(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058486
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/10 20060101AFI20240418BHJP
B65D 5/02 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
B65D5/10 J
B65D5/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165892
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏川 準司
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA05
3E060BA08
3E060BC02
3E060CG12
3E060CG23
3E060DA13
3E060DA18
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】差込片が差込穴から抜け難く、胴部の開口部の閉状態を好適に維持する包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1であって、胴部10、底壁20及び頂壁30を備えている。底壁20及び頂壁30の少なくとも一方の壁は、少なくとも一箇所で側部フラップ22の外面に端部フラップ21が重ねられている。重ねられた箇所において、側部フラップ22に差込穴24が形成され、差込穴24に係止片24bが形成されている。また、重ねられた箇所において、端部フラップ21に、差込穴24に差し込まれる差込片23が形成されている。差込片23には、側部フラップ22の先端部に向けて突出する係止部27が形成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後の端壁及び左右の側壁を有する胴部と、
前記胴部の下側開口部を閉じている底壁と、
前記胴部の上側開口部を閉じている頂壁と、を有し、
前記底壁及び前記頂壁の少なくとも一方は、前記両端壁の縁部にそれぞれ連設された前後の端部フラップと、前記両側壁の縁部にそれぞれ連設された左右の側部フラップと、を備え、
前記両端部フラップ及び前記両側部フラップは、少なくとも一箇所で前記側部フラップの外面に前記端部フラップが重ねられており、
前記側部フラップの外面に前記端部フラップが重ねられた箇所において、前記側部フラップには、前記側部フラップの基端部側から前記側部フラップの先端側に延在する差込穴と、前記差込穴における前記側部フラップの先端側の縁部から前記差込穴内に向けて突出する係止片と、が形成されており、
前記側部フラップの外面に前記端部フラップが重ねられた箇所において、前記端部フラップには、前記差込穴に差し込まれる差込片が形成されており、
前記差込片には、前記側部フラップの先端部に向けて突出する係止部が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記差込穴の前記縁部には、前記側部フラップの内面側に前記係止片を折り曲げるための係止片折曲げ誘導線が形成されており、
前記係止片折曲げ誘導線は、前記側部フラップの基端部側の縁部に対して傾斜する部分を少なくとも一部有していることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記係止片の前記差込穴に面する側縁部は、曲線を有することを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項4】
ブランクシートの状態において、前記差込穴には、差込穴開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項5】
前記差込穴は、前記差込片の差込方向手前側から差込方向奥側に延在する蓋部を有することを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項6】
前記差込片の側方には、前記側部フラップの先端部側の外面に重ねられる中央片が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項7】
少なくとも一つの隣り合う前記端壁と前記側壁との間に、傾斜壁が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール製の包装箱としては、筒状の胴部と、胴部に折り曲げ自在に連設されたフラップと、を備え、フラップに設けられたロック構造によって胴部の開口部を閉じるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
フラップのロック構造は、フラップ同士が上下に重なる部分に設けられており、上側のフラップに形成された差込片と、下側のフラップに形成され差込穴とを備えている。この包装箱では、差込穴内に突出する押圧部により差込片が押さえられることで、差込穴に差込片が保持されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の包装箱は、差込穴の押圧部の内側に差込片が重なることにより差込片が押さえられる構造であるため、外力が作用するなどして、差込片が外れる方向にスライドした場合に、差込穴から差込片が抜けるおそれがあった。
特に、包装箱の底壁に従来のロック構造を採用した場合には、包装箱を置く、持ち上げる等の際に、差込片のスライドが誘発されるような力が作用し易いため、差込穴から差込片が抜け易かった。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、差込片が差込穴から抜け難く、胴部の開口部の閉状態を好適に維持することができる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明の包装箱は、前後の端壁及び左右の側壁を有する胴部と、前記胴部の下側開口部を閉じている底壁と、前記胴部の上側開口部を閉じている頂壁と、を有し、前記底壁及び前記頂壁の少なくとも一方は、前記両端壁の縁部にそれぞれ連設された前後の端部フラップと、前記両側壁の縁部にそれぞれ連設された左右の側部フラップと、を備えている。前記両端部フラップ及び前記両側部フラップは、少なくとも一箇所で前記側部フラップの外面に前記端部フラップが重ねられている。前記側部フラップの外面に前記端部フラップが重ねられた箇所において、前記側部フラップには、前記側部フラップの基端部側から前記側部フラップの先端部側に延在する差込穴と、前記差込穴における前記側部フラップの先端部側の縁部から前記差込穴内に向けて突出する係止片と、が形成されている。前記側部フラップの外面に前記端部フラップが重ねられた箇所において、前記端部フラップには、前記差込穴に差し込まれる差込片が形成されている。前記差込片には、前記側部フラップの先端部に向けて突出する係止部が形成されている。
【0007】
本発明の包装箱では、端部フラップの差込片を側部フラップの差込穴に差し込んだ際に、例えば、係止片に対して差込片の係止部を当接させることができる。このような当接によって、差込片の差込方向と反対方向に差込片が移動することを規制することができる。つまり、差し込み後に、外力が作用して差込方向と反対方向に差込片が引っ張られても、当接状態が維持され易く、差込片が抜け難い。したがって、胴部の開口部の閉状態を好適に維持することができる。
【0008】
また、前記差込穴の前記縁部には、前記側部フラップの内面側に前記係止片を折り曲げるための係止片折曲げ誘導線が形成されており、前記係止片折曲げ誘導線は、前記側部フラップの基端部側の縁部に対して傾斜する部分を少なくとも一部有していることが好ましい。
【0009】
この構成では、差込片を差込穴に差し込む際に、係止片折曲げ誘導線により側部フラップの内面側に係止片が折り曲げ易くなり、差込片の差し込み作業が行い易くなる。また、係止片折曲げ誘導線により側部フラップの内面側に係止片が折り曲げられて好適に突出するので、例えば、係止片に対して差込片を当接させ易くなる。
【0010】
また、前記係止片の前記差込穴に面する側縁部が曲線を有することで、差込穴に対する差込片の差し込みがスムーズになる。
【0011】
この構成では、側部フラップの内面側に係止片が折り曲げられた際に係止片の対向縁部が露出するようになる。したがって、差込穴に対する差込片のスムーズな差し込みを確保しつつ、例えば、対向縁部に対して差込片の係止部を当接させ易くなる。
【0012】
また、ブランクシートの状態において、前記差込穴に、差込穴開口部が形成されていることで、差込片を差込穴に差し込む際に、差込穴開口部を利用して差込片を差し込むことができる。したがって、差込片の差し込み作業が行い易い。
【0013】
また、前記差込穴が前記差込片の差込方向手前側から差込方向奥側に延在する蓋部を有することで、ブランクシートの切り抜きをスムーズに行うことができる。また、差込穴に差込片を差し込む際に、側部フラップの内面側に折り曲げられた蓋部に沿って差込片を差し込むことができ、蓋部をガイド部材として機能させることができる。したがって、差込片の差し込み作業が行い易い。
【0014】
また、前記差込片の側方に、前記側部フラップの先端部側の外面に重ねられる中央片が形成されていることが好ましい。
【0015】
この構成では、中央片が側部フラップの外面の押え部として機能するので、側部フラップが開くことを好適に防止できる。したがって、胴部の開口部の閉状態の維持に寄与する。
【0016】
前記した包装箱において、少なくとも一つの隣り合う前記端壁と前記側壁との間に、傾斜壁を形成することで、胴部を五角形、六角形または八角形などの多角形の筒状に形成できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の包装箱では、差込片が差込穴から抜け難く、胴部の開口部の閉状態を好適に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱を前方右上から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示した図であり、(a)は端部フラップを示した下面図、(b)は両側部フラップを示した下面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る包装箱に備わる差込穴を示す図であり、閉じられた状態から押し開かれた状態を下面側から見た斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る包装箱の差込穴に対する差込片の係止状態を示した下面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る包装箱の底壁を閉じる際の様子を示した斜視図である。
【
図7】(a)(b)は本発明の第1実施形態に係る包装箱の差込穴に対する差込片の係止状態を示した拡大斜視図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る包装箱の変形例のブランクシートを示した図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る包装箱の変形例における両側部フラップを示した下面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る包装箱を前方右上から見た斜視図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係る包装箱を示した図であり、(a)は端部フラップを示した下面図、(b)は両側部フラップを示した下面図である。
【
図13】本発明の第2実施形態に係る包装箱に備わる差込穴を示す図であり、閉じられた状態から押し開かれた状態を下面側から見た斜視図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る包装箱の差込穴に対する差込片の係止状態を示した下面図である。
【
図15】(a)(b)は本発明の第2実施形態に係る包装箱の差込穴に対する差込片の係止状態を示した拡大斜視図である。
【
図16】本発明の第2実施形態に係る包装箱の変形例のブランクシートを示した図である。
【
図17】本発明の第2実施形態に係る包装箱の変形例における両側部フラップを示した下面図である。
【
図18】本発明の第3実施形態に係る包装箱を前方右上から見た斜視図である。
【
図19】本発明の第3実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【
図20】本発明の第3実施形態に係る包装箱を示した図であり、(a)は端部フラップを示した下面図、(b)は両側部フラップを示した下面図である。
【
図21】本発明の第3実施形態に係る包装箱に備わる差込穴を示す図であり、閉じられた状態から押し開かれた状態を下面側から見た斜視図である。
【
図22】本発明の第3実施形態に係る包装箱の差込穴に対する差込片の係止状態を示した下面図である。
【
図23】(a)(b)は本発明の第3実施形態に係る包装箱の差込穴に対する差込片の係止状態を示した拡大斜視図である。
【
図24】本発明の第3実施形態に係る包装箱の変形例のブランクシートを示した図である。
【
図25】本発明の第4実施形態に係る包装箱を前方右上から見た斜視図である。
【
図26】本発明の第4実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【
図27】本発明の第5実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【
図28】本発明の第5実施形態に係る包装箱の両側部フラップを示した下面図である。
【
図29】本発明の第6実施形態に係る包装箱を前方右上から見た斜視図である。
【
図30】本発明の第6実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【
図31】本発明の第6実施形態に係る包装箱を示した図であり、(a)は端部フラップを示した下面図、(b)は両側部フラップを示した下面図である。
【
図32】本発明の第6実施形態に係る包装箱の差込穴に対する差込片の係止状態を示した下面図である。
【
図33】本発明の実施形態に係る包装箱の第1変形例のブランクシートを示した図である。
【
図34】本発明の実施形態に係る包装箱の第2変形例のブランクシートを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向は、実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、本発明の包装箱の構成を限定するものではない。なお、実施形態では、底壁と頂壁とにおけるロック構造は同一であるので、以下では底壁におけるロック構造を例にして説明する。また、各実施形態や変形例において同一の部分には同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0020】
(第1実施形態)
包装箱1は、
図1に示すように、角筒状の胴部10と、胴部10の縁部となる下縁部に連設された底壁20と、胴部10の縁部となる上縁部に連設された頂壁30と、を備えている。包装箱1は、A式の段ボール箱である。底壁20は、後記するように、側部フラップ22と端部フラップ21(
図2,
図3(a)参照)とからなり、側部フラップ22に形成された差込穴24に、端部フラップ21に形成された差込片23を差し込むことで、側部フラップ22と端部フラップ21とが係止されるように構成されている。差込片23及び差込穴24は、ロック構造を構成している。
【0021】
包装箱1は、
図2に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS1を各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図2に示すブランクシートS1は内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートS1の各罫線(折線)は、ブランクシートS1の表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、罫線に切れ込みを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートS1が折り曲げ易くなる。
【0022】
胴部10は、
図1に示すように、前後一対の端壁11,12と、左右一対の側壁13,14とを有している。前端壁11,後端壁12及び左側壁13,右側壁14は、それぞれ四角形の側板である。
【0023】
前端壁11の左縁部には、罫線を介して左側壁13が連設されている。また、前端壁11の右縁部には、罫線を介して右側壁14が連設されている。また、右側壁14の後縁部には、罫線を介して後端壁12が連設されている。また、左側壁13の後縁部には、罫線を介して帯状の接合片15が連設されている。接合片15は、後端壁12の左端部の内面にホットメルト等の接着手段によって接合されている。
【0024】
そして、ブランクシートS1(
図2参照)を各罫線で折り曲げると、前端壁11,後端壁12、左側壁13,右側壁14によって、四角形の角筒状の胴部10が形成される。
【0025】
底壁20は、
図1に示すように、胴部10の下側開口部を閉じている。底壁20は、前端壁11,後端壁12の下縁部L11,L12に連設された前後の端部フラップ21,21と、左側壁13,右側壁14の下縁部L13,L14に連設された左右の側部フラップ22,22と、を備えている。前後の端部フラップ21,21は、左右の側部フラップ22,22の前部外面及び後部外面に重ねられている。
【0026】
前側の端部フラップ21は、
図3に示すように、前端壁11の下縁部L11から後方に向けて延びている。後側の端部フラップ21は、図示はしないが、後端壁12の下縁部L12から前方に向けて延びている。
【0027】
端部フラップ21,21は、同形状であるので、ここでは、
図3(a)を参照して前側の端部フラップ21を例にとって説明する。
図3(a)に示すように、端部フラップ21は、基部21aと、基部21aに連続する先端部21bとを備えている。基部21aと先端部21bとは、左右方向に亘って形成された端部フラップ折曲げ誘導線L21(以下、単に折曲げ誘導線L21という)を介して連続している。折曲げ誘導線L21は、ブランクシートS1の表面(内面)を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。折曲げ誘導線L21は、下縁部L11と平行である。端部フラップ21は、折曲げ誘導線L21を介して山折りされる(
図6参照)。これによって、包装箱1の組立時に先端部21bが側部フラップ22,22の差込穴24,24に向けて傾斜可能となっている。なお、折曲げ誘導線L21に切れ込みを形成することで、山折りし易くなる。
【0028】
基部21aは、
図3(a)に示すように、横長四角形状を呈している。先端部21bの先端には、左右の差込片23,23の間に配置された中央片25が形成されている(
図2参照)。各差込片23,23は、
図5に示すように、側部フラップ22,22に設けられた差込穴24,24に対して差し込まれている。差込片23が差込穴24に差し込まれることで、差込片23が差込穴24に係止され、底壁20の閉状態(側部フラップ22,22に端部フラップ21,21が重なった状態)が維持される。一方、中央片25は、差込片23,23を差込穴24,24に差し込んだ状態で、側部フラップ22,22の外面に配置される。
【0029】
左右の差込片23,23は、
図3(a)に示すように、線対称となるように配置されている。差込片23は、先端に向けて凸となる略台形状を呈している。これにより、差込片23は、差込穴24(
図3(b)参照)に対して差し込み易い形状となっている。
図3(a)において、二点鎖線R1で示した領域が差込片23である。
【0030】
差込片23は、略台形状の上底となる先端縁部23bと、先端縁部23bの外側端に連続する外側斜縁部23aと、先端縁部23bの内側端に連続する内側斜縁部23cとを備えている。先端縁部23bは、下縁部L11と平行である。外側斜縁部23aは、先端縁部23bの外側端を始端とし、先端部21bの側部に向けて延びている。外側斜縁部23aの終端は、先端部21bの左右の縁部に設けられた肩部21cに繋がっている。内側斜縁部23cは、先端縁部23bの内側端を始端とし、先端部21bの左右方向の中央部に向けて延びている。なお、先端縁部23bは、下縁部L11と平行の場合に限らず、外側斜縁部23aと内側斜縁部23cを結ぶ形状であればよく、直線状のものの他、曲線状であってもよい。また、肩部21cを有さず、外側斜縁部23aの終端が端部フラップ21の側縁(端辺)に繋がっていてもよい。
【0031】
内側斜縁部23cの終端には、切込23dが連続して形成されている。切込23dは、内側斜縁部23cの終端を始端とし、アール状に折り返されて基部21aの側縁に向けて延びている。切込23dの終端は、先端部21bの前後方向の中央部に至らず、先端部21bの前後方向の中央部から幾分先端側に位置している。切込23dは、隣接する中央片25との間に形成されており、差込片23と中央片25とを区画している。そして、切込23dのアール状に折り返された部分(弧状を呈する部分)は、中央片25の左右側部の内側に入り込むように突出している。これにより、差込片23の中央片25側の側部には、切込23dで区画された山形状の係止部27が形成されている。係止部27は、差込片23を差込穴24に差し込むと、側部フラップ22の先端部に向けて突出している。なお、切込23dの形成位置は、包装箱1の縦横比や包装箱1の用途等によって、適宜変更することができる。
【0032】
中央片25は、左右の切込23d,23dで差込片23,23と区画されている。
図3(a)において、二点鎖線R2で示した領域が中央片25である。
中央片25の先端縁部25bは、下縁部L11と平行である。また、下縁部L11から両差込片23,23の先端縁部23bまでの長さと、下縁部L11から中央片25の先端縁部25bまでの長さと、が同じ大きさに形成されている。つまり、両差込片23,23の先端縁部23bと中央片25の先端縁部25bとは、左右方向に直線状に揃っている(
図2参照)。なお、先端縁部25bは、下縁部L11と平行の場合に限らず、中央片25の先端部を成す形状であればよく、直線状のものの他、曲線状であってもよい。また、両差込片23,23の先端縁部23bと中央片25の先端縁部25bとは、左右方向に直線状に揃っていなくてもよい。
【0033】
中央片25の先端縁部25bの左右端部には、弧状の角縁部25c,25cが連続している。なお、角縁部25c,25cは、弧状に限らず、曲線状や直線状、角状等であってもよい。角縁部25cの終端は、差込片23の内側斜縁部23cに接している。これにより、中央片25の左右の両側には、角縁部25c、差込片23の内側斜縁部23c及び切込23dで区画された突出部26が形成されている。突出部26は、左右の差込片23,23の最内端よりも外側に突出している。突出部26は、中央片25の先端側に形成され、差込片23の係止部27は、突出部26よりも基端部側(基部21a側)に形成されている。
【0034】
中央片25の先端縁部25bの中央部には、半円凹状の指掛け部25aが形成されている。指掛け部25aは、側部フラップ22,22同士の突合せ部分の外面に位置している(
図5参照)。
なお、角縁部25cの終端(内側斜縁部23cに接する部分)は、孤状に形成してもよい。このように構成することで、ブランクシートS1の切り抜きをスムーズに行うことができる。
【0035】
左側の側部フラップ22は、
図1に示すように、左側壁13の下縁部L13から右方に向けて延びている。右側の側部フラップ22は、右側壁14の下縁部L14から左方に向けて延びている。左右の側部フラップ22,22は、中央部で突き合わされている。
【0036】
各側部フラップ22,22の前部及び後部には、左右の差込穴24,24が形成されている。各差込穴24,24は、端部フラップ21,21の各差込片23,23に対応して設けられている。各差込穴24,24は、ブランクシートS1の状態において、蓋部24a及び係止片24bで閉じられており、これらを押し込むことで開口する。なお、包装箱1の状態において、各差込穴24,24の開口は、差し込まれた差込片23,23により閉じられている。
【0037】
蓋部24aは、
図3(b)に示すように、折曲げ誘導線241と、第一破断線242と、第二破断線242aの一部と、第三破断線244と、第四破断線24cの一部と、で囲まれた部分である。蓋部24aは、差込片23の差込方向X1の手前側から差込方向X1の奥側に延在している。また、係止片24bは、第二破断線242aの一部と、係止片折曲げ誘導線243と、第四破断線24cと、で囲まれた部分である。係止片24bは、差込穴24における側部フラップ22の先端部側(一端部側)の縁部(係止片折曲げ誘導線243)から差込穴24内に向けて突出している。
【0038】
折曲げ誘導線241及び係止片折曲げ誘導線243は、ブランクシートS1の表面(内面)を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。折曲げ誘導線241には、断続的に形成されたミシン目状の切れ込みが形成されている。なお、切れ込みの間隔や形状は、限定されるものではない。また、切れ込みは必ずしも形成しなくてもよい。第一破断線242、第二破断線242a、第三破断線244及び第四破断線24cは、いずれもブランクシートS1(
図2参照)を貫通する連続的な切れ込みである。なお、各破断線242,242a,244,24cは、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の破断線であってもよく、その間隔や形状は限定されるものではない。この場合、切れ込みの間隔や形状は、差込片23を差し込む際に各破断線が切り離されて蓋部24aが折り曲げられる程度のものであればよい。
【0039】
差込穴24は、
図4に示すように、蓋部24aを各破断線242,242a,244,24cで切り離しつつ、折曲げ誘導線241で側部フラップ22の内面側へ山折りし、かつ、係止片24bを各破断線242a,24cで切り離しつつ、係止片折曲げ誘導線243で側部フラップ22の内面側へ山折りすることで開口する。
なお、折曲げ誘導線243の前後方向の長さは、第四破断線24cの前後方向の長さよりも大きいので、折曲げ誘導線243で山折りされ易い。したがって、後記するように差込穴24に対して差込片23を差し込む際の作業が行い易い。
以下、差込穴24の説明において、側部フラップ22,22同士の突合せ部に近い側を「一端部」と表記し、これとは反対側を「他端部」と表記する。
【0040】
折曲げ誘導線241は、
図3(b)に示すように、差込片23の差込方向X1と略直交する方向に対して幾分傾斜する方向に延在する直線状の誘導線である。これにより、折曲げ誘導線241の一端部は、他端部に比べて幾分、差込方向X1にずれた位置にある。このように、折曲げ誘導線241が傾斜していることで、後記するように差込穴24に対して差込片23を差し込む際に、折曲げ誘導線241に沿って他端部側から一端部側に差込片23の差し込みみが進行する。したがって、差込片23の差し込み作業が行い易い。なお、折曲げ誘導線241は、差込方向X1と直交するように形成してもよい。折曲げ誘導線241の一端部は、第四破断線24cに接続している。
【0041】
第三破断線244は、下縁部L13(L14)の極近傍位置となる側部フラップ22の面内(側部フラップ22の内側)において、折曲げ誘導線241の他端部を始端とし、折曲げ誘導線241の他端部から下縁部L13(L14)に沿って差込方向X1に延在している。なお、第三破断線244は、下縁部L13(L14)上に形成してもよい。また、第三破断線244は、折曲げ誘導線241の他端部よりも前側寄りの位置を始端としてもよいし、下縁部L13(L14)や下縁部L13(L14)の極近傍位置ではなく、一端部側に若干ずれた位置や下縁部L13(L14)から一端部側に所定距離を空けた位置に形成してもよい。
【0042】
第一破断線242は、第三破断線244の終端に連続して形成されており、折曲げ誘導線241と対向配置されている。第一破断線242は、折曲げ誘導線241の傾斜に対応して、差込片23の差込方向X1と略直交する方向に対して幾分傾斜する方向に延在している。本実施形態では、第一破断線242の傾斜を折曲げ誘導線241の傾斜よりも幾分大きくしている。
【0043】
第二破断線242aは、第一破断線242の一端部に連続して形成されている。第二破断線242aは、第一破断線242に対して差込片23の差込方向X1にさらに傾斜して延在している。第二破断線242aは、蓋部24aの一端部及び係止片24bの対向縁部24dを形成する直線状の破断線である。対向縁部24dは、第二破断線242aを切り開くことで形成される縁部であり、
図3(b),
図4に示すように、差込片23を差し込む前の状態(ブランクシートS1の状態)で、差込穴24の開口縁部(第二破断線242a)に接している。なお、第二破断線242aは、孤状等の湾曲状としてもよい。湾曲状とすることで、後記するように差込穴24に対して差込片23を差し込む際の抵抗が小さくなり、差し込み作業がスムーズになる。
第二破断線242aの傾斜は、差込片23において切欠23dにより形成される係止部27の縁部27a(
図3(a)参照)の傾斜に対応したものとなっている。
【0044】
係止片折曲げ誘導線243は、
図3(b)に示すように、第二破断線242aの一端部を始端とし、第二破断線242aの一端部から差込方向X1と反対方向に延在している。係止片折曲げ誘導線243の終端243aは、第二破断線242aの一端部よりも幾分一端部側にずれた位置にある。つまり、係止片折曲げ誘導線243は、下縁部L13(L14)及び側部フラップ22の先端部側の縁部に対して傾斜している。なお、係止片折曲げ誘導線243は、全体的に傾斜しているものを示したが、これに限られず、係止片折曲げ誘導線243の一部が下縁部L13(L14)及び側部フラップ22の先端部側の縁部に対して傾斜しているものであってもよい。
また、終端243aは、折曲げ誘導線241の一端部よりも差込方向X1と反対方向に延在している。
【0045】
第四破断線24cは、第二破断線242aの延在方向の途中部分を始端とし、係止片折曲げ誘導線243の終端243aに向けて延びている。第四破断線24cは、係止片24bの側縁部24c1(
図4参照)を形成するとともに、蓋部24aと係止片24bとを分断する破断線である。第四破断線24cは、差込穴24内に向けて(他端部側に向けて)膨出するように湾曲している。これにより、係止片24bの側縁部24c1は、差込穴24内に向けて膨出するように湾曲した形状となっている(
図4,
図7(a)参照)。
【0046】
ここで、
図3(a)(b)に示すように、差込片23,23における係止部27,27の突出した端部同士の距離(差込片23,23の最内端間の距離)をL1とし、左右に並ぶ第二破断線242a,242aの一端部間の距離をL2とした場合に、これらの関係は、L1>L2となっている。
【0047】
頂壁30は、
図1に示すように、胴部10の上側開口部を閉じている。頂壁30は、前端壁11,後端壁12の上縁部L31,L32に連設された前後の端部フラップ31,31と、左側壁13,右側壁14の上縁部L33,L34に連設された左右の側部フラップ32,32と、を備えている。前後の端部フラップ31,31は、左右の側部フラップ32,32の前部外面及び後部外面に重ねられている。
【0048】
前後の端部フラップ31,31は、底壁20の端部フラップ21,21と同様の構成であり、同様の差込片23,23、中央片25を備えている。また、左右の側部フラップ32,32は、底壁20の側部フラップ22,22と同様の構成であり、同様の差込穴24,24を備えている。
【0049】
次に、底壁20を例にとって包装箱1を閉じる際の手順について説明する。
図6は、底壁20を上にした状態を示している。
図6に示すように、まず、底壁20を上側にして、左右の側部フラップ22,22を折り曲げて突き合わせる。その後、端部フラップ21(図では前側の端部フラップ21)を折曲げ誘導線L21に沿って山折りしつつ、側部フラップ22,22に向けて内側に倒し込む。
【0050】
そして、端部フラップ21の差込片23,23を差込穴24,24にそれぞれ挿入する。そうすると、差込片23に押されて、各破断線242,242a,244,24c(
図4参照)が破断されるとともに、折曲げ誘導線241(
図4参照)で山折りされて蓋部24aが側部フラップ22の内面側(胴部10内)に折り曲げられる。また、これと同時に、差込片23に押されて、係止片折曲げ誘導線243(
図4参照)で山折りされて係止片24bが側部フラップ22の内面側(胴部10内)に折り曲げられる。これによって、差込穴24が開口する。
【0051】
その後、差込片23を差込穴24にさらに挿入する。そうすると、
図7(a)に示すように、蓋部24a及び係止片24bの先方に差込片23の係止部27が移動し、差込穴24に差込片23が係合する。なお、
図7(a)(b)は、底壁20を上側(胴部10の内側)から見た図である。この状態で、係止部27の縁部27aは、係止片24bの対向縁部24dに対向する位置に入り込んでいる。
【0052】
この状態で、端部フラップ21から手指を離すと、端部フラップ21に対して元の状態に戻ろうとする復元力(差込方向X1と反対方向の力)が作用し、差込片23における係止部27の縁部27aが差込穴24の係止片24bの対向縁部24dに当接する。これによって、差込穴24から差込片23が抜ける方向に移動することが規制される。この作用は、頂壁30を閉じる場合にも同様に得られる。
【0053】
その後、胴部10内に収容品(不図示)を収容すると、
図7(b)に示すように、蓋部24a及び係止片24bが収容品の重さで差込片23側に押される状態となる。これにより、差込片23における係止部27の縁部27aに対して蓋部24aの一端部及び係止片24bの対向縁部24dが強く当接される。これによって、差込穴24から差込片23が抜ける方向に移動することが好適に規制される。
なお、蓋部24aの一端部及び係止片24bの対向縁部24dを手指で押し込むことによって、係止部27の縁部27aに対向する位置に積極的に入り込ませるようにしてもよい。このようにすることで、係止部27に対する蓋部24a及び係止片24bの当接が確実となる。
【0054】
以上説明した本実施形態の包装箱1によれば、端部フラップ21の差込片23を側部フラップ22の差込穴24に差し込むと、差込穴24の係止片24bの対向縁部24dに対して差込片23の係止部27の縁部27aが当接する。この当接によって、差込片23の差込方向X1と反対方向に差込片23が移動することが規制される。つまり、差し込み後に、外力が作用して差込方向X1と反対方向に差込片23が引っ張られても、当接状態が維持され易く、差込片23が抜け難い。したがって、胴部10の開口部の閉状態を好適に維持することができる。
【0055】
また、差込片23を差込穴24に差し込む際に、係止片折曲げ誘導線243により側部フラップ22の内面側に係止片24bが折り曲げ易くなり、差込片23の差し込み作業が行い易くなる。また、係止片折曲げ誘導線243により側部フラップ22の内面側に係止片24bが折り曲げられて好適に突出するので、例えば、係止片24bに対して差込片23を当接させ易くなる。
【0056】
また、係止片27の側縁部24c1が差込穴24内に向けて膨出するように湾曲しているので、差込穴24に対して差込片23を挿入する際に引っ掛かりが生じ難く、差込片23の差し込みがスムーズである。
【0057】
また、係止片24bの対向縁部24dは、差込穴24の開口縁部に接しているので、側部フラップ22の内面側に係止片24bが折り曲げられた際に、係止片24bの対向縁部24dが露出するようになる。したがって、差込穴24に対する差込片23のスムーズな差し込みを確保しつつ、対向縁部24dに対して差込片23の係止部27の縁部27aを当接させ易くなる。
【0058】
また、差込穴24が蓋部24aで閉じられていることで、ブランクシートS1の切り抜きをスムーズに行うことができる。また、差込穴24に差込片23を差し込む際に、側部フラップ22の内面側に折り曲げられた蓋部24aに沿って差込片23を差し込むことができ、蓋部24aをガイド部材として機能させることができる。したがって、差込片23の差し込み作業が行い易い。
【0059】
また、中央片25とともに、中央片25の左右の両側の突出部26,26が、両側部フラップ22,22の外面の押え部として機能するので、両側部フラップ22が開くことを好適に防止できる。したがって、胴部10の開口部の閉状態の維持に寄与する。
【0060】
また、突出部26は、端部フラップ21の差込方向X1の先端側に配置され、係止部27が突出部26よりも端部フラップ21の基端部側(基部21a側)に配置されている。これにより、両側部フラップ22,22の前後方向の中央部寄りを中央片25及び突出部26で好適に押さえることができる。したがって、両側部フラップ22が開くことを好適に防止できる。したがって、胴部10の開口部の閉状態の維持に寄与する。
【0061】
また、差込片23,23における係止部27,27の突出端間の距離L1が、左右に並ぶ第二破断線242a,242aの一端部間の距離L2よりも大きいので、差込穴24,24に差込片23,23を挿入する際に、係止部27が係止片24bの対向縁部24dに引っ掛かり難い。したがって、差込片23の差し込みがスムーズである。
【0062】
図8は、本発明の第1実施形態に係る包装箱の変形例のブランクシートを示した図である。
図9は、変形例における両側部フラップを示した下面図である。
この変形例のブランクシートS2は、
図8に示すように、第1実施形態の差込穴24と部分的に形状の異なる差込穴24Hを備えており、その他の構成は第1実施形態のものと同様である。差込穴24Hにおいて、第1実施形態のものと同様の部分には同様の符号を付している。
【0063】
各差込穴24H,24Hは、端部フラップ21,21の各差込片23,23(
図8参照)に対応して設けられている。各差込穴24H,24Hは、ブランクシートS2の状態において、蓋部24a及び係止片24bで閉じられており、これらを押し込むことで開口する。なお、包装箱1の状態において、各差込穴24H,24Hの開口は、差し込まれた差込片23,23により閉じられている。
【0064】
蓋部24aは、折曲げ誘導線241と、第一破断線242と、第二補助破断線242bと、第三破断線244と、第四破断線24cの一部と、で囲まれた部分である。また、係止片24bは、第二破断線242aと、係止片折曲げ誘導線243と、第四破断線24cの一部と、で囲まれた部分である。係止片24bは、同様に、差込穴24における側部フラップ22の先端部側(一端部側)の縁部(係止片折曲げ誘導線243)から差込穴24内に向けて突出している。
【0065】
第二補助破断線242bは、他の破断線と同様に、ブランクシートS2(
図8参照)を貫通する連続的な切れ込みである。第二補助破断線242bは、第一破断線242の一端部から差込方向X1と直交する方向に延在している。第二補助破断線242bの一端部には、第二破断線242aが接続されている。なお、第二補助破断線242bは、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の破断線であってもよく、その間隔や形状は限定されるものではない。この場合、切れ込みの間隔や形状は、差込片23を差し込む際に各破断線とともに切り離されて蓋部24aが折り曲げられる程度のものであればよい。
【0066】
第四破断線24cは、第二補助破断線242bの終端を始端とし、係止片折曲げ誘導線243の終端に向けて延びている。係止片折曲げ誘導線243の終端は、折曲げ誘導線241と第四破断線24cとの交点に繋がっており、第二破断線242aの一端部よりも他端部側にずれた位置にある。つまり、変形例の係止片折曲げ誘導線243は、第1実施形態の係止片折曲げ誘導線243(
図3(b)参照)に対して、傾斜の形態が異なっており、差込穴24Hの左右方向の大きさが差込方向X1に進むにつれて拡がるように構成されている。
【0067】
この変形例によれば、第1実施形態で説明した作用効果と同様の作用効果が得られる。加えて、差込穴24Hの左右方向の大きさが差込方向X1に進むにつれて拡がるように構成されているので、差込穴24Hに対して差込片23を挿入する際に引っ掛かりが生じ難く、差込片23の差し込みがスムーズである。
【0068】
(第2実施形態)
次に、
図10~
図15を参照して第2実施形態の包装箱について説明する。第2実施形態の包装箱1Aは、
図10~
図12に示すように、第1実施形態と異なる差込片23A及び差込穴24Aを有している。なお、包装箱1Aにおいて、差込片23A及び差込穴24Aの数は同様であり、その形成位置も略同様である。本実施形態においても、側部フラップ22に形成された差込穴24Aに、端部フラップ21に形成された差込片23Aを差し込むことで、側部フラップ22と端部フラップ21とが係止されるように構成されている。差込片23A及び差込穴24Aは、ロック構造を構成している。
【0069】
包装箱1Aは、
図11示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS3を各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図11に示すブランクシートS3は内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートS3の各罫線(折線)は、ブランクシートS3の表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、罫線に切れ込みを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートS3が折り曲げ易くなる。
【0070】
左右の差込片23A,23Aは、
図12(a)に示すように、線対称となるように配置されている。差込片23Aは、先端に向けて膨出する凸形状を呈している。これにより、差込片23Aは、差込穴24A(
図12(b)参照)に対して差し込み易い形状となっている。
図12(a)において、二点鎖線R1で示した領域が差込片23Aであり、二点鎖線R2で示した領域が中央片25Aである。
【0071】
差込片23Aは、先端縁部23bと、外側斜縁部23aと、内側斜縁部23cとを備えている。内側斜縁部23cは、先端縁部23bの内側端を始端とし、先端部21bの左右方向の中央部に向けて延びている。内側斜縁部23cの終端は、中央片25Aの後記する傾斜縁部25dに接している。差込片23Aの中央片25A側の側部には、内側斜縁部23cと中央片25Aの傾斜縁部25dとにより区画された山形状の係止部27Aが形成されている。なお、本実施形態においても先端縁部23bは、下縁部L11と平行の場合に限らず、外側斜縁部23aと内側斜縁部23cを結ぶ形状であればよく、直線状のものの他、曲線状であってもよい。また、肩部21cを有さず、外側斜縁部23aの終端が端部フラップ21の側縁(端辺)に繋がっていてもよい。
【0072】
中央片25の先端縁部25bは、両差込片23A,23Aの先端縁部23bと左右方向に直線状に揃っている。中央片25Aの先端縁部25bの左右端部には、傾斜縁部25d,25dが連続している。傾斜縁部25bは、先端縁部25bの端部を始端とし、差込片23Aの内側斜縁部23cに向けて延び、内側斜縁部23cの終端に交差している。傾斜縁部25dの終端には、切込25eが連続して形成されている。切込25eは、傾斜縁部25dの終端から弧状に折り返されて折曲げ誘導線L21の左右方向の略中央部に向けて延びている。切込25eの終端は、
図12(a)に示すように、係止部27Aの突出端(係止部27Aの最内端)に接する前後方向の仮想線L3を引いたときに、仮想線L3には至らず、仮想線L3よりも差込片23A側に位置している。切込25eは、隣接する差込片23Aとの間に形成されており、中央片25Aと差込片23Aとを区画している。そして、切込25eの弧状に折り返された部分は、差込片23Aに入り込むように突出している。これにより、中央片25Aの左右方向の側部には、切込25eで区画された山形状の突出部26Aが形成されている。突出部26Aは、左右の差込片23A,23Aの最内端よりも外側に突出している。ここで、先端部21bの前後方向において、突出部26Aは、差込片23Aの係止部27Aよりも基端部側(基部21a側)に形成されている。
【0073】
なお、切込25eの形成位置は、包装箱1Aの縦横比や包装箱1Aの用途等によって、適宜変更することができる。
また、本実施形態においても先端縁部25bは、下縁部L11と平行の場合に限らず、中央片25の先端部を成す形状であればよく、直線状のものの他、曲線状であってもよい。また、両差込片23,23の先端縁部23bと中央片25の先端縁部25bとは、左右方向に直線状に揃っていなくてもよい。
【0074】
各差込穴24A,24Aは、端部フラップ21の差込片23A,23Aに対応して設けられている。各差込穴24A,24Aは、ブランクシートS3の状態において、蓋部24e及び係止片24fで閉じられており、これらを押し込むことで開口する(
図13参照)。なお、包装箱1Aの状態で、各差込穴24A,24Aの開口は、差し込まれた差込片23A,23Aにより閉じられている。
蓋部24eは、
図12(b)に示すように、折曲げ誘導線241と、第三破断線244と、第五破断線245と、第六破断線246と、第七破断線247とにより囲まれた部分である。蓋部24eは、差込片23Aの差込方向X1の手前側から差込方向X1の奥側に延在している。また、係止片24fは、第六破断線246の一部と、係止片折曲げ誘導線248と、第七破断線247の一部とにより囲まれた部分である。係止片24fは、差込穴24Aにおける側部フラップ22の先端部側(一端部側)の縁部(係止片折曲げ誘導線248)から差込穴24A内に向けて突出している。
【0075】
係止片折曲げ誘導線248は、ブランクシートS3の表面(内面)を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。係止片折曲げ誘導線248には、断続的に形成されたミシン目状の切れ込みを形成してもよい。なお、切れ込みの間隔や形状は、限定されるものではない。第五破断線245と、第六破断線246と、第七破断線247は、いずれもブランクシートS3(
図11参照)を貫通する連続的な切れ込みである。なお、各破断線244,245,246,247は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の破断線であってもよく、その間隔や形状は限定されるものではない。この場合、切れ込みの間隔や形状は、差込片23Aを差し込む際に各破断線が切り離されて蓋部24eが折り曲げられる程度のものであればよい。
【0076】
差込穴24Aは、
図13に示すように、蓋部24eを各破断線244,245,246,247で切り離しつつ、側部フラップ22の内面側へ折曲げ誘導線241で山折りし、かつ、係止片24fを各破断線246,247で切り離しつつ、係止片折曲げ誘導線248で山折りすることで開口する。
【0077】
第五破断線245は、
図12(b)に示すように、第三破断線244の終端に連続して形成されており、折曲げ誘導線241と対向配置されている。第五破断線245は、折曲げ誘導線241の傾斜に対して、差込片23の差込方向X1にさらに傾斜して延在している。第六破断線246は、第五破断線245の一端部に連続して形成されている。第六破断線246は、第五破断線245の一端部から差込方向X1と直交する方向に延在している。第六破断線246は、係止片24fの対向縁部24d(
図13参照)を形成する直線状の破断線である。対向縁部24dは、第六破断線246を切り開くことで形成される縁部であり、
図12(b),
図13に示すように、差込片23を差し込む前の状態(ブランクシートS3の状態)で、差込穴24Aの開口縁部(第六破断線246)に接している。対向縁部24dは、差込片23Aにおける係止部27Aの縁部27b(
図14参照)に対向するように構成されている。
【0078】
第七破断線247は、
図12(b)に示すように、第六破断線246の延在方向の途中部分を始端とし、折曲げ誘導線241の一端部に向けて延びている。第七破断線247の終端は、差込方向X1と直交する方向において、第六破断線246の終端と略同じ位置で折曲げ誘導線241の一端部に接続されている。これにより、第七破断線247は、左右方向に対向する第三破断線244に対して傾斜している。なお、第七破断線247は、直線状のものを示したが、これに限られず、全体や一部が曲線状とされていてもよい。
【0079】
係止片折曲げ誘導線248は、第六破断線246の一端部から第七破断線247に向けて延在し、第七破断線247に接続されている。これにより、第七破断線247の一端部側の側方には、第六破断線246、第七破断線247及び係止片折曲げ誘導線248で囲まれた略三角形状の係止片24fが形成される。
【0080】
頂壁30を構成している端部フラップ31には、底壁20と同様の差込片23A及び中央片25Aが形成されており、また、側部フラップ22には、底壁20と同様の差込穴24Aが形成されている。
【0081】
次に、底壁20を例にとって差込片23Aと差込穴24Aとの係合について説明する。
図15(a)に示すように、差込片23Aを差込穴24Aに挿入すると、差込片23Aに押されて、
図13に示すように、各破断線244,245,246,247が破断されるとともに、折曲げ誘導線241で山折りされて蓋部24eが側部フラップ22の内面側(胴部10内)に折り曲げられる。また、これと同時に、差込片23A(
図15(a)参照)に押されて、係止片折曲げ誘導線248で山折りされて係止片24fが胴部10内に押し込まれる。これによって、差込穴24Aが開口する。
【0082】
その後、差込片23を差込穴24にさらに挿入すると、
図14に示すように、蓋部24e及び係止片24fの先方に差込片23Aの係止部27Aが移動し、差込穴24Aに差込片23Aが係合する。この状態で、係止部27Aの縁部27bは、係止片24fの対向縁部24dに対峙する位置に入り込んでいる。
【0083】
この状態で、端部フラップ21から手指を離すと、
図15(a)に示すように端部フラップ21に対して元の状態に戻ろうとする復元力(差込方向X1と反対方向の力)が作用し、差込片23Aにおける係止部27Aの縁部27bが差込穴24の係止片24bの対向縁部24dに当接する。これによって、差込穴24Aから差込片23Aが抜ける方向に移動することが規制される。この作用は、頂壁30を閉じる場合にも同様に得られる。
【0084】
その後、胴部10内に収容品(不図示)を収容すると、
図15(b)に示すように、蓋部24e及び係止片24fが収容品の重さで差込片23A側に押される状態となる。これにより、差込片23Aにおける係止部27Aの縁部27bに対して係止片24fの対向縁部24dが強く当接される。これによって、差込穴24Aから差込片23Aが抜ける方向に移動することが好適に規制される。
なお、係止片24fの対向縁部24dを手指で押し込むことによって、係止部27Aの縁部27bに対向する位置に積極的に入り込ませるようにしてもよい。このようにすることで、係止部27Aに対する係止片24fの当接が確実となる。
【0085】
本実施形態においても、端部フラップ21の差込片23Aを側部フラップ22の差込穴24Aに差し込むと、差込穴24Aの係止片24fの対向縁部24dに対して差込片23Aの係止部27Aの縁部27bが当接する。この当接によって、差込片23Aの差込方向X1と反対方向に差込片23Aが移動することが規制される。つまり、差し込み後に、外力が作用して差込方向X1と反対方向に差込片23Aが引っ張られても、当接状態が維持され易く、差込片23Aが抜け難い。したがって、胴部10の開口部の閉状態を好適に維持することができる。
【0086】
図16は、本発明の第2実施形態に係る包装箱の変形例のブランクシートを示した図である。また、
図17は、本発明の第2実施形態に係る包装箱の変形例における両側部フラップを示した下面図である。
この変形例のブランクシートS4は、
図16に示すように、第2実施形態の差込穴24Aと部分的に形状の異なる差込穴24Bを備えており、その他の構成は第2実施形態のものと同様である。差込穴24Bにおいて、第2実施形態のものと同様の部分には同様の符号を付している。
【0087】
各差込穴24B,24Bは、端部フラップ21,21の各差込片23A,23A(
図16参照)に対応して設けられている。各差込穴24B,24Bは、ブランクシートS4の状態において、蓋部24e及び係止片24f1で閉じられており、これらを押し込むことで開口する。なお、包装箱1Aの状態で、各差込穴24B,24Bの開口は、差し込まれた差込片23A,23Aにより閉じられている。
【0088】
係止片24f1は、第六破断線246の一部と、係止片折曲げ誘導線248と、第七破断線247とにより囲まれた部分である。係止片24f1は、差込穴24Bにおける側部フラップ22の先端部側(一端部側)の縁部(係止片折曲げ誘導線248)から差込穴24B内に向けて突出している。
【0089】
係止片折曲げ誘導線248は、第七破断線247の一端側の側方おいて、第七破断線247に沿って形成されている。係止片折曲げ誘導線248は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の破断線により形成されている。なお、切れ込みの間隔や形状は、限定されるものではない。この場合、切れ込みの間隔や形状は、係止片24f1が側部フラップ22の内面側に折り曲げられる程度のものであればよい。また、係止片折曲げ誘導線248は、ミシン目状の破断線によらず、ブランクシートS4の表面(内面)を押し込んで形成された線状の溝(押罫)であってもよく、押罫にミシン目状の破断線を形成したものであってもよい。
【0090】
係止片折曲げ誘導線248の前端及び後端は、第六破断線246及び第七破断線247に接しておらず、これらから離間している。係止片折曲げ誘導線248は、差込方向X1に対して傾斜している。具体的に、係止片折曲げ誘導線248は、差込片23Aの差込方向X1に進むにつれて側部フラップ22の基端部側(下縁部L13側)に近づく(側部フラップ22の先端部側から離れる)。なお、係止片折曲げ誘導線248の前端及び後端が、第六破断線246及び第七破断線247にそれぞれ接するように構成してもよい。
【0091】
係止片折曲げ誘導線248の延長線と第六破断線246との交点P1は、第六破断線(延在部)246の途中部分に位置している。つまり、第六破断線246は、交点P1を越えて側部フラップ22の先端部側(一端部側)に延在する一端延在部246aを有している。なお、係止片折曲げ誘導線248は、全体的に傾斜しているものを示したが、これに限られず、係止片折曲げ誘導線248の一部が下縁部L13(L14)及び側部フラップ22の一端側の縁部に対して傾斜しているものであってもよい。
【0092】
この変形例では、第2実施形態で説明した係止片24fよりも面積の大きい係止片24f1を有している。これにより、係止片24f1に対して強度をもたせることができる。
また、係止片24f1を折り曲げる際に、第六破断線246とともに、係止片折曲げ誘導線248の交点P1よりも一端側となる第六破断線246の一端延在部246aが切り離されるので、係止片24f1の対向縁部24dが側部フラップ22の内面側に露出し易い。したがって、差込片23Aの係止部27Aの縁部27bが、係止片24f1の対向縁部24dに当接し易い。
また、一端延在部246aを備えることで、係止片24f1を折り曲げる際の折り曲げ易さも向上する。
【0093】
(第3実施形態)
次に、
図18~
図23を参照して第3実施形態の包装箱について説明する。第3実施形態の包装箱1Cは、
図18~
図20に示すように、第1,第2実施形態と異なる中央片25C及び差込穴24Cを有している。なお、包装箱1Cにおいて、差込片23及び差込穴24Cの数は同様であり、その形成位置も略同様である。本実施形態においても、側部フラップ22に形成された差込穴24Cに、端部フラップ21に形成された差込片23を差し込むことで、側部フラップ22と端部フラップ21とが係止されるように構成されている。差込片23及び差込穴24Cは、ロック構造を構成している。
【0094】
包装箱1Cは、
図19示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS5を各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図19に示すブランクシートS5は内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートS5の各罫線(折線)は、ブランクシートS5の表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、罫線に切れ込みを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートS5が折り曲げ易くなる。
【0095】
差込片23は、
図20(a)に示すように、その外側斜縁部23aの終端が先端部21bの左右の側縁(端辺)に対して繋がっている。
中央片25Cは、左右の切込23d,23dで差込片23,23と区画されている。
図20(a)において、二点鎖線R2で示した領域が中央片25Cである。中央片25Cは、第1,第2実施形態で説明した突出部26,26Aを備えておらず、角縁部25c,25cから切込23d,23dに向けて略直線状に形成されている。
【0096】
差込穴24Cは、
図20(b)に示すように、端部フラップ21の差込片23に対応して設けられている。差込穴24Cは、ブランクシートS5の状態において、蓋部24h及び係止片24gで塞がれることのない差込穴開口部としてのスリット24h1を備えている。差込穴24Cは、蓋部24h及び係止片24gを押し込むことで全体が開口する(
図21参照)。なお、包装箱1Cの状態で、各差込穴24C,24Cの開口は、差し込まれた差込片23,23により閉じられている。
【0097】
蓋部24hは、
図20(b)に示すように、折曲げ誘導線241と、第三破断線244の一部と、先端縁部241aと、第四破断線24cの一部と、で囲まれた部分である。蓋部24hは、差込片23の差込方向X1の手前側から差込方向X1の奥側に延在している。また、係止片24gは、第一破断線242の一部と、第二破断線242aと、係止片折曲げ誘導線243と、第四破断線24cと、で囲まれた部分である。係止片24gは、差込穴24Cにおける側部フラップ22の先端部側(一端部側)の縁部(係止片折曲げ誘導線243)から差込穴24C内に向けて突出している。
【0098】
スリット24h1は、先端縁部241aと、第三破断線244の一部と、第一破断線242の一部と、第四破断線24cの一部と、で囲まれた略長四角形状の開口である。なお、スリット24h1は、少なくとも一部が開口していればよく、開口の大きさや開口の形状は種々設定することができる。
【0099】
係止片折曲げ誘導線243は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の破断線により形成されている。なお、切れ込みの間隔や形状は、限定されるものではない。この場合、切れ込みの間隔や形状は、係止片24gが側部フラップ22の内面側に折り曲げられる程度のものであればよい。また、係止片折曲げ誘導線243は、ミシン目状の破断線によらず、ブランクシートS5の表面(内面)を押し込んで形成された線状の溝(押罫)や、押罫にミシン目状の破断線を形成したものであってもよい。
【0100】
第四破断線24cは、第一破断線242の終端の近傍部分を始端とし、折曲げ誘導線241の終端に向けて延びている。第四破断線24cは、折曲げ誘導線241の終端に交差し、その後、側部フラップ22の一端部側に向けて延在している。第四破断線24cは、係止片24gの側縁部24c1(
図21参照)を形成するとともに、蓋部24hと係止片24gとを分断する破断線である。第四破断線24cは、係止片折曲げ誘導線243側に向けて(側部フラップ22の一端部側に向けて)凹状となるように湾曲している。これにより、係止片24gの側縁部24c1(
図21参照)は、係止片折曲げ誘導線243側に向けて凹状となるように湾曲した形状となっている。また、係止片24gの側縁部24c1の一部は、スリット24h1に面している。
なお、第四破断線24cは、凹状に湾曲したものを示したが、これに限られず、差込穴24C内に向けて膨出するように湾曲したものや、一部が曲線状とされたものであってもよい、また、第四破断線24cは、直線状であってもよい。
【0101】
係止片24gの他端部には、
図20(b)に示すように、第四破断線24c(側縁部24c1)と第一破断線242の終端の近傍部分とにより区画されてスリット24h1側に突出する突片部24g1が形成されている。突片部24g1は、
図20(b),
図21に示すように、スリット24h1内に張り出すとともに、スリット24h1の一端側縁部を形成している。また、突片部24g1は、係止片24gの対向縁部24dの他端部に連続して形成されている。
【0102】
第二破断線242aは、係止片24gの対向縁部24dを形成する直線状の破断線である。対向縁部24dは、第二破断線242aを切り開くことで形成される縁部であり、
図20(b),
図21に示すように、差込片23を差し込む前の状態(ブランクシートS5の状態)で、差込穴24Cの開口縁部(第二破断線242a)に接している。なお、第二破断線242aは、孤状等の湾曲状としてもよい。湾曲状とすることで、後記するように差込穴24Cに対して差込片23を差し込む際の抵抗が小さくなり、差し込み作業がスムーズになる。
第二破断線242aの傾斜は、差込片23において切欠23dにより形成される係止部27の縁部27a(
図22参照)の傾斜に対応したものとなっている。
【0103】
次に、底壁20を例にとって差込片23と差込穴24Cとの係合について説明する。
差込片23を差込穴24Cに差し込む際には、差込穴24Cのスリット24h1を利用して差込片23を挿入する。スリット24h1を通じて差込片23を挿入すると、差込片23に押されて、
図21に示すように、各破断線244,242の一部,242a,24cが破断されるとともに、折曲げ誘導線241で山折りされて蓋部24hが側部フラップ22の内面側(胴部10内)に折り曲げられる。また、これと同時に、差込片23に押されて、係止片折曲げ誘導線243で山折りされて係止片24gが側部フラップ22の内面側に折り曲げられる。これによって、差込穴24Cの全体が開口する。
【0104】
その後、差込片23を差込穴24Cにさらに挿入する。そうすると、
図22に示すように、蓋部24h及び係止片24gの先方に差込片23の係止部27が移動し、差込穴24Cに差込片23が係合する。この状態で、係止部27の縁部27aは、係止片24gの対向縁部24dに対峙する位置に入り込んでいる。
【0105】
この状態で、端部フラップ21から手指を離すと、
図23(a)に示すように、端部フラップ21に対して元の状態に戻ろうとする復元力(差込方向X1と反対方向の力)が作用し、差込片23における係止部27の縁部27aが差込穴24Cの係止片24gの対向縁部24dに当接する。また、突片部24g1が、対向縁部24dに連続して係止部27を保持する保持部として機能する。これによって、差込穴24Cから差込片23が抜ける方向に移動することが規制される。この作用は、頂壁30を閉じる場合にも同様に得られる。
【0106】
その後、胴部10内に収容品(不図示)を収容すると、
図23(b)に示すように、蓋部24h及び係止片24gが収容品の重さで差込片23側に押される状態となる。これにより、差込片23における係止部27の縁部27aに対して係止片24gの対向縁部24dが強く当接される。これによって、差込穴24Cから差込片23が抜ける方向に移動することが好適に規制される。
なお、係止片24gの対向縁部24dを手指で押し込むことによって、係止部27の縁部27aに対向する位置に積極的に入り込ませるようにしてもよい。このようにすることで、係止部27に対する係止片24gの当接が確実となる。
【0107】
本実施形態においても、端部フラップ21の差込片23を側部フラップ22の差込穴24Cに差し込むと、差込穴24Cの係止片24gの対向縁部24dに対して差込片23の係止部27の縁部27aが当接する。この当接によって、差込片23の差込方向X1と反対方向に差込片23が移動することが規制される。つまり、差し込み後に、外力が作用して差込方向X1と反対方向に差込片23が引っ張られても、当接状態が維持され易く、差込片23が抜け難い。したがって、胴部10の開口部の閉状態を好適に維持することができる。
【0108】
また、差込穴24Cにスリット24h1が形成されているので、スリット24h1を利用して差込片23を差込穴24Cに差し込むことができるので、差し込み作業が行い易い。
【0109】
また、係止片24gの側縁部24c1が、係止片折曲げ誘導線243側に向けて凹状となるように湾曲した形状となっているので、差込穴24Cに対する差込片23の差し込みがスムーズになる。
【0110】
また、係止片24gの突片部24g1が、対向縁部24dに連続して係止部27を保持する保持部として機能するので、差込穴24Cに差し込まれた差込片23の収まりがよくなり、差込方向と反対方向に差込片23が移動することが好適に規制される。
【0111】
図24は、本発明の第3実施形態に係る包装箱の変形例のブランクシートを示した図である。
図24に示したブランクシートS6は、第3実施形態で説明したスリット24h1部分(
図20(b)参照)を蓋部24hで塞いだ差込穴24Dを有する。
【0112】
このような差込穴24Dにおいても、差し込み後に、外力が作用して差込方向X1(
図20(b)参照)と反対方向に差込片23が引っ張られても、
図22に示したように、係止片24gの対向縁部24dに対する係止部27の縁部27aの当接状態が維持され易く、差込片23が抜け難い。したがって、胴部10の開口部の閉状態を好適に維持することができる。
なお、これとは逆に、差込穴24Dから蓋部24h(
図20(b)参照)を排除して、係止片24g(
図20(b)参照)のみが差込穴24D内に配置されるように構成してもよい。この場合には、スリット24h1(
図20(b)参照)に比べて開口面積が大きくなるので、差込片23が差し込み易くなる。
【0113】
(第4実施形態)
次に、
図25,
図26を参照して第4実施形態の包装箱について説明する。
第4実施形態の包装箱1Dは、
図25,
図26に示すように、隣り合う端壁12と側壁13との間及び隣り合う端壁11と側壁14との間に傾斜壁18,18をそれぞれ形成したものであり、胴部10を六角形の筒状としたものである。
【0114】
包装箱1Dは、
図26に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS7を各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図26に示すブランクシートS7は内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートS7の各罫線(折線)は、ブランクシートS7の表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、罫線に切れ込みを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートS7が折り曲げ易くなる。
【0115】
この包装箱1Dでは、前記第2実施形態の変形例において説明した差込穴24Bを備えている。なお、差込穴24Bに代えて、他の実施形態や変形例において説明した差込穴24,24A,24C,24D,後記する差込穴24E,24Fを採用することができる。
【0116】
(第5実施形態)
次に、
図27,
図28及び
図20(a)(b)を適宜参照して第5実施形態の包装箱について説明する。
第5実施形態の包装箱は、前記第3実施形態で説明した差込穴24C(
図20(b)参照)をベースとして、係止片24jの形状に変更を加えた差込穴24Eを備えるものである。
【0117】
本実施形態の包装箱は、
図27に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS8を各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図27に示すブランクシートS8は内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートS8の各罫線(折線)は、ブランクシートS8の表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、罫線に切れ込みを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートS8が折り曲げ易くなる。
【0118】
係止片24jは、
図28に示すように、第二破断線242aと、係止片折曲げ誘導線243と、第四破断線24cと、で囲まれた部分である。つまり、係止片24jは、第3実施形態で説明した24g1(
図20(b)参照)を備えておらず、その分、面積が小さくなっている。
第四破断線24cは、第一破断線242の終端を始端とし、折曲げ誘導線241の終端に向けて延びている。そして、第四破断線24cは、折曲げ誘導線241の終端に交差し、その後、側部フラップ22の一端部側に向けて延在している。つまり、第四破断線24cは、第一破断線242の終端を始端としており、その分、始端が側部フラップ22の一端部側に位置しているので、前記第3実施形態で説明した第四破断線24cに比べて、傾斜が緩やかなものとなっている。
【0119】
本実施形態においても、端部フラップ21の差込片23を側部フラップ22の差込穴24Eに差し込むと、差込穴24Eの係止片24jの対向縁部24dに対して差込片23の係止部27の縁部27a(
図20(a)参照)が当接する。この当接によって、差込片23の差込方向X1と反対方向に差込片23が移動することが規制される。つまり、差し込み後に、外力が作用して差込方向X1と反対方向に差込片23が引っ張られても、当接状態が維持され易く、差込片23が抜け難い。したがって、胴部10の開口部の閉状態を好適に維持することができる。
【0120】
(第6実施形態)
次に、
図29~
図32を参照して第6実施形態の包装箱について説明する。第6実施形態の包装箱1Fは、
図29,
図30に示すように、底壁20に対して、ブランクシートS9の状態において、側部フラップ22の基端部側に差込穴開口部24kを有する差込穴24Fを備えている。なお、差込穴24Fに対応する差込片23は、前記第3実施形態で説明したものと同様であるが、差込穴24Fに対応して一部の形状を変更している。一方、頂壁30は、前記第2実施形態の変形例で説明した差込穴24B及び差込片23Aを備えている。つまり、本実施形態では、底壁20と頂壁30とでロック構造の形態を異ならせている。なお、差込片23及び差込穴24Fにおいて、第2実施形態の変形例及び第3実施形態のものと同様の部分には同様の符号を付している。
【0121】
包装箱1Fは、
図30に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS9を各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図30に示すブランクシートS9は内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートS9の各罫線(折線)は、ブランクシートS9の表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、罫線に切れ込みを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートS9が折り曲げ易くなる。
【0122】
差込片23は、
図31(a)に示すように、前記第3実施形態と同様に、外側斜縁部23aの終端が先端部21bの左右の側縁(端辺)に対して繋がっている。
中央片25Cは、左右の切込23e,23eで差込片23,23と区画されている。係止部27の縁部27cの傾斜は、差込穴24Fの第一破断線242の傾斜に対応している。
【0123】
差込穴24Fは、
図30に示すように、端部フラップ21の差込片23に対応して設けられている。差込穴24Fは、
図31(b)に示すように、差込片23を差し込む前の状態、つまり、ブランクシートS9の状態(
図30参照、以下同じ)で側部フラップ22の基端部側に開口部24kを備えている。開口部24kは、差込穴24F全体の開口面積の略半分を占める面積を備えている。一方、差込穴24Fは、差込片23を差し込む前の状態(ブランクシートS9の状態、
図30参照)で残りの部分が係止片24mで閉じられている。つまり、差込穴24Fは、係止片24mを押し込むことで全体が開口する。なお、包装箱1Fの状態で、各差込穴24F,24Fの開口は、差し込まれた差込片23,23により閉じられている。
【0124】
係止片24mは、
図31(b)に示すように、第八破断線249の一部と、第四破断線24cと、第一破断線242の一部と、係止片折曲げ誘導線243と、で囲まれた部分である。係止片24mは、差込穴24Fにおける側部フラップ22の先端部側(一端部側)の縁部(係止片折曲げ誘導線243)から差込穴24F内に向けて突出している。また、開口部24kは、第八破断線249の一部と、第三破断線244と、第一破断線242の一部と、第四破断線24cの一部と、で囲まれた略四角形状の開口である。なお、開口部24kは、少なくとも一部が開口していればよく、開口の大きさや開口の形状は種々設定することができる。
【0125】
第八破断線249は、ブランクシートS9(
図30参照)を貫通する連続的な切れ込みである。第八破断線249は、
図31(b)に示すように、差込片23の差込方向X1と略直交する方向に対して傾斜する方向に延在する直線状の破断線である。第一破断線242は、第八破断線249に対向しており、第八破断線249の傾斜よりも幾分大きい傾斜を有している。第一破断線242の一端部側は、係止片24mの対向縁部24dを形成している。対向縁部24dは、第一破断線242を切り開くことで形成される縁部であり、差込片23を差し込む前の状態(ブランクシートS9の状態)で、差込穴24Fの開口縁部(第一破断線242)に接している。なお、第一破断線242の終端及び第八破断線249の終端は、差込方向X1と直交する方向において略同じ位置となっている。
【0126】
係止片折曲げ誘導線243は、ブランクシートS9の表面(内面)を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。係止片折曲げ誘導線243には、断続的に形成されたミシン目状の切れ込みが形成されている。なお、切れ込みの間隔や形状は、限定されるものではない。なお、係止片折曲げ誘導線243は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の破断線であってもよく、その間隔や形状は限定されるものではない。この場合、切れ込みの間隔や形状は、差込片23を差し込む際に各破断線が切り離されて係止片24mが折り曲げられる程度のものであればよい。
【0127】
係止片折曲げ誘導線243は、第一破断線242の一端部側の近傍位置から第八破断線249に向けて延在し、第八破断線249の終端に接続されている。これにより、係止片折曲げ誘導線243は、差込片23の差込方向X1に進むにつれて側部フラップ22の基端部側(下縁部L13側)に近づく(側部フラップ22の先端部側から離れる)ように傾斜している。また、第一破断線242は、第一破断線242と係止片折曲げ誘導線243との交点P2を越えて側部フラップ22の先端部側(一端部側)に延在する一端延在部242eを有している。なお、係止片折曲げ誘導線243は、全体的に傾斜しているものを示したが、これに限られず、係止片折曲げ誘導線243の一部が下縁部L13(L14)及び側部フラップ22の一端側の縁部に対して傾斜しているものであってもよい。
【0128】
第四破断線24cは、第一破断線242における延在方向の略中間部分を始端とし、第八破断線249に向けて延在している。第四破断線24cの終端は、第八破断線249における延在方向の略中間部分に接している。第四破断線24cは、係止片24mの側縁部24c1(
図32参照)を形成するとともに、係止片24mと開口部24kとを仕切る破断線である。第四破断線24cは、係止片折曲げ誘導線243側に向けて(側部フラップ22の一端部側に向けて)凹状となるように湾曲している。これにより、係止片24mの側縁部24c1(
図32参照)は、係止片折曲げ誘導線243側に向けて凹状となるように湾曲した形状となっている。また、側縁部24c1は、開口部24kに面している。
なお、第四破断線24cは、凹状に湾曲したものを示したが、これに限られず、差込穴24F内に向けて膨出するように湾曲したものや、一部が曲線状とされたものであってもよい、また、第四破断線24cは、直線状であってもよい。第四破断線24cの第一破断線242上の始端、第八破断線249の終端も適宜調節してもよい。
【0129】
次に、差込片23と差込穴24Fとの係合について説明する。
差込片23を差込穴24Fに差し込む際には、差込穴24Fの開口部24kを利用して差込片23を挿入する。開口部24kを通じて差込片23を挿入すると、差込片23に押されて、各破断線249,242の一部が破断されるとともに、係止片折曲げ誘導線243で山折りされて係止片24mが側部フラップ22の内面側に折り曲げられる。これによって、差込穴24Fの全体が開口する。
【0130】
その後、差込片23を差込穴24Cにさらに挿入する。そうすると、
図32に示すように、係止片24mの先方に差込片23の係止部27が移動し、差込穴24Fに差込片23が係合する。この状態で、係止部27の縁部27cは、係止片24mの対向縁部24dに対峙する位置に入り込んでいる。
【0131】
この状態で、端部フラップ21から手指を離すと、端部フラップ21に対して元の状態に戻ろうとする復元力(差込方向X1と反対方向の力)が作用し、差込片23における係止部27の縁部27cが差込穴24Fの係止片24mの対向縁部24dに当接する。これによって、差込穴24Fから差込片23が抜ける方向に移動することが規制される。
【0132】
その後、胴部10内に収容品(不図示)を収容すると、係止片24mが収容品の重さで差込片23側に押される状態となる。これにより、差込片23における係止部27の縁部27cに対して係止片24mの対向縁部24dが強く当接される。これによって、差込穴24Fから差込片23が抜ける方向に移動することが好適に規制される。
なお、係止片24mの対向縁部24dを手指で押し込むことによって、係止部27の縁部27cに対向する位置に積極的に入り込ませるようにしてもよい。このようにすることで、係止部27に対する係止片24mの当接が確実となる。
【0133】
本実施形態においても、端部フラップ21の差込片23を側部フラップ22の差込穴24Fに差し込むと、差込穴24Fの係止片24mの対向縁部24dに対して差込片23の係止部27の縁部27cが当接する。この当接によって、差込片23の差込方向X1と反対方向に差込片23が移動することが規制される。つまり、差し込み後に、外力が作用して差込方向X1と反対方向に差込片23が引っ張られても、当接状態が維持され易く、差込片23が抜け難い。したがって、胴部10の開口部の閉状態を好適に維持することができる。
【0134】
また、差込穴24Fに開口部24kが形成されているので、開口部24kを利用して差込片23を差込穴24Fに差し込むことができるので、差し込み作業が行い易い。
【0135】
また、係止片24mの側縁部24c1が、係止片折曲げ誘導線243側に向けて凹状となるように湾曲した形状となっているので、差込穴24Fに対する差込片23の差し込みがスムーズになる。
【0136】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、第1~第6実施形態及び変形例において、差込片23,23Aと差込穴24,24A~24Fとによる係止は、前端壁11側や後端壁12側のいずれか一方あるいは左側壁13側や右側壁14側のいずれか一方にだけ設けてもよい。また、側部フラップ22と端部フラップ21とが重なる箇所のうち、少なくとも一箇所に設けてもよい。
【0137】
また、第1~第5実施形態及び変形例において、差込片23,23Aと差込穴24,24A~24Eとによるロック構造は、底壁20及び頂壁30の両方に設けたものを示したが、底壁20及び頂壁30のいずれか一方に設けたものであってもよい。
また、第6実施形態において、差込片23と差込穴24Fとによるロック構造は、底壁20に設けたものを示したが、頂壁30に設けたものでもよく、底壁20と頂壁30との両方に設けたものであってもよい。
【0138】
また、差込片23,23Aと差込穴24,24A~24Fとによるロック構造は、例えば、通常のフラップを重ね合わせる構造を備えた包装箱や、アメリカンロック方式等のワンタッチで胴部10の開口部を閉じることができる構造を備えた包装箱等、各種閉鎖構造との組み合わせも可能である。
【0139】
また、差込片23,23Aと差込穴24,24A~24Eとによるロック構造は、底壁20及び頂壁30で異ならせることができる。
図33に示すブランクシートS10は、側部フラップ22に対して第3実施形態の差込穴24Cを形成し、側部フラップ32に対して第2実施形態の差込穴24Bを形成したものである。また、差込片23,23Aと差込穴24,24A~24Eとによるロック構造は、前端壁11側と後端壁側とで異なる種類とすることもできる。
【0140】
また、第1~第6実施形態及び変形例において、差込片23,23Aの形状は、適宜の形状とすることができる。
また、第1,第2,第4実施形態、第1,第2実施形態の変形例において、差込穴24,24H,24A,24Bにスリットを形成してもよい。なお、スリットの開口の大きさや開口の形状は種々設定することができる。また、差込穴24,24A~24Eの少なくとも一部がスリットや孔により開口するものであってもよい。
また、第1~第5実施形態、第1~第3実施形態の変形例において、差込穴24,24H,24A~24Eに蓋部を形成せず、蓋部部分を開口部(差込穴開口部)として形成してもよい。なお、開口部の開口の大きさや開口の形状は種々設定することができる。
【0141】
また、係止片24b,24f,24f1,24g,24j,24mは、差込穴24,24A~24Fの一端部側の縁部から差込穴24,24A~24F内に突出して(張り出して)いればよく、対向縁部24dを備えるものであれば、種々の形状のものを採用できる。
また、対向縁部24dは、差込穴24,24A~24Fの開口縁部に接しているものに限られることはなく、差込片23,23Aを差し込む前の状態(ブランクシートS1~S11の状態)で、差込穴24,24A~24Fの開口縁部に一部が接するものや当該開口縁部から離間して配置されるものであってもよい。
【0142】
また、
図34に示すように、隣り合う端壁11,12と側壁13,14との間に傾斜壁16をそれぞれ形成して、胴部10を八角形の筒状に形成してもよい。また、傾斜壁16の形成位置を適宜変更することにより、五角形やその他の多角形の胴部10とすることも可能である。
【0143】
また、係止片折曲げ誘導線243,248は、側部フラップ22の基端部側の縁部に対して傾斜する部分を少なくとも一部有していればよい。
【0144】
また、係止片24b,24f1,24g,24j,24mの側縁部24c1は、少なくとも一部が曲線を有するものであってもよい。
【0145】
本実施形態の包装箱1,1A,1C,1D,1Fは段ボール製であるが、各種公知の板紙によって包装箱を形成してもよい。
【符号の説明】
【0146】
1,1A,1C,1D,1F 包装箱
10 胴部
11 前端壁(端壁)
12 後端壁(端壁)
13 左側壁(側壁)
14 右側壁(側壁)
16 傾斜壁
20 底壁
21 端部フラップ
22 側部フラップ
23,23A 差込片
24,24A~24E 差込穴
24b,24f,24f1,24g,24j,24m 係止片
24c1 側縁部
24d 対向縁部
24h スリット(差込穴開口部)
24k 差込穴開口部
25,25A,25C 中央片
26,26A 突出部
27,27A 係止部
243,248 係止片折曲げ誘導線(差込穴における側部フラップの先端部側の縁部)
X1 差込方向