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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005845
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】経路設定方法、プログラム及び移動体
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240110BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G05D1/02 H
B66F9/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106257
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】知識 陽平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼尾 健司
(72)【発明者】
【氏名】高木 一茂
【テーマコード(参考)】
3F333
5H301
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333FA05
5H301AA01
5H301BB07
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301LL03
5H301LL06
5H301LL11
5H301QQ01
(57)【要約】
【課題】設定された基準経路に沿って適切に移動する。
【解決手段】経路設定方法は、移動体が移動する経路である基準経路の情報を取得するステップと、移動体が基準経路上に位置しているかを判断するステップと、移動体が基準経路上に位置していない場合に、基準経路上の合流位置まで到達する経路である復帰経路を設定するステップと、を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体が移動する経路である基準経路の情報を取得するステップと、
前記移動体が前記基準経路上に位置しているかを判断するステップと、
前記移動体が前記基準経路上に位置していない場合に、前記基準経路上の合流位置まで到達する経路である復帰経路を設定するステップと、
を含む、
経路設定方法。
【請求項2】
前記復帰経路を設定するステップにおいては、前記復帰経路を移動する前記移動体が障害物と干渉しないように、前記復帰経路を設定する、請求項1に記載の経路設定方法。
【請求項3】
前記復帰経路を設定するステップにおいては、前記基準経路上の複数の候補位置から前記合流位置を選択して、選択した前記合流位置までの前記復帰経路を設定する、請求項1又は請求項2に記載の経路設定方法。
【請求項4】
前記復帰経路を設定するステップにおいては、前記候補位置までの候補経路を、前記候補位置毎に設定して、複数の前記候補経路のうちから、前記復帰経路を選択する、請求項3に記載の経路設定方法。
【請求項5】
前記復帰経路を設定するステップにおいては、複数の前記候補経路のうちで、前記候補経路を移動する前記移動体が障害物と干渉しない経路を、前記復帰経路として選択する、請求項4に記載の経路設定方法。
【請求項6】
前記復帰経路を設定するステップにおいては、前記合流位置に近づく直線状の直線経路と、前記合流位置に近づく円弧状の円弧経路との少なくとも一方を含む経路を、前記復帰経路として設定する、請求項1又は請求項2に記載の経路設定方法。
【請求項7】
前記復帰経路を設定するステップにおいては、前記直線経路と前記円弧経路との少なくとも一方のみを含む経路において、前記移動体が障害物と干渉する場合には、前記合流位置から遠ざかる切り返し経路を含む経路を、前記復帰経路として設定する、請求項6に記載の経路設定方法。
【請求項8】
前記復帰経路を設定するステップにおいては、予め設定した最小旋回半径を最小値とし、予め設定した最大旋回半径を最大値とした二分探索により、前記円弧経路の旋回半径を設定する、請求項6に記載の経路設定方法。
【請求項9】
前記復帰経路を設定するステップにおいては、前記移動体が、前記基準経路上から目標物にアプローチするためのアプローチ経路に沿って移動したために前記基準経路上に位置していない場合には、前記アプローチ経路に基づいて前記復帰経路を設定する、請求項1又は請求項2に記載の経路設定方法。
【請求項10】
前記基準経路の情報を取得するステップにおいては、複数の前記基準経路の情報を取得し、
前記復帰経路を設定するステップにおいては、複数の前記基準経路のそれぞれについて、前記合流位置まで到達する復帰経路を設定して、それぞれの前記復帰経路に基づいて、前記基準経路のうちから、前記移動体の移動に用いる前記基準経路を選択する、請求項1又は請求項2に記載の経路設定方法。
【請求項11】
前記移動体が前記復帰経路を移動中に、前記復帰経路の周囲を、他の移動体の移動を許可しない禁止領域に設定するステップを更に含む、請求項1又は請求項2に記載の経路設定方法。
【請求項12】
移動体が移動する経路である基準経路の情報を取得するステップと、
前記移動体が前記基準経路上に位置しているかを判断するステップと、
前記移動体が前記基準経路上に位置していない場合に、前記基準経路上の合流位置まで到達する経路である復帰経路を設定するステップと、
をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【請求項13】
自動で移動する移動体であって、
移動する経路である基準経路の情報を取得する基準経路取得部と、
前記移動体が前記基準経路上に位置していない場合に、前記基準経路上の合流位置まで到達する経路である復帰経路を取得する復帰経路取得部と、
を含む、
移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、経路設定方法、プログラム及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動で移動する移動体の移動経路を設定する技術が知られている。例えば特許文献1には、スタート位置とゴール位置を接続する二つの二等辺三角形を生成し、二等辺三角形の等辺に沿った曲線軌道を、移動体の移動経路として設定する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7027206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、移動体に対して、移動すべき経路である基準経路が設定される場合があり、設定された基準経路に沿って適切に移動することが求められる。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、設定された基準経路に沿って適切に移動可能な経路設定方法、プログラム及び移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る経路設定方法は、移動体が移動する経路である基準経路の情報を取得するステップと、前記移動体が前記基準経路上に位置しているかを判断するステップと、前記移動体が前記基準経路上に位置していない場合に、前記基準経路上の合流位置まで到達する経路である復帰経路を設定するステップと、を含む。
【0007】
本開示に係るプログラムは、移動体が移動する経路である基準経路の情報を取得するステップと、前記移動体が前記基準経路上に位置しているかを判断するステップと、前記移動体が前記基準経路上に位置していない場合に、前記基準経路上の合流位置まで到達する経路である復帰経路を設定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0008】
本開示に係る移動体は、自動で移動する移動体であって、移動する経路である基準経路の情報を取得する基準経路取得部と、前記移動体が前記基準経路上に位置していない場合に、前記基準経路上の合流位置まで到達する経路である復帰経路を取得する復帰経路取得部と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、設定された基準経路に沿って適切に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る移動制御システムの模式図である。
図2図2は、移動体の構成の模式図である。
図3図3は、管理装置の模式的なブロック図である。
図4図4は、情報処理装置の模式的なブロック図である。
図5図5は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。
図6図6は、復帰経路を説明するための模式図である。
図7図7は、復帰経路を説明するための模式図である。
図8図8は、復帰経路を説明するための模式図である。
図9図9は、復帰経路を説明するための模式図である。
図10図10は、復帰経路の設定の処理フローを説明するフローチャートである。
図11図11は、第2実施形態に係る円弧経路の設定を説明するための模式図である。
図12図12は、アプローチ経路に基づいて復帰経路を設定する場合の例を示す模式図である。
図13図13は、複数の基準経路が設定された場合の例を示す模式図である。
図14図14は、第5実施形態に係る情報処理装置の模式的なブロック図である。
図15図15は、禁止領域の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0012】
(第1実施形態)
(移動制御システム)
図1は、本実施形態に係る移動制御システムの模式図である。図1に示すように、本実施形態に係る移動制御システム1は、移動体10と管理装置12と情報処理装置14とを含む。移動制御システム1は、設備Wに所属する移動体10の移動を制御するシステムである。設備Wは、例えば倉庫など、物流管理される設備である。移動制御システム1においては、移動体10は、設備Wの領域AR内に配置された目標物Qをピックアップして搬送させる。領域ARは、例えば設備Wの床面であり、目標物Qが設置されたり移動体10が移動したりする領域である。目標物Qは、本実施形態では、パレット上に荷物が積載された搬送対象物である。ただし、目標物Qは、パレット上に荷物が積載されたものに限られず任意の形態であってよく、例えばパレットを有さず荷物のみであってもよい。
【0013】
以降において、領域ARに沿った一方向をX方向とし、領域ARに沿った方向であって方向Xに交差する方向を、Y方向とする。本実施形態では、Y方向は、X方向に直交する方向である。X方向、Y方向は、水平面に沿った方向といってもよい。また、X方向、Y方向に直交する方向を、より詳しくは鉛直方向の上方に向かう方向を、Z方向とする。また、本実施形態においては、「位置」とは、特に断りのない限り、領域AR上の二次元面における座標系(領域ARの座標系)における位置(座標)を指す。また、移動体10などの「姿勢」とは、特に断りのない限り、領域ARの座標系における移動体10などの向きであり、Z方向から見た場合に、X方向を0°とした際の移動体10のヨー角(回転角度)を指す。
【0014】
(ウェイポイント)
移動体10は、移動すべき経路である基準経路Pの情報を取得して、基準経路Pに沿って移動する。領域ARには、位置(座標)毎にウェイポイントWPが設定されており、基準経路Pは、ウェイポイントWPを繋ぐように設定される。すなわち、移動体10が通過を予定するウェイポイントWPを接続する経路が、基準経路Pとなる。ウェイポイントWPは、設備Wのレイアウトに応じて設定される。
【0015】
(移動体)
図2は、移動体の構成の模式図である。移動体10は、自動で移動可能であり目標物Qを搬送可能な装置である。さらに言えば、本実施形態では、移動体10は、フォークリフトであり、より詳しくはいわゆるAGV(Automated Guided Vehicle)やAGF(Automated Guided Forklift)である。ただし、移動体10は、目標物Qを搬送するフォークリフトであることに限られず、自動で移動可能な任意な装置であってよい。
【0016】
図2に示すように、移動体10は、車体20と、車輪20Aと、ストラドルレッグ21と、マスト22と、フォーク24と、センサ26Aと、制御装置28とを備えている。ストラドルレッグ21は、車体20の前後方向における一方の端部に設けられて、車体20から突出する一対の軸状の部材である。車輪20Aは、それぞれのストラドルレッグ21の先端と、車体20とに設けられている。すなわち、車輪20Aは、合計3個設けられているが、車輪20Aの設けられる位置や個数は任意であってよい。マスト22は、ストラドルレッグ21に移動可能に取り付けられ、車体20の前後方向に移動する。マスト22は、前後方向に直交する上下方向(ここでは方向Z)に沿って延在する。フォーク24は、マスト22に方向Zに移動可能に取付けられている。フォーク24は、マスト22に対して、車体20の横方向(上下方向及び前後方向に交差する方向)にも移動可能であってよい。フォーク24は、一対のツメ24A、24Bを有している。ツメ24A、24Bは、マスト22から車体20の前方向に向けて延在している。ツメ24Aとツメ24Bとは、マスト22の横方向に、互いに離れて配置されている。以下、前後方向のうち、移動体10においてフォーク24が設けられている側の方向を、前方向とし、フォーク24が設けられていない側の方向を、後方向とする。
【0017】
センサ26Aは、車体20の周辺に存在する対象物の位置及び姿勢の少なくとも1つを検出する。センサ26Aは、移動体10に対する対象物の位置と、移動体10に対する対象物の姿勢との少なくとも一方を検出するともいえる。本実施形態では、センサ26Aは、それぞれのストラドルレッグ21の前方向における先端と、車体20の後方向側とに設けられている。ただし、センサ26Aの設けられる位置はこれに限られず、任意の位置に設けられてもよいし、設けられる数も任意であってよい。
【0018】
センサ26Aは、例えばレーザ光を照射するセンサである。センサ26Aは、一方向(ここでは横方向)に走査しつつレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光から、対象物の位置及び向きを検出する。すなわち、センサ26Aは、いわゆる2次元(2D)-LiDAR(Light Detection And Ranging)であるともいえる。ただし、センサ26Aは、以上のものに限られず任意の方法で対象物を検出するセンサであってよく、例えば、複数の方向に走査されるいわゆる3次元(3D)-LiDARであってもよいし、走査されない、いわゆる1次元(1D)-LiDARであってもよいし、カメラであってもよい。
【0019】
制御装置28は、移動体10の移動を制御する。制御装置28については後述する。
【0020】
(管理装置)
図3は、管理装置の模式的なブロック図である。管理装置12は、設備Wにおける物流を管理するシステムである。管理装置12は、本実施形態ではWCS(Warehouse Control System)やWMS(Warehouse Management System)であるが、WCS及びWMSに限られず任意のシステムであってよく、例えば、その他の生産管理系システムのようなバックエンドシステムでも構わない。管理装置12が設けられる位置は任意であり、設備W内に設けられてもよいし、設備Wから離れた位置に設けられて、離れた位置から設備Wを管理するものであってもよい。管理装置12は、コンピュータであり、図3に示すように、通信部30と記憶部32と制御部34とを含む。
【0021】
通信部30は、制御部34に用いられて、情報処理装置14などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばWiFi(登録商標)モジュールやアンテナやなどを含んでよい。通信部30による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部32は、制御部34の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0022】
制御部34は、演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む。制御部34は、移動先情報設定部40を含む。制御部34は、記憶部32からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、移動先情報設定部40を実現して、その処理を実行する。なお、制御部34は、1つのCPUによって処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、移動先情報設定部40を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部32が保存する制御部34用のプログラムは、管理装置12が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0023】
移動先情報設定部40は、移動体10の移動先を示す移動先情報を設定する。移動先情報の設定については後述する。
【0024】
なお、管理装置12は、移動先情報を設定する以外の処理も実行してよい。例えば、管理装置12は、設備Wに設けられる移動体10以外の機構(例えばエレベータや扉など)を制御する情報も設定してよい。
【0025】
(情報処理装置)
図4は、情報処理装置の模式的なブロック図である。情報処理装置14は、設備Wに設けられ、移動体10の移動に関する情報などを処理する装置である。情報処理装置14は、例えばFCS(Fleet Control System)であるが、それに限られず、移動体10の移動に関する情報を処理する任意の装置であってよい。情報処理装置14は、コンピュータであり、図4に示すように、通信部50と記憶部52と制御部54とを含む。通信部50は、制御部54に用いられて、管理装置12や移動体10などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナやWiFiモジュールなどを含んでよい。通信部50による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部52は、制御部54の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0026】
制御部54は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部54は、基準経路設定部60を含む。制御部54は、記憶部52からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、基準経路設定部60を実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部54は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、基準経路設定部60を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部52が保存する制御部54用のプログラムは、情報処理装置14が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0027】
基準経路設定部60は、移動体10の基準経路Pを設定する。基準経路Pの設定方法は後述する。
【0028】
なお、本実施形態では、管理装置12と情報処理装置14とが別の装置であったが、一体の装置であってもよい。すなわち、管理装置12が情報処理装置14の少なくとも一部の機能を兼ね備えてよいし、情報処理装置14が管理装置12の少なくとも一部の機能を兼ね備えてよい。
【0029】
(移動体の制御装置)
次に、移動体10の制御装置28について説明する。図5は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。制御装置28は、移動体10を制御する装置である。制御装置28は、コンピュータであり、図5に示すように、通信部70と記憶部72と制御部74とを含む。通信部70は、制御部74に用いられて、情報処理装置14などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナやWiFiモジュールなどを含んでよい。通信部70による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部72は、制御部74の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0030】
制御部74は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部74は、基準経路取得部80と、自己位置取得部82と、復帰経路取得部84と、移動制御部86とを含む。制御部74は、記憶部72からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、基準経路取得部80と自己位置取得部82と復帰経路取得部84と移動制御部86とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部74は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、基準経路取得部80と自己位置取得部82と復帰経路取得部84と移動制御部86との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部72が保存する制御部74用のプログラムは、制御装置28が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0031】
基準経路取得部80は、基準経路Pの情報を取得する。自己位置取得部82は、移動体10の位置情報を取得する。復帰経路取得部84は、移動体10が基準経路P上に位置しているかを判断して、基準経路P上に位置していない場合には、基準経路Pに復帰するための復帰経路PAを取得する。移動制御部86は、移動体10の駆動部やステアリングなどの移動機構を制御して、移動体10の移動を制御する。これらの具体的な処理内容については後述する。
【0032】
(移動制御システムの処理)
移動制御システム1の処理内容について、以下で説明する。
【0033】
(移動先情報の設定)
管理装置12の移動先情報設定部40は、移動体10の移動先を示す移動先情報を設定する。移動先情報設定部40は、移動先情報として、移動先の位置(座標)そのものを指定してもよい。また、それぞれのウェイポイントWPに識別子が付与されており、移動先情報設定部40は、移動先情報として、移動先に対応するウェイポイントWPの識別子を指定してもよい。移動先情報設定部40は、任意の方法で移動先情報を設定してよい。例えば、移動先情報設定部40は、搬送すべき目標物Qと搬送元及び搬送先を示すオーダー情報を取得して、それに基づいて移動先情報を設定してよい。移動先情報設定部40は、設定した移動先情報を、通信部30を介して、情報処理装置14に送信する。
【0034】
(基準経路の設定)
情報処理装置14の基準経路設定部60は、移動体10の基準経路Pを設定する。本実施形態では、基準経路設定部60は、移動先情報に基づいて、基準経路Pを設定する。基準経路設定部60は、移動元から移動先までの各ウェイポイントWPを通る経路を、基準経路Pとして設定する。移動元の位置は任意に設定されてよく、例えば移動体10の現在位置に最も近いウェイポイントWPを、移動元として設定してもよい。なお、図1での基準経路Pは、説明の便宜上、ウェイポイントWP同士を繋ぐ直線軌道であるが、それに限られず、例えば直線と曲線とを含んだ軌道であってよい。この場合例えば、基準経路設定部60は、移動先情報と設備Wの地図情報に基づき、初期位置から移動先までの各ウェイポイントWPを通る経路を、基準経路Pとして設定する。また例えば、基準経路設定部60は、移動先情報及び設備Wの地図情報に加えて、移動体10の車両仕様の情報にも基づき、基準経路Pを設定してよい。車両仕様の情報とは、例えば、移動体10の大きさや最小旋回半径など、移動体10が移動可能な経路に影響を及ぼす仕様である。
【0035】
基準経路設定部60は、設定した基準経路Pの情報を、移動体10に送信する。例えば、基準経路設定部60は、基準経路Pの情報として、基準経路Pの軌跡上の各位置の位置情報を移動体10に送信してもよい。
【0036】
(基準経路の取得)
移動体10の基準経路取得部80は、情報処理装置14により設定された基準経路Pの情報を取得する。
【0037】
(復帰経路)
図6は、復帰経路を説明するための模式図である。移動体10は、基準経路Pに沿って移動するが、例えば図6に示すように、基準経路Pから外れた場所に位置している場合がある。移動体10が基準経路Pから外れた場所に位置しているケースは様々想定されるが、例えば、充電などのためにウェイポイントWPから外れた位置で待機している場合や、ウェイポイントWPから外れた位置にある目標物Qをピックアップした場合などが挙げられる。このように基準経路Pから外れた場所に位置していると、移動体10は、基準経路Pに沿って適切に移動できなくなるおそれがある。それに対して、本実施形態においては、移動体10が基準経路Pから外れた場所に位置している場合に、移動体10を基準経路P上に復帰させるための復帰経路PAを設定することで、復帰経路PAを通って基準経路P上に戻ることができる。そのため、本実施形態によると、基準経路Pに沿って適切に移動することを可能とする。以下、復帰経路PAの設定について具体的に説明する。
【0038】
(移動体の位置情報の取得)
移動体10の自己位置取得部82は、移動体10の現在の位置情報を取得する。移動体10の位置情報の取得方法は任意であるが、例えば本実施形態では、設備Wに図示しない検出体が設けられており、自己位置取得部82は、検出体の検出に基づき移動体10の位置及び姿勢の情報を取得する。具体的には、移動体10は、検出体に向けてレーザ光を照射し、検出体によるレーザ光の反射光を受光して、設備Wにおける自身の位置及び姿勢を検出する。移動体10の位置及び姿勢の情報の取得方法は、検出体を用いることに限られず、例えば、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)を用いてもよい。
【0039】
(移動体が基準経路上にあるかの判断)
移動体10の復帰経路取得部84は、基準経路Pの情報と移動体10の位置情報とから、移動体10が基準経路P上に位置しているかを判断する。例えば、復帰経路取得部84は、移動体10の現在位置が基準経路P上にある場合に、移動体10が基準経路P上に位置していると判断し、移動体10の現在位置が基準経路P上にない場合に、移動体10が基準経路P上に位置していないと判断してよい。なおこの場合、移動体10の現在位置が基準経路P上にあるとは、移動体10の現在位置が基準経路Pと厳密に重なることに限られず、移動体10の現在位置が基準経路Pから所定距離範囲内にあることを指してよく、以降の他の説明でも同様であってよい。
【0040】
復帰経路取得部84は、移動体10が基準経路P上に位置していると判断した場合には、復帰経路PAを取得しない。一方、復帰経路取得部84は、移動体10が基準経路P上に位置しないと判断した場合に、復帰経路PAを取得する。本実施形態では、復帰経路取得部84は、移動体10が基準経路P上に位置しないと判断した場合に、基準経路Pの情報に基づいて、復帰経路PAを設定する。以下、復帰経路PAの設定方法について説明する。
【0041】
(復帰経路の設定)
復帰経路取得部84は、基準経路P上の合流位置Aまで到達する経路を、復帰経路PAとして設定する。具体的には、復帰経路取得部84は、基準経路Pの情報から、基準経路P上にある合流位置Aを選択する。そして、復帰経路取得部84は、復帰経路PAを移動する移動体10が障害物と干渉せずに、現在位置から合流位置Aまで到達する経路を、復帰経路PAとして設定する。さらに言えば、復帰経路取得部84は、復帰経路PAに沿って移動して合流位置Aに到達した際の移動体10の進行方向が、合流位置A上での基準経路Pの進行方向と一致するように、復帰経路PAを設定する。すなわち図6の例では、合流位置Aでの基準経路Pの進行方向はY方向と反対方向なので、復帰経路取得部84は、合流位置Aに到達した際の移動体10の姿勢がY方向と反対方向を向く軌道となる復帰経路PAを設定する。
【0042】
復帰経路取得部84は、基準経路P上の任意の位置を合流位置Aとして選択してよい。例えば、復帰経路取得部84は、基準経路Pを通るウェイポイントWPを、合流位置Aとして選択してよい。
【0043】
図7は、復帰経路を説明するための模式図である。復帰経路取得部84は、合流位置Aまで到達する任意の軌跡を復帰経路PAとして設定してよいが、本実施形態では、直線経路PA2と円弧経路PA1との少なくとも一方を含み、かつ合流位置Aに到達する経路を、復帰経路PAとして設定する。直線経路PA2とは、合流位置A(基準経路P)に近づく直線状の経路であり、円弧経路PA1とは、合流位置A(基準経路P)に近づく円弧状の経路である。
【0044】
例えば図7に示すように、復帰経路取得部84は、中心位置A2を中心とする半径(旋回半径)Rの円CRの弧を通る経路を、円弧経路PA1として設定する。具体的には、復帰経路取得部84は、移動体10の基準位置A1を通り移動体10の前後方向に沿う直線Lと、基準経路Pの合流位置Aを通る直線状の区間P1とに接する円を、円CRとして設定する。区間P1とは、基準経路Pのうちで、合流位置Aを通る直線状の区間を指す。復帰経路取得部84は、円CRの弧のうちで、基準位置A1から、円CRの弧と区間P1との接点A3までの区間を、円弧経路PA1として設定する。なお、直線Lと区間P1とは、移動体10の位置や基準経路Pにより定まるため、円CRは、言い換えれば中心位置A2及び半径Rは、一義に設定することができる。
【0045】
図7の例では、基準位置A1が、移動体10の現在位置である。従って、復帰経路取得部84は、移動体10の現在位置から接点A3までの区間を、円弧経路PA1として設定する。また図7の例では、接点A3が合流位置Aと重ならないため、復帰経路取得部84は、接点A3から合流位置Aまでの直線状の経路を、直線経路PA2として設定する。すなわち図7の例では、復帰経路取得部84は、移動体10の現在位置から接点A3までの円弧経路PA1と、接点A3から合流位置Aまでの直線経路PA2とを含む経路を、復帰経路PAとして設定する。ただし、例えば接点A3が合流位置Aと重なる場合には、復帰経路取得部84は、移動体10の現在位置から、合流位置A(接点A3)までの円弧経路PA1を、復帰経路PAとして設定してよい。
【0046】
また、図7の例では、移動体10の現在位置を起点として円弧経路PA1が設定されるが、復帰経路取得部84は、移動体10の現在位置を起点として直線経路PA2を設定し、その直線経路PA2に接続される円弧経路PA1を設定してよい。この場合例えば、復帰経路取得部84は、移動体10の現在位置から、直線Lを通って基準経路Pに近づく方向に向かう直線状の経路を、直線経路PA2として設定する。そして、復帰経路取得部84は、直線経路PA2の終点を基準位置A1として、円CRの弧に沿って、基準位置A1から接点A3まで到達する経路を、円弧経路PA1として設定する。
【0047】
図8及び図9は、復帰経路を説明するための模式図である。ここで、直線経路PA2と円弧経路PA1との少なくとも一方のみを含むように復帰経路PAを設定した場合、復帰経路PAを移動中に移動体10が障害物Tに干渉する場合がある。従って、復帰経路取得部84は、直線経路PA2と円弧経路PA1との少なくとも一方のみを含む復帰経路PAにおいて、移動体10が障害物Tに干渉する場合には、切り返し経路PA0も含むように、復帰経路PAを設定することが好ましい。すなわち、復帰経路取得部84は、切り返し経路PA0と、直線経路PA2と円弧経路PA1との少なくとも一方とを含み、かつ移動体10が障害物Tと干渉しない経路を、復帰経路PAとして設定することが好ましい。切り返し経路PA0は、直線経路PA2と円弧経路PA1との少なくとも一方に接続されて、合流位置A(基準経路P)から遠ざかる経路である。以下、具体的に説明する。
【0048】
図8に示すように、復帰経路取得部84は、移動体10が、基準経路Pの区間P1における進行方向側を向いている場合には、合流位置A(基準経路P)から遠ざかる直線状の経路を、切り返し経路PA0として設定する。移動体10が基準経路Pの区間P1における進行方向側を向いているとは、直線Lに沿って基準経路Pに近づく方向が、基準経路Pの区間P1における進行方向側を向いていることを指す。すなわち、図8のステップS1の例では、基準経路Pの区間P1における進行方向はY方向と反対方向であり、直線Lに沿って基準経路Pに近づく方向のY軸におけるベクトル成分は、Y方向と反対方向であるため、移動体10は、基準経路Pの区間P1における進行方向側を向いているといえる。この場合、図8のステップS2に示すように、復帰経路取得部84は、移動体10の現在位置(基準位置A1)から、直線Lに沿って合流位置A(基準経路P)から遠ざかる方向に向かう直線状の経路を、切り返し経路PA0として設定する。この場合例えば、復帰経路取得部84は、接点A3の位置を設定して、設定した接点A3に円弧経路PA1が到達可能な切り返し経路PA0を設定する。すなわち、接点A3の位置が決まれば、円弧経路PA1の半径R及び中心位置A2に加えて、切り返し経路PA0の終点位置も一義に決まるため、復帰経路取得部84は、設定された接点A3の位置に基づき、切り返し経路PA0を設定できる。そして、復帰経路取得部84は、切り返し経路PA0の終点位置から、上述の説明と同様の方法で、直線経路PA2と円弧経路PA1との少なくとも一方を設定して、復帰経路PAとする。図8の例では、直線状の切り返し経路PA0の終点位置から、円弧経路PA1、直線経路PA2の順で並ぶ経路が、復帰経路PAとして設定されている。
【0049】
図9に示すように、復帰経路取得部84は、移動体10が、基準経路Pの区間P1における進行方向と反対側を向いている場合には、合流位置A(基準経路P)から遠ざかる円弧状の経路を、切り返し経路PA0として設定する。すなわち、図9のステップS3の例では、直線Lに沿って基準経路Pに近づく方向のY軸におけるベクトル成分は、Y方向であるため、移動体10は、基準経路Pの区間P1における進行方向と反対側を向いているといえる。この場合、復帰経路取得部84は、合流位置A(基準経路P)から遠ざかり、かつ、終点位置における移動体10の向きが基準経路Pの区間P1における進行方向側を向くような、移動体10の現在位置(基準位置A1)から所定の終点位置までの円弧状の経路を、切り返し経路PA0として設定する。この場合、切り返し経路PA0における円弧の半径(旋回半径)及び中心位置や、終点位置の座標は、適宜設定されてよい。本実施形態では、復帰経路取得部84は、接点A3の位置を設定して、設定した接点A3に円弧経路PA1が到達可能な切り返し経路PA0を設定する。すなわち、接点A3の位置が決まれば、円弧経路PA1の半径R及び中心位置A2に加えて、切り返し経路PA0の終点位置も一義に決まるため、復帰経路取得部84は、設定された接点A3の位置に基づき、切り返し経路PA0を設定できる。そして、復帰経路取得部84は、切り返し経路PA0の終点位置から、上述の説明と同様の方法で、直線経路PA2と円弧経路PA1との少なくとも一方を設定して、復帰経路PAとする。図8の例では、円弧状の切り返し経路PA0の終点位置から、円弧経路PA1、直線経路PA2の順で並ぶ経路が、復帰経路PAとして設定されている。
【0050】
なお、以上の説明では、復帰経路取得部84は、直線経路PA2と円弧経路PA1との少なくとも一方のみを含む復帰経路PA(切り返し経路PA0を含まない復帰経路PA)において障害物Tと干渉する場合に、切り返し経路PA0を含む復帰経路PAを設定していた。ただし、切り返し経路PA0を含む復帰経路PAを設定する条件は、これに限られない。例えば、復帰経路取得部84は、切り返し経路PA0を含まない復帰経路PAに沿った移動が不可能と判断した場合に、切り返し経路PA0を含む復帰経路PAを設定してもよい。切り返し経路PA0を含まない復帰経路PAに沿った移動が不可能と判断する基準は任意であってよいが、例えば、円弧経路PA1の半径Rが、予め設定された閾値(例えば移動体10が移動可能な最小の旋回半径)よりも小さい場合に、移動が不可能と判断してよい。
【0051】
(復帰経路の緩和)
復帰経路取得部84は、以上のようにして設定した復帰経路PAを緩和してもよい。緩和するとは、復帰経路PAの軌道の向きの変位を小さくする処理を指し、言い換えれば、復帰経路PAを移動した場合の移動体10の操舵角の変化度合いを小さくする処理を指す。例えば、復帰経路取得部84は、復帰経路PAの少なくとも一部の区間をベジェ曲線に変換することで、復帰経路PAを緩和してもよい。なお、復帰経路取得部84は、始点位置が移動体10の現在位置に保たれ、終点位置が合流位置Aに保たれる条件下で、復帰経路PAを緩和する。このように復帰経路PAを緩和することで、移動体10の操舵角の変化度合いを小さくして、車輪への負荷などを抑制できる。
【0052】
(複数の候補位置からの合流位置の選択)
本実施形態においては、復帰経路取得部84は、基準経路P上の複数の候補位置から合流位置Aを選択して、選択した合流位置Aまでの復帰経路PAを設定する。候補位置は、基準経路P上の任意の位置であってよい。例えば、基準経路Pのうちで、移動体10の現在位置から最も近い基準経路P上のウェイポイントWP(図6の例ではウェイポイントWP1)を通る直線状の区間を区間P1とすると、復帰経路取得部84は、区間P1上にあるウェイポイントWPを、候補位置としてよい。すなわち、復帰経路取得部84は、区間P1から交差する区間P2内から合流位置Aを選択せずに、移動体10の直近の直線状の区間である区間P1内から合流位置Aを選択してよいといえる。
【0053】
より詳しくは、復帰経路取得部84は、候補位置毎に、候補位置までの候補経路を設定する。そして、復帰経路取得部84は、それぞれの候補経路のうちから、復帰経路PAを選択する。言い換えれば、復帰経路取得部84は、復帰経路PAとして選択した候補経路の設定に用いた候補位置を、合流位置Aとして選択するといえる。候補経路の設定方法は、候補位置を合流位置Aとして扱う以外は、上述の復帰経路PAの設定方法と同様である。
【0054】
復帰経路取得部84は、それぞれの候補経路について、移動体10が候補経路を移動した場合に障害物Tに干渉するかを判断して、障害物Tに干渉しない候補経路を、復帰経路PAとして選択する。ここでの障害物Tとは、設備Wに予め設置されていた物体であり、例えば地図情報などから予め認知できる物体を指す。復帰経路取得部84は、地図情報に示される障害物Tの位置と、候補経路の位置とに基づいて、移動体10が候補経路を移動した場合に障害物Tに干渉するかを判断する。例えば、復帰経路取得部84は、地図情報に示される障害物Tの位置が、候補経路から所定距離範囲内にある場合には、移動体10が候補経路を移動した場合に障害物Tに干渉すると判断し、候補経路から所定距離範囲外にある場合には、移動体10が候補経路を移動した場合に障害物Tに干渉しないと判断してよい。ここでの所定距離は、例えば移動体10の車幅などから、任意に設定してよい。なお、干渉するかの判断は、本実施形態の他の説明においても同様の方法を用いてよい。
【0055】
障害物Tに干渉しない候補経路が複数ある場合には、復帰経路取得部84は、障害物Tに干渉しない複数の候補経路のうちの任意の候補経路を、復帰経路PAとして選択してよい。例えば、復帰経路取得部84は、障害物Tに干渉しない複数の候補経路のうちから、円弧経路PA1の旋回半径(半径R)が最大となる候補経路を、復帰経路PAとして選択してよい。
【0056】
さらに言えば、本実施形態においては、復帰経路取得部84は、直線経路PA2と円弧経路PA1との少なくとも一方のみを含む経路(切り返し経路PA0を含まない経路)を、候補経路として設定する。そして、切り返し経路PA0を含まないそれぞれの候補経路において、障害物Tに干渉しない候補経路が存在しない場合には、復帰経路取得部84は、切り返し経路PA0を含むように、候補位置毎の候補経路を設定する。すなわちこの場合、復帰経路取得部84は、切り返し経路PA0を含み、かつ直線経路PA2と円弧経路PA1との少なくとも一方を含む候補経路を、候補位置毎に設定する。復帰経路取得部84は、切り返し経路PA0を含むそれぞれの候補経路について、移動体10が候補経路を移動した場合に障害物Tに干渉するかを判断して、障害物Tに干渉しない候補経路を、復帰経路PAとして選択する。
【0057】
切り返し経路PA0を含む候補経路のうちで、障害物Tに干渉しない候補経路が複数ある場合にも、複数の候補経路のうちの任意の候補経路を、復帰経路PAとして選択してよい。例えば、復帰経路取得部84は、障害物Tに干渉しない複数の候補経路のうちから、円弧経路PA1の旋回半径(半径R)が最大となる候補経路を、復帰経路PAとして選択してよい。一方、切り返し経路PA0を含む候補経路のうちで、障害物Tに干渉しない候補経路が存在しない場合には、切り返し経路PA0の軌道を異ならせて候補経路を設定し直して、障害物Tに干渉しない候補経路が存在するまで、候補経路の設定を繰り返してよい。例えばこの場合、復帰経路取得部84は、接点A3の位置を異なる位置に設定することで、切り返し経路PA0の軌道を異ならせてよい。
【0058】
(移動体の移動)
移動体10の移動制御部86は、移動体10の現在位置が基準経路P上に位置している場合には、基準経路Pに沿って移動体10を移動させる。一方、移動制御部86は、移動体10の現在位置が基準経路P上に位置していない場合には、復帰経路取得部84により設定された復帰経路PAに沿って移動体10を移動させて、移動体10が合流位置Aに到達したら、基準経路Pに切り替えて、基準経路Pに沿って移動体10を移動させる。移動体10は、自己位置取得部82により、移動体10の位置及び姿勢を逐次把握することで、復帰経路PAや基準経路P上を通るように、移動する。
【0059】
(処理フロー)
以上説明した復帰経路PAの設定の、処理フローを説明する。図10は、復帰経路の設定の処理フローを説明するフローチャートである。図10に示すように、移動体10は、基準経路取得部80により、基準経路Pの情報を取得し(ステップS10)、復帰経路取得部84により、基準経路Pの情報と移動体10の現在位置とに基づいて、移動体10が基準経路P上に位置しているかを判断する(ステップS12)。移動体10が基準経路P上に位置している場合には(ステップS12;Yes)、復帰経路PAを設定することなく処理を終了して、移動体10は、基準経路Pに沿って移動する。移動体10が基準経路P上に位置してない場合には(ステップS12;No)、復帰経路取得部84は、基準経路P上の候補位置を抽出して(ステップS14)、切り返し経路PA0を含まずに候補位置に到達する候補経路を設定する(ステップS16)。その後、全ての候補位置について、切り返し経路PA0を含まない候補経路の設定が完了していない場合には(ステップS18;No)、ステップS16に戻り、別の候補位置についての候補経路を設定する。一方、全ての候補位置について、切り返し経路PA0を含まない候補経路の設定が完了した場合には(ステップS18;Yes)、復帰経路取得部84は、切り返し経路PA0を含まないそれぞれの候補経路のうちで、障害物Tと干渉しない候補経路があるかを判定する(ステップS20)。障害物Tと干渉しない候補経路がある場合には(ステップS20;Yes)、障害物Tと干渉しない候補経路を復帰経路PAとして設定する(ステップS22)。
【0060】
一方、切り返し経路PA0を含まないそれぞれの候補経路のうちで、障害物Tと干渉しない候補経路が無い場合には(ステップS20;No)、復帰経路取得部84は、切り返し経路PA0を含んで候補位置に到達する候補経路を設定する(ステップS24)。その後、全ての候補位置について、切り返し経路PA0を含む候補経路の設定が完了していない場合には(ステップS26;No)、ステップS24に戻り、別の候補位置についての候補経路を設定する。一方、全ての候補位置について、切り返し経路PA0を含む候補経路の設定が完了した場合には(ステップS26;Yes)、復帰経路取得部84は、切り返し経路PA0を含むそれぞれの候補経路のうちで、障害物Tと干渉しない候補経路があるかを判定する(ステップS28)。障害物Tと干渉しない候補経路がある場合には(ステップS28;Yes)、障害物Tと干渉しない候補経路を復帰経路PAとして設定する(ステップS22)。障害物Tと干渉しない候補経路が無い場合には、ステップS24に戻り、切り返し経路PA0の円弧軌道(例えば旋回半径と中心位置と終点位置との少なくとも一つ)を異ならせて候補経路を設定し直す。
【0061】
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る移動体10は、基準経路P上に位置していない場合に、基準経路P上の合流位置Aまでの復帰経路PAを設定する。そのため、移動体10は、復帰経路PAを通って合流位置Aまで到達することが可能となるため、合流位置Aから、基準経路Pに沿って適切に移動できる。さらに言えば、本実施形態においては、障害物Tに干渉しないように復帰経路PAを設定するため、障害物Tと干渉することなく基準経路Pに復帰できる。また、本実施形態においては、複数の候補経路から復帰経路PAを選択するため、基準経路Pに復帰可能な適切な復帰経路PAを選択することができ、基準経路Pに沿って適切に移動できる。
【0062】
なお、以上の説明では、移動体10が、復帰経路取得部84により復帰経路PAの設定を行ったが、復帰経路PAを設定する主体は、移動体10に限られない。例えば、復帰経路PAは、情報処理装置14により設定されてもよい。この場合、情報処理装置14は、移動体10から、移動体10の現在位置の情報を取得して、移動体10が基準経路P上に位置しているかを判断し、基準経路P上に位置していない場合に、合流位置Aまでの復帰経路PAを設定する。この場合、移動体10は、情報処理装置14から、情報処理装置14により設定された復帰経路PAの情報を取得する。
【0063】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、復帰経路PAの円弧経路PA1を、二分探索により設定する点で、第1実施形態とは異なる。第2実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0064】
図11は、第2実施形態に係る円弧経路の設定を説明するための模式図である。第1実施形態においては、直線Lと区間P1とに接する円CRを用いて円弧経路PA1を設定するため、円CRの中心位置A2及び半径Rは、一義に設定されていた。それに対して、第2実施形態に係る復帰経路取得部84は、予め設定した最小旋回半径Rminを最小値とし、予め設定した最大旋回半径Rmaxを最大値とした二分探索により、円弧経路PA1の半径R(旋回半径)を設定する。すなわち、復帰経路取得部84は、弧が基準位置A1と区間P1上の位置とを通り、半径が最小旋回半径Rmin以上最大旋回半径Rmax以下となり、かつ障害物Tと干渉しない円のうちで、半径が最大となる円(半径及び中心位置)を二分探索により探索して、円CRとして設定する。復帰経路取得部84は、円CRの円弧のうちで基準位置A1から区間P1上の位置までの区間を、円弧経路PA1として設定する。なお、最小旋回半径Rminと最大旋回半径Rmaxとは、適宜設定されてよく、例えば、最小旋回半径Rminは、車体寸法から決めてよく、最大旋回半径Rmaxは、カーブ旋回時に許容される旋回半径から決めてよい。
【0065】
二分探索による円CRの設定方法の例を具体的に説明する。例えば、図11のステップS30に示すように、復帰経路取得部84は、基準位置A1と区間P1上の位置とを通り半径が最小旋回半径Rminとなる円が設定できるかを判定して、設定できる場合には、ステップS32に示すように、基準位置A1と区間P1上の位置とを通り半径が最大旋回半径Rmaxとなる円が設定できるかを判定する。基準位置A1と区間P1上の位置とを通り半径が最大旋回半径Rmaxとなる円が設定できる場合には、復帰経路取得部84は、その円を円CRとして設定する。一方、基準位置A1と区間P1上の位置とを通り半径が最大旋回半径Rmaxとなる円が設定できない場合には、ステップS34に示すように、復帰経路取得部84は、基準位置A1と区間P1上の位置とを通り、かつ、半径が、最小旋回半径Rminと最大旋回半径Rmaxとの間の値(より好ましくはそれらの平均値)である値Rmid1となる円が設定できるかを判定する。基準位置A1と区間P1上の位置とを通り半径が値Rmid1となる円が設定できる場合には、ステップS36に示すように、復帰経路取得部84は、基準位置A1と区間P1上の位置とを通り、かつ、半径が、値Rmid1と最大旋回半径Rmaxとの間の値(より好ましくはそれらの平均値)である値Rmid2となる円が設定できるかを判定する。一方、基準位置A1と区間P1上の位置とを通り半径が値Rmid1となる円が設定できない場合には、ステップS38に示すように、復帰経路取得部84は、基準位置A1と区間P1上の位置とを通り、かつ、半径が、最小旋回半径Rminと値Rmid1との間の値(より好ましくはそれらの平均値)である値Rmid3となる円が設定できるかを判定する。復帰経路取得部84は、この処理を繰り返すことで、基準位置A1と区間P1上の位置とを通り、かつ半径が最小旋回半径Rmin以上最大旋回半径Rmax以下となる円のうちで、半径が最大となる円を探索して、円弧経路PA1を設定するための円CRとする。
【0066】
このように、第2実施形態においては、直線Lと区間P1とを用いて円CRを一義的に定めることなく、二分探索を用いて円CRを設定するため、演算負荷を抑えつつ、円弧経路PA1を適切に設定できる。
【0067】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態においては、移動体10が目標物Qにアプローチするアプローチ経路に沿って移動したことにより基準経路Pから外れている場合に、そのアプローチ経路に基づいて復帰経路PAを設定する点で、第1実施形態とは異なる。第3実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0068】
図12は、アプローチ経路に基づいて復帰経路を設定する場合の例を示す模式図である。図12のステップS40のように、移動体10は、基準経路Pから、アプローチ経路PBに切り替えて、アプローチ経路PBに沿って移動して、設置領域AR1に設置された目標物Qにアプローチして、目標物Qをピックアップする。設置領域AR1は、基準経路Pから外れた位置にあるため、アプローチ経路PBに沿って移動して目標物Qをピックアップした移動体10は、基準経路Pから外れた場所に位置することになる。なお、設置領域AR1は、目標物Qを配置するための領域として予め設定された領域である。また、アプローチ経路PBは、基準経路Pから目標物Qに向かう経路であり、任意の方法で設定されてよい。例えば、アプローチ経路PBは、基準経路P上の位置から設置領域AR1に向かう経路として、基準経路Pの位置情報と設置領域AR1の位置情報とに基づき、予め設定されていてもよい。また例えば、移動体10が、目標物Qの位置及び姿勢に基づいて、基準経路P上の位置から目標物Qに向かうアプローチ経路PBを設定してもよい。この場合、移動制御部86は、移動体10に設けられたセンサ(例えばセンサ26A)に目標物Qの位置及び姿勢を検出させて、検出した目標物Qの位置及び姿勢に対して、所定の位置及び姿勢(移動体10が目標物Qをピックアップ可能な位置及び姿勢)となる経路を、アプローチ経路PBとして設定してもよい。
【0069】
第3実施形態においては、移動体10の自己位置取得部82は、例えば、目標物Qをピックアップした位置において、移動体10の現在位置を取得する。目標物Qをピックアップした位置は基準経路Pから外れているため、復帰経路取得部84は、移動体10が基準経路P上に位置していないと判断する。より詳しくは、復帰経路取得部84は、アプローチ経路PBに沿って移動した旨の情報も取得して、アプローチ経路PBに沿って移動したことにより基準経路Pから外れていると判断する。この場合、復帰経路取得部84は、図12のステップS41に示すように、アプローチ経路PBに基づいて、合流位置Aまでの復帰経路PAを設定する。例えば、復帰経路取得部84は、アプローチ経路PBに沿い、かつ、進行方向がアプローチ経路PBと反対方向となる経路を、復帰経路PAとして設定してよい。また例えば、復帰経路取得部84は、アプローチ経路PBを緩和して、緩和したアプローチ経路PBを通り、かつ進行方向がアプローチ経路PBと反対方向となる経路を、復帰経路PAとして設定してよい。アプローチ経路PBは、目標物Qをピックアップするために複雑な軌跡となっている場合があるが、基準経路Pに戻る復帰経路PAは、複雑な軌跡とする必要がないため、アプローチ経路PBを緩和することで、車輪への負荷などを抑制できる。
【0070】
このように、第3実施形態においては、アプローチ経路PBに基づいて復帰経路PAを設定する。第3実施形態のように予め設定されていたアプローチ経路PBを用いることで、復帰経路PAの演算負荷を低減できる。
【0071】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態においては、複数の基準経路Pが設定された場合に、複数の基準経路Pのそれぞれについて復帰経路PAを設定して、それぞれの復帰経路PAに基づいて、実際に用いる基準経路Pを選択する点で、第1実施形態とは異なる。第4実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。なお、第4実施形態は、第2実施形態及び第3実施形態にも適用可能である。
【0072】
(第5実施形態)
図13は、複数の基準経路が設定された場合の例を示す模式図である。第5実施形態においては、情報処理装置14の基準経路設定部60は、複数の基準経路Pを設定する。この場合例えば、基準経路設定部60は、目的位置は同じであるが経路が異なる複数の基準経路Pを設定してよい。例えば図13の例では、基準経路設定部60は、目的位置は同じであるが経路が異なる基準経路P1、P2を設定する。ただし、それぞれの基準経路Pは、目的位置が異なっていてもよいし、また、設定される基準経路Pの数も2つに限られず3つ以上であってよい。
【0073】
移動体10の基準経路取得部80は、複数の基準経路Pの情報を取得する。そして、復帰経路設定部84は、それぞれの基準経路Pについて、移動体10が基準経路P上に位置しているかを判断する。復帰経路設定部84は、移動体10がそれぞれの基準経路P上に位置していない場合には、それぞれの基準経路Pについて、復帰経路PAを設定する。すなわち、復帰経路設定部84は、基準経路P毎に、復帰経路PAを設定する。復帰経路PAの設定方法は、第1実施形態と同様であってよい。
【0074】
復帰経路設定部84は、それぞれの復帰経路PA(基準経路P毎の復帰経路PA)に基づいて、それぞれの基準経路Pのうちから、移動体10の移動に用いる基準経路Pを選択する。そして、復帰経路設定部84は、選択した基準経路Pに対して設定された復帰経路PAを選択して、移動体10は、選択した復帰経路PA及び基準経路Pに沿って移動する。この場合例えば、移動体10は、選択した基準経路Pの情報を情報処理装置14に送信して、情報処理装置14からその基準経路Pの移動を許可する指令を受信したら、選択した復帰経路PA及び基準経路Pに沿って移動してよい。
【0075】
復帰経路設定部84は、それぞれの基準経路Pのうちから、任意の方法で基準経路Pを選択してよい。例えば、復帰経路設定部84は、基準経路Pとその基準経路Pに対して設定された復帰経路PAに基づいて、目的位置に到着するまでの時間を算出して、それぞれの基準経路P及び復帰経路PAのうちで、目的位置に到着するまでの時間が最短となるものを、選択してよい。
【0076】
このように、第4実施形態においては、複数の基準経路Pが設定された場合に、それぞれの基準経路Pに対して復帰経路PAを設定して、復帰経路PAに基づいて、実際に用いる基準経路Pを選択する。そのため、第4実施形態によると、適切な基準経路Pを用いて移動することが可能となる。
【0077】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態においては、復帰経路PAが設定された場合に、復帰経路PAの周囲を、他の移動体10の移動を許可しない禁止領域に設定する点で、第1実施形態とは異なる。第5実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。なお、第5実施形態は、第2実施形態から第4実施形態にも適用可能である。
【0078】
図14は、第5実施形態に係る情報処理装置の模式的なブロック図であり、図15は、禁止領域の一例を示す模式図である。図14に示すように、第5実施形態に係る情報処理装置14の制御部54は、禁止領域を設定する禁止領域設定部62を含む。禁止領域とは、1台の移動体10の移動(進入)を許可するが、他の移動体10の移動(進入)を許可しない領域であり、排他領域ともいえる。第5実施形態においては、禁止領域設定部62は、移動体10が基準経路P上に位置していない場合には、図15に示すように、その移動体10について設定された復帰経路PAの周囲の領域を、その移動体10以外の進入を禁止する禁止領域AR3として設定する。禁止領域設定部62は、移動体10が基準経路Pの移動を予定している時間帯において、その禁止領域AR3への、他の移動体10の進入を禁止する。
【0079】
なお、本実施形態では、復帰経路PAは移動体10により設定されるため、禁止領域設定部62は、復帰経路PAの位置を認識できない。従って、本実施形態では、禁止領域設定部62は、移動体10から、移動体10が基準経路P上に位置していない旨の情報を取得して、その情報を取得した場合に、その基準経路Pの周囲の領域を、禁止領域AR3として設定する。例えば、禁止領域設定部62は、基準経路Pから所定距離の範囲内となる領域を、禁止領域AR3として設定する。復帰経路PAは基準経路Pの近傍に設定されるため、基準経路Pの周囲の禁止領域AR3は、復帰経路PAの周囲に設定されるといえる。
【0080】
ただし、禁止領域設定部62は、基準経路Pに基づいて禁止領域AR3を設定することに限られない。例えば、禁止領域設定部62は、移動体10の現在位置(例えば移動体10の待機位置)を取得して、移動体10の現在位置に基づいて、禁止領域AR3を設定してよい。この場合例えば、禁止領域設定部62は、移動体10の現在位置から所定距離の範囲内となる領域を、禁止領域AR3として設定してよい。また、禁止領域設定部62は、復帰領域PAに基づいて、禁止領域AR3を設定してよい。例えば、禁止領域設定部62は、移動体10から、復帰経路PAの情報を取得して、その復帰経路PAから所定距離の範囲内となる領域を、禁止領域AR3として設定してよい。
【0081】
このように、予め設定されていない復帰経路PAの周囲を禁止領域AR3として設定することで、復帰経路PAを移動体10が移動している際に、他の移動体とのデッドロックや衝突を抑制できる。
【0082】
(効果)
本開示の第1態様に係る経路設定方法は、移動体10が移動する経路である基準経路Pの情報を取得するステップと、移動体10が基準経路P上に位置しているかを判断するステップと、移動体10が基準経路P上に位置していない場合に、基準経路P上の合流位置Aまで到達する経路である復帰経路PAを設定するステップと、を含む。本開示によると、復帰経路PAを通って合流位置Aまで到達することが可能となるため、合流位置Aから、基準経路Pに沿って適切に移動できる。
【0083】
本開示の第2態様に係る経路設定方法は、第1態様に係る経路設定方法であって、復帰経路PAを設定するステップにおいては、復帰経路PAを移動する移動体10が障害物Tと干渉しないように、復帰経路PAを設定する。本開示によると、障害物Tと干渉することなく、基準経路Pに復帰できる。
【0084】
本開示の第3態様に係る経路設定方法は、第1態様又は第2態様に係る経路設定方法であって、復帰経路PAを設定するステップにおいては、基準経路P上の複数の候補位置から合流位置Aを選択して、選択した合流位置Aまでの復帰経路PAを設定する。本開示によると、複数の候補位置から合流位置Aを選択するため、基準経路Pに復帰可能な適切な復帰経路PAを設定することができ、基準経路Pに沿って適切に移動できる。
【0085】
本開示の第4態様に係る経路設定方法は、第3態様に係る経路設定方法であって、復帰経路PAを設定するステップにおいては、候補位置までの候補経路を、候補位置毎に設定して、複数の候補経路のうちから、復帰経路PAを選択する。本開示によると、複数の候補経路から復帰経路PAを選択するため、基準経路Pに復帰可能な適切な復帰経路PAを設定することができ、基準経路Pに沿って適切に移動できる。
【0086】
本開示の第5態様に係る経路設定方法は、第4態様に係る経路設定方法であって、復帰経路PAを設定するステップにおいては、複数の候補経路のうちで、候補経路を移動する移動体10が障害物Tと干渉しない経路を、復帰経路PAとして選択する。本開示によると、障害物Tと干渉することなく、基準経路Pに復帰できる。
【0087】
本開示の第6態様に係る経路設定方法は、第1態様から第5態様の少なくとも1つに係る経路設定方法であって、復帰経路PAを設定するステップにおいては、合流位置Aに近づく直線状の直線経路PA2と、合流位置Aに近づく円弧状の円弧経路PA1との少なくとも一方を含む経路を、復帰経路PAとして設定する。本開示によると、演算負荷を抑えつつ、復帰経路PAを適切に設定できる。
【0088】
本開示の第7態様に係る経路設定方法は、第6態様に係る経路設定方法であって、復帰経路PAを設定するステップにおいては、直線経路PA2と円弧経路PA1との少なくとも一方のみを含む経路において、移動体10が障害物Tと干渉する場合には、合流位置Aから遠ざかる切り返し経路PA0を含む経路を、復帰経路PAとして設定する。本開示によると、切り返し経路PA0を設定することで、障害物Tと干渉しない復帰経路PAを設定できる。
【0089】
本開示の第8態様に係る経路設定方法は、第6態様又は第7態様に係る経路設定方法であって、復帰経路PAを設定するステップにおいては、予め設定した最小旋回半径Rminを最小値とし、予め設定した最大旋回半径Rmaxを最大値とした二分探索により、円弧経路PA1の旋回半径を設定する。本開示によると、演算負荷を抑えつつ、復帰経路PAを適切に設定できる。
【0090】
本開示の第9態様に係る経路設定方法は、第1態様から第8態様の少なくとも1つに係る経路設定方法であって、復帰経路PAを設定するステップにおいては、移動体10が、基準経路P上から目標物Qにアプローチするためのアプローチ経路PBに沿って移動したために基準経路P上に位置していない場合には、アプローチ経路PBに基づいて復帰経路PAを設定する。本開示によると、アプローチ経路PBを用いて復帰経路PAを設定するため、演算負荷を抑えつつ、復帰経路PAを適切に設定できる。
【0091】
本開示の第10態様に係る経路設定方法は、第1態様から第9態様の少なくとも1つに係る経路設定方法であって、基準経路Pの情報を取得するステップにおいては、複数の基準経路Pの情報を取得し、復帰経路PAを設定するステップにおいては、複数の基準経路Pのそれぞれについて、合流位置Aまで到達する復帰経路PAを設定して、それぞれの復帰経路PAに基づいて、基準経路Pのうちから、移動体10の移動に用いる基準経路Pを選択する。本開示によると、基準経路Pを適切に選択できる。
【0092】
本開示の第11態様に係る経路設定方法は、第1態様から第10態様の少なくとも1つに係る経路設定方法であって、移動体10が復帰経路PAを移動中に、復帰経路PAの周囲を、他の移動体の移動を許可しない禁止領域AR3に設定するステップを更に含む。本開示によると、復帰経路PAを移動体10が移動している際に、他の移動体とのデッドロックや衝突を抑制できる。
【0093】
本開示の第12態様に係るプログラムは、移動体10が移動する経路である基準経路Pの情報を取得するステップと、移動体10が基準経路P上に位置しているかを判断するステップと、移動体10が基準経路P上に位置していない場合に、基準経路P上の合流位置Aまで到達する経路である復帰経路PAを設定するステップと、をコンピュータに実行させる。本開示によると、復帰経路PAを通って合流位置Aまで到達することが可能となるため、合流位置Aから、基準経路Pに沿って適切に移動できる。
【0094】
本開示の第13態様に係る移動体10は、自動で移動する移動体であって、移動する経路である基準経路Pの情報を取得する基準経路取得部80と、移動体10が基準経路P上に位置していない場合に、基準経路P上の合流位置Aまで到達する経路である復帰経路PAを取得する復帰経路取得部84と、を含む。本開示によると、復帰経路PAを通って合流位置Aまで到達することが可能となるため、合流位置Aから、基準経路Pに沿って適切に移動できる。
【0095】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0096】
10 移動体
12 管理装置
14 情報処理装置
80 基準経路取得部
82 自己位置取得部
84 復帰経路取得部
86 移動制御部
A 合流位置
P 基準経路
PA 復帰経路
図1
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