16は、内側ベルトプライ16Aと、内側ベルトプライ16Aのタイヤ半径方向の外側に配置された外側ベルトプライ16Bとを含んで構成されているが、このような態様に限定されない。ベルトプライ16は、例えば、3枚以上のベルトプライで構成されてもよい。
【0021】
内側ベルトプライ16A及び外側ベルトプライ16Bは、それぞれ、図示しない複数のベルトコードがトッピングゴムで被覆されることで形成される。複数本のベルトコードは、タイヤ周方向に対して、例えば10~40度の角度で配列されている。ベルトコードとしては、例えば、アラミド又はレーヨン等の高弾性の有機繊維コードや、スチールコード等が採用される。
【0022】
本実施形態のタイヤ2には、一対のサイドウォール部2bに、リムプロテクター19がそれぞれ形成されている。本実施形態のリムプロテクター19は、タイヤ最大幅位置18よりもタイヤ半径方向内側の領域において、タイヤ軸方向外方に突出しかつタイヤ周方向に連続して延びている。ここで、タイヤ最大幅位置18とは、タイヤ2の外表面に設けられた文字やリムプロテクター19等の突起物を除いて特定される仮想外表面において、最もタイヤ軸方向外側に突出する位置である。
【0023】
ところで、上記のようなタイヤ2では、タイヤ最大幅位置18よりもタイヤ半径方向内側の領域(とりわけ、ビード部2c付近)において、損傷が集中する傾向がある。中でも、ビード部2cにおいて、カーカスプライ15のトッピングゴム14(
図3に示す)等が損傷の起点になることが多く、タイヤ2の耐久性に影響を及ぼす。とりわけ、本実施形態のようにリムプロテクター19が設けられる場合には、例えば、そのリムプロテクター19の頂部19aを通る厚さ方向の中心線19bからトッピングゴム14に沿って内外に10~15mmで隔てた領域AR(
図2において、二点鎖線で示す)において、上記のような損傷が集中する傾向がある。したがって、コンピュータ1(
図1に示す)を用いたシミュレーション方法において、タイヤ2の耐久性を精度よく計算するためには、このような領域(ビード部2c付近や領域ARなどを含む領域)での物理量を正確に計算することが重要である。
【0024】
[タイヤのシミュレーション方法]
本実施形態のシミュレーション方法では、上記のような領域での物理量の計算精度の向上と、計算時間の短縮とを両立させることが可能なタイヤモデルが作成される。そして、作成されたタイヤモデルを用いて、タイヤ2の耐久性に関する物理量が計算される。本実施形態のタイヤモデルは、三次元の直交座標系において、三次元モデルとして作成される。なお、タイヤモデルは、二次元モデルとして作成されてもよい。
図4は、本実施形態のシミュレーション方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0025】
[モデル設定ステップ]
本実施形態のシミュレーション方法では、先ず、コンピュータ1(
図1に示す)に、タイヤモデルが入力される(モデル設定ステップS1)。本実施形態のモデル設定ステップS1では、
図2に示したタイヤ2を離散化して、カーカスコードモデルとトッピングゴムモデルとを含むカーカスプライモデルを具えたタイヤモデルが入力される。
図5は、本実施形態のモデル設定ステップS1の処理手順を示すフローチャートである。
【0026】
[タイヤの設計データを入力]
本実施形態のモデル設定ステップS1では、先ず、
図2に示したタイヤ2の設計データ(例えば、CADデータ)が、コンピュータ1(
図1に示す)に入力される(ステップS11)。
図6は、タイヤ2の輪郭データ28を示す概念図である。
図7は、カーカスプライの輪郭データ30の分解図である。
図7では、第1カーカスプライ15A(
図3に示す)の輪郭データ30Aのみが代表して示されている。なお、
図7の第1カーカスプライの輪郭データ30Aでは、
図3に示した湾曲状の輪郭が、平面状に簡略化して示されている。
【0027】
図6に示されるように、本実施形態の設計データには、
図2に示したタイヤ2を構成するゴム部材3及びコードプライ4の輪郭に関する数値データ(以下、輪郭データ28)等が含まれている。輪郭データ28は、例えば、ゴム部材3及びコードプライ4の輪郭を特定可能な座標値が含まれる。
【0028】
輪郭データ28には、
図2に示したトレッドゴム5、サイドウォールゴム6、クリンチゴム7、ビードエーペックスゴム8、及び、インナーライナーゴム9を含むゴム部材3の輪郭データ29が含まれている。さらに、輪郭データ28には、
図2に示したカーカスプライ15(本例では、第1カーカスプライ15A及び第2カーカスプライ15B)の輪郭データ30A、30Bと、
図2に示したベルトプライ16(本例では、内側ベルトプライ16A及び外側ベルトプライ16B)の輪郭データ30C、30Dが含まれている。
【0029】
第1カーカスプライの輪郭データ30A及び第2カーカスプライの輪郭データ30Bには、
図7に示されるように、
図3に示したカーカスコード13の配列体(カーカスコード13が配置される領域)40の輪郭データ57、及び、トッピングゴム14の輪郭データ31がそれぞれ含まれている。
図7に示されるように、トッピングゴムの輪郭データ31は、配列体の輪郭データ57に対して、内側の輪郭データ31iと、外側の輪郭データ31oとに区分されている。なお、
図6では、第1カーカスプライの輪郭データ30A及び第2カーカスプライの輪郭データ30Bについて、
図7に示した内側の輪郭データ31iと、外側の輪郭データ31oとを一体化した輪郭データ31のみが、それぞれ簡略化して示されている。
【0030】
図6に示した内側ベルトプライの輪郭データ30C及び外側ベルトプライの輪郭データ30Dには、
図7に示したカーカスプライの輪郭データ30Aと同様に、ベルトコードの配列体の輪郭データ(図示省略)、及び、トッピングゴムの輪郭データ(図示省略)がそれぞれ含まれている。
図6に示したタイヤの輪郭データ28は、コンピュータ1(
図1に示す)に記憶される。
【0031】
[トッピングゴムを第1領域及び第2領域に区分]
次に、本実施形態のモデル設定ステップS1では、
図2に示したカーカスプライ15のトッピングゴム14が、
図6に示されるように、第1領域20と、第1領域20よりもタイヤ半径方向内側に位置する第2領域21とに区分される(ステップS12)。本実施形態のステップS12では、
図6に示した第1カーカスプライの輪郭データ30A及び第2カーカスプライの輪郭データ30Bについて、トッピングゴムの輪郭データ31、31が、第1領域20の輪郭データ32と、第1領域20よりもタイヤ半径方向内側に位置する第2領域21の輪郭データ33とにそれぞれ区分される。本実施形態では、
図7に示した内側の輪郭データ31iと外側の輪郭データ31oとの双方が、第1領域20の輪郭データ32と、第2領域21の輪郭データ33(図示省略)とに区分される。
【0032】
本実施形態では、
図6に示されるように、第1領域20及び第2領域21が、予め定められた基準位置27で区分されている。なお、第1領域20及び第2領域21が基準位置27で区分される態様に限定されるわけではなく、例えば、第1領域20と第2領域21とがタイヤ半径方向で離間していてもよい。第1領域20及び第2領域21は、コンピュータ1(
図1に示す)に記憶される。
【0033】
[第1トッピングゴムモデルを定義]
次に、本実施形態のモデル設定ステップS1では、第1領域20を、有限個の第1要素で離散化した第1トッピングゴムモデルが定義される(ステップS13)。
図8は、タイヤモデル34の断面図である。
図9は、
図8の部分拡大図である。
図10は、カーカスプライモデル43の部分斜視図である。
図10では、第1カーカスプライモデル43Aのみが代表して示されている。
図10に示した第1カーカスプライモデル43Aは、第1領域20の一部のものである。
【0034】
本実施形態では、
図6に示した第1カーカスプライの輪郭データ30A及び第2カーカスプライの輪郭データ30Bに含まれるトッピングゴムの輪郭データ31、31のうち、それぞれの第1領域20の輪郭データ32、32が、
図9及び
図10に示した有限個の第1要素F(i)(i=1、2、…)を用いて離散化される。これにより、
図9に示されるように、第1トッピングゴムモデル23、23が定義される。第1要素F(i)を用いた離散化は、コンピュータ1(
図1に示す)によって実施される。
【0035】
本実施形態では、
図6に示した第1領域20の輪郭データ32、32のそれぞれについて、
図7に示したトッピングゴムの内側の輪郭データ31iと、外側の輪郭データ31oとの双方が離散化される。これにより、
図9及び
図10に示されるように、第1トッピングゴムモデル23、23は、内側トッピングゴムモデル42i及び外側トッピングゴムモデル42oをそれぞれ含んで構成される。
【0036】
第1要素F(i)は、数値解析法により取り扱い可能なものとして定義される。数値解析法としては、例えば、有限要素法、有限体積法、差分法、又は、境界要素法を適宜採用することができる。本実施形態では、有限要素法が採用される。本実施形態において、第1要素F(i)や後述の要素を用いた離散化には、例えば、コンピュータ1(
図1に示す)に予め記憶されている公知のメッシュ化ソフトウェア(例えば、ANSYS社製の「ICEM CFD」)が用いられる。
【0037】
本実施形態のように、タイヤモデル34が三次元モデルとして作成される場合、第1要素F(i)には、三次元のソリッド要素が採用されうる。ソリッド要素には、例えば、四面体要素、五面体要素、又は、六面体要素等が採用されうるが、タイヤ2の耐久性の計算精度の向上の観点より、六面体要素が好適に採用され得る。一方、タイヤモデル34が二次元モデルとして作成される場合、第1要素F(i)には、二次元のシェル要素が採用されうる。シェル要素には、例えば、三角形要素や四角形要素等が採用されうるが、タイヤ2の耐久性の計算精度の向上の観点より、四角形要素が採用され得る。
【0038】
第1要素F(i)には、複数個の節点26が設けられている。また、各第1要素F(i)には、要素番号、節点26の番号、節点26の座標値、及び、
図3に示したカーカスプライ15のトッピングゴム14の材料特性(例えば、密度、ヤング率、減衰係数、及び/又は、損失正接tanδ等)などの数値データが定義される。第1トッピングゴムモデル23、23は、コンピュータ1(
図1に示す)に記憶される。
【0039】
[第2トッピングゴムモデルを定義]
次に、本実施形態のモデル設定ステップS1では、第2領域21を、有限個の第2要素G(i)(i=1、2、…)で離散化した第2トッピングゴムモデル25が定義される(ステップS14)。
【0040】
本実施形態では、
図6に示した第1カーカスプライの輪郭データ30A及び第2カーカスプライの輪郭データ30Bに含まれるトッピングゴムの輪郭データ31、31のうち、それぞれの第2領域21の輪郭データ33、33が、
図9に示した有限個の第2要素G(i)を用いて離散化される。これにより、
図9に示されるように、第2トッピングゴムモデル25、25が定義される。第2要素G(i)を用いた離散化は、コンピュータ1(
図1に示す)によって実施される
【0041】
本実施形態では、
図6に示した第2領域21の輪郭データ33、33のそれぞれについて、
図7に示したトッピングゴムの内側の輪郭データ31iと、外側の輪郭データ31oとの双方が離散化される。これにより、
図9に示されるように、第2トッピングゴムモデル25、25は、内側トッピングゴムモデル42i及び外側トッピングゴムモデル42oをそれぞれ含んで構成される。
【0042】
第2要素G(i)は、第1要素F(i)と同様に、上述の数値解析法により取り扱い可能なものとして定義される。また、タイヤモデル34が三次元モデルとして作成される場合、第2要素G(i)には、上述のような三次元のソリッド要素が採用されうる。一方、タイヤモデル34が二次元モデルとして作成される場合、第2要素G(i)には、上述のような二次元のシェル要素が採用されうる。
【0043】
第2要素G(i)には、上述の第1要素F(i)と同様に、複数個の節点26が設けられており、
図2に示したカーカスプライ15のトッピングゴム14の材料特性等が定義される。
【0044】
本実施形態では、第2トッピングゴムモデル25、25と、上述の第1トッピングゴムモデル23、23とにより、
図2に示した第1カーカスプライ15A及び第2カーカスプライ15Bのトッピングゴムを離散化したトッピングゴムモデル42、42が定義される。これらのトッピングゴムモデル42、42には、
図9及び
図10に示した内側トッピングゴムモデル42iと外側トッピングゴムモデル42oとがそれぞれ含まれる。第2トッピングゴムモデル25、25及びトッピングゴムモデル42、42は、コンピュータ1(
図1に示す)に記憶される。
【0045】
図9に示されるように、本実施形態では、第1領域20及び第2領域21が、予め定められた基準位置27で区分されている。このため、基準位置27において、第1要素F(i)の節点26と第2要素G(i)の節点26とが共有されるように、第2領域21が離散化されるのが好ましい。
【0046】
本実施形態の第2要素G(i)は、第1要素F(i)よりも小さく設定されている。これにより、第2トッピングゴムモデル25は、第1トッピングゴムモデル23に比べて、単位体積あたりの節点26の個数が多く設定される。
【0047】
[カーカスコードモデルを定義]
次に、本実施形態のモデル設定ステップS1では、カーカスコード13(
図3に示す)を、有限個の要素H(i)(i=1、2、…)で離散化したカーカスコードモデル41が定義される(ステップS15)。本実施形態では、
図6に示した第1カーカスプライの輪郭データ30A及び第2カーカスプライの輪郭データ30Bのそれぞれに含まれるカーカスコードの配列体の輪郭データ57(
図7に示す)が、
図10に示した有限個の要素H(i)を用いて離散化される。これにより、カーカスコードモデル41が設定される。要素H(i)を用いた離散化は、コンピュータ1(
図1に示す)によって実施される
【0048】
要素H(i)は、第1要素F(i)や第2要素G(i)と同様に、上述の数値解析法により取り扱い可能なものとして定義される。本実施形態の要素H(i)には、例えば、膜要素が採用されている。このような膜要素により、カーカスコード13(
図3に示す)の長手方向に沿った強度異方性を定義することが可能となる。本実施形態の膜要素は、平面視において、四辺形状に設定されているが、特に限定されるわけではなく、例えば、三角形状に設定されてもよい。また、要素H(i)は、このような膜要素に限定されるわけではなく、例えば、単軸補強材の層として定義可能なリバー要素(例えば、ダッソーシステムズ社の汎用解析プログラム「Abaqus」に搭載)等が採用されても良い。
【0049】
要素H(i)には、上述の第1要素F(i)や第2要素G(i)と同様に、複数個の節点26が設けられている。また、要素H(i)の強度異方性は、
図3に示したカーカスコード13の角度θ1に基づいて設定される。
【0050】
図10に示されるように、カーカスコードモデル41の両側には、内側トッピングゴムモデル42iと、外側トッピングゴムモデル42oとがそれぞれ配されている。そして、カーカスコードモデル41と内側トッピングゴムモデル42iとの間、及び、カーカスコードモデル41と外側トッピングゴムモデル42oとの間には、実際のカーカスコード13とトッピングゴム14との間の接着力に基づく固定条件が設定される。これにより、カーカスプライモデル43が定義される。
図9に示されるように、本実施形態のカーカスプライモデル43には、
図2に示した第1カーカスプライ15A及び第2カーカスプライ15Bについて、それぞれ離散化した第1カーカスプライモデル43A及び第2カーカスプライモデル43Bが含まれる。カーカスコードモデル41及びカーカスプライモデル43は、コンピュータ1(
図1に示す)に記憶される。
【0051】
[ベルトプライのトッピングゴムモデルを定義]
次に、本実施形態のモデル設定ステップS1では、
図2に示したベルトプライ16のトッピングゴム(図示省略)を、有限個の要素(図示省略)で離散化したベルトプライ16のトッピングゴムモデル(図示省略)が定義される(ステップS16)。本実施形態では、コンピュータ1(
図1に示す)によって、
図6に示した内側ベルトプライの輪郭データ30C及び外側ベルトプライの輪郭データ30Dに含まれるトッピングゴムの輪郭データ(図示省略)が、有限個の要素を用いて離散化される。これにより、トッピングゴムモデルが定義される。
【0052】
上記の要素(図示省略)は、第1要素F(i)や第2要素G(i)と同様に、上述の数値解析法により取り扱い可能なものとして定義される。また、タイヤモデル34が三次元モデルとして作成される場合、各要素には、上述のような三次元のソリッド要素が採用されうる。一方、タイヤモデル34が二次元モデルとして作成される場合、要素には、上述のような二次元のシェル要素が採用されうる。
【0053】
上記の要素(図示省略)には、複数個の節点(図示省略)が設けられており、ベルトプライ16のトッピングゴム(図示省略)の材料特性等が定義される。
【0054】
トッピングゴムモデル(図示省略)は、
図10に示したカーカスプライモデル43と同様に、ベルトコードに対して、タイヤ半径方向内側のトッピングゴムの輪郭データを離散化した内側トッピングゴムモデル(図示省略)と、タイヤ半径方向外側のトッピングゴムの輪郭データを離散化した外側トッピングゴムモデル(図示省略)とがそれぞれ含まれる。これらのトッピングゴムモデルは、コンピュータ1(
図1に示す)に記憶される。
【0055】
[ベルトコードモデルを定義]
次に、本実施形態のモデル設定ステップS1では、ベルトコード(図示省略)を、有限個の要素(図示省略)で離散化したベルトコードモデル(図示省略)が定義される(ステップS17)。本実施形態では、コンピュータ1(
図1に示す)によって、
図6に示した内側ベルトプライの輪郭データ30C及び外側ベルトプライの輪郭データ30Dに含まれるベルトコードの配列体の輪郭データ(図示省略)が、有限個の要素を用いて離散化される。これにより、ベルトコードモデルが設定される。
【0056】
上記の要素(図示省略)は、要素H(i)と同様に、上述の数値解析法により取り扱い可能なものとして定義される。本実施形態の要素には、要素H(i)と同様に、膜要素が採用されている。このような膜要素により、ベルトコード(図示省略)の長手方向に沿った強度異方性を定義することが可能となる。要素H(i)には、上述の第1要素F(i)や第2要素G(i)と同様に、複数個の節点26が設けられている。また、要素H(i)の強度異方性は、ベルトコードの角度(図示省略)に基づいて設定される。
【0057】
上記の要素(図示省略)には、上述の要素H(i)と同様に、複数個の節点(図示省略)が設けられている。また、要素の強度異方性は、ベルトコードの角度等に基づいて設定される。
【0058】
図10に示したカーカスプライモデル43と同様に、ベルトコードモデル(図示省略)の両側には、内側トッピングゴムモデル(図示省略)と、外側トッピングゴムモデル(図示省略)とがそれぞれ配されている。そして、ベルトコードモデルと内側トッピングゴムモデルとの間、及び、ベルトコードモデルと外側トッピングゴムモデルとの間には、実際のベルトコードとトッピングゴムとの間の接着力に基づく固定条件が設定される。これにより、
図8に示したベルトプライモデル46が定義される。本実施形態のベルトプライモデル46には、
図2に示した内側ベルトプライ16A及び外側ベルトプライ16Bについて、それぞれ離散化した内側ベルトプライモデル47及び外側ベルトプライモデル48が含まれる。ベルトコードモデル及びベルトプライモデル46は、コンピュータ1(
図1に示す)に記憶される。
【0059】
[ゴム部材モデルを定義]
次に、本実施形態のモデル設定ステップS1では、
図8に示されるように、ゴム部材3(
図2に示す)を、有限個の要素L(i)(i=1、2、…)で離散化したゴム部材モデル49が定義される(ステップS18)。本実施形態では、
図6に示したゴム部材(
図2に示したトレッドゴム5、サイドウォールゴム6、クリンチゴム7、ビードエーペックスゴム8、及び、インナーライナーゴム9を含む)の輪郭データ29が、有限個の要素L(i)でそれぞれ離散化される。これにより、
図8に示したトレッドゴムモデル50、サイドウォールゴムモデル51、クリンチゴムモデル52、ビードエーペックスゴムモデル53及びインナーライナーゴムモデル54を含むゴム部材モデル49が定義される。
【0060】
要素L(i)は、第1要素F(i)等と同様に、上述の数値解析法により取り扱い可能なものとして定義される。また、タイヤモデル34が三次元モデルとして作成される場合、要素L(i)には、上述のような三次元のソリッド要素が採用されうる。一方、タイヤモデル34が二次元モデルとして作成される場合、要素L(i)には、二次元のシェル要素が採用されうる。
【0061】
要素L(i)には、上述の第1要素F(i)等と同様に、複数個の節点26が設けられており、ゴム部材3ぞれぞれの材料特性が定義される。本実施形態では、
図9に示されるように、ゴム部材モデル49を構成する要素L(i)の節点26のうち、カーカスプライモデル43のトッピングゴムモデル42や、ベルトプライモデル46(
図8に示す)のトッピングゴムモデル(図示省略)と隣接する節点26は、これらのトッピングゴムモデルの各要素F(i)、G(i)等の節点26と共有するように定義される。これにより、ゴム部材モデル49(
図8に示す)は、カーカスプライモデル43と、ベルトプライモデル46と一体に定義される。ゴム部材モデル49は、コンピュータ1(
図1に示す)に記憶される。
【0062】
本実施形態のモデル設定ステップS1では、
図5に示した一連のステップが実施されることで、
図2に示したタイヤ2を離散化したタイヤモデル34(
図8及び
図9に示す)が定義される。タイヤモデル34は、コンピュータ1(
図1に示す)に入力される。
【0063】
[路面モデルを入力]
次に、
図4に示されるように、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1(
図1に示す)に、路面モデルが入力される(ステップS2)。
図11は、本実施形態で用いたタイヤモデル34及び路面モデル56の斜視図である。
【0064】
図11に示されるように、路面モデル56は、路面(例えば、台上試験装置の路面(ドラム)等)をモデリングしたものである。本実施形態の路面モデル56は、タイヤモデル34が接触しうる幅及び長さを有している。また、路面モデル56は、外力が作用しても変形しない剛要素で定義されている。本実施形態の路面モデル56は、実際のドラム耐久試験で使用されるドラムに近似させている。このため、路面モデル56は、曲率半径Rで湾曲する円筒状の外表面で定義されている。ただし、路面モデル56は、平面で定義されても良い。
【0065】
[境界条件を入力]
次に、
図4に示されるように、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1(
図1に示す)に、境界条件を含む各種の条件が設定される(ステップS3)。境界条件は、タイヤモデル34を路面モデル56に接触させて変形計算を行うのに必要な各種の条件が含まれる。例えば、静的な変形計算(接地シミュレーション)が行われる場合には、例えば、タイヤモデル34の内圧条件、リム条件、負荷荷重条件、キャンバー角、及び、静摩擦係数等の少なくとも一つが含まれる。
【0066】
他方、転動シミュレーション等の動的な変形計算が行われる場合、上記条件に加えて、例えば、タイヤモデル34のスリップ角、走行速度、タイヤモデル34と路面モデル56との間の動摩擦係数等の少なくとも一つが含まれる。これらの条件は、
図2に示したタイヤ2の仕様等に応じて適宜設定される。
【0067】
本実施形態では、後述のステップS4において、接地シミュレーションが実施される。したがって、接地シミュレーションに必要な上記の境界条件が、コンピュータ1(
図1に示す)に入力される。
【0068】
[タイヤモデルを変形計算]
次に、
図4に示されるように、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1(
図1に示す)が、上記の境界条件に基づいて、タイヤモデルの変形計算を行う(ステップS4)。本実施形態のステップS4では、変形計算として、
図10に示されるように、タイヤモデル34を転動させることなく、静的に路面モデル56に接地させる接地シミュレーションが行われる。
【0069】
本実施形態のステップS4では、先ず、
図8に示されるように、タイヤ2のリム61(
図2に示す)をモデリングしたリムモデル58によって、タイヤモデル34のビード部55c、55cが拘束される。次に、内圧条件に相当する等分布荷重wに基づいて、タイヤモデル34の変形計算が行われる。これにより、内圧充填後のタイヤモデル34が計算される。
【0070】
次に、本実施形態のステップS4では、
図11に示されるように、内圧充填後のタイヤモデル34と、路面モデル56との接触が計算される。次に、負荷荷重条件LCに基づいて、タイヤモデル34の変形が計算される。これにより、路面モデル56に接地したタイヤモデル34が計算される。
【0071】
本実施形態において、タイヤモデル34の変形計算は、各要素の形状及び材料特性(例えば密度、弾性率、減衰係数)などをもとに、各要素の質量マトリックス、剛性マトリックス及び減衰マトリックスがそれぞれ作成される。さらに、これらのマトリックスが組み合わされて、全体の系のマトリックスが作成される。そして、コンピュータ1(
図1に示す)が、前記各種の条件を当てはめて運動方程式を作成し、これらが微小な時間Δt刻みごと(例えば、1μ秒毎)に逐次計算されることによって、タイヤモデル34の変形計算が行われる。このような変形計算には、例えば、LSTC社製のLS-DYNAなどの市販の有限要素解析アプリケーションソフトが用いられる。
【0072】
本実施形態のステップS4では、微小な時間Δt毎に、タイヤモデル34を構成する全ての要素について、その位置、応力、歪などの物理量が逐次計算されかつ数値データとして出力される。これの数値データは、コンピュータ1(
図1に示す)に記憶される。
【0073】
[耐久性に関する物理量を計算]
次に、
図4に示されるように、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1(
図1に示す)が、タイヤモデル34を用いて、タイヤの耐久性に関する物理量を計算する(ステップS5)。本実施形態の物理量は、タイヤモデル34を用いて計算された上述の数値データが使用されうる。物理量は、耐久性に関するものであれば、特に限定されない。本実施形態では、耐久性に関する物理量として、複合加速係数が計算される。なお、物理量は、複合加速係数に限定されるわけではなく、例えば、タイヤの耐久性に関連する歪エネルギーや温度等であってもよい。
【0074】
複合加速係数は、構造体の破壊の進度を表すパラメータであり、機械ストレス(歪エネルギー)の項と、熱疲労(温度)の項とを掛け合わせて得られる。このような複合加速係数は、機械ストレス(歪エネルギー)の項と、熱疲労(温度)の項とが掛け合わされることで取得されうる。
【0075】
複合加速係数は、適宜計算されうる。複合加速係数は、例えば、上記特許文献1に記載の手順に従い、タイヤモデル34を用いて計算された全成分の歪エネルギー総和と、温度に関する情報とを用いて、タイヤモデル34の全ての要素毎に計算される。複合加速係数は、例えば、上記特許文献1に記載の式(1)又は(2)を用いて計算される。
【0076】
複合加速係数と耐久性とは相関がある。このため、複合加速係数の値が大きい要素ほど、耐久性が低いと判断できる。タイヤの耐久性に関する物理量は、コンピュータ1(
図1に示す)に記憶される。
【0077】
[物理量を出力]
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、タイヤ2の耐久性に関する物理量が出力される(ステップS6)。物理量は、適宜出力されうる。本実施形態では、
図1に示したディスプレイ装置1dに、物理量(複合加速係数)が出力されるが、図示しないプリンターで印刷されてもよい。これにより、オペレータに、物理量を知らせることが可能となる。
【0078】
物理量は、タイヤモデル34を構成する要素ごとに出力されてもよいし、全ての要素の物理量の平均値が出力されてもよい。
【0079】
本実施形態のタイヤモデル34では、
図9に示したカーカスプライモデル43に含まれるトッピングゴムモデル42、42のうち、第1領域20に比べて計算精度が要求されている第2領域21において、第1領域20を離散化した第1要素F(i)よりも小さな第2要素G(i)で離散化された第2トッピングゴムモデル25が定義されている。これにより、第2領域21の物理量が精度良く計算されうる。一方、第2領域21に比べて計算精度が要求されていない第1領域20では、第2要素G(i)よりも大きな第1要素F(i)で離散化された第1トッピングゴムモデル23が定義されているため、計算時間の増大が抑制される。したがって、本実施形態のタイヤのシミュレーション方法では、計算精度の向上と、計算時間の短縮とを両立させることが可能となる。
【0080】
図6に示した第1領域20及び第2領域21を区分する基準位置27は、
図2に示したタイヤ最大幅位置18を中心としたタイヤ断面高さh1の20%以下の範囲RA内に設定されるのが好ましい。ここで、タイヤ断面高さh1とは、ビードベースラインBLからタイヤ最大径の位置Hmaxまでのタイヤ半径方向の距離である。なお、ビードベースラインBLとは、タイヤ2が基づく規格で定まるリム径の位置を通るタイヤ軸方向線を意味する。また、タイヤ最大径の位置Hmaxとは、トレッド部2aの接地面のプロファイルに基づいて決定される。このプロファイルは、トレッド部2aに溝等の凹みが設けられる場合、この凹みを埋めた仮想のプロファイルとして特定される。
【0081】
本実施形態のように、基準位置27が上記の範囲RA内に設定されることで、タイヤ2の離散化が容易となる。これは、上記の範囲RA内において、サイドウォールゴム6の厚さが相対的小さくなるため、このような範囲RAに基準位置27が設けられると、その基準位置27で共有させる第1要素F(i)及び第2要素G(i)の節点26の数が少なくなるためである。このような観点より、基準位置27は、好ましくは、タイヤ最大幅位置18を中心としたタイヤ断面高さh1の10%以下の範囲RA内にあるのが好ましい。
【0082】
基準位置27は、タイヤ最大幅位置18であるのがさらに好ましい。基準位置27は、タイヤ最大幅位置18に設定されることで、タイヤ2の離散化がさらに容易になる。これは、サイドウォールゴム6の厚さが、タイヤ最大幅位置18で最も小さくなる傾向にあるため、このようなタイヤ最大幅位置18に基準位置27が設けられることで、基準位置27で共有させる第1要素F(i)及び第2要素G(i)の節点26の数が最も少なくなるためである。
【0083】
図9に示されるように、本実施形態では、タイヤモデル34のタイヤ回転軸55s(
図11に示す)を含む断面において、第1要素F(i)及び第2要素G(i)は、それぞれ、カーカスコードモデル41に面した辺62を備えている。そして、第2要素G(i)のカーカスコードモデル41(
図3に示したカーカスコード13)に面した辺62の長さである第2長さL2は、第1要素F(i)のカーカスコードモデル41(
図3に示したカーカスコード13)に面した辺62の長さである第1長さL1の85%以下であるのが好ましい。
【0084】
第2長さL2が、第1長さL1の85%以下であることで、第2要素G(i)が相対的に小さく設定されるため、第2領域21(
図9に示す)の物理量が精度良く計算されうる。このような観点より、第2長さL2は、好ましくは、第1長さL1の75%以下である。一方、第2長さL2が、第1長さL1に対して必要以上に小さくなると、第2領域21の物理量の計算に多くの時間を要するおそれがある。このような観点より、第2長さL2は、第1長さL1の30%以上に設定されるのが好ましい。
【0085】
上述した第2長さL2と第1長さL1との比と同様の観点より、第2長さL2は、好ましくは1.5mm以下であり、また、好ましくは、0.5mm以上である。
【0086】
第1長さL1は、1.6~2.4mmに設定されるのが好ましい。第1長さL1が1.6mm以上に設定されることで、相対的に大きく設定された第1要素F(i)によって第1領域20(
図9に示す)が離散化されるため、計算時間の増大が抑制される。一方、第1長さL1が2.4mm以下に設定されることで、第1要素F(i)を用いて、第1領域20の離散化に用いられる第1要素F(i)が、必要以上に大きく設定されることを防ぐことができ、第1領域20の物理量の計算精度の低下が抑制される。このような観点より、第1長さL1は、好ましくは2.0mm以上であり、また、好ましくは2.2mm以下である。
【0087】
本実施形態のように、タイヤモデル34が三次元モデルである場合には、少なくとも一部の第2要素G(i)は、六面体要素であるのが好ましい。このような六面体要素は、例えば、四面体要素、五面体要素に比べて、節点26の数が多いため、物理量の計算精度が向上する。とりわけ、上述の領域(
図2に示したビード部2c付近や領域ARなどを含む領域)では、高い計算精度が要求されることから、少なくともその領域において、第2要素G(i)が六面体要素であるのが好ましい。なお、全ての第2要素G(i)が、六面体要素であるのがより好ましい。また、三次元モデルである場合と同様の観点から、タイヤモデル34が二次元モデルである場合には、少なくとも一部の第2要素G(i)が、四角形要素であるのが好ましく、全ての第2要素G(i)が四角形要素であるのがより好ましい。
【0088】
[タイヤの設計方法]
次に、本実施形態のタイヤの設計方法(以下、単に「設計方法」ということがある。)が説明される。本実施形態の設計方法では、上述のシミュレーション方法が用いられる。また、本実施形態の設計方法では、
図1に示したコンピュータ1が用いられる。
図12は、本実施形態のタイヤの設計方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0089】
[モデル設定ステップ]
本実施形態のタイヤの設計方法は、上述のタイヤのシミュレーション方法に基づいて、コンピュータ1(
図1に示す)に、タイヤモデル34(
図8及び
図9に示す)を入力するモデル設定ステップS1が実施される。本実施形態では、
図5に示した手順に基づいて、タイヤモデル34が設定され、そのタイヤモデル34がコンピュータ1に入力される。
【0090】
[路面モデル、境界条件を入力]
次に、本実施形態の設計方法では、コンピュータ1(
図1に示す)に、路面モデル56(
図11に示す)及び境界条件が入力される(ステップS2及びステップS3)。これらのステップS2、S3では、例えば、
図4に示したシミュレーション方法のステップS2、S3の手順にしたがって、コンピュータ1に、路面モデル56及び境界条件がそれぞれ入力される。
【0091】
[タイヤモデルの変形計算、タイヤの耐久性に関する物理量を計算]
次に、本実施形態の設計方法では、コンピュータ1(
図1に示す)が、上記の境界条件に基づいて、タイヤモデルの変形計算を行い(ステップS4)、タイヤの耐久性に関する物理量を計算する(ステップS5)。これらのステップS4、S5では、例えば、
図4に示したシミュレーション方法のステップS4、S5の手順にしたがって、タイヤモデルの変形計算、及び、物理量が計算される。変形計算による数値データ、及び、物理量は、コンピュータ1に記憶される。
【0092】
[物理量を出力]
次に、本実施形態の設計方法では、タイヤ2の耐久性に関する物理量が出力される(ステップS6)。物理量の出力は、
図4に示したシミュレーション方法のステップS6の手順にしたがって実施される。
【0093】
[物理量が基準を満足するかを判断]
次に、本実施形態の設計方法では、タイヤ2の耐久性に関する物理量が、予め定められた基準を満足するか否かが判断される(ステップS7)。このような判断は、コンピュータが行ってもよいし、出力された物理量に基づいて、オペレータが行ってもよい。また、基準は、タイヤ2に要求される耐久性に応じて、適宜設定される。
【0094】
ステップS7において、タイヤ2の耐久性に関する物理量が、予め定められた基準を満足すると判断された場合(ステップS7で「Y」)、タイヤモデル34の設計因子に基づいて、タイヤ2が設計及び製造される(ステップS8)。
【0095】
一方、物理量が基準を満足しないと判断された場合(ステップS7で「N」)、タイヤモデル34が変更される(ステップS9)。本実施形態のステップS9では、先ず、タイヤ2の設計因子の変更が行われる。そして、変更された設計因子に基づき、
図4に示した上述のモデル設定ステップS1と同様の手順にしたがって、タイヤモデル34が変更される。
【0096】
このように、本実施形態の設計方法では、タイヤの耐久性に関する物理量が基準を満足するまで、タイヤモデル34が変更されるため、所望の耐久性を有するタイヤ2を、確実に設計及び製造することが可能となる。
【0097】
本実施形態の設計方法では、これまでの実施形態のシミュレーション方法と同様に、
図8及び
図9に示されるように、第1トッピングゴムモデル23及び第2トッピングゴムモデル25が定義されたタイヤモデル34が用いられるため、物理量の計算精度が要求される第2領域21(
図9に示す)において、物理量を精度良く計算することができる。これにより、タイヤ2の耐久性を高い精度で評価できるため、所望の耐久性を有するタイヤ2を確実に設計及び製造することが可能となる。
【0098】
一方、計算精度が要求されていない第1領域20(
図9に示す)において、第2要素G(i)よりも大きな第1要素F(i)で離散化されたタイヤモデル34が用いられているため、物理量の計算時間及び設計時間の増大が抑制されうる。
【0099】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例0100】
図4に示した処理手順に基づいて、タイヤの耐久性に関する物理量が計算された(実施例1~3)。実施例1~3では、
図4に示したモデル設定ステップS1において、トッピングゴムが第1領域と第2領域とに区分された。次に、第1領域を有限個の第1要素で離散化した第1トッピングゴムモデルと、第2領域を有限個の第2要素で離散化した第2トッピングゴムモデルとが定義され、
図8及び
図9に示したタイヤモデルが作成された。第2要素は、第1要素よりも小さく設定された。
【0101】
比較のために、実施例1~3のような大小関係が設定されていない第1要素及び第2要素を用いて、第1領域及び第2領域がそれぞれ離散化されたタイヤモデルが作成された(比較例1~3)。そして、実施例1~3及び比較例1~3のタイヤモデルを用いて、耐久性に関する物理量が計算され、計算精度、及び、計算時間が評価された。計算条件を含む共通仕様は、次のとおりである。テストの結果が、表1に示される。
タイヤサイズ:225/50R17
リムサイズ:17×7J
内圧:290kPa
荷重:8.94kN
速度:100km
路面:1.7mドラム
耐久性に関する物理量:複合加速係数
【0102】
【0103】
表1に示されるように、第1要素の大きさ及び第2要素の大きさは、それぞれ、カーカスコードモデル(カーカスコード)に面した辺の長さである第1長さL1及び第2長さL2で定義される。表1では、全ての第1要素の第1長さL1の平均値、及び、全ての第2要素の第2長さL2の平均値が示されている。比較例1~3では、第1要素の第1長さL1の平均値及び第2要素の第2長さL2の平均値がそれぞれ同一に設定されており、比較例1~3の間で異なる大きさに設定されている。実施例1~3では、第1要素の第1長さの平均値が2.1mmにそれぞれ設定されており、第2要素の第2長さL2の平均値が互いに異なっている。
【0104】
表1の「計算時間」の数値は、比較例1の計算時間を1.00とする指数が表示されている。数値が小さいほど、計算時間が短いことを示しており、1.70以下であれば、良好である。
【0105】
表1の「複合加速係数」の数値は、比較例1の複合加速係数を1.00とする指数で表示されている。また、複合加速係数の計算精度を検証するために、実施例1~3及び比較例1~3に比べて第1要素の第1長さL1の平均値及び第2要素の第2長さL2の平均値を十分に小さく(0.7mm)したタイヤモデルが設定され、多くの時間をかけて複合加速係数を計算した結果、比較例1の複合加速係数を1.00とする指数が1.13であった(実験例)。実験例の指数1.13を基準値として、実施例1~3及び比較例1~3の複合加速係数の相対誤差(%)が表1に示されている。相対誤差は、実施例1~3及び比較例1~3の複合加速係数と、基準値(1.13)との差の絶対値を、基準値で除することで求められる。この相対誤差の値が小さいほど、計算精度が高いことを示しており、10%以下であれば、計算精度が高いことを示している。
【0106】
テストの結果、実施例1~3は、比較例1~3に比べて、計算時間及び計算精度を良好な範囲内にすることができた。したがって、実施例1~3は、タイヤの耐久性の計算精度の向上と計算時間の短縮とを両立させることができた。
【0107】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0108】
[本発明1]
トレッド部からサイドウォール部を経てビード部に至る複数本のカーカスコードをトッピングゴムで被覆したカーカスプライを具えたタイヤの耐久性を、コンピュータを用いて計算するためのシミュレーション方法であって、
前記コンピュータに、前記タイヤを離散化して、カーカスコードモデルとトッピングゴムモデルとを含むカーカスプライモデルを具えたタイヤモデルを入力するモデル設定ステップを含み、
前記モデル設定ステップは、
前記トッピングゴムを、第1領域と、前記第1領域よりもタイヤ半径方向内側に位置する第2領域とに区分するステップと、
前記第1領域を、有限個の第1要素で離散化した第1トッピングゴムモデルを定義するステップと、
前記第2領域を、有限個かつ前記第1要素よりも小さい第2要素で離散化した第2トッピングゴムモデルを定義するステップとを含む、
タイヤのシミュレーション方法。
[本発明2]
前記第1領域及び前記第2領域は、予め定められた基準位置で区分され、
前記基準位置は、タイヤ最大幅位置を中心としたタイヤ断面高さの20%以下の範囲内にある、本発明1に記載のタイヤのシミュレーション方法。
[本発明3]
前記基準位置は、前記タイヤ最大幅位置である、本発明1又は2に記載のタイヤのシミュレーション方法。
[本発明4]
前記タイヤモデルのタイヤ回転軸を含む断面において、前記第1要素及び前記第2要素は、それぞれ、前記カーカスコードモデルに面した辺を備え、
前記第2要素の前記カーカスコードに面した前記辺の長さである第2長さは、前記第1要素の前記カーカスコードに面した前記辺の長さである第1長さの85%以下である、本発明1ないし3のいずれかに記載のタイヤのシミュレーション方法。
[本発明5]
前記第1長さは、1.6~2.4mmであり、
前記第2長さは、1.5mm以下である、本発明1ないし4のいずれかに記載のタイヤのシミュレーション方法。
[本発明6]
前記タイヤモデルは、二次元モデルであり、
少なくとも一部の前記第2要素は、四角形要素である、本発明1ないし5のいずれかに記載のタイヤのシミュレーション方法。
[本発明7]
前記タイヤモデルは、三次元モデルであり、
少なくとも一部の前記第2要素は、六面体要素である、本発明1ないし5のいずれかに記載のタイヤのシミュレーション方法。
[本発明8]
前記コンピュータが、前記タイヤモデルを用いて、前記耐久性に関する物理量を計算するステップを含む、本発明1ないし7のいずれかに記載のタイヤのシミュレーション方法。
[本発明9]
計算された前記物理量を予め定められた基準と比較して、前記耐久性を評価するステップをさらに含む、本発明1ないし8のいずれかに記載のタイヤのシミュレーション方法。
[本発明10]
トレッド部からサイドウォール部を経てビード部に至る複数本のカーカスコードをトッピングゴムで被覆したカーカスプライを具えたタイヤの設計方法であって、
本発明1ないし9のいずれかに記載のタイヤのシミュレーション方法に基づいて、前記タイヤモデルを入力するモデル設定ステップと、
前記コンピュータが、前記タイヤモデルを用いて、前記タイヤの耐久性に関する物理量を計算するステップと、
前記物理量が予め定められた基準を満足するまで、前記タイヤモデルを変更するステップとを含む、
タイヤの設計方法。