(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058580
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】バルーンカテーテルおよびバルーンの拡張方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20240418BHJP
【FI】
A61M25/10 520
A61M25/10 542
A61M25/10 510
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134120
(22)【出願日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】P 2022164734
(32)【優先日】2022-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】594170727
【氏名又は名称】日本ライフライン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】森 謙二
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA07
4C267AA28
4C267CC09
4C267CC20
4C267CC21
4C267CC22
4C267CC23
4C267EE03
(57)【要約】
【課題】被拡張部を効果的に拡張できるバルーンカテーテル等を提供する。
【解決手段】バルーンカテーテル1は、基端側から先端側に向かう軸方向に延びるシャフト2と、シャフト2の先端側に取り付けられ、当該シャフト2の基端側から供給される流体によって拡張可能なバルーン3と、シャフト2の内部に設けられ、バルーン3内の先端部に流体を供給する先端部拡張ルーメン24Lと、シャフト2の内部に設けられ、バルーン3内の基端部に流体を供給する基端部拡張ルーメン23Lと、を備える。バルーン3は、先端部拡張ルーメン24Lおよび基端部拡張ルーメン23Lから同時に供給される流体によって、先端部と基端部の間の中間部においてくびれ部322を有するくびれ形状に拡張する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側から先端側に向かう軸方向に延びるシャフトと、
前記シャフトの先端側に取り付けられ、当該シャフトの基端側から供給される流体によって拡張可能なバルーンと、
を備え、
前記シャフトは、前記バルーン内の先端部に前記流体を供給する先端部拡張ルーメンと、前記バルーン内の基端部に前記流体を供給する基端部拡張ルーメンと、を内部に備える、
バルーンカテーテル。
【請求項2】
前記先端部と前記基端部の間の中間部には、前記流体による拡張圧に対して、前記先端部および前記基端部より大きい抵抗を付与する拡張抵抗構造が設けられる、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
前記拡張抵抗構造では、拡張前の前記バルーンの収縮形状において、前記中間部の径が前記先端部および前記基端部より小さい、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
前記中間部における前記拡張抵抗構造は、前記先端部および前記基端部と異なる前記バルーンの表面の性状によって構成される、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項5】
前記シャフトのうち前記先端部拡張ルーメンが設けられる部分は、前記バルーン内の先端部において終端し、
前記シャフトのうち前記基端部拡張ルーメンが設けられる部分は、前記バルーン内の基端部において終端する、
請求項1から4のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
【請求項6】
前記基端部拡張ルーメンは、前記先端部拡張ルーメンおよび前記基端部拡張ルーメンの基端部に前記流体を供給する流体供給部において前記先端部拡張ルーメンより長く形成される、請求項1から4のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
【請求項7】
前記シャフトにおける前記バルーンの基端部より基端側には、当該シャフトの基端側から供給される流体を通す単一の拡張ルーメンが設けられ、
前記シャフトにおける前記バルーンの基端部より先端側では、前記単一の拡張ルーメンが前記先端部拡張ルーメンおよび前記基端部拡張ルーメンに連通する、
請求項1から4のいずれかに記載のバルーンカテーテル。
【請求項8】
バルーン内において先端部および基端部から流体を同時に供給することによって、前記バルーンを前記先端部と前記基端部の間の中間部においてくびれ部を有するくびれ形状に拡張させる、
バルーンの拡張方法。
【請求項9】
前記くびれ形状に拡張させた後、前記バルーン内に更に前記流体を供給することによって、前記くびれ部と前記先端部と前記基端部の径の差を縮小させる、請求項8に記載のバルーンの拡張方法。
【請求項10】
基端側から先端側に向かう軸方向に延びるシャフトと、
前記シャフトの先端側に取り付けられ、当該シャフトの基端側から供給される流体によって拡張可能なバルーンと、
を備え、
前記シャフトは、前記軸方向と直交する断面内に、第1の速度で軸方向に流体を流す第1の領域と、前記第1の速度とは異なる第2の速度で軸方向に流体を流す第2の領域とを備える、
バルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バルーンカテーテル等に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、検査や治療のために体内に挿入される医療用の管である。特に、体内で拡張可能なバルーンを備えるカテーテルはバルーンカテーテルと呼ばれる。バルーンカテーテルは、血管、気管、消化管、総胆管、膵管等の体内の管状器官やそれらの接続部(出入口)、検査や治療のために体内に形成される孔(例えば胃や十二指腸球部から総胆管に穿刺される孔)等における被拡張部や狭窄部を拡張するために使用される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被拡張部を跨ぐように配置したバルーンを拡張させる場合、例えば基端側から拡張が開始して被拡張部と接触すると、バルーンは押し戻される力を受けて被拡張部から離脱する恐れがあった。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、被拡張部を効果的に拡張できるバルーンカテーテル等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のバルーンカテーテルは、基端側から先端側に向かう軸方向に延びるシャフトと、シャフトの先端側に取り付けられ、当該シャフトの基端側から供給される流体によって拡張可能なバルーンと、を備え、シャフトは、バルーン内の先端部に流体を供給する先端部拡張ルーメンと、バルーン内の基端部に流体を供給する基端部拡張ルーメンと、を内部に備える。
【0007】
本発明の別の態様は、バルーンの拡張方法である。この方法は、バルーン内において先端部および基端部から流体を同時に供給することによって、バルーンを先端部と基端部の間の中間部においてくびれ部を有するくびれ形状に拡張させる。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、これらの表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラム等に変換したものも、本発明に包含される。
【発明の効果】
【0009】
本開示のバルーンカテーテル等によれば、被拡張部を効果的に拡張できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】乳頭を拡張対象とするEPBDの概要を模式的に示す。
【
図2】バルーンカテーテルの外観を模式的に示す側面図である。
【
図3】バルーンが取り付けられるシャフトの先端側の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図4】バルーンが乳頭に対して位置決めされる態様を模式的に示す。
【
図7】バルーンが狭窄部に対して位置決めされる態様を模式的に示す。
【
図9】第2実施形態によるバルーンカテーテルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下では実施形態とも表す)について詳細に説明する。説明および/または図面においては、同一または同等の構成要素、部材、処理等に同一の符号を付して重複する説明を省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明の簡易化のために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。実施形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施形態に記載される全ての特徴やそれらの組合せは、必ずしも本発明の本質的なものであるとは限らない。
【0012】
第1実施形態では、被拡張部としての乳頭(ファーター乳頭または十二指腸乳頭部)を拡張する内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD:Endoscopic Papillary Balloon Dilatation)に用いられるバルーンカテーテルを例に説明する。
【0013】
図1は、乳頭91を拡張対象とするEPBDの概要を模式的に示す。内視鏡10は、鉗子チャンネル11およびカメラ12を備える。内視鏡10は、口から十二指腸90内に挿入されている。鉗子チャンネル11を通じて体内に挿入されるバルーンカテーテル1は、管状のシャフト2と、その先端側部分(十二指腸90側部分または体内側部分)に取り付けられているバルーン3を備える。バルーン3は、その基端側(口側または体外側)から供給される滅菌蒸留水や生理食塩水に適宜造影剤を混合した拡張流体によって拡張可能である。なお、検査や治療の目的に照らして適切な場合は、拡張流体としてその他の液体や空気等の気体を使用してもよい。
【0014】
バルーンカテーテル1を目的部位(検査部位または治療部位)に送り込むのに先立ち、目的部位に通じる経路としての総胆管92や膵管93の内部には、鉗子チャンネル11を通じて小径のガイドワイヤ6が予め挿入されている。十二指腸90と総胆管92および膵管93との間には被拡張部または開口部としての乳頭91が存在する。乳頭91の開口径に比べて十分に小径なガイドワイヤ6は、乳頭91内を通過して総胆管92または膵管93の内部に進入できる。この際、内視鏡10の操作者は、乳頭91に対向するように配置されるカメラ12から得られる画像を確認しながら、ガイドワイヤ6を乳頭91内に挿入できる。
【0015】
シャフト2の内部には、基端部から先端部まで貫通してガイドワイヤ6が挿通可能な長尺のワイヤルーメン(孔)が形成されている。バルーンカテーテル1を乳頭91に配置するのに先立って、乳頭91を経由してガイドワイヤ6を十二指腸90から総胆管92または膵管93の内部に挿入する。シャフト2の後述するワイヤルーメンの先端部(開口端221)をガイドワイヤ6の体外側の基端部から挿入することによって、ガイドワイヤ6によって案内されるシャフト2の先端部のバルーン3が乳頭91に向かう。図示の状態から更にシャフト2をガイドワイヤ6に沿って進行させ、乳頭91の位置に到達したバルーン3を拡張流体によって拡張させて乳頭91を内側から押し広げる。乳頭91内でバルーン3を拡張させることで、通常はオッディ括約筋(または胆膵管膨大部括約筋)によって収縮している乳頭91が広がる。乳頭91を広げることにより、例えば総胆管92内にできた総胆管結石を乳頭91から効果的に取り出せる。
【0016】
乳頭91を拡張した後、拡張流体を体外側に排出することでバルーン3は収縮され、内視鏡10の鉗子チャンネル11を通じてシャフト2と共に体外に取り出される。バルーンカテーテル1が体外に取り出された後、必要に応じて総胆管結石を乳頭91から十二指腸90内または体外に取り出す等の別の医療処置のための別の鉗子または胆道鏡等の医療器具がガイドワイヤ6に案内されながら拡張された乳頭91を通って総胆管92または膵管93内に挿入される。
【0017】
図2は、本実施形態に係るバルーンカテーテル1の外観を模式的に示す側面図である。基端側(
図2における右側)から先端側(
図2における左側)に向かう軸方向(左右方向)に延びる可撓性のシャフト2の体内側の先端部(左端部)にはバルーン3が取り付けられている。
図3は、バルーン3が取り付けられるシャフト2の先端側の構成を模式的に示す斜視図である。
図2および
図3は完全拡張状態にあるバルーン3を示す。
【0018】
図2に示すようにシャフト2は、管状のアウターシャフト21(シャフト2を構成する外側の管)と、ガイドワイヤ6が通るワイヤルーメンが内部に設けられる管状のインナーシャフト22(シャフト2を構成する内側の管)を備える。バルーンカテーテル1は、バルーン3は拡張態様または拡張形態の異なる三つの部分、すなわち先端から基端に向かう順に、先端側テーパ部31、中間部32、基端側テーパ部33を備える。先端側テーパ部31は、インナーシャフト22の外周と略同径の先端部311から基端側の中間部32に向かって最大拡張径が大きくなるテーパ状に形成される。基端側テーパ部33は、アウターシャフト21の外周と略同径の基端部331から先端側の中間部32に向かって最大拡張径が大きくなるテーパ状に形成される。
【0019】
図示の例では、シャフト2(インナーシャフト22)の先端(開口端221)と基端(ガイドワイヤポート72)を結ぶ方向(以下では軸方向、長さ方向、左右方向とも表し、当該方向の寸法を長さとも表す)において、先端側テーパ部31の長さと基端側テーパ部33の長さが略等しいが、これらは有意に異なっていてもよい。また、図示の例では、軸方向に直交する任意の方向(以下では径方向、拡張方向、直交方向とも表し、当該方向の寸法を径や拡張径とも表す)において、先端部311と基端部331からそれぞれ等しい距離だけ軸方向に離れた点における先端側テーパ部31の拡張径と基端側テーパ部33の拡張径が略等しい(換言すれば、先端側テーパ部31と基端側テーパ部33の傾きが略等しい)が、これらは有意に異なっていてもよい。先端側テーパ部31の基端部312の最大拡張径と基端側テーパ部33の先端部332の最大拡張径が略等しい図示の例では、両部を軸方向に連結する中間部32が略一定の最大拡張径を有する直管部となる。
【0020】
シャフト2(アウターシャフト21)の基端側または体外側にはポート部7が設けられる。ポート部7には、拡張流体ポート71およびガイドワイヤポート72が設けられる。
【0021】
拡張流体ポート71には、バルーン3を拡張させるための流体、具体的には滅菌蒸留水や生理食塩水に適宜造影剤を混合した拡張流体が供給される。拡張流体ポート71は、
図3に示されるように、アウターシャフト21の内部に設けられる拡張ルーメン(基端部拡張ルーメン23Lおよび先端部拡張ルーメン24L)を介して、バルーン3の内部空間21Bと連通している。拡張流体ポート71から内部空間21Bに拡張流体が供給されるとバルーン3は拡張する。また、拡張流体ポート71から内部空間21Bの拡張流体が排出されるとバルーン3は収縮する。なお、拡張流体ポート71は、アウターシャフト21の内部に設けられる拡張ルーメンのうち、先端部拡張ルーメン24Lと基端部拡張ルーメン23Lについて個別に設けられてもよい。この場合、先端部拡張ルーメン24Lに連通する先端部用拡張流体ポートから供給される拡張流体によってバルーン3の先端部が優先的に拡張され、基端部拡張ルーメン23Lに連通する基端部用拡張流体ポートから供給される拡張流体によってバルーン3の基端部が優先的に拡張される。
【0022】
ガイドワイヤポート72には、
図1に関して前述したように、バルーン3を乳頭91等の目的部位に導くためのガイドワイヤ6が挿入される。ガイドワイヤポート72は、インナーシャフト22の内部に設けられる後述のワイヤルーメンと連通している。インナーシャフト22は、シャフト2においてバルーン3が設けられない基端側においてはアウターシャフト21の中央ルーメン(後述)内を通る。バルーン3内では、後述するようにアウターシャフト21が段階的に終端するため、その先端部(先端側テーパ部31)においてシャフト2は最終的にインナーシャフト22のみとなる。インナーシャフト22は、バルーン3の内部空間21Bを軸方向に貫通して、バルーンカテーテル1全体の先端である開口端221において終端する。このように、インナーシャフト22の内部には、基端部のガイドワイヤポート72から先端部の開口端221まで貫通して、ガイドワイヤ6が挿通可能な軸方向のワイヤルーメンが形成されている。
図1に関して前述したように、ガイドワイヤ6が乳頭91を経由して総胆管92または膵管93の内部に挿入されている状態で、ワイヤルーメンの先端部であるインナーシャフト22の開口端221をガイドワイヤ6の体外側の基端部から挿入することによって、ガイドワイヤ6によって案内されるシャフト2の先端部のバルーン3が乳頭91に向かう。
【0023】
バルーン3の乳頭91に対する位置決めを容易にするために、バルーン3の中間部32の両端部(312、332)に対応する軸方向位置においてアウターシャフト21の外周に設けられる一対の造影マーカ222、223を用いてもよい。EPBDの手技中に造影マーカ222、223の位置を確認することによって、バルーン3の乳頭91に対する位置をリアルタイムで確認できる。
【0024】
バルーン3より基端側に延びるシャフト2の一部は、径方向の外側のアウターシャフト21と、径方向の内側のインナーシャフト22によって構成される。具体的には、大管状のアウターシャフト21の内部の径方向の中央に形成されている中央ルーメン21Lまたはメインルーメンに、小管状のインナーシャフト22が通される。前述の通り、インナーシャフト22は、バルーン3内を軸方向に貫通して、開口端221まで延びる。インナーシャフト22の内部には、ガイドワイヤ6が通るワイヤルーメン22Lが形成されている。アウターシャフト21の先端側のバルーン取付部211の外周にはバルーン3の基端部が取り付けられる。バルーン取付部211の外径をアウターシャフト21の他の部分の外径よりバルーン3の厚さに相当する分だけ小さくすることで、バルーン取付部211に取り付けられたバルーン3の基端部と、それより基端側のアウターシャフト21の間に段差が生じることを防止できる。
【0025】
軸方向において、アウターシャフト21の一部はバルーン3の基端部(中間部32の基端側または基端側テーパ部33)内における基端側端面21Pにおいて終端し、アウターシャフト21の他の一部はバルーン3の先端部(中間部32の先端側または先端側テーパ部31)内における先端側端面21Dにおいて終端する。つまり、アウターシャフト21は、バルーン3内で軸方向において異なる位置に設けられた2つの終端面を有する。図示の例では、軸方向視で円環状(その中央に中央ルーメン21Lが形成されてインナーシャフト22が通る)のアウターシャフト21の半分が基端側端面21Pにおいて終端し、残りの半分が先端側端面21Dにおいて終端する。このように、基端側端面21Pと先端側端面21Dの間の軸方向区間では、アウターシャフト21の軸方向視断面の半分のみが延在している。この軸方向区間では、インナーシャフト22の外周の半分が、軸方向視で半円環状のアウターシャフト21の半分によって支持される。以下では、軸方向視のアウターシャフト21において、基端側端面21Pが設けられる部分を上半分または北半球とも表し、先端側端面21Dが設けられる部分を下半分または南半球とも表す。
【0026】
基端側端面21P(北半球)では、一または複数の基端部拡張ルーメン23Lの先端が、バルーン3の基端部内に開口している。同様に、先端側端面21D(南半球)では、一または複数の先端部拡張ルーメン24Lの先端が、バルーン3の先端部内に開口している。図示の例では、アウターシャフト21の北半球において中央の中央ルーメン21Lを囲むように複数の基端部拡張ルーメン23Lが周方向に沿って形成されている。アウターシャフト21の南半球において中央の中央ルーメン21Lを囲むように複数の先端部拡張ルーメン24Lが周方向に沿って形成される。従って、完全な円環状のアウターシャフト21と中央のインナーシャフト22によって構成されるバルーン3より基端側のシャフト2では、複数の基端部拡張ルーメン23Lと複数の先端部拡張ルーメン24Lによって、中央の中央ルーメン21Lの外周が囲まれている。
【0027】
基端部拡張ルーメン23Lおよび先端部拡張ルーメン24Lの基端部は、いずれも拡張流体ポート71(
図2)と連通している。拡張流体ポート71から拡張流体が供給されると、基端部拡張ルーメン23Lがバルーン3の基端部内に拡張流体を供給し、先端部拡張ルーメン24Lがバルーン3の先端部内に拡張流体を供給する。この結果、バルーン3は、その軸方向中央の中間部32より先に両端部(基端部および先端部)から拡張を開始する。
【0028】
図4は、本実施形態に係るバルーンカテーテル1のバルーン3が、被拡張部としての乳頭91に対して位置決めされる態様を模式的に示す。不図示のガイドワイヤ6にガイドされて乳頭91の位置に到達したバルーン3は、不図示の拡張流体ポート71から供給される拡張流体によって拡張を開始する。この拡張流体は、バルーン3の先端側(先端側テーパ部31内)の先端部拡張ルーメン24L(先端側端面21D)の開口端、および、バルーン3の基端側(基端側テーパ部33内)の基端部拡張ルーメン23L(基端側端面21P)の開口端から同時にバルーン3内に供給される。このため、バルーン3は、先端部および基端部から拡張を開始する。中間部32は、径方向から乳頭91によって締め付けられているため、バルーン3が拡張を開始した直後には、中間部32にくびれ部322が形成される。
【0029】
乳頭91は、先に拡張した両端部(ショルダー部)によって軸方向両側から支持される。従って、バルーン3の拡張中、くびれ部322(ウエスト部)と乳頭91の相対的な位置関係は変化しない。すなわち、バルーン3のくびれ部322が、被拡張部としての乳頭91に対して位置決めされる。更に、くびれ形状に拡張させたバルーン3内に、先端部拡張ルーメン24Lおよび基端部拡張ルーメン23Lの少なくともいずれかから拡張流体を継続的に供給すると、くびれ部322が両端部に遅れて拡張する。これにより、乳頭91が拡張される。
【0030】
この際、くびれ部322は、バルーン3の内部空間21Bの拡張流体の量および/または圧力の増加に応じて縮小し(径が増加して、両端部との径の差が縮小し)、最終的には
図3に示されるように実質的に消失する(つまり、中間部32が実質的にくびれ部322のない略直管状に拡張する。但し、乳頭91の最大拡張径が小さい場合はくびれ部322が残存しうる)。ここで、先端部拡張ルーメン24Lによって優先的に拡張されるバルーン3の「先端部」には、先端側テーパ部31だけでなく中間部32の先端側直管部321も含まれる。同様に、基端部拡張ルーメン23Lによって優先的に拡張されるバルーン3の「基端部」には、基端側テーパ部33だけでなく中間部32の基端側直管部323も含まれる。
【0031】
図4の状態において、乳頭91は先端側直管部321および基端側直管部323によって両側から挟まれて支持される。この時、バルーン3と乳頭91の接触部における矢印によって模式的に示されるように、先端側直管部321は乳頭91の先端側の面から先端側に向かう方向の反力(反作用)を受け、基端側直管部323は乳頭91の基端側の面から基端側に向かう方向の反力(反作用)を受ける。このように、バルーン3を乳頭91に対して位置決めする際に、バルーン3は乳頭91から相反する方向の反力を受ける。これらの各方向の反力は互いに弱め合うため、バルーン3が乳頭91から受ける軸方向の反力は弱いまたは実質的に零である。このため、バルーン3を乳頭91に対して位置決めする際に、乳頭91からの反作用によるバルーン3の軸方向の位置ずれが効果的に防止される。これに対して、従来の典型的なバルーンカテーテルでは、拡張流体がバルーンの基端部のみに供給されるため、当該基端部から拡張したバルーンが乳頭等の被拡張部から基端側に向かう方向の強い反作用を受け、挿入方向とは逆に後退させられてしまうという問題があった。
【0032】
また、例えば
図4のようにくびれ部322の形成位置をバルーン3の軸方向の中央部に一致させたい場合、単一の拡張流体ポート71から先端部拡張ルーメン24Lと基端部拡張ルーメン23Lに同時に拡張流体を供給したとしても、各拡張ルーメン24L、23Lからバルーン3内に拡張流体が供給されるタイミングがずれる可能性がある。具体的には、
図3に示されるように、先端部拡張ルーメン24Lが基端部拡張ルーメン23Lに比べて、バルーン3内の基端側端面21Pと先端側端面21Dの間の軸方向距離だけ余分に延びているため、先端部拡張ルーメン24Lからバルーン3内に拡張流体が供給されるタイミングが基端部拡張ルーメン23Lより遅くなる可能性がある。
【0033】
このような先端部拡張ルーメン24Lと基端部拡張ルーメン23Lの長さの不一致を解消するため、
図5に模式的に示されるように、基端部拡張ルーメン23Lは、バルーン3内における先端部拡張ルーメン24Lとの軸方向の長さの差(軸方向距離)に相当する分だけ、シャフト2の基端側にあるポート部7において先端部拡張ルーメン24Lより長く形成されてもよい。すなわち、先端部拡張ルーメン24Lおよび基端部拡張ルーメン23Lの基端部に拡張流体を供給する流体供給部としてのポート部7内には基端部拡張ルーメン23Lが冗長に形成される。
【0034】
一方、
図3における先端部拡張ルーメン24Lと基端部拡張ルーメン23Lの長さの不一致が実用的に問題にならない場合(例えば、シャフト2の全長に対して無視できる場合)は、アウターシャフト21の基端側を先端部拡張ルーメン24Lと基端部拡張ルーメン23Lによる高価なマルチルーメン構造とする必要性に乏しい。そこで、先端部拡張ルーメン24Lおよび基端部拡張ルーメン23Lは、アウターシャフト21においてバルーン3の基端部より基端側(例えば、アウターシャフト21の基端とバルーン取付部211の間)では安価な単一のルーメン(シングルルーメン)によって構成されてもよい。但し、アウターシャフト21の内部には、当該シングルルーメンとは別にインナーシャフト22用の中央ルーメン21Lを設けるのが好ましい。
【0035】
具体的には、
図6に模式的に示されるように、アウターシャフト21の先端側(
図6における左側)のバルーン3が取り付けられる部分は、前述のような二種類の拡張ルーメン23L、24Lが個別に形成されるマルチルーメンシャフト21Mとなっている。一方で、アウターシャフト21の基端側(
図6における右側)のバルーン3が取り付けられない部分は、一種類の拡張ルーメン25Lが形成されるシングルルーメンシャフト21Sとなっている。
図6の右側に模式的に示されるように、シングルルーメンシャフト21Sの断面において、拡張ルーメン25Lは中央の中央ルーメン21Lを囲む略円環状のシングルルーメンである。拡張ルーメン25Lの先端は、マルチルーメンシャフト21Mの二種類の拡張ルーメン23L、24Lの基端に連通する。換言すれば、シングルルーメンシャフト21Sとマルチルーメンシャフト21Mの接触面において、単一の拡張ルーメン25Lが二種類の拡張ルーメン23L、24Lに分岐する。拡張ルーメン25Lは、基端部において拡張流体ポート71(
図2)と連通しており、先端部において二種類の拡張ルーメン23L、24Lに拡張流体を供給する。このような変形例によっても、バルーンカテーテル1と同様の作用効果が期待できる。
【0036】
図7は、本実施形態に係るバルーンカテーテル1のバルーン3が、被拡張部としての狭窄部94に対して位置決めされる態様を模式的に示す。不図示のガイドワイヤ6にガイドされて狭窄部94の位置に到達したバルーン3は、不図示の拡張流体ポート71から供給される拡張流体によって拡張を開始する。
図4と同様に、バルーン3は、先端側テーパ部31および基端側テーパ部33から拡張を開始し、中間部32がくびれたくびれ形状に拡張する。
【0037】
中間部32より先に拡張した先端側テーパ部31および基端側テーパ部33は、狭窄部94の前後の管壁に接触して位置決めされる。更に、くびれ形状に拡張させたバルーン3内に、先端部拡張ルーメン24Lおよび基端部拡張ルーメン23Lの少なくともいずれかから拡張流体を継続的に供給すると、中間部32が両端部に遅れて拡張することで被拡張部としての狭窄部94が拡張される。
【0038】
図8は、
図4に示されるようなくびれ部322を効果的に形成するためのバルーン成型器具5の一例を模式的に示す。このバルーン成型器具5は、シャフト2の外周に折り畳まれて巻き付けられたバルーン3に、加熱を伴う成型処理または加圧処理を施す熱収縮チューブである。シャフト2に巻き付けられたバルーン3が挿入された状態で加熱されて収縮するバルーン成型器具5は、バルーン3を折り畳まれた完全収縮形状に成型する。
【0039】
バルーン成型器具5は、管状のチューブ本体51の軸方向の中央部に成型増強部52を備える。成型増強部52は、バルーン3においてくびれ部322を形成すべき中央部(中間部32)に配置される。この状態でバルーン成型器具5を加熱すると、成型増強部52が配置されるバルーン3の中央部(中間部32)が先端部および基端部より強く成型される。例えば、チューブ本体51より大きく収縮する成型増強部52によってバルーン3の中央部が先端部および基端部より高い圧力で成型される。あるいは、チューブ本体51より熱伝導率が高い成型増強部52によってバルーン3の中央部が先端部および基端部より多く加熱される。この結果、バルーン3において成型増強部52によって強く成型された中央部には、拡張抵抗構造322Aが構成される。
【0040】
バルーン3の中央部に形成される拡張抵抗構造322Aは、拡張流体による拡張圧に対して、先端部および基端部より大きい抵抗を付与する。このため、
図4に示されるように、バルーン3は、拡張抵抗の小さい先端部および基端部から拡張を開始し、拡張抵抗の大きい拡張抵抗構造322Aにおいて効果的にくびれ部322が形成される。なお、
図8では、成型増強部52によって強く成型された拡張抵抗構造322Aを、バルーン3の他の部分より小径の部分として模式的に示したが、成型増強部52による強い成型の結果が必ずしも径の違いとして現れる訳ではない。例えば、成型増強部52による強い成型の結果は、拡張抵抗構造322Aにおける分子の配向等の分子構造の違い、残存する応力(ストレス)の違い、形状の違い、その他の任意の特性や状態の違いとして現れうる。
【0041】
また、バルーン3の中央部における拡張抵抗構造322Aは、先端部および基端部と異なるバルーン3の表面の性状によって構成されてもよい。例えば、バルーン3の中央部における外周面および/または内周面を、先端部および基端部より粘着性または接着性の高い平滑面等に形成することで拡張抵抗構造322Aを構成できる。また、バルーン3の中央部における外周面および/または内周面に、噛合や摩擦等による抵抗を付与する凹凸を形成することで拡張抵抗構造322Aを構成できる。また、バルーンカテーテル1による処置に支障のない限りにおいて、バルーン3の中央部における外周面および/または内周面に拡張抵抗を付与する接着剤等を塗布または添加することで拡張抵抗構造322Aを構成してもよい。
【0042】
本開示の第2実施形態について説明する。第2実施形態によるバルーンカテーテルは、第1実施形態によるバルーンカテーテルと同様の構造を有する箇所がある。第1実施形態によるバルーンカテーテルと同一の構造を有する箇所については、第1実施形態と同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0043】
図9は、第2実施形態によるバルーンカテーテルの断面図である。第2実施形態によるバルーンカテーテル400は、アウターシャフト21の先端付近に流速調整部402を備える。流速調整部402は、拡張流体ポート71からアウターシャフト21内に流入した拡張流体の流速を調整する。
【0044】
流速調整部402には、少なくとも1つの基端部拡張ルーメン404Lが形成されている。流速調整部402には、始点(つまり拡張流体の入口)と終点(つまり拡張流体の出口)の軸方向に沿った位置が基端部拡張ルーメン404Lの始点と終点の位置とは異なる、少なくとも1つの先端部拡張ルーメン406Lがさらに形成されている。なお、本実施形態において拡張流体の入口とは、バルーン3を拡張させる際に拡張流体の流れの上流側にある流速調整部402の開口をいい、拡張流体の出口とは、バルーン3を拡張させる際の拡張流体の流れの下流側にある流速調整部402の開口をいう。
【0045】
基端部拡張ルーメン404Lの入口は、先端部拡張ルーメン406Lの入口よりも基端側にある。基端部拡張ルーメン404Lの出口は、先端部拡張ルーメン406Lの出口よりも基端側にある。つまり、バルーン3を拡張させる際、拡張流体はより早いタイミングで基端部拡張ルーメン404Lに入る。
【0046】
図10は、
図9のI-I断面における断面図である。具体的には
図10は、先端部拡張ルーメン406Lと、基端部拡張ルーメン404Lとの中間における断面を示す。
図10に示すように、この断面には複数の基端部拡張ルーメン404L(それぞれのルーメンが「第1の領域」に相当)と、もう一つのルーメン(以下、「半円ルーメン408L」といい、これは「第2の領域」に相当)とが存在する。半円ルーメン408Lは、流速調整部402の実質的に平らな壁面410と、インナーシャフト22の外周面411と、アウターシャフト21の湾曲面412とによって定められている。なお、図示の例では半円ルーメン408Lは半円形状ではなく、径が大きい半円形状から径が小さい半円形状を取り除いた形状(半リング形状とも言える)となっている。しかしながら、第2実施形態において重要な点は、半円ルーメン408Lを流れる流体の速度と、基端部拡張ルーメン404Lを流れる流体の速度との相対関係である。流体の速度の相対関係の観点で言えば、半円ルーメン408の形状が真の半円形状で無かったとしても実質的に問題が生じないため、本実施形態では「半円」という文言を用いている。
【0047】
また、詳細な原理は後述するが、基端部拡張ルーメン404L、及び半円ルーメン408Lを定める構造(つまり、流速調整部402とアウターシャフト21)は、全体として拡張流体の流速を調整する流速調整機構をなしている。
【0048】
1つの基端部拡張ルーメン404L、及び半円ルーメン408Lのそれぞれの濡れ縁長さ、及び断面積の比に着目して詳細な説明をする。1つの基端部拡張ルーメン404L及び半円ルーメン408Lは、断面積に対する濡れ縁長さの比を調整して、基端部拡張ルーメン404L内の摩擦抵抗が、半円ルーメン408L内の摩擦抵抗よりも大きくなるように寸法決めされている。これにより、基端部拡張ルーメン404L内を流れる拡張流体の速度が、半円ルーメン408L内を流れる拡張流体の速度よりも遅くなる。これにより、拡張流体の流量が一定であれば、拡張流体が先端部拡張ルーメン406Lの入口に入るタイミングと、拡張流体が基端部拡張ルーメン404Lの入口に入るタイミングの相対関係を調整することができる。また、基端部拡張ルーメン404Lの長さを長くすれば基端部拡張ルーメン404Lから拡張流体が排出されるタイミングが基端部拡張ルーメン404Lの長さに比例して遅くなる。一方で、先端部拡張ルーメン406Lの長さを短くすれば、先端部拡張ルーメン406Lから拡張流体が排出されるタイミングが先端部拡張ルーメン406Lの長さに反比例して早くなる。つまり、拡張流体の速度と拡張流体の流れる距離(先端部拡張ルーメン406Lの長さ、半円ルーメン408Lの長さ、基端部拡張ルーメン404Lの長さ)を調整することで、先端部拡張ルーメン406Lから拡張流体が排出されるタイミングと、基端部拡張ルーメン404Lから拡張流体が排出されるタイミングを調整することができる。好適な例では、基端部拡張ルーメン404Lの長さは、先端部拡張ルーメン406Lの長さよりも短い。これにより、先端部拡張ルーメン406Lを流れる拡張流体が排出されるタイミングを早めながら、基端部拡張ルーメン404Lを流れる拡張流体が排出されるタイミングを遅らせることができる。
【0049】
先端部拡張ルーメン406Lから拡張流体が排出されるタイミングを、基端部拡張ルーメン404Lから拡張流体が排出されるタイミングと同時にするか、又は僅かに早くすると、バルーン3の先端側と基端側をほぼ同時に拡張させることができる。これにより、例えば乳頭91を拡張させる際にバルーン3が基端側又は先端側に移動するのを抑えられる。
【0050】
なお、上述の例では、先端部拡張ルーメン406Lの径と、基端部拡張ルーメン404Lの径が同一である前提で説明を行った。つまり、先端部拡張ルーメン406Lを流れる拡張流体の速度と、基端部拡張ルーメン404Lを流れる拡張流体の速度は同一となることを前提としている。しかしながら、基端部拡張ルーメン404Lと先端部拡張ルーメン406Lの直径、長さ、断面積、濡れ縁長さ、形状等の各種パラメータを調整して、拡張流体がルーメンから排出されるタイミングを制御してもよい。また、先端部拡張ルーメン406Lおよび基端部拡張ルーメン404Lの径や長さによっては、半円ルーメンはなくてもよい。
【0051】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。例示としての実施形態における各構成要素や各処理の組合せには様々な変形例が可能であり、そのような変形例が本発明の範囲に含まれることは当業者にとって自明である。
【0052】
なお、実施形態で説明した各装置や各方法の構成、作用、機能は、ハードウェア資源またはソフトウェア資源によって、あるいは、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働によって実現できる。ハードウェア資源としては、例えば、プロセッサ、ROM、RAM、各種の集積回路を利用できる。ソフトウェア資源としては、例えば、オペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 バルーンカテーテル、2 シャフト、3 バルーン、5 バルーン成型器具、6 ガイドワイヤ、7 ポート部、10 内視鏡、21 アウターシャフト、21D 先端側端面、21P 基端側端面、22 インナーシャフト、23L 基端部拡張ルーメン、24L 先端部拡張ルーメン、32 中間部、52 成型増強部、71 拡張流体ポート、91 乳頭、94 狭窄部、322 くびれ部、322A 拡張抵抗構造。