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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058453
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】端子ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6474 20110101AFI20240418BHJP
【FI】
H01R13/6474
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165820
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】陸 一也
(72)【発明者】
【氏名】行武 広章
(72)【発明者】
【氏名】桐生 幸一
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA02
5E021FA09
5E021FA16
5E021FB07
5E021FC19
5E021FC23
5E021LA09
5E021LA15
(57)【要約】
【課題】内部導体のうち絶縁被覆から露出する部分でインピーダンスが上昇してしまうことを抑制できる端子ユニットを提供する。
【解決手段】端子ユニット15は、内部端子50と、誘電体部材60と、外部端子70と、を備える。内部端子50は、内部導体91に接続される。誘電体部材60は、内部端子50を保持する。外部端子70は、外部導体93に接続し、内部端子50を収容する。また、端子ユニット15は、導電性のスリーブ19を備える。スリーブ19は、筒状であり、絶縁被覆92の外側に配置される。誘電体部材60は、スリーブ19内に配置される突入部64aを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部導体と、前記内部導体を被覆する絶縁被覆と、前記内部導体をシールドする外部導体と、を有するシールドケーブルに取り付けられる端子ユニットであって、
前記端子ユニットは、
前記内部導体に接続される内部端子と、
前記内部端子を保持する誘電体部材と、
前記外部導体に接続し、前記内部端子を収容する外部端子と、
筒状であり、前記絶縁被覆の外側に配置される導電性のスリーブと、を備え、
前記誘電体部材は、前記スリーブ内に配置される突入部を有する、
端子ユニット。
【請求項2】
前記突入部は、前記内部導体を包囲するように筒状に形成される、
請求項1に記載の端子ユニット。
【請求項3】
前記端子ユニットは、前記スリーブが後側に移動することを規制する規制部を有する、
請求項1に記載の端子ユニット。
【請求項4】
前記内部端子は、前記内部導体に圧着する圧着部を有し、
前記端子ユニットは、前記内部端子及び前記外部端子とは別体として形成された導電性のインピーダンス調整部材を備え、
前記インピーダンス調整部材は、前記外部端子と前記内部端子との間の位置であって、前記圧着部のインピーダンスを調整可能な位置に配置される調整部を有する、
請求項1に記載の端子ユニット。
【請求項5】
前記インピーダンス調整部材は、前記スリーブが後側に移動することを規制する規制部を有する、
請求項4に記載の端子ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シールドケーブルに取り付けられる端子ユニットが開示されている。端子ユニットは、導電性のスリーブを備えている。スリーブは、筒状であり、シールドケーブルの絶縁被覆の外側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-23611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シールドケーブルの内部導体のうち絶縁被覆から露出する部分の長さを一定にするのは難しい。本発明者らは、露出する部分の長さが長いと、内部導体の周りの空気層の影響でインピーダンスが上昇してしまうことに着目した。
【0005】
本開示の1つの目的は、内部導体のうち絶縁被覆から露出する部分でインピーダンスが上昇してしまうことを抑制できる端子ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る端子ユニットは、内部導体と、前記内部導体を被覆する絶縁被覆と、前記内部導体をシールドする外部導体と、を有するシールドケーブルに取り付けられる端子ユニットであって、前記端子ユニットは、前記内部導体に接続される内部端子と、前記内部端子を保持する誘電体部材と、前記外部導体に接続し、前記内部端子を収容する外部端子と、筒状であり、前記絶縁被覆の外側に配置される導電性のスリーブと、を備え、前記誘電体部材は、前記スリーブ内に配置される突入部を有する。
【0007】
本態様は、シールドケーブルに取り付けられる端子ユニットに関する。シールドケーブルは、内部導体と、内部導体を被覆する絶縁被覆と、内部導体をシールドする外部導体と、を有する。
端子ユニットは、内部端子と、誘電体部材と、外部端子と、を備える。
内部端子は、内部導体に接続される。誘電体部材は、内部端子を保持する。外部端子は、外部導体に接続し、内部端子を収容する。
【0008】
ここで、端子ユニットは、導電性のスリーブを備える。スリーブは、筒状であり、絶縁被覆の外側に配置される。このため、内部導体を被覆する絶縁被覆の断面形状の変化が抑制され、その結果、インピーダンスが一定に保たれる。
【0009】
また、誘電体部材は、スリーブ内に配置される突入部を有する。
このため、内部導体のうち絶縁被覆から露出した部分でのインピーダンスの上昇を抑制できる。
具体的に説明すると、内部導体のうち絶縁被覆から露出する部分の長さを一定にすることは難しい。露出する部分が長い場合、スリーブと内部導体との間に形成される空気層も長くなってしまい、当該部分でインピーダンスが上昇してしまう。
そこで、本態様では、誘電体部材の一部(突入部)がスリーブ内に配置される。このため、スリーブと内部導体との間に大きな空気層が形成されることを抑制できる。その結果、内部導体のうち絶縁被覆から露出した部分でのインピーダンスの上昇を抑制できる。
【0010】
なお、後述する実施形態では、突入部が、内部導体を包囲するように筒状に形成される例を説明するが、本態様の突入部はこれに限定されない。本態様の突入部は、内部導体を包囲しない形状(例えば、棒状、平板状)であってもよい。また、本態様の突入部は、複数の部分から構成されてもよい。
また、後述する実施形態では、突入部が、誘電体部材の他の部分と一体に形成される例を説明するが、本態様の突入部はこれに限定されない。本態様の突入部は、誘電体部材の他の部分と別体で形成された上で、当該他の部分に連結されていてもよい。また、この場合、突入部と他の部分とを同じ材料で形成してもよいが、異なる材料で形成してもよい。
また、後述する実施形態では、端子ユニットが、インピーダンス調整部材を備える例を説明するが、本態様の端子ユニットはこれに限定されない。本態様の端子ユニットは、インピーダンス調整部材を備えなくてもよい。
また、後述する第一実施形態では、外部端子が第一圧着部を有し、第一圧着部72において外部端子と外部導体とが(電気的に)接続される例を説明するが、本態様の外部端子はこれに限定されない。本態様の外部端子は、第一圧着部を有さず、他の部材を介して外部導体と(電気的に)接続されてもよい(第二実施形態参照)。
また、後述する第一実施形態では、突入部が、絶縁被覆に突き当たっていない例を説明するが、本態様の突入部はこれに限定されない。本態様の突入部は、絶縁被覆に突き当たっていてもよい。
【0011】
第2の態様に係る端子ユニットは、第1の態様において、前記突入部は、前記内部導体を包囲するように筒状に形成される。
【0012】
本態様では、突入部は、内部導体を包囲するように筒状に形成される。このため、インピーダンスの上昇を抑制する効果を高めることができる。
なお、後述する実施形態では、突入部が、内部導体を軸周り方向で隙間なく包囲するように構成される例を説明する。しかし、本態様の突入部は、これに限定されず、スリット等が形成されていてもよい。
【0013】
第3の態様に係る端子ユニットは、第1又は第2の態様において、前記端子ユニットは、前記スリーブが後側に移動することを規制する規制部を有する。
【0014】
本態様では、端子ユニットは、スリーブが後側に移動することを規制する規制部を有する。このため、誘電体部材の一部(突入部)がスリーブ内に配置されている状態を確実に維持できる。
【0015】
第4の態様に係る端子ユニットは、第1~第3の何れかの態様において、前記内部端子は、前記内部導体に圧着する圧着部を有し、前記端子ユニットは、前記内部端子及び前記外部端子とは別体として形成された導電性のインピーダンス調整部材を備え、前記インピーダンス調整部材は、前記外部端子と前記内部端子との間の位置であって、前記圧着部のインピーダンスを調整可能な位置に配置される調整部を有する。
【0016】
本態様では、内部端子は、内部導体に圧着する圧着部を有する。そして、端子ユニットは、内部端子及び外部端子とは別体として形成された導電性のインピーダンス調整部材を備える。インピーダンス調整部材は、外部端子と内部端子との間の位置であって、圧着部のインピーダンスを調整可能な位置に配置される調整部を有する。
このため、圧着部においてインピーダンスが上昇してしまうことが抑制される。
【0017】
第5の態様に係る端子ユニットは、第4の態様において、前記インピーダンス調整部材は、前記スリーブが後側に移動することを規制する規制部を有する。
【0018】
本態様では、スリーブが後側に移動することを規制する規制部は、インピーダンス調整部材の一部として形成される。このため、規制部がインピーダンス調整部材とは別に形成される態様と比較して、部品点数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第一実施形態に係る端子ユニットの分解斜視図である。
図2】第一実施形態に係る端子ユニットの斜視図である。
図3】第一実施形態に係る誘電体部材とインピーダンス調整部材とを示す斜視図である。
図4】第一実施形態に係る端子ユニットを外部端子を省略して示す図である。
図5】第一実施形態に係る端子ユニットを示す図である。
図6】第一実施形態に係るスリーブの断面図である。
図7】第一実施形態に係る突入部を拡大して示す断面図である。
図8】第二実施形態に係る端子ユニットを示す分解斜視図である。
図9】第二実施形態に係る端子ユニットを示す斜視図である。
図10】第二実施形態に係る誘電体部材、インピーダンス調整部材及びスリーブを示す斜視図である。
図11】第二実施形態に係る端子ユニットを、外部端子を省略して示す図である。
図12】第二実施形態に係る端子ユニットを示す図である。
図13】第二実施形態に係るインピーダンス調整部材を示す断面斜視図である。
図14】第二実施形態に係る突入部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示に係る端子ユニットの好適な実施形態について説明する。
【0021】
なお、各図の矢印Xは前方向(軸方向一方側)、矢印Yは上方向、矢印Zを幅方向一方側を示す。
【0022】
<第一実施形態:端子ユニット15>
図1図2に示すように、第一実施形態に係る端子ユニット15は、シールドケーブル90(取付対象ケーブル)に取り付けられるものである。シールドケーブル90は、内部導体91と、内部導体91を被覆する絶縁被覆92と、内部導体91をシールドする外部導体93と、絶縁性の外側被覆94と、を有する。
【0023】
なお、本実施形態の端子ユニット15は、図示しないコネクタの構成要素となる。具体的には、コネクタは、複数の端子ユニット15のほかにハウジングを備える。複数の端子ユニット15は、ハウジングに収容される。
但し、本開示の端子ユニットは、これに限定されず、ハウジングに収容されるものでなくてもよい。
【0024】
端子ユニット15は、内部端子50と、誘電体部材60と、外部端子70と、インピーダンス調整部材80と、スリーブ19と、を備える。
【0025】
(内部端子50)
内部端子50は、シールドケーブル90の内部導体91に接続する。内部端子50は、金属製の板材が筒状に曲げられること等により製造される。
【0026】
内部端子50は、接触部51と、圧着部54と、を備える。
接触部51は、相手側コネクタ(接続対象物)の信号端子と接触する。接触部51は、当該信号端子を幅方向から挟み込む。
圧着部54は、シールドケーブル90の内部導体91に圧着する。
【0027】
内部端子50には、係止孔55が形成される。係止孔55に誘電体部材60の一部(係止突起)が挿入されることにより、誘電体部材60に対する内部端子50の前後方向の相対移動が規制される。係止孔55は、内部端子50の上面側(+Y方向側)と下面側(-Y方向側)との2箇所に形成される。
【0028】
(誘電体部材60)
誘電体部材60は、内部端子50を保持し、外部端子70の本体部71に収容される。
【0029】
誘電体部材60は、第一部材61と第二部材62とを備える。第一部材61と第二部材62とが上下方向(Y方向)で組み合わされることで誘電体部材60が構成される。これにより、誘電体部材60の内部には、内部端子50が収容される空間が形成される。
【0030】
図3に示すように、誘電体部材60の外面には、インピーダンス調整部材80が配置される配置凹部63が形成される。
配置凹部63は、誘電体部材60の後部60Bに形成される。これにより、誘電体部材60の後部60Bは、一般部である中間部60Aよりも断面形状(前後方向に垂直な断面形状)が小さくなっている。具体的には、配置凹部63は、誘電体部材60の外面のうち上面、一対の側面(幅方向外側を向く面)及び下面の全周に亘って形成される。但し、本実施形態のインピーダンス調整部材80の形状との関係では、配置凹部63のうち誘電体部材60の下面に対応する部分は省略してもよい。
なお、本実施形態では誘電体部材60の前部60Cも、中間部60A(一般部)よりも断面形状が小さい。
【0031】
誘電体部材60の外面には、インピーダンス調整部材80の突出片81a1が配置される拡大凹部65が形成される。拡大凹部65は、配置凹部63と繋がっている。拡大凹部65は、誘電体部材60の中間部60Aに形成される。拡大凹部65は、誘電体部材60の上面に形成される。
【0032】
拡大凹部65は、幅広部65aと、幅狭部65bと、を有する。幅広部65aの幅寸法は、幅狭部65bよりも大きい。幅狭部65bは、幅広部65aと配置凹部63とを接続する。
拡大凹部65の幅狭部65bは、配置凹部63と同一平面上に位置する。拡大凹部65の幅広部65aは、配置凹部63よりも上方に位置する。拡大凹部65の幅広部65aと幅狭部65bとの境界には段差が形成される。
拡大凹部65の幅広部65aを基準にすると、拡大凹部65の幅狭部65b及び配置凹部63は下方へ窪んでいる。この窪みは、後述するインピーダンス調整部材80の弾性接触部87の変形を許容する回避凹部63,65bとして機能する。
【0033】
誘電体部材60は、筒状突出部64を有する。
筒状突出部64は、筒状(具体的には円筒状)であり、誘電体部材60の後面60rから後側へ突出する。筒状突出部64は、内部導体91を包囲する。これにより、内部導体91とその他の部材(本実施形態ではインピーダンス調整部材80)との短絡を防止すると共に当該箇所におけるインピーダンスを低下させることができる。
【0034】
図7に示すように、筒状突出部64の先端側の一部は、スリーブ19内に配置される。筒状突出部64のうちスリーブ19内に配置される部分を突入部64aと呼ぶ。
突入部64aの前後寸法は、筒状突出部64の前後寸法の1/3以上が好ましく、1/2以上がより好ましい。また、突入部64aの前後寸法は、例えば0.2mm以上である。
【0035】
(インピーダンス調整部材80)
インピーダンス調整部材80は、圧着部54のインピーダンスを調整するための部材である。インピーダンス調整部材80は、導電性の部材で構成される。インピーダンス調整部材80は、内部端子50及び外部端子70とは別体として形成される。
【0036】
図3に示すように、インピーダンス調整部材80は、板厚方向を前後方向に垂直な平面(YZ平面)に沿う方向に向けて前後方向(X方向)に延びる前後方向延在部81と、板厚方向を前後方向に垂直な平面(YZ平面)に交差する方向に向ける蓋部82と、を備える。
【0037】
前後方向延在部81は、内部端子50を挟むように対向する一対の対向板部81bと、一対の対向板部81bを互いに連結する連結板部81aと、を有する。一対の対向板部81bと連結板部81aとの間には板材が曲げられた一対の曲部81cが形成される。曲部81cは、前後方向(X方向)に延びる。
【0038】
蓋部82は、板厚方向を前後方向に垂直な平面(YZ平面)に直交する方向に向ける平板部83b、83bと、平板部83b、83bと前後方向延在部81とを接続する接続曲部84b、84bと、を有する。
接続曲部84b、84bは、平板部83b、83bと一対の対向板部81bとを接続する一対の第一曲部84b,84bを有する。第一曲部84bは、上下方向(Y方向)に延びる。
平板部83b、83bは、互いに分離された一対の分離部83b,83bを有する。一対の分離部83b,83bの各々は、一対の第一曲部84b,84bの各々と接続する。
【0039】
換言すると、蓋部82は、内部導体91を挟むように配置される一対の側板部82bから構成される。蓋部82は、一対の側板部82bを互いに連結する部分(上板部)を有しない。各側板部82bは、第一曲部84bと分離部83bとから構成される。
これにより、蓋部82には、内部導体91及び筒状突出部64が前後方向に通過すると共に、前後方向に垂直な一方向(本実施形態では、下方向である-Y方向)に開放されている通過部85が形成される。通過部85は、一対の側板部82bの間に形成された空間である。
【0040】
蓋部82の上部では、分離部83bの幅寸法が大きく、蓋部82の下部では、分離部83bの幅寸法が小さい。このため、蓋部82の上部では、一対の側板部82bの間の空間の幅寸法が狭く、蓋部82の下部では、一対の側板部82bの間の空間の幅寸法が広い。
【0041】
前後方向延在部81には、誘電体部材60の拡大凹部65に配置される突出片81a1が形成される。これにより、誘電体部材60に対してインピーダンス調整部材80を配置する方向(本実施形態では上方向側から配置する。)を誤ることが防止される。
【0042】
突出片81a1の先端部(前端部)は、突出片81a1の基端部(後端部)よりも幅寸法が大きい。つまり、突出片81a1の形状は、誘電体部材60の拡大凹部65の形状と対応する。これにより、インピーダンス調整部材80と誘電体部材60とは、前後方向(軸方向)で互いに係止される。
【0043】
インピーダンス調整部材80は、スリーブ19をインピーダンス調整部材80に向けて付勢する付勢部86を有する。
付勢部86は、インピーダンス調整部材80の後端に形成される。付勢部86は、連結板部81aの後端に形成された幅方向に延びる曲部86aと、曲部86aから延びる一対の付勢片86bを有する。一対の付勢片86bの各々は、板厚方向を前後方向に向ける。一対の付勢片86bは、曲部86aから幅方向外側かつ下側の斜め方向に延びる。これにより、一対の付勢片86bは、スリーブ19の外周面に沿って延びている。一対の付勢部86の間にスリーブ19が幅方向で挟まれる。このとき、一対の付勢片86bは、弾性変形した状態となる。
また、一対の付勢片86bと一対の側板部82bとの間にスリーブ19の拡径部19aが前後方向で挟まれる。換言すると、付勢部86の一対の付勢片86bは、スリーブ19の拡径部19aをインピーダンス調整部材80の蓋部82に向けて付勢する。これにより、インピーダンス調整部材80とスリーブ19とは、前後方向(軸方向)で互いに係止される。換言すると、付勢部86は、スリーブ19が後側に移動することを規制する。以下、付勢部86を規制部86と呼ぶことがある。
【0044】
インピーダンス調整部材80は、外部端子70の突状部74に弾性的に接触する弾性接触部87を有する。
具体的には、インピーダンス調整部材80に貫通孔が形成され、弾性接触部87は、この貫通孔を分断するように形成される。これにより、弾性接触部87は、両持ちバネとなる。弾性接触部87は前後方向に延びる。弾性接触部87は、連結板部81aに形成される。弾性接触部87は、貫通孔が形成される板部(連結板部81a)と同一平面上に位置する。換言すると、弾性接触部87は、貫通孔が形成される板部の平坦な板面を維持している。弾性接触部87は、誘電体部材60の回避凹部63,65bに対応する位置に形成される。これにより、弾性接触部87の誘電体部材60側への変形が許容される。
【0045】
(外部端子70)
外部端子70は、シールドケーブル90の外部導体93に接続する。また、外部端子70は、内部端子50、誘電体部材60及びインピーダンス調整部材80を収容する。外部端子70は、金属の板材が折り曲げられること等により製造される。
【0046】
外部端子70は、本体部71を備える。
本体部71は、第一板部71aと、一対の第二板部71bと、を備える。第一板部71aは、矩形の平板状であり、板厚方向を上下方向(Y方向)に向ける。一対の第二板部71bの各々は、矩形の平板状であり、板厚方向を幅方向(Z方向)に向ける。一対の第二板部71bは、曲部を介して第一板部71aに接続される。
【0047】
また、本体部71は、第三板部71cを備える。第三板部71cは、一対の第二板部71bの上端(+Y方向の端)同士をユニット幅方向に連結する。第三板部71cは、矩形の平板状であり、板厚方向をユニット上下方向(Y方向)に向ける。第三板部71cは、一対の第二板部71bから延出された一対の板部同士が組み合わされることで形成される。第三板部71cの前端は、第一板部71a及び一対の第二板部71bの前端よりも後側に形成される。
【0048】
また、外部端子70は、第一圧着部72を備える。
第一圧着部72は、シールドケーブル90の外部導体93に接続する部分である。具体的には、第一圧着部72は、シールドケーブル90の外部導体93に対して外側から圧着する。第一圧着部72において、外部端子70と外部導体93とが電気的に接続される。
【0049】
また、外部端子70は、第二圧着部73を有する。
第二圧着部73は、シールドケーブル90の外側被覆94に対して外側から圧着する。
第二圧着部73は、第一圧着部72よりも後側に形成される。第二圧着部73は、第一圧着部72よりも圧着する対象の径が大きい。
【0050】
図5に示すように、本体部71は、インピーダンス調整部材80に接触する複数の突状部74を有する。
突状部74は、本体部71の内側へ向けて突出する形状であり、具体的にはドーム型の形状である。
突状部74は、一対の第二板部71b及び第三板部71cのそれぞれに形成される。具体的には、一対の第二板部71b及び第三板部71cの各々には、2つの突状部74が形成される。これら2つの突状部74は、前後方向に並ぶ。第二板部71bに形成された突状部74は、インピーダンス調整部材80の前後方向延在部81の対向板部81bに接触し、第三板部71cに形成された突状部74は、インピーダンス調整部材80の前後方向延在部81の連結板部81aに接触する。具体的には、第三板部71cに形成された突状部74は、連結板部81aに形成された弾性接触部87に接触する。
【0051】
(スリーブ19)
スリーブ19は、絞り加工品である。
但し、本開示のスリーブは、これに限定されず、切削加工品、ダイカスト品又は射出成形体として形成されてもよい。
【0052】
スリーブ19は、導電性の部材で形成される。スリーブ19は、円筒状である。スリーブ19は、シールドケーブル90の絶縁被覆92と外部導体93との間に挿入される。これにより、スリーブ19は、絶縁被覆92の外側に配置され、絶縁被覆92の形状を保持するように機能する。すなわち、シールドケーブル90には外部端子70が圧着されるので、この圧着を原因としてシールドケーブル90が楕円形等に変形した状態になってしまうおそれがある。スリーブ19はこれを抑制する。
【0053】
スリーブ19は、当該スリーブ19の前端部に形成された拡径部19aを有する。拡径部19aでは、他の部分よりも外径が拡大されている。拡径部19aは、インピーダンス調整部材80の蓋部82と付勢部86との間に前後方向で挟まれる。これにより、スリーブ19は、インピーダンス調整部材80と押圧接触する。
【0054】
スリーブ19は、当該スリーブ19の後端部に形成された縮径部19bを有する。縮径部19bでは、後側に進むに従い外径が縮小されている。これにより、スリーブ19をシールドケーブル90の絶縁被覆92と外部導体93との間に挿入する作業が容易になる。
【0055】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0056】
本実施形態では、図1に示すように、シールドケーブル90は、内部導体91と、内部導体91を被覆する絶縁被覆92(図7参照)と、内部導体91をシールドする外部導体93と、を有する。
端子ユニット15は、内部端子50と、誘電体部材60と、外部端子70と、を備える。内部端子50は、内部導体91に圧着する圧着部54を有する。誘電体部材60は、内部端子50を保持する。外部端子70は、外部導体93に接続し、内部端子50を収容する。
【0057】
また、本実施形態では、端子ユニット15は、導電性のスリーブ19を備える。スリーブ19は、筒状であり、絶縁被覆92の外側に配置される。このため、内部導体91を被覆する絶縁被覆92の断面形状の変化が抑制され、その結果、インピーダンスが一定に保たれる。
【0058】
また、本実施形態では、誘電体部材60は、スリーブ19内に配置される突入部64aを有する。
このため、内部導体91のうち絶縁被覆92から露出した部分でのインピーダンスの上昇を抑制できる。
具体的に説明すると、内部導体91のうち絶縁被覆92から露出する部分の長さを一定にすることは難しい。露出する部分が長い場合、スリーブ19と内部導体91との間に形成される空気層も長くなってしまい、当該部分でインピーダンスが上昇してしまう。
そこで、本態様では、誘電体部材60の一部(突入部64a)がスリーブ内に配置される。このため、スリーブ19と内部導体91との間に大きな空気層が形成されることを抑制できる。その結果、内部導体91のうち絶縁被覆92から露出した部分でのインピーダンスの上昇を抑制できる。
【0059】
また、本実施形態では、図3に示すように、突入部64aは、内部導体91を包囲するように筒状に形成される。このため、インピーダンスの上昇を抑制する効果を高めることができる。
【0060】
また、本実施形態では、図4に示すように、端子ユニット15は、スリーブ19が後側に移動することを規制する規制部86を有する。このため、誘電体部材60の一部(突入部64a)がスリーブ19内に配置されている状態を確実に維持できる。
【0061】
また、本実施形態では、端子ユニット15は、内部端子50及び外部端子70とは別体として形成された導電性のインピーダンス調整部材80を備える。インピーダンス調整部材80は、外部端子70と内部端子50との間の位置であって、圧着部54のインピーダンスを調整可能な位置に配置される調整部80を有する。
このため、圧着部54においてインピーダンスが上昇してしまうことが抑制される。
【0062】
また、本実施形態では、規制部86は、インピーダンス調整部材80の一部として形成される。このため、規制部86がインピーダンス調整部材80とは別に形成される態様と比較して、部品点数を減らすことができる。
【0063】
また、本実施形態では、端子ユニット15の組立時、インピーダンス調整部材80を内部導体91に対して前後方向に垂直な一方向(本実施形態ではユニット上方向)から配置できる。このため、端子ユニット15の組立が容易になる。
【0064】
また、本実施形態では、一対の対向板部81b及び連結板部81aの3つの板部は、それぞれ、外部端子70に接触している。このため、これらの板部81a,81bと外部端子70とによる共振ノイズの発生を抑制できる。
【0065】
<第二実施形態:端子ユニット315>
次に、図8図14を用いて、第二実施形態に係る端子ユニット315について説明する。
なお、第一実施形態と同一の構成を有する部品又は部分については、図面に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0066】
図8に示すように、端子ユニット315は、内部端子350と、誘電体部材360と、外部端子370と、インピーダンス調整部材380と、スリーブ319と、を備える。
【0067】
(組立手順)
端子ユニット315の組立手順は、概ね以下のとおりである。
(1)シールドケーブル90Bの内部導体91に内部端子350を圧着し、誘電体部材360を組み立てて内部端子350を誘電体部材360に収容させる。なお、シールドケーブル90Bは、第1実施形態のシールドケーブル90と略同様の構成を有する。
(2)誘電体部材360にインピーダンス調整部材380を装着すると共に、第一圧着部89をシールドケーブル90Bの外部導体93に圧着する。
(3)外部端子370の本体部71に、当該本体部71の後側から誘電体部材360を挿入する。このとき、誘電体部材360は外部端子370の本体部71に対して後方かつ上方の斜め後方から挿入する。
(4)外部端子370の第二圧着部73をシールドケーブル90Bの外側被覆94に圧着する。
なお、第一実施形態と主に異なる点は、外部端子370の本体部71に対して誘電体部材360を挿入する方向が、前方からではなく、後方からである点である。
【0068】
(誘電体部材360)
第一実施形態(図3)では、拡大凹部65の幅広部65aは、配置凹部63よりも上方に位置するのに対し、第二実施形態(図10)では、幅広部65aは、配置凹部63と同一平面上に位置する。このため、第二実施形態では、拡大凹部65の全体は、配置凹部63と同一平面上に位置する。これは、インピーダンス調整部材380が弾性接触部(図3の弾性接触部87参照)を有しないことと関連する。
【0069】
図10に示すように、誘電体部材360の筒状突出部64は、第一実施形態の筒状突出部64(図3参照)よりも突出量が小さい。このため、図14に示すように、筒状突出部64の先端側の一部(突入部64a)がスリーブ19内に配置されるものの、突入部64aの前後寸法は、第一実施形態のそれよりも小さい。
【0070】
誘電体部材360には、外部端子370の突状部74に対応した溝69が形成される。これにより、外部端子370の本体部71に誘電体部材360を後側から挿入する工程において、その作業性が向上する。溝69は前後方向に延びる溝である。溝69は、誘電体部材360の中間部60A(一般部)の上面及び一対の側面のそれぞれに形成される。
【0071】
(インピーダンス調整部材380)
インピーダンス調整部材380は、外部端子370の突状部74に弾性的に接触する弾性接触部(図3の弾性接触部87参照)を有しない。
【0072】
インピーダンス調整部材380は、外部端子370の本体部71に向けて突出する突起部81b1を有する。突起部81b1は、一対の対向板部81bの各々における下端に形成される。これにより、インピーダンス調整部材380と外部端子370との安定した接触状態が得られる。突起部81b1は、各対向板部81bに2つずつ形成される。突起部81b1の形状は、下方に凸の円弧状である。
【0073】
図10に示すように、インピーダンス調整部材380は、前後方向延在部81と、蓋部82と、を備える。
前後方向延在部81は、一対の対向板部81bと、連結板部81aと、を有する。
蓋部82は、平板部83b,83bと、接続曲部84b,84bと、を有する。
【0074】
接続曲部84b,84bは、平板部83b,83bと一対の対向板部81bとを接続する一対の第一曲部84bを有する。第一曲部84bは、ユニット上下方向(Y方向)に延びる。
平板部83b,83bは、一対の第一曲部84bのぞれぞれと連結する一対の分離部83bを有する。一対の分離部83bは、互いに分離されている。
【0075】
換言すると、蓋部82は、内部導体91を挟むように配置される一対の側板部82bを有する。蓋部82は、一対の側板部82bを互いに連結する部分(上板部)を有しない。各側板部82bは、第一曲部84bと分離部83bとから構成される。
これにより、蓋部82には、内部導体91及び筒状突出部64が前後方向に通過すると共に、前後方向に垂直な一方向(第二実施形態では、ユニット下方向である-Y方向)に開放されている通過部85が形成される。通過部85は、一対の側板部82bの間に形成された空間である。
【0076】
図13に示すように、蓋部82の上部では、分離部83bの幅寸法が大きく、蓋部82の下部では、分離部83bの幅寸法が小さい。このため、蓋部82の上部では、一対の側板部82bの間の空間の幅寸法が狭く、蓋部82の下部では、一対の側板部82bの間の空間の幅寸法が広い。
【0077】
前後方向延在部81には、誘電体部材360の突出片配置部65に配置される突出片81a1が形成される。
【0078】
インピーダンス調整部材380は、スリーブ319をインピーダンス調整部材380に向けて付勢する付勢部86を有する。
付勢部86は、一対の曲部86cと、一対の付勢片86dと、を有する。一対の付勢片86dの各々は、板厚方向をユニット幅方向に向ける。一対の曲部86cは、連結板部81aの幅方向外側に形成され、前後方向に延びる。
図11に示すように、一対の付勢片86dと一対の側板部82bとの間にスリーブ319の拡径部19aが前後方向で挟まれる。換言すると、一対の付勢片86dを有する付勢部86は、スリーブ319の拡径部19aをインピーダンス調整部材380の蓋部82に向けて付勢する。これにより、インピーダンス調整部材380とスリーブ319とは、前後方向(軸方向)で互いに係止される。
また、一対の付勢片86dの間にスリーブ319が幅方向で挟まれる。これによっても、一対の付勢片86dは弾性変形した状態となる。よって、インピーダンス調整部材380とスリーブ319との接触は、弾性接触となる。
【0079】
付勢片86dの前後寸法は、インピーダンス調整部材380の装着方向であるユニット下方に進むに従い次第に小さくなっている。
具体的には、付勢片86dの後側の板端は、ユニット下方向に対して傾斜する方向に延びており、付勢片86dの前側の板端は、ユニット下方向に対して平行な方向に延びている。付勢片86dの前側の板端は、スリーブ319の拡径部19aに接触する。
【0080】
インピーダンス調整部材380は、第一圧着部89を有する。
第一圧着部89は、シールドケーブル90Bの外部導体93に圧着する。具体的には、第一圧着部89は、スリーブ319の外側に位置する外部導体93に圧着する。
第一圧着部89の上側部分は、連結板部81aよりも下方に位置する。第一圧着部89の上側部分と連結板部81aとは、連結部88によって斜めに連結される。
【0081】
(外部端子370)
外部端子370は、シールドケーブル90Bの外部導体93に接続し、内部端子350、誘電体部材360及びインピーダンス調整部材380を収容する部材である。具体的には、外部端子370は、シールドケーブル90Bの外部導体93にインピーダンス調整部材380を介して(電気的に)接続する。外部端子370は、シールドケーブル90Bの外部導体93に接続する第一圧着部(図1の第一圧着部72参照)を有しない。
【0082】
外部端子370の本体部71は、第一板部71aと、一対の第二板部71bと、第三板部71cと、を備える。第三板部71cの前端は、第一板部71a及び一対の第二板部71bの前端よりも後方に形成される。
【0083】
第三板部71cの後端は、第二板部71bの後端よりも前方に形成される。これにより、誘電体部材360を本体部71に後方から挿入する工程に関し、その作業性が向上する。
【0084】
また、外部端子370は、第二圧着部73を有する。
第二圧着部73は、シールドケーブル90Bの外側被覆94の外側に圧着する。
【0085】
図12に示すように、外部端子370の本体部71は、インピーダンス調整部材380に接触する複数の突状部74を有する。
突状部74は、本体部71の内側へ向けて突出する形状であり、具体的にはドーム型の形状である。突状部74は、一対の第二板部71b及び第三板部71cのそれぞれに形成される。具体的には、一対の第二板部71b及び第三板部71cの各々には、1つの突状部74が形成される。
【0086】
また、本体部71は、突状部74を弾性的に支持する弾性支持部75を有する。弾性支持部75は、複数の突状部74のそれぞれに対応して設けられる。弾性支持部75は、両持ちバネである。具体的には、本体部71を構成する板部に貫通孔が形成され、当該貫通孔を分断するように弾性支持部75及び突状部74が形成される。弾性支持部75は、突状部74に対して前後に形成される。
【0087】
第二板部71bに形成される弾性支持部75に関しては、弾性支持部75のうち突状部74の前側に位置する部分は、突状部74の後側に位置する部分よりも短い。
一方、第三板部71cに形成される弾性支持部75に関しては、弾性支持部75のうち突状部74の前側に位置する部分は、突状部74の後側に位置する部分よりも長い。これにより、第三板部71cに形成される突状部74を後方寄りに配置することができる。特に、第二実施形態では、第三板部71cの後端が第二板部71bの後端よりも前方に形成されているため、第三板部71cに形成される突状部74が前方に配置されやすい。このため、上記構成が有効である。
【0088】
(スリーブ319)
図10に示すように、スリーブ319は、切削加工品、ダイカスト品又は射出成形体である。
【0089】
スリーブ319は、当該スリーブ319の前端部に形成された拡径部19aを有する。拡径部19aでは、他の部分よりも外径が拡大されている。拡径部19aは、インピーダンス調整部材380の蓋部82と付勢部86との間に前後方向で挟まれる。これにより、スリーブ319は、インピーダンス調整部材380と押圧接触する。
【0090】
スリーブ319は、当該スリーブ319の後端部に形成された縮径部19bを有する。縮径部19bでは、後側に進むに従い外径が縮小されている。これにより、スリーブ319をシールドケーブル90Bの絶縁被覆92と外部導体93との間に挿入する作業が容易になる。
【0091】
<作用効果>
第二実施形態の作用効果について説明する。
【0092】
第二実施形態では、図8に示すように、端子ユニット315は、内部端子350と、誘電体部材360と、外部端子370と、を備える。内部端子350は、内部導体91に圧着する圧着部54を有する。誘電体部材360は、内部端子350を保持する。外部端子370は、外部導体93に接続し、内部端子350を収容する。
【0093】
また、第二実施形態では、端子ユニット315は、導電性のスリーブ319を備える。スリーブ319は、筒状であり、絶縁被覆92の外側に配置される。このため、内部導体91を被覆する絶縁被覆92の断面形状の変化が抑制され、その結果、インピーダンスが一定に保たれる。
【0094】
また、第二実施形態では、図14に示すように、誘電体部材360は、スリーブ319内に配置される突入部64aを有する。
このため、内部導体91のうち絶縁被覆92から露出した部分でのインピーダンスの上昇を抑制できる。
【0095】
また、第二実施形態では、端子ユニット315は、内部端子350及び外部端子370とは別体として形成された導電性のインピーダンス調整部材380を更に備える。インピーダンス調整部材380は、外部端子370と内部端子350との間の位置であって、圧着部54のインピーダンスを調整可能な位置に配置された調整部380aを有する。なお、調整部380aは、インピーダンス調整部材380の一部である。
このため、圧着部54においてインピーダンスが過剰に上昇してしまうことが抑制され、インピーダンスの整合が強化された端子ユニット315とすることができる。
【0096】
なお、第二実施形態では、その他にも第一実施形態と同様の構成による作用効果を奏するが、説明を省略する。以下、第一実施形態とは異なる構成による作用効果について説明する。
【0097】
第二実施形態では、図12に示すように、外部端子370は、突状部74を弾性的に支持する弾性支持部75を有する。このため、端子ユニット315の組立性を確保しつつ、所望の接触圧が得られる構造を実現しやすい。
更に、弾性支持部75は、インピーダンス調整部材380に形成された貫通孔を分断するように形成された両持ちバネである。このため、弾性支持部75が片持ちバネである態様と比較して、インピーダンス調整部材380又は外部端子370に寄生するインダクタンスを小さくできる。
【0098】
また、第二実施形態では、外部端子370の本体部71に対して誘電体部材360を挿入する方向が、後方からである。このため、端子ユニット315の製造工程が簡易である。
【0099】
また、第二実施形態では、外部端子370の本体部71の第三板部71cの後端は、一対の第二板部71bの後端よりも前方に形成される。このため、誘電体部材360を本体部71に後方から挿入する工程に関し、その工程が可能となるか、又はその作業性が向上する。
【0100】
ところで、第一実施形態のように、外部端子70が第一圧着部72を有する場合、通常、本体部71と第一圧着部72との間に段差部79(図5参照)をあらかじめ形成しておく必要がある。しかし、この段差部79は、誘電体部材60を本体部71に後方から挿入する作業を困難にするか、そもそも不可能にする。
そこで、第二実施形態では、インピーダンス調整部材380が外部導体93(外側被覆94の外側に折り返されていない部分)に圧着する第一圧着部89を有し、外部端子370は、外部導体93(外側被覆94の外側に折り返されていない部分)に圧着する第一圧着部を有しない。このため、本体部71の後方から誘電体部材360を挿入しやすい。
【0101】
〔上記実施形態の補足説明〕
なお、上記実施形態では、誘電体部材60,360が互いに別体として形成された第一部材61及び第二部材62で構成される例を説明した。しかし、本開示の誘電体部材は、これに限定されず、全体が一体として形成されてもよい。
【0102】
また、上記実施形態では、スリーブ19,319は、シールドケーブル90の絶縁被覆92と外部導体93との間に挿入される例を説明した。しかし、本開示のスリーブはこれに限定されない。例えば、シールドケーブルの外部導体が箔と編組との2層構造であり、スリーブは、箔と編組との間に挿入されてもよい。この場合でも、スリーブは、絶縁被覆92の外側に配置されているといえる。
【符号の説明】
【0103】
15,315 端子ユニット
19,319 スリーブ
50,350 内部端子
54 圧着部
60,360 誘電体部材
64 筒状突出部
64a 突入部
70,370 外部端子
71 本体部
80 調整部(インピーダンス調整部材)
86 付勢部(規制部)
90,90B シールドケーブル
91 内部導体
92 絶縁被覆
93 外部導体
94 外側被覆
380 インピーダンス調整部材
380a 調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14