(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005843
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 69/00 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A01D69/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106254
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】堀 高範
(72)【発明者】
【氏名】林 壮太郎
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 直
(72)【発明者】
【氏名】堀内 真幸
【テーマコード(参考)】
2B076
【Fターム(参考)】
2B076AA04
2B076EC23
2B076ED01
(57)【要約】
【課題】1番物の回収流量および2番物の還元流量と関係する状態をユーザに推測させることができる、コンバインを提供する。
【解決手段】1番流量センサ81によって、1番物の回収流量に応じた値、つまり脱穀装置から穀粒タンクに搬送される1番物が衝突することにより揺動するアクチュエータの揺動角度が検出されるまた、2番流量センサ83によって、2番物の還元流量に応じた値、つまり脱穀装置の2番物回収部から選別部に還元される2番物が衝突することにより揺動するアクチュエータの揺動角度が検出される。そして、制御部91により、1番流量センサ81による検出値から1番物の回収流量が算出され、2番流量センサ83の検出値から2番物の還元流量が算出されて、メータパネル92に1番物の回収流量および2番物の還元流量が表示される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀部で作物を脱穀して得られる穀粒および夾雑物を含む選別対象物を選別部に漏下させ、前記選別部で前記選別対象物から穀粒を選別して、その選別された1番物を回収し、前記選別部で前記1番物を除いた前記選別対象物から穀粒を選別して、その選別された2番物を前記選別部に還元する脱穀装置と、
前記1番物の回収流量と相関する値を検出する1番流量センサと、
前記2番物の還元流量と相関する値を検出する2番流量センサと、
情報を表示する表示器と、
制御装置と、を含み、
前記制御装置は、前記1番流量センサの検出値に対応する1番情報と、前記2番流量センサの検出値に対応する2番情報とを、前記表示器に表示させる、コンバイン。
【請求項2】
前記制御装置は、前記1番情報および前記2番情報を前記表示器の1画面に併せて表示させる、請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記1番情報は、前記1番流量センサにより検出される前記回収流量であり、
前記2番情報は、前記2番流量センサにより検出される前記還元流量である、請求項1に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記制御装置は、前記1番情報として、前記1番流量センサにより検出される前記回収流量を複数段階のレベルで前記表示器に表示させ、前記2番情報として、前記2番流量センサにより検出される前記還元流量を前記1番情報と同数段階のレベルで前記表示器に表示させる、請求項3のいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記制御装置は、前記1番流量センサにより検出される前記回収流量および前記2番流量センサにより検出される前記還元流量に関係する状態を推測し、その推測した状態に応じた情報を前記表示器に表示させる、請求項1に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記推測した状態に応じた情報は、前記状態が改善される操作をユーザに促す情報である、請求項4に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインでは、圃場に植立している作物が刈取装置により刈られ、その刈られた作物が刈取装置から脱穀装置に搬送されて、脱穀装置で作物の穀稈から穀粒が外され、穀粒が選別されて穀粒タンクに搬送される。
【0003】
脱穀装置では、具体的に、穀稈が扱室内に供給されて、扱胴の回転により、穀稈が扱室の供給側から排出口側に向けて移送されながら、穀稈から穀粒が外される。穀稈から外れた穀粒は、切れ稈などの夾雑物とともに受網を漏下し、選別対象物として、たとえば、第1チャフシーブおよび第2チャフシーブ上に落下する。第1チャフシーブの下方には、グレンシーブが備えられている。選別対象物が第1チャフシーブ上に落下する過程および選別対象物が第1チャフシーブおよびグレンシーブを漏下する過程で、選別対象物から穀粒が選別され、その選別された1番物が穀粒タンクに搬送される。第1チャフシーブから漏下せずに第1チャフシーブ上に残った選別対象物は、第1チャフシーブ上から第2チャフシーブ上に移送される、選別対象物が第2チャフシーブ上に落下する過程および選別対象物が第2チャフシーブを漏下する過程で、選別対象物から穀粒が選別され、その選別された2番物は、第1チャフシーブ上に落下する位置に還元される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1番物の回収流量(穀粒タンクに搬送される1番物の流量)および2番物の還元流量(流量)は、コンバインにおける種々の状態と関係する。1番物の回収流量および2番物の還元流量と関係する状態をユーザに推測させることができれば、ユーザが当該状態を改善することが可能となる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、1番物の回収流量および2番物の還元流量と関係する状態をユーザに推測させることができる、コンバインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明に係るコンバインは、脱穀部で作物を脱穀して得られる穀粒および夾雑物を含む選別対象物を選別部に漏下させ、選別部で選別対象物から穀粒を選別して、その選別された1番物を回収し、選別部で1番物を除いた選別対象物から穀粒を選別して、その選別された2番物を選別部に還元する脱穀装置と、1番物の回収流量と相関する値を検出する1番流量センサと、2番物の還元流量と相関する値を検出する2番流量センサと、情報を表示する表示器と、制御装置とを含み、制御装置は、1番流量センサによる検出値に対応する1番情報と、2番流量センサによる検出値に対応する2番情報とを、表示器に表示させる。
【0008】
この構成によれば、1番流量センサによって、1番物の回収流量に相関する値が検出される。また、2番流量センサによって、2番物の還元流量に相関する値が検出される。そして、1番流量センサによる検出値に対応する1番情報と、2番流量センサによる検出値に対応する2番情報とが表示器に表示される。1番情報および2番情報の表示により、ユーザに1番物の回収流量および2番物の還元流量を直接的または間接的に知らせることができる。よって、1番物の回収流量および2番物の還元流量と関係する状態をユーザに推測させることができ、その推測した状態が改善される操作をユーザが行うことを期待できる。ユーザ操作により、1番物の回収流量および2番物の還元流量と関係する状態を改善することができる。
【0009】
なお、1番物の回収流量と相関する値は、1番物の回収流量そのものであってもよい。また、2番物の還元流量と相関する値についても、2番物の還元流量そのものであってもよい。
【0010】
制御装置は、1番情報および2番情報を表示器の1画面に併せて表示させてもよい。
【0011】
この構成により、ユーザが画面を切り替えなくても、1番情報および2番情報の両方を単一の画面でユーザに知らせることができる。
【0012】
1番情報が1番流量センサにより検出される回収流量そのものであり、2番情報が2番流量センサにより検出される還元流量そのものであってもよい。
【0013】
制御装置は、1番情報として、1番流量センサにより検出される回収流量を複数段階のレベルで表示器に表示させ、2番情報として、2番流量センサにより検出される還元流量を1番情報と同数段階のレベルで表示器に表示させてもよい。
【0014】
レベル表示により、1番物の回収流量および2番物の還元流量の大小をユーザに感覚的に知得させることができる。
【0015】
制御装置は、1番流量センサにより検出される回収流量および2番流量センサにより検出される還元流量に関係する状態を推測し、その推測した状態に応じた情報を表示器に表示させてもよい。
【0016】
その場合、推測した状態に応じた情報は、前記状態が改善される操作をユーザに促す情報であってもよい。
【0017】
これにより、ユーザが1番物の回収流量および2番物の還元流量と関係する状態を推測しなくても、その状態が改善される操作をユーザに促すことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、1番物の回収流量および2番物の還元流量と関係する状態をユーザに推測させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンバインの右側面図である。
【
図3】脱穀装置を前後方向に沿った切断面で切断したときの断面を左から見た断面図である。
【
図4】脱穀装置および搬送装置の正面図であり、それらとともに穀粒タンクを断面で示す。
【
図5】搬送装置を前後方向に沿った切断面で切断した断面を右から見た断面図である。
【
図6】脱穀装置を左右方向に沿った切断面で切断した断面図である。
【
図7】コンバインの電気的構成の要部を示すブロック図である。
【
図9】メータパネルの表示の他の例を示す図である。
【
図10】メータパネルの表示の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
<コンバインの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るコンバイン1の右側面図である。
図2は、コンバイン1の上面図である。
【0022】
コンバイン1は、圃場を走行しながら作物の刈り取りおよび作物からの脱穀を行う農業機械である。
【0023】
コンバイン1は、圃場などの不整地を走破する能力を有する走行装置として、左右1対のクローラ走行装置2を採用している。左右のクローラ走行装置2により、機体フレーム3が支持され、クローラ走行装置2には、機体フレーム3上に設けられたエンジン4の動力がトランスミッション5を介して伝達される。
【0024】
また、機体フレーム3上には、キャビン6、脱穀装置7および穀粒タンク8が設けられている。クローラ走行装置2および機体フレーム3の前方には、作物を刈り取る刈取装置9が設けられている。脱穀装置7と刈取装置9との間には、刈取装置9により刈り取られた作物を脱穀装置7まで搬送するフィーダ11が設けられている。
【0025】
キャビン6は、機体フレーム3の前端部上に配置されている。キャビン6は、その内部にユーザが搭乗する空間を提供し、その空間内には、たとえば、ユーザが着座する運転席12、ユーザが操作する操作レバー13などが配置されている。キャビン6の右側面には、開閉可能なドア14が設けられており、ユーザは、ドア14を開いて、キャビン6内に乗り込むことができる。
【0026】
脱穀装置7は、キャビン6の左後方に配置されている。穀粒タンク8は、キャビン6の後方かつ脱穀装置7の右方に配置されている。脱穀装置7では、フィーダ11により搬送されてくる作物の穀稈から穀粒が外される。脱穀装置7と穀粒タンク8との間には、搬送装置15が設けられており、脱穀装置7で脱穀された穀粒は、搬送装置15により脱穀装置7から穀粒タンク8に搬送されて、穀粒タンク8に貯留される。穀粒タンク8には、アンローダ16が接続されており、穀粒タンク8に貯留された穀粒は、アンローダ16により、穀粒タンク8から機外に排出することができる。
【0027】
<脱穀装置>
図3は、脱穀装置7を前後方向に沿った切断面で切断したときの断面を左から見た断面図である。
【0028】
脱穀装置7は、脱穀部21および選別部22を備えている。
【0029】
脱穀部21は、脱穀装置7の上部に設けられる扱室23に、扱胴24および受網(コンケーブ)25を備えている。
【0030】
扱室23は、左側板31(
図2参照)、右側板32、前側板33および後側板34により側方が取り囲まれ、天板35により上方が閉塞されて、下方に開放されている。フィーダ11により搬送されてくる作物は、前側板33に形成されている作物投入口36を介して、扱室23に投入される。
【0031】
扱胴24は、扱室23に収容されて、前側板33および後側板34により、前後方向に延びる回転軸線を中心に回転可能に支持されている。扱胴24には、多数の扱歯37が回転径方向に延びるように設けられている。扱胴24の回転に伴って、扱室23に投入された作物の穀稈から穀粒が扱歯37により扱き落とされる。
【0032】
受網25は、扱胴24の下方に、扱室23を下方から閉塞するように設けられている。受網25は、扱胴24の周方向に沿った半円筒状に形成されている。穀稈から扱き落とされた穀粒は、受網25に受けられる。また、受網25は、格子状の網目を有しており、受網25に受けられた穀粒は、比較的小さな切れ稈などの夾雑物とともに、受網25を漏下する。
【0033】
選別部22は、扱室23の下方に設けられるシーブケース41内に、グレンパン42、第1チャフシーブ43、第2チャフシーブ44およびグレンシーブ45を備えている。
【0034】
グレンパン42は、シーブケース41の前端部に配置されている。第1チャフシーブ43は、グレンパン42の後方に配置されている。第2チャフシーブ44は、第1チャフシーブ43の後方に配置されている。グレンシーブ45は、第1チャフシーブ43の下方に配置されている。
【0035】
また、選別部22は、選別風を発生させる唐箕46を備えている。唐箕46は、シーブケース41の前下方に配置されており、唐箕46が発生する選別風は、シーブケース41内を後方に向かって通過する。
【0036】
脱穀部21の受網25を漏下する穀粒および夾雑物からなる選別対象物は、シーブケース41内に入り、グレンパン42、第1チャフシーブ43または第2チャフシーブ44上に落下する。選別対象物を搬送および篩い選別するために、シーブケース41が揺動されて、グレンパン42、第1チャフシーブ43、第2チャフシーブ44およびグレンシーブ45が揺動される。
【0037】
グレンパン42上に落下した選別対象物は、グレンパン42の揺動により、後方に移送されながら、相対的に比重の小さい夾雑物と相対的に比重の大きい穀粒とに上下に層分けされる。下層の穀粒は、グレンパン42上から落下して、第1チャフシーブ43上に移送される。
【0038】
第1チャフシーブ43には、複数の板状のチャフリップ47が前後方向に並べて設けられている。各チャフリップ47は、左右方向に延びる軸線を中心に揺動可能に構成されており、その揺動により傾斜角度が変更される。各チャフリップ47の傾斜角度の変更により、チャフリップ47の間隔が増減し、第1チャフシーブ43の開度が変わる。第1チャフシーブ43の揺動により、第1チャフシーブ43上の選別対象物が後方に移送されながら篩い選別され、チャフリップ47の間隔よりも小さい選別対象物がチャフリップ47間から漏下する。また、穀粒よりも比重の小さい選別対象物が唐箕46からの選別風により第1チャフシーブ43上から後方に吹き飛ばされる。
【0039】
第1チャフシーブ43から漏下する選別対象物は、グレンシーブ45上に落下する。この落下の過程において、唐箕46からの選別風により選別対象物が風選され、穀粒よりも比重の小さい夾雑物が後方に吹き飛ばされる。グレンシーブ45は、たとえば、格子状の網目を有している。グレンシーブ45の揺動により、グレンシーブ45上の選別対象物が篩い選別され、グレンシーブ45の網目よりも小さい選別対象物が網目から漏下する。グレンシーブ45に残った選別対象物は、唐箕46からの選別風により後方に吹き飛ばされる。
【0040】
第1チャフシーブ43上に残った選別対象物は、第1チャフシーブ43の後端から第2チャフシーブ44上に落下する。第2チャフシーブ44には、複数の板状のチャフリップ48が前後方向に並べて設けられている。各チャフリップ48は、左右方向に延びる軸線を中心に揺動可能に構成されており、その揺動により傾斜角度が変更される。各チャフリップ48の傾斜角度の変更により、前後方向に隣り合うチャフリップ48の間隔が増減し、第2チャフシーブ44の開度が変わる。第2チャフシーブ44の揺動により、第2チャフシーブ44上の選別対象物が後方に移送されながら篩い選別され、チャフリップ48の間隔よりも小さい選別対象物がチャフリップ48間から漏下する。第2チャフシーブ44上に残った選別対象物は、唐箕46からの選別風により後方に吹き飛ばされる。
【0041】
脱穀装置7には、選別部22の下方に、1番物回収部51および2番物回収部52が備えられている。
【0042】
グレンシーブ45から漏下する選別対象物は、唐箕46からの選別風により風選される。この風選により、穀粒よりも比重の小さい選別対象物が後方に吹き飛ばされ、穀粒を主に含む選別対象物が1番物として1番物回収部51に回収される。1番物回収部51には、左右方向に延びる回転軸線を中心に回転するスクリュオーガ53が備えられており、1番物回収部51に回収される1番物は、スクリュオーガ53により搬送装置15に搬送される。
【0043】
第2チャフシーブ44から漏下する選別対象物は、2番物として、2番物回収部52に回収される。2番物回収部52に回収される2番物は、1番物として回収されなかった穀粒を主に含み、還元装置54により、受網25の外側で第1チャフシーブ43の上方の位置に設けられる還元口55から選別部22に還元される。これにより、2番物は、選別部22において、1番物として回収される選別対象物(主に穀粒)と、1番物として回収されない選別対象物(主に夾雑物)とに再選別される。
【0044】
<搬送装置>
図4は、脱穀装置7および搬送装置15の正面図であり、それらとともに穀粒タンク8を断面で示す。
図5は、搬送装置15を前後方向に沿った切断面で切断した断面を右から見た断面図である。
【0045】
搬送装置15は、脱穀装置7と穀粒タンク8との間に設けられている。搬送装置15は、脱穀装置7の1番物回収部51から搬送されてくる1番物を上方に搬送する縦搬送部61と、縦搬送部61により送られてくる1番物を右方に搬送して穀粒タンク8内に投入する横搬送部62とを備えている。
【0046】
縦搬送部61は、上下方向に延びる縦搬送ケース63を備えている。縦搬送ケース63内の下端部には、駆動スプロケット64が左右方向に延びる回転軸線を中心に回転可能に設けられ、縦搬送ケース63内の上端部には、従動スプロケット65が左右方向に延びる回転軸線を中心に回転可能に設けられている。駆動スプロケット64および従動スプロケット65には、無端状のチェーン66が巻き掛けられており、チェーン66には、複数のバケット67が一定間隔で取り付けられている。
【0047】
横搬送部62は、縦搬送ケース63の上端部に結合された横搬送ケース71を備えている。横搬送ケース71は、左右方向に延び、穀粒タンク8の左側壁72に挿通されて、左端部が穀粒タンク8内に配置されている。横搬送ケース71の右端部は、連通口73を介して、縦搬送ケース63内と連通している。横搬送ケース71の左端部の下面は、排出口74として、下方に開放されている。横搬送ケース71内には、左右方向に延びる回転軸線を中心に回転するスクリュオーガ75が備えられている。
【0048】
脱穀装置7の1番物回収部51からスクリュオーガ53により搬送されてくる1番物は、縦搬送ケース63内に搬入される。駆動スプロケット64に入力される駆動力により、駆動スプロケット64が回転し、その回転に伴って、チェーン66が周回移動し、従動スプロケット65が回転する。チェーン66の周回移動により上昇するバケット67に1番物が積載され、その1番物を積載したバケット67が従動スプロケット65の周囲で移動方向が反転される際に、バケット67に積載されている1番物がバケット67から連通口73を通して横搬送ケース71内に放出される。横搬送ケース71に受け取られた1番物は、スクリュオーガ75の回転により、横搬送ケース71内を排出口74に向けて搬送され、排出口74から穀粒タンク8内に排出される。
【0049】
<1番流量センサ>
搬送装置15の横搬送ケース71に、縦搬送部61から横搬送部62に放出される1番物の流量を検出する1番流量センサ81が取り付けられている。1番流量センサ81は、アクチュエータ82を備えている。アクチュエータ82は、左右方向に延びる回動軸線を中心に揺動可能に設けられて、その先端部が連通口73に対向するように配置されている。
【0050】
縦搬送部61のバケット67に積載されている1番物が連通口73を通して横搬送ケース71内に放出されると、その放出された1番物がアクチュエータ82に衝突し、アクチュエータ82が揺動する。1番流量センサ81は、ポテンショメータを内蔵しており、アクチュエータ82の揺動角度に応じた検出信号(電圧)を出力する。
【0051】
<2番流量センサ>
図6は、脱穀装置7を左右方向に沿った切断面で切断した断面図である。
【0052】
脱穀装置7の左側板31の内面には、脱穀装置7の2番物回収部52から選別部22に還元される2番物の流量を検出する2番流量センサ83が取り付けられている。2番流量センサ83は、アクチュエータ84を備えている。アクチュエータ84は、前後方向に延びる回動軸線を中心に揺動可能に設けられて、その先端部が還元口55に対向するように配置されている。
【0053】
還元装置54により、2番物回収部52から選別部22に還元される2番物が還元口55を通して放出されると、その放出された2番物がアクチュエータ84に衝突し、アクチュエータ84が揺動する。2番流量センサ83は、ポテンショメータを内蔵しており、アクチュエータ84の揺動角度に応じた検出信号(電圧)を出力する。
【0054】
<コンバインの電気的構成の要部>
図7は、コンバイン1の電気的構成の要部を示すブロック図である。
【0055】
コンバイン1には、コンバイン1の各部を制御するため、制御装置91が搭載されている。制御装置91は、マイコン(マイクロコントローラ)を備えており、マイコンには、たとえば、CPU、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリおよびDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリが内蔵されている。
【0056】
制御装置91には、1番流量センサ81および2番流量センサ83の各検出信号が入力される。また、制御装置91には、各部の制御に必要な情報(たとえば、コンバイン1の車速など)が入力される。
【0057】
制御装置91に内蔵された不揮発性メモリには、1番流量センサ81のアクチュエータ82の揺動角度と横搬送ケース71内に放出される1番物の流量との関係を示すマップまたは式が記憶されており、制御装置91は、そのマップまたは式に基づいて、1番流量センサ81の検出信号が表す揺動角度に応じた1番物の流量を1番物の回収流量として推定する。また、制御装置91に内蔵された不揮発性メモリには、2番流量センサ83のアクチュエータ84の揺動角度と選別部22に還元される2番物の流量との関係を示すマップまたは式が記憶されており、制御装置91は、そのマップまたは式に基づいて、2番流量センサ83の検出信号が表す揺動角度に応じた2番物の流量を2番物の還元流量として推定する。
【0058】
制御装置91は、脱穀装置7を制御する機能を有している。たとえば、制御装置91は、コンバイン1の車速に応じたチャフ開度および唐箕風量を設定する。そして、制御装置91は、第1チャフシーブ43の開度がその設定したチャフ開度となるように、第1チャフシーブ43のチャフリップ47の傾斜角度を制御し、唐箕46が発生する選別風の風量がその設定した唐箕風量となるように、唐箕46の風量(回転数)を制御する。
【0059】
また、キャビン6内には、運転席12に着座したユーザが視認可能な位置に、液晶パネルからなるメータパネル92が配置されている。制御装置91は、メータパネル92の表示を制御する機能を有している。
【0060】
<メータパネル表示例1>
図8は、メータパネル92の表示の一例を示す図である。
【0061】
メータパネル92の表示の一例では、メータパネル92の中央に、車速が数字で表示され、エンジン回転数(エンジン4の回転数)が指針で表示される。エンジン回転数の表示の左側には、エンジン4を冷却する冷却水の水温が8段階のレベルで表示される。
【0062】
冷却水の水温の表示の左側には、穀粒タンク8に貯留された穀粒のタンパク含有率の平均値と、穀粒タンク8に貯留された穀粒の水分含有率の平均値と、穀粒タンク8に貯留された穀粒の積算重量とがそれぞれ数値で上下に並べて表示される。
【0063】
車速の表示の右側には、1番流量センサ81の検出信号から算出される1番物の回収流量と、2番流量センサ83の検出信号から算出される2番物の還元流量とがそれぞれ5段階のレベルで左右に並べて表示される。
【0064】
たとえば、反収が高い圃場の作物を高車速で刈り取ると、1番物の回収流量の表示がレベル5となる場合がある。この場合、脱穀装置7の1番物回収部51による穀粒タンク8への1番物の搬送が1番物の回収に追いつかない状態が生じうる。1番物の回収流量のレベル5の表示により、1番物の回収の状態をユーザに推測させて、1番物の搬送が1番物の回収に追いつかない状態になることを回避すべく、ユーザにコンバイン1の車速を落とさせることが期待される。
【0065】
また、1番物の回収流量の表示および2番物の還元流量の表示がともに高レベル(たとえば、レベル4以上)である場合、それらの表示から、2番物回収部52による2番物の回収ロスが多い状態となっていることをユーザに推測させて、ユーザにコンバイン1の車速を落とさせることが期待される。
【0066】
1番物の回収流量の表示が相対的に低レベルであり、2番物の還元流量の表示が相対的に高レベルである場合、それらの表示から、第1チャフシーブ43、第2チャフシーブ44、グレンシーブ45が目詰まりした状態となっていることをユーザに推測させて、ユーザがそれらを点検することが期待される。
【0067】
コンバイン1の車速に対して1番物の回収流量の表示および2番物の還元流量の表示がともに低レベル(たとえば、レベル1)である場合、それらの表示から、脱穀装置7の掃除口を閉め忘れた状態となっていることをユーザに推測させて、ユーザがそれを点検することが期待される。
【0068】
図9は、メータパネル92の表示の他の例を示す図である。
【0069】
メータパネル92の表示の他の例では、メータパネル92の中央に、車速が数字で表示され、エンジン回転数が指針で表示される。
【0070】
エンジン回転数の表示の左側には、参考重量として、穀粒タンク8から穀粒が排出された後に穀粒タンク8に貯留された穀粒の重量が数値で表示される。また、その排出後重量の表示の下側には、参考重量として、その排出前に穀粒タンク8に貯留されていた穀粒の重量と穀粒タンク8に貯留されている穀粒の重量との合計重量が数値で表示される。
【0071】
排出後重量および合計重量は、制御装置91による算出値である。すなわち、制御装置91では、1番流量センサ81の検出信号から算出した1番物の回収流量が積算され、その積算値から排出後重量および合計重量が算出される。
【0072】
排出後重量および合計重量の表示により、穀粒の収穫の状態を推測させることができる。
【0073】
<作用効果>
1番流量センサ81によって、1番物の回収流量に相関する値、つまり1番流量センサ81のアクチュエータ82の揺動角度が検出される。1番流量センサ81のアクチュエータ82は、脱穀装置7から穀粒タンク8に搬送される1番物が衝突することにより揺動するように設けられている。また、2番流量センサ83によって、2番物の還元流量に相関する値、つまり2番流量センサ83のアクチュエータ84の揺動角度が検出される。2番流量センサ83のアクチュエータ84は、脱穀装置7の2番物回収部52から選別部22に還元される2番物が衝突することにより揺動するように設けられている。
【0074】
そして、制御装置91により、1番流量センサ81による検出値に基づいて、1番物の回収流量が算出され、2番流量センサ83の検出値に基づいて、2番物の還元流量が算出されて、メータパネル92に1番物の回収流量および2番物の還元流量とが表示される。この表示により、1番物の回収流量および2番物の還元流量をユーザに知らせることができる。よって、1番物の回収流量および2番物の還元流量と関係する状態をユーザに推測させることができ、その推測した状態が改善される操作をユーザが行うことを期待できる。その結果、1番物の回収流量および2番物の還元流量と関係する状態を改善することができる。
【0075】
1番物の回収流量および2番物の還元流量がメータパネル92の1画面に併せて表示されるので、ユーザが画面を切り替えなくても、1番物の回収流量および2番物の還元流量の両方を単一の画面でユーザに知らせることができる。
【0076】
また、1番物の回収流量および2番物の還元流量がそれぞれ複数段階のレベルでメータパネル92に表示されるので、1番物の回収流量および2番物の還元流量の大小をユーザに感覚的に知得させることができる。
【0077】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0078】
たとえば、1番流量センサにより検出される回収流量および2番流量センサにより検出される還元流量に関係する状態が制御装置91により推測されて、その推測されたた状態に応じた情報がメータパネル92に表示されてもよい。
【0079】
具体的には、反収が高い圃場の作物がコンバイン1により高車速で刈り取られて、1番物の回収流量の表示がレベル5となる場合に、制御装置91により、脱穀装置7の1番物回収部51による穀粒タンク8への1番物の搬送が1番物の回収に追いつかない状態になることが推測されて、その状態になることを回避すべく、たとえば、
図10に示されるように、「車速を落としてください」といった表示がポップアップで表示されてもよい。
【0080】
この構成により、ユーザが1番物の回収流量および2番物の還元流量と関係する状態を推測しなくても、その状態が改善される操作をユーザに促すことができる。
【0081】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0082】
1:コンバイン
7:脱穀装置
21:脱穀部
22:選別部
81:1番流量センサ
83:2番流量センサ
91:制御装置
92:メータパネル(表示器)