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特開2024-58481情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058481
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240418BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
G08G1/16 F
G01C21/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165880
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康悟
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB26
2F129CC07
2F129CC16
2F129DD15
2F129DD20
2F129DD40
2F129EE52
2F129EE79
2F129EE90
2F129FF12
2F129FF15
2F129FF20
2F129FF60
2F129FF63
5H181AA01
5H181BB05
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題としては、ドライバの疲労をより適切に評価することが一例として挙げられる。
【解決手段】
情報処理装置1は、加速度情報取得部10、算出部20、及び疲労評価部30を備える。加速度情報取得部10は、移動体の加速度に関する加速度情報を繰り返し取得する。算出部20は、加速度情報を用いて、所定区間における加速度情報の第1統計情報を算出する。疲労評価部30は、第1統計情報を用いて移動体のドライバの疲労を評価する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の加速度に関する加速度情報を繰り返し取得する加速度情報取得部と、
前記加速度情報を用いて、所定区間における前記加速度情報の第1統計情報を算出する算出部と、
前記第1統計情報を用いて前記移動体のドライバの疲労を評価する疲労評価部と、を備える、情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記第1統計情報は、前記加速度情報の統計指標の時間変化に関する情報を含む、情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理装置において、
前記第1統計情報は、前記加速度情報の分散に関する情報を含む、情報処理装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の情報処理装置において、
前記移動体の速度に関する速度情報を繰り返し取得する速度情報取得部をさらに備え、
前記算出部は、前記速度情報及び前記加速度情報を用いて前記所定区間における前記速度情報及び前記加速度情報の第2統計情報を算出し、
前記疲労評価部は、前記第2統計情報をさらに用いて、前記移動体のドライバの疲労を評価する、情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置において、
前記第2統計情報は、前記速度情報及び前記加速度情報の統計指標の時間変化に関する情報を含む、情報処理装置。
【請求項6】
請求項4に記載の情報処理装置において、
前記第2統計情報は、前記加速度情報及び前記速度情報の共分散に関する情報を含む、情報処理装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の情報処理装置において、
前記所定区間は、前記移動体の加速度が第1基準を満たす区間である、情報処理装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の情報処理装置において、
前記所定区間は、前記移動体の速度が第2基準を満たす区間である、情報処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理装置において、
前記第2基準は、前記移動体が走行する道路ごとに設定されている、情報処理装置。
【請求項10】
請求項7に記載の情報処理装置において、
前記所定区間は、前記移動体の速度が第3基準以上の区間である、情報処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の情報処理装置において、
前記第3基準は、前記移動体が走行する道路ごとに設定されている、情報処理装置。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の情報処理装置において、
休憩に関する休憩情報、及び前記ドライバへ注意喚起するアラート情報の少なくとも一方を含むレコメンド情報を出力させる出力制御部をさらに備え、
前記出力制御部は、前記第1統計情報を用いて前記レコメンド情報の出力のタイミングを決定する、情報処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の情報処理装置において、
前記ドライバに関するドライバ情報を取得するドライバ情報取得部をさらに備え、
前記出力制御部は、前記ドライバ情報を用いて、前記レコメンド情報の出力のタイミングを決定する、情報処理装置。
【請求項14】
請求項12に記載の情報処理装置において、
前記休憩情報を用いて休憩場所までのルートを設定するルート設定部をさらに備える、情報処理装置。
【請求項15】
請求項1又は2に記載の情報処理装置において、
前記算出部が算出した前記第1統計情報を蓄積して記憶させる記憶処理部をさらに備える、情報処理装置。
【請求項16】
請求項1又は2に記載の情報処理装置において、
前記加速度情報は、前記移動体のアクセル及びブレーキの操作情報の少なくとも一方を用いて生成される、情報処理装置。
【請求項17】
情報処理装置を実現するコンピュータが、
移動体の加速度に関する加速度情報を繰り返し取得し、
前記加速度情報を用いて、所定区間における前記加速度情報の第1統計情報を算出し、
前記第1統計情報を用いて前記移動体のドライバの疲労を評価する、情報処理方法。
【請求項18】
情報処理装置を実現するコンピュータに、
移動体の加速度に関する加速度情報を繰り返し取得する手順、
前記加速度情報を用いて、所定区間における前記加速度情報の第1統計情報を算出する手順、
前記第1統計情報を用いて前記移動体のドライバの疲労を評価する手順、を実行させるためのプログラム。
【請求項19】
通信端末を実現するコンピュータに、
移動体の加速度に関する加速度情報を繰り返し取得する手順、
前記加速度情報を用いて、所定区間における前記加速度情報の第1統計情報を算出する手順、
前記第1統計情報を用いて前記移動体のドライバの疲労を評価する手順、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2008―146515号公報)には、運転者の疲労度をより高い精度で検知する疲労度検出装置が開示されている。
【0003】
特許文献2(特開平5―8662号公報)には、運転者に疲労状態の目安を示すことができる車両表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008―146515号公報
【特許文献2】特開平5―8662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドライバの疲労の蓄積は事故の原因となり得るので、ドライバの疲労を適切に評価することは重要である。そこで本発明者は、ドライバの疲労をより適切に評価すべく、新たな疲労評価方法を検討した。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、ドライバの疲労をより適切に評価することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
移動体の加速度に関する加速度情報を繰り返し取得する加速度情報取得部と、
前記加速度情報を用いて、所定区間における前記加速度情報の第1統計情報を算出する算出部と、
前記第1統計情報を用いて前記移動体のドライバの疲労を評価する疲労評価部と、を備える、情報処理装置である。
【0008】
請求項17に記載の発明は、
情報処理装置を実現するコンピュータが、
移動体の加速度に関する加速度情報を繰り返し取得し、
前記加速度情報を用いて、所定区間における前記加速度情報の第1統計情報を算出し、
前記第1統計情報を用いて前記移動体のドライバの疲労を評価する、情報処理方法である。
【0009】
請求項18に記載の発明は、
情報処理装置を実現するコンピュータに、
移動体の加速度に関する加速度情報を繰り返し取得する手順、
前記加速度情報を用いて、所定区間における前記加速度情報の第1統計情報を算出する手順、
前記第1統計情報を用いて前記移動体のドライバの疲労を評価する手順、を実行させるためのプログラムである。
【0010】
請求項19に記載の発明は、
通信端末を実現するコンピュータに、
移動体の加速度に関する加速度情報を繰り返し取得する手順、
前記加速度情報を用いて、所定区間における前記加速度情報の第1統計情報を算出する手順、
前記第1統計情報を用いて前記移動体のドライバの疲労を評価する手順、を実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る情報処理装置の概略を示すブロック図である。
図2】所定区間を説明するためのグラフである。
図3】第1実施形態に係る第1統計情報を説明するためのグラフである。
図4】情報処理装置のハードウエア構成例を示す図である。
図5】第1実施形態に係る情報処理装置がドライバの疲労を評価する処理のフロー図である。
図6】第1統計情報の変形例を説明するためのグラフである。
図7】第2実施形態に係る情報処理装置の概略を示すブロック図である。
図8】第2統計情報を説明するためのグラフである。
図9】第2実施形態に係る情報処理装置がドライバの疲労を評価する処理のフロー図である。
図10】第3実施形態に係る情報処理装置の概略を示すブロック図である。
図11】第3統計情報を説明するための粗密図である。
図12】第3統計情報を用いてドライバの疲労の蓄積を評価することを説明するための粗密図である。
図13】第3実施形態に係る情報処理装置がドライバの疲労を評価する処理のフロー図である。
図14】第4実施形態に係る情報処理装置の概略を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0013】
なお、以下に示す説明において、各装置の各構成要素は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。各装置の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶メディア、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置には様々な変形例がある。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る情報処理装置1の概略を示すブロック図である。情報処理装置1は、加速度情報取得部10、算出部20、疲労評価部30、及び記憶処理部40を備えている。情報処理装置1は移動体の外に設けられていてもよいし、移動体の中に設けられていてもよい。情報処理装置1は、いわゆるクラウドサーバであってもよい。
【0015】
第1実施形態において、移動体は車両である。車両は、例えば、長距離(例えば、1日に100km以上)を走行する車両であってもよい。車両は、例えば、産業用トラックや自家用車でもよく、大型車両や小型車両であってもよい。
【0016】
第1実施形態において、情報処理装置1は、通信ネットワーク101を介して、通信端末3と通信可能である。通信ネットワーク101は例えば、4G又は5G回線などでの通信を含む。情報処理装置1は、通信ネットワーク101を構成するための車外通信部(図示しない)を含んで構成されている。
【0017】
通信端末3は、移動体のドライバの端末であり、ドライバが所有し、管理し、携帯し、又は使用している端末である。通信端末3は、ドライバによって移動体に持ち込まれてもよいし、もとから移動体内に据え付けられていてもよい。通信端末3は、スマートフォン、タブレット、及びPC(パーソナルコンピューター)のいずれかである。
【0018】
(加速度情報取得部10)
加速度情報取得部10は、移動体に搭載された加速度センサ(図示しない)から、加速度情報を取得する。加速度情報取得部10は、移動体の加速度に関する加速度情報を繰り返し取得する。加速度情報取得部10は、例えば、車両のエンジンが始動してからエンジンが停止するまでの間、加速度情報を繰り返し取得する。
【0019】
加速度情報は、単位時間あたりにおける移動体の速度の変化に関する情報である。第1実施形態において、加速度情報は、移動体の加速度である。第1実施形態において、加速度情報は、移動体のアクセルの操作情報、及び移動体のブレーキの操作情報の少なくとも一方を用いて生成されてもよい。アクセルの操作情報は、例えば、車両に装着されているアクセルの踏み込み量に関する情報を含んでいる。ブレーキの操作情報は、例えば、車両に装着されているブレーキの踏み込み量に関する情報を含んでいる。加速度情報は、アクセルの踏み込み量及びブレーキの踏み込み量の少なくとも一方を用いて生成されてもよい。
【0020】
(算出部20)
算出部20は、加速度情報を用いて、所定区間における加速度情報の第1統計情報を算出する。第1統計情報は、所定区間における移動体の加速度のデータを集計し、集計した当該加速度のデータをもとに生成された何らかの統計指標、統計データ、及び統計グラフなどの少なくとも一つに関する情報である。
【0021】
第1実施形態において、第1統計情報は、移動体の加速度の平均、中央値、最頻値、標準偏差、最小値、最大値及び分散に関する情報の少なくともいずれか1つを含んでいてもよい。なお、例えば、加速度の分散を算出する場合、単位時間あたり(例えば1[s])の平均の加速度を単位時間(=1[s])ごとに算出し、単位時間(=1[s])ごとに算出した加速度のデータを集計して、加速度の分散を算出してもよい。
【0022】
(所定区間)
図2は、所定区間を説明するためのグラフである。図2のグラフの横軸は時間[t]で、縦軸は移動体の速度[V]である。図2中の(a)の区間は、所定区間を示している。所定区間とは、一定時間の間、移動体の加速度が所定の基準を満たす、例えば加速度が0[m/s]近辺である区間のことであり、ドライバが意図的に一定速度で運転しようとしている区間のことである。所定区間とは、ドライバがある一定の速さをキープしたまま走行を継続する区間である。
【0023】
第1実施形態において、所定区間は、移動体の加速度が第1基準を満たす区間である。第1基準は例えば、一定時間の間、移動体の加速度が0±0.5[m/s]の範囲内にあることである。この場合、所定区間は、一定時間の間(例えば3[s]以上継続して)、移動体の加速度の範囲が0±0.5[m/s]を満たす区間である。この場合、加速度情報取得部10が移動体の加速度センサ(図示しない)を介して取得した移動体の加速度の範囲が3[s]以上継続して0±0.5[m/s]であった場合、加速度情報取得部10は、移動体が所定区間に入ったと判断してもよい。
【0024】
(所定区間の他の形態)
第1実施形態において、所定区間は、移動体の速度が第2基準を満たす区間であってよい。移動体の速度は、後述する速度情報取得部50によって取得されてもよいし、加速度情報取得部10によって取得されてもよい。なお、移動体の速度が、加速度情報取得部10によって取得される場合、移動体に搭載される速度センサを介して移動体の速度が取得されてもよい。
【0025】
第2基準は例えば、一定時間の間、移動体の速度が所定範囲内(図2中の(b)参照。例えば50[km/h]以上60[km/h]未満の範囲内)にあることである。この場合、所定区間は、一定時間の間(例えば3[s]以上継続して)、移動体の速度の範囲が50[km/h]以上60[km/h]未満を満たす区間である。
【0026】
さらに、第2基準は、移動体が走行する道路ごとに設定されている。すなわち、第2基準は、各道路の制限速度(法定速度)ごとに設定されていてもよい。例えば道路の制限速度が60[km/h]である場合、第2基準は例えば、一定時間の間、移動体の速度が50[km/h]以上60[km/h]未満にあることである。例えば道路の制限速度が100[km/h]である場合、第2基準は例えば、一定時間の間、移動体の速度が80[km/h]以上100[km/h]未満にあることである。なお、情報処理装置1は、移動体の位置情報を取得し、当該位置情報を用いて、移動体が走行している道路に関する情報(制限速度及び法定速度など)を取得してもよい。
【0027】
第2基準の他の例としては例えば、一定時間の間(例えば3[s]以上継続して)、移動体の速度が所定の速度以上(例えば50[km/h]以上)であることである。この場合、所定区間は、一定時間の間(例えば3[s]以上継続して)、移動体の速度が50[km/h]以上を満たす区間である。
【0028】
さらに、所定区間は、移動体の速度が第2基準を満たす区間であること(又は移動体の加速度が第1基準を満たす区間であること)に加えて、移動体の速度が第3基準以上の区間であってもよい。第3基準は、例えば、50[km/h]である。この場合、所定区間は、移動体の速度が50[km/h]以上の区間である。
【0029】
第2基準と同様に、第3基準は移動体が走行する道路ごとに設定されている。第3基準は、制限速度(又は法定速度)がある道路ごとに設定されている。例えば道路の制限速度が60[km/h]である場合、第3基準は例えば、移動体の速度が50[km/h]以上である。例えば道路の制限速度が100[km/h]である場合、第3基準は例えば、移動体の速度が80[km/h]以上である。
【0030】
図3は、第1実施形態に係る第1統計情報を説明するためのグラフである。図3のグラフの横軸は時間[t]で、縦軸は移動体の負の加速度の分散[σ]である。第1実施形態において、第1統計情報は、加速度情報の分散に関する情報を含んでいる。第1実施形態において、第1統計情報は、移動体の負の加速度(移動体の減速度)の分散に関する情報を含んでいる。図3は、上記所定区間における移動体の減速度の分散の時間変化を示すグラフである。第1実施形態において、第1統計情報は、加速度情報の統計指標(平均、中央値、最頻値、標準偏差、最小値、最大値及び分散など)の時間変化に関する情報を含んでいてもよい。第1実施形態に係る第1統計情報は、移動体の減速度の分散(=統計指標)の時間変化に関する情報である。算出部20が例えば時間[t]における移動体の減速度の分散を算出する際は、時間[t]までに繰り返し取得した移動体の加速度を集計して、時間[t]における移動体の減速度の分散を算出してもよい。
【0031】
(疲労評価部30)
疲労評価部30は、第1統計情報を用いて移動体のドライバの疲労を評価する。第1実施形態において、疲労評価部30は、移動体の減速度の分散の時間変化に関する情報(=第1統計情報)を用いて移動体のドライバの疲労を評価する。
【0032】
具体的には、疲労評価部30は、例えばある区間(図3の(d)の区間を参照)において、減速度の分散値が上昇傾向にあるとき、ドライバの疲労は徐々に蓄積されていると評価してもよい。また、疲労評価部30は、例えばある区間(図3の(c)の区間を参照)において、減速度の分散値の変化量が小さいとき、ドライバの疲労は蓄積されていないと評価してもよい。なお、減速度の分散値が上昇傾向にあるか(変化量が小さいか)否かの判断は、減速度の分散値の時間微分(=微小時間あたりの変化量)が所定の基準を満たすか否かで判断してもよい。また、疲労評価部30は、例えばある区間において、減速度の分散値の下降傾向のとき、ドライバの疲労は蓄積されていないと評価してもよい。
【0033】
さらに別の例として、ある区間(図3の(c)の区間を参照)における減速度の分散値が比較的小さいとき、疲労評価部30は、ドライバのブレーキの踏み込みのばらつきは小さいと評価し、ドライバの疲労は蓄積されていないと評価してもよい。減速度の分散値が比較的大きいとき、疲労評価部30は、ドライバのブレーキの踏み込みのばらつきが大きいと評価し、ドライバの疲労は蓄積されていると評価してもよい。
【0034】
なお、第1実施形態において、疲労評価部30は、所定区間のみにおける加速度情報の第1統計情報(=減速度の分散の時間変化に関する情報)を用いてドライバの疲労を評価するのであって、所定区間以外の区間における加速度情報の統計情報を用いてドライバの疲労を評価しない。
【0035】
(記憶処理部40)
図1に示す記憶処理部40は、算出部20が算出した第1統計情報を、記憶部2に蓄積して記憶させる。記憶部2に蓄積して記憶された第1統計情報は、車両内に搭載されたディスプレイや通信端末3のディスプレイに出力されてもよい。また、第1基準、第2基準、及び第3基準に関する情報が、記憶部2に予め記憶されていてもよい。
【0036】
(ハードウエア構成例)
図4は、情報処理装置1のハードウエア構成例を示す図である。情報処理装置1は、バス1010、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、及びネットワークインタフェース1060を有する。
【0037】
バス1010は、プロセッサ1020、メモリ1030、ストレージデバイス1040、入出力インタフェース1050、及びネットワークインタフェース1060が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1020などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0038】
プロセッサ1020は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などで実現されるプロセッサである。
【0039】
メモリ1030は、RAM(Random Access Memory)などで実現される主記憶装置である。
【0040】
ストレージデバイス1040は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカードなどのリムーバブルメディア、又はROM(Read Only Memory)などで実現される補助記憶装置であり、記録媒体を有している。ストレージデバイス1040の記録媒体は情報処理装置1の各機能(例えば、加速度情報取得部10、算出部20、及び疲労評価部30)を実現するプログラムモジュールを記憶している。プロセッサ1020がこれら各プログラムモジュールをメモリ1030上に読み込んで実行することで、そのプログラムモジュールに対応する各機能が実現される。また、ストレージデバイス1040は記憶部2として機能してもよい。
【0041】
入出力インタフェース1050は、情報処理装置1と各種入出力機器とを接続するためのインタフェースである。
【0042】
ネットワークインタフェース1060は、情報処理装置1をネットワークに接続するためのインタフェースである。このネットワークは、例えばLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)である。ネットワークインタフェース1060がネットワークに接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。情報処理装置1は、ネットワークインタフェース1060を介して通信端末3と通信してもよい。
【0043】
(第1実施形態の動作例)
図5は、第1実施形態に係る情報処理装置1がドライバの疲労を評価する処理のフロー図である。ステップS10では、加速度情報取得部10は、移動体が所定区間(=移動体の加速度が第1基準を満たす区間)に入ったか否かを判断する。なお、移動体が所定区間に入ったか否かを加速度情報取得部10が判断するタイミングは、任意であるが、例えば、第1基準を満たした直後に判断してもよいし、第1基準を満たした後、所定時間(又は所定距離)経過後に判断してもよい。
【0044】
移動体が所定区間に入ったと加速度情報取得部10が判断した場合(ステップS10でYES)、ステップS20に進む。移動体が所定区間に入っていないと加速度情報取得部10が判断した場合(ステップS10でNO)、ステップS10の処理を繰り返す。
【0045】
ステップS20では、加速度情報取得部10は、所定区間における加速度情報を繰り返し取得する。なお、加速度情報取得部10は、所定区間に入る前から加速度情報を繰り返し取得していてもよい。
【0046】
ステップS30では、算出部20は、所定区間において繰り返し取得した加速度情報を用いて、所定区間における加速度情報の第1統計情報を算出する。第1統計情報は、図3で示したように、移動体の減速度の分散の時間変化に関する情報である。
【0047】
図5に戻りステップS40では、疲労評価部30は、第1統計情報(=移動体の減速度の分散の時間変化に関する情報)を用いてドライバの疲労を評価する。ドライバの疲労度(=疲労具合)は、「A」、「B」、及び「C」のように予めランク分けされていてもよい。そして、「A」の場合、「疲れている」、「B」の場合、「疲れ気味」、「C」の場合、「疲れていない」というように予め区別されていてもよい。
【0048】
疲労評価部30は、例えば、移動体の減速度の分散値の上昇度(分散値の時間微分)を用いて、ドライバの疲労具合を上記「A」、「B」、「C」のようにランク分けしてもよい。例えば、疲労評価部30は、移動体の減速度の分散値の時間微分の値が、一定時間の間(例えば10[s]以上)、0以上0.5[[m/s/s]未満の場合、「C」(=疲れていない)と評価してもよい。ステップS40の後、処理が終了する。
【0049】
(変形例1)
所定区間が、移動体の速度が第2基準を満たす区間である場合、速度情報取得部50(後述する)が速度情報を取得し、速度情報取得部50が、移動体が所定区間に入ったか否かを判断してもよい。この場合、速度情報取得部50は、移動体に搭載された速度センサ(図示しない)を介して移動体の速度情報を取得してもよい。
【0050】
(変形例2)
図6は、第1統計情報の変形例を説明するためのグラフである。第1統計情報は、例えば、所定区間における移動体の減速度の最頻値に関する情報を含んでいてもよい。図6のグラフの横軸は減速度[a]で、縦軸は頻度(度数)である。図6は、所定区間における移動体の減速度の分布を示すグラフである。第1統計情報の変形例は、移動体の減速度の最頻値に関する情報である。
【0051】
この場合、疲労評価部30は、第1統計情報(=移動体の減速度の最頻値に関する情報)を用いてドライバの疲労を評価してもよい。例えば、疲労評価部30は、移動体の減速度の最頻値が所定の基準を満たす場合(例えば、最頻値が3[m/s]以上3.5[m/s]未満である場合)、ドライバは疲れていると評価してもよい。
【0052】
以上、第1実施形態によれば、情報処理装置1は、加速度情報取得部10と算出部20と疲労評価部30とを備えており、疲労評価部30は、第1統計情報を用いて移動体のドライバの疲労を評価する。
【0053】
特許文献1及び特許文献2でも説明したように、ドライバの疲労の評価手法は様々である。本発明者は創意工夫をしながら、ドライバの疲労をより適切に評価できる方法を検討したところ、ドライバの疲労をより適切に評価することができる新たな手法を見出した。
【0054】
本発明の特徴部分である「所定区間における加速度情報の第1統計情報」をドライバの疲労の評価の情報として用いることで、ドライバの疲労を適切に評価することができる。
【0055】
ドライバが周辺車両の流れに対して、スムーズに走行していたとしても、長時間の運転をすると、連続運転による疲労から、ドライバに予測ミス、認知ミス、及び判断ミス等が発生する場合がある。この場合、ドライバのブレーキの頻度が高くなり、スムーズな走行が乱れて変化が生じる。そのため、長時間の運転をする場合、周辺車両が走行する中スムーズに走行できているか否かを評価する上では、ブレーキの頻度(=車両の減速度)を評価することが重要である。
【0056】
長時間運転により経時的に変化する情報(=所定区間における加速度情報の第1統計情報)をドライバの疲労の評価の情報として用いることで、特に、長時間運転するドライバの疲労の蓄積を精度よく評価することができる。これにより、長時間運転(=長距離運転)するドライバであっても、当該ドライバの疲労を適切に評価することができる。
【0057】
また、第1統計情報は、加速度情報の統計指標の時間変化に関する情報を含んでいることが好ましい。これにより、疲労が蓄積されていく様子を客観的に観測しやすくなる。そのため、疲労評価部30は、ドライバの疲労具合を効果的に評価することができる。
【0058】
さらに、第1統計情報は、加速度情報の分散に関する情報を含んでいる。車両の減速度のばらつき(=加速度情報の分散)を評価することにより、ドライバのブレーキの頻度を評価することができる。例えば、周辺車両が走行する中、ドライバがスムーズに走行できている場合、ブレーキの頻度は少なくなる(車両の減速度のばらつきは小さくなる)。上記分散に関する情報を用いてドライバの疲労を評価することにより、ドライバの疲労をより適切に評価することができる。
【0059】
第1実施形態に係る所定区間は、移動体の加速度が第1基準を満たす区間である。例えば、都市部では、交通量及び信号の数が、地方部に比べて多いため、停車する回数が地方部に比べて多くなり、かつ、連続して止まらずに走行する時間が地方部に比べて短くなる。停車や発進など、移動体が過渡的な挙動を示す区間以外の区間で、第1統計情報を算出部20が算出することにより、都市部/地方部によらず(ドライバが運転する場所によらず)ドライバの疲労を一律に評価することができる。
【0060】
また、所定区間は、移動体の速度が第2基準を満たす区間が好ましい。従来技術(例えば特許文献1及び特許文献2)におけるドライバの疲労評価手法では、道路環境及び周辺車両環境などの外部環境の影響により、ドライバの疲労状態を適切に評価できない場合があった。道路環境とは、例えば、信号の数、一旦停止の数、交通量の大小、及び走行する車両の種類(大型トラック、普通自動車、及び小型バイクなど)などである。周辺車両環境とは、具体的には、ドライバの車両の周辺を走行する車両(=周辺車両)の有無、周辺車両の運転挙動、及びドライバの車両と周辺車両との車間距離などである。
【0061】
ドライバがある一定の速さをキープしたまま走行を継続する区間(=所定区間)における加速度情報の第1統計情報を、ドライバの疲労を評価するための情報として用いることにより、外部環境(道路環境及び周囲車両環境など)から影響を受けることなく、ドライバの疲労を適切に評価することができる。すなわち、(急)停車、(急)加速、(急)減速、及び(急)発進など、移動体が過渡的な挙動を示す区間ではない区間における統計情報(=第1統計情報)を用いることにより、信号や交通量が多い都市部であっても、信号や交通量が都市部より少ない地方部であっても、一律にドライバの疲労を評価することができる。そのため、ドライバが運転する場所によらず、ドライバの疲労を一律に評価することができる。
【0062】
さらに、ドライバがある一定の速さをキープしたまま走行を継続する区間(以下、「巡航走行区間」とする)は、どんな行路であっても存在するため、どんな行路であってもドライバの疲労を評価することができる。
【0063】
また、第2基準は、移動体が走行する道路ごとに設定されていることが好ましい。移動体が走行する道路ごと(各道路の制限速度や法定速度ごと)に、当該道路に適した第2基準を設けることにより、より適切にドライバの疲労を評価することができる。
【0064】
また、所定区間は、移動体の速度が第3基準以上の区間でもよい。例えば、移動体の加速度が第1基準を満たす区間であっても、車両が渋滞に巻き込まれてゆっくり走行しているときや車両が停車しているときは、第1統計情報を算出するのに不適である。所定区間が、移動体の速度が第3基準以上の区間であることにより、より効果的にドライバの疲労を評価することができる。
【0065】
また、第3基準は、移動体が走行する道路ごとに設定されていてもよい。移動体が走行する道路ごと(各道路の制限速度や法定速度ごと)に、当該道路に適した第3基準を設けることにより、より適切にドライバの疲労を評価することができる。
【0066】
情報処理装置1は、記憶処理部40をさらに備えている。これにより、ドライバは過去の第1統計情報を確認することができる。そのため、ドライバは自身の疲労具合を客観的に把握することができる。さらに、自身の疲労具合の年齢による変化も客観的に把握することができる。これにより、歳をとるごとに疲れやすくなっていることを客観的に認識しうる。
【0067】
加速度情報は、移動体のアクセル及びブレーキの操作情報の少なくとも一方を用いて生成される。ドライバがアクセルを踏み込んだ量及び/又はドライバがブレーキを踏み込んだ量から推測して加速度情報を生成することにより、加速度情報取得部10が加速度情報を効果的に取得することができる。
【0068】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態に係る情報処理装置1の概略を示すブロック図である。第2実施形態に係る情報処理装置1は、第1実施形態に係る情報処理装置1と異なり、速度情報取得部50をさらに備えており、算出部20及び疲労評価部30の機能が、第1実施形態と異なっている。
【0069】
(速度情報取得部50)
第2実施形態に係る速度情報取得部50は、移動体に搭載された速度センサ(図示しない)から、速度情報を繰り返し取得する。速度情報は、移動体の速度に関する情報である。速度情報取得部50は、例えば、車両のエンジンが始動してからエンジンが停止するまでの間、速度情報を繰り返し取得してもよい。
【0070】
算出部20は、速度情報取得部50が繰り返し取得した速度情報、及び加速度情報取得部10が繰り返し取得した加速度情報を用いて、所定区間における速度情報及び加速度情報の第2統計情報を算出する。
【0071】
第2実施形態において、第2統計情報は、移動体の速度及び加速度の平均、中央値、最頻値、標準偏差、最小値、最大値、分散、及び共分散に関する情報の少なくともいずれか1つを含んでいてもよい。所定区間の定義は、第1実施形態で説明したものと同様である。なお、例えば、移動体の速度及び加速度の共分散を算出する場合、単位時間あたり(例えば1[s])の平均の速度及び加速度をそれぞれ単位時間(=1[s])ごとに算出し、単位時間(=1[s])ごとに算出した速度及び加速度のデータを集計して、速度及び加速度の共分散を算出する。
【0072】
図8は、第2統計情報を説明するためのグラフである。図8の上のグラフは、図3で説明した第1統計情報であり、図8の下のグラフが、第2統計情報である。図8の下のグラフの横軸は時間[t]で、縦軸は移動体の速度と負の加速度(=減速度)との共分散[σxy]である。
【0073】
第2実施形態において、第2統計情報は、移動体の加速度情報及び速度情報の共分散に関する情報を含んでいる。第2実施形態において、第2統計情報は、移動体の減速度及び速度の共分散に関する情報を含んでいる。図8の下のグラフは、移動体の減速度及び速度の共分散の時間変化を示すグラフである。第2実施形態において、第2統計情報は、速度情報及び加速度情報の統計指標(平均、中央値、最頻値、標準偏差、最小値、最大値、分散、及び共分散など)の時間変化に関する情報を含んでいる。第2統計情報は、移動体の減速度及び速度の共分散(=統計指標)の時間変化に関する情報を含んでいる。
【0074】
一般的に、移動体の速度が高速であるほど、急ブレーキの回数(減速度)は少なくなるため、ドライバが安定して走行しているときは、移動体の速度及び減速度は、負の相関関係を有する(速度が大きくなると減速度が小さくなり、速度が小さくなると減速度が大きくなる関係)。
【0075】
第2実施形態に係る疲労評価部30は、第2統計情報をさらに用いて、移動体のドライバの疲労を評価する。具体的には、疲労評価部30は、移動体の減速度及び速度の共分散が負の値を示しているときは、周辺車両が走行する中、ドライバがスムーズに走行できていると判断し、疲労評価部30は、ドライバの疲労は蓄積されていないと判断してもよい。
【0076】
一方、移動体の減速度及び速度の共分散が正の値を示しているとき、疲労評価部30は、周辺車両が走行する中、ドライバがスムーズに走行できていないと判断し、ドライバの疲労は蓄積されていると判断してもよい。すなわち、図8の下のグラフの右へ行くほど(領域Rに近づくほど)、疲労評価部30は、ドライバがスムーズに走行できていないと判断し、ドライバの疲労は蓄積されていると判断してもよい。
【0077】
また、別の評価方法として、疲労評価部30は、例えばある区間(図8の(e)の区間を参照)において、減速度及び速度の共分散が上昇傾向にあるとき、ドライバの疲労は徐々に蓄積されていると評価してもよい。また、疲労評価部30は、例えばある区間(図8の(f)の区間を参照)において、減速度及び速度の共分散の変化量が小さいとき、ドライバの疲労は蓄積されていないと評価してもよい。
【0078】
なお、減速度及び速度の共分散が上昇傾向にあるか(又は変化量が小さいか)否かの判断は、減速度及び速度の共分散の時間微分(=微小時間あたりの共分散の変化量)が所定の基準を満たすか否かで判断してもよい。
【0079】
なお、疲労評価部30は、上記の減速度及び速度の共分散の時間微分を用いてドライバの疲労を評価する方法と、減速度及び速度の共分散の値そのもの(正の値であるか負の値であるかを含めて)を用いてドライバの疲労を評価する方法とを併せて、ドライバの疲労を評価してもよい。
【0080】
第2実施形態に係る疲労評価部30は、第1統計情報に加えて、第2統計情報をさらに用いて、移動体のドライバの疲労を評価する。これにより、ドライバの疲労の蓄積をより適切に評価することができる。
【0081】
具体的には例えば、減速度の分散が小さく、減速度及び速度の共分散の変化量(共分散の時間微分)が小さく(又は共分散の時間変化が下降傾向にある)、かつ、減速度及び速度の共分散が負の値の場合(図8の(f)の区間を参照)、疲労評価部30は、ドライバの疲労度は比較的小さい(「疲れていない」)と判断してもよい。例えば、減速度の分散が大きく、減速度及び速度の共分散の変化量が小さく(又は共分散の時間変化が下降傾向にあるか)、かつ、減速度及び速度の共分散が負の値の場合(又は、減速度の分散が小さく、減速度及び速度の共分散が上昇傾向、かつ、減速度及び速度の共分散が正の値の場合)、疲労評価部30は、ドライバの疲労度は「普通」と判断してもよい。減速度の分散が大きく、減速度及び速度の共分散の時間変化が上昇傾向、かつ、減速度及び速度の共分散が正の値の場合(図8の(e)の区間を参照)、疲労評価部30は、ドライバの疲労度は比較的大きい(「疲れている」)と判断してもよい。また、疲労評価部30は、減速度及び速度の共分散が上昇した後の区間(図8のR領域を参照)について、ドライバに疲労が蓄積していると評価してもよい。
【0082】
図8のグラフの斜線部分の領域R(=時間がt以降の部分)を用いて説明すると、領域Rでは、減速度の分散が大きく、減速度及び速度の共分散が上昇した直後であり、かつ、減速度及び速度の共分散が正の値であるので(かつ当該共分散の正の値も大きいので)、疲労評価部30は、ドライバの疲労度は比較的大きいと判断してもよい。
【0083】
(第2実施形態の動作例)
図9は、第2実施形態に係る情報処理装置1がドライバの疲労を評価する処理のフロー図である。ステップS11は、第1実施形態に係るステップS10と同様である。第2実施形態において、移動体が所定区間に入ったと加速度情報取得部10(又は速度情報取得部50が)が判断した場合(ステップS11でYES)、ステップS15に進む。
【0084】
ステップS15では、速度情報取得部50は、所定区間における速度情報を繰り返し取得する。なお、速度情報取得部50は、所定区間に入る前から速度情報を繰り返し取得していてもよい。ステップS15の後、ステップS21に進む。なお、ステップS15は、ステップS11の後でなくてもよく、ステップS21の後、又はステップS31の後でもよい。
【0085】
ステップS21は、第1実施形態に係るステップS20と同様であり、ステップS21の後にステップS31に進む。ステップS31は、第1実施形態に係るステップS30と同様であり、ステップS31の後にステップS32に進む。
【0086】
ステップS32では、所定区間において速度情報取得部50が繰り返し取得した速度情報及び加速度情報取得部10が繰り返し取得した加速度情報を用いて、算出部20は、所定区間における速度情報及び加速度情報の第2統計情報を算出する。第2統計情報は、図8で説明したように、移動体の速度及び減速度の共分散の時間変化に関する情報である。
【0087】
図9に戻りステップS41では、疲労評価部30は、第1統計情報(=移動体の減速度の分散の時間変化に関する情報)及び第2統計情報(=移動体の速度及び減速度の共分散の時間変化に関する情報)を用いてドライバの疲労を評価する。疲労の評価方法は、図8を用いて説明した通りである。
【0088】
以上、第2実施形態によれば、情報処理装置1は、速度情報取得部50をさらに備えており、疲労評価部30は、第1統計情報に加えて第2統計情報をさらに用いて、移動体のドライバの疲労を評価する。これにより、ドライバの疲労の蓄積をより精度よく評価することができる。
【0089】
さらに、第2統計情報は、速度情報及び加速度情報の統計指標の時間変化に関する情報を含むことが好ましい。これにより、疲労が蓄積されていく様子を客観的により観測しやすくなる。そのため、疲労評価部30は、ドライバの疲労具合をより効果的に評価することができる。
【0090】
さらに、第2統計情報は、加速度情報及び速度情報の共分散に関する情報を含んでいる。相関関係のある速度及び減速度をドライバの疲労の評価に用いることにより、ドライバの疲労をより精度よく評価することができる。
【0091】
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態に係る情報処理装置1の概略を示すブロック図である。第3実施形態に係る情報処理装置1は、第1実施形態に係る情報処理装置1と異なり、加速度情報取得部10の代わりに速度情報取得部50を備えており、かつ、算出部20及び疲労評価部30の機能が、第1実施形態と異なっている。
【0092】
算出部20は、速度情報取得部50が繰り返し取得した速度情報を用いて、所定区間における速度情報の第3統計情報を算出する。第3実施形態において、第3統計情報は、所定区間における移動体の速度の平均、中央値、最頻値、標準偏差、最小値、最大値及び分散に関する情報の少なくともいずれか1つを含んでいてもよい。第3実施形態の所定区間の定義は、第1実施形態で説明した上記所定区間と同様である。なお、例えば、移動体の速度の分散を算出する場合、単位時間あたり(例えば1[s])の平均の速度をそれぞれ単位時間(=1[s])ごとに算出し、単位時間(=1[s])ごとに算出した速度のデータを集計して、速度の分散を算出する。
【0093】
図11は、第3統計情報を説明するための粗密図である。図11の粗密図の横軸は時間[t]である。横軸に沿って並んでいる縦線の本数は、移動体の速度がある基準(第4基準)を満たした回数を示している。第3統計情報は、単位時間あたりにおいて移動体の速度情報の統計指標が第4基準を満たした回数に関する情報を含む。上記統計指標は、分散を含んでいる。例えば、図11中の点線枠で囲われた領域Xにおいて、単位時間あたりにおいて移動体の速度情報の統計指標が第4基準を満たした回数は、図11中の点線枠で囲われた領域Yと比較して多い。
【0094】
第3実施形態において、第3統計情報は、単位時間あたりにおいて移動体の速度の分散が何回閾値を超えたか(第4基準を満たしたか)に関する情報を含む。図11は、所定時間において、移動体の速度の分散が閾値を超えた回数を示す図である。第3統計情報は、所定時間において、移動体の速度の分散が閾値を超えた回数を示す情報を含んでいる。
【0095】
所定区間が、移動体の速度が第2基準を満たす区間であり、第2基準は、移動体が走行する道路ごとに設定されている場合、第4基準は、移動体が走行する道路ごと(第2基準ごと)に設定されている。所定区間における第2基準について、例えば、50[km/h]以上60[km/h]未満(制限速度が60[km/h]の道路)及び80[km/h]以上100[km/h]未満(制限速度が100[km/h]の道路)の2つの第2基準が予め設定されている場合、それぞれの第2基準ごと(道路ごと)に、第4基準が設定されている。例えば、第2基準が50[km/h]以上60[km/h]未満(制限速度が60[km/h]の道路)のときにおける第4基準(=閾値)はσ 、第2基準の速度帯が80[km/h]以上100[km/h]未満(制限速度が100[km/h]の道路)のときにおける第4基準(=閾値)はσ 、のように設定されている。
【0096】
図12は、第3統計情報を用いてドライバの疲労の蓄積を評価することを説明するための粗密図である。図11及び図12を用いて、第3実施形態に係る疲労評価部30について説明する。
【0097】
疲労評価部30は、第3統計情報を用いて移動体のドライバの疲労を評価する。第3実施形態において、疲労評価部30は、単位時間あたりにおいて移動体の速度の分散値が閾値を超えた(=第4基準を満たした)回数に関する情報(=第3統計情報)を用いて移動体のドライバの疲労を評価する。
【0098】
具体的には、図12の区間(a)では、単位時間あたりにおいて移動体の速度の分散値が閾値を超えた回数は、図12の区間(b)よりも少ない。そして、図12では、時間経過とともに、単位時間あたりにおいて移動体の速度の分散値が閾値を超える回数が増えていく(時間経過とともに、縦棒の間隔が粗から密になっていく)。この場合、疲労評価部30は、ドライバの疲労が徐々に蓄積していっていると評価する。そして、単位時間あたりにおいて移動体の速度の分散値が閾値を超える回数が、所定回数を超えた場合(例えば、10秒間で5回超えた場合)、疲労評価部30は、ドライバは疲れていると評価してもよい。
【0099】
図11では、図12の場合と異なり、時間経過とともに、単位時間あたりにおいて移動体の速度の分散値が閾値を超える回数が減っていく(時間経過とともに、縦棒の間隔が密から粗になっていく)。この場合、疲労評価部30は、ドライバが時間経過とともに安定して車両の速度をコントロールしていると判断してもよい。すなわち、疲労評価部30は、ドライバは疲れていないと評価してもよい。
【0100】
なお、第3実施形態において、疲労評価部30は、所定区間のみにおける速度情報の第3統計情報を用いてドライバの疲労を評価するのであって、所定区間以外の区間における速度情報の統計情報を用いてドライバの疲労を評価しない。
【0101】
(変形例)
第3統計情報は、速度情報の統計指標の時間変化に関する情報を含んでいてもよい。第3実施形態において、上記速度情報の統計指標は、移動体の速度の分散を含んでいてもよい。この場合、疲労評価部30は、第3統計情報(=移動体の速度の分散(=統計指標)の時間変化に関する情報)を用いて移動体のドライバの疲労を評価してもよい。
【0102】
具体的には、疲労評価部30は、例えばある区間において、速度の分散値が上昇傾向にあるとき、ドライバの疲労は徐々に蓄積されていると評価してもよい。また、疲労評価部30は、例えばある区間において、速度の分散値の変化量が小さいとき、ドライバの疲労は蓄積されていないと評価してもよい。なお、速度の分散値が上昇傾向にあるか(変化量が小さいか)否かの判断は、速度の分散値の時間微分(=微小時間あたりの分散値の変化量)が所定の基準を満たすか否かで判断してもよい。
【0103】
(第3実施形態の動作例)
図13は、第3実施形態に係る情報処理装置1がドライバの疲労を評価する処理のフロー図である。ステップS12は、第1実施形態のステップS10と同様の処理である。
【0104】
移動体が所定区間に入ったと速度情報取得部50(又は加速度情報取得部10)が判断した場合(ステップS12でYES)、ステップS22に進む。移動体が所定区間に入っていないと速度情報取得部50(又は加速度情報取得部10)が判断した場合(ステップS12でNO)、ステップS12の処理を繰り返す。
【0105】
ステップS22では、速度情報取得部50は、所定区間における速度情報を繰り返し取得する。なお、速度情報取得部50は、所定区間に入る前から速度情報を繰り返し取得していてもよい。
【0106】
ステップS32では、算出部20は、所定区間において速度情報取得部50が繰り返し取得した速度情報を用いて、所定区間における速度情報の第3統計情報を算出する。第3統計情報は、図11及び図12で示したように、単位時間あたりにおいて移動体の速度の分散が閾値を超えた回数に関する情報である。
【0107】
図13に戻りステップS42では、疲労評価部30は、第3統計情報(=単位時間あたりにおいて移動体の速度の分散が閾値を超えた回数に関する情報)を用いてドライバの疲労を評価する。疲労の評価方法は、上記で説明した第3実施形態と同様である。
【0108】
以上、第3実施形態によれば、情報処理装置1は、速度情報取得部50と算出部20と疲労評価部30とを備えており、疲労評価部30は、第3統計情報を用いて移動体のドライバの疲労を評価する。
【0109】
特許文献1及び特許文献2でも説明したように、ドライバの疲労の評価手法は様々である。本発明者は創意工夫をしながら、ドライバの疲労をより適切に評価できる方法を検討したところ、ドライバの疲労をより適切に評価することができる新たな手法を見出した。
【0110】
本発明の特徴部分である「所定区間における速度情報の第3統計情報」をドライバの疲労の評価の情報として用いることで、ドライバの疲労を適切に評価することができる。
【0111】
一般的にドライバが長時間運転する際、ドライバに疲労がたまっていくと移動体の速度にムラが生じる(速度の分散が大きくなる)。長時間運転により経時的に変化していき、かつ当該変化を観測しやすい情報(=所定区間における速度情報の第3統計情報)をドライバの疲労の評価の情報として用いることで、長時間運転の影響によりドライバの疲労が蓄積していく様子を簡易に観測することができる。これにより、長時間運転するドライバの疲労の蓄積を精度よく評価することができる。そのため、長時間運転(=長距離運転)するドライバであっても、当該ドライバの疲労を精度よく評価することができる。
【0112】
また、第3統計情報は、速度情報の統計指標の時間変化に関する情報を含んでいることが好ましい。これにより、疲労が蓄積されていく様子を客観的に観測しやすくなる。そのため、疲労評価部30は、ドライバの疲労具合を効果的に評価することができる。
【0113】
さらに第3統計情報は、単位時間あたりにおいて速度情報の統計指標が第4基準を満たした回数に関する情報を含んでいる。これにより、長時間運転の影響によりドライバの疲労が蓄積していく様子をより簡易に観測することができる。そのため、ドライバの疲労の経時的変化をより精度よく評価することができる。
【0114】
さらに上記統計指標は、分散を含んでいる。これにより、車両の速度のムラの増減を簡易に観測することができる。
【0115】
第3実施形態に係る所定区間も、移動体の加速度が第1基準を満たす区間である。第1実施形態でも説明したが、例えば、都市部では、交通量及び信号の数が、地方部に比べて多いため、停車する回数が地方部に比べて多くなり、かつ、連続して止まらずに走行する時間が地方部に比べて短くなる。停車や発進など、移動体が過渡的な挙動を示す区間以外の区間で、第3統計情報を算出部20が算出することにより、都市部/地方部によらず(ドライバが運転する場所によらず)ドライバの疲労を一律に評価することができる。
【0116】
第1実施形態でも説明したが、所定区間は、移動体の速度が第2基準を満たす区間であることが好ましい。従来技術(例えば特許文献1及び特許文献2)におけるドライバの疲労評価手法では、道路環境及び周辺車両環境などの外部環境の影響により、ドライバの疲労状態を精度よく評価できない場合があった。道路環境とは、例えば、信号の数、一旦停止の数、交通量の大小、及び走行する車両の種類(大型トラック、普通自動車、及び小型バイクなど)などである。周辺車両環境とは、具体的には、ドライバの車両の周辺を走行する車両(=周辺車両)の有無、周辺車両の運転挙動、及びドライバの車両と周辺車両との車間距離などである。
【0117】
巡航走行区間(=所定区間)における速度情報の第3統計情報を、ドライバの疲労を評価するための情報として用いることにより、外部環境(道路環境及び周囲車両環境など)から影響を受けることなく、ドライバの疲労を適切に評価することができる。すなわち、(急)停車、(急)加速、(急)減速、及び(急)発進など、移動体が過渡的な挙動を示す区間ではない区間における統計情報(=第3統計情報)を用いることにより、信号や交通量が多い都市部であっても、信号や交通量が都市部より少ない地方部であっても、一律にドライバの疲労を評価することができる。そのため、ドライバが運転する場所によらず、ドライバの疲労を一律に評価することができる。
【0118】
さらに、ドライバがある一定の速さをキープしたまま走行を継続する区間(以下、「巡航走行区間」とする)は、どんな行路であっても存在するため、どんな行路でもドライバの疲労を評価することができる。
【0119】
ドライバが巡航走行しようとする際は、ドライバは車両の速度を安定させようとする。一般的に、巡航走行区間において、ドライバの疲労がたまっていないときは、車両の速度のムラは小さく(巡航速度の安定度が高く)、ドライバの疲労が蓄積しているときは、外部環境の変化に対し緩慢になるため一定速に制御できず、車両の速度のムラは大きい(巡航速度の安定度が小さい)。
【0120】
巡航速度の安定度は、周辺車両によって影響されにくく、道路環境(登り坂、下り坂、カーブ、及び道幅など)の変化に応じたドライバの予測力・認知力・判断力が総合的に評価される指標である。そして当該指標(=巡航速度の安定度(=巡航走行区間における速度の分散値))をドライバの疲労を評価する指標として用いることにより、ドライバの疲労が蓄積していく様子を詳細に観測することができる。
【0121】
また、第2基準は、移動体が走行する道路ごとに設定されていることが好ましい。移動体が走行する道路ごと(制限速度や法定速度がある道路ごと)に、当該道路に適した第2基準を設けることにより、より適切にドライバの疲労を評価することができる。
【0122】
第1実施形態でも説明したが、所定区間は、移動体の速度が第3基準以上の区間でもよい。例えば、移動体の加速度が第1基準を満たす区間であっても、車両が渋滞に巻き込まれてゆっくり走行しているときや車両が停車しているときは、第3統計情報を算出するのに不適である。所定区間が、移動体の速度が第3基準以上の区間であることにより、より効果的にドライバの疲労を一律に評価することができる。
【0123】
また、第3基準は、移動体が走行する道路ごとに設定されていてもよい。移動体が走行する道路ごと(制限速度や法定速度がある道路ごと)に、当該道路に適した第3基準を設けることにより、より適切にドライバの疲労を評価することができる。
【0124】
所定区間は、移動体の速度が第2基準を満たす区間であり、第2基準は、移動体が走行する道路ごとに設定されており、第4基準は、当該道路ごとに設定されている。これにより、第4基準を適切に設定することができる。そのため、より効果的にドライバの疲労を評価することができる。
【0125】
情報処理装置1は、記憶処理部40をさらに備えている。これにより、ドライバは過去の第3統計情報を確認することができる。そのため、ドライバは自身の疲労具合を客観的に把握することができる。さらに、自身の疲労具合の年齢による変化も客観的に把握することができる。これにより、歳をとるごとに疲れやすくなっていることを客観的に認識しうる。
【0126】
[第4実施形態]
図14は、第4実施形態に係る情報処理装置1の概略を示すブロック図である。第4実施形態に係る情報処理装置1は、図7に示す第2実施形態に係る情報処理装置1と異なり、出力制御部60と、ドライバ情報取得部70と、ルート設定部80とをさらに備えている。
【0127】
(出力制御部60)
第4実施形態に係る出力制御部60は、レコメンド情報を出力させる。出力制御部60は、レコメンド情報を通信端末3に出力させてもよいし、車載装置(図示しない)に出力させてもよい。
【0128】
レコメンド情報は、休憩に関する休憩情報、及びドライバへ注意喚起するアラート情報の少なくとも一方を含んでいる。休憩情報は、例えば、「そろそろ休憩しませんか?」などの音声情報(テキスト情報)を含む。アラート情報は、例えば、「疲れているので運転するのは危険です」などの音声情報(テキスト情報)や、警告音などの音情報を含む。上記休憩情報及び上記アラート情報は、音声出力されてもよいし、画面出力されてもよい。画面出力される際は、通信端末3のディスプレイに出力されてもよい。
【0129】
出力制御部60は、第1統計情報、第2統計情報、及び第3統計情報の少なくとも一つを用いてレコメンド情報の出力のタイミングを決定する。出力制御部60は、ドライバの疲労が蓄積したタイミングで、レコメンド情報を出力させてもよい。また、出力制御部60は、疲労評価部30がドライバの疲労を評価した結果を用いて、レコメンド情報の出力のタイミングを決定してもよい。
【0130】
(ドライバ情報取得部70)
ドライバ情報取得部70は、ドライバに関するドライバ情報を取得する。ドライバ情報は、当該ドライバの過去の第1統計情報、第2統計情報、及び第3統計情報の少なくとも一つを含んでいてもよい。この場合、ドライバ情報取得部70は、記憶部2から当該ドライバの過去の第1統計情報、第2統計情報、及び第3統計情報の少なくとも一つを取得してもよい。
【0131】
また、ドライバ情報は、補正情報を含んでいてもよい。補正情報は、ドライバに合わせて第4基準を補正する情報である。疲労のたまりやすさはドライバごとによって様々であるので、第4基準は、ドライバごとに異なる基準であってもよい。例えば、あるドライバが疲れにくいドライバであることが当該ドライバの過去の第3統計情報から確認できる場合、補正情報を用いて、当該疲れにくいドライバに合わせて、標準よりも高い基準になるように第4基準を補正してもよい。
【0132】
なお、ドライバ情報取得部70は、ドライバが所有する通信端末3から、ドライバに関するドライバ情報を取得してもよい。この場合、ドライバ情報は、ドライバの年齢、性別、職業、運動習慣、及び平均睡眠時間の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0133】
出力制御部60は、上記ドライバ情報を用いて、レコメンド情報の出力のタイミングを決定する。これにより、ドライバごとにレコメンド情報の出力のタイミングを調整することができる。
【0134】
(ルート設定部80)
ルート設定部80は、休憩情報を用いて、休憩場所までのルートを設定する。休憩情報は、ドライバが休憩できる休憩場所の位置情報を含んでいる。ルート設定部80は、当該位置情報を用いて、休憩場所までのルートを設定する。出力制御部60は、休憩場所までのルートを通信端末3に音声出力又は画面出力させることにより、ルート案内させてもよい。また、「そろそろ休憩しませんか?」という休憩情報に対して、ドライバが「はい」と意思表示した場合、ルート設定部80は、休憩場所までのルートを自動で設定してもよい。
【0135】
以上、第4実施形態によれば、情報処理装置1は、出力制御部60をさらに備えている。出力制御部60が第1統計情報、第2統計情報、及び第3統計情報の少なくとも一つを用いてレコメンド情報の出力のタイミングを決定することにより、一律のタイミング(例えば運転開始してから2時間)ではなく、ドライバに疲労が蓄積したタイミングで、ドライバに休憩を促したり、疲労がたまっていることの注意喚起をしたりすることができる。これにより、ドライバの疲労蓄積に起因する交通事故を減らすことができる。
【0136】
さらにドライバ情報取得部70は、ドライバに関するドライバ情報を取得し、出力制御部60は、ドライバ情報を用いて、出力のタイミングを決定する。これにより、ドライバの属性やドライバの過去の情報に基づいて、レコメンド情報を出力することができる。そのため、ドライバの個人それぞれに適したタイミングでレコメンド情報を出力することができる。
【0137】
第4実施形態に係る第3統計情報は、単位時間あたりにおいて速度情報の統計指標が第4基準を満たした回数を含み、ドライバ情報は、ドライバに合わせて第4基準を補正する補正情報を含んでいる。これにより、ドライバの過去のデータに基づいて、第4基準をドライバ個人に合わせて補正することができる。そのため、ドライバに効果的にレコメンド情報を出力することができる。
【0138】
さらにルート設定部80は、休憩情報を用いて休憩場所までのルートを設定する。これにより、ドライバに疲労がたまったときにスムーズに休憩スポットまで案内することができる。
【0139】
以上、図面を参照して実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0140】
実施形態において、疲労評価部30は、第1統計情報、第2統計情報、及び第3統計情報の少なくとも1つを用いて、ドライバの疲労を評価してもよい。
【0141】
記憶処理部40は、第1統計情報、第2統計情報、及び第3統計情報の少なくとも1つを、ドライバに紐づけて記憶部2に蓄積して記憶させてもよい。この場合、ドライバ情報取得部70が、ドライバの所有する通信端末3からドライバ情報を取得し、当該ドライバ情報と第1統計情報、第2統計情報、及び第3統計情報の少なくとも1つとを紐づけて記憶させてもよい。
【0142】
実施形態において、加速度情報取得部10は、加速度センサ(図示しない)より、加速度情報を取得していたが、移動体内の通信端末3より、加速度情報を取得してもよい。この場合、通信端末3に搭載された加速度センサより、加速度情報を取得してもよいし、通信端末3に搭載された位置情報センサ(通信端末3の位置情報をGNSS(Global Navigation Satellite System)により取得)より生成された通信端末3の位置情報から、加速度情報を取得してもよい。
【0143】
実施形態において、速度情報取得部50は、速度センサ(図示しない)より、速度情報を取得していたが、移動体内の通信端末3より、速度情報を取得してもよい。この場合、通信端末3に搭載された速度センサより、速度情報を取得してもよいし、通信端末3に搭載された位置情報センサより生成された通信端末3の位置情報から、速度情報を取得してもよい。
【0144】
速度情報取得部50(又は加速度情報取得部10)、算出部20、及び疲労評価部30の全てが、情報処理装置1でなく、通信端末3に含まれていてもよい。この場合、各機能(速度情報取得部50(又は加速度情報取得部10)、算出部20、及び疲労評価部30)を実現するプログラムモジュールが、通信端末3が有する記憶部に記憶されていてもよい。速度情報取得部50(又は加速度情報取得部10)、算出部20、及び疲労評価部30の全てが、情報処理装置1でなく、通信端末3に含まれている構成とすることで、わざわざ情報処理装置1を設ける必要がなく、既存の通信端末(例えばドライバが所有するスマートフォン)で、ドライバの疲労評価システムを構成することができる。これにより、簡易にシステムを構成できる。
【0145】
また、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0146】
以下、参考形態の例を付記する。
1. 移動体の加速度に関する加速度情報を繰り返し取得する加速度情報取得部と、
前記加速度情報を用いて、所定区間における前記加速度情報の第1統計情報を算出する算出部と、
前記第1統計情報を用いて前記移動体のドライバの疲労を評価する疲労評価部と、を備える、情報処理装置。
2. 1.に記載の情報処理装置において、
前記第1統計情報は、前記加速度情報の統計指標の時間変化に関する情報を含む、情報処理装置。
3. 1.又は2.に記載の情報処理装置において、
前記第1統計情報は、前記加速度情報の分散に関する情報を含む、情報処理装置。
4. 1.から3.のいずれか1つに記載の情報処理装置において、
前記移動体の速度に関する速度情報を繰り返し取得する速度情報取得部をさらに備え、
前記算出部は、前記速度情報及び前記加速度情報を用いて前記所定区間における前記速度情報及び前記加速度情報の第2統計情報を算出し、
前記疲労評価部は、前記第2統計情報をさらに用いて、前記移動体のドライバの疲労を評価する、情報処理装置。
5. 4.に記載の情報処理装置において、
前記第2統計情報は、前記速度情報及び前記加速度情報の統計指標の時間変化に関する情報を含む、情報処理装置。
6. 4.又は5.に記載の情報処理装置において、
前記第2統計情報は、前記加速度情報及び前記速度情報の共分散に関する情報を含む、情報処理装置。
7. 1.から6.のいずれか1つに記載の情報処理装置において、
前記所定区間は、前記移動体の加速度が第1基準を満たす区間である、情報処理装置。
8. 1.から7.のいずれか1つに記載の情報処理装置において、
前記所定区間は、前記移動体の速度が第2基準を満たす区間である、情報処理装置。
9. 8.に記載の情報処理装置において、
前記第2基準は、前記移動体が走行する道路ごとに設定されている、情報処理装置。
10. 7.から9.のいずれか1つに記載の情報処理装置において、
前記所定区間は、前記移動体の速度が第3基準以上の区間である、情報処理装置。
11. 10.に記載の情報処理装置において、
前記第3基準は、前記移動体が走行する道路ごとに設定されている、情報処理装置。
12. 1.から11.のいずれか1つに記載の情報処理装置において、
休憩に関する休憩情報、及び前記ドライバへ注意喚起するアラート情報の少なくとも一方を含むレコメンド情報を出力させる出力制御部をさらに備え、
前記出力制御部は、前記第1統計情報を用いて前記レコメンド情報の出力のタイミングを決定する、情報処理装置。
13. 12.に記載の情報処理装置において、
前記ドライバに関するドライバ情報を取得するドライバ情報取得部をさらに備え、
前記出力制御部は、前記ドライバ情報を用いて、前記レコメンド情報の出力のタイミングを決定する、情報処理装置。
14. 12.又は13.に記載の情報処理装置において、
前記休憩情報を用いて休憩場所までのルートを設定するルート設定部をさらに備える、情報処理装置。
15. 1.から14.のいずれか1つに記載の情報処理装置において、
前記算出部が算出した前記第1統計情報を蓄積して記憶させる記憶処理部をさらに備える、情報処理装置。
16. 1.から15.のいずれか1つに記載の情報処理装置において、
前記加速度情報は、前記移動体のアクセル及びブレーキの操作情報の少なくとも一方を用いて生成される、情報処理装置。
17. 情報処理装置を実現するコンピュータが、
移動体の加速度に関する加速度情報を繰り返し取得し、
前記加速度情報を用いて、所定区間における前記加速度情報の第1統計情報を算出し、
前記第1統計情報を用いて前記移動体のドライバの疲労を評価する、情報処理方法。
18. 情報処理装置を実現するコンピュータに、
移動体の加速度に関する加速度情報を繰り返し取得する手順、
前記加速度情報を用いて、所定区間における前記加速度情報の第1統計情報を算出する手順、
前記第1統計情報を用いて前記移動体のドライバの疲労を評価する手順、を実行させるためのプログラム。
19. 通信端末を実現するコンピュータに、
移動体の加速度に関する加速度情報を繰り返し取得する手順、
前記加速度情報を用いて、所定区間における前記加速度情報の第1統計情報を算出する手順、
前記第1統計情報を用いて前記移動体のドライバの疲労を評価する手順、を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0147】
1 情報処理装置
2 記憶部
3 通信端末
10 加速度情報取得部
20 算出部
30 疲労評価部
40 記憶処理部
50 速度情報取得部
60 出力制御部
70 ドライバ情報取得部
80 ルート設定部
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