(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058532
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】燃料電池用セパレータ
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0258 20160101AFI20240418BHJP
H01M 8/0267 20160101ALI20240418BHJP
H01M 8/0265 20160101ALI20240418BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/0267
H01M8/0265
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204850
(22)【出願日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】10-2022-0131791
(32)【優先日】2022-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム スン フィ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ヒュン キュ
(72)【発明者】
【氏名】キム バエ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム チャン ギ
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒュン ジェオン
(72)【発明者】
【氏名】キム アァ ラム
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA08
5H126AA11
5H126BB06
5H126DD02
5H126DD04
5H126DD05
5H126EE03
5H126EE27
5H126EE29
5H126EE33
5H126JJ03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】燃料電池スタックの性能(出力)および作動効率を向上させることができる燃料電池用セパレータを提供することを目的とする。特に、膜電極接合体(反応層)に供給される反応ガスの反応面積および伝達効率を保障できるようにすることを目的とする。
【解決手段】本発明の実施形態は、膜電極接合体(MEA)を含む反応層100に積層される燃料電池用セパレータ200であって、反応層に積層される板体210と、反応層と対向する板体の一面に備えられ、反応ガスが供給される第1方向に沿って反応層と板体との間に反応ガスが移動する反応チャネル221を定義する波パターン220と、波パターンの側端部に沿って備えられ、反応層に接触する島部(land)230と、を含むことで、性能および作動効率を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜電極接合体(MEA)を含む反応層に積層される燃料電池用セパレータであって、
前記反応層に積層される板体と、
前記反応層と対向する前記板体の一面に備えられ、反応ガスが供給される第1方向に沿って前記反応層と前記板体との間に前記反応ガスが移動する反応チャネルを定義する波パターンと、
前記波パターンの側端部に沿って備えられ、前記反応層に接触する島部(land)と、
を含む、燃料電池用セパレータ。
【請求項2】
前記波パターンは、
前記反応層と対向する前記板体の一面に突出するように提供される峰部(crest portion)と、
前記峰部と連続した波形(waveform)をなすように前記第1方向に沿った前記峰部の端部に連結される谷部(trough portion)と、
を含む、請求項1に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項3】
前記峰部は、
前記反応ガスを前記反応層に向かってガイドする第1傾斜部と、
前記第1傾斜部の下流に備えられ、前記第1傾斜部を通過した前記反応ガスを前記板体に向かってガイドする第2傾斜部と、
を含む、請求項2に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項4】
前記第1傾斜部は、第1角度を有するように定義され、前記第2傾斜部は、前記第1角度とは異なる第2角度を有するように定義される、請求項3に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項5】
前記第1角度は、前記第2角度よりも小さく定義される、請求項4に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項6】
前記峰部は、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部との間に備えられる平坦部を含む、請求項3に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項7】
前記波パターンと前記島部は、前記第1方向に交差する第2方向に沿って交互(alternation)に配置されるように複数備えられる、請求項2に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項8】
前記峰部は、前記第2方向に沿って同一線上に配置される、請求項7に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項9】
前記峰部は、前記第2方向に沿って互いに異なる線上に配置される、請求項7に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項10】
前記板体の他の一面に備えられ、冷却水が流動する冷却チャネルを含む、請求項2に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項11】
前記冷却チャネルは、前記島部の内部空間に沿って定義される、請求項10に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項12】
前記板体の他の一面に備えられ、互いに隣接した前記冷却チャネルを連通するように連結する連結冷却チャネルを含む、請求項10に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項13】
前記連結冷却チャネルは、前記峰部の内部空間に沿って定義される、請求項12に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項14】
前記峰部は、前記第1方向に沿って既に設定された基準距離だけ離隔するように複数提供される、請求項2に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項15】
前記反応チャネルは、
前記反応ガスが流入する入口部と、
前記入口部の下流(down-stream)と定義される中央部と、
前記中央部の下流(down-stream)と定義され、前記反応ガスが排出される出口部と、を含み、
前記峰部は、前記入口部、前記中央部、前記出口部のうち少なくともいずれか1つに備えられる、請求項2に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項16】
前記峰部は、前記第1方向に沿って離隔するように複数提供され、
互いに隣接した前記峰部間の基準距離は、前記入口部、前記中央部、前記出口部別に互いに異なるように定義される、請求項15に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項17】
前記基準距離は、前記第1方向に沿って下流に行くほど減少するように定義される、請求項16に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項18】
前記峰部は、前記板体の厚さ方向に沿った第3方向に沿って既に設定された基準高さを有するように定義される、請求項2に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項19】
前記波パターンは、
前記板体の前記一面に提供され、前記板体の厚さ方向に沿った第3方向に沿って第1基準高さを有するように定義される第1峰部と、
前記第1方向に沿って第1峰部から離隔するように前記第1峰部の下流に提供され、前記第1基準高さとは異なる第2基準高さを有するように定義される第2峰部と、
を含む、請求項2に記載の燃料電池用セパレータ。
【請求項20】
前記第2基準高さは、前記第1基準高さよりも大きく定義される、請求項19に記載の燃料電池用セパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用セパレータに関し、より具体的には、性能および作動効率を向上させることができる燃料電池用セパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池スタックは、燃料(例えば、水素)の化学的反応により電気エネルギーを生産する一種の発電装置であり、数十または数百個の燃料電池セル(単位セル)を直列に積層して構成されることができる。
【0003】
燃料電池セルは、水素カチオンを移動可能な電解質膜、および水素と酸素が反応できるように電解質膜の両側面に備えられた電極(触媒電極層)が結合された膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、膜電極接合体の両面に密着し、反応ガスを均一に分布させ、発生した電気エネルギーを伝達するガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)と、ガス拡散層に密着し、流路を形成するセパレータ(Bipolar plate)と、を含むことができる。
【0004】
セパレータは、燃料である水素を供給するアノードセパレータ、および酸化剤である空気を供給するカソードセパレータに区分することができ、燃料または酸化剤が流動するチャネル(channel)、およびガス拡散層と接触して電気的通路の役割をする島部(land)を含むことができる。
【0005】
一方、燃料電池スタックの性能を極大化するためには、膜電極接合体に供給される反応ガスの反応面積および伝達効率を向上させなければならない。
特に、燃料電池スタックの性能および出力は、膜電極接合体に伝達される反応ガスの伝達流量に応じて決められるため、燃料電池スタックの性能および出力を向上させるためには、膜電極接合体に伝達される反応ガスの伝達流量を十分に確保しなければならない。
【0006】
しかしながら、従来は、膜電極接合体とセパレータとの間に供給された反応ガスが膜電極接合体に水平な方向に沿って移動するように構成されることで、セパレータから膜電極接合体に向かう反応ガスの流動流れを形成し難いという問題があり、このため、膜電極接合体に伝達される反応ガスの伝達流量を十分に確保し難いため(膜電極接合体に供給される反応ガスの反応面積および伝達効率を確保し難いため)、燃料電池スタックの性能および出力を向上させ難いという問題がある。
【0007】
また、従来は、燃料電池スタックの性能を極大化するために、メタルフォーム(metal foam)またはワイヤメッシュ(wire mesh)などの多孔性部材をセパレータ(例えば、カソードセパレータ)に備え、膜電極接合体の面圧を均等に分散させ、反応ガスの拡散および生成水(凝縮水)の排出性能を向上させる方策が提示されている。しかし、従来は、ガス拡散層とセパレータとの間に別の多孔性部材を備えなければならないため、構造および作製工程が複雑になり、製造原価が上昇するという問題がある。
【0008】
そこで、近年、反応ガスの反応面積および伝達効率を確保しながらも構造を簡素化するための多様な研究が行われているが、未だに不十分であり、それに対する開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の実施形態は、燃料電池スタックの性能(出力)および作動効率を向上させることができる燃料電池用セパレータを提供することを目的とする。
特に、本発明の実施形態は、膜電極接合体(反応層)に供給される反応ガスの反応面積および伝達効率を保障できるようにすることを目的とする。
【0010】
何よりも、本発明の実施形態は、セパレータの平面方向(第1方向)に沿った反応ガスの流動流れを保障しながらも、セパレータの厚さ方向(セパレータから膜電極接合体に向かう第3方向)に沿った反応ガスの流動流れを形成できるようにすることを目的とする。
【0011】
また、本発明の実施形態は、構造および製造工程を簡素化し、製造原価を節減できるようにすることを目的とする。
また、本発明の実施形態は、凝縮水の排出性能を向上させ、フラッディング(flooding)現象を抑制できるようにすることを目的とする。
【0012】
また、本発明の実施形態は、冷却水の円滑な流動流れを保障し、冷却性能および冷却効率を向上できるようにすることを目的とする。
また、本発明の実施形態は、安定性および信頼性を向上できるようにしたことを目的とする。
【0013】
実施形態が解決しようとする課題は、これに限定されず、以下で説明する課題を解決するための手段や実施形態から把握可能な目的や効果も含まれるといえる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した本発明の目的を達成するための本発明の好ましい実施形態によると、膜電極接合体(MEA)を含む反応層に積層される燃料電池用セパレータは、反応層に積層される板体と、反応層と対向する板体の一面に備えられ、反応ガスが供給される第1方向に沿って反応層と板体との間に反応ガスが移動する反応チャネルを定義する波パターンと、波パターンの側端部に沿って備えられ、反応層に接触する島部(land)と、を含む。
【0015】
これは、燃料電池スタックの性能および作動効率を向上させるためのものである。
すなわち、燃料電池スタックの性能および出力は、膜電極接合体(反応層)に伝達される反応ガスの伝達流量に応じて決められるため、燃料電池スタックの性能および出力を向上させるためには、膜電極接合体に伝達される反応ガスの伝達流量を最大限確保しなければならない。
【0016】
しかしながら、従来は、膜電極接合体とセパレータとの間に供給された反応ガスが膜電極接合体に水平な方向に沿って移動するように構成されることで、セパレータから膜電極接合体に向かう反応ガスの流動流れを形成し難いという問題があり、このため、膜電極接合体に伝達される反応ガスの伝達流量を十分に確保し難いため(膜電極接合体に供給される反応ガスの反応面積および伝達効率を確保し難いため)、燃料電池スタックの性能および出力を向上させ難いという問題がある。
【0017】
また、従来は、燃料電池スタックの性能を極大化するために、メタルフォーム(metal foam)またはワイヤメッシュ(wire mesh)などの多孔性部材をセパレータ(例えば、カソードセパレータ)に備え、膜電極接合体の面圧を均等に分散させ、反応ガスの拡散および生成水(凝縮水)の排出性能を向上させる方策が提示されている。しかし、従来は、ガス拡散層とセパレータとの間に別の多孔性部材を備えなければならないため、構造および作製工程が複雑になり、製造原価が上昇するという問題がある。
【0018】
ところが、本発明の実施形態は、反応層と対向する板体の一面に波パターンを備え、波パターンに沿って反応ガスが流動するようにすることで、膜電極接合体(反応層)に供給される反応ガスの反応面積および伝達効率を保障するという有利な効果を得ることができる。
【0019】
何よりも、本発明の実施形態は、反応ガスが波パターンのデコボコした表面に沿って移動するようにすることで、セパレータの平面方向(第1方向)に沿った反応ガスの流動流れを保障しながらも、セパレータの厚さ方向(セパレータから膜電極接合体に向かう第3方向)に沿った反応ガスの流動流れを形成することができるため、膜電極接合体への物質伝達性能(反応ガスの伝達流量)をさらに向上させることができ、燃料電池スタックの性能および作動効率を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0020】
また、本発明の実施形態は、多孔性部材を排除し、セパレータが直接ガス拡散層に接触するようにすることで、ガス拡散層とセパレータとの接触抵抗(電気抵抗)を低くすることができ、応力集中現象を最小化することができるため、燃料電池スタックの締結時のガス拡散層の変形および損傷を最小化し、耐久性を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0021】
さらに、本発明の実施形態は、多孔性部材を排除することができるので、多孔性部材をセパレータに結合するための溶接工程を排除することができるため、セパレータの構造および作製工程を簡素化するという有利な効果を得ることができる。
【0022】
波パターンは、凹凸(concave-convex)のようにデコボコした表面を有する多様な構造として提供されることができる。
本発明の実施形態によると、波パターンは、反応層と対向する板体の一面に突出するように提供される峰部(crest portion)と、峰部と連続した波形(waveform)をなすように第1方向に沿った峰部の端部に連結される谷部(trough portion)と、を含むことができる。
【0023】
峰部は、板体の一面に突出可能な多様な構造として提供されることができる。
本発明の実施形態によると、峰部は、反応ガスを反応層に向かってガイドする第1傾斜部と、第1傾斜部の下流に備えられ、第1傾斜部を通過した反応ガスを板体に向かってガイドする第2傾斜部と、を含むことができる。本発明の実施形態によると、峰部は、第1傾斜部と第2傾斜部との間に備えられる平坦部を含むことも可能である。
【0024】
峰部の基準高さ(セパレータの厚さ方向に沿った高さ)は、求められる条件および設計仕様に応じて多様に変更されることができる。
一例として、峰部は、板体の厚さ方向に沿った第3方向に沿って既に設定された基準高さを有するように定義されることができる。
【0025】
本発明の実施形態によると、波パターンと島部は、第1方向に交差する第2方向に沿って交互(alternation)に配置されるように複数備えられることができる。
【0026】
本発明の実施形態によると、燃料電池用セパレータは、板体の他の一面に備えられ、冷却水が流動する冷却チャネルを含むことができる。
冷却チャネルは、求められる条件および設計仕様に応じて多様な構造として提供されることができる。本発明の実施形態によると、冷却チャネルは、島部の内部空間に沿って定義されることができる。
【0027】
本発明の実施形態によると、燃料電池用セパレータは、板体の他の一面に備えられ、互いに隣接した冷却チャネルを連通するように連結する連結冷却チャネルを含むことができる。
本発明の実施形態によると、連結冷却チャネルは、峰部の内部空間に沿って定義されることができる。
【0028】
このように、本発明の実施形態は、連結冷却チャネルを介して互いに隣接した冷却チャネルが互いに連通するようにすることで、冷却水の移動性をさらに向上させることができるため、冷却水による冷却性能および冷却効率をさらに向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0029】
何よりも、本発明の実施形態は、連結冷却チャネルが峰部の内部空間を横切るようにすることで、ウェーブチャネルに対応するセパレータの他の一面を直接冷却することができるため、冷却水による冷却性能および冷却効率をさらに向上させることができる。
【0030】
さらに、本発明の実施形態は、互いに異なる冷却チャネルが連結冷却チャネルを介して互いに連通するようにすることで、互いに異なる冷却チャネルに沿って移動する冷却水が連結冷却チャネルを介して混合されることができるため、互いに冷却チャネルに沿って移動する冷却水間の温度偏差を最小化し、セパレータの全体領域を均一な温度に冷却するという有利な効果を得ることができる。
【0031】
本発明の実施形態によると、波パターンおよび島部は、第2方向(Y方向)に沿って交互(alternation)に配置されるように複数備えられ、各波パターンの峰部は、第2方向に沿って互いに異なる線上に配置されることができる。
【0032】
このように、本発明の実施形態は、互いに異なる波パターンを構成する複数の峰部が互いに異なる線上に交互に配置されるようにすることで、反応チャネル間の反応ガスの移動を促進(特定の反応チャネルに沿って移動する反応ガスがガス拡散層を経て他の反応チャネルに移動するのを促進)させることができるため、反応ガスの反応効率をさらに向上させることができ、反応層での凝縮水の排出性能を向上させることができる。その結果、燃料電池スタックの出力性能を向上させ、安定性および信頼性を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0033】
また、本発明の実施形態によると、各波パターンの峰部が第2方向に沿って互いに異なる線上に配置されるようにすることで、峰部の内部空間に沿って定義される連結冷却チャネルも、第2方向に沿って互いに異なる線上に配置されることができる。
【0034】
このように、本発明の実施形態は、各峰部の内部空間に沿って定義される連結冷却チャネルが互いに異なる線上に交互に配置されるようにすることで、互いに異なる冷却チャネル間の冷却水の移動を保障しながらも、第1方向に沿った冷却水の円滑な流れを保障(冷却チャネルの差圧の減少)するという有利な効果を得ることができる。
【0035】
峰部を構成する第1傾斜部の第1角度と第2傾斜部の第2角度は、求められる条件および設計仕様に応じて多様に変更されることができる。
本発明の実施形態によると、波パターンを構成する峰部は、第1傾斜部および第2傾斜部を含み、第1傾斜部は、第1角度を有するように定義され、第2傾斜部は、第1角度とは異なる第2角度を有するように定義されることができる。
【0036】
好ましくは、第1傾斜部の第1角度は、第2傾斜部の第2角度よりも小さく定義されることができる。
このように、本発明の実施形態は、第1傾斜部の第1角度を第2傾斜部の第2角度よりも小さくすることで、反応ガスが第1傾斜部に接触することによる反応ガスの圧力損失(圧力降下)を最小化することができ、反応ガスが第1傾斜部を通過した後には、反応ガスが第2傾斜部に沿ってさらに速く移動することができるため、反応ガスの移動(供給)効率を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0037】
本発明の好ましい実施形態によると、反応チャネルは、反応ガスが流入する入口部と、入口部の下流(down-stream)と定義される中央部と、中央部の下流(down-stream)と定義され、反応ガスが排出される出口部と、を含むことができ、峰部は、入口部、中央部、出口部のうち少なくともいずれか1つに備えられることができる。
【0038】
本発明の好ましい実施形態によると、峰部は、第1方向に沿って離隔するように複数提供され、互いに隣接した峰部間の基準距離は、入口部、中央部、出口部別に互いに異なるように定義されることができる。
【0039】
本発明の好ましい実施形態によると、峰部の基準距離は、第1方向に沿って下流に行くほど減少するように定義されることができる。
これは、第1方向に沿って反応チャネルの下流に行くほど(入口部から出口部の方向に行くほど)、反応ガスの濃度が低下することに起因したものであり、第1方向に沿って反応チャネルの下流に行くほど、峰部の基準距離が減少するようにすることで、言い換えれば、第1方向に沿って反応チャネルの下流に行くほど、峰部がさらに短い間隔で緻密に配置されるようにすることで、膜電極接合体を通過する反応ガスの流速(または、流量)を調節することができるため、反応チャネルの全区間における膜電極接合体への物質伝達性能(反応ガスの伝達流量)および反応効率を均一に維持するという有利な効果を得ることができる。
【0040】
本発明の好ましい実施形態によると、反応チャネルの区間(例えば、入口部、中央部、出口部)別に波パターンを構成する峰部の基準高さを異なるように定義し、反応チャネルの区間別に膜電極接合体への物質伝達性能を調節することも可能である。
【0041】
本発明の実施形態によると、波パターンは、板体の一面に提供され、板体の厚さ方向に沿って第1基準高さを有するように定義される第1峰部と、第1方向に沿って第1峰部から離隔するように第1峰部の下流に提供され、第1基準高さとは異なる第2基準高さを有するように定義される第2峰部と、を含むことができる。
【0042】
好ましくは、第2峰部の第2基準高さは、第1峰部の第1基準高さよりも大きく定義されることができる。
このように、第1峰部よりも下流に位置する第2峰部の第2基準高さを第1峰部の第1基準高さよりも大きく定義することで、反応チャネルの下流に行くほど反応ガスの濃度が低下しても、膜電極接合体を通過する反応ガスの流速(または、流量)を調節することができるため、反応チャネルの全区間における膜電極接合体への物質伝達性能(反応ガスの伝達流量)および反応効率を均一に維持するという有利な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータが適用された燃料電池スタックを説明するための図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータを説明するための図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータとして、波パターンを説明するための図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータとして、連結冷却チャネルを説明するための図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータとして、連結冷却チャネルを説明するための図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータとして、波パターンの変形例を説明するための図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータとして、波パターンの変形例を説明するための図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータとして、波パターンの変形例を説明するための図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る燃料電池用セパレータとして、波パターンの変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳しく説明する。
ただし、本発明の技術思想は、説明される一部の実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現されてもよく、本発明の技術思想の範囲内であれば、実施形態の間にその構成要素のうち1つ以上を選択的に結合、置換して用いてもよい。
【0045】
また、本発明の実施形態で用いられる用語(技術および科学的用語を含む)は、明らかに特に定義して述べられない限り、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に一般的に理解される意味として解釈してもよく、辞書に定義された用語のように一般的に用いられる用語は、関連技術の文脈上の意味を考慮してその意味を解釈してもよい。
また、本発明の実施形態で用いられた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。
【0046】
本明細書において、単数形は、語句において特に言及しない限り、複数形を含んでもよく、「Aおよび(と)B、Cのうち少なくとも1つ(または、1つ以上)」と記載される場合、A、B、Cにより組み合わせ可能な全ての組み合わせのうち1つ以上を含んでもよい。
【0047】
また、本発明の実施形態の構成要素を説明するに際し、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を用いてもよい。
このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものにすぎず、その用語により当該構成要素の本質や順番または手順などが限定されることはない。
【0048】
そして、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」、または「接続」されると記載される場合、その構成要素は、前記他の構成要素に直接的に連結、結合、または接続される場合だけでなく、その構成要素と前記他の構成要素との間にまた他の構成要素により「連結」、「結合」、または「接続」される場合を含んでもよい。
【0049】
また、各構成要素の「上(上方)または下(下方)」に形成または配置されると記載される場合、上(上方)または下(下方)は、2つの構成要素が互いに直接接触する場合だけでなく、1つ以上のまた他の構成要素が2つの構成要素の間に形成または配置される場合も含む。また、「上(上方)または下(下方)」と表現される場合、1つの構成要素を基準に、上側方向だけでなく、下側方向の意味を含んでもよい。
【0050】
図1~
図9を参照すると、本発明の実施形態に係る燃料電池スタック10は、膜電極接合体(MEA)110を含む反応層100と、反応層100に積層される板体210と、反応層100と対向する板体210の一面に備えられ、反応ガスが供給される第1方向(X方向)に沿って反応層100と板体210との間に反応ガスが移動する反応チャネル221を定義する波パターン220と、波パターン220の側端部に沿って備えられ、反応層100に接触する島部(land)230と、を含む。
参考に、燃料電池スタック10は、複数の単位セルを基準方向(例えば、
図1を基準に上下方向)(Z方向)に積層して構成されることができる。
【0051】
燃料電池セル(単位セル)は、反応層100と、反応層100の両面にそれぞれ積層されるセパレータ200と、を含むことができ、複数の燃料電池セルを基準方向に積層した後、その両端にエンドプレート(図示せず)を組み立てることで、燃料電池スタック10を構成することができる。
【0052】
より具体的に、反応層100は、水素イオンが移動する電解質膜を中心に膜の両側に電気化学反応が起こる触媒電極層が付着された膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)110と、膜電極接合体110に積層され、反応ガスを均一に分布させ、発生した電気エネルギーを伝達する役割を行うガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)120と、を含むことができる。
【0053】
膜電極接合体110は、第1反応ガスである燃料(例えば、水素)と、第2反応ガスである酸化剤(例えば、空気)の酸化還元反応により電気を生産するように備えられる。
【0054】
膜電極接合体110の構造および材質は、求められる条件および設計仕様に応じて多様に変更されることができ、膜電極接合体110の構造および材質により本発明が制限または限定されるものではない。
【0055】
一例として、膜電極接合体110は、水素イオンが移動する電解質膜を中心に電解質膜の両面に電気化学反応が起こる触媒電極層を付着して構成されることができる。
【0056】
ガス拡散層(GDL:Gas Diffusion Layer)120は、膜電極接合体110の両側に積層され、反応ガスを均一に分布させ、発生した電気エネルギーを伝達する役割を行う。
【0057】
ガス拡散層120は、反応ガスを拡散可能な多様な構造として提供されることができる。一例として、ガス拡散層120は、所定サイズの気孔を有する多孔性構造として提供されることができる。
【0058】
ガス拡散層120の気孔サイズおよび材質は、求められる条件および設計仕様に応じて多様に変更されることができ、ガス拡散層120の気孔サイズおよび材質により本発明が制限または限定されるものではない。
【0059】
セパレータ200は、反応ガスである水素と空気を遮断(分離)する役割の他に、反応ガスの流路確保および外部回路に電流を伝達する役割を行うように備えられる。
【0060】
また、セパレータ200は、燃料電池セル(単位セル)で発生した熱を燃料電池セル全体に分配する役割も行い、過度に発生した熱は、セパレータ200の冷却チャネル240に沿って移動する冷却水により外部に排出されることができる。
【0061】
本発明の実施形態において、セパレータ200とは、燃料である水素の流路を形成するアノードセパレータ、および酸化剤である空気の流路を形成するカソードセパレータを全て含むものと定義されることができる。
【0062】
一例として、セパレータ200は、薄膜金属(例えば、ステンレス、インコネル、アルミニウム)で形成されることができる。セパレータ200(アノードセパレータ、カソードセパレータ)は、反応層100とともに1つの燃料電池セル(単位セル)をなし、互いに独立に水素、空気、冷却水の流路を形成することができる。本発明の他の実施形態によると、セパレータを黒鉛または炭素複合素材などのその他の材質で形成することも可能である。
【0063】
参考に、燃料である水素と酸化剤である空気がセパレータ200(カソードセパレータおよびアノードセパレータ)の反応チャネル221を介して膜電極接合体110のアノード(図示せず)とカソード(図示せず)にそれぞれ供給されるが、水素はアノードに供給され、空気はカソードに供給されることができる。
【0064】
アノードに供給された水素は、電解質膜の両側に備えられた電極層の触媒により水素イオン(proton)と電子(electron)に分解され、そのうち水素イオンだけが選択的にカチオン交換膜である電解質膜を通過してカソードに伝達されるとともに、電子は、導体であるガス拡散層120とセパレータ200を介してカソードに伝達される。
【0065】
カソードにおいては、電解質膜を介して供給された水素イオンとセパレータ200を介して伝達された電子が、空気供給装置によりカソードに供給された空気中の酸素と接して水を生成する反応を起こす。この際に発生する水素イオンの移動に起因して外部導線を介した電子の流れが発生し、このような電子の流れにより電流が生成される。
【0066】
一例として、
図1を基準に、膜電極接合体110の一面には、水素を供給するセパレータ200(例えば、アノードセパレータ)が配置され、膜電極接合体110の他の一面には、空気を供給するセパレータ200(例えば、カソードセパレータ)が配置されることができる。
【0067】
より具体的に、セパレータ200は、反応層100の外面(膜電極接合体に積層されるガス拡散層の外面)に積層される板体210と、反応層100と対向する板体210の一面に備えられ、反応ガスが供給される第1方向(X方向)に沿って反応層100と板体210との間に反応ガスが移動する反応チャネル221を定義する波パターン220と、波パターン220の側端部に沿って備えられ、反応層100に接触する島部(land)230と、を含む。
【0068】
図1~
図3を参照すると、板体210は、平らな薄膜のプレートで形成されることができ、板体210のサイズ、材質、および構造により本発明が制限または限定されるものではない。
【0069】
一例として、板体210は、平らな四角形のプレート状に形成されることができ、通常の金属材質(例えば、ステンレス、インコネル、アルミニウム)で形成されることができる。
【0070】
波パターン220は、反応ガスが供給される第1方向(X方向)に沿って反応ガスが移動する反応チャネル221を定義するように、反応層100と対向する板体210の一面(
図2を基準に上面)に備えられる。
【0071】
参考に、本発明の実施形態において、第1方向(X方向)とは、セパレータ200の一端からセパレータ200の内部(または、セパレータの他の一端)に向かって供給される反応ガスの供給方向と定義されることができる。
【0072】
波パターン220は、凹凸(concave-convex)のようにデコボコした表面を有する多様な構造として提供されることができ、波パターン220の構造および形態により本発明が制限または限定されるものではない。
【0073】
本発明の実施形態によると、波パターン220は、反応層100と対向する板体210の一面に突出するように提供される峰部(crest portion)222と、峰部222と連続した波形(waveform)をなすように第1方向(X方向)を沿った峰部222の端部に連結される谷部(trough portion)224と、を含むことができる。
【0074】
峰部222は、板体210の一面に突出可能な多様な構造として提供されることができ、峰部222の構造および形態により本発明が制限または限定されるものではない。
【0075】
本発明の実施形態によると、峰部222は、反応ガスを反応層100に向かってガイドする第1傾斜部222aと、第1傾斜部222aの下流に備えられ、第1傾斜部222aを通過した反応ガスを板体210に向かってガイドする第2傾斜部222cと、第1傾斜部222aと第2傾斜部222cとの間に備えられる平坦部222bと、を含むことができ、第1傾斜部222a、第2傾斜部222c、および平坦部222bは、相互協調的にほぼ台形状をなすように提供されることができる。
【0076】
一例として、第1傾斜部222aは、第1角度θ1を有するようにほぼ直線状に形成され、第2傾斜部222cは、第2角度θ2を有するようにほぼ直線状に形成されることができる。本発明の他の実施形態によると、第1傾斜部および第2傾斜部は、曲線状(例えば、円弧状)または直線状と曲線状を組み合わせた構造に形成することも可能である。
【0077】
第1傾斜部222aの第1角度θ1および第2傾斜部222cの第2角度θ2は、求められる条件および設計仕様に応じて多様に変更されることができ、第1角度θ1および第2角度θ2により本発明が制限または限定されるものではない。一例として、
図3を参照すると、第1傾斜部222aの第1角度θ1および第2傾斜部222cの第2角度θ2は互いに同一に定義されることができる。
【0078】
参考に、前述および図示した本発明の実施形態においては、峰部222が第1傾斜部222a、第2傾斜部222c、および平坦部222bを含む例を挙げて説明しているが、本発明の他の実施形態によると、平坦部を排除し、第1傾斜部および第2傾斜部だけでほぼ三角形状を有する峰部を構成することも可能である。
【0079】
峰部222の基準高さ(セパレータの厚さ方向に沿った高さ)Hは、求められる条件および設計仕様に応じて多様に変更されることができ、峰部222の基準高さHにより本発明が制限または限定されるものではない。
【0080】
参考に、峰部222の基準高さが増加するほど、峰部222を乗り越えて反応層100に伝達される反応ガスの濃度が増加することができる。ただし、峰部222の基準高さが増加するほど、反応層100に伝達される反応ガスの濃度が増加することができるが、峰部222により第1方向(X方向)に沿った反応ガスの流動流れが低下(差圧の増加)し得るため、第1方向(X方向)に沿った反応ガスの円滑な流動流れを保障できる条件内で峰部222の基準高さを決めることが好ましい。
【0081】
一例として、波パターン220を構成する複数の峰部222は、板体210の厚さ方向に沿った第3方向(Z方向)に沿って既に設定された同一の基準高さHを有するように構成されることができる。
【0082】
谷部224は、峰部222と連続した波形を形成可能な多様な構造として提供されることができ、谷部224の構造および形態により本発明が制限または限定されるものではない。
【0083】
一例として、谷部224は、ほぼ平坦な直線状に形成されることができる。本発明の他の実施形態によると、谷部を凹むかまたは折り曲げられた曲線状に形成することも可能である。
好ましくは、峰部222と谷部224は、第1方向(X方向)に沿って交互(alternation)に配置されることができる。
【0084】
一例として、峰部222は、第1方向(X方向)に沿って既に設定された基準距離(ピッチ)Pだけ離隔するように複数提供されることができる。この際、峰部222の基準距離(ピッチ)Pは、第1方向(X方向)に沿った第1傾斜部222aの直線の長さ(下辺の長さ)、第1方向(X方向)に沿った平坦部222bの長さ、第1方向(X方向)に沿った第2傾斜部222cの直線の長さ(下辺の長さ)、第1方向(X方向)に沿った谷部224の直線の長さの総和と定義されることができる。
【0085】
波パターン220は、求められる条件および設計仕様に応じて多様な方式で形成されることができる。好ましくは、波パターン220は、板体210の一部を部分的に加工(例えば、プレス加工)し、板体210に一体に形成されることができる。
【0086】
より好ましくは、波パターン220は、板体210の一部を部分的に加工(例えば、プレス加工)し、板体210の一面に浮き彫り状(relief)に形成されることができる。なお、波パターン220は、板体210と同一の厚さを有するように形成されることができる。
【0087】
このように、板体210の一部を部分的に加工して波パターン220を形成することで、波パターン220を形成するための製造工程を簡素化し、原価を節減するという有利な効果を得ることができる。
【0088】
本発明の他の実施形態によると、ダイキャストまたは切削加工などにより、板体に波パターンを形成することも可能である。または、波パターンを板体とは別に作製した後、板体に付着または結合することも可能である。
【0089】
島部230は、波パターン220の側端部に沿って備えられ、島部230の島部230面(反応層に隣接した最上面)(図示せず)は、反応層100(反応層のガス拡散層)に接触する。
【0090】
島部230は、反応層100に接触可能な多様な構造として提供されることができ、島部230の形態および構造により本発明が制限または限定されるものではない。
【0091】
一例として、島部230は、ほぼ四角直線ブロック状を有するように波パターン220の側端部に沿って連続的に形成されることができる。本発明の他の実施形態によると、島部を曲線状またはその他の形状に形成することも可能である。
【0092】
本発明の実施形態によると、波パターン220と島部230は、第1方向(X方向)に交差する第2方向(Y方向)に沿って交互(alternation)に配置されるように複数備えられることができる。
【0093】
第2方向(Y方向)は、第1方向(X方向)と同一平面上で交差する多様な方向と定義されることができる。好ましくは、第1方向(X方向)と第2方向(Y方向)は、互いに垂直(直交)するように定義されることができる。
【0094】
以下、各波パターン220の峰部222が第2方向(Y方向)に沿って同一線上Cに配置される例を挙げて説明することにする。
なお、島部230の幅(第2方向に沿った幅)および高さ(セパレータの厚さ方向に沿った高さ)は、求められる条件および設計仕様に応じて多様に変更されることができ、島部230の高さおよび幅により本発明が制限または限定されるものではない。
【0095】
島部230は、求められる条件および設計仕様に応じて多様な方式で形成されることができる。好ましくは、島部230は、板体210の一部を部分的に加工(例えば、プレス加工)し、板体210に一体に形成されることができる。より好ましくは、波パターン220と島部230は、単一工程により共に形成されることができる。
【0096】
波パターン220と同様に、島部230は、板体210の一部を部分的に加工し、板体210の一面(反応層と対向する面)に浮き彫り状(relief)に形成され、島部230は、波パターン220および板体210と同一の厚さを有するように形成されることができる。
【0097】
このように、板体210の一部を部分的に加工して島部230を形成することで、島部230を形成するための製造工程を簡素化し、原価を節減するという有利な効果を得ることができる。
【0098】
本発明の他の実施形態によると、ダイキャストまたは切削加工などにより、段差部に島部を形成することも可能である。または、島部を板体とは別に作製した後、板体に付着または結合することも可能である。
【0099】
反応チャネル221は、互いに隣接した島部230の間に配置されるように板体210と反応層100との間と定義され、セパレータ200に供給された反応ガスは、反応チャネル221に沿って第1方向(X方向)に移動することができる。
【0100】
このように、本発明の実施形態は、セパレータ200に供給された反応ガスがデコボコした表面を有する波パターン220に沿って移動するようにすることで、セパレータ200の平面方向(第1方向)に沿った反応ガスの流動流れを保障しながらも、セパレータ200の厚さ方向(セパレータから膜電極接合体に向かう第3方向)に沿った反応ガスの流動流れ(
図2および
図3のGF1)を形成することができるため、膜電極接合体110への物質伝達性能(反応ガスの伝達流量)をさらに向上させることができ、燃料電池スタック10の性能および作動効率を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0101】
特に、本発明の実施形態は、反応ガスが峰部222を乗り越えつつ、セパレータ200から反応層100に向かう方向に沿った反応ガスの流動流れGF1が形成されるようにすることで、反応層100への反応ガスの伝達性能をさらに向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0102】
図1~
図2を参照すると、本発明の実施形態によると、燃料電池用セパレータ200は、板体210の他の一面に備えられ、冷却水が流動する冷却チャネル240を含むことができる。
【0103】
冷却チャネル240は、求められる条件および設計仕様に応じて多様な構造として提供されることができ、冷却チャネル240により本発明が制限または限定されるものではない。
【0104】
好ましくは、冷却チャネル240は、島部230の内部空間に沿って連続的に定義される。
ここで、冷却チャネル240が島部230の内部空間と定義されるとは、板体210に島部230を形成することで、島部230に対応するように板体210の他の一面に形成される空間(彫り込み空間)により冷却チャネル240が提供されるものと理解することができる。
【0105】
このように、板体210に島部230を形成するとともに、冷却チャネル240が共に形成されるようにすることで、セパレータ200の構造および製造工程を簡素化するという有利な効果を得ることができる。
【0106】
好ましくは、板体210は、互いに密着するように少なくとも2個備えられ、各板体210に備えられる冷却チャネル240は、互いに連通するように配置されることができる。
【0107】
例えば、2個の板体210は、互いに異なる燃料電池セル(単位セル)を形成するように密着(各板体の他の一面が互いに対向するように密着)することができ、各板体210に備えられる冷却チャネル240は、互いに連通して共用冷却チャネル(図示せず)を定義することができる。
【0108】
このように、2個の冷却チャネル240を連通させ、さらに拡張した断面積(例えば、冷却チャネルの断面積×2)を有する共用冷却チャネルが提供されるようにすることで、冷却水の移動性を向上させることができるため、冷却水による冷却性能および冷却効率を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0109】
本発明の実施形態によると、燃料電池用セパレータ200は、板体210の他の一面に備えられ、互いに隣接した冷却チャネル240を連通するように連結する連結冷却チャネル250を含むことができる。
【0110】
連結冷却チャネル250は、互いに隣接した冷却チャネル240を連通するように連結可能な多様な構造として提供されることができ、連結冷却チャネル250により本発明が制限または限定されるものではない。
【0111】
本発明の実施形態によると、連結冷却チャネル250は、峰部222の内部空間に沿って定義されることができる。
ここで、連結冷却チャネル250が峰部222の内部空間と定義されるとは、板体210に峰部222を形成することで、峰部222に対応するように板体210の他の一面に形成される空間(彫り込み空間)により連結冷却チャネル250が提供されるものと理解することができる。このように、板体210に峰部222を形成するとともに、連結冷却チャネル250が共に形成されるようにすることで、セパレータ200の構造および製造工程を簡素化するという有利な効果を得ることができる。
【0112】
このように、本発明の実施形態は、連結冷却チャネル250を介して互いに隣接した冷却チャネル240が互いに連通するようにすることで、冷却水の移動性をさらに向上させることができるため、冷却水による冷却性能および冷却効率をさらに向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0113】
何よりも、本発明の実施形態は、連結冷却チャネル250が峰部222の内部空間を横切るようにすることで、ウェーブチャネルに対応するセパレータ200の他の一面を直接冷却することができるため、冷却水による冷却性能および冷却効率をさらに向上させることができる。
【0114】
さらに、本発明の実施形態は、互いに異なる冷却チャネル240が連結冷却チャネル250を介して互いに連通するようにすることで、互いに異なる冷却チャネル240に沿って移動する冷却水が連結冷却チャネル250を介して混合されることができるため、互いに冷却チャネル240に沿って移動する冷却水間の温度偏差を最小化し、セパレータ200の全体領域を均一な温度に冷却するという有利な効果を得ることができる。
【0115】
前述および図示した本発明の実施形態においては、波パターン220および島部230が第2方向(Y方向)に沿って交互(alternation)に配置されるように複数備えられ、各波パターン220の峰部222が第2方向(Y方向)に沿って同一線上Cに配置された例を挙げて説明しているが、本発明の他の実施形態によると、各波パターンの峰部が第2方向に沿って互いに異なる線上に配置されるように構成することも可能である。
【0116】
図4および
図5を参照すると、本発明の実施形態によると、波パターン220および島部230は、第2方向(Y方向)に沿って交互(alternation)に配置されるように複数備えられ、各波パターン220の峰部222は、第2方向(Y方向)に沿って互いに異なる線上に配置されることができる。
【0117】
一例として、複数の波パターン220のうち少なくともいずれか1つを構成する峰部222は、第1ラインC1を中心に第2方向(Y方向)に沿って配置され、複数の波パターン220のうち少なくともいずれか他の1つを構成する峰部222は、第1ラインC1から離隔した第2ラインC2を中心に第2方向(Y方向)に沿って配置されることができる。
【0118】
このように、本発明の実施形態は、互いに異なる波パターン220を構成する複数の峰部222が互いに異なる線上に交互に配置されるようにすることで、反応チャネル間の反応ガスの移動を促進(特定の反応チャネルに沿って移動する反応ガスがガス拡散層を経て他の反応チャネルに移動するのを促進)させることができるため、反応ガスの反応効率をさらに向上させることができ、反応層での凝縮水の排出性能を向上させることができる。その結果、燃料電池スタック10の出力性能を向上させ、安定性および信頼性を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0119】
また、
図4を参照すると、各波パターン220の峰部222が第2方向(Y方向)に沿って互いに異なる線上に配置されるようにすることで、峰部222の内部空間に沿って定義される連結冷却チャネル250も、第2方向(Y方向)に沿って互いに異なる線上に配置されることができる。
【0120】
このように、本発明の実施形態は、各峰部222の内部空間に沿って定義される連結冷却チャネル250が互いに異なる線上に交互に配置されるようにすることで、互いに異なる冷却チャネル240間の冷却水の移動を保障しながらも、第1方向(X方向)に沿った冷却水の円滑な流れを保障(冷却チャネルの差圧の減少)するという有利な効果を得ることができる。
【0121】
一方、前述および図示した本発明の実施形態においては、峰部222を構成する第1傾斜部222aの第1角度θ1と第2傾斜部222cの第2角度θ2が互いに同一に定義された例を挙げて説明しているが、本発明の他の実施形態によると、峰部を構成する第1傾斜部の第1角度と第2傾斜部の第2角度を互いに異なるように定義することも可能である。
【0122】
図6~
図9を参照すると、本発明の実施形態によると、波パターン220を構成する峰部222’、222’’は、第1傾斜部222a’、222a’’および第2傾斜部222c’、222c’’を含み、第1傾斜部222a’、222a’’は、第1角度θ1’、θ1’’を有するように定義され、第2傾斜部222c’、222c’’は、第1角度θ1’、θ1’’とは異なる第2角度θ2’、θ2’’を有するように定義されることができる。
【0123】
好ましくは、第1傾斜部222a’、222a’’の第1角度θ1’、θ1’’は、第2傾斜部222c’、222c’’の第2角度θ2’、θ2’’よりも小さく定義されることができる。
【0124】
このように、本発明の実施形態は、第1傾斜部222a’、222a’’の第1角度θ1’、θ1’’を第2傾斜部222c’、222c’’の第2角度θ2’、θ2’’よりも小さく(例えば、θ1’<θ2’)することで、反応ガスが第1傾斜部222a’、222a’’に接触することによる反応ガスの圧力損失(圧力降下)を最小化することができ、反応ガスが第1傾斜部222a’、222a’’を通過した後には、反応ガスが第2傾斜部222c’、222c’’に沿ってさらに速く移動することができるため、反応ガスの移動(供給)効率を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0125】
より好ましくは、第1傾斜部222a’、222a’’の長さ(または、第1方向に沿った第1傾斜部の直線の長さ)は、第2傾斜部222c’、222c’’の長さ(または、第1方向に沿った第2傾斜部の直線の長さ)よりも長く定義されることができる。
【0126】
このように、第1傾斜部222a’、222a’’の長さを第2傾斜部222c’、222c’’の長さより長く形成することで、実質的にセパレータ200の厚さ方向(セパレータから膜電極接合体に向かう第3方向)に沿った反応ガスの流動流れを発生させる区間を十分に確保することができ、膜電極接合体110への物質伝達性能(反応ガスの伝達流量)をさらに向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0127】
図8を参照すると、本発明の実施形態によると、反応チャネル221は、反応ガスが流入する入口部221aと、入口部221aの下流(down-stream)と定義される中央部221bと、中央部221bの下流(down-stream)と定義され、反応ガスが排出される出口部221cと、を含むことができ、峰部222は、入口部221a、中央部221b、出口部221cのうち少なくともいずれか1つに備えられることができる。
【0128】
以下、反応チャネル221の全区間(例えば、入口部、中央部、出口部)にわたって峰部222が備えられた例を挙げて説明することにする。本発明の他の実施形態によると、反応チャネルの入口部だけに峰部を備えるか、または反応チャネルの出口部だけに峰部を備えることも可能である。または、反応チャネルの中央部には峰部を形成せず、反応チャネルの入口部と反応チャネルの出口部だけに峰部を備えることも可能である。
【0129】
本発明の実施形態によると、峰部222は、第1方向(X方向)に沿って離隔するように複数提供され、互いに隣接した峰部222間の基準距離は、入口部221a、中央部221b、出口部221c別に互いに異なるように定義されることができる。
【0130】
好ましくは、峰部222の基準距離は、第1方向(X方向)に沿って下流に行くほど減少するように定義されることができる。例えば、基準距離は、入口部221aから出口部221cの方向に行くほど減少するように定義されることができる。
【0131】
例えば、
図9を参照すると、波パターン220は、第1基準距離P1を有するように定義される第1峰部222’と、第1方向(X方向)に沿って第1峰部222’の下流に提供され、第1基準距離P1よりも短い基準距離P2を有するように定義される第2峰部222’’と、を含むことができる。
【0132】
これは、第1方向(X方向)に沿って反応チャネル221の下流に行くほど(例えば、入口部から出口部の方向に行くほど)、反応ガスの濃度が低下することに起因したものであり、第1方向(X方向)に沿って反応チャネル221の下流に行くほど、峰部222の基準距離が減少(P1>P2)するようにすることで、言い換えれば、第1方向(X方向)に沿って反応チャネル221の下流に行くほど、峰部222がさらに短い間隔で緻密に配置されるようにすることで、膜電極接合体110を通過する反応ガスの流速(または、流量)を調節することができるため(例えば、反応チャネルの下流に行くほど、反応ガスの流速を増加させることができるため)、反応チャネル221の全区間における膜電極接合体110への物質伝達性能(反応ガスの伝達流量)および反応効率を均一に維持するという有利な効果を得ることができる。
【0133】
前述した実施形態においては、峰部222の基準距離(例えば、P1、P2)に基づいて、反応チャネル221の区間別に膜電極接合体110への物質伝達性能(反応ガスの伝達流量)を調節する例を挙げて説明しているが、本発明の他の実施形態によると、峰部の基準高さに基づいて、反応チャネルの区間別に膜電極接合体への物質伝達性能を調節することも可能である。
【0134】
本発明の実施形態によると、反応チャネル221の区間(例えば、入口部、中央部、出口部)別に波パターン220を構成する峰部222’、222’’の基準高さ(例えば、H1、H2)を異なるように定義し、反応チャネル221の区間別に膜電極接合体110への物質伝達性能を調節することができる。
【0135】
より具体的に、
図9を参照すると、波パターン220は、板体210の一面に提供され、板体210の厚さ方向に沿って第1基準高さH1を有するように定義される第1峰部222’と、第1方向(X方向)に沿って第1峰部222’から離隔するように第1峰部222’の下流に提供され、第1基準高さH1とは異なる第2基準高さH2を有するように定義される第2峰部222’’と、を含むことができる。
【0136】
好ましくは、第2峰部222’’の第2基準高さH2は、第1峰部222’の第1基準高さH1よりも大きく定義されることができる。
このように、第1峰部222’よりも下流に位置する第2峰部222’’の第2基準高さH2を第1峰部222’の第1基準高さH1よりも大きく定義することで、反応チャネル221の下流に行くほど反応ガスの濃度が低下しても、膜電極接合体110を通過する反応ガスの流速(または、流量)を調節することができるため(例えば、反応チャネルの下流に行くほど、反応ガスの流速を増加させることができるため)、反応チャネル221の全区間における膜電極接合体110への物質伝達性能(反応ガスの伝達流量)および反応効率を均一に維持するという有利な効果を得ることができる。
【0137】
上述したように、本発明の実施形態によると、燃料電池スタックの性能(出力)および作動効率を向上させるという有利な効果を得ることができる。
特に、本発明の実施形態によると、膜電極接合体(反応層)に供給される反応ガスの反応面積および伝達効率を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0138】
何よりも、本発明の実施形態によると、セパレータの平面方向(第1方向)に沿った反応ガスの流動流れを保障しながらも、セパレータの厚さ方向(セパレータから膜電極接合体に向かう第3方向)に沿った反応ガスの流動流れを形成することができ、膜電極接合体(反応層)への物質伝達性能(反応ガスの伝達性能)をさらに向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0139】
また、本発明の実施形態によると、ガス拡散層とセパレータとの接触抵抗(電気抵抗)を低くすることができ、燃料電池スタックの出力を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0140】
また、本発明の実施形態によると、構造および製造工程を簡素化し、製造原価を節減するという有利な効果を得ることができる。
また、本発明の実施形態によると、凝縮水の排出性能を向上させ、フラッディング(flooding)現象を抑制するという有利な効果を得ることができる。
【0141】
また、本発明の実施形態によると、冷却水の円滑な流動流れを保障し、冷却性能および冷却効率を向上させるという有利な効果を得ることができる。
また、本発明の実施形態によると、安定性および信頼性を向上させるという有利な効果を得ることができる。
【0142】
以上、実施形態を中心に説明したが、これは、単なる例示にすぎず、本発明を限定するものではなく、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本実施形態の本質的な特性を逸脱しない範囲内で、以上に例示していない種々の変形および応用が可能であることは明らかである。例えば、実施形態に具体的に示された各構成要素は変形して実施できるものである。そして、このような変形および応用と関わる相違点は、添付の請求範囲で規定される本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0143】
10:燃料電池スタック
100:反応層
110:膜電極接合体
120:ガス拡散層
200:セパレータ
210:板体
220:波パターン
221:反応チャネル
221a:入口部
221b:中央部
221c:出口部
222:峰部
222’:第1峰部
222’’:第2峰部
222a、222a’、222a’’:第1傾斜部
222b、222b’、222b’’:平坦部
222c、222c’、222c’’:第2傾斜部
224:谷部
230:島部
240:冷却チャネル
250:連結冷却チャネル