(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058426
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04746 20160101AFI20240418BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240418BHJP
H01M 8/04537 20160101ALI20240418BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20240418BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20240418BHJP
【FI】
H01M8/04746
H01M8/04 J
H01M8/04 Z
H01M8/04537
H01M8/04014
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165773
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 健
(72)【発明者】
【氏名】富本 尚也
(72)【発明者】
【氏名】立川 克之
(72)【発明者】
【氏名】垣見 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】明本 斉
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB04
5H127AC02
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA28
5H127BA33
5H127BA39
5H127BA57
5H127BA58
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB26
5H127BB37
5H127BB39
5H127BB40
5H127CC07
5H127DB66
5H127DC76
5H127EE02
5H127EE03
5H127EE29
(57)【要約】
【課題】吸気口からのオフガスの吸入を抑制する。
【解決手段】燃料電池システム10は、燃料電池スタック21と、気体を吸入する吸気口31と、オフガスを排出させる排気口39と、冷却機構70と、を備える。冷却機構70は、冷媒を気体と熱交換させるラジエータ72と、流れ方向に流れる送風を発生させるラジエータファン73と、燃料電池スタック21に冷媒を循環させる冷媒流路71と、サーモスタット75と、を有する。冷媒流路71は、ラジエータ72を経由して冷媒が流れる第1流路71cと、ラジエータ72を経由せずに冷媒が流れる第2流路71dと、を含む。サーモスタット75は、冷媒が流れる流路を第1流路71cと第2流路71dとで切り替える。吸気口31は、流れ方向において、排気口39よりも上流に配置される。燃料電池システム10は、燃料電池スタック21による発電の実行中、ラジエータファン73による送風の発生を継続させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素ガスと燃料ガスとの反応によって発電を行う燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックに供給するための前記酸素ガスを含む気体を前記燃料電池スタックの外部から吸入する吸気口と、
前記燃料電池スタックから排出されるオフガスを前記燃料電池スタックの外部に排出させる排気口と、
前記燃料電池スタックを冷媒によって冷却する冷却機構と、を備える燃料電池システムであって、
前記冷却機構は、
前記冷媒を前記気体と熱交換させるラジエータと、
流れ方向に流れる送風を発生させることにより前記ラジエータに前記気体を供給するラジエータファンと、
前記ラジエータを経由して前記冷媒が流れる第1流路と、前記ラジエータを経由せずに前記冷媒が流れる第2流路と、を含み、前記燃料電池スタックに前記冷媒を循環させる冷媒流路と、
前記冷媒の温度が所定温度以上であるときは前記冷媒が前記第1流路を流れて前記燃料電池スタックに循環し、前記冷媒の温度が前記所定温度未満であるときは前記冷媒が前記第2流路を流れて前記燃料電池スタックに循環するように、前記冷媒が流れる流路を前記第1流路と前記第2流路とで切り替える切替手段と、を有し、
前記吸気口は、前記流れ方向において、前記排気口よりも上流に配置され、
前記燃料電池スタックによる発電の実行中、前記ラジエータファンによる前記送風の発生を継続させることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記ラジエータファンは、回転軸と、前記回転軸の軸線に直交する直交方向に前記回転軸から延びるブレードと、を有し、
前記ブレードは、前記直交方向における前記ブレードの最外縁が軌跡円を描くように前記回転軸と共に回転し、
前記排気口は、前記軌跡円を前記流れ方向において延長した範囲内に位置する請求項1に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムとしては、燃料電池スタックと、吸気口と、排気口と、を備えるものが知られている。燃料電池スタックは、酸素ガスと燃料ガスとの反応によって発電を行う。吸気口は、燃料電池スタックに供給するための酸素ガスを含む気体を燃料電池スタックの外部から吸入する。排気口は、燃料電池スタックから排出されるオフガスを燃料電池スタックの外部に排出させる。
【0003】
特許文献1に記載の燃料電池システムは、燃料電池スタックを冷媒によって冷却する冷却機構を備える。冷却機構は、冷媒を気体と熱交換させるラジエータと、送風を発生させることによりラジエータに気体を供給するラジエータファンと、有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸気口から燃料電池スタックに供給された気体のうち、酸素ガスが燃料電池スタックにて消費される。そのため、酸素ガスが燃料電池スタックにて消費された分だけ、排気口から排出されるオフガスの酸素濃度は低くなる。こうしたオフガスが吸気口から吸入されると、燃料電池スタックに供給される気体の酸素濃度が低下することにより燃料電池スタックの性能低下が生じるおそれがある。そのため、吸気口からのオフガスの吸入を抑制することが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する燃料電池システムは、酸素ガスと燃料ガスとの反応によって発電を行う燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックに供給するための前記酸素ガスを含む気体を前記燃料電池スタックの外部から吸入する吸気口と、前記燃料電池スタックから排出されるオフガスを前記燃料電池スタックの外部に排出させる排気口と、前記燃料電池スタックを冷媒によって冷却する冷却機構と、を備える燃料電池システムであって、前記冷却機構は、前記冷媒を前記気体と熱交換させるラジエータと、流れ方向に流れる送風を発生させることにより前記ラジエータに前記気体を供給するラジエータファンと、前記ラジエータを経由して前記冷媒が流れる第1流路と、前記ラジエータを経由せずに前記冷媒が流れる第2流路と、を含み、前記燃料電池スタックに前記冷媒を循環させる冷媒流路と、前記冷媒の温度が所定温度以上であるときは前記冷媒が前記第1流路を流れて前記燃料電池スタックに循環し、前記冷媒の温度が前記所定温度未満であるときは前記冷媒が前記第2流路を流れて前記燃料電池スタックに循環するように、前記冷媒が流れる流路を前記第1流路と前記第2流路とで切り替える切替手段と、を有し、前記吸気口は、前記流れ方向において、前記排気口よりも上流に配置され、前記燃料電池スタックによる発電の実行中、前記ラジエータファンによる前記送風の発生を継続させることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、吸気口は、流れ方向において、排気口よりも上流に配置されている。そのため、送風は吸気口から排気口に向かうように流れる。燃料電池スタックによる発電の実行中、ラジエータファンによる送風の発生が継続される。そのため、吸気口から排気口に向かって流れる送風の発生は、燃料電池スタックによる発電が実行されている間で継続される。燃料電池スタックによる発電の実行中は、排気口から排出されるオフガスが吸気口に向かいにくい。したがって、吸気口からのオフガスの吸入を抑制できる。
【0008】
燃料電池システムにおいて、前記ラジエータファンは、回転軸と、前記回転軸の軸線に直交する直交方向に前記回転軸から延びるブレードと、を有し、前記ブレードは、前記直交方向における前記ブレードの最外縁が軌跡円を描くように前記回転軸と共に回転し、前記排気口は、前記軌跡円を前記流れ方向において延長した範囲内に位置するとよい。
【0009】
上記構成によれば、ラジエータファンによって発生する送風は、軌跡円を流れ方向において延長した範囲にて流れ方向への流れが強まる傾向にある。そのため、排気口を範囲内に位置させることによって、排気口から排出されたオフガスを、送風によって吸気口から遠ざけることができる。したがって、吸気口からのオフガスの吸入をさらに抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、吸気口からのオフガスの吸入を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、燃料電池システムを具体化した実施形態を図面にしたがって説明する。
<燃料電池システム>
図1に示すように、燃料電池システム10は産業車両に搭載されている。産業車両は、例えば、フォークリフト又はトーイングトラクタである。なお、図面では、燃料電池システム10が水平面上に置かれているものとして重力方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。重力方向を以下では重力方向Zともいう。X軸の延びる方向を第1方向Xともいい、Y軸の延びる方向を第2方向Yともいう。
【0013】
燃料電池システム10は、燃料電池ユニット11と、筐体12と、を備えている。筐体12は、上壁12bと、下壁12aと、側壁12cと、を備えている。側壁12cは、上壁12bと下壁12aとを繋ぐ筒状である。筐体12の内部には、収容空間Sが形成されている。収容空間Sは、上壁12b、下壁12a、及び側壁12cによって区画形成されている。筐体12は、収容空間Sに燃料電池ユニット11を収容する。
【0014】
下壁12aは、上壁12bよりも重力方向Zの下方に位置する。下壁12aと上壁12bとは重力方向Zにおいて対向する。側壁12cは、第1方向Xにおいて互いに対向する第1側壁12d及び第2側壁12eを備えている。
【0015】
第1側壁12dには、第1通気口12fが形成されている。第1側壁12dに形成される第1通気口12fの数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。本実施形態の第1通気口12fは、第1側壁12dに複数形成されている。第1通気口12fは、第1側壁12dを貫通する貫通孔である。第1通気口12fを介して、筐体12の内外は連通されている。
【0016】
第2側壁12eには、第2通気口12gが形成されている。第2側壁12eに形成される第2通気口12gの数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。本実施形態の第2通気口12gは、第2側壁12eに1つ形成されている。第2通気口12gは、第2側壁12eを貫通する貫通孔である。第2通気口12gを介して、筐体12の内外は連通されている。第1通気口12fと第2通気口12gとは、第1方向Xにおいて互いに対向している。
【0017】
図2に示すように、燃料電池システム10は、負荷91と、電力変換部92と、キースイッチ13と、を備える。燃料電池ユニット11から電力変換部92に電力が入力される。電力変換部92は、燃料電池ユニット11から電力変換部92に入力された電力を変換して出力する。電力変換部92は、DC/DCコンバータ、及びインバータを含む。電力変換部92から出力された電力は負荷91に供給される。負荷91は、例えば、電力によって駆動する電動機である。この電動機の駆動によって産業車両は走行する。電力変換部92から出力された電力が負荷91に供給されることにより、負荷91は駆動する。
【0018】
キースイッチ13は、産業車両のユーザによって操作される。ユーザによる操作によって、キースイッチ13はオンとオフとで切り替えられる。以下の説明において、キースイッチ13がオフされることをキーオフと称し、キースイッチ13がオンされることをキーオンと称する場合がある。
【0019】
燃料電池ユニット11は、カソード系30と、アノード系60と、希釈器69と、制御部80と、を備える。燃料電池ユニット11は、燃料電池スタック21と、冷却機構70と、を備える。すなわち、燃料電池システム10は、燃料電池スタック21と、冷却機構70と、を備える。燃料電池スタック21は、例えば、固体高分子形燃料電池である。燃料電池スタック21は、複数の燃料電池セル22を有する。燃料電池セル22は、アノードガスが供給されるアノード極と、カソードガスが供給されるカソード極と、アノード極とカソード極との間に配置されている電解質膜と、を備える。燃料電池セル22は、セパレータによって挟まれている。
【0020】
カソード系30は、カソードガスが流れるカソード流路23を備える。カソード流路23は、例えば、燃料電池スタック21におけるカソード極に向かい合うセパレータに設けられている。カソード流路23は、カソード導入口24と、カソード排出口25と、を備える。カソードガスは、カソード導入口24からカソード流路23に流入し、カソード排出口25からカソード流路23外に流出する。
【0021】
アノード系60は、アノードガスが流れるアノード流路26を備える。アノード流路26は、例えば、燃料電池スタック21におけるアノード極に向かい合うセパレータに設けられている。アノード流路26は、アノード導入口27と、アノード排出口28と、を備える。アノードガスは、アノード導入口27からアノード流路26に流入し、アノード排出口28からアノード流路26外に流出する。
【0022】
アノード流路26を流れるアノードガスと、カソード流路23を流れるカソードガスと、が反応することにより、燃料電池スタック21は発電を行う。カソードガスは、酸素ガスである。アノードガスは、燃料ガスである。したがって、燃料電池スタック21は、酸素ガスと燃料ガスとの反応によって発電を行う。燃料ガスとしては、例えば、水素ガスを挙げることができる。
【0023】
アノード系60は、タンク61と、アノードガス供給部62と、供給路63と、循環路64と、気液分離器65と、循環ポンプ66と、排気排水弁67と、を備える。
タンク61は、アノードガスを貯留している。アノードガス供給部62には、タンク61からアノードガスが供給される。アノードガス供給部62は、燃料電池スタック21に供給されるアノードガスの量を調整するための部材である。燃料電池スタック21に供給されるアノードガスの量は、アノードガス供給部62を制御することで調整可能である。アノードガス供給部62としては、例えば、インジェクタなどの電磁弁を用いることができる。
【0024】
供給路63は、アノードガス供給部62とアノード導入口27とを接続している。アノードガス供給部62から噴射されたアノードガスは、供給路63を通じて燃料電池スタック21に供給される。
【0025】
循環路64は、アノード排出口28と供給路63とを接続している。循環路64には、アノードオフガスが流れる。アノードオフガスは、未反応のアノードガスと、生成水と、を含む。生成水とは、燃料電池スタック21での発電によって生成される水である。循環路64は、アノードオフガスに含まれる未反応のアノードガスを供給路63に戻すための通路である。
【0026】
気液分離器65は、循環路64に設けられている。気液分離器65は、アノードオフガスをアノードガスと生成水とに分離する。アノードオフガスから分離された生成水は、気液分離器65に貯留される。
【0027】
循環ポンプ66は、循環路64に設けられている。循環ポンプ66は、気液分離器65によってアノードオフガスから分離されたアノードガスを供給路63に供給する。これにより、アノードガスが循環する。
【0028】
排気排水弁67は、気液分離器65に接続されている。排気排水弁67は、開状態と閉状態に切り替えられる。排気排水弁67が開状態になると、気液分離器65から生成水が排出される。排気排水弁67は、気液分離器65に貯留される生成水の量が閾値を上回った場合に閉状態から開状態に切り替えられてもよい。排気排水弁67は、所定の時間間隔毎に閉状態から開状態に切り替えられてもよい。
【0029】
気液分離器65は、希釈器69に接続されている。排気排水弁67が開状態になると、気液分離器65に貯留された生成水及びアノードオフガスが希釈器69に供給される。
カソード系30は、供給流路34、及び排出流路37を備える。カソード系30は、吸気口31と、電動圧縮機32と、インタークーラ33と、封止弁40と、調圧弁41と、排気口39と、を備える。すなわち、燃料電池システム10は、吸気口31と、排気口39と、を備える。
【0030】
吸気口31は、供給流路34に形成されている。吸気口31は、例えば供給流路34の上流端に位置する。吸気口31は、燃料電池スタック21に供給するための酸素ガスを含む気体G1を燃料電池スタック21の外部から吸入するものである。なお、気体G1は例えば空気である。吸気口31から供給流路34に気体G1が流入する。供給流路34は、気体G1が流れる流路である。吸気口31には不図示のエアクリーナが設けられていてもよい。エアクリーナは、吸気口31から供給流路34に流入する気体G1から異物を除去可能である。
【0031】
電動圧縮機32は、不図示のモータによって駆動する。電動圧縮機32は、燃料電池スタック21に気体G1を供給する。詳細には、電動圧縮機32は、吸気口31から供給流路34に流入された気体G1を圧縮して燃料電池スタック21に供給する。電動圧縮機32から燃料電池スタック21に供給された気体G1は、カソード流路23を流れる。カソード導入口24を介して、供給流路34とカソード流路23とが接続されている。カソード導入口24を介して、供給流路34からカソード流路23に気体G1が流れる。
【0032】
インタークーラ33には、電動圧縮機32から吐出された気体G1が供給される。インタークーラ33は、電動圧縮機32から供給された気体G1を冷却する。インタークーラ33によって冷却された後の気体G1が燃料電池スタック21に供給される。
【0033】
供給流路34は、第1供給流路35と、第2供給流路36と、を含む。第1供給流路35は、吸気口31、電動圧縮機32、及びインタークーラ33を接続している。第2供給流路36は、インタークーラ33とカソード流路23とを接続している。
【0034】
排出流路37は、カソード排出口25を介してカソード流路23と接続されている。カソード排出口25を介して、カソード流路23から排出流路37にオフガスとしてのカソードオフガスG2が流入する。排出流路37には、燃料電池スタック21からカソードオフガスG2が排出される。排出流路37は、カソードオフガスG2が流れる流路である。
【0035】
カソードオフガスG2は、燃料電池スタック21から排出されるカソードガスであって、生成水を含んだカソードガスである。供給流路34から燃料電池スタック21に供給された気体G1に含まれる酸素ガスの一部が燃料電池スタック21の発電に消費される。これにより、燃料電池スタック21から排出流路37に排出されるカソードオフガスG2の酸素濃度は、燃料電池スタック21に供給される気体G1の酸素濃度よりも低い。
【0036】
希釈器69は、排出流路37に設けられる。これにより、排出流路37は、カソード流路23と希釈器69とを接続している。カソードオフガスG2は、排出流路37から希釈器69に排出される。希釈器69は、気液分離器65から供給されたアノードオフガスをカソードオフガスG2によって希釈して排出する。
【0037】
排気口39は、排出流路37に形成されている。排気口39は、排出流路37のうち、希釈器69よりも下流側に位置する。排気口39は、例えば排出流路37の下流端に位置する。排気口39を介して、排出流路37からカソードオフガスG2が流出される。すなわち、排気口39は、燃料電池スタック21から排出されるカソードオフガスG2を燃料電池スタック21の外部に排出させるものである。排気口39からは、希釈器69にてカソードオフガスG2による希釈によって水素ガスの濃度が低下したアノードオフガスも排出される。
【0038】
封止弁40は、供給流路34に設けられている。本実施形態の封止弁40は、第2供給流路36に設けられている。封止弁40は、第1供給流路35に設けられていてもよい。封止弁40は、例えば供給流路34を封止するバタフライ弁である。封止弁40は、開状態と閉状態とに切り替えられる。封止弁40が開状態になると、供給流路34を介してカソード流路23に気体G1が供給される。
【0039】
調圧弁41は、排出流路37に設けられている。調圧弁41は、例えばバタフライ弁である。調圧弁41の開度が調整されることにより、燃料電池スタック21の内圧が調整される。調圧弁41の開度が小さいほど、燃料電池スタック21の内圧が高まる。封止弁40及び調圧弁41が全閉にされると、カソード流路23が封止される。
【0040】
制御部80は、プロセッサ81と、記憶部82と、を備える。記憶部82は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部82は、処理をプロセッサ81に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部82、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御部80は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御部80は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0041】
制御部80は、燃料電池システム10の制御を行う。例えば、制御部80は、燃料電池スタック21の出力電力[kW]を制御する。燃料電池スタック21の出力電力は、燃料電池スタック21に供給されるカソードガスの量と、燃料電池スタック21に供給されるアノードガスの量と、によって変化する。燃料電池スタック21の出力電力は、燃料電池スタック21の発電電力である。制御部80は、アノードガス供給部62を制御することで、燃料電池スタック21へのアノードガスの供給量を制御する。制御部80は、電動圧縮機32を制御することで、燃料電池スタック21へのカソードガスの供給量を制御する。
【0042】
制御部80は、例えば、封止弁40及び調圧弁41の開度を制御する。制御部80は、アノードガスの供給、及びカソードガスの供給を停止することによって燃料電池スタック21の発電を停止する。制御部80は、アノード流路26を封止することによって、アノードガスの供給を停止する。アノード流路26の封止は、排気排水弁67を閉状態に維持することで行われる。制御部80は、カソード流路23を封止することによって、カソードガスの供給を停止する。カソード流路23の封止は、封止弁40及び調圧弁41を閉状態に維持することで行われる。
【0043】
制御部80は、アノードガスの供給、及びカソードガスの供給を行うことによって燃料電池スタック21の発電を行う。カソードガスの供給が行われる際、制御部80は、封止弁40を開状態に維持するとともに、調圧弁41の開度を調整する。また、制御部80は、キースイッチ13のオンとオフとを判定可能である。
【0044】
<冷却機構>
冷却機構70は、ラジエータ72と、ラジエータファン73と、冷媒流路71と、切替手段としてのサーモスタット75と、を備える。冷却機構70は冷媒ポンプ74を備える。冷媒ポンプ74は、冷媒流路71に冷媒を循環させる。冷媒としては、例えば、水、不凍液、又は空気が用いられる。冷媒ポンプ74は、不図示のモータによって駆動する。
【0045】
<ラジエータ及びラジエータファン>
ラジエータ72は、冷媒を気体G1と熱交換させる。ラジエータファン73は、回転軸73aと、ブレード73bと、を有する。回転軸73aは電動モータ73cによって回転する。電動モータ73cの駆動が制御されることにより、回転軸73aの回転速度を調整できる。回転軸73aの軸線を回転軸73aの軸線Lともいう。
【0046】
図3に示すように、本実施形態の回転軸73aの軸線Lは、第1方向Xに延びる。ブレード73bは、回転軸73aの軸線Lに直交する直交方向Dに回転軸73aから延びる。なお、直交方向Dは、第2方向Y及び重力方向Zに相当する。ブレード73bは、回転軸73aの周方向に複数並んでいる。ブレード73bは、回転軸73aの回転に伴って回転する。ブレード73bは、直交方向Dにおけるブレード73bの最外縁73dが軌跡円C1を描くように回転軸73aと共に回転する。
【0047】
図4に示すように、ラジエータ72は、筐体12の第2側壁12eに配置されている。ラジエータ72及びラジエータファン73は、燃料電池スタック21の側方に配置されている。ラジエータファン73は、第1方向Xにおいて筐体12の第2通気口12gと対向するように位置する。ラジエータファン73は筐体12の内部に配置されている。
【0048】
ラジエータファン73が回転することにより、筐体12の外部から第1通気口12fを介して筐体12の内部に酸素ガスを含む気体G1が吸入される。ラジエータファン73の回転に伴って筐体12の内部に吸入される気体G1は、筐体12の外部の空気である。ラジエータファン73の回転に伴って、第1通気口12fから第2通気口12gに向かう気体G1の流れが発生する。これにより、第1通気口12fからラジエータファン73に向かう方向である流れ方向W1に気体G1が流れるため、流れ方向W1に流れる送風Wが発生する。本実施形態の流れ方向W1は第1方向Xと同じ方向である。本実施形態のラジエータファン73は、ラジエータファン73に向けて引き込まれる送風Wを発生させる。送風Wは、流れ方向W1に流れることによってラジエータ72に向けて流れる。すなわち、ラジエータファン73は、流れ方向W1に流れる送風Wを発生させることによりラジエータ72に気体G1を供給する。ラジエータファン73からの送風Wによって、ラジエータ72の内部の冷媒の冷却効率が高められる。これにより、ラジエータ72で冷却された冷媒が燃料電池スタック21に供給されることで、燃料電池スタック21は冷却される。
【0049】
図2に示すように、制御部80が電動モータ73cの駆動を制御することにより、ラジエータファン73は回転する。本実施形態においては、制御部80は、燃料電池スタック21による発電が開始されたことを条件に、ラジエータファン73の回転を開始させる。制御部80は、燃料電池スタック21による発電が開始されてから燃料電池スタック21による発電が停止されるまで、ラジエータファン73の回転を継続させる。制御部80は、燃料電池スタック21による発電が停止されたことを条件に、ラジエータファン73の回転を停止させる。したがって、燃料電池システム10は、燃料電池スタック21による発電の実行中、ラジエータファン73による送風Wの発生を継続させる。
【0050】
なお、燃料電池スタック21による発電の実行中とは、キーオンされてからキーオフされるまでの間のうちで、燃料電池スタック21による発電が行われる期間に相当する。燃料電池スタック21による発電の実行中は、吸気口31から気体G1が吸入されるとともに、燃料電池スタック21に気体G1が供給される。そのため、吸気口31から気体G1が吸入されている間、ラジエータファン73は送風Wを発生させる。
【0051】
制御部80によってラジエータファン73の回転速度が調整されることにより、送風Wの風速SP[m/sec]が調整されてもよい。この場合、例えば、風速SPが以下式1を満たすように、制御部80はラジエータファン73の回転速度を調整する。
【0052】
風速SP×開口面積A×駆動時間T>システム容積V…(式1)
上記式1において、開口面積A[m2]は筐体12に形成された全ての第1通気口12fの開口面積の和である。駆動時間T[sec]は、例えば、燃料電池スタック21の発電が行われる最短の期間であり、あらかじめ設定された所定値である。システム容積V[m3]は、筐体12の収容空間Sの大きさである。風速SPは、上記式1を満たすように予め設定された値であってもよい。
【0053】
<冷媒流路>
冷媒流路71は、燃料電池スタック21に冷媒を循環させるものである。冷却機構70は、燃料電池スタック21を冷媒によって冷却する。冷媒流路71は、流出流路71aと、流入流路71bと、を有する。冷媒は、燃料電池スタック21から流出流路71aに流出する。冷媒は、流入流路71bから燃料電池スタック21に流入する。本実施形態の冷媒ポンプ74は流入流路71bに設けられている。冷媒ポンプ74は流出流路71aに設けられてもよい。
【0054】
冷媒流路71は、第1流路71cと、第2流路71dと、を含む。第1流路71c及び第2流路71dの各々は、流出流路71aの下流端と流入流路71bの上流端とに接続される。第1流路71cは、ラジエータ72を経由して冷媒が流れる流路である。そのため、流出流路71a、第1流路71c、及び流入流路71bの順で冷媒が流れると、ラジエータ72と燃料電池スタック21との間で冷媒が循環される。
【0055】
第2流路71dは、ラジエータ72を経由せずに冷媒が流れる流路である。そのため、流出流路71a、第2流路71d、及び流入流路71bの順で冷媒が流れると、ラジエータ72を経由せずに冷媒が燃料電池スタック21に循環される。なお、第2流路71dは、送風Wが当たらない位置に設けられる等、第2流路71dを流れる冷媒が送風Wによって冷却されない態様となっている。
【0056】
<切替手段>
切替手段としてのサーモスタット75は、第1流路71cの下流端と、第2流路71dの下流端と、流入流路71bの上流端と、の接続部分に位置している。サーモスタット75は、冷媒の温度に応じて開閉することにより冷媒の流れを切り替える。
【0057】
冷媒流路71からサーモスタット75に至る冷媒の温度が所定温度Tp以上であるときは、サーモスタット75は第1流路71cを開状態とするとともに第2流路71dを閉状態にする。すなわち、サーモスタット75は、冷媒の温度が所定温度Tp以上であるときは冷媒が第1流路71cを流れて燃料電池スタック21に循環するように、冷媒が流れる流路を第1流路71cに切り替える。
【0058】
冷媒流路71からサーモスタット75に至る冷媒の温度が所定温度Tp未満であるときは、サーモスタット75は第2流路71dを開状態とするとともに第1流路71cを閉状態にする。すなわち、サーモスタット75は、冷媒の温度が所定温度Tp未満であるときは冷媒が第2流路71dを流れて燃料電池スタック21に循環するように、冷媒が流れる流路を第2流路71dに切り替える。
【0059】
なお、所定温度Tpとは、所定温度Tp未満の冷媒が燃料電池スタック21に供給される場合に、過冷却によって燃料電池スタック21の出力に影響が生じるおそれのある温度である。所定温度Tpは、実験等によって予め設定された値である。
【0060】
<冷媒の温度と冷媒が流れる流路との関係>
送風Wを発生させる時間が長いほど、ラジエータ72による冷媒の冷却が促進されることによって冷媒の温度が低下する。燃料電池スタック21による発電の実行中、ラジエータファン73による送風Wの発生を継続させる時間が長時間になると、冷媒の温度が所定温度Tp未満になるおそれがある。
【0061】
本実施形態によれば、冷媒の温度が所定温度Tp以上であるとき、切替手段としてのサーモスタット75は、冷媒が流れる流路を第1流路71cに切り替える。これにより、冷媒の温度が所定温度Tp以上であるとき、冷媒は流出流路71a、第1流路71c、及び流入流路71bの順で流れた後、流入流路71bから燃料電池スタック21に流入する。冷媒の温度が所定温度Tp以上である場合には、ラジエータ72を経由して冷媒が燃料電池スタック21に循環する。ラジエータ72での気体G1との熱交換によって冷却された冷媒を、燃料電池スタック21に循環させることができる。冷媒によって燃料電池スタック21を冷却させることができる。
【0062】
本実施形態によれば、冷媒の温度が所定温度Tp未満であるとき、切替手段としてのサーモスタット75は、冷媒が流れる流路を第2流路71dに切り替える。これにより、冷媒の温度が所定温度Tp未満であるとき、冷媒は流出流路71a、第2流路71d、及び流入流路71bの順で流れた後、流入流路71bから燃料電池スタック21に流入する。冷媒の温度が所定温度Tp未満である場合には、ラジエータ72を経由せずに冷媒が燃料電池スタック21に循環する。ラジエータ72での気体G1との熱交換による冷却を受けない冷媒を、燃料電池スタック21に循環させることができる。冷媒が所定温度Tp未満である間は、第2流路71dを冷媒が流れる状態が継続される。これにより、ラジエータ72での冷却を冷媒が受けない状態が継続されるため、冷媒の温度を所定温度Tp以上まで上昇させることができる。したがって、所定温度Tp未満の冷媒が、燃料電池スタック21に長時間供給されることが抑制される。
【0063】
<送風の詳細>
図3及び
図4に示すように、ラジエータファン73によって発生する送風Wは、特定領域での流れ方向W1への流れが他の領域よりも強まる傾向にある。本実施形態での特定領域とは、送風Wの上流ほど大きくなるように、軌跡円C1を流れ方向W1において延長した領域である。
【0064】
上記特定領域の一部を範囲C2という。範囲C2とは、上記特定領域内において、軌跡円C1を流れ方向W1において延長した空間であって、かつ第1方向Xに延びる円筒状の空間である。そのため、ラジエータファン73によって発生する送風Wは、範囲C2においても、流れ方向W1への流れが強まる傾向にある。範囲C2は、筐体12の収容空間Sの一部を含む。詳細には、範囲C2は、筐体12の外部のうちで第1側壁12dの付近、第1側壁12dと第2側壁12eとの間、及び筐体12の外部のうちで第2側壁12eの付近に延びている。
【0065】
<吸気口及び排気口の位置>
図4に示すように、本実施形態において、吸気口31及び排気口39は、筐体12の内部に開口している。これにより、筐体12の内部の気体G1が、吸気口31から供給流路34に流入する。排気口39を介して排出流路37から流出するカソードオフガスG2は、排気口39から筐体12の内部に排出される。
【0066】
排気口39は、ラジエータファン73に向けて開口している。そのため、排気口39から排出されるカソードオフガスG2は、ラジエータファン73の回転に伴って生じる送風Wの流れによって攪拌されやすい。カソードオフガスG2は、筐体12の収容空間Sにて気体G1と混合されることによって希釈される。こうして希釈されたカソードオフガスG2は、ラジエータファン73の回転に伴って、第2通気口12gを介して筐体12の内部から筐体12の外部に排出される。
【0067】
本実施形態の排気口39は、吸気口31よりも重力方向Zの下方に位置している。吸気口31は、第1側壁12dに向けて開口している。
吸気口31は、流れ方向W1において、排気口39よりも上流に配置されている。本実施形態においては、流れ方向W1の上流から、第1通気口12f、吸気口31、排気口39、ラジエータファン73、及び第2通気口12gの順でこれらが位置している。
【0068】
排気口39は、軌跡円C1を流れ方向W1において延長した範囲C2内に位置する。本実施形態の吸気口31は、範囲C2内に位置する。吸気口31は、範囲C2外に位置していてもよい。
【0069】
[実施形態の作用]
次に、実施形態の作用について説明する。
吸気口31から燃料電池スタック21に供給された気体G1のうち、酸素ガスが燃料電池スタック21にて消費される。そのため、排気口39を介して排出流路37から流出するオフガスとしてのカソードオフガスG2の酸素濃度は、吸気口31から流入する気体G1の酸素濃度よりも低くなる。
【0070】
吸気口31は、流れ方向W1において、排気口39よりも上流に配置されている。そのため、送風Wは吸気口31から排気口39に向かうように流れる。燃料電池スタック21による発電の実行中、ラジエータファン73による送風Wの発生が継続される。そのため、吸気口31から排気口39に向かって流れる送風Wの発生は、燃料電池スタック21による発電が実行されている間で継続される。
【0071】
[実施形態の効果]
実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)ラジエータファン73は、流れ方向W1に流れる送風Wを発生させることによりラジエータ72に気体G1を供給する。吸気口31は、流れ方向W1において、排気口39よりも上流に配置されている。燃料電池スタック21による発電の実行中、ラジエータファン73による送風Wの発生を継続させている。そのため、燃料電池スタック21による発電の実行中は、排気口39から排出されるカソードオフガスG2が吸気口31に向かいにくい。したがって、吸気口31からのカソードオフガスG2の吸入を抑制できる。
【0072】
(2)ブレード73bは、ブレード73bの最外縁73dが軌跡円C1を描くように回転軸73aと共に回転する。排気口39は、軌跡円C1を流れ方向W1において延長した範囲C2内に位置する。ラジエータファン73によって発生する送風Wは、範囲C2にて流れ方向W1への流れが強まる傾向にある。そのため、排気口39を範囲C2内に位置させることによって、排気口39から排出されたカソードオフガスG2を、送風Wによって吸気口31から遠ざけることができる。したがって、吸気口31からのカソードオフガスG2の吸入をさらに抑制できる。
【0073】
(3)サーモスタット75は、冷媒の温度が所定温度Tp以上であるときは冷媒が第1流路71cを流れて燃料電池スタック21に循環するように、冷媒が流れる流路を第1流路71cに切り替える。これにより、冷媒の温度が所定温度Tp以上である場合には、ラジエータ72を経由して冷媒が燃料電池スタック21に循環する。冷媒によって燃料電池スタック21を冷却させることができる。サーモスタット75は、冷媒の温度が所定温度Tp未満であるときは冷媒が第2流路71dを流れて燃料電池スタック21に循環するように、冷媒が流れる流路を第2流路71dに切り替える。これにより、冷媒の温度が所定温度Tp未満である場合には、ラジエータ72を経由せずに冷媒が燃料電池スタック21に循環する。冷媒が所定温度Tp未満である間は、第2流路71dを冷媒が流れる状態が継続されるため、冷媒の温度を所定温度Tp以上まで上昇させることができる。したがって、所定温度Tp未満の冷媒が燃料電池スタック21に供給されることによる燃料電池スタック21の過冷却を抑制できる。
【0074】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0075】
○ 排気口39は、ラジエータファン73に向けて開口するものに限らない。例えば、排気口39は、第2側壁12eのうちでラジエータファン73と隣接しない部分に向けて対向してもよいし、第2側壁12e以外の筐体12の部分に向けて開口してもよい。
【0076】
○ 吸気口31は、第1側壁12dに向けて開口するものに限らない。例えば、吸気口31は、第1側壁12d以外の筐体12の部分に向けて開口してもよい。
○ 排気口39は、吸気口31よりも重力方向Zの上方に位置していてもよい。吸気口31及び排気口39の重力方向Zにおける位置は、互いに同じ位置であってもよい。
【0077】
○ 吸気口31及び排気口39の少なくとも一方は、筐体12の外部に位置してもよい。この場合も、吸気口31は、流れ方向W1において、排気口39よりも上流に配置されている。
【0078】
○ 排気口39は、範囲C2外に位置してもよい。この変更例を上記実施形態に採用する場合、例えば、送風Wの流れ方向W1への流れが他の領域よりも強まる傾向にある特定領域に排気口39を位置させてもよい。この特定領域外に排気口39を位置させてもよい。
【0079】
○ ラジエータファン73は、ラジエータファン73から押し出される送風Wを発生させてもよい。なお、この場合も、ラジエータファン73によって発生する送風Wは、軌跡円C1を流れ方向W1において延長した範囲C2にて流れ方向W1への流れが強まる傾向にある。そのため、排気口39を範囲C2内に位置させることにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、この変更例を上記実施形態に採用する場合、例えば、第2通気口12gから第1通気口12fへと流れる送風Wが発生する。
【0080】
○ ラジエータファン73が発生させる送風Wの流れ方向W1は、第1方向Xとは反対方向であってもよいし、第1方向Xと第1方向Xとは反対方向との両方向とも異なる方向であってもよい。この場合も、ラジエータファン73は、流れ方向W1に流れる送風Wを発生させることによりラジエータ72に気体G1を供給する。また、この場合、ラジエータファン73、第1通気口12f、及び第2通気口12gの位置関係を調整することによって、送風Wの流れ方向W1を変更してもよい。
【0081】
○ ラジエータファン73の回転軸73aの軸線Lは、第1方向Xとは異なる方向に延びていてもよい。ブレード73bが回転軸73aから延びる直交方向Dは、第2方向Y及び重力方向Zとは異なる方向であってもよい。
【0082】
○ 燃料電池システム10でのラジエータ72の設置位置は、筐体12の第2側壁12eに限らない。例えば、ラジエータ72は、第2側壁12e以外の筐体12の部分に設置されてもよい。この場合、ラジエータ72の設置位置に応じて、ラジエータファン73の設置位置を変更してもよい。
【0083】
○ 上記実施形態と同様に第1流路71cと第2流路71dとで冷媒が流れる流路をサーモスタット75によって切り替え可能であれば、サーモスタット75の設置位置を適宜変更可能である。例えば、サーモスタット75は、第1流路71cの上流端と、第2流路71dの上流端と、流出流路71aの下流端と、の接続部分に位置してもよい。
【0084】
○ 冷却機構70は、サーモスタット75にかえて電動弁を切替手段として有してもよい。この場合の電動弁は、冷媒の温度が所定温度Tp以上であるときは冷媒が第1流路71cを流れて燃料電池スタック21に循環するように、冷媒が流れる流路を第1流路71cに切り替える。電動弁は、冷媒の温度が所定温度Tp未満であるときは冷媒が第2流路71dを流れて燃料電池スタック21に循環するように、冷媒が流れる流路を第2流路71dに切り替える。また、燃料電池システム10は冷媒流路71を流れる冷媒の温度を検出する温度センサを備えるとともに、この温度センサによって検出された冷媒の温度に応じて制御部80が電動弁を駆動させてもよい。
【0085】
○ 筐体12は、上壁12bと、下壁12aと、側壁12cと、を備える形状に限らない。要するに、収容空間Sが筐体12の内部に形成され、かつ収容空間Sに燃料電池ユニット11を収容可能な形状であれば、筐体12の形状を変更可能である。
【0086】
○ 燃料電池システム10から筐体12を省略してもよい。
○ 燃料電池システム10は、燃料電池スタック21による発電の実行中に加えて、燃料電池スタック21による発電の停止中にも、ラジエータファン73による送風Wの発生を継続させてもよい。この場合、例えば、キーオンされてからキーオフされるまでの間で制御部80がラジエータファン73の回転を継続させることにより、ラジエータファン73による送風Wの発生を継続させる。
【0087】
○ 燃料電池システム10は、乗用車、船舶、鉄道などに搭載されていてもよい。
○ 燃料電池システム10は、定置式の発電装置として用いられてもよい。
【符号の説明】
【0088】
C1…軌跡円、C2…範囲、D…直交方向、G1…気体、G2…(オフガスとしての)カソードオフガス、L…軸線、Tp…所定温度、W…送風、W1…流れ方向、10…燃料電池システム、21…燃料電池スタック、31…吸気口、39…排気口、70…冷却機構、71…冷媒流路、71c…第1流路、71d…第2流路、72…ラジエータ、73…ラジエータファン、73a…回転軸、73b…ブレード、73d…最外縁、75…(切替手段としての)サーモスタット。