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特開2024-5848電波伝送システム、電波伝送方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005848
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電波伝送システム、電波伝送方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
G01S7/03 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106260
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】中島 良介
(72)【発明者】
【氏名】池田 昇平
(72)【発明者】
【氏名】工藤 健太郎
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AC02
5J070AF01
5J070AK03
(57)【要約】
【課題】反射装置のサイズを大きくし、反射電力を増やすことができる電波伝送システム、電波伝送方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】電波伝送システムは、電波を反射する第1反射部を備える第1の飛行体と、電波を反射する第2反射部を備える第2の飛行体と、電波を発射する通信装置と、を備え、第1の飛行体と第2の飛行体は、通信装置の制御に基づいて、第1の所定の範囲内を飛行しかつ第1反射部と第2反射部の角度と方向を調整して、第1反射部と第2反射部を用いて第1反射アレイを形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を反射する第1反射部を備える第1の飛行体と、
前記電波を反射する第2反射部を備える第2の飛行体と、
前記電波を発射する通信装置と、
を備え、
前記第1の飛行体と前記第2の飛行体は、前記通信装置の制御に基づいて、第1の所定の範囲内を飛行しかつ前記第1反射部と前記第2反射部の角度と方向を調整して、前記第1反射部と前記第2反射部を用いて第1反射アレイを形成する、電波伝送システム。
【請求項2】
前記電波を反射する第3反射部を備える第3の飛行体と、
前記電波を反射する第4反射部を備える第4の飛行体と、を備え、
前記第3の飛行体と前記第4の飛行体は、前記通信装置の制御に基づいて、第2の所定の範囲内を飛行しかつ前記第3反射部と前記第4反射部の角度と方向を調整して、前記第3反射部と前記第4反射部を用いて第2反射アレイを形成し、
前記通信装置が送信する前記電波は、前記第1反射アレイから前記第2反射アレイに反射され、前記第2反射アレイから目標に到達する、
請求項1に記載の電波伝送システム。
【請求項3】
複数の前記飛行体それぞれは、バッテリと、前記バッテリの残量を監視する残量監視部とを備え、
前記残量監視部は、前記バッテリの残量と第1閾値とを比較し、前記バッテリの残量が前記第1閾値以下の場合に、帰還するように制御する、
請求項1または請求項2に記載の電波伝送システム。
【請求項4】
前記電波を反射する第5反射部を備える第5の飛行体と、
前記飛行体の前記バッテリに充電する充電装置と、
前記飛行体の帰還と飛行開始を管理制御する飛行体制御装置と、を備え、
前記飛行体制御装置は、前記バッテリの残量が第1閾値以下となった飛行体が帰還した際、代わりに前記第5の飛行体を、前記バッテリの残量が第1閾値以下となった飛行体が飛行していた地点に飛行開始させる、
請求項3に記載の電波伝送システム。
【請求項5】
前記飛行体の帰還と飛行開始を管理制御する飛行体制御装置と、を備え、
複数の前記飛行体それぞれは、バッテリと、前記バッテリの残量を監視する残量監視部とを備え、
前記残量監視部は、前記バッテリの残量を前記飛行体制御装置へ送信し、
前記飛行体制御装置は、前記バッテリの残量と第1閾値とを比較し、前記バッテリの残量が第1閾値以下となった飛行体に帰還指示を送信する、
請求項1または請求項2に記載の電波伝送システム。
【請求項6】
前記電波を反射する第5反射部を備える第5の飛行体と、
前記飛行体の前記バッテリに充電する充電装置と、
前記飛行体の帰還と飛行開始を管理制御する飛行体制御装置と、を備え、
前記飛行体制御装置は、前記バッテリの残量と第1閾値とを比較し、前記バッテリの残量が第1閾値以下となった場合に、代わりに前記第5の飛行体を、前記バッテリの残量が第1閾値以下となった飛行体が飛行していた地点に飛行開始させる、
請求項5に記載の電波伝送システム。
【請求項7】
前記第3の飛行体は、第1電波受信部を備え、
前記第4の飛行体は、第2電波受信部を備え、
前記第3の飛行体と、前記第4の飛行体は、前記第1電波受信部と前記第2電波受信部を用いて受信部アレイを形成し、
前記受信部アレイは、前記通信装置から発射された電波の目標物からの反射電波を受信する、
請求項2に記載の電波伝送システム。
【請求項8】
前記飛行体は、ドローン、気球のうちのいずれかである、
請求項1または請求項2に記載の電波伝送システム。
【請求項9】
電波を反射する第1反射部を備える第1の飛行体と、前記電波を反射する第2反射部を備える第2の飛行体と、前記電波を発射する通信装置と、を備える電波伝送システムにおける電波伝送方法であって、
前記通信装置は、
前記第1の飛行体と前記第2の飛行体に、第1の所定の範囲内を飛行しかつ前記第1反射部と前記第2反射部の角度と方向を調整して、前記第1反射部と前記第2反射部を用いて第1反射アレイを形成させ、
前記第1の飛行体と前記第2の飛行体それぞれの位置情報を取得し、
前記第1の飛行体と前記第2の飛行体を第1所定範囲に移動させるように指示し、
前記第1反射部と前記第2反射部の方向と角度を取得させ、
前記第1反射部と前記第2反射部の方向と角度を目標に前記電波を反射させるように制御し、
前記通信装置が送信する前記電波を、前記第1反射アレイから目標に到達させる、
電波伝送方法。
【請求項10】
電波を反射する第1反射部を備える第1の飛行体と、前記電波を反射する第2反射部を備える第2の飛行体と、前記電波を発射する通信装置と、を備える電波伝送システムにおける前記通信装置が備えるコンピュータに、
前記第1の飛行体と前記第2の飛行体に、第1の所定の範囲内を飛行しかつ前記第1反射部と前記第2反射部の角度と方向を調整して、前記第1反射部と前記第2反射部を用いて第1反射アレイを形成させ、
前記第1の飛行体と前記第2の飛行体それぞれの位置情報を取得させ、
前記第1の飛行体と前記第2の飛行体を第1所定範囲に移動させるように指示させ、
前記第1反射部と前記第2反射部の方向と角度を取得させ、
前記第1反射部と前記第2反射部の方向と角度を目標に前記電波を反射させるように制御させ、
前記通信装置が送信する前記電波を、前記第1反射アレイから目標に到達させる、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波伝送システム、電波伝送方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーダは、送信機から電波を照射し、目標からの反射信号が受信されるまでの時間を測定することにより目標の距離を測定する装置である。地上設置型レーダは、質量に制約がない点及び送信電波用の高電力を確保できる点から遠距離目標の探知に適しているが、地球の曲率等による見通し外目標の探知ができない。これ対して、地上設置型レーダと単独の滞空型プラットフォームに搭載された反射装置を用いて見通し外目標の探知を行う装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-59798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、個々の滞空型プラットフォームに搭載できる反射装置の大きさに制約がある場合、一部の電力しか反射させることができず損失が大きい。また、特許文献1に記載の技術では、地上設置型レーダと滞空型プラットフォームのいずれからも見通し外となる目標の探知ができない。
【0005】
本発明の目的の一例は、上記の課題を解決する電波伝送システム、電波伝送方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、電波伝送システムは、電波を反射する第1反射部を備える第1の飛行体と、前記電波を反射する第2反射部を備える第2の飛行体と、前記電波を発射する通信装置と、を備え、前記第1の飛行体と前記第2の飛行体は、前記通信装置の制御に基づいて、第1の所定の範囲内を飛行しかつ前記第1反射部と前記第2反射部の角度と方向を調整して、前記第1反射部と前記第2反射部を用いて第1反射アレイを形成する、電波伝送システムである。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、電波伝送方法は、電波を反射する第1反射部を備える第1の飛行体と、前記電波を反射する第2反射部を備える第2の飛行体と、前記電波を発射する通信装置と、を備える電波伝送システムにおける電波伝送方法であって、前記通信装置は、前記第1の飛行体と前記第2の飛行体に、第1の所定の範囲内を飛行しかつ前記第1反射部と前記第2反射部の角度と方向を調整して、前記第1反射部と前記第2反射部を用いて第1反射アレイを形成させ、前記第1の飛行体と前記第2の飛行体それぞれの位置情報を取得し、前記第1の飛行体と前記第2の飛行体を第1所定範囲に移動させるように指示し、前記第1反射部と前記第2反射部の方向と角度を取得させ、前記第1反射部と前記第2反射部の方向と角度を目標に前記電波を反射させるように制御し、前記通信装置が送信する前記電波を、前記第1反射アレイから目標に到達させる、電波伝送方法である。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、電波を反射する第1反射部を備える第1の飛行体と、前記電波を反射する第2反射部を備える第2の飛行体と、前記電波を発射する通信装置と、を備える電波伝送システムにおける前記通信装置が備えるコンピュータに、前記第1の飛行体と前記第2の飛行体に、第1の所定の範囲内を飛行しかつ前記第1反射部と前記第2反射部の角度と方向を調整して、前記第1反射部と前記第2反射部を用いて第1反射アレイを形成させ、前記第1の飛行体と前記第2の飛行体それぞれの位置情報を取得させ、前記第1の飛行体と前記第2の飛行体を第1所定範囲に移動させるように指示させ、前記第1反射部と前記第2反射部の方向と角度を取得させ、前記第1反射部と前記第2反射部の方向と角度を目標に前記電波を反射させるように制御させ、前記通信装置が送信する前記電波を、前記第1反射アレイから目標に到達させる、を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、それぞれが反射部を備える飛行体を複数用いて反射アレイを構成するようにした。これにより、反射装置のサイズを大きくし、反射電力を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態による電波送受信システムの構成例を示すブロック図である。
図2】第1実施形態における電波伝送システムの動作例と処理例を示すシーケンス図である。
図3】第2実施形態における電波伝送システムの概略構成を示す図である。
図4】第2実施形態における電波伝送システムの構成例を示す図である。
図5】第2実施形態における飛行体の交代時の処理手順例を示すシーケンス図である。
図6】第2実施形態の変形例における飛行体の交代時の処理手順例を示すシーケンス図である。
図7】第3実施形態における電波伝送システムの構成例を示す図である。
図8】第4実施形態における電波伝送システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態による電波伝送システム、電波伝送方法及びプログラムを、図面を参照して説明する。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態による電波伝送システムの構成例を示すブロック図である。図1のように、電波伝送システム1は、測位衛星2と、飛行体3(3-1,3-2)と、通信装置4を備える。
測位衛星2は、通信部21を備える。
飛行体3-n(nは1または2)は、通信部31-nと、制御部32-nと、反射部33-nを備える。
通信装置4は、通信部41と、制御部42を備える。
【0013】
測位衛星2は、例えば人工衛星であり、測位用の信号を発射する。
通信部21は、測位用の信号を発射する。なお、通信部21は、アンテナを備える。
【0014】
飛行体3-n(nは1または2)は、例えば、ドローンである。飛行体3-nは、例えば、充電式の電池の電力を用いて飛行する。
通信部31-nは、通信装置4が送信する信号を受信する。
制御部32-nは、通信装置4から受信した飛行制御指示に応じて、飛行体3-nの飛行位置(含む高度)を制御する。制御部32-nは、通信装置4から受信した反射制御指示に応じて、反射部33-nの角度等を制御する。
反射部33-nは、電波を反射させる例えば反射板である。
なお、飛行体3-1(第1の飛行体)と飛行体3-2(第2の飛行体)は、飛行体3-1が備える反射部33-1(第1反射部)と飛行体3-2が備える33-2(第2反射部)によって、反射アレイ34-1を形成する。
【0015】
通信装置4は、例えば地上に設置されている。通信装置4は、運用中の飛行体3-1と 飛行体3-2の見通し内の位置に設置される。
通信部41は、飛行制御信号と反射制御信号を、飛行体3-1、飛行体3-2へ送信する。
制御部42は、飛行体3-1、飛行体3-2それぞれに飛行位置を制御するための飛行制御信号を生成し、生成した飛行制御信号を、通信部41を介して飛行体3-1、飛行体3-2へ送信する。制御部42は、飛行体3-1の反射部33-1、飛行体3-2の反射部33-2の角度等を制御するための反射制御信号を生成し、生成した反射制御信号を、通信部41を介して飛行体3-1、飛行体3-2へ送信する。
【0016】
(電波伝送システムの動作例)
次に、電波伝送システムの動作例を説明する。図2は、本実施形態における電波伝送システムの動作例と処理例を示すシーケンス図である。なお、以下の処理では、飛行体3-1、3-2のバッテリは、充電済みであり、飛行目的位置、反射部33の初期角度が予め設定されているとする。
【0017】
(ステップS1、S2)飛行体3-1は、飛行を開始する。飛行体3-2は、飛行を開始する。
【0018】
(ステップS3、S4)飛行体3-1は、測位衛星2が発射する情報を用いて現在位置を取得する。飛行体3-2は、測位衛星2が発射する情報を用いて現在位置を取得する。
【0019】
(ステップS5、S6)飛行体3-1は、現在の飛行位置情報と、現在の反射部33-1の角度情報を通信装置4へ送信する。飛行体3-2は、現在の飛行位置情報と、現在の反射部33-2の角度情報を通信装置4へ送信する。
【0020】
(ステップS7)通信装置4は、飛行体3-1が送信した現在の飛行位置情報と現在の反射部33-1の角度情報と、飛行体3-2が送信した在の飛行位置情報と現在の反射部33-1の角度情報を受信する。
【0021】
(ステップS8)通信装置4は、受信した情報に基づいて飛行制御信号と反射制御信号を生成し、生成した飛行制御信号と反射制御信号を飛行体3-1と飛行体3-2へ送信する。
【0022】
(ステップS9、S10)飛行体3-1は、飛行制御信号と反射制御信号を受信する。飛行体3-2は、飛行制御信号と反射制御信号を受信する。
【0023】
(ステップS11、S12)飛行体3-1は、受信した飛行制御情報に基づいて、飛行位置を制御する。飛行体3-2は、受信した飛行制御情報に基づいて、飛行位置を制御する。
【0024】
(ステップS13、S14)飛行体3-1は、受信した反射制御情報に基づいて、反射部33-1を制御する。飛行体3-2は、受信した反射制御情報に基づいて、反射部33-2する。
【0025】
(ステップS15)飛行体3-1が反射部33-1の角度を調整し、飛行体3-2が反射部33-2の角度を調整することで、反射アレイ34-1が形成される。反射アレイ34-1の形成が完了した後、飛行体3-1、および飛行体3-2のうちの少なくとも1つは、反射アレイ34-1の形成が完了したことを示す通知を通信装置4へ送信する。
【0026】
(ステップS16)通信装置4は、通知を受信する。
【0027】
(ステップS17)通信装置4は、電波を送信する。
【0028】
(ステップS18)反射アレイ34-1は、送信された電波を目標物5の方向へ反射する。
【0029】
(ステップS19)反射アレイ34-1は、目標物5から反射して戻ってきた電波を通信装置4へ反射する。
【0030】
(ステップS20)通信装置4は、反射アレイ34-1から反射された電波を受信する。
【0031】
(ステップS21)通信装置4は、電波の往復時間に基づいて、目標物5までの距離を算出する。なお、電波の伝搬速度は、299792458m/sである。
【0032】
以上のように、本実施形態では、それぞれが反射部33を備える飛行体3を複数用いて反射アレイ34を構成するようにした。本実施形態では、複数の飛行体3は、通信装置4の制御に応じて所定の範囲内を飛行し、かつそれぞれが備える反射部33(33-1,33-2)の角度と方向を揃えることで、反射アレイ34を形成する。
これにより、本実施形態によれば、反射部33の大きさを大きくすることができ、反射部33が大きくなるので反射電力を大きくすることができる。
【0033】
また、上述した例では、距離を測定する例を説明したが、これに限らない。例えば、通信装置4は、反射アレイ34-1に電波を反射させて、目標地点に電波を伝送するようにしてもよい。この場合は、図2のステップS1~S18の処理を行うことで、電波を目標地点に伝送できる。この場合であっても、複数の反射部33で構成する反射アレイ34によって電波を増幅できる。
【0034】
<第2実施形態>
本実施形態では、電波伝送システムが飛行体と通信装置の組が複数の場合の構成例を説明する。
図3は、本実施形態における電波伝送システムの概略構成を示す図である。図3の例では、複数の飛行体3と1つの充電装置7と1つの飛行体制御装置8の組が2組ある構成例である。そして、図3の例では、第1の組の電波が届く範囲に目標物tr1が存在し、第1の組の電波が届かない範囲(見通し外)に目標物tr2が存在する。
【0035】
図3のように、電波伝送システム1Aは、例えば、通信装置4と、第1の組の飛行体3(3-11,3-12,…、3-111,3-112,…)と、第1の組の充電装置7-1と、第1の組の飛行体制御装置8-1と、第2の組の飛行体3(3-21,3-22,…、3-211,3-212,…)と、第2の組の充電装置7-2と、第2の組の飛行体制御装置8-2を備える。
【0036】
飛行体3-11(第1の飛行体),3-12(第2の飛行体),…、3-21(第3の飛行体),3-22(第4の飛行体),…は、飛行中(運用中)の飛行体である。
飛行体3-111,3-112,…、3-211,3-212,…は、待機中の飛行体である。待機中の飛行体3は、飛行中の飛行体3のバッテリ残量が所定値以下に場合に、交代するために充電させて待機させる。
【0037】
充電装置7-1,7-2は、飛行体3のバッテリを充電するための充電機能(含むリフレッシュ機能等)を備える。
【0038】
飛行体制御装置8-1,8-2は、飛行体3の帰還と飛行開始を管理制御する。飛行体制御装置8-1,8-2は、飛行している飛行体3と通信を行い、飛行体3充電状態を取得する。飛行体制御装置8-1,8-2は、充電率が所定値以下になった場合に、飛行している飛行体3に戻ってくるように戻り指示を送信する。なお、飛行体制御装置8-1,8-2は、通信装置4に戻り指示を送信し、通信装置4が戻り指示を飛行体3へ送信するようにしてもよい。
【0039】
図3のように、目標物tr2が第1の組の見通しの外にあり電波が届かない場合は、矢印g1のように、通信装置4から送信された電波を、第1の組の反射アレイ34-1を、第2の組の反射アレイ34-2へ反射させ、第2の組の反射アレイ34-2によって目標物tr2に電波をあてる。
復路は、目標物tr2から第2の組の反射アレイ34-2、第2の組の反射アレイ34-2から第1の組の反射アレイ34-1、そして第1の組の反射アレイ34-1から通信装置4である。
【0040】
また、図3のように、第1の組の飛行体3-11と飛行体3-12は、第1所定範囲内を飛行し、第2の組の飛行体3-21と飛行体3-22は、第1所定範囲とは異なる第2所定範囲内を飛行する。なお、所定範囲は、反射アレイ34を形成可能な範囲である。
【0041】
このように、本実施形態では、複数の反射アレイ34を形成することで、複数回反射させることで見通しを伸ばすことができる。
【0042】
図4は、本実施形態における電波伝送システムの構成例を示す図である。図4のように、電波伝送システム1Aは、例えば、通信装置4と、第1の組の飛行体3(3-11,3-12,…、3-111,…)と、第1の組の充電装置7-1と、第1の組の飛行体制御装置8-1と、第2の組の飛行体3(3-21,3-22,…、3-211,…)と、第2の組の充電装置7-2と、第2の組の飛行体制御装置8-2を備える。
【0043】
飛行体3-n(nは11,12,…,111,…、21,22,…,211,…)は、例えば、通信部31-n、制御部32-n、反射部33-n、バッテリ36-n、および残量監視部37-nを備える。なお、飛行体3-21、3-22では、反射部33以外を省略して示してある。また、飛行体3-111、3-211では、機能部を省略して示してある。
【0044】
飛行体3-11(第1の飛行体)は、通信部31-11、制御部32-11、反射部33-11(第1反射部)、バッテリ36-11、および残量監視部37-11を備える。飛行体3-12(第2の飛行体)は、通信部31-12、制御部32-12、反射部33-12(第2反射部)、バッテリ36-12、および残量監視部37-12を備える。飛行体3-21(第3の飛行体)は、通信部31-21、制御部32-21、反射部33-21(第3反射部)、バッテリ36-21、および残量監視部37-21を備える。飛行体3-22(第4の飛行体)は、通信部31-22、制御部32-22、反射部33-22(第4反射部)、バッテリ36-22、および残量監視部37-22を備える。飛行体3-111(第5の飛行体)は、通信部31-111、制御部32-111、反射部33-111(第5反射部)、バッテリ36-111、および残量監視部37-111を備える。飛行体3-211(第5の飛行体)は、通信部31-211、制御部32-211、反射部33-211(第5反射部)、バッテリ36-211、および残量監視部37-211を備える。
【0045】
充電装置7-m(mは1、2)は、充電部71-mを備える。
飛行体制御装置8-mは、通信部81-mを備える。
【0046】
次に、各装置の機能部について説明する。
充電装置7-mの充電部71-mは、待機している飛行体3のバッテリ36に対して充電を行う。
【0047】
飛行体制御装置8-mの通信部81-mは、飛行体3の通信部31との情報の送受信を行う。
【0048】
飛行体3-nのバッテリ36-nは、例えば充電式の二次電池である。バッテリ36-nは、飛行体3-nの各部に電力を供給する。
【0049】
飛行体3-nの残量監視部37-nは、バッテリ36-nの残量を取得する。残量監視部37-nは、取得したバッテリ36-nの残量を示すバッテリ情報を制御部32-nに出力する。または、残量監視部37-nは、取得したバッテリ36-nの残量と、バッテリ容量の閾値を比較し、残量が閾値以下の場合に、残量が閾値以下であることを示すバッテリ情報を制御部32-nに出力するようにしてもよい。
【0050】
飛行体3-nの制御部32-nは、通信装置4から受信した飛行制御指示に応じて、飛行体3-nの飛行位置(含む高度)を制御する。制御部32-nは、通信装置4から受信した反射制御指示に応じて、反射部33-nの角度や方向等を制御する。制御部32-nは、残量監視部37-nが出力するバッテリ情報を飛行体制御装置8-mまたは通信装置4へ送信する。
【0051】
第1の組である飛行体3-1,3-2,…は、反射部33-11,33-12,…によって、第1の反射アレイ34-1を形成する。
第2の組である飛行体3-21,3-22,…は、反射部33-21,33-22,…によって、第2の反射アレイ34-2を形成する。
なお、第2の組の飛行体3(3-21,3-22,…、3-211,…)は、通信装置4からの制御信号を、例えば反射アレイ34-1で反射された電波によって受信するようにしてもよい。または、第2の組の飛行体3(3-21,3-22,…、3-211,…)は、通信装置4の見通し範囲内の場合、通信装置4から制御情報を直接受信してもよい。あるいは、通信装置4からの制御信号は、第1の組の飛行体3で一度受信後、第1の組の飛行体3から第2の組の飛行体3へ再送信するようにしてもよい。または、通信装置4からの制御信号は、地上の通信回線を用いて通信装置4から飛行体制御装置8-2へ送信後、飛行体制御装置8-2から第2の組の飛行体3へ送信するようにしてもよい。
【0052】
なお、図4に示した構成例は一例であり、これに限らない。運用される飛行する飛行体3の数や、待機中の飛行体3の数は、反射部33の大きさ、飛行体3のバッテリ容量、測定に要する時間、通信装置から測定対象物である目標物(または位置)までの距離等に応じたものであればよい。
また、図3、4では、飛行体3と充電装置7と飛行体制御装置8が組の例を説明したが、充電装置7と飛行体制御装置8は1つずつであってもよい。
また、図3図4に示した例では、2つの反射アレイ34を形成する例を説明したが、測定距離や、目標物の位置などに応じて、反射アレイの数は3つ以上であってもよい。
【0053】
このように、本実施形態によれば、複数の反射アレイ34を用いて電波を伝搬するため、伝搬経路が複雑になる。これにより、本実施形態によれば、電波の伝搬経路が複雑であるため電波発射源の位置の秘匿性が高めることができる。
また、本実施形態によれば。反射アレイ34の数を増やして複数回反射させることで見通しを伸ばすことができ、または電波の伝搬距離を伸ばすことができる。
【0054】
(飛行体の交代時の処理手順)
次に、バッテリの残量が閾値以下になった場合の飛行体3の交代時の処理手順例を説明する。図5は、本実施形態における飛行体の交代時の処理手順例を示すシーケンス図である。なお、図5の例では、飛行体3-11を例に説明するが、他の飛行体3の場合の処理も同様である。
また、反射アレイ34の処理や飛行位置制御等の処理は第1実施形態と同様である。
【0055】
(ステップS101)飛行体3-11の残量監視部37-11は、バッテリ36-11の残量を取得する。
【0056】
(ステップS102)残量監視部37-11は、バッテリ残量と第1閾値とを比較する。
【0057】
(ステップS103)飛行体3-11の制御部32-11は、比較した結果、バッテリ残量が第1閾値以下の場合、充電装置7-1の場所に飛行体3-11を帰還させるように制御する。
【0058】
(ステップS104)飛行体制御装置8-1は、飛行体3-11が帰還したことを確認する。
【0059】
(ステップS105)飛行体制御装置8-1は、充電装置7-1に接続されている待機中の飛行体3の中からバッテリ残量が第2閾値以上の飛行体を選択する。この結果、例えば、飛行体3-111が選択される。なお、飛行体制御装置8-1は、バッテリ残量が最も大きな待機中の飛行体3を選択するようにしてもよい。
【0060】
(ステップS106)飛行体制御装置8-1は、選択した飛行体3-111に発進指示を送信する。
【0061】
(ステップS107)飛行体3-111は、発進指示を受信する。なお、発進指示には、目的地の位置情報、反射部33の初期角度情報等が含まれている。
【0062】
(ステップS108)飛行体3-111は、飛行を開始する。なお、飛行体3-111は、この後、通信装置4と通信を行って、例えば図2のステップS3、S5、S9、S11、S13を行って、反射アレイ34-1を形成しなおす。
【0063】
なお、飛行体3-111の制御部32-11は、バッテリ残量が第1閾値以下である場合、帰還を開始する前、帰還開始時、および帰還中のうちの少なくとも1つのときに、帰還していることを示す情報を飛行体制御装置8-1に送信するようにしてもよい。これにより、飛行体制御装置8-1は、交代用の飛行体3の選択や準備を進めることができる。あるいは、ステップS104の帰還を確認する前に、通知を受け取った後にステップS1-6~S109の処理を進めるようにしてもよい。これにより、交代に要する時間を短縮することができる。
【0064】
以上のように、本実施形態では、飛行体3のバッテリ残量を監視し、バッテリ残量が第1閾値(所定値)以下になった場合に、代替えの飛行体を飛行させて反射アレイを再構成するようにした。
これにより、本実施形態によれば、複数の目標物の測定等の場合であっても、距離計測を継続できる。また、本実施形態によれば、飛行体3を交代させるため、個々の飛行体3の運用時間に制約がある場合でも、交代させながら用いることで連続運用が可能になる。
【0065】
なお、上述した例では、バッテリ36の残量に基づいて飛行体を交代する例を説明したが、これに限らない。例えば、残量監視部37は、飛行体3に異常が発生しているか否かを確認するようにしてもよい。そして、飛行体3または反射部33に異常が発生したことを飛行体制御装置8へ通知するようにしてもよい。この場合、飛行体制御装置8は、異常が発生している飛行体3を帰還または待避させ、代わりの飛行体3を異常が発生した飛行体3が存在する地点へ飛行させるようにしてもよい。これにより、本実施形態によれば、一部の飛行体3または反射部33が故障した場合でも、システム全体の機能は停止しないため、抗堪性を向上させることができる。
【0066】
(変形例)
図5を用いて説明した交代手順では、バッテリ残量が第1閾値以下になった場合に、飛行体3が自装置で判断して帰還する例を説明したが、これに限らない。帰還判断や指示は、飛行体制御装置8が行うようにしてもよい。図6は、本実施形態の変形例における飛行体の交代時の処理手順例を示すシーケンス図である。
【0067】
(ステップS201)飛行体3-11の残量監視部37-11は、バッテリ36-11の残量を取得する。
【0068】
(ステップS202)飛行体3-11の通信部31-11は、取得されたバッテリ36-11の残量を示すバッテリ情報を、飛行体制御装置8-1に送信する。なお、バッテリ情報の配信タイミングは、所定時間毎であってもよく、例えば飛行体制御装置8-1から送信リクエストがあった時でもよい。
【0069】
(ステップS203)飛行体制御装置8-1は、飛行体3-11からバッテリ情報を受信する。
【0070】
(ステップS204)飛行体制御装置8-1は、受信したバッテリ残量と第1閾値を比較する。
【0071】
(ステップS205)飛行体制御装置8-1は、バッテリ残量が第1閾値以下の場合に、充電装置7-1に接続されている待機中の飛行体3の中からバッテリ残量が第2閾値以上の飛行体を選択する。この結果、例えば、飛行体3-111が選択される。なお、飛行体制御装置8-1は、バッテリ残量が最も大きな待機中の飛行体3を選択するようにしてもよい。
【0072】
(ステップS206)飛行体制御装置8-1は、選択した飛行体3-111に発進指示を送信する。
【0073】
(ステップS207)飛行体3-111は、発進指示を受信する。なお、発進指示には、目的地の位置情報、反射部33の初期角度情報等が含まれている。
【0074】
(ステップS208)飛行体3-111は、飛行を開始する。なお、飛行体3-111は、この後、通信装置4と通信を行って、例えば図2のステップS3、S5、S9、S11、S13を行って、反射アレイ34-1を形成しなおす。
【0075】
(ステップS209)飛行体制御装置8-1は、飛行体3-11に帰還指示を送信する。
【0076】
(ステップS210)飛行体3-11は、帰還指示を受信する。
【0077】
(ステップS211)飛行体3-11は、例えば充電装置7-1がある場所に帰還する。
【0078】
なお、交代する飛行体3-111への発進指示は、飛行体3-11が帰還した後であってもよい。
また、飛行体3-11への帰還指示は、代わりの飛行体3-111が、飛行体3-11から所定の範囲に近づいたタイミングが好ましい。これにより、交代期間中を削減することができる。また、第1閾値は、後退用の飛行体3-111が到着するまでの通信等の消費電力、さらに帰還に必要な消費電力を考慮して設定する。
【0079】
<第3実施形態>
なお、上述した各実施形態では、飛行体3がドローンの例を説明したが、飛行体はこれに限らない。飛行体3は、例えば、気球、セスナ、カイト等であってもよい。
図7は、本実施形態における電波伝送システムの構成例を示す図である。図7の例では、飛行体3Aが気球の例である。
【0080】
図8のように、電波伝送システム1Bは、例えば、通信装置4と、第1の組の飛行体3A(3A-11,3A-12,…、3A-111,…)と、第1の組の飛行体制御装置8-1と、第2の組の飛行体3(3A-21,3A-22,…、3A-211,…)と、第2の組の飛行体制御装置8-2を備える。
【0081】
飛行体3A-n(nは11,12,…,111,…21,22,…,211,…)は、例えば、通信部31-n、制御部32-n、通信用のバッテリ36-nを備える。なお、飛行体3A-21、3A-22では、反射部33以外を省略して示してある。また、飛行体3A-111、3A-211では、機能部を省略して示してある。
【0082】
飛行体3Aが気球の場合、電波伝送システム1Bは、充電装置7が不要になり、飛行体3Aはバッテリ36の容量を通信用に削減できる。なお、この場合、飛行体3Aが太陽電池を備えることで、バッテリ36に充電して電力を使用するようにしてもよい。
【0083】
<第4実施形態>
【0084】
図8は、本実施形態における電波伝送システムの構成例を示す図である。図8のように、電波伝送システム1Cは、例えば、通信装置4と、第1の組の飛行体3(3-11,3-12,…、3-111,3-112,…)と、第1の組の充電装置7-1と、第1の組の飛行体制御装置8-1と、第2の組の飛行体3B(3B-21,3B-22,…、3B-211,3B-212,…)と、第2の組の充電装置7-2と、第2の組の飛行体制御装置8-2を備える。
【0085】
飛行体3-j(jは11,12,…,111,…)は、例えば、通信部31-j、制御部32-j、反射部33-j、バッテリ36-j、および残量監視部37-jを備える。また、飛行体3-111では、機能部を省略して示してある。
【0086】
飛行体3B-k(kは21,22,…,211,…)は、例えば、通信部31B-k、制御部32-k、反射部33-k、バッテリ36-k、残量監視部37-k、および電波受信部38-kを備える。なお、飛行体3B-21、3B-22では、通信部31B-k、制御部32-k、バッテリ36-k、残量監視部37-kを省略して示してある。また、飛行体3-211では、機能部を省略して示してある。
【0087】
飛行体3B-21(第3の飛行体)は、通信部31B-21、制御部32-21、反射部33-21(第3反射部)、バッテリ36-21、残量監視部37-21、および電波受信部38-21(第1電波受信部)を備える。飛行体3B-22(第4の飛行体)は、通信部31B-22、制御部32-22、反射部33-22(第4反射部)、バッテリ36-22、残量監視部37-22、および電波受信部38-22(第2電波受信部)を備える。
【0088】
電波受信部38-21,38-22,…は、目標物からの反射電波を受信する。電波受信部38-21(第1電波受信部),38-22(第2電波受信部),…は、受信部アレイ39-1を形成する。
【0089】
飛行体3B-k(kは21,22,…,211,…)は、目標物から受信した反射電波をデジタル信号に変換した後、通信装置4へ送信する。通信装置4は、例えば第1実施形態と同様に電波の伝搬速度の値を用いて、目標物の距離に換算する処理を行う。なお、デジタル信号を第2の組の飛行体3Bから通信装置4へ送信する経路と手法は、例えば反射アレイ34-1で反射された電波によって受信するようにしてもよい。または、第2の組の飛行体3Bは、通信装置4の見通し範囲内の場合、デジタル信号を通信装置4へ直接送信してもよい。あるいは、第2の組の飛行体3Bが送信したデジタル信号は、第1の組の飛行体3で一度受信後、第1の組の飛行体3から通信装置4へ再送信するようにしてもよい。または、第2の組の飛行体3Bが送信したデジタル信号は、飛行体制御装置8-2が一度受信し、飛行体制御装置8-2が地上の通信回線を用いて飛行体制御装置8-2から通信装置4へ送信するようにしてもよい。
【0090】
本実施形態では。目標物からの反射電波を、第2の組の飛行中(運用中)の飛行体3Bに搭載した電波受信部38-kで構成した受信部アレイ39-1で受信する。
【0091】
これにより、本実施形態によれば、第2の組の飛行中の飛行体3Bから地上に設置されている通信装置4までの距離の分だけ電波の伝搬損失を減らすことができる。
【0092】
上述の飛行体3、通信装置4、飛行体制御装置8は、内部にコンピュータシステムを有していてもよい。そして、飛行体3、通信装置4、飛行体制御装置8に上述した各処理を行わせるためのプログラムは、飛行体3、通信装置4、飛行体制御装置8のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムを飛行体3、通信装置4、飛行体制御装置8のコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われるようにしてもよい。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
また、上記プログラムは、の飛行体3、通信装置4、飛行体制御装置8の機能の全てまたは一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0093】
飛行体3、通信装置4、飛行体制御装置8のコンピュータシステムは、例えば、CPU(中央演算装置)と、主記憶装置と、補助記憶装置と、インタフェースと、不揮発性記録媒体とを備えるようにしてもよい。CPUは、プログラムに従って、飛行体3、通信装置4、飛行体制御装置8が行う処理を行うようにしてもよい。
【0094】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0095】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記)
(付記1)
電波を反射する第1反射部を備える第1の飛行体と、
前記電波を反射する第2反射部を備える第2の飛行体と、
前記電波を発射する通信装置と、
を備え、
前記第1の飛行体と前記第2の飛行体は、前記通信装置の制御に基づいて、第1の所定の範囲内を飛行しかつ前記第1反射部と前記第2反射部の角度と方向を調整して、前記第1反射部と前記第2反射部を用いて第1反射アレイを形成する、電波伝送システム。
(付記2)
前記電波を反射する第3反射部を備える第3の飛行体と、
前記電波を反射する第4反射部を備える第4の飛行体と、を備え、
前記第3の飛行体と前記第4の飛行体は、前記通信装置の制御に基づいて、第2の所定の範囲内を飛行しかつ前記第3反射部と前記第4反射部の角度と方向を調整して、前記第3反射部と前記第4反射部を用いて第2反射アレイを形成し、
前記通信装置が送信する前記電波は、前記第1反射アレイから前記第2反射アレイに反射され、前記第2反射アレイから目標に到達する、
(付記1)に記載の電波伝送システム。
(付記3)
複数の前記飛行体それぞれは、バッテリと、前記バッテリの残量を監視する残量監視部とを備え、
前記残量監視部は、前記バッテリの残量と第1閾値とを比較し、前記バッテリの残量が前記第1閾値以下の場合に、帰還するように制御する、
(付記1)または(付記2)に記載の電波伝送システム。
(付記4)
前記電波を反射する第5反射部を備える第5の飛行体と、
前記飛行体の前記バッテリに充電する充電装置と、
前記飛行体の帰還と飛行開始を管理制御する飛行体制御装置と、を備え、
前記飛行体制御装置は、前記バッテリの残量が第1閾値以下となった飛行体が帰還した際、代わりに前記第5の飛行体を、前記バッテリの残量が第1閾値以下となった飛行体が飛行していた地点に飛行開始させる、
(付記3)に記載の電波伝送システム。
(付記5)
前記飛行体の帰還と飛行開始を管理制御する飛行体制御装置と、を備え、
複数の前記飛行体それぞれは、バッテリと、前記バッテリの残量を監視する残量監視部とを備え、
前記残量監視部は、前記バッテリの残量を前記飛行体制御装置へ送信し、
前記飛行体制御装置は、前記バッテリの残量と第1閾値とを比較し、前記バッテリの残量が第1閾値以下となった飛行体に帰還指示を送信する、
(付記1)から(付記4)のうちのいずれか1つに記載の電波伝送システム。
(付記6)
前記電波を反射する第5反射部を備える第5の飛行体と、
前記飛行体の前記バッテリに充電する充電装置と、
前記飛行体の帰還と飛行開始を管理制御する飛行体制御装置と、を備え、
前記飛行体制御装置は、前記バッテリの残量と第1閾値とを比較し、前記バッテリの残量が第1閾値以下となった場合に、代わりに前記第5の飛行体を、前記バッテリの残量が第1閾値以下となった飛行体が飛行していた地点に飛行開始させる、
(付記5)に記載の電波伝送システム。
(付記7)
前記第3の飛行体は、第1電波受信部を備え、
前記第4の飛行体は、第2電波受信部を備え、
前記第3の飛行体と、前記第4の飛行体は、前記第1電波受信部と前記第2電波受信部を用いて受信部アレイを形成し、
前記受信部アレイは、前記通信装置から発射された電波の目標物からの反射電波を受信する、
(付記2)に記載の電波伝送システム。
(付記8)
前記飛行体は、ドローン、気球のうちのいずれかである、
(付記1)から(付記7)のうちのいずれか1つに記載の電波伝送システム。
(付記9)
電波を反射する第1反射部を備える第1の飛行体と、前記電波を反射する第2反射部を備える第2の飛行体と、前記電波を発射する通信装置と、を備える電波伝送システムにおける電波伝送方法であって、
前記通信装置は、
前記第1の飛行体と前記第2の飛行体に、第1の所定の範囲内を飛行しかつ前記第1反射部と前記第2反射部の角度と方向を調整して、前記第1反射部と前記第2反射部を用いて第1反射アレイを形成させ、
前記第1の飛行体と前記第2の飛行体それぞれの位置情報を取得し、
前記第1の飛行体と前記第2の飛行体を第1所定範囲に移動させるように指示し、
前記第1反射部と前記第2反射部の方向と角度を取得させ、
前記第1反射部と前記第2反射部の方向と角度を目標に前記電波を反射させるように制御し、
前記通信装置が送信する前記電波を、前記第1反射アレイから目標に到達させる、
電波伝送方法。
(付記10)
電波を反射する第1反射部を備える第1の飛行体と、前記電波を反射する第2反射部を備える第2の飛行体と、前記電波を発射する通信装置と、を備える電波伝送システムにおける前記通信装置が備えるコンピュータに、
前記第1の飛行体と前記第2の飛行体に、第1の所定の範囲内を飛行しかつ前記第1反射部と前記第2反射部の角度と方向を調整して、前記第1反射部と前記第2反射部を用いて第1反射アレイを形成させ、
前記第1の飛行体と前記第2の飛行体それぞれの位置情報を取得させ、
前記第1の飛行体と前記第2の飛行体を第1所定範囲に移動させるように指示させ、
前記第1反射部と前記第2反射部の方向と角度を取得させ、
前記第1反射部と前記第2反射部の方向と角度を目標に前記電波を反射させるように制御させ、
前記通信装置が送信する前記電波を、前記第1反射アレイから目標に到達させる、
を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0096】
1,1A,1B,1C…電波伝送システム、
2…測位衛星、
3,3A,3B,3-n,3-j,3-k,3-1,3-2,3-11,3-12,・・・,2-21,3-22,・・・、3-111,・・・、3-211,・・・,3A-111,3A-211,3B21,3B-22…飛行体、
4…通信装置、
7,7-1,7-2…充電装置、
8,8-1,8-2…飛行体制御装置、
21…通信部、
31,31-n,31B-j,31B-k,31-11,31-12,・・・,31-21,31-22,・・・,31-111,・・・,31-211,・・・…通信部、
32,32-n,32B-j,32B-k,32-11,32-12,・・・,32-21,32-22,・・・,32-111,・・・,32-211,・・・…制御部、
33,33-n,33B-j,33B-k,33-11,33-12,・・・,33-21,33-22,・・・,33-111,・・・,33-211,・・・…反射部、
34,34-1,34-2…反射アレイ、
36,36-n,36B-j,36B-k,36-11,36-12,・・・,36-21,36-22,・・・,36-111,・・・,36-211,・・・…バッテリ、
37,37-n,37-j,37-k,37-11,37-12,・・・,37-21,37-22,・・・,37-111,・・・,37-211,・・・…残量監視部、
38,38-k、38-21,38-22,・・・,38-211,・・・…電波受信部、
39,39-1…受信部アレイ、
41…通信部、
42…制御部、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8