(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058542
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】ドローン視認可能領域表示システム
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20240418BHJP
G05D 1/46 20240101ALI20240418BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20240418BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20240418BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
G08G5/00 A
G05D1/10
B64U10/13
B64C13/20 Z
G09B29/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034987
(22)【出願日】2023-03-07
(62)【分割の表示】P 2022164935の分割
【原出願日】2022-10-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000164438
【氏名又は名称】九州電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】398054340
【氏名又は名称】株式会社JCA
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 俊生
(72)【発明者】
【氏名】坂下 和也
(72)【発明者】
【氏名】谷川 政義
(72)【発明者】
【氏名】久原 琢水
(72)【発明者】
【氏名】後藤 周平
【テーマコード(参考)】
2C032
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
2C032HC09
2C032HD01
2C032HD16
2C032HD21
5H181AA26
5H181BB04
5H181FF22
5H181FF24
5H181FF32
5H301AA06
5H301AA10
5H301BB10
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD15
5H301LL01
5H301LL06
5H301LL12
(57)【要約】
【課題】 複数箇所に設定した操縦者位置におけるドローン視認可能領域を正確に表示できるようにすること、事前に設定された飛行ラインに沿ってドローンを操縦するのに適している操縦者位置を予め確実に決定できるようにすること。
【解決手段】 表示領域内の標高情報を取得する標高情報取得手段1と、表示領域内にある障害物の位置、形状及び高さの情報を取得する障害物情報取得手段2と、ドローンの飛行高度情報設定手段3と、操縦者位置設定手段4と、ドローン飛行領域内に飛行域格子点を設定する飛行域格子点設定手段5と、各飛行域格子点上を飛行するドローンが操縦者位置から見通せるか否かを判定する視認可否判定手段6と、操縦者位置及び操縦者位置からのドローン視認可能領域を表示する判定結果表示手段7を備えているシステム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローン飛行領域より広い範囲内のいずれかの箇所に設定された操縦者位置におけるドローン視認可能領域を表示させるドローン視認可能領域表示システムであって、
前記ドローン飛行領域及び前記操縦者位置を含む表示領域内の標高情報を取得する標高情報取得手段と、
前記ドローン飛行領域及び前記操縦者位置を含む表示領域内に存在する障害物の位置、形状及び高さの情報を取得する障害物情報取得手段と、
ドローンを飛行させる高度情報を設定する飛行高度情報設定手段と、
前記ドローン飛行領域内に飛行域格子点を設定する飛行域格子点設定手段と、
前記飛行域格子点における標高情報に前記高度情報を足した高さにある点が前記操縦者位置から見通せるか否かを判定する視認可否判定手段と、
前記操縦者位置を表示するとともに、各飛行域格子点の近傍に、前記視認可否判定手段による各飛行域格子点についての判定結果を表示する判定結果表示手段と、を備え、
前記操縦者位置は、前記ドローン飛行領域より広い範囲内のいずれかの箇所に複数設定されており、
前記視認可否判定手段は、複数設定されている前記操縦者位置毎に、前記飛行域格子点における標高情報に前記高度情報を足した高さにある点が前記操縦者位置から見通せるか否かを判定し、
前記判定結果表示手段は、複数設定されている前記操縦者位置毎に、該操縦者位置を表示するとともに、各飛行域格子点の近傍に、前記視認可否判定手段による各飛行域格子点についての判定結果を表示する
ことを特徴とするドローン視認可能領域表示システム。
【請求項2】
前記ドローン飛行領域内に、前記ドローンが飛行する予定の飛行ルートを設定する飛行ルート設定手段をさらに備え、
前記判定結果表示手段は、前記操縦者位置及び前記判定結果に重ねて、前記飛行ルートを表示する
ことを特徴とする請求項1記載のドローン視認可能領域表示システム。
【請求項3】
ドローン飛行領域より広い範囲内のいずれかの箇所に設定された操縦者位置におけるドローン視認可能領域を表示させるドローン視認可能領域表示システムであって、
前記ドローン飛行領域及び前記操縦者位置を含む表示領域内の標高情報を取得する標高情報取得手段と、
前記ドローン飛行領域及び前記操縦者位置を含む表示領域内に存在する障害物の位置、形状及び高さの情報を取得する障害物情報取得手段と、
ドローンを飛行させる高度情報を設定する飛行高度情報設定手段と、
前記操縦者位置を中心として一定角度毎に、水平な複数の放射線を設定する放射線設定手段と、
前記放射線毎に、該放射線上における標高情報に前記高度情報を足した高さにある線上にある点のうち、前記操縦者位置から見通せない最も近い点の水平距離を計算する近点水平距離計算手段と、
前記操縦者位置を表示するとともに、前記放射線毎に、前記操縦者位置から前記水平距離分離れている不可視近点を表示する不可視近点表示手段と、を備え、
前記操縦者位置は、前記ドローン飛行領域より広い範囲内のいずれかの箇所に複数設定されており、
前記近点水平距離計算手段は、複数設定された前記操縦者位置に対して、該操縦者位置を中心として一定角度毎に水平な複数の放射線を設定し、
前記近点水平距離計算手段は、複数設定された前記操縦者位置に対して、それぞれ該操縦者位置を中心として設定された放射線毎に、該放射線上における標高情報に前記高度情報を足した高さにある線上にある点のうち、前記操縦者位置から見通せない最も近い点の水平距離を計算し、
前記不可視近点表示手段は、複数設定されている前記操縦者位置毎に、該操縦者位置を表示するとともに、前記放射線毎に前記不可視近点を表示する
ことを特徴とするドローン視認可能領域表示システム。
【請求項4】
前記ドローン飛行領域内に、前記ドローンが飛行する予定の飛行ルートを設定する飛行ルート設定手段をさらに備え、
前記不可視近点表示手段は、前記操縦者位置及び前記不可視近点に重ねて、前記飛行ルートを表示する
ことを特徴とする請求項3記載のドローン視認可能領域表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドローン視認可能領域表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、災害現場の状況把握や警備を目的とした撮影、測量や点検を目的としたデータ取得及び農薬散布や物資運搬の作業等、様々な分野でドローンが利活用されている。
そして、航空法第132条の2第1項第6号の規定により、ドローンを飛行させる者は、ドローン及びその周囲の状況を目視により常時監視する必要があるが、この規定を遵守するためには、ドローンの飛行経路を変更する度に、操縦者等がドローン及びその周囲の状況を常時監視できる場所(ホームポイント)を選定したり、途中でホームポイントを移動したりしなければならず、事前準備に時間と手間がかかるという問題が生じている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2017-146292号公報)には、無人飛行体の飛行ルートを生成する飛行ルート生成装置であって、飛行ルートの入力を受け付ける入力部と、操縦者等の位置及びその位置に基づく視認可能領域を表示する表示部と、入力された飛行ルートの全てが視認可能領域内に含まれる場合は、その飛行ルートを確定し、飛行ルートの少なくとも一部が視認可能領域から外れている場合は、飛行ルートを確定せず警告メッセージを表示部に表示するものが記載されている(特に、請求項8及び
図3を参照)。
【0004】
また、特許文献2(特許第7120002号公報)には、無人航空機の飛行位置が所定の範囲外か範囲内かに応じて制御態様を切り替え可能な飛行装置において、無人航空機が飛行できる所定の範囲の設定は、操縦者が無人航空機を確認できる範囲とし、障害物により操縦者から遮蔽される範囲は所定の範囲に含まれないようにしてもよい点(特に、請求項1、2、段落0045~0050、0118及び
図7を参照)が記載されている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載されている飛行ルート生成装置は、操縦者等の位置及びその位置に基づく視認可能領域を表示するが、特許文献1には操縦者等の位置から樹木やビル等で見えない範囲を考慮することは記載されておらず、実際は操縦者等の位置からは見えない範囲を含む飛行ルートを確定してしまうおそれがある。
また、特許文献2に記載されている飛行装置は、飛行中の無人航空機が送信した各種情報に基づいて、無人航空機が飛行できる所定の範囲を設定するものであって、無人航空機を飛行させる前に所定の範囲を設定するものではない。
そのため、無人航空機の飛行位置が所定の範囲外になってしまう場合があり、所定の範囲外である場合には請求項6に記載されるように、所定の範囲内へ飛行させる等の第1制御(フィードバック制御)を行う等、複雑で高価な飛行制御部が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-146292号公報(特許第6617080号公報)
【特許文献2】特許第7120002号公報(国際公開2017/170148号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために、ドローンを操縦又は監視する操縦者や監視者の位置(以下「操縦者位置」という。)からドローンを視認することができる領域(以下「ドローン視認可能領域」という。)を正確に表示できるようにすることを第1の課題とし、操縦者位置を複数箇所に設定しておき、各操縦者位置におけるドローン視認可能領域を正確に表示できるようにすることを第2の課題としている。
また、本発明は、事前に設定された飛行ラインに沿ってドローンを操縦して飛行させることができる操縦者位置を予め確実に決定できるようにすることを第3の課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、ドローン飛行領域より広い範囲内のいずれかの箇所に設定された操縦者位置におけるドローン視認可能領域を表示させるドローン視認可能領域表示システムであって、
前記ドローン飛行領域及び前記操縦者位置を含む表示領域内の標高情報を取得する標高情報取得手段と、
前記ドローン飛行領域及び前記操縦者位置を含む表示領域内に存在する障害物の位置、形状及び高さの情報を取得する障害物情報取得手段と、
ドローンを飛行させる高度情報を設定する飛行高度情報設定手段と、
前記ドローン飛行領域内に飛行域格子点を設定する飛行域格子点設定手段と、
前記飛行域格子点における標高情報に前記高度情報を足した高さにある点が前記操縦者位置から見通せるか否かを判定する視認可否判定手段と、
前記操縦者位置を表示するとともに、各飛行域格子点の近傍に、前記視認可否判定手段による各飛行域格子点についての判定結果を表示する判定結果表示手段と、を備え、
前記操縦者位置は、前記ドローン飛行領域より広い範囲内のいずれかの箇所に複数設定されており、
前記視認可否判定手段は、複数設定されている前記操縦者位置毎に、前記飛行域格子点における標高情報に前記高度情報を足した高さにある点が前記操縦者位置から見通せるか否かを判定し、
前記判定結果表示手段は、複数設定されている前記操縦者位置毎に、該操縦者位置を表示するとともに、各飛行域格子点の近傍に、前記視認可否判定手段による各飛行域格子点についての判定結果を表示することを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のドローン視認可能領域表示システムにおいて、
前記ドローン飛行領域内に、前記ドローンが飛行する予定の飛行ルートを設定する飛行ルート設定手段をさらに備え、
前記判定結果表示手段は、前記操縦者位置及び前記判定結果に重ねて、前記飛行ルートを表示することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、ドローン飛行領域より広い範囲内のいずれかの箇所に設定された操縦者位置におけるドローン視認可能領域を表示させるドローン視認可能領域表示システムであって、
前記ドローン飛行領域及び前記操縦者位置を含む表示領域内の標高情報を取得する標高情報取得手段と、
前記ドローン飛行領域及び前記操縦者位置を含む表示領域内に存在する障害物の位置、形状及び高さの情報を取得する障害物情報取得手段と、
ドローンを飛行させる高度情報を設定する飛行高度情報設定手段と、
前記操縦者位置を中心として一定角度毎に、水平な複数の放射線を設定する放射線設定手段と、
前記放射線毎に、該放射線上における標高情報に前記高度情報を足した高さにある線上にある点のうち、前記操縦者位置から見通せない最も近い点の水平距離を計算する近点水平距離計算手段と、
前記操縦者位置を表示するとともに、前記放射線毎に、前記操縦者位置から前記水平距離分離れている不可視近点を表示する不可視近点表示手段と、を備え、
前記操縦者位置は、前記ドローン飛行領域より広い範囲内のいずれかの箇所に複数設定されており、
前記近点水平距離計算手段は、複数設定された前記操縦者位置に対して、該操縦者位置を中心として一定角度毎に水平な複数の放射線を設定し、
前記近点水平距離計算手段は、複数設定された前記操縦者位置に対して、それぞれ該操縦者位置を中心として設定された放射線毎に、該放射線上における標高情報に前記高度情報を足した高さにある線上にある点のうち、前記操縦者位置から見通せない最も近い点の水平距離を計算し、
前記不可視近点表示手段は、複数設定されている前記操縦者位置毎に、該操縦者位置を表示するとともに、前記放射線毎に前記不可視近点を表示することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3記載のドローン視認可能領域表示システムにおいて、
前記ドローン飛行領域内に、前記ドローンが飛行する予定の飛行ルートを設定する飛行ルート設定手段をさらに備え、
前記不可視近点表示手段は、前記操縦者位置及び前記不可視近点に重ねて、前記飛行ルートを表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、ドローン飛行領域及び前記操縦者位置を含む表示領域内の標高情報を取得するだけでなく、同表示領域内に存在する障害物の位置、形状及び高さの情報を取得するとともに、ドローンを飛行させる高度情報を設定しておき、ドローン飛行領域内に飛行域格子点を設定して、各飛行域格子点における標高情報に高度情報を足した高さにある点が操縦者位置から見通せるか否かを判定し、判定結果表示手段によって、操縦者位置を表示するとともに、各飛行域格子点の近傍に、各飛行域格子点についての判定結果を表示するので、操縦者位置からのドローン視認可能領域を正確に表示することができる。
また、操縦者位置は、ドローン飛行領域より広い範囲内のいずれかの箇所に複数設定されており、視認可否判定手段は、複数設定されている操縦者位置毎に、飛行域格子点における標高情報に高度情報を足した高さにある点が操縦者位置から見通せるか否かを判定し、判定結果表示手段は、複数設定されている操縦者位置毎に、該操縦者位置を表示するとともに、各飛行域格子点の近傍に、視認可否判定手段による各飛行域格子点についての判定結果を表示するので、各操縦者位置におけるドローン視認可能領域を正確に表示することができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明による効果に加えて、ドローン飛行領域内に、ドローンが飛行する予定の飛行ルートを設定する飛行ルート設定手段をさらに備え、判定結果表示手段は、操縦者位置及び判定結果に重ねて、飛行ルートを表示するので、事前に設定された飛行ラインに沿ってドローンを操縦して飛行させることができる操縦者位置を予め確実に決定することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、ドローン飛行領域及び前記操縦者位置を含む表示領域内の標高情報を取得するだけでなく、同表示領域内に存在する障害物の位置、形状及び高さの情報を取得するとともに、ドローンを飛行させる高度情報を設定しておき、操縦者位置を中心として一定角度毎に水平な複数の放射線を設定して、放射線毎に該放射線上における標高情報に高度情報を足した高さにある線上にある点のうち、操縦者位置から見通せない最も近い点の水平距離を計算し、不可視近点表示手段によって、操縦者位置を表示するとともに、放射線毎に操縦者位置から水平距離分離れている不可視近点を表示するので、操縦者位置からのドローン視認可能領域を正確に表示することができる。
また、複数の放射線の数は、請求項1に係る発明における飛行域格子点の数より小さくできるので、ドローン視認可能領域を表示するための処理時間を短縮できる。
さらに、操縦者位置は、ドローン飛行領域より広い範囲内のいずれかの箇所に複数設定されており、近点水平距離計算手段は、複数設定された操縦者位置に対して、該操縦者位置を中心として一定角度毎に、水平な複数の放射線を設定し、近点水平距離計算手段は、複数設定された操縦者位置に対して、それぞれ該操縦者位置を中心として設定された放射線毎に、該放射線上における標高情報に高度情報を足した高さにある線上にある点のうち、操縦者位置から見通せない最も近い点の水平距離を計算し、不可視近点表示手段は、複数設定されている操縦者位置毎に、該操縦者位置を表示するとともに、放射線毎に不可視近点を表示するので、各操縦者位置におけるドローン視認可能領域を正確に表示することができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、請求項3に係る発明による効果に加えて、ドローン飛行領域内に、ドローンが飛行する予定の飛行ルートを設定する飛行ルート設定手段をさらに備え、不可視近点表示手段は、操縦者位置及び不可視近点に重ねて、飛行ルートを表示するので、事前に設定された飛行ラインに沿ってドローンを操縦して飛行させることができる操縦者位置を予め確実に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例1のドローン視認可能領域表示システムの概念図。
【
図2】障害物が視認可否判定に影響するケースについての説明図。
【
図3】実施例1における処理の流れを示すフローチャート。
【
図4】実施例1における操縦者位置及びドローン視認可能領域の表示例。
【
図5】実施例3のドローン視認可能領域表示システムの概念図。
【
図6】実施例3における処理の流れを示すフローチャート。
【
図7】実施例3におけるドローン視認可能領域等及び飛行ルートの表示例。
【
図8】
参考例のドローン操縦位置検索システムの概念図。
【
図9】
参考例における処理の流れを示すフローチャート。
【
図10】
参考例における可視度合評価値の表示例。
【
図11】変形例2のドローン視認可能領域表示システムの概念図。
【
図12】変形例2における処理の流れを示すフローチャート。
【
図13】仰角線と飛行曲線が交差する状態を示す説明図。
【
図14】変形例2における操縦者位置及びドローン視認可能領域の表示例。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施例によって本発明の実施形態を説明する。
【実施例0018】
実施例1のドローン視認可能領域表示システムの概念図を
図1に示す。
実施例1のドローン視認可能領域表示システムは、ドローン飛行領域より広い範囲内のいずれかの箇所に設定された操縦者位置におけるドローン視認可能領域を表示するものであって、次の各手段を備えている。
(1)ドローン飛行領域より広い範囲の標高情報を取得する標高情報取得手段1。
(2)ドローン飛行領域より広い範囲内に存在する障害物の位置、形状及び高さの情報を取得する障害物情報取得手段2。
(3)ドローン飛行領域内において、ドローンを飛行させる高度情報を設定する飛行高度情報設定手段3。
なお、実施例1では地表面から一定高度で飛行させ、その一定高度を高度情報とする。
(4)ドローン飛行領域より広い範囲内のいずれかの箇所に操縦者位置を設定する操縦者位置設定手段4。
(5)ドローン飛行領域内にマトリクス状の飛行域格子点を設定する飛行域格子点設定手段5。
【0019】
(6)上記(5)の飛行域格子点設定手段5で設定した各飛行域格子点における標高情報に、上記(3)の飛行高度情報設定手段3で設定した高度情報を足した高さにある点が、上記(4)の操縦者位置設定手段4で設定した操縦者位置から見通せるか否かを判定する視認可否判定手段6。
ここで、視認可否判定手段6によって、各飛行域格子点における標高情報に高度情報を足した高さにある点、すなわち各飛行域格子点の真上を飛行するドローンが、操縦者位置から見通せるか否かを判定する際に、実施例1では
図2に示すように、建物や樹木等の障害物が視認可否判定に影響するケースを考慮して判定する。
例えば、
図2において山の山頂上空を飛行するドローンは、障害物の影響を受けることなく視認可能であるが、建物や山腹の右側の上空を飛行するドローンは、障害物の影響を受けて視認することができない。この点は本発明の特徴の一つであり、障害物の位置、形状及び高さを考慮しない従来の判定手段の場合、建物や樹木で視認が遮られていても視認可能と判定されてしまうおそれがあった。
なお、視認可否判定手段6による判定手法については、
図3のフローチャートを用いて後段において説明する。
(7)上記(4)の操縦者位置設定手段4で設定した操縦者位置、上記(5)の飛行域格子点設定手段5で設定した飛行域格子点及び上記(6)の視認可否判定手段6で判定した各飛行域格子点における判定結果に基づいて、操縦者位置を表示するとともに、各飛行域格子点の近傍に、視認可否判定手段6による各飛行域格子点についての判定結果を表示する判定結果表示手段7。
なお、判定結果表示手段7による表示例については、
図4を用いて後述する。
【0020】
図3は、実施例1における処理の流れを示すフローチャートである。
このフローチャートの各ステップについて順を追って説明する。
<各種情報の取得又は設定>
ST01:標高情報を取得する標高情報取得ステップ。
ST02:障害物の位置、形状及び高さの情報を取得する障害物情報取得ステップ。
ST03:ドローンを飛行させる高度情報を設定する飛行高度情報設定ステップ。
ST04:操縦者位置を設定する操縦者位置設定ステップ。
ST05:操縦者位置の標高を参照する操縦者位置標高参照ステップ。
ST06:マトリクス状の飛行域格子点を設定する飛行域格子点設定ステップ。
ST07:飛行域格子点の数Nを設定する格子点数Nセットステップ。
ST08:カウンタIをリセットする(I=0とする)カウンタIリセットステップ。
ST09:飛行域格子点Iの標高を参照する飛行域格子点I標高参照ステップ。
【0021】
<目視可能か否かの判定>
ST10:操縦者位置と飛行域格子点Iとを結ぶ直線を関数化する関数化ステップ。
ST11:関数化した直線の中間点を抽出する中間点抽出ステップ。中間点の抽出方法としては、関数化した直線上で最も標高の高い点や障害物が存在する点を選択する方法と、操縦者位置と飛行域格子点Iとの間を等分して得られる点を選択する方法がある。
ST12:抽出した中間点の高度を計算する中間点高度計算ステップ。
なお、中間点高度Hmを求めるための関数は、操縦者位置の標高をEp、飛行域格子点Iの標高をEi、ドローンの飛行高度をHf、操縦者位置と飛行域格子点Iとの水平距離をDi、操縦者位置と中間点との水平距離をDmとしたとき、次の式となる。
Hm=(Ei+Hf-Ep)×Dm/Di+Ep
ST13:抽出した中間点に対応する地点の標高を参照する中間点標高参照ステップ。
ST14:ST12で計算した中間点高度Hmと、ST13で参照した中間点に対応する地点の標高+障害物の高さ(中間点対応地点に障害物がある場合)とを比較し、中間点高度Hmが中間点標高+障害物の高さより大きいか否かを判定する視認判定ステップ。
判定結果がNoならばST15に進み、YesならばST16に進む。
ST15:ST14の判定がNoである場合に、NGを記録するNG記録ステップ。
ST16:ST14の判定がYesである場合に、OKを記録するOK記録ステップ。
【0022】
<全飛行域格子点の判定終了確認及びドローン視認可能領域の表示>
ST17:カウンタIを1加算するカウンタI加算ステップ。
ST18:カウンタIの値がST07で設定した飛行域格子点の数Nと等しいか否かを判定する判定終了確認ステップ。No(I≠N)ならばST09に戻って次の飛行域格子点の標高を参照し、YesならばST19に進む。
ST19:ST15及びST16で記録した判定結果に基づいて、ドローン視認可能領域と操縦者位置を表示するドローン視認可能領域表示ステップ。
図4は操縦者位置及びドローン視認可能領域の表示例であり、国土地理院製作の地図を背景として、操縦者位置は矢印の先端部で示し、ドローン視認可能領域は、各飛行域格子点の近傍(隣の飛行域格子点との中間点までの領域)の明度を、その飛行域格子点についての判定結果がNGである場合は高く(明るく)し、判定結果がOKである場合は低く(暗く)することにより表示している。
すなわち、操縦者位置からのドローン視認可能領域が、地図上の暗く表示されている部分となるので、誰でも一目でその範囲を把握することができる。
なお、実施例1では操縦者位置とドローン飛行領域との間に顕著な高さの障害物がなかったため、
図4のドローン視認可能領域は比較的単純な形状になったが、顕著な高さの障害物が存在している場合、その障害物の背後側に楔状のドローン不可視領域が生じる。