(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058397
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】インダクタ部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
H01F17/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165735
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(74)【代理人】
【識別番号】100190713
【弁理士】
【氏名又は名称】津村 祐子
(72)【発明者】
【氏名】國森 敬介
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AB01
5E070CB13
5E070CB17
(57)【要約】
【課題】インダクタ部品において、ビア配線と内部配線とのシェア強度を高める。
【解決手段】インダクタ部品は、第1内部配線と、第2内部配線と、前記第1内部配線と前記第2内部配線との間に配置され、前記第1内部配線側の第1主面、前記第2内部配線側の第2主面、および、前記第1主面と前記第2主面との間を貫通するビアを有する層間絶縁層と、前記ビアに挿通され、前記第1内部配線と前記第2内部配線とを電気的に接続するビア配線と、を備え、前記ビア配線の中心軸を含む第1断面において、前記第1主面は、前記第1内部配線と接触する第1部分を含み、前記第2主面は、前記第1部分に平行な第2部分を含み、前記第1部分を含む直線を第1基準線とし、前記第2部分を含む直線を第2基準線として、前記層間絶縁層は、前記第2内部配線に接し、かつ、前記第2基準線より前記第2内部配線側に位置する突起を備える。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1内部配線と、
第2内部配線と、
前記第1内部配線と前記第2内部配線との間に配置され、前記第1内部配線側の第1主面、前記第2内部配線側の第2主面、および、前記第1主面と前記第2主面との間を貫通するビアを有する層間絶縁層と、
前記ビアに挿通され、前記第1内部配線と前記第2内部配線とを電気的に接続するビア配線と、を備え、
前記ビア配線の中心軸を含む第1断面において、
前記第1主面は、前記第1内部配線と接触する第1部分を含み、
前記第2主面は、前記第1部分に平行な第2部分を含み、
前記第1部分を含む直線を第1基準線とし、
前記第2部分を含む直線を第2基準線として、
前記層間絶縁層は、前記第2内部配線に接し、かつ、前記第2基準線より前記第2内部配線側に位置する突起を備える、インダクタ部品。
【請求項2】
前記第1断面において、
前記ビアは、前記第1内部配線側の第1開口端と、前記第2内部配線側の第2開口端とを有し、
前記突起は、前記ビアの前記第2開口端を含み、前記ビアの内面の一部を構成している、請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項3】
前記突起の前記中心軸方向における最大高さは、前記第1基準線と前記第2基準線との間の前記中心軸方向における距離の5%以上30%以下である、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項4】
前記突起の前記中心軸に直交する方向における最大幅は、前記第1基準線と前記第2基準線との間の前記中心軸方向における距離の1%以上80%以下である、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項5】
前記層間絶縁層は、前記突起と、前記第2基準線より前記第1内部配線側に位置する本体部とを有し、
前記突起と前記本体部とは、一体的に形成されている、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項6】
前記第1断面において、
前記ビア配線は、前記中心軸に平行な方向において前記層間絶縁層と前記第1内部配線とに挟まれた、くさび部を有する、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項7】
前記ビアは、前記第1内部配線側の第1開口端と、前記第2内部配線側の第2開口端とを有し、
前記第1開口端を含み、前記中心軸に平行な直線を第3基準線として、
前記くさび部は、前記ビア配線の前記第3基準線に対して前記中心軸の反対側に位置し、
前記第1開口端から前記第3基準線と前記第1内部配線との交点まで間の前記くさび部の高さは、前記第1基準線と前記第2基準線との間の前記中心軸方向における距離の10%以上30%以下である、請求項6に記載のインダクタ部品。
【請求項8】
前記第1断面において、
前記第1主面は、前記ビア側の端部において、前記第1内部配線に接触しない第3部分を含み、
前記くさび部は、前記第3部分と前記第1内部配線との間に配置されている、請求項6に記載のインダクタ部品。
【請求項9】
前記第1断面において、
前記第3部分は、前記中心軸に向かうにしたがって、前記第1基準線との間の前記中心軸に平行な方向の距離が大きくなる傾斜部分を有する、請求項8に記載のインダクタ部品。
【請求項10】
前記第1断面において、
前記ビアの内面は、前記第1内部配線から前記第2内部配線に向かって前記ビアの前記中心軸に直交する方向の幅が大きくなる、傾斜部分を有する、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項11】
前記第1内部配線は、前記第1基準線より凹んだ凹部を有し、
前記ビア配線は、前記凹部に入り込む凸部を有する、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項12】
さらに、磁性層を含む素体を備え、
前記第1内部配線および前記第2内部配線は、前記素体内に設けられ、
前記第1内部配線および前記第2内部配線の少なくとも一方は、インダクタ配線である、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インダクタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品としては、特開2020-107877号公報(特許文献1)に記載されたものがある。従来の電子部品は、例えば、2つの内部配線と、これらの間に配置され、ビアを有する絶縁層と、ビアに挿通するビア配線と、を有する。ビア配線は、2つの内部配線を電気に接続している。ビアは、深さ方向に径が縮小するテーパー形状を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子部品では、ビア配線と内部配線とのシェア強度が十分ではなく、接続信頼性が低下する場合がある。
【0005】
本開示の目的は、ビア配線と内部配線とのシェア強度に優れるインダクタ部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本開示の一態様であるインダクタ部品は、
第1内部配線と、
第2内部配線と、
前記第1内部配線と前記第2内部配線との間に配置され、前記第1内部配線側の第1主面、前記第2内部配線側の第2主面、および、前記第1主面と前記第2主面との間を貫通するビアを有する層間絶縁層と、
前記ビアに挿通され、前記第1内部配線と前記第2内部配線とを電気的に接続するビア配線と、を備え、
前記ビア配線の中心軸を含む第1断面において、
前記第1主面は、前記第1内部配線と接触する第1部分を含み、
前記第2主面は、前記第1部分に平行な第2部分を含み、
前記第1部分を含む直線を第1基準線とし、
前記第2部分を含む直線を第2基準線として、
前記層間絶縁層は、前記第2内部配線に接し、かつ、前記第2基準線より前記第2内部配線側に位置する突起を備える。
【0007】
前記態様によれば、ビア配線と内部配線とのシェア強度を高めることができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様であるインダクタ部品によれば、ビア配線と内部配線とのシェア強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、インダクタ部品の第1実施形態を示す透視平面図である。
【
図4A】インダクタ部品の製造方法を説明する模式断面図である。
【
図4B】インダクタ部品の製造方法を説明する模式断面図である。
【
図4C】インダクタ部品の製造方法を説明する模式断面図である。
【
図4D】インダクタ部品の製造方法を説明する模式断面図である。
【
図4E】インダクタ部品の製造方法を説明する模式断面図である。
【
図4F】インダクタ部品の製造方法を説明する模式断面図である。
【
図4G】インダクタ部品の製造方法を説明する模式断面図である。
【
図4H】インダクタ部品の製造方法を説明する模式断面図である。
【
図4I】インダクタ部品の製造方法を説明する模式断面図である。
【
図4J】インダクタ部品の製造方法を説明する模式断面図である。
【
図4K】インダクタ部品の製造方法を説明する模式断面図である。
【
図4L】インダクタ部品の製造方法を説明する模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一態様であるインダクタ部品を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、図面は一部模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。
【0011】
(構成)
図1は、インダクタ部品の一実施形態を示す透視平面図である。
図2は、
図1のII-II断面図である。
図2は、ビア配線の中心軸AXを含むXZ断面を示す。XZ断面は、中心軸AXを含む第1断面の一例である。
図2では便宜上、後述する層間絶縁層の突起、ビア配線のくびれ部および凸部、第1パッド部の凹部、シード層を省略している。これらは、
図3A以降の図面にて示す。
【0012】
図中、インダクタ部品1の厚み方向をZ方向とする。インダクタ部品1のZ方向に直交する平面において、インダクタ部品1の長手方向であり、第1外部端子51および第2外部端子52が並ぶ方向である長さ方向をX方向とする。長さ方向に直交する方向であるインダクタ部品1の幅方向をY方向とする。XZ断面図は、インダクタ部品1を、X方向に延びる直線とZ方向に延びる直線とで形成され、ビア配線の中心軸AXを含む面で切断されることにより得られる。
【0013】
インダクタ部品1は、例えば、パソコン、DVDプレーヤー、デジタルカメラ、TV、携帯電話、カーエレクトロニクスなどの電子機器に搭載され、例えば全体として直方体形状の部品である。ただし、インダクタ部品1の形状は、特に限定されず、円柱状や多角形柱状、円錐台形状、多角形錐台形状であってもよい。
【0014】
図1と
図2に示すように、インダクタ部品1は、素体10と、インダクタ配線100と、絶縁層30と、第1垂直配線21および第2垂直配線22と、第1外部端子51および第2外部端子52とを有する。なお、
図1では、便宜上、外部端子を二点鎖線で描いている。また、
図1では、素体10および被覆膜60は、構造を容易に理解できるよう、透明に描かれているが、半透明や不透明であってもよい。
【0015】
素体10は、第1磁性層11と、第1磁性層11上に配置された基板70と、基板70上に配置された第2磁性層12とを有する。第1磁性層11と基板70と第2磁性層12は、インダクタ配線100および絶縁層30を挟むように、ビア配線212の中心軸AX方向に沿って積層されている。つまり、インダクタ配線100および絶縁層30は、素体10内に設けられている。素体10は、第1磁性層11と基板70と第2磁性層12との3層構造であるが、第1磁性層11および第2磁性層12の2層構造であってもよい。
【0016】
以下、上方向とは、第1ビア配線212の中心軸AX方向(あるいはZ方向)において、第1磁性層11から第2磁性層12に向かう方向をいう。要素の上面とは、要素の上方向の面をいう。下方向とは、第1ビア配線212の中心軸AX方向において、第2磁性層12から第1磁性層11に向かう方向をいう。要素の下面とは、要素の下方向の面をいう。
【0017】
幅方向とは、第1ビア配線212の中心軸AX方向に直交する方向であり、上記の通り、Y方向ともいう。要素の幅とは、幅方向の要素の長さをいう。高さ方向とは、第1ビア配線212の中心軸AX方向に平行な方向であり、上記の通り、Z方向ともいう。要素の高さとは、高さ方向の要素の長さをいう。
【0018】
インダクタ配線とは、平面上で延伸する曲線(2次元曲線)を意味し、ターン数が1周を超える曲線であってもよく、ターン数が1周未満の曲線であってもよく、または、一部に直線を有していてもよい。
【0019】
第1磁性層11および第2磁性層12は、樹脂と、樹脂内に含まれる磁性体としての金属磁性粉とを有する。したがって、フェライトからなる磁性層と比較して、金属磁性粉により直流重畳特性を向上でき、樹脂により金属磁性粉間が絶縁されるので、高周波でのロス(鉄損)が低減される。
【0020】
樹脂は、例えば、エポキシ系、ポリイミド系、フェノール系、ビニルエーテル系の何れかの樹脂を含む。これにより、絶縁信頼性が向上する。より具体的には、樹脂は、エポキシもしくはエポキシとアクリルの混合体もしくはエポキシ、アクリルとその他の混合体である。これにより、金属磁性粉間の絶縁性を担保することで、高周波でのロス(鉄損)を小さくできる。
【0021】
金属磁性粉の平均粒径は、例えば0.1μm以上5μm以下である。インダクタ部品1の製造段階においては、金属磁性粉の平均粒径を、レーザ回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%に相当する粒径として算出することができる。金属磁性粉は、例えば、FeSiCrなどのFeSi系合金、FeCo系合金、NiFeなどのFe系合金、または、それらのアモルファス合金である。金属磁性粉の含有率は、好ましくは、磁性層全体に対して、20vol%以上70vol%以下である。金属磁性粉の平均粒径が5μm以下である場合、直流重畳特性がより向上し、微粉によって高周波での鉄損を低減できる。金属磁性粉の平均粒径が0,1μm以上である場合、樹脂への均一な分散が容易となり、第1磁性層11および第2磁性層12の製造効率が向上する。なお、金属磁性粉に代えて又は金属磁性粉に加えて、NiZn系やMnZn系などのフェライトの磁性粉を用いてもよい。
【0022】
基板70は、第1磁性層11上に積層されている。基板70は、平板状であり、インダクタ部品1の製造プロセス上の土台となる部分である。基板70は、例えば、NiZn系やMnZn系などのフェライトからなる磁性体基板や、アルミナ、ガラスからなる非磁性体基板などの焼結体からなる。基板70の厚さは、例えば、300μm以上1000μm以下である。
【0023】
インダクタ配線100は、基板70の上面に設けられており、基板70の上面と平行な方向に沿って延在する。インダクタ配線100は、基板70の上面において、インダクタ配線100の軸を中心としてスパイラル状に巻き回されている。インダクタ配線100は、ターン数が1周を超えるスパイラル形状である。インダクタ配線100は、上側からみて、外周端から内周端に向かって時計回り方向に渦巻状に巻回されている。なお、インダクタ配線100は、ターン数が1周未満の曲線であってもよく、または、一部に直線を有していてもよい。
【0024】
インダクタ配線100の厚さは、例えば、40μm以上120μm以下である。インダクタ配線100は、具体的には、厚さが45μm、配線幅が50μm、配線間スペースが10μmである。配線間スペースは3μm以上20μm以下であってよい。
【0025】
インダクタ配線100は、スパイラル部120と、第1パッド部111と、第2パッド部112とを有する。第1パッド部111は、第1垂直配線21に接続され、第2パッド部112は、第2垂直配線22に接続される。スパイラル部120は、第1パッド部111を外周端、第2パッド部112を内周端として、第1パッド部111および第2パッド部112から基板70の上面と平行な方向に沿って延在し、渦巻状に巻回されている。
【0026】
第1垂直配線21および第2垂直配線22は、インダクタ配線100から中心軸AX方向に延在し、素体10を貫通している。第1垂直配線21は、インダクタ配線100の第1パッド部111の上面から上側に延在し、層間絶縁層31の内部を貫通する第1ビア配線212と、第1ビア配線212から上側に延在し、第2磁性層12の内部を貫通する第1柱状配線211とを有する。第2垂直配線22は、インダクタ配線100の第2パッド部112の上面から上側に延在し、層間絶縁層31を貫通する第2ビア配線222と、第2ビア配線222から上側に延在し、第2磁性層12の内部を貫通する第2柱状配線221とを含む。
【0027】
インダクタ配線100は、特許請求の範囲に記載の「第1内部配線」の一例に相当する。第1柱状配線211は、特許請求の範囲に記載の「第2内部配線」の一例に相当する。
【0028】
インダクタ配線100は、導電性材料からなり、例えばCu、Ag,Au、Feもしくはこれらを含む合金などの低電気抵抗な金属材料からなる。これにより、インダクタ部品1の直流抵抗を下げることができる。第1垂直配線21および第2垂直配線22は、インダクタ配線100と同様の導電性材料からなる。
【0029】
絶縁層30は、インダクタ配線100の少なくとも一部を覆う。絶縁層30は、層間絶縁層31と樹脂壁32と下地絶縁層33とを有する。層間絶縁層31は、インダクタ配線100の上面を覆い、樹脂壁32は、インダクタ配線100の側面を覆い、下地絶縁層33は、インダクタ配線100の下面を覆う。具体的に述べると、樹脂壁32は、インダクタ配線100と同一面に設けられ、インダクタ配線100のターン間や、インダクタ配線100の外径側および内径側に設けられている。層間絶縁層31は、インダクタ配線100の上面を覆い、インダクタ配線100の第1,第2パッド部111,112に対応した位置にビアを有する。層間絶縁層31は、隣り合う樹脂壁32の上端の間を埋めるように設けられている。絶縁層30は、2つの層間絶縁層31と樹脂壁32と下地絶縁層33とから構成されるが、1つ、2つまたは4つ以上の絶縁層から構成されていてもよい。
【0030】
層間絶縁層31、樹脂壁32および下地絶縁層33は、磁性体を含まない絶縁性材料からなり、例えば、エポキシ系、ポリイミド系、フェノール系、ビニルエーテル系の何れかの樹脂を含む。これにより、絶縁信頼性が向上する。下地絶縁層33は、シリカなどの非磁性体のフィラーを含んでいてもよい。下地絶縁層33の厚さは、例えば、10μm以下である。
【0031】
第1外部端子51は、第2磁性層12の上面に設けられ、該上面から露出する第1柱状配線211の端面を覆っている。これにより、第1外部端子51は、インダクタ配線100の第1パッド部111に電気的に接続される。第2外部端子52は、第2磁性層12の上面に設けられ、該上面から露出する第2柱状配線221の端面を覆っている。これにより、第2外部端子52は、インダクタ配線100の第2パッド部112に電気的に接続される。
【0032】
第1外部端子51および第2外部端子52は、導電性材料からなる。第1外部端子51および第2外部端子52は、例えば、低電気抵抗かつ耐応力性に優れたCu、耐食性に優れたNi、はんだ濡れ性と信頼性に優れたAuからなる金属層が内側から外側に向かってこの順に積層された3層構造である。
【0033】
図3Aは、
図2のA部の拡大図である。
図3Aは、ビア配線の中心軸AXを含む第1断面の一部を示す。層間絶縁層31は、第1パッド部111側の第1主面31Xと、第1柱状配線211側の第2主面31Yと、および、第1主面31Xと第2主面31Yとの間を貫通するビア31Zと、を有する。第1主面31Xは、第1パッド部111と接触する第1部分31Xaを含む。第1主面31Xは、さらに、第1パッド部111に接触しない第3部分31Xbを含む。第3部分31Xbは、第1主面31Xのビア31Z側の端部に位置する。第2主面31Yは、第1主面31Xに平行な第2部分31Yaを含む。
【0034】
層間絶縁層31は、第1柱状配線211に接する突起312を備える。第1部分31Xaを含む直線を第1基準線S1とし、第2部分31Yaを含む直線を第2基準線S2とした場合、突起312は、第1柱状配線211に接し、層間絶縁層31の第2基準線S2より第1柱状配線211側に位置している。
図3Aにおいて、第1基準線S1および第2基準線S2は、それぞれ点線で示されている。
【0035】
突起312は、第1柱状配線211側に配置されており、かつ、第1柱状配線211に食い込んでいる。これにより、層間絶縁層31と第1柱状配線211との密着性が高まり、その結果、第1柱状配線211と第1ビア配線212とのシェア強度が向上する。特に、幅方向に外力が加わる場合であっても、層間絶縁層31と第1柱状配線211との剥離が防止される。よって、インダクタ部品1の接続信頼性が向上する。
【0036】
層間絶縁層31の第1柱状配線211側に突起312を設けることにより、ビア31Zの形状を工夫する場合よりも、第1柱状配線211と第1ビア配線212とのシェア強度を、より向上することができる。また、層間絶縁層31の第1柱状配線211側に突起312を設けることにより、層間絶縁層31の第2主面31Y側に凹みを形成する場合よりも、第1柱状配線211と第1ビア配線212とのシェア強度をより向上することができる。加えて、層間絶縁層31の第2主面31Y側の凹みを層間絶縁層31を研削すること等によって形成する場合には、残渣の発生等のリスクも増大する。
【0037】
層間絶縁層31は、第2基準線S2より第1柱状配線211側に位置する突起312と、第2基準線S2より第1パッド部111側に位置する本体部311と、を有する。突起312と本体部311とは、一体的に形成されている。この場合、突起312を形成する別工程を実施することを要しないため、製造コストが低減する。
【0038】
「突起312と本体部311とが一体的に形成されている」とは、突起312と本体部311とがの間に明確な界面が確認できない状態で、両者が接触して形成されていることをいう。
【0039】
ビア31Zは、第1パッド部111側の第1開口端31Zaと、第1柱状配線211側の第2開口端31Zbとを有している。ビア31Zは、第1開口端31Zaと第2開口端31Zbとを繋ぐ内面を有している。
【0040】
突起312は、ビア31Zの第2開口端31Zbを含み、ビア31Zの内面の一部を構成している。これにより、層間絶縁層31と第1柱状配線211との密着性がより高まって、第1柱状配線211と第1ビア配線212とのシェア強度がさらに向上する。
【0041】
ビア31Zの内面は、第1パッド部111から第1柱状配線211に向かってビア31Zの中心軸AXに直交する方向(XZ断面におけるX方向)の幅が大きくなるように、傾斜している。ビア31Zの内面の一部のみが、上記のように傾斜していてもよい。
【0042】
図3Bに、突起312の周辺を拡大して示す。
図3Bは、
図3AのB部の拡大図である。
突起312の中心軸AX方向における最大高さH
1は、第1基準線S1と第2基準線S2との間の中心軸AX方向における距離H
0(以下、層間絶縁層31の厚さH
0と称する。)の5%以上30%以下であってよい。最大高さH
1が層間絶縁層31の厚さH
0の5%以上であると、突起312によるシェア強度の向上効果が得られ易い。最大高さH
1が層間絶縁層31の厚さH
0の30%以下であると、第1柱状配線211の形状に影響が生じ難い。突起312の最大高さH
1は、層間絶縁層31の厚さH
0の10%以上であってよく、15%以上であってよい。突起312の最大高さH
1は、層間絶縁層31の厚さH
0の28%以下であってよく、25%以下であってよい。突起312の最大高さH
1は、第2基準線S2から突起312の最も高い地点までの距離である。
【0043】
突起312の中心軸AXに直交する方向における最大幅W1は、層間絶縁層31の厚さH0の1%以上80%以下であってよい。最大幅W1が層間絶縁層31の厚さH0の1%以上であると、突起312によるシェア強度の向上効果が得られ易い。最大幅W1が層間絶縁層31の厚さH0の80%以下であると、第1柱状配線211の形状に影響が生じ難い。突起312の最大幅W1は、層間絶縁層31の厚さH0の5%以上であってよく、10%以上であってよい。突起312の最大幅W1は、層間絶縁層31の厚さH0の50%以下であってよく、40%以下であってよい。突起312の最大幅W1は、突起312の第2基準線S2に平行な方向の幅のうち、最大のものをいう。典型的には、突起312の最大幅W1は、第2基準線S2における突起312の幅である。
【0044】
(くさび部)
図3Aに示すように、第1ビア配線212は、中心軸AXに平行な方向において層間絶縁層31と第1パッド部111とに挟まれた、くさび部212aを有する。より具体的には、くさび部212aは、第1主面31Xの第1パッド部111に接触しない第3部分31Xbと第1パッド部111との間に配置されている。これにより、くさび部212aの層間絶縁層31および第1パッド部111に対するアンカー効果が生じて、第1ビア配線212と第1パッド部111との密着性も向上する。よって、接続信頼性がさらに向上する。
【0045】
図3Cに、くさび部212aの周辺を拡大して示す。
図3Cは、
図3AのC部の拡大図である。ビア31Zの第1開口端31Zaを含み、中心軸AXに平行な直線を第3基準線S3とした場合、くさび部212aは、第1ビア配線212の第3基準線S3に対して中心軸AXの反対側に位置している。
図3Cにおいて、第3基準線S3は点線で示されている。
【0046】
第3部分31Xbは、中心軸AXに向かうにしたがって、第1基準線S1との間の中心軸AXに平行な方向の距離が大きくなるように、第1基準線S1に対して傾斜している。これにより、第1ビア配線212をめっき法により形成する際、めっき液が第3部分31Xbと第1パッド部111との間に入り込み易くなるために、くさび部212aにおいてボイドの発生が抑制される。ボイドは、めっき被膜、ここでは第1ビア配線212の破断の原因になり得る。第3部分31Xbの一部のみが、第1基準線S1との間の中心軸AXに平行な方向の距離が大きくなるように、傾斜していてもよい。
【0047】
くさび部212aの高さH2は、層間絶縁層31の厚さH0の10%以上30%以下であってよい。高さH2が層間絶縁層31の厚さH0の10%以上であると、上記のアンカー効果が得られ易い。高さH2が層間絶縁層31の厚さH0の30%以下であると、第1ビア配線212をめっき法により形成する際、めっき液が第3部分31Xbと第1パッド部111との間に入り込み易くなるために、くさび部212aにおいてボイドの発生が抑制され易い。加えて、めっき液の循環不良が抑制されて、結晶性の高いめっき被膜が形成され易くなる。くさび部212aの高さH2は、層間絶縁層31の厚さH0の15%以上であってよく、20%以上であってよい。くさび部212aの高さH2は、層間絶縁層31の厚さH0の30%以下であってよく、25%以下であってよい。くさび部212aの高さH2は、第1開口端31Zaから、第3基準線S3と第1パッド部111との交点までの間の距離である。
【0048】
(凹部、凸部)
図3Aおよび
図3Cに示すように、第1パッド部111は、第1基準線S1より凹んだ凹部111aを有している。第1ビア配線212は、凹部111aに入り込む凸部212bを有する。これにより、第1パッド部111と第1ビア配線212との接触面積がより大きくなるため、密着性がさらに向上する。
【0049】
本実施形態では、層間絶縁層31のビア31Z側の端部全体が上方向に隆起することにより、突起312が形成されている。このとき、傾斜した第3部分31Xbも形成されて、層間絶縁層31と第1パッド部111との間に隙間(
図4Fおよび
図4Gに示す隙間40)が生じ、加えて、ビア31Zの内面が上方向に向かって広がるテーパー形状になる。第1ビア配線212の一部がこの隙間に入り込むことによって、くさび部212aが形成される。層間絶縁層31の端部全体とは、端部において、第1主面31Xと第2主面31Yとで挟まれた領域である。
【0050】
図2では、中心軸AXを含む断面において、2つのビア配線212,222の断面が表れているが、2つのうちの少なくとも1つの第1ビア配線212において、
図3Aから
図3Cに示す上述した種々の構成を満たしていればよい。中心軸AXを含む他の断面において、
図3Aから
図3Cに示す上述した種々の構成を満たしていてもよいし、満たしていなくてもよい。インダクタ部品1に含まれる複数のビア配線の少なくとも1つが、
図3Aから
図3Cに示す上述した種々の構成を満たしていればよい。
【0051】
(製造方法)
次に、
図4Aから
図4Lを用いてインダクタ部品1の製造方法について説明する。
図4Aから
図4Lは、
図2のインダクタ配線100の第1パッド部111および第1垂直配線21に対応した図である。
【0052】
図4Aに示すように、基板70上に磁性体を含有しない下地絶縁層33を形成する。基板70は、例えば、焼結フェライトからなり、平板状である。
【0053】
下地絶縁層33は、例えば、磁性体を含有しないポリイミド系樹脂や無機材料などからなる。基板70上に、ポリイミド系樹脂を印刷、塗布などによってコーティングした後、フォトリソグラフィ法を用いたパターニングにより、インダクタ配線100を形成する領域のポリイミド系樹脂を残す。これにより、下地絶縁層33が形成される。無機材料からなる絶縁膜は、例えば、基板70上に、蒸着、スパッタリング、CVDなどのドライプロセスによって形成される。
【0054】
図4Bに示すように、下地絶縁層33上にシード層81を形成する。具体的に述べると、シード層81の材料(例えば、チタン/銅合金)をスパッタにより下地絶縁層33の上面に付着させ、サブトラクティブ法によってパターニングして、シード層81を形成する。
【0055】
図4Cに示すように、下地絶縁層33上に樹脂壁32を形成する。樹脂壁32は、例えば、感光性の永久フォトレジストにより形成される。感光性の永久フォトレジストとは、加工処理をした後、取り除かないフォトレジストである。具体的に述べると、樹脂壁32の材料を基板70上に印刷し露光する。その後、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートペグミア)などの有機溶剤とTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)などのアルカリ系現像液を使用して現像を行う。これにより、露光されなかった部分の材料が除去されて、樹脂壁32が形成される。
【0056】
図4Dに示すように、シード層81に第1パッド部111およびスパイラル部120を形成する。具体的に述べると、シード層81に電解めっきによりめっきを成長させる。これにより、樹脂壁32の間に第1パッド部111およびスパイラル部120が形成される。
【0057】
図4Eに示すように、スパイラル部120を覆い、第1パッド部111の上面を露出させる貫通孔を有する、感光性絶縁層310を配置する。具体的には、第1パッド部111およびスパイラル部120上を覆うように、感光性絶縁フィルムをラミネートする。感光性絶縁フィルムもまた、感光性の永久フォトレジスト製である。次いで、感光性絶縁フィルムを露光して、光硬化させる。その後、現像を行うことにより、貫通孔を有する感光性絶縁層310が形成され、感光性絶縁層310から第1パッド部111の一部が露出する。
【0058】
図4Fは、感光性絶縁層310に形成された貫通孔の周囲を示す拡大図である。
図4Fに示すように、第1パッド部111の感光性絶縁層310から露出した部分に、凹部111aを形成する。凹部111aは、エッチング処理により形成される。このとき、等方的にエッチングすることにより、凹部111aとともに、感光性絶縁層310と第1パッド部111との間に、隙間40が形成される。隙間40によって、感光性絶縁層310の端部が第1パッド部111から剥離する。この感光性絶縁層310の剥離部分が、熱硬化される際に上方向に隆起して、突起312を形成する。隙間40にめっきが入り込むことによって、くさび部212aが形成される。
【0059】
第1パッド部111のエッチング量によって、突起312の高さH1および幅W1が制御される。エッチング量は、突起312の大きさに応じて適宜設定される。例えば、第1パッド部111が銅めっきにより形成されている場合、エッチングには、銅よりも酸化銅を優先的に溶解する薬剤を用いてよい。あるいは、処理の時間や温度を適宜調整することにより、エッチング量を調節してもよい。第1パッド部111のエッチング量によって、くさび部212aの高さH2もまた制御される。
【0060】
図4Gは、
図4Fと同様、感光性絶縁層310に形成された貫通孔の周囲を拡大した拡大図である。
図4Gに示すように、突起312を備える層間絶縁層31を形成する。具体的には、加熱して、感光性絶縁層310を熱硬化させる。このとき、感光性絶縁層310の外表面側が収縮し易いこと、および、感光性絶縁層310が剥離部分を有することにより、感光性絶縁層310の貫通孔側の端部が上方向に隆起して、突起312が形成される。この方法によれば、本体部311と突起312とが一体的に形成されるため、製造コストが低減する。加熱は、例えば、150℃以上200℃以下で1時間程度行われる。
【0061】
突起312は、貫通孔、すなわちビア31Zの内面の一部を構成する。感光性絶縁層310の剥離部分は、層間絶縁層31の第1主面31Xにおける、第1パッド部111と接触しない第3部分31Xbを形成する。
【0062】
図4Hに示すように、ビア31Zの内面、第1パッド部111の上面の露出部、層間絶縁層31および樹脂壁32の上面に、シード層82をスパッタにより形成する。隙間40の高さ(くさび部212aの高さH
2)が層間絶縁層31の厚さH
0の10%以上30%以下であると、隙間40を形成する第3部分31Xbと第1パッド部111の上面にもシード層を形成し易くなる。これにより、後のめっき工程においてめっき被膜にボイドが発生することが抑制される。ボイドは、めっき被膜、ここでは第1ビア配線212および第1柱状配線211の破断の原因になり得る。
【0063】
図4Iに示すように、第1パッド部111の上面の露出部に対応する部分に第1ビア配線212および第1柱状配線211を形成する。具体的には、シード層82上にレジスト膜320を形成し、レジスト膜320の第1ビア配線212に対応する位置に開口部を設ける。シード層82に電解めっきによりめっきを成長させて、上記の開口部にめっき層を形成する。これにより、開口部に第1ビア配線212および第1柱状配線211を形成する。
【0064】
図4Jに示すように、レジスト膜320を剥離し、露出したシード層82を除去して、層間絶縁層31上に第2磁性層12を形成する。さらに、基板70の下面に第1磁性層11を形成する。第1磁性層11および第2磁性層12は、層間絶縁層31上あるいは基板70の下面に、磁性層がプレスされることにより形成される。第2磁性層12をプレスする前に、基板70の一部を研削して厚みを調整する。基板70を除去してもよい。
【0065】
図4Kに示すように、第2磁性層12を研削して、第1柱状配線211の上面を露出させる。
【0066】
図4Lに示すように、第1柱状配線211の上面に第1外部端子51を形成し、他の部分の第2磁性層12を覆う被覆膜60を形成する。被覆膜60は、例えば、ソルダーレジストにより形成される。その後、ダイサー等により個片化して、インダクタ部品1を製造する。
【0067】
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
【0068】
前記実施形態では、インダクタ配線100は1層であるが、複数のインダクタ配線100を中心軸AX方向に積層してもよい。また、複数のインダクタ配線100を中心軸AX方向と直交する方向に配置してもよい。
【0069】
前記実施形態では、突起312と本体部311とは一体的に形成されているが、突起312と本体部311とは別々に形成されてもよい。本体部311とは別に形成された突起312を、本体部311の第1柱状配線211側に配置してもよい。
【0070】
前記実施形態では、突起312は、ビア31Zの第2開口端31Zbに設けられているが、ビア31Zの第2開口端31Zbから離れたところに設けられてもよい。
【0071】
前記実施形態では、突起312は、ビア31Zの第2開口端31Zbに1つ設けられているが、複数設けられてもよい。
【0072】
前記実施形態では、特許請求の範囲の「第2内部配線」として第1柱状配線211を例示したが、特許請求の範囲の「第2内部配線」は、第2のインダクタ配線であってよい。
【0073】
前記実施形態では、第1ビア配線212は、くさび部212aと凸部212bとの両方を有しているが、第1ビア配線212は、くさび部212aおよび凸部212bのいずれも有していなくてもよく、いずれか一方を有していてよい。
【0074】
前記実施形態では、第1パッド部111は凹部111aを有しているが、第1パッド部111は凹部111aを有していなくてもよい。
【0075】
前記実施形態では、層間絶縁層31の第1主面31Xは、ビア31Z側の端部において、第1パッド部111に接触しない第3部分31Xbを含むが、層間絶縁層31の第1主面31Xは第3部分31Xbを含まなくてもよい。
【0076】
前記実施形態では、層間絶縁層31の第3部分31Xbの全体が、中心軸AXに向かうにしたがって第1基準線S1との間の距離が大きくなるように傾斜しているが、第3部分31Xbの一部が傾斜している、すなわち、第3部分31Xbが傾斜部分を有していてもよい。第3部分31Xbは、傾斜部分を有さなくてもよい。
【0077】
前記実施形態では、ビア31Zの内面が、第1パッド部111から第1柱状配線211に向かって、ビア31Zの幅が大きくなるように傾斜しているが、ビア31Zの内面の一部が傾斜している、すなわち、ビア31Zの内面が傾斜部分を有していてもよい。ビア31Zの内面は、第1パッド部111から第1柱状配線211に向かって、ビア31Zの幅が小さくなる傾斜部分を有していてよい。ビア31Zの内面は、中心軸AXに沿う方向に延在していてもよい。
【0078】
本開示は、下記の態様を含む。
<1>
第1内部配線と、
第2内部配線と、
前記第1内部配線と前記第2内部配線との間に配置され、前記第1内部配線側の第1主面、前記第2内部配線側の第2主面、および、前記第1主面と前記第2主面との間を貫通するビアを有する層間絶縁層と、
前記ビアに挿通され、前記第1内部配線と前記第2内部配線とを電気的に接続するビア配線と、を備え、
前記ビア配線の中心軸を含む第1断面において、
前記第1主面は、前記第1内部配線と接触する第1部分を含み、
前記第2主面は、前記第1部分に平行な第2部分を含み、
前記第1部分を含む直線を第1基準線とし、
前記第2部分を含む直線を第2基準線として、
前記層間絶縁層は、前記第2内部配線に接し、かつ、前記第2基準線より前記第2内部配線側に位置する突起を備える、インダクタ部品。
<2>
前記第1断面において、
前記ビアは、前記第1内部配線側の第1開口端と、前記第2内部配線側の第2開口端とを有し、
前記突起は、前記ビアの前記第2開口端を含み、前記ビアの内面の一部を構成している、<1>に記載のインダクタ部品。
<3>
前記突起の前記中心軸方向における最大高さは、前記第1基準線と前記第2基準線との間の前記中心軸方向における距離の5%以上30%以下である、<1>または<2>に記載のインダクタ部品。
<4>
前記突起の前記中心軸に直交する方向における最大幅は、前記第1基準線と前記第2基準線との間の前記中心軸方向における距離の1%以上80%以下である、<1>から<3>のいずれか一つに記載のインダクタ部品。
<5>
前記層間絶縁層は、前記突起と、前記第2基準線より前記第1内部配線側に位置する本体部とを有し、
前記突起と前記本体部とは、一体的に形成されている、<1>から<4>のいずれか一つに記載のインダクタ部品。
<6>
前記第1断面において、
前記ビア配線は、前記中心軸に平行な方向において前記層間絶縁層と前記第1内部配線とに挟まれた、くさび部を有する、<1>から<5>のいずれか一つに記載のインダクタ部品。
<7>
前記ビアは、前記第1内部配線側の第1開口端と、前記第2内部配線側の第2開口端とを有し、
前記第1開口端を含み、前記中心軸に平行な直線を第3基準線として、
前記くさび部は、前記ビア配線の前記第3基準線に対して前記中心軸の反対側に位置し、
前記第1開口端から前記第3基準線と前記第1内部配線との交点まで間の前記くさび部の高さは、前記第1基準線と前記第2基準線との間の前記中心軸方向における距離の10%以上30%以下である、<6>に記載のインダクタ部品。
<8>
前記第1断面において、
前記第1主面は、前記ビア側の端部において、前記第1内部配線に接触しない第3部分を含み、
前記くさび部は、前記第3部分と前記第1内部配線との間に配置されている、<6>または<7>に記載のインダクタ部品。
<9>
前記第1断面において、
前記第3部分は、前記中心軸に向かうにしたがって、前記第1基準線との間の前記中心軸に平行な方向の距離が大きくなる傾斜部分を有する、<8>に記載のインダクタ部品。
<10>
前記第1断面において、
前記ビアの内面は、前記第1内部配線から前記第2内部配線に向かって前記ビアの前記中心軸に直交する方向の幅が大きくなる、傾斜部分を有する、<1>から<9>のいずれか一つに記載のインダクタ部品。
<11>
前記第1内部配線は、前記第1基準線より凹んだ凹部を有し、
前記ビア配線は、前記凹部に入り込む凸部を有する、<1>から<10>のいずれか一つに記載のインダクタ部品。
<12>
さらに、磁性層を含む素体を備え、
前記第1内部配線および前記第2内部配線は、前記素体内に設けられ、
前記第1内部配線および前記第2内部配線の少なくとも一方は、インダクタ配線である、<1>から<11>のいずれか一つに記載のインダクタ部品。
【符号の説明】
【0079】
1 インダクタ部品
10 素体
11 第1磁性層
12 第2磁性層
21 第1垂直配線
211 第1柱状配線
212 第1ビア配線
212a くさび部
212b 凸部
22 第2垂直配線
221 第2柱状配線
222 第2ビア配線
30 絶縁層
31 層間絶縁層
31X 第1主面
31Xa 第1部分
31Xb 第3部分
31Y 第2主面
31Ya 第2部分
31Z ビア
31Za 第1開口端
31Zb 第2開口端
311 本体部
312 突起
32 樹脂壁
33 下地絶縁層
40 隙間
51 第1外部端子
52 第2外部端子
60 被覆膜
70 基板
81,82 シード層
100 インダクタ配線
111 第1パッド部
111a 凹部
112 第2パッド部
120 スパイラル部
310 感光性絶縁層
320 レジスト膜
AX 中心軸
S1 第1基準線
S2 第2基準線
S3 第3基準線