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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058375
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】合成光生成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20240418BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
G02B6/12 301
G02B6/42
G02B6/12 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165691
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】300081763
【氏名又は名称】セーレンKST株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 修
(72)【発明者】
【氏名】姫野 明
(72)【発明者】
【氏名】岩端 一樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲文
(72)【発明者】
【氏名】矢部 勇多
(72)【発明者】
【氏名】堀井 浩一
(72)【発明者】
【氏名】亀井 洋次郎
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AA17
2H137AB12
2H137BA52
2H137BA53
2H137BB02
2H137BC56
2H137EA04
2H137EA11
2H147AA04
2H147AB04
2H147BD05
2H147BG09
2H147CA13
2H147CA18
2H147EA09C
2H147EA13C
2H147EA14A
2H147EA14B
2H147EA14C
2H147FA03
2H147FC01
2H147GA10
2H147GA25
(57)【要約】
【課題】さらなる小型化を実現すると共に、さらなる小型化に伴う生産性向上により製造コストを低減した合成光生成装置を提供する。
【解決手段】波長の異なる光を出力する複数個のレーザダイオードと、前記波長の異なる光をそれぞれ複数個の入力ポートから入力し光合波器まで導波する複数個の入力光導波路、前記波長の異なる光を合波して多重光とする光合波器、及び少なくとも1個の出力ポートから前記多重光を出力する出力光導波路を含む光合波回路と、を備えた合成光生成装置であって、前記複数の入力ポートの隣接する中心軸間の距離が100~700μmであることを特徴とする合成光生成装置である。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長の異なる光を出力する複数個のレーザダイオードと、前記波長の異なる光をそれぞれ複数個の入力ポートから入力し光合波器まで導波する複数個の入力光導波路、前記波長の異なる光を合波して多重光とする光合波器、及び少なくとも1個の出力ポートから前記多重光を出力する出力光導波路を含む光合波回路と、を備えた合成光生成装置であって、
前記複数個の入力ポートの隣接する中心軸間の距離が100~700μmであることを特徴とする合成光生成装置。
【請求項2】
前記入力光導波路の曲線部分長さが200~3400μmである請求項1に記載の合成光生成装置。
【請求項3】
前記複数個のレーザダイオードの中で、発光波長が最も小さいレーザダイオードに対応する、前記入力光導波路の曲線部分の曲率半径が最も小さくなる請求項1または2に記載の合成光生成装置。
【請求項4】
前記複数個のレーザダイオードの発光波長が小さくなるほど、前記入力光導波路の曲線部分の曲率半径が小さくなる請求項1または2に記載の合成光生成装置。
【請求項5】
前記複数個のレーザダイオードがベース基板上に配設されたそれぞれのサブマウント上に搭載される請求項1または2に記載の合成光生成装置。
【請求項6】
前記複数個のレーザダイオードが搭載されたそれぞれのサブマウント、光合波路回路、及びベース基板を別個に製造した後に組合せた請求項5に記載の合成光生成装置。
【請求項7】
前記複数個のレーザダイオードがベース基板上に配設された1つのサブマウント上に搭載される請求項1または2に記載の合成光生成装置。
【請求項8】
前記複数個のレーザダイオードが搭載された1つのサブマウント、光合波路回路、及びベース基板を別個に製造した後に組合せた請求項7に記載の合成光生成装置。
【請求項9】
前記複数個のレーザダイオードが直接ベース基板上に搭載される請求項1または2に記載の合成光生成装置。
【請求項10】
前記複数個のレーザダイオード、光合波路回路、及びベース基板を別個に製造した後に組合せた請求項9に記載の合成光生成装置。
【請求項11】
前記光合波回路において、余剰光を除去するための反射溝を有する請求項1または2に記載の合成光生成装置。
【請求項12】
前記反射溝の底面に金属薄膜を形成している請求項11に記載の合成光生成装置。
【請求項13】
請求項1または2に記載の合成光生成装置を含む画像投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長の異なる光を出力する複数個のレーザダイオードと、前記波長の異なる光をそれぞれ複数個の入力ポートから入力し光合波器まで導波する複数個の入力光導波路、前記波長の異なる光を合波して多重光とする光合波器、及び少なくとも1個の出力ポートから前記多重光を出力する出力光導波路を含む光合波回路と、を備えた合成光生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、眼鏡型端末や携帯型プロジェクタ等の画像投影装置の光源として、複数のレーザダイオードを光源として用いた光合波器を備えた合成光生成装置が知られている(特許文献1を参照)。前記光合波器は、シリコン基板上に公知の化学気相成長法(CVD)やスパッタリング法等を用いて低屈折率及び高屈折率のシリコン酸化膜を積層形成した後、フォトマスクを用いたフォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、さらに低屈折率シリコン酸化膜を積層形成するという工程を経て製造される。
【0003】
また、光源である複数のレーザダイオードを載置した支持基板と、複数の波長を合波する複数の導波路を備えた合波器とを有し、前記支持基板と前記合波器を互いに位置合わせする位置合わせ機構を有する合成光生成装置も知られている(特許文献2を参照)。ここで、前記合成光生成装置は、光源と合波器等をワンタッチ装着することも可能である。
【0004】
しかし、従来技術の合成光生成装置において、小型化及び製造コストの低減には限界があり、さらなる小型化の実現及び製造コストの低減が困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-195603号公報
【特許文献2】特開2018-124394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、さらなる小型化を実現すると共に、さらなる小型化に伴う生産性向上により製造コストを低減した合成光生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、波長の異なる光を出力する複数個のレーザダイオードと、前記波長の異なる光をそれぞれ複数個の入力ポートから入力し光合波器まで導波する複数個の入力光導波路、前記波長の異なる光を合波して多重光とする光合波器、及び少なくとも1個の出力ポートから前記多重光を出力する出力光導波路を含む光合波回路と、を備えた合成光生成装置であって、
前記複数個の入力ポートの隣接する中心軸間の距離が100~700μmであることを特徴とする合成光生成装置を提供する。
【0008】
前記入力光導波路の曲線部分長さが200~3400μmであることが好ましい。
【0009】
前記複数個のレーザダイオードの中で、発光波長が最も小さいレーザダイオードに対応する、前記入力光導波路の曲線部分の曲率半径が最も小さくなることが好ましい。
【0010】
前記複数個のレーザダイオードの発光波長が小さくなるほど、前記入力光導波路の曲線部分の曲率半径が小さくなることが好ましい。
【0011】
前記複数個のレーザダイオードがベース基板上に配設されたそれぞれのサブマウント上に搭載されることが好ましい。
【0012】
合成光生成装置は、前記複数個のレーザダイオードが搭載されたそれぞれのサブマウント、光合波路回路、及びベース基板を別個に製造した後に組合せたものであることが好ましい。
【0013】
前記複数個のレーザダイオードがベース基板上に配設された1つのサブマウント上に搭載されることが好ましい。
【0014】
合成光生成装置は、前記複数個のレーザダイオードが搭載された1つのサブマウント、光合波路回路、及びベース基板を別個に製造した後に組合せたものであることが好ましい。
【0015】
前記複数個のレーザダイオードが直接ベース基板上に搭載されることが好ましい。
【0016】
合成光生成装置は、前記複数個のレーザダイオード、光合波路回路、及びベース基板を別個に製造した後に組合せたものであることが好ましい。
【0017】
前記光合波回路において、余剰光を除去するための反射溝を有することが好ましい。
【0018】
前記反射溝の底面に金属薄膜を形成していることが好ましい。
【0019】
また、本発明は前記合成光生成装置を含む画像投影装置を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数個の入力ポートの隣接する中心軸間の距離等を特定した、さらなる小型化を実現した合成光生成装置を得ることができると共に、前記合成光生成装置に用いるシリコン基板形状の小型化に伴い、1枚のシリコンウエハーから製作可能な前記シリコン基板の数が増加し、生産性が向上することにより製造コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例1の合成光生成装置の図である。ここで、(a)は上面図、(b)は上面図の下側から見た側面図、(c)は上面図の入力ポート端面における断面図、(d)は上面図の右側から見た側面図である。
図2】実施例2の合成光生成装置の図である。ここで、(a)は上面図、(b)は上面図の下側から見た側面図である。
図3】実施例3の合成光生成装置の上面図である。
図4】実施例4の合成光生成装置の上面図である。
図5】実施例5の合成光生成装置の製造過程における斜視図である。
図6】実施例5の合成光生成装置の図である。ここで、(a)は上面図、(b)は上面図の下側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
【0023】
図1(a)は実施例1の合成光生成装置101における上面図である。赤色光レーザダイオード3、緑色光レーザダイオード4及び青色光レーザダイオード5はそれぞれサブマウント2の上に搭載され、それぞれのレーザダイオードから出力された光は、対応する3つの入力ポート18(図示なし)から入力され、それぞれの入力光導波路6を経由し、光合波器7で合波された後、出力光導波路8を経由し、1つの出力ポート19(図示なし)から出力される。ここで、前記入力ポート18から出力ポート19までの回路全体を光合波回路とする。また、前記光合波器7は、入力光導波路6から入力された3種類の光について、方向性結合器等を用いた公知の手段、方法によって1つの多重光に合波した後、出力光導波路8へ出力する機能を有する部分を概念的に示すものであり、具体的に前記光合波器7を定義する境界線は存在しない。後述する図4に示した反射溝等の説明に必要であるため、前記光合波器7を概念的に用いる。前記光合波器7の概念的形状は、合成光生成装置101が長方形であることから、合成光生成装置のそれぞれの辺に平行な辺を有する長方形を用いる。
【0024】
前記合成光生成装置101の上下方向の幅は、隣接する入力ポートの中心軸間の距離16及び入力ポート外側の距離17の合計((距離16+距離17)×2)で表される。ここで、上記隣接する入力ポートの中心軸間の距離16は100~700μmであり、120~650μmであることが好ましく、140~550μmであることがさらに好ましく、140~450μmであることが特に好ましい。隣接する入力ポートの中心軸間の距離16は、レーザダイオードの隣接する光軸間の距離と一致しており、現在市販されているレーザダイオードの本体の最小幅は約100μmであることから、前記距離16が100μm未満であると、レーザダイオード本体を隣接して配設することができなくなる可能性がある。550μmを超えると、本発明の合成光生成装置のさらなる小型化が困難となる可能性がある。
【0025】
図1(a)において、緑色光レーザダイオード4に対応する入力光導波路6は直線形状であり、赤色光レーザダイオード3及び青色光レーザダイオード5のそれぞれに対応する入力光導波路6は、前記直線形状の入力光導波路6に対して、ほぼ左右対称となる曲線形状となっている。ここで、それぞれの入力光導波路6は、入力ポート18(図示なし)から一定の直線部分長さ12を有しており、その後、曲線部分長さ13を経由して、光合波器7に接続する。前記入力光導波路6の曲線部分長さ13は、200~3400μmであり、400~1700μmであることが好ましく、800~1500μmであることがさらに好ましい。200μm未満であると、曲線部分の曲率半径が小さくなりすぎて導波路からの漏洩光が大きくなる可能性がある。3400μmを超えると、本発明の合成光生成装置のさらなる小型化が困難となる可能性がある。
【0026】
曲線部分長さ13の始点位置、終点位置について、直線部分長さ12における隣接する入力導波路6の中心軸間の距離が,入光ポート間の隣接する中心軸間の距離16よりも小さくなり始める箇所を曲線部分長さ13の始点位置とし,隣接する入力導波路6の中心軸間の距離が,光合波器回路として機能しない距離で且つ十分に隣接した距離、具体的には20μm未満、になる箇所を曲線部分長さ13の終点位置とする。
【0027】
図1(b)は実施例1の合成光生成装置101における前記上面図の下側から見た側面図である。ベース基板11の上に公知の化学気相成長法およびエッチング加工等を行い、低屈折率シリコン酸化膜から構成されるクラッド9、高屈折率シリコン酸化膜から構成されるコア10により合成光生成装置101は製造される。ここで、前記コア10は光導波路として作用、機能するため、上面図である図1(a)における入力ポート18、入力光導波路6、光合波器7内の光導波路、出力光導波路8、及び出力ポート19に相当する。ここで、前記ベース基板11の材料には、公知の熱伝導性が良く加工性に優れるシリコン、放熱性の高い窒化アルミニウム、石英等を用いることができる。
【0028】
図1(c)は実施例1の合成光生成装置101における入力ポート端面の断面図である。3つのレーザダイオードから出力された光は、それぞれ対応する3つの入力ポート18から入力光導波路6に入力される。
【0029】
図1(d)は実施例1の合成光生成装置101における前記上面図の右側から見た側面図である。光合波器7で合波された多重光が出力光導波路8を経由して出力ポート19から出力される。
【0030】
図2(a)は実施例2の合成光生成装置102における上面図であり、図2(b)は前記合成光生成装置102における上面図の下側から見た側面図である。サブマウント2が省略され、3つのレーザダイオード3~5が直接、ベース基板11の上に搭載されている点以外はそれぞれ図1(a)及び図1(b)と同じである。サブマウント2を省略することにより、部材の削減及び製造工程が簡略化できることから製造コストを低減できる。なお、サブマウント2の代替として、ベース基板11上のレーザダイオード搭載部分にベース基板11とは高さの異なる台座を設けてもよく、前記台座はエッチング加工時に製造できることから製造コストを大きく増加するものではない。
【0031】
図3は実施例3の合成光生成装置103における上面図である。図1(a)の実施例1と比較すると、入力光導波路6の曲線部分について、発光波長が小さくなるほど入力光導波路6の曲線部分からの漏洩光が減少することから曲率半径を小さくすることが可能であるため、赤色光レーザダイオード3に対応する入力光導波路6、緑色光レーザダイオード4に対応する入力光導波路6、及び青色光レーザダイオード5に対応する入力光導波路6の中で、発光波長が最も小さい青色光レーザダイオード5に対応する入力光導波路6の曲線部分の曲率半径を最も小さくすることができる。青色光レーザダイオード5に対応する入力ポート18と光合波器7を図3のように配置することにより、結果として入力光導波路6の曲線部分長さを最も小さくすることができる。
【0032】
なお、この場合、赤色光レーザダイオード3に対応する入力光導波路6、及び緑色光レーザダイオード4に対応する入力光導波路6の曲率半径はどちらが小さくてもよいが、レーザダイオードの発光波長が小さくなるほど、つまり、赤色光レーザダイオード3に対応する入力光導波路6、緑色光レーザダイオード4に対応する入力光導波路6、青色光レーザダイオード5に対応する入力光導波路6の順に入力光導波路6の曲率半径を小さくすることが好ましい。
【0033】
また、図3における赤色光レーザダイオード3、緑色光レーザダイオード4及び青色光レーザダイオード5は、1つのサブマウント2上に搭載されている点でも図1(a)の合成光生成装置101と異なる。1つのサブマウント2を用いることで、よりレーザダイオード間の距離を小さくでき、また、製造工程が簡略化できることから製造コストを低減できる。
ここで,前記サブマウント2の材料には,公知の熱伝導性が良く加工性に優れるシリコン、放熱性の高い窒化アルミ等を用いることができる.
【0034】
図4(a)、(b)は実施例4の合成光生成装置104における上面図であり、両者は反射溝20、21の形状が異なると共に、サブマウント2が3つのレーザダイオードごとに設けられるか1つであるのかで異なる。図1(a)の実施例1と比較すると、余剰光を除去するための反射溝20、21を光合波器7の側面部分に有する点で異なる。反射溝はエッチング等公知の方法を用いて加工することができる。本発明は小型であることから、レーザダイオード3~5から出力後、入力ポート18に入力されなかった余剰光が光合波器の側面部分(クラッド)を通過し、出力ポート19の端面から出力され、合成光生成装置の性能を低下させる可能性がある。反射溝20、21により前記余剰光を合成光生成装置104側面の外側へ反射することにより、出力ポート19の端面から出力される余剰光を低減することができる。
【0035】
前記反射溝形状について、図4(a)の反射溝20は平行四辺形、図4(b)の反射溝21は三角形の形状を示しているが、これらの形状に限定されるものでなく、公知の反射溝形状を用いることが可能である。反射性能を向上できることから、反射溝の底面に金属薄膜を形成していることが好ましい。
【0036】
反射溝の入射光面(入力光導波路6が存在せず、レーザダイオードからの出射光が直進したと仮定した場合において、当該出射光が反射溝に最初に入射する面)と光合波器7の側面(上記レーザダイオードから直進した出射光の方向と平行な面)がなす角度(補角の関係にある2つの角度の内、90°未満の角度)は45°以下であることが好ましく、42°以下であることがさらに好ましい。反射溝の数は光合波器7の側面のそれぞれに1個以上あればよいが、余剰光を確実に除去できることから2個以上あることが好ましい。
【0037】
図5は実施例5の合成光生成装置105の製造過程における斜視図である。光合波回路基板22を含む光合波回路23、3つのレーザダイオードを搭載した1つのサブマウント2、及びベース基板11の3つの部材を別個に製造した後、前記光合波回路23及びサブマウント2をベース基板11上に一体化して合成光生成装置105とすることを示す。具体的には、実施例1~4と同様の製造方法を用いて、光合波回路基板22上に3個の入力ポート18、複数個の入力光導波路6(図示なし)、光合波器7(図示なし)、出力光導波路8(図示なし)、及び出力ポート19(図示なし)を有する光合波回路23を製造する。また別個に、赤色光レーザダイオード3、緑色光レーザダイオード4及び青色光レーザダイオード5を搭載する1つのサブマウント2を製造する。さらに別個に、ベース基板11を製造する。その後、接着剤等を用いて前記光合波回路23及びサブマウント2をベース基板11上に固定することにより一体化し、合成光生成装置105を製造する。ここで、ベース基板11上に固定する際、前記光合波回路23を上下逆にして固定してもよい。また、サブマウント2を使用せず、3つのレーザダイオードを直接ベース基板11上に搭載してもよい。
ここで、前記光合波回路基板22の材料には、公知の熱伝導性が良く加工性に優れるシリコン、石英等を用いることができる。
【0038】
図6(a)は実施例5の合成光生成装置105における上面図、図6(b)は前記上面図の下側から見た側面図である。前記光合波回路基板22を含む光合波回路23、及び赤色光レーザダイオード3、緑色光レーザダイオード4及び青色光レーザダイオード5を搭載する1つのサブマウント2をベース基板11上に固定することにより一体化した合成光生成装置105を示す。
【0039】
光合波回路23、サブマウント2、及びベース基板11の3つの部材を別個に製造することにより、合成光生成装置における多数の製造工程をそれぞれの部材の製造工程に分割し、それぞれの部材を同時並行で製造することができる。また、それぞれの部材の製造途中で不良品が発生したとしても他の部材の良品率には影響しないことから、総合的な生産の効率が高くなるため、製造コストをさらに低減することが可能となる。
【0040】
【表1】
【実施例0041】
(実施例6~9、比較例1~2)
表1に、入力ポート外側の距離17を200μmとすると共に、入力光導波路の直線部分長さ12(直線長さ12)、合波器長さ14及び出力光導波路長さ15の合計を2690μmとした場合の、入力ポート18の隣接する中心軸間の距離16(入力ポート間距離16)、及び入力光導波路の曲線部分長さ13(曲線長さ13)が異なる実施例6~9、比較例1~2の光合波回路の形状について、それぞれの幅及び長さ(図1~3の合成光生成装置の上面図の前記光合波回路における上下距離及び左右長さ)をA及びBとして算出し、それぞれの前記光合波回路の面積(A×B)を算出した結果を示す。
【0042】
入力ポート間距離16が小さくなるほど、入力光導波路間の距離が小さくなるため、入力光導波路の曲線部分長さ13(曲線長さ13)を小さくすることができる。また、前述したように現在市販されているレーザダイオード本体の最小幅は約100μmであることから、隣接するレーザダイオード本体間の冷却のための距離を少なくとも50μmと仮定して、入力ポート間距離16の最小値は150μmとした(実施例6)。そして、従来の入力ポート間距離16は750μm以上とした(比較例1、2)。各実施例及び比較例の入力ポート間距離16に応じて、シミュレーション解析を行い、入力光導波路の曲線部分長さ13における漏洩光が発生しない最小値を算出した。
【0043】
表1における前記光合波回路の面積について、実施例6~9は、比較例1~2に比較して小さくなることが明らかとなった。特に実施例6は、比較例1、2に対し、それぞれ1/3以下、1/4以下となることから、合成光生成装置について、さらなる小型化を実現すると共に、さらなる小型化に伴う生産性向上により製造コストを低減できることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の合成光生成装置は、眼鏡型端末や携帯型プロジェクタ等の画像投影装置の光源として用いることができ、さらなる小型化を実現すると共に、さらなる小型化に伴う生産性向上により製造コストを低減することができる。
【符号の説明】
【0045】
101、102、103、104、105 合成光生成装置
2 サブマウント
3 赤色光レーザダイオード
4 緑色光レーザダイオード
5 青色光レーザダイオード
6 入力光導波路
7 光合波器
8 出力光導波路
9 クラッド
10 コア
11 ベース基板
12 入力光導波路の直線部分長さ
13 入力光導波路の曲線部分長さ
14 光合波器長さ
15 出力光導波路長さ
16 入力ポート間の隣接する中心軸間の距離
17 入力ポート外側の距離
18 入力ポート
19 出力ポート
20 平行四辺形反射溝
21 三角形反射溝
22 光合波回路基板
23 光合波回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
(実施例6~9、比較例1~2)
表1に、入力ポート外側の距離17を200μmとすると共に、入力光導波路の直線部分長さ12(直線長さ12)、合波器長さ14及び出力光導波路長さ15の合計を3600μmとした場合の、入力ポート18の隣接する中心軸間の距離16(入力ポート間距離16)、及び入力光導波路の曲線部分長さ13(曲線長さ13)が異なる実施例6~9、比較例1~2の光合波回路の形状について、それぞれの幅及び長さ(図1~3の合成光生成装置の上面図の前記光合波回路における上下距離及び左右長さ)をA及びBとして算出し、それぞれの前記光合波回路の面積(A×B)を算出した結果を示す。