(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058569
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】呼吸補助具、呼吸補助装置、水分除去部材
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
A61M16/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】43
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100102
(22)【出願日】2023-06-19
(31)【優先権主張番号】P 2022165330
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517127584
【氏名又は名称】株式会社MAGOS
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128141
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 圭一
(72)【発明者】
【氏名】新田 一福
(57)【要約】
【課題】利用者の鼻穴に挿入する部分の利用者の鼻穴に対する相対位置を調整可能な呼吸補助具を提供する。
【解決手段】
本発明の呼吸補助具は、気体を通す供給管から供給される気体を利用者の鼻穴に案内する呼吸補助具であって、前記供給管から供給される気体を通し、前記利用者の鼻と口の間の鼻下領域において前記利用者の顔の幅方向に延びる姿勢で配置され、自身の軸方向(以下、第一管状側軸方向と呼ぶ。)に伸縮可能な伸縮構造を有する第一管状部と、前記第一管状部から分岐し、且つ前記利用者の前記鼻穴に挿入可能に構成され、前記第一管状部を通る気体を自身の出口開口から噴出可能に構成される一対の第二管状部と、を備え、前記第一管状部を前記第一管状側軸方向に伸縮させることにより、一対の前記第二管状部の間隔を変化可能に構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を通す供給管から供給される気体を利用者の鼻穴に案内する呼吸補助具であって、
前記供給管から供給される気体を通し、前記利用者の鼻と口の間の鼻下領域において前記利用者の顔の幅方向に延びる姿勢で配置され、自身の軸方向(以下、第一管状側軸方向と呼ぶ。)に伸縮可能な伸縮構造を有する第一管状部と、
前記第一管状部から分岐し、且つ前記利用者の前記鼻穴に挿入可能に構成され、前記第一管状部を通る気体を自身の出口開口から噴出可能に構成される一対の第二管状部と、
を備え、
前記第一管状部を前記第一管状側軸方向に伸縮させることにより、一対の前記第二管状部の間隔を変化可能に構成されることを特徴とする、
呼吸補助具。
【請求項2】
前記供給管から供給される気体を前記第一管状部に案内可能に前記第一管状部に接続され、加えられる外力の大きさに応じて前記第一管状部の伸縮を許容又は制限することにより、前記第一管状側軸方向における一対の前記第二管状部の間隔の変更を許容又は制限する間隔変更機構を備えることを特徴とする、
請求項1に記載の呼吸補助具。
【請求項3】
前記間隔変更機構は、
前記供給管から供給される気体を前記第一管状部に案内可能に前記第一管状部の両端のそれぞれに接続される一対の連絡管状部と、
前記第一管状部と一対の前記連絡管状部の間に構成され、加えられる外力の大きさに応じて、前記第一管状部と前記連絡管状部の相対的な接続位置(以下、相対接続位置と呼ぶ。)の変更を許容又は制限する一対の接続位置変更機構と、
を備え、
一対の前記接続位置変更機構により前記第一管状部と前記連絡管状部の前記相対接続位置が変更されると、該相対接続位置の変更に追従して前記伸縮構造が伸縮しつつ、一対の前記第二管状部の間隔が変更されることを特徴とする、
請求項2に記載の呼吸補助具。
【請求項4】
前記第一管状部と前記連絡管状部は、前記接続位置変更機構により前記第一管状部と前記連絡管状部の前記相対接続位置が変更されると、前記第一管状部と前記連絡管状部が重なり合う重畳領域の前記連絡管状部の軸方向(以下、連絡側軸方向と呼ぶ。)における長さ(以下、軸長と呼ぶ。)を変更するように接続されることを特徴とする、
請求項3に記載の呼吸補助具。
【請求項5】
前記接続位置変更機構は、
前記第一管状側軸方向における前記第一管状部の中央を基準として前記第一管状部の両側に設けられる一対の第一軸方向係合領域と、
一対の前記連絡管状部のそれぞれに設けられ、一対の前記連絡管状部のそれぞれが前記第一管状部に接続された際、前記第一軸方向係合領域に重なり合って、前記連絡管状部の軸方向(以下、連絡側軸方向と呼ぶ。)において前記第一軸方向係合領域に係合する第二軸方向係合領域と、
を有し、
前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域は、前記相対接続位置の変更に伴い、前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域が重なりあって係合する係合重畳領域が前記連絡側軸方向における所定の範囲で変化するよう構成され、
外力を加えることで、前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域の係合が解かれて、前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域の相対移動が許容されることにより前記係合重畳領域の範囲の変更が許容され、
外力を解放すると、前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域の係合により前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域の相対移動が制限されて、前記係合重畳領域の範囲の変更が制限されることを特徴とする、
請求項3に記載の呼吸補助具。
【請求項6】
前記第一軸方向係合領域及び前記第二軸方向係合領域の少なくとも一方は、弾性変形可能な弾性変形材料により構成され、
外力を加えることで、弾性変形材料により構成された前記第一軸方向係合領域及び前記第二軸方向係合領域の少なくとも一方が弾性変形をして前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域の係合が解かれることを特徴とする、
請求項5に記載の呼吸補助具。
【請求項7】
前記第一軸方向係合領域及び前記第二軸方向係合領域のいずれか一方は、相互に係合した状態において、前記第一軸方向係合領域及び前記第二軸方向係合領域の残りの他方に向かって突出する少なくとも1つの突出部を有し、
前記第一軸方向係合領域及び前記第二軸方向係合領域の残りの他方は、前記第一管状側軸方向又は前記連絡側軸方向に間隔を空けて複数設けられ、相互に係合した状態において、各々が前記突出部の方を向きつつ、前記突出部に係合可能に構成される複数の係合部を有し、
前記突出部と前記係合部が前記連絡側軸方向において係合して、前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域の相対移動を制限するように構成されることを特徴とする、
請求項5又は6に記載の呼吸補助具。
【請求項8】
加えられる外力の大きさに応じて前記第一管状部の中心軸の周りの前記第二管状部の揺動を許容又は制限する揺動機構を備えることを特徴とする、
請求項2に記載の呼吸補助具。
【請求項9】
前記間隔変更機構は、前記供給管から供給される気体を前記第一管状部に案内可能に前記第一管状部の端部に接続される連絡管状部を有し、
前記揺動機構は、加えられる外力の大きさに応じて、前記連絡管状部の少なくとも一部を軸とした前記連絡管状部の少なくとも一部に対する前記第一管状部の相対回転と共に、前記連絡管状部の周方向への前記連絡管状部の少なくとも一部に対する前記第二管状部の相対揺動を許容又は制限するよう構成されることを特徴とする、
請求項8に記載の呼吸補助具。
【請求項10】
前記揺動機構は、
前記第一管状部に設けられた第一揺動係合領域と、
前記連絡管状部に設けられ、前記第一管状部に前記連絡管状部が接続された際、前記第一揺動係合領域に重なり合って、前記連絡管状部の周方向において前記第一揺動係合領域に係合する第二揺動係合領域と、
を有し、
外力を加えることで、前記第一揺動係合領域と前記第二揺動係合領域の係合が解かれ、前記第一管状部の前記相対回転と共に前記第二管状部の前記相対揺動が許容され、
外力を解放すると、前記第一揺動係合領域と前記第二揺動係合領域の係合により前記第一管状部の前記相対回転と共に前記第二管状部の前記相対揺動が制限されることを特徴とする、
請求項9に記載の呼吸補助具。
【請求項11】
前記間隔変更機構は、前記第一管状部と一対の前記連絡管状部の間に構成され、加えられる外力の大きさに応じて、前記第一管状部と前記連絡管状部の相対的な接続位置(以下、相対接続位置と呼ぶ。)の変更を許容又は制限する接続位置変更機構を有し、
前記接続位置変更機構により前記第一管状部と前記連絡管状部の前記相対接続位置が変更されると、該相対接続位置の変更に追従して前記伸縮構造が伸縮しつつ、一対の前記第二管状部の間隔が変更され、
前記接続位置変更機構は、
前記第一管状側軸方向における前記第一管状部の中央を基準として前記第一管状部の両側に設けられる一対の第一軸方向係合領域と、
一対の前記連絡管状部のそれぞれに設けられ、一対の前記連絡管状部のそれぞれが前記第一管状部に接続された際、前記第一軸方向係合領域に重なり合って、前記連絡管状部の軸方向(以下、連絡側軸方向と呼ぶ。)において前記第一軸方向係合領域に係合する第二軸方向係合領域と、
を有し、
前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域は、前記相対接続位置の変更に伴い、前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域が重なりあって係合する係合重畳領域が前記連絡側軸方向における所定の範囲で変化するよう構成され、
前記第一軸方向係合領域と前記第一揺動係合領域は、少なくとも一部が共通し、
前記第二軸方向係合領域と前記第二揺動係合領域は、少なくとも一部が共通することを特徴とする、
請求項10に記載の呼吸補助具。
【請求項12】
前記間隔変更機構は、前記供給管から供給される気体を前記第一管状部に案内可能に前記第一管状部の両端のそれぞれに接続される一対の連絡管状部を有し、
前記第一管状側軸方向の中央を基準として前記第一管状部を2つの領域に分け、一方側の前記連絡管状部(以下、第一連絡管状部と呼ぶ。)に接続される前記第一管状部の一方側の領域を第一領域と定義し、他方側の前記連絡管状部(以下、第二連絡管状部と呼ぶ。)に接続される前記第一管状部の他方側の領域を第二領域と定義した際、
前記揺動機構は、
加えられる外力の大きさに応じて、前記第一連絡管状部の少なくとも一部を軸とした前記第一連絡管状部の少なくとも一部に対する前記第一領域の相対回転と共に一方の前記第二管状部の前記第一連絡管状部の周方向への相対揺動を許容又は制限する第一揺動機構片と、
加えられる外力の大きさに応じて、前記第二連絡管状部の少なくとも一部を軸とした前記第二連絡管状部の少なくとも一部に対する前記第二領域の相対回転と共に他方の前記第二管状部の前記第二連絡管状部の周方向への相対揺動を許容又は制限する第二揺動機構片と、
を有することを特徴とする、
請求項8に記載の呼吸補助具。
【請求項13】
前記第一揺動機構片と前記第二揺動機構片は、相互に独立して動作することを特徴とする、
請求項12に記載の呼吸補助具。
【請求項14】
前記第一揺動機構片と前記第二揺動機構片は、一方の前記第二管状部を基準とした他方の前記第二管状部の相対角が閾値未満であると、相互に独立して動作し、該相対角が閾値以上になると、前記第一管状部の捻れに起因する復元力により相対揺動が制限されることを特徴とする、
請求項12に記載の呼吸補助具。
【請求項15】
前記供給管から供給される気体を前記第一管状部に案内可能に前記第一管状部の端部に接続される連絡管状部と、
加えられる外力の大きさに応じて前記連絡管状部の周方向への前記第二管状部の揺動を許容又は制限する揺動機構と、
を備え、
前記連絡管状部は、
前記第一管状部に接続される第一接続管状部と、
自身の一端側が前記第一接続管状部に接続され、自身の一端側が前記供給管に接続される第二接続管状部と、
を有し、
前記揺動機構は、
前記第一管状部と前記第一接続管状部の相対回転を制限する相対回転制限機構と、
加えられる外力の大きさに応じて前記第一接続管状部と前記第二接続管状部の相対回転を許容又は制限する相対回転機構と、
を有し、
前記第二接続管状部に対して前記第一接続管状部と共に前記第一管状部が相対回転することにより、前記第二管状部が前記連絡管状部の周方向へ揺動するよう構成されることを特徴とする、
請求項1に記載の呼吸補助具。
【請求項16】
前記相対回転制限機構は、前記第一管状部と前記第一接続管状部の接続領域に構成され、
前記接続領域では、前記第一管状部と前記第一接続管状部は、相互に接触しつつ重なり合い、且つ前記第一接続管状部及び前記第一管状部の前記連絡管状部の軸方向(以下、連絡側軸方向と呼ぶ。)に直交する方向から切った断面において、前記第一管状部と前記第一接続管状部が接触する領域の形状が非真円形状となることを特徴とする、
請求項15に記載の呼吸補助具。
【請求項17】
前記相対回転機構は、
前記第一接続管状部の内周面又は外周面に設けられた第一接続管側係合領域と、
前記第二接続管状部に設けられ、前記第一接続管状部と前記第二接続管状部が接続された際、前記第一接続管側係合領域の方を向きつつ、前記第一接続管側係合領域に係合する第二接続管側係合領域と、
を有し、
外力を加えることで、前記第一接続管側係合領域と前記第二接続管側係合領域の係合が解かれ、前記第一接続管状部と前記第二接続管状部の相対回転が許容され、
外力を解放すると、前記第一接続管側係合領域と前記第二接続管側係合領域の係合により前記第一接続管状部と前記第二接続管状部の相対回転が制限されることを特徴とする、
請求項15又は16に記載の呼吸補助具。
【請求項18】
前記第二接続管状部は、
自身の一端側が前記第一接続管状部に接続される中間接続管状部と、
自身の一端側が前記中間接続管状部の他端側に接続され、自身の他端側が前記供給管に対して相対回転自在に接続される供給管側接続管状部と、
を有することを特徴とする、
請求項15に記載の呼吸補助具。
【請求項19】
前記第一接続管状部と前記第二接続管状部の相対回転の範囲を所定の相対回転角度に制限する第二相対回転制限機構を備え、
前記第二相対回転制限機構は、
前記第一接続管状部及び前記第二接続管状部のいずれか一方に設けられ、前記連絡管状部の径方向に凹みつつ、前記連絡管状部の周方向に前記所定の相対回転角度に相当する部分周だけ延びる部分周溝部と、
前記第一接続管状部及び前記第二接続管状部の残りに設けられ、前記連絡管状部の径方向に突出し、前記第一接続管状部と前記第二接続管状部が相対回転すると、前記部分周溝部内で前記部分周溝部に沿って前記連絡管状部の周方向に旋回可能に設けられる制限突出部と、
を有し、
前記部分周溝部内で前記制限突出部が旋回可能な旋回角度は、前記第一接続管状部と前記第二接続管状部が相対回転可能な前記所定の相対回転角度と同一であることを特徴とする、
請求項15に記載の呼吸補助具。
【請求項20】
前記第一管状部と前記第一接続管状部の間に構成され、加えられる外力の大きさに応じて、前記第一管状部と前記第一接続管状部の相対的な接続位置(以下、相対接続位置と呼ぶ。)の変更を許容又は制限する接続位置変更機構を備え、
一対の前記接続位置変更機構により前記第一管状部と前記第一接続管状部の前記相対接続位置が変更されると、該相対接続位置の変更に追従して前記伸縮構造が伸縮しつつ、一対の前記第二管状部の間隔が変更され、
前記接続位置変更機構は、
前記第一管状部に設けられる第一軸方向係合領域と、
前記第一接続管状部に設けられ、前記第一管状部に前記第一接続管状部が接続された際、前記第一軸方向係合領域に重なり合って、前記連絡管状部の軸方向(以下、連絡側軸方向と呼ぶ。)において前記第一軸方向係合領域に係合する第二軸方向係合領域と、
を有し、
前記第二軸方向係合領域は、前記連絡側軸方向において前記第一接続管側係合領域よりも前記第二接続管状部から遠位な位置に設けられることを特徴とする、
請求項17に記載の呼吸補助具。
【請求項21】
前記鼻下領域において前記第一管状部が前記利用者の顔の前記幅方向に延びる姿勢となるように一対の前記連絡管状部を前記利用者の顔に装着する装着部を備えることを特徴とする、
請求項3に記載の呼吸補助具。
【請求項22】
前記装着部は、前記連絡管状部から前記鼻下領域に向かって延設され、前記鼻下領域で前記利用者の顔と当接することで前記第一管状部が前記利用者の顔の前記幅方向に延びる姿勢となるように前記連絡管状部を前記利用者の顔に位置決めすることを特徴とする、
請求項21に記載の呼吸補助具。
【請求項23】
吸水性を有する吸水性材料により構成され、前記供給管及び前記呼吸補助具の内部の水分を吸収して前記供給管及び前記呼吸補助具の外部へ排出する水分除去部を備え、
前記水分除去部は、
前記供給管及び前記呼吸補助具の少なくとも一方の内部に配置され、前記供給管及び前記呼吸補助具の少なくとも一方の内部の水分を吸収する内部側吸収部と、
前記内部側吸収部に繋がりつつ、前記供給管及び前記呼吸補助具の外部に露出し、前記内部側吸収部から伝達される水分を外部に排出する露出部と、
を有することを特徴とする、
請求項1に記載の呼吸補助具。
【請求項24】
前記装着部と前記鼻下領域の間に介在しつつ、前記鼻下領域に当接して前記鼻下領域を保護する保護シート部を備えることを特徴とする、
請求項21に記載の呼吸補助具。
【請求項25】
前記保護シート部には、前記幅方向に張力が印加されることを特徴とする、
請求項24に記載の呼吸補助具。
【請求項26】
気体を通す供給管から供給される気体を利用者の鼻穴に案内する呼吸補助具であって、
前記供給管から供給される気体を通し、前記利用者の鼻と口の間の鼻下領域において前記利用者の顔の幅方向に延びる姿勢で配置される第一管状部と、
前記第一管状部から分岐し、且つ前記利用者の前記鼻穴に挿入可能に構成され、前記第一管状部を通る気体を自身の出口開口から噴出可能に構成される一対の第二管状部と、
前記供給管から供給される気体を案内可能に前記第一管状部の端部に接続される連絡管状部と、
加えられる外力の大きさに応じて前記連絡管状部の周方向への前記第二管状部の揺動を許容又は制限する揺動機構と、
を備え、
前記連絡管状部は、
前記第一管状部に接続される第一接続管状部と、
自身の一端側が前記第一接続管状部に接続され、自身の一端側が前記供給管に接続される第二接続管状部と、
を有し、
前記揺動機構は、
前記第一管状部と前記第一接続管状部の相対回転を制限する相対回転制限機構と、
加えられる外力の大きさに応じて前記第一接続管状部と前記第二接続管状部の相対回転を許容又は制限する相対回転機構と、
を有し、
前記第二接続管状部に対して前記第一接続管状部と共に前記第一管状部が相対回転することにより、前記第二管状部が前記連絡管状部の周方向へ揺動するよう構成されることを特徴とする、
呼吸補助具。
【請求項27】
利用者へ気体を供給するための供給管と、
前記供給管を通じて供給される気体を前記利用者の鼻穴に案内する呼吸補助具と、
を備え、
前記呼吸補助具は、
前記供給管から供給される気体を通し、前記利用者の鼻と口の間の鼻下領域において前記利用者の顔の幅方向に延びる姿勢で配置され、自身の軸方向(以下、第一管状側軸方向と呼ぶ。)に伸縮可能な伸縮構造を有する第一管状部と、
前記第一管状部から分岐し、且つ前記利用者の前記鼻穴に挿入可能に構成され、前記第一管状部を通る気体を自身の出口開口から噴出可能に構成される一対の第二管状部と、
を備え、
前記第一管状部を前記第一管状側軸方向に伸縮させることにより、一対の前記第二管状部の間隔を変化可能に構成されることを特徴とする、
呼吸補助装置。
【請求項28】
利用者へ気体を供給するための供給管と、
前記供給管を通じて供給される気体を前記利用者の鼻穴又は口に案内する呼吸補助具と、
吸水性を有する吸水性材料により構成され、前記供給管及び前記呼吸補助具の少なくとも一方の内部の水分を吸収して前記供給管及び前記呼吸補助具の外部へ排出する水分除去部と、
を備え、
前記水分除去部は、
前記供給管及び前記呼吸補助具の少なくとも一方の内部に配置され、前記供給管及び前記呼吸補助具の少なくとも一方の内部の水分を吸収する内部側吸収部と、
前記内部側吸収部に繋がりつつ、前記供給管及び前記呼吸補助具の外部に露出し、前記内部側吸収部から伝達される水分を外部に排出する露出部と、
を有することを特徴とする、
呼吸補助装置。
【請求項29】
前記供給管及び前記呼吸補助具の少なくとも一方には、水分を排出するための排出開口が形成されており、
前記露出部は、前記排出開口を介して外部に露出することを特徴とする、
請求項28に記載の呼吸補助装置。
【請求項30】
前記呼吸補助具は、
前記利用者の顔の幅方向に延びるように配置され、該幅方向の一方の端部側に前記供給管が接続される主管状部と、
前記利用者の前記鼻穴又は口に対向可能で、且つ前記主管状部を通る気体を外部へ噴出可能な噴出口を有し、前記主管状部の途中に設けられる噴出部と、
を有しており、
前記主管状部の他方の端部側に前記排出開口が形成され、
前記内部側吸収部は、前記供給管及び前記主管状部の少なくとも一方の内部から前記排出開口まで延びることを特徴とする、
請求項29に記載の呼吸補助装置。
【請求項31】
前記露出部は、前記排出開口を閉塞する栓部により構成され、
前記栓部は、前記内部側吸収部から伝達される水分を一時的に保持し、乾燥により気化させて外部に排出することを特徴とする、
請求項30に記載の呼吸補助装置。
【請求項32】
前記呼吸補助具は、前記主管状部の他方の端部に設けられ、前記主管状部を通過した気体を滞留させる気体滞留部を有することを特徴とする、
請求項30に記載の呼吸補助装置。
【請求項33】
前記気体滞留部は、前記気体滞留部の前記端部を閉塞し、前記排出開口を有する閉塞部を有し、
前記閉塞部は、着脱自在であることを特徴とする、
請求項32に記載の呼吸補助装置。
【請求項34】
前記排出開口と前記露出部の間に隙間が設けられ、
前記隙間から漏れる気体が通過する領域を気体通過領域と定義した際、前記露出部は、前記気体通過領域に重畳する重畳領域を表面に有することを特徴とする、
請求項29に記載の呼吸補助装置。
【請求項35】
前記露出部は、前記排出開口から外部に突出するようになっており、
気体が通過可能な材料で構成され、前記露出部における前記排出開口から突出した領域の周囲を覆うカバー部を備えることを特徴とする、
請求項29に記載の呼吸補助装置。
【請求項36】
前記内部側吸収部は、前記主管状部を通る気体の流れを基準として前記噴出部よりも前記主管状部の上流側区間に配置されることを特徴とする、
請求項30に記載の呼吸補助装置。
【請求項37】
前記噴出部は、前記主管状部から2つ分岐し、
前記内部側吸収部は、前記主管状部を通る気体の流れを基準として前記噴出部よりも前記主管状部の上流側区間と2つの前記噴出部の間の区間に跨って配置されることを特徴とする、
請求項30に記載の呼吸補助装置。
【請求項38】
前記呼吸補助具は、
前記利用者の顔の幅方向に延びるように配置され、該幅方向の一方の端部に前記供給管が接続される主管状部と、
前記利用者の前記鼻穴又は口に対向可能で、且つ前記主管状部を通る気体を外部へ噴出可能な噴出口を有し、前記主管状部の途中に設けられる噴出部と、
を有し、
前記露出部は、前記主管状部の周壁の一部を構成することを特徴とする、
請求項28に記載の呼吸補助装置。
【請求項39】
前記露出部は、前記主管状部を通る気体の流れを基準として前記噴出部よりも上流側区間において前記主管状部の周壁の一部を構成することを特徴とする、
請求項38に記載の呼吸補助装置。
【請求項40】
前記噴出部は、前記主管状部から2つ分岐し、
前記露出部は、前記主管状部を通る気体の流れを基準として前記噴出部よりも上流側区間と2つの前記噴出部の間の区間に跨って前記主管状部の周壁の一部を構成することを特徴とする、
請求項38に記載の呼吸補助装置。
【請求項41】
前記露出部は、前記噴出口が前記利用者の前記鼻穴に対向するように配置された際、前記利用者の鼻下の皮膚表面と対向する前記主管状部の対向領域の反対側に位置する前記主管状部の反対側領域に設けられることを特徴とする、
請求項38に記載の呼吸補助装置。
【請求項42】
前記利用者の前記鼻穴から放出される呼気が通過する領域を呼気通過領域と定義した際、
前記露出部は、前記反対側領域のうち、前記呼気通過領域と重畳する重畳領域に設けられることを特徴とする、
請求項41に記載の呼吸補助装置。
【請求項43】
利用者へ気体を供給するための供給管と、該供給管を通じて供給される気体を前記利用者に案内する呼吸補助具と、を備えた呼吸補助装置において、前記供給管及び前記呼吸補助具の内部の水分を吸収して前記供給管及び前記呼吸補助具の外部へ排出する水分除去部材であって、
吸水性を有する吸水性材料により構成され、前記供給管及び前記呼吸補助具の少なくとも一方の内部に配置され、前記供給管及び前記呼吸補助具の少なくとも一方の内部の水分を吸収する内部側吸収部と、
前記吸水性材料により構成され、前記内部側吸収部に繋がりつつ、前記供給管及び前記呼吸補助具の外部に露出し、前記内部側吸収部から伝達される水分を外部に排出する露出部と、
を備えることを特徴とする、
水分除去部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸補助具、呼吸補助装置及び水分除去部材に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸補助装置は、患者の鼻腔内に酸素等の正圧の気体を供給するものが広く普及している。この種の呼吸補助装置として、例えば、ガス源と、該ガス源から供給される呼吸ガスを送出する送出導管と、該送出導管から送出される呼吸ガスを患者の鼻腔内に案内する経鼻カニューレと、を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。そして、経鼻カニューレは、例えば、形状が略管状のマニホルド部と、マニホルド部に連結され、一対の鼻プロングを有する顔面装着部を有する。送出導管を通って供給される呼吸ガスは、マニホルド部を通じて顔面装着部に送られ、一対の鼻プロングから患者の鼻穴に供給される。また、当該送出導管は、送出導管内で発生する加湿ガスの結露を防止するために加熱要素を途中区間に有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の呼吸補助装置には、第一の課題と第二の課題がある。第一の課題は以下の通りである。上記経鼻カニューレは、一対の鼻プロングの間隔及び顔面装着部に対する相対角は変更できないように構成されている。一方、患者の一対の鼻穴の間隔や傾斜角は、個人差がある。このため、上記一対の鼻プロングを患者の鼻穴に挿入した際、上記一対の鼻プロングと患者の鼻穴の相対位置が合わないと、鼻プロングが鼻腔に接触して鼻腔が圧迫されるおそれがある。また、上記一対の鼻プロングが鼻腔に接触する状態が継続すると、患者にとって不快に感じる。
【0005】
また、第二の課題は以下の通りである。上記途中区間と経鼻カニューレの間の患者に近位な送出導管の最終区間には、加熱要素が設けられないため、最終区間で呼吸ガスが冷却されて結露し、送出導管の最終区間で水滴が送出導管の内部に発生する。この水滴が呼吸ガスと共に経鼻カニューレを通じて患者の鼻穴に送られる可能性がある。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、第一の課題を解決する呼吸補助具及び呼吸補助装置、及び、第二の課題を解決する呼吸補助装置及び水分除去部材の少なくとも一方を提供するものである。第一の課題を解決する呼吸補助具及び呼吸補助装置は、利用者の鼻穴に挿入する部分の利用者の鼻穴に対する相対位置を調整可能に構成される。第二の課題を解決する呼吸補助装置及び水分除去部材は、呼吸補助装置の内部に生じた水滴を利用者に送出することを防止するよう構成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具は、気体を通す供給管から供給される気体を利用者の鼻穴に案内する呼吸補助具であって、前記供給管から供給される気体を通し、前記利用者の鼻と口の間の鼻下領域において前記利用者の顔の幅方向に延びる姿勢で配置され、自身の軸方向(以下、第一管状側軸方向と呼ぶ。)に伸縮可能な伸縮構造を有する第一管状部と、前記第一管状部から分岐し、且つ前記利用者の前記鼻穴に挿入可能に構成され、前記第一管状部を通る気体を自身の出口開口から噴出可能に構成される一対の第二管状部と、を備え、前記第一管状部を前記第一管状側軸方向に伸縮させることにより、一対の前記第二管状部の間隔を変化可能に構成されることを特徴とする。
【0008】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具は、更に、前記供給管から供給される気体を前記第一管状部に案内可能に前記第一管状部に接続され、加えられる外力の大きさに応じて前記第一管状部の伸縮を許容又は制限することにより、前記第一管状側軸方向における一対の前記第二管状部の間隔の変更を許容又は制限する間隔変更機構を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記間隔変更機構は、前記供給管から供給される気体を前記第一管状部に案内可能に前記第一管状部の両端のそれぞれに接続される一対の連絡管状部と、前記第一管状部と一対の前記連絡管状部の間に構成され、加えられる外力の大きさに応じて、前記第一管状部と前記連絡管状部の相対的な接続位置(以下、相対接続位置と呼ぶ。)の変更を許容又は制限する一対の接続位置変更機構と、を備え、一対の前記接続位置変更機構により前記第一管状部と前記連絡管状部の前記相対接続位置が変更されると、該相対接続位置の変更に追従して前記伸縮構造が伸縮しつつ、一対の前記第二管状部の間隔が変更されることを特徴とする。
【0010】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記第一管状部と前記連絡管状部は、前記接続位置変更機構により前記第一管状部と前記連絡管状部の前記相対接続位置が変更されると、前記第一管状部と前記連絡管状部が重なり合う重畳領域の前記連絡管状部の軸方向(以下、連絡側軸方向と呼ぶ。)における長さ(以下、軸長と呼ぶ。)を変更するように接続されることを特徴とする。
【0011】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記接続位置変更機構は、前記第一管状側軸方向における前記第一管状部の中央を基準として前記第一管状部の両側に設けられる一対の第一軸方向係合領域と、一対の前記連絡管状部のそれぞれに設けられ、一対の前記連絡管状部のそれぞれが前記第一管状部に接続された際、前記第一軸方向係合領域に重なり合って、前記連絡管状部の軸方向(以下、連絡側軸方向と呼ぶ。)において前記第一軸方向係合領域に係合する第二軸方向係合領域と、を有し、前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域は、前記相対接続位置の変更に伴い、前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域が重なりあって係合する係合重畳領域が前記連絡側軸方向における所定の範囲で変化するよう構成され、外力を加えることで、前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域の係合が解かれて、前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域の相対移動が許容されることにより前記係合重畳領域の範囲の変更が許容され、外力を解放すると、前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域の係合により前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域の相対移動が制限されて、前記係合重畳領域の範囲の変更が制限されることを特徴とする。
【0012】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記第一軸方向係合領域及び前記第二軸方向係合領域の少なくとも一方は、弾性変形可能な弾性変形材料により構成され、外力を加えることで、弾性変形材料により構成された前記第一軸方向係合領域及び前記第二軸方向係合領域の少なくとも一方が弾性変形をして前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域の係合が解かれることを特徴とする。
【0013】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記第一軸方向係合領域及び前記第二軸方向係合領域のいずれか一方は、相互に係合した状態において、前記第一軸方向係合領域及び前記第二軸方向係合領域の残りの他方に向かって突出する少なくとも1つの突出部を有し、前記第一軸方向係合領域及び前記第二軸方向係合領域の残りの他方は、前記第一管状側軸方向又は前記連絡側軸方向に間隔を空けて複数設けられ、相互に係合した状態において、各々が前記突出部の方を向きつつ、前記突出部に係合可能に構成される複数の係合部を有し、前記突出部と前記係合部が前記連絡側軸方向において係合して、前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域の相対移動を制限するように構成されることを特徴とする。
【0014】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記突出部は、前記第一管状部の内周面において前記第一管状部の径方向に縮径し、前記係合部に相互に係合した状態において前記係合部を押圧可能に構成される縮径部により構成され、前記係合部は、前記連絡管状部の外周面において前記連絡管状部の径方向に突出し、且つ前記連絡側軸方向に間隔を空けて複数設けられ、前記係合部に対する前記縮径部による押圧力に起因する摩擦力により前記凸部と前記縮径部が係合することを特徴とする。
【0015】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記突出部は、前記第一管状側軸方向又は前記連絡側軸方向に間隔を空けて複数設けられ、前記係合部は、前記突出部に嵌合可能に構成される複数の溝部により構成され、前記突出部と前記溝部が嵌合することにより前記突出部と前記溝部が係合することを特徴とする。
【0016】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具は、更に、加えられる外力の大きさに応じて前記第一管状部の中心軸の周りの前記第二管状部の揺動を許容又は制限する揺動機構を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記間隔変更機構は、前記供給管から供給される気体を前記第一管状部に案内可能に前記第一管状部の端部に接続される連絡管状部を有し、前記揺動機構は、加えられる外力の大きさに応じて、前記連絡管状部の少なくとも一部を軸とした前記連絡管状部の少なくとも一部に対する前記第一管状部の相対回転と共に、前記連絡管状部の周方向への前記連絡管状部の少なくとも一部に対する前記第二管状部の相対揺動を許容又は制限するよう構成されることを特徴とする。
【0018】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記揺動機構は、前記第一管状部に設けられた第一揺動係合領域と、前記連絡管状部に設けられ、前記第一管状部に前記連絡管状部が接続された際、前記第一揺動係合領域に重なり合って、前記連絡管状部の周方向において前記第一揺動係合領域に係合する第二揺動係合領域と、を有し、外力を加えることで、前記第一揺動係合領域と前記第二揺動係合領域の係合が解かれ、前記第一管状部の前記相対回転と共に前記第二管状部の前記相対揺動が許容され、外力を解放すると、前記第一揺動係合領域と前記第二揺動係合領域の係合により前記第一管状部の前記相対回転と共に前記第二管状部の前記相対揺動が制限されることを特徴とする。
【0019】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記間隔変更機構は、前記第一管状部と一対の前記連絡管状部の間に構成され、加えられる外力の大きさに応じて、前記第一管状部と前記連絡管状部の相対的な接続位置(以下、相対接続位置と呼ぶ。)の変更を許容又は制限する接続位置変更機構を有し、前記接続位置変更機構により前記第一管状部と前記連絡管状部の前記相対接続位置が変更されると、該相対接続位置の変更に追従して前記伸縮構造が伸縮しつつ、一対の前記第二管状部の間隔が変更され、前記接続位置変更機構は、前記第一管状側軸方向における前記第一管状部の中央を基準として前記第一管状部の両側に設けられる一対の第一軸方向係合領域と、一対の前記連絡管状部のそれぞれに設けられ、一対の前記連絡管状部のそれぞれが前記第一管状部に接続された際、前記第一軸方向係合領域に重なり合って、前記連絡管状部の軸方向(以下、連絡側軸方向と呼ぶ。)において前記第一軸方向係合領域に係合する第二軸方向係合領域と、を有し、前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域は、前記相対接続位置の変更に伴い、前記第一軸方向係合領域と前記第二軸方向係合領域が重なりあって係合する係合重畳領域が前記連絡側軸方向における所定の範囲で変化するよう構成され、前記第一軸方向係合領域と前記第一揺動係合領域は、少なくとも一部が共通し、前記第二軸方向係合領域と前記第二揺動係合領域は、少なくとも一部が共通することを特徴とする。
【0020】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記間隔変更機構は、前記供給管から供給される気体を前記第一管状部に案内可能に前記第一管状部の両端のそれぞれに接続される一対の連絡管状部を有し、前記第一管状側軸方向の中央を基準として前記第一管状部を2つの領域に分け、一方側の前記連絡管状部(以下、第一連絡管状部と呼ぶ。)に接続される前記第一管状部の一方側の領域を第一領域と定義し、他方側の前記連絡管状部(以下、第二連絡管状部と呼ぶ。)に接続される前記第一管状部の他方側の領域を第二領域と定義した際、前記揺動機構は、加えられる外力の大きさに応じて、前記第一連絡管状部の少なくとも一部を軸とした前記第一連絡管状部の少なくとも一部に対する前記第一領域の相対回転と共に一方の前記第二管状部の前記第一連絡管状部の周方向への相対揺動を許容又は制限する第一揺動機構片と、加えられる外力の大きさに応じて、前記第二連絡管状部の少なくとも一部を軸とした前記第二連絡管状部の少なくとも一部に対する前記第二領域の相対回転と共に他方の前記第二管状部の前記第二連絡管状部の周方向への相対揺動を許容又は制限する第二揺動機構片と、を有することを特徴とする。
【0021】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記第一揺動機構片と前記第二揺動機構片は、相互に独立して動作することを特徴とする。
【0022】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記第一揺動機構片と前記第二揺動機構片は、一方の前記第二管状部を基準とした他方の前記第二管状部の相対角が閾値未満であると、相互に独立して動作し、該相対角が閾値以上になると、前記第一管状部の捻れに起因する復元力により相対揺動が制限されることを特徴とする。
【0023】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記供給管から供給される気体を前記第一管状部に案内可能に前記第一管状部の端部に接続される連絡管状部と、加えられる外力の大きさに応じて前記連絡管状部の周方向への前記第二管状部の揺動を許容又は制限する揺動機構と、を備え、前記連絡管状部は、前記第一管状部に接続される第一接続管状部と、自身の一端側が前記第一接続管状部に接続され、自身の一端側が前記供給管に接続される第二接続管状部と、を有し、前記揺動機構は、前記第一管状部と前記第一接続管状部の相対回転を制限する相対回転制限機構と、加えられる外力の大きさに応じて前記第一接続管状部と前記第二接続管状部の相対回転を許容又は制限する相対回転機構と、を有し、前記第二接続管状部に対して前記第一接続管状部と共に前記第一管状部が相対回転することにより、前記第二管状部が前記連絡管状部の周方向へ揺動するよう構成されることを特徴とする。
【0024】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記相対回転制限機構は、前記第一管状部と前記第一接続管状部の接続領域に構成され、前記接続領域では、前記第一管状部と前記第一接続管状部は、相互に接触しつつ重なり合い、且つ前記第一接続管状部及び前記第一管状部の前記連絡管状部の軸方向(以下、連絡側軸方向と呼ぶ。)に直交する方向から切った断面において、前記第一管状部と前記第一接続管状部が接触する領域の形状が非真円形状となることを特徴とする。
【0025】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記相対回転機構は、前記第一接続管状部の内周面又は外周面に設けられた第一接続管側係合領域と、前記第二接続管状部に設けられ、前記第一接続管状部と前記第二接続管状部が接続された際、前記第一接続管側係合領域の方を向きつつ、前記第一接続管側係合領域に係合する第二接続管側係合領域と、を有し、外力を加えることで、前記第一接続管側係合領域と前記第二接続管側係合領域の係合が解かれ、前記第一接続管状部と前記第二接続管状部の相対回転が許容され、外力を解放すると、前記第一接続管側係合領域と前記第二接続管側係合領域の係合により前記第一接続管状部と前記第二接続管状部の相対回転が制限されることを特徴とする。
【0026】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記第二接続管状部は、自身の一端側が前記第一接続管状部に接続される中間接続管状部と、自身の一端側が前記中間接続管状部の他端側に接続され、自身の他端側が前記供給管に対して相対回転自在に接続される供給管側接続管状部と、を有することを特徴とする。
【0027】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具は、更に、前記第一接続管状部と前記第二接続管状部の相対回転の範囲を所定の相対回転角度に制限する第二相対回転制限機構を備え、前記第二相対回転制限機構は、前記第一接続管状部及び前記第二接続管状部のいずれか一方に設けられ、前記連絡管状部の径方向に凹みつつ、前記連絡管状部の周方向に前記所定の相対回転角度に相当する部分周だけ延びる部分周溝部と、前記第一接続管状部及び前記第二接続管状部の残りに設けられ、前記連絡管状部の径方向に突出し、前記第一接続管状部と前記第二接続管状部が相対回転すると、前記部分周溝部内で前記部分周溝部に沿って前記連絡管状部の周方向に旋回可能に設けられる制限突出部と、を有し、前記部分周溝部内で前記制限突出部が旋回可能な旋回角度は、前記第一接続管状部と前記第二接続管状部が相対回転可能な前記所定の相対回転角度と同一であることを特徴とする。
【0028】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具は、更に、前記第一管状部と前記第一接続管状部の間に構成され、加えられる外力の大きさに応じて、前記第一管状部と前記第一接続管状部の相対的な接続位置(以下、相対接続位置と呼ぶ。)の変更を許容又は制限する接続位置変更機構を備え、一対の前記接続位置変更機構により前記第一管状部と前記第一接続管状部の前記相対接続位置が変更されると、該相対接続位置の変更に追従して前記伸縮構造が伸縮しつつ、一対の前記第二管状部の間隔が変更され、前記接続位置変更機構は、前記第一管状部に設けられる第一軸方向係合領域と、前記第一接続管状部に設けられ、前記第一管状部に前記第一接続管状部が接続された際、前記第一軸方向係合領域に重なり合って、前記連絡管状部の軸方向(以下、連絡側軸方向と呼ぶ。)において前記第一軸方向係合領域に係合する第二軸方向係合領域と、を有し、前記第二軸方向係合領域は、前記連絡側軸方向において前記第一接続管側係合領域よりも前記第二接続管状部から遠位側にずれた位置に設けられることを特徴とする
【0029】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具は、更に、前記第一管状部が前記利用者の前記鼻下領域において前記利用者の顔の幅方向に延びる姿勢で配置されるように前記連絡管状部を保持する連絡管状側保持部と、前記保持部に対する前記中間接続管状部の相対回転を制限する第三相対回転制限機構と、を備えることを特徴とする。
【0030】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具は、更に、前記鼻下領域において前記第一管状部が前記利用者の顔の前記幅方向に延びる姿勢となるように一対の前記連絡管状部を前記利用者の顔に装着する装着部と、を備えることを特徴とする。
【0031】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具において、前記装着部は、前記連絡管状部から前記鼻下領域に向かって延設され、前記鼻下領域で前記利用者の顔と当接することで前記第一管状部が前記利用者の顔の前記幅方向に延びる姿勢となるように前記連絡管状部を前記利用者の顔に位置決めすることを特徴とする。
【0032】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具は、更に、吸水性を有する吸水性材料により構成され、前記供給管及び前記呼吸補助具の内部の水分を吸収して前記供給管及び前記呼吸補助具の外部へ排出する水分除去部を備え、前記水分除去部は、前記供給管及び前記呼吸補助具の少なくとも一方の内部に配置され、前記供給管及び前記呼吸補助具の少なくとも一方の内部の水分を吸収する内部側吸収部と、前記内部側吸収部に繋がりつつ、前記供給管及び前記呼吸補助具の外部に露出し、前記内部側吸収部から伝達される水分を外部に排出する露出部と、を有することを特徴とする。
【0033】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具は、更に、前記装着部と前記鼻下領域の間に介在しつつ、前記鼻下領域に当接して前記鼻下領域を保護する保護シート部を備えることを特徴とする。
【0034】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具の前記保護シート部には、前記幅方向に張力が印加されることを特徴とする。
【0035】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助具は、気体を通す供給管から供給される気体を利用者の鼻穴に案内する呼吸補助具であって、前記供給管から供給される気体を通し、前記利用者の鼻と口の間の鼻下領域において前記利用者の顔の幅方向に延びる姿勢で配置される第一管状部と、前記第一管状部から分岐し、且つ前記利用者の前記鼻穴に挿入可能に構成され、前記第一管状部を通る気体を自身の出口開口から噴出可能に構成される一対の第二管状部と、前記供給管から供給される気体を案内可能に前記第一管状部の端部に接続される連絡管状部と、加えられる外力の大きさに応じて前記連絡管状部の周方向への前記第二管状部の揺動を許容又は制限する揺動機構と、を備え、前記連絡管状部は、前記第一管状部に接続される第一接続管状部と、自身の一端側が前記第一接続管状部に接続され、自身の一端側が前記供給管に接続される第二接続管状部と、を有し、前記揺動機構は、前記第一管状部と前記第一接続管状部の相対回転を制限する相対回転制限機構と、加えられる外力の大きさに応じて前記第一接続管状部と前記第二接続管状部の相対回転を許容又は制限する相対回転機構と、を有し、前記第二接続管状部に対して前記第一接続管状部と共に前記第一管状部が相対回転することにより、前記第二管状部が前記連絡管状部の周方向へ揺動するよう構成されることを特徴とする。
【0036】
本発明の第一の課題に対応する呼吸補助装置は、利用者へ気体を供給するための供給管と、前記供給管を通じて供給される気体を前記利用者の鼻穴に案内する呼吸補助具と、を備え、前記呼吸補助具は、前記供給管から供給される気体を通し、前記利用者の鼻と口の間の鼻下領域において前記利用者の顔の幅方向に延びる姿勢で配置され、自身の軸方向(以下、第一管状側軸方向と呼ぶ。)に伸縮可能な伸縮構造を有する第一管状部と、前記第一管状部から分岐し、且つ前記利用者の前記鼻穴に挿入可能に構成され、前記第一管状部を通る気体を自身の出口開口から噴出可能に構成される一対の第二管状部と、を備え、前記第一管状部を前記第一管状側軸方向に伸縮させることにより、一対の前記第二管状部の間隔を変化可能に構成されることを特徴とする。
【0037】
本発明の第二の課題に対応する呼吸補助装置は、利用者へ気体を供給するための供給管と、前記供給管を通じて供給される気体を前記利用者の鼻穴又は口に案内する呼吸補助具と、吸水性を有する吸水性材料により構成され、前記供給管及び前記呼吸補助具の少なくとも一方の内部の水分を吸収して前記供給管及び前記呼吸補助具の外部へ排出する水分除去部と、を備え、前記水分除去部は、前記供給管及び前記呼吸補助具の少なくとも一方の内部に配置され、前記供給管及び前記呼吸補助具の少なくとも一方の内部の水分を吸収する内部側吸収部と、前記内部側吸収部に繋がりつつ、前記供給管及び前記呼吸補助具の外部に露出し、前記内部側吸収部から伝達される水分を外部に排出する露出部と、を有することを特徴とする。
【0038】
本発明の第二の課題に対応する呼吸補助装置において、前記供給管及び前記呼吸補助具の少なくとも一方には、水分を排出するための排出開口が形成されており、前記露出部は、前記排出開口を介して外部に露出することを特徴とする。
【0039】
本発明の第二の課題に対応する呼吸補助装置において、前記呼吸補助具は、前記利用者の顔の幅方向に延びるように配置され、該幅方向の一方の端部に前記供給管が接続される主管状部と、前記利用者の前記鼻穴又は口に対向可能で、且つ前記主管状部を通る気体を外部へ噴出可能な噴出口を有し、前記主管状部の途中に設けられる噴出部と、を有しており、前記主管状部の他方の端部側に前記排出開口が形成され、前記内部側吸収部は、前記供給管及び前記主管状部の少なくとも一方の内部から前記排出開口まで延びることを特徴とする。
【0040】
本発明の第二の課題に対応する呼吸補助装置において、前記露出部は、前記排出開口を閉塞する栓部により構成され、前記栓部は、前記内部側吸収部から伝達される水分を一時的に保持し、乾燥により気化させて外部に排出することを特徴とする。
【0041】
本発明の第二の課題に対応する呼吸補助装置において、前記呼吸補助具は、前記主管状部の他方の端部に設けられ、前記主管状部を通過した気体を滞留させる気体滞留部を有することを特徴とする。
【0042】
本発明の第二の課題に対応する呼吸補助装置において、前記気体滞留部は、前記気体滞留部の前記端部を閉塞し、前記排出開口を有する閉塞部を有し、前記閉塞部は、着脱自在であることを特徴とする。
【0043】
本発明の第二の課題に対応する呼吸補助装置において、前記排出開口と前記露出部の間に隙間が設けられ、前記隙間から漏れる気体が通過する領域を気体通過領域と定義した際、前記露出部は、前記気体通過領域に重畳する重畳領域を表面に有することを特徴とする。
【0044】
本発明の第二の課題に対応する呼吸補助装置において、前記露出部は、前記排出開口から外部に突出するようになっており、気体が通過可能な材料で構成され、前記露出部における前記排出開口から突出した領域の周囲を覆うカバー部を備えることを特徴とする。
【0045】
本発明の第二の課題に対応する呼吸補助装置において、前記内部側吸収部は、前記主管状部を通る気体の流れを基準として前記噴出部よりも前記主管状部の上流側区間に配置されることを特徴とする。
【0046】
本発明の第二の課題に対応する呼吸補助装置において、前記噴出部は、前記主管状部から2つ分岐し、前記内部側吸収部は、前記主管状部を通る気体の流れを基準として前記噴出部よりも前記主管状部の上流側区間と2つの前記噴出部の間の区間に跨って配置されることを特徴とする。
【0047】
本発明の第二の課題に対応する呼吸補助装置において、前記呼吸補助具は、前記利用者の顔の幅方向に延びるように配置され、該幅方向の一方の端部側に前記供給管が接続される主管状部と、前記利用者の前記鼻穴又は口に対向可能で、且つ前記主管状部を通る気体を外部へ噴出可能な噴出口を有し、前記主管状部の途中に設けられる噴出部と、を有し、前記露出部は、前記主管状部の周壁の一部を構成することを特徴とする。
【0048】
本発明の第二の課題に対応する呼吸補助装置において、前記露出部は、前記主管状部を通る気体の流れを基準として前記噴出部よりも上流側区間において前記主管状部の周壁の一部を構成することを特徴とする。
【0049】
本発明の第二の課題に対応する呼吸補助装置において、本発明の呼吸補助装置において、前記噴出部は、前記主管状部から2つ分岐し、前記露出部は、前記主管状部を通る気体の流れを基準として前記噴出部よりも上流側区間と2つの前記噴出部の間の区間に跨って前記主管状部の周壁の一部を構成することを特徴とする。
【0050】
本発明の第二の課題に対応する呼吸補助装置において、前記露出部は、前記噴出口が前記利用者の前記鼻穴に対向するように配置された際、前記利用者の鼻下の皮膚表面と対向する前記主管状部の対向領域の反対側に位置する前記主管状部の反対側領域に設けられることを特徴とする。
【0051】
本発明の第二の課題に対応する呼吸補助装置において、前記利用者の前記鼻穴から放出される呼気が通過する領域を呼気通過領域と定義した際、前記露出部は、前記反対側領域のうち、前記呼気通過領域と重畳する重畳領域に設けられることを特徴とする。
【0052】
本発明の第二の課題に対応する水分除去部材は、利用者へ気体を供給するための供給管と、該供給管を通じて供給される気体を前記利用者に案内する呼吸補助具と、を備えた呼吸補助装置において、前記供給管及び前記呼吸補助具の内部の水分を吸収して前記供給管及び前記呼吸補助具の外部へ排出する水分除去部材であって、吸水性を有する吸水性材料により構成され、前記供給管及び前記呼吸補助具の少なくとも一方の内部に配置され、前記供給管及び前記呼吸補助具の少なくとも一方の内部の水分を吸収する内部側吸収部と、前記吸水性材料により構成され、前記内部側吸収部に繋がりつつ、前記供給管及び前記呼吸補助具の外部に露出し、前記内部側吸収部から伝達される水分を外部に排出する露出部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0053】
本発明の第一の課題を解決する呼吸補助具及び呼吸補助装置によれば、利用者の鼻穴に挿入する部分の利用者の鼻穴に対する相対位置を調整できるという優れた効果を奏し得る。また、本発明の第二の課題を解決する呼吸補助装置及び水分除去部材によれば、呼吸補助装置の内部に生じた水滴を利用者に送出することを防止するという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本発明の第一実施形態における呼吸補助装置を装着した利用者の正面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態における呼吸補助装置の正面図である。
【
図3】(A)は、本発明の第一実施形態における呼吸補助装置の一部を分解した分解図である。(B)は、本発明の第一実施形態における呼吸補助具側保持部及び一対の供給管保持部の上面図である。
【
図4】(A)は、本発明の第一実施形態における気体案内部の正面図である。(B)は、本発明の第一実施形態における気体案内部の背面図である。(C)は、本発明の第一実施形態における気体案内部の断面概略図である。
【
図5】(A)は、本発明の第一実施形態における気体案内部を気体案内部(第一管状部)の軸方向(第一管状側軸方向)に伸ばす前の気体案内部の背面図である。(B)は、本発明の第一実施形態における気体案内部を気体案内部(第一管状部)の軸方向(第一管状側軸方向)に伸ばした後の気体案内部の背面図である。
【
図6】(A)は、本発明の第一実施形態における装着部により連絡部を利用者に装着した際の利用者の正面図である。(B)は、本発明の第一実施形態における装着部により連絡部を利用者に装着した際の利用者の上面図である。
【
図7】(A)は、本発明の第一実施形態における装着部により連絡部及び気体案内部を利用者に装着した際の利用者の正面図である。(B)は、(A)の場合よりも第二管状部の間の軸方向間隔を縮めた際の利用者の正面図である。
【
図8】(A)は、本発明の第一実施形態における連絡部の正面図である。(B)は、本発明の第一実施形態における連絡部の背面図である。(C)は、本発明の第一実施形態における連絡部の上面図(底面図)である。(D)は、本発明の第一実施形態における連絡部の断面概略図である。
【
図9】(A)は、本発明の第一実施形態における連絡部に気体案内部を装着した際の気体案内部の上面図である。(B)は、本発明の第一実施形態における連絡部に気体案内部を装着した際の気体案内部の断面概略図である。
【
図10】(A)~(C)は、本発明の第一実施形態における連絡部に気体案内部を装着する際の動作を時系列に並べた気体案内部及び連絡部の断面概略図である。
【
図11】(A)は、
図10(C)に示すように連絡部に対して位置決めされた気体案内部を連絡管状部に対して連絡管状部の軸方向の先端側に移動させた後の気体案内部及び連絡部の断面概略図である。(B)は、
図10(C)に示すように連絡部に対して位置決めされた気体案内部を連絡管状部に対して連絡管状部の軸方向の基端側に移動させた後の気体案内部及び連絡部の断面概略図である。
【
図12】(A)~(C)は、本発明の第一実施形態における縮径部の厚みを変えた際の連絡部の係合部と縮径部の係合の様子を示す気体案内部及び連絡部の断面概略図である。
【
図13】(A),(B)は、本発明の第一実施形態における連絡部を供給管に接続する様子を時系列に並べた図である。
【
図14】(A)~(C)は、本発明の第一実施形態の変形例における連絡部に気体案内部を装着する際の動作を時系列に並べた気体案内部及び連絡部の断面概略図である。
【
図15】(A)は、
図14(C)に示すように連絡部に対して位置決めされた気体案内部を連絡管状部に対して連絡管状部の軸方向の先端側に移動させた後の気体案内部及び連絡部の断面概略図である。(B)は、
図14(C)に示すように連絡部に対して位置決めされた気体案内部を連絡部に対して連絡管状部の軸方向の基端側に移動させた後の気体案内部及び連絡部の断面概略図である。
【
図16】本発明の第一実施形態における連絡部に対して気体案内部を揺動させる様子を示す側面図である。
【
図17】(A)は、本発明の第一実施形態における気体案内部の第一管状部の第一領域及び第二領域の揺動角が同一である際の気体案内部の背面図である。(B)は、本発明の第一実施形態における気体案内部の第一管状部の第一領域及び第二領域の揺動角を異ならせた結果、第一管状部が捻れた様子を表す気体案内部の背面図である。
【
図18】(A)は、本発明の第一実施形態の変形例における気体案内部の背面図である。(B)は、本発明の第一実施形態の変形例における連絡部の上面図(底面図)である。(C)は、本発明の第一実施形態の変形例における気体案内部の側面概略図である。(D)は、本発明の第一実施形態の変形例における連絡管状部を連絡管状部の軸方向に直交する方向から切った際の断面図である。(E)は、気体案内部を連絡管状部に接続した際の様子を示す接続概要図である。
【
図19】(A)は、本発明の第二実施形態における呼吸補助装置の正面図である。(B)は、本発明の第二実施形態における気体案内部と連絡管状部が接続された状態の正面図である。(C)は、本発明の第二実施形態における気体案内部と連絡管状部が分離された状態の斜視図である。
【
図20】(A)は、本発明の第二実施形態における連絡管状部の斜視図である。(B)は、本発明の第二実施形態における連絡管状部が分解された状態の斜視図である。
【
図21】(A)は、本発明の第二実施形態における気体案内部と連絡管状部を、連絡管状部の軸方向に沿って切った断面図であり、気体案内部と連絡管状部は分離された状態にある。(B)は、本発明の第二実施形態における気体案内部と連絡管状部を、連絡管状部の軸方向に沿って切った断面図であり、気体案内部と連絡管状部は接続された状態にある。(C)は、気体案内部と連絡管状部の重畳領域を、連絡管状部の中心軸に直交する方向から切った断面図である。
【
図22】(A)は、本発明の第二実施形態における呼吸補助装置を、連絡管状部の軸方向に沿って切った断面図である。(B)は、本発明の第二実施形態における連絡管状部を、連絡管状部の軸方向に沿って切った断面図であり、連絡管状部は分解されていない状態にある。(C)は、本発明の第二実施形態における連絡管状部を、連絡管状部の軸方向に沿って切った断面図であり、連絡管状部の一部は分解された状態にある。
【
図23】(A)は、本発明の第二実施形態における第一接続管状部と第二接続管状部が分解された状態の斜視図である。(B)は、本発明の第二実施形態における第一接続管状部と第二接続管状部を接続した際の接続部分を連絡管状部の中心軸に直交する方向から切った断面図である。
【
図24】本発明の第三実施形態における呼吸補助装置を装着した利用者の正面図である。
【
図25】(A)は、本発明の第三実施形態における呼吸補助装置の正面図である。(B)は、本発明の第三実施形態における呼吸補助装置の断面概略図である。(C)は、(B)とは異なる位置で切った本発明の第三実施形態における呼吸補助装置の断面概略図である。
【
図26】(A)は、本発明の第三実施形態における気体滞留管に水分除去部の露出部を装着する前の断面拡大概略図である。(B)は、本発明の第三実施形態における気体滞留管に水分除去部の露出部を装着した後の断面拡大概略図である。
【
図27】本発明の第三実施形態における呼吸補助装置の第一変形例を装着した利用者の正面図である。
【
図28】(A)は、本発明の第三実施形態における呼吸補助装置の第一変形例の水分除去部の近傍の断面拡大概略図である。(B)は、本発明の第三実施形態における呼吸補助装置の第二変形例の水分除去部の近傍の断面拡大概略図である。
【
図29】本発明の第四実施形態における呼吸補助装置を装着した利用者の正面図である。
【
図30】(A)は、本発明の第四実施形態における呼吸補助具の正面図である。(B)は、本発明の第四実施形態における呼吸補助具の断面概略図である。(C)は、本発明の第四実施形態における呼吸補助具の変形例の断面概略図である。
【
図31】本発明の第四実施形態における呼吸補助具を利用者に装着した際の利用者の側面図である。
【
図32】本発明の第四実施形態における呼吸補助具の変形例を装着した利用者の正面図である。
【
図33】(A)は、利用者により装着される前の本発明の第五実施形態における呼吸補助装置の上面図である。(B)は、利用者により装着された後の本発明の第五実施形態における呼吸補助装置の上面図である。
【
図34】(A)は、鼻下領域保護部を取り付ける前の本発明の第五実施形態における呼吸補助装置の背面図である。(B)は、鼻下領域保護部を取り付け後の本発明の第五実施形態における呼吸補助装置の背面図である。(C)は、本発明の第五実施形態における係合部の概要図である。
【
図35】(A)は、鼻下領域保護部を取り付け後の本発明の第五実施形態における呼吸補助装置の第一変形例の上面図である。(B)は、鼻下領域保護部を取り付け後の本発明の第五実施形態における呼吸補助装置の第二変形例の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1~
図35は発明を実施する形態の一例であって、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わす。
【0056】
<第一実施形態>
図1~
図18を参照して、本発明の第一実施形態における呼吸補助装置1について説明する。本実施形態における呼吸補助装置1は、呼吸補助装置1の利用者900の呼吸を補助するものであり、利用者900の気道に吸気となる気体(圧縮空気、酸素など)を送り込む。本実施形態において呼吸補助装置1は、
図1及び
図2に示すように、気体供給源2と、供給管3と、加湿器4と、呼吸補助具5と、装着部6などを備える。
【0057】
気体供給源2は気体を供給する。この気体供給源2には、周知の酸素ボンベや送風機などが用いられる。
【0058】
供給管3は、気体供給源2から供給される気体を通す。供給管3の一端は、気体供給源2に接続される。そして、供給管3の他端は、呼吸補助具5に接続される。この供給管3は、呼吸補助具5を通じて利用者900の気道に気体を送る。
【0059】
本実施形態において供給管3は、気体供給源2から呼吸補助具5に向かう途中で2つに分岐する一対の分岐管片3A,3Bを有する。呼吸補助具5は、後述するように分岐管片3A,3Bのそれぞれを接続するための一対の接続口を有する。そして、分岐管片3Aは、呼吸補助具5の一方の接続口(
図1の左端)に接続され、分岐管片3Bは、呼吸補助具5の他方の接続口(
図1の右端)に接続される。
【0060】
加湿器4は、供給管3内の気体を加湿する。本実施形態において加湿器4は、分岐前の供給管3のいずれかの位置で供給管3内の気体を加湿するが、これに限定されずものではなく、分岐後の分岐管片3A,3Bのいずれかの位置で分岐管片3A,3B内の気体を加湿するものであってもよい。加湿器4は、供給管3内の気体を加湿可能であれば、どのような構成であってもよい。
【0061】
呼吸補助具5は、供給管3(分岐管片3A,3B)を通じて送られてくる気体を利用者900の鼻穴910A,910Bに案内するものである。装着部6は、呼吸補助具5を利用者900に装着するものである。呼吸補助具5及び装着部6については以下詳細に説明する。
【0062】
<呼吸補助具>
図1~
図5を参照して、呼吸補助具5について以下説明する。呼吸補助具5、
図1に示すように、例えば、鼻穴910A,910Bに気体を案内する鼻カニューレとして機能する。
図3は、
図1及び
図2において利用者900の鼻910と口920の間に配置される呼吸補助具5及び装着部6を分解した状態を描いたものである。
図3に示すように、本実施形態における呼吸補助具5は、気体案内部50と、保持機構と、を有する。
【0063】
<気体案内部>
図1、
図4及び
図5を参照して気体案内部50について以下説明する。気体案内部50は、供給管3(分岐管片3A,3B)を通じて送られてくる気体を利用者900の鼻穴910A,910Bに案内するものである。気体案内部50は、
図4(A)に示すように、第一管状部52と、一対の第二管状部53と、を有する。
【0064】
<第一管状部>
図1、
図4及び
図5を参照して第一管状部52について説明する。第一管状部52は、
図4(B),(C)に示すように、管状に形成され、両端に開口520を有する。そして、
図4(C)に示すように、第一管状部52は、両端の開口520に繋がる内部通路521を有する。内部通路521は、第一管状部52の軸方向(以下、第一管状側軸方向と呼ぶ。)に沿って延び、両端の開口520を通じて第一管状部52の外部に開放される。
【0065】
そして、
図4(A)~(C)に示すように、第一管状部52は、第一管状片522と、伸縮構造片523と、第二管状片524と、を有する。第一管状片522、伸縮構造片523、第二管状片524は、第一管状側軸方向に沿って順に並び、相互に連続する。第一管状片522は、管状に構成され、第一管状側軸方向における第一管状部52の一端を起点として第一管状側軸方向に延びる第一管状部52の軸方向区間(以下、一端側区間と呼ぶ。)を構成する。第二管状片524は、管状に構成され、第一管状側軸方向における第一管状部52の他端を起点として第一管状側軸方向に延びる第一管状部52の軸方向区間(以下、他端側区間と呼ぶ。)を構成する。伸縮構造片523は、管状に構成され、第一管状片522と第二管状片524の間で軸方向区間を成す。第一管状片522(一端側区間)と第二管状片524(他端側区間)は、同じ軸方向長さを有することが好ましい。また、伸縮構造片523は、初期状態で第一管状片522と第二管状片524と同じか、より短い軸方向長さを有することが好ましいが、より長い軸方向長さを有してもよい。
【0066】
第一管状片522及び第二管状片524は、
図4(B),(C)に示すように、管本体部525と、縮径部526と、を有する。管本体部525は、管状に形成される。管本体部525は、内径が一定であることが好ましい。縮径部526は、管本体部525の両端の内周面の全周を起点として管本体部525の径方向の内側に縮径(突出)する部分である。縮径部526は、管本体部525の径方向の内側に突出する意味で突出部と見做せる。第一管状片522の径方向における縮径部526の最内部分が開口520を構成する。開口520の内径は、少なくとも後述する気体案内部側管状片514の中心軸を基準とした係合部517の最大外径よりも小さい。本実施形態において縮径部526は、
図4(B)に示すように、環状に形成され、中央領域に開口520を有する。
【0067】
伸縮構造片523は、第一管状側軸方向に伸縮可能な伸縮構造を有する。
図5(A)に示す状態の第一管状部52に対して第一管状側軸方向における第一管状部52の両外側に引っ張る力Fを加えると、
図5(B)に示すように、伸縮構造片523は、第一管状側軸方向に伸びて軸方向における自身の全長が長くなる。結果、第一管状側軸方向における第一管状部52の全長も長くなる。また、
図5(A)に示す状態の第一管状部52に対して第一管状側軸方向の両内側に押す力を加えると、図示は省略するが、伸縮構造片523は第一管状側軸方向に縮んで軸方向における全長が短くなる。結果、第一管状側軸方向における第一管状部52の全長も短くなる。
【0068】
この伸縮構造は、伸縮構造片523を伸ばすとその伸ばした状態を維持し、伸縮構造片523を縮ませるとその縮ませた状態を維持する構造であることが好ましいが、これに限定されるものではない。伸縮構造は、例えば、伸縮構造片523に対して第一管状側軸方向の外力を加えて伸縮構造片523を第一管状側軸方向に伸縮させても、伸縮構造片523に対して第一管状側軸方向の外力を加えない初期状態に復帰するような復帰力が作用するような構造であってもよい。復帰力は、例えば、弾性力に起因するものであることが一例として挙げられる。
【0069】
本実施形態において伸縮構造片523は、蛇腹状(蛇腹構造)の管として構成される。蛇腹構造は、
図5(A)に示すように、環状又は螺旋状の環が複数連なるものであればよい。環は、第一管状側軸方向に沿って第一管状部52を切った断面が第一管状部52の径方向の外側に凸となる山形状となる(
図9(B)参照)。山形状では、外周側のみならず、内周側も第一管状部52の径方向の外側に凸となる。これにより、第一管状部52は、第一管状側軸方向に伸縮可能となる。なお、伸縮構造片523は、蛇腹状に形成されるものに限定されるものではない。例えば、伸縮構造片523は、弾性変形により第一管状側軸方向に伸縮可能な構造であってもよいし、弛んだ状態に構成され、第一管状側軸方向に伸縮可能な構造であってもよいし、一方の第一管状片が他方の第二管状片の内部に軸方向にスライド可能に挿入され、第一管状片と第二管状片が重畳する領域が第一管状片と第二管状片の軸方向に増減可能に構成された伸縮可能な構造であってもよい。
【0070】
また、第一管状部52は、
図1に示すように、利用者900の鼻910(鼻穴910A,910B)と口920の間における鼻下領域930において、第一管状部52が利用者900の顔の幅方向Hに延びるような姿勢で保持機構により保持される。保持機構については後述する。
【0071】
第一管状部52は、弾性変形が可能な弾性材料により構成されることが好ましいが、これに限定されるものではなく、その他の材料により構成されてもよい。弾性材料として、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等を含むエラストマー(例えば、熱硬化性エラストマー)が一例として挙げられる。
【0072】
<第二管状部>
図1及び
図4を参照して第二管状部53について説明する。第二管状部53は、
図4(A)~(C)に示すように、第一管状部52から分岐する管であり、2つ設けられる。本実施形態における第二管状部53は、例えば、鼻カニューレの鼻プロングとして機能する。以下、説明の便宜上、適宜、一方の第二管状部53の符号を53Aとし、他方の第二管状部53の符号を53Bとする。なお、第二管状部53は、適宜、利用者900の鼻穴910A,910Bに挿入するものであることから鼻挿入管状部53と読み替えてもよい。
【0073】
図4(A)~(C)に示すように、第二管状部53Aは、第一管状片522において第一管状片522の軸周りの外周面522Aを起点として外周面522Aから離れる側(第一管状片522の径方向外側)に突出するように第一管状片522から分岐する。第二管状部53Bは、第二管状片524において第二管状片524の軸周りの外周面524Aを起点として外周面524Aから離れる側(第二管状片524の径方向外側)に突出するように第二管状片524から分岐する。第二管状部53A,53Bは、並列に配置され、第一管状片522、第二管状片524から双方とも同じ側に突出する。
【0074】
第二管状部53Aは、
図1に示すように、利用者900の一方の鼻穴910Aに挿入可能な形状・サイズを有する。第二管状部53Bは、
図1に示すように、利用者900の他方の鼻穴910Bに挿入可能な形状・サイズを有する。
【0075】
第二管状部53A,53Bのそれぞれは、
図4(B)に示すように、先端に出口開口527及び出口開口527に繋がる内部通路528を有する。また、
図4(C)に示すように、第二管状部53A,53Bのそれぞれの内部通路528は、それぞれの連絡口529を介して第一管状部52の内部通路521に連続し、出口開口527を通じて外部に開放される。なお、連絡口529とは、第一管状片522の内部通路521と第二管状部53Aの内部通路528の境界に設けられる気体案内部50の内部開口、及び第二管状片524の内部通路521と第二管状部53Bの内部通路528の境界に設けられる気体案内部50の内部開口のそれぞれを指す。
【0076】
なお、第一管状部52と第二管状部53A,53Bは、一体形成されてもよいし、別部材として相互に接続可能に構成されてもよい。第二管状部53A,53Bは、弾性変形が可能な弾性材料により構成されることが好ましいが、これに限定されるものではなく、その他の材料により構成されてもよい。弾性材料として、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等を含むエラストマー(例えば、熱硬化性エラストマー)が一例として挙げられる。なお、第二管状部53A,53Bと第一管状部52は、同種類の材料で構成されてもよいし、異なる種類の材料により構成されてもよい。
【0077】
従って、第一管状部52の内部通路521を通る気体は、連絡口529を通じて第二管状部53A,53Bのそれぞれの内部通路528に案内され、出口開口527を通じて外部に噴出される。
【0078】
そして、第二管状部53A,53Bの間の間隔は、伸縮構造片523の伸縮により変化させることができる。言い換えると、伸縮構造片523は、第二管状部53A,53Bの間の間隔の変化に追従して伸縮する。結果、本実施形態によれば、利用者900の鼻穴910A,910Bの間隔に応じて第二管状部53A,53Bの間の第一管状側軸方向における間隔(以下、軸方向間隔と呼ぶ。)を変更することができる。このため、第二管状部53A,53Bが利用者900の鼻910の鼻腔に接触しないように、第二管状部53A,53Bの間の上記軸方向間隔を容易に変更することができる。
【0079】
<保持機構>
図4、
図6~
図12を参照して保持機構について説明する。保持機構は、供給管3を通じて供給される気体が気体案内部50(第一管状部52)に供給可能に気体案内部50(第一管状部52)を保持するものである。そして、保持機構は、加えられる外力に応じて、第一管状側軸方向における第二管状部53A,53Bの間の軸方向間隔の変更を許容又は制限する間隔変更機構を有する。間隔変更機構は、供給管3から供給される気体が第一管状部52に案内可能に第一管状部52に接続され、第一管状部52や間隔変更機構等に加えられる外力の大きさに応じて第一管状部52(伸縮構造片523)の伸縮を許容又は制限することにより、第一管状側軸方向における第二管状部53A,53Bの間の軸方向間隔の変更を許容又は制限する。本実施形態において間隔変更機構は、例えば、連絡部51を有するが、これに限定されるものではなく、その他の構成であってもよい。
【0080】
<連絡部>
連絡部51は、供給管3から供給される気体が気体案内部50(第一管状部52)に供給可能に供給管3と第一管状部52の間で双方に接続される。つまり、連絡部51は、供給管3から供給される気体を気体案内部50(第一管状部52)に受け渡すように、供給管3と気体案内部50(第一管状部52)の間を連絡するものである。そして、連絡部51は、
図6(A),(B)に示すように、利用者900の鼻910と口920の間の鼻下領域930に配置される。
【0081】
また、連絡部51は、気体案内部50(第一管状部52)との第一管状側軸方向における相対的な接続位置(以下、相対接続位置と呼ぶ。)を変更可能に構成される接続構造516を有する。そして、
図7(A),(B)に示すように、接続構造516は、第一管状部52の伸縮構造片523と協働して、利用者900の鼻穴910A,910Bに対する第二管状部53A,53Bの相対位置を調整可能に構成される。
【0082】
ここで、
図7(A)に示すように、第二管状部53A,53Bの先端中心を基準とした第二管状部53A,53Bの間の軸方向間隔をD3とし、この状態から
図7(B)に示すように、外力を加えて第二管状部53A,53Bの軸方向における軸方向間隔を縮めて、第二管状部53A,53Bの間の軸方向間隔をD4にしたとする。なお、D3>D4である。外力を加えて第二管状部53A,53Bの軸方向における軸方向間隔を縮めると、
図7(A),(B)に示すように、軸方向長さがD1だった伸縮構造片523は、間隔の変化に追従して、軸方向長さがD2に縮む。なお、D1>D2である。つまり、外力を加えて第二管状部53A,53Bの間の軸方向間隔を変更しつつ、連絡部51と気体案内部50(第一管状部52)との相対接続位置を変更すると、伸縮構造片523は第二管状部53A,53Bの間の軸方向間隔の変化に追従して軸方向長さが変わる。結果、利用者900の鼻穴910A,910Bを基準とした第二管状部53A,53Bの相対位置は変更される。以上のような連絡部51は、
図8(A)~(D)に示すように、一対の連絡管状部510と、連絡管状側保持部511と、を有する。
【0083】
<一対の連絡管状部>
一対の連絡管状部510のそれぞれは、
図8(A),(B)に示すように、管状に形成され、両端に開口510D,510Eを有する。そして、
図8(D)に示すように、一対の連絡管状部510のそれぞれは、両端の開口510D,510Eに繋がる内部通路510Cを有する。
【0084】
そして、
図8(A)~(D)に示すように、一対の連絡管状部510のそれぞれは、気体案内部側管状片514と、供給管側管状片515と、を有する。気体案内部側管状片514と供給管側管状片515は、自身の軸方向に沿って順に並び、相互に連続する。この際、気体案内部側管状片514と供給管側管状片515は、それぞれの中心軸が同軸となることが好ましい。
【0085】
一対の連絡管状部510のそれぞれは、弾性変形をせず、気体案内部50よりも剛性の高い硬質な材料により構成されることが好ましいが、これに限定されるものではなく、その他の材料により構成されてもよい。硬質な材料として、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂、又は、金属が一例として挙げられる。
【0086】
<気体案内部側管状片>
図8~
図12を参照して気体案内部側管状片514について説明する。
図8(A)~(D)に示すように、気体案内部側管状片514は、管状に形成され、連絡管状部510の一区間を成す。そして、気体案内部側管状片514は、第一管状部52(第一管状片522、第二管状片524)に接続可能な接続構造516を有する。接続構造516は、気体案内部側管状片514(連絡管状部510)の軸方向(以下、連絡側軸方向と呼ぶ。)において第一管状部52と複数の接続可能位置を有する。
【0087】
図8(A)~(D)に示すように、接続構造516は、連絡側軸方向に間隔を空けて、気体案内部側管状片514(連絡管状部510)の外周面に複数設けられ、各々が縮径部526と係合可能に構成される係合部517を有する。各係合部517は、気体案内部側管状片514の外周面において気体案内部側管状片514の径方向外側に突出しつつ、気体案内部側管状片514の周方向に周回する。その意味で、各係合部517を突出部と称してもよい。本実施形態において係合部517は、気体案内部側管状片514の周方向に気体案内部側管状片514の外周面を全周する環状の突出環として構成される。係合部517は、これに限定されるものではなく、気体案内部側管状片514の周方向に全周ではなく、気体案内部側管状片514の外周面の一部(部分周)を周回する突出環として構成されてもよい。
【0088】
複数の係合部517は、等間隔に並ぶことが好ましいが、不等間隔であってもよい。また、各係合部517は、径方向における高さが等しいことが好ましい。つまり、各係合部517は、気体案内部側管状片514の中心軸を基準とした最大外径が等しいことが好ましい。また、ストッパ518A,518Bは、各係合部517よりも径方向における高さが高い。つまり、ストッパ518A,518Bは、係合部517よりも気体案内部側管状片514の中心軸を基準とした最大外径が大きい。
【0089】
また、接続構造516は、気体案内部側管状片514の軸方向の先端と基端(気体案内部側管状片514と供給管側管状片515の境界)に、気体案内部側管状片514の外周面において気体案内部側管状片514の径方向外側に突出しつつ、気体案内部側管状片514の周方向に周回するストッパ518A,518Bを有する。本実施形態においてストッパ518A,518Bは、気体案内部側管状片514の周方向に気体案内部側管状片514の外周面を全周する環状の突出環として構成される。ストッパ518A,518Bは、これに限定されるものではなく、気体案内部側管状片514の周方向に全周ではなく、気体案内部側管状片514の外周面の一部(以下、適宜、部分周と呼ぶ。)を周回する突出環として構成されてもよい。
【0090】
図9(A),(B)に示すように、一対の連絡管状部510(気体案内部側管状片514)のそれぞれを第一連絡管状部510A、第二連絡管状部510B(第一気体案内部側管状片514A、第二気体案内部側管状片514B)と定義した場合、第一管状部52と第二連絡管状部510B(第一気体案内部側管状片514A、第二気体案内部側管状片514B)を接続する際、本実施形態では、第一管状部52(第一管状片522、第二管状片524)の両端の開口520を通じて第一気体案内部側管状片514A、第二気体案内部側管状片514Bを第一管状部52の内部に挿入する。そして、
図10(A)に示すように、外力が加えられていない初期状態における第一管状部52(縮径部526)の開口520の内径K1は、第一気体案内部側管状片514Aの中心軸を基準としたストッパ518Aの最大外径K2よりも小さい。このため、
図10(B)に示すように、開口520を一時的に広げるように第一管状部52に外力を加えて、第一管状部52を弾性変形させる必要がある。第一管状部52は、弾性変形が可能な弾性材料で構成されるので、開口520を一時的に広げることが可能である。
【0091】
第一管状部52の開口520を通じて第一気体案内部側管状片514Aを第一管状部52の内部に挿入して加えていた外力を解くと、
図10(C)に示すように、第一管状部52は、広がった開口520が初期状態の内径K1に復帰するように弾性変形する。結果、開口520に対応する縮径部526の最内面526Fが係合部517の頂部側から係合部517に接触する。
【0092】
また、
図10(A)に示すように、第一管状部52の開口520の内径K1は、気体案内部側管状片514の中心軸を基準とした係合部517の最大外径K3よりも小さい。このため、縮径部526の最内面526Fが係合部517の頂部側から係合部517に接触すると、縮径部526は、係合部517の頂部側から係合部517を押圧する。この際、
図10(C)に示すように、最内面526Fは、係合部517C,517Dの押圧により弾性変形して凹状に変形する。そして、係合部517C,517Dと縮径部526の間には、係合部517C,517Dに対する縮径部526の押圧に起因した摩擦力が生じる。結果、係合部517C,517Dと縮径部526は、その摩擦力により連絡側軸方向において係合し、連絡側軸方向における相対移動(以下、軸方向相対移動と呼ぶ。)が制限される。なお、以下において、適宜、連絡側軸方向における係合を軸方向係合と呼ぶことがあり、軸方向係合に起因して係合相手の双方に作用する係合力を軸方向係合力と呼ぶことがある。
【0093】
また、
図10(C)に示すように、縮径部526の最内面526F(開口520)の近傍の縮径部526の内部側近傍領域526Dは、係合部517Aの周面側から係合部517Aに当接する。結果、内部側近傍領域526Dと係合部517Aは、連絡側軸方向において係合(軸方向係合:以下同様)し、連絡側軸方向のストッパ518Aに接近する側への軸方向相対移動が制限される。本実施形態において縮径部526の内部側近傍領域526Dは、縮径部526の最内面526Fに連続する縮径部526の内部側面又は内部側角部に相当する。
【0094】
また、縮径部526の最内面526Fの近傍の縮径部526の外部側近傍領域526Cは、係合部517Aよりも供給管側管状片515側に位置する係合部517Bの周面側から係合部517Bに当接する。結果、外部側近傍領域526Cと係合部517Bは、連絡側軸方向において係合し、連絡側軸方向のストッパ518Bに接近する側への軸方向相対移動が制限される。本実施形態において縮径部526の外部側近傍領域526Cは、縮径部526の最内面526Fに連続する縮径部526の外部側面又は外部側角部に相当する。以上のようにして、縮径部526と係合部517は、相互に係合し、結果、縮径部526と係合部517の軸方向相対移動が制限される。
【0095】
以上の説明は、第一管状部52と第二連絡管状部510B(第二気体案内部側管状片514B)の間でも同様に適用できる。このため、第一管状部52の縮径部526は、第一連絡管状部510A、第二連絡管状部510Bのそれぞれの係合部517A~517Dとの連絡側軸方向における係合により、第一連絡管状部510A、第二連絡管状部510B(第一気体案内部側管状片514A、第二気体案内部側管状片514B)に対する軸方向相対移動が制限される。結果、接続構造516における縮径部526の相対接続位置が確定される。なお、第一管状部52に第一連絡管状部510A、第二連絡管状部510B(第一気体案内部側管状片514A、第二気体案内部側管状片514B)が挿入された際、連絡側軸方向と第一管状側軸方向は略平行となる。
【0096】
図10(C)に示す接続構造516における縮径部526の相対接続位置を変更する場合、
図11(A),(B)に示すように、例えば、接続構造516(第一気体案内部側管状片514A)に対して縮径部526を軸方向相対移動させるために連絡側軸方向における外力(以下、軸方向外力と呼ぶ。)を第一管状部52又は連絡管状部510に対して付与する。この際、軸方向外力により縮径部526が弾性変形をして、縮径部526と係合部517の相互の係合が解かれ、第一連絡管状部510A(第一気体案内部側管状片514A)に対する縮径部526の軸方向相対移動が許容される。具体的には、例えば、縮径部526が第一連絡管状部510A(第一気体案内部側管状片514A)のストッパ518Aに接近する側、又はストッパ518Bに接近する側に軸方向相対移動するように軸方向外力を第一管状部52又は連絡管状部510に加えると、縮径部526の最内面526F(開口520)及びその近傍領域は、摩擦力に打ち勝ちつつ、係合部517からの押圧に起因する弾性変形をして、管本体部525と共に連絡側軸方向のストッパ518Aに接近する側、又はストッパ518Bに接近する側に第一連絡管状部510A(第一気体案内部側管状片514A)に対して軸方向相対移動する。そして、軸方向外力が解放されると、縮径部526と係合部517は、連絡側軸方向において相互に係合し、第一連絡管状部510Aに対する縮径部526の軸方向相対移動が制限される。これにより、接続構造516と縮径部526の相対接続位置が変更される。
【0097】
上記相対接続位置が変更された後は、縮径部526の内部側近傍領域526D、及び外部側近傍領域526Cは、別の係合部517の周面に接触する。この際、縮径部526の最内面526F(開口520)とその別の係合部517の間には上記説明したのと同様の摩擦力が生じ、縮径部526は、その摩擦力によりその別の係合部517に係合する。
【0098】
なお、本実施形態における縮径部526と係合部517の間に作用する軸方向係合は、主として、縮径部526の弾性力、縮径部526と係合部517の間の摩擦力、及び縮径部526と係合部517の連絡側軸方向における接触などに起因して生じるものである。このため、縮径部526と係合部517の軸方向係合を解くには、第一管状部52及び第一連絡管状部510Aの少なくとも一方に、縮径部526に十分な弾性変形をさせたり、縮径部526と係合部517の間の摩擦力に打ち勝ったりすることが可能な大きさの軸方向外力を加えることが必要である。軸方向外力が縮径部526と係合部517の間に作用する軸方向係合力の大きさ以下であると、縮径部526と係合部517の軸方向係合が解けず、縮径部526と係合部517の軸方向相対移動が制限される。このため、軸方向外力は軸方向係合力を超える大きさを有する必要がある。軸方向外力が軸方向係合力を超える大きさを有すれば、縮径部526と係合部517の軸方向係合が解かれ、縮径部526は係合部517に対して軸方向相対移動が許容される。相対接続位置の変更に関する以上の説明は、第一管状部52と第二連絡管状部510B(第二気体案内部側管状片514B)の間でも同様に適用できる。
【0099】
なお、上記において係合部517は、弾性変形をせず、気体案内部50よりも剛性の高い硬質な材料で構成されることが前提として説明しているが、係合部517が弾性材料で構成されてもよい。この場合、係合部517も縮径部526から受ける押圧力に起因した弾性変形をすることになる。また、係合部517が弾性材料で構成され、縮径部526が係合部517よりも剛性の高い硬質な材料で構成されてもよい。この場合、係合部517が縮径部526から受ける押圧力に起因した弾性変形をすることになる。
【0100】
なお、
図10及び
図11に示すように、本実施形態では、縮径部526は、間に2つの係合部517が介在する係合部517に係合(接触)して位置決めされているが、これに限定されるものではない。縮径部526は、例えば、間に1つ(
図12(A)参照)、又は3つ以上の係合部517を置く位置に位置する係合部517に係合(接触)するような厚みを有するものであってもよい。
【0101】
また、
図12(B)に示すように、縮径部526は、縮径部526の内部側近傍領域526D、及び外部側近傍領域526Cのいずれか一方が対応する係合部517(前者は係合部517C、後者は係合部517Cよりも供給管側管状片515側に位置する係合部517D)に係合(接触)するような厚みを有するものであってもよい。この場合、縮径部526は、内部側近傍領域526D、及び外部側近傍領域526Cの双方が係合部517に係合(接触)しない位置に配置されてもよい。
【0102】
また、
図12(C)に示すように、縮径部526は、隣接する係合部517の間の谷領域170に挿入可能な厚みを有するものであってもよい。この場合、第一管状部52と接続部16の接続可能位置の数を上記他の形態よりも増やすことができる。
【0103】
縮径部526を弾性材料で構成した場合、縮径部526の厚みを薄くすると、縮径部526は弾性変形し易いが、縮径部526の厚みを厚くすると、縮径部526は弾性変形し難い。縮径部526の弾性変形の度合いを考慮して、縮径部526の厚みや隣接する係合部517の間隔などは決定される。
【0104】
以上のように、縮径部526は、係合部517に対する押圧力に起因して係合部517との間に生じる摩擦力、及び/又は、縮径部526と係合部517の連絡側軸方向における接触による係合部517との係合により、接続構造516における縮径部526の相対接続位置が確定される。
【0105】
以上のようにして、気体案内部側管状片514に対する縮径部526の連絡側軸方向における相対接続位置(相対位置)を変更することにより、第一管状部52の伸縮構造片523を追従して伸縮させ、第二管状部53A,53B間の軸方向間隔を変化させることができる。結果、利用者900の鼻穴910A,910Bに対する第二管状部53A,53Bの連絡側軸方向における相対位置を細かに調整することができる。このため、利用者900の鼻腔に第二管状部53A,53Bが接触しないように調整することができるので、利用者900に不快な思いをさせずに済む。
【0106】
なお、縮径部526と係合部517とで、第一管状部52と一対の連絡管状部510の間に構成され、加えられた外力に応じて連絡側軸方向における第一管状部52と連絡管状部510の相対接続位置の変更を許容又は制限する接続位置変更機構が構成されると見做すことができる。接続位置変更機構は、所定の外力(接続位置変更側外力)が加えられると、第一管状部52と連絡管状部510の相対移動を許容して第一管状部52と連絡管状部510の接続位置を変更可能にし、所定の外力が解放されると一管状部52と連絡管状部510の相対移動を制限する。また、第一管状部52の伸縮構造片523と、接続位置変更機構とにより、上記間隔変更機構、又は利用者900の鼻穴910A,910Bに対する第二管状部53A,53Bの相対位置を変更可能な第二管状部相対位置変更機構が構成されると見做すことができる。
【0107】
また、第一管状部52には、第一管状側軸方向の両端のそれぞれに縮径部526が設けられている。ここで
図9(B)に示すように、第一管状側軸方向の一端側の縮径部526を第一縮径部526A、第一管状側軸方向の他端側の縮径部526を第二縮径部526B、第一縮径部526Aに対応する接続構造516を第一接続構造516A、第二縮径部526Bに対応する接続構造516を第二接続構造516B、第一接続構造516Aが設けられる気体案内部側管状片514を第一気体案内部側管状片514A、第二接続構造516Bが設けられる気体案内部側管状片514を第二気体案内部側管状片514Bと定義する。第一接続構造516Aに対する第一縮径部526Aの相対接続位置と、第二接続構造516Bに対する第二縮径部526Bの相対接続位置は、相互に依存せず、それぞれ自由に設定可能である。
【0108】
図9(B)では、第一気体案内部側管状片514A及び第二気体案内部側管状片514Bのそれぞれは、同じ軸方向長さを有する。そして、第一接続構造516Aは、第一気体案内部側管状片514Aに等間隔に並んだ係合部517を6つ有する。第二接続構造516Bは、第一接続構造516Aと同様の構造であり、第二気体案内部側管状片514Bに等間隔に並んだ係合部517を6つ有する。
図9(B)では、第一縮径部526Aと係合するのは、内側から数えて3番目と4番目の係合部517であり、第二縮径部526Bと係合するのは、内側から数えて4番目と5番目の係合部517である。つまり、第一縮径部526Aと第一接続構造516Aの相対接続位置と、第二縮径部526Bと第二接続構造516Bの相対接続位置は、左右対称であっても左右非対称であってもよく、それぞれが独立して自由な位置に設定可能である。このため、一対の連絡管状部510が利用者900の顔940の幅方向Hの中心を通る顔940の長さ方向に延びる中心線を基準として利用者900の鼻穴910A,910Bの位置が左右非対称である場合でも、第一縮径部526Aと第一接続構造516Aの相対接続位置と、第二縮径部526Bと第二接続構造516Bの相対接続位置をその利用者900の合わせた位置に調整することにより第二管状部53A,53Bの位置を鼻穴910A,910Bの位置に調整可能である。
【0109】
第一縮径部526Aと、第一気体案内部側管状片514Aの複数の係合部517とで、第一管状部52と一対の連絡管状部510の間に構成され、加えられた外力に応じて連絡側軸方向における第一管状部52と一方の連絡管状部510(第一連絡管状部510A)の相対接続位置の変更を許容又は制限する第一接続位置変更機構が構成されると見做すことができる。また、第二縮径部526Bと、第二気体案内部側管状片514Bの係合部517とで、第一管状部52と一対の連絡管状部510の間に構成され、加えられた外力に応じて連絡側軸方向における第一管状部52と他方の連絡管状部510(第二連絡管状部510B)の相対接続位置の変更を許容又は制限する第二接続位置変更機構が構成されると見做すことができる。そして、第一接続位置変更機構、第二接続位置変更機構は、第一管状部52及び連絡管状部510の少なくとも一方に軸方向外力が加えられると、縮径部526と係合部517の軸方向係合を解いて両者の軸方向相対移動を許容して両者の相対接続位置の変更を許容し、軸方向外力が解かれると、縮径部526と係合部517の軸方向係合により両者の軸方向相対移動を制限して両者の相対接続位置の変更を制限(拒絶)する。
【0110】
なお、軸方向外力は、縮径部526と係合部517の間に作用する軸方向係合力の大きさを超えるものである。軸方向外力が軸方向係合力の大きさを超えるものであれば、軸方向外力が加えられると、両者の軸方向係合が解かれ、対応する縮径部526と係合部517の軸方向相対移動が許容されて、両者の相対接続位置の変更が許容される。その反面、軸方向外力が軸方向係合力の大きさ以下であれば、対応する縮径部526と対応する係合部517の係合が維持され又は解かれず、軸方向相対移動が制限されて両者の相対接続位置の変更が拒絶される。ここで、第一接続位置変更機構、第二接続位置変更機構のそれぞれに生じる上記軸方向係合力をそれぞれ第一軸方向係合力、第二軸方向係合力と定義し、第一接続位置変更機構、第二接続位置変更機構のそれぞれにおいて相対接続位置の変更に必要な軸方向外力をそれぞれ第一軸方向外力、第二軸方向外力と定義する。第一軸方向係合力と第二軸方向係合力の大きさは、第一接続位置変更機構、第二接続位置変更機構の構成に応じて、それぞれ独立して自由に設定可能である。この設定に応じて、第一軸方向外力、第二軸方向外力の大きさも変化する。
【0111】
なお、両者の相対接続位置が変更されると、第一管状側軸方向における第一管状部52の端部等の特定位置(以下、単に、第一管状部の特定位置と呼ぶ。)の連絡管状部510を基準とした連絡側軸方向における相対位置(以下、単に、連絡側軸方向相対位置と呼ぶ。)も変更される。このため、両者の相対接続位置は、第一管状部の特定位置の連絡側軸方向相対位置と読み替えられてもよい。この場合、接続位置変更機構、第一接続位置変更機構、第二接続位置変更機構のそれぞれは、加えられる外力に応じて、第一管状部の特定位置の連絡側軸方向相対位置の変更を許容又は制限する相対位置変更機構、第一相対位置変更機構、第二相対位置変更機構と読み替えられてもよい。結果、第一接続位置変更機構(第一相対位置変更機構)、第二接続位置変更機構(第二相対位置変更機構)は、第二管状部53A,53Bの位置を自由に変更することができる。なお、第一管状部の特定位置とは、第一管状部52の伸縮に伴って、連絡側軸方向における連絡管状部510を基準とした相対位置が変わり得る第一管状部52の位置を指す。第一管状部の特定位置として、例えば、第一管状部52の端部又は端部近傍が挙げられるが、これに限定されるものではなく、その他の位置であってもよい。
【0112】
また、本実施形態では、
図9(B)に示すように、第一管状部52の内部通路521に連絡管状部510が挿入され、連絡管状部510が内部通路521に配置された態様になるが、これに限定されるものではなく、逆に、連絡管状部510の内部通路510Cに第一管状部52が挿入され、第一管状部52が内部通路510Cに配置された態様であってもよい。つまり、挿入する側の管状部を挿入部と定義し、挿入部を受け入れる側の管状部を受入部と定義すると、第一管状部52及び連絡管状部510のいずれか一方が挿入部となり、残りが受入部となる。第一管状部52と連絡管状部510が以上のように接続されると、第一管状部52と連絡管状部510の間には、
図11(A),(B)に示すように、第一管状部52又は連絡管状部510の径方向から視た場合に第一管状部52と第一連絡管状部510Aが重なり合う領域(以下、重畳領域と呼ぶ。)200が形成される。なお、第一管状部52又は連絡管状部510の径方向とは、第一管状側軸方向、又は、連絡側軸方向に直交する方向に相当する。
【0113】
上記説明したように、第一接続位置変更機構(第一相対位置変更機構)、第二接続位置変更機構(第二相対位置変更機構)等で相対接続位置(第一管状部52の特定位置の連絡側軸方向相対位置)を変更すると、第一管状部52がそれに追従して伸縮し、結果として、重畳領域200の連絡側軸方向における長さ(以下、軸長と呼ぶ。)も変更される。例えば、
図11(A)に示す状態から
図11(B)に示す状態に両者の相対接続位置が変更されたと仮定すると、重畳領域200の軸長が長くなるように変更がされたことになる。重畳領域200の軸長を基準とした場合、縮径部526と、気体案内部側管状片514の係合部517とで、付与された軸方向外力に応じて重畳領域200の軸長の変更を許容又は制限する重畳領域軸長変更機構が構成されると見做せる。
【0114】
なお、
図10(A)に示すように、本発明では、縮径部526を含む領域を、第一管状部52の内周側又は外周側の領域に設けられた第一係合領域KR1に拡張し、複数の係合部517を含む領域を連絡管状部510の外周側又は内周側の領域に設けられた第二係合領域KR2に拡張可能である。第一係合領域KR1は、第一管状側軸方向における第一管状部52の中央を基準として両側に少なくとも一つずつ設けられる。また、第二係合領域KR2は、第一管状部52と連絡管状部510を接続した際、連絡管状部510の径方向において第一係合領域KR1に重なり合いつつ、連絡側軸方向において係合するように構成される。なお、第一係合領域KR1は、第一軸方向係合領域KR1と呼んでもよい。また、第二係合領域KR2は、第二軸方向係合領域KR2と呼んでもよい。なお、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の連絡側軸方向における係合は、主として第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の間の摩擦力、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の連絡側軸方向における接触の少なくとも1つに起因して生じるものである。
【0115】
そして、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2は、加えられる軸方向外力に応じて、相互の軸方向係合により第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の軸方向相対移動を制限して、第一管状部52と連絡管状部510の現在の状態の変更を制限するか、又は、相互の係合を解いて両者の上記軸方向相対移動を許容し、第一管状部52と連絡管状部510の現在の状態の変更を許容することが可能な構造を有する。具体的には、第一管状部52及び連絡管状部510の少なくとも一方に、軸方向外力を加えると、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の係合が解かれ、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の軸方向相対移動が許容され、上記第一管状部52と連絡管状部510の現在の状態の変更が許容される。なお、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の係合に連絡側軸方向における相互の摩擦力に起因する要素が含まれる場合、その相互の係合は、軸方向外力が摩擦力よりも大きくなることにより解かれる。また、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の係合に連絡側軸方向における相互の接触に起因する要素が含まれる場合、その相互の係合は、例えば、軸方向外力が加えられた際、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の少なくとも一方が弾性変形をして連絡側軸方向における相互の接触を解くことにより解かれる。ただし、これに限定されるものではなく、軸方向外力の大きさに応じて相互の接触が解かれるその他の全ての構成が本発明の範囲に含まれる。そして、上記軸方向外力が解放されると、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2が係合して、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の軸方向相対移動が制限される状態となる。結果、上記第一管状部52と連絡管状部510の現在の状態の変更が確定する。なお、第一管状部52と連絡管状部510の現在の状態には、現在の両者の相対接続位置(係合位置)、現在の重畳領域200の軸長、現在の第一管状部52の特定位置の連絡側軸方向相対位置などが含まれる。
【0116】
上記軸方向外力が第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の間に作用する軸方向係合力の大きさ以下であると、縮径部526と係合部517の軸方向係合が解けず、上記第一管状部52と連絡管状部510の現在の状態の変更が制限(拒絶)されるので、軸方向外力は軸方向係合力を超える大きさを有する必要がある。軸方向外力が軸方向係合力を超える大きさを有すれば、縮径部526と係合部517の係合が解かれ、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2は軸方向相対移動が許容され、上記第一管状部52と連絡管状部510の現在の状態の変更が許容される。そして、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の軸方向相対移動が許容されると、重畳領域軸長変更機構により重畳領域200の軸長が変更される。これに伴い、第一接続位置変更機構(第一相対位置変更機構)、第二接続位置変更機構(第二相対位置変更機構)、重畳領域軸長変更機構は、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2を含むものに拡張される。その後、上記軸方向外力が解放されるか、加えられる軸方向外力の大きさが軸方向係合力以下になると、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の軸方向相対移動が制限され、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2は、軸方向相対移動前とは別の係合位置(相対接続位置)で係合する。
【0117】
なお、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の間に作用する軸方向係合が、弾性力や摩擦力など複数の力に起因する場合、その複数の力の相互作用により、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の間の軸方向係合力の大きさは、特定範囲内で変わり得る。このため、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の間に作用する軸方向係合を解くために必要な軸方向外力の大きさは、一定であってもよいし、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の各係合状態毎の係合力に応じて特定範囲内で変わり得るものであってもよい。この点は、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の係合態様により変わり得る。
【0118】
更に、
図14を参照して、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の変形例について以下説明する。
図14(A)に示すように、本変形例の第二係合領域KR2は、連絡側軸方向に沿って間隔を空けて複数設けられ、気体案内部側管状片514の外周面から気体案内部側管状片514の径方向外側に突出する突出部590を有する。突出部590は、上記係合部517と同様の構成を有するように構成されてもよい。複数の突出部590のそれぞれは、例えば、気体案内部側管状片514の周方向に気体案内部側管状片514の外周面を全周又は部分周する環状又は螺旋状の突出環として構成される。一方、本変形例の第一係合領域KR1は、
図14(A)に示すように、第一管状側軸方向に沿って間隔を空けて複数設けられ、複数の突出部590のそれぞれに嵌合可能な複数の溝部530を有するように構成される。複数の溝部530は、複数の突出部590の間のそれぞれの間隔と同様の間隔で設けられる。複数の突出部590のそれぞれが突出環として構成される場合、複数の溝部530のそれぞれは、第一管状部52の内周側の周方向に第一管状部52の内周面を全周又は部分周しつつ、第一管状部52の径方向に凹む環状又は螺旋状の環状溝として構成される。
【0119】
第一管状部52が弾性変形可能な材料で構成されれば、
図14(B)に示すように、第一管状部52の開口520を一時的に広げるように外力を加えて、第一管状部52の内部通路521に連絡管状部510を挿入して、第一管状部52の内部通路521に連絡管状部510が配置されるようにする。外力を解いて、第一管状部52の開口520が初期状態の内径K1に復帰するように弾性変形させると、
図14(C)に示すように、複数の突出部590のそれぞれに複数の溝部530のそれぞれが嵌合することにより、連絡側軸方向において第一係合領域KR1と第二係合領域KR2は係合する。
【0120】
第一管状部52及び連絡管状部510の少なくとも一方に、軸方向外力を加えると、複数の溝部530(第一係合領域KR1)と複数の突出部590(第二係合領域KR2)の嵌合による係合が解かれ、複数の溝部530(第一係合領域KR1)と複数の突出部590(第二係合領域KR2)の軸方向相対移動が許容されて上記第一管状部52と連絡管状部510の現在の状態の変更が許容される。そして、上記軸方向外力が解放されると、複数の溝部530(第一係合領域KR1)と複数の突出部590(第二係合領域KR2)の嵌合による軸方向係合により、溝部530(第一係合領域KR1)と突出部590(第二係合領域KR2)の軸方向相対移動が制限された状態になる。結果、上記第一管状部52と連絡管状部510の現在の状態の変更が確定する。
【0121】
本変形例において第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の間に作用する軸方向係合力の大きさは、嵌合する溝部530と突出部590の数により異なる。つまり、嵌合する溝部530と突出部590の数が多いと、軸方向係合力は大きくなるし、嵌合する溝部530と突出部590の数が少ないと、軸方向係合力は小さくなる。また、軸方向係合力は弾性力や摩擦力等の複数の力に起因する。このため、本変形例では、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の係合を解くのに必要な上記軸方向外力も、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の各係合状態毎の係合力に応じて特定範囲内で変わり得る。いずれにしても、上記軸方向外力が軸方向係合力の大きさ以下であれば、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の軸方向係合により第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の軸方向相対移動は制限される。一方で、上記軸方向外力が軸方向係合力の大きさを超えるものであれば、
図15(A)に示すように、第一係合領域KR1又は第二係合領域KR2は十分な弾性変形をして、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の軸方向係合が解かれ、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の軸方向相対移動が許容される。その後、上記軸方向外力が解放されるか、加えられる軸方向外力の大きさが係合力以下になると、
図15(B)に示すように、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の軸方向相対移動が制限され、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2は、軸方向相対移動前とは別の係合位置(相対接続位置)で係合(嵌合)する。
【0122】
ここで、第一管状部52又は連絡管状部510の径方向から視た際、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2が重なり合う領域(以下、係合重畳領域と呼ぶ。)210を定義する。
図15(A),(B)に示すように、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の軸方向相対移動の前後で、係合重畳領域210の軸長が変わる。なお、例えば、
図11(A),(B)に示す実施形態では、
図11(A)の係合重畳領域210の軸長と
図11(B)の係合重畳領域210の軸長は同一であり、係合重畳領域210の軸長は一定であるが、係合重畳領域210の連絡側軸方向における位置が変わる。いずれにしても、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2は、重畳領域200の軸長及び相対接続位置の変更に伴い、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の軸方向相対移動の前後で、係合重畳領域210が連絡側軸方向における所定の範囲で変化するよう構成される。
【0123】
なお、上記とは逆に、
図15(A)に示す本変形例における複数の突出部590が第一係合領域KR1に設けられ、複数の溝部530が第二係合領域KR2に設けられる態様であってもよい。同様に、
図11(A)~(C)に示す本実施形態における係合部517が第一係合領域KR1に設けられ、縮径部526が第二係合領域KR2に設けられる態様であってもよい。
【0124】
以上をまとめると、第一係合領域KR1及び第二係合領域KR2のいずれか一方は、相互に係合した状態において、第一係合領域KR1及び第二係合領域KR2の残りの他方に向かって突出する少なくとも1つの突出部を有する。この突出部は、本実施形態における縮径部526や、本変形例の突出部590に相当する。第一係合領域KR1及び第二係合領域KR2の残りの他方は、第一管状側軸方向又は連絡側軸方向に間隔を空けて複数設けられ、相互に係合した状態において、各々が突出部の方を向きつつ、突出部に係合可能に構成される複数の係合部を有する。この係合部は、本実施形態における係合部517や、本変形例の溝部530に相当する。そして、この突出部とこの係合部が連絡側軸方向において係合して、連絡管状部510に対する連絡側軸方向への第一管状部52の特定位置の相対移動を制限するように構成される。
【0125】
また、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2は、以上のような構成に限定されるものではなく、加えられる軸方向外力に応じて相互の係合の維持又は解除が可能で、且つ、軸方向係合が解除された際は、重畳領域200の軸長及び上記相対接続位置が変化しつつ、係合重畳領域210が連絡側軸方向における所定の範囲で変化する全ての構成が含まれる。そして、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2のいずれか一方が弾性変形可能な弾性変形材料により構成されれば、加えられる軸方向外力の大きさが第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の軸方向係合力を超える場合、弾性変形材料により構成された方が弾性変形をして第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の軸方向係合が解かれる。一方、加えられる軸方向外力の大きさが同係合力以下の場合、弾性変形材料により構成された方が十分な弾性変形をせず、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2の軸方向係合が維持される。
【0126】
<供給管側管状片>
図13を参照して供給管側管状片515について説明する。
図13(A),(B)に示すように、供給管側管状片515は、分岐管片3A,3Bを接続する接続口515Aを有する。分岐管片3A,3Bに供給管側管状片515を挿入することにより、供給管側管状片515は、分岐管片3A,3Bに接続される。接続口515Aを通じて分岐管片3A,3Bから供給される気体は、供給管側管状片515に受け入れられる。
【0127】
供給管側管状片515は、
図13(A)に示すように、供給管側管状片515の外周面において供給管側管状片515の径方向外側に突出しつつ、供給管側管状片515の周方向に周回する凸部519を複数有する。本実施形態において凸部519は、供給管側管状片515の周方向に供給管側管状片515の外周面の一部を周回し形成される。凸部519は、これに限定されるものではなく、供給管側管状片515の外周面を周方向に全周して、環状に形成されてもよい。
【0128】
一方、分岐管片3A,3B(供給管3)の端部近傍領域の内周部には、凸部519に嵌合可能な凹部(図示省略)が設けられる。凹部は、凸部519に嵌合可能に構成される。分岐管片3A,3B(供給管3)に供給管側管状片515を挿入すると、凸部519が凹部に嵌合して、両者は接続される。凸部519と凹部は、供給管側管状片515と分岐管片3A,3B(供給管3)の接続機構を成す。
【0129】
なお、供給管側管状片515と分岐管片3A,3B(供給管3)の接続機構は、上記に限定されるものではなく、その他の構成であってもよく、その全てが本発明に含まれる。
【0130】
なお、以上において連絡管状部510と供給管3は分離可能な別個の部材として構成されるが、これに限定されるものではない。例えば、供給管3が自身の終端区間に気体案内部側管状片514に相当する構造を有するように構成されてもよい。この場合、本実施形態の第一管状部52が供給管3に直接接続される。いずれにしても、気体を供給可能に本実施形態の第一管状部52の端部に接続される部材が、気体案内部側管状片514が有する構造を備えていればよく、そのようなものも本発明の範囲に含まれる。
【0131】
<揺動機構>
図10、
図16~
図18を参照して、本実施形態における揺動機構10について説明する。本実施形態において呼吸補助具5は、揺動機構10を有する。揺動機構10は、加えられる外力の大きさに応じて第一管状部52の中心軸520Cの周りの第二管状部53A,53Bの揺動を許容又は制限するものである。揺動機構10は、所定の外力(揺動側外力)が加えられると、第一管状部52の中心軸520Cの周りの第二管状部53A,53Bの揺動を許容し、所定の外力が解放されると、第二管状部53A,53Bの上記揺動を制限する。本実施形態において揺動機構10は、
図16及び
図17に示すように、連絡管状部510(気体案内部側管状片514)を軸とする連絡管状部510(気体案内部側管状片514)に対する第一管状部52の相対回転と共に連絡管状部510(気体案内部側管状片514)の周方向への第二管状部53(53A,53B)の相対揺動を許容又は制限するよう構成される。なお、連絡管状部510(気体案内部側管状片514)に第一管状部52を接続すると、双方の中心軸はほぼ同軸となる。このため、本実施形態における揺動機構10では、連絡管状部510(気体案内部側管状片514)の中心軸を軸として、第二管状部53(53A,53B)を相対揺動させている。これにより、利用者900の顔940の奥行き方向を基準とした第二管状部53(53A,53B)の相対角が変更可能となる。
図14では、相対角として、θ1、θ2、θ3が描かれている。
【0132】
揺動機構10は、
図10(C)に示すように、重畳領域200における縮径部526(第一係合領域KR1)と、係合部517(第二係合領域KR2)、を有する。この点は、第一接続位置変更機構(第一相対位置変更機構)、第二接続位置変更機構(第二相対位置変更機構)、及び重畳領域軸長変更機構も同様である。結果として、本実施形態では、第一接続位置変更機構(第一相対位置変更機構)、第二接続位置変更機構(第二相対位置変更機構)、及び重畳領域軸長変更機構の構成は、揺動機構10の構成を兼ねて、揺動機構10の構成と共通するように構成される。ただし、本発明は上記構成に限定されるものではなく、第一接続位置変更機構(第一相対位置変更機構)、第二接続位置変更機構(第二相対位置変更機構)、及び重畳領域軸長変更機構と、揺動機構10は、一部が兼ねられて、一部が共通するように構成されてもよいし、相互に兼ねておらず、相互に独立して動作可能な別々の機構として構成されてもよい(後述の第二実施形態参照)。
【0133】
図10(A)に示すように、第一管状部52(縮径部526)の開口520の内径K1は、気体案内部側管状片514の中心軸を基準とした係合部517の最大外径K3よりも小さい。また、縮径部526は、弾性変形可能な材料で構成される。このため、
図10(C)に示すように、縮径部526の開口520を通じて連絡管状部510(
図10(C)では第一連絡管状部510A:以下同様)を第一管状部52の内部に挿入した際、縮径部526の開口520は、弾性変形の復元力によって、係合部517の頂部側から連絡管状部510の係合部517に係合し、連絡管状部510を押圧する。そして、縮径部526の開口520と、連絡管状部510における係合部517の間には、両者の接触面において上記押圧力に起因する摩擦力が生じる。これにより、縮径部526と係合部517の間には、摩擦力による連絡管状部510(気体案内部側管状片514)の周方向における係合が生じる。結果、縮径部526と係合部517は、上記摩擦力により連絡管状部510(気体案内部側管状片514)の周方向において係合する。なお、以下において、適宜、連絡管状部510(気体案内部側管状片514)の周方向における係合を、周方向係合と呼ぶことがあり、その周方向係合に起因して係合相手の双方に作用する係合力を周方向係合力と呼ぶことがある。
【0134】
本実施形態において気体案内部50(縮径部526)に対して気体案内部側管状片514の周方向に外力(以下、周方向外力と呼ぶ。)を加えると、縮径部526と係合部517の間に作用する周方向係合力に打ち勝って、気体案内部側管状片514に対する第一管状部52(縮径部526)の相対回転及び気体案内部側管状片514に対する第二管状部53の相対揺動は許容される。そして、上記周方向外力を解放すると、縮径部526と係合部517の周方向係合により第一管状部52(縮径部526)の上記相対回転及び第二管状部53の上記相対揺動は制限された状態になり、気体案内部50は、気体案内部側管状片514に対して相対的に静止した状態となる。結果、第二管状部53の上記相対角は変化する。上記周方向係合力に打ち勝つことが可能な上記周方向外力の大きさは人が加えることが可能な範囲の大きさが好ましい。
【0135】
本実施形態における縮径部526と係合部517の間に作用する周方向係合は、主として、縮径部526と係合部517の間の摩擦力に起因して生じるものである。このため、縮径部526と係合部517の周方向係合を解くには、第一管状部52及び第一連絡管状部510Aの少なくとも一方に、縮径部526と係合部517の間の周方向係合力に打ち勝つことが可能な大きさの周方向外力を加えることが必要である。周方向外力が縮径部526と係合部517の間に作用する周方向係合力の大きさ以下であると、縮径部526と係合部517の係合が解けず、第一管状部52(縮径部526)の上記相対回転及び第二管状部53の上記相対揺動が制限されるので、周方向外力は、周方向係合力を超える大きさを有する必要がある。周方向外力が周方向係合力を超える大きさを有すれば、縮径部526と係合部517の周方向係合が解かれ、第一管状部52(縮径部526)の上記相対回転及び第二管状部53の上記相対揺動が許容される。
【0136】
また、係合部517(第二係合領域KR2)が弾性変形可能な材料により構成されてもよい。弾性材料として、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等を含むエラストマー(例えば、熱硬化性エラストマー)が挙げられる。この場合、縮径部526(第一係合領域KR1)は、係合部517(第二係合領域KR2)よりも剛性の高い硬質な材料により構成されてもよい。また、摩擦力を強くするために、縮径部526(第一係合領域KR1)と係合部517(第二係合領域KR2)は、摩擦係数の高い材料で構成してもよいし、互いの接触面に凹凸部を有する粗面領域が含まれていてもよい。
【0137】
なお、揺動機構10の構成は、上記縮径部526と係合部517の組み合わせに限定されるものではなく、以下のような変形例であってもよい。その変形例では、縮径部526は、
図18(A),(C)に示すように、第一管状部52の周方向に間隔を空けて複数設けられ、各々が径方向の内側に縮径する凸部526E(第一係合領域KR1)を有するように構成されてもよい。また、係合部517は、
図18(B),(D)に示すように、連絡管状部510(気体案内部側管状片514)の周方向に間隔を空けて複数設けられ、各々が連絡管状部510(気体案内部側管状片514)の径方向の内側に凹む凹部510F(第二係合領域KR2)を有するように構成されてもよい。そして、縮径部526及び係合部517の少なくとも一方は、弾性変形可能な材料により構成されることが好ましい。第一管状部52に連絡管状部510を接続した際、
図18(E)に示すように、凸部526Eは、第一管状部52の径方向において凹部510Fと相互に向き合い、凹部510Fに嵌合するように構成される。凸部526Eと凹部510Fの嵌合による周方向係合により、第二管状部53の相対角θが確定する。
【0138】
そして、第一管状部52及び連絡管状部510の少なくとも一方に周方向外力を加えると、凸部526Eは、十分な弾性変形をして、凹部510Fから離脱して嵌合による係合を解かれる。結果、連絡管状部510を基準とした第一管状部52の上記相対回転及び第二管状部53の上記相対揺動は許容され、第二管状部53の相対角が変更される。その後、上記周方向外力が解放されるか、又は周方向外力が周方向係合力以下の大きさになると、凸部526Eと凹部510Fの嵌合による周方向係合により、凸部526Eと凹部510Fの周方向係合により、連絡管状部510を基準とした第一管状部52の上記相対回転及び第二管状部53の上記相対揺動は制限される。結果、第二管状部53の相対角が確定する。
【0139】
揺動機構10において、以上の説明した縮径部526、凸部526Eのそれぞれを第一揺動係合領域YK1に拡張し、係合部517、凹部510Fのそれぞれを第二揺動係合領域YK2に拡張してもよい。この場合、揺動機構10における第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2が連絡管状部510の径方向において重なり合いつつ、周方向係合して第二管状部53の相対角は維持される。そして、第一管状部52及び連絡管状部510の少なくとも一方に周方向外力が加えられると、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の係合が解かれ、連絡管状部510を基準とした第一管状部52の上記相対回転及び第二管状部53の上記相対揺動が許容される。なお、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の係合に気体案内部側管状片514の周方向における相互の摩擦力に起因する要素が含まれる場合、その相互の係合は、周方向外力が摩擦力よりも大きくなることにより解かれる。また、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の係合に気体案内部側管状片514の周方向における相互の接触に起因する要素が含まれる場合、その相互の係合は、例えば、周方向外力が加えられた際、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の少なくとも一方が弾性変形をして気体案内部側管状片514の周方向における相互の接触を解くことにより解かれる。ただし、これに限定されるものではなく、周方向外力の大きさに応じて相互の接触が解かれるその他の全ての構成が本発明の範囲に含まれる。そして、上記周方向外力が解放されると、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の周方向係合により、連絡管状部510を基準とした第一管状部52の上記相対回転及び第二管状部53の上記相対揺動が制限される。結果、第二管状部53の相対角は確定する。第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2は、以上のような周方向係合ができれば、どのような構成であっても、本発明の範囲に含まれる。なお、第一揺動係合領域YK1と第一係合領域KR1は、少なくとも一部が共通するよう構成されてもよいが、これに限定されるものではなく、それぞれが共通しない非共通領域として構成されてもよい。同様に、第二揺動係合領域YK2と第二係合領域KR2は、少なくとも一部が共通するよう構成されてもよいが、これに限定されるものではなく、それぞれが共通しない非共通領域として構成されてもよい。また、第一揺動係合領域YK1及び第二揺動係合領域YK2の少なくとも一方は、弾性変形可能な材料により構成されてもよい。
【0140】
上記周方向外力が第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の間に作用する周方向係合力の大きさ以下であると、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の周方向係合が解けず、連絡管状部510を基準とした第一管状部52の上記相対回転及び第二管状部53の上記相対揺動が制限され、第二管状部53の相対角が維持されるので、周方向外力は周方向係合力を超える大きさを有する必要がある。周方向外力が周方向係合力を超える大きさを有すれば、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の周方向係合が解かれ、連絡管状部510を基準とした第一管状部52の上記相対回転及び第二管状部53の上記相対揺動が許容される。結果、第二管状部53の相対角が変更可能となる。
【0141】
なお、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の間に作用する周方向係合が、弾性力や摩擦力など複数の力に起因する場合、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の間の周方向係合力の大きさは、特定範囲内で変わり得る。このため、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の間に作用する周方向係合を解くために必要な周方向外力の大きさは、一定であってもよいし、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の各係合状態毎の周方向係合力に応じて特定範囲内で変わり得るものであってもよい。この点は、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の周方向係合態様により変わり得る。
【0142】
ここで、
図17(A),(B)に示すように、第一管状部52を第一管状側軸方向の中央を基準として2つの領域に分けた際、一方側の第一連絡管状部510Aに接続される第一管状部52の一方側の領域を第一領域SAと定義し、他方側の第二連絡管状部510Bに接続される第一管状部52の他方側の領域を第二領域SBと定義する。そして、本実施形態では、揺動機構10は2つに分けられ、その一方を第一揺動機構片10A、他方を第二揺動機構片10Bと定義する。
【0143】
第一揺動機構片10Aは、加えられる周方向外力に応じて、第一連絡管状部510Aに対する第一連絡管状部510Aの周方向への第一領域SAの相対回転及び第二管状部53Aの相対揺動を許容又は制限する。第一揺動機構片10Aは、所定の外力(第一揺動側外力)が加えられると、第一連絡管状部510Aに対する第一連絡管状部510Aの周方向への第一領域SAの相対回転及び第二管状部53Aの相対揺動を許容し、所定の外力が解放されると、上記相対回転及び上記相対揺動を制限する。第一揺動機構片10Aは、第一揺動係合領域YK1(例えば、第一縮径部526A)と、第二揺動係合領域YK2(例えば、第一連絡管状部510Aの係合部517)と、を有する。第一連絡管状部510A(第一気体案内部側管状片514A)が第一領域SAの揺動軸として機能する。言い換えると、第一領域SAは、連絡側軸方向における第一連絡管状部510Aの中心軸(第一管状部52の中心軸)を軸として第一連絡管状部510Aに対して相対回転する。第二管状部53Aは、上記中心軸を軸として第一連絡管状部510Aに対して相対揺動する。
【0144】
第二揺動機構片10Bは、加えられる周方向外力に応じて、第二連絡管状部510Bに対する第二連絡管状部510Bの周方向への第二領域SBの相対回転及び第二管状部53Bの相対揺動を許容又は制限する。第二揺動機構片10Bは、所定の外力(第二揺動側外力)が加えられると、第二連絡管状部510Bに対する第二連絡管状部510Bの周方向への第二領域SBの相対回転及び第二管状部53Bの相対揺動を許容し、所定の外力が解放されると、上記相対回転及び上記相対揺動を制限する。第二揺動機構片10Bは、第一揺動係合領域YK1(例えば、第二縮径部526B)と、第二揺動係合領域YK2(第二連絡管状部510Bの係合部517)と、を有する。第二連絡管状部510B(第二気体案内部側管状片514B)が第二領域SBの揺動軸として機能する。言い換えると、第二領域SBは、連絡側軸方向における第二連絡管状部510Bの中心軸(第一管状部52の中心軸)を軸として第二連絡管状部510Bに対して相対回転する。第二管状部53Bは、上記中心軸を軸として第二連絡管状部510Bに対して相対揺動する。
【0145】
第一揺動機構片10A及び第二揺動機構片10Bのそれぞれは、以上のように構成されるので、相互に独立して第二管状部52A、第二管状部53Bのそれぞれを相対揺動(動作)させることができる。このため、第一揺動機構片10A及び第二揺動機構片10Bにより第一領域SAと第二領域SBの揺動角を同じにすることもできるし、異ならせることもできる。第一領域SAと第二領域SBの揺動角を同一にすることもできるし、異ならせることもできる。なお、第一領域SAと第二領域SBの揺動角が同一の場合、第一管状部52は捻れた状態にならず(
図17(A)参照)、利用者900の顔940の奥行き方向を基準とした第二管状部53A,53Bの相対角は、同一となる。一方、第一領域SAと第二領域SBの揺動角が異なる場合、第一管状部52は捻れた状態になり(
図17(B)参照)、利用者900の顔940の奥行き方向を基準とした第二管状部53A,53Bの相対角は異なる。
【0146】
ここで、第一揺動機構片10A、第二揺動機構片10Bのそれぞれに生じる上記周方向係合力をそれぞれ第一周方向係合力、第二周方向係合力と定義し、第一揺動機構片10A、第二揺動機構片10Bのそれぞれにおいて第二管状部53の相対角の変更に必要な周方向外力をそれぞれ第一周方向外力、第二周方向外力と定義する。第一周方向係合力と第二周方向係合力の大きさは、第一揺動機構片10A、第二揺動機構片10Bの構成に応じて、それぞれ独立して自由に設定可能である。この設定に応じて、第一周方向外力、第二周方向外力の大きさも変化する。
【0147】
なお、第一管状部52の第一領域SAと第二領域SBが弾性変形可能な材料で一体形成される場合、第一管状部52の捻れに起因する弾性変形の復元力と、第一連絡管状部510A側の第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の係合による第一規制力と、第二連絡管状部510B側の第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の係合による第二規制力が相互に影響し合って、第一領域SAと第二領域SBの揺動角は制限される。例えば、一方の第二管状部53Aを基準とした他方の第二管状部53Bの相対角が閾値未満であると、第一規制力及び第二規制力が第一管状部52の捻れに起因する弾性変形の復元力以上の大きさを有するので、第一揺動機構片10Aと第二揺動機構片10Bは、相互に独立して動作させることが可能で、第一領域SAと第二領域SBの揺動角は自由に設定できる。一方の第二管状部53Aを基準とした他方の第二管状部53Bの相対角が閾値以上であると、第一規制力又は第二規制力が第一管状部52の捻れに起因する弾性変形の復元力未満の大きさを有するので、ねじれに起因する弾性変形の復元力により第一領域SA及び第二領域SBのいずれか一方の揺動角は制限される。なお、第一領域SAと第二領域SBがそれぞれの中心軸を中心に相互に相対回転可能に接続されて構成されていてもよい。この場合、第一管状部52の捻れに起因する弾性変形の復元力は生じないので、第一揺動機構片10Aと第二揺動機構片10Bは、全周に亘って相互に独立して動作させることが可能である。
【0148】
なお、揺動機構10、第一揺動機構片10A及び第二揺動機構片10Bは、伸縮構造が設けられていない第一管状部52又は間隔変更機構を備えていない呼吸補助具にも適用可能である。
【0149】
<連絡管状側保持部>
図6及び
図8を参照して、連絡管状側保持部511について説明する。連絡管状側保持部511は、一対の連絡管状部510を所定に姿勢で保持するものである。連絡管状側保持部511は、
図8(B)~(D)に示すように、保持本体部512と、接続部513と、を有する。
【0150】
保持本体部512は、概ね帯状に形成され、湾曲する。
図6(B)に示すように、湾曲度合いは、利用者900の鼻下領域930の皮膚表面の利用者900の顔940の幅方向における顔940の中央の湾曲度合いに近似する。
【0151】
接続部513は、保持本体部512に対して一対の連絡管状部510に所定の位置で所定の姿勢を取らせた状態で一対の連絡管状部510を保持本体部512に接続するものである。所定の位置とは、
図8(C)に示すように、保持本体部512の長さ方向の中央で保持本体部512を2分する中央線1000を基準として線対称となる位置である。所定の姿勢とは、一対の連絡管状部510の気体案内部側管状片514のそれぞれが保持本体部512の中央に近位な側に位置し、一対の連絡管状部510の供給管側管状片515のそれぞれが保持本体部512の両端に近位な側に位置しつつ、上記所定の位置で一対の連絡管状部510のそれぞれの軸方向(連絡側軸方向)が保持本体部512の延在方向に平行な姿勢を指す。なお、所定の姿勢は、一対の連絡管状部510の軸方向(連絡側軸方向)が保持本体部512の延在方向に対して傾斜するような姿勢であってもよい。
【0152】
そして、
図6(A),(B)に示すように、装着部6により連絡部51を利用者900に装着すると、保持本体部512は、鼻下領域930において利用者900の顔940の皮膚表面に沿って幅方向Hに延在し、顔940の幅方向Hの中央で湾曲する姿勢となる。また、一対の連絡管状部510は、利用者900の顔940の幅方向Hの中央(鼻910の中心線910C)を基準としてその幅方向の両脇に間隔を空けて配置される。つまり、一対の連絡管状部510は、間に利用者900の顔940の幅方向Hの中央(鼻910の中心線910C)を挟んで顔940の幅方向Hに並列に配置される。この際、
図6(B)に示すように、一対の連絡管状部510の気体案内部側管状片514のそれぞれが利用者900の顔940の幅方向Hの中央(鼻910の中心線910C)に近位な側に位置し、一対の連絡管状部510の供給管側管状片515のそれぞれが利用者900の顔940の幅方向Hの中央に遠位な側に位置し、且つ一対の連絡管状部510は、自身の軸方向(連絡側軸方向)が利用者900の顔940の幅方向Hの中央に向かうに従って利用者900の顔940の前方側に向かうような姿勢で顔940の皮膚表面の近傍の前方側領域に配置される。
【0153】
そして、
図6(A),(B)に示すように、一対の気体案内部側管状片514の開口510Dのそれぞれは、鼻下領域930又はその近傍領域において利用者900の顔940の前方側、且つ対となる他方の気体案内部側管状片514側を向く。つまり、一対の連絡管状部510の開口510Dのそれぞれは、利用者900の顔940の幅方向の中央に向かって利用者900の斜め前方側を向く。本実施形態において開口510Dは、利用者900の顔940の幅方向において対向するように配置される。
【0154】
図8(C)に示すように、本実施形態において接続部513は、保持本体部512の端部近傍とストッパ518Bとを繋ぐが、これに限定されるものではなく、保持本体部512のその他の位置と連絡管状部510のその他の位置を繋ぐものであってもよい。
【0155】
<装着部>
図1~
図8を参照して、装着部6について説明する。装着部6は、
図1に示すように、鼻下領域930において第一管状部52が利用者900の顔940の幅方向Hに延びる姿勢となるように連絡部51を利用者900の顔940に装着する。
図6(A),(B)に示すように、本実施形態において装着部6は、連絡管状部510から鼻下領域930に向かって延設され、鼻下領域930で利用者900の顔940に当接することで、第一管状部52が利用者900の顔940の幅方向Hに延びる姿勢となるように(
図7(A),(B)参照)、一対の連絡管状部510を利用者900の顔940に位置決めする。また、装着部6もまた装着すると利用者900の顔940の幅方向Hに延びる。そして、本実施形態において装着部6は、
図2及び
図3に示すように、呼吸補助具側保持部60と、一対の供給管保持部61と、バンド部62と、を有する。
【0156】
<呼吸補助具側保持部>
図1、
図3、
図6~
図8を参照して、呼吸補助具側保持部60について説明する。呼吸補助具側保持部60は、呼吸補助具5(連絡部51)を保持するものである。また、呼吸補助具側保持部60は、
図3に示すように、概ね帯状に形成され、自身の中央が湾曲する。また、
図6(B)に示すように、呼吸補助具側保持部60の湾曲度合いは、連絡部51の保持本体部512と同様であり、利用者900の顔940の幅方向における鼻下領域930における利用者900の皮膚表面の湾曲度合いに近似する。そして、
図6(A),(B)に示すように、利用者900に装着すると、呼吸補助具側保持部60は、自身の中央(湾曲部分)が鼻下領域930において利用者900の顔940に当接しつつ、利用者900の顔940の幅方向Hに延在する姿勢となる。この際、呼吸補助具側保持部60の中央の両脇部分は、利用者900の耳に向かって延びる。呼吸補助具側保持部60は、
図1及び
図6(B)に示すように、利用者900の頬の下まで延在する。
【0157】
呼吸補助具側保持部60と呼吸補助具5の間には着脱機構が設けられる。本実施形態において着脱機構は、
図3及び
図8(B)~(D)に示すように、呼吸補助具側保持部60の表側面を起点として自身の内部側に凹む一対の凹部63(
図3参照)と、保持本体部512の裏側面を起点として凸となる一対の凸部512A(
図8(B)~(D)参照)と、で構成される。一対の凹部63は、呼吸補助具側保持部60の長さ方向に間隔を空けて設けられる。一対の凸部512Aは、一対の凹部63と同じ間隔を空けて保持本体部512の裏側面に設けられる。
【0158】
凹部63と凸部512Aは、凹部63に凸部512Aを差し込むと凸部512Aは凹部63に嵌合して呼吸補助具側保持部60と保持本体部512が連結可能に構成される。また、凹部63と凸部512Aは、呼吸補助具側保持部60に対して保持本体部512を離すように引っ張ると凹部63から凸部512Aが外れるように構成される。なお、上記の着脱機構は、一例であって、その他の着脱機構であってもよい。
【0159】
なお、本実施形態において呼吸補助具側保持部60と連絡管状側保持部511は、別部材として構成されるが、これに限定されるものではなく、両者は一体形成されてもよい。この場合、呼吸補助具側保持部60と連絡管状側保持部511は、一つの構成部分となる。その構成部分は、接続部513を通じて一対の連絡管状部510に接続される。
【0160】
呼吸補助具側保持部60で連絡部51が保持されつつ、呼吸補助具側保持部60が利用者900に装着されると、
図7(A),(B)に示すように、一対の連絡管状部510は、一対の連絡管状部510に装着された第一管状部52が利用者900の顔940の幅方向Hに延びる姿勢となるように利用者900の顔940に位置決めされる。
【0161】
<供給管保持部>
図1及び
図3を参照して供給管保持部61について説明する。一対の供給管保持部61は、
図1に示すように、それぞれ分岐管片3A,3Bの途中の一区間を呼吸補助具側保持部60の所定の位置で呼吸補助具側保持部60の延在方向に沿う姿勢で保持するものである。
図3に示すように、本実施形態において供給管保持部61は、呼吸補助具側保持部60に設けられる一対の拘束片64と、基台部66とを有する。基台部66は、呼吸補助具側保持部60の長さ方向の両端近傍の表側面60Aに設けられる。なお、呼吸補助具側保持部60の表側面60Aとは、利用者900とは反対側を向く面である。表側面60Aには、呼吸補助具5も設けられる。一対の拘束片64は、それぞれ供給管3を呼吸補助具側保持部60の表面(利用者900とは反対側を向く面)に拘束する。
【0162】
一対の拘束片64は、それぞれ板状に構成され、湾曲する。一対の拘束片64は、
図3に示すように、拘束片64の外側面(凸面)64Aが呼吸補助具側保持部60の幅方向の外側を向き、且つ呼吸補助具側保持部60の幅方向において拘束片64の内側面(凹面)64Bが相互に対向するように、呼吸補助具側保持部60の幅方向の両端近傍において基台部66から立設する。そして、一対の拘束片64(凹面64B)の間の領域65を供給管3に通過させて、一対の拘束片64及び呼吸補助具側保持部60により供給管3の周囲を取り囲む。結果、一対の拘束片64と呼吸補助具側保持部60が協働して、供給管3を呼吸補助具側保持部60の表側面で拘束する。
図1に示すように、供給管3(分岐管片3A,3B)が連絡部51(供給管側管状片515)に接続されると、供給管3は、呼吸補助具側保持部60に沿って案内されつつ、呼吸補助具側保持部60で拘束された状態になる。
【0163】
以上のように一対の供給管保持部61は、利用者900にとって供給管3が邪魔にならないような位置に、供給管3を案内することができる。
【0164】
<バンド部>
バンド部62は、
図2に示すように、帯状に形成され、両端が呼吸補助具側保持部60の両端又はその近傍に取り付けられる。呼吸補助具側保持部60を鼻下領域930において利用者900の顔940の幅方向に延在する姿勢とした状態で(
図6(A),(B)参照)、
図1に示すように、バンド部62が利用者900の右側頭部961、後頭部、左側頭部962を経由して利用者900の顔940(頭部)回りを周回するように利用者900に装着する。これにより、呼吸補助具側保持部60は上記姿勢で鼻下領域930に装着される。
【0165】
<第二実施形態>
図19~
図23を参照して、本発明の第二実施形態における呼吸補助装置1について説明する。本実施形態における呼吸補助装置1は、第一実施形態のものとは保持機構の一部を成す連絡管状部510及び揺動機構10の構成が異なる。それ以外は、本実施形態にも第一実施形態で説明したものを全て適用可能である。
図19(A)に示す本実施形態における呼吸補助装置1において、連絡管状側保持部511から気体案内部50及び連絡管状部510を分離すると
図19(B)示すような態様になる。更に、気体案内部50と連絡管状部510を分離すると、
図19(C)示すような態様になる。
【0166】
<連絡管状部>
図20~
図21を参照して、本実施形態における連絡管状部510について説明する。本実施形態における連絡管状部510は、
図20(A),(B)に示すように、第一接続管状部570と、第二接続管状部571と、を有する。
図21(B)の断面図に示すように、第一接続管状部570は、気体を案内可能に第一管状部52に接続される。第二接続管状部571は、第一接続管状部570へ気体を案内可能に、一端側が第一接続管状部570に接続され、他端側が供給管3に接続される。つまり、本実施形態における呼吸補助装置1では、第一管状部52、第一接続管状部570、第二接続管状部571、供給管3の順に略同軸となるように配置され、隣接するそれぞれに気体を案内可能に接続される。
【0167】
<第一接続管状部>
図20(B)及び
図21(A)に示すように、第一接続管状部570は、連絡側軸方向に沿って、第二係合領域KR2(
図21では複数の突出部590を有する領域)を有する第一区間Q1と、第二接続管状部571に挿入される第二区間Q2を有する。第一区間Q1と第二区間Q2の境界には、第一接続管状部570と第二接続管状部571を接続した際に、第二接続管状部571の端部に接触するフランジ580が設けられる。
【0168】
また、
図21(A)に示すように、第一管状部52は、第一管状側軸方向に沿って延びる第一係合領域KR1(
図21では複数の溝部530を有する領域)を有する。そして、
図21(B)に示すように、第一管状部52に第一接続管状部570が挿入されて、第一管状部52と第一接続管状部570が接続されると、第一管状部52の第一係合領域KR1と第一接続管状部570の第一区間Q1の間には、重畳領域200が形成される。そして、第一係合領域KR1と第二係合領域KR2は、連絡側軸方向において係合する。そして、第一管状部52の第一係合領域KR1と第一接続管状部570の第一区間Q1の第二係合領域KR2の間には、第一実施形態で説明した第一接続位置変更機構(第一相対位置変更機構)、第二接続位置変更機構(第二相対位置変更機構)、重畳領域軸長変更機構が形成される。当然ながら、第一実施形態で説明した第一係合領域KR1、第二係合領域KR2、第一接続位置変更機構(第一相対位置変更機構)、第二接続位置変更機構(第二相対位置変更機構)、重畳領域軸長変更機構に関する全ての事項を本実施形態に適用したものも本発明の範囲に含まれる。このため、
図21(A),(B)では、第一係合領域KR1が複数の溝部530を有し、第二係合領域KR2が複数の突出部590を有するように構成されているが、これに限定されるものではなく、その他の構成(例えば、第一係合領域KR1が縮径部526を有し、第二係合領域KR2が複数の係合部517を有する構成)であってもよい。
【0169】
また、
図21(A)に示すように、本実施形態では、第一管状部52の内部通路521に第一接続管状部570の第一区間Q1が挿入され、第一接続管状部570が内部通路521に配置された態様になるが、これに限定されるものではなく、逆に、第一接続管状部570の第一区間Q1の内部通路570Cに第一管状部52が挿入され、第一管状部52が内部通路570Cに配置された態様であってもよい。その結果、第一管状部52と第一接続管状部570の第一区間Q1の間には、重畳領域200が形成される。なお、挿入する側の管状部を挿入部と定義し、挿入部を受け入れる側の管状部を受入部と定義すると、第一管状部52及び第一接続管状部570のいずれか一方が挿入部となり、残りが受入部となる。
【0170】
また、第一管状部52と第一接続管状部570の接続領域に、第一管状部52と第一接続管状部570の相対回転を制限する第一相対回転制限機構が設けられる。なお、この接続領域は、第一管状部52と第一接続管状部570が接続されて重畳し得る領域(重畳領域200)を指す。
図21(C)に連絡側軸方向に直交する方向から重畳領域200を切った断面図を示す。第一係合領域KR1と第二係合領域KR2が係合(接触)しているので、上記相対回転が制限されるためには、
図21(C)の断面図に示すように、第一管状部52の第一係合領域KR1が設けられる区間、及び第一接続管状部570の第二係合領域KR2が設けられる区間では、第一管状部52の断面の内周側形状及び第一接続管状部570の断面の外周側形状が真円でない非真円形状に構成されることが好ましい。非真円形状として、例えば、楕円形状、多角形状等が一例として挙げられる。なお、挿入部に対応する管状部(例えば、第一接続管状部570)では、外周側形状が非真円形状であればよく、受入部に対応する管状部(例えば、第一管状部52)では、内周側形状が非真円形状であればよい。結果として、挿入部に対応する管状部と受入部に対応する管状部が接触する周方向領域の形状が非真円形状となる。第一管状部52の第一係合領域KR1及び第一接続管状部570の第二係合領域KR2の上記断面形状が非真円形状であれば、第一接続管状部570に対する第一管状部52の相対回転を制限することができる。なお、第一相対回転制限機構の上記構成は一例であって、その他の構成であってもよい。
【0171】
<第二接続管状部>
図20(B)に示すように、本実施形態において第二接続管状部571は、例えば、供給管側接続管状部572と、中間接続管状部573と、を有する。
図21(B)に示すように、供給管側接続管状部572は、供給管3に接続される。
図20(A)及び
図21(A)に示すように、中間接続管状部573は、一端側が第一接続管状部570に接続され、他端側が供給管側接続管状部572に接続される。結果、中間接続管状部573は、第一接続管状部570と供給管側接続管状部572の間に介在する。そして、供給管側接続管状部572は、中間接続管状部573に対して相対回転が制限されるように接続される。
【0172】
利用者が姿勢を変えた際、供給管3に無理な負荷が掛かる可能性がある。そして、供給管3に無理な負荷が掛かると、供給管3が供給管側接続管状部572から外れたり、損傷したりするおそれがある。このため、供給管3は、供給管側接続管状部572に対して相対回転自在に接続可能に構成されることが好ましい。この場合、供給管3及び第二接続管状部571が重なり合う重畳領域300を連絡側軸方向に直交する方向から切った際の供給管3と第二接続管状部571の断面は、真円形状であることが好ましい。
【0173】
第一接続管状部570は、中間接続管状部573との接続で保持され、連絡管状側保持部511に対して相対回転可能に構成される。つまり、第一接続管状部570と中間接続管状部573の接続領域に、第一接続管状部570と中間接続管状部573の相対回転を許容する相対回転機構が設けられる。なお、この接続領域は、第一接続管状部570と中間接続管状部573が接続されて重畳し得る領域(重畳領域310)を指す。一方、中間接続管状部573は、連絡管状側保持部511に対して相対回転が制限されるように連絡管状側保持部511で保持される。つまり、中間接続管状部573と連絡管状側保持部511の接続領域に、連絡管状側保持部511に対する中間接続管状部573の相対回転を制限する第三相対回転制限機構が設けられる。なお、この接続領域は、中間接続管状部573と連絡管状側保持部511が接続されて重畳し得る領域を指す。具体的には、
図22(A)に示すように、中間接続管状部573は、自身の外周面から自身の径方向外側に突出する突出部573Aを有する。そして、連絡管状側保持部511は、中間接続管状部573の周方向において突出部573Aに係合して、連絡管状側保持部511に対する中間接続管状部573の相対回転を規制する相対回転規制面(
図22(A)の突出部573Aの紙面奥側に位置)を有する。中間接続管状部573の周方向において相対回転規制面に突出部572Aが係合するので、中間接続管状部573は連絡管状側保持部511に対して相対回転することができない。このため、突出部573Aと、連絡管状側保持部511の相対回転規制面とで、第三相対回転制限機構が構成されると見做せる。
【0174】
また、
図22(A)に示すように、本実施形態では、中間接続管状部573の内部通路573Bに第一接続管状部570の第二区間Q2が挿入され、第一接続管状部570が内部通路573Bに配置された態様になるが、これに限定されるものではなく、逆に、第一接続管状部570の第二区間Q2の内部通路570Cに中間接続管状部573が挿入され、中間接続管状部573が内部通路570Cに配置された態様であってもよい。その結果、第一接続管状部570の第二区間Q2と中間接続管状部573の間には、重畳領域310が形成される。なお、挿入する側の管状部を挿入部と定義し、挿入部を受け入れる側の管状部を受入部と定義すると、第一接続管状部570及び中間接続管状部573のいずれか一方が挿入部となり、残りが受入部となる。
【0175】
なお、第二接続管状部571は、単一の管状部で構成されてもよい。この場合、第二接続管状部571を構成する単一の管状部では、一端側が供給管3に接続され、他端側が第一接続管状部570に接続される。また、第二接続管状部571は、相互に接続される3つ以上の管状部により構成されてもよい。
【0176】
<揺動機構>
第一接続管状部570と中間接続管状部573の間には、揺動機構10が設けられる。揺動機構10は、
図22(B)に示すように、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2を有する。
図22(C)に示すように、第一揺動係合領域YK1は、第一接続管状部570に設けられる。このため、第一揺動係合領域YK1は、第一接続管側係合領域YK1と読み替えてもよい。第二揺動係合領域YK2は、第二接続管状部571(中間接続管状部573)に設けられる。このため、第二揺動係合領域YK2は、第二接続管側係合領域YK2と読み替えてもよい。本実施形態において第一接続管状部570は、挿入側であり、第一揺動係合領域YK1は、第一接続管状部570の外周面に設けられる。また、本実施形態において第二接続管状部571(中間接続管状部573)は、受入側であり、第二揺動係合領域YK2は、第二接続管状部571(中間接続管状部573)の内周面に設けられる。本発明は以上の構成に限定されるものではない。第一接続管状部570が受入側であってもよく、この場合、第一揺動係合領域YK1は、第一接続管状部570の内周面に設けられる。また、第二接続管状部571(中間接続管状部573)が挿入側であってもよく、この場合、第二揺動係合領域YK2は、第二接続管状部571(中間接続管状部573)の外周面に設けられる。
【0177】
図22(B)に示すように、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2は、第一接続管状部570(挿入部)又は第二接続管状部571(受入部)の径方向において重なり合い、第一接続管状部570(挿入部)又は第二接続管状部571(受入部)の周方向において係合する。第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2が重なって係合する領域が係合重畳領域320となる。第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2は、挿入部又は受入部の外周の周方向の全周に亘って係合することが好ましいが、部分周において係合する態様であってもよい。第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2が上記周方向において係合することにより第二管状部53の相対角は維持される。
【0178】
第一揺動係合領域YK1は、例えば、
図22(B)及び
図23(A)に示すように、第一接続管状部570の外周側に第一接続管状部570の径方向に突出しつつ、第一接続管状部570の周方向に環状に延びる突出環575A,575Bを有する。突出環575A,575Bは、連絡側軸方向に間隔を空けて設けられる。また、第一揺動係合領域YK1は、突出環575Aから第一接続管状部570の径方向に突出する制限突出部575Cを有する。
【0179】
第二揺動係合領域YK2は、例えば、
図22(B)及び
図23(A)に示すように、係合部577A,577Bと、部分周溝部577Cを有する。係合部577A,577Bは、第二接続管状部571の内周側の周方向に環状に延びるように設けられ、それぞれ第一接続管状部570と中間接続管状部573(第二接続管状部571)が接続された際、突出環575A,575Bの方を向きつつ、突出環575A,575Bに係合する。係合部577A,577Bは、連絡側軸方向に間隔を空けて設けられる。
【0180】
部分周溝部577Cは、第二接続管状部571の端部において第二接続管状部571の径方向外側に凹みつつ、連絡側軸方向において外部に開放され、第二接続管状部571の内周側の周方向において全周の一部である部分周だけ延びる。そして、第一接続管状部570と中間接続管状部573が接続された際、
図23(B)に示すように、制限突出部575Cは、部分周溝部577C内を旋回可能に配置される。
【0181】
第一接続管状部570と中間接続管状部573が相対回転すると、制限突出部575Cは、部分周溝部577に沿って部分周溝部577内で旋回する。第一接続管状部570と中間接続管状部573の相対回転可能な範囲は、制限突出部575Cが旋回して部分周溝部577Cの周方向両端577D,577Eに接触するまでの間の範囲である。つまり、第一接続管状部570と中間接続管状部573の相対回転可能な範囲は、部分周溝部577C内で制限突出部575Cが旋回可能な範囲である。以上のように、制限突出部575Cと部分周溝部577Cで、第一接続管状部570と第二接続管状部571の相対回転可能な範囲を所定の相対回転角度に制限する第二相対回転制限機構が構成されると見做せる。部分周溝部577C内で制限突出部575Cが旋回可能な旋回角度と所定の相対回転角は同一となる。ちなみに、上記部分周は、後述する所定の相対回転角度に相当する第二接続管状部571の内周側の周方向における第二接続管状部571の長さに相当する。なお、第二相対回転制限機構は、以上の構成に限定されるものではなく、その他の構成であってもよい。なお、第一接続管状部570が受入側で第二接続管状部571(中間接続管状部573)が挿入側なら、上記で説明した第一揺動係合領域YK1の構成は、第二揺動係合領域YK2の構成となり、上記で説明した第二揺動係合領域YK2の構成は、第一揺動係合領域YK1の構成となる。
【0182】
本実施形態では、第二揺動係合領域YK2(係合部577A,577B)が第一揺動係合領域YK1(突出環575A,575B)を押圧して、押圧に起因する摩擦力が第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の間に生じる。結果、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2は、摩擦力により連絡管状部510の周方向において係合する。なお、摩擦力を強くするために、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2は、摩擦係数の高い材料で構成してもよいし、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の接触面に凹凸部を有する粗面領域が含まれていてもよい。
【0183】
揺動機構10に周方向外力が加えられると、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の周方向係合が解かれ、第一接続管状部570と中間接続管状部573の相対回転が許容される。結果、第二管状部53の相対揺動が許容される。本実施形態の揺動機構10によれば、無段階に第二管状部53を相対揺動させることができる。なお、上記周方向外力は、周方向係合力を超える大きさが必要である。一方で、揺動機構10への周方向外力が解放されると、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2の周方向係合により、第一接続管状部570と中間接続管状部573の相対回転が制限される。結果、第二管状部53の相対揺動が制限される。
【0184】
また、本実施形態において間隔変更機構(接続位置変更機構)は、連絡側軸方向において揺動機構10よりも第二接続管状部571(中間接続管状部573)から遠位な位置に設けられる。このため、第二係合領域KR2は、連絡側軸方向において第一揺動係合領域YK1よりも第二接続管状部571(中間接続管状部573)から遠位な位置に設けられる。本発明はこれに限定されるものではなく、間隔変更機構(接続位置変更機構)は、連絡側軸方向において揺動機構10よりも第二接続管状部571(中間接続管状部573)から近位な位置に設けられてもよい。
【0185】
なお、第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2は、以上のような周方向係合ができれば、その他の構成(例えば、嵌合による係合が可能な第一実施形態の揺動機構10の変形例で説明した凸部526Eと凹部510Fの構成)であってもよく、そのようなものも本発明の範囲に含まれる。そして、当然ながら、第一実施形態で説明した<揺動機構>の第一揺動係合領域YK1及び第二揺動係合領域YK2に関する全ての事項を、本実施形態に適用したものも本発明の範囲に含まれる。以上のように揺動機構10が構成されれば、接続位置変更機構(相対位置変更機構)、第一接続位置変更機構(第一相対位置変更機構)、第二接続位置変更機構(第二相対位置変更機構)、及び重畳領域軸長変更機構等は、第一係合領域KR1及び第二係合領域KR2等により構成され、揺動機構10は、第一係合領域KR1及び第二係合領域KR2とは別の領域である第一揺動係合領域YK1と第二揺動係合領域YK2等により構成される。そして、第一係合領域KR1及び第二係合領域KR2の組と、第一揺動係合領域YK1及び第二揺動係合領域YK2の組は、連絡側軸方向に沿って順に並び、第一接続管状部570の第一区間Q1と第二区間Q2の境界を基準として、前者は第一区間Q1側に位置し、後者は第二区間Q2側に位置することが好ましい。このため、接続位置変更機構(相対位置変更機構)等と揺動機構10は、相互に兼ねた共通部分がなく、相互に独立する別々の機構となるので、各機構の耐久性を向上させることができる。更に、接続位置変更機構(相対位置変更機構)、第一接続位置変更機構(第一相対位置変更機構)、第二接続位置変更機構(第二相対位置変更機構)、及び重畳領域軸長変更機構等と、揺動機構10が重複しない別々の領域に設けられる全ての構成が本発明の範囲に含まれる。
【0186】
なお、本実施形態における揺動機構10も第一実施形態の場合と同様に、第一揺動機構片10A及び第二揺動機構片10Bに分けられてもよい。そして、揺動機構10、第一揺動機構片10A及び第二揺動機構片10Bは、伸縮構造が設けられていない第一管状部52又は間隔変更機構を備えていない呼吸補助具にも適用可能である。
【0187】
<第三実施形態>
図24~
図26を参照して、本発明の第三実施形態における呼吸補助装置1について説明する。本実施形態における呼吸補助装置1は、供給管3の途中区間において供給管3内を通る気体を加熱する加熱部9を有する。加熱部9は、例えば、供給管3の途中区間に螺旋状に巻回されたヒーター線により構成される。途中区間を通過した気体は、呼吸補助具5に近づくに従って冷える。この際、結露により供給管3及び呼吸補助具5の内部に水滴が生じ得る。そして、生じた水滴は、第二管状部53を通じて利用者900に噴射されるおそれがある。本実施形態における呼吸補助装置1は、以上のことを防止する機能を有する。
【0188】
本実施形態における呼吸補助装置1は、第一実施形態におけるものとほぼ同様である。両者の相違点は、供給管3の態様と、気体滞留部7、水分除去部8及び水分侵入規制部12が追加されることである。なお、第一実施形態における呼吸補助装置1には、加熱部9が記載していないが、備えてもよい。
【0189】
なお、本実施形態において呼吸補助具5は、気体案内部50と連絡部51を有するが、これに限定されるものではなく、連絡部51が省略され、気体案内部50のみで構成されてもよい。この場合、気体案内部50の第一管状部52の一端に供給管3が接続され、第一管状部52の他端に気体滞留部7が接続される。このため、本実施形態以降では、第一管状部52と一対の連絡管状部510が接続されたもの(
図24参照)も、一対の連絡管状部510が省略され、第一管状部52のみで構成されるもの(図示省略)も1つの管状部と見做して主管状部54と呼ぶこととする。また、上記の態様に加えて気体滞留部7をも含めたものを1つの管状部と見做して主管状部54と見做してもよい。そして、主管状部54は、いずれの構成の場合も軸方向の両端に開口を有する。また、本実施形態では、第二管状部を鼻挿入管状部と読み替えることとする。
【0190】
<供給管、気体滞留部>
本実施形態における供給管3は、
図24に示すように、第一実施形態におけるものと異なり、分岐していない。そして、本実施形態における供給管3は、呼吸補助具5(主管状部54)の一方の端部の開口54A(
図25(B)参照)に接続される。
【0191】
気体滞留部7は、
図24に示すように、主管状部54の他方の端部に設けられ、主管状部54を通過した気体を滞留させる。具体的に気体滞留部7は、一端が開口し、他端が閉塞し、且つ一端の開口に繋がる内部通路75を有する。本実施形態において気体滞留部7は、両端が開口する気体滞留管71と、後述する露出部81としての栓部81Aと、を有する。そして、気体滞留部7は、主管状部54を主管状部54の軸方向に通過する気体を受け入れ可能に主管状部54の他方の端部の開口54B(
図25(B)参照)に接続される。また、
図26(A)に示すように、気体滞留管71は、主管状部54との接続側の開口とは反対側の開口(以下、排出開口と呼ぶ。)70を有する。そして、気体滞留管71の内部通路75は、排出開口70を通じて外部に開放される。
【0192】
<水分除去部>
水分除去部8は、供給管3及び呼吸補助具5の少なくとも一方の内部の水分を除去するものである。水分除去部8は、水分除去部材として呼吸補助装置1に設置可能である。そして、本実施形態における水分除去部8は、供給管3及び呼吸補助具5の少なくとも一方の内部の水分を吸収して供給管3及び呼吸補助具5の外部へ排出する。本実施形態における水分除去部8は、吸水性を有する吸水性材料により構成される。吸水性材料は、気体を通すものであってもよいし、気体を遮断するものであってもよい。吸水性材料として、例えば、多孔質材料が一例として挙げられる。多孔質材料として、例えば、織布、不織布、中空糸により形成される材料、多孔質吸水ポリマー、及び、スポンジ等の多孔質合成樹脂が挙げられる。多孔質材料は、以上のように複数あるが、水分除去部8は1つの多孔質材料で形成されても、複数の多孔質材料で形成されてもいずれであってもよい。すなわち、水分除去部8は、少なくとも1つの上記材料で形成されていればよい。本実施形態における水分除去部8は、
図24に示すように、内部側吸収部80と、露出部81と、を有する。
【0193】
<内部側吸収部>
内部側吸収部80は、供給管3及び呼吸補助具5の少なくとも一方の内部に配置され、供給管3及び呼吸補助具5の少なくとも一方の内部の水分を吸収する。本実施形態における内部側吸収部80は、
図24に示すように、供給管3から呼吸補助具5を経て気体滞留部7の端部近傍まで延びる吸水部材82により構成される。吸水部材82は、吸水性材料により構成される。そして、吸水部材82は、露出部81に繋がり、吸収した水分を露出部81に伝達する。また、吸水部材82は、帯状シートとして構成されてもよいし、帯状シートよりも厚みを持った帯状ブロックとして構成されてもよい。また、内部側吸収部80は、
図24に示すように、供給管3の加熱部9以降に設けられることが好ましい。
【0194】
ここで、
図25(B)に示すように、主管状部54を通る気体の流れ(
図25(A),(B)に示す矢印を参照)を基準として、鼻挿入管状部53Aよりも主管状部54の軸方向の上流側の区間を上流側区間T1、鼻挿入管状部53Bよりも主管状部54の軸方向の下流側の区間を下流側区間T3、上流側区間T1と下流側区間T3の間の区間を中央区間T2と定義する。なお、上流側区間T1と中央区間T2の境界は、主管状部54を通る気体の流れ及び主管状部54の軸方向を基準とした場合、鼻挿入管状部53Aの最上流側端部53Cであってもよいし、連絡口529の最上流側端部529Aであってもよい。また、中央区間T2と下流側区間T3の境界は、主管状部54を通る気体の流れ及び主管状部54の軸方向を基準とした場合、鼻挿入管状部53Bの最下流側端部53Dであってもよいし、連絡口529の最上流側端部529Bであってもよい。なお、主管状部54を通る気体の流れを基準として、鼻挿入管状部53Aは、鼻挿入管状部53Bよりも下流側に位置する。
【0195】
内部側吸収部80は、
図25(B)に示すように、少なくとも上流側区間T1の全区間、又は一部区間に配置されることが好ましい。水分が鼻挿入管状部53Aに達する前に内部側吸収部80で水分を吸収でき、水分が鼻挿入管状部53A,53Bを通じて外部に放出されることを防止できるからである。この観点から、内部側吸収部80は、特に、上流側区間T1の終端(鼻挿入管状部53Aの最上流側端部53C又は連絡口529の最上流側端部529B)を含む区間に配置されることが好ましい。
【0196】
また、内部側吸収部80は、
図25(B)に示すように、少なくとも中央区間T2の全区間、又は一部区間に配置されることが好ましい。上流側区間T1を通過した水分があっても、鼻挿入管状部53A,53Bに達する前に内部側吸収部80で水分を吸収でき、水分が鼻挿入管状部53A,53Bを通じて外部に放出されることを防止できるからである。更に、内部側吸収部80は、
図25(B)に示すように、上流側区間T1と中央区間T2の境界を跨るように延在することが好ましい。
【0197】
また、内部側吸収部80は、
図25(B)に示すように、下流側区間T3の全区間、又は一部区間に配置されることが好ましい。中央区間T2を通過した水分を除去するためである。更に、内部側吸収部80は、中央区間T2と下流側区間T3の境界を跨るように延在することが好ましい。
【0198】
本実施形態における内部側吸収部80は、
図25(A)に示すように、上流側区間T1の全区間、又は一部区間、中央区間T2の全区間、及び下流側区間T3の全区間に跨って連続して延在するように構成される。
【0199】
<露出部>
露出部81は、
図24に示すように、内部側吸収部80に繋がりつつ、供給管3及び呼吸補助具5の外部に露出し、内部側吸収部80から伝達される水分を外部に排出する。本実施形態における露出部81は、
図24及び
図26(A),(B)に示すように、気体滞留管71の排出開口70を閉塞する栓部81Aとして構成される。栓部81A(閉塞部と呼んでもよい。)は、吸水性材料により気体滞留管71の排出開口70を密閉(閉塞)可能な形状に構成される。このため、排出開口70を通じて漏れる気体の量を最小限にすることができる。
【0200】
なお、栓部81Aを構成する吸水性材料は気体を通過させるものであってもよいが、通気抵抗が特定の大きさ以上を有することが好ましい。通気抵抗が特定の大きさ以上であれば、鼻挿入管状部53A,53Bを通じた利用者900への単位時間当たりの気体供給量(気体流量)を十分確保することができるからである。ちなみに、吸水性材料は、水分を吸収することにより通気抵抗がより大きくなる。吸水性材料の水分含有量が増えると、単位時間当たりに栓部81Aを通過する気体量は低減するので、その分だけ鼻挿入管状部53A,53Bを通じた単位時間当たりの気体供給量(気体流量)が増大する。気体供給量(気体流量)を制御するため、
図24に示すように、例えば、供給管3及び呼吸補助具5の内部のいずれかの位置(例えば、主管状部54の内部、又は鼻挿入管状部53A(鼻挿入管状部53B)の内部)に内圧を測定可能な内圧測定手段(内圧測定センサ)90や、供給管3及び呼吸補助具5の内部(例えば、主管状部54の内部、又は鼻挿入管状部53A(鼻挿入管状部53B)の内部)における気体流量を測定可能な気体供給量測定手段(気体流量測定手段)91を設けてもよい。この場合、気体供給源2は、利用者900への単位時間当たりの気体供給量(気体流量)を一定にするために、内圧測定手段(内圧測定センサ)90や気体供給量測定手段(気体流量測定手段)91の測定結果に基づいて気体供給量(気体流量)を変動させてもよい。なお、
図24に示す内圧測定手段(内圧測定センサ)90及び気体供給量測定手段(気体流量測定手段)91の配置は一例であって、鼻挿入管状部53A,53Bを通じた単位時間当たりの気体供給量(気体流量)を把握可能なその他の場所に配置されてもよい。
【0201】
吸水部材82から伝達される水分は、栓部81Aで吸収され、栓部81Aで一時的に保持される。また、栓部81Aは、気体滞留管71の排出開口70において外部に露出される。このため、栓部81Aに含まれる水分は外気により乾燥して気化する。また、気体滞留管71の内部側には供給管3を通じて送られてくる気体の流れがあるので、その気体の流れにより栓部81Aは内部側も乾燥される。結果、栓部81Aに含まれる水分は、気化が促進される。
【0202】
なお、気体滞留管71をも含めたものを主管状部54と見做した場合、栓部81Aが気体滞留管71の排出開口70を閉塞することは、栓部81Aが主管状部54の排出開口70を閉塞すると言い換えられる。また、気体滞留管71が省略され、主管状部54の他方の端部の開口が排出開口70として構成されてもよい。この場合も、栓部81Aは、主管状部54の排出開口70を閉塞する。
【0203】
<水分侵入規制部>
水分侵入規制部12は、
図25(B),(C)に示すように、気体案内部50の内部の連絡口529に設けられ、水分が連絡口529を通過して、第二管状部53A,53Bの内部通路528に侵入することを規制するものである。具体的に水分侵入規制部12は、連絡口529の外縁又はその近傍領域から第一管状部52の内部通路521に向かって立設しつつ、連絡口529の周りを全周する環状の環状壁により構成される。環状壁の立設方向の先端側は、閉じておらず、第一管状部52の内部通路521に開放されている。なお、環状壁は、連絡口529の周方向に連絡口529の周りの一部(部分周)を周回するものであってもよい。
【0204】
内部側吸収部80で吸収されなかった水分が第一管状部52の内部通路521を流れる気流と共に、第一管状側軸方向と、第二管状部53A(第二管状部53B)の軸方向(以下、第二管状側軸方向と呼ぶ。)に傾斜する方向から連絡口529に向かっていっても、その水分は環状壁に衝突するので、第二管状部53A,53Bのそれぞれの内部通路528へ侵入することを阻止される。
【0205】
<第三実施形態の変形例>
図27及ぶ
図28を参照して、本実施形態の変形例について説明する。本実施形態の変形例では、
図27及ぶ
図28に示すように、露出部81も内部側吸収部80と共に一体形成された吸水部材82で構成される。また、気体滞留部7は、端部に排出開口70を有する。排出開口70は、吸水部材82を通すことが可能な大きさを有する。そして、
図28に示すように、吸水部材82における呼吸補助具5及び供給管3の内部側区間(吸収側区間)Q1は内部側吸収部80を構成し、吸水部材82における呼吸補助具5及び供給管3の外部側区間(露出側区間)Q2は露出部81を構成する。ちなみに、内部側区間(吸収側区間)Q1は、排出開口70の手前までの区間を指し、外部側区間(露出側区間)Q2は、排出開口70を含み、内部側区間(吸収側区間)Q1以降の区間を指す。なお、吸水部材82は、複数の吸水部材片を繋げて構成されてもよい。
【0206】
気体滞留部7は、排出開口70が形成される閉塞部72で、気体滞留部7の端部を閉塞される。閉塞部72は、気体滞留部7から着脱自在に構成されることが好ましい。本変形例では、
図28(A)に示すように、排出開口70で内部側吸収部80と露出部81は繋がる。この際、排出開口70と吸水部材82の間には、隙間が設けられないように構成されることが好ましい。隙間が設けられると、そこから外部に気体が漏れ、利用者900に所望の気体量を供給するのに、漏れがない場合に比べて気体供給源2の消費電力が増大し得るからである。また、露出部81に相当する吸水部材82の露出側区間は、閉塞部72(排出開口70)から外部に突出し、所定の長さを有する。露出部81で一時的に保持される水分量は多いほうが好ましいので、できるだけ長い方が好ましいが、あまりに長いと利用者900が露出部81に直接触れ易くなる。このため、吸水部材82の露出側区間の長さは、以上の点を考慮して決定される。
【0207】
また、
図28(B)に示すように、排出開口70は、露出部81に相当する吸水部材82の一部との間に、隙間74が設けられる大きさを有するように構成されてもよい。そして、排出開口70と吸水部材82の間に隙間74が設けられると、気体滞留部7の内部の気体が隙間74から漏れる。隙間74から漏れる気体が通過する領域を気体通過領域Pと定義した際、露出部81は、気体通過領域Pに重畳する重畳領域Sを表面に有する。結果、露出部81の重畳領域S及びその周辺領域には気体が吹き付けられる。この漏れによる空気の流れは、周囲の空気を呼び込み、更に強い空気の流れが生じる。結果、露出部81の乾燥が促進されて、露出部81に含まれる水分が短時間で気化される。ちなみに、
図27(B)に示す重畳領域Sは、露出部81の表面全体となっている。
【0208】
また、
図28(A)に示すように、利用者900が露出部81に直接触れることを防止するために、露出部81における排出開口70から突出した領域(以下、突出領域と呼ぶ。)83の周囲を覆うカバー部73を設けてもよい。ただし、露出部81の露出を制限すると、水分の排出ができないので、カバー部73を構成する材料には、気体を通過させる材料を含むことが好ましい。気体を通過させる材料として、メッシュ構造を有するメッシュ材料が好ましい。メッシュ構造材料で露出部81の突出領域83の周囲を覆えば、利用者900が露出部81に直接触れることを防止できると共に、気化した水分の排出を効率良く行うことができる。
【0209】
なお、排出開口70を有する気体滞留部7をも含めたものを主管状部54と見做してもよい。この場合、閉塞部72の排出開口70は、主管状部54の主管状部54と見做される。また、気体滞留部7が省略され、主管状部54の他方の端部の開口が排出開口70として構成されてもよい。
【0210】
<第四実施形態>
図29~
図32を参照して、本発明の第四実施形態における呼吸補助装置1について説明する。本実施形態における呼吸補助装置1は、第三実施形態の場合と同様に、特に、結露により供給管3及び呼吸補助具5の内部に生じる水滴を、第二管状部53を通じて利用者900に噴出することを防止する機能を有する。本実施形態における呼吸補助装置1は、第一実施形態におけるものとほぼ同様である。両者の相違点は、水分除去部8の有無である。なお、
図29に示すように、本実施形態では、第三実施形態の場合と異なり、気体滞留部7は無く、第一実施形態の場合と同様に、分岐管片3A,3Bが備えられる。
【0211】
本実施形態における水分除去部8は、内部側吸収部80は第三実施形態の場合と同様の構成であるが、露出部81の構成が異なる。本実施形態における露出部81は、
図29に示すように、主管状部54に設けられる。そして、
図31(A)~(C)に示すように、露出部81は、主管状部54の周壁55の一部を成す。露出部81の外周面81Bが外部に露出され、外周面81Bとは反対側の露出部81の内周面81Cで内部側吸収部80に接触する。
【0212】
ここで、<第三実施形態>に習って、
図30(B)に示すように、主管状部54を通る気体の流れ(
図30(A)~(C)に示す矢印参照)を基準として、第一上流側区間T4、中央区間T5、第二上流側区間T6を定義する。本実施形態では、主管状部54の軸方向の左右両側から気体が供給されるので、中央区間T5の左右両側の区間は、主管状部54を通る気体の流れを基準とすると双方とも上流側となるため、第一上流側区間T4、第二上流側区間T6と表現している。第一上流側区間T4は、分岐管片3Aから供給される気体の流れを基準として鼻挿入管状部53Aよりも主管状部54の軸方向の上流側の区間を指す。第二上流側区間T6は、分岐管片3Bから供給される気体の流れを基準として鼻挿入管状部53Bよりも主管状部54の軸方向の上流側の区間を指す。中央区間T5は、第一上流側区間T4と第二上流側区間T6の間の区間を指す。なお、第一上流側区間T4と中央区間T5の境界は、分岐管片3Aから供給され、主管状部54を通る気体の流れ及び主管状部54の軸方向を基準とした場合、鼻挿入管状部53Aの最上流側端部53Cであってもよいし、連絡口529の最上流側端部529Aであってもよい。また、中央区間T2と第二上流側区間T6の境界は、分岐管片3Bから供給され、主管状部54を通る気体の流れ及び主管状部54の軸方向を基準とした場合、鼻挿入管状部53Bの最上流側端部53Eであってもよいし、連絡口529の最上流側端部529Cであってもよい。
【0213】
図30(A),(B)に示すように、本実施形態における露出部81は、分離した状態で複数設けられてもよい。この場合、各露出部81は、第一上流側区間T4、中央区間T5、第二上流側区間T6のいずれか一つ、又は2つ、又は全てにおいて区間毎に分離して設けられてもよい。また、露出部81は、第一上流側区間T4、中央区間T5、第二上流側区間T6のうち、隣接する区間に跨るように連続して設けられてもよい。つまり、露出部81は、第一上流側区間T4と中央区間T5に跨るように設けられてもよいし、中央区間T5と第二上流側区間T6に跨るように設けられてもよいし、第一上流側区間T4、中央区間T5、第二上流側区間T6のいずれにも跨るように設けられてもよい。また、本実施形態では、第一上流側区間T4、第二上流側区間T6における露出部81は、第一管状部52に設けられているが、これに限定されるものではなく、一対の連絡管状部510のいずれかの周壁の一部を成すように設けられてもよい。以上の露出部81の態様の様々な組み合わせが本発明の範囲に含まれる。
【0214】
露出部81が第一上流側区間T4、第二上流側区間T6に設けられると、内部側吸収部80に吸収された水分が鼻挿入管状部53A,53Bに到達する前に露出部81で吸収されるので、水分が鼻挿入管状部53A,53Bに到達する可能性を低減することができる。また、第一上流側区間T4、第二上流側区間T6で捕獲できなかった水分を中央区間T5において内部側吸収部80が吸収することもある。この場合、その水分を第一上流側区間T4、第二上流側区間T6ではなく、中央区間T5で外部に放出するために、露出部81が中央区間T5に設けられることが好ましい。
【0215】
また、
図30(A),(B)に示すように、本実施形態における内部側吸収部80は、第一上流側区間T4、中央区間T5、第二上流側区間T6の各区間を跨るように連続しているが、これに限定されるものではない。
図30(C)に示すように、内部側吸収部80は、隣接する2つの区間を跨るが、連続せず、途中で不連続になっていてもよい。内部側吸収部80は、隣接する2つの区間を跨がらずに、いずれかの区間に設けられてもよい。また、内部側吸収部80は、第一上流側区間T4、第二上流側区間T6の少なくとも一つの区間に設けられてもよい。特に、第一上流側区間T4、第二上流側区間T6には、内部側吸収部80は設けられることが好ましい。水分が鼻挿入管状部53A,53Bに到達する前に水分を捕獲するためである。第一上流側区間T4、第二上流側区間T6の内部側吸収部80で捕獲できなかった水分を捕獲するため、中央区間T5に内部側吸収部80を設けることが好ましい。ただし、内部側吸収部80が上記のいずれかの態様で設けられても、内部側吸収部80は、露出部81と接触するように設けられることが好ましい。
【0216】
また、
図31に示すように、露出部81は、利用者900の顔940の鼻下の皮膚表面930Aに対向する主管状部54の対向領域(対向周壁:以下同様)55Aの反対側に位置する反対側領域(反対側周壁:以下同様)55Bに設けられることが好ましい。露出部81から気化された水蒸気が利用者900の皮膚に常に放出されることを避けるためである。
【0217】
更に、露出部81は、反対側領域55Bの中でも、乾燥しやすい位置に配置させることが好ましい。このため、
図31に示すように、利用者900の鼻穴910A,910Bから放出される呼気が通過する領域を呼気通過領域Vと定義した際、露出部81は、反対側領域55Bの中でも、呼気通過領域Vと重畳する重畳領域に設けられることが好ましい。重畳領域では、呼気が吹き付けられるため、呼気により露出部81が効率良く乾燥されて、露出部81に含まれる水分の気化が促進されるからである。重畳領域の全部、又は一部に設けられる露出部81は、利用者900の顔940(利用者900の顔940の鼻下の皮膚表面930A)とは反対側を向き、且つ少なくとも露出部81の一部領域が利用者900の鼻穴910A,910Bに対向する。
【0218】
<第四実施形態の変形例>
本実施形態の変形例では、
図32に示すように、露出部81(81A)は、供給管3(分岐管片3A,3B)の周壁の一部を成すように設けられてもよい。この際の露出部81(81A)の構造は、本実施形態の露出部81の構造と同様である。
【0219】
また、第三実施形態の変形例の場合と同様に、供給管3の周壁や主管状部54の周壁に、内部側吸収部80と露出部81(81B)が一体形成された吸水部材82を通す排出開口を設けてもよい。その排出開口で内部側吸収部80と露出部81(81B)は、繋がる。露出部81(81B)には、第三実施形態の変形例と同様にカバー部(図示省略)が設けられてもよい。
【0220】
以上の第三,四実施形態における内部側吸収部80は、連続しているが、区間毎に不連続にして、複数設けられてもよい。この場合、複数の内部側吸収部80は、例えば、供給管3、主管状部54、及び気体滞留部7(気体滞留管71)に相互に不連続に配置される。そして、各内部側吸収部80には、対応する露出部81が供給管3、主管状部54、及び気体滞留部7のそれぞれに少なくとも1つずつ設けられる。露出部81はその位置における各部の周壁を成してもよいし、各部に設けられる排出開口で内部側吸収部80と露出部81が繋がるように設けられてもよい。第四実施形態の露出部81を第三実施形態に追加してもよい。
【0221】
第一~四実施形態において第二管状部53は、利用者900の鼻穴910A,910Bに挿入する鼻挿入管状部として構成される態様を一例として説明したが、これに限定されるものではない。第二管状部53は、例えば、利用者900の鼻穴910A,910B又は口920に対向可能で、且つ主管状部54を通る気体を外部へ噴出可能な噴出口を有し、主管状部の途中に設けられる噴出部に拡張されてもよい。つまり、噴出部は、第二管状部53のように利用者900の鼻穴910A,910Bに挿入されるものは当然含まれるが、それだけではなく、利用者900の鼻穴910A,910Bに挿入されずに鼻穴910A,910Bの近傍で鼻穴910A,910Bに噴出口が対向するように配置されるものや、口920の近傍で口920に噴出口が対向するものも含む。このため、噴出部を有する呼吸補助具5は、鼻カニューレだけでなく、例えば、CPAPで用いられる鼻マスク、口マスク等をも含む。特に、第三~四実施形態における呼吸補助具及び呼吸補助装置は、結露により供給管3及び呼吸補助具5の内部に生じた水分の除去が機能の一つに含まれるので、鼻カニューレだけでなく、例えば、CPAPで用いられる鼻マスク、口マスク等にも有用である。また、噴出部は一つでだけであってもよいし、複数あってもよい。また、噴出部は、本実施形態のように管状に構成されてもよいし、第一管状部52の途中で第一管状部52の周壁を貫通する孔(噴出口)として構成されてもよい。
【0222】
<第五実施形態>
図33~
図35を参照して、本発明の第五実施形態における呼吸補助装置1について説明する。本実施形態において呼吸補助装置1は、第一~四実施形態における呼吸補助装置1に更に鼻下領域保護部11を備えたものである。利用者900が本実施形態における呼吸補助装置1を装着することで、利用者900の鼻下領域930の皮膚に長時間に亘って呼吸補助具側保持部60が接触した場合、鼻下領域930の皮膚において汗による不快感が利用者900に生じ得る。鼻下領域保護部11は、以上の利用者900の不快感を低減するためのものである。
【0223】
本実施形態における呼吸補助装置1を利用者900が装着した後、鼻下領域保護部11は、
図33(B)に示すように、呼吸補助具側保持部60と利用者900の鼻下領域930の間に介在して、呼吸補助具側保持部60から利用者900の鼻下領域930の皮膚表面を保護する。本実施形態において鼻下領域保護部11は、
図33(A),(B)に示すように、例えば、保護シート部110と、取付機構111を有する。
【0224】
本実施形態における呼吸補助装置1を利用者900が装着すると、保護シート部110は、利用者900の鼻下領域930と呼吸補助具側保持部60の間に介在しつつ、利用者900の鼻下領域930に当接して鼻下領域930を保護する。
図34(A),(B)に示すように、保護シート部110は、例えば、帯状のシートにより構成されるが、これに限定されるものではなく、その他の形状のシートであってもよい。保護シート部110は、利用者900の汗や、吸気または呼気に含まれる余分な水分を吸収可能な吸水性を有する吸水性材料、及び/又は、気体が通過可能な通気性材料により構成されることが好ましい。また、保護シート部110は、変形可能で、柔軟性及び/又は伸縮性のある材料により構成されることが好ましい。吸水性材料及び/又は通気性材料として、例えば、多孔質材料が一例として挙げられる。吸水性材料として、例えば、吸水ポリマーが挙げられる。吸水性材料及び/又は通気性材料として、例えば、織布、不織布、中空糸により形成される材料、多孔質吸水ポリマー、及び、スポンジ等の多孔質合成樹脂が挙げられる。保護シート部110の材料は、以上のように複数種類の中から選択できるが、保護シート部110は1つの多孔質材料で形成されても、複数の多孔質材料の組み合わせによって形成されてもよい。すなわち、保護シート部110は、少なくとも1つの上記材料で形成されていればよい。
【0225】
ここで、呼吸補助具側保持部60について補足説明する。
図33(A)において、保護シート部110が存在しない場合を仮定すると、呼吸補助具側保持部60の全部または一部は、利用者の鼻下領域930に直接接触する。この両者の直接接触領域を、以下、皮膚表面接触領域930Bと定義できる。保護シート部110は、この皮膚表面接触領域930Bの少なくとも一部に介在することで、呼吸補助具側保持部60と鼻下領域930を離反させる。結果、呼吸補助具側保持部60と鼻下領域930が直接接触する面積を低減できる。
【0226】
取付機構111は、
図33(A)に示すように、保護シート部110の一方の平面部110Aが、呼吸補助具側保持部60の裏側面60Bを向くように保護シート部110を取り付けるものである。なお、呼吸補助具側保持部60の裏側面60Bとは、利用者900側を向く面である。取付機構111は、例えば、保護シート部110に設けられる一対の被係合部112(
図34(A)参照)と、呼吸補助具側保持部60に設けられて、一対の被係合部112のそれぞれに係合する一対の係合部114(
図34(C)参照)と、を有する。なお、一対の被係合部112は、保護シート部110の帯長手方向の両端又はその近傍に設けられる。
【0227】
図34(A)に示すように、被係合部112は、ここでは紐状又は帯状に形成される部材であって、自身の両端が保護シート部110の帯幅方向に間隔を空けて保護シート部110に結合する。結果、被係合部112は、保護シート部110と協働して輪状に構成されることで、開孔が形成される。なお、被係合部112は、保護シート部110と同じ材料で構成されてもよいし、異なる材料で構成されてもよい。また、ここでは被係合部112がバンド形状(輪状又は筒状)となることで開孔を形成する場合を例示するが、本発明はこれに限定されず、有底のキャップ形状で開孔を形成しても良く、また、保護シート部110のシート材に形成されるスリット又は貫通孔によって開孔を形成しても良い。
【0228】
図34(C)に示すように、係合部114は、例えば、呼吸補助具側保持部60の端部近傍の表側面60Aと、供給管保持部61(基台部66)の段差面61Aとで構成される。段差面61Aは、取付面片61Bと、規制面片61Cと、対向面片61Dとを有する。取付面片61Bは、呼吸補助具側保持部60に供給管保持部61(基台部66)を取り付けた際、呼吸補助具側保持部60の表側面60Aに当接する面である。規制面片61Cは、取付面片61Bの端部に連続し、表側面60Aから離れる方向に起立する面である。対向面片61Dは、規制面片61Cの端部に連続し、呼吸補助具側保持部60の表側面60Aとの間に隙間空間を設けつつ、呼吸補助具側保持部60の端部に向かって延びる面である。対向面片61Dは、呼吸補助具側保持部60の長さ方向に沿って延びることが好ましい。
【0229】
より具体的には、係合部114は、規制面片61Cと、対向面片61Dと、呼吸補助具側保持部60の表側面60Aと、で取り囲まれる凹領域113を有する。規制面片61Cを基準とする対向面片61Dの遠位端と、表側面60Aの遠位端との間に形成される挿入口113Aから、被係合部112を凹領域113内に挿入可能である。結果、被係合部112の開孔に対して、呼吸補助具側保持部60の端部近傍が挿入されることになり、係合部114と被係合部112が引っ掛かる。結果、保護シート部110が呼吸補助具側保持部60に取り付けられる。
【0230】
なお、係合部114と被係合部112の係合態様は、上記のような態様に限定されるものではない。例えば、係合部114と被係合部112の係合態様として、呼吸補助具側保持部60と、保護シート部110が、帯長手方向に互いに係合する構造が好ましい。係合部114は、例えば、呼吸補助具側保持部60の両端側又はその近傍側から中央側に向かって、被係合部112の移動を規制する第一規制面(本実施形態では規制面片61Cに相当)を有する様々な構造も採用できる。また、例えば、係合部114と被係合部112の係合態様として、呼吸補助具側保持部60と、保護シート部110が、利用者900方向に互いに係合する構造が好ましい。係合部114は、例えば、利用者900側に向かって保護シート部110の離脱を防止する第二規制面(本実施形態では呼吸補助具側保持部60の表側面60Aに相当)を有する様々な構造を採用できる。更に係合部114と被係合部112の係合態様として、呼吸補助具側保持部60と、保護シート部110が、帯幅方向に互いに係合する構造が好ましい。これは、被係合部112の開孔と、これに挿入される呼吸補助具側保持部60の端部の引っ掛かりによって実現できる。以上の通り、一対の被係合部112のそれぞれを、対応する一対の係合部114のそれぞれに係合させる(引っ掛ける)ことにより、保護シート部110は、呼吸補助具側保持部60に取り付けられる。
【0231】
保護シート部110及び被係合部112の少なくとも一方が、伸縮性(弾性)を有する材料で構成されることが好ましい。本実施形態における保護シート部110を、取付機構111によって取り付けた際、
図33(A)に示すように、保護シート部110の両端又はその近傍が呼吸補助具側保持部60に接触する。一方、少なくとも保護シート部110の平面部110Aの中央領域は、呼吸補助具側保持部60の裏側面60Bから離れる。つまり、取り付け状態において、保護シート部110及び被係合部112における一対の取付機構111の間の距離S1は、裏側面60Bにおける一対の取付機構111の間の沿面距離(裏側面60Bに沿った距離)S2よりも小さく設定される。なお、
図33(A)において上記距離S1は、保護シート部110に沿う距離であり、保護シート部110及び被係合部112における一対の取付機構111の最短距離に相当する。この際、保護シート部110は、湾曲することなく真っ直ぐに延びた状態であることが好ましい。この状態であれば、保護シート部110に張力が作用した状態となり、呼吸補助具側保持部60から外れ難い。換言すると、取り外した状態(非伸長状態)における、保護シート部110における一対の被係合部112の間の距離(図示省略)は、取り付け状態の距離S1よりも小さく又は取り付け状態の距離S1以下に設定される。
【0232】
図33(B)に示すように、利用者900が、呼吸補助装置1を装着すると、保護シート部110及び/又は被係合部112が利用者900の鼻下領域930に押圧されることで更に伸長し、呼吸補助具側保持部60の裏側面60Bに向かって凸となるように変形する。結果、保護シート部110が、呼吸補助具側保持部60の裏側面60Bに接触する。つまり、保護シート部110及び被係合部112の帯長手方向の距離S1が、自身の伸長によって、裏側面60Bの沿面距離S2まで変形できるように構成されることが好ましい。
【0233】
利用者900が使用している最中は、保護シート部110及び被係合部112の少なくとも一方の復元力(弾性力)が作用する。この復元力によって、保護シート部110が利用者900に押圧される。結果、保護シート部110と利用者900の鼻下領域930のずれを抑止できる。なお、保護シート部110の帯幅は、
図34(B)に示すように、呼吸補助具側保持部60の帯幅以上に設定されることが好ましい。
【0234】
保護シート部110の帯長や帯幅は、利用者900が本実施形態における呼吸補助装置1を装着した際、鼻下領域930と呼吸補助具側保持部60が直接接触する面積を低減させることができれば、これに限定されない。即ち、保護シート部110は、呼吸補助具側保持部60と鼻下領域930の間の少なくとも一部に介在できれば良い。
【0235】
例えば、保護シート部110を取付機構111により取り付けた際、
図35(A)の第五実施形態の第一変形例に示すように、保護シート部110に張力が作用しない状態でもよい。この場合であっても、利用者900が呼吸補助装置1を装着すると、
図33(B)に示すように、保護シート部110及び/又は被係合部112が伸長して、保護シート部110に張力が印加される状態になることが好ましい。つまり、保護シート部110は、初期の取り付け状態では、張力が作用していない場合であっても、保護シート部110が呼吸補助具側保持部60の裏側面60Bに接触して装着完了となるまでのいずれかのタイミングで、張力が印加されればよい。
【0236】
また、第五実施形態では、呼吸補助具側保持部60の両端に配置される取付機構111のみによって保護シート部110を固定する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。
図35(B)の第五実施形態の第二変形例に示すように、呼吸補助具側保持部60の裏側面60Bの長手方向中央側に、保護シート部110を呼吸補助具側保持部60の裏側面60Bに固定する固定部111Aを追加的に設けることが好ましい。結果、保護シート部110を、取付機構111及び固定部111Aにより呼吸補助具側保持部60に取り付けた当初から、保護シート部110が呼吸補助具側保持部60の裏側面60Bに沿って湾曲する。
【0237】
なお、保護シート部110は、利用者900の顔940のいずれかの領域に当接し得るその他の医療用具にも適用可能である。第一~四実施形態では、装着部6(呼吸補助具側保持部60)が本医療用具に相当するが、本医療用具は、これに限定されるものではなく、利用者900の顔940のいずれかの領域に当接し得る医療用具の全てが本医療用具に含まれる。この場合でも、本医療用具を利用者900が装着すると、保護シート部110は、本医療用具と、本医療用具に対応する利用者900の顔940の領域の間に介在しつつ、本医療用具に対応する利用者900の顔940の領域に当接する。そして、本実施形態における説明を本医療用具にも適用する際、利用者900の鼻下領域930を本医療用具が当接し得る利用者900の顔940の領域に置き換え、呼吸補助具側保持部60を本医療用具に置き換えればよい。また、更に範囲を拡張して、医療用以外の用具にも本発明は適用可能である。
【0238】
尚、本発明の呼吸補助具、呼吸補助装置、及び水分除去部材は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。そして、第一~五実施形態の各構成要素を適宜、組み合わせた全ての組み合わせが本発明の呼吸補助具、呼吸補助装置及び水分除去部材に当然含まれる。
【符号の説明】
【0239】
1 呼吸補助装置
2 気体供給源
3 供給管
3A,3B 分岐管片
4 加湿器
5 呼吸補助具
6 装着部
7 気体滞留部
8 水分除去部
9 加熱部
10 揺動機構
10A 第一揺動機構片
10B 第二揺動機構片
11 鼻下領域保護部
16 接続部
50 気体案内部
51 連絡部
52 第一管状部
53,53A,53B 第二管状部(鼻挿入管状部)
54 主管状部
55 周壁
55A 対向領域
55B 反対側領域
60 呼吸補助具側保持部
61 供給管保持部
62 バンド部
63 凹部
64 拘束片
64A 凸面
64B 凹面
65 領域
70 排出開口
71 気体滞留管
72 閉塞部
73 カバー部
74 隙間
75 内部通路
80 内部側吸収部
82 吸水部材
81 露出部
81A 栓部
81B 外壁面
81C 内壁面
110 保護シート部
111 取付機構
170 谷領域
510 連絡管状部
511 連絡管状側保持部
512 保持本体部
512A 凸部
513 接続部
514 気体案内部側管状片
515 供給管側管状片
516 接続構造
517,517A,517B,517C,517D 係合部
518A,518B ストッパ
520 開口
521 内部通路
522 第一管状片
523 伸縮構造片
524 第二管状片
525 管本体部
526 縮径部
526A 最内面
526B 内部側近傍領域
526C 外部側近傍領域
527 出口開口
528 内部通路
529 連絡口
900 利用者
910 鼻
910A,910B 鼻穴
920 口
930 鼻下領域
940 顔
V 呼気通過領域
KR1 第一係合領域(第一軸方向係合領域)
KR2 第二係合領域(第二軸方向係合領域)
YK1 第一揺動係合領域
YK2 第二揺動係合領域
T1 中央区間
T2 端部区間