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  • 特開-焼肉用網 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005852
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】焼肉用網
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A47J37/06 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106266
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】521222165
【氏名又は名称】株式会社総合近江牛商社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(72)【発明者】
【氏名】八木 貴大
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA03
4B040AC02
4B040AE13
4B040EA03
4B040EA20
(57)【要約】
【課題】洗浄作業の手間やコストを従来よりも軽減し得る業務用の焼肉用網を提供すること。
【解決手段】焼肉用網10において、食材が載置される載置面14を有し、熱源の上側に配置される網本体12を、網本体12の周縁部16よりも載置面14が上側へ突出し、多数の円形孔18が開設された構成とする。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材が載置される載置面を有し、熱源の上側に配置される網本体を備え、
前記網本体は、当該網本体の周縁部よりも前記載置面が上側へ突出し、多数の円形孔が開設されていることを特徴とする、焼肉用網
【請求項2】
前記多数の円形孔は、前記網本体の中央に位置する中央孔と、当該中央孔の周りに配置された複数の周辺孔とを含み、
前記周辺孔の各々は、隣接する孔同士の中心間距離が等間隔となるように、前記中央孔を中心とする同心円の円周上に整列して配置されている、請求項1に記載の焼肉用網。
【請求項3】
前記載置面には、表面の凹凸を滑らかにするための表面加工が施されていることを特徴とする、請求項1に記載の焼肉用網。
【請求項4】
前記円形孔各々の内周面には、表面の凹凸を滑らかにするための表面加工が施されていることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の焼肉用網。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼肉用網に関し、特に、業務用の焼肉用網に関する。
【背景技術】
【0002】
業務用の焼肉用網は、使用後に洗浄して再度使用するのが一般的であるが、洗浄作業には手間やコストがかかるといった難点がある。そこで、特許文献1には、簡便に安価で製造でき、使い捨てを可能とする業務用の焼肉用網が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58-154735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、網は、肉の焼き具合を直接的に左右する重要なアイテムであることから、店舗では、洗浄作業の手間やコストをいとわず、肉をおいしく焼くのに適した網を使用している事業者も少なくない。
【0005】
そこで、本発明は、洗浄作業の手間やコストを従来よりも軽減し得る業務用の焼肉用網を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る焼肉用網は、食材が載置される載置面を有し、熱源の上側に配置される網本体を備え、前記網本体は、当該網本体の周縁部よりも前記載置面が上側へ突出し、多数の円形孔が開設されていることを特徴とする。
【0007】
また、前記多数の円形孔は、前記網本体の中央に位置する中央孔と、当該中央孔の周りに配置された複数の周辺孔とを含み、前記周辺孔の各々は、隣接する孔同士の中心間距離が等間隔となるように、前記中央孔を中心とする同心円の円周上に整列して配置されていることを特徴とする。
【0008】
さらに、前記載置面には、表面の凹凸を滑らかにするための表面加工が施されていることを特徴とする。
【0009】
加えて、前記円形孔各々の内周面には、表面の凹凸を滑らかにするための表面加工が施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、食材が載置される載置面が網本体の周縁部よりも上側へ突出した形状をしていることで、直火加熱による焦げが生じにくく、熱源からの輻射熱や網自体の蓄熱により食材を効果的に加熱することができる。また、網本体に開設されている孔の形状が円形をしているので、焦げが付着すると洗浄作業に手間がかかる孔部分に角がない仕様となっている。したがって、たとえ、孔部分に焦げが付着したとしても、洗浄作業の手間やコストを従来よりも軽減し得ることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る焼肉用網の(a)平面図、(b)A-A線断面図、(c)二点鎖線で囲んだ中央部分の部分拡大図である。
図2】(a)実施形態に係る焼肉用網の隣接する円形孔同士の中心間を結ぶ仮想線に沿って切断した断面部分を示す部分拡大斜視図、(b)二点鎖線で囲んだ中央部分の部分拡大断面図ある。
図3】変形例に係る焼肉用網の(a)平面図、(b)B-B線断面図、(c)二点鎖線で囲んだ中央部分の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る焼肉用網の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
実施形態に係る焼肉用網(以下、単に「網」という。)10は、主として業務用で使用されるものであり、市場に流通している公知のロースター(不図示)に適合するように構成されている。
【0014】
図1に示すように、網10は、ロースターに設けられた透熱板(熱源)の上側に配置される網本体12を含む。網本体12の上面は、食材が載置される載置面14となっている。
【0015】
網本体12は、いわゆる精密鋳造により成形されたステンレス製の成形品であり、平面視で円形をした外観形状を呈する。また、網本体12は、その周縁部16よりも載置面14が上側へ突出した断面形状をしている。載置面14は、ほぼ平坦ではあるが、厳密には、その中央部分を頂点とするなだらかな山型(ドーム型)に形成されている。
【0016】
網本体12には、多数の円形孔18が開設されている。円形孔18の各々は、食材が載置される載置面14(上面)から裏側面(下面)にわたって貫通している。円形孔18の各々は、網本体12を平面視したとき、まんべんなく規則的に整列した状態で配置されている。本実施形態では、図1(c)に示すように、円形孔18の各々は、網本体12の中央に位置する中央孔18Aと、この中央孔18Aの周りに配置された複数の周辺孔18Bとに区別される。そして、周辺孔18Bの各々は、隣接する孔同士の中心間距離が等間隔となるように、中央孔18Aを中心とする正六角形の辺上に整列して配置されている。
【0017】
なお、周辺孔18の各々は、正六角形の同じ辺上にある孔同士の中心間距離はもちろんのこと、自身よりも外側(相似形をした正六角形の辺上)の隣接位置に配置された孔同士の中心間距離も等間隔になるように配置されている。つまり、本実施形態では、互いに隣接した位置にあるすべての周辺孔18B同士の中心間距離が等間隔になるような孔の配置構成となっている。この場合、すべての周辺孔18Bが、中央孔18Aを中心とする同心円の円周上に配置されることとなる。
【0018】
網本体12のサイズについては、ロースターの機種などによって適合する規格が異なるが、一例を挙げると、本実施形態では、網本体12の外径280mm、厚み4mm、円形孔の直径12mm、隣接する円形孔同士の中心間距離16mmに設計されている。
【0019】
網本体12の載置面14には、表面の凹凸を滑らかにするための表面加工が施されている。表面加工としては、いわゆるポリッシュ加工(鏡面加工)が最も望ましいが、表面の凹凸を滑らかにできる限り、研磨加工、化学的加工(エッチングなど)といった公知の表面加工を採用しても構わない。本実施形態では、円形孔18各々の内周面にも、載置面14と同様の表面加工が施されている。
【0020】
また、図2に示すように、本実施形態では、円形孔18(中央孔18Aおよび周辺孔18B)各々の上面側と下面側それぞれの端縁部分に対してR面取り加工が施されている。これにより、隣接する円形孔18同士の中心間を結ぶ仮想線に沿って切断した断面部分S(隣接間距離が最も短い部分の断面)の形状は、角のない滑らかな円形状となっている。
【0021】
上記構成を有する網10によれば、食材が載置される載置面14が網本体12の周縁部16よりも上側へ突出した形状をしていることで、直火加熱による焦げが生じにくく、熱源からの輻射熱や網自体の蓄熱により食材を効果的に加熱することができる。
【0022】
また、網本体12に開設されている孔の形状が円形をしているので、焦げが付着すると洗浄作業に手間がかかる孔部分に角がない仕様となっている。したがって、たとえ孔部分に焦げが付着したとしても、孔の形状が方形状をした従来の網と比較して、洗浄作業の手間やコストを軽減し得ることとなる。
【0023】
さらに、網本体12の載置面14および円形孔18各々の内周面に上記した表面加工が施されていることにより、網本体12に焦げが付着したとしても、表面の凹凸が滑らかになっている分、洗浄時に焦げを除去しやすくなっている。そのため、洗浄作業の負担をより一層軽減することが可能となる。また、隣接する円形孔18同士の隣接間距離が最も短い部分の断面形状が角のない滑らかな円形状になるようにR面取り加工が各円形孔18の端縁部分に施されている点も、付着した焦げを除去する洗浄作業のさらなる負担軽減に資する工夫点となっている。
【0024】
これに加えて、網本体12に設ける孔を円形にしてR面取り加工することにより、次のような相乗効果も得られる。従来の網と比較すると、網10は、孔を円形にしてその端縁部分がR面取り加工されていることで、肉自体から出る余計な油分が円形孔18から効果的に排出される。その結果、焦げ付く成分が滞留しにくく、網本体12が汚れにくい仕様となっているのである。
【0025】
以上、本発明に係る焼肉用網について、実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下のような形態で実施されても構わない。
【0026】
<変形例>
(1)上記実施形態では、円形孔18の各々を、中央孔18Aを中心とする正六角形の辺上に複数の周辺孔18Bをそれぞれ等間隔で配置しているが、円形孔18各々の配置態様はこれに限定されるものではない。例えば、図3示す網20のような態様であっても構わない。なお、網20は、孔の配置と載置面の構成以外は、上記実施形態と基本的に同じであるため、上記実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0027】
網20の網本体22では、上記した網10と同様に、周縁部26よりも載置面24が上側へ突出した断面形状をしているが、載置面24は、概ね、その全面にわたって平坦面となるように形成されている。また、円形孔28の各々は、中央孔28Aを中心(対角線の交点)とする正方形の辺上に、複数の周辺孔28Bがそれぞれ等間隔で(隣接する孔同士の中心間距離が等間隔となるように)整列して配置されている。この場合も、すべての周辺孔28Bが、上記実施形態と同様、中央孔28Aを中心とする同心円の円周上に配置されることとなる。
【0028】
(2)上記実施形態および変形例では、周辺孔の各々が相似形をした正六角形、正方形の辺上に配置されている孔の配置構成を例示したが、これ以外の正多角形(例えば、正三角形や、正八角形など)の辺上にすべての周辺孔を配置する構成を採用しても構わない。この場合であっても、すべての周辺孔が中央孔を中心とする同心円の円周上に配置されることに変わりはない。
【0029】
(3)上記実施形態および変形例では、基本的に円形孔の各々が同径円となるような設計となっているが、異なる径寸法の孔を一部に含む設計であっても構わない。この場合において、すべての周辺孔が、中央孔を中心とする同心円の円周上に配置されることが好ましいが、同心円周上にない円形孔が一部混在することとなっても構わない。
【0030】
(4)上記実施形態および変形例では、円形孔の端縁部分にR面取り加工が施されているが、これに限らず、C面取り加工が施されていても構わない。
【0031】
(5)上記実施形態および変形例では、網本体が円形の平面形状を有するものであったが、当然ながら、網本体は、使用されるロースターの機種・仕様に応じて、方形状に形成されていても構わない。この場合、網本体の平面形状における対角線の交点の位置に中央孔を設け、その周りに周辺孔を設ければよい。
【0032】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0033】
10,20 焼肉用網
12,22 網本体
14,24 載置面
16,26 周縁部
18,28 円形孔

図1
図2
図3