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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058464
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】走行台車、搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/00 20060101AFI20240418BHJP
   B61B 3/02 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B61B13/00 W
B61B13/00 U
B61B3/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165842
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】森川 靖志
【テーマコード(参考)】
3D101
【Fターム(参考)】
3D101BA05
3D101BA08
3D101BB05
3D101BB12
3D101BB16
3D101BB49
3D101BC04
3D101BC10
3D101BD02
(57)【要約】
【課題】軌道の分岐部においても、走行姿勢を正確に保ち、スムーズに走行することができる走行台車を実現する。
【解決手段】一対の走行レール(41)における分岐部(43)において、上部ガイドレール(42)を備えた軌道(4)に沿って走行する天井走行台車(1)は、本体部(21)と、走行レール上をそれぞれ転動する走行車輪(22)と、上部ガイドレールに接して転動する上部ガイドローラ(23)と、分岐部に応じて、上部ガイドローラの本体部における左右方向の位置を調整するカム(24)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の走行レールを備えるとともに、分岐においてガイドレールを備えた軌道に沿って走行する走行台車であって、
本体部と、
前記一対の走行レール上をそれぞれ転動する車輪と、
前記ガイドレールに接して転動するガイドローラと、
前記軌道における複数の前記分岐に応じて、前記ガイドローラの前記本体部における左右方向の位置を調整する調整機構と、
を備える走行台車。
【請求項2】
前記軌道において、前記ガイドレールは、前記走行レールよりも上方に敷設されている、請求項1に記載の走行台車。
【請求項3】
前記ガイドローラは、前記軌道の前記分岐において、前記走行台車を右側の分岐後の軌道に進行させるための第1位置、または、左側の分岐後の軌道に進行させるための第2位置の、前記左右方向に異なる前記本体部のいずれかの位置を選択して位置するように構成されており、
前記調整機構は、前記第1位置および前記第2位置における前記ガイドローラの前記左右方向の位置を更に調整する機構である、請求項1に記載の走行台車。
【請求項4】
前記調整機構は、カムによって位置決めする機構である、請求項1に記載の走行台車。
【請求項5】
前記ガイドローラが前記第1位置に位置する場合に、前記ガイドレールが前記ガイドローラに対し左側に位置し、
前記ガイドローラが前記第2位置に位置する場合に、前記ガイドレールが前記ガイドローラに対し右側に位置する、請求項3に記載の走行台車。
【請求項6】
制御部をさらに備え、
前記制御部は、
走行位置ごとに、前記調整機構における前記ガイドローラの適正位置を取得する取得部と、
前記調整機構によって前記ガイドローラを前記適正位置に制御する操作部と、を備える、請求項1に記載の走行台車。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の走行台車と、
前記軌道と、を備える搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は走行台車に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンルーム、工場、病院、および図書館などで、走行台車が用いられている。天井走行台車等のこのような走行台車は、軌道に沿って物品を搬送する。建屋内において、分岐、合流も用いてはりめぐらされた軌道によって、走行台車が様々な位置に物品を搬送することができる。
【0003】
軌道が分岐する箇所においては、走行方向に応じて一対の走行レールのうちの左右いずれかが途切れ、左右の車輪の片輪のみが走行レール上を走行することとなる。一輪では、走行台車の姿勢を保持するのは困難なため、このような箇所では、走行レールとは異なる上部ガイドレールにも支えられて走行台車は走行することになる。つまり、走行台車は、車輪の片輪が走行レールに接し、上部ガイドローラが上部ガイドレールに接するようにして走行する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-186843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
走行レールおよび上部ガイドレールの施工精度には限界があるため、軌道の分岐部において天井走行台車がスムーズに走行できない恐れがあった。
【0006】
本発明の一態様は、軌道の分岐部においても、走行姿勢を正確に保ち、スムーズに走行することができる走行台車を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る走行台車は、一対の走行レールを備えるとともに、分岐においてガイドレールを備えた軌道に沿って走行する走行台車であって、本体部と、前記一対の走行レール上をそれぞれ転動する車輪と、前記ガイドレールに接して転動するガイドローラと、前記軌道における複数の前記分岐に応じて、前記ガイドローラの前記本体部における左右方向の位置を調整する調整機構と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、走行台車は、軌道における分岐部において、姿勢を維持したまま走行できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】天井走行台車の外観を示す斜視図である。
図2】走行部の外観を示す斜視図である。
図3】天井走行台車が走行する軌道の上面図である。
図4】分岐部における走行部の走行時の前面図である。
図5】ある状況におけるカムの動作を示す走行部の前面図である。
図6】別の状況におけるカムの動作を示す走行部の前面図である。
図7】走行部の側面図である。
図8】走行部の上面図である。
図9】天井走行台車の制御部50の要部の構成を示すブロック図である。
図10】天井走行台車のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0011】
(天井走行台車1の構造)
図1は、天井走行台車1の外観を示す斜視図である。天井走行台車1は、走行レールなどの軌道を走行する走行部2と、物品を搬送する台車部3と、を備える。
【0012】
図2は、走行部2の外観を示す斜視図である。走行部2は、前後に分割されており、それぞれ、本体部21と、走行車輪22と、上部ガイドローラ(ガイドローラ)23と、カム(調整機構)24と、ロータリーソレノイド25と、分岐ガイドセンサ26と、を備える。
【0013】
本体部21は、走行部2の各部を固定する本体である。本体部21は、走行部2の中では前方・後方に分割されており、その間をピン固定されている。そのため、走行部2は曲線の軌道を描いて容易に走行することができる。
【0014】
走行車輪22は、走行レール上を走行する車輪であり、天井走行台車1の走行に用いられる。走行部2の前方および後方それぞれで、走行車輪22は1対の車輪である。走行モータ22aの回転を減速器22bによって減速された回転でもって、走行車輪22は回転する。
【0015】
上部ガイドローラ23は、上部ガイドレールに接触しながら回転することによって、天井走行台車1の姿勢を保持する機能をもつ。上部ガイドローラ23は、1つでもよいし、上部ガイドレールの延伸方向に複数(例えば2個)あってもよい。
【0016】
カム24は、操作モータによって角度が可変できるカムであり、角度に応じて半径方向長さが変化している。
【0017】
ロータリーソレノイド25は、上部ガイドローラ23を本体部21に対して左右に動かし、上部ガイドローラ23を上部ガイドレールに接触させる機構である。
【0018】
なお、ロータリーソレノイド25は、上部ガイドローラ23を移動させ、上部ガイドローラ23を保持する部位(後述する上部ガイドローラ規制部23a)が、カム24によって当て止めされることによって、上部ガイドローラ23の位置は決定される。
【0019】
分岐ガイドセンサ26は、上部ガイドローラ23が左右のどちらの位置にあるのかを認識するためのセンサである。分岐ガイドセンサ26としては光電センサなどを用い、センサ自体の検出範囲に幅があるために、カム24によって上部ガイドローラ23の位置が多少変化しても検出することができる。
【0020】
(軌道4)
図3は、天井走行台車1が走行する軌道4の上面図である。軌道4は、走行レール41と、上部ガイドレール(ガイドレール)42と、を備える。図3の例では、軌道4は、分岐部43にて、2方向に分岐しており、一方は直進し、他方が180°折り返している。
【0021】
走行レール41は、天井走行台車1の重量を支えつつ、天井走行台車が走行するレールである。走行レール41は、進行方向右側の走行レール41aと、進行方向左側の走行レール41bとに分けられる。また、走行レール41には、分岐部43を通過した後、新たに追加される走行レール41cおよび41dがある。
【0022】
上部ガイドレール42は、走行レール41とは異なるレールであり、走行レール41よりも上方に配置されている。上部ガイドレール42は、直進時に用いられる上部ガイドレール42aと、180°折り返し時に用いられる上部ガイドレール42bと、上部ガイドレール42aおよび42bが合流する上部ガイドレール42cと、が含まれる。
【0023】
上部ガイドレール42は、走行レール41よりも上方に位置し、上部ガイドローラ23が接する高さに位置する。
【0024】
分岐部43の形状は、直進と180°折り返すものの分岐としたがこれは例示のためであり、これに限定されず、任意の分岐方法をしてもよい。
【0025】
(分岐部43での走行方法)
図4は、分岐部43における走行部2の走行時の前面図である。
【0026】
まず、天井走行台車1が分岐部43にて直進する場合に関して説明する。進行方向右側の走行車輪22は、常に走行レール41aの上を摩擦によって転動する。対して、進行方向左側の走行車輪22は、分岐部43を通過する際に、宙に浮き、非接地になる。
【0027】
上部ガイドローラ23は、上部ガイドレール42aおよび42cに接触し摩擦によって転動する。これにより、天井走行台車1の重心を挟んで左右に、走行レール41および上部ガイドレール42があるため、天井走行台車1は姿勢を保持できる。
【0028】
分岐部43を通過後、宙に浮いていた進行方向左側の走行車輪22は、走行レール41cに接し、走行レール41cの上を摩擦によって転動するようになる。その後、上部ガイドレール42がなくなり、上部ガイドローラ23が転動しなくなる。
【0029】
次に、天井走行台車1が分岐部43にて180°折り返す場合に関して説明する。進行方向左側の走行車輪22は、常に走行レール41bの上を摩擦によって転動する。対して、進行方向右側の走行車輪22は、分岐部43を通過する際に、宙に浮き、非接地になる。
【0030】
上部ガイドローラ23は、上部ガイドレール42bおよび42cに接触し摩擦によって転動する。これにより、天井走行台車1の重心を挟んで左右に、走行レール41および上部ガイドレール42があるため、天井走行台車1は姿勢を保持できる。
【0031】
分岐部43を通過後、宙に浮いていた進行方向右側の走行車輪22は、走行レール41dに接し、走行レール41dの上を摩擦によって転動するようになる。その後、上部ガイドレール42がなくなり、上部ガイドローラ23が転動しなくなる。
【0032】
(参考例:分岐部43前後での挙動)
ここで、参考例として、仮にカム24が存在せず、ロータリーソレノイド25によって上部ガイドローラ23の位置が本体部21に両サイドの固定位置に対する押し当てによる2ポジションであった場合に関して説明する。
【0033】
ロータリーソレノイド25によって、上部ガイドローラ23は、分岐部43後の走行レール41cに進行させる(直進させる)ための第1位置、または、分岐部43後の走行レール41dに進行させる(180°折り返す)ための第2位置のいずれかの位置に位置する。
【0034】
分岐部43において、上部ガイドローラ23が上部ガイドレール42に沿って転動することが必要になる。上部ガイドローラ23の位置は固定位置であるため、上部ガイドローラ23の外周面と、上部ガイドレール42の側面の位置がずれていることがある。
【0035】
仮に、上部ガイドローラ23と上部ガイドレール42との位置が重なり合うようになっていた場合、上部ガイドローラ23は、上部ガイドレール42にガイドされ始めるときに衝突気味に接触し、本体部21は衝撃を受ける。また、上部ガイドローラ23は、上部ガイドレール42に接する角度まで姿勢が傾くことになる。そのため、分岐部43を通過して、宙に浮いていた走行車輪22が再度走行レール41に接触する際に、本体部21が落下し、再度本体部21に衝撃が加わることになる。
【0036】
また、上部ガイドローラ23と上部ガイドレール42との間にクリアランスが過大に開いていた場合、上部ガイドローラ23は、片側の走行レール41が途切れて上部ガイドレール42に接する際に、本体部21が上部ガイドレール42に接する角度まで姿勢が傾いていき、衝撃を受けることになる。また、上部ガイドローラ23は、本体部21の姿勢が傾いて、上部ガイドレール42に接するようになる。そのため、分岐部43を通過して、宙に浮いていた走行車輪22が再度走行レール41に接触する際に、本体部21が走行レール41に乗り上げ、再度本体部21に衝撃が加わることになる。
【0037】
従って、走行レール41と、上部ガイドレール42と、上部ガイドローラ23との互いの位置関係は正確である必要がある。しかしながら、これらの関係を正確に調整することは容易ではない。したがって、調整機構(カム24)を用いて上部ガイドローラ23の位置を調整することによって、これら問題を解決する。
【0038】
(カム24の動作)
次に、本実施形態に係る天井走行台車1における、分岐部43前後での挙動を説明する。図5は、ある状況におけるカム24の動作を示す走行部2の前面図である。図6は、別の状況におけるカム24の動作を示す走行部2の前面図である。図7は、走行部2の側面図である。図8は、走行部2の上面図である。
【0039】
上部ガイドローラ23は、上部ガイドローラ規制部23aに対して回転可能に固定されている。上部ガイドローラ規制部23aは、本体部21に対して左右方向に可動可能に固定されている。また、上部ガイドローラ規制部23aの本体部21に対する高さは、カム24の本体部21に対する高さと同じであり、ロータリーソレノイド25によって、上部ガイドローラ規制部23aはカム24に当接する。
【0040】
さらに、カム24は、操作モータ24aによって、角度を変えることができる。そのため、カム24の角度を変更することによって、上部ガイドローラ規制部23aがカム24に対して当接する位置を変更することができ、結果的に上部ガイドローラ23の本体部21に対する左右方向位置を調整することができる。
【0041】
図5および図6を比較すると、右側のカム24の角度が異なっている。図5では、上部ガイドローラ23が中央よりに位置しており、図6では、上部ガイドローラ23がより外側に位置している。この違いは、カム24の角度の違いによっておきている。これは、カム24が回転することによって、上部ガイドローラ23を固定している上部ガイドローラ規制部23aの位置が変化したためである。
【0042】
つまり、カム24の上部ガイドローラ規制部23aに対する接触半径を調整することによって、上部ガイドローラ23の左右方向の位置を微調整することができる。その結果、上部ガイドローラ23の外周面と、上部ガイドレール42の側面の位置を同じ位置に合わせた状態で、分岐部43に入ることができる。そのため、天井走行台車1は衝撃を受けることなく、分岐部43に入ることができる。
【0043】
また、分岐部43を走行中に、分岐部43が終わる位置における上部ガイドレール42が必要な位置に、上部ガイドローラ23の位置をカム24によって調整することもできる。そのため、分岐部43から出る際も、天井走行台車1は衝撃を受けることを防ぐことができる。
【0044】
したがって、天井走行台車1は、カム24を備えることによって、軌道4の分岐部43においても、走行姿勢を正確に保ち、スムーズに走行することができる。
【0045】
(ブロック図)
天井走行台車1は、制御部50をさらに備える。図9は、天井走行台車1の制御部50の要部の構成を示すブロック図である。制御部50は、天井走行台車1の各部を統括的に管理し、制御する。制御部50は、取得部51と、操作部52と、検出部53と、走行制御部54と、を備える。
【0046】
取得部51は、天井走行台車1の現在位置に基づき、カム24の適正な角度を取得する。取得部51としては、走行レールに張り付けられたQRコード(登録商標)などから、現在位置を確認し、当該現在位置に対応したカム24の角度をサーバーに問い合わせてもよい。取得部51は、取得した適正な角度(適正値)を操作部52に出力する。
【0047】
操作部52は、カム24およびロータリーソレノイド25を駆動する。操作部52は、取得部51が取得した角度にカム24を制御する。その後、ロータリーソレノイド25を制御する。
【0048】
検出部53は、分岐ガイドセンサ26によって、上部ガイドローラ23が所定の位置に位置しているか否かを検出する。検出部53は、検出結果を走行制御部54に出力する。
【0049】
走行制御部54は、検出部53の検出結果が、上部ガイドローラ23を検出したことを受けて、走行車輪22を転動させ、分岐部43を走行する。
【0050】
(動作例)
図10は、天井走行台車1のフローチャートの一例である。
【0051】
取得部51は、天井走行台車1の位置に基づき、カム24の操作角度を取得する(S1)。取得部51は、取得した操作角度を、操作部52に出力し、操作部52は、当該操作角度にカム24を制御する(S2)。
【0052】
その後、操作部52は、ロータリーソレノイド25を駆動し、上部ガイドローラ規制部23aをカム24に当接させる(S3)。この際、検出部53は、分岐ガイドセンサ26によって、上部ガイドローラ規制部23aの移動が完了しているか否かを判定する(S4)。なお、移動が完了していない状態の場合は、分岐部43の手前で、上部ガイドローラ規制部23aの移動が完了するまで待機する(S5)。
【0053】
上部ガイドローラ規制部23aの移動が完了後、走行制御部54は、走行車輪22を転動させて、分岐部43に侵入する。
【0054】
〔変形例〕
実施形態1では、天井走行台車1は、走行レール41と、走行レール41の上方に位置する上部ガイドレール42と、によって姿勢を保持して軌道を走行する。走行レール41と、走行レール41と同じ高さまたは走行レール41より下方に位置するガイドレールと、によって、天井走行台車1の姿勢を保持してもよい。この場合、天井走行台車は、上部ガイドローラ23に代えて、ガイドレールに接触し転動するガイドローラを、備える。
【0055】
なお、ガイドレールの機能は、上部ガイドレール42の機能と同一であり、ガイドローラの機能は、上部ガイドローラ23の機能と同一である。つまり、実施形態1では上部ガイドローラ23および上部ガイドレール42で天井走行台車1の姿勢を保持していたが、本変形例では、ガイドローラとガイドレールとで天井走行台車の姿勢を保持する。
【0056】
また、ガイドローラは、ガイドレールの側面に接するだけではなく、ガイドレールの上面にも接してもよい。この場合、天井走行台車の重量をガイドレールによっても支えることができるため、安定性が向上する。
【0057】
また、天井に設けられた軌道を走行する天井走行台車に限定されず、何等かの軌道を走行する台車である走行台車であればよい。例えば、走行部上に物品を保持して走行する走行台車であってもよい。
【0058】
なお、上部ガイドローラ23の位置を決める調整機構は、カム24に限定されない。例えば、上部ガイドローラ規制部23aをモータ(回転または直動)で駆動し、位置決めしてもよい。また、バネ等で上部ガイドローラ規制部23aをフロートさせておいてもよい。すなわち、調整機構としては、上部ガイドローラ23の本体部21における左右方向の位置を調整できる任意の機構であればよい。
【0059】
〔まとめ〕
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る走行台車は、一対の走行レールを備えるとともに、分岐においてガイドレールを備えた軌道に沿って走行する走行台車であって、本体部と、前記一対の走行レール上をそれぞれ転動する車輪と、前記ガイドレールに接して転動するガイドローラと、前記軌道における複数の前記分岐に応じて、前記ガイドローラの前記本体部における左右方向の位置を調整する調整機構と、を備える。
【0060】
上記の構成によれば、調整機構によって、ガイドレールに接して転動するガイドローラの左右方向の位置を調整することができるため、ガイドレールの取り付け位置に合わせることができる。そのため、ガイドローラがガイドレールに接触し転動する際に、衝撃等が加わることを防ぎ、姿勢を維持して走行することができる。
【0061】
本発明の態様2に係る走行台車は、上記態様1において、前記軌道において、前記ガイドレールは、前記走行レールよりも上方に敷設されてもよい。
【0062】
上記の構成によれば、ガイドレールを走行レールよりも上方に敷設することができる。そのため、軌道の下に空間を設けることができ、天井近くの空いている空間を利用して軌道を敷設することができる。
【0063】
本発明の態様3に係る走行台車は、上記態様1または2において、前記ガイドローラは、前記軌道の前記分岐において、前記走行台車を右側の分岐後の軌道に進行させるための第1位置、または、左側の分岐後の軌道に進行させるための第2位置の、前記左右方向に異なる前記本体部のいずれかの位置を選択して位置するように構成されており、前記調整機構は、前記第1位置および前記第2位置における前記ガイドローラの前記左右方向の位置を更に調整する機構であってもよい。
【0064】
上記の構成によれば、走行台車が走行する軌道を分岐することができる。また、当該分岐箇所において、走行台車は、ガイドローラの位置を第1位置または第2位置にすることによって、姿勢を維持して走行することができる。
【0065】
本発明の態様4に係る走行台車は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記調整機構は、カムによって位置決めする機構であってもよい。
【0066】
上記の構成によれば、調整機構としてカムを用いることができるため、ガイドローラの位置をカムの角度を変更することで、カムに対する押し当てる位置を変更することができるようになり、高精度でかつ高剛性な位置決めをすることができる。そのため、走行台車の重量を、ガイドローラでもって容易に支えることができる。
【0067】
本発明の態様5に係る走行台車は、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記ガイドローラが前記第1位置に位置する場合に、前記ガイドレールが前記ガイドローラに対し左側に位置し、前記ガイドローラが前記第2位置に位置する場合に、前記ガイドレールが前記ガイドローラに対し右側に位置してもよい。
【0068】
上記の構成によれば、第1位置に位置する場合にはガイドレールがガイドローラの左側に位置することができ、第2位置に位置する場合にはガイドレールがガイドローラの右側に位置することができる。そのため、走行レールの片側とガイドレールとによって、走行台車を両サイドから支えることができ、分岐においても姿勢を安定させて走行することができる。
【0069】
本発明の態様5に係る走行台車は、上記態様1から5のいずれかにおいて、制御部をさらに備え、前記制御部は、走行位置ごとに、前記調整機構における前記ガイドローラの適正位置を取得する取得部と、前記調整機構によって前記ガイドローラを前記適正位置に制御する操作部と、を備えてもよい。
【0070】
上記の構成によれば、ガイドローラの位置を適正位置に配置することができる。そのため、走行台車に対する衝撃が加わることを回避することができる。
【0071】
上記の課題を解決するために、本発明の態様7に係る搬送システムは、走行台車と、前記軌道と、を備える。
【0072】
上記の構成によれば、走行台車でもって、姿勢を維持したまま軌道を走行することができる。
【0073】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1 天井走行台車(走行台車)
2 走行部
3 台車部
4 軌道
21 本体部
22 走行車輪
22a 走行モータ
23 上部ガイドローラ(ガイドローラ)
23a 上部ガイドローラ規制部
24 カム(調整機構)
24a 操作モータ
25 ロータリーソレノイド
26 分岐ガイドセンサ
41、41a~d 走行レール
42、42a~c 上部ガイドレール(ガイドレール)
43 分岐部
50 制御部
51 取得部
52 操作部
53 検出部
54 走行制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10