(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058388
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】物体推定装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/42 20060101AFI20240418BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20240418BHJP
G01S 13/28 20060101ALI20240418BHJP
G01S 7/02 20060101ALI20240418BHJP
G01S 13/87 20060101ALI20240418BHJP
G01S 13/91 20060101ALI20240418BHJP
B61L 23/00 20060101ALN20240418BHJP
【FI】
G01S13/42
G01S13/931
G01S13/28 200
G01S7/02 216
G01S13/87
G01S13/91
B61L23/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165719
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清澤 大地
(72)【発明者】
【氏名】安藤 勝彦
【テーマコード(参考)】
5H161
5J070
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161MM05
5H161MM14
5H161NN11
5J070AB08
5J070AC01
5J070AC04
5J070AD10
5J070AE01
5J070AE03
5J070AE09
5J070AF01
5J070AH35
5J070AK15
(57)【要約】
【課題】レーダ装置において、或る物体の影響によりその物体よりも反射強度の低い物体が検知されなくなることを防止する。
【解決手段】指示部111は、レーダ2に第1走査を指示する。取得部112は、第1走査によるIF信号を取得する。適用部113は、IF信号に第1窓関数を適用する。変換部114は、第1窓関数が適用されたIF信号に対して離散フーリエ変換をして周波数成分を抽出する。推定部115は、周波数成分に基づいて、高強度物体の方向を推定する。指示部111は、推定した高強度物体の方向を除外した領域に対する第2走査をレーダ2に指示する。取得部112は、第2走査によるIF信号を取得する。適用部113は、IF信号に第2窓関数を適用する。変換部114は、第2窓関数が適用されたIF信号に対して離散フーリエ変換をして周波数成分を抽出する。推定部115は、周波数成分に基づいて、低強度物体の方向を推定する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダの受信信号に第1窓関数を適用して第1物体の方向を推定し、該方向を避けて再走査したレーダの再走査受信信号に前記第1窓関数よりも分解能が低い第2窓関数を適用して前記第1物体よりも反射強度の低い第2物体の方向を推定する物体推定装置。
【請求項2】
被走査領域の周囲の異なる位置に配置された2以上のフェーズドアレイレーダの受信信号を用いて、前記第1物体及び前記第2物体の方向を推定する請求項1に記載の物体推定装置。
【請求項3】
前記第1物体の方向を推定した後、前記第2物体の方向を推定する処理を複数回にわたって繰り返し、前記方向が連続して推定される回数が所定条件を満たさない場合に、推定を取り消す請求項1又は2に記載の物体推定装置。
【請求項4】
前記受信信号に前記第1窓関数を適用しフーリエ変換をすることにより前記第1物体までの距離を推定し、前記再走査受信信号に前記第2窓関数を適用しフーリエ変換をすることにより前記第2物体までの距離を推定する請求項1又は2に記載の物体推定装置。
【請求項5】
前記レーダはチャープ信号を発信し、発信した該チャープ信号と受信信号とを組合せた中間周波数信号にフーリエ変換をすることにより前記距離を推定する請求項4に記載の物体推定装置。
【請求項6】
前記第1窓関数はハミング窓関数であり、前記第2窓関数はブラックマン窓関数である請求項1又は2に記載の物体推定装置。
【請求項7】
コンピュータに、
レーダの受信信号に第1窓関数を適用して第1物体の方向を推定するステップと、
前記方向を避けて再走査したレーダの再走査受信信号に前記第1窓関数よりも分解能が低い第2窓関数を適用して前記第1物体よりも反射強度の低い第2物体の方向を推定するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体推定装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダ装置による計測方式にTOF(Time of Flight)方式がある。TOF方式は、送信した電磁波が対象物に当たって反射し戻ってくるまでの時間を用いてその対象物までの距離を計測する方式である。送信する電磁波はパルス波が用いられることもあるが、分解能を向上させるため、パルス波に周波数変調をかけたチャープ信号を用いるパルス圧縮と呼ばれる技術も多く用いられている。レーダ装置による物体の位置の推定は、例えば踏切内の支障物を検知すること等に適用されている。
【0003】
レーダ装置における信号処理については、様々な技術が開発されている。例えば、特許文献1は、チャープ信号を送信する合成開口レーダの受信信号をフーリエ変換して得られた周波数領域データから、外来干渉波を除去するための周波数マスクの周波数に対応する値を取り除きパルス圧縮して、そのデータに分解能劣化かサイドローブ増加のいずれが発生するかを判別して、複数の窓関数の中から判別結果に応じた1つの窓関数を選択して乗算し、逆フーリエ変換して時間領域信号を得る信号処理方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、レーダ装置を用いて、例えば踏切内を監視する場合、監視すべき領域は、車両同士が衝突する危険性のある領域(以下、危険領域ともいう)である。この危険領域は、例えば、列車が通過する軌道、及び/又は自動車が通過する車道に相当する領域等である。
【0006】
一方、踏切内において、これらの危険領域に属しない安全な領域(以下、安全領域ともいう)には、例えば、中央分離帯、及び軌道間のスペース等が上げられる。安全領域には、例えば、配電盤、電柱、植樹帯、広告・看板等の物体が設置されていることがある。
【0007】
これら安全領域に、比較的、反射強度の高い物体(以下、高強度物体、又は第1物体ともいう)が設置されていると、この高強度物体によって反射された電磁波が他の物体から反射された電磁波と干渉し、他の物体の検知を妨げることがある。
【0008】
例えば、レーダ装置によって送信された電磁波のメインローブの方向に比較的、反射強度の低い物体(以下、低強度物体、又は第2物体ともいう)が侵入していたとしても、安全領域に設置された高強度物体が、その電磁波のサイドローブの方向で検知されると、その影響によって、この低強度物体は見落とされてしまうことがある。
【0009】
この場合、特許文献1に示すように窓関数を用いることで分解能を向上させることが考えられる。しかし、レーダの信号処理において、サイドローブの低減と分解能の向上とはトレードオフの関係にある。そのため、分解能の向上には、サイドローブの許容条件に応じた限界が存在する。また、特許文献1に示す技術は、単に選択された一つの窓関数を適用するに過ぎないため、決められた範囲へ侵入した物体を検知する場合、その範囲内に元から存在している高強度物体の影響を排除することが困難である。
【0010】
また、安全領域に設置された物体は、工事等で移動することがあり、移動することがなくても季節、天候、時間帯等に応じて反射強度が変わることもある。
【0011】
さらに、危険領域内に高強度物体と低強度物体とが共存している場合にも、低強度物体は、高強度物体の影響で検知されなくなることがある。ここで、危険領域内に高強度物体のみが検知されたときと、高強度物体、及び低強度物体の双方が検知されたときとで警報の種類を変えなければならない場合、後者を前者と区別して検知することは困難である。
【0012】
本発明の目的の一つは、レーダ装置において、或る物体の影響によりその物体よりも反射強度の低い物体が検知されなくなることを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、レーダの受信信号に第1窓関数を適用して第1物体の方向を推定し、該方向を避けて再走査したレーダの再走査受信信号に前記第1窓関数よりも分解能が低い第2窓関数を適用して前記第1物体よりも反射強度の低い第2物体の方向を推定する物体推定装置、を第1の態様として提供する。
【0014】
第1の態様の物体推定装置によれば、或る物体の影響によりその物体よりも反射強度の低い物体が検知されなくなることを防止することができる。
【0015】
第1の態様の物体推定装置において、被走査領域の周囲の異なる位置に配置された2以上のフェーズドアレイレーダの受信信号を用いて、前記第1物体及び前記第2物体の方向を推定する、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0016】
第2の態様の物体推定装置によれば、1つのフェーズドアレイレーダの受信信号を用いる場合に比べて、被走査領域の死角が縮小される。
【0017】
第1又は第2の態様の物体推定装置において、前記第1物体の方向を推定した後、前記第2物体の方向を推定する処理を複数回にわたって繰り返し、前記方向が連続して推定される回数が所定条件を満たさない場合に、推定を取り消す、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0018】
第3の態様の物体推定装置によれば、再走査受信信号で第2物体が誤検知されることが防止される。
【0019】
第1又は第2の態様の物体推定装置において、前記受信信号に前記第1窓関数を適用しフーリエ変換をすることにより前記第1物体までの距離を推定し、前記再走査受信信号に前記第2窓関数を適用しフーリエ変換をすることにより前記第2物体までの距離を推定する、という構成が第4の態様として採用されてもよい。
【0020】
第4の態様の物体推定装置によれば、時間領域で窓関数が適用された受信信号をフーリエ変換することによって得られた周波数領域の成分に基づいて、物体までの距離が推定される。
【0021】
第4の態様の物体推定装置において、前記レーダはチャープ信号を発信し、発信した該チャープ信号と受信信号とを組合せた中間周波数信号にフーリエ変換をすることにより前記距離を推定する、という構成が第5の態様として採用されてもよい。
【0022】
第5の態様の物体推定装置によれば、チャープ信号を用いない場合に比べて分解能が向上する。
【0023】
第1又は第2の態様の物体推定装置において、前記第1窓関数はハミング窓関数であり、前記第2窓関数はブラックマン窓関数である、という構成が第6の態様として採用されてもよい。
【0024】
第6の態様の物体推定装置によれば、ハミング窓関数の適用により第1物体までの距離が推定され、ブラックマン窓関数の適用により第2物体までの距離が推定される。
【0025】
本発明は、コンピュータに、レーダの受信信号に第1窓関数を適用して第1物体の方向を推定するステップと、前記方向を避けて再走査したレーダの再走査受信信号に前記第1窓関数よりも分解能が低い第2窓関数を適用して前記第1物体よりも反射強度の低い第2物体の方向を推定するステップと、を実行させるためのプログラム、を第7の態様として提供する。
【0026】
第7の態様のプログラムによれば、或る物体の影響によりその物体よりも反射強度の低い物体が検知されなくなることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態に係る物体推定システム9の構成の例を示すブロック図。
【
図3】2つのレーダ2のそれぞれが監視する領域の例を示す図。
【
図9】第1走査及び第2走査のそれぞれにおける被走査領域Rの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<実施形態>
<物体推定システムの構成>
図1は、本発明の実施形態に係る物体推定システム9の構成の例を示すブロック図である。
図1に示す物体推定システム9は、物体推定装置1、通信回線3、及び管理装置4を有する。また、この物体推定システム9は、物体推定装置1に接続されたレーダ2a及びレーダ2b(以下、これらを区別しない場合、単に「レーダ2」という)を有する。また、この物体推定システム9は、管理装置4に接続された遮断機5a及び遮断機5b(以下、これらを区別しない場合、単に「遮断機5」という)を有する。なお、これらの構成は、物体推定システム9において、いずれも複数であってもよいし、1つであってもよい。
【0029】
物体推定装置1は、決められた空間を監視するレーダ2を制御して、このレーダ2が受信した信号(以下、受信信号ともいう)に対して信号処理を行うことにより、空間内における物体の方向、及びその物体までの距離を推定する装置である。物体推定装置1は、例えばコンピュータである。
【0030】
レーダ2は、電磁波を送受信してTOF方式により物体までの距離と方向に応じた信号を出力する装置である。
図1に示すレーダ2は、決められた位置に配列された複数のアンテナ素子を有するフェーズドアレイレーダである。フェーズドアレイレーダは、各アンテナから送信する電磁波の位相を制御することによりビーム走査をすることができるため、機械的走査に比べて走査が速いという特徴がある。
【0031】
通信回線3は、有線又は無線により物体推定装置1と管理装置4とを通信可能に接続する回線である。通信回線3は、例えばLAN(Local Area Network)のほか、WAN(Wide Area Network)であってもよいし、インターネットであってもよいし、これらの組合せであってもよい。また、通信回線3は、公衆交換通信網(PSTN:Public Switched Telephone Networks)、サービス統合デジタル網(ISDN:Integrated Services Digital Network)等を含むものでもよい。
【0032】
遮断機5は、鉄道と道路とが平面交差する踏切の領域において、軌道に列車が侵入するときに車道を遮断する機器である。遮断機5は、管理装置4により制御される。
【0033】
管理装置4は、踏切に設置された遮断機5、及び遮断機5に付随する警報機等を制御・管理する装置である。管理装置4は、軌道における列車の位置を把握し、その位置に応じて、遮断機5を制御する。列車の位置の把握は、例えば、軌道に沿って設けられたセンサ、列車に設けられた測位装置等により行われる。この管理装置4は、例えば、踏切ごとに、又は駅ごとに設置されてもよい。また、この管理装置4は、複数の踏切に設置された各遮断機5を一括して管理する中央管理装置であってもよい。
【0034】
また、
図1に示す管理装置4は、物体推定装置1と通信回線3経由で通信可能に接続される。この管理装置4は、踏切に列車が侵入する前にその踏切に設置された遮断機5を作動させ車道を遮断するとともに、その旨を物体推定装置1に通知する。物体推定装置1は、管理装置4から通信回線3経由で上述した通知を受取ると、レーダ2を作動させ、踏切内に侵入した支障物の有無を判断する。なお、物体推定装置1は、この通知を受取らなくてもよい。この場合、物体推定装置1は、常時、レーダ2を作動させ、踏切内を監視してもよい。
【0035】
図2は、踏切におけるレーダ2の配置の例を示す図である。
図2に示すレーダ2は、被走査領域Rの周囲の異なる位置にそれぞれ配置されたレーダ2a、及びレーダ2bである。ここで被走査領域Rは、レーダ2によって走査される領域である。被走査領域Rは、軌道と車道とが平面交差する踏切の領域を含む。遮断機5a、及び遮断機5bは、列車が踏切の領域に侵入する前から自動車Cが被走査領域Rに入り込まないようにそれぞれ車道を遮断する。そして、遮断機5a、及び遮断機5bは、列車が踏切の領域から脱出した後に車道の遮断を中止する。
【0036】
図3は、2つのレーダ2のそれぞれが監視する領域の例を示す図である。
図3に示すレーダ2aは、電磁波のビームを走査させることにより監視領域Raを監視する。レーダ2bは、監視領域Rbを監視する。監視領域Ra、及び監視領域Rbは、いずれもレーダ2a、レーダ2bをそれぞれ中心とする所定角度、及び所定半径内の扇状の領域である。被走査領域Rは、監視領域Ra、及び監視領域Rbの和集合によって網羅される。
【0037】
レーダ2aとレーダ2bとは異なる位置に配置されているため、相互に死角を補うことができる。また、監視領域Raと監視領域Rbとが重複する領域は、一方において高強度物体の影響により低強度物体の検出が困難となっても、他方において受信方向が異なるため、その低強度物体の検出が可能になる場合がある。
【0038】
このように、2以上のレーダ2を被走査領域Rの周囲の異なる位置に配置することで、物体推定装置1は、いずれかのレーダ2にとって監視できない領域・物体の監視を他のレーダ2により行う。特にレーダ2がフェーズドアレイレーダである場合、この2以上のレーダ2を制御する物体推定装置1は、被走査領域の周囲の異なる位置に配置された2以上のフェーズドアレイレーダの受信信号を用いて、第1物体及び第2物体の方向を推定する物体推定装置の例である。
【0039】
<物体推定装置の構成>
図4は、物体推定装置1の構成の例を示す図である。物体推定装置1は、プロセッサ11、メモリ12、及び通信部13を有する。これらは、バスにより相互に通信可能に接続されている。
【0040】
メモリ12は、プロセッサ11に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を有する。なお、メモリ12は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等を有してもよい。
【0041】
プロセッサ11は、メモリ12からプログラムを読出して実行することにより物体推定装置1を制御する。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。また、プロセッサ11は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)であってもよいし、FPGAを含んでもよい。また、このプロセッサは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又は他のプログラマブル論理デバイスを有し、これらによって制御を行ってもよい。
【0042】
通信部13は、有線又は無線により物体推定装置1を、レーダ2に通信可能に接続する通信回路である。また、通信部13は、有線又は無線により通信回線3経由で管理装置4に通信可能に接続する通信回路である。この通信部13は、これらの他に各種の外部装置を物体推定装置1に接続してもよい。
【0043】
<レーダの構成>
図5は、レーダ2の構成の例を示す図である。レーダ2は、アレイアンテナ20、発振器21、変調部22、送信部23、切替部24、受信部25、増幅部26、復調部27、及び通信部28を有する。
【0044】
アレイアンテナ20は、決められた位置にそれぞれ配列された複数のアンテナ素子(放射素子)により構成されるアンテナである。複数のアンテナ素子の配列方法は、例えば直線状、円形状、格子状等である。
【0045】
発振器21は、コヒーレントな電磁波を発振するデバイスである。発振器21により発振される電磁波は、例えば、マイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波等である。
【0046】
変調部22は、発振器21により発振される電磁波を周波数変調して、チャープ信号を得る機器である。このチャープ信号は、時間に対して周波数が決められた割合で増加・減少する線形チャープ信号でもよいが、非線形チャープ信号でもよい。変調部22には、例えば、電気信号を超音波振動に変換して遅延特性を持たせる表面音響波(SAW;Surface Acoustic Wave)デバイス等が用いられる。
【0047】
送信部23は、物体推定装置1の指示に基づいてアレイアンテナ20を制御して、変調部22により生成されたチャープ信号を被走査領域Rに向けて送信する。物体推定装置1は、アレイアンテナ20を構成する各アンテナ素子に、それぞれビームの走査方向に応じた位相のチャープ信号を送信させる。これにより、アレイアンテナ20は、決められた方向にチャープ信号を示す電磁波を送信する。
【0048】
切替部24は、例えばサーキュレータであり、アレイアンテナ20による送信・受信機能を時分割で切替える。受信部25は、物体に当たって反射した電磁波を受信したアレイアンテナ20からその電磁波を示す受信信号を取得する。増幅部26は、受信部25が受信した受信信号を増幅する。
【0049】
復調部27は、例えば増幅部26により増幅された受信信号を検波、復調する。この復調は、変調部22による周波数変調に対応する復調である。復調部27は、例えばミキサ等を有し、送信部23により送信された信号(送信信号という)を用いて受信信号を中間周波数信号(以下、IF信号ともいう)に変換する。受信信号はIF信号に変換されることにより、パルス圧縮が行われる。
【0050】
通信部28は、復調部27により変換されたIF信号を物体推定装置1に送信する。また、通信部28は、物体推定装置1からレーダ2を制御するための制御信号を受信する。
【0051】
<物体推定装置の機能的構成>
図6は、物体推定装置1の機能的構成の例を示す図である。物体推定装置1のプロセッサ11は、メモリ12に記憶されたプログラムを読み込んで実行することにより、指示部111、取得部112、適用部113、変換部114、及び推定部115として機能する。
【0052】
指示部111は、通信部13を介してレーダ2に被走査領域Rの全体に対する走査(以下、第1走査ともいう)をするよう指示する。レーダ2は、この指示を受けてこの第1走査を行い、受信信号からIF信号を生成する。
【0053】
取得部112は、通信部13を介してレーダ2から第1走査によるIF信号を取得する。適用部113は、取得部112が取得したIF信号が第1走査により得られたものであるとき、このIF信号に第1の窓関数(以下、第1窓関数ともいう)を適用する。第1窓関数は、ダイナミックレンジよりも周波数分解能を優先した窓関数である。
【0054】
窓関数は、例えば、以下の例が挙げられる。矩形窓は、時間領域の原信号を或る区間にわたって切り出すとともに、その区間以外の値を0とする窓である。矩形窓を表した窓関数を矩形窓関数という。矩形窓関数は、区間を[0,1]としたときに次の式(1)で表される。
【0055】
【0056】
ハミング窓は、比較的、周波数分解能が高い反面、ダイナミックレンジが狭い窓の一つである。ハミング窓は分解能が良いため、物体の位置推定を正確に推定できるが、ダイナミックレンジが狭いため、反射強度が低い低強度物体を検知し難くなる。ハミング窓を表した窓関数(ハミング窓関数という)は、区間を[0,1]としたときに次の式(2)で表される。
【0057】
【0058】
ブラックマン窓は、ハミング窓に比べて周波数分解能が低いが、ダイナミックレンジが広い窓の一つである。ブラックマン窓はダイナミックレンジが広いため、低強度物体でも検知できるが、分解能が悪いので、位置推定の精度が低くなる。ブラックマン窓を表した窓関数(ブラックマン窓関数という)は、区間を[0,1]としたときに次の式(3)で表される。
【0059】
【0060】
矩形窓は反射強度が約13dB差の物体を検知することができるのに対し、ハミング窓は約40dB差、ブラックマン窓は約60dB差の物体を検知することができる。矩形窓の分解能を1とすると、ハミング窓の分解能は約1.5であり、ブラックマン窓の分解能は約1.93である。
【0061】
第1走査により得られたIF信号に対して適用部113が適用する第1窓関数は、ダイナミックレンジの広さよりも周波数分解能の高さを優先するため、例えば、ハミング窓関数である。
【0062】
変換部114は、第1窓関数が適用されたIF信号に対して離散フーリエ変換をして周波数成分を抽出する。離散フーリエ変換には、例えば、高速フーリエ変換が用いられる。
【0063】
推定部115は、変換部114により得られた周波数成分に基づいて、検知された物体の方向と、この物体までの距離とを推定する。第1走査により得られて第1窓関数が適用されたIF信号から抽出された周波数成分は、第1窓関数のダイナミックレンジが比較的狭いため、高強度物体の方向と距離とを示している。推定部115は、推定した高強度物体の方向・距離をメモリ12に記憶する。また、推定部115は、推定した高強度物体の方向・距離を指示部111に伝える。
【0064】
指示部111は、推定部115から高強度物体の方向を伝えられると、被走査領域Rの全体からこの方向を除外した領域に対する再走査(以下、第2走査ともいう)をするよう指示する。レーダ2は、この指示を受けてこの第2走査を行い、受信信号からIF信号を生成する。
【0065】
取得部112は、通信部13を介してレーダ2から第2走査によるIF信号を取得する。適用部113は、取得部112が取得したIF信号が第2走査により得られたものであるとき、このIF信号に第2の窓関数(以下、第2窓関数ともいう)を適用する。第2窓関数は、第1窓関数と比較して、ダイナミックレンジが広く、周波数分解能が低い窓関数である。第2走査により得られたIF信号に対して適用部113が適用する第2窓関数は、例えば、ブラックマン窓関数である。
【0066】
変換部114は、第2窓関数が適用されたIF信号に対して離散フーリエ変換をして周波数成分を抽出する。推定部115は、変換部114により得られた周波数成分に基づいて、検知された物体の方向と、この物体までの距離とを推定する。第2窓関数が適用されたIF信号から抽出された周波数成分は、第2走査により予め高強度物体の方向が避けられているため、低強度物体の方向と距離とを示している。推定部115は、推定した低強度物体の方向・距離をメモリ12に記憶する。
【0067】
つまり、これらの機能を実現する物体推定装置1は、レーダの受信信号に第1窓関数を適用して第1物体の方向を推定し、この方向を避けて再走査したレーダの再走査受信信号に第1窓関数よりも分解能が低い第2窓関数を適用して前記第1物体よりも反射強度の低い第2物体の方向を推定する物体推定装置の例である。そして、この物体推定装置1において用いられる第1窓関数はハミング窓関数であり、第2窓関数はブラックマン窓関数である。
【0068】
また、この物体推定装置1は、受信信号に第1窓関数を適用しフーリエ変換をすることにより第1物体までの距離を推定し、再走査受信信号に第2窓関数を適用しフーリエ変換をすることにより第2物体までの距離を推定する物体推定装置の例である。
【0069】
また、この物体推定装置1は、レーダがチャープ信号を発信し、発信したこのチャープ信号と受信信号とを組合せた中間周波数信号にフーリエ変換をすることにより距離を推定する物体推定装置の例である。
【0070】
<距離画像センサの動作>
<全体の処理>
物体推定装置1のプロセッサ11は、被走査領域Rの全体を走査する第1走査をステップS100として行い、続いて、被走査領域Rのうち、第1走査で推定された高強度物体の方向を避けた領域を再走査する第2走査をステップS200として行う。
【0071】
<第1走査の処理>
図7は、第1走査の動作の流れの例を示すフロー図である。この第1走査の処理は、上述したステップS100である。物体推定装置1のプロセッサ11は、被走査領域Rのうち走査されていない方向を決定し(ステップS101)、この方向に向けてレーダ2により電磁波を送信する(ステップS102)。そして、プロセッサ11は、レーダ2により電磁波を受信する(ステップS103)。受信した電磁波には、送信した電磁波が物体に当たって反射した反射波が含まれる。
【0072】
プロセッサ11は、送信した電磁波が示す送信信号を組合せることによって、受信信号をIF信号に変換する(ステップS104)。受信信号がIF信号に変換されると、プロセッサ11は、このIF信号のピークが閾値以上であるか否か判断する(ステップS105)。
【0073】
プロセッサ11がIF信号のピークと比較する閾値は、例えば、レーダ2の送信する電磁波の出力に約30dB(デシベル)を加算した値である。つまり、レーダ2の送信する電磁波の出力が約50dBである場合、ピークと比較される閾値は約80dBである。
【0074】
物体推定装置1は、踏切内に侵入した人間を検知する必要がある。送信した電磁波に対して人間により反射された反射波の強度の比、すなわち反射損失は、約-10dBである。一方、第1窓関数であるハミング窓関数を適用すると、物体推定装置1は、約40dB差までの反射波までしか検知できない。したがって受信信号のピークが約+30dB以上の高強度物体が検知されると、物体推定装置1は、ハミング窓関数を適用した受信信号から人間を検知することができなくなる。
【0075】
IF信号のピークが閾値以上である、と判断する場合(ステップS105;YES)、プロセッサ11は、IF信号に対して第1窓関数を適用し(ステップS106)、フーリエ変換を施して、これを周波数領域へ変換する(ステップS107)。
【0076】
そして、プロセッサ11は、周波数領域に変換された信号に基づいて、高強度物体(つまり、第1物体)までの距離と方向とを推定し、メモリ12に記憶する(ステップS108)。
【0077】
一方、ステップS105において、IF信号のピークが閾値以上でない、と判断する場合(ステップS105;NO)、プロセッサ11は、IF信号に対して第1窓関数よりも周波数分解能が低い第2窓関数を適用し(ステップS109)、フーリエ変換を施して、これを周波数領域へ変換する(ステップS110)。
【0078】
そして、プロセッサ11は、周波数領域に変換された信号に基づいて、低強度物体(つまり、第2物体)までの距離と方向とを推定し、メモリ12に記憶する(ステップS111)。
【0079】
ステップS108、及びステップS111の処理がそれぞれ終了すると、プロセッサ11は、走査が一巡したか否かを判断する(ステップS112)。走査が一巡していない、と判断する場合(ステップS112;NO)、プロセッサ11は、処理をステップS101に戻す。
【0080】
一方、走査が一巡した、と判断する場合(ステップS112;YES)、プロセッサ11は、この第1走査の処理を終了する。
【0081】
<第2走査の処理>
図8は、第2走査の動作の流れの例を示すフロー図である。この第2走査の処理は、上述したステップS200である。物体推定装置1のプロセッサ11は、被走査領域Rのうち走査されていない方向を決定し(ステップS201)、この方向が第1走査で推定された第1物体の方向であるか否かを判断する(ステップS202)。決定した方向が第1物体の方向である、と判断する場合(ステップS202;YES)、プロセッサ11は、処理をステップS209に進める。
【0082】
このとき、プロセッサ11は、ステップS203からステップS208までの処理を行わないため、第1走査において推定された第1物体の方向は第2走査において避けられ、この方向から届く電磁波は解析されない。
【0083】
一方、決定した方向が第1物体の方向でない、と判断する場合(ステップS202;NO)、プロセッサ11は、この方向に向けてレーダ2により電磁波を送信し(ステップS203)、レーダ2により電磁波を受信する(ステップS204)。
【0084】
そして、プロセッサ11は、送信した電磁波が示す送信信号を組合せることによって、受信信号をIF信号に変換する(ステップS205)。受信信号がIF信号に変換されると、プロセッサ11は、このIF信号に対して第2窓関数を適用し(ステップS206)、フーリエ変換を施して、これを周波数領域へ変換する(ステップS207)。
【0085】
そして、プロセッサ11は、周波数領域に変換された信号に基づいて、検知された物体までの距離と方向とを推定し、メモリ12に記憶する(ステップS208)。このとき検知される物体は、高強度物体の方向を避けた再走査において検知されているので、高強度物体よりも反射強度の低い低強度物体(つまり、第2物体)である。
【0086】
図9は、第1走査及び第2走査のそれぞれにおける被走査領域Rの例を示す図である。レーダ2aは、第1走査を行うに際して、例えば
図9の(a)に示すように監視領域Raを走査していき、方向L1を走査したときに高強度物体J1を検知する。この高強度物体J1は、列車等と衝突する危険性のない安全領域Rsに予め設置されている物体であり、例えば配電盤である。第1走査では、受信信号に周波数分解能の比較的高い第1窓関数が適用されるため、高強度物体J1の位置は比較的正確に把握される。一方、第1窓関数の適用により受信信号のダイナミックレンジは狭められるため、高強度物体J1の反射波の影響によって、例えば
図9の(a)に示す低強度物体J2は検知されなくなる。この低強度物体J2は、列車等と衝突する危険性のある危険領域Rcに存在しており、警報を発する必要がある。
【0087】
第2走査において、レーダ2aは、例えば
図9の(b)に示すように物体推定装置1の制御の下、先に第1走査で検知された高強度物体J1の存在する方向L1を含む領域Rpを避けて監視領域Raを再走査する。その結果、上述した低強度物体J2は、高強度物体J1の反射波の影響を受けることない。また、第2走査においては受信信号にダイナミックレンジの比較的広い第2窓関数が適用されるため、この低強度物体J2は、比較的反射強度が低くても検知される。
【0088】
次に、プロセッサ11は、
図8に示す通り、走査が一巡したか否かを判断する(ステップS209)。走査が一巡していない、と判断する場合(ステップS209;NO)、プロセッサ11は、処理をステップS201に戻す。
【0089】
一方、走査が一巡した、と判断する場合(ステップS209;YES)、プロセッサ11は、この第2走査の処理を終了する。
【0090】
以上、説明した処理を実行することにより、物体推定装置1は、レーダ2を制御して第1走査を行い、取得した受信信号にハミング窓関数を適用することで高強度物体の位置を検知する。そして、その後、物体推定装置1は、高強度物体の無い場所を再走査する第2走査を行い、再走査の結果をブラックマン窓関数等の第2窓関数で処理するため、第1走査で検知できなかった低強度物体も検知する。
【0091】
また、この物体推定装置1は、第1走査により取得した受信信号のピークを閾値と比較して、閾値以上のピークがないと判断した場合に、走査している方向に高強度物体がないと見做して、ダイナミックレンジが広く低強度物体の検知に適した第2窓関数を受信信号に適用する。
【0092】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさ及び配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。したがって、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0093】
<変形例>
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例は組み合わされてもよい。
【0094】
<1>
上述した実施形態において、プロセッサ11は、第1走査の後、第2走査を一回だけ行っているが、第2走査を複数回にわたって繰り返し行ってもよい。この場合、低強度物体の方向が連続して推定される回数が決められた条件を満たさないとき、物体推定装置1は、低強度物体の方向の推定を取り消してもよい。
【0095】
例えば、物体推定装置1は、第1走査の後、第1走査で推定された高強度物体の方向を避けた第2走査を5回行う。そして物体推定装置1は、5回の第2走査のうち3回以上、連続して共通の方向に低強度物体が推定されない場合、つまり連続しても高々3回未満しか推定されなかった方向の情報を取り消す。これにより、物体推定装置1は、受信機器のゆらぎ等による誤検知を検知結果から除外することができる。
【0096】
この変形例における物体推定装置1は、第1物体の方向を推定した後、第2物体の方向を推定する処理を複数回にわたって繰り返し、方向が連続して推定される回数が所定条件を満たさない場合に、推定を取り消す物体推定装置の例である。
【0097】
<2>
上述した実施形態において、プロセッサ11は、第2走査において高強度物体が検知されなかった場合に第2走査を一回のみで打ち切り、高強度物体が検知された場合に改めて高強度物体の方向を推定し直して、その方向を避けるように2回目の第2走査を行ってもよい。この場合、プロセッサ11は、高強度物体の検知がなくなるまで第2走査を繰り返し行ってもよい。
【0098】
<3>
上述した実施形態において、プロセッサ11は、第1窓関数にハミング窓関数を、第2窓関数にブラックマン窓関数を用いたが、これらの窓関数の選択はこの例に限らない。第1窓関数、及び第2窓関数に適用し得る他の窓関数としては、矩形窓、コサイン窓、ガウス窓、ハン窓、テューキー窓、カイザー窓、及びブラックマン-ハリス窓等をそれぞれ示す窓関数が例示される。
【0099】
<4>
上述した実施形態において、プロセッサ11は、フーリエ変換前の時間領域で、受信信号(原信号)への乗算により窓関数を適用していたが、フーリエ変換後の周波数領域で、畳み込み積分により窓関数を適用してもよい。
【0100】
<5>
上述した実施形態において、被走査領域Rは方位を変化させる一次元走査によって走査されてもよいし、方位と仰角とを変化させる二次元走査によって走査されてもよい。二次元走査を行う場合、物体推定装置1は、機械駆動によってレーダ2を方位角方向、又は仰角方向のいずれかに回転させてもよい。また、レーダ2は、幅の広いファンビームによって電磁波を仰角方向に送信してもよい。また、レーダ2は、物体で反射された反射波を含む電磁波を受信する際にデジタル・ビームフォーミング(DBF; Digital beam forming)を用いることで、指向方向が異なる複数の受信ビームを同時に形成してもよい。
【0101】
<6>
上述した実施形態において、プロセッサ11は、ステップS100で第1走査を、ステップS200で第2走査を、それぞれ行っていたが、ステップS100の中で第2走査を行ってもよい。この場合、プロセッサ11は、例えば、ステップS108で第1物体の方向を推定した後、推定したこの第1物体の方向を避けた再走査である第2走査をレーダ2に行わせ、それにより得られた受信信号に対してステップS109からステップS111までの処理を行ってもよい。
【0102】
<7>
上述した実施形態において、プロセッサ11の動作は、1つのプロセッサ11によって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサ11の各動作の順序は上述した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更されてもよい。
【0103】
<8>
上述した実施形態において、物体推定装置1のプロセッサ11によって実行されるプログラムは、磁気テープ及び磁気ディスク等の磁気記録媒体、光ディスク等の光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリ等の、コンピュータ装置が読取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムは、インターネット等の通信回線経由でダウンロードされてもよい。
【0104】
上述したプロセッサ11が実行するプログラムは、コンピュータに、レーダの受信信号に第1窓関数を適用して第1物体の方向を推定するステップと、推定したこの方向を避けて再走査したレーダの再走査受信信号に第1窓関数よりも分解能が低い第2窓関数を適用して第1物体よりも反射強度の低い第2物体の方向を推定するステップと、を実行させるためのプログラムの例である。
【符号の説明】
【0105】
1…物体推定装置、11…プロセッサ、111…指示部、112…取得部、113…適用部、114…変換部、115…推定部、12…メモリ、13…通信部、2、2a、2b…レーダ、20…アレイアンテナ、21…発振器、22…変調部、23…送信部、24…切替部、25…受信部、26…増幅部、27…復調部、28…通信部、3…通信回線、4…管理装置、5、5a、5b…遮断機、9…物体推定システム、J1…高強度物体、J2…低強度物体。