(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058460
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】電源アダプタ
(51)【国際特許分類】
H04B 3/54 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
H04B3/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165833
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國吉 賢治
【テーマコード(参考)】
5K046
【Fターム(参考)】
5K046AA03
5K046BA03
5K046BB05
5K046CC01
5K046PS06
5K046PS11
5K046PS22
(57)【要約】
【課題】電力線搬送通信のネットワーク構築の容易化を図る。
【解決手段】電源アダプタ1は、電源回路13と、電力線カプラ14と、を備える。電源回路13は、少なくとも一対の1次側電路L11と少なくとも一対の2次側電路L12との間に設けられている。電源回路13は、系統電源から一対の1次側電路L11に入力される第1電圧を降圧して、第1電圧と同じ種類の第2電圧を一対の2次側電路L12に出力する。電力線カプラ14は、第1機能と第2機能とを有する。第1機能は、第1電圧に重畳されている電力線搬送通信の信号を抽出して、抽出した信号を第2電圧に重畳させる機能である。第2機能は、第2電圧に重畳されている信号を抽出して、抽出した信号を第1電圧に重畳させる機能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の1次側電路と少なくとも一対の2次側電路との間に設けられ、系統電源から前記一対の1次側電路に入力される第1電圧を降圧して、前記第1電圧と同じ種類の第2電圧を前記一対の2次側電路に出力する電源回路と、
前記第1電圧に重畳されている電力線搬送通信の信号を抽出して、抽出した前記信号を前記第2電圧に重畳させる第1機能と、前記第2電圧に重畳されている前記信号を抽出して、抽出した前記信号を前記第1電圧に重畳させる第2機能とを有する電力線カプラと、
を備える、
電源アダプタ。
【請求項2】
前記第1電圧及び前記第2電圧の種類は交流電圧であり、
前記第2電圧の電圧値は、100V以上240V以下である、
請求項1に記載の電源アダプタ。
【請求項3】
前記電源回路は、前記第1電圧を直流電圧に変換し、前記直流電圧を前記第2電圧に変換する、
請求項2に記載の電源アダプタ。
【請求項4】
前記電源回路はトランスを有し、
前記トランスは巻数比が変更可能に構成されている、
請求項2に記載の電源アダプタ。
【請求項5】
前記電源回路はトランスを有し、
前記トランスは巻数比が3:1である、
請求項2に記載の電源アダプタ。
【請求項6】
前記電力線カプラは、第1コンデンサ及び第2コンデンサを有し、
前記第1コンデンサは、第1端が前記一対の1次側電路の一方に電気的に接続され、第2端が前記一対の2次側電路の一方に電気的に接続され、
前記第2コンデンサは、第1端が前記一対の1次側電路の他方に電気的に接続され、第2端が前記一対の2次側電路の他方に電気的に接続されている、
請求項1に記載の電源アダプタ。
【請求項7】
前記電力線カプラは、第1コンデンサと、第2コンデンサと、第3コンデンサと、第4コンデンサと、信号用トランスと、を有し、
前記第1コンデンサは、第1端が前記一対の1次側電路の一方に電気的に接続され、第2端が前記信号用トランスの1次側巻線の第1端に電気的に接続され、
前記第2コンデンサは、第1端が前記信号用トランスの前記1次側巻線の第2端に電気的に接続され、第2端が前記一対の1次側電路の他方に電気的に接続され、
前記第3コンデンサは、第1端が前記信号用トランスの2次側巻線の第1端に電気的に接続され、第2端が前記一対の2次側電路の一方に電気的に接続され、
前記第4コンデンサは、第1端が前記信号用トランスの前記2次側巻線の第2端に電気的に接続され、第2端が前記一対の2次側電路の他方に電気的に接続されている、
請求項1に記載の電源アダプタ。
【請求項8】
前記電源回路及び前記電力線カプラを収容する筐体を更に備え、
前記筐体は、第1面及び第2面を有し、
前記第1面は、前記筐体にDINレールを取り付けるための取付機構を有し、
前記第2面は、前記筐体をDINレールに取り付けるための取付機構を有する、
請求項1に記載の電源アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電源アダプタに関し、より詳細には、電源回路を備える電源アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ローカルエリアネットワークを構築する電灯線通信装置に適用されるACアダプタ一体型電灯線カプラを開示している。特許文献1のACアダプタ一体型電灯線カプラは、電灯線コンセントに装着して用いられるプラグ部にそれぞれ並列接続された電灯線電源変換供給部と電灯線搬送信号結合部とを備えている。電灯線電源変換供給部は、電灯線コンセントからプラグ部を介して供給される交流電力を所定電圧の直流電力に変換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のACアダプタ一体型電灯線カプラ(電源アダプタ)では、電灯線電源変換供給部(電源回路)が直流電力を出力するため、交流電力で動作するPLC(Power Line Communication)モデムを使用することができない。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、例えば一般家庭用の交流電圧で動作するPLCモデムを用いた電力線搬送通信のネットワーク構築を可能にすることで、電力線搬送通信のネットワーク構築の容易化を図ることができる電源アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電源アダプタは、電源回路と、電力線カプラと、を備える。前記電源回路は、少なくとも一対の1次側電路と少なくとも一対の2次側電路との間に設けられている。前記電源回路は、系統電源から前記一対の1次側電路に入力される第1電圧を降圧して、前記第1電圧と同じ種類の第2電圧を前記一対の2次側電路に出力する。前記電力線カプラは、第1機能と第2機能とを有する。前記第1機能は、前記第1電圧に重畳されている電力線搬送通信の信号を抽出して、抽出した前記信号を前記第2電圧に重畳させる機能である。前記第2機能は、前記第2電圧に重畳されている前記信号を抽出して、抽出した前記信号を前記第1電圧に重畳させる機能である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の上記態様に係る電源アダプタによれば、電力線搬送通信のネットワーク構築の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るPLCシステムの全体構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、同上のPLCシステムの電源アダプタの外観を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の電源アダプタを別の方向から見た場合の外観を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の電源アダプタの回路ブロックを示す概略図である。
【
図5】
図5は、実施形態2に係る電源アダプタの回路ブロックを示す概略図である。
【
図6】
図6は、実施形態3に係る電源アダプタの回路ブロックを示す概略図である。
【
図7】
図7は、実施形態4に係る電源アダプタの回路ブロックを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、共通する要素についての重複する説明は省略する場合がある。以下の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。本開示において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、図面中の各方向を示す矢印は一例であり、電源アダプタ1の使用時の方向を規定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0010】
なお、本開示でいう「直交(垂直)」は、二者間の角度が厳密に90度である状態だけでなく、二者がある程度の差の範囲内で交差する状態も含む意味である。つまり、直交する二者間の角度は、90度に対してある程度の差(一例として10度以下)の範囲内に収まる。すなわち、本開示でいう「直交」は、二者でなす角度が80度以上100度以下である場合を含む。本開示でいう「平行」についても同様に、厳密に二者が交わらない状態だけでなく、二者がある程度の差の範囲内で並ぶ状態も含む意味である。例えば、本開示でいう「平行」は、一方に対する他方の傾きが10度以下であることを含む。すなわち、本開示でいう「平行」は、一方と他方とでなす角度が-10度以上10度以下である場合を含む。
【0011】
(実施形態1)
(1)概要
まず、実施形態1に係るPLCシステム3の概要について、
図1及び
図4を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、実施形態1に係るPLCシステム3は、例えば工場等の施設9に導入されている。PLCシステム3は、複数(
図1の例では3つ)の電源アダプタ1と、複数(
図1の例では3つ)のPLCモデム2と、ルータ4と、複数(
図1の例では2つ)の端末5と、を備える。以下の説明において、複数の電源アダプタ1の各々のことを、単に「電源アダプタ1」と呼ぶことがある。また、以下の説明において、複数のPLCモデム2の各々のことを、単に「PLCモデム2」と呼ぶことがある。また、以下の説明において、複数の端末5の各々のことを、単に「端末5」と呼ぶことがある。
【0013】
PLCシステム3では、例えばPLCモデム2に接続された端末5が、電力線81を介した通信つまり電力線搬送通信を用いて、別のPLCモデム2に接続された端末5と通信することが可能である。また、例えばPLCモデム2に接続された端末5が、電力線搬送通信を用いて、ルータ4を介してインターネットNT1等の外部ネットワークに接続することが可能である。
【0014】
電源アダプタ1は、例えば電源アダプタ1の電源ケーブル11が端子台等に挿入(又はコンセントに挿入)されることで、系統電源PS1に電気的に接続された電力線81と電気的に接続されている。また、電源アダプタ1は、PLCモデム2と電気的に接続されている。なお、実施形態1の系統電源PS1は、周波数が60Hz又は50Hzであり、振幅が400Vである交流電圧(交流電力)を出力する。
【0015】
ここで、本開示でいう「電気的に接続」とは、電気的に導通した状態の接続を意味し、直接的な接続だけでなく、例えば電線等の導体やブレーカやリレー(接続装置)を介した間接的な接続も含む。
【0016】
図4に示すように、電源アダプタ1は、電源回路13と、電力線カプラ14と、を備える。
【0017】
電源回路13は、少なくとも一対の1次側電路L11と少なくとも一対の2次側電路L12との間に設けられている。電源回路13は、系統電源PS1(
図1参照)から一対の1次側電路L11に入力される第1電圧を降圧して、第1電圧と同じ種類(電圧の種類)の第2電圧を一対の2次側電路L12に出力する。
【0018】
ここで、本開示でいう「電圧の種類」は、交流電圧及び直流電圧を含む。つまり、電源回路13は、例えば交流電圧である第1電圧を降圧して、交流電圧の第2電圧を出力する。
【0019】
電力線カプラ14は、第1機能と、第2機能と、を有する。第1機能は、第1電圧に重畳されている電力線搬送通信の信号を抽出して、抽出した信号を第2電圧に重畳させる機能である。第2機能は、第2電圧に重畳されている電力線搬送通信の信号を抽出して、抽出した信号を第1電圧に重畳させる機能である。
【0020】
電源回路13が出力する第2電圧は、例えば、周波数が60Hz又は50Hzであり振幅が100V又は200Vである交流電圧である。つまり、実施形態1に係る電源アダプタ1によれば、例えば周波数が60Hz又は50Hzであり、振幅が100V又は200Vである一般家庭用の交流電力で動作するPLCモデムを用いた電力線搬送通信のネットワーク構築を可能とする。すなわち、実施形態1に係る電源アダプタ1によれば、一般家庭用の交流電力で動作するPLCモデムを用いることができるため、電力線搬送通信のネットワーク構築の容易化を図ることができる。さらに、実施形態1に係る電源アダプタ1は、電源アダプタとしての機能と電力線カプラとしての機能とを有しているため、PLCモデムに電源アダプタ及び電力線カプラの2つの機器を接続する必要がないという利点も有する。
【0021】
(2)詳細
以下、実施形態1に係るPLCシステム3の詳細な構成について、
図1~
図4を参照して説明する。
【0022】
(2.1)PLCシステムの構成
図1に示すように、PLCシステム3は、施設9に導入されている。ここで、本開示でいう「施設」は、居住用途で用いられる住宅施設、並びに店舗(テナント)、オフィス、福祉施設、教育施設、病院及び工場等の非住宅施設を含む。非住宅施設は、船舶(鋼船)、飲食店、遊技場、ホテル、旅館、幼稚園、保育所及び公民館等も含む。つまり、施設9は、マンション等の住宅施設であってもよいし、工場等の非住宅施設であってもよい。さらに、施設9は、例えば、低層階が店舗で高層階が住戸というように、住宅施設と非住宅施設とが混在する態様の施設も含む。上述のように、実施形態1では、施設9が、工場である場合を想定する。
【0023】
上述のように、PLCシステム3は、複数の電源アダプタ1と、複数のPLCモデム2と、ルータ4と、複数の端末5と、電力線81と、を備える。端末5は、例えばパーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)、スマートフォン、及びタブレット等の情報端末である。
【0024】
電力線81は、例えば分電盤又は配電盤等を介して、系統電源PS1と電気的に接続されている。実施形態1の電力線81は、例えば単相2線式の電力線である。なお、電力線81は、単相3線式又は三相4線式等の電力線であってもよい。
【0025】
(2.2)PLCモデムの構成
PLCモデム2は、電力線搬送通信における通信信号と、例えばイーサネット(登録商標)等の他の通信規格における通信信号とを相互変換するモデムである。実施形態1のPLCモデム2は、高速電力線通信方式に対応している。実施形態1のPLCモデム2は、例えば、周波数が2MHz以上28MHz以下の信号を交流電圧に重畳させる。なお、PLCモデム2は通常の電力線搬送通信(低速電力線通信)方式に対応していてもよい。すなわち、PLCモデム2は、周波数が10kHz以上450kHz以下の信号を交流電圧に重畳させてもよい。
【0026】
図1に示すように、複数のPLCモデム2は、親機(マスタ)21と、子機(ターミナル)22と、を含む。実施形態1では、親機21はルータ4に電気的に接続されており、子機22は端末5に電気的に接続されている。なお、以下の説明において、親機21と子機22とを区別しない場合、親機21又は子機22のことを単に「PLCモデム2」と呼ぶ。
【0027】
PLCモデム2は、信号線82を介して、端末5と電気的に接続されている。つまり、実施形態1のPLCモデム2は、信号線82を介して端末5と通信を行う。信号線82は、例えばLAN(Local Area Network)ケーブルである。
【0028】
実施形態1のPLCモデム2は、電源ケーブル20を備える。PLCモデム2は、電源ケーブル20を介して、電源アダプタ1から電力の供給を受ける。実施形態1のPLCモデム2は、例えば周波数が60Hz又は50Hzであり、振幅が100V又は200Vである一般家庭用の交流電力で動作する。
【0029】
(2.3)電源アダプタの構成
図2及び
図3に示すように、電源アダプタ1は、筐体10と、電源ケーブル11と、を備える。
【0030】
(2.4)筐体
筐体10は、電源回路13及び電力線カプラ14を収容する。実施形態1の筐体10の形状は、扁平な箱状である。筐体10は、第1主面101(第1面)と、第2主面102(第2面)と、第1側面106と、第2側面107と、第3側面108と、第4側面109と、を有する。以下の説明において、第1側面106、第2側面107、第3側面108、及び第4側面109の各々のことを、単に「側面」と呼ぶことがある。
【0031】
第1主面101及び第2主面102の形状は矩形状である。第1主面101の面積及び第2主面102の面積は、互いに等しく、側面の面積より大きい。第1主面101及び第2主面102は互いに平行である。
【0032】
第1側面106は、第1主面101の一辺と第2主面102の一辺とを繋ぐ面である。第1側面106の形状は、矩形状である。第1側面106の法線と、第1主面101の法線及び第2主面102の法線とは直交する。第1側面106には、一対の1次側電路L11(
図4参照)と電気的に接続される電源ケーブル11(
図2参照)が設けられている。
【0033】
第2側面107は、第1主面101の一辺と第2主面102の一辺とを繋ぐ面である。第2側面107の形状は、矩形状である。第2側面107の法線と、第1主面101の法線及び第2主面102の法線とは直交する。また、第2側面107は、第1側面106と平行である。第2側面107には、一対の2次側電路L12(
図4)と電気的に接続されるコネクタ12(
図3参照)が設けられている。
【0034】
実施形態1のコネクタ12は、端子T11及び端子T12を有する。コネクタ12には、PLCモデム2の電源ケーブル20が接続される。
【0035】
第3側面108は、第1主面101の一辺と第2主面102の一辺とを繋ぐ面である。第3側面108の形状は、矩形状である。第3側面108の法線と、第1主面101の法線及び第2主面102の法線とは直交する。
【0036】
第4側面109は、第1主面101の一辺と第2主面102の一辺とを繋ぐ面である。第4側面109の形状は、矩形状である。第4側面109の法線と、第1主面101の法線及び第2主面102の法線とは直交する。また、第4側面109は、第3側面108と平行である。
【0037】
なお、以下の説明では、第2主面102から第1主面101に向かう方向を前方向とし、第1主面101から第2主面102に向かう方向を後方向とする。なお、以下の説明では、前方向と後方向とをあわせて「前後方向」と呼ぶことがある。また、以下の説明では、第2側面107から第1側面106に向かう方向を上方向とし、第1側面106から第2側面107に向かう方向を下方向とする。なお、以下の説明では、上方向と下方向とをあわせて「上下方向」と呼ぶことがある。また、以下の説明では、第3側面108から第4側面109に向かう方向を左方向とし、第4側面109から第3側面108に向かう方向を右方向とする。なお、以下の説明では、左方向と右方向とをあわせて「左右方向」と呼ぶことがある。
【0038】
第1主面101は筐体10の前面であり、第2主面102は筐体10の後面であり、第1側面106は筐体10の上面であり、第2側面107は筐体10の下面であり、第3側面108は筐体10の右面であり、第4側面109は筐体10の左面である。
【0039】
図3に示すように、実施形態1の第2主面102は、筐体10(電源アダプタ1)をDINレールに取り付けるための取付機構16を有する。取付機構16は、凹部104と、複数(
図3の例では2つ)のDINレールフック105とを、含む。
【0040】
凹部104は、第2主面102の上下方向における中央部に形成されている。凹部104は、左右方向に沿って帯状に形成された窪みである。凹部104には、左右方向に沿って延びるDINレールが嵌め合わされる。凹部104の上下方向の幅は、筐体10を取り付けるDINレールの上下方向より僅かに大きい。
【0041】
2つ(一対)のDINレールフック105は、第2主面102の左右方向における中央部に形成されている。一対のDINレールフック105は、上下方向に沿って並ぶように設けられている。一対のDINレールフック105のうちの一方は、凹部104の上方において上下方向に沿うように設けられている。また、一対のDINレールフック105のうちの他方は、凹部104の下方において上下方向に沿うように設けられている。一対のDINレールフック105は、互いに上下逆向きに設けられている。
【0042】
一対のDINレールフック105は、上下方向に沿ってスライドし、第1位置と第2位置との間で変位する。第1位置は一対のDINレールフック105間の距離が最小となる位置であり、第2位置は一対のDINレールフック105間の距離が最大となる位置である。
【0043】
図3は、一対のDINレールフック105が第1位置に位置している場合を例示している。
図3に示すように、第1位置では、一対のDINレールフック105の一方の下端が凹部104の上端より僅かに下方に位置し、一対のDINレールフック105の他方の上端が凹部104の下端より僅かに上方に位置する。
【0044】
一対のDINレールフック105の一方が第1位置よりも上方に位置しており、一対のDINレールフック105の他方が第1位置よりも下方に位置している状態で、凹部104にDINレールが嵌め合わされる。そして、一対のDINレールフック105が第1位置に変位することで、前後方向において一対のDINレールフック105と凹部104とがDINレールを挟み込み、筐体10はDINレールに固定される。
【0045】
図2に示すように、実施形態1の第1主面101は、筐体10(電源アダプタ1)にDINレール7を取り付けるための取付機構15を有する。取付機構15は、複数(
図2の例では2つ)の取付穴103を含む。なお、複数の取付穴103は、3以上であってもよい。
【0046】
2つの取付穴103は、ねじ6又はボルト等の締結部品が嵌合する穴である。DINレール7に形成された貫通孔のいずれかを貫通したねじ6が2つの取付穴103に嵌合することにより、筐体10にDINレール7が取り付けられる。なお、
図3ではDINレール7を省略している。
【0047】
実施形態1の電源アダプタ1によれば、取付機構16によってDINレールに取り付けられた電源アダプタ1(筐体10)に、DINレール7を取り付けることができる。DINレール7には、例えばPLCモデム2等が取付可能である。例えば、電源アダプタ1とPLCモデム2とを前後方向において重ねるようにして配置可能となるため、PLCシステム3を導入する際のスペースを小さくすることができる。
【0048】
(2.5)内部回路
図4に示すように、電源アダプタ1は、電源回路13と、電力線カプラ14と、一対の1次側電路L11と、一対の2次側電路L12と、を備える。
【0049】
一対の1次側電路L11の一方(第1電路)は、端子T1を介して電源ケーブル11に電気的に接続される。一対の1次側電路L11の他方(第2電路)は、端子T2を介して電源ケーブル11に電気的に接続される。一対の1次側電路L11には、系統電源PS1(
図1参照)から第1電圧が入力される。なお、上述したように、第1電圧は、周波数が60Hz又は50Hzであり、振幅が400Vである交流電圧である。
【0050】
一対の2次側電路L12の一方(第1電路)は、端子T11を介して、PLCモデム2(
図1参照)の電源ケーブル20(
図1参照)に電気的に接続される。一対の2次側電路L12の他方(第2電路)は、端子T12を介して、PLCモデム2の電源ケーブル20に電気的に接続される。一対の2次側電路L12には、電源回路13から第2電圧が入力される。
【0051】
(2.6)電力線カプラ
実施形態1の電力線カプラ14は、一対の端子T5,T6と、コンデンサC1(第1コンデンサ)及びコンデンサC2(第2コンデンサ)と、一対の端子T9,T10と、を有する。言い換えると、電力線カプラ14は、一対の端子T5,T6と、複数のコンデンサと、一対の端子T9,T10と、を有する。
【0052】
一対の端子T5,T6は、一対の1次側電路L11に電気的に接続されている。端子T5が一対の1次側電路L11の一方(第1電路)に電気的に接続され、端子T6が一対の1次側電路L11の他方(第2電路)に電気的に接続されている。すなわち、端子T5が一対の1次側電路L11の一方を介して端子T1に電気的に接続され、端子T6が一対の1次側電路L11の他方を介して端子T2に電気的に接続されている。
【0053】
一対の端子T9,T10は、一対の2次側電路L12に電気的に接続されている。端子T9が一対の2次側電路L12の一方(第1電路)に電気的に接続され、端子T10が一対の2次側電路L12の他方(第2電路)に電気的に接続されている。すなわち、端子T9が一対の2次側電路L12の一方を介して端子T11に電気的に接続され、端子T10が一対の2次側電路L12の他方を介して端子T12に電気的に接続されている。
【0054】
コンデンサC1は、第1端(一端)が端子T5に電気的に接続され、第2端(他端)が端子T9に電気的に接続されている。つまり、コンデンサC1は、第1端が一対の1次側電路L11の一方に電気的に接続され、第2端が一対の2次側電路L12の一方に電気的に接続されている。
【0055】
コンデンサC2は、第1端(一端)が端子T6に電気的に接続され、第2端(他端)が端子T10に電気的に接続されている。つまり、コンデンサC2は、第1端が一対の1次側電路L11の他方に電気的に接続され、第2端が一対の2次側電路L12の他方に電気的に接続されている。
【0056】
実施形態1のコンデンサC1及びコンデンサC2のインピーダンスは、周波数が60Hz又は50Hz(商用周波数)である第1電圧及び第2電圧に対しては比較的高い値(500Ω~10kΩ程度)となる。一方で、コンデンサC1及びコンデンサC2のインピーダンスは、周波数が電力線搬送通信の信号の周波数(例えば2MHz~28MHz)の信号に対しては比較的低い値(1Ω~9Ω程度)の値となる。つまり、コンデンサC1及びコンデンサC2のインピーダンスは、周波数が60Hz又は50Hzの商用電源に対しては比較的高い値となり、周波数が2MHz~28MHzの高速電力線搬送通信の信号に対しては比較的低い値となる。コンデンサC1及びコンデンサC2は、上述の第1機能及び第2機能を有する。
【0057】
実施形態1の電力線カプラ14によれば、コンデンサC1とコンデンサC2との2つのコンデンサのみで第1機能及び第2機能を実現しているため、部品数を低減することができる。
【0058】
(2.7)電源回路
実施形態1の電源回路13は、一対の端子T3,T4と、AC/DCコンバータ131と、DC/ACインバータ132と、一対の端子T7,T8を有する。
【0059】
一対の端子T3,T4は、一対の1次側電路L11に電気的に接続されている。端子T3が一対の1次側電路L11の一方(第1電路)に電気的に接続され、端子T4が一対の1次側電路L11の他方(第2電路)に電気的に接続されている。すなわち、端子T3が一対の1次側電路L11の一方を介して端子T1に電気的に接続され、端子T4が一対の1次側電路L11の他方を介して端子T2に電気的に接続されている。
【0060】
一対の端子T7,T8は、一対の2次側電路L12に電気的に接続されている。端子T7が一対の2次側電路L12の一方(第1電路)に電気的に接続され、端子T8が一対の2次側電路L12の他方(第2電路)に電気的に接続されている。すなわち、端子T7が一対の2次側電路L12の一方を介して端子T11に電気的に接続され、端子T8が一対の2次側電路L12の他方を介して端子T12に電気的に接続されている。
【0061】
AC/DCコンバータ131は、一対の1次側電路L11から入力される第1電圧を、所定の電圧値の直流電圧に変換する。実施形態1のAC/DCコンバータ131は、高周波スイッチングが可能なスイッチング方式のコンバータである。
【0062】
DC/ACインバータ132は、AC/DCコンバータ131から入力される直流電圧を、第2電圧に変換する。実施形態1のDC/ACインバータ132は、振幅が100V以上240V以下の交流電圧を出力する。より具体的には、実施形態1のDC/ACインバータ132は、周波数が60Hz又は50Hzであり、振幅が100V又は200Vである交流電圧を出力する。実施形態1のDC/ACインバータ132は、高周波スイッチングが可能なスイッチング方式のインバータである。
【0063】
つまり、実施形態1の電源回路13は、第1電圧を所定の電圧値の直流電圧に変換し、変換した直流電圧を交流電圧である第2電圧に変換して出力する。高周波スイッチングが可能なスイッチング方式のAC/DCコンバータ131及びDC/ACインバータ132で電圧変換を行って交流電圧を降圧することで、例えばトランスを用いて交流電圧を降圧する場合よりも回路の小型化を図ることができる。
【0064】
また、実施形態1の電源回路13が出力する第2電圧の電圧値は100V以上240V以下であるため、一般家庭用の交流電力(交流電圧)で動作するPLCモデム2を用いることができるため、電力線搬送通信のネットワーク構築の容易化を図ることができる。なお、一般家庭用の交流電圧とは、例えば日本では、周波数が50Hz又は60Hzであり振幅が100V又は200Vの交流電圧である。
【0065】
(3)変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0066】
筐体10の形状は立方体状の箱状であってもよいし、円柱状又は楕円柱状の箱状であってもよい。
【0067】
実施形態1では、取付機構15が第1主面101に形成され取付機構16が第2主面102に形成される場合を例示した。しかし、取付機構15は第1主面101以外の面に形成されていてもよいし、取付機構16は第2主面102以外の面に形成されていてもよい。
【0068】
実施形態1では、取付機構15が複数の取付穴103を含む場合を例示した。しかし、取付機構15は、複数の取付穴103に代えて又は加えて、筐体10がDINレールを挟み込んで固定する機構を含んでいてもよい。
【0069】
実施形態1では、取付機構16が凹部104及び複数のDINレールフック105を含む場合を例示した。しかし、取付機構16は、凹部104及び複数のDINレールフック105に代えて又は加えて、ねじ又はボルト等の締結部品によって筐体10がDINレールに固定される取付穴を含んでいてもよい。
【0070】
実施形態1では、一対の1次側電路L11が電源アダプタ1の内部回路に含まれる場合を例示した。しかし、一対の1次側電路L11は、電源ケーブル11に含まれていてもよいし、電力線81に含まれていてもよい。
【0071】
実施形態1では、一対の2次側電路L12が電源アダプタ1の内部回路に含まれる場合を例示した。しかし、一対の2次側電路L12は、電源ケーブル20に含まれていてもよい。
【0072】
電源回路13が出力する第2電圧は、周波数が60Hzで振幅が110V又は220Vの交流電圧であってもよい。また、電源回路13が出力する第2電圧は、周波数が60Hzで振幅が115V又は230Vの交流電圧であってもよい。また、電源回路13が出力する第2電圧は、周波数が50Hzで振幅が220Vの交流電圧であってもよい。また、電源回路13が出力する第2電圧は、周波数が60Hzで振幅が220Vの交流電圧であってもよい。また、電源回路13が出力する第2電圧は、周波数が50Hzで振幅が230Vの交流電圧であってもよい。また、電源回路13が出力する第2電圧は、周波数が50Hzで振幅が240Vの交流電圧であってもよい。
【0073】
実施形態1では、電源回路13が交流電圧である第1電圧を降圧して交流電圧である第2電圧を出力する場合を例示した。しかし、電源回路13は、直流電圧である第1電圧を降圧して直流電圧である第2電圧を出力してもよい。つまり、電源アダプタ1は、電力線81から直流電圧である第1電圧が入力され、直流電圧である第2電圧をPLCモデム2に出力する構成であってもよい。なお、直流電圧である第1電圧の電圧値は、例えば300V~400Vであり、直流電圧である第2電圧の電圧値は例えば5V~12Vである。
【0074】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る電源アダプタ1について説明する。
図5に示すように、実施形態2に係る電源アダプタ1は、第1コイルL1、第2コイルL2、第3コイルL3、及び第4コイルL4を更に備える。
【0075】
第1コイルL1の一端は端子T1に電気的に接続され、第1コイルL1の他端は電源回路13の端子T3に電気的に接続されている。つまり、第1コイルL1は一対の1次側電路L11の一方に含まれている。
【0076】
第2コイルL2の一端は端子T2に電気的に接続され、第2コイルL2の他端は電源回路13の端子T4に電気的に接続されている。つまり、第2コイルL2は一対の1次側電路L11の他方に含まれている。
【0077】
第3コイルL3の一端は電源回路13の端子T7に電気的に接続され、第3コイルL3の他端は端子T11に電気的に接続されている。つまり、第3コイルL3は一対の2次側電路L12の一方に含まれている。
【0078】
第4コイルL4の一端は電源回路13の端子T8に電気的に接続され、第4コイルL4の他端は端子T12に電気的に接続されている。つまり、第4コイルL4は一対の2次側電路L12の他方に含まれている。
【0079】
第1コイルL1、第2コイルL2、第3コイルL3、及び第4コイルL4は、電力線搬送通信の信号に対するインピーダンスアッパーとして機能する。つまり、実施形態2に係る電源アダプタ1は、電力線搬送通信の信号が電源回路13に入力されることを抑制する。
【0080】
なお、電力線カプラ14の端子T5が端子T1及び第1コイルL1の一端に電気的に接続され、電力線カプラ14の端子T6が端子T2及び第2コイルL2の一端に電気的に接続されている。また、電力線カプラ14の端子T9が端子T11及び第3コイルL3の他端に電気的に接続され、電力線カプラ14の端子T10が端子T12及び第4コイルL4の他端に電気的に接続されている。
【0081】
実施形態2で説明した種々の構成は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0082】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る電源アダプタ1について説明する。
図6に示すように、実施形態3に係る電源アダプタ1の電源回路13は、AC/DCコンバータ131及びDC/ACインバータ132に代えて、トランスT100を有する。
【0083】
トランスT100は、互いに磁気結合された1次側巻線及び2次側巻線を有する。1次側巻線の第1端(一端)は、端子T3と電気的に接続されている。また、1次側巻線の第2端(他端)は、端子T4と電気的に接続されている。また、2次側巻線の第1端(一端)は、端子T7と電気的に接続されている。また、2次側巻線の第2端(他端)は、端子T8と電気的に接続されている。
【0084】
なお、1次側巻線の第1端が端子T3であり、1次側巻線の第2端が端子T4であり、2次側巻線の第1端が端子T7であり、2次側巻線の第2端が端子T8であってもよい。
【0085】
実施形態3のトランスT100では、1次側巻線と2次側巻線との巻数比は、例えば3:1である。巻数比が3:1であることで、例えば第1電圧の電圧値が300Vである場合には第2電圧の電圧値が100Vとなり、例えば第1電圧の電圧値が600Vである場合には第2電圧の電圧値が200Vとなる。つまり、実施形態3に係る電源アダプタ1によれば、第1電圧の電圧値が300V~600Vである場合に、例えば電圧値が100V~200Vで動作する一般家庭用のPLCモデムを用いることができる。
【0086】
なお、トランスT100の巻数比が3:1であることは必須ではない。トランスT100の巻数比は変更可能に構成されていてもよい。例えばトランスT100は、巻数比変更用のタップを有していてもよい。トランスT100の巻数比が変更可能に構成されていることで、第1電圧の電圧値が例えば300V~600Vの間で変動した場合でも、例えば電圧値が100V~200Vで動作する一般家庭用のPLCモデムを用いることができる。
【0087】
実施形態3で説明した種々の構成は、実施形態1及び実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0088】
(実施形態4)
次に、実施形態4に係る電源アダプタ1について説明する。
図7に示すように、実施形態4に係る電源アダプタ1の電力線カプラ14は、コンデンサC1及びコンデンサC2に代えて、コンデンサC3(第1コンデンサ)と、コンデンサC4(第2コンデンサ)と、コンデンサC5(第3コンデンサ)と、コンデンサC6(第4コンデンサ)と、信号用トランスT200と、を有する。
【0089】
信号用トランスT200は、互いに磁気結合された1次側巻線及び2次側巻線を有する。信号用トランスT200の1次側巻線と2次側巻線との巻数比は例えば1:1である。
【0090】
コンデンサC3は、第1端(一端)が端子T5に電気的に接続され、第2端(他端)が信号用トランスT200の1次側巻線の第1端に電気的に接続されている。つまり、コンデンサC3は、第1端が一対の1次側電路L11の一方(第1電路)に電気的に接続され、第2端が信号用トランスT200の1次側巻線の第1端(一端)に電気的に接続されている。なお、コンデンサC3の第1端が端子T5であってもよい。
【0091】
コンデンサC4は、第1端(一端)が信号用トランスT200の1次側巻線の第2端(他端)に電気的に接続され、第2端(他端)が端子T6に電気的に接続されている。つまり、コンデンサC4は、第1端が信号用トランスT200の1次側巻線の第2端に電気的に接続され、第2端が一対の1次側電路L11の他方(第2電路)に電気的に接続されている。なお、コンデンサC4の第2端が端子T6であってもよい。
【0092】
コンデンサC5は、第1端(一端)が信号用トランスT200の2次側巻線の第1端(一端)に電気的に接続され、第2端(他端)が端子T9に電気的に接続されている。つまり、コンデンサC5は、第1端が信号用トランスT200の2次側巻線の第1端に電気的に接続され、第2端が一対の2次側電路L12の一方(第1電路)に電気的に接続されている。なお、コンデンサC5の第2端が端子T9であってもよい。
【0093】
コンデンサC6は、第1端(一端)が信号用トランスT200の2次側巻線の第2端(他端)に電気的に接続され、第2端(他端)が端子T10に電気的に接続されている。つまり、コンデンサC6は、第1端が信号用トランスT200の2次側巻線の第2端に電気的に接続され、第2端が一対の2次側電路L12の他方(第2電路)に電気的に接続されている。なお、コンデンサC6の第2端が端子T10であってもよい。
【0094】
実施形態4の電源アダプタ1によれば、電力線カプラ14が信号用トランスT200を有することで、第1電圧と第2電圧との間の絶縁性を向上させることができ、例えば実施形態1に係る電源アダプタ1と比べて雷サージ等に対する耐性を向上させることができる。
【0095】
実施形態4で説明した種々の構成は、実施形態1~実施形態3で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0096】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る電源アダプタ(1)は、電源回路(13)と、電力線カプラ(14)と、を備える。電源回路(13)は、少なくとも一対の1次側電路(L11)と少なくとも一対の2次側電路(L12)との間に設けられている。電源回路(13)は、系統電源(PS1)から一対の1次側電路(L11)に入力される第1電圧を降圧して、第1電圧と同じ種類の第2電圧を一対の2次側電路(L12)に出力する。電力線カプラ(14)は、第1機能と第2機能とを有する。第1機能は、第1電圧に重畳されている電力線搬送通信の信号を抽出して、抽出した信号を第2電圧に重畳させる機能である。第2機能は、第2電圧に重畳されている信号を抽出して、抽出した信号を第1電圧に重畳させる機能である。
【0097】
この態様によれば、例えば、電源回路(13)は、系統電源(PS1)から入力される交流電圧を降圧して、例えば周波数が60Hzであり振幅が100Vである交流電圧を出力する。すなわち、電源アダプタ(1)によれば、一般家庭用の交流電力で動作するPLCモデム(2)を用いることができるため、電力線搬送通信のネットワーク構築の容易化を図ることができる。さらに、電源アダプタ(1)は、電源アダプタ(1)としての機能と電力線カプラ(14)としての機能とを有しているため、PLCモデム(2)に電源アダプタ(1)及び電力線カプラ(14)の2つの機器を接続する必要がないという利点も有する。
【0098】
第2の態様に係る電源アダプタ(1)では、第1の態様において、第1電圧及び第2電圧の種類は交流電圧である。第2電圧の電圧値は、100V以上240V以下である。
【0099】
この態様によれば、電源回路(13)が出力する第2電圧の電圧値は100V以上240V以下であるため、一般家庭用の交流電力で動作するPLCモデム(2)を用いることができるため、電力線搬送通信のネットワーク構築の容易化を図ることができる。
【0100】
第3の態様に係る電源アダプタ(1)では、第2の態様において、電源回路(13)は、第1電圧を直流電圧に変換し、直流電圧を第2電圧に変換する。
【0101】
この態様によれば、例えば高周波スイッチングが可能なスイッチング方式のAC/DCコンバータ(131)及びDC/ACインバータ(132)で電圧変換を行って交流電圧を降圧することで、例えばトランスを用いて交流電圧を降圧する場合よりも回路の小型化を図ることができる。
【0102】
第4の態様に係る電源アダプタ(1)では、第2の態様において、電源回路(13)はトランス(T100)を有する。トランス(T100)は巻数比が変更可能に構成されている。
【0103】
この態様によれば、トランス(T100)の巻数比が変更可能に構成されていることで、第1電圧の電圧値が例えば300V~600Vの間で変動した場合でも、例えば電圧値が100V~200Vで動作する一般家庭用のPLCモデム(2)を用いることができる。
【0104】
第5の態様に係る電源アダプタ(1)では、第2の態様において、電源回路(13)はトランス(T100)を有する。トランス(T100)は、巻数比が3:1である。
【0105】
この態様によれば、第1電圧の電圧値が300Vである場合には第2電圧の電圧値が100Vとなり、例えば第1電圧の電圧値が600Vである場合には第2電圧の電圧値が200Vとなる。つまり、第1電圧の電圧値が300V~600Vである場合に、例えば電圧値が100V~200Vで動作する一般家庭用のPLCモデム(2)を用いることができる。
【0106】
第6の態様に係る電源アダプタ(1)では、第1から第5のいずれかの態様において、電力線カプラ(14)は、第1コンデンサ(コンデンサC1)及び第2コンデンサ(コンデンサC2)を有する。第1コンデンサは、第1端が一対の1次側電路(L11)の一方に電気的に接続され、第2端が一対の2次側電路(L12)の一方に電気的に接続されている。第2コンデンサは、第1端が一対の1次側電路(L11)の他方に電気的に接続され、第2端が一対の2次側電路(L12)の他方に電気的に接続されている。
【0107】
この態様によれば、例えば第1コンデンサ(コンデンサC1)と第2コンデンサ(コンデンサC2)との2つのコンデンサのみで第1機能及び第2機能を実現しているため、部品数を低減することができる。
【0108】
第7の態様に係る電源アダプタ(1)では、第1から第5のいずれかの態様において、電力線カプラ(14)は、第1コンデンサ(コンデンサC3)と、第2コンデンサ(コンデンサC4)と、第3コンデンサ(コンデンサC5)と、第4コンデンサ(コンデンサC6)と、信号用トランス(T200)と、を有する。第1コンデンサは、第1端が一対の1次側電路(L11)の一方に電気的に接続され、第2端が信号用トランス(T200)の1次側巻線の第1端に電気的に接続されている。第2コンデンサは、第1端が信号用トランス(T200)の1次側巻線の第2端に電気的に接続され、第2端が一対の1次側電路(L11)の他方に電気的に接続されている。第3コンデンサは、第1端が信号用トランス(T200)の2次側巻線の第1端に電気的に接続され、第2端が一対の2次側電路の一方に電気的に接続されている。第4コンデンサは、第1端が信号用トランス(T200)の2次側巻線の第2端に電気的に接続され、第2端が一対の2次側電路の他方に電気的に接続されている。
【0109】
この態様によれば、電力線カプラ(14)が信号用トランス(T200)を有することで、第1電圧と第2電圧との間の絶縁性を向上させることができ、例えば雷サージ等に対する耐性を向上させることができる。
【0110】
第8の態様に係る電源アダプタ(1)は、第1から第7のいずれかの態様において、電源回路(13)及び電力線カプラ(14)を収容する筐体(10)を更に備える。筐体(10)は、第1面(第1主面101)及び第2面(第2主面102)を有する。第1面は、筐体(10)にDINレール(7)を取り付けるための取付機構(15)を有する。第2面は、筐体(10)をDINレールに取り付けるための取付機構(16)を有する。
【0111】
この態様によれば、電源アダプタ(1)とPLCモデム(2)等とを例えば重ねるようにして配置可能となるため、電源アダプタ(1)及びPLCモデム(2)を導入する際のスペースを小さくすることができる。
【0112】
第1の態様以外の構成については、電源アダプタ(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 電源アダプタ
10 筐体
101 第1主面(第1面)
102 第2主面(第2面)
13 電源回路
131 AC/DCコンバータ
132 DC/ACインバータ
14 電力線カプラ
15 取付機構
16 取付機構
2 PLCモデム
7 DINレール
C1 コンデンサ(第1コンデンサ)
C2 コンデンサ(第2コンデンサ)
C3 コンデンサ(第1コンデンサ)
C4 コンデンサ(第2コンデンサ)
C5 コンデンサ(第3コンデンサ)
C6 コンデンサ(第4コンデンサ)
L11 一対の1次側電路
L12 一対の2次側電路
PS1 系統電源
T100 トランス
T200 信号用トランス