(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058421
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240418BHJP
【FI】
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165768
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 英二
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA01
5H770CA02
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA41
5H770GA13
5H770GA17
5H770HA02X
5H770HA06X
5H770LA01W
5H770LA02X
5H770LA04X
5H770LB07
(57)【要約】
【課題】本発明は、保護動作が働いた場合でもスイッチング素子に入力される電圧の上昇を防止することができる半導体モジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】半導体モジュール1は、モータ24に電力を供給するIGBT31zと、IGBT31zを駆動するプリドライバ41zと、IGBT31z及びプリドライバ41zを異常状態の動作から保護する第1の保護動作を実行する保護部42zと、IGBT31zに入力される電圧の大きさを調整するIGBT31dbと、IGBT31dbを駆動するプリドライバ41dbと、IGBT31dbを異常状態の動作から保護する第2の保護動作を実行する保護部42dbとを備え、保護部42dbは、IGBT31dbが異常状態で動作している場合に第2の保護動作を実行し、保護部42zが第1の保護動作を実行しているか否かに関わらず第2の保護動作を実行しない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に電力を供給する第1のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子を駆動する第1の駆動部と、
前記第1のスイッチング素子及び前記第1の駆動部を異常状態の動作から保護する第1の保護動作を実行する第1の保護部と、
前記第1のスイッチング素子に入力される電圧の大きさを調整する第2のスイッチング素子と、
前記第2のスイッチング素子を駆動する第2の駆動部と、
前記第2のスイッチング素子を異常状態の動作から保護する第2の保護動作を実行する第2の保護部と
を備え、
前記第2の保護部は、前記第2のスイッチング素子が異常状態で動作している場合に前記第2の保護動作を実行し、前記第1の保護部が前記第1の保護動作を実行しているか否かに関わらず前記第2の保護動作を実行しない
半導体モジュール。
【請求項2】
前記第1の保護部は、前記第1のスイッチング素子及び前記第1の駆動部の少なくとも一方が異常状態で動作している場合又は前記第2の保護部が前記第2の保護動作を実行している場合に前記第1の保護動作を実行する
請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記第1の保護部に接続されて前記第2の保護動作が実行されているか否かを示す第2の保護信号を検出する第1の信号検出端子と、
前記第1の信号検出端子及び前記第2の保護部に接続され、前記第1の保護動作が実行されているか否かを示す第1の保護信号を検出する第2の信号検出端子と
をさらに備え、
前記第1の保護部は、前記第1の保護信号を前記第1の信号検出端子に出力し、
前記第2の保護部は、前記第2の保護信号を前記第2の信号検出端子に出力する
請求項2に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記第1の保護部は、
前記第1のスイッチング素子及び前記第1の駆動部の少なくとも一方が異常状態で動作しているか否かを検出する第1の異常検出部と、
前記第1の異常検出部での検出結果に基づいて前記第1の保護信号を生成する第1の保護信号生成部と、
前記第1の信号検出端子で検出された前記第2の保護信号を用いて前記第2の保護動作が実行されているか否かを判定する第1の判定部と
を有し、
前記第2の保護部は、
前記第2のスイッチング素子が異常状態で動作しているか否かを検出する第2の異常検出部と、
前記第2の異常検出部での検出結果に基づいて前記第2の保護信号を生成する第2の保護信号生成部と、
前記第2の信号検出端子で検出された前記第1の保護信号を用いて前記第1の保護動作が実行されているか否かを判定する第2の判定部と
を有する
請求項3に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記第2の保護部は、前記第2のスイッチング素子の保護の他に、前記第2の駆動部を異常状態の動作から保護するために前記第2の保護動作を実行する
請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記第1の保護部に接続されて前記第2の保護動作が実行されているか否かを示す第2の保護信号を検出する第1の信号検出端子と、
前記第1の信号検出端子及び前記第2の保護部に接続され、前記第1の保護動作が実行されているか否かを示す第1の保護信号を検出する第2の信号検出端子と
をさらに備え、
前記第1の保護部は、前記第1の保護信号を前記第1の信号検出端子に出力し、
前記第2の保護部は、前記第2の保護信号を前記第2の信号検出端子に出力する
請求項5に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
前記第1の保護部は、
前記第1のスイッチング素子及び前記第1の駆動部の少なくとも一方が異常状態で動作しているか否かを検出する第1の異常検出部と、
前記第1の異常検出部での検出結果に基づいて前記第1の保護信号を生成する第1の保護信号生成部と、
前記第1の信号検出端子で検出された前記第2の保護信号を用いて前記第2の保護動作が実行されているか否かを判定する第1の判定部と、
を有し、
前記第2の保護部は、
前記第2のスイッチング素子が異常状態で動作しているか否かを検出する第2の異常検出部と、
前記第2の異常検出部での検出結果に基づいて前記第2の保護信号を生成する第2の保護信号生成部と、
前記第2の信号検出端子で検出された前記第1の保護信号を用いて前記第1の保護動作が実行されているか否かを判定する第2の判定部と
を有する
請求項6に記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記第2の異常検出部に設けられて前記第2の駆動部が異常状態で動作しているか否かを検出する検出部と、
前記第1の異常検出部での検出結果、前記検出部での検出結果及び前記第2の判定部での判定結果に基づいて、前記第2のスイッチング素子の動作を継続させるための継続信号を生成して前記第2の駆動部に出力する継続信号生成部と
をさらに備える
請求項7に記載の半導体モジュール。
【請求項9】
前記継続信号生成部は、前記第1の異常検出部での検出結果に関わらず、同じ信号レベルの前記継続信号を生成する
請求項8に記載の半導体モジュール。
【請求項10】
前記第1の保護部及び前記第1の信号検出端子の組を複数備えられており、
複数の前記第1の信号検出端子は、自己と組になっていない残余の前記第1の保護部における前記第1の保護動作に基づく前記第1の保護信号も検出する
請求項3,4又は6から9のいずれか一項に記載の半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスイッチング素子を備える半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換用の電力変換用絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)、還流ダイオード(Free Wheeling Diode:FWD)チップ、及び駆動・保護機能用集積回路(Integrated Circuit:IC)を1つのパッケージに集約したインテリジェントパワーモジュール(Intelligent Power Module:IPM)が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
IPMは、上相を構成する複数のIGBTと、当該複数のIGBTを駆動する駆動・保護用ICと、下相を構成する複数のIGBTと、当該複数のIGBTを駆動する駆動・保護用ICとを有している。下相用の駆動・保護用ICの電源は共通化されている。このため、下相用の駆動・保護用ICに供給される制御電源が低下すると、下相用の全ての駆動・保護用ICにおいて電源保護の動作が働く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
下相を構成する複数のIGBTの中にブレーキ用のIGBTがある。ブレーキ用のIGBTは、上相を構成する複数のIGBT及び下相を構成する複数のIGBTに供給される電圧の上昇を抑えるために設けられている。ブレーキ用のIGBTを駆動する駆動・保護用ICも下相用の駆動・保護用ICと電源が共通化されている。
【0006】
ブレーキ用の駆動・保護用ICを除く下相用の駆動・保護用ICで過電流保護動作又はチップ加熱保護動作が働いた場合、ブレーキ用の駆動・保護用ICは動作可能となっている。しかしながら、ブレーキ用の駆動・保護用ICを除く下相用の駆動・保護用ICで電源保護が働いた場合、電源が共通化されているためブレーキ用の駆動・保護用ICにも保護がかかってしまう。ブレーキ用を除く上相用及び下相用の駆動・保護用ICの少なくとも1つに保護動作が働いた時にブレーキ用の駆動・保護用ICが動作できないと、ブレーキ用のIGBTが動作しないことに起因して、回生動作ができずにIGBTに供給される電圧(正極側電位及び負極側電位の電位差)が定格電圧よりも高い電圧まで上昇してしまうという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、保護動作が働いた場合でもスイッチング素子に供給される電力の上昇を防止することができる半導体モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様による半導体モジュールは、負荷に電力を供給する第1のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子を駆動する第1の駆動部と、前記第1のスイッチング素子及び前記第1の駆動部を異常状態の動作から保護する第1の保護動作を実行する第1の保護部と、前記第1のスイッチング素子に入力される電圧の大きさを調整する第2のスイッチング素子と、前記第2のスイッチング素子を駆動する第2の駆動部と、前記第2のスイッチング素子を異常状態の動作から保護する第2の保護動作を実行する第2の保護部とを備え、前記第2の保護部は、前記第2のスイッチング素子が異常状態で動作している場合に前記第2の保護動作を実行し、前記第1の保護部が前記第1の保護動作を実行しているか否かに関わらず前記第2の保護動作を実行しない。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、保護動作が働いた場合でもスイッチング素子に入力される電圧の上昇を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態による半導体モジュールの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による半導体モジュールに備えられたゲート駆動ユニット及びブレーキユニットの概略構成の一例を示す回路図である。
【
図3】本発明の第2実施形態による半導体モジュールに備えられたゲート駆動ユニット及びブレーキユニットの概略構成の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の各実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態による半導体モジュールは、インバータ装置として機能するインテリジェントパワーモジュールを例にとって説明するが、第1実施形態による半導体モジュールは、当該インテリジェントパワーモジュールに限られず、コンバータ装置やモジュラーマルチレベル変換器などとして機能するインテリジェントパワーモジュールにも適用できる。
【0013】
本発明の第1実施形態による半導体モジュールについて
図1及び
図2を用いて説明する。まず、本実施形態による半導体モジュール1の全体構成の一例について
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態による半導体モジュール1の概略構成の一例を示すブロック図である。
図1では、理解を容易にするため、半導体モジュール1に接続された制御装置21、交流電源部22、平滑用コンデンサ23及び駆動対象のモータ24が併せて図示されている。
【0014】
(半導体モジュールの全体構成)
図1に示すように、本実施形態による半導体モジュール1は、交流電源部22に接続されている。交流電源部22は例えば、三相交流電源(不図示)と、三相交流電源から入力される三相交流電力を全波整流する整流回路(不図示)とを有している。半導体モジュール1は、当該整流回路で整流された電力を平滑化する平滑用コンデンサ23に接続されている。当該整流回路は、具体的な構成の図示は省略するが例えば6つのダイオードをフルブリッジ接続して構成されるか又は6つのスイッチング素子をフルブリッジ接続して構成されている。
【0015】
交流電源部22の正極側(すなわち当該整流回路の正極出力端子)に正極側ラインLpが接続され、交流電源部22の負極側(すなわち当該整流回路の負極出力端子)に負極側ラインLnが接続されている。正極側ラインLp及び負極側ラインLn間に平滑用コンデンサ23が接続されている。半導体モジュール1は、正極側ラインLp及び負極側ラインLn間に印加された直流電圧を三相(U相、V相及びW相)交流電圧に変換するインバータ装置として機能するインテリジェントパワーモジュールで構成されている。半導体モジュール1には、半導体モジュール1を制御する制御装置21が接続されている。半導体モジュール1及び制御装置21によって電力変換装置が構成される。
【0016】
図1に示すように、半導体モジュール1は、正極側ラインLpが接続される正極側電源入力端子Tpと、負極側ラインLnに接続される負極側電源入力端子Tnとを有している。半導体モジュール1は、正極側電源入力端子Tpと負極側電源入力端子Tnとの間に直列に接続された半導体素子3u及び半導体素子3xを有している。半導体モジュール1は、正極側電源入力端子Tpと負極側電源入力端子Tnとの間に直列に接続された半導体素子3v及び半導体素子3yを有している。半導体モジュール1は、正極側電源入力端子Tpと負極側電源入力端子Tnとの間に直列に接続された半導体素子3w及び半導体素子3zを有している。
【0017】
半導体素子3u及び半導体素子3xは、U相出力アームを構成している。半導体素子3v及び半導体素子3yは、V相出力アームを構成している。半導体素子3w及び半導体素子3zは、W相出力アームを構成している。半導体素子3u,3v,3wは、正極側電源入力端子Tpを介して正極側ラインLpに接続され、上アーム(上相)部を構成する。半導体素子3x,3y,3zは、負極側電源入力端子Tnを介して負極側ラインLnに接続され、下アーム(下相)部を構成する。
【0018】
半導体素子3uは、IGBT31uと、IGBT31uに逆並列に接続された還流ダイオード32uとを有している。本実施形態では、IGBT31u及び還流ダイオード32uは、同一の半導体チップに形成されているが、互いに異なる半導体チップに形成されていてもよい。半導体素子3vは、IGBT31vと、IGBT31vに逆並列に接続された還流ダイオード32vとを有している。本実施形態では、IGBT31v及び還流ダイオード32vは、例えば同一の半導体チップに形成されていが、互いに異なる半導体チップに形成されていてもよい。半導体素子3wは、IGBT31wと、IGBT31wに逆並列に接続された還流ダイオード32wとを有している。本実施形態では、IGBT31w及び還流ダイオード32wは、例えば同一の半導体チップに形成されていが、互いに異なる半導体チップに形成されていてもよい。
【0019】
IGBT31u,31v,31wのそれぞれのコレクタC及び還流ダイオード32u,32v,32wのそれぞれのカソードKは、互いに接続され、正極側電源入力端子Tpに接続されている。IGBT31u,31v,31wのそれぞれのエミッタE及び還流ダイオード32u,32v,32wのそれぞれのアノードAは、互いに接続されている。IGBT31u,31v,31wのそれぞれは、自己(すなわちIGBT31u,31v,31w)に流れる電流を検知するための電流検知素子S(詳細は後述)を有している。
【0020】
半導体素子3xは、IGBT31xと、IGBT31xに逆並列に接続された還流ダイオード32xとを有している。本実施形態では、IGBT31x及び還流ダイオード32xは、同一の半導体チップに形成されているが、互いに異なる半導体チップに形成されていてもよい。半導体素子3yは、IGBT31yと、IGBT31yに逆並列に接続された還流ダイオード32yとを有している。本実施形態では、IGBT31y及び還流ダイオード32yは、例えば同一の半導体チップに形成されていが、互いに異なる半導体チップに形成されていてもよい。半導体素子3zは、IGBT31zと、IGBT31zに逆並列に接続された還流ダイオード32zとを有している。本実施形態では、IGBT31z及び還流ダイオード32zは、例えば同一の半導体チップに形成されていが、互いに異なる半導体チップに形成されていてもよい。
【0021】
IGBT31xのコレクタC及び還流ダイオード32xのカソードKは、互いに接続されている。IGBT31xのコレクタC及び還流ダイオード32xのカソードKは、IGBT31uのエミッタE及び還流ダイオード32uのアノードAに接続されている。IGBT31yのコレクタC及び還流ダイオード32yのカソードKは、IGBT31vのエミッタE及び還流ダイオード32vのアノードAに接続されている。IGBT31zのコレクタC及び還流ダイオード32zのカソードKは、IGBT31wのエミッタE及び還流ダイオード32wのアノードAに接続されている。IGBT31x,31y,31zのそれぞれのエミッタE及び還流ダイオード32x,32y,32zのそれぞれのアノードAは、互いに接続され、負極側電源入力端子Tnに接続されている。IGBT31x,31y,31zのそれぞれは、自己(すなわちIGBT31x,31y,31z)に流れる電流を検知するための電流検知素子S(詳細は後述)を有している。
【0022】
半導体素子3uは、例えばシリコンで形成されたダイオードで構成された温度検知素子33uを有している。温度検知素子33uのアノードは、保護部42u(詳細は後述)に接続され、温度検知素子33uのカソードは、基準電位端子(例えばグランド端子)に接続されている。半導体素子3vは、例えばシリコンで形成されたダイオードで構成された温度検知素子33vを有している。温度検知素子33vのアノードは、保護部42v(詳細は後述)に接続され、温度検知素子33vのカソードは、基準電位端子(例えばグランド端子)に接続されている。半導体素子3wは、例えばシリコンで形成されたダイオードで構成された温度検知素子33wを有している。温度検知素子33wのアノードは、保護部42w(詳細は後述)に接続され、温度検知素子33wのカソードは、基準電位端子(例えばグランド端子)に接続されている。
【0023】
半導体素子3xは、例えばシリコンで形成されたダイオードで構成された温度検知素子33xを有している。温度検知素子33xのアノードは、保護部42x(詳細は後述)に接続され、温度検知素子33xのカソードは、基準電位端子(例えばグランド端子)に接続されている。半導体素子3yは、例えばシリコンで形成されたダイオードで構成された温度検知素子33yを有している。温度検知素子33yのアノードは、保護部42y(詳細は後述)に接続され、温度検知素子33yのカソードは、基準電位端子(例えばグランド端子)に接続されている。半導体素子3zは、例えばシリコンで形成されたダイオードで構成された温度検知素子33zを有している。温度検知素子33zのアノードは、保護部42z(詳細は後述)に接続され、温度検知素子33zのカソードは、基準電位端子(例えばグランド端子)に接続されている。
【0024】
詳細は後述するが、半導体モジュール1は、温度検知素子33u,33v,33w,33x,33y,33zの順方向電圧が温度に応じて変化する特性を利用して、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zの温度を検出する。
【0025】
IGBT31uのエミッタE、還流ダイオード32uのアノードA、IGBT31xのコレクタC及び還流ダイオード32xのカソードKは、U相出力端子TUに接続されている。U相出力端子TUは、半導体モジュール1が交流電源部22から入力された直流電圧を直流-交流変換して生成したU相の交流電圧が出力される端子である。
【0026】
IGBT31vのエミッタE、還流ダイオード32vのアノードA、IGBT31yのコレクタC及び還流ダイオード32yのカソードKは、V相出力端子TVに接続されている。V相出力端子TVは、半導体モジュール1が交流電源部22から入力された直流電圧を直流-交流変換して生成したV相の交流電圧が出力される端子である。
【0027】
IGBT31wのエミッタE、還流ダイオード32wのアノードA、IGBT31zのコレクタC及び還流ダイオード32zのカソードKは、W相出力端子TWに接続されている。W相出力端子TWは、半導体モジュール1が交流電源部22から入力された直流電圧を直流-交流変換して生成したW相の交流電圧が出力される端子である。
【0028】
図1に示すように、負荷となる例えばモータ24は、半導体モジュール1に設けられたU相出力端子TU、V相出力端子TV及びW相出力端子TWに接続されている。このため、半導体素子3u,3v,3wに設けられたIGBT31u,31v,31wのエミッタE及び還流ダイオード32u,32v,32wのアノードA並びに半導体素子3x,3y,3zに設けられたIGBT31x,31y,31zのコレクタC及び還流ダイオード32x,32y,32zのカソードKは、モータ24に接続される。
【0029】
このように、半導体モジュール1は、モータ(負荷の一例)24に電力を供給するIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31z(第1のスイッチング素子の一例)を備えている。本実施形態では、半導体モジュール1は、第1のスイッチング素子としてIGBTを備えているが、パワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor:MOSFET)などの他のパワー半導体素子を備えていてもよい。
【0030】
図1に示すように、半導体モジュール1は、IGBT31uを駆動するプリドライバ41u(第1の駆動部の一例)と、IGBT31vを駆動するプリドライバ41v(第1の駆動部の一例)と、IGBT31wを駆動するプリドライバ41w(第1の駆動部の一例)とを備えている。プリドライバ41uの出力は、IGBT31uのゲートGに接続されている。プリドライバ41vの出力は、IGBT31vのゲートGに接続されている。プリドライバ41wの出力は、IGBT31wのゲートGに接続されている。
【0031】
半導体モジュール1は、IGBT31xを駆動するプリドライバ41x(第1の駆動部の一例)と、IGBT31yを駆動するプリドライバ41y(第1の駆動部の一例)と、IGBT31zを駆動するプリドライバ41z(第1の駆動部の一例)とを備えている。プリドライバ41xの出力は、IGBT31xのゲートGに接続されている。プリドライバ41yの出力は、IGBT31yのゲートGに接続されている。プリドライバ41zの出力は、IGBT31zのゲートGに接続されている。
【0032】
半導体モジュール1は、IGBT31u及びプリドライバ41uを異常状態の動作から保護する第1の保護動作(詳細は後述)を実行する保護部42u(第1の保護部の一例)を備えている。半導体モジュール1は、IGBT31v及びプリドライバ41vを異常状態の動作から保護する第1の保護動作(詳細は後述)を実行する保護部42v(第1の保護部の一例)を備えている。半導体モジュール1は、IGBT31w及びプリドライバ41wを異常状態の動作から保護する第1の保護動作(詳細は後述)を実行する保護部42w(第1の保護部の一例)を備えている。
【0033】
半導体モジュール1は、IGBT31x及びプリドライバ41xを異常状態の動作から保護する第1の保護動作(詳細は後述)を実行する保護部42x(第1の保護部の一例)を備えている。半導体モジュール1は、IGBT31y及びプリドライバ41yを異常状態の動作から保護する第1の保護動作(詳細は後述)を実行する保護部42y(第1の保護部の一例)を備えている。半導体モジュール1は、IGBT31z及びプリドライバ41zを異常状態の動作から保護する第1の保護動作(詳細は後述)を実行する保護部42z(第1の保護部の一例)を備えている。
【0034】
保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zには、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zの電流検知素子Sと、半導体素子3u,3v,3w,3x,3y,3wに設けられた温度検知素子33u,33v,33w,33x,33y,33zとが接続されている。
【0035】
IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zの異常状態の動作には、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zの過電流状態での動作及び高温状態での動作が含まれる。詳細は後述するが、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zは、電流検知素子Sから入力される検知電流Isu,Isv,Isw,Isx,Isy,Iszを用いて当該過電流状態を検出する。保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zは、温度検知素子33u,33v,33w,33x,33y,33zから入力される検知電圧Vtu,Vtv,Vtw,Vtx,Vty,Vtzを用いて当該高温状態を検出する。
【0036】
プリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zの異常状態の動作には、プリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zが動作するための電源電圧VCCが動作可能な所定電圧(絶対最大定格電圧よりも高い電圧)よりも低い状態での動作が含まれる。詳細は後述するが、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zは、半導体モジュール1の外部から入力される電源電圧VCCの電圧レベルを判定する判定部としての比較器422g-1(
図1では不図示、
図2参照)を有し、電源電圧VCCの電圧レベルを監視するように構成されている。
【0037】
第1の保護動作には、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zの少なくとも1つが異常状態で動作している場合又はプリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zの少なくとも1つが異常状態で動作している場合に、異常動作しているIGBT又はプリドライバに対応する保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZの生成及び出力が含まれる。例えば、IGBT31zが異常状態で動作している場合には、ゲート駆動ユニット4zに設けられた保護部42zは、保護信号SaeZを生成して出力する。保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZの詳細については後述する。
【0038】
プリドライバ41u及び保護部42uによってゲート駆動ユニット4uが構成され、プリドライバ41v及び保護部42vによってゲート駆動ユニット4vが構成され、プリドライバ41w及び保護部42wによってゲート駆動ユニット4wが構成されている。このため、半導体モジュール1は、プリドライバ41u及び保護部42uを有するゲート駆動ユニット4uと、プリドライバ41v及び保護部42vを有するゲート駆動ユニット4vと、プリドライバ41w及び保護部42wを有するゲート駆動ユニット4wとを備える。
【0039】
プリドライバ41x及び保護部42xによってゲート駆動ユニット4xが構成され、プリドライバ41y及び保護部42yによってゲート駆動ユニット4yが構成され、プリドライバ41x及び保護部42xによってゲート駆動ユニット4xが構成されている。このため、半導体モジュール1は、プリドライバ41x及び保護部42xを有するゲート駆動ユニット4xと、プリドライバ41y及び保護部42yを有するゲート駆動ユニット4yと、プリドライバ41z及び保護部42zを有するゲート駆動ユニット4zとを備える。
【0040】
ゲート駆動ユニット4u,4v,4w,4x,4y,4zは、駆動・保護用回路に相当する。ゲート駆動ユニット4u,4v,4w,4x,4y,4zの具体的な構成については後述する。
【0041】
図1に示すように、半導体モジュール1は、半導体素子3dbに設けられてIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zに入力される電圧(すなわち交流電源部22から入力される直流電圧)の大きさを調整するIGBT31db(第2のスイッチング素子の一例)を備えている。半導体モジュール1は、IGBT31dbに接続された還流ダイオード32dbを備えている。
【0042】
具体的には、IGBT31dbのコレクタCは、還流ダイオード32dbのアノードAに接続されている。IGBT31dbのエミッタEは、負極側電源入力端子Tnに接続されている。還流ダイオード32dbのカソードKは、正極側電源入力端子Tpに接続されている。このため、還流ダイオード32db及びIGBT31dbは、正極側電源入力端子Tp及び負極側電源入力端子Tnの間に直列に接続されている。なお、IGBT31dbのエミッタEは、IGBT31x,31y,31zのそれぞれのエミッタE及び還流ダイオード32x,32y,32zのそれぞれのアノードAにも接続されている。還流ダイオード32dbのカソードKは、IGBT31u,31v,31wのそれぞれのコレクタC及び還流ダイオード32u,32v,32wのそれぞれのカソードKにも接続されている。
【0043】
IGBT31dbは、自己(すなわちIGBT31db)に流れる電流を検知するための電流検知素子S(詳細は後述)を有している。また、半導体素子3dbは、例えばシリコンで形成されたダイオードで構成された温度検知素子33dbを有している。温度検知素子33dbのアノードは、保護部42db(詳細は後述)に接続され、温度検知素子33dbのカソードは、基準電位端子(例えばグランド端子)に接続されている。詳細は後述するが、半導体モジュール1は、温度検知素子33dbの順方向電圧が温度に応じて変化する特性を利用して、IGBT31dbの温度を検出する。
【0044】
図1に示すように、半導体モジュール1は、IGBT31dbを駆動するプリドライバ41db(第2の駆動部の一例)と、IGBT31dbを異常状態の動作から保護する第2の保護動作を実行する保護部42db(第2の保護部の一例)とを備えている。保護部42dbには、IGBT31dbの電流検知素子Sと、半導体素子3dbに設けられた温度検知素子33dbとが接続されている。
【0045】
IGBT31dbの異常状態の動作には、IGBT31dbの過電流状態での動作及び高温状態での動作が含まれる。詳細は後述するが、保護部42dbは、IGBT31dbの電流検知素子Sから入力される検知電流Isdbを用いて当該過電流状態を検出する。保護部42dbは、温度検知素子33dbから入力される検知電圧Vtdbを用いて当該高温状態を検出する。
【0046】
本実施形態では、保護部42dbは、IGBT31dbの保護の他に、プリドライバ41dbを異常状態の動作から保護するために第2の保護動作を実行するように構成されている。プリドライバ41dbの異常状態の動作には、プリドライバ41dbが動作するための電源電圧VCCが動作可能な最低電圧よりも低い状態での動作が含まれる。詳細は後述するが、保護部42dbは、半導体モジュール1の外部から入力される電源電圧VCCの電圧レベルを判定する判定部としての比較器422g-2(
図1では不図示、
図2参照)を有し、電源電圧VCCの電圧レベルを監視するように構成されている。
【0047】
本実施形態では、第2の保護動作には、IGBT31dbが異常状態で動作している場合又はプリドライバ41dbが異常状態で動作している場合に、保護信号SaeDBの生成及び出力が含まれる。保護信号SaeDBの詳細については後述する。
【0048】
プリドライバ41db及び保護部42dbによってブレーキユニット4dbが構成されている。このため、半導体モジュール1は、プリドライバ41db及び保護部42dbを有するブレーキユニット4dbを備える。
【0049】
図1に示すように、半導体モジュール1は、回生電力用端子Tdbを備えている。回生電力用端子Tdbは、IGBT31dbのカソードC及び還流ダイオード32dbのアノードに接続されている。回生電力用端子Tdb及び正極側電源入力端子Tpの間には、抵抗素子26が接続されている。抵抗素子26の一端子は、正極側電源入力端子Tpに接続され、抵抗素子26の他端子は、回生電力用端子Tdbに接続されている。このため、抵抗素子26は、回生電力用端子Tdb及び正極側電源入力端子Tpの間で還流ダイオード32dbと並列に接続されている。抵抗素子26は、正極側電源入力端子Tp及び負極側電源入力端子Tnの間でIGBT31dbと直列に接続されている。
【0050】
制御装置21は、正極側電源入力端子Tp及び負極側電源入力端子Tnのそれぞれの電位を監視している。制御装置21は、正極側電源入力端子Tp及び負極側電源入力端子Tnの電位差、すなわち直列接続されたIGBT31u及びIGBT31x、直列接続されたIGBT31v及びIGBT31y及び直列接続されたIGBT31w及びIGBT31zのそれぞれに入力される電圧が所定値(例えば定格電圧の電圧値)を越えると、IGBT31dbを駆動するプリドライバ41dbに所定周期で信号レベルがハイレベル及び低レベルを繰り返す入力信号InDB(詳細は後述)を出力する。プリドライバ41dbは、IGBT31dbを断続導通させ、モータ24から交流電源部22側へ送られる回生電流を抵抗素子26を介しバイパスして消費させる。これにより、半導体モジュール1は、正極側電源入力端子Tp及び負極側電源入力端子Tnの電位差が定格電圧を超えることを防止し、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zに耐圧破壊が発生することを防止できる。
【0051】
詳細は後述するが、保護部42dbは、IGBT31dbが異常状態で動作している場合に第2の保護動作を実行し、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zが第1の保護動作を実行しているか否かに関わらず第2の保護動作を実行しない。これにより、半導体モジュール1は、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31z及びプリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zの少なくとも1つが異常状態で動作していてもブレーキユニット4dbに設けられた保護部42dbが第2の保護動作を実行しないため、IGBT31dbは通常の動作を継続する。その結果、半導体モジュール1は、保護動作が働いた場合でもIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zに入力される電圧の上昇を防止することができる。
【0052】
一方、ゲート駆動ユニット4u,4v,4w,4x,4y,4zに設けられた保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zは、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31z及びプリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zの少なくとも一方が異常状態で動作している場合又は保護部42dbが第2の保護動作を実行している場合に第1の保護動作を実行する。これにより、半導体モジュール1は、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31z,31db、プリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41z,41dbの少なくとも1つが異常状態で動作している場合に、第1の保護動作を実行し、異常状態か否かに関わらずIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zの動作を停止することができる。その結果、半導体モジュール1は、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zの過電流状態での動作や高温状態での動作を停止できるので、半導体素子3u,3v,3w,3x,3y,3zの破損を防止できる。
【0053】
図1に示すように、半導体モジュール1は、電源電圧VCCが入力される電源入力端子Tvcu,Tvcv,Tvcwを備えている。電源入力端子Tvcuは、ゲート駆動ユニット4uに接続され、電源入力端子Tvcvは、ゲート駆動ユニット4vに接続され、電源入力端子Tvcwは、ゲート駆動ユニット4wに接続されている。これにより、ゲート駆動ユニット4u,4v,4wには、電源入力端子Tvcu,Tvcv,Tvcwを介して電源電圧VCCが入力される。
【0054】
半導体モジュール1は、上相基準電位端子Tgdu,Tgdv,Tgdwを備えている。上相基準電位端子Tgduは、ゲート駆動ユニット4uに接続され、上相基準電位端子Tgdvは、ゲート駆動ユニット4vに接続され、上相基準電位端子Tgdwは、ゲート駆動ユニット4wに接続されている。これにより、ゲート駆動ユニット4u,4v,4wに設けられたプリドライバ41u,41v,41w及び保護部42u,42v,42wの基準電位は、同電位に設定される。
【0055】
半導体モジュール1は、電源入力端子Tvcを備えている。電源入力端子Tvcは、半導体モジュール1の内部に形成された配線によってゲート駆動ユニット4x,4y,4z及びブレーキユニット4dbに接続されている。これにより、ゲート駆動ユニット4x,4y,4z及びブレーキユニット4dbの電源電圧は、共通化される。
【0056】
半導体モジュール1は、基準電位端子Tgdを備えている。基準電位端子Tgdは、半導体モジュール1の内部に形成された配線によってゲート駆動ユニット4x,4y,4z及びブレーキユニット4dbに接続されている。これにより、ゲート駆動ユニット4x,4y,4z及びブレーキユニット4dbの基準電位は、同電位に設定される。
【0057】
基準電位端子Tgdは、基準電位として例えばグランド(GND)に接続されている。電源入力端子Tvcと基準電位端子Tgdとの間には、定電圧源25が接続されている。定電圧源25の正極側は電源入力端子Tvcに接続され、定電圧源25の負極側には基準電位端子Tgdが接続されている。このため、電源入力端子Tvcと基準電位端子Tgdとの間には、定電圧源25が生成する電源電圧VDDが印加される。したがって、ゲート駆動ユニット4x,4y,4z及びブレーキユニット4dbには、電源入力端子Tvc及び基準電位端子Tgdを介して定電圧源25が生成する電源電圧VDDが入力される。このため、ゲート駆動ユニット4x,4y,4z及びブレーキユニット4dbは、定電圧源25を電源として動作する。電源電圧VDDは、例えば電源電圧VCCと同じ電圧値を有している。
【0058】
基準電位端子Tgdは、半導体モジュール1の内部に形成された配線によって上相基準電位端子Tgdu,Tgdv,Tgdwに接続されている。これにより、ゲート駆動ユニット4u,4v,4wと、ゲート駆動ユニット4x,4y,4z及びブレーキユニット4dbとは、同電位(例えばグランドの電位)に設定される。また、定電圧源25が出力する電圧を電源電圧VCCと同じ電圧とすることにより、ゲート駆動ユニット4u,4v,4wと、ゲート駆動ユニット4x,4y,4z及びブレーキユニット4dbとは、同一の電圧値の電源電圧で動作する。
【0059】
図1に示すように、ゲート駆動ユニット4uは、半導体モジュール1に設けられた信号入力端子TinUに接続されている。信号入力端子TinUは、制御装置21に接続されている。これにより、制御装置21から出力される入力信号InUは、信号入力端子TinUを介してゲート駆動ユニット4uに設けられたプリドライバ41uに入力される。プリドライバ41uは、入力信号InUを用いてIGBT31uを駆動するためのゲート駆動信号SgUを生成する。プリドライバ41uから出力されるゲート駆動信号SgUは、IGBT31uのゲートGに入力される。
【0060】
ゲート駆動ユニット4vは、半導体モジュール1に設けられた信号入力端子TinVに接続されている。信号入力端子TinVは、制御装置21に接続されている。これにより、制御装置21から出力される入力信号InVは、信号入力端子TinVを介してゲート駆動ユニット4vに設けられたプリドライバ41vに入力される。プリドライバ41vは、入力信号InVを用いてIGBT31vを駆動するためのゲート駆動信号SgVを生成する。プリドライバ41vから出力されるゲート駆動信号SgVは、IGBT31vのゲートGに入力される。
【0061】
ゲート駆動ユニット4wは、半導体モジュール1に設けられた信号入力端子TinWに接続されている。信号入力端子TinWは、制御装置21に接続されている。これにより、制御装置21から出力される入力信号InWは、信号入力端子TinWを介してゲート駆動ユニット4wに設けられたプリドライバ41wに入力される。プリドライバ41wは、入力信号InWを用いてIGBT31wを駆動するためのゲート駆動信号SgWを生成する。プリドライバ41wから出力されるゲート駆動信号SgWは、IGBT31wのゲートGに入力される。
【0062】
ゲート駆動ユニット4xは、半導体モジュール1に設けられた信号入力端子TinXに接続されている。信号入力端子TinXは、制御装置21に接続されている。これにより、制御装置21から出力される入力信号InXは、信号入力端子TinXを介してゲート駆動ユニット4xに設けられたプリドライバ41xに入力される。プリドライバ41xは、入力信号InXを用いてIGBT31xを駆動するためのゲート駆動信号SgXを生成する。プリドライバ41xから出力されるゲート駆動信号SgXは、IGBT31xのゲートGに入力される。
【0063】
ゲート駆動ユニット4yは、半導体モジュール1に設けられた信号入力端子TinYに接続されている。信号入力端子TinYは、制御装置21に接続されている。これにより、制御装置21から出力される入力信号InYは、信号入力端子TinYを介してゲート駆動ユニット4yに設けられたプリドライバ41yに入力される。プリドライバ41yは、入力信号InYを用いてIGBT31yを駆動するためのゲート駆動信号SgYを生成する。プリドライバ41yから出力されるゲート駆動信号SgYは、IGBT31yのゲートGに入力される。
【0064】
ゲート駆動ユニット4zは、半導体モジュール1に設けられた信号入力端子TinZに接続されている。信号入力端子TinZは、制御装置21に接続されている。これにより、制御装置21から出力される入力信号InZは、信号入力端子TinZを介してゲート駆動ユニット4zに設けられたプリドライバ41zに入力される。プリドライバ41zは、入力信号InZを用いてIGBT31zを駆動するためのゲート駆動信号SgZを生成する。プリドライバ41zから出力されるゲート駆動信号SgZは、IGBT31zのゲートGに入力される。
【0065】
ブレーキユニット4dbは、半導体モジュール1に設けられた信号入力端子TinDBに接続されている。信号入力端子TinDBは、制御装置21に接続されている。これにより、制御装置21から出力される入力信号InDBは、信号入力端子TinDBを介してブレーキユニット4dbに設けられたプリドライバ41dbに入力される。プリドライバ41dbは、入力信号InDBを用いてIGBT31dbを駆動するためのブレーキ駆動信号SgDBを生成する。プリドライバ41dbから出力されるブレーキ駆動信号SgDBは、IGBT31dbのゲートGに入力される。
【0066】
図1に示すように、半導体モジュール1は、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zに接続され第2の保護動作が実行されているか否かを示す保護信号SaeDB(第2の保護信号の一例)を検出する信号検出端子Taeu,Taev,Taew,Taex,Taey,Taez(第1の信号検出端子の一例)を備えている。このため、半導体モジュール1は、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42z及び信号検出端子Taeu,Taev,Taew,Taex,Taey,Taezの組を複数備えている。保護部42u及び信号検出端子Taeuが組となり(すなわち接続され)、保護部42v及び信号検出端子Taevが組となり(すなわち接続され)、保護部42w及び信号検出端子Taewが組となっている(すなわち接続されている)。保護部42x及び信号検出端子Taexが組となり(すなわち接続され)、保護部42y及び信号検出端子Taeyが組となり(すなわち接続され)、保護部42z及び信号検出端子Taezが組となっている(すなわち接続されている)。
【0067】
詳細は後述するが、信号検出端子Taeu,Taev,Taew,Taex,Taey,Taezは、自己と組になっていない残余の保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zにおける第1の保護動作に基づく保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZ(第1の保護信号の一例)も検出する。具体的には、信号検出端子Taeuは、自己(すなわち信号検出端子Taeu)と組になっていない保護部42v,42w,42x,42y,42zにおける第1の保護動作に基づく保護信号SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZも検出する。
【0068】
信号検出端子Taevは、自己(すなわち信号検出端子Taev)と組になっていない保護部42u,42w,42x,42y,42zにおける第1の保護動作に基づく保護信号SaeU,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZも検出する。信号検出端子Taewは、自己(すなわち信号検出端子Taew)と組になっていない保護部42u,42v,42x,42y,42zにおける第1の保護動作に基づく保護信号SaeU,SaeV,SaeX,SaeY,SaeZも検出する。
【0069】
信号検出端子Taexは、自己(すなわち信号検出端子Taex)と組になっていない保護部42u,42v,42w,42y,42zにおける第1の保護動作に基づく保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeY,SaeZも検出する。信号検出端子Taeyは、自己(すなわち信号検出端子Taey)と組になっていない保護部42u,42v,42w,42x,42zにおける第1の保護動作に基づく保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeZも検出する。信号検出端子Taezは、自己(すなわち信号検出端子Taez)と組になっていない保護部42u,42v,42w,42x,42yにおける第1の保護動作に基づく保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeYも検出する。
【0070】
半導体モジュール1は、信号検出端子Taeu,Taev,Taew,Taex,Taey,Taez及び保護部42dbに接続され、第1の保護動作が実行されているか否かを示す保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZ(第1の保護信号の一例)を検出する信号検出端子Taedb(第2の信号検出端子の一例)を備えている。
【0071】
保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zは、保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZを信号検出端子Taeu,Taev,Taew,Taex,Taey,Taezに出力し、保護部42dbは、保護信号SaeDBを信号検出端子Taedbに出力する。信号検出端子Taeu,Taev,Taew,Taex,Taey,Taez,Taedbは、半導体モジュール1の外部に設けられた配線(例えばワイヤ配線や半導体モジュール1が実装されるプリント回路基板に形成されたパターン配線)によって互いに接続されている。
【0072】
このため、保護部42uから出力される保護信号SaeUは、信号検出端子Taeu及び当該配線を介して信号検出端子Taev,Taew,Taex,Taey,Taezに入力される。保護部42vから出力される保護信号SaeVは、信号検出端子Taev及び当該配線を介して信号検出端子Taeu,Taew,Taex,Taey,Taez,Taedbに入力される。保護部42wから出力される保護信号SaeWは、信号検出端子Taew及び当該配線を介して信号検出端子Taeu,Taev,Taex,Taey,Taez,Taedbに入力される。
【0073】
保護部42xから出力される保護信号SaeXは、信号検出端子Taex及び当該配線を介して信号検出端子Taeu,Taev,Taew,Taey,Taez,Taedbに入力される。保護部42yから出力される保護信号SaeYは、信号検出端子Taey及び当該配線を介して信号検出端子Taeu,Taev,Taew,Taex,Taez,Taedbに入力される。保護部42zから出力される保護信号SaeZは、信号検出端子Taez及び当該配線を介して信号検出端子Taeu,Taev,Taew,Taex,Taey,Taedbに入力される。保護部42dbから出力される保護信号SaeDBは、信号検出端子Taedb及び当該配線を介して信号検出端子Taeu,Taev,Taew,Taex,Taey,Taezに入力される。
【0074】
これにより、信号検出端子Taeuは、保護部42v,42w,42x,42y,42z,42dbから出力される保護信号SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZ,SaeDBを検出することができる。信号検出端子Taevは、保護部42u,42w,42x,42y,42z,42dbから出力される保護信号SaeU,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZ,SaeDBを検出することができる。信号検出端子Taewは、保護部42u,42v,42x,42y,42z,42dbから出力される保護信号SaeU,SaeV,SaeX,SaeY,SaeZ,SaeDBを検出することができる。
【0075】
また、信号検出端子Taexは、保護部42u,42v,42w,42y,42z,42dbから出力される保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeY,SaeZ,SaeDBを検出することができる。信号検出端子Taeyは、保護部42u,42v,42w,42x,42z,42dbから出力される保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeZ,SaeDBを検出することができる。信号検出端子Taezは、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42dbから出力される保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeDBを検出することができる。
信号検出端子Taedbは、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zから出力される保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZを検出することができる。
【0076】
詳細は後述するが、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zは、組となる信号検出端子Taeu,Taev,Taew,Taex,Taey,Taezが自己以外の保護部42u,42v,42w,42x,42y,42z,42dbから出力された保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZ,SaeDBを検出した場合には、第1の保護動作を実行する。このため、半導体モジュール1は、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42z,42db及びIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31z,31dbのうちの少なくとも1つが異常状態で動作していると、残余の保護部42u,42v,42w,42x,42y,42z及びIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zの動作を停止することができる。これにより、半導体モジュール1は、異常状態で動作している保護部42u,42v,42w,42x,42y,42z,42db及びIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31z,IGBT31dbに影響されて正常状態で動作している残余の保護部42u,42v,42w,42x,42y,42z及びIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zが異常状態での動作になってしまうことを防止できる。
【0077】
また、詳細は後述するが、保護部42dbは、信号検出端子Taedbが保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zから出力された保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZを検出したとしても第2の保護動作を実行しない。このため、半導体モジュール1は、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42z、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zのうちの少なくとも1つが異常状態で動作していたとしても、ブレーキユニット4dbによってIGBT31dbを動作させて回生動作を継続することができる。これにより、半導体モジュール1は、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42z、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zのうちの少なくとも1つが異常状態で動作していたとしても、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zに入力される電圧(すなわち正極側電源入力端子Tpに印加される電位及び負極側電源入力端子Tnに印加される電位の電位差)が定格電圧よりも高くなることを防止できる。
【0078】
図1に示すように、半導体モジュール1は、制御装置21に接続されたアラーム信号出力端子Taluと、アラーム信号出力端子Talu及び保護部42uとの間に設けられた抵抗素子11uとを備えている。半導体モジュール1は、制御装置21に接続されたアラーム信号出力端子Talvと、アラーム信号出力端子Talv及び保護部42vとの間に設けられた抵抗素子11vとを備えている。半導体モジュール1は、制御装置21に接続されたアラーム信号出力端子Talwと、アラーム信号出力端子Talw及び保護部42wとの間に設けられた抵抗素子11wとを備えている。半導体モジュール1は、制御装置21に接続されたアラーム信号出力端子Talmと、アラーム信号出力端子Talm及び保護部42x,42y,42z,42dbとの間に設けられた抵抗素子11mとを備えている。
【0079】
詳細は後述するが、保護部42uは、第1の保護動作を実行した場合、アラーム信号Saluを抵抗素子11u及びアラーム信号出力端子Taluを介して制御装置21に出力する。保護部42vは、第1の保護動作を実行した場合、アラーム信号Salvを抵抗素子11v及びアラーム信号出力端子Talvを介して制御装置21に出力する。保護部42wは、第1の保護動作を実行した場合、アラーム信号Salwを抵抗素子11w及びアラーム信号出力端子Talwを介して制御装置21に出力する。
【0080】
保護部42x,42y,42z,42dbのアラーム信号を出力する端子は、半導体モジュール1内部で互いに接続されている。このため、保護部42x,42y,42zのうちの少なくとも1つが第1の保護動作を実行した場合又は保護部42dbが第2の保護動作を実行した場合、抵抗素子11m及びアラーム信号出力端子Talmを介してアラーム信号Salmが制御装置21に入力される。
【0081】
制御装置21は、アラーム信号が入力されると、半導体モジュール1からアラーム信号Salu,Salv,Salw,Salmが入力されると、半導体モジュール1の使用者に異常状態が発生していることを例えば発光などの手段によって報知する。これにより、半導体モジュール1及び制御装置21を備える電力変換装置は、半導体モジュール1が異常状態で動作していることを報知できる。
【0082】
(ゲート駆動ユニット及びブレーキユニットの構成)
次に、本実施形態による半導体モジュール1に備えられたゲート駆動ユニット4u,4v,4w,4x,4y,4z及びブレーキユニット4dbの概略構成について
図1を参照しつつ
図2を用いて説明する。ゲート駆動ユニット4u,4v,4w,4x,4y,4zは、互いに同一の構成を有している。このため、以下、ゲート駆動ユニット4u,4v,4w,4x,4y,4zの概略構成について、ゲート駆動ユニット4zを例にとって説明する。
図2は、ゲート駆動ユニット4z及びブレーキユニット4dbの概略構成の一例を示す回路図である。
図2では、理解を容易にするため、ゲート駆動ユニット4zの駆動対象であるIGBT31zを有する半導体素子3zと、ブレーキユニット4dbの駆動対象であるIGBT31dbを有する半導体素子3dbと、還流ダイオード32dbと、定電圧源25とが併せて図示されている。
【0083】
図2に示すように、ゲート駆動ユニット4zに設けられた保護部42zは、IGBT31z及びプリドライバ41zの少なくとも一方が異常状態で動作しているか否かを検出する異常検出部422-1(第1の異常検出部の一例)を有している。保護部42zは、異常検出部422-1での検出結果に基づいて保護信号SaeZ(第1の保護信号の一例)を生成する保護信号生成部423-1(第1の保護信号生成部の一例)を有している。保護部42zは、信号検出端子Taez(第1の信号検出端子の一例)で検出された保護信号SaeDB(第2の保護信号の一例)を用いて第2の保護動作が実行されているか否かを判定する判定部421-1(第1の判定部の一例)を有している。判定部421-1は、信号検出端子Taezで検出された保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeYを用いて、保護部42u,42v,42w,42x,42yにおいて第1の保護動作が実行されているか否かも判定するようになっている。
【0084】
図2に示すように、異常検出部422-1は、IGBT31zに設けられた電流検知素子Sから出力される検知電流Iszを検知電圧Vszとして検出する電流検出部422c-1を有している。電流検出部422c-1は、例えば抵抗素子で構成されている。電流検出部422c-1の一端子は、IGBT31zに設けられた電流検知素子Sの電流出力端子に接続されている。電流検出部422c-1の他端子は、基準電位端子Tgdに接続されている。電流検出部422c-1は、検知電流Iszが電流検出部422c-1を流れることによって生じる電圧降下を検知電圧Vszとして検出する。このように、電流検出部422c-1は、検知電流Iszを検知電圧Vszとして検出することができる。
【0085】
異常検出部422-1は、IGBT31zに設けられた電流検知素子S及び電流検出部422c-1に接続された比較器422a-1と、比較電圧Vz1を生成する比較電圧生成部422b-1とを有している。比較器422a-1は、例えばオペアンプで構成されている。比較電圧生成部422b-1は、例えば直流電源で構成されている。比較器422a-1の非反転入力端子(+)は、電流検出部422c-1の一端子及びIGBT31zに設けられた電流検知素子Sの電流出力端子に接続されている。比較器422a-1の反転入力端子(-)は、比較電圧生成部422b-1の正極側端子に接続されている。比較器422a-1の出力端子は、論理和ゲート(ORゲート)422f-1(詳細は後述)の3つの入力端子のうちの1つに接続されている。比較電圧生成部422b-1の負極側端子は、基準電位端子Tgdに接続されている。
【0086】
比較電圧Vz1は例えば、IGBT31zが流すことが可能な最大の電流(すなわちコレクタ-エミッタ間電流の絶対最大定格電流)に対応する検知電流Iszを変換した検知電圧Vszに設定されている。このため、比較器422a-1は、電流検出部422c-1から入力される検知電圧Vszが比較電圧Vz1よりも低い場合(すなわちIGBT31zが正常状態で動作している場合)には、ローレベルの信号レベルを有する比較信号Sc1-1をORゲート422f-1に出力する。一方、比較器422a-1は、電流検出部422c-1から入力される検知電圧Vszが比較電圧Vz1よりも高い場合(すなわちIGBT31zが異常状態で動作している場合)には、ハイレベルの信号レベルを有する比較信号Sc1-1をORゲート422f-1に出力する。
【0087】
図2に示すように、異常検出部422-1は、IGBT31zに設けられた温度検知素子33zに接続された比較器422d-1と、比較電圧Vz2を生成する比較電圧生成部422e-1とを有している。比較器422d-1は、例えばオペアンプで構成されている。比較電圧生成部422e-1は、例えば直流電源で構成されている。比較器422a-1の反転入力端子(-)は、温度検知素子33zを構成するダイオードのアノードに接続されている。比較器422d-1の非反転入力端子(+)は、比較電圧生成部422e-1の正極側端子に接続されている。比較器422d-1の出力端子は、ORゲート422f-1の3つの入力端子のうちの1つに接続されている。比較電圧生成部422e-1の負極側端子は、基準電位端子Tgdに接続されている。
【0088】
ところで、温度検知素子33zを構成するダイオードは、シリコンで形成されている。一般的にシリコンのダイオードの順方向電圧は、周囲温度が低い場合よりも高い場合の方が低くなる。保護部42zは、温度検知素子33zのアノードに接続された定電流源(不図示)を有している。このため、当該定電流源から温度検知素子33zに定電流が入力されている場合に、IGBT31zの温度が上昇すると、温度検知素子33zでの電圧降下が小さくなる。これにより、温度検知素子33zで検出される検知電圧Vtzは、IGBT31zの温度が高くなると低下する。したがって、比較器422d-1は、温度検知素子33zから入力されてIGBT31zの温度に応じて変化する検知電圧Vtzを用いることによって、IGBT31zが絶対最大定格温度を越えた異常な温度で動作しているか否かを検出することができる。
【0089】
比較電圧Vz2は例えば、IGBT31zが動作可能な最大の温度(すなわち絶対最大定格温度)に対応する検知電圧Vtzに設定されている。このため、比較器422d-1は、温度検知素子33zから入力される検知電圧Vtzが比較電圧Vz2よりも高い場合(すなわちIGBT31zが正常温度で動作している場合)には、ローレベルの信号レベルを有する比較信号Sc2-1をORゲート422f-1に出力する。一方、比較器422d-1は、温度検知素子33zから入力される検知電圧Vtzが比較電圧Vz2よりも低い場合(すなわちIGBT31zが異常温度で動作している場合)には、ハイレベルの信号レベルを有する比較信号Sc2-1をORゲート422f-1に出力する。
【0090】
図2に示すように、異常検出部422-1は、電源入力端子Tvcに接続された比較器422g-1と、比較電圧Vz3を生成する比較電圧生成部422h-1とを有している。比較器422g-1は、例えばオペアンプで構成されている。比較電圧生成部422h-1は、例えば直流電源で構成されている。比較器422g-1の反転入力端子(-)は、電源入力端子Tvcに接続されている。比較器422g-1の非反転入力端子(+)は、比較電圧生成部422h-1の正極側端子に接続されている。比較器422g-1の出力端子は、ORゲート422f-1の3つの入力端子のうちの1つに接続されている。比較電圧生成部422h-1の負極側端子は、基準電位端子Tgdに接続されている。
【0091】
比較電圧Vz3は例えば、プリドライバ41zが動作可能な最小の電圧(すなわち絶対最小定格電圧)よりも高い電圧に設定されている。このため、比較器422g-1は、定電圧源25で生成されて電源入力端子Tvcに入力される電源電圧VDDが比較電圧Vz3よりも高い場合(すなわちプリドライバ41zが正常な電源電圧で動作している場合)には、ローレベルの信号レベルを有する比較信号Sc3-1をORゲート422f-1に出力する。一方、比較器422g-1は、定電圧源25で生成されて電源入力端子Tvcに入力される電源電圧VDDが比較電圧Vz3よりも低い場合(すなわちプリドライバ41zが異常な電源電圧で動作している場合)には、ハイレベルの信号レベルを有する比較信号Sc3-1をORゲート422f-1に出力する。
【0092】
図2に示すように、異常検出部422-1は、比較器422a-1,422d-1,422g-1に接続されたORゲート422f-1を有している。ORゲート422f-1は、3入力1出力の構成を有している。ORゲート422f-1の3つの入力端子のうちの1つには、比較器422a-1の出力端子が接続されている。ORゲート422f-1の残余の入力端子のうちの一方には、比較器422d-1の出力端子が接続されている。ORゲート422f-1の残余の入力端子には、比較器422g-1の出力端子が接続されている。このため、ORゲート422f-1には、比較器422a-1,422d-1,422g-1から出力される比較信号Sc1-1,Sc2-1,Sc3-1が入力される。
【0093】
ORゲート422f-1は、入力される比較信号Sc1-1,Sc2-1,Sc3-1の信号レベルを論理演算して得た演算信号Sca-1を保護信号生成部423-1に出力する。ORゲート422f-1は、比較信号Sc1-1,Sc2-1,Sc3-1の信号レベルの全てがローレベルの場合(すなわちIGBT31z及びプリドライバ41zのいずれも異常状態で動作していない場合)には、ローレベルの信号レベルを有する演算信号Sca-1を保護信号生成部423-1に出力する。一方、ORゲート422f-1は、比較信号Sc1-1,Sc2-1,Sc3-1の信号レベルの少なくとも1つがハイレベルの場合(すなわちIGBT31z及びプリドライバ41zの少なくとも1つが異常状態で動作している場合)には、ハイレベルの信号レベルを有する演算信号Sca-1を保護信号生成部423-1に出力する。
【0094】
図2に示すように、保護信号生成部423-1は、ORゲート422f-1に接続された遅延フリップフロップ(DFF)423a-1と、DFF423a-1に接続されたトランジスタ423b-1とを有している。トランジスタ423b-1は、例えばN型のMOSトランジスタで構成されている。DFF423a-1の信号入力端子(D)には、ORゲート422f-1の出力端子が接続されている。DFF423a-1の出力端子(Q)は、トランジスタ423b-1のゲートに接続されている。DFF423a-1のクロック信号入力端子(C)には、クロック信号CK-1が入力されている。クロック信号CK-1は、制御装置21(
図1参照)から入力されてもよいし、クロック信号CK-1を生成する発振器を半導体モジュール1が有していてもよい。
【0095】
このため、DFF423a-1は、ORゲート422f-1から入力される演算信号Sca-1の信号レベルがハイレベルの場合にクロック信号CK-1が立ち上がると、ハイレベルの信号レベルを有する出力信号を出力端子(Q)からトランジスタ423b-1のゲートに出力する。一方、DFF423a-1は、ORゲート422f-1から入力される演算信号Sca-1の信号レベルがローレベルの場合にクロック信号CK-1が立ち上がると、ローレベルの信号レベルを有する出力信号を出力端子(Q)からトランジスタ423b-1のゲートに出力する。
【0096】
保護部42zは、電源入力端子Tvcを電源として動作する定電流源424-1を有している。トランジスタ423b-1のドレインは、定電流源424-1の出力端子に接続されている。トランジスタ423b-1のソースは、基準電位端子Tgdに接続されている。トランジスタ423b-1のゲートは、DFF423a-1の出力端子(Q)に接続されている。また、トランジスタ423b-1のドレイン及び定電流源424-1の出力端子は、信号検出端子Taezに接続されている。
【0097】
このため、トランジスタ423b-1は、オフ状態の場合に信号検出端子Taezと基準電位端子Tgdとを切断するため、信号検出端子Taezの電圧レベルをハイレベルに設定する。この場合、保護信号生成部423-1は、保護信号SaeZを信号検出端子Taezに出力しないので、信号検出端子Taeu,Taev,Taew,Taex,Taey(
図1参照)及び信号検出端子Taedbは、保護信号SaeZを検出しない。一方、トランジスタ423b-1は、オン状態の場合に信号検出端子Taezと基準電位端子Tgdとを接続するため、信号検出端子Taezの電圧レベルをローレベルに設定する。これにより、保護信号生成部423-1は、ローレベルの信号レベルを有する保護信号SaeZを信号検出端子Taezに出力するので、信号検出端子Taeu,Taev,Taew,Taex,Taey,Taedbは、保護信号SaeZを検出する。
【0098】
上述のとおり、異常検出部422-1は、IGBT31z及びプリドライバ41zのいずれも異常状態で動作していない場合には、ORゲート422f-1からローレベルの信号レベルを有する演算信号Sca-1をDFF423a-1の信号入力端子(D)に出力する。これにより、DFF423a-1は、クロック信号CK-1が立ち上がることによってローレベルの信号レベルを有する出力信号をトランジスタ423b-1のゲートに出力するので、トランジスタ423b-1はオフ状態となる。このため、保護信号生成部423-1は、IGBT31z及びプリドライバ41zのいずれも異常状態で動作していない場合には、保護信号SaeZを信号検出端子Taezに出力しない。
【0099】
一方、異常検出部422-1は、IGBT31z及びプリドライバ41zの少なくとも一方が異常状態で動作している場合には、ORゲート422f-1からハイレベルの信号レベルを有する演算信号Sca-1をDFF423a-1の信号入力端子(D)に出力する。これにより、DFF423a-1は、クロック信号CK-1が立ち上がることによってハイレベルの信号レベルを有する出力信号をトランジスタ423b-1のゲートに出力するので、トランジスタ423b-1はオン状態となる。このため、保護信号生成部423-1は、IGBT31z及びプリドライバ41zの少なくとも一方が異常状態で動作している場合には、保護信号SaeZを信号検出端子Taezに出力する。
【0100】
図2に示すように、抵抗素子11mは、一端子がアラーム信号出力端子Talmに接続され、他端子が定電流源424-1の出力端子及びトランジスタ423b-1のドレインに接続された状態で半導体モジュール1に設けられている。このため、アラーム信号出力端子Talmは、抵抗素子11mを介して信号検出端子Taezに接続されている。アラーム信号出力端子Talmは、IGBT31z及びプリドライバ41zのいずれも異常状態で動作していない場合には、電圧レベルをハイレベルに維持してアラーム信号Salmを制御装置21(
図1参照)に出力しない。一方、アラーム信号出力端子Talmは、IGBT31z及びプリドライバ41zの少なくとも一方が異常状態で動作している場合には、ローレベルの信号レベルを有するアラーム信号Salmを制御装置21に出力する。
【0101】
図2に示すように、判定部421-1は、信号検出端子Taezに接続された比較器421a-1と、比較電圧Vz4を生成する比較電圧生成部421b-1とを有している。比較器421a-1は、例えばオペアンプで構成されている。比較電圧生成部421b-1は、例えば直流電源で構成されている。比較器421a-1の反転入力端子(-)は、信号検出端子Taezに接続されている。比較器421a-1の非反転入力端子(+)は、比較電圧生成部421b-1の正極側端子に接続されている。比較器421a-1の出力端子は、プリドライバ41zに接続されている。比較電圧生成部421b-1の負極側端子は、基準電位端子Tgdに接続されている。
【0102】
比較電圧Vz4は例えば、信号検出端子Taezで検出される保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeDBの電圧レベルよりも高い電圧(例えば定電圧源25が生成する電圧の電位と基準電位端子Tgdでの電位との電位差の中間電圧に設定されている。このため、比較器421a-1は、信号検出端子Taezで保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeDBのいずれも検出されていない場合には、ローレベルの信号レベルを有する継続信号Scnzをプリドライバ41zに出力する。一方、比較器421a-1は、信号検出端子Taezで保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeDBのいずれか1つが検出されている場合には、ハイレベルの信号レベルを有する停止信号Sspzをプリドライバ41zに出力する。
【0103】
詳細な説明は省略するが、プリドライバ41zは、判定部421-1から継続信号Scnzが入力された場合は、信号入力端子TinZから入力される入力信号InZの信号レベルに応じてゲート駆動信号SgZを生成する。一方、プリドライバ41zは、判定部421-1から停止信号Sspzが入力された場合は、信号入力端子TinZから入力される入力信号InZの信号レベルに関わらずIGBT31zがオフ状態となる信号レベルのゲート駆動信号SgZを生成する。
【0104】
このため、プリドライバ41zは、信号検出端子Taezが保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeDBのいずれも検出していない場合(すなわち判定部421-1からローレベルの信号レベルを有する継続信号Scnzが入力された場合)、信号入力端子TinZから入力される入力信号InZの信号レベルに応じたゲート駆動信号SgZをIGBT31zのゲートGに出力する。これにより、IGBT31zは、信号検出端子Taezが保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeDBのいずれも検出していない場合(すなわちIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31db及びプリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zのいずれも異常状態で動作していない場合)には、制御装置21による制御に基づいて動作する。
【0105】
一方、プリドライバ41zは、信号検出端子Taezが保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeDBの少なくとも1つを検出した場合(すなわち判定部421-1から停止信号Sspzが入力された場合)、IGBT31zをオフ状態とするためのゲート駆動信号SgZをIGBT31zのゲートGに出力する。これにより、IGBT31zは、信号検出端子Taezが保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeDBの少なくとも1つを検出している場合(すなわちIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31db及びプリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zの少なくとも1つが異常状態で動作している場合)には、制御装置21による制御とは無関係にオフ状態となる。
【0106】
上述のとおり、異常検出部422-1は、IGBT31z及びプリドライバ41zの少なくとも一方が異常状態で動作している場合、ハイレベルの信号レベルを有する演算信号Sca-1を保護信号生成部423-1のDFF423a-1に出力する。このため、保護信号生成部423-1は、IGBT31z及びプリドライバ41zの少なくとも一方が異常状態で動作している場合にも判定部421-1に設けられた比較器421a-1の反転入力端子(-)の電圧レベルをローレベルにする。このため、判定部421-1に設けられた比較器421a-1は、異常検出部422-1においてIGBT31z及びプリドライバ41zの少なくとも一方が異常状態で動作している場合にもハイレベルの信号レベルを有する停止信号Sspzをプリドライバ41zに出力する。これにより、プリドライバ41zは、IGBT31z及びプリドライバ41zの少なくとも一方が異常状態で動作している場合も、制御装置21による制御とは無関係にIGBT31zをオフ状態に駆動する。
【0107】
次に、ブレーキユニット4dbの構成について説明する。
図2に示すように、ブレーキユニット4dbに設けられた保護部42dbは、IGBT31dbが異常状態で動作しているか否かを検出する異常検出部422-2(第2の異常検出部の一例)を有している。保護部42dbは、異常検出部422-2での検出結果に基づいて保護信号SaeDB(第2の保護信号の一例)を生成する保護信号生成部423-2(第2の保護信号生成部の一例)を有している。保護部42dbは、信号検出端子Taedb(第2の信号検出端子の一例)で検出された保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY、SaeZ(第1の保護信号の一例)を用いて第1の保護動作が実行されているか否かを判定する判定部421-2(第2の判定部の一例)を有している。
【0108】
図2に示すように、異常検出部422-2は、IGBT31dbに設けられた電流検知素子Sから出力される検知電流Isdbを検知電圧Vsdbとして検出する電流検出部422c-2を有している。電流検出部422c-2は、例えば抵抗素子で構成されている。電流検出部422c-2の一端子は、IGBT31dbに設けられた電流検知素子Sの電流出力端子に接続されている。電流検出部422c-2の他端子は、基準電位端子Tgdに接続されている。電流検出部422c-2は、検知電流Isdbが電流検出部422c-2を流れることによって生じる電圧降下を検知電圧Vsdbとして検出する。このように、電流検出部422c-2は、検知電流Isdbを検知電圧Vsdbとして検出することができる。
【0109】
異常検出部422-2は、IGBT31dbに設けられた電流検知素子S及び電流検出部422c-2に接続された比較器422a-2と、比較電圧Vdb1を生成する比較電圧生成部422b-2とを有している。比較器422a-2は、例えばオペアンプで構成されている。比較電圧生成部422b-2は、例えば直流電源で構成されている。比較器422a-2の非反転入力端子(+)は、電流検出部422c-2の一端子及びIGBT31dbに設けられた電流検知素子Sの電流出力端子に接続されている。比較器422a-2の反転入力端子(-)は、比較電圧生成部422b-2の正極側端子に接続されている。比較器422a-2の出力端子は、論理和ゲート(ORゲート)422f-2(詳細は後述)の3つの入力端子のうちの1つに接続されている。比較電圧生成部422b-2の負極側端子は、基準電位端子Tgdに接続されている。
【0110】
比較電圧Vdb1は例えば、IGBT31dbが流すことが可能な最大の電流(すなわちコレクタ-エミッタ間電流の絶対最大定格電流)に対応する検知電流Isdbを変換した検知電圧Vsdbに設定されている。このため、比較器422a-2は、電流検出部422c-2から入力される検知電圧Vsdbが比較電圧Vdb1よりも低い場合(すなわちIGBT31dbが正常状態で動作している場合)には、ローレベルの信号レベルを有する比較信号Sc1-2をORゲート422f-2に出力する。一方、比較器422a-2は、電流検出部422c-2から入力される検知電圧Vsdbが比較電圧Vdb1よりも高い場合(すなわちIGBT31dbが異常状態で動作している場合)には、ハイレベルの信号レベルを有する比較信号Sc1-2をORゲート422f-2に出力する。
【0111】
図2に示すように、異常検出部422-2は、IGBT31dbに設けられた温度検知素子33dbに接続された比較器422d-2と、比較電圧Vdb2を生成する比較電圧生成部422e-2とを有している。比較器422d-2は、例えばオペアンプで構成されている。比較電圧生成部422e-2は、例えば直流電源で構成されている。比較器422a-2の反転入力端子(-)は、温度検知素子33dbを構成するダイオードのアノードに接続されている。比較器422d-2の非反転入力端子(+)は、比較電圧生成部422e-2の正極側端子に接続されている。比較器422d-2の出力端子は、ORゲート422f-2の3つの入力端子のうちの1つに接続されている。比較電圧生成部422e-2の負極側端子は、基準電位端子Tgdに接続されている。
【0112】
保護部42dbは、温度検知素子33dbのアノードに接続された定電流源(不図示)を有している。このため、当該定電流源から温度検知素子33dbに定電流が入力されている場合に、IGBT31dbの温度が上昇すると、温度検知素子33dbでの電圧降下が小さくなる。これにより、温度検知素子33dbで検出される検知電圧Vtdbは、IGBT31dbの温度が高くなると低下する。したがって、比較器422d-2は、温度検知素子33dbから入力されてIGBT31dbの温度に応じて変化する検知電圧Vtdbを用いることによって、IGBT31dbが絶対最大定格温度を越えた異常な温度で動作しているか否かを検出することができる。
【0113】
比較電圧Vdb2は例えば、IGBT31dbが動作可能な最大の温度(すなわち絶対最大定格温度)に対応する検知電圧Vtdbに設定されている。このため、比較器422d-2は、温度検知素子33dbから入力される検知電圧Vtdbが比較電圧Vdb2よりも高い場合(すなわちIGBT31dbが正常温度で動作している場合)には、ローレベルの信号レベルを有する比較信号Sc2-2をORゲート422f-2に出力する。一方、比較器422d-2は、温度検知素子33dbから入力される検知電圧Vtdbが比較電圧Vdb2よりも低い場合(すなわちIGBT31dbが異常温度で動作している場合)には、ハイレベルの信号レベルを有する比較信号Sc2-2をORゲート422f-2に出力する。
【0114】
図2に示すように、半導体モジュール1は、異常検出部422-2に設けられてプリドライバ41dbが異常状態で動作しているか否かを検出する検出部422ghを有している。検出部422ghは、電源入力端子Tvcに接続された比較器422g-2と、比較電圧Vdb3を生成する比較電圧生成部422h-2とを有している。比較器422g-2は、例えばオペアンプで構成されている。比較電圧生成部422h-2は、例えば直流電源で構成されている。比較器422g-2の反転入力端子(-)は、電源入力端子Tvcに接続されている。比較器422g-2の非反転入力端子(+)は、比較電圧生成部422h-2の正極側端子に接続されている。比較器422g-2の出力端子は、ORゲート422f-2の3つの入力端子のうちの1つに接続されている。比較電圧生成部422h-2の負極側端子は、基準電位端子Tgdに接続されている。
【0115】
比較電圧Vdb3は例えば、プリドライバ41dbが動作可能な最小の電源電圧(すなわち絶対最小定格電圧)に設定されている。比較電圧Vdb3は、比較電圧Vz3よりも低い電圧に設定されている。このため、比較器422g-2は、定電圧源25で生成されて電源入力端子Tvcに入力される電源電圧VDDが比較電圧Vdb3よりも高い場合(すなわちプリドライバ41dbが正常な電源電圧で動作している場合)には、ローレベルの信号レベルを有する比較信号Sc3-2をORゲート422f-2に出力する。一方、比較器422g-2は、定電圧源25で生成されて電源入力端子Tvcに入力される電源電圧VDDが比較電圧Vdb3よりも低い場合(すなわちプリドライバ41dbが異常な電源電圧で動作している場合)には、ハイレベルの信号レベルを有する比較信号Sc3-2をORゲート422f-2に出力する。
【0116】
図2に示すように、異常検出部422-2は、比較器422a-2,422d-2,422g-2に接続されたORゲート422f-2を有している。ORゲート422f-2は、3入力1出力の構成を有している。ORゲート422f-2の3つの入力端子のうちの1つには、比較器422a-2の出力端子が接続されている。ORゲート422f-2の残余の入力端子のうちの一方には、比較器422d-2の出力端子が接続されている。ORゲート422f-2の残余の入力端子には、比較器422g-2の出力端子が接続されている。このため、ORゲート422f-2には、比較器422a-2,422d-2,422g-2から出力される比較信号Sc1-2,Sc2-2,Sc3-2が入力される。
【0117】
ORゲート422f-2は、入力される比較信号Sc1-2,Sc2-2,Sc3-2の信号レベルを論理演算して得た演算信号Sca-2を保護信号生成部423-2に出力する。ORゲート422f-2は、比較信号Sc1-2,Sc2-2,Sc3-2の信号レベルの全てがローレベルの場合(すなわちIGBT31db及びプリドライバ41dbのいずれも異常状態で動作していない場合)には、ローレベルの信号レベルを有する演算信号Sca-2を保護信号生成部423-2に出力する。一方、ORゲート422f-2は、比較信号Sc1-2,Sc2-2,Sc3-2の信号レベルの少なくとも1つがハイレベルの場合(すなわちIGBT31db及びプリドライバ41dbの少なくとも1つが異常状態で動作している場合)には、ハイレベルの信号レベルを有する演算信号Sca-2を保護信号生成部423-2に出力する。
【0118】
図2に示すように、保護信号生成部423-2は、ORゲート422f-2に接続された遅延フリップフロップ(DFF)423a-2と、DFF423a-2に接続されたトランジスタ423b-2とを有している。トランジスタ423b-2は、例えばN型のMOSトランジスタで構成されている。DFF423a-2の信号入力端子(D)には、ORゲート422f-2の出力端子が接続されている。DFF423a-2の出力端子(Q)は、トランジスタ423b-2のゲートに接続されている。DFF423a-2のクロック信号入力端子(C)には、クロック信号CK-2が入力されている。クロック信号CK-2は、制御装置21(
図1参照)から入力されてもよいし、クロック信号CK-2を生成する発振器を半導体モジュール1が有していてもよい。
【0119】
このため、DFF423a-2は、ORゲート422f-2から入力される演算信号Sca-2の信号レベルがハイレベルの場合にクロック信号CK-2が立ち上がると、ハイレベルの信号レベルを有する出力信号を出力端子(Q)からトランジスタ423b-2のゲートに出力する。一方、DFF423a-2は、ORゲート422f-2から入力される演算信号Sca-2の信号レベルがローレベルの場合にクロック信号CK-2が立ち上がると、ローレベルの信号レベルを有する出力信号を出力端子(Q)からトランジスタ423b-2のゲートに出力する。
【0120】
保護部42dbは、電源入力端子Tvcを電源として動作する定電流源424-2を有している。トランジスタ423b-2のドレインは、定電流源424-2の出力端子に接続されている。トランジスタ423b-2のソースは、基準電位端子Tgdに接続されている。トランジスタ423b-2のゲートは、DFF423a-2の出力端子(Q)に接続されている。また、トランジスタ423b-2のドレイン及び定電流源424-2の出力端子は、信号検出端子Taedbに接続されている。
【0121】
このため、トランジスタ423b-2は、オフ状態の場合に信号検出端子Taedbと基準電位端子Tgdとを切断するため、信号検出端子Taedbの電圧レベルをハイレベルに設定する。この場合、保護信号生成部423-2は、保護信号SaeDBを信号検出端子Taedbに出力しないので、信号検出端子Taeu,Taev,Taew,Taex,Taey,Taezは、保護信号SaeDBを検出しない。一方、トランジスタ423b-2は、オン状態の場合に信号検出端子Taedbと基準電位端子Tgdとを接続するため、信号検出端子Taedbの電圧レベルをローレベルに設定する。これにより、保護信号生成部423-2は、ローレベルの信号レベルを有する保護信号SaeDBを信号検出端子Taedbに出力するので、信号検出端子Taeu,Taev,Taew,Taex,Taey,Taezは、保護信号SaeDBを検出する。
【0122】
上述のとおり、異常検出部422-2は、IGBT31db及びプリドライバ41dbのいずれも異常状態で動作していない場合には、ORゲート422f-2からローレベルの信号レベルを有する演算信号Sca-2をDFF423a-2の信号入力端子(D)に出力する。これにより、DFF423a-2は、クロック信号CK-2が立ち上がることによってローレベルの信号レベルを有する出力信号をトランジスタ423b-2のゲートに出力するので、トランジスタ423b-2はオフ状態となる。このため、保護信号生成部423-2は、IGBT31db及びプリドライバ41dbのいずれも異常状態で動作していない場合には、保護信号SaeDBを信号検出端子Taedbに出力しない。
【0123】
一方、異常検出部422-2は、IGBT31db及びプリドライバ41dbの少なくとも一方が異常状態で動作している場合には、ORゲート422f-2からハイレベルの信号レベルを有する演算信号Sca-2をDFF423a-2の信号入力端子(D)に出力する。これにより、DFF423a-2は、クロック信号CK-2が立ち上がることによってハイレベルの信号レベルを有する出力信号をトランジスタ423b-2のゲートに出力するので、トランジスタ423b-2はオン状態となる。このため、保護信号生成部423-2は、IGBT31db及びプリドライバ41dbの少なくとも一方が異常状態で動作している場合には、保護信号SaeDBを信号検出端子Taedbに出力する。
【0124】
図2に示すように、抵抗素子11mの他端子は、定電流源424-2の出力端子及びトランジスタ423b-2のドレインに接続されている。このため、アラーム信号出力端子Talmは、抵抗素子11mを介して信号検出端子Taedbに接続されている。アラーム信号出力端子Talmは、IGBT31db及びプリドライバ41dbのいずれも異常状態で動作していない場合には、電圧レベルをハイレベルに維持してアラーム信号Salmを制御装置21に出力しない。一方、アラーム信号出力端子Talmは、IGBT31db及びプリドライバ41dbの少なくとも一方が異常状態で動作している場合には、ローレベルの信号レベルを有するアラーム信号Salmを制御装置21に出力する。
【0125】
図2に示すように、判定部421-2は、信号検出端子Taedbに接続された比較器421a-2と、比較電圧Vdb4を生成する比較電圧生成部421b-2とを有している。比較器421a-2は、例えばオペアンプで構成されている。比較電圧生成部421b-2は、例えば直流電源で構成されている。比較器421a-2の反転入力端子(-)は、信号検出端子Taedbに接続されている。比較器421a-2の非反転入力端子(+)は、比較電圧生成部421b-2の正極側端子に接続されている。比較器421a-2の出力端子は、プリドライバ41dbに接続されている。比較電圧生成部421b-2の負極側端子は、基準電位端子Tgdに接続されている。
【0126】
比較電圧Vz4は例えば、信号検出端子Taedbで検出される保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZの電圧レベルよりも高い電圧(例えば定電圧源25が生成する電圧の電位と基準電位端子Tgdでの電位との電位差の中間電圧に設定されている。このため、比較器421a-2は、信号検出端子Taedbで保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZのいずれも検出されていない場合には、ローレベルの信号レベルを有する比較信号Sc4-2を継続信号生成部425-2(詳細は後述)に出力する。一方、比較器421a-2は、信号検出端子Taedbで保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZのいずれか1つが検出されている場合には、ハイレベルの信号レベルを有する比較信号Sc4-2を継続信号生成部425-2に出力する。
【0127】
図2に示すように、半導体モジュール1は、異常検出部422-2での検出結果、検出部422ghでの検出結果及び判定部421-2での判定結果に基づいて、IGBT31dbの動作を継続させるための継続信号Scndbを生成してプリドライバ41dbに出力する継続信号生成部425-2を備えている。継続信号生成部425-2は、保護部42dbに設けられている。
【0128】
継続信号生成部425-2は、検出部422gh及び判定部421-2に接続された否定論理積ゲート(NANDゲート)425a-2と、検出部422gh及びNANDゲート425a-2に接続された論理積ゲート(ANDゲート)425b-2と、ANDゲート425b-2及びORゲート422f-2に接続された論理和ゲート(ORゲート)425c-2とを有している。NANDゲート425a-2、ANDゲート425b-2及びORゲート425c-2は、2入力1出力の構成を有している。
【0129】
NANDゲート425a-2の一方の入力端子には、検出部422ghに設けられた比較器422g-2の出力端子が接続されている。NANDゲート425a-2の他方の入力端子には、判定部421-2に設けられた比較器421a-2の出力端子が接続されている。NANDゲート425a-2の出力端子は、ANDゲート425b-2の一方の入力端子に接続されている。ANDゲート425b-2の他方の入力端子は、比較器422g-2の出力端子が接続されている。ORゲート425c-2の一方の入力端子には、ANDゲート425b-2の出力端子が接続されている。ORゲート425c-2の他方の入力端子には、ORゲート422f-2の出力端子が接続されている。
【0130】
これにより、NANDゲート425a-2は、比較器422g-2から入力される比較信号Sc3-2と、比較器421a-2から入力される比較信号Sc4-2とを否定論理積して得た演算信号ScaaをANDゲート425b-2に出力する。ANDゲート425b-2は、NANDゲート425b-1から入力される演算信号Scaaと、比較器422g-2から入力される比較信号Sc3-2とを論理積して得た演算信号ScabをORゲート425c-2に出力する。ORゲート425c-2は、ANDゲート425b-2から入力される演算信号Scabと、ORゲート422f-2から入力される演算信号Sca-2とを論理和して得た演算信号を継続信号Scndbとしてプリドライバ41dbに出力する。
【0131】
このように、継続信号生成部425-2は、異常検出部422-2の検出結果としての演算信号Sca-2、検出部422ghでの検出結果としての比較信号Sc3-2及び判定部421-2での判定結果としての比較信号Sc4-2を論理演算することによって得られる継続信号Scndbを生成してプリドライバ41dbに出力する。
【0132】
継続信号生成部425-2の詳細な動作については後述するが、継続信号生成部425-2は、異常検出部422-1での検出結果に関わらず、同じ信号レベルの継続信号Scndbを生成する。また、継続信号生成部425-2は、保護部42u,42v,42w,42x,42yのそれぞれに設けられた異常検出部(不図示)での検出結果に関わらず、同じ信号レベルの継続信号Scndbを生成する。例えば、継続信号生成部425-2は、保護部42u,42v,42w,42x,42yのそれぞれに設けられた異常検出部での検出結果に関わらず、ローレベルの信号レベルを有する継続信号Scndbを生成する。プリドライバ41dbは、継続信号Scndbの信号レベルがローレベルの場合、信号入力端子TinDBから入力される入力信号InDBの信号レベルに応じたブレーキ駆動信号SgDBをIGBT31dbのゲートGに出力する。これにより、IGBT31dbは、信号検出端子Taedbが保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZの少なくとも1つを検出しているか否かに関わらず(すなわちIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31z及びプリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zの少なくとも1つが異常状態で動作しているか否かに関わらず)、制御装置21による制御に基づいて動作する。
【0133】
その結果、ブレーキユニット4dbは、プリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zの少なくとも1つの電源電圧が低下した異常状態で動作していても動作を継続できる。これにより、ブレーキ用のIGBT31dbはオン/オフ動作を継続できるので、半導体モジュール1は、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zに交流電源部22から入力される電圧が定格電圧よりも高くなることを防止できる。
【0134】
また、継続信号生成部425-2は、異常検出部422-2が異常を検出した場合には、ハイレベルの信号レベルを有する停止信号Sspdbをプリドライバ41dbに出力する。プリドライバ41dbは、継続信号生成部425-2から停止信号Sspdbが入力されると、信号入力端子TinDBから入力される入力信号InDBの信号レベルに関わらず、IGBT31dbがオフ状態となるブレーキ駆動信号SgDBをIGBT31dbのゲートGに出力する。これにより、IGBT31dbは、制御装置21による制御とは無関係にオフ状態に駆動される。その結果、半導体モジュール1は、IGBT31db及びプリドライバ41dbの少なくとも一方が異常状態で動作している場合に、IGBT31dbをオフ状態に制御してIGBT31dbの動作を一時的に停止することができる。
【0135】
(半導体モジュールの動作)
本実施形態による半導体モジュール1の動作について
図1及び
図2用いて説明する。以下、半導体モジュール1の動作についてブレーキユニット4dbの動作を例にとって説明する。
【0136】
表1は、IGBT及びプリドライバの動作状態と継続信号生成部の動作との関係を示している。表1中の「VDD」は、定電圧源25を示している。表1中の「Isz」は、IGBT31dbに設けられた電流検知素子Sから出力される検知電流Iszを示している。表1中の「Vtdb」は、保護部42dbに設けられた電流検出部422c-3で検出された検知電圧Vtdbを示している。表1中の「Taedb」は、半導体モジュール1に設けられた信号検出端子Taedbを示している。
【0137】
表1中の「Sc4-2」は、保護部42dbに設けられた判定部421-2から出力される比較信号Sc4-2を示している。表1中の「Sc3-2」は、保護部42dbに設けられた検出部422ghから出力される比較信号Sc3-2を示している。表1中の「Scaa」は、保護部42dbの継続信号生成部425-2に設けられたNANDゲート425a-2から出力される演算信号Scaaを示している。表1中の「Scab」は、保護部42dbの継続信号生成部425-2に設けられたANDゲート425b-2から出力される演算信号Scabを示している。表1中の「Sca-2」は、保護部42dbに設けられた異常検出部422-2から出力される演算信号Sca-2を示している。表1中の「Scndb」は、保護部42dbの継続信号生成部425-2から出力される継続信号Scndbを示している。
【0138】
表1中の○印は、IGBT31dbやプリドライバ41dbが正常状態であることを示している。表1中の×印は、IGBT31dbやプリドライバ41dbが異常状態であることを示している。表1中の「H」は、信号レベルがハイレベルであることを示している。表1中の「L」は、信号レベルがローレベルであることを示している。表1中の「-」は、継続信号が出力されない(換言すると停止信号が出力される)ことを示している。以下、表1を参照する場合、「VDD」などの項目が記載された欄を除いて表中の段数を記載する。
【0139】
【0140】
(正常動作)
まず、半導体モジュール1に設けられたIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31z,31db及びプリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41z,41dbが異常状態で動作していない正常動作について説明する。
【0141】
半導体モジュール1が正常に動作している場合には、表1の1段目に示すように、信号検出端子Taedb(
図2参照)は、保護信号を検出しないため、信号検出端子Taedbの電圧レベルはハイレベルとなる。これにより、信号検出端子Taedbでの電圧は、判定部421-2に設けられた比較電圧生成部421b-1で生成される比較電圧Vdb4(
図2参照)よりも高くなる。このため、判定部421-2は、ローレベルの信号レベルを有する比較信号Sc4-2を継続信号生成部425-2(
図2参照)に出力する。
【0142】
また、半導体モジュール1が正常に動作している場合には、表1の1段目に示すように、保護部42dbに設けられた検出部422ghから出力される比較信号Sc3-2(
図2参照)の信号レベルは、ローレベルとなる。このため、表1の1段目に示すように、継続信号生成部425-2に設けられたNANDゲート425a-2から出力される演算信号Scaa(
図2参照)の信号レベルはハイレベルとなり、継続信号生成部425-2に設けられたANDゲート425b-2から出力される演算信号Scabの信号レベルはローレベルとなる。
【0143】
また、半導体モジュール1が正常に動作している場合には、表1の1段目に示すように、保護部42dbに設けられた異常検出部422-2から出力される演算信号Sca-2(
図2参照)の信号レベルは、ローレベルとなる。このため、継続信号生成部425-2は、ローレベルの信号レベルを有する継続信号Scndbをプリドライバ41dbに出力する。これにより、プリドライバ41dbは、制御装置21から入力される入力信号InDBに基づいてIGBT31dbの動作を継続させるためのブレーキ駆動信号SgDBを生成してIGBT31dbのゲートGに出力する。その結果、半導体モジュール1は、正常の動作状態を継続する。
【0144】
(プリドライバの電源電圧が低下した場合の異常状態での動作)
次に、プリドライバ41dbの電源電圧が低下した場合の異常状態での半導体モジュール1の動作について説明する。
【0145】
プリドライバ41dbは、入力される電源電圧VDDが絶対最小電圧よりも低下すると、異常状態での動作となる。この場合、異常検出部422-2は、ハイレベルの信号レベルを有する演算信号Sca-2を保護信号生成部423-2に出力する(
図2参照)。これにより、表1の2段目に示すように、信号検出端子Taedbでの電圧レベルはローレベルとなる。このため、判定部421-2は、ハイレベルの信号レベルを有する比較信号Sc4-2を継続信号生成部425-2に出力する。
【0146】
また、プリドライバ41dbに入力される電源電圧VDDが絶対最小電圧よりも低下した場合には、表1の2段目に示すように、検出部422ghから出力される比較信号Sc3-2の信号レベルは、ハイレベルとなる。このため、表1の2段目に示すように、継続信号生成部425-2に設けられたNANDゲート425a-2から出力される演算信号Scaaの信号レベルはローレベルとなり、継続信号生成部425-2に設けられたANDゲート425b-2から出力される演算信号Scabの信号レベルはローレベルとなる。
【0147】
上述のとおり、電源電圧VDDが低下してプリドライバ41dbが異常状態で動作している場合には、表1の2段目に示すように、異常検出部422-2から出力される演算信号Sca-2(
図2参照)の信号レベルはローレベルである。このため、継続信号生成部425-2は、ハイレベルの信号レベルを有する停止信号Sspdbをプリドライバ41dbに出力し、継続信号Scndbをプリドライバ41dbに出力しない。これにより、プリドライバ41dbは、制御装置21から入力される入力信号InDBとは無関係にIGBT31dbの動作を停止させるためのブレーキ駆動信号SgDBを生成してIGBT31dbのゲートGに出力する。その結果、半導体モジュール1は、異常状態での動作を停止する。
【0148】
(IGBTに過電流が流れている場合の異常状態での動作)
次に、IGBT31dbに過電流が流れている場合の異常状態での半導体モジュール1の動作について説明する。
【0149】
IGBT31dbは、絶対最大定格電流よりも大きい電流が流れると、異常状態での動作となる。この場合、異常検出部422-2は、ハイレベルの信号レベルを有する演算信号Sca-2を保護信号生成部423-2に出力する。これにより、表1の3段目に示すように、信号検出端子Taedbでの電圧レベルはローレベルとなる。このため、判定部421-2は、ハイレベルの信号レベルを有する比較信号Sc4-2を継続信号生成部425-2に出力する。
【0150】
また、IGBT31dbに絶対最大定格電流よりも大きい電流が流れたとしても、プリドライバ41dbに入力される電源電圧VDDが比較電圧Vdb3よりも高いので、表1の3段目に示すように、検出部422ghから出力される比較信号Sc3-2の信号レベルは、ローレベルとなる。このため、表1の3段目に示すように、継続信号生成部425-2に設けられたNANDゲート425a-2から出力される演算信号Scaaの信号レベルはハイレベルとなり、継続信号生成部425-2に設けられたANDゲート425b-2から出力される演算信号Scabの信号レベルはローレベルとなる。
【0151】
上述のとおり、IGBT31dbに絶対最大定格電流よりも大きい電流が流れてIGBT31dbが異常状態で動作している場合には、表1の3段目に示すように、異常検出部422-2から出力される演算信号Sca-2の信号レベルはローレベルである。このため、継続信号生成部425-2は、ハイレベルの信号レベルを有する停止信号Sspdbをプリドライバ41dbに出力し、継続信号Scndbをプリドライバ41dbに出力しない。これにより、プリドライバ41dbは、制御装置21から入力される入力信号InDBとは無関係にIGBT31dbの動作を停止させるためのブレーキ駆動信号SgDBを生成してIGBT31dbのゲートGに出力する。その結果、半導体モジュール1は、異常状態での動作を停止する。
【0152】
(IGBTが高温状態で動作している場合の異常状態での動作)
次に、IGBT31dbが高温状態で動作している場合の異常状態での半導体モジュール1の動作について説明する。
【0153】
IGBT31dbは、絶対最大定格温度よりも高い温度になると、異常状態での動作となる。この場合、異常検出部422-2は、ハイレベルの信号レベルを有する演算信号Sca-2を保護信号生成部423-2に出力する。これにより、表1の4段目に示すように、信号検出端子Taedbでの電圧レベルはローレベルとなる。このため、判定部421-2は、ハイレベルの信号レベルを有する比較信号Sc4-2を継続信号生成部425-2に出力する。
【0154】
また、IGBT31dbが絶対最大定格温度よりも高い温度になったとしても、プリドライバ41dbに入力される電源電圧VDDが比較電圧Vdb3よりも高いので、表1の4段目に示すように、検出部422ghから出力される比較信号Sc3-2の信号レベルは、ローレベルとなる。このため、表1の4段目に示すように、継続信号生成部425-2に設けられたNANDゲート425a-2から出力される演算信号Scaaの信号レベルはハイレベルとなり、継続信号生成部425-2に設けられたANDゲート425b-2から出力される演算信号Scabの信号レベルはローレベルとなる。
【0155】
上述のとおり、IGBT31dbが絶対最大定格温度よりも高い温度で動作して異常状態で動作している場合には、表1の4段目に示すように、異常検出部422-2から出力される演算信号Sca-2の信号レベルはローレベルである。このため、継続信号生成部425-2は、ハイレベルの信号レベルを有する停止信号Sspdbをプリドライバ41dbに出力し、継続信号Scndbをプリドライバ41dbに出力しない。これにより、プリドライバ41dbは、制御装置21から入力される入力信号InDBとは無関係にIGBT31dbの動作を停止させるためのブレーキ駆動信号SgDBを生成してIGBT31dbのゲートGに出力する。その結果、半導体モジュール1は、異常状態での動作を停止する。
【0156】
(信号検出端子が保護信号を検出している場合の異常状態での動作)
次に、信号検出端子Taedbが例えば保護信号SaeZを検出した場合の異常状態での半導体モジュール1の動作について説明する。なお、保護部42dbは、信号検出端子Taedbが保護信号SaeX,SaeV,SaeW,SaeX,SaeYを検出した場合も、信号検出端子Taedbが保護信号SaeZを検出した場合と同様に動作する。
【0157】
信号検出端子Taedbが保護信号SaeZを検出すると、表1の5段目に示すように、信号検出端子Taedbでの電圧レベルはローレベルとなる。このため、判定部421-2は、ハイレベルの信号レベルを有する比較信号Sc4-2を継続信号生成部425-2に出力する。
【0158】
また、信号検出端子Taedbが保護信号SaeZを検出したとしても、プリドライバ41dbに入力される電源電圧VDDが比較電圧Vdb3よりも高いので、表1の5段目に示すように、検出部422ghから出力される比較信号Sc3-2の信号レベルは、ローレベルとなる。このため、表1の5段目に示すように、継続信号生成部425-2に設けられたNANDゲート425a-2から出力される演算信号Scaaの信号レベルはハイレベルとなり、継続信号生成部425-2に設けられたANDゲート425b-2から出力される演算信号Scabの信号レベルはローレベルとなる。
【0159】
信号検出端子Taedbが保護信号SaeZを検出したとしても、プリドライバ41db及びIGBT31dbは異常状態で動作していないため、表1の5段目に示すように、異常検出部422-2から出力される演算信号Sca-2の信号レベルはローレベルになる。このため、継続信号生成部425-2は、ローレベルの信号レベルを有する継続信号Scndbをプリドライバ41dbに出力する。これにより、プリドライバ41dbは、制御装置21から入力される入力信号InDBに基づくブレーキ駆動信号SgDBを生成してIGBT31dbのゲートGに出力する。その結果、半導体モジュール1は、制御装置21による制御に基づいて動作を継続する。
【0160】
信号検出端子Taedbは、ゲート駆動ユニット4u,4v,4w,4x,4y,4zに設けられたプリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zが異常状態で動作している場合及びゲート駆動ユニット4u,4v,4w,4x,4y,4zに駆動されるIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zが異常状態で動作している場合のいずれの場合も、保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZを検出する。このため、半導体モジュール1は、プリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zに入力される電源電圧VDDが低下することに起因してプリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zが異常状態で動作することにより、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zにおいて第1の保護動作が実行されても、ブレーキユニット4dbに設けられた保護部42dbにおいて第2の保護動作を実行しない。これにより、半導体モジュール1は、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zが実行する第1の保護動作によってIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zの動作が停止していても、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zに入力される正極側及び負極側の間の電圧の上昇を防止できる。
【0161】
詳細な説明は省略するが、ゲート駆動ユニット4zは、上述の表1に示す「Sc4-2」を「Scndb」と読み替えた場合と同様に動作する。具体的には、保護部42zに設けられた判定部421-1は、半導体モジュール1が通常状態で動作している場合には、表1中の「Sc4-2」欄の1段目に示すように、ローレベルの信号レベルを有する継続信号Scndbをプリドライバ41zに出力する。一方、プリドライバ41zに入力される電源電圧VDDが比較電圧Vz3よりも低くなった場合(表1中の「VDD」欄の2段目のバツ印)、IGBT31zに過電流が流れている場合(表1中の「Isdb」欄の3段目のバツ印)、IGBT31zが高温状態で動作している場合(表1中の「Vtdb」欄の4段目のバツ印)及び信号検出端子Taezが保護信号を検出した場合(表1中の「Taedb」欄の5段目の「L」)、判定部421-1は、ハイレベルの信号レベルを有する停止信号Sspdbをプリドライバ41dbに出力する。このため、ゲート駆動ユニット4zは、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31z及びプリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zのうちの少なくとも1つが異常状態で動作した場合には、IGBT31zがオフ状態となるように駆動する。
【0162】
ゲート駆動ユニット4u,4v,4w,4x,4yは、ゲート駆動ユニット4zと同様の構成を有しているので、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31z及びプリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zのうちの少なくとも1つが異常状態で動作した場合には、IGBT31u,31v,31w,31x,31yがオフ状態となるように駆動する。
【0163】
以上説明したように、本実施形態による半導体モジュール1は、モータ24に電力を供給するIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zと、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zを駆動するプリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zと、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31z及びプリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zを異常状態の動作から保護する第1の保護動作を実行する保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zとを備えている。また、本実施形態による半導体モジュール1は、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zに入力される電圧の大きさを調整するIGBT31dbと、IGBT31dbを駆動するプリドライバ41dbと、IGBT31dbを異常状態の動作から保護する第2の保護動作を実行する保護部42dbとを備え、保護部42dbは、IGBT31dbが異常状態で動作している場合に第2の保護動作を実行し、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zが第1の保護動作を実行しているか否かに関わらず第2の保護動作を実行しない。
【0164】
これにより、半導体モジュール1は、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zで第1の保護動作が働いた場合でもIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zに入力される電圧の上昇を防止することができる。
【0165】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態による半導体モジュールについて
図3を用いて説明する。本実施形態による半導体モジュールは、上記第1実施形態による半導体モジュール1と同様の全体構成を有している。このため、本実施形態による半導体モジュールの全体構成の説明は省略する。
【0166】
(ゲート駆動ユニット及びブレーキユニットの構成)
次に、本実施形態による半導体モジュール1に備えられたゲート駆動ユニット4u,4v,4w,4x,4y,4z及びブレーキユニット4dbの概略構成について
図3を用いて説明する。ゲート駆動ユニット4u,4v,4w,4x,4y,4zは、互いに同一の構成を有している。このため、以下、ゲート駆動ユニット4u,4v,4w,4x,4y,4zの概略構成について、ゲート駆動ユニット4zを例にとって説明する。
図3は、ゲート駆動ユニット4z及びブレーキユニット4dbの概略構成の一例を示す回路図である。
図3では、理解を容易にするため、ゲート駆動ユニット4zの駆動対象であるIGBT31zを有する半導体素子3zと、ブレーキユニット4dbの駆動対象であるIGBT31dbを有する半導体素子3dbと、還流ダイオード32dbと、定電圧源25とが併せて図示されている。
【0167】
本実施形態におけるゲート駆動ユニット4zは、上記第1実施形態におけるゲート駆動ユニット4zと同様の構成を有しているため、説明は省略する。本実施形態におけるブレーキユニット4dbは、保護部43dbが上記第1実施形態における検出部422gh及び継続信号生成部425-2を有していない点に特徴を有している。
【0168】
図3に示すように、ブレーキユニット4dbに設けられた保護部43dbは、上記第1実施形態における継続信号生成部425-2を有していないため、判定部421-2に設けられた比較器421a-2の出力端子がプリドライバ41dbに接続されている。このため、保護部43dbは、比較器421a-2から出力される比較信号を継続信号Scndb又は停止信号Sspdbとしてプリドライバ41dbに出力する。
【0169】
また、保護部43dbは、上記第1実施形態における検出部422ghを有していないため、保護部43dbに設けられた異常検出部422-2は、2入力1出力の構成を有する論理和ゲート(ORゲート)432f-2を有している。ORゲート432f-2の一方の入力端子は、異常検出部422-2に設けられた比較器422a-2の出力端子と接続されている。ORゲート432f-2の他方の入力端子は、異常検出部422-2に設けられた比較器422d-2の出力端子に接続されている。ORゲート432f-2の出力端子は、保護信号生成部423-2に設けられたDFF423a-2の信号入力端子(D)に接続されている。
【0170】
このため、ORゲート432f-2は、比較器422a-2から入力される比較信号Sc1-2と、比較器422d-2から入力される比較信号Sc2-2とを論理和演算して得られる演算信号Sca-2をDFF423a-2の信号入力端子(D)に出力する。
【0171】
保護信号生成部423-2は、演算信号Sca-2の信号レベルがハイレベルの場合にクロック信号CK-2が立ち上がることにより、ローレベルの信号レベルを有する保護信号SaeDBを信号検出端子Taedbに出力する。一方、保護信号生成部423-2は、演算信号Sca-2の信号レベルがローレベルの場合にクロック信号CK-2が立ち上がることにより、信号検出端子Taedbを基準電位端子Tgdから電気的に切り離すので、信号検出端子Taedbは、電圧レベルがハイレベルに維持される。
【0172】
本実施形態における保護信号生成部423-2、判定部421-2及び信号検出端子Taedbの接続状態は、上記第1実施形態における保護信号生成部423-2、判定部421-2及び信号検出端子Taedbの接続状態と同様である。このため、判定部421-2は、IGBT31dbが異常状態で動作していることを異常検出部422-2が検出した場合又は信号検出端子Taedbが保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZの少なくとも1つを検出した場合には、ハイレベルの信号レベルを有する停止信号Sspdbをプリドライバ41dbに出力する。一方、判定部421-2は、IGBT31dbが異常状態で動作していることを異常検出部422-2が検出していない場合及び信号検出端子Taedbが保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZのいずれも検出していない場合には、ローレベルの信号レベルを有する継続信号Scndbをプリドライバ41dbに出力する。
【0173】
プリドライバ41dbには、ORゲート432f-2の出力端子が接続されている。このため、ORゲート432f-2が出力する演算信号Sca-2は、プリドライバ41dbに入力される。プリドライバ41dbは、電源入力端子Tvcを介して入力される電源電圧VDDが所定電圧(例えば上記第1実施形態における比較電圧Vdb3と同じ電圧)高いか低いかを監視している。
【0174】
プリドライバ41dbは、判定部421-2から停止信号Sspdbが入力されても、電源入力端子Tvcを介して入力される電源電圧VCCが当該所定電圧よりも高く、ORゲート432f-2から入力される演算信号Sca-2の信号レベルがローレベルである場合には、信号入力端子TinDBから入力される入力信号InDBに基づいてブレーキ駆動信号SgDBを生成してIGBT31dbのゲートGに出力する。これにより、半導体モジュール1は、制御装置21(
図1参照)による制御に基づくIGBT31dbの動作を継続することができる。
【0175】
また、プリドライバ41dbは、判定部421-2から停止信号Sspdbが入力され、電源入力端子Tvcを介して入力される電源電圧VCCが当該所定電圧よりも低い、又はORゲート432f-2から入力される演算信号Sca-2の信号レベルがハイレベルである場合には、信号入力端子TinDBから入力される入力信号InDBとは無関係にIGBT31dbをオフ状態に駆動するブレーキ駆動信号SgDBを生成してIGBT31dbのゲートGに出力する。これにより、半導体モジュール1は、制御装置21による制御とは無関係にIGBT31dbの動作を停止することができる。
【0176】
(半導体モジュールの動作)
本実施形態による半導体モジュール1に設けられたブレーキユニット4dbは、上述の表1に示す「Sc4-2」を「Scndb」と読み替えた場合と同様に動作する。具体的には、本実施形態におけるブレーキユニット4dbは、半導体モジュール1が通常状態で動作している場合には、表1中の「Sc4-2」欄の1段目に示すように、ローレベルの信号レベルを有する継続信号Scndbをプリドライバ41dbに出力する。これにより、プリドライバ41dbは、信号入力端子TinDBから入力される入力信号InDBに基づいてブレーキ駆動信号SgDBを生成してIGBT31dbのゲートGに出力する。その結果、半導体モジュール1は、制御装置21による制御に基づくIGBT31dbの動作を継続することができる。
【0177】
また、本実施形態において、プリドライバ41dbに入力される電源電圧VDDが所定電圧よりも低くなった場合(表1中の「VDD」欄の2段目のバツ印)、IGBT31dbに過電流が流れている場合(表1中の「Isdb」欄の3段目のバツ印)、IGBT31dbが高温状態で動作している場合(表1中の「Vtdb」欄の4段目のバツ印)及び信号検出端子Taedbが保護信号を検出した場合(表1中の「Taedb」欄の5段目の「L」)、判定部421-2は、ハイレベルの信号レベルを有する停止信号Sspdbをプリドライバ41dbに出力する。プリドライバ41dbは、停止信号Sspdbが入力された場合であって、電源入力端子Tvcから入力される電源電圧VDDが所定電圧よりも低い場合、及び異常検出部422-2から入力される演算信号Sca-2の信号レベルがハイレベルの場合の少なくとも一方の場合(すなわち、表1中の2段目から4段目のいずれかの場合)、信号入力端子TinDBから入力される入力信号InDBとは無関係にIGBT31dbをオフ状態に駆動するブレーキ駆動信号SgDBを生成してIGBT31dbのゲートGに出力する。これにより、半導体モジュール1は、制御装置21による制御とは無関係にIGBT31dbの動作を停止することができる。
【0178】
一方、本実施形態において、プリドライバ41dbは、停止信号Sspdbが入力された場合でも、電源入力端子Tvcから入力される電源電圧VDDが所定電圧よりも高く、かつ異常検出部422-2から入力される演算信号Sca-2の信号レベルがローレベルの場合(すなわち、表1中の5段目の場合)、信号入力端子TinDBから入力される入力信号InDBに基づいてブレーキ駆動信号SgDBを生成してIGBT31dbのゲートGに出力する。その結果、半導体モジュール1は、制御装置21による制御に基づくIGBT31dbの動作を継続することができる。
【0179】
本実施形態でも、信号検出端子Taedbは、ゲート駆動ユニット4u,4v,4w,4x,4y,4zに設けられたプリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zが異常状態で動作している場合及びゲート駆動ユニット4u,4v,4w,4x,4y,4zに駆動されるIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zが異常状態で動作している場合のいずれの場合も、保護信号SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZを検出する。このため、半導体モジュール1は、プリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zに入力される電源電圧VDDが低下することに起因してプリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zが異常状態で動作することにより、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zにおいて第1の保護動作が実行されても、ブレーキユニット4dbに設けられた保護部42dbにおいて第2の保護動作を実行しない。これにより、半導体モジュール1は、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zが実行する第1の保護動作によってIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zの動作が停止していても、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zに入力される正極側及び負極側の間の電圧の上昇を防止できる。
【0180】
以上説明したように、本実施形態による半導体モジュール1は、モータ24に電力を供給するIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zと、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zを駆動するプリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zと、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31z及びプリドライバ41u,41v,41w,41x,41y,41zを異常状態の動作から保護する第1の保護動作を実行する保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zとを備えている。また、本実施形態による半導体モジュール1は、IGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zに入力される電圧の大きさを調整するIGBT31dbと、IGBT31dbを駆動するプリドライバ41dbと、IGBT31dbを異常状態の動作から保護する第2の保護動作を実行する保護部43dbとを備え、保護部43dbは、IGBT31dbが異常状態で動作している場合に第2の保護動作を実行し、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zが第1の保護動作を実行しているか否かに関わらず第2の保護動作を実行しない。
【0181】
これにより、半導体モジュール1は、保護部42u,42v,42w,42x,42y,42zで第1の保護動作が働いた場合でもIGBT31u,31v,31w,31x,31y,31zに入力される電圧の上昇を防止することができる。
【0182】
本発明は、上記実施形態によらず種々の変形が可能である。
上記第1実施形態による半導体モジュールに設けられた継続信号生成部は、NANDゲート、ANDゲート及びORゲートを有しているが、本発明はこれに限られない。継続信号生成部は、ブレーキユニットに対応する信号検出端子が保護信号を検出した場合に、半導体モジュールが正常に動作している場合に生成する継続信号と同じ信号レベルを有する継続信号を生成することができれば、異なる構成を有していてもよい。
【0183】
本発明の技術的範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の技術的範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
【符号の説明】
【0184】
1 半導体モジュール
3db,3u,3v,3w,3x,3y,3z 半導体素子
4db ブレーキユニット
4u,4v,4w,4x,4y,4z ゲート駆動ユニット
11m,11u,11v,11w,26 抵抗素子
21 制御装置
22 交流電源部
23 平滑用コンデンサ
24 モータ
25 定電圧源
31db,31u,31v,31w,31x,31y,31z IGBT
32db,32u,32v,32w,32x,32y,32z 還流ダイオード
33db,33u,33v,33w,33x,33y,33z 温度検知素子
41db,41u,41v,41w,41x,41y,41z プリドライバ
42db,42u,42v,42w,42x,42y,42z,43db 保護部
421-1,421-2 判定部
421a-1,421a-2,422a-1,422a-2,422d-1,422d-2,422g-1,422g-2 比較器
421b-1,421b-2,422b-1,422b-2,422e-1,422e-2,422h-1,422h-2 比較電圧生成部
422-1,422-2 異常検出部
422c-1,422c-2,422c-3 電流検出部
422f-1,422f-2,425c-2,432f-2,432f-2 ORゲート
422gh 検出部
423-1,423-2 保護信号生成部
423a-1,423a-2 DFF
423b-1,423b-2 トランジスタ
424-1,424-2 定電流源
425-2 継続信号生成部
425a-2,425b-1 NANDゲート
425b-2,425b-2 ANDゲート
InDB,InU,InV,InW,InX,InY,InZ 入力信号
Isdb,Isdb,Isu,Isv,Isw,Isx,Isy,Isz 検知電流
Ln 負極側ライン
Lp 正極側ライン
S 電流検知素子
SaeDB,SaeU,SaeV,SaeW,SaeX,SaeY,SaeZ 保護信号
Salm,Salu,Salv,Salw アラーム信号
Sc1-1,Sc1-2,Sc2-1,Sc2-2,Sc3-1,Sc3-2,Sc4-2 比較信号
Sca-1,Sca-2,Scaa,Scab 演算信号
Scndb,Scnz 継続信号
SgDB ブレーキ駆動信号
SgU,SgV,SgW,SgX,SgY,SgZ ゲート駆動信号
Sspdb,Sspz 停止信号
Taedb,Taeu,Taev,Taew,Taex,Taey,Taez 信号検出端子
Talm,Talu,Talv,Talw アラーム信号出力端子
Tdb 回生電力用端子
Tgd 基準電位端子
Tgdu,Tgdv,Tgdw 上相基準電位端子
TinDB,TinU,TinV,TinW,TinX,TinY,TinZ 信号入力端子
Tn 負極側電源入力端子
Tp 正極側電源入力端子
TU U相出力端子
TV V相出力端子
Tvc,Tvcu,Tvcv,Tvcw 電源入力端子
TW W相出力端子
Vdb1,Vdb2,Vdb3,Vdb4,Vz1,Vz2,Vz3 比較電圧
Vz4 比較電圧
VCC,VDD 電源電圧
Vsz,Vsdb,Vtdb,Vtu,Vtv,Vtw,Vtx,Vty,Vtz 検知電圧