IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通テン株式会社の特許一覧

特開2024-58443車載装置、情報処理システムおよび車載装置の制御方法
<>
  • 特開-車載装置、情報処理システムおよび車載装置の制御方法 図1
  • 特開-車載装置、情報処理システムおよび車載装置の制御方法 図2
  • 特開-車載装置、情報処理システムおよび車載装置の制御方法 図3
  • 特開-車載装置、情報処理システムおよび車載装置の制御方法 図4
  • 特開-車載装置、情報処理システムおよび車載装置の制御方法 図5
  • 特開-車載装置、情報処理システムおよび車載装置の制御方法 図6
  • 特開-車載装置、情報処理システムおよび車載装置の制御方法 図7
  • 特開-車載装置、情報処理システムおよび車載装置の制御方法 図8
  • 特開-車載装置、情報処理システムおよび車載装置の制御方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058443
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】車載装置、情報処理システムおよび車載装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240418BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240418BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240418BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240418BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/09 F
G16Y10/40
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165801
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國兼 範昭
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC04
5H181DD07
5H181DD08
5H181DD09
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF32
5H181MB02
5H181MC19
(57)【要約】
【課題】車両の運転に関する運転情報をユーザに適切に通知することができる車載装置、情報処理システムおよび車載装置の制御方法を提供する。
【解決手段】実施形態の一態様に係る車載装置においては、制御部を備える。制御部は、車両の運行データに基づいて検出された車両の運転に関する運転情報を取得し、車両の停車時に、未通知の運転情報について種類毎の発生回数をユーザに通知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備えた車載装置であって、
前記制御部は、
車両の運行データに基づいて検出された前記車両の運転に関する運転情報を取得し、
前記車両の停車時に、未通知の前記運転情報について種類毎の発生回数をユーザに通知する、
車載装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記通知が前記車両の停車中に完了しなかった場合は、未通知の前記運転情報を前記車両の次回の停車時に通知する、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記通知が前記車両の停車中に完了しなかった場合は、前記車両の発進後も継続して通知する、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項4】
制御部を備えた車載装置であって、
前記制御部は、
車両の運行データに基づいて検出された前記車両の運転に関する運転情報を取得し、
前記運転情報に前記車両が危険運転をしたことを示す情報である危険運転情報が含まれている場合には、前記運転情報を取得したタイミングでユーザに、前記運転情報のうち少なくとも前記危険運転情報を通知し、前記危険運転情報が含まれていない場合には、前記車両の停車時に前記運転情報について種類毎の発生回数を前記ユーザに通知する、
車載装置。
【請求項5】
車載装置と、サーバ装置とを含み、
前記サーバ装置は、
車両の運行データに基づいて前記車両の運転に関する運転情報を検出し、
検出した前記運転情報を前記車載装置へ送信し、
前記車載装置は、
前記サーバ装置から送信された前記運転情報を取得し、
前記車両の停車時に、未通知の前記運転情報について種類毎の発生回数をユーザに通知する、
情報処理システム。
【請求項6】
車両の運行データに基づいて検出された前記車両の運転に関する運転情報を取得し、
前記車両の停車時に、未通知の前記運転情報について種類毎の発生回数をユーザに通知する、
車載装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、情報処理システムおよび車載装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の速度などの走行データに基づいて、速度超過など車両が警告を通知すべき走行状態にあると判定された場合に、警告を運転者に通知する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-115445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来技術においては、車両の走行に関する走行情報および交通規則に関する交通規則情報に基づいて、交通規則の違反を検出し、違反回数を通知することが開示されている。
【0005】
しかしながら、警告等を通知するタイミングについて何も考慮されていないので、ユーザにとって適切なタイミングに通知することにはならない。また、通知方法についてもより良い方法で通知する余地がある。すなわち、従来技術には、車両の運転に関する運転情報をユーザに適切に通知するという点で、改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両の運転に関する運転情報をユーザに適切に通知することができる車載装置、情報処理システムおよび車載装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、車載装置において、制御部を備える。前記制御部は、車両の運行データに基づいて検出された前記車両の運転に関する運転情報を取得し、前記車両の停車時に、未通知の前記運転情報について種類毎の発生回数をユーザに通知する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両の運転に関する運転情報をユーザに適切に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る車載装置を含む情報処理システムの概要を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、サーバ装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、検出運転情報の一例を示す図である。
図5図5は、車載装置の構成例を示すブロック図である。
図6図6は、運転情報の一例を示す図である。
図7図7は、運転情報の通知が行われた車載装置の出力部を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る通知処理を説明する図である。
図9図9は、実施形態に係る情報処理システムが実行する処理シーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する車載装置、情報処理システムおよび車載装置の制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
<情報処理システムの概要>
まず、実施形態に係る車載装置を含む情報処理システムの概要について、図1を用いて説明する。図1は、実施形態に係る車載装置を含む情報処理システムの概要を示す図である。
【0012】
実施形態に係る情報処理システム1は、車両Cのユーザ(図示せず)に対して、車両Cの運転に関する運転情報を通知する処理など各種の処理を実行するシステムである。なお、車両Cのユーザは運転者であるが、これに限られず、例えば車両Cの同乗者などであってもよい。また、図1では、任意のタイミングにおける車両Cを実線で示し、かかるタイミングからある時間経過した後の車両Cを破線で示している。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る情報処理システム1は、車載装置10と、サーバ装置100とを含む。
【0014】
車載装置10は、車両Cに搭載され、例えばGPS(Global Positioning System)センサ、カメラ、記憶デバイス、マイクロコンピュータなどを有する装置である。なお、車載装置10としては、例えばドライブレコーダを用いることができる。また、車載装置10は、加速度センサなどを備えるが、これについては図5を参照して後述する。また、車載装置10は、通信ネットワークを介して通信する通信機能を有する。
【0015】
車載装置10のGPSセンサは、車両Cの位置を検出する。また、車載装置10は、車両Cの位置を示す位置情報に基づき、車両Cの速度(車速)を検出する。例えば、車載装置10は、位置情報に基づいて車両Cの移動距離を算出し、算出した移動距離を移動に要した時間で除算することで車両Cの速度を検出する。
【0016】
車載装置10は、上記のようにして検出した車両Cの位置情報や速度情報を含む、車両Cの運行データを採取する(ステップS1)。
【0017】
なお、上記では、運行データに車両Cの位置情報および速度情報が含まれる例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、運行データには、位置情報や速度情報に加えてあるいは代えて、例えばカメラによって撮像された画像データ、加速度センサによって検出された車両Cの加速度情報などが含まれてもよい。
【0018】
次いで、車載装置10は、採取した運行データを定期的あるいは不定期にサーバ装置100へアップロードする(ステップS2)。
【0019】
次いで、サーバ装置100は、車両Cからアップロードされた運行データに基づいて、車両Cの運転に関する運転情報を検出する(ステップS3)。
【0020】
具体的には、サーバ装置100は、車両Cの走行路において、車両Cの運転に関する規則(例えば走行路における法定速度や一時停止位置、進入禁止路などの規則(交通規則))の情報を含む地図情報が予め記憶部120(図3参照)に記憶される。そして、サーバ装置100は、車両Cの運行データを解析(分析)する。サーバ装置100は、例えば運行データに含まれる車両Cの速度が、車両Cが走行した走行路の法定速度を超過している場合、車両Cの運転が規則に対して違反したと判定する。そして、サーバ装置100は、車両Cの違反を示す違反情報(ここでは法定速度を超過したことを示す違反情報)を運転情報として検出する。
【0021】
なお、上記では、車両の運転に関する運転情報が、車両Cの違反情報を含む例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、運転情報は、例えば車両Cの危険運転情報などを含んでもよく、これについては後述する。
【0022】
次いで、車載装置10は、サーバ装置100において検出された、車両Cの運転に関する運転情報をサーバ装置100から取得する(ステップS4)。詳しくは、サーバ装置100は、検出した運転情報を車載装置10へ送信し、車載装置10は、サーバ装置100から送信された運転情報を取得する。
【0023】
そして、車載装置10は、取得した運転情報を、車両Cのユーザが通知を受け取り可能なタイミングでユーザに通知する、詳しくは車両Cの停車時に未通知の運転情報をユーザに通知する(ステップS5)。
【0024】
具体的には、車載装置10は、車両Cの運転状態に基づいて、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングであるか否かを判定する。一例として、車載装置10は、車両Cが信号Aの信号待ちをしているなど、車両Cの運転状態が停止状態である場合、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングであると判定する。そして、車載装置10は、かかるタイミングで運転情報(ここでは法定速度を超過したことを示す違反情報)をユーザに通知する。ユーザに通知される運転情報は、ユーザにまだ通知されていない情報であって、運転情報の種類毎の発生回数などを示す情報を含む。なお、この通知は、運転情報を示すメッセージの音声出力や表示などによって行われるが、これに限定されるものではない。
【0025】
このように、本実施形態にあっては、車両Cのユーザが通知を受け取り可能なタイミングで、運転情報をユーザに通知するようにした。具体的には、本実施形態に係る車載装置10は、車両Cの停車時に、未通知の運転情報について種類毎の発生回数をユーザに通知するようにした。これにより、車両Cの運転に関する運転情報をユーザに適切に通知することができる。
【0026】
すなわち、例えば仮に車両Cが走行中(停止していない状態)などのタイミングで運転情報の通知が行われると、ユーザは運転に集中しているため、通知を聞き逃すあるいは見逃して、通知された運転情報の内容を確実に認識して受け取ることができないおそれがある。本実施形態にあっては、上記したように、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングで(ここでは車両Cの停車時に)運転情報を通知するようにした。これにより、運転情報をユーザに適切に通知することができる、詳しくは、ユーザは通知を聞き逃しあるいは見逃しにくく、よって通知された運転情報の内容をユーザに対して確実に認識させることが可能になる。
【0027】
<情報処理システムの全体構成>
図2は、実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示すブロック図である。なお、図2等のブロック図では、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0028】
換言すれば、図2等のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0029】
また、図2以降の説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、省略する場合がある。
【0030】
図2に示すように、実施形態に係る情報処理システム1は、上記した車載装置10と、サーバ装置100とを含み、各装置は互いに通信ネットワークNを介して通信可能に接続される。なお、図2では、図示の簡略化のため、車載装置10を1つ示しているが、複数であってもよい。
【0031】
<サーバ装置>
サーバ装置100は、例えばインターネットや携帯電話回線網等の通信ネットワークNを介したクラウドサービスを提供するクラウドサーバとして実現されてもよいし、複数のサーバを用いて分散処理を行う構成であってもよい。
【0032】
ここで、サーバ装置100の構成について図3を参照して説明する。図3は、サーバ装置100の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、サーバ装置100は、通信部101と、制御部110と、記憶部120とを備える。
【0033】
通信部101は、通信ネットワークNに双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、車載装置10などとの間で情報の送受信を行う。
【0034】
また、記憶部120は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部120には、地図情報121、運行データ122、検出運転情報123および各種プログラムなどが記憶される。
【0035】
地図情報121は、車両Cが走行する走行路(道路)の地図を示す情報である。地図情報121には、上記したように、車両Cの運転に関する規則の情報が含まれる。かかる規則の情報には、具体的に車両Cの走行路における法定速度、一時停止位置、進入禁止路、右折禁止路、Uターン禁止路、駐車禁止位置、停車禁止位置など各種の規則(言い換えると道路交通法における交通規則)の情報が含まれる。なお、上記した規則の情報は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0036】
また、以下では、車両Cの運転に関する規則を「交通規則」と記載する場合がある。また、地図情報121は、記憶部120に予め記憶されるが、これに限られず、図示しない外部サーバ装置から送信されたものであってもよい。
【0037】
運行データ122は、車両Cの運行データである。運行データ122には、上記したように、車両Cの位置情報、車両Cの速度情報が含まれる。なお、運行データ122には、車載装置10のカメラによって撮像された画像データや、加速度センサによって検出された車両Cの加速度情報などが含まれてもよい。
【0038】
検出運転情報123は、サーバ装置100において検出された運転情報である。ここで、図4を用いて検出運転情報123について説明する。図4は、検出運転情報123の一例を示す図である。図4に示すように、検出運転情報123には、「検出運転情報ID」、「車両ID」、「違反情報」および「危険運転情報」等の項目が含まれ、各項目のデータは互いに関連付けられている(紐付けられている)。
【0039】
「検出運転情報ID」は、検出運転情報を識別する識別情報である。「車両ID」は、運転情報が検出された車両Cを識別する識別情報である。すなわち、車両Cが複数あり、複数の車両Cのそれぞれに車載装置10が搭載される場合、サーバ装置100は、複数の車載装置10から送信された運行データに基づいて車両Cごとに運転情報を検出する。そして、サーバ装置100は、運転情報を、当該運転情報が検出された車両Cの車両IDと対応付けて記憶する。
【0040】
「違反情報」は、車両Cの走行中に検出された、交通規則に対する車両Cの違反を示す情報である。具体的に「違反情報」は、法定速度を超過したこと(速度超過)を示す情報、一時停止位置で停止しなかったこと(一時不停止)を示す情報、進入禁止路、右折禁止路、Uターン禁止路、駐車禁止位置、停車禁止位置などで禁止された運転が行われたことを示す情報などであるが、これらに限定されるものではない。また、「違反情報」には、車両Cの違反が検出された回数を示す回数情報が含まれてもよい。
【0041】
なお、図4に示す例では、便宜上、「違反情報」を「G01」といったように抽象的な記載とするが、「G01」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報についても抽象的に記載する場合がある。
【0042】
「危険運転情報」は、車両Cの走行中に検出された、車両Cの危険運転を示す情報である。具体的に「危険運転情報」は、車両Cの接触事故などの衝撃検知、車両Cの急加速運転あるいは急減速運転、車両Cのふらつき運転、車両Cの過度な速度違反などがあるが、これらに限定されるものではない。また、「危険運転情報」には、車両Cの危険運転が検出された回数を示す回数情報が含まれてもよい。
【0043】
このように、検出運転情報123には、複数種の運転情報(例えば速度超過を示す情報等を含む違反情報、危険運転情報)が含まれるとともに、運転情報の種類毎の発生回数(検出回数)を示す回数情報が含まれる。
【0044】
なお、検出運転情報123は、後述するように一定期間の運行データに基づいて検出された運転情報であるため、検出運転情報123には、上記した「違反情報」および「危険運転情報」の両方が含まれる場合もあれば、一方のみが含まれる場合もある。また、運行データに基づいて運転情報が検出されない場合、検出運転情報123は記憶部120に記憶されない。
【0045】
図4に示す例では、検出運転情報ID「D01」で識別される検出運転情報は、車両ID「F01」で識別される車両Cの運転情報であり、違反情報が「G01」、危険運転情報が「H01」であることを示している。また、検出運転情報ID「D02」で識別される検出運転情報は、検出運転情報ID「D01」に続いて検出された運転情報であり、車両ID「F01」で識別される車両Cにおける違反情報が「G02」であり、危険運転情報は検出されなかったことを示している。
【0046】
また、検出運転情報ID「D11」で識別される検出運転情報は、車両ID「F11」で識別される車両Cの運転情報であり、違反情報が「G11」、危険運転情報が「H11」であることを示している。また、検出運転情報ID「D12」で識別される検出運転情報は、検出運転情報ID「D11」に続いて検出された運転情報であり、車両ID「F11」で識別される車両Cにおける危険運転情報が「H12」であり、違反情報は検出されなかったことを示している。
【0047】
なお、上記した検出運転情報123は、「違反情報」および「危険運転情報」の両方の項目を含む例を示したが、これに限定されるものではなく、いずれか一方の項目を含む構成であってもよい。
【0048】
図3の説明に戻ると、制御部110は、受付部111と、検出部112と、送信部113とを備え、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0049】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部110の受付部111、検出部112および送信部113として機能する。また、制御部110の受付部111、検出部112および送信部113の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0050】
受付部111は、車両Cからアップロードされる(送信される)運行データを通信部101を介して受け付ける。受付部111は、受け付けたデータを記憶部120に運行データ122として記憶する。
【0051】
検出部112は、運行データに基づいて、車両Cの運転に関する運転情報を検出する。具体的には、検出部112は、記憶部120から地図情報121と運行データ122とを読み出す。そして、検出部112は、運行データを解析(分析)し、例えば運行データに含まれる車両Cの運転が、地図情報に含まれる交通規則に対する違反や、危険運転に該当するか否かを判定する。
【0052】
一例として、検出部112は、運行データに含まれる車両Cの速度が、車両Cが走行した走行路の法定速度を超過している場合、車両Cの運転が交通規則に対して違反した運転に該当すると判定する。そして、検出部112は、車両Cの違反情報(ここでは速度違反を示す違反情報)を運転情報として検出する。
【0053】
また、他の例として、検出部112は、運行データに含まれる車両Cの位置情報に基づき、車両Cが一時停止位置で停止しなかったことが検出された場合、車両Cの運転が交通規則に対して違反した運転に該当すると判定する。そして、検出部112は、車両Cの違反情報(ここでは一時停止違反を示す違反情報)を運転情報として検出する。
【0054】
また、他の例として、検出部112は、運行データに含まれる車両Cの位置情報に基づき、車両Cが進入禁止路、右折禁止路、Uターン禁止路、駐車禁止位置、停車禁止位置などで禁止された運転が検出された場合、車両Cの運転が交通規則に対して違反した運転に該当すると判定する。そして、検出部112は、車両Cの違反情報(ここでは、禁止された運転に対応した交通違反を示す違反情報)を運転情報として検出する。
【0055】
また、他の例として、検出部112は、運行データに含まれる加速度情報に基づき、接触事故による衝撃などが検知された場合、車両Cの運転が危険運転に該当すると判定する。そして、検出部112は、車両Cの危険運転情報(ここでは、衝撃検知を示す危険運転情報)を運転情報として検出する。
【0056】
また、他の例として、検出部112は、運行データに含まれる加速度情報に基づき、車両Cの急加速運転あるいは急減速運転などが検知された場合、車両Cの運転が危険運転に該当すると判定する。そして、検出部112は、車両Cの危険運転情報(ここでは、急加速運転あるいは急減速運転を示す危険運転情報)を運転情報として検出する。
【0057】
また、他の例として、検出部112は、運行データに含まれる画像データ(正確には車載装置10のカメラによって撮像された画像データ)に基づき、車両Cのふらつき運転などが検知された場合、車両Cの運転が危険運転に該当すると判定する。詳しくは、検出部112は、画像データを解析して、車両Cの走行車線の区画線を抽出し、抽出した区画線と車両Cとの距離(正確には、走行する車両Cから区画線までの幅方向の距離)を算出する。検出部112は、算出された区画線までの幅方向の距離が時間経過に伴って比較的大きくぶれる場合、車両Cのふらつき運転を検知して車両Cの運転が危険運転に該当すると判定する。そして、検出部112は、車両Cの危険運転情報(ここでは、車両Cのふらつき運転を示す危険運転情報)を運転情報として検出する。
【0058】
検出部112は、上記のようにして検出された運転情報を記憶部120に検出運転情報123として記憶する。なお、検出部112は、違反情報や危険運転情報などが検出された回数を示す回数情報を、運転情報の種類毎に検出運転情報123に記憶してもよい。
【0059】
送信部113は、検出した運転情報を、当該運転情報が検出された車両Cの車載装置10へ送信する。例えば、送信部113は、記憶部120の検出運転情報123を読み出し、検出した運転情報を通信部101を介して車載装置10へ送信する。
【0060】
<車載装置>
次いで、車載装置10の構成について図5を参照して説明する。図5は、車載装置10の構成例を示すブロック図である。図5に示すように、車載装置10は、通信部11と、GPSセンサ12と、カメラ13と、加速度センサ14と、出力部15と、制御部20と、記憶部30とを備える。
【0061】
通信部11は、通信ネットワークNに双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、サーバ装置100などとの間で情報の送受信を行う。
【0062】
GPSセンサ12は、車両Cの位置を検出し、検出した車両Cの位置を示す位置情報を制御部20へ出力する。カメラ13は、車両Cの周辺(例えば前方や後方、左右方向など)を撮像し、撮像された周辺画像(画像データ)を制御部20へ出力する。なお、カメラ13によって撮像された周辺画像は、動画データであるが、これに限られず、静止画データなどであってもよい。
【0063】
加速度センサ14は、車両Cに作用する加速度を検出し、検出した加速度を示す加速度情報を制御部20へ出力する。
【0064】
出力部15は、例えば運転情報の通知など各種の情報を出力する。例えば、出力部15は、ディスプレイなどの表示部やスピーカなどの音声出力部を含み、通知などの各種の情報を車両Cのユーザへ出力する。
【0065】
記憶部30は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部30には、運行データ31、運転情報32および各種プログラムなどが記憶される。
【0066】
運行データ31は、車両Cの運行データであり、詳しくは車載装置10において採取された運行データである。なお、運行データ31の内容は、上記したサーバ装置100の運行データ122と同じであるため、ここでの説明を省略する。
【0067】
運転情報32は、サーバ装置100から送信されて取得した運転情報である。ここで、図6を用いて運転情報32について説明する。図6は、運転情報32の一例を示す図である。図6に示すように、運転情報32には、「運転情報ID」、「違反情報」、「危険運転情報」および「通知完了情報」等の項目が含まれ、各項目のデータは互いに関連付けられている(紐付けられている)。
【0068】
「運転情報ID」は、運転情報を識別する識別情報である。「違反情報」は、車両Cの走行中に検出された、交通規則に対する車両Cの違反を示す情報、および、車両Cの違反が検出された回数を示す回数情報を含む。なお、運転情報32の「違反情報」は、検出運転情報123の「違反情報」と同じであるため、ここでの説明を省略する。
【0069】
「危険運転情報」は、車両Cの走行中に検出された、車両Cの危険運転を示す情報、および、車両Cの危険運転が検出された回数を示す回数情報を含む。なお、運転情報32の「危険運転情報」は、検出運転情報123の「危険運転情報」と同じであるため、ここでの説明を省略する。
【0070】
「通知完了情報」は、運転情報のユーザへの通知が完了したか否かを示す情報である。「通知完了情報」には、運転情報のユーザへの通知が完了したことを示す「通知完了」の情報、および、通知が完了していないことを示す「未通知」の情報のいずれかが含まれる。
【0071】
このように、運転情報32には、複数種の運転情報(例えば速度超過を示す情報等を含む違反情報、危険運転情報)が含まれるとともに、運転情報の種類毎の発生回数(検出回数)を示す回数情報、通知完了の有無などが含まれる。
【0072】
図6に示す例では、運転情報ID「J01」で識別される運転情報は、違反情報が「G01」、危険運転情報が「H01」であり、通知完了情報が「通知完了」であることを示している。また、運転情報ID「J02」で識別される運転情報は、運転情報ID「J02」に続いて取得した運転情報であり、違反情報が「G02」であり、危険運転情報は検出されなかったことを示し、また通知完了情報が「未通知」であることを示している。
【0073】
なお、上記した運転情報32は、「違反情報」および「危険運転情報」の両方の項目を含む例を示したが、これに限定されるものではなく、いずれか一方の項目を含む構成であってもよい。
【0074】
図5の説明に戻ると、制御部20は、採取部21と、アップロード部22と、取得部23と、通知部24とを備え、例えば、CPU、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部20の採取部21、アップロード部22、取得部23および通知部24として機能する。
【0075】
また、制御部20の採取部21、アップロード部22、取得部23および通知部24
の少なくともいずれか一部または全部をASICやFPGA等のハードウェアで構成することもできる。
【0076】
採取部21は、車両Cの運行データを採取する。具体的には、採取部21は、車両Cが運行している間(例えば車両CのACC(Accessory)スイッチがオンされてから、車両Cの運行が終了してACCスイッチがオフされるまでの間)、運行データを継続して採取する。
【0077】
詳しくは、採取部21は、GPSセンサ12の出力に基づいて車両Cの位置情報(例えば車両Cの緯度および経度)を検出し、検出した位置情報を記憶部30に運行データ31として記憶する。
【0078】
また、採取部21は、上記したように、車両Cの位置情報に基づいて車両Cの速度を検出し、検出した速度情報を記憶部30に運行データ31として記憶する。また、採取部21は、検出した速度情報を通知部24へ出力する。なお、上記では、採取部21が、車両Cの位置情報に基づいて車両Cの速度を検出する例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば車両Cに搭載された車速センサ(図示せず)から車両Cの速度情報を取得するように構成してもよい。
【0079】
また、採取部21は、カメラ13によって撮像された周辺画像(画像データ)を取得し、取得した周辺画像を記憶部30に運行データ31として記憶する。
【0080】
また、採取部21は、加速度センサ14の出力に基づいて車両Cの加速度情報を検出し、検出した加速度情報を記憶部30に運行データ31として記憶する。なお、採取部21は、加速度情報に基づいて、例えば接触事故による衝撃などを検知した場合、検知前後の一定時間分の周辺画像(画像データ)について上書きを禁止する処理を行ってもよい。
【0081】
アップロード部22は、運行データをサーバ装置100へアップロードする。具体的には、アップロード部22は、記憶部30にアクセスして運行データ31を読み出し、読み出した運行データを通信部11を介してサーバ装置100へアップロードする。なお、運行データのアップロードは、定期的(例えば5分ごとなど)に行われるが、これに限られず、不定期に行われてもよい。
【0082】
取得部23は、サーバ装置100において検出された、車両Cの運転に関する運転情報を取得する。詳しくは、取得部23は、サーバ装置100から送信された、違反情報や危険運転情報を含む運転情報を通信部11を介して取得し、取得した情報を記憶部30に運転情報32として記憶する。
【0083】
通知部24は、取得した運転情報を、車両Cのユーザが通知を受け取り可能なタイミングでユーザに通知する。具体的には、通知部24はまず、車両Cの運転状態に基づいて、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングであるか否かを判定する。
【0084】
詳しくは、通知部24は、車両Cの運転状態が停止状態であるか否かを判定する。例えば通知部24は、車両Cの速度情報に基づき、車両Cの速度が0km/hで所定期間(例えば3秒)継続している場合に、車両Cは信号待ちや駐車などで停止した停止(停車)状態であると判定する。
【0085】
なお、停止(停車)の定義はこれに限らず、所定速度(例えば5km/h)以下で所定期間(例えば3秒)走行を継続している場合に停止(停車)と判定することや、完全停止(0km/h)で直ちに停止(停車)判定する等、適宜設計可能である。逆に、停止(停車)と判定した後、発進(発車)を判定する場合は、車両Cの速度が所定速度(例えば5km/h)を超える速度で所定期間(例えば3秒)走行を継続している場合、あるいは車両Cの速度が0km/hでなくなった場合に直ちに、発進(発車)と判定する。上述した停止(停車)判定から発進(発車)判定までの期間が停止(停車)状態であり、発進(発車)判定から停止(停車)判定までの期間が走行状態(走行中)である。
【0086】
なお、上記では、所定期間を具体的な値で示したが、これに限定されるものではなく、車両Cが停止状態にあると推定可能な任意の値に設定可能である。また、上記した通知部24は、車両Cの速度情報に基づいて車両Cが停止状態であるか否かを判定したが、これに限定されるものではなく、その他の手法を用いて車両Cが停止状態であるか否かを判定してもよい。すなわち、例えば通知部24は、車両Cの位置情報が所定期間移動していない(変化していない)場合や、カメラ13の画像データにおいて道路標識や信号などの特徴物が所定期間移動していない(変化していない)場合に、車両Cが停止状態であると判定してもよい。
【0087】
そして、通知部24は、車両Cの運転状態が停止状態である場合、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングであると判定する。すなわち、車両Cが停止している場合のユーザは、車両Cの走行中に比べ(車両Cが停止していない場合に比べ)、通知に対して注意を向けることができることから、車両Cの運転状態が停止状態であるときは、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングであると推定することができる。
【0088】
そして、通知部24は、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングで(具体的には車両Cの停車時に)、車両Cの運転に関する運転情報をユーザに通知する。具体的には、通知部24は、運転情報を示すメッセージを出力部15であるスピーカなどを介して音声出力することで、ユーザに通知する。また、通知部24は、音声出力に加えてあるいは代えて、運転情報を示すメッセージを出力部15であるディスプレイに表示して通知してもよい。
【0089】
ここで、運転情報の通知について図7を参照しつつ説明する。図7は、運転情報の通知が行われた車載装置10の出力部(ディスプレイ)15を示す図である。
【0090】
図7に示すように、通知部24は、運転情報を示す情報を、出力部(ディスプレイ)15の表示欄200に表示させて通知する。表示欄200には、例えば「速度超過が1回、一時不停止が1回ありました。」など、運転情報(ここでは違反情報)を示すメッセージとして違反の種類とそれぞれの回数(発生回数)が表示される。音声出力の場合、通知部24は「速度超過が1回、一時不停止が1回ありました。」と読み上げる。なお、違反の種類によらず単に違反を行った回数だけを通知してもよい。また、通知後にユーザの希望や設定により、例えば違反場所、超過速度等を追加で詳細に通知するように構成してもよい。
【0091】
音声出力での通知を行う場合には読み上げに時間がかかるため、通知が完了する前に、車両Cが発進(発車)してしまうこともある。この場合、通知部24は、音声出力を止めて次回停車時に続きを音声出力してもよい。すなわち、通知部24は、通知が車両Cの停車中に完了しなかった場合は、未通知の運転情報を車両Cの次回の停車時に通知してもよい。これにより、これまで説明したユーザ(言い換えると、通知が完了しなかったユーザ)に適切に通知を行うことができる。
【0092】
また、音声通知を流し始めたら途中で発進(発車)しても音声通知は止めずに最後まで流すことも有効である。すなわち、通知部24は、通知が車両Cの停車中に完了しなかった場合は、車両Cの発進後も継続して通知してもよい。これにより、音声出力を途中で中断されて余計気になって運転等に影響を与える虞を回避することが可能になる。
【0093】
また、通知処理においては、通知頻度や通知間距離を考慮してもよい。例えば、時間的な通知頻度が多い場合や所定距離における通知回数が多い場合などは悪質な運転を行っている可能性が上がるので、悪質運転を予防するためにより強く運転者(ユーザ)に訴えかけるように音量を上げる、強調表示する等、強めの通知を行うようにしてもよいし、即時通知してもよい。
【0094】
このように、本実施形態に係る通知部24は、車両Cのユーザが通知を受け取り可能なタイミングで、運転情報をユーザに通知するようにした。具体的には、本実施形態に係る通知部24は、車両Cの停車時に、未通知の運転情報について種類毎の発生回数をユーザに通知するようにした。これにより、車両Cの運転に関する運転情報をユーザに適切に通知することができる、詳しくは、ユーザは通知を聞き逃しあるいは見逃しにくく、よって通知された運転情報の内容をユーザに対して確実に認識させることが可能になる。
【0095】
また、本実施形態に係る通知部24は、車両Cの運転状態に基づいて、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングであるか否かを判定するようにした。詳しくは、本実施形態に係る通知部24は、車両Cの運転状態が停止状態である場合、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングであると判定するようにした。
【0096】
これにより、運転情報をより適切に通知することができる。すなわち、車両Cのユーザが通知に対して向けることができる注意力は、車両Cの運転状態に応じて変化する。例えば、車両Cの運転状態が停止状態である場合、ユーザは通知に対して注意が向き易くなる。一方、車両Cの運転状態が走行状態(停止していない状態である場合)、ユーザは運転に集中しているため通知に対して注意が向きにくい。
【0097】
そこで、本実施形態に係る通知部24は、車両Cの運転状態が停止状態であるか否かを判定し、車両Cの運転状態が停止状態である場合、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングであると判定し、運転情報を通知するようにした。
【0098】
これにより、ユーザは、通知に対して注意を向け易いため、通知を聞き逃しあるいは見逃しにくく、よって通知された運転情報の内容をユーザに対してより確実に認識させることが可能になる。
【0099】
また、本実施形態に係る通知部24は、運転情報として取得された、車両Cの違反を示す違反情報をユーザに通知するようにした。これにより、ユーザの運転において交通規則に対する違反があったことをユーザに認識させることが可能となり、また、ユーザに対して交通規則の遵守を促す注意喚起を行うことができる。
【0100】
また、本実施形態に係る通知部24は、運転情報として取得された、車両Cの危険運転を示す危険運転情報をユーザに通知するようにした。これにより、ユーザの運転において危険運転があったことをユーザに認識させることが可能となり、また、ユーザに対して危険運転を行わないように促す注意喚起を行うことができる。
【0101】
図5の説明を続けると、通知部24は、ユーザへの通知が完了すると、記憶部30にアクセスし、通知が完了した運転情報32に対応する「通知完了情報」の項目(図6参照)を「未通知」から「通知完了」に変更する。
【0102】
そして、通知部24は、次回の通知の際、「通知完了情報」の項目が「未通知」に設定されている運転情報32をユーザへ通知する。言い換えると、通知部24は、「通知完了情報」の項目が「通知完了」に設定されている運転情報32についてユーザへの通知を行わない。
【0103】
この通知処理について、図8を参照しつつ詳説する。図8は、本実施形態に係る通知処理を説明する図である。なお、図8においては、理解の便宜のため、車載装置10において採取される運行データを時系列の順に「第1運行データ」、「第2運行データ」、「第3運行データ」、「第4運行データ」と称している。
【0104】
図8に示すように、まず時刻T0からT1において、車載装置10は、第1運行データを採取する。そして、車載装置10は、第1運行データをサーバ装置100へ送信(アップロード)し、サーバ装置100は、送信された第1運行データを解析して、違反情報や危険運転情報を含む運転情報を検出する。そして、サーバ装置100は、解析が完了して運転情報が検出された場合、検出された運転情報を車載装置10へ送信する(時刻T2)。
【0105】
車載装置10は、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングが到来すると(時刻T3)、第1運行データから検出された運転情報をユーザに通知する。このとき、第1運行データから検出された運転情報に対応する「通知完了情報」の項目(図6参照)は、「未通知」から「通知完了」に変更される。
【0106】
車載装置10は、時刻T1からT4において、第2運行データの採取を行い、第2運行データをサーバ装置100へ送信する。サーバ装置100は、送信された第2運行データを解析し、運転情報が検出された場合、検出された運転情報を車載装置10へ送信する(時刻T5)。なお、車載装置10は、時刻T4からT6において、第3運行データの採取を行い、第3運行データをサーバ装置100へ送信するが、この時刻T4からT6までの間に、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングが到来しなかったものとする。従って、第2運行データから検出された運転情報に対応する「通知完了情報」の項目は、「未通知」のままである。
【0107】
サーバ装置100は、送信された第3運行データを解析し、運転情報が検出された場合、検出された運転情報を車載装置10へ送信する(時刻T7)。そして、車載装置10は、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングが到来すると(時刻T8)、「通知完了情報」の項目が「未通知」の運転情報(ここでは、第2運行データおよび第3運行データから検出された運転情報)をユーザに通知する。なお、通知が完了すると、第2、第3運行データから検出された運転情報に対応する「通知完了情報」の項目は、「未通知」から「通知完了」に変更される。
【0108】
このように、本実施形態にあっては、「通知完了情報」の項目が「未通知」に設定されている運転情報を通知する一方、「通知完了」に設定されている運転情報についてユーザへの通知を行わない。これにより、本実施形態においては、既に通知された内容の運転情報がユーザに重複して通知されることを抑制することができる。
【0109】
図5の説明を続けると、通知部24は、運転情報の内容に応じて、ユーザへ通知するタイミングを変更してもよい。例えば、通知部24は、運転情報である違反情報における違反の度合いや、危険運転情報における危険運転の度合いに応じて、ユーザへ通知するタイミングを変更してもよい。
【0110】
一例として、運転情報に、車両Cの速度が法定速度を所定速度以上超過するなど、過度な速度違反を示す情報(危険運転情報の一例)が含まれる場合、通知部24は、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングとは異なるタイミングで運転情報の通知を行ってもよい。詳しくは、通知部24は、車載装置10がサーバ装置100から運転情報を受け取ったタイミング等、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングより早いタイミングで、運転情報(ここでは過度な速度違反を示す危険運転情報)の通知を行う。このように異なるタイミングで通知を行った場合には、「通知完了情報」の項目を「通知完了」とせず、受け取り可能なタイミングで再通知を行ってもよい。
【0111】
これにより、本実施形態にあっては、運転情報の内容に即した適切なタイミングで、運転情報をユーザに通知することができる。具体的に上記の例では、過度な速度違反など、ユーザの運転において交通規則に対する重大な違反があったことを早期に認識させることが可能となる。なお、上記した所定速度は、車両Cが過度な速度違反であると推定できる値(例えば、当該道路の法定速度+20km/h)に設定されるが、これに限られず、任意の値に設定可能である。また、危険運転情報としては、過度の速度違反以外にも、自動車専用道路における逆走、長時間連続運転等を、適宜含めてもよい。
【0112】
このように、通知部24は、運転情報における危険運転情報の有無に応じて通知するタイミングを変更する。具体的には、通知部24は、運転情報に危険運転情報が含まれているか否かを判定する。そして、通知部24は、運転情報に危険運転情報が含まれていると判定された場合、運転情報を取得したタイミングでユーザに、運転情報のうち少なくとも危険運転情報を通知する。なお、運転情報のうち、当該タイミングでユーザに通知されなかった運転情報(例えば違反情報)は、次回の停車時に通知される。また、通知部24は、運転情報に危険運転情報が含まれていないと判定された場合、車両Cの停車時に、車両Cの前回停車終了時から停車時(すなわち今回の停車時)までの間に取得した運転情報について種類毎の発生回数をユーザに通知する。これにより、危険運転情報については、可能な限り早期にユーザに通知することができ、ユーザに対して危険運転を行わないように促す注意喚起を早期に行うことができる。
【0113】
他の例として、運転情報である危険運転情報に、車両Cのふらつき運転が所定時間以上継続するなど、過度な危険運転を示す情報が含まれる場合がある。かかる場合に、通知部24は、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングとは異なるタイミングで、詳しくは受け取り可能なタイミングより早いタイミングで、運転情報(ここでは過度な危険運転を示す危険運転情報)の通知を行ってもよい。
【0114】
これにより、上記の例では、長時間のふらつき運転など、ユーザの運転において過度な危険運転があったことを早期に認識させることが可能となる。なお、上記した所定時間は、車両Cのふらつき運転が過度な危険運転であると推定できる値に設定されるが、これに限られず、任意の値に設定可能である。
【0115】
<情報処理システムの制御処理>
次に、実施形態に係る情報処理システム1が実行する処理手順について、図9を用いて説明する。図9は、実施形態に係る情報処理システム1が実行する処理シーケンスの一例を示す図である。
【0116】
図9に示すように、まず車載装置10は、車両Cの運行データを採取する(ステップS10)。次いで、車載装置10は、採取した運行データをサーバ装置100へアップロードする(ステップS11)。
【0117】
サーバ装置100は、運行データに基づいて車両Cの運転に関する運転情報(例えば違反情報や危険運転情報)を検出する(ステップS12)。そして、サーバ装置100は、検出した運転情報を車載装置10へ送信し、車載装置10は、かかる運転情報を取得する(ステップS13)。
【0118】
次いで、車載装置10は、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングであるか否かを判定する判定処理を行う(ステップS14)。そして、車載装置10は、例えば車両Cの運転状態が停止状態である場合など、ユーザが通知を受け取り可能なタイミングであると判定した場合、かかるタイミングで運転情報をユーザに通知する(ステップS15)。これによれば、車載装置10は、車両Cの運転状態が停止状態である場合に未通知のものをユーザに通知するので走行中は通知をせずに運転情報を蓄積しておく。一方で、車載装置10は、適切なタイミングである停止状態になると走行中に蓄積した運転情報を纏めて通知することになる。すなわち、車両Cの停車時に、車両Cの前回の停車終了時から今回の停車時までの間に取得した運転情報について種類毎の発生回数を通知する。
【0119】
上述してきたように、実施形態に係る車載装置10は、制御部20を備える。制御部20は、車両Cの運行データに基づいて検出された車両Cの運転に関する運転情報を取得し、車両Cの停車時に、未通知の運転情報について種類毎の発生回数をユーザに通知する。これにより、車両Cの運転に関する運転情報をユーザに適切に通知することができる。
【0120】
なお、車両Cのイグニッションが一旦OFFになる等、イグニッションの状態から判断して取得した運転情報が前回の走行(トリップ)のものである場合には通知しないようにしてもよい。すなわち、車両Cのユーザが乗り替わった場合や運転日が変わっている可能性があり通知が有効ではない場合があるからである。この場合、「通知完了情報」の項目を「未完了」から「通知完了」または「通知取止め」に変更するか、通知項目から削除して、次回発進後の停車時に通知されないように対処しておく。かかる対処は、車載装置10の制御部20が、イグニッションOFF後にバックアップ電源を利用して行ってもよく、あるいはイグニッションON時に「未完了」項目が残っている場合に、上述の対処を行うようにしてもよい。
【0121】
なお、上記した実施形態では、車載装置10を介して運転情報をユーザに通知するように構成したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば車載装置10は、ユーザが利用する端末装置に運転情報を送信し、端末装置を介して運転情報をユーザに通知するようにしてもよい。なお、かかる端末装置としては、例えばスマートフォン、タブレット端末、ノート型PC(Personal Computer)やデスクトップ型PCなどを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0122】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0123】
1 情報処理システム
10 車載装置
20 制御部
100 サーバ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9