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特開2024-58543信号制御装置、信号機装置、システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058543
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】信号制御装置、信号機装置、システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/087 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
G08G1/087
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036942
(22)【出願日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2022165875
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 正義
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA12
5H181BB04
5H181BB15
5H181BB20
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181JJ10
(57)【要約】
【課題】自動運転車両の走行計画に遅延が生ずることを抑制する。
【解決手段】信号制御装置22の第1取得部24は制御対象の交差点の周辺に設けられたセンサ110から制御対象の交差点の周辺の交通状況を取得し、第2取得部26は制御対象の交差点の通過を予定している自動運転車両16の走行計画を取得し、判定部28は、第1取得部24によって取得された前記交通状況に基づき、自動運転車両16が制御対象の交差点を通過する際に自動運転車両16の走行計画の遅延が発生するか否かを判定し、制御部30は、判定部28によって前記遅延が発生すると判定された場合に、前記遅延が抑制されるように制御対象の交差点の信号機100を制御する。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点の周辺に設けられたセンサから前記交差点の周辺の交通状況を取得する第1取得部と、
前記交差点の通過を予定している自動運転車両の走行計画を取得する第2取得部と、
前記第1取得部によって取得された前記交通状況に基づき、前記自動運転車両が前記交差点を通過する際に前記自動運転車両の走行計画の遅延が発生するか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記遅延が発生すると判定された場合に、前記遅延が抑制されるように前記交差点の信号機を制御する制御部と、
を含む信号制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記判定部によって前記遅延が発生すると判定された場合に、前記自動運転車両が前記交差点を通過している間、前記交差点の信号機が青信号で維持されるように前記交差点の信号機を制御する請求項1記載の信号制御装置。
【請求項3】
前記遅延が抑制されるように前記制御部が前記交差点の信号機を制御する自動運転車両は、予め設定された緊急度が所定値以上の自動運転車両である請求項1記載の信号制御装置。
【請求項4】
前記判定部によって前記遅延が発生すると判定された場合に、前記遅延が抑制されるように、前記自動運転車両が順次通過することを予定している複数の交差点の信号機を各々制御する協調制御部をさらに含む請求項1記載の信号制御装置。
【請求項5】
請求項1~請求項3の何れか1項記載の信号制御装置と、
前記信号機と、
を含み、交差点毎に設けられる信号機装置。
【請求項6】
複数の交差点に各々設けられた請求項5記載の信号機装置と、
複数の信号機装置のうちの何れかの前記判定部によって前記遅延が発生すると判定された場合に、前記遅延が抑制されるように、前記自動運転車両が順次通過することを予定している複数の交差点の信号機を各々制御する協調制御装置と、
を含む信号機システム。
【請求項7】
コンピュータに、
交差点の周辺に設けられたセンサから前記交差点の周辺の交通状況を取得すると共に、前記交差点の通過を予定している自動運転車両の走行計画を取得し、
取得した前記交通状況に基づき、前記自動運転車両が前記交差点を通過する際に前記自動運転車両の走行計画の遅延が発生するか否かを判定し、
前記遅延が発生すると判定した場合に、前記遅延が抑制されるように前記交差点の信号機を制御することを含む処理を実行させるための信号制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号制御装置、信号機装置、信号機システムおよび信号制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動運転機能が搭載された自動運転車両について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-035198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動運転車両は、目的地が設定されると、目的地までの経路を交差点の直進や右左折などの走行予定に細分化すると共に、個々の走行予定の実行予定時刻も定めた走行計画を作成し、作成した走行計画に従って自動運転により道路を走行する構成となっていることが一般的である。しかし、自動運転車両が走行する道路の交通状況によっては、自動運転車両の走行計画に遅延が生ずる可能性がある。なお、走行計画に遅延が生ずる可能性のある交通状況としては、例えば、緊急車両などに遭遇した場合や、交差点を右左折する際に歩行者が存在していた場合などが挙げられる。そして、自動運転車両において走行計画が遅延した場合、自動運転制御などを行う車載のコンピュータに、走行計画の再作成などの大きな負荷が走行中に加わることになるので好ましくない。
【0005】
本開示は上記事実を考慮して成されたもので、自動運転車両の走行計画に遅延が生ずることを抑制できる信号制御装置、信号機装置、信号機システムおよび信号制御プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る信号制御装置は、交差点の周辺に設けられたセンサから前記交差点の周辺の交通状況を取得する第1取得部と、前記交差点の通過を予定している自動運転車両の走行計画を取得する第2取得部と、前記第1取得部によって取得された前記交通状況に基づき、前記自動運転車両が前記交差点を通過する際に前記自動運転車両の走行計画の遅延が発生するか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記遅延が発生すると判定された場合に、前記遅延が抑制されるように前記交差点の信号機を制御する制御部と、を含んでいる。
【0007】
第1の態様では、交差点の周辺に設けられたセンサから取得した交差点の周辺の交通状況に基づき、前記交差点の通過を予定している自動運転車両が前記交差点を通過する際に自動運転車両の走行計画の遅延が発生するか否かを判定する。そして、第1の態様では、自動運転車両の走行計画の遅延が発生すると判定した場合に、自動運転車両の走行計画の遅延が抑制されるように前記交差点の信号機を制御する。これにより、自動運転車両の走行計画に遅延が生ずることを抑制することができ、自動運転制御などを行う車載のコンピュータに、走行計画の再作成などの大きな負荷が走行中に加わることを抑制することができる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、前記制御部は、前記判定部によって前記遅延が発生すると判定された場合に、前記自動運転車両が前記交差点を通過している間、前記交差点の信号機が青信号で維持されるように前記交差点の信号機を制御する。
【0009】
第2の態様では、自動運転車両の走行計画の遅延が抑制されるように交差点の信号機を制御することを、自動運転車両が交差点を通過している間、交差点の信号機を青信号に維持させることにより実現する。これにより、交差点の信号機が青信号になっている時間を一定時間長くするなどの制御を行う場合と比較して、自動運転車両が交差点を通過する際の安全性を確保しつつ、交差点の信号機が青信号になっている時間が必要以上に長くなることを抑制することができる。
【0010】
第3の態様は、第1の態様において、前記遅延が抑制されるように前記制御部が前記交差点の信号機を制御する自動運転車両は、予め設定された緊急度が所定値以上の自動運転車両である。
【0011】
第3の態様によれば、緊急度が所定値以上の自動運転車両について走行計画の遅延が生ずることを抑制できると共に、交差点の信号機を制御する回数が抑制されることで、交差点の信号機の制御に伴って走行が影響を受ける可能性のある、緊急度が所定値以上の自動運転車両以外の他車両の台数も抑制することができる。
【0012】
第4の態様は、第1の態様において、前記判定部によって前記遅延が発生すると判定された場合に、前記遅延が抑制されるように、前記自動運転車両が順次通過することを予定している複数の交差点の信号機を各々制御する協調制御部をさらに含んでいる。
【0013】
第4の態様では、自動運転車両の走行計画の遅延が発生すると判定した場合に、自動運転車両が順次通過することを予定している複数の交差点の信号機を各々制御するので、前記自動運転車両が前記複数の交差点を順次通過する間に、自動運転車両の走行計画の遅延を解消させることが可能となる。
【0014】
第5の態様に係る信号機装置は、第1の態様~第3の態様の何れかの信号制御装置と、前記信号機と、を含み、交差点毎に設けられる。
【0015】
第5の態様では、第1の態様~第3の態様の何れかの信号制御装置を含んでいるので、第1の態様と同様に、自動運転車両の走行計画に遅延が生ずることを抑制することができる。
【0016】
第6の態様に係る信号機システムは、複数の交差点に各々設けられた第5の態様の信号機装置と、複数の信号機装置のうちの何れかの前記判定部によって前記遅延が発生すると判定された場合に、前記遅延が抑制されるように、前記自動運転車両が順次通過することを予定している複数の交差点の信号機を各々制御する協調制御装置と、を含んでいる。
【0017】
第6の態様では、第4の態様の協調制御部と同様の構成の協調制御装置を含んでいるので、第4の態様と同様に、自動運転車両が前記複数の交差点を順次通過する間に、自動運転車両の走行計画の遅延を解消させることが可能となる。
【0018】
第7の態様に係る信号制御プログラムは、コンピュータに、交差点の周辺に設けられたセンサから前記交差点の周辺の交通状況を取得すると共に、前記交差点の通過を予定している自動運転車両の走行計画を取得し、取得した前記交通状況に基づき、前記自動運転車両が前記交差点を通過する際に前記自動運転車両の走行計画の遅延が発生するか否かを判定し、前記遅延が発生すると判定した場合に、前記遅延が抑制されるように前記交差点の信号機を制御することを含む処理を実行させる。
【0019】
第7の態様によれば、第1の態様と同様に、自動運転車両の走行計画に遅延が生ずることを抑制することができる。
【0020】
なお、上記の本開示の概要は、本開示の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】超高性能自動運転のAIの危険予測能力について示す概略図である。
図2】超高性能自動運転におけるCentral Brainについて概略的に示すブロック図である。
図3】車両の死角を説明するための平面図である。
図4】信号機に設置されるセンサを説明するための概略図である。
図5】Perfect Speed Controlについて示す概略図である。
図6】Perfect Bell Curvesについて示す概略図である。
図7】パーフェクトクルージングの概要図である。
図8】パーフェクトクルージングの概要図である。
図9】パーフェクトクルージングの概要図である。
図10】パーフェクトクルージングの概要図である。
図11】パーフェクトクルージングの概要図である。
図12】パーフェクトクルージングの概要図である。
図13】パーフェクトクルージングの概要図である。
図14】Central Brain、制御装置として機能するコンピュータのハードウェア構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図15】第2実施形態に係る信号制御システムの概略構成を示すブロック図である。
図16】信号制御処理の一例を示すフローチャートである。
図17】信号制御処理の作用を説明するためのタイミングチャートである。
図18】信号制御処理の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0023】
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態に係る超高性能自動運転のAIの危険予測の能力について概略的に示す。本実施形態においては、複数種類のセンサ情報をAIデータ化してクラウドに蓄積する。AIがナノセカンドごとに状況のベストミックスを予測、判断し、車両の運行を最適化する。
【0024】
図2は、本実施形態に係る超高性能自動運転におけるCentral Brainについて概略的に示す。Central Brainは、Level6の自動運転車両を制御する制御装置の一例である。
【0025】
なお、Level6とは自動運転を表すレベルであり、完全自動運転を表すLevel5よりも更に上のレベルに相当する。Level5は完全自動運転を表すものの、それは人が運転するのと同等のレベルであり、それでも未だ事故等が発生する確率はある。Level6とは、Level5よりも上のレベルを表すものであり、Level5よりも事故が発生する確率が低いレベルに相当する。
【0026】
本実施形態において車両に搭載されるセンサの例として、レーダー、LiDAR、高画素・望遠・超広角・360度・高性能カメラ、ビジョン認識、微細音、超音波、振動、赤外線、紫外線、電磁波、温度、湿度、スポットAI天気予報、高精度マルチチャネルGPS、低高度衛星情報、ロングテールインシデントAI data等が挙げられる。ロングテールインシデントAI dataとはLevel5の実装した自動車のTripデータである。
【0027】
複数種類のセンサから取り入れるセンサ情報として、体重の重心移動、道路の材質の検知、外気温度の検知、外気湿度の検知、坂道の上下横斜め傾き角度の検知、道路の凍り方、水分量の検知、それぞれのタイヤの材質、摩耗状況、空気圧の検知、道路幅、追い越し禁止有無、対向車、前後車両の車種情報、それらの車のクルージング状態、周囲の状況(鳥、動物、サッカーボール、事故車、地震、家事、風、台風、大雨、小雨、吹雪、霧、など)等が挙げられ、本実施形態では、これらの検知をナノ秒毎に実施する。
【0028】
本実施形態においては、Central Brainは、これらの情報から、道路全体+AIによる最小スポット毎の最も正解率の高い天気予報とのマッチングを実行してもよい。また、Central Brainは、これらの情報から、他の車の位置情報とのマッチングを実行してもよい。また、Central Brainは、これらの情報から、ベスト推定車種とのマッチング(その道程での残量、スピードのナノ秒毎のマッチング)を実行してもよい。また、Central Brainは、これらの情報から、乗客が聞いている音楽等のムードとのマッチングを実行してもよい。また、Central Brainは、これらの情報から、要望の気分を変更した瞬時の条件組み直しを実行してもよい。
【0029】
Central Brainは、例えば、車両充電時にAIデータをクラウドにアップロードしてもよい。Data Lakeを形成し、AIが分析して常に最新状態にアップロードしてもよい。
【0030】
図3に示すように、車両に搭載されたセンサでは、進行方向に沿った直線上では、他の車両等の物体を長距離でも検知することが可能であるが、交差点等では、センサでは物体を検知できない死角の領域が存在する。図3の例では、一点鎖線の矩形で囲まれた実線の矩形が、センサが搭載された車両を表し、一点鎖線の矢印がその車両の進行方向を表している。また、斜線の領域がその車両に搭載されたセンサでは物体を検知できない死角の領域を表している。
【0031】
この場合、車両にとって死角の領域が存在することによって、交通事故のリスクがある。
【0032】
そこで、図4に示すように、本実施形態では、街中の全ての信号機100へLevel6の自動運転車両のCentral Brainと通信が可能なセンサ110が設置される。センサ110の例としては、レーダー、LiDAR、及び高画素・望遠・超広角・360度・高性能デジタルカメラ等が挙げられる。図4の例では、センサ110が信号機100の上部に設置されているが、センサ110の設置場所は信号機100の上部に限定されない。センサ110は、信号機100の側面に設置されてもよいし、信号機100の柱部分に設置されてもよい。
【0033】
各信号機100において、センサ110によって自動運転車両にとって死角となる領域において検知された情報を収集し、Level6の自動運転車両へ無線通信で道路状況の情報を送信する。
【0034】
Central Brainは、信号機100に設置されたセンサ110により検出された複数の情報を取得し、取得した複数の情報とAIを用いて、車両を制御する。
【0035】
Central Brainは、車両の通行を最適化する方法として、ソフト面とハード面の両方を用いてもよい。ソフト面では、Central Brainは、信号機100に設置されたセンサ110により検出された複数の情報と、クラウド蓄積情報と、車両のセンサ情報の全てをAIでベストミックスさせ、ナノセカンド毎にAIが判断し、乗客の要望にあった自動運転を実現する。ハード面では、車両が、1/1 billion second(ナノセカンド)毎にモータの回転出力をマイクロコントロールする。車両は、ナノセカンドで通信しコントロールする事の可能な電気とモータを備える。Central Brainによれば、AIが危機を予知するため、ブレーキ不要でコップの水をこぼすこともなくパーフェクトストップが可能になる。また、消費電力も低く、ブレーキ摩擦も生じない。
【0036】
図5は、本実施形態に係るCentral Brainによる制御によって実現されるPerfect Speed Controlについて概略的に示す。図5に示す原理は、車両の制動距離を算出する指標となるが、この基本的な方程式で制御する。本実施形態に係るシステムにおいては、超高性能入力データがあるので、きれいなベルカーブで計算することができる。
【0037】
図6は、本実施形態に係るCentral Brainによる制御によって実現されるPerfect Bell Curvesについて概略的に示す。
【0038】
超高性能自動運転を実現するときの演算速度として、1Million TOPSで実現できる。
【0039】
上述したように、本実施形態において、Central Brainは、Perfect Cruise Controlを実現してもよい。Central Brainは、車両に乗車している乗員の希望に応じた制御を実行してもよい。乗員の希望の例として、「shortest時間」、「longestバッテリー持ち残量」、「車酔いを最も避けたい」、「最もGを感じたい(安全に)」、「上記等のミックスで最も景観を感じたい」、「前回とは異なった景観を感じたい」、「たとえば、何年前に誰かと来た道の思い出をたどりたい」、「最も事故の確率を避けたい」、等があり、その他さまざまな条件を乗客にCentral brainが相談して、Central brainが、乗客の人数、重さ、位置、体重の重心移動(ナノ秒毎の計算)、ナノ秒毎の道路の材質の検知、ナノ秒毎の外気の温度の検知、ナノ秒毎の外気の湿度の検知、ナノ秒毎のトータルの上記の条件選択による車両とのパーフェクトミックスを実行する。
【0040】
Central brainは、「道路の坂道の上、下、横、斜め傾き角度」、「道程全体+AIによる最小スポット毎の最も正解率の高い天気予報とのマッチング」、「ナノ秒毎の他の車の位置情報とのマッチング」、「それらのベスト推定車種とのマッチング(その道程での残量、スピードのナノ秒毎のマッチング」、「乗客が聞いている音楽等のムードとのマッチング」、「要望の気分を変更した瞬時の条件組み直し」、「そのナノ秒毎の道路の凍り方、水分量、4本、2本、8本、16本等のそれぞれのタイヤの材質の摩耗、空気圧、と道路の残りの最適ミックスの推定」、「その時々の道路の車線幅、角度、追い越し禁止車線かどうか?」、「対向車線、前後車線の車種とその車のクルージング状態(ナノ秒毎の)」、「その他全ての条件のベストミックス」といったものを、考慮、実行してもよい。
【0041】
それぞれの車線の巾の中で真ん中ではなく取るべき場所は、全て異なる。その時のスピードや角度や道路情報によって異なる。たとえば、飛んで来る鳥や、動物や、対向車や、飛び込んで来るサッカーボールや子供や事故車や地震、火事、風、台風、大雨、小雨、吹雪、霧、その他のナノ秒毎の影響のベストな確率の推論のマッチングを実行する。
【0042】
それらをその時点のCentral brainのバージョンの能力と、その時点までに蓄積されたbrain cloudの最新にupdateされた情報を用いてパーフェクトマッチングを実行する。
【0043】
これを超高性能自動運転のパーフェクトクルージングと定義してもよい。その為に超高性能自動運転には、1million TOPSがその時点のベストなバッテリーのパワーマネジメントと温度のAI synchronizedバースト チリング機能が必要となる。
【0044】
図7図13は、パーフェクトクルージングの概要図である。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、街中の全ての信号機100へLevel6の自動運転車両のCentral Brainと通信が可能なセンサ110が設置される。Level6の自動運転車両のCentral Brainは、死角の領域の情報をセンサ110から取得することができる。
【0046】
従って、自動運転車両からは検知できない死角の領域の情報を取得することができるため、交通事故のリスクを低減させることができる。自動運転車両は、赤信号の場合でも交差点に進入することが可能となり、ハイスピードで正確な運行が可能となるため、街全体の交通量を10倍等に増加させることができる。これらの結果として、GDPが大幅に上昇する。
【0047】
図14は、制御装置の一例であるCentral Brainとして機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、本実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、本実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてもよい。
【0048】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。DVDドライブは、DVD-ROMドライブ及びDVD-RAMドライブ等であってもよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってもよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボードのようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0049】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0050】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVDドライブは、プログラム又はデータをDVD-ROM等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0051】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してもよい。
【0052】
プログラムは、DVD-ROM又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されていてもよい。
【0053】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してもよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0054】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ(DVD-ROM)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してもよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてもよい。
【0055】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてもよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してもよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してもよい。
【0056】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてもよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0057】
本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてもよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてもよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでもよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでいてもよい。
【0058】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれていてもよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれていてもよい。
【0059】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでいてもよい。
【0060】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてもよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0061】
〔第2実施形態〕
次に本開示の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0062】
図15には、第2実施形態に係る信号機システム10が示されている。信号機システム10は、道路の交差点毎に設置された複数の信号装置12、複数台の自動運転車両16および信号制御装置22を含んでいる。信号装置12は、第1実施形態で説明した信号機100およびセンサ110と、信号制御装置22と無線通信を行うための無線通信部14と、を含んでいる。なお、第2実施形態におけるセンサ110は、例えば、信号装置12が設置された交差点を緊急車両(例えばサイレンを鳴らして走行している警察車両、救急車、消防車など)が通過しようとしている、などの交通状況を検出可能とされている。
【0063】
自動運転車両16は、走行計画作成部18と、信号制御装置22と無線通信を行うための無線通信部20と、を含んでいる。走行計画作成部18は、第1実施形態で説明したCentral Brainが所定のプログラムを実行することにより実現される。走行計画作成部18は、自動運転車両16の目的地が設定されたことをトリガとして、設定された目的地までの経路を交差点の直進や右左折などの走行予定に細分化すると共に、個々の走行予定の実行予定時刻も定めた走行計画を作成する処理を行う。Central Brainは、走行計画作成部18が作成した走行計画に従って、自動運転により自動運転車両16を走行させる制御を行う。
【0064】
信号制御装置22は、CPU、ROMやRAMなどのメモリ、HDDやSSDなどの不揮発性の記憶部および無線通信部32を含んでいる。記憶部には信号制御プログラムが記憶されている。信号制御装置22は、CPUが信号制御プログラムを実行することで第1取得部24、第2取得部26、判定部28、制御部30および協調制御部31として機能し、後述する信号制御処理(図16)を行う。なお、信号制御装置22は本開示における信号制御装置の一例である。
【0065】
第1取得部24は、交差点の周辺に設けられたセンサ110から交差点の周辺の交通状況を取得する。第2取得部26は、交差点の通過を予定している自動運転車両16の走行計画を取得する。判定部28は、第1取得部24によって取得された交差点の周辺の交通状況に基づき、自動運転車両16が交差点を通過する際に自動運転車両16の走行計画の遅延が発生するか否かを判定する。
【0066】
制御部30は、判定部28によって自動運転車両16が交差点を通過する際に自動運転車両16の走行計画の遅延が発生すると判定された場合に、自動運転車両16が交差点を通過する際に自動運転車両16の走行計画の遅延が抑制されるように、交差点の信号機100を制御する。協調制御部31は、判定部28によって自動運転車両16の走行計画の遅延が発生すると判定された場合に、自動運転車両16の走行計画の遅延が抑制されるように、自動運転車両16が順次通過することを予定している複数の交差点の信号機100を各々制御する。
【0067】
次に第2実施形態の作用を説明する。第2実施形態において、信号制御装置22は、道路を走行している個々の自動運転車両16と定期的に通信を行うことで、個々の自動運転車両16の位置や車速などを常時把握している。そして信号制御装置22は、何れかの自動運転車両16が、信号装置12が設置された交差点(以下、制御対象の交差点という)から所定距離以内に接近したことをトリガとして、図16に示す信号制御処理を行う。
【0068】
信号制御処理のステップ50において、信号制御装置22の第1取得部24は、制御対象の交差点における交通状況、例えば制御対象の交差点を緊急車両が通過しようとしているかなどの交通状況をセンサ110から取得する。
【0069】
また、ステップ52において、第2取得部26は、制御対象の交差点を通過予定の自動運転車両16から走行計画を取得する。ここで、第2取得部26が自動運転車両16から取得する走行計画には、制御対象の交差点での自動運転車両16の走行予定(直進/左折/右折)と、当該走行予定の実行予定時刻(制御対象の交差点の通過予定時刻)と、の各情報が含まれている。
【0070】
例として図17には、第2取得部26によって取得される自動運転車両16の走行計画の一例を「当初の走行計画」と表記して示す。この「当初の走行計画」では、制御対象の交差点の信号機100が青信号となっている間に、信号待ちの時間無しで制御対象の交差点を通過できる走行計画になっている。
【0071】
ステップ54において、判定部28は、ステップ50で第1取得部24が取得した制御対象の交差点における交通状況に基づき、自動運転車両16が制御対象の交差点を通過する時刻を演算する。ステップ56において、判定部28は、ステップ54で演算した交差点通過時刻が、自動運転車両16の走行計画(制御対象の交差点の通過予定時刻)より所定時間以上遅延するか否かを判定する。
【0072】
例えば、制御対象の交差点を通過しようとしている緊急車両が存在していないなどの場合には、ステップ54で演算される時刻の、自動運転車両16の走行計画(制御対象の交差点の通過予定時刻)に対する時刻差が所定時間未満となることで、ステップ56の判定が否定される。この場合はステップ58をスキップして信号制御処理を終了する。
【0073】
一方、制御対象の交差点を通過しようとしている緊急車両が存在しているなどの場合には、一例として、図17に「周辺の交通状況より推定される実際の走行予定」と表記して示すように、制御対象の交差点の通過に要する時間に、緊急車両の通過待ちの時間や信号待ちの時間が加わる。これにより、図17に「遅延t1」と表記して示すように、ステップ54で演算される時刻が、自動運転車両16の走行計画(制御対象の交差点の通過予定時刻)に対して所定時間以上遅延することで、ステップ56の判定が肯定されてステップ58へ移行する。
【0074】
ステップ58において、制御部30は、自動運転車両16が制御対象の交差点を通過する間、制御対象の交差点の信号機100が青信号で維持されるように、制御対象の交差点の信号機100を制御し(図17に示す「制御後の信号機の色」も参照)、信号制御処理を終了する。これにより、一例として図17に「制御後の信号機の色の下での走行予定」と表記して示すように、制御対象の交差点の通過に要する時間が信号待ちの時間分だけ短くなり(「遅延抑制(t2)」も参照)、自動運転車両16の走行計画に遅延が生ずることが抑制される。
【0075】
続いて図18を参照し、信号制御装置22によって実行される信号制御処理の他の例を説明する。図18に示す信号制御処理は、ステップ58の処理を行った後、ステップ60へ移行する。ステップ60において、協調制御部31は、ステップ58における制御対象の交差点の信号機100の制御に伴って、自動運転車両16の走行計画の遅延が解消されたか否か判定する。ステップ60の判定が肯定された場合は信号制御処理を終了する。
【0076】
一方、ステップ60の判定が否定された場合はステップ62へ移行する。ステップ62において、協調制御部31は、自動運転車両16が次の交差点を通過する間、次の交差点の信号機100が青信号で維持されるように、次の交差点の信号機100を制御する。ステップ62の処理を行うとステップ60に戻り、ステップ60の判定が肯定される迄、ステップ60,62を繰り返す。これにより、自動運転車両16の走行計画の遅延が解消されるように、自動運転車両16が順次通過する複数の交差点の信号機100が協調制御されることになる。
【0077】
以上説明したように、第2実施形態では、信号制御装置22の第1取得部24が制御対象の交差点の周辺に設けられたセンサ110から制御対象の交差点の周辺の交通状況を取得し、第2取得部26が制御対象の交差点の通過を予定している自動運転車両16の走行計画を取得する。また、判定部28は、第1取得部24によって取得された前記交通状況に基づき、自動運転車両16が制御対象の交差点を通過する際に自動運転車両16の走行計画の遅延が発生するか否かを判定する。そして制御部30は、判定部28によって前記遅延が発生すると判定された場合に、前記遅延が抑制されるように制御対象の交差点の信号機100を制御する。これにより、自動運転車両16の走行計画に遅延が生ずることを抑制することができ、自動運転制御などを行う車載のコンピュータ(Central Brain)に、走行計画の再作成などの大きな負荷が走行中に加わることを抑制することができる。
【0078】
また、第2実施形態において、制御部30は、判定部28によって前記遅延が発生すると判定された場合に、自動運転車両16が制御対象の交差点を通過している間、制御対象の交差点の信号機100が青信号で維持されるように制御対象の交差点の信号機100を制御する。これにより、制御対象の交差点の信号機100が青信号になっている時間を一定時間長くするなどの制御を行う場合と比較して、自動運転車両16が制御対象の交差点を通過する際の安全性を確保しつつ、制御対象の交差点の信号機が青信号になっている時間が必要以上に長くなることを抑制することができる。
【0079】
また、第2実施形態において、協調制御部31は、判定部28によって前記遅延が発生すると判定された場合に、前記遅延が抑制されるように、自動運転車両16が順次通過することを予定している複数の交差点の信号機100を各々制御する(図18)。これにより、自動運転車両16が複数の交差点を順次通過する間に、自動運転車両16の走行計画の遅延を解消させることができる。
【0080】
なお、第2実施形態では、自動運転車両16の走行計画の遅延が生ずる場合に制御対象の交差点の信号機100を制御する処理を、制御対象の交差点を通過する全ての自動運転車両16を対象として行う態様を説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、個々の自動運転車両16に対して緊急度を予め設定しておき、自動運転車両16の走行計画の遅延が生ずる場合に制御対象の交差点の信号機100を制御する処理を、緊急度が所定値以上の自動運転車両16を対象として行うようにしてもよい。これにより、例えば病人を搬送している自動運転車両16などの緊急度を所定値以上に設定しておくことで、当該自動運転車両16について走行計画の遅延が生ずることを優先的に抑制することができる。また、制御対象の交差点の信号機100を制御する回数が抑制されることで、制御対象の交差点の信号機100の制御に伴って走行が影響を受ける可能性のある、緊急度が所定値以上の自動運転車両16以外の他車両の台数も抑制することができる。
【0081】
また、第2実施形態では、自動運転車両16の走行計画の遅延が生ずる交通状況の一例として、自動運転車両16が交差点で緊急車両と遭遇した場合を説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではなく、自動運転車両16の走行計画の遅延が生ずる交通状況の他の例として、自動運転車両16が交差点を右左折する際に自動運転車両16と干渉する歩行者が存在している場合などが挙げられる。
【0082】
また、第2実施形態では、複数の信号装置12に対して信号制御装置22を1台設けた態様を説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、協調制御部31を除く各機能部(第1取得部24、第2取得部26、判定部28および制御部30)を備えた信号制御装置22を、個々の信号装置12に対応して個々の交差点毎に設けてもよい。この態様において、個々の交差点毎に設けられる装置(信号装置12および信号制御装置22)は、本開示に係る信号機装置の一例である。また、この態様において、複数の信号機100の協調制御を行う場合には、協調制御部31として機能する協調制御装置を、複数の信号機装置(信号装置12および信号制御装置22)に対して1台設けてもよい。この協調制御装置を設けた態様における信号機システム10は、本開示に係る信号機システムの一例である。
【0083】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0084】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0085】
10 信号制御システム、12 信号装置、16 自動運転車両、18 走行計画作成部、22 信号制御装置、24 第1取得部、26 第2取得部、28 判定部、30 制御部、31 協調制御部、100 信号機、110 センサ
図1
図2
図3
図4
図5
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