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特開2024-58592呼吸器循環器系計測データ管理システム及び呼吸器循環器系計測データ管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058592
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】呼吸器循環器系計測データ管理システム及び呼吸器循環器系計測データ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/00 20180101AFI20240418BHJP
【FI】
G16H50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148958
(22)【出願日】2023-09-14
(62)【分割の表示】P 2022165713の分割
【原出願日】2022-10-14
(71)【出願人】
【識別番号】521097828
【氏名又は名称】医療法人社団M-FOREST
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100173680
【弁理士】
【氏名又は名称】納口 慶太
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 雅樹
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】患者に負担をかけることなく慢性閉塞性肺疾患(COPD)を早期に検出するか又はCOPDの証拠若しくはCOPD患者の増悪の傾向を数値又は指標で提示できるデータを、患者の動向に関連付けて管理する呼吸器循環器系計測データ管理システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】呼吸器循環器系計測データ管理システムは、各種情報登録部110と、振分部130と、呼吸器系データ測定収集指示部120と、呼吸数算出指示部と、気象系測定項目収集指示部160と、呼吸器系データテーブル生成部100と、微細地図上ルート要求部140と、を含み、患者に負担をかけることなくCOPDを早期に検出するか又はCOPDの証拠若しくはCOPD患者の増悪の傾向を数値又は指標で提示できるデータを患者の動向に関連付けて管理できるテーブルを得る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体者に装着された生体情報検出器と、前記被検体者が携帯しているGPS付き高機
能携帯端末と、地図提供サイトと、生体状況管理サイトと、解析者端末とを通信ネットワ
ークで接続し、前記生体状況管理サイトが呼吸器系及び循環器系に係る各種情報を取得し
て、呼吸器系の現在の状況を把握できる呼吸器系管理テーブルを得る呼吸器循環器系計測
データ管理システムであって、
前記生体状況管理サイトのサーバは、
(B)前記解析者端末からの、前記被検体者情報及び解析者情報を含む解析者別被検体情
報並びに前記被検体者の歩行時の解析者側歩行ルート条件を記憶部に記憶する手段と、
(C)前記GPS付き高機能携帯端末を介して、前記生体情報検出器からの計測データを
GPS取得時刻に関連付け、これをGPS付き計測データとして記憶部に記憶する手段と

(D)前記解析者側歩行ルート条件を前記地図提供サイトのサーバに送信して、微細地図
上に定義された前記GPS取得時刻に相当する距離幅で定義された微細地図及びこの微細
地図に定義された歩行ルートを含む微細地図情報を前記解析者別被検体情報に関連付けて
記憶部に記憶する手段と、
(E)前記微細地図の歩行ルートの前記GPS取得時刻に対応する距離幅の微細位置に、
前記計測データを関連付けた前記呼吸器系管理テーブルを前記記憶部に生成する手段と、
(F)前記呼吸器系管理テーブルを前記解析者端末又は前記GPS付き高機能携帯端末に
適宜な形式で送信する手段と、
を有することを特徴とする呼吸器循環器系計測データ管理システム。
【請求項2】
前記計測データは、SpO2、呼吸数、心拍数、心電図データ、体温のいずれかもしく
はいずれかの組合わせであることを特徴とする請求項1記載の呼吸器循環器系計測データ
管理システム。
【請求項3】
前記(D)の手段は、
前記解析者側歩行ルート条件を、区間毎の区間距離と、区間毎の歩行速度種と、前記解
析者別被検体者情報とを含んで前記地図提供サイトのサーバに送信する手段と、
前記歩行ルートの区間距離に相当する区間に、区間識別名及び前記区間距離並びに前記
歩行速度種を付加させて前記微細地図情報を前記地図提供サイトのサーバから送信させる
制御コードを送信させる手段と
を備え、
前記(F)は、この微細地図情報を前記解析者端末又は前記GPS付き高機能携帯端末
に送信して表示させる手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の呼吸器循環器系計測データ管理システム。
【請求項4】
前記呼吸器系管理テーブルは、
前記歩行ルートの区間識別欄に、歩行路種と、区間別距離と、前記走路種の歩行速度と
、歩行路順番を含む項目欄を関連付けたレコードであり、
前記(E)の手段は、
前記歩行ルートの区間識別名の欄に、区間毎の計測データの平均値を書き込むことを特
徴とする請求項1記載の呼吸器循環器系計測データ管理システム。
【請求項5】
前記(D)の手段は、
前記GPS取得時刻に相当する距離幅の微細メッシュのXp、Yp、Zp座標で定義さ
れた微細地図と地物レイヤとの組を微細地図情報として送信させる制御コードを付加して
送信する手段と、この微細地図情報を記憶部に記憶する手段とを備え、
前記(E)の手段は、
前記GPS付計測データに含まれているGPSデータを平面直角座標(X、Y)で前記
微細地図に定義し、この定義された平面直角座標(X、Y)を有する微細メッシュmbの
微細位置Sgi(Xp、Yp、Zp)を読み込む手段とを備え、
前記受信した前記GPS付き計測データと読み込んだ微細地図の微細位置Sgi(Xp
、Yp、Zp)とを組とした微細位置座標付き呼吸器系計測データを順次、生成する手段
と、
GPS取得時刻毎に、このGPSデータ取得時刻の微細位置座標付き呼吸器系計測デー
タに含まれている微細地図の微細位置(Xp、Yp、Zp)と計測データと関連付けたG
PS取得時刻単位呼吸器系管理情報を生成し、これを記憶部に順次、記憶してGPS取得
時刻単位呼吸器系管理テーブルを生成する手段と、
前記GPS取得時刻単位呼吸器系管理テーブルに関連付けられている前記解析者別被検
体者識別情報を有する前記微細地図情報の歩行ルートを指定する手段と、
この歩行ルートに割り付けられている歩行路種の歩行区間の座標を順次読み込み、この
歩行区間毎に、この歩行区間に該当する前記微細位置(Xp、Yp、Zp)を有するGP
S取得時刻単位呼吸器系管理テーブルの前記GPS取得時刻単位呼吸器系管理情報を全て
指定する手段と、
前記読み込んだ歩行区間で、前記指定された全てのGPS取得時刻単位呼吸器系管理情
報に含まれている前記計測データの種類毎に、平均化する手段と、
前記読み込んだ歩行区間に、前記歩行ルート生成条件に含まれている歩行区間条件と、
前記計測データの種類毎の平均値を関連付けた前記呼吸器系管理テーブルを生成する手段

を有することを特徴とする請求項1記載の呼吸器循環器系計測データ管理システム。
【請求項6】
記憶部には、
歩行路種毎に、歩行速度種と歩幅と歩行路を歩行した後の休憩時間とが関連付けられて
おり、
これらの情報を該当の区間に関連付ける手段とを有することを特徴とする請求項1記載
の呼吸器循環器系計測データ管理システム。
【請求項7】
前記(F)の手段は、
横軸が時間又は距離にし、高さを縦軸した座標系に、
前記歩行単位呼吸器系管理テーブルの微細位置(Xp、Yp、Zp)のZp座標を
定義したグラフにして表示させる手段と、
前記呼吸器系管理テーブルの計測データを種類別にグラフにして表示させる手段と、
前記いずれかのグラフの組み合わせを表示させる手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の呼吸器循環器系計測データ管理システム。
【請求項8】
前記生体状況管理サイトのサーバは、
歩行ルートの区間毎に、この歩行区間の開始点の前記微細位置(Xp、Yp、Zp)の
Zp値と、終点の前記微細位置(Xp、Yp、Zp)のZp値との差を勾配として求め、
これを前記呼吸器系管理テーブルの該当の歩行区間に関連付けることを特徴とする請求項
1記載の呼吸器循環器系計測データ管理システム。
【請求項9】
前記GPS付き高機能携帯端末は、
GPSデータ取得時刻毎に、前記生体情報検出器から計測データを転送させてメモリに
記憶する手段と、
前記GPSデータ取得時刻毎に、前記メモリの計測データを読み込み、この計測データ
とGPSデータと被検体者計測データ識別情報との組を位置情報付計測データとして前記
生体状況管理サイトに送信する手段とを有することを特徴とする請求項1記載の呼吸器循
環器系計測データ管理システム。
【請求項10】
前記生体状況管理サイトのサーバは、
気象情報を提供する気象情報提供サイトに通信ネットワークを介して接続し、この気象
情報提供サイトから前記微細地図のエリアの気温、気圧、湿度を送信させて前記計測デー
タテーブルに割り付ける手段と
を有することを特徴とする請求項1記載の呼吸器循環器系計測データ管理システム。
【請求項11】
呼吸器循環器系計測データ管理プログラムであって、
コンピュータに、
(B)解析者端末からの、被検体者情報及び解析者情報を含む解析者別被検体情報並びに
前記被検体者の歩行時の解析者側歩行ルート条件を記憶部に記憶する手段、
(C)GPS付き高機能携帯端末を介して、生体情報検出器からの計測データをGPS取
得時刻に関連付け、これをGPS付き計測データとして記憶部に記憶する手段、
(D)解析者側歩行ルート条件を地図提供サイトのサーバに送信して、微細地図上に定義
された前記GPS取得時刻に相当する距離幅で定義された微細地図及びこの微細地図に定
義された歩行ルートを含む微細地図情報を前記解析者別被検体情報に関連付けて記憶部に
記憶する手段、
(E)前記微細地図の歩行ルートの前記GPS取得時刻に対応する距離幅の微細位置に、
前記計測データを関連付けた呼吸器系管理テーブルを前記記憶部に生成する手段、
(F)前記呼吸器系管理テーブルを前記解析者端末又は前記GPS付き高機能携帯端末に
適宜な形式で送信する手段、
としての機能を実行させる呼吸器循環器系計測データ管理プログラム。
【請求項12】
前記計測データは、SpO2、呼吸数、心拍数、心電図データ、体温のいずれかもしく
はいずれかの組合わせであることを特徴とする請求項11記載の呼吸器循環器系計測デー
タ管理プログラム。
【請求項13】
前記(D)の手段は、
前記解析者側歩行ルート条件を、区間毎の区間距離と、区間毎の歩行速度種と、前記解
析者別被検体者情報とを含んで地図提供サイトのサーバに送信する手段、
前記歩行ルートの区間距離に相当する区間に、区間識別名及び前記区間距離並びに前記
歩行速度種を付加させて前記微細地図情報を前記地図提供サイトのサーバから送信させる
制御コードを送信させる手段、
としての機能を実行させ、
前記(F)は、この微細地図情報を前記解析者端末又は前記GPS付き高機能携帯端末
に送信して表示させる手段、
としての機能を実行させる請求項11記載の呼吸器循環器系計測データ管理プログラム
【請求項14】
前記呼吸器系管理テーブルは、
前記歩行ルートの区間識別欄に、歩行路種と、区間別距離と、前記走路種の歩行速度と
、歩行路順番を含む項目欄を関連付けたレコードであり、
前記(E)の手段は、
前記歩行ルートの区間識別名の欄に、区間毎の計測データの平均値を書き込むこと手段
としての機能を実行させる請求項11記載の呼吸器循環器系計測データ管理プログラム。
【請求項15】
前記(D)の手段は、
前記GPS取得時刻に相当する距離幅の微細メッシュmbのXp、Yp、Zp座標で定
義された微細地図と地物レイヤ(建物、河川、道路等を含む)との組を微細地図情報とし
て送信させる制御コードを付加して送信する手段と、この微細地図情報を記憶部に記憶す
る手段、
としての機能を実行させ、
前記(E)の手段は、
前記GPS付計測データに含まれているGPSデータを平面直角座標(X、Y)で前記
微細地図に定義し、この定義された平面直角座標(X、Y)を有する微細メッシュの微細
位置(Xp、Yp、Zp)を読み込む手段、
前記受信した前記GPS付き計測データと読み込んだ微細地図の微細位置(Xp、Yp
、Zp)とを組とした微細位置座標付き呼吸器系計測データを順次、生成する手段と、
GPS取得時刻毎に、このGPSデータ取得時刻の微細位置座標付き呼吸器系計測デー
タに含まれている微細地図の微細位置(Xp、Yp、Zp)と計測データと関連付けたG
PS取得時刻単位呼吸器系管理情報を生成し、これを記憶部に順次、記憶してGPS取得
時刻単位呼吸器系管理テーブルを生成する手段、
前記GPS取得時刻単位呼吸器系管理テーブルに関連付けられている前記解析者別被検
体者識別情報を有する前記微細地図情報の歩行ルートを指定する手段、
この歩行ルートに割り付けられている歩行路種の歩行区間の座標を順次読み込み、この
歩行区間毎に、この歩行区間に該当する前記微細位置(Xp、Yp、Zp)を有するGP
S取得時刻単位呼吸器系管理テーブルの前記GPS取得時刻単位呼吸器系管理情報を全て
指定する手段、
前記読み込んだ歩行区間で、前記指定された全てのGPS取得時刻単位呼吸器系管理情
報に含まれている前記計測データの種類毎に、平均化する手段、
前記読み込んだ歩行区間に、前記歩行ルート生成条件に含まれている歩行区間条件と、
前記計測データの種類毎の平均値を関連付けた前記呼吸器系管理テーブルを生成する手段

としての機能を実行させる請求項11記載の呼吸器循環器系計測データ管理プログラム
【請求項16】
記憶部には、
歩行路種毎に、歩行速度種と歩幅と歩行路を歩行した後の休憩時間とが関連付けられて
おり、
これらの情報を該当の区間に関連付ける手段、
としての機能を実行させる請求項11記載の呼吸器循環器系計測データ管理プログラム
【請求項17】
前記(F)の手段は、
横軸が時間又は距離にし、高さを縦軸した座標系に、
前記歩行単位呼吸器系管理テーブルの微細位置(Xp、Yp、Zp)のZp座標を
を定義したグラフにして表示させる手段、
前記呼吸器系管理テーブルの計測データを種類別にグラフにして表示させる手段、
前記いずれかのグラフの組み合わせを表示させる手段、
としての機能を実行させる請求項11記載の呼吸器循環器系計測データ管理プログラム
【請求項18】
前記コンピュータに、
歩行ルートの区間毎に、この歩行区間の開始点の前記微細位置(Xp、Yp、Zp)の
Zp値と、終点の前記微細位置(Xp、Yp、Zp)のZp値との差を勾配として求め、
これを前記呼吸器系管理テーブルの該当の歩行区間に関連付ける手段、
としての機能を実行させる請求項11記載の呼吸器循環器系計測データ管理プログラム
【請求項19】
前記コンピュータに、
気象情報を提供する気象情報提供サイトに通信ネットワークを介して接続し、この気象
情報提供サイトから前記微細地図のエリアの気温、気圧、湿度を送信させて前記計測デー
タテーブルに割り付ける手段、
としての機能を実行させる請求項11記載の呼吸器循環器系計測データ管理プログラム



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸器循環器系計測データ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD)は、今や
多くの日本人が羅患し、死因の主要な原因となっている。
COPDは多くが自覚症状の無いままに進行するため、早期発見のためには定期的に病院での
問診、検診等が必要である。
【0003】
COPDは、慢性炎症と、正常より速い肺機能の低下を伴う不可逆性の気流閉塞を特徴
とする疾患である。これは、肺への空気と肺からの空気の流れの制限をもたらし、息切れ
を引き起こす。
この疾患には、2つの主要な病理の側面があると言われている。即ち、誘導気道からの
粘液過剰分泌を特徴とする慢性気管支炎と、肺胞中の破壊的変化を特徴とする肺気腫があ
る。
【0004】
臨床現場では、肺機能検査時のその特徴的に低い気流によってCOPDが明確化される

また、喘息とは対照的に、この制限は、不十分に可逆的であって、通常は、経時的にま
すます悪化するものである。COPDによる経済負担は無視できない。
COPDの自然経過は、そのほとんどが感染症や大気汚染によって引き起こされる、急
性増悪と呼ばれる諸症状の時折の突然の悪化を特徴とする。
【0005】
また、COPDの症状の多くは、喘息、気管支炎、肺線維症、及び結核のような他の呼
吸器疾患に共通している。
現行のCOPD診断の判定標準には肺機能検査(スパイロメトリー)が必要とされるが
、これは、肺の専門医だけが実施し得るが、時間がかかって高額である。
例えば、スパイロメトリー検査は、患者の協力と努力にきわめて依存して、通常は、再
現性を確保するために少なくとも3回繰り返される。
【0006】
なお、慢性気管支炎は、患者に「湿性咳」(即ち、痰を生じる咳)があるかどうかを問
診することによって診断することができる。
喘息は、その病原性及び治療上の応答においてCOPDと異なるので、異なる臨床的概
念とみなすべきである。
【0007】
しかしながら、不十分に可逆性の気流制限を発症して、現行ではCOPD患者と見分け
がつかないものの実践的な目的のために喘息として扱われている喘息患者もいる。
一般集団における喘息及びCOPDの罹患率が高いために、多くの個体で両疾病単位の
共存が生じている。
【0008】
喘息は、有意な気流制限と気管支拡張剤に対する強い応答を特徴とする。これらの患者
では、1秒間努力呼気容量(FEV1)が正常へ戻らないで、しばしば経時的に悪化する

喘息患者では、正常対照と比較して、CRP血清レベルが有意に高いことが知られてい
る。
【0009】
CRPは、数多くの感染性及び炎症性の状態に応答して増加するので、COPDに特異
的ではない。
故に、CRPは、COPDスクリーニングツールに求められる診断精度に関する判定標
準を満たさない。
そこで、特許文献1は、簡単で、かつ低費用であっても、COPDを有することが疑わ
れる個体を同定するために、体液(例、血液、血清、又は血漿)を検出し、(a)の工程
で、血清、血漿、又は全血試料中のタンパク質ARMETの濃度を定量する。
【0010】
そして、(b)の工程で、工程(a)で定量されたタンパク質ARMETの濃度をタン
パク質ARMETの標準濃度と比較する。
ここで標準濃度より高いタンパク質ARMETの濃度は、COPDの指標と決定する。
一方、特許文献2(特開2021-180732号公報)には、間質性肺炎やウィルス
性肺炎やCOPDなどの進行度を判定するための方法が開示されている。
【0011】
特許文献2は、腕輪型の動脈血酸素飽和度測定器(パルスオキシメータ、身体活動セン
サ)と、コンピュータ装置(スマフォ)とを無線通信可能に接続したシステムである。
具体的には、身体活動センサがジャイロセンサ、加速度センサ、方位センサ及びGPSセ
ンサのうちの少なくとも1つを用いて、ユーザの身体の動き検出して、ユーザの身体活動
の状態を示す情報を生成する。
【0012】
これらの情報を用いて、例えば、(i)歩行、(ii)自転車、早歩き、(iii)階段上り
、ジョギング、(iv)ランニング、重い荷物運びのいずれの状態であるかを推定し、各推
定された身体活動状態に基づいて(i)歩行=3METs、(ii)自転車、早歩き=4.
5METs、(iii)階段上り、ジョギング=6METs、(iv)ランニング、重い荷物
運び=8M ETSと運動負荷を推定し、時刻と、SpO2(動脈血酸素分圧)と対応付
けするものとする。と記載している。
【0013】
一方、特許文献3(WO2020/196323)には、患者に圧電センサ、筋電図セ
ンサ等の検出センサを装着させ、この検出データをスマフォでサーバに送信して、動作情
報及び呼吸筋または呼吸補助筋に対する活動電位情報に基づいて、呼吸器系の異常を検出
することが開示されている。
【0014】
この異常は、活動電位情報の内、呼気筋に対応する電気信号が所定閾値以上か否かを判
定し、所定閾値以上である場合に、慢性閉塞性肺疾患における増悪に関する情報を出力し
ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特許第5976693号公報
【特許文献2】特開2021-180732号公報
【特許文献3】WO2020/196323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、COPDを早期に検出又はCOPDの証拠若しくはCOPD患者の増悪
を見つけるには、常に動向及びSpO2、心拍の値を蓄積管理するのが望ましい。
また、患者にはできるだけ負担が内容にして蓄積管理するのが望ましい。
ところが、特許文献1は、血液を採取しないといけないので、患者に負担がかかり、ま
たタンパク質濃度の解析も伴うので時間がかかる。
【0017】
また、特許文献2は、推定した運動負荷は、各センサの値の大きさで運動負荷を、ある
基準と比較して運動負荷の値を数値(指標)で表示するものであり、本当に階段、坂道を
歩いているときの数値であるかが分からない。SpO2というのは、気分によっても相違
する。
【0018】
さらに、特許文献3は、患者に各種センサを装着させるものであり、患者への負担が多
い。また、階段、坂道、平坦道を歩行しているのかが分からない。
【0019】
本願発明は、以上の課題を鑑みてなされたものであり、患者に負担をかけることなくC
OPDを早期に検出又はCOPDの証拠若しくはCOPD患者の増悪の傾向を数値又は指
標で提示できるデータを患者の動向に関連付けて管理できるシステムを得ることを目的と
する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係わる呼吸器循環器系計測データ管理システムは、被検体者に装着された生体
情報検出器と、前記被検体者が携帯しているGPS付き高機能携帯端末と、地図提供サイ
トと、生体状況管理サイトと、解析者端末とを通信ネットワークで接続し、前記生体状況
管理サイトが呼吸器系に係る各種情報を取得して、呼吸器系の現在の状況を把握できる呼
吸器系管理テーブルを得る呼吸器循環器系計測データ管理システムであって、
前記生体状況管理サイトのサーバは、
(B)前記解析者端末からの、前記被検体者情報及び解析者情報を含む解析者別被検体
情報並びに前記被検体者の歩行時の解析者側歩行ルート条件を記憶部に記憶する手段と、
(C)前記GPS付き高機能携帯端末を介して、前記生体情報検出器からの計測データ
をGPS取得時刻に関連付け、これをGPS付き計測データとして記憶部に記憶する手段
と、
(D)前記解析者側歩行ルート条件を前記地図提供サイトのサーバに送信して、微細地
図上に定義された前記GPS取得時刻に相当する距離幅で定義された微細地図及びこの微
細地図に定義された歩行ルートを含む微細地図情報を前記解析者別被検体情報に関連付け
て記憶部に記憶する手段と、
前記微細地図の歩行ルートの前記GPS取得時刻に対応する距離幅の微細位置に、前記
計測データを関連付けた前記呼吸器系管理テーブルを前記記憶部に生成する手段と、
(F)前記呼吸器系管理テーブルを前記解析者端末又は前記GPS付き高機能携帯端末
に適宜な形式(テーブル、平均化、グラフ等)で送信する手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、解析者側で決めた被検体者の歩行ルートでの平坦路、緩
やかな傾斜路、坂道、階段を歩行したときの、SpO2、心拍数、呼吸数、心電図データ
等の計測データをGPSデータ取得時刻毎の歩幅単位で収集した呼吸器系管理テーブルを
得ることができる。
【0022】
すなわち、患者に負担をかけることなくCOPDを早期に検出又はCOPDの証拠若し
くはCOPD患者の増悪の傾向を数値又は指標で提示できるデータを患者の動向に関連付
けて管理できる。
【0023】
このため、被検体者の呼吸器系がCOPD、喘息等の傾向にあるか、悪化しているか等
を解析者(医師等)は容易に解析できる。このため、適切な処置を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】呼吸器循環器系計測データ管理システムの概略構成図である。
図2】COPD解析サーバ81の詳細構成図である。
図3】本実施の形態の呼吸器循環器系計測データ管理システムのシーケンス図である(1)。
図4】本実施の形態の呼吸器循環器系計測データ管理システムのシーケンス図である(2)。
図5】本実施の形態の呼吸器循環器系計測データ管理システムのシーケンス図である(3)。
図6】クリニック端末70に表示された推奨微細地図情報JBiに基づく微細地図画面の説明図である。
図7】決定微細地図情報JBRiの画面例の説明図である。
図8】被検体測定項目用画面の説明図である。
図9】位置情報付計測データテーブルの説明図である。
図10】位置情報付計測データテーブルの各情報の関係の詳細説明図である。
図11】呼吸器系管理テーブルTKiの説明図である。
図12】5mメッシュ上での歩行軌跡LMSと微細メッシュmbでの歩行軌跡Lmsの説明図である。
図13】標高波形と計測データ波形の表示例の説明図である。
図14】各波形と各波形の勾配の関係の説明図である。
図15】肺機能検査装置(300、400)等を解析サイトに接続する場合の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
健康管理は、血中酸素濃度(SpO2ともいう)、心拍数、呼吸数、睡眠、運動量、体
重、体温等の管理が重要である。特にCOPDは、呼吸困難はある程度進行してから持続
的に、あるいは反復的に生じるが、これらは非特異的な症状であるため、加齢や風邪によ
るものとして見過ごされることが多い。
【0026】
呼吸困難は、最初は体動時に多く見られ、階段又は坂道を上がるときに気が付く程度で
ある。また、心不全の傾向がある方も階段又は坂道を上がるときには、呼吸困難となる傾
向にあると言われている。
【0027】
本実施の形態は、この階段又は坂道を上がっているときのSpO2(血中酸素飽和度)
を定量的に蓄積する。つまり、本当に階段を上がっている又は本当に坂道を上がっている
若しくは平坦な道路をあるいていることを証拠として取得して管理する。
すなわち、日々のSpO2や心拍数等のデータをクラウド上に集約してデータベース化
することで、医師、研究者(総称して解析者という)で、COPD患者を見つける。
以下にこのシステムの一例を説明する。
【0028】
図1は呼吸器循環器系計測データ管理システムの概略構成図である。本実施の形態では
、健康状態の把握とは、COPD又は喘息若しくは心不全の傾向を把握することである。
図1に示すように、計測データ検出端末5を被検体者に装着する。この計測データ検出
端末5は、近距離無線通信機能(Bluetooth:登録商標)を有するパルスオキシ
メータ10又は指輪型健康データ検出器20(赤外線LEDセンサー、NTC体温センサー、3D
加速度計、ジャイロスコープ、近距離無線通信機能内蔵)若しくは腕輪型健康データ検出
器30(赤外線LEDセンサー、NTC体温センサー、3D加速度計、ジャイロスコープ、心電図
計測センサ、近距離無線通信機能内蔵)、携帯型心電図計等である。
【0029】
この計測データ検出端末5は、スマフォ(GPS付高機能携帯端末ともいう:GPS付
き通信端末)とを通信可能に接続する。このスマフォ(以下、スマフォ40と称する)は
被検体が有している。
本実施の形態では、図1に示すように、COPD解析サイト80と、各種解析サービス
サイト60i(60a、60b、・・・)と、地図提供サイト50と、医療機関又は研究
機関若しくはクリニック端末70とがインターネット網又は専用網(例えば、VPN)等
の通信ネットワーク90に接続されている。
【0030】
COPD解析サイトのサーバ(以下、COPD解析サーバ81と称する)は、少なくと
も呼吸器系データテーブル生成部100と、解析処理部200、記憶部300等を有して
いる。
呼吸器系データテーブル生成部100及び解析処理部200は、コンピュータによって
実行されるプログラムをブロック化した例である。
【0031】
各種解析サービスサイト60iは、気象情報提供サービスサイト60a又は心拍数提供
サイト60b、睡眠データ提供サイト60c、心電図サービスサイト60d等である。こ
れらは、サーバシステムを有している。
地図提供サイト50は、2万5千分の1地図、1万5千分の1の地図、微細地図等を提供
する。
【0032】
微細地図は、5メートルメッシュ(平面直角座標)を約10cm、20cm、・・60
cmに分割し(以下、微細メッシュmbという)、この微細メッシュmbにXp、Yp、
Zpを割り付けている。
COPD解析サイト80のCOPD解析サーバ81(CPU、RAM、ROM等を有す
る)は、少なくとも、呼吸器系データテーブル生成部100(プログラム)と、解析処理
部200(プログラム)と、記憶部300等を備えてCOPD検査用アプリ処理を実行す
る。より詳細な構成は、図2に示す。
【0033】
(COPD解析サーバ81)
図2はCOPD解析サーバ81の詳細構成図である。図2に示すように、各種情報登録
部110を備えている。
また、振分部130と、呼吸器系データ測定収集指示部120と、呼吸数算出指示部1
55と、気象系測定項目収集指示部160と、呼吸器系データテーブル生成部100と、
微細地図上ルート要求部140等を備えている。
【0034】
(各部の説明)
各種情報登録部110は、スマフォ40からのアクセスで、ユーザアカウント(被検体
者アカウントともいう)、氏名、電話番号、メールアドレス、クリニック名を入力させる
画面(図示せず)を提供し、これらに入力された情報を被検体者情報(年月日時刻付き)
としてメモリ112に記憶する。
【0035】
また、各種情報登録部110は、クリニック端末70からのアクセスでクリニック情報
を入力させる画面(クリニック情報登録画面:図示せず)を提供して入力させて、メモリ
114に登録する。このクリニック情報は、クリニックアカウントと、クリニック住所、
電話番号、メールアドレス、医師情報、クリニック情報識別情報(例えば、ユニークコー
ド:番号、英文字、アラビア文字の組)等である。医師情報はアカウントと、医師名と、
メールアドレス、医師情報識別情報等である。
【0036】
さらに、各種情報登録部110は、地図提供サイト50のサーバと通信を行なって、地
図提供サイト50との共通アカウント等をメモリ114に登録している。また、各種解析
サービスサイト60i(60a、60b、・・・)と通信を行なってこれらのサイトとの
共通アカウント等を登録している。なお、地図提供サイト50とは、後述する微細地図等
を提供させる契約を行っている。
【0037】
また、各種情報登録部110は、クリニック端末70又はスマフォからのアクセスに伴
って、各種ボタン画面(図示せず)を表示する。例えば、クリニック端末70からのアク
セスの場合は、歩行ルート取得情報登録ボタン、呼吸器系データ測定収集ボタン、・・・
等の画面を提供する。
例えば、歩行ルート取得情報登録ボタンの選択の場合は、歩行ルート取得情報登録用画
面(図示せず)を提供する。
【0038】
そして、この画面に、スタート地点と、スタート地点からの総距離と、歩行路種(平地
、坂又は階段)と、歩行路種の距離と、歩行路種の順番等の歩行ルート生成条件情報(以
下、単に歩行ルート生成条件Hai)を入力させて、この歩行ルート生成条件Haiを振
分部130を介して微細地図上ルート要求部140に出力する。
【0039】
呼吸器系測定指示部115は、クリニック端末70(医師端末又は事務端末)と通信を
行なって後述する被検体者測定項目情報Jai(被検体者測定項目識別情報を含む)を入
力するための画面を送信して、これをメモリ150に登録する。
また、一定時間経過(タイマー:約1秒)する毎に、スマフォ40に対して計測要求情
報Ci(サイト名、測定項目、年月日時刻、・・)を送信し、この計測要求情報Ciに基
づくGPS付き計測データ(GPS付き計測データ識別情報を含む)をメモリ180に順
次記憶する。
【0040】
振分部130は、クリニック端末70からの被検体者測定項目情報Jaiを受信し、呼
吸器系データ測定収集指示部120に出力する。
また、被検体者測定項目情報Jaiに含まれている測定項目情報Jdiの測定項目種類
Jda(SpO2、心拍数、呼吸数、・・・)及び気象系測定項目Jdbを読み込む。計
測データ検出端末5が呼吸器数、心電図データ等を直接計測していない場合は、これらの
値を提供できるサイトと通信させる。
【0041】
本実施の形態では、呼吸数と、気象系として説明する。このため、呼吸数算出指示部1
55と、気象系測定項目収集指示部160とを備えている。心電図データの場合は、心電
図データ収集指示部(図示せず)を備える。
【0042】
呼吸数算出指示部155は、呼吸数提供サイトとの共通アカウントを用いて被検体者の
呼吸数を要求し、この結果を呼吸器系データテーブル生成部100に出力する。
気象系測定項目収集指示部160は、気象サイトに対して、所定地域(被検体者が歩行
するエリア又は周辺)の気温、気圧、風力等を要求し、この結果を呼吸器系データテーブ
ル生成部100に出力する。
【0043】
さらに、振分部130は、各種情報登録部110からの歩行ルート取得情報登録要求情
報に含まれている歩行ルート生成条件Hai(スタート地点と、スタート地点からの総距
離と、歩行路種(平地、坂又は階段)と、歩行路種の距離と歩行路種の順番、年月日時刻
、クリニック別被検体識別情報、年月日時刻等)を微細地図上ルート要求部140に送信
する。
なお、歩行ルート取得情報登録要求情報は、歩行ルート取得情報登録ボタン番号と、ク
リニック情報(クリニック識別情報、年月日時刻)と、医師情報(医師名、クリニック情
報、医師情報識別情報)と、歩行ルート取得情報登録要求識別情報等よりなる。
【0044】
また、振分部130は、歩行ルート取得情報登録要求情報に含まれているクリニック別
被検体者識別情報を有するメモリ150の被検体者測定項目情報Jaiを引き当て、これ
に含まれている測定項目種類のサービスを提供を受ける。
例えば、呼吸の場合は、呼吸数算出指示部155を用いて取得し、気象の場合は気象系
測定項目収集指示部160を用いて取得する。また、心電図データの場合は、心電図デー
タ収集指示部を用いて取得する。
【0045】
微細地図上ルート要求部140は、歩行ルート生成条件Haiを地図提供サイト50に
送信し、地図提供サイト50からの微細地図情報JSi(微細地図、歩行ルート等)を受
信して、メモリ145に記憶する。地図提供サイト50の処理は後述するシーケンス図で
説明する。
【0046】
呼吸器系データテーブル生成部100は、メモリ180の位置情報付計測データGDi
とメモリ145の微細地図情報JSiを読み込み、微細位置座標付き呼吸器系計測データ
BSiを順次、生成する。
そして、GPSデータ取得時刻ti(1秒単位)に、この微細位置座標付き呼吸器系計
測データBSiに含まれている微細地図の微細位置Sgi(Xp、Yp、Zp)と計測デ
ータ(SpO2・・・)と関連付けた歩行単位呼吸器系管理情報SMiを生成し、これを
メモリ194に順次、記憶することで、解析者毎でかつ被検体者毎の歩行単位呼吸器系管
理テーブルTSiを生成する。
【0047】
また、この歩行単位呼吸器系管理テーブルTSiに関連付けられている解析者識別情報
及び被検体者アカウントを有する微細地図情報の微細地図上決定歩行ルートを指定し、こ
の微細地図上決定歩行ルートを構成する歩行区間毎に、この歩行区間に該当する微細位置
Sgi(Xp、Yp、Zp)を有する歩行単位呼吸器系管理テーブルTSiの歩行単位呼
吸器系管理情報SMiのグループを指定する。
【0048】
そして、歩行区間内の計測データの種類毎に、平均化し、歩行条件に含まれている歩行
区間条件(平坦、坂道、距離、ゆっくり、早く)と、計測データの種類毎の平均値を関連
付けた前記呼吸器系管理テーブルTKiをメモリ195に生成する。
解析処理部200は、クリニック端末70からの指示で、呼吸器系管理テーブルTKi
又は歩行単位呼吸器系管理テーブルTSiをクリニック端末70若しくはスマフォ40に
送信する。
【0049】
或いは、歩行単位呼吸器系管理テーブルTSiの微細位置Sgi(Xp、Yp、Zp)
のZp座標を時間軸上(1m)に羅列したグラフを表示させる。
また、歩行単位呼吸器系管理テーブルTSiの計測データ(SpO2・・・)を種類別
にグラフにして表示させる。若しくは、いずれかのグラフの組み合わせを表示させる。
【0050】
(全体の動作)
図3図5は本実施の形態の呼吸器循環器系計測データ管理システムのシーケンス図で
ある。本実施の形態では、COPD解析サイト80と、クリニック端末70とは、互いに
通信を行なって、COPD解析サーバ81に各種情報を登録していることを前提として説
明する。
【0051】
また、クリニック端末70、スマフォ40はCOPD解析サイト80にアカウント登録
しており、COPD解析サイト80は、地図提供サイト50、各種解析サービスサイト6
0iにアカウントを登録しているとする。
【0052】
各種情報登録部110は、クリニック端末70又はスマフォからのアクセスに伴って、
各種ボタン画面(図示せず)を表示する。例えば、クリニック端末70からのアクセスの
場合は、歩行ルート取得情報登録ボタン、呼吸器系データ測定収集ボタン、・・・等の画
面を提供する。
【0053】
初めに各種情報登録部110の歩行ルート取得情報登録処理を説明する。
【0054】
(歩行ルート取得情報登録処理)
この歩行ルート取得情報登録処理は歩行ルートを所定数登録するものであり、医師がク
リニック端末70を操作して歩行ルート取得情報登録ボタンを選択して、歩行ルート取得
情報登録画面の要求する(d1a)。
【0055】
この歩行ルート取得情報登録要求情報には、歩行ルート取得情報登録ボタン番号、クリ
ニック情報(クリニック識別情報、年月日時刻)と、医師情報(医師名、クリニック情報
、医師情報識別情報)等が含まれている。
各種情報登録部110は、歩行ルート取得情報登録要求情報の受信に伴って、歩行ルー
ト取得情報登録用画面(図示せず)を表示させる制御コードをクリニック端末70に送信
して表示させる(d1b)。
【0056】
この歩行ルート取得情報登録用画面には、歩行ルート取得情報登録要求情報に含まれて
いる歩行ルート取得情報登録要求識別情報等が関連付けられている。つまり、歩行ルート
取得情報登録要求情報が関連付けられている。
【0057】
歩行ルートを医師(看護師、事務でもよい)が登録するのは、被検体者が自由に歩行ル
ートを決めてしまうと、定量的なデータを距離単位で得たとしても、そのルートを歩行し
たときの他の計測データとを定量的に解析することが容易ではない。また、COPDが気
になる方は、殆んどがクリニックの近隣であり、医師、クリニック勤務者は近隣の環境を
ある程度知っている。
【0058】
このため、医師が予め所定数(5~8ルート程度)の歩行ルートを地図提供サイトの協
力を得て決定する。
例えば、歩行ルート取得情報登録用画面(図示せず)に、スタート地点と、スタート地
点からの総距離と、歩行路種(平地、坂又は階段)と、歩行路種の距離と歩行路種の順番
等の歩行ルート生成条件情報(以下、単に歩行ルート生成条件Haiという)を入力する
(d2)。
【0059】
具体的には、スタート地点を被検体者の自宅住所又はクリニック住所或いは自宅又はク
リニック近くの任意の地点の住所とするのが好ましい。歩行路種(平地、坂又は階段)は
、勾配(0度、1度、2度、・・5度、・・10、・・15度、・・20度、・・、30
度、・・)であってもよい。
【0060】
この歩行ルート生成条件HaiをCOPD解析サーバ81に送信する(d3a)。
なお、歩行ルート生成条件Haiは、スタート地点と、距離と、歩行路種類と、歩行ル
ート取得情報登録要求識別情報と、歩行ルート取得情報登録要求識別情報と、年月日時刻
等が関連付けられている。
この歩行ルート生成条件HaiをCOPD解析サーバ81の各種情報登録部110がク
リニック端末70から受信し、振分部130に出力し、振分部130が微細地図上ルート
要求部140に出力し、微細地図上ルート要求部140が地図提供サイト50に送信する
(d3b)。
【0061】
地図提供サイト50は、歩行ルート生成条件Haiを受信して、微細地図上ルート生成
処理を行う(d4)。
【0062】
この微細地図上ルート生成処理は、歩行ルート生成条件Haiに含まれているスタート
地点の住所を数値標高地図(例えば5mメッシュ)の平面直角座標(1万5千分の1の地図
)で定義(平面直角座標)し、これを起点として、歩行路種の順番(歩行順番:1、2又
は3、・・最後)が若い方から、歩行路種(平地、坂又は階段:勾配)となり、かつその
歩行路種の距離となる位置を順次求め、総距離となる位置までのルートriを求める。
【0063】
そして、平面直角座標(1万5千分の1の地図)に、例えばスタート地点を中心にして1
km×1kmのエリアEiを定める。そして、このエリアEiのX軸、Y軸を、地図提供
サイト50とCOPD解析サイト80とで決めた縦横サイズ(例えば1m)で、分割する
。そして、この分割したメッシュ(以下、微細メッシュmbという)の角の座標Xpi、
Ypi、Zpiを、エリアEi内の5mメッシュに割り付けられているXi、Yi、Zi
に基づいて補間処理で求める。
【0064】
前述の縦横サイズ(解像度ともいう)を1mとしているのは、GPSデータ取得時刻t
iは、1秒単位であり、1秒で約1m程度歩行するのが一般的であるためである。
つまり、微細地図の解像度は1mであるから、GPSデータ取得時刻tiに歩行する歩
幅程度(二歩程度)単位の標高毎にSpO2等を管理することができる。GPSデータ取
得時刻tiは、約2秒毎でも構わないが、2秒を越える場合は、1秒の固定値で取得する
のが好ましい。
【0065】
そして、ルートriの特徴点(カーブ、直線)に、微細地図の座標Xpi、Ypi、Z
piを定めて、微細地図上推奨歩行ルートRaとする。
この微細地図上推奨歩行ルートRa及び微細地図に歩行ルート生成条件Haiを関連付
けて、エリアEiの地物レイヤ(建物、道路、河川、含む)と共に推奨微細地図情報JB
iとして、COPD解析サーバ81に送信する(d5)。
なお、推奨微細地図情報JBiは、微細地図上推奨歩行ルートRa(微細地図上推奨歩
行ルート識別情報、座標値、年月日時刻を含む)と、微細地図(微細地図番号含む)と、
歩行ルート生成条件Hai等が関連付けられている。
【0066】
次に、COPD解析サーバ81の微細地図上ルート要求部140は、この推奨微細地図
情報JBiを受信し、メモリ145に記憶する(d5b)。
【0067】
そして、COPD解析サーバ81の微細地図上ルート要求部140は、この推奨微細地
図情報JBiの歩行ルート取得情報登録要求識別情報に含まれているクリニック識別情報
を読み込み、メモリ114からこれに含まれているクリニック情報識別情報を有するクリ
ニック情報を引き当て、これに含まれているアドレス宛に送信して表示させる(d5c)
【0068】
図6がクリニック端末70に表示された推奨微細地図情報JBiに基づく微細地図画面
の一例である。
【0069】
この推奨微細地図画面は、1mメッシュからなるメッシュ群に道路、建物、等高線(図
示せず)等を重ね表示したものであるから道路の勾配(斜度の程度)、坂道の勾配、階段
の勾配程度を詳細に把握できる。
【0070】
さらに、具体的には、微細地図上推奨歩行ルートRaには、歩行路種の区間と、距離と
、勾配が関連付けられている(図7参照)。
【0071】
従って、医師は、被検出体者に適するCOPDのための計測データを取得できる微細地
図上推奨歩行ルートRaであるかを判断できる。
そして、医師は画面の決定ボタン又は次を選択する(d6a)。この選択情報(「決定
」又は「次」、推奨微細地図識別情報、年月日時刻、歩行ルート取得情報登録要求識別情
報、等)をクリニック端末70が送信する(d6b)。
【0072】
COPD解析サーバ81の微細地図上ルート要求部140は、選択情報が「決定」又は
「次」を示しているかどうかを判断する(d7a)。
「決定」を示している場合は、この選択情報に含まれている推奨微細地図識別情報を読
み込み、この推奨微細地図識別情報を有するメモリ145の推奨微細地図情報JBiを決
定微細地図情報JBRi(決定フラグ)とし、推奨微細地図情報JBiに含まれている微
細地図上推奨歩行ルートRaを微細地図上決定歩行ルートRb(決定フラグ)とする(d
7c)。
【0073】
微細地図上決定歩行ルートRbには、推奨微細地図識別情報、年月日時刻、歩行ルート
取得情報登録要求識別情報等が関連付けられている。
この推奨微細地図情報JBiと決定微細地図情報JBRiとを総称(いずれか)して微
細地図情報JSiと称する。
【0074】
また、選択情報が「次」を示している場合は、地図提供サイト50に、次の微細地図上
推奨歩行ルートRaにした微細地図情報を送信させるコマンドを送信する(d8a)。
【0075】
地図提供サイト50は、コマンドが「OK:決定」を示しているかどうかを判断する(
d8b)。コマンドが次の微細地図上推奨歩行ルートRaの送信を示している場合は、上
記の微細地図上ルート生成処理を行わせる(d9)。例えば、前回の微細地図上推奨歩行
ルートRaのスタート地点から左にとるルートを検索する。
【0076】
図7が決定微細地図情報JBRiの画面例である。
なお、決定微細地図情報JBRiは、微細地図上推奨歩行ルートRaと、微細地図(微
細地図番号含む)と、歩行ルート生成条件Hai等が関連付けられている。
【0077】
図7に示すように、ahi~ah2との区間が90mで勾配は0度、ah2~ah3は
90mで勾配は2度、ah3~ah4は90mで、勾配0度、ah4~ah5は距離14
0m(階段)で勾配が30度として求めている例である。
【0078】
ここまでの処理が微細地図上決定歩行ルートRbの処理である。
【0079】
次に、図4図5のシーケンスを用いて実際の運用を説明する。
図4に示すように、医師は、例えば、被検体者(健常者又はCOPDの相談者、又は傾
向がある人)からの相談(来院又はオンライン)があった場合に、クリニック端末70を
操作してCOPD解析サイト80から被検体測定項目用画面の提供を受け、必要項目を入
力し、COPD解析サイト80に送信して呼吸器系データ測定収集指示部120によって
メモリ150に被検体者測定項目情報Jaiとして登録させて呼吸器系データテーブル生
成部100に出力する(d10)。
【0080】
図8は、被検体測定項目用画面の一例である。図8に示すように、クリニック別被検体
者情報Jbiを入力するための欄部がある。この欄部は、年月日時刻欄と、クリニック名
欄と、ドクター名欄と、被検体者名欄と、被検体者のメールアドレス欄と、診察券番号と
、電話番号欄と、性別欄と、年齢欄と、身長欄と、体重欄と、病歴欄と、タバコの有無欄
、本数欄、住所欄等からなる。
【0081】
また、マイナンバカードの番号を含ませても良い。
これらの情報(クリニック別被検体者情報Jbi)は、受付の担当者が受付端末(図示
せず)を操作して、クリニックのサーバに登録するのがよい。
【0082】
また、これらの情報を一次元バーコード又は二次元バーコード(QRコード:登録商標
)で診察券に印字しておいて、バーコードリーダで読み取るのが好ましい。
また、クリニック側歩行条件情報Jciを入力する欄がある。この欄は、歩行路種の順
番、歩行路種(平地、坂道、階段)、歩幅、距離、区間勾配、休み、スタート欄、総距離
欄等である。
【0083】
また、測定項目情報Jdiを入力する欄がある。この欄は、SPO2、心拍数、呼吸数
、心電図等の検査データを得るかとうかを要求する欄(総称して呼吸器測定項目情報の欄
という)である。
【0084】
さらに、気温、気圧、湿度、風力、風向き等を要求する欄(総称して、気象系測定項目
欄)と、測定機種の欄(型番、機種名等を含む)等がある。
本実施の形態では、例えば、クリニック側歩行条件情報Jciは、歩行路種の順番「1
」は、歩行路種が「平地」、歩き種が「通常」、歩幅は「55cm」、距離は「90m」
、勾配は「平坦」、「休みなし」とする。なお、歩幅は、年齢、体の状況、身長等によっ
て相違するが、通常、ゆっくり、早くといっても大体の目安があると、被検体者側は分か
りやすいので、この項目を設けている。
【0085】
歩行路種の順番「2」は、歩行路種が「平地」、歩き種が「早歩き」、歩幅は「70c
m」、距離は「90m」、勾配は「平坦」、「休みなし」とする。
歩行路種の順番「3」は、歩行路種が「平地」、歩き種が「通常」、歩幅は「55cm」
、距離は「90m」、勾配は「平坦」、「休みなし」とする。
【0086】
歩行路種の順番「4」は、歩行路種が「坂道(階段)」、歩き種が「ゆっくり」、歩幅
は「40(又は20cm)cm」、距離は「140m」、勾配は「30度」、上ったら「
5分休憩」とする。なお、組み合わせは自由である。平地というのは距離90m、140
m毎の勾配が0度~3度程度であり、予め地図提供サイト50側と取り決めしておくのが
好ましい。むろん、医師側で勾配を入力しても構わない。
【0087】
測定項目情報Jdiは、SpO2、心拍とする。気象系測定項目は、気温、気圧とする
。測定機種は、パルスオキシメータとする。
【0088】
被検体者測定項目情報Jaiは被検体者測定項目識別情報、年月日時刻が含まれており
、クリニック側歩行条件情報Jci、測定項目情報Jdiにも、この被検体者測定項目識
別情報が含まれている。
【0089】
一方、被検体者側は、クリニック側から提供されたパルスオキシメータ10を装着する
と共に、スマフォ40を操作してCOPD解析サイト80からアプリ(COPD検査用ア
プリ)をダウンロードする(d12)。
【0090】
このCOPD検査用アプリのダウンロードは、COPD解析サイト80にアクセスして
被検体者のIDコード、パスワードを入力し、提供された画面(図示せず)に被検体者氏
名、年齢、性別、身長、病歴、メールアドレス、住所、電話番号、タバコの有無、本数等
を入力する。これらの入力情報を被検体者情報Bi(被検体者識別情報番号、年月日時刻
含む)と称する。
【0091】
一方、被検体者側は、スマフォ40を操作してパルスオキシメータ10をオンさせ(d
20)、ペアリング設定を行う(d22)。
【0092】
ペアリングは、パルスオキシメータ10の端末番号(機械コード)、スマフォ40の端
末番号等が入力される。
ここまでが、初期設定であり、以下に説明するCOPD検査用アプリ処理を実行する。
【0093】
そして、被検体者は実際に計測する場合は、パルスオキシメータ10をオンさせ(d2
4)、かつスマフォ40を操作してCOPD検査用アプリを起動させる(d26)。
【0094】
このCOPD検査用アプリは、起動に伴って、被検体者IDコード、パスワード(被検
体者アカウント)をCOPD解析サイト80に送信して、上記の呼吸器系データ測定収集
指示部120から被検体者測定項目情報Jaiと、微細地図に定義された決定微細地図情
報JBRi(微細地図上決定歩行ルートRb)の提供を受ける(d28)。
【0095】
このとき、呼吸器系データ測定収集指示部120は、被検体者アカウントの認証を行い
、被検体者測定項目情報Jaiに含まれているクリニック別被検体者情報Jbiのクリニ
ック別被検体者識別情報を関連付けた微細地図要求情報を微細地図上ルート要求部140
に出力する。
なお、被検体者測定項目情報Jaiは、クリニック別被検体者情報Jbiと、クリニッ
ク側歩行条件情報Jciと、測定項目情報Jdiと、被検体者測定項目識別情報と、年月
日時刻とが関連付けられている。
【0096】
微細地図上ルート要求部140は、微細地図要求情報(クリニック別被検体者識別情報
、年月日時刻含む)を受信する毎に、微細地図要求情報に含まれているクリニック別被検
体者識別情報を有する決定微細地図情報JBRiをメモリ145から読みだして送信して
いる。
【0097】
つまり、被検体者側は、スマフォ40に、図7に示す決定微細地図情報JBRiの画面
(微細地図上決定歩行ルートRbを含む)と、図8に示す被検体者測定項目情報Jaiの
画面を表示する。
【0098】
従って、被検体者はどこのルートを歩行していけばよいかもわかるし、通常、ゆっくり
、早歩きの歩幅がどの程度かもわかる。
【0099】
パルスオキシメータ10のオン(d24)、及びスマフォ40のアプリの起動に伴って
、スマフォ40はペアリングを開始して、計測開始指示を行う(d30)。
【0100】
この計測開始指示に伴って、スマフォ40は、スマフォの識別情報、計測器の種類コー
ド、年月日時刻等をCOPD解析サーバ81に送信し、COPD解析サーバ81の呼吸器
系データ測定収集指示部120は、要求情報(クリニック別被検体者識別情報、年月日時
刻含む)をスマフォ40に送信する(d29)。
【0101】
具体的には、呼吸器系データ測定収集指示部120が要求情報(クリニック別被検体者
識別情報、年月日時刻含む)に含まれているクリニック別被検体者識別情報を有する被検
体者測定項目情報Jai(Ja1又はJa2、・・)をメモリ150から引き当てる。そ
して、この被検体者測定項目情報Jaiに含まれている測定項目情報Jdiの測定項目種
類Jdaを含ませたに要求情報(被検体者測定項目識別情報、測定項目種類Jda(Sp
O2、又は心拍、・・)を送信する。
【0102】
スマフォ40は、この要求情報を受信する毎に、パルスオキシメータ10に計測結果送
信要求を近距離無線通信プロトコル(Blue tooth)で送信する。
【0103】
パルスオキシメータ10は、スマフォ40からの計測結果送信要求の受信に伴って、ペ
アリング情報と、現時点の計測したSpO2、心拍、体温、年月日時刻等の計測データを
一定時間毎(1秒、5秒又は30秒、1分)にスマフォ40に順次、送信する(d32a
、d32b、・・・d32i)。
【0104】
また、パルスオキシメータ10は、オフにされたかどうかを判定し(d42)、オフに
されていない場合は処理をd32aに戻す(d44)。
【0105】
一方、スマフォ40は、パルスオキシメータ10から計測データ(SpO2、心拍数、
温度、・・)を受信する毎に、現時点のGPSデータを読み込み、このGPSデータ(緯
度経度、GPSデータ取得時刻ti)と計測データとクリニック別被検体者識別情報の組
を位置情報付計測データGDi(緯度、経度、GPSデータ取得時刻ti、SpO2、・
・、クリニック別被検体者識別情報含む)としてCOPD解析サーバ81に順次、送信す
る(d34a、d34b、・・・d34i)。
【0106】
一方、COPD解析サーバ81の呼吸器系データ測定収集指示部120は、この位置情
報付計測データGDi(緯度、経度、GPSデータ取得時刻ti、SpO2、・・、クリ
ニック別被検体者識別情報含む)を受信する毎に、メモリ180にGPSデータ取得時刻
ti単位で蓄積する(d38、d40)。
【0107】
このとき、緯度経度は、平面直角座標Xi、Yi、Ziに変換し、この平面直角座標X
i、Yi、Ziに該当するメモリ145の決定微細地図の微細メッシュmbのxp、yp
座標を検索し、この座標に割りつけられているzp座標を読み込む。
【0108】
そして、xp、yp、zp座標(Sgi)をGPSデータ取得時刻tiに関連付けてい
る。つまり、図9に示す位置情報付計測データテーブルMaiが生成される。なお、図9
の位置情報付計測データGDiには、心電図データが関連付けられている例を示している
【0109】
つまり、図9の位置情報付計測データテーブルMaiは、より詳細には図10に示す関
係になっている。
一方、パルスオキシメータ10は、d42においてオフと判定した場合は、スマフォ4
0と回線切断処理を行い(d46)、スマフォ40はCOPD解析サーバ81と回線切断
処理を行う(d48)。
【0110】
次に、図5のシーケンスを説明する。医師は、クリニック端末70を操作して、COP
D解析サーバ81にアクセス(予め登録しているアカウントを用いる)して解析データ要
求を行う(d50)。
【0111】
具体的には、COPD解析サイト80に対して、アカウントでログインし、解析データ
要求用の画面の提供を受ける。
そして、この収集データ要求用の画面(図示せず)に、クリニック名(クリニックコー
ド)、医師名(医師コード)、被検体者名(被検体者コード)、計測項目、年月日時刻等
(取集データ要求情報)を入力する。
【0112】
なお、クリニック名、患者名は、診察券カードに印字されているバーコードをバーコー
ドリーダで読み込み、医師の名札に印字されている医師コードをバーコードリーダで読み
込んで、これらのバーコードの組の情報を医師端末からCOPD解析サーバ81に送信す
るのが好ましい。
【0113】
次に、COPD解析サーバ81の呼吸器系データテーブル生成部100は、収集データ
要求情報の受信に伴って微細地図上決定歩行ルートRbの区間ahi毎の勾配を求める処
理(勾配算出処理)を行う(d54)。
【0114】
この処理は、収集データ要求情報に含まれている被検体者識別情報、クリニック識別情
報(総称してクリニック別被検体識別情報)を有する決定微細地図情報JBRiをメモリ
145から引き当てる(指定する)。
【0115】
そして、この決定微細地図情報JBRiに含まれている微細地図上決定歩行ルートRb
の区間ahiの始点の座標を有する微細メッシュmb(1m)のzp座標と、終点の座標
を有する微細メッシュmbのzp座標とを読み込み、この差を勾配として求める。
【0116】
この勾配(勾配情報ともいう)には、収集データ要求識別情報、決定微細地図識別情報
、微細地図上決定歩行ルート識別情報、クリニック別被検体識別情報等が関連付けられる
【0117】
そして、呼吸器系データテーブル生成部100は、微細地図上決定歩行ルートRbの区
間ahi毎のSpO2、心拍数、呼吸数などの平均を求める処理(計測データ平均化処理
)を行う(d70)。
【0118】
計測データ平均化処理は、勾配情報に関連付けられているメモリ145の決定微細地図
識別情報の決定微細地図情報JBRiの区間ahi(例えばah1~ah2、ah2~a
h3、ah3~ah4、ah4~ah5)を順次読み込み、このahiに勾配を割り付け
る。
【0119】
そして、メモリ180のこの勾配情報に関連付けられている収集データ要求情報に含ま
れているクリニック別被検体者識別情報(クリニック名含む)を有する位置情報付計測デ
ータテーブルMaiをメモリ180から引き当てる。
なお、勾配情報は、収集データ要求識別情報と、決定微細地図識別情報と、微細地図上
決定歩行ルート識別情報と、区間と、勾配と、クリニック別被検体者識別情報(クリニッ
ク名含む)と、区間の始点と、終点等が関連付けられている。
【0120】
そして、このテーブルの内で、勾配情報の区間の始点と終点との範囲となる微細位置S
giを有するSpO2、心拍数、呼吸数、心電図データの平均値(以下、総称して区間毎
計測データ平均値と称する)を求めて保持する。
【0121】
そして、この区間毎計測データ平均値(SpO2、又は心拍数、・・)に区間ahi(
例えばah1(始点座標)~ah2(終点座標)、ah2~ah3、ah3~ah4、a
h4~ah5)と、勾配と、勾配情報に含まれている決定微細地図識別情報、微細地図上
決定歩行ルート識別情報、クリニック別被検体者識別情報、等を関連付けた、計測項目平
均値情報[(区間ahi、平均値(SpO2、又は心拍数、・・)、勾配、決定微細地図
情報、微細地図上決定歩行ルート番号、クリニック別被検体者識別情報、収集データ要求
識別情報)]をメモリに生成する。
【0122】
そして、呼吸器系データテーブル生成部100は、計測項目平均値情報の生成に伴って
、歩行単位呼吸器系管理テーブルTSiをメモリ194に生成する処理(呼吸器系データ
テーブル生成処理)を行う(d72)。
【0123】
(呼吸器系データテーブル生成処理(d70))
なお、メモリ194には、クリニック別被検体者情報欄と、気象情報欄と、決定歩行ル
ート欄(番号又は名称)と、歩行路区間欄(単に区間ともいう)と、勾配欄と、歩行路種
欄と、距離欄と、全長欄(総距離ともいう)と、歩行種類欄と、歩幅欄と、標準時間欄と
、実際の時間欄と、計測データ種欄等からなる呼吸器系データテーブルフォーマットが形
成されている。
【0124】
呼吸器系データテーブル生成部100は、計測項目平均値情報の生成に伴って、呼吸器
系データテーブルフォーマットをメモリ195に生成(コピー)する。
なお、計測項目平均値情報は、区間ahiと、平均値(SpO2、又は心拍数、・・)
と、勾配と、決定微細地図情報と、微細地図上決定歩行ルート番号と、クリニック別被検
体者識別情報と、収集データ要求識別情報等よりなる。
【0125】
そして、呼吸器系データテーブル生成部100は、メモリ180から計測項目平均値情
報を有する位置情報付計測データテーブルMaiを引き当てる。
なお、計測項目平均値情報は、区間ahiと、平均値(SpO2、又は心拍数、・・)
と、勾配と、決定微細地図情報と、微細地図上決定歩行ルート番号と、クリニック別被検
体者識別情報と、収集データ要求識別情報とが関連付けられている。
【0126】
次に、メモリ145から位置情報付計測データテーブルMaiに含まれているクリニッ
ク別被検体者識別情報を有する決定微細地図情報JBRiを引き当てる。
そして、決定微細地図情報JBRiに含まれている微細地図上決定歩行ルートRbの微
細地図上決定歩行ルート識別情報(番号又は名称)を歩行ルート欄に書き込む。また、区
間ahiを区間欄に書き込む。
【0127】
次に、計測項目平均値情報に含まれている区間毎の勾配を該当の区間に書き込む。
【0128】
例えば、ah1~ah2は「0」度、ah2~ah3は2度、ah3~ah4は0度、
ah4~ah5は30度と書き込む。
次に、呼吸器系データテーブル生成部100は、引き当てた被検体者測定項目情報Ja
iに含まれているクリニック側歩行条件情報Jciの歩行路種(平坦、坂道又は階段)を
、歩行種順番に従って、歩行路種欄に順次書き込む。また、歩行種(通常、ゆっくり、早
歩き、休み含む)を歩行種順番に従って書き込む。
【0129】
また、クリニック側歩行条件情報Jciの距離を歩行種順番に従って距離欄に順次、書
き込む(90m、90m、90m、140m)。また、これらの距離の合計を求めて全長
欄に書き込む。さらに、歩行路種を歩行種欄に書き込む。また、クリニック側歩行条件情
報Jciに含まれている歩幅を歩幅欄に書き込む。
【0130】
さらに、メモリに記憶されている、被検体者測定項目情報Jaiに含まれている身長、
年齢、体重、性別、病歴に該当する歩行種類毎の距離毎の標準歩行時間表(図示せず)に
基づいて、距離欄にその距離での標準歩行時間を書き込む。
【0131】
さらに、計測項目平均値情報に含まれているクリニック別被検出者識別情報を有する位
置情報付計測データテーブルMaiを引き当てる。
そして、メモリ195のテーブルの区間ahiを指定し、この区間Ahiに該当する微
細位置Sgi(Xp、Yp、ZP)が関連付けられている位置情報付計測データテーブル
Maiにおける全ての位置情報付計測データGDiを指定する(区間別位置情報付計測デ
ータグループともいう)。
【0132】
そして、指定した区間の位置情報付計測データGDiの時刻が最も古い時刻(始点での
時刻に相当)と、最も若い時刻(終点での時刻に相当)との差を実際の歩行時刻として求
め、指定した区間Ahiのレコードの実際の時間欄に書き込む。
【0133】
また、位置情報付計測データテーブルMaiの区間別位置情報付計測データグループの
全てのSpO2、心拍数、体温、呼吸数、心電図データ等を平均化する。これらの平均値
をメモリ195の該当の計測データ欄に書き込む。
【0134】
これによって、図11に示す、呼吸器系管理テーブルTKiがメモリ195に生成され
る(d74)。
すなわち、図12に示すように、数値標高地図(例えば5mメッシュ)の5mメッシュ
のX軸、Y軸を1m単位で分割し、この微細メッシュmbに、5mメッシュのX座標、Y
座標(例えば、(Xi1、Yi1、Zi1)、(Xi2、Yi2、Zi2))を補間して
割りつけ(例えば、(Xp1、Yp1、Zp1)、・・・(Xp6、Yp6、Zp6)、
この微細メッシュmb(例えば、(Xp1、Yp1、Zp1)、・・・(Xp6、Yp6
、Zp6)の間隔のZpi座標(実際の歩行時の高さ)に計測データ(SpO2、・・)
を割りつけている。
【0135】
図12は、5mメッシュ上での歩行軌跡LMSを示し、Lmpは、微細メッシュmb(
例えば、(Xp1、Yp1、Zp1)、・・・(Xp6、Yp6、Zp6)での歩行軌跡
を示している。
【0136】
従って、図12に示すように、実際に微細地図上決定歩行ルートを被検体者が歩いたと
きの、微細地図上決定歩行ルートにおける高さが細かくわかり、この高さに計測データが
割りつけられることになるから、詳細に解析ができる。
【0137】
また、呼吸器系データテーブル生成部100は、例えば気象情報提供サイトにアクセス
して微細地図上決定歩行ルートの地域の気象情報を取得して、気象情報欄に書き込む(d
75)。例えば、天気、気温、湿度、気圧を取得する。なお、呼吸器系管理テーブルTK
iをクリニック端末70若しくはスマフォ40に送信してもよい。
【0138】
解析処理部200は、クリニック端末70からのグラフ要求(d76)の受信に伴って
グラフ化処理を行う(d78)。
【0139】
(グラフ生成処理(d78))
グラフ生成処理は、横軸を距離(1m単位:1m、2m、・・・・)又は時間軸(1秒
単位)、縦軸を標高とし、さらに計測データの種類に応じた強さとしたグラフを生成する
。原点はスタート地点が好ましい。なお、距離は、微細メッシュmbのXp、Ypのベク
トルが好ましい。
【0140】
解析処理部200は、メモリ180からグラフ要求情報に含まれているクリニック別被
検体者識別情報を有する位置情報付計測データテーブルMaiを引き当てる。
【0141】
そして、位置情報付計測データテーブルMaiのレコードを順次指定し、該指定したレ
コードのGPSデータ取得時刻ti毎に、このGPSデータ取得時刻tiに関連付けられ
ている微細位置SgiのZp座標(高さ)を順次読み込む。
【0142】
そして、このZp座標(高さ)を順次、定義する。すなわち、図13に示すような、実
際に歩行していたときの標高波形(Ea)ができる。
【0143】
また、位置情報付計測データテーブルMaiの指定したレコード毎に、このレコードに
含まれているSpO2値を順次定義(1m間隔)してSpO2波形(Ha)を生成する。
また、指定したレコード毎に、心拍数を定義して心拍数波形Baを生成する。
【0144】
さらに、本実施の形態では、正常な方の心拍数波形(Ca)と、正常な方のSpO2波
形(Fa)とを表示させる。
すなわち、坂道又は階段を上がるに従って被検体者の心拍数が増加しているが、SpO
2にそんなに変化はないが正常な方と比較すると、若干の低下があることが分かるし、心
拍の増加も顕著である。
【0145】
一方、図14に示すように、位置情報付計測データテーブルMaiの心電図データを読
み込んで、この心電図データ波形(Ka)を表示させても良い。
【0146】
さらに、標高波形Eaを所定距離rcm(例えば、50cm、100cm、200cm
)間隔で心拍波形(Ba)の勾配θhiを求め、SpO2波形(Ha)の勾配θsiを求
め、標高波形(Ea)の勾配θaiを求めて表示させてもよい。このようにすると、各々
波形のrcm毎の勾配単位で、心拍数、SpO2、標高波形(Ea)の勾配θaiを解析
できる。
【0147】
このようなグラフをクリニック端末70からの要求(クリニック別被検体者識別情報を
含む)で該当の波形を送信し(d80)、診断させる(d82)。
【0148】
この診断結果(年月日時刻、波形データコード、クリニック別被検体者識別情報を含む
)をCOPD解析サイト80に送信し(d84)、メモリに記憶させる(d86)。
また、この結果をスマフォに送信する(d88)。
【0149】
COPD患者は、呼吸機能がある閾値を越えると自覚症状としての「つらさ」が出てく
ると言われている。
この「つらさ」は、薬により気管支を適度に広げて機能を閾値以上に持ち上げることで
解消することが多い。
【0150】
一方、健康を維持するには、体を動かすことが重要である。そのためには、例え、CO
PD患者であっても体を動かす必要がある。つまり、呼吸機能を高めることが重要である

本実施の形態では、医師が予め定めた歩行ルートの条件(平坦、坂道、距離、ゆっくり
、早く、やすみ)を運動を兼ねて実際に歩かせて、そのときのSpO2、心拍数等の計測
データをGPS取得時刻ti単位(例えば一秒毎)で取得し(例えば二歩に相当:1m)
、さらに、実際に歩いているときの地図上の高さを例えば1m単位の距離に関連付けたテ
ーブルを生成し、これらの計測データを例えば図13又は図14に示すように波形にして
表示している。
【0151】
このため、実際に走行ルート(平坦、坂道、距離、ゆっくり、早く、やすみ)を歩いて
いたときの呼吸器系の状況が波形を解析することで、細かく分ることになる。例えば、階
段を上ったときや早歩きした時などの、SpO2、呼吸数、心電図データの関係(例えば
波形の勾配)からCOPDかどうかを判断できる。
【0152】
さらに、図15に示すように、肺機能検査装置(300、400)等を通信ネットワー
ク90を介してCOPD解析サイト80に接続して、これらの肺機能検査装置の取得結果
を関連付けて解析サイトで記憶して、クリニック端末70を操作して医師が上記データと
共に解析してもよい。
【0153】
例えば、肺機能検査装置(スパイロメーター)で、肺活量と、息を吐くときの空気の通
りやすさを調べる。
COPD患者の場合は、息が吐き出しにくくなっているため、1秒量(FEV1)を努力肺
活量(FVC)で割った1秒率(FEV1%)の値が70%未満のとき、COPDと診断される。
また、病気の進行に伴い、1秒量が予測値(年齢、性別、体格が同じ日本人の標準的な値
)よりも低くなる。
COPDの病期は予測1秒量に対する比率(対標準1秒量:%FEV1)に基づいて分類される。
また、呼吸機能に加えて、長期の喫煙歴などの危険因子、労作時の呼吸困難、慢性的な
せきやたんなどから総合的に診断できる。
【0154】
上記の共通アカウントについて説明する。共通アカウントは、共通アカウント生成部(
図示せず)が生成する。例えば、被検体者をクリニック別にグループ化する。
【0155】
そして、このグループ毎にCOPD解析サイト80のサイト名をドメインとする。
また、グループ毎に、被検体者情報のログインIDと、クリニックが共通に用いる予め
設定されている共通パスワードをログインIDに関連付け、さらにクリック名と被検体者
名と管理者端末番号を関連付けて共通アカウント情報とする。
【0156】
この共通アカウントを各種解析サイト(呼吸数、心拍数、心電図等のサービスサイト)に
送信して、アクセストークインを受信し、指定した共通アカウント情報に含まれているク
リニック名と被検体者名とを関連付けたトークイン情報を生成する。
【0157】
そして、このトークイン情報に含まれているアクセストークインで生体情報解析サイト
から各種情報を取得する。
【0158】
そして、解析結果を読み出して(JASON)、これを所定の形式(グラフ等)にして
クリニック端末70に表示させる。
【0159】
前述の共通アカウントは、例えば、
「sinpak0001@miyazaki.com」と「sinpak2」との組、又
は「sinpak0002@miyazaki.com」と「sinpak2」、・・・
との組とする。
【0160】
この、@前の「sinpak0001」のユーザ名と、@後の「miyazaki.c
om」をドメインとし、これらを組とした共通アカウントである。
なお、上記実施の形態では、SpO2、心拍数、呼吸数、心電図データとしたが、他の
計測データであってもよい。
【符号の説明】
【0161】
5 計測データ検出端末
10 パルスオキシメータ
20 指輪型健康データ検出器
40 スマフォ
50 地図提供サイト
60i 各種解析サービスサイト
70 クリニック端末
80 COPD解析サイト
100 呼吸器系データテーブル生成部
120 呼吸器系データ測定収集指示部
140 微細地図上ルート要求部
200 解析処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15