(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058518
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】UVケア剤用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/85 20060101AFI20240418BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240418BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240418BHJP
A61K 8/33 20060101ALI20240418BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
A61K8/85
A61Q17/04
A61K8/37
A61K8/33
A61K8/81
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022175860
(22)【出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】399091120
【氏名又は名称】株式会社ピカソ美化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】井関 大
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB242
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC342
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC472
4C083AC552
4C083AC852
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD172
4C083BB46
4C083CC19
4C083DD30
4C083DD39
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】紫外線散乱剤の分散性が良好で、かつ、肌に対して均一に塗布することができるとともに、塗布時の使用感が軽く、延展性に優れたUVケア剤用組成物の提供。
【解決手段】
少なくとも紫外線散乱剤を含んでなるUVケア剤用組成物であって、成分A:ポリヒドロキシステアリン酸と、成分B:イソステアリン酸エチル、ラウリン酸イソアミルおよびネオペンタン酸イソデシルから選ばれる少なくとも1種と、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーとを含有することを特徴とするUVケア剤用組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも紫外線散乱剤を含んでなるUVケア剤用組成物であって、
下記成分Aと、下記成分Bと、下記成分Cとを含有することを特徴とするUVケア剤用組成物。
成分A:ポリヒドロキシステアリン酸
成分B:イソステアリン酸エチル、ラウリン酸イソアミルおよびネオペンタン酸イソデシルから選ばれる少なくとも1種
成分C:(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー
【請求項2】
前記成分Bの含有量が3~40質量%である請求項1に記載のUVケア剤用組成物
【請求項3】
更に、下記成分Dを含有してなる請求項1又は2に記載のUVケア剤用組成物。
成分D:ジカプリリルエーテル
【請求項4】
水を含み又は含まず、含む場合はその含有量が1質量%以下である油性の組成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のUVケア剤用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UVケア剤用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
常に肌は紫外線に暴露され続けており、日焼けによるダメージが蓄積している。蓄積したダメージを修復することにより、健常な肌へ導く試みも重要ではあるが、根本的に紫外線から肌を守り、健常な肌を維持し続ける対策をとることが最も重要である。そのため、従来から、紫外線防御機能を発揮する日焼け止め剤(UVケア剤)が開発され続けている、このようなUVケア剤の中には、主に紫外線吸収剤や紫外線散乱剤などの成分が配合されている。
【0003】
これら成分の中でも、紫外線散乱剤は粉体であることから、紫外線防御機能を十分に発揮させるためには、塗布時においてこれら紫外線散乱剤を肌へ均一に塗布する必要がある。そのためには、塗布前に紫外線散乱剤を十分に分散させなければならず、分散性を高めることを目的にステンレスボールなどの撹拌用の球体を設けた容器が主に用いられている。
【0004】
しかしながら、球体によって分散性を高める試みは一時的な対応であり、根本的に分散性を良好にするものではない。そのため、従来から、組成物中における紫外線散乱剤の分散性を高める様々な試みがなされている。具体的には、様々な剤型において分散剤としてポリヒドロキシステアリン酸を用い、紫外線散乱剤の分散性と、UVケア剤としての使用感の双方の効果を高める試みがなされている(例えば、特許文献1~3を参照)。
【0005】
このようにポリヒドロキシステアリン酸を用いることで、ある程度、紫外線散乱剤の分散性を高めることはできるものの、塗布時の感触が重く、使用時においてベタつきを感じ易くなるなどの欠点があり、十分に満足のいくものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-104401号公報
【特許文献2】特開2018-076313号公報
【特許文献3】特開2021-161048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、紫外線散乱剤の分散性が良好で、かつ、肌に対して均一に塗布することができるとともに、塗布時の使用感が軽く、延展性に優れたUVケア剤用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、少なくとも紫外線散乱剤を含んでなるUVケア剤用組成物であって、下記成分Aと、下記成分Bと、下記成分Cとを含有することを特徴とする。
成分A:ポリヒドロキシステアリン酸
成分B:イソステアリン酸エチル、ラウリン酸イソアミルおよびネオペンタン酸イソデシルから選ばれる少なくとも1種
成分C:(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー
【0009】
上記成分Bの含有量が3~40質量%であることが好ましい。
【0010】
更に、本発明のUVケア剤用組成物は、下記成分Dを含有することが好ましい。
成分D:ジカプリリルエーテル
【0011】
本発明のUVケア剤用組成物は、水を含み又は含まず、含む場合はその含有量が1質量%以下である油性の組成物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のUVケア剤用組成物は、上記構成要件を満たすことにより、紫外線散乱剤の凝集がなく分散性に優れた効果を発揮する。また、本発明のUVケア剤用組成物は、延展時のべたつき感がなく、柔らかな被膜感を有しながら均一に軽く延び拡がることから、肌に対して均一に紫外線散乱剤を塗布することができ、紫外線散乱剤が本来奏するUVケア効果を存分に発揮させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のUVケア剤用組成物は、少なくとも紫外線散乱剤を含んでなり、かつ、成分A:ポリヒドロキシステアリン酸と、成分B:イソステアリン酸エチル、ラウリン酸イソアミルおよびネオペンタン酸イソデシルから選ばれる少なくとも1種と、成分C:(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーとを含有する。
【0014】
以下、本発明のUVケア剤用組成物に用いられる各成分の詳細を説明する。
【0015】
本発明のUVケア剤用組成物は、少なくとも紫外線散乱剤を含む。本発明では、組成物中に紫外線散乱剤が含まれることで優れたUVケア効果を発揮させることができる。
【0016】
上記紫外線散乱剤は、化粧品や医薬部外品などの皮膚外用剤の分野で用いられる公知の成分であれば特に限定されないが、例えば、紫外線を散乱する作用効果を発揮する金属酸化物などが挙げられる。具体的な金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。これら紫外線散乱剤は1種を単独で用いてもよく、適宜組み合わせて用いてもよい。
【0017】
本発明においては、優れた紫外線の散乱効果を発揮させる観点から、微粒子の金属酸化物を用いることが好ましい。なお、微粒子とは、平均粒子径が7~80nm程度のことを言い、本発明では、平均粒子径が7~25nm程度の微粒子金属酸化物を用いることが好ましい。
【0018】
また、本発明においては、上記微粒子金属酸化物の表面がシリカ、アルミナなどの無機化合物や、トリエトキシカプリリルシラン、ジメチコン、ハイドロゲンジメチコン、ポリエーテル変性シリコーン、ステアリン酸、イソステアリン酸、アルギン酸塩などの有機化合物によって処理されているものを用いても良い。なお、表面の処理方法は、公知の処理方法であれば特に限定されない。
【0019】
なお、本発明においては、上記紫外線散乱剤は市販品を用いることができる。紫外線散乱剤の市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。
【0020】
本発明のUVケア剤用組成物中の紫外線散乱剤の含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、UVケア効果を付与する観点、並びに分散性の観点から、組成物100質量%中、1~40質量%であることが好ましく、3~30質量%であることがより好ましい。なお、上記紫外線散乱剤の含有量は、本発明のUVケア剤用組成物中に配合される全ての紫外線散乱剤の含有量の合計量である。
【0021】
本発明においては、後述する各成分と組み合わせることにより、上記紫外線散乱剤の分散性を高めつつ、肌に対して均一に紫外線散乱剤を塗布することができるようになる。これにより、十分なUVケア効果を発揮させることが可能となる。
【0022】
[成分A]
上記成分Aは、ポリヒドロキシステアリン酸である。本発明においては、上記成分Aを用いることにより、上下左右等の僅かな振動によって組成物中の紫外線散乱剤を容易に分散させることができるようになる。
【0023】
なお、本発明においては、上記成分Aは市販品を用いることができる。成分Aの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。成分Aの市販品としては、例えば、サラスコHS-6C(商品名,日清オイリオグループ社製)、DISPERSUN DSP-OL300(商品名,Innospec Performance Chemicals Europe Limited社製)、HSオリゴマー600(商品名,豊国製油社製)、Pelemol PHS-8(商品名,Phoenix Chemical Inc.社製)、PHF-30-C(商品名,伊藤製油社製)などが挙げられる。
【0024】
本発明のUVケア剤用組成物中の成分Aの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、分散性を付与する観点から、組成物100質量%中、0.1~10質量%であることが好ましく、0.5~6質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Aの含有量は、純分に換算した量である。
【0025】
[成分B]
上記成分Bは、イソステアリン酸エチル、ラウリン酸イソアミルおよびネオペンタン酸イソデシルから選ばれる少なくとも1種である。本発明においては、上記成分Bを用いることにより、組成物中の紫外線散乱剤の分散性を高めるだけでなく、肌に対して均一に紫外線散乱剤を塗布することが可能となる。更には、塗布時のべたつき感がなく、延展時の使用感が軽く、良質な感触を得ることができるようになる。
【0026】
なお、本発明においては、上記成分Bは市販品を用いることができる。成分Bの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。イソステアリン酸エチルの市販品としては、例えば、EIS-V(商品名,高級アルコール工業社製)などが挙げられる。ラウリン酸イソアミルの市販品としては、例えば、KAK IAL-V(商品名,高級アルコール工業社製)、DERMALCARE LIA MB(商品名,Solvay S.A.社製)、dermofeel sensolv MB(商品名,Evonik Operations GmbH社製)などが挙げられる。ネオペンタン酸イソデシルの市販品としては、例えば、ネオライト 100P(商品名,高級アルコール工業社製)、CERAPHYL SLK(商品名,アシュランド・ジャパン社製)などが挙げられる。
【0027】
本発明のUVケア剤用組成物中の成分Bの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、紫外線散乱剤の分散性を高める観点、並びに延展時の使用感を良好にする観点から、組成物100質量%中、3~40質量%であることが好ましく、7~35質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Bの含有量は、純分に換算した量である。
【0028】
[成分C]
上記成分Cは、(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマーであり。当該成分は、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第1巻,2014年,p.72):ACRYLATES/POLYTRIMETHYLSILOXYMETHACRYLATE COPOLYMERと称される、シリコン変性アクリルポリマーである。
【0029】
本発明においては、上記成分Cを用いることにより、上記紫外線散乱剤の分散性を更に高め、肌への均一塗布を可能とする効果を発揮するに留まらず、耐水性・耐皮脂性に優れた柔らかな被膜を形成することにより、持続性に優れたUVケア効果を十分に発揮させることができるようになる。
【0030】
なお、本発明においては、上記成分Cは市販品を用いることができる。成分Cの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。成分Cの市販品としては、例えば、DOWSIL FA4001 CM Silicone Acrylate、DOWSIL FA4103 Silicone Acrylate Emulsion、EPITEX 99Polymer(商品名,いずれもダウ・東レ社製)などが挙げられる。
【0031】
本発明のUVケア剤用組成物中の成分Cの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、肌への均一塗布性の観点、耐水性・耐皮脂性の観点、並びに柔らかな被膜を形成する観点から、組成物100質量%中、0.03~5質量%であることが好ましく、0.3~3質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Cの含有量は、純分に換算した量である。
【0032】
[成分D]
本発明のUVケア剤用組成物には、成分Dとしてジカプリリルエーテルを更に含有させることが好ましい。上記成分Dを用いることにより、上記紫外線散乱剤の分散性をより一層高めることが可能となる。更には、延展時においてもより良好な使用感へと導き、上記成分A~成分Cの組み合わせ効果をより一層高め、格段に優れた効果を発揮させることができるようになる。
【0033】
なお、本発明においては、上記成分Dは市販品を用いることができる。成分Dの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。成分Dの市販品としては、例えば、セチオール OE Deo C(商品名,BASFジャパン社製)などが挙げられる。
【0034】
本発明のUVケア剤用組成物中の成分Dの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常上記紫外線散乱剤の分散性をより一層高める観点、並びに格段に優れた延展時の使用感を付与する観点から、組成物100質量%中、3~30質量%であることが好ましく、5~25質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Dの含有量は、純分に換算した量である。
【0035】
なお、本発明のUVケア剤用組成物には、当然のことながらUVケア効果を発揮する紫外線吸収剤が含まれていても良い。なお、本発明において用いられる紫外線吸収剤は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されず、水溶性の紫外線吸収剤であっても、水分散性の紫外線吸収剤であっても、油溶性の紫外線吸収剤であっても良い。
【0036】
具体的な水溶性、並びに水分散性の紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾン-1(ジヒドロキシベンゾフェノン)、オキシベンゾン-2(テトラヒドロキシベンゾフェノン)、オキシベンゾン-4(ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、トリスビフェニルトリアジン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールなどが挙げられる。これら水溶性および水分散性の紫外線吸収剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0037】
具体的な油溶性の紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸メチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル)、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル)、メトキシケイ皮酸エトキシエチル、ジメトキシケイ皮酸モノエチルヘキサン酸グリセリル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ブチルメトキシベンゾイルメタン、エチルヘキシルトリアゾン(2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン)、オクトクリレン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ポリシリコーン-15などが挙げられる。これら油溶性の紫外線吸収剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
【0038】
なお、本発明においては、上記紫外線吸収剤は市販品を用いることができる。紫外線吸収剤の市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。
【0039】
本発明のUVケア剤用組成物中の紫外線吸収剤の含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、UVケア効果を付与する観点から、組成物100質量%中、1~40質量%であることが好ましい。なお、本発明のUVケア剤用組成物中に配合される紫外線吸収剤の含有量の合計量である。
【0040】
本発明のUVケア剤用組成物において上記した紫外線吸収剤を含む場合には、紫外線吸収剤の酸化を防止する観点から、マロン酸ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジルおよび/又はマロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデンを更に配合させることが好ましい。本明細書において、マロン酸ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジルおよび/又はマロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデンを「成分E」と称する場合がある。
【0041】
なお、本発明においては、上記成分Eは市販品を用いることができる。成分Eの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。マロン酸ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジルの市販品としては、例えば、RonaCare AP(商品名,メルク社製)などが挙げられる。マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデンの市販品としては、例えば、Oxynex ST Liquid(商品名,メルク社製)などが挙げられる。
【0042】
本発明のUVケア剤用組成物中の成分Eの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、紫外線吸収剤の酸化防止の観点から、組成物100質量%中、0.01~1質量%であることが好ましく、0.05~0.8質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Eの含有量は、純分に換算した量である。
【0043】
[その他成分]
本発明のUVケア剤用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に、例えば、油脂、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油、上記成分B以外の脂肪酸エステル油、上記成分D以外のエーテル油などの油剤;陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などの界面活性剤;増粘性高分子、粘土鉱物、皮膜形成剤、防腐剤、美白剤、抗炎症剤、清涼剤、植物抽出エキス、植物発酵エキス、pH調整剤、中和剤、香料などを目的に応じて適宜配合することができる。
【0044】
本発明のUVケア剤用組成物は、耐水性の効果をより顕著に発揮させる観点から、水を含み又は含まず、水を含む場合には、その含有量が組成物100質量%中、1質量%以下であることが好ましい。即ち、本発明のUVケア剤用組成物は、油性の組成物であることが望ましく、水の含有量は0~1質量%であることが好ましい。
【0045】
本発明のUVケア剤用組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、公知の方法により製造することができる。具体的には、例えば、上記各構成成分を混合し、例えば、ディスパーミキサー、ホモミキサー、ディスパーミルなどを用いて撹拌する方法などが挙げられるが、本発明はこれら製造方法にのみ限定されるものではない。
【0046】
また、本発明のUVケア剤用組成物は、紫外線吸収剤の塗布前の分散性をより一層良好とする観点、並びに塗布時の均一性をより一層高める観点から、ステンレスボールが格納された容器に充填されることが好ましい。
【0047】
本発明の一実施形態に係るUVケア剤用組成物の用途は、特に限定されないが、紫外線を防御する皮膚化粧料として用いることが好ましい。また、本発明のUVケア剤用組成物は、化粧品、医薬部外品、指定医薬部外品、雑貨などの形態をとり得る。
【0048】
また、本発明の一実施形態に係るUVケア剤用組成物を適用する部位は、特に限定されないが、一例として、顔(額、目元、目じり、頬、口元など)、腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、デコルテ、脇、背中などに用いることができる。
【実施例0049】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。なお、配合量は、特記しない限り「質量%」を表す。
【0050】
(試料の調製1)
表1および表2に記した組成に従い、実施例1~6および比較例1~6のUVケア剤用組成物を常法に準じて調製し、下記評価に供した。結果を表1および表2に併記する。なお、表中の配合量は、全て純分に換算した値である。
【0051】
(試験例1:分散性の評価)
透明スライドガラス2枚一組を準備し、実施例よび比較例で得られた各試料0.02gを一方のスライドガラス上に吐出後、残る一方のスライドガラスで挟み込み、両スライドガラスを擦り合わせるようにして試料を延展させ、試料中の粉体成分に起因する凝集物の存在を目視にて確認し、以下の基準に従って評価した。
【0052】
<分散性の評価基準>
○(良好):凝集物が認められず、粉体成分が均一に分散している
△(不十分):僅かな凝集物が認められるが、粉体成分は分散している
×(不良):明らかな凝集物が認められ、粉体成分が均一に分散していない
【0053】
(試験例2:延展時の評価)
実施例および比較例で得られた各試料を10mL容のステンレスボールが格納された容器に充填後、24時間25℃の恒温槽に静置した。静置後、前記容器を上下に10回振動させ、0.05gを手の甲へ塗布して使用試験を実施し、「延展性」、「延展時のべたつき」、「均一塗布性」に関して官能評価を行い、下記1点~5点の評価点に従ってスコア付けをした。なお、評価は、5名の専門評価員が実施し、各評価員の評価を総合判断して決定した。
【0054】
「延展性」の評価は、柔らかな被膜感がありつつも滑らかに延び広がるものを高得点とした。「延展時のべたつき」の評価は、延び広がり時にべたつきを感じず、サラっとしているほど高得点とした。「均一塗布性」の評価は、ダマが存在せずに均一に塗布できるほど高得点とした。
【0055】
下記5段階の評価基準に従って評価した。結果は、専門評価パネルの平均点を算出し、下記判定基準に従って判定を行った。
【0056】
<評価基準>
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通
2点:不良
1点:非常に不良
【0057】
<判定基準>
◎:平均4.0点以上
○:平均3.0点以上4.0点未満
△:平均2.0点以上3.0点未満
×:平均2.0点未満
【0058】
【0059】
【0060】
表1および表2に示された結果から、各実施例で得られたUVケア剤用組成物は、各比較例で得られたものと対比して、紫外線散乱剤の凝集がなく分散性に格段に優れた効果を発揮していることが分かる。また、各実施例で得られたUVケア剤用組成物は、延展時のべたつき感がなく、柔らかな被膜感を有しながら均一に軽く延び拡がり、かつ、均一に紫外線吸収剤を塗布できていることが分かる、即ち、本発明のUVケア剤用組成部は、紫外線散乱剤が本来奏するUVケア効果を存分に発揮できるものであると言える。