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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058573
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】フットウェア
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20240418BHJP
   A43B 3/12 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
A43B13/14 B
A43B3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120130
(22)【出願日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】P 2022165740
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松久 優花
(72)【発明者】
【氏名】矢野 晴嗣
(72)【発明者】
【氏名】平田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】波多野 元貴
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA11
4F050BA26
4F050BD02
4F050HA53
4F050HA55
4F050LA10
(57)【要約】
【課題】着用者の足との間での滑りが良好に担保できるフットウェアを提供する。
【解決手段】フットウェア1Aは、フットベッド部21を備える。フットベッド部21は、着用者の足の足裏を支持する支持領域26をその上面に有し、支持領域26は、複数の上面側突起部が並び立つように配設された上面側突起部形成領域30aを含む。複数の上面側突起部の各々の突出方向と直交する断面における最大外形寸法は、3.0mm以下である。複数の上面側突起部の各々の突出長さは、4.0mm以上13.0mm以下であり、上面側突起部形成領域30aにおける複数の上面側突起部の配設密度は、面積比率で10%以上100%以下である。複数の上面側突起部を構成する材料の弾性率は、0.1MPa以上100MPa以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フットベッド部を備えたフットウェアであって、
前記フットベッド部は、着用者の足の足裏を支持する支持領域をその上面に有し、
前記支持領域は、複数の上面側突起部が並び立つように配設された上面側突起部形成領域をその少なくとも一部に含み、
前記複数の上面側突起部の各々の突出方向と直交する断面における最大外形寸法が、3.0mm以下であり、
前記複数の上面側突起部の各々の突出長さが、4.0mm以上13.0mm以下であり、
前記上面側突起部形成領域における前記複数の上面側突起部の配設密度が、面積比率で10%以上100%以下であり、
前記複数の上面側突起部を構成する材料の弾性率が、0.1MPa以上100MPa以下である、フットウェア。
【請求項2】
前記複数の上面側突起部の各々の突出方向と直交する断面における最小外形寸法が、0.5mm以上である、請求項1に記載のフットウェア。
【請求項3】
前記フットベッド部が、前記複数の上面側突起部を含む前記上面側突起部形成領域を規定する規定部材を少なくとも有し、
前記規定部材が、三次元積層造形法にて造形された単一の造形物からなる、請求項1に記載のフットウェア。
【請求項4】
当該フットウェアが、着用者の足の足趾部および踏付け部を支持する前足部と、着用者の足の踏まず部を支持する中足部と、着用者の足の踵部を支持する後足部とを有し、
前記上面側突起部形成領域が、前記後足部に配置されている、請求項1に記載のフットウェア。
【請求項5】
当該フットウェアが、着用者の足の足趾部および踏付け部を支持する前足部と、着用者の足の踏まず部を支持する中足部と、着用者の足の踵部を支持する後足部とを有し、
前記上面側突起部形成領域が、着用者の足のMP関節に対応する部位の足裏を支持する領域である前記前足部と前記中足部との境界を跨ぐ領域に配置されている、請求項1に記載のフットウェア。
【請求項6】
当該フットウェアが、着用者の足の足趾部および踏付け部を支持する前足部と、着用者の足の踏まず部を支持する中足部と、着用者の足の踵部を支持する後足部とを有し、
前記上面側突起部形成領域が、前記前足部、前記中足部および前記後足部に跨がって配置されている、請求項1に記載のフットウェア。
【請求項7】
前記上面と前記複数の上面側突起部の各々とが成す角度が、90°である、請求項1に記載のフットウェア。
【請求項8】
前記複数の上面側突起部の各々が、根元側から先端側に向かうにつれて当該フットウェアの後端側から前端側に向けて傾斜しており、
前記上面と前記複数の上面側突起部の各々とが成す角度のうちの小さい方の角度が、20°以上90°未満である、請求項1に記載のフットウェア。
【請求項9】
前記複数の上面側突起部の各々が、根元側から先端側に向かうにつれて細くなる先細り形状を有している、請求項1に記載のフットウェア。
【請求項10】
装着状態において前記フットベッド部が取付けられるとともに、接地面が設けられたアウトソール部および着用者の足の足甲を覆うフットカバー部を少なくとも含むシェルをさらに備え、
前記フットベッド部は、前記装着状態において前記シェルによって支持される被支持領域をその下面に有し、
前記被支持領域は、複数の下面側突起部が並び立つように配設された下面側突起部形成領域を少なくとも一部に含み、
前記複数の下面側突起部の各々の突出方向と直交する断面における最大外形寸法が、3.0mm以上であり、
前記複数の下面側突起部の各々の突出長さが、2.0mm以下であり、
前記下面側突起部形成領域における前記複数の下面側突起部の配設密度が、面積比率で50%以上100%以下であり、
前記複数の下面側突起部を構成する材料の弾性率が、0.1MPa以上100MPa以下である、請求項1に記載のフットウェア。
【請求項11】
前記フットベッド部が、前記複数の上面側突起部を含む前記上面側突起部形成領域、および、前記複数の下面側突起部を含む前記下面側突起部形成領域を規定する規定部材を少なくとも有し、
前記規定部材が、三次元積層造形法にて造形された単一の造形物からなる、請求項10に記載のフットウェア。
【請求項12】
当該フットウェアが、着用者の足の足趾部および踏付け部を支持する前足部と、着用者の足の踏まず部を支持する中足部と、着用者の足の踵部を支持する後足部とを有し、
前記下面側突起部形成領域が、前記後足部の周縁に少なくとも配置されている、請求項10に記載のフットウェア。
【請求項13】
当該フットウェアが、着用者の足の足趾部および踏付け部を支持する前足部と、着用者の足の踏まず部を支持する中足部と、着用者の足の踵部を支持する後足部とを有し、
前記下面側突起部形成領域が、前記前足部、前記中足部および前記後足部に跨がって配置されている、請求項10に記載のフットウェア。
【請求項14】
前記下面側突起部形成領域が、前記フットベッド部の周縁に沿って周回するように配置されている、請求項10に記載のフットウェア。
【請求項15】
前記複数の下面側突起部の各々が、略円柱形状を有している、請求項10に記載のフットウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サンダルや靴等に代表されるようなフットウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2018-187363号公報(特許文献1)には、三次元積層造形法によって製作されたフットウェアのソールが開示されている。当該公報に開示のソールは、立体格子構造を単位構造とする三次元メッシュ構造体にて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-187363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フットウェアにおいて、フットベッド部と着用者の足との接触面積が大きい場合には、着用者の足との間で摩擦が大きくなる。そのため、着用者がフットウェアに足入れをする際に、フットベッド部と着用者の足との間が滑り難い問題がある。この問題は、たとえば、製造上の制約から材料選択の自由度が低い三次元積層造形法にてフットウェアが製作された場合において、特に顕著な問題となる。
【0005】
したがって、本開示は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、着用者の足との間での滑りが良好に担保できるフットウェアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に基づくフットウェアは、フットベッド部を備えている。上記フットベッド部は、着用者の足の足裏を支持する支持領域をその上面に有しており、上記支持領域は、複数の上面側突起部が並び立つように配設された上面側突起部形成領域をその少なくとも一部に含んでいる。上記複数の上面側突起部の各々の突出方向と直交する断面における最大外形寸法は、3.0mm以下である。また、上記複数の上面側突起部の各々の突出長さは、4.0mm以上13.0mm以下であり、上記上面側突起部形成領域における上記複数の上面側突起部の配設密度は、面積比率で10%以上100%以下である。さらに、上記複数の上面側突起部を構成する材料の弾性率は、0.1MPa以上100MPa以下である。
【0007】
ここで、上面側突起部形成領域における複数の上面側突起部の配設密度とは、上面側突起部形成領域と直交する方向から見た場合の、当該上面側突起部形成領域において1cmあたりに占める上面側突起部の根元部分の面積の割合を意味するものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、着用者の足との間での滑りが良好に担保できるフットウェアを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るフットウェアの斜視図である。
図2図1に示すフットウェアの平面図である。
図3図1に示すシェルの斜視図である。
図4図1に示すシェルの平面図である。
図5図1に示すシェルの図4中に示すV-V線に沿った模式断面図である。
図6図1に示すソール本体を右斜め上方前方側から見た斜視図である。
図7図1に示すソール本体を左斜め下方後方側から見た斜視図である。
図8図1に示すソール本体の平面図である。
図9図6に示すソール本体の上面側突起部の形状を説明するための図である。
図10図1に示すソール本体の上面側突起部形成領域の分布を示す模式平面図である。
図11図6に示すソール本体の図3に示すシェルへの装着方法を説明するための模式図である。
図12】第1ないし第3変形例に係るソール本体の上面側突起部形成領域の分布を示す模式平面図である。
図13】第4変形例に係るソール本体の上面側突起部の模式断面図である。
図14】第5ないし第20変形例に係るソール本体の上面側突起部の模式断面図である。
図15】第21変形例に係るフットウェアの底面図である。
図16】実施の形態2に係るフットウェアのソール本体の下面側突起部および下面側突起部形成領域の構成を説明するための模式図である。
図17】第22および第23変形例に係るソール本体の下面側突起部形成領域の分布を示す模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るフットウェアの斜視図であり、図2は、図1に示すフットウェアの平面図である。まず、これら図1および図2を参照して、本実施の形態に係るフットウェア1Aの概略的な構成について説明する。
【0012】
図1および図2に示すように、フットウェア1Aは、シェル10と、着用者の足の足裏を支持するフットベッド部21を含むソール本体20とを備えている。フットウェア1Aは、ソール本体20が後述するようにシェル10に装着された装着状態で使用されるものであり、これによってフットベッド部21がシェル10に取付けられる。本実施の形態に係るフットウェア1Aは、サンダルである。
【0013】
フットウェア1Aの着用時には、着用者の足裏が、ソール本体20の上面上に配置されることになる。そのため、ソール本体20は、シェル10と着用者の足裏とによって挟み込まれることになり、これによってソール本体20は、着用者の足を支持することになる。
【0014】
図2に示すように、フットウェア1Aは、平面視した場合に、着用者の足の足長方向に合致する前後方向(図2における図中上下方向)に沿って、着用者の足の足趾部および踏付け部を支持する前足部R1と、着用者の足の踏まず部を支持する中足部R2と、着用者の足の踵部を支持する後足部R3とに区画される。
【0015】
ここで、フットウェア1Aの前方側末端を基準とし、当該前方側末端からフットウェア1Aの前後方向の寸法の33.2%の寸法に相当する位置を第1境界位置とし、当該前方側末端からフットウェア1Aの前後方向の寸法の68.5%の寸法に相当する位置を第2境界位置とした場合に、前足部R1は、前後方向に沿って前方側末端と第1境界位置との間に含まれる部分に該当し、中足部R2は、前後方向に沿って第1境界位置と第2境界位置との間に含まれる部分に該当し、後足部R3は、前後方向に沿って第2境界位置とフットウェア1Aの後方側末端との間に含まれる部分に該当する。なお、第1境界位置は、標準的な体型の着用者のMP関節に概ね沿って延在し、第2境界位置は、標準的な体型の着用者のショパール関節に概ね沿って延在している。
【0016】
また、フットウェア1Aは、平面視した場合に、着用者の足の足幅方向に合致する左右方向(図中における左右方向)に沿って、足のうちの解剖学的正位における正中側(すなわち正中に近い側)に対応する内足側の部分(図中に示すS1側の部分)と、足のうちの解剖学的正位における正中側とは反対側(すなわち正中に遠い側)に対応する外足側の部分(図中に示すS2側の部分)とに区画される。
【0017】
なお、後述するフットウェア1Aの上下方向とは、偏平な形状を有するアウトソール部11の後述する基部12の厚み方向(すなわち、図5における図中上下方向)、および、ソール本体20の厚み方向に合致する方向を意味しており、より特定的には、上述した着用者の足の足長方向に合致する方向である前後方向ならびに上述した着用者の足の足幅方向に合致する方向である左右方向の双方に直交する方向である。
【0018】
図3は、図1に示すシェルの斜視図であり、図4は、図1に示すシェルの平面図である。図5は、図4中に示すV-V線に沿ったシェルの模式断面図である。次に、これら図3ないし図5ならびに前述の図1および図2を参照して、本実施の形態に係るシェル10の詳細な構成について説明する。
【0019】
図1ないし図5に示すように、シェル10は、接地面12a(図5参照)が設けられたアウトソール部11と、着用者の足の足甲を覆うフットカバー部15とを含んでいる。
【0020】
アウトソール部11は、偏平な形状を有する基部12と、基部12の周縁から立設された周壁部13とを有している。基部12の下底面は、地面や床面等に接地する接地面12aを規定する。周壁部13の内側面13aは、装着状態において、ソール本体20のフットベッド部21の周面22(図6等参照)を覆っている。
【0021】
フットカバー部15は、着用者の足の足甲を覆う部位であり、アウトソール部11の上方に位置している。本実施の形態に係るフットウェア1Aにおいては、フットカバー部15は、ストラップ状(すなわち帯状)の形状の部位を2つ有している。
【0022】
フットカバー部15は、前後方向に沿って見た場合に、概ね山なりの形状を有することとなるように左右方向に沿って延在している。フットカバー部15の一端は、周壁部13の内足側に位置する部分に接続されており、フットカバー部15の他端は、周壁部13の外足側に位置する部分に接続されている。
【0023】
これにより、フットカバー部15よりも後方に位置する部分の周壁部13とフットカバー部15の後端とによって履き口16が形成されるとともに、アウトソール部11とフットカバー部15との間に中空部が設けられることになる。そのため、ソール本体20の装着状態において、履き口16を介して中空部に着用者の足が挿入されることにより、フットウェア1Aの着用が可能になる。
【0024】
基部12には、その接地面12aを規定する部分と、上底面12bを規定する部分とに達する複数の貫通孔12cが設けられている。これら複数の貫通孔12cは、フットウェア1Aの着用時における通気性を確保する目的で設けられたものであるが、その詳細については後述することとする。なお、本実施の形態においては、2つの貫通孔12cが基部12に設けられている。
【0025】
2つの貫通孔12cは、フットウェア1Aの使用状態において比較的空気の滞留しやすい部分である、足幅方向における中央部に位置しかつ着用者の足の踏みつけ部に対応する部分と踵部に対応する部分とにそれぞれ配置されている。
【0026】
図3および図5に示すように、アウトソール部11の周壁部13の内側面13aには、被係合部14が複数設けられている。本実施の形態にあっては、前側被係合部14a、後側被係合部14b、内足側被係合部14cおよび外足側被係合部14dの合計で4つの被係合部14が設けられている。
【0027】
前側被係合部14aおよび後側被係合部14bは、それぞれアウトソール部11の前側部分および後側部分に設けられており、アウトソール部11の接地面12aと略平行な方向に沿ってシェル10の内側に向けて突出する突部にて構成されている。前側被係合部14aおよび後側被係合部14bは、それぞれソール本体20に設けられた後述する前側係合部23aおよび後側係合部23bに係合する部位である。
【0028】
内足側被係合部14cおよび外足側被係合部14dは、それぞれアウトソール部11の内足側の部分および外足側の部分に設けられており、接地面12aと略平行な方向に沿って周壁部13を貫通する欠除部としての孔部にて構成されている。内足側被係合部14cおよび外足側被係合部14dは、それぞれソール本体20に設けられた後述する内足側係合部23cおよび外足側係合部23dに係合する部位である。
【0029】
シェル10は、可撓性を有していれば基本的にどのような材料によって構成されていてもよいが、適度な強度を有していることが好ましい。当該観点から、シェル10は、樹脂材料またはゴム材料にて構成されていることが好ましい。より具体的には、シェル10を樹脂製とする場合には、たとえばエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマ(TPA、TPAE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)とすることができる。一方、シェル10をゴム製とする場合には、たとえばブタジエンゴムとすることができる。
【0030】
シェル10の製作方法は、特にこれが制限されるものではなく、たとえば射出成形や注型成形、あるいは三次元積層造形装置を用いた造形によって製作することができる。
【0031】
図6および図7は、それぞれ図1に示すソール本体を右斜め上方前方側および左斜め下方後方側から見た斜視図である。図8は、図1に示すソール本体の平面図である。図9は、図6に示すソール本体の上面側突起部の形状を説明するための図であり、図9(A)は、図6の上面側突起部形成領域の一部を拡大した要部拡大斜視図、図9(B)は、図9(A)中に示すVIIIIB-VIIIIB線に沿った模式断面図である。図10は、図1に示すソール本体の上面側突起部形成領域の分布を示す模式平面図である。次に、これら図6ないし図10ならびに前述の図1および図2を参照して、本実施の形態に係るソール本体20の詳細な構成について説明する。
【0032】
図1図2図6ないし図10に示すように、ソール本体20は、偏平な形状を有しており、その平面視した場合における外形は、アウトソール部11の基部12および周壁部13によって規定される空間の外形に概ね合致している。ソール本体20は、単一の部材からなる三次元メッシュ構造体にて構成されており、光造形方式の三次元積層造形法にて製作される造形物である。
【0033】
ソール本体20は、シェル10に着脱自在に取付けられるものであり、装着状態において着用者の足の足裏を支持するフットベッド部21を含んでいる。
【0034】
フットベッド部21は、その上面に、装着状態において着用者の足の足裏を支持する支持領域26を有し、その下面に、装着状態においてシェル10の基部12の上底面12bによって支持される被支持領域27を有している。
【0035】
フットベッド部21の周縁部は、その厚み方向の高さが、当該周縁部に対応する部分のアウトソール部11の周壁部13の高さよりも大きくなるように構成されている。そのため、図1に示すように、装着状態において、フットベッド部21の周縁部の上端部が、アウトソール部11の周壁部13の上端部よりも上方に位置することになり、これによりフットベッド部21の周面22の上端部分が外部に露出する。
【0036】
このように構成することにより、フットウェア1Aに優れた意匠性を付与できることとなる。また、アウトソール部11の周壁部13は、適度な強度を有しかつ上方に向けて立設されたものであるため、これが着用者の足裏に接触した場合には、足当たりの低下を招来するおそれがある。この点、柔軟性を有するフットベッド部21の周縁部の上端部がアウトソール部11の周壁部13の上端部よりも上方に位置することにより、着用者の足裏が周壁部13に直接接触することが防止できるため、結果として足当たりを向上させることが可能になる。なお、必ずしも装着状態においてフットベッド部21の周面22の上端部分が外部に露出している必要はなく、当該周面がアウトソール部11の周壁部13によって完全に覆われるように構成してもよい。
【0037】
図1図6ないし図8に示すように、フットベッド部21の周面22には、係合部23が複数設けられている。本実施の形態にあっては、前側係合部23a、後側係合部23b、内足側係合部23cおよび外足側係合部23dの合計で4つの係合部23が設けられている。
【0038】
前側係合部23aおよび後側係合部23bは、それぞれフットベッド部21の前側部分および後側部分に設けられており、ソール本体20の内側に向けて窪んだ欠除部としての窪み部にて構成されている。前側係合部23aおよび後側係合部23bは、それぞれアウトソール部11に設けられた前側被係合部14aおよび後側被係合部14bに係合する部位である。
【0039】
内足側係合部23cおよび外足側係合部23dは、それぞれフットベッド部21の内足側および外足側の部分に設けられており、ソール本体20の外側に向けて突出した突部にて構成されている。内足側係合部23cおよび外足側係合部23dは、それぞれアウトソール部11に設けられた内足側被係合部14cおよび外足側被係合部14dに係合する部位である。
【0040】
図6図8ないし図10に示すように、フットベッド部21の支持領域26は、複数の上面側突起部30が並び立つように配設された上面側突起部形成領域30aをその一部に含んでいる。これにより、着用者の足との間での滑りが良好に担保できるフットウェア1Aとすることが可能になるが、この点については後において詳述することとする。
【0041】
ソール本体20の材質としては、特にこれが制限されるものではないが、光造形方式の三次元積層造形法にて造形が可能な材質であるとともに、造形後のソール本体20が相応の柔軟性、伸び性、耐久性、弾性力、安定性等を有することとなるように、樹脂材料またはゴム材料であることが好ましい。より具体的には、ソール本体20を樹脂製とする場合には、たとえばポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアミド系熱可塑性エラストマ(TPA、TPAE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)とすることができる。一方、ソール本体20をゴム製とする場合には、たとえばブタジエンゴム(BR)とすることができる。
【0042】
ソール本体20は、ポリマー組成物にて構成することもできる。その場合にポリマー組成物に含有させるポリマーとしては、たとえばオレフィン系エラストマやオレフィン系樹脂等のオレフィン系ポリマーが挙げられる。オレフィン系ポリマーとしては、たとえばポリエチレン(たとえば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-4-メチル-1-ペンテン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体、エチレン-4-メチル-ペンテン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、1-ブテン-1-ヘキセン共重合体、1-ブテン-4-メチル-ペンテン、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、プロピレン-メタクリル酸共重合体、プロピレン-メタクリル酸メチル共重合体、プロピレン-メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン-メタクリル酸ブチル共重合体、プロピレン-メチルアクリレート共重合体、プロピレン-エチルアクリレート共重合体、プロピレン-ブチルアクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、プロピレン-酢酸ビニル共重合体のポリオレフィン等が挙げられる。
【0043】
また、上記ポリマーは、たとえばアミド系エラストマやアミド系樹脂等のアミド系ポリマーであってもよい。アミド系ポリマーとしては、たとえばポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610等が挙げられる。
【0044】
また、上記ポリマーは、たとえばエステル系エラストマやエステル系樹脂等のエステル系ポリマーであってもよい。エステル系ポリマーとしては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0045】
また、上記ポリマーは、たとえばウレタン系エラストマやウレタン系樹脂等のウレタン系ポリマーであってもよい。ウレタン系ポリマーとしては、たとえばポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン等が挙げられる。
【0046】
また、上記ポリマーは、たとえばスチレン系エラストマやスチレン系樹脂等のスチレン系ポリマーであってもよい。スチレン系エラストマとしては、スチレン-エチレン-ブチレン共重合体(SEB)、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、SBSの水素添加物(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS))、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、SISの水素添加物(スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体(SEPS))、スチレン-イソブチレン-スチレン共重合体(SIBS)、スチレン-ブタジエン-スチレン-ブタジエン(SBSB)、スチレン-ブタジエン-スチレン-ブタジエン-スチレン(SBSBS)等が挙げられる。スチレン系樹脂としては、たとえばポリスチレン、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)等が挙げられる。
【0047】
また、上記ポリマーは、たとえばポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系ポリマー、ウレタン系アクリルポリマー、ポリエステル系アクリルポリマー、ポリエーテル系アクリルポリマー、ポリカーボネート系アクリルポリマー、エポキシ系アクリルポリマー、共役ジエン重合体系アクリルポリマーならびにその水素添加物、ウレタン系メタクリルポリマー、ポリエステル系メタクリルポリマー、ポリエーテル系メタクリルポリマー、ポリカーボネート系メタクリルポリマー、ポリエステル系ウレタンアクリレート、ポリカーボネート系ウレタンアクリレート、ポリエーテル系ウレタンアクリレート、エポキシ系メタクリルポリマー、共役ジエン重合体系メタクリルポリマーならびにその水素添加物、ポリ塩化ビニル系樹脂、シリコーン系エラストマ、ブタジエンゴム、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等であってもよい。
【0048】
ソール本体20は、柔軟性のある履き心地を呈する材料にて構成されていることが好ましいことから、上述した材料種の中でも、特にウレタンアクリレートにてこれが構成されていることが好ましい。ウレタンアクリレートにてソール本体20を構成した場合には、耐久性や伸び性に優れたものになるばかりでなく、十分な弾性力を有するものにもなる。なお、前述のとおり、ソール本体20は、光造形方式の三次元積層造形法にて製作されるものである。
【0049】
ソール本体20は、三次元メッシュ構造体にて構成されている。三次元メッシュ構造体とは、内部に中空部を含む単位構造が隣り合うように繰り返し複数配列されてなるものである。このような単位構造としては、所定方向に沿って延在する複数の柱状部が相互に接続されてなる立体的形状を有する立体格子構造や、所定方向に沿って延在する複数の壁状部が相互に接続されてなる立体的形状を有する立体壁構造、内部に中空部が規則的に配列されてなる立体的形状を有する構造等が挙げられる。
【0050】
単位構造を規定する立体格子構造としては、複数の柱状部の各々が、隣接する柱状部とその延在方向が交差するように構成されたもの等が利用できる。このような立体格子構造としては、直方体格子、ダイヤモンド格子、八面体格子、ダブルピラミッド格子、フローライト型格子、あるいは、これら格子に各種のサポートが付加されたもの等、各種の構造体の適用が可能である。
【0051】
単位構造を規定する立体壁構造としては、並行する一対の曲面によって外形が規定される壁にて形作られた立体的形状のものを利用してもよく、その場合の具体例としては、たとえば、ジャイロイド構造、シュワルツP構造、シュワルツD構造等の三重周期極小曲面を基準にこれに厚みを付けたもの等が利用できる。さらには、単位構造を規定する立体壁構造としては、並行する一対の平面によって外形が規定される壁にて形作られた立体的形状のものを利用してもよく、その場合の具体例としては、たとえば、オクテット構造やキュービック構造等に厚みを付けたものが挙げられる。
【0052】
ソール本体20を上述した如くの三次元メッシュ構造体にて構成する際には、必要に応じて個々の単位構造を歪めることで当該三次元メッシュ構造体の外形形状がソール本体20の外形形状に合致した形状となるようにすることが好ましい。このようにすれば、ソール本体20の外側表面を滑らかな形状にすることが可能になる。
【0053】
このようにソール本体20を三次元メッシュ構造体にて構成することにより、ソール本体20に高い変形能をもたせることが可能になる。そのため、緩衝性能に優れた履き心地のよいソールとすることができるとともに、フットウェア1Aの着用時の安定性が高められたソールとすることも可能になる。また、ソール本体20が上記構成を有していることにより、その大きさに比して軽量のソールとすることもでき、さらには、通気性に優れたソールとすることもできる。
【0054】
ソール本体20は、弾性率が0.1MPa以上100MPa以下である弾性材料にて構成されている。これにより、ソール本体20のフットベッド部21に荷重が印加された場合(すなわち、着地時や踏み出し時等)に、フットベッド部21が高い緩衝性能を発揮することになり、足圧を効果的に分散させることが可能になる。
【0055】
図6図8ないし図10に示すように、ソール本体20のフットベッド部21の支持領域26は、複数の上面側突起部30が並び立つように配設された上面側突起部形成領域30aをその一部に含んでいる。
【0056】
図9(A)および図9(B)に示すように、複数の上面側突起部30は、いずれも、根元側から先端側に向かうにつれて細くなりかつ先端部が丸みを帯びた先細り形状を有している。複数の上面側突起部30の各々の突出方向と直交する断面形状は、略円形状とされるが、特にこれに限定されるものではなく、略楕円形状、略矩形状、多角形状等であってもよい。
【0057】
また、フットベッド部21の上面と、複数の上面側突起部30の各々とが成す角度は、90°である。これにより、上面側突起部30の造形精度の向上を図ることができる。
【0058】
複数の上面側突起部30の各々の突出方向と直交する断面における最大外形寸法(図9(B)中の寸法D参照)は、3.0mm以下のものとされている。
【0059】
さらに、本実施の形態に係るソール本体20のように、複数の上面側突起部30の各々が、先端部が丸みを帯びた先細り形状を有する場合にあっては、複数の上面側突起部30の各々の突出方向における全長のうちの根元側から90%以内に含まれる部分において、突出方向と直交する断面における最小外形寸法が0.5mm以上とされることが好ましい。これにより、上面側突起部30の造形精度の向上を図ることが可能になる。なお、この効果は、後述する第4,11~13,15~18,20変形例に係るソール本体20A4,20A11~20A13,20A15~20A18,20A20においても同様に奏される。
【0060】
また、複数の上面側突起部30は、各々の突出長さH(図9(B)参照)が、4.0mm以上13.0mm以下とされている。
【0061】
図10に示すように、上面側突起部形成領域30aは、支持領域26のうちの、当該支持領域26の周縁部のうちの前端側、後端側および外足側に位置する部分を除く、全ての領域に配置されている。
【0062】
上面側突起部形成領域30aにおける複数の上面側突起部30の配設密度は、面積比率で10%以上100%以下とされている。
【0063】
なお、上記複数の上面側突起部30の配設密度とは、上面側突起部形成領域30aと直交する方向から見た場合の、当該上面側突起部形成領域30aにおいて1cmあたりに占める上面側突起部30の根元部分の面積の割合を意味するものである。
【0064】
上面側突起部形成領域30aは、複数の上面側突起部30の配設密度が相対的に高い領域である密領域30a1と、上記配設密度が相対的に低い領域である疎領域30a2とを含んでいる。疎領域30a2は、上面側突起部形成領域30aのうちの、前足部R1、中足部R2および後足部R3に跨がりかつ内足側に位置する領域(すなわち、着用者の踏まず部の内足側の部分に対応する領域)に位置しており、密領域30a1は、その余の領域に位置している。
【0065】
フットベッド部21は、上面側突起部形成領域30aを規定する規定部材を有しており、本実施の形態においては、当該規定部材は、上述した三次元積層造形法にて造形された単一の造形物であるソール本体20の一部を構成するものである。また、上述したように、ソール本体20は、弾性率が0.1MPa以上100MPa以下である弾性材料にて構成されている。
【0066】
すなわち、複数の上面側突起部30を構成する材料は、ソール本体20と同様、弾性率が0.1MPa以上100MPa以下である弾性材料にて構成されている。
【0067】
図11は、図6に示すソール本体の図3に示すシェルへの装着方法を説明するための模式図である。次に、この図11を参照して、本実施の形態に係るフットウェア1Aにおけるソール本体20のシェル10への装着方法について説明する。
【0068】
図11に示すように、フットウェア1Aの使用に際しては、ソール本体20が、シェル10に設けられた履き口16を介して当該シェル10の中空部に挿入される。このようにしてソール本体20がシェル10に挿入されることにより、フットベッド部21の下面に位置する被支持領域27(図7参照)が、アウトソール部11の基部12の上底面12b上に載置されてこれによって支持されるとともに、フットベッド部21の周面22が、アウトソール部11の周壁部13の内側面13aに面するように配置されることになる。また、アウトソール部11の基部12に設けられた複数の貫通孔12cが、フットベッド部21の下面に面することになる。
【0069】
また、ソール本体20のシェルへの挿入に際しては、フットウェア1Aの前側部分において、ソール本体20の前側係合部23aとアウトソール部11の前側被係合部14aとが係合され、フットウェア1Aの後側部分において、ソール本体20の後側係合部23bとアウトソール部11の後側被係合部14bとが係合される。さらに、フットウェア1Aの内足側の部分において、ソール本体20の内足側係合部23cとアウトソール部11の内足側被係合部14cとが係合され、フットウェア1Aの外足側の部分において、ソール本体20の外足側係合部23dとアウトソール部11の外足側被係合部14dとが係合される。
【0070】
これら複数の係合部23と複数の被係合部14とが係合することにより、ソール本体20をシェル10に対して強固に固定することが可能になる。そのため、三次元メッシュ構造体からなるソール本体20を接着剤を用いずに組み込むことができるフットウェア1Aとすることができる。
【0071】
ここで、本実施の形態に係るフットウェア1Aにおいては、上述したように、複数の上面側突起部30の各々の突出方向と直交する断面における最大外形寸法が、3.0mm以下のものとされている。また、複数の上面側突起部30の各々の突出長さが、4.0mm以上13.0mm以下とされており、上面側突起部形成領域30aにおける複数の上面側突起部30の配設密度が、面積比率で10%以上100%以下とされている。さらには、複数の上面側突起部30を構成する材料の弾性率が、0.1MPa以上100MPa以下とされている。
【0072】
これらの条件を満たすことにより、上面側突起部形成領域30aと着用者の足との間の接触面積を飛躍的に低減することが可能になる。さらに、これらの条件を満たすことにより、複数の上面側突起部30が適度な柔らかさを有するものとなるため、着用者の足入れの際にこれらが適宜変形することになる。
【0073】
そのため、着用者がフットウェア1Aに足入れをする際に、着用者の足が上面側突起部形成領域30a上を滑らかに移動できることになり、結果としてフットウェア1Aへの足入れを容易かつ快適に行なうことが可能になる。
【0074】
したがって、このように構成することにより、着用者の足との間での滑りが良好に担保できるフットウェアを提供することが可能になる。
【0075】
また、本実施の形態に係るフットウェア1Aにおいては、足入れの際のみならず着用後においても、上述の如く接触面積が低減されるため、フットウェア1Aの使用状態における通気性を向上させることができる。そのため、上面側突起部形成領域30aと着用者の足との間の空間に熱がこもることも抑制することができる。
【0076】
さらに、本実施の形態に係るフットウェア1Aにおいては、上述したように、アウトソール部11の基部12に、複数の貫通孔12cが設けられており、これら複数の貫通孔12cは、三次元メッシュ構造体からなるフットベッド部21の下面に面している。
【0077】
このように構成することにより、通気性に優れたフットベッド部21の下方に、複数の貫通孔12cが位置することになる。そのため、フットウェア1Aの使用状態においてアウトソール部11の基部12と着用者の足裏との間に滞留する空気を、フットベッド部21の上方からだけでなく下方からも排出可能になり、結果としてフットウェア1Aの使用状態における良好な通気性を確保することができる。
【0078】
また、これら複数の貫通孔12cは、上述したように、フットウェア1Aの使用状態において比較的空気の滞留しやすい部分である、足幅方向における中央部に位置しかつ着用者の足の踏みつけ部に対応する部分と踵部に対応する部分とにそれぞれ配置されている。これにより、より通気性に優れたフットウェア1Aとすることが可能になる。
【0079】
貫通孔12cは、上底面12b側から接地面12a側に向かうにつれて先細る先細り形状を有していてもよい。このように構成した場合には、接地面12a側から異物が混入することを効果的に防止できる。
【0080】
さらに、本実施の形態に係るフットウェア1Aにおいては、上面側突起部形成領域30aのうちの、着用者の踏まず部の内足側の部分に対応する領域に、複数の上面側突起部30の配設密度が相対的に低い領域である疎領域30a2が配置されている。
【0081】
このように構成することにより、支持領域26の全面において良好な滑りを担保しつつ、着用者の足裏のうちの特に敏感な部分である踏まず部と上面側突起部30との接触を減らすことで着用者が感じる違和感を低減することが可能になる。また、このように構成することにより、上面側突起部形成領域30aの全面を密領域30a1とする場合に比べ、ソール本体20の軽量化を図ることができる。
【0082】
また、本実施の形態に係るフットウェア1Aは、上述したように、サンダルとして用いられるものである。サンダルは、着用者がその着脱を頻繁に行なうものであるという製品としての性質上、とりわけ足入れの容易性および快適性が求められる。したがって、上述の如くサンダルとしてのフットウェア1Aを滑りが良好に担保されたものとすることにより、製品としての付加価値を飛躍的に向上させることが可能になる。
【0083】
なお、上述した本実施の形態に係るフットウェア1Aにおいては、ソール本体20が、光造形方式の三次元積層造形法にて製作される場合について説明したが、ソール本体20の製作方法は、特にこれが制限されるものではなく、たとえば射出成形や注型成形等によって製作されてもよい。
【0084】
また、上述した本実施の形態に係るフットウェア1Aにおいては、上面側突起部形成領域30aのうちの、着用者の踏まず部の内足側の部分に対応する領域に疎領域30a2が配置されている場合について説明したが、当該領域は、必ずしもこれが疎領域30a2とされる必要はなく、当該領域における複数の上面側突起部30の配設密度は、着用者の足のアーチ高さ等に応じて適宜変更してもよい。
【0085】
(第1ないし第3変形例)
図12(A)ないし図12(C)は、それぞれ第1ないし第3変形例に係るソール本体の上面側突起部形成領域の分布を示す模式平面図である。以下、この図12を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第1ないし第3変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A1~20A3について説明する。
【0086】
図12(A)ないし図12(C)に示すように、実施の形態1に基づいた第1ないし第3変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A1~20A3は、上述した実施の形態1に係るフットウェア1Aに用いられるソール本体20と比較した場合に、上面側突起部形成領域30aの分布のみが相違している。なお、ソール本体20A1~20A3においては、上面側突起部形成領域30aが、上述した密領域30a1のみを含んでいる。
【0087】
図12(A)に示すように、第1変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A1においては、上面側突起部形成領域30aが、後足部R3にのみ配置されている(図2参照)。後足部R3は、足入れ時に着用者の足裏が最も接触しやすい領域であり、かつ、最も大きな荷重が加わる領域であるため、足入れを容易かつ快適に行なう観点からは特に滑りが良好に担保されることが求められる領域である。
【0088】
そのため、このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになり、着用者の足との間での滑りが良好に担保できるフットウェアを提供することが可能になる。
【0089】
図12(B)に示すように、第2変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A2においては、上面側突起部形成領域30aが、後足部R3と、着用者の足のMP関節に対応する部位の足裏を支持する領域である前足部R1と中足部R2との境界を跨ぐ領域にも配置されている。これらの領域は、支持領域26のうち、足入れ時に最も大きな荷重が加わる領域であるため、足入れを容易かつ快適に行なう観点からは特に滑りが良好に担保されることが求められる領域である。
【0090】
そのため、このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになり、着用者の足との間での滑りが良好に担保できるフットウェアを提供することが可能になる。
【0091】
図12(C)に示すように、第3変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A3においては、上面側突起部形成領域30aが、前足部R1、中足部R2および後足部R3に跨がって配置されている。
【0092】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになり、着用者の足との間での滑りが良好に担保できるフットウェアを提供することが可能になる。
【0093】
(第4変形例)
図13は、第4変形例に係るソール本体の上面側突起部の模式断面図である。以下、この図13を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第4変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A4について説明する。
【0094】
図13に示すように、第4変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A2は、上述した実施の形態1に係るフットウェア1Aに用いられるソール本体20と比較した場合に、上面側突起部30の形状が相違している。
【0095】
より詳細には、ソール本体20A4においては、複数の上面側突起部30の各々が、根元側から先端側に向かうにつれてフットウェアの後端側から前端側に向けて傾斜している。また、フットベッド部21の上面と、複数の上面側突起部30の各々とが成す角度のうちの小さい方の角度(すなわち、図13中に示す角度θ)が、20°以上90°未満である。
【0096】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになり、着用者の足との間での滑りが良好に担保できるフットウェアを提供することが可能になる。
【0097】
また、このように構成することにより、着用者がフットウェアを脱着する際に、着用者の足の脱着方向に対して抗う方向に複数の上面側突起部30が突出することになる。そのため、着用者の足裏に対してこれら複数の上面側突起部30による抗力が加わることによって脱着され難くなり、結果として、足入れが容易であってかつ意図せず脱着されることが効果的に抑制されたフットウェアとすることが可能になる。
【0098】
なお、上述の如く傾斜する複数の上面側突起部30は、着用者がフットウェアを脱着する際に足裏が最も接触しやすい領域である中足部R2および後足部R3のうちのいずれか一方のみに設けられてもよい。また、複数の上面側突起部30の傾斜方向および傾斜角度は、各々が配置される位置毎に適宜変更可能である。
【0099】
(第5ないし第20変形例)
図14(A)ないし図14(P)は、それぞれ第5ないし第20変形例に係るソール本体の上面側突起部の模式断面図である。以下、この図14を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第5ないし第20変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A5~20A20について説明する。
【0100】
図14(A)ないし図14(P)に示すように、実施の形態1に基づいた第5ないし第20変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A5~20A20は、上述した実施の形態1に係るフットウェア1Aに用いられるソール本体20と比較した場合に、上面側突起部30の形状が相違している。
【0101】
図14(A)に示すように、第5変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A5においては、複数の上面側突起部30の各々が、根元側から先端側に向かうにつれて細くなりかつ先端部が尖った先細り形状を有している。
【0102】
図14(B)に示すように、第6変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A6においては、複数の上面側突起部30の各々が、根元側から先端側にかけてこれを平面視した場合の外形が一定のものである。
【0103】
図14(C)に示すように、第7変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A7においては、複数の上面側突起部30の各々が、根元から当該根元よりも先端側に位置する所定の位置にかけてこれを平面視した場合の外形が一定であり、かつ、当該所定の位置から先端に向かうにつれて細くなる形状を有するものである。また、複数の上面側突起部30は、いずれも、先端が尖った形状を有している。
【0104】
図14(D)に示すように、第8変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A8においては、複数の上面側突起部30の各々が、根元から当該根元よりも先端側に位置する所定の位置に向かうにつれてこれを平面視した場合の外形が大きくなり、かつ、当該所定の位置から先端に向かうにつれて上記外形が小さくなるものである。また、複数の上面側突起部30は、いずれも、先端が平らな形状を有している。
【0105】
図14(E)に示すように、第9変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A9においては、複数の上面側突起部30の各々が、根元から当該根元よりも先端側に位置する所定の位置に向かうにつれてこれを平面視した場合の外形が小さくなり、かつ、当該所定の位置から先端に向かうにつれて上記外形が大きくなるものである。
【0106】
図14(F)に示すように、第10変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A10においては、複数の上面側突起部30の各々が、根元部と、先端部と、これらの間に位置する中間部分とを有している。
【0107】
根元部は、根元から先端側に向かうにつれてこれを平面視した場合の外形が大きくなるものである。先端部は、根元側から先端に向かうにつれて上記外形が小さくなるものである。中間部分は、上面側突起部30の突出方向において上記外形が一定のものである。
【0108】
図14(G)に示すように、第11変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A11においては、複数の上面側突起部30の各々が、根元から当該根元よりも先端側に位置する所定の位置にかけてこれを平面視した場合の外形が一定であり、かつ、当該所定の位置から先端に向かうにつれて細くなる形状を有するものである。また、複数の上面側突起部30は、いずれも、先端が丸みを帯びた形状を有している。
【0109】
図14(H)に示すように、第12変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A12においては、複数の上面側突起部30の各々が、根元から当該根元よりも先端側に位置する所定の位置に向かうにつれてこれを平面視した場合の外形が大きくなり、かつ、当該所定の位置から先端に向かうにつれて上記外形が小さくなるものである。また、複数の上面側突起部30は、いずれも、先端が丸みを帯びた形状を有している。
【0110】
図14(I)に示すように、第13変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A13においては、複数の上面側突起部30の各々が、根元部と、先端部とを有している。
【0111】
根元部は、これを平面視した場合に、その突出方向における両端部の外形に比べ、中央部の外形の方が大きくなる形状を有している。同様に、先端部もまた、その突出方向における両端部の外形に比べ、中央部の外形の方が大きくなる形状を有している。
【0112】
図14(J)に示すように、第14変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A14においては、複数の上面側突起部30の各々が、根元部と先端部とを有している。先端部は、根元部の先端部側の部分から、当該根元部の突出方向と直交する方向に向けて突出している。
【0113】
図14(K)に示すように、第15変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A15においては、複数の上面側突起部30の各々が、根元部と先端部とを有しており、当該先端部が、半球状の形状を有している。
【0114】
図14(L)に示すように、第16変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A16においては、複数の上面側突起部30の各々が、根元部と先端部とを有しており、当該先端部が、球状の形状を有している。
【0115】
図14(M)に示すように、第17変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A17においては、複数の上面側突起部30の各々が、根元部と先端部とを有している。先端部は、半球状の形状を有しており、根元部は、その突出方向における2箇所において、当該突出方向と直交する方向に向けて突出する突条部を含んでいる。突条部の先端は、丸みを帯びた形状を有している。
【0116】
図14(N)に示すように、第18変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A18においては、複数の上面側突起部30の各々が、根元部と、当該根元部の突出方向と直交はしないものの当該突出方向と交差する方向に向けて根元部から突出する3つの突条部を含んでいる。3つの突条部の先端は、平らな形状を有している。
【0117】
図14(O)に示すように、第19変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A19においては、複数の上面側突起部30の各々が、根元部と、当該根元部の突出方向と直交する方向に向けて根元部から突出する3つの突条部を含んでいる。3つの突条部のうちの1つは、根元部の先端側の部分に配置されている。3つの突条部の先端は、平らな形状を有している。
【0118】
図14(P)に示すように、第20変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20A20においては、複数の上面側突起部30の各々が、根元部と先端部とを有している。先端部は、略楕円球状の形状を有している。根元部は、これを平面視した場合の外形が、先端部から遠ざかるにつれて大きくなる形状を有している。そのため、本変形例における上面側突起部30は、根元部と先端部との境界において括れ部を有している。
【0119】
これら第5ないし第20変形例に係るフットウェアのように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになり、着用者の足との間での滑りが良好に担保できるフットウェアを提供することが可能になる。
【0120】
また、第5ないし第7変形例に係るフットウェアのように構成した場合には、複数の上面側突起部30の各々が、先細り形状であるか、あるいは、根元側から先端側にかけてこれを平面視した場合の外形が一定のものとなる。これにより、上面側突起部形成領域30aと着用者の足との間の接触面積を低減できるため、着用者の足との間での滑りがより良好に担保でき、かつ、より通気性に優れたフットウェアとすることが可能になる。ここで、複数の上面側突起部30の各々の硬度をより低くした場合には、その先端が変形し易くなるため、着用者が足裏において柔らかさを感じることができることになる。一方で、複数の上面側突起部30の各々の硬度をより高くした場合には、着用者が足裏において局所的な刺激を感じることができることになる。
【0121】
さらに、第8ないし第10変形例、第12変形例、第13変形例および第20変形例に係るフットウェアのように構成した場合には、複数の上面側突起部30の各々が、括れ部を有するものとなる。これにより、複数の上面側突起部30の各々が、当該括れ部を起点として変形し易くなるため、着用者が足裏において柔らかさを感じることができることになる。
【0122】
また、第11変形例、第15変形例、第16変形例および第20変形例に係るフットウェアのように構成した場合には、複数の上面側突起部30の各々の先端が丸みを帯びた形状を有するものとなる。これにより、着用者が足裏において感じる刺激を緩和できることになる。
【0123】
さらに、第14変形例に係るフットウェアのように構成した場合には、複数の上面側突起部30の各々を平面視した場合の外形が先端において最大となる。これにより、着用者の足裏との接触面積が比較的大きくなり、結果として着用者が足裏において感じる刺激を緩和できることになる。
【0124】
また、第17および第18変形例に係るフットウェアのように構成した場合には、複数の上面側突起部30の各々の先端が丸みを帯びた形状を有し、かつ、括れ部を有するものとなる。これにより、着用者が足裏において感じる刺激を緩和できるだけでなく、柔らかさを感じることができることになる。
【0125】
さらに、第19変形例に係るフットウェアのように構成した場合には、複数の上面側突起部30の各々を平面視した場合の外形が先端において最大となり、かつ、複数の上面側突起部30の各々が括れ部を有するものとなる。これにより、着用者が足裏において感じる刺激を緩和できるだけでなく、柔らかさを感じることができることになる。
【0126】
また、第5および第7変形例に係るフットウェアのように、複数の上面側突起部の各々が、先端部が尖った先細り形状を有する場合にあっては、複数の上面側突起部の各々の突出方向における全長のうちの根元側から80%以内に含まれる部分において、突出方向と直交する断面における最小外形寸法が0.5mm以上とされることが好ましい。これにより、上面側突起部の造形精度の向上を図ることが可能になる。
【0127】
さらに、第6,8~10,14,19変形例に係るフットウェアのように、複数の上面側突起部の各々が、先端部が先細り形状を有しない場合にあっては、複数の上面側突起部の各々の突出方向における全長にわたり、突出方向と直交する断面における最小外形寸法が0.5mm以上とされることが好ましい。これにより、上面側突起部の造形精度の向上を図ることが可能になる。
【0128】
(第21変形例)
図15は、第21変形例に係るフットウェアの底面図である。以下、この図15を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第21変形例に係るフットウェア1A21に用いられるシェル10A21について説明する。
【0129】
図15に示すように、実施の形態1に基づいた第21変形例に係るフットウェア1A21に用いられるシェル10A21は、上述した実施の形態1に係るフットウェア1Aに用いられるシェル10と比較した場合に、基部12の構成が相違している。
【0130】
より詳細には、第21変形例に係るフットウェア1A21に用いられるシェル10A21においては、基部12に、上述した複数の貫通孔12cに加えて、さらに複数の補助貫通孔12dが設けられている。
【0131】
複数の補助貫通孔12dは、複数の貫通孔12cと同様に、基部12の接地面12aを規定する部分と、上底面12bを規定する部分とに達するように当該基部12に設けられるものである。これら複数の補助貫通孔12dは、基部12の全面において点在して配置されている。
【0132】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになり、着用者の足との間での滑りが良好に担保できるフットウェアを提供することが可能になる。
【0133】
また、このように構成することにより、フットウェアの使用状態におけるより良好な通気性を確保することが可能になる。
【0134】
(実施の形態2)
図16は、実施の形態2に係るフットウェアのソール本体の下面側突起部および下面側突起部形成領域の構成を説明するための模式図であり、図16(A)は、下面側突起部の形状を説明するための模式断面図、図16(B)は、ソール本体の下面側突起部形成領域の分布を示す模式平面図である。以下、この図16を参照して、本実施の形態に係るフットウェアに用いられるソール本体20Bについて説明する。なお、図16(B)においては、紙面奥側に位置するフットベッド部21の下面のみを透過的に図示している(後述する図17においても同様である)。
【0135】
図16(A)および図16(B)に示すように、本実施の形態に係るフットウェアに用いられるソール本体20Bは、上述した実施の形態1に係るフットウェア1Aと比較した場合に、フットベッド部21がその下面に有する上述した被支持領域27(図7参照)が、複数の下面側突起部40が並び立つように配設された下面側突起部形成領域40aをその一部に含んでいる点が相違している。
【0136】
図16(A)に示すように、複数の下面側突起部40は、いずれも、略円柱形状を有している。複数の下面側突起部40の各々の突出方向と直交する断面における最大外形寸法は、3.0mm以上のものとされている。また、複数の下面側突起部40は、各々の突出長さH1が、2.0mm以下とされている。なお、下面側突起部40の形状は、特にこれが略円柱形状に限定されるものではなく、略円錐形状や略角錐形状、略角柱状等であってもよい。
【0137】
図16(B)に示すように、下面側突起部形成領域40aは、後足部R3の周縁に配置されている。下面側突起部形成領域40aにおける複数の下面側突起部40の配設密度は、面積比率で50%以上100%以下とされている。
【0138】
ここで、上述した上面側突起部形成領域30aを規定する規定部材は、下面側突起部形成領域40aも規定するものであり、本実施の形態においては、当該規定部材は、上述した三次元積層造形法にて造形された単一の造形物であるソール本体20Bの一部を構成するものである。また、ソール本体20Bは、弾性率が0.1MPa以上100MPa以下である弾性材料にて構成されている。
【0139】
すなわち、複数の下面側突起部40を構成する材料は、弾性率が0.1MPa以上100MPa以下である弾性材料にて構成されている。
【0140】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになり、着用者の足との間での滑りが良好に担保できるフットウェアを提供することが可能になる。
【0141】
また、上述の如く下面側突起部40および下面側突起部形成領域40aを構成することにより、フットウェアの着用時において、複数の下面側突起部40が、アウトソール部11の基部12の上底面12bとの間で比較的大きな接触面積を担保できることになる。さらに、これら複数の下面側突起部40は、適度な柔らかさを有するものとされるため、フットウェアの着用時において、着用者の荷重によって押し潰された状態で上底面12bに圧接触することになる。
【0142】
したがって、このように構成することにより、ソール本体20Bがアウトソール部11の基部12に対して滑ることが効果的に防止できることになるため、着用時の安定性が高められたフットウェアとすることができる。
【0143】
(第22および第23変形例)
図17(A)および図17(B)は、それぞれ第22および第23変形例に係る下面側突起部形成領域の分布を示す模式平面図である。以下、この図17を参照して、上述した実施の形態2に基づいた第22および第23変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20B22,20B23について説明する。
【0144】
図17(A)および図17(B)に示すように、実施の形態2に基づいた第22および第23変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20B22,20B23は、上述した実施の形態2に係るフットウェアに用いられるソール本体20Bと比較した場合に、下面側突起部形成領域40aの分布のみが相違している。
【0145】
図17(A)に示すように、第22変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20B22においては、下面側突起部形成領域40aが、前足部R1、中足部R2および後足部R3に跨がって配置されている。
【0146】
図17(B)に示すように、第23変形例に係るフットウェアに用いられるソール本体20B23においては、下面側突起部形成領域40aが、フットベッド部21の周縁に沿って周回するように配置されている。この領域は、被支持領域27のうち、着用者の足圧が比較的低い領域である。
【0147】
これら第22および第23変形例に係るフットウェアのように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになり、着用者の足との間での滑りが良好に担保できるフットウェアを提供することが可能になる。
【0148】
さらに、これら第22および第23変形例に係るフットウェアのように構成した場合にも、上述した実施の形態2において説明した効果と同様の効果が得られることになり、ソール本体20B22,20B23がアウトソール部11の基部12に対して滑ることが効果的に防止できることになり、結果として、着用時の安定性が高められたフットウェアとすることができる。
【0149】
(態様)
上述した実施の形態において開示したフットウェアの特徴的な構成を要約すると、以下のとおりとなる。
【0150】
[態様1]
本開示の一態様に係るフットウェアは、フットベッド部を備えたものであって、
上記フットベッド部は、着用者の足の足裏を支持する支持領域をその上面に有し、
上記支持領域は、複数の上面側突起部が並び立つように配設された上面側突起部形成領域をその少なくとも一部に含み、
上記複数の上面側突起部の各々の突出方向と直交する断面における最大外形寸法が、3.0mm以下であり、
上記複数の上面側突起部の各々の突出長さが、4.0mm以上13.0mm以下であり、
上記上面側突起部形成領域における上記複数の上面側突起部の配設密度が、面積比率で10%以上100%以下であり、
上記複数の上面側突起部を構成する材料の弾性率が、0.1MPa以上100MPa以下であること、を含む。
【0151】
このように構成することにより、上面側突起部形成領域と着用者の足との間の接触面積を飛躍的に低減することが可能になる。さらに、このように構成することにより、複数の上面側突起部が適度な柔らかさを有するものとなるため、着用者の足入れの際にこれらが適宜変形することになる。そのため、着用者がフットウェアに足入れをする際に、着用者の足が上面側突起部形成領域上を滑らかに移動できることになり、結果としてフットウェアへの足入れを容易かつ快適に行なうことが可能になる。したがって、このように構成することにより、着用者の足との間での滑りが良好に担保できるフットウェアを提供することが可能になる。
【0152】
[態様2]
上記態様1に記載のフットウェアにおいて、上記複数の上面側突起部の各々の突出方向と直交する断面における最小外形寸法が、0.5mm以上であってもよい。
【0153】
このように構成することにより、上面側突起部の造形精度の向上を図ることが可能になる。
【0154】
[態様3]
上記態様1または2に記載のフットウェアにおいて、上記フットベッド部が、上記複数の上面側突起部を含む上記上面側突起部形成領域を規定する規定部材を少なくとも有し、
上記規定部材が、三次元積層造形法にて造形された単一の造形物からなってもよい。
【0155】
このように構成することにより、フットウェアを構成する部品点数を少なくすることができる。
【0156】
[態様4]
上記態様1から3のいずれかに記載のフットウェアが、着用者の足の足趾部および踏付け部を支持する前足部と、着用者の足の踏まず部を支持する中足部と、着用者の足の踵部を支持する後足部とを有し、
上記上面側突起部形成領域が、上記後足部に配置されていてもよい。
【0157】
後足部は、足入れ時に着用者の足裏が最も接触しやすい領域であり、かつ、最も大きな荷重が加わる領域であるため、足入れを容易かつ快適に行なう観点からは特に滑りが良好に担保されることが求められる領域である。したがって、このように構成することにより、着用者の足との間での滑りが良好に担保できるフットウェアを提供することが可能になる。
【0158】
[態様5]
上記態様1から3のいずれかに記載のフットウェアが、着用者の足の足趾部および踏付け部を支持する前足部と、着用者の足の踏まず部を支持する中足部と、着用者の足の踵部を支持する後足部とを有し、
上記上面側突起部形成領域が、着用者の足のMP関節に対応する部位の足裏を支持する領域である上記前足部と上記中足部との境界を跨ぐ領域に配置されていてもよい。
【0159】
これらの領域は、支持領域のうち、足入れ時に最も大きな荷重が加わる領域であるため、足入れを容易かつ快適に行なう観点からは特に滑りが良好に担保されることが求められる領域である。したがって、このように構成することにより、着用者の足との間での滑りが良好に担保できるフットウェアを提供することが可能になる。
【0160】
[態様6]
上記態様1から3のいずれかに記載のフットウェアが、着用者の足の足趾部および踏付け部を支持する前足部と、着用者の足の踏まず部を支持する中足部と、着用者の足の踵部を支持する後足部とを有し、
上記上面側突起部形成領域が、上記前足部、上記中足部および上記後足部に跨がって配置されていてもよい。
【0161】
このように構成することにより、着用者の足との間での滑りが良好に担保できるフットウェアを提供することが可能になる。
【0162】
[態様7]
上記態様1から6のいずれかに記載のフットウェアにおいて、前記上面と前記複数の上面側突起部の各々とが成す角度が、90°であってもよい。
【0163】
このように構成することにより、上面側突起部の造形精度の向上を図ることが可能になる。
【0164】
[態様8]
上記態様1から6のいずれかに記載のフットウェアにおいて、上記複数の上面側突起部の各々が、根元側から先端側に向かうにつれて当該フットウェアの後端側から前端側に向けて傾斜しており、
上記上面と上記複数の上面側突起部の各々とが成す角度のうちの小さい方の角度が、20°以上90°未満であってもよい。
【0165】
このように構成した場合には、着用者がフットウェアを脱着する際に、着用者の足の脱着方向に対して抗う方向に複数の上面側突起部が突出することになる。したがって、このように構成することにより、着用者の足裏に対してこれら複数の上面側突起部による抗力が加わることによって脱着され難くなり、結果として、足入れが容易であってかつ意図せず脱着されることが効果的に抑制されたフットウェアとすることが可能になる。
【0166】
[態様9]
上記態様1から8のいずれかに記載のフットウェアにおいて、上記複数の上面側突起部の各々が、根元側から先端側に向かうにつれて細くなる先細り形状を有していてもよい。
【0167】
このように構成することにより、上面側突起部形成領域と着用者の足との間の接触面積を低減できるため、着用者の足との間での滑りがより良好に担保でき、かつ、より通気性に優れたフットウェアとすることが可能になる。
【0168】
[態様10]
上記態様1から9のいずれかに記載のフットウェアは、装着状態において上記フットベッド部が取付けられるとともに、接地面が設けられたアウトソール部および着用者の足の足甲を覆うフットカバー部を少なくとも含むシェルをさらに備え、
上記フットベッド部は、上記装着状態において上記シェルによって支持される被支持領域をその下面に有し、
上記被支持領域は、複数の下面側突起部が並び立つように配設された下面側突起部形成領域を少なくとも一部に含み、
上記複数の下面側突起部の各々の突出方向と直交する断面における最大外形寸法が、3.0mm以上であり、
上記複数の下面側突起部の各々の突出長さが、2.0mm以下であり、
上記下面側突起部形成領域における上記複数の下面側突起部の配設密度が、面積比率で50%以上100%以下であり、
上記複数の下面側突起部を構成する材料の弾性率が、0.1MPa以上100MPa以下であってもよい。
【0169】
このように構成することにより、フットウェアの着用時において、複数の下面側突起部が、アウトソール部との間で比較的大きな接触面積を担保できることになる。さらに、これら複数の下面側突起部は、適度な柔らかさを有するものとされるため、フットウェアの着用時において、着用者の荷重によって押し潰された状態でアウトソール部に圧接触することになる。したがって、このように構成することにより、フットベッド部がアウトソール部に対して滑ることが効果的に防止できることになるため、着用時の安定性が高められたフットウェアとすることができる。
【0170】
[態様11]
上記態様10に記載のフットウェアにおいて、上記フットベッド部が、上記複数の上面側突起部を含む上記上面側突起部形成領域、および、上記複数の下面側突起部を含む上記下面側突起部形成領域を規定する規定部材を少なくとも有し、
上記規定部材が、三次元積層造形法にて造形された単一の造形物からなってもよい。
【0171】
このように構成することにより、フットウェアを構成する部品点数を少なくすることができる。
【0172】
[態様12]
上記態様10または11に記載のフットウェアが、着用者の足の足趾部および踏付け部を支持する前足部と、着用者の足の踏まず部を支持する中足部と、着用者の足の踵部を支持する後足部とを有し、
上記下面側突起部形成領域が、上記後足部の周縁に少なくとも配置されていてもよい。
【0173】
このように構成することにより、フットベッド部がアウトソール部に対して滑ることが効果的に防止できることになるため、着用時の安定性が高められたフットウェアとすることができる。
【0174】
[態様13]
上記態様10または11に記載のフットウェアが、着用者の足の足趾部および踏付け部を支持する前足部と、着用者の足の踏まず部を支持する中足部と、着用者の足の踵部を支持する後足部とを有し、
上記下面側突起部形成領域が、上記前足部、上記中足部および上記後足部に跨がって配置されていてもよい。
【0175】
このように構成することにより、フットベッド部がアウトソール部に対して滑ることが効果的に防止できることになるため、着用時の安定性が高められたフットウェアとすることができる。
【0176】
[態様14]
上記態様10または11に記載のフットウェアにおいて、上記下面側突起部形成領域が、上記フットベッド部の周縁に沿って周回するように配置されていてもよい。
【0177】
このように構成することにより、フットベッド部がアウトソール部に対して滑ることが効果的に防止できることになるため、着用時の安定性が高められたフットウェアとすることができる。
【0178】
[態様15]
上記態様10から14のいずれかに記載のフットウェアにおいて、上記複数の下面側突起部の各々が、略円柱形状を有していてもよい。
【0179】
このように構成することにより、下面側突起部の造形精度の向上を図ることが可能になる。
【0180】
(その他の形態等)
上述した実施の形態およびその変形例においては、フットウェアが、シェルとソール本体とによって構成されたサンダルであり、かつ、当該ソール本体がフットベッド部を備える場合を例示して説明を行なったが、全体として略偏平な形状のソールと、着用者の足の足裏を除く部分を覆う袋状の形状のアッパーと、フットベッド部を備えた中敷きとによって構成された靴としてのフットウェアに、本開示を適用してもよい。
【0181】
また、上述した本開示の実施の形態およびその変形例において示した各部の形状や構成、大きさ、数、材質等は、本開示の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変更が可能である。
【0182】
さらに、上述した本開示の実施の形態およびその変形例において示した特徴的な構成は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において当然に相互に組み合わせることができる。
【0183】
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0184】
1A,1A21 フットウェア、10,10A21 シェル、11 アウトソール部、12 基部、12a 接地面、12b 上底面、12c 貫通孔、12d 補助貫通孔、13 周壁部、13a 内側面、14 被係合部、14a 前側被係合部、14b 後側被係合部、14c 内足側被係合部、14d 外足側被係合部、15 フットカバー部、16 履き口、20,20A1~20A20,20B,20B22,20B23 ソール本体、21 フットベッド部、22 周面、23 係合部、23a 前側係合部、23b 後側係合部、23c 内足側係合部、23d 外足側係合部、26 支持領域、27 被支持領域、30 上面側突起部、30a 上面側突起部形成領域、30a1 密領域、30a2 疎領域、40 下面側突起部、40a 下面側突起部形成領域、R1 前足部、R2 中足部、R3 後足部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17