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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058374
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】KPI計測システム、KPI計測方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0201 20230101AFI20240418BHJP
【FI】
G06Q30/02 300
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165690
(22)【出願日】2022-10-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】510143664
【氏名又は名称】トリノ・ガーデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】弁理士法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中谷 一郎
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB02
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】移動体による撮影で得た画像データに基づいて、評価対象である小売店等の業績を評価するKPIを計測する技術を提供する。
【解決手段】本発明は、サーバ装置1が、自走式ロボットと通信を行う送受信制御部11aと、自走式ロボット2の走行を制御する走行制御部11bと、撮影を制御する撮影制御部11cと、自走式ロボット2からの画像データを解析する画像解析部11dと、画像解析部11による解析結果と、管理サーバ4からの販売情報とに基づいてKPIを計測するKPI計測部11eと、KPIを出力する出力部11gと、を有し、画像解析部111dは、顧客の評価対象に対する視認率と視認場所、顧客の走行方向と走行速度、顧客の視認率と評価対象前での立ち止まり率、顧客の視認率と評価対象商品の手に取り率の少なくともいずれかを解析するKPI計測システムが提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置と自走式ロボットを備えたKPI計測システムにおいて、
前記サーバ装置は、
前記自走式ロボットと通信を行う送受信制御部と、
前記自走式ロボットの走行を制御する走行制御部と、
前記自走式ロボットによる撮影を制御する撮影制御部と、
前記送受信制御部が受信した前記自走式ロボットからの画像データを解析する画像解析部と、
前記画像解析部による解析結果と、前記送受信制御部が受信した管理サーバからの販売情報とに基づいてKPIを計測するKPI計測部と、
前記計測されたKPIを出力する出力部と、を有し、
前記自走式ロボットは、
カメラ部と、
駆動部と、
前記サーバ装置による制御に基づいて、前記カメラ部による撮影と前記駆動部による走行を制御し、撮影により得られた画像データを前記サーバ装置に送信するよう制御する制御部と、を有し、
前記画像解析部は、顧客の評価対象に対する視認率と視認場所、顧客の走行方向と走行速度、顧客の視認率と評価対象前での立ち止まり率、顧客の視認率と評価対象商品の手に取り率の少なくともいずれかを解析する
KPI計測システム。
【請求項2】
サーバ装置と自走式ロボットとによるKPI計測方法において、
前記サーバ装置が、
前記自走式ロボットの走行を制御し、
前記自走式ロボットによる撮影を制御し、
前記自走式ロボットが、
前記サーバ装置による制御に基づいて、カメラ部による撮影と駆動部による走行を制御し、撮影により得られた画像データをサーバ装置に送信し、
前記サーバ装置が、
前記自走式ロボットからの画像データを解析し、
前記解析の結果と、管理サーバからの販売情報とに基づいてKPIを計測し、
前記計測されたKPIを出力し、
前記画像データの解析では、顧客の評価対象に対する視認率と視認場所、顧客の侵入方向ならび退行方向とその歩行速度、顧客の視認率と評価対象前での立ち止まり率、顧客の視認率と評価対象商品の手に取り率の少なくともいずれかを解析する
KPI計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式ロボットを用いたKPI計測システム、KPI計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小売店等においては、商品の販売促進、ひいては売上向上のために、商品の陳列やPOP等のよる商品プロモーションの効率化を図っている。そして、それらの業績を評価するための指標として、重要業務評価指標(KPI;Key Performance Indicator、以下では、「KPI」と略記する)が計測され、さらなる業務改善に役立てられている。
【0003】
一方、今日では、サービスロボットも市場に浸透しつつあり、各種の機能を備えたサービスロボットが、店舗の販促のために活用されている。
【0004】
ここで、特許文献1では、ロボット制御装置は、顧客移動テーブルに記録されたエリア及び滞在時間に基づいて、顧客の立ち止まり位置へロボットを移動させ、顧客まで移動したロボットに対して、顧客が直近に滞在したエリアに関係する商品カテゴリに基づく商品の提案を実施させるロボット制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-49785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、小売店等の業績を評価するKPIを計測するために自走式ロボットによる撮影で得た画像データに基づいて、例えば顧客の歩行による移動方向や移動速度、立ち止まり率等を算出することは開示されていない。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自走式ロボットによる撮影で得た画像データに基づいて、評価対象である小売店等の業績を評価するKPIを計測する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るKPI計測システムは、サーバ装置と自走式ロボットを備えたKPI計測システムにおいて、前記サーバ装置は、前記自走式ロボットと通信を行う送受信制御部と、前記自走式ロボットの走行を制御する走行制御部と、前記自走式ロボットによる撮影を制御する撮影制御部と、前記送受信制御部が受信した前記自走式ロボットからの画像データを解析する画像解析部と、前記画像解析部による解析結果と、前記送受信制御部が受信した管理サーバからの販売情報とに基づいてKPIを計測するKPI計測部と、前記計測されたKPIを出力する出力部と、を有し、前記自走式ロボットは、カメラ部と、駆動部と、前記サーバ装置による制御に基づいて、前記カメラ部による撮影と前記駆動部による走行を制御し、撮影により得られた画像データを前記サーバ装置に送信するよう制御する制御部と、を有し、前記画像解析部は、顧客の評価対象に対する視認率と視認場所、顧客の侵入方向ならび退行方向とその歩行速度、顧客の視認率と評価対象前での立ち止まり率、顧客の視認率と評価対象商品の手に取り率の少なくともいずれかを解析する。
【0009】
本発明の他の態様に係るKPI計測方法は、サーバ装置と自走式ロボットとによるKPI計測方法において、前記サーバ装置が、前記自走式ロボットの走行を制御し、前記自走式ロボットによる撮影を制御し、前記自走式ロボットが、前記サーバ装置による制御に基づいて、カメラ部による撮影と駆動部による走行を制御し、撮影により得られた画像データをサーバ装置に送信し、前記サーバ装置が、前記自走式ロボットからの画像データを解析し、前記解析の結果と、管理サーバからの販売情報とに基づいてKPIを計測し、前記計測されたKPIを出力し、前記画像データの解析では、顧客の評価対象に対する視認率と視認場所、顧客の走行方向と走行速度、顧客の視認率と評価対象前での立ち止まり率、顧客の視認率と評価対象商品の手に取り率の少なくともいずれかを解析する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自走式ロボットによる撮影で得た画像データに基づいて、評価対象である小売店等の業績を評価するKPIを計測する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係るKPI計測システムの構成図である。
図2図2(a)、図2(b)は、サーバ装置の構成図である。
図3図3は、自走式ロボットの構成図である。
図4図4は、端末装置の構成図である。
図5図5は、KPI計測システムによる処理手順を示すフローチャートである。
図6図6は、図5のS4の処理を詳細に示すフローチャートである。
図7図7(a)、図7(b)は、売場視認率と視認場所の関係を示す図である。
図8図8(a)、図8(b)は、コンバージョンの比較を示す図である。
図9図9(a)、図9(b)は、歩行方向と歩行速度を示す図である。
図10図10(a)、図9(b)は、コンバージョンの比較を示す図である。
図11図11は、視認率と立ち止まり率の関係を示す図である。
図12図12は、視認率と手に取り率の関係を示す図である。
図13図13(a)、図13(b)は、歩行速度と購入率の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1には、本発明の実施形態に係るKPI計測システムの構成を示し説明する。
【0014】
同図に示されるように、本実施形態に係るKPI計測システムは、サーバ装置1と、自走式ロボット2と、POSレジシステム3と、管理サーバ4と、店舗管理者又はコンサルタントの端末装置6とが、インターネット等の通信網5を介して通信自在に接続され、構成されている。
【0015】
このような構成において、サーバ装置1は、予め定められた走行ルート情報と撮影タイミング情報等に基づいて、自走ロボット2の店舗内における走行と撮影を遠隔より制御する。自走ロボット2は、サーバ装置1の制御に従い、店舗内を走行し、定点で停止するなどしながら、所定のタイミングで撮影を実行し、得られた画像データをサーバ装置1に送信する。サーバ装置1は、この画像データを受信すると、画像解析を行う。より具体的には、混雑状況、棚の陳列量、顧客の立ち止まる確率である立ち止まり率、商品を手に取る確率である手に取り率、顧客の視認対象、歩行(方向、速度等)を解析する。
【0016】
管理サーバ4は、POSレジでの販売情報をリアルタイムで取得しており、サーバ装置1からのリクエストに応じて、あるいは定期的に販売情報をサーバ装置1に送信する。サーバ装置1は、管理サーバ装置4からの販売情報を受信すると、当該販売情報と画像解析結果に基づいて、KPIを計測する。サーバ装置1は、計測したKPI、又はそれを加工したレポートを生成し、出力する。サーバ装置1では、この解析結果(KPI)、又はそれを加工したレポートの表示データが生成され、店舗管理者又はコンサルタントの端末装置6に送信され、表示される。
【0017】
このように、本実施形態に係るKPI計測システムによれば、店舗内で業績評価すべき箇所を、走行ルート、定点、及び撮影タイミング等により、予め設定することができ、それら設定に基づいて自走式ロボットを遠隔制御し、撮影を実施することで、画像データを取得し、当該画像データを解析することで、KPIを計測することが可能となるので、店舗側が所望とする業績評価を実施することが可能となる。
【0018】
図2(a)、図2(b)には、サーバ装置の詳細な構成を示し説明する。詳細には、図2(a)はサーバ装置全体の構成図、図2(b)は、制御部における画像解析部の詳細な機能を示す図である。
【0019】
これらの図に示されるように、サーバ装置1は、制御部11と、通信部12と、記憶部13とを有する。制御部11と、通信部12と、記憶部13とは、制御バスを介して通信可能に接続されている。これら構成のほか、キーボードやマウス等の入力部や、各種表示を行う液晶ディスプレイ等の表示部を有してもよい。
【0020】
通信部12は、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC;Network Interface Card)等により実現されるもので、インターネット等の通信網5と有線又は無線で接続され、自走式ロボット2や管理サーバ4等との間で通信を行う通信インタフェースである。
【0021】
記憶部13は、例えば、RAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスクドライブ(HDD;Hard Disc Drive)、または光ディスク装置等で実現されるもので、制御部11で実行されるプログラムを予め記憶している。また、記憶部13は、歩行情報記憶部14、撮影情報記憶部15、解析結果記憶部16、及びKPI記憶部17を有する。
【0022】
走行情報記憶部14は、店舗内において、自走式ロボット2が走行すべき走行ルート等の走行情報を記憶している。撮影情報記憶部15は、自走式ロボット2が撮影を実施すべき位置情報、撮影タイミング等の撮影情報を記憶している。解析結果記憶部16は、画像解析部11dによる解析結果を記憶し、蓄積する。そして、KPI記憶部17は、KPI計測部11eにより計測されたKPIを記憶し、蓄積する。
【0023】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等で実現され、記憶部13に記憶されているプログラムを実行することで、送受信制御部11a、走行制御部11b、撮影制御部11c、画像解析部11d、KPI計測部11e、生成部11f、及び出力部11gとして機能する。尚、制御部11は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Array)等の集積回路で構成されてよい。
【0024】
このような構成において、送受信制御部11aは、通信部12を介した、自走式ロボット2や管理サーバ4との通信を制御する。より具体的には、送受信制御部11aは、自走式ロボット2に走行情報や撮影情報等を送信する送信部、自走式ロボット2からの画像データや管理サーバ4からの販売情報等を受信する受信部として機能する。
【0025】
走行制御部11bは、走行情報記憶部14に記憶された走行情報に基づいて、自走式ロボット2の走行を遠隔制御する。撮影制御部11cは、撮影情報記憶部15に記憶された撮影情報に基づいて、自走式ロボット2による撮影を遠隔制御する。
【0026】
画像解析部11dは、自走式ロボット2からの画像データを解析する。画像解析部11dは、より詳細には、図2(b)に示されるように、混雑状況解析部11d-1、陳列量解析部11d-2,立ち止まり率解析部11d-3、手に取り率解析部11d-4、視認解析部11d-5,及び歩行解析部11d-6を有している。
【0027】
混雑状況解析部11d-1は、画像データを解析し、顧客の存在を認識し、当該顧客の数や密接度合いを演算することで、混雑状況を解析する。陳列量解析部11d-2は、棚を撮影した画像データを解析し、陳列されている商品、及びその数を認識することで、陳列量を解析する。立ち止まり率解析部11d-3は、画像データを解析し、顧客の存在及びその移動を算出し、当該エリア内で両足が地面に設置した状態で位置が変化しない顧客の人数が、対象時間内に当該エリアへの侵入を認識した全て顧客の数に占める割合を算出することで、立ち止まり率を解析する。
【0028】
手に取り率解析部11d-4は、画像データを解析し、顧客の存在を認識し、当該顧客が商品を手に取っている状態を認識し、認識した全ての顧客の数に占める商品を手に取った顧客の数の割合を算出し、手に取り率を解析する。視認解析部11d-5は、画像データを解析し、顧客を認識し、各顧客の視線方向及び範囲、その変化を解析することで、所定の棚等のポイントに対し各顧客が目の焦点を合わせた視認の割合を算出し、視認を解析する。そして、歩行解析部11d-6は、画像データを解析し、顧客を認識し、各顧客の当該エリアへの侵入してきた移動方向と、当該エリアへ侵入する際に移動した距離と所要時間により侵入時の移動速度を算出し、歩行を解析する。
【0029】
KPI計測部11eは、管理サーバ4から取得した販売情報と、画像解析部11dによる解析結果に基づいて、KPIを計測する。生成部11fは、計測されたKPIに関するレポートを生成し、出力部11gは、当該レポートを出力する。
【0030】
図3には、自走式ロボットの詳細な構成を示し説明する。
【0031】
同図に示されるように、自走式ロボット2は、制御部21と、通信部22と、カメラ部23と、操作入力部24と、記憶部25と、駆動部26とを有している。
【0032】
通信部22は、例えば、NIC等により実現されるもので、インターネット等の通信網5と有線又は無線で接続され、サーバ装置1等との間で通信を行う通信インタフェースである。カメラ部23は、撮像機能と集音機能を少なくとも備えており、走行の過程でサーバ装置1により指示されたポイントで撮影を実行する。操作入力部24は、非常停止ボタンや手動操作への切り換えのための各種操作スイッチ等を備える。記憶部13は、例えばRAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスクドライブ、または光ディスク装置等で実現されるもので、制御部21で実行されるプログラムを予め記憶している。駆動部26は、モーターやホイール等を備え、制御部21の制御の下で、自走式ロボット2を走行ルートに従い自走させる。
【0033】
制御部21は、記憶部25のプログラムを実行することで、主制御部21a、送受信制御部21b、位置情報取得部21c、及び駆動制御部21dとして機能する。
【0034】
主制御部21aは、自走式ロボット2の全体の制御を司るものである。送受信制御部21bは、サーバ装置1から送られてきた走行情報や撮影情報を通信部22経由で受信する受信部、撮影により得られた画像データを通信部22経由でサーバ装置1に送信する送信部、として機能する。位置情報取得部21cは、例えばGPS機能により自走式ロボット2の現在位置情報を取得する。そして、駆動制御部21dは、サーバ装置1から送られてきた走行情報や撮影情報に基づいて、駆動部26を制御して走行を実施すると共に、カメラ部23を制御して撮影を実行させる。
【0035】
図4には、店舗管理者又はコンサルタントの端末装置の構成を示し説明する。
【0036】
同図に示されるように、この端末装置6は、制御部61と、通信部62と、表示部63と、操作入力部64と、記憶部65とを有する。各部61~65は、バスラインを介して通信自在に接続されている。通信部62は、例えば、NIC等により実現されるもので、インターネット等の通信網5と有線又は無線で接続され、サーバ装置1等との間で通信を行う通信インタフェースである。
【0037】
操作入力部64は、マウスやキーボード等で実現され、ユーザによる各種操作入力を受け付ける。表示部63は、液晶ディスプレイ等により実現され、各種表示を行う。操作入力部64と表示部63とをタッチパネルとして一体に構成してもよい。
【0038】
記憶部25は、例えば、RAMやフラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、HDD、または光ディスク装置等で実現されるもので、制御部61で実行されるプログラムを記憶している。制御部61は、CPUやMPU等で実現され、記憶部65に記憶されているプログラムを実行することで、主制御部61a、表示制御部61c、送受信制御部61bとして機能する。
【0039】
このような構成において、主制御部21aは、端末装置全体の制御を司る。表示制御部61cは、送受信制御部61bが受信した解析結果(KPI)又はそれを加工したレポートに係る表示データに基づく表示部63での表示を制御する。送受信制御部61bは、各種リクエスト等をサーバ装置1に送信する送信部、サーバ装置1からの表示データ等を受信する受信部、として機能するものである。
【0040】
以下、図5のフローチャートを参照して、本発明の実施形態に係るKPI計測システムによる処理手順を詳細に説明する。ここでは、図6のフローチャート、及び図7乃至図13の解析結果を適宜参照しつつ説明を進める。尚、この処理手順は、本実施形態に係るKPI計測方法にも相当するものである。
【0041】
先ず、サーバ装置1では、走行制御部11bが、走行情報記憶部14に記憶された走行情報に基づいて、自走式ロボット2の走行を遠隔制御する(S1)。更に、撮影制御部11cが、撮影情報記憶部15に記憶された撮影情報に基づいて、自走式ロボット2による撮影を遠隔制御する(S2)。
【0042】
そして、送受信制御部11aが、自走式ロボット2からの画像データを受信すると(S3)、画像解析部11dが、自走式ロボット2からの画像データを解析する(S4)。
【0043】
より具体的には、図6に示されるように、視認解析部11d-5が、画像データを解析し、顧客を認識し、各顧客の視線方向及び範囲、その変化を解析することで、所定の棚等のポイント(視認場所)に対する各顧客の視認の割合を算出することで、視認率と視認場所の関係を解析する(S11)。
【0044】
続いて、歩行解析部11d-6が、画像データを解析し、顧客を認識し、各顧客の走行方向と走行速度を算出し、歩行を解析する(S12)。
【0045】
そして、立ち止まり率解析部11d-3が、画像データを解析し、顧客を認識し、及びその移動を算出し、当該エリア内で両足が地面に設置した状態で位置が変化しない顧客の人数が、対象時間内に当該エリアへの侵入を認識した全て顧客の数に占める割合を算出することで、立ち止まり率を解析し、前述した視認解析部11d-5の解析結果と合わせて視認率と立ち止まり率の関係を解析する(S13)。
【0046】
さらに、手に取り率解析部11d-4が、画像データを解析し、顧客を認識し、当該顧客が商品を手に取っている状態を認識し、認識した全ての顧客の数に占める商品を手に取った顧客の数の割合を算出し、手に取り率を解析し、前述した視認解析部11d-5の解析結果を合わせて、視認率と手に取り率の関係を解析する(S14)。
【0047】
図5に戻り、続いて、KPI計測部11eは、管理サーバ4から取得した販売情報と画像解析部11dによる解析結果に基づいて、KPIを計測する(S5)。
【0048】
より詳細には、ステップS11による解析により、図7(a)、図7(b)に示されるような解析結果を得る。ここで、テストAは、POPとしてMDパネルを用いたケースであり、テストBは、POPを用いていないケースである。そして、図7(a)はテストAの解析結果、図7(b)はテストBの解析結果である。これらの比較から、テストAでは、売場に対する視認率が高まっていること、遠視の効果よりも売場通過時に視認させる効果が高いという解析結果を得る。この結果に、販売情報を反映させると、図8(a)、図8(b)に示されるような結果を得る。図8(a)はテストAの結果、図8(b)はテストBの結果である。これらの比較から、テストAの方が、視認率、立ち止まり率、手に取り率、購入(コンバージョン)のいずれにおいても高い効果が表れているとの解析結果を得る。KPI計測部11eは、販売情報と解析結果に基づいて、視認率、立ち止まり率、手に取り率、購入率の向上に対するMDパネルの寄与をKPIとして計測する。
【0049】
ステップS12による解析により、図9(a)、図9(b)に示されるような解析結果を得る。ここで、テストAは、MDパネルを用いたケースであり、テストBは、POPを用いていないケースである。図9(a)はテストAの解析結果、図9(b)はテストBの解析結果である。これらの比較から、テストAでは、テストBに比べて、売場進入時の歩行速度が変わらないもしくは速くなっているとの解析結果を得る。売場への進入時の歩行速度は、購入を予め目的とし回遊している顧客が当該商品を視認したときに侵入時の歩行速度が一定もしくは速く、購入率が高くなる傾向がある(図13(a)、図13(b)参照)。この結果に、販売情報を反映させると、図10(a)、図10(b)に示されるような結果を得る。図10(a)はテストAの結果、図10(b)はテストBの結果である。これらの比較から、テストAの方が、手に取り率、購入(コンバージョン)のいずれにおいても高い効果が表れているとの解析結果を得る。MDパネルを用いることにより、売場進入時の歩行速度が減衰せず目的商品の購入を目論み回遊する顧客へ認知に成功しているかを判断することが出来る。KPI計測部11eは、販売情報と解析結果に基づいて、歩行速度低下、手に取り率向上、購入率向上に対するMDパネルの寄与をKPIとして計測する。
【0050】
ステップS13による解析により図11に示されるような結果を得る。同図より、POP無のケースよりも、POP掲示のケースの方が、視認率、立ち止まり率が向上し、購入(コンバージョン)に結び付いているという売場と、POP掲示が購入(コンバージョン)に結びついていない売場があるという解析結果を得る。KPI計測部11eは、販売情報と解析結果に基づいて、視認率、立ち止まり率、購入率の向上に対するPOPの寄与をKPIとして計測し購入(コンバージョン)に結びつかないPOPは掲示方法およびその掲示内容の見直すべきPOPを示唆する。
【0051】
ステップS14による解析により図12に示されるような結果を得る。同図より、POP無のケースよりも、POP掲示のケースの方が、視認率、手に取り率が向上し、購入(コンバージョン)に結び付いているという売場と、POP掲示が購入(コンバージョン)に結びついていない売場があるという解析結果を得る。KPI計測部11eは、販売情報と解析結果に基づいて、視認率、手に取り率、購入率の向上に対するPOPの寄与をKPIとして計測し購入(コンバージョン)に結びつかないPOPは掲示方法およびその掲示内容の見直すべきPOPを示唆する。
【0052】
こうして、生成部11fは、計測されたKPIに関するレポートを生成し、出力部11gは、当該レポートを出力する(S6)。この出力に際して、生成部11fが、KPI(図7乃至図13の画面イメージ)、又はそれを加工したレポートに係る表示データを生成し、送受信制御部11aが、店舗管理者又はコンサルタントの端末装置6に送信する。端末装置6では、送受信制御部61bが、表示データを受信し、表示制御部61cの制御の下、表示部63にKPI又はそれを加工したレポートの画面が表示される。こうして一連の処理を終了する。尚、ステップS1乃至S14の少なくともいずれかの解析による結果に基づいて、KPIを計測することも、本実施形態には、含まれることは勿論である。
【0053】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、以下の効果が奏される。
【0054】
第1に、サーバ装置1と自走式ロボット2を備えたKPI計測システムにおいて、サーバ装置1は、自走式ロボットと通信を行う送受信制御部11aと、自走式ロボット2の走行を制御する走行制御部11bと、自走式ロボット2による撮影を制御する撮影制御部11cと、送受信制御部11aが受信した自走式ロボット2からの画像データを解析する画像解析部11dと、画像解析部11による解析結果と、送受信制御部11aが受信した管理サーバ4からの販売情報とに基づいてKPIを計測するKPI計測部11eと、計測されたKPIを出力する出力部11gとを有し、自走式ロボット2は、カメラ部23と、駆動部26と、サーバ装置1による制御に基づいて、カメラ部23による撮影と駆動部26による走行を制御し、撮影により得られた画像データをサーバ装置1に送信するよう制御する制御部21とを有し、画像解析部111dは、顧客の評価対象に対する視認率と視認場所、顧客の走行方向と走行速度、顧客の視認率と評価対象前での立ち止まり率、顧客の視認率と評価対象商品の手に取り率の少なくともいずれかを解析するKPI計測システムが提供される。このシステムによれば、自走式ロボットを遠隔より制御することで、店舗内における所定の場所、タイミングでの撮影が実行され、得られた画像データを解析することで、例えば、POP等による効果を多面的に評価し、KPIを計測することができるので、販促活動について客観的に評価できるようになる。
【0055】
第2に、サーバ装置1と自走式ロボット2とによるKPI計測方法において、サーバ装置1が、自走式ロボット2の走行を制御し、自走式ロボット2による撮影を制御し、自走式ロボット2が、サーバ装置1による制御に基づいて、カメラ部による撮影と駆動部による走行を制御し、撮影により得られた画像データをサーバ装置1に送信し、サーバ装置1が、自走式ロボット2からの画像データを解析し、解析の結果と、管理サーバ4からの販売情報とに基づいてKPIを計測し、計測されたKPIを出力し、画像データの解析では、顧客の評価対象に対する視認率と視認場所、顧客の走行方向と走行速度、顧客の視認率と評価対象前での立ち止まり率、顧客の視認率と評価対象商品の手に取り率の少なくともいずれかを解析するKPI計測方法が提供される。この方法によれば、自走式ロボットを遠隔より制御することで、店舗内における所定の場所、タイミングでの撮影が実行され、得られた画像データを解析することで、例えば、POP等による効果を多面的に評価し、KPIを計測することができるので、販促活動について客観的に評価できるようになる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
1…サーバ装置、自走式ロボット、3…POSレジシステム、4…管理サーバ装置、5…通信網、6…店舗管理者又はコンサルタントの端末装置、11…制御部、11a…送受信制御部、11b…走行制御部、11c…撮影制御部、11d…画像解析部、11d-1…混雑状況解析部、11d-2…陳列量解析部、11d-3…立ち止まり率解析部、11d-5…視認解析部、11d-6…歩行解析部、11e…画像解析部、11f…KPI計測部、11g…生成部、11h…出力部、12…通信部、13…記憶部、14…走行情報記憶部、15…撮影情報記憶部、16…解析結果記憶部、17…KPI記憶部。21…制御部、21a…主制御部、21b…送受信制御部、21c…位置情報取得部、21d…駆動制御部、22…通信部、23…撮像部、24…操作入力部、25…記憶部、26…駆動部、61…制御部、61a…主制御部、61b…送受信制御部、61c…表示制御部、62…通信部、63…表示部、64…操作入力部、65…記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置と自走式ロボットを備えたKPI計測システムにおいて、
前記サーバ装置は、
前記自走式ロボットと通信を行う送受信制御部と、
前記自走式ロボットの走行を制御する走行制御部と、
前記自走式ロボットによる撮影を制御する撮影制御部と、
前記送受信制御部が受信した前記自走式ロボットからの画像データを解析する画像解析部と、
前記画像解析部による解析結果と、前記送受信制御部が受信した管理サーバからの販売情報とに基づいてKPIを計測するKPI計測部と、
前記計測されたKPIを出力する出力部と、を有し、
前記自走式ロボットは、
カメラ部と、
駆動部と、
前記サーバ装置による制御に基づいて、前記カメラ部による撮影と前記駆動部による走行を制御し、撮影により得られた画像データを前記サーバ装置に送信するよう制御する制御部と、を有し、
前記画像解析部は、顧客の評価対象に対する視認率と視認場所、顧客の走行方向と走行速度、顧客の視認率と評価対象前での立ち止まり率、顧客の視認率と評価対象商品の手に取り率を解析し、
前記KPI計測部は、前記画像データの解析結果より、顧客の調査対象エリアへの侵入の移動方向と、前記調査対象エリアへ侵入する際に移動した距離と所要時間から移動速度を算出し、歩行を解析し、進入時の移動速度が一定もしくは早くなっている場合に購入率が高くなる傾向と判断する
KPI計測システム。
【請求項2】
サーバ装置と自走式ロボットとによるKPI計測方法において、
前記サーバ装置が、
前記自走式ロボットの走行を制御し、
前記自走式ロボットによる撮影を制御し、
前記自走式ロボットが、
前記サーバ装置による制御に基づいて、カメラ部による撮影と駆動部による走行を制御し、撮影により得られた画像データをサーバ装置に送信し、
前記サーバ装置が、
前記自走式ロボットからの画像データを解析し、
前記解析の結果と、管理サーバからの販売情報とに基づいてKPIを計測し、
前記計測されたKPIを出力し、
前記画像データの解析では、顧客の評価対象に対する視認率と視認場所、顧客の侵入方向ならび退行方向とその歩行速度、顧客の視認率と評価対象前での立ち止まり率、顧客の視認率と評価対象商品の手に取り率を解析し、
前記サーバ装置は、前記画像データの解析により顧客を認識し、各顧客の調査対象エリアへの侵入の移動方向と、前記調査対象エリアへ侵入する際に移動した距離と所要時間から移動速度を算出し、歩行を解析し、進入時の移動速度が一定もしくは早くなっている場合に購入率が高くなる傾向と判断する
KPI計測方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るKPI計測システムは、サーバ装置と自走式ロボットを備えたKPI計測システムにおいて、前記サーバ装置は、前記自走式ロボットと通信を行う送受信制御部と、前記自走式ロボットの走行を制御する走行制御部と、前記自走式ロボットによる撮影を制御する撮影制御部と、前記送受信制御部が受信した前記自走式ロボットからの画像データを解析する画像解析部と、前記画像解析部による解析結果と、前記送受信制御部が受信した管理サーバからの販売情報とに基づいてKPIを計測するKPI計測部と、前記計測されたKPIを出力する出力部と、を有し、前記自走式ロボットは、カメラ部と、駆動部と、前記サーバ装置による制御に基づいて、前記カメラ部による撮影と前記駆動部による走行を制御し、撮影により得られた画像データを前記サーバ装置に送信するよう制御する制御部と、を有し、前記画像解析部は、顧客の評価対象に対する視認率と視認場所、顧客の走行方向と走行速度、顧客の視認率と評価対象前での立ち止まり率、顧客の視認率と評価対象商品の手に取り率を解析し、前記KPI計測部は、前記画像データの解析結果より、顧客の調査対象エリアへの侵入の移動方向と、前記調査対象エリアへ侵入する際に移動した距離と所要時間から移動速度を算出し、歩行を解析し、進入時の移動速度が一定もしくは早くなっている場合に購入率が高くなる傾向と判断する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の他の態様に係るKPI計測方法は、サーバ装置と自走式ロボットとによるKPI計測方法において、前記サーバ装置が、前記自走式ロボットの走行を制御し、前記自走式ロボットによる撮影を制御し、前記自走式ロボットが、前記サーバ装置による制御に基づいて、カメラ部による撮影と駆動部による走行を制御し、撮影により得られた画像データをサーバ装置に送信し、前記サーバ装置が、前記自走式ロボットからの画像データを解析し、前記解析の結果と、管理サーバからの販売情報とに基づいてKPIを計測し、前記計測されたKPIを出力し、前記画像データの解析では、顧客の評価対象に対する視認率と視認場所、顧客の侵入方向ならび退行方向とその歩行速度、顧客の視認率と評価対象前での立ち止まり率、顧客の視認率と評価対象商品の手に取り率を解析し、前記サーバ装置は、前記画像データの解析により顧客を認識し、各顧客の調査対象エリアへの侵入の移動方向と、前記調査対象エリアへ侵入する際に移動した距離と所要時間から移動速度を算出し、歩行を解析し、進入時の移動速度が一定もしくは早くなっている場合に購入率が高くなる傾向と判断する。