(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058354
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】ろ過装置
(51)【国際特許分類】
B01D 35/30 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
B01D35/30
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165655
(22)【出願日】2022-10-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】514084060
【氏名又は名称】日益電機股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZI YI ELECTRICAL ENGINEERING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.20, Jingke S. Rd., Nantun Dist., Taichung City, TAIWAN,
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 丁財
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116BB01
4D116BC27
4D116BC44
4D116BC47
4D116DD05
4D116EE01
4D116EE02
4D116EE11
4D116QB03
4D116QB13
4D116QB22
4D116QB44
4D116VV07
4D116VV30
(57)【要約】
【課題】化学薬液をろ過するためのろ過装置を提供する。
【解決手段】ハウジングユニット10と、蓋部材20と、複数のロックユニット30と、を備えているろ過装置100であって、ハウジングユニット10は、ハウジング壁11と、ハウジング壁11の外周と一体的に連接する環状部12と、を備えており、環状部12は、複数の係合溝と、複数の係合スロットと、複数の凹陥溝と、複数の幅広部と、を有しており、蓋部材20は、複数の係合スロットと、複数の係合貫通溝24と、を備えており、各ロックユニット30は、蓋部材20をハウジングユニット10に押圧固定させるためのものであり、かつ環状部12における対応する係合溝内に嵌入かつ固定されると共に、枢接ブロックと、ロック部33と、を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングユニットと、蓋部材と、複数のロックユニットと、を備えているろ過装置であって、
前記ハウジングユニットは、両端部のある筒状に形成されていると共に、該筒状の一端部に開口があるように構成されているハウジング壁と、前記ハウジング壁の前記開口の近くにあって前記ハウジング壁の外周と一体的に連接している環状部と、を備えており、
前記環状部は、前記ハウジング壁の前記一端部の方に向かっている頂面と、前記頂面の反対側にある底面と、前記頂面及び前記底面に接続している外側周面と、前記ハウジング壁周りの周方向に沿って間が隔たるように前記底面にそれぞれ凹設されている複数の係合溝と、複数の前記係合溝に対応して前記頂面から前記底面の方に向かって前記外側周面及び対応する前記係合溝と連通するようにそれぞれ凹設されている複数の係合スロットと、隣り合ういずれか2つの前記係合スロットの間にあって前記頂面から前記底面の方に向かって前記外側周面と連通するようにそれぞれ凹設されている複数の凹陥溝と、隣り合ういずれか2つの前記凹陥溝の間にそれぞれ位置されており、かついずれも、対応する前記係合溝及び対応する前記係合スロットが凹設する箇所となっている複数の幅広部と、を有しており、
各前記凹陥溝は、前記頂面及び前記外側周面にそれぞれ接続している一対の溝側面と、前記一対の溝側面、前記頂面及び前記外側周面に接続していると共に、前記頂面から前記外側周面へ傾斜している溝底面と、を有しており、
前記蓋部材は、前記ハウジング壁の前記開口に対して開閉することができるように設けられており、かつ前記環状部の前記頂面に対向している蓋底面と、前記蓋底面の反対側にある蓋頂面と、前記蓋底面及び前記蓋頂面に接続している蓋外周面と、それぞれ前記環状部における複数の前記係合スロットに対応するように配置されていると共に、前記蓋頂面から前記蓋底面まで貫通していて前記蓋外周面と連通している複数の係合貫通溝と、を備えており、
各前記ロックユニットは、前記蓋部材が前記ハウジング壁の前記開口を封止しているときに、前記蓋部材を前記ハウジングユニットに押圧固定させるためのものであり、かつ前記環状部における対応する前記係合溝内に嵌入かつ固定されていると共に、金属材料で構成されている枢接ブロックと、両端があって一端が前記枢接ブロックと枢接されて他端が対応する前記係合スロットから延び出している上に前記係合貫通溝内に嵌め込まれることができるロック部と、を有している、
ことを特徴とするろ過装置。
【請求項2】
各前記ロックユニットは、前記枢接ブロック内に設けられている枢軸部を更に有しており、
各前記ロックユニットの前記ロック部は、両端のあるロッドと、前記ロッドの一端にあって前記枢軸部が挿通するように形成されている貫通穴と、前記ロッドの他端に配置されていて前記ロッドに対して回転することができる回転ノブと、を有するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。
【請求項3】
各前記ロックユニットの前記枢接ブロックは、互いに所定の間隔をあけていて向かい合うと共にピン穴がそれぞれ開口されている一対の第1の側壁と、前記一対の第1の側壁と共に包囲壁になるように前記一対の第1の側壁に隣接している一対の第2の側壁と、前記一対の第1の側壁と前記一対の第2の側壁とのそれぞれの一側に隣接していると共に、前記一対の第1の側壁及び前記一対の第2の側壁と共に前記ハウジング壁の他端部の方に向かって開口している収容空間を画成している上に、挿通孔が開口されている頂壁と、を有しており、
各前記ロックユニットにおいて、前記ロック部における前記ロッドの前記貫通穴が、前記収容空間内に位置されており、前記枢軸部が、前記枢接ブロックにおける前記一対の第1の側壁の前記一対のピン穴を通って前記貫通穴を挿通するように設けられており、かつ前記ロッドが、前記枢接ブロックにおける前記頂壁の前記挿通孔から延び出すように構成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のろ過装置。
【請求項4】
前記ハウジングユニットの前記ハウジング壁は、上下方向となる所定の軸線に沿って延伸しており、かつ前記筒状の前記両端部が、上下両端部となっており、前記開口が前記筒状の前記上端部にあるように構成されており、
前記ハウジングユニットの前記環状部は、前記軸線の径方向外向きに延伸しており、かつ前記頂面のある上部と、前記上部と一体的に連接している前記底面のある下部と、に区分しており、
複数の前記係合溝は、前記環状部の前記下部にそれぞれ位置しており、かつ複数の前記凹陥溝及び複数の前記幅広部は、前記環状部の前記上部にそれぞれ位置している、
ことを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。
【請求項5】
各前記凹陥溝の前記溝底面は、前記外側周面に接続している端部が幅広端部となり、前記頂面に接続している端部が幅狭端部となり、
各前記凹陥溝の前記一対の溝側面は、溝内側へ円弧状に隆起するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のろ過装置。
【請求項6】
前記環状部は、前記下部における前記軸線の延伸方向に沿う厚さが第1の厚さとなっている一方、前記上部における前記軸線の延伸方向に沿う厚さが第2の厚さとなっており、前記第1の厚さが、前記第2の厚さよりも大きくなっている、
ことを特徴とする請求項4に記載のろ過装置。
【請求項7】
前記環状部の前記下部における前記軸線の延伸方向に沿う厚さは、第1の厚さとなっており、前記第1の厚さが、前記枢接ブロックにおける前記軸線の延伸方向に沿う高さよりも大きくなっている、
ことを特徴とする請求項4に記載のろ過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ろ過装置に関し、具体的には、例えば化学薬液をろ過するためのろ過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、化学薬液をろ過するための従来のろ過器が記載されている。
【0003】
従来のろ過器は、ハウジングと、ハウジングを開閉するためのカバーと、カバーを施錠してハウジングを封止するためのロック手段と、を備えている。ロック手段は、ハウジングの上側を外嵌するように配置されている金属製の外嵌部と、複数のボルトと、複数の螺着部と、を備えている。外嵌部には、複数の枢接部材が配置構成されている一方、カバーには、複数の枢接部材にそれぞれ対応している複数の係合溝が配置構成されている。各ボルトは、対応する枢接部材と枢設されている一端部と、対応する係合溝内に嵌入されることができる他端部と、を有している。また、各螺着部は、対応するボルトの他端部に設置されて回転することによりカバーをハウジングに押圧固定させることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】台湾実用新案第M598725号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている従来のろ過器においては、外嵌部を作成するために、ステンレス鋼板に対して圧延工程を行なって環状となるようにしてから、溶接工程により枢接部材をその環状となったものに連接する。このため、製造プロセスの複雑さや製造コストの増加を招いてしまう。
【0006】
この欠点を解決するために、現在、数多くのろ過器には、上記のような外嵌部が設置されず、複数の枢接部材がプラスチック製のハウジングの外周に直接に設置され、複数の金属製のピンが当該複数の枢接部材にそれぞれ対応するように設置され、そして複数のボルトが複数のピンとそれぞれ枢設されている。このような従来のろ過器は、外嵌部を有しないが、カバーがハウジングに押圧固定されている場合、各ピンとハウジングとの間が点接触となっているので、各ピンに引き上げ力を与え続けると、ハウジングが凹陥変形するおそれがある。このため、従来のろ過器の構造強度に関する設計は依然として改善する余地がある。
【0007】
よって、本発明は上記問題点に鑑みて、従来技術の少なくとも1つの欠点を解決できるろ過装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、本発明は以下のろ過装置を提供する。
【0009】
即ち、ハウジングユニットと、蓋部材と、複数のロックユニットと、を備えているろ過装置であって、
前記ハウジングユニットは、両端部のある筒状に形成されていると共に、該筒状の一端部に開口があるように構成されているハウジング壁と、前記ハウジング壁の前記開口の近くにあって前記ハウジング壁の外周と一体的に連接している環状部と、を備えており、
前記環状部は、前記ハウジング壁の前記一端部の方に向かっている頂面と、前記頂面の反対側にある底面と、前記頂面及び前記底面に接続している外側周面と、前記ハウジング壁周りの周方向に沿って間が隔たるように前記底面にそれぞれ凹設されている複数の係合溝と、複数の前記係合溝に対応して前記頂面から前記底面の方に向かって前記外側周面及び対応する前記係合溝と連通するようにそれぞれ凹設されている複数の係合スロットと、隣り合ういずれか2つの前記係合スロットの間にあって前記頂面から前記底面の方に向かって前記外側周面と連通するようにそれぞれ凹設されている複数の凹陥溝と、隣り合ういずれか2つの前記凹陥溝の間にそれぞれ位置されており、かついずれも、対応する前記係合溝及び対応する前記係合スロットが凹設する箇所となっている複数の幅広部と、を有しており、
各前記凹陥溝は、前記頂面及び前記外側周面にそれぞれ接続している一対の溝側面と、前記一対の溝側面、前記頂面及び前記外側周面に接続していると共に、前記頂面から前記外側周面へ傾斜している溝底面と、を有しており、
前記蓋部材は、前記ハウジング壁の前記開口に対して開閉することができるように設けられており、かつ前記環状部の前記頂面に対向している蓋底面と、前記蓋底面の反対側にある蓋頂面と、前記蓋底面及び前記蓋頂面に接続している蓋外周面と、それぞれ前記環状部における複数の前記係合スロットに対応するように配置されていると共に、前記蓋頂面から前記蓋底面まで貫通していて前記蓋外周面と連通している複数の係合貫通溝と、を備えており、
各前記ロックユニットは、前記蓋部材が前記ハウジング壁の前記開口を封止しているときに、前記蓋部材を前記ハウジングユニットに押圧固定させるためのものであり、かつ前記環状部における対応する前記係合溝内に嵌入かつ固定されていると共に、金属材料で構成されている枢接ブロックと、両端があって一端が前記枢接ブロックと枢接されて他端が対応する前記係合スロットから延び出している上に前記係合貫通溝内に嵌め込まれることができるロック部と、を有しているろ過装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るろ過装置によれば、ハウジング壁の外周と一体的に連接している環状部、及びそれぞれ環状部における対応する係合溝内に嵌入かつ固定されている複数の金属製の枢接ブロックによって、環状部の構造強度が従来よりも強いだけではなく、各枢接ブロックと環状部とが互いに大きな面積で当接して面接触となっているので、複数のロックユニットが蓋部材をハウジングユニットにロックしている際に、複数のロック部による引き上げ力を分散させて、環状部において凹陥変形が発生することを大いに低減させることができる。したがって、蓋部材のハウジング壁の開口に対する密封性を確保することができる。
【0011】
このため、本発明に係るろ過装置の構造強度や信頼性を高めることができ、かつその製造プロセスの簡単化や製造コストの低減も実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るろ過装置の構成が示される斜視図である。
【
図2】該実施形態に係るろ過装置の構成が示される分解斜視図である。
【
図4】該実施形態に係るろ過装置のハウジングユニットの構成が示される一部拡大斜視図である。
【
図5】該実施形態に係るろ過装置のハウジングユニットの構成が示される上面図である。
【
図6】
図5におけるVI-VI線に沿った断面が示される断面図である。
【
図7】
図5におけるVII-VII線に沿った断面が示される断面図である。
【
図8】
図1におけるVIII-VIII線に沿った断面が示される断面図である。
【
図10】
図9におけるX-X線に沿った断面が示される断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るろ過装置100は、例えばめっき液、洗浄液、化学薬液、工業用水などのろ過対象物をろ過することができる装置である。
【0014】
以下、本発明に係るろ過装置100について図面を参照して説明する。
【0015】
図1~
図3を参照して本発明に係るろ過装置100の実施形態の構成を説明する。ここで、
図1は本発明の一実施形態に係るろ過装置100の構成が示される斜視図であり、
図2は該実施形態に係るろ過装置100の構成が示される分解斜視図であり、また、
図3は
図2の部分拡大斜視図である。
【0016】
本発明に係る実施形態のろ過装置100は、
図1~
図3に示されるように、ハウジングユニット10と、蓋部材20と、複数のロックユニット30と、ろ材ユニット40と、ベース50と、を備えている。
【0017】
ハウジングユニット10は、
図1~
図3に示されるように、両端部のある筒状に形成されていると共に、該筒状の一端部に開口があるように構成されており、かつ内側に内空間13が画成されているハウジング壁11と、ハウジング壁11の開口の近くにあって該ハウジング壁11の外周と一体的に連接している環状部12と、を備えている。
【0018】
ハウジング壁11は、
図2に示されるように、上下方向となる所定の軸線Lに沿って延伸しており、かつ筒状の両端部がそれぞれ上端部112及び下端部111となっており、該開口が筒状の上端部112にあるように構成されている。また、該ハウジング壁11は、
図2に示されるように、上端部112と下端部111との間に配置されているフランジ状の注入口113と、下端部111の底部に開口している排出口114と、下端部111の底部に該排出口114と間が隔たるように開口している清浄水排出口115と、それぞれ柱状に形成されていると共に下端部111の底部に配置されている複数の位置決め部材116と、を有している。
【0019】
なお、本実施形態では、ハウジングユニット10は、プラスチック材料から作成されたものである。該プラスチック材料は、例えば、ポリプロピレン(Polypropylene、略称:PP)、ポリプロピレンホモポリマー(Polypropylene Homopolymer、略称:PPH)、ポリフッ化ビニリデン(PolyVinylidene DiFluoride、略称:PVDF)、無可塑ポリ塩化ビニル(Unplasticized Polyvinyl Chloride、略称:UPVC)、塩素化塩化ビニル(Chlorinated Polyvinyl Chloride、略称:CPVC)などから選択され得る。
【0020】
図4~
図7を参照して該実施形態に係るろ過装置100のハウジングユニット10の構成を更に説明する。ここで、
図4は該実施形態に係るろ過装置100のハウジングユニット10の構成が示される一部拡大斜視図であり、
図5は該実施形態に係るろ過装置100のハウジングユニット10の構成が示される上面図であり、
図6は
図5におけるVI-VI線に沿った断面が示される断面図であり、また、
図7は
図5におけるVII-VII線に沿った断面が示される断面図である。
【0021】
環状部12は、
図4~
図7に示されるように、軸線Lの径方向外向きに延伸しており、かつハウジング壁11の一端部(即ち、上端部112)の方に向かっている頂面122と、頂面122の反対側にある底面121と、頂面122及び底面121に接続している外側周面123と、ハウジング壁11周りの周方向に沿って間が隔たるように底面121にそれぞれ凹設されている複数の係合溝124と、複数の係合溝124に対応して頂面122から底面121の方に向かって外側周面123及び対応する係合溝124と連通するようにそれぞれ凹設されている複数の係合スロット125と、隣り合ういずれか2つの係合スロット125の間にあって頂面122から底面121の方に向かって外側周面123と連通するようにそれぞれ凹設されている複数の凹陥溝126と、隣り合ういずれか2つの凹陥溝126の間にそれぞれ位置されており、かついずれも、対応する係合溝124及び対応する係合スロット125が凹設する箇所となっていると共に、上下視において輪郭が半円形となっている複数の幅広部127と、を有している。
【0022】
各凹陥溝126は、
図4~
図7に示されるように、頂面122及び外側周面123にそれぞれ接続している一対の溝側面126´と、一対の溝側面126´、頂面122及び外側周面123に接続していると共に、頂面122から外側周面123へ傾斜している溝底面126´´と、を有している。一対の溝側面126´は、いずれも溝内側へ円弧状に隆起するように構成されている。溝底面126´´は、外側周面123に接続している端部が幅広端部123´となっており、幅広端部123´の反対側にあって頂面122に接続している端部が幅狭端部122´となっている。
【0023】
また、該環状部12は、
図4及び
図6に示されるように、頂面122のある上部129と、上部129と一体的に連接している底面121のある下部128と、に区分している。複数の係合溝124は、該下部128にそれぞれ位置しており、かつ複数の凹陥溝126及び複数の幅広部127は、該上部129にそれぞれ位置している。更に、
図6に示されるように、環状部12は、下部128における軸線Lの延伸方向に沿う厚さが第1の厚さt1となっている一方、上部129における軸線Lの延伸方向に沿う厚さが第2の厚さt2となっている。本実施形態では、第1の厚さt1が、第2の厚さt2よりも大きくなっている。
【0024】
蓋部材20は、
図1~
図3に示されるように、ハウジング壁11の開口に対して開閉することができるように設けられており、かつハウジングユニット10における環状部12の頂面122に対向している蓋底面21と、蓋底面21の反対側にある蓋頂面22と、蓋底面21及び蓋頂面22に接続している蓋外周面23と、それぞれ環状部12における複数の前記係合スロット125に対応するように配置されていると共に、蓋頂面22から蓋底面21まで貫通していて蓋外周面23と連通している複数の係合貫通溝24と、を備えている。
【0025】
図8~
図10を参照して該実施形態に係るろ過装置100のロックユニット30の構成や使用状態を説明する。ここで、
図8は
図1におけるVIII-VIII線に沿った断面が示される断面図であり、
図9は
図8の部分拡大断面図であり、また、
図10は
図9におけるX-X線に沿った断面が示される断面図である。
【0026】
複数のロックユニット30は、
図1~
図3及び
図8~
図9に示されるように、軸線L周りの周方向に沿って間が隔たるように配置されていると共に、蓋部材20がハウジング壁11の開口を封止しているときに、蓋部材20をハウジングユニット10に押圧固定させることができるものである。
【0027】
また、各ロックユニット30は、
図8~
図10に示されるように、環状部12における対応する係合溝124内に嵌入かつ固定されていると共に、金属材料で構成されている枢接ブロック31と、枢接ブロック31内に設けられている枢軸部32と、両端があって一端が枢接ブロック31と枢接されて他端が対応する係合スロット125から延び出している上に係合貫通溝24内に嵌め込まれることができるロック部33と、を有している。
【0028】
枢接ブロック31は、
図3、
図9及び
図10に示されるように、互いに所定の間隔をあけていて向かい合うと共にピン穴316がそれぞれ開口されている一対の第1の側壁312と、一対の第1の側壁312と共に包囲壁になるように当該一対の第1の側壁312に隣接している一対の第2の側壁313と、一対の第1の側壁312と一対の第2の側壁313とのそれぞれの一側に隣接していると共に、当該一対の第1の側壁312及び当該一対の第2の側壁313と共にハウジング壁11の他端部の方に向かって開口している収容空間314を画成している上に、挿通孔315が開口されている頂壁311と、を有している。
【0029】
ロック部33は、
図9に示されるように、両端のあるロッド332と、ロッド332の一端にあって枢軸部32が挿通するように形成されている貫通穴331と、ロッド332の他端に配置されていてロッド332に対して回転することができる回転ノブ333と、を有している。具体的には、ロッド332の一端が枢軸部32により枢接ブロック31に枢接されている端部である一方、ロッド332の他端が蓋部材20の係合貫通溝24に嵌入されることができる端部である。
【0030】
各ロックユニット30においては、
図9及び
図10に示されるように、ロック部33におけるロッド332の貫通穴331が、収容空間314内に位置されており、枢軸部32が、枢接ブロック31における一対の第1の側壁312の一対のピン穴316を通って貫通穴331を挿通するように設けられており、かつロッド332が、枢接ブロック31における頂壁311の挿通孔315から延び出している。
【0031】
また、
図10に示されるように、環状部12における下部128の第1の厚さt1は、枢接ブロック31における軸線Lの延伸方向に沿う高さhよりも大きくなっている。
【0032】
ろ材ユニット40は、
図8に示されるように、ハウジングユニット10における内空間13に配置されていると共に、ろ過対象物に対してろ過を行なうためのものである。ここで、該ろ材ユニット40は、本発明の特徴ではないので、更なる詳細な記載がなくても、同業者であれば、本発明の内容に基づいて利用することができると考えられる。
【0033】
ベース50は、
図1、
図2及び
図8に示されるように、ハウジングユニット10におけるハウジング壁11の下端部111が嵌入することによって、ハウジングユニット10を支持しているものであり、かつ形状が該下端部111に対応していると共に下端部111を載せながら位置決めするための凹部51と、それぞれ凹部51に連通していてハウジング壁11における複数の位置決め部材116に対応するように配置されていると共に、当該複数の位置決め部材116が嵌入することができるように構成されている複数の位置決め穴52と、を有している。
【0034】
以下、該実施形態に係るろ過装置100の作動状態及びメンテナンス作業を説明する。
【0035】
ろ過装置100の作動状態については、まず、蓋部材20でハウジング壁11の開口を封止し、次に、各ロックユニット30のロッド332を蓋部材20の対応する係合貫通溝24内に嵌入し、そして、各ロックユニット30における回転ノブ333を蓋部材20の蓋頂面22に当接するように回転し、これによって、蓋部材20をハウジングユニット10(即ち、ハウジングユニット10における環状部12の上側にある箇所)に押圧固定させてハウジング壁11の開口を気密に封止することができる。そして、ろ過しようとするろ過対象物(例えば、化学薬液)を注入口113を通してハウジング壁11の内空間13に注入して、当該ろ過対象物がろ材ユニット40によりろ過された後、ろ過済みの液体がろ材ユニット40の底部やハウジング壁11の下端部111へ流れ、排出口114を経由してハウジング壁11の外側へ排出される。これによって、該実施形態のろ過装置100の作動が完了する。
【0036】
ろ過装置100のメンテナンス作業については、清浄用水や清浄用薬剤を注入して、当該清浄用水や清浄用薬剤や純水により、ハウジング壁11の下端部111に残ったろ過対象物から分離された不純物を洗い流して、その清浄用水や清浄用薬剤と不純物が共に下端部111の底部にある清浄水排出口115を通して排出され得る。これによって、該実施形態のろ過装置100に対してメンテナンスを実行することができる。
【0037】
以下、本発明に係る実施形態のろ過装置100の利点について説明する。
【0038】
第1に、ハウジング壁11の外周と一体的に連接している環状部12において、下部128が完全な円環状となっている上に、上部129が幅広部127及び凹陥溝126により上下視における輪郭が波状形状となっており、また、それらの部品が一体的に形成されて環状部12の一部となっているため、このような環状部12が上記した複数のロックユニット30と共に、該実施形態に係るろ過装置100におけるハウジングユニット10及び蓋部材20にロック機能を与えることができる。
【0039】
第2に、環状部12の下部128が完全な円環状となっていることに加え、環状部12がハウジング壁11の外周と一体的に連接していることによって、環状部12が比較的に強い構造強度を具えるので、複数のロックユニット30が蓋部材20をハウジングユニット10にロックしている際に、環状部12が当該複数のロックユニット30による引き上げ力に対してより強い抵抗力を発揮することができ、それで、該実施形態に係るろ過装置100の全体的な構造強度を向上させることができる。
【0040】
また、上部129が幅広部127及び凹陥溝126により上下視における輪郭が波状形状となっていることに加え、対応する係合溝124及び対応する枢接ブロック31が上部129の対応する幅広部127に対応するように位置されていることによって、構造強度の比較的に強い枢接ブロック31が作用力(即ち、上記した引き上げ力)を分散させることができ、環状部12が完全な円環状に形成されている上に環状部12の径方向に沿った厚さが大きすぎることにより複数のロックユニット30の密度不足からなる影響を抑えることができる。
【0041】
第3に、プラスチック材料からなる環状部12は、完全な円環状となっている下部128と、輪郭が波状形状となっている上部129と、を有しているため、構造強度の比較的に強い金属材料で構成されている枢接ブロック31と組み合わせると、プラスチック材料による剛性不足により発生し得る問題を防ぐことができる。ここでの問題とは、例えば蓋部材20がハウジング壁11の開口を封止してロックユニット30によりロックされている際に、当該複数のロックユニット30による引き上げ力により、環状部12が凹陥変形するといったことである。
【0042】
また、各枢接ブロック31が、環状部12における対応する係合溝124内にある係合溝頂面と大きい面積で当接しているため、複数のロック部33と環状部12との間の点接触を避けて複数のロック部33による引き上げ力を分散させることができ、これによって、係合溝124の係合溝頂面が凹陥変形することも防ぐことができる。
【0043】
更に、枢接ブロック31、枢軸部32及びロック部33の貫通穴331からなる枢接構造によっても、上記した引き上げ力を分散することができる。より詳しく言うと、枢軸部32が枢接ブロック31における一対のピン穴316を通ってロック部33の貫通穴331を挿通すること(即ち、点接触であり)及び枢接ブロック31が係合溝124における係合溝頂面と当接すること(即ち、面接触であり)によって、枢軸部32が環状部12と直接に点接触となることなく、上記した引き上げ力が一点に集中せずに、プラスチック材料からなる環状部12の損壊を防ぐことができる。このような構成によれば、環状部12は完全な円環状に形成されなくても、優れた構造強度を依然として得ることができる。
【0044】
第4に、環状部12において、下部128の第1の厚さt1は、上部129の第2の厚さt2、及び枢接ブロック31の高さhよりもそれぞれ大きくなっていることによって、各枢接ブロック31が引き上げられる力を更に増加することができる。
【0045】
第5に、環状部12が複数の凹陥溝126を有していることに加え、当該複数の凹陥溝126がいずれも頂面122から外側周面123へ傾斜している溝底面126´´を有していることによって、各枢接ブロック31が引き上げられる力による環状部12の凹陥変形を更に防止することができる。
【0046】
総括すると、本発明に係るろ過装置100によれば、ハウジング壁11の外周と一体的に連接している環状部12、及びそれぞれ環状部12における対応する係合溝124内に嵌入かつ固定されている複数の金属製の枢接ブロック31によって、環状部12の構造強度が従来よりも強いだけではなく、各枢接ブロック31と環状部12とが互いに大きな面積で当接して面接触となっているので、複数のロックユニット30が蓋部材20をハウジングユニット10にロックしている際に、複数のロック部33による引き上げ力を分散させて、環状部12において凹陥変形が発生することを大いに低減させることができる。したがって、蓋部材20のハウジング壁11の開口に対する密封性を確保することができる。
【0047】
このため、本発明に係るろ過装置100の構造強度や信頼性を高めることができ、かつその製造プロセスの簡単化や製造コストの低減も実現することができる。
【0048】
上記においては、本発明の全体的な理解を促すべく、多くの具体的な詳細が示された。しかしながら、当業者であれば、一またはそれ以上の他の実施形態が具体的な詳細を示さなくとも実施され得ることが明らかである。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態及び変化例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神及び範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾及び均等な構成を包含するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のろ過装置によれば、環状部の強い構造強度を得ることができるので、ろ過装置の全体的な構造強度や信頼性を向上させることができることに加え、製造プロセスの簡単化や製造コストの低減も徹底的に実現することができる。そのため、産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0051】
100 ろ過装置
10 ハウジングユニット
11 ハウジング壁
111 下端部
112 上端部
113 注入口
114 排出口
115 清浄水排出口
116 位置決め部材
12 環状部
121 底面
122 頂面
122´ 幅狭端部
123 外側周面
123´ 幅広端部
124 係合溝
125 係合スロット
126 凹陥溝
126´ 溝側面
126´´ 溝底面
127 幅広部
128 下部
129 上部
13 内空間
20 蓋部材
21 蓋底面
22 蓋頂面
23 蓋外周面
24 係合貫通溝
30 ロックユニット
31 枢接ブロック
311 頂壁
312 第1の側壁
313 第2の側壁
314 収容空間
315 挿通孔
316 ピン穴
32 枢軸部
33 ロック部
331 貫通穴
332 ロッド
333 回転ノブ
40 ろ材ユニット
50 ベース
51 凹部
52 位置決め穴
L 軸線
t1 第1の厚さ
t2 第2の厚さ
h 高さ