(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005861
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】モータ駆動装置および車両用制動装置
(51)【国際特許分類】
H02P 3/22 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
H02P3/22 A
H02P3/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106277
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】三島 隆志
【テーマコード(参考)】
5H530
【Fターム(参考)】
5H530AA06
5H530BB18
5H530CC22
5H530CC23
5H530CD34
5H530CE15
5H530DD03
5H530DD14
5H530EE07
5H530EF03
(57)【要約】
【課題】電気モータの短絡時に短絡電流のピーク値を低減させる。
【解決手段】モータ駆動装置(100)は、電気モータ(22)のトルクが失陥したときに電気モータ(22)が発生する誘起電圧によって、電気モータ(22)が外力で駆動されることを検知する回転検知部(8)と、電気モータ(22)の端子間を短絡する短絡スイッチ(7)と、電気モータ(22)が外力で駆動されることが回転検知部(8)によって検知されると、短絡スイッチ(7)を誘起電圧に同期して断続的にオンさせるスイッチ制御部(10)とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータを駆動するモータ駆動装置であって、
前記電気モータのトルクが失陥したときに前記電気モータが発生する誘起電圧によって、前記電気モータが外力で駆動されることを検知する検知部と、
前記電気モータの端子間を短絡する短絡スイッチと、
前記電気モータが外力で駆動されることが前記検知部によって検知されると、前記短絡スイッチを前記誘起電圧に同期して断続的にオンさせる制御部と、を備える、モータ駆動装置。
【請求項2】
前記電気モータは、3相モータであり、
前記短絡スイッチは、前記3相モータの任意の1相の前記端子間を短絡し、
前記制御部は、前記端子間が短絡された相の次の位相の相の電流のゼロから最大値までの期間で前記短絡スイッチをオンさせる、請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記誘起電圧によって動作する、請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記電気モータによって駆動されるピストンがシリンダ内の液圧室を移動することによって生じる液圧でホイルシリンダを加圧する電動シリンダと、
前記電気モータを駆動する、請求項1から3のいずれか1項に記載のモータ駆動装置と、を備える、車両用制動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、モータに短絡ブレーキ動作をさせるモータ駆動装置およびそれを備える車両用制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車輪に電動ブレーキにより電動制動力が付与された状態で車載電源の異常が検出された場合に、電動制動力を保持する制動装置について記載されている。具体的には、当該制動装置では、車輪に電動ブレーキにより電動制動力が付与されている状態において、車載電源の、電動ブレーキの電動モータへの電力供給が不能である異常が検出された場合に、電動モータが短絡させられる。これにより、短絡ブレーキが作動し、電動モータを外力により回転させることが困難となるため、車輪に付与された電動制動力を保持することができる。
【0003】
特許文献1では、電動モータを短絡させるために、電動モータを制御するECUへの電力供給が可能であることが前提とされる。しかしながら、フェイルセーフの観点では、ECUへの電力供給が不要である場合でも、電動モータを短絡することが望ましい。
【0004】
例えば、特許文献2には、電源が失陥した場合、電気機械(電気モータ)を駆動するブリッジ回路の各相を構成する2つずつのFETの両端を半導体スイッチによって短絡する装置が記載されている。半導体スイッチによってFETが短絡された状態で、ブリッジ回路において、例えば、U相の上側のFETがONするとともに、V相,W相の下側のFETがONする。これにより、電気モータは、外力によって駆動されると、ONした上記のFETを介して各相に短絡電流が流れ、U相で発電する発電機モードで動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-024304号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/0207540号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載された装置では、電気モータが発電機モードで動作するときに流れる短絡電流のピーク値が過大となり得る。
【0007】
本件の一態様は、電気モータの短絡時に短絡電流のピーク値を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本件の一態様に係るモータ駆動装置は、電気モータを駆動するモータ駆動装置であって、前記電気モータのトルクが失陥したときに前記電気モータが発生する誘起電圧によって、前記電気モータが外力で駆動されることを検知する検知部と、前記電気モータの端子間を短絡する短絡スイッチと、前記電気モータが外力で駆動されることが前記検知部によって検知されると、前記短絡スイッチを前記誘起電圧に同期して断続的にオンさせる制御部と、を備える。
【0009】
上記の構成によれば、電気モータのトルク失陥時に短絡スイッチを断続的にオンさせることができる。これにより、短絡スイッチを介して電気モータの端子間に流れる電流(短絡電流)のピーク値を低減することができる。
【発明の効果】
【0010】
本件の一態様によれば、電気モータの短絡時に短絡電流のピーク値を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本件の一実施形態に係る車両用制動装置の構成を示す図である。
【
図2】上記車両用制動装置における電動シリンダを拡大して示す断面図である。
【
図3】上記車両用制動装置におけるモータ駆動装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】上記モータ駆動装置におけるインバータを構成するスイッチング素子を示す回路図である。
【
図5】上記モータ駆動装置の短絡ブレーキ動作時の各部の動作を示す波形図である。
【
図6】比較例に係るモータ駆動装置の短絡ブレーキ動作時の各部の動作を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本件の一実施形態について、
図1~
図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0013】
図1は、本件の一実施形態に係る車両用制動装置1の非通電状態の構成を示す図である。
図2は、車両用制動装置1における電動シリンダ2を拡大して示す断面図である。
【0014】
図1に示すように、車両用制動装置1は、上流ユニット11と、下流ユニット3と、第1ブレーキECU901と、第2ブレーキECU902と、モータ駆動装置100とを備えている。車両用制動装置1は、車両の車輪に設けられたホイルシリンダ81~84に制動液を供給する装置である。第1ブレーキECU901は、少なくとも上流ユニット11を制御する。第2ブレーキECU902は、少なくとも下流ユニット3を制御する。
【0015】
〔上流ユニット〕
上流ユニット11は、マスタシリンダ装置4と、ストロークシミュレータ43と、シミュレータカット弁44と、リザーバ45と、第1液路51と、電動シリンダ2と、第2液路52と、連通路53と、リザーバ液路54と、マスタカット弁62と、連通制御弁61と、ストロークセンサ71と、圧力センサ72,73と、レベルスイッチ74とを備えている。上流ユニット11は、連結路510,520を介して下流ユニット3と接続されている。
【0016】
マスタシリンダ装置4は、ドライバ操作に応じて液圧を発生する装置である。マスタシリンダ装置4は、マスタシリンダ41と、マスタピストン42と、マスタ室41aと、付勢部材41bとを有している。マスタシリンダ41は、有底円筒状の部材である。マスタシリンダ41は、入力ポート411および出力ポート412を有している。
【0017】
マスタピストン42は、マスタシリンダ41内に配置されたピストン部材であり、ブレーキペダルZと機械的に接続されている。マスタピストン42は、ブレーキペダルZの操作に応じてマスタシリンダ41の内壁面を摺動する。マスタピストン42には、貫通孔421が形成されている。マスタピストン42は、後述する付勢部材41bによって初期位置に向けて付勢されている。初期位置とは、マスタ室41aの容積が最大となる場合のマスタピストン42の位置である。マスタピストン42が初期位置に位置する場合、貫通孔421と入力ポート411とが連通する。
【0018】
マスタ室41aは、マスタシリンダ41およびマスタピストン42により、マスタシリンダ41内に形成されている。本実施形態では、マスタ室41aは、マスタシリンダ41内に1つのみ形成される。マスタ室41aの容積は、マスタピストン42の移動に応じて変化する。マスタピストン42が軸方向の一方側に移動すると、マスタ室41aの容積が小さくなり、マスタ室41aの液圧が増大する。
【0019】
付勢部材41bは、マスタ室41a内に設けられたバネ部材である。マスタピストン42に対して力が作用していない状態では、マスタピストン42は初期位置に位置する。
【0020】
ストロークシミュレータ43は、シミュレータカット弁44を介してマスタシリンダ装置4に接続されている。ストロークシミュレータ43は、ブレーキペダルZの操作に対して反力(負荷)を発生させる装置である。ストロークシミュレータ43は、シリンダ、ピストンおよび付勢部材を含んでいる。ストロークシミュレータ43は、液路43aを介してマスタシリンダ41の出力ポート412に接続されている。
【0021】
シミュレータカット弁44は、液路43aに設けられたノーマルクローズ型の電磁弁である。後述するマスタカット弁62が閉じ、かつシミュレータカット弁44が開いた状態でブレーキペダルZが操作された場合、ストロークシミュレータ43によってペダル反力が発生する。
【0022】
リザーバ45は、制動液を貯留する。リザーバ45内の圧力は大気圧に保たれている。リザーバ45の内部には、各々に制動液を貯留するための2つの貯留室451,452が形成されている。
【0023】
貯留室451は、マスタシリンダ装置4に接続されている。詳細には、貯留室451はマスタシリンダ41の入力ポート411と接続されている。マスタピストン42が初期位置に位置する場合、貯留室451は、入力ポート411および貫通孔421を介してマスタ室41aに液圧的に接続される。マスタピストン42が初期位置から所定量摺動した場合、入力ポート411と貫通孔421とは液圧的に非接続となる。この場合、マスタ室41aとリザーバ45とは液圧的に非接続となる。貯留室452は、リザーバ液路54を介して電動シリンダ2に接続されている。リザーバ45は、2つの貯留室でなく、2つの別々のリザーバで構成されていてもよい。
【0024】
第1液路51は、マスタシリンダ装置4と下流ユニット3とを接続する液路である。第1液路51の一端は、出力ポート412を介してマスタ室41aに接続されている。第1液路51の他端は、連結路510に接続されている。
【0025】
マスタ室41aとリザーバ45とが液圧的に非接続な状態で、マスタピストン42がマスタ室41aを小さくする方向に摺動した場合、マスタ室41aから出力ポート412を介して第1液路51に制動液が供給され、第1液路51に液圧が発生する。マスタ室41aで発生する液圧は、第1液路51を介して下流ユニット3に供給される。第1液路51は、後述する連通路53と接続されている接続部50を含む。第1液路51には、マスタカット弁62および圧力センサ72が設けられている。
【0026】
マスタカット弁62は、第1液路51において、接続部50よりもマスタシリンダ装置4側に設けられたノーマルオープン型の電磁弁である。マスタカット弁62が閉じている状態では、マスタシリンダ装置4と下流ユニット3とは液圧的に遮断される。
【0027】
圧力センサ72は、第1液路51において、マスタカット弁62よりもマスタシリンダ装置4側に設けられている。圧力センサ72は、第1液路51内の圧力を検出する。マスタカット弁62が閉じている状態で圧力センサ72が検出する圧力は、マスタ室41a内の液圧に相当する。
【0028】
図2にも示すように、電動シリンダ2は、シリンダ21と、電気モータ22と、ピストン23と、液圧室24と、付勢部材25と、回り止め部材26とを有している。電動シリンダ2は、シリンダ21内に単一の液圧室24が形成されているシングルタイプの電動シリンダである。以降の説明では、電動シリンダ2の説明において、ピストン23が液圧室24を小さくする方向をX1方向とし、ピストン23が液圧室24を大きくする方向をX2方向とする。
【0029】
シリンダ21は、有底の筒状部材である。シリンダ21は、側壁に貫通孔213を有している。シリンダ21は、入力ポート211および出力ポート212を有している。入力ポート211は、貫通孔213に連なるように形成されるとともに、シリンダ21に設けられた環状のシール部材214の内側に形成されている開口部である。出力ポート212は、入力ポート211よりもシリンダ21の先端側に形成されている開口部である。入力ポート211および出力ポート212は、それぞれ少なくとも1つ形成されていればよい。
【0030】
電気モータ22は、回転運動を直線運動に変換する直動機構20を介してピストン23に接続されている。ピストン23は有底円筒状部材であり、電気モータ22の駆動によりシリンダ21の内壁面を摺動する。ピストン23は、後述するナット20bとともに回転しないように、回り止め部材26によって軸方向(X1方向およびX2方向)の移動が可能となる一方、半径方向の移動が規制されるようにシリンダ21に保持されている。液圧室24は、ピストン23が初期位置に位置する状態で、入力ポート211と連通する。初期位置は、シリンダ21における電気モータ22側の端部付近の位置であって、液圧室24の容積が最大となる位置である。
【0031】
なお、電気モータ22を駆動するモータ駆動装置100については、後に詳しく説明する。
【0032】
液圧室24は、シリンダ21およびピストン23によって区画されている。液圧室24は、ピストン23の移動に応じて容積が変化する。
【0033】
液圧室24は、入力ポート211を介してリザーバ45と連通可能である。具体的には、ピストン23が初期位置に位置する状態で、貫通孔213および入力ポート211を介してリザーバ45に液圧的に接続される。貫通孔213および入力ポート211がピストン23によって遮断されている状態で、液圧室24とリザーバ45とは液圧的に遮断される。液圧室24は、出力ポート212を介して第2液路52に接続されている。
【0034】
付勢部材25は、液圧室24に配置され、ピストン23を初期位置に向けて付勢するバネである。電気モータ22が駆動していない場合、付勢部材25の付勢力によりピストン23は初期位置に位置する。
【0035】
ピストン23が初期位置に位置する状態で、液圧室24は、貫通孔213、入力ポート211およびリザーバ液路54を介してリザーバ45に接続される。
図2に示すように、電気モータ22の駆動によりピストン23が初期位置からX1方向に所定量移動した状態では、入力ポート211および貫通孔213と液圧室24との連通が遮断される。この状態では、液圧室24は、リザーバ45と液圧的に非接続となる。液圧室24とリザーバ45とが液圧的に非接続な状態では、ピストン23が液圧室24を小さくするように摺動すると、液圧室24から出力ポート212を介して制動液が第2液路52に供給され、第2液路52に液圧が発生する。
【0036】
電動シリンダ2は、ピストン23のシリンダ21に対する相対位置が所定の開放位置である状態では、入力ポート211および貫通孔213がピストン23により開放されるように構成されている。また、電動シリンダ2は、ピストン23のシリンダ21に対する相対位置が所定の閉鎖位置である状態では、入力ポート211および貫通孔213がピストン23により閉鎖されるように構成されている。閉鎖位置は、例えば、液圧室24とリザーバ液路54とが遮断される位置のうち液圧室24の容積が最大となる位置に設定されている。
【0037】
続いて、直動機構20について説明する。直動機構20は、減速機20aと、ナット20bと、軸受20cと、ねじ軸20dと、複数のボール20eとを有している。
【0038】
減速機20aは、電気モータ22の駆動軸22bの回転速度を減速して出力する。例えば、減速機20aは遊星歯車機構によって構成される。具体的には、遊星歯車機構において、電気モータ22の駆動軸22bに設けられた歯車22cを太陽歯車として機能させる。また、減速機20aは、歯車22cに噛み合い、歯車22cの周囲に配置された複数の遊星歯車と、遊星歯車に噛み合う内歯車とを有している。内歯車を固定することにより、遊星歯車は、歯車22cの回転に伴って内歯車に噛み合いながら歯車22cの周囲を回転移動する。
【0039】
ナット20bは、円筒部材であり、ナット20bの一端部において、シリンダ21の開口端部の内周面に軸受20cによって回転可能に取り付けられている。ナット20bは、遊星歯車の軸(遊星キャリア)に接続されており、遊星歯車が歯車22cの周囲を回転することによって生じる回転駆動力が遊星キャリアを介して伝達される。ナット20bの内周面には、ねじ溝20dにおける液圧室24側の端部から中央部付近にわたって、螺旋状の内面溝が形成されている。内面溝は、半円状の断面を有している。
【0040】
ねじ軸20dは、円柱形状の軸部材であり、ナット20bの内部に挿入されている。ねじ軸20dの外周面には、ねじ軸20dの全長にわたってねじ溝が形成されている。ねじ溝は、半円状の断面を有している。
【0041】
ナット20bの内面溝とねじ軸20dのねじ溝との間には、複数のボール20eが保持されている。ナット20bは、ボール20eによって、ねじ軸20dに支持されている。
【0042】
ナット20b、ねじ軸20dおよびボール20eは、ボールねじを構成している。ボールねじにおいては、ナット20bの回転により、ナット20bの内面溝とねじ軸20dのねじ溝との間でボール20eが転動すると、ねじ軸20dがその軸方向(X1方向またはX2方向)に送られていく。ボール20eは、内面溝の一端部まで移動すると外部に排出されて内面溝の他端部まで移動して再びナット20bの内部に戻されることにより無限循環する。
【0043】
第2液路52は、電動シリンダ2と下流ユニット3とを接続する液路である。第2液路52の一端は電動シリンダ2に接続され、第2液路52の他端は連結路520に接続されている。液圧室24で発生する液圧は、第2液路52を介して下流ユニット3に供給される。第2液路52には、液圧センサ73が設けられている。なお、第1液路51および第2液路52は、マスタシリンダ装置4と下流ユニット3とを接続する液路のうち、上流ユニット11内に配置された部分である。
【0044】
液圧センサ73は、第2液路52内の圧力を検出するセンサである。車両用制動装置1の制御モードが後述するブレーキバイワイヤモード(以下「バイワイヤモード」という)である状態において、液圧センサ73が検出する液圧は、電動シリンダ2の出力圧に相当する。
【0045】
連通路53は、第1液路51と第2液路52とを接続する液路である。連通路53は接続部50で第1液路51と接続されている。連通路53には連通制御弁61が設けられている。
【0046】
連通制御弁61は、ノーマルクローズ型の電磁弁である。連通制御弁61の弁体は、弁座よりも第1液路51側に配置されている。そのため、連通路53において、第1液路51側の圧力が第2液路52側の圧力よりも高い場合、連通制御弁61に対して閉弁方向に力が作用する。これにより、連通制御弁61の閉弁時には、ホイルシリンダ81、82の液圧が電動シリンダ2の出力圧より高くなっても、弁体には弁座に押し付けられる方向に力が加わるため(セルフシールされ)、閉弁が維持される。
【0047】
ストロークセンサ71は、ブレーキペダルZのストロークを検出する。本実施形態では、2つのストロークセンサ71が設けられている。2つのストロークセンサ71によって検出されたデータは、第1ブレーキECU901および第2ブレーキECU902に送信される。ブレーキECU901,902は、それぞれ対応するストロークセンサ71からストローク情報を取得する。
【0048】
レベルスイッチ74は、リザーバ45に設けられていて、リザーバ45の液面レベルが所定位置未満になったことを検出する。レベルスイッチ74は、リザーバ45の液面レベルが所定値未満となった場合、液面レベルが低下したことを示すデータを第1ブレーキECU901に送信する。
【0049】
〔ブレーキECU〕
第1ブレーキECU901および第2ブレーキECU902は、それぞれCPUやメモリを備える電子制御ユニットである。各ブレーキECU901,902は、各種制御を実行する1つまたは複数のプロセッサを備えている。第1ブレーキECU901と第2ブレーキECU902とは、別個のECUであって、互いに情報(制御情報等)を通信可能に接続されている。
【0050】
第1ブレーキECU901は、上流ユニット11を制御するように構成されている。具体的には、第1ブレーキECU901は、上流ユニット11の複数のセンサ71,72,73,74によって検出されたデータに基づいて、電動シリンダ2および各電磁弁61,62,44を制御する。第1ブレーキECU901は、圧力センサ72,73の検出結果および下流ユニット3の制御状態に基づいて、各ホイル圧を演算する。
【0051】
第2ブレーキECU902は、ストロークセンサ71および圧力センサ75によって検出された値に基づいて、下流ユニット3を制御する。また、第2ブレーキECU902は、車両に設けられた車輪速度センサ(図示せず)、加速度センサ(図示せず)等によって検出された値も受信する。
【0052】
車両用制動装置1は、通常制御を実行可能に構成されている。通常制御は、バイワイヤモードとも呼ばれる。通常制御において、上流ユニット11の出力圧は、電動シリンダ2で出力した液圧である。下流ユニット3は、上流ユニット11の出力圧に基づいて、ホイルシリンダ81~84に液圧を出力可能である。以下、通常制御について説明する。
【0053】
〔通常制御〕
第1ブレーキECU901は、電気モータ22等を含む上流ユニット11を制御する制御部91を有している。ユニット制御部91は、通常制御と遮断制御とを実行する。通常制御は、マスタシリンダ装置4とホイルシリンダ81~84とを液圧的に遮断し、電動シリンダ2と下流ユニット3との少なくとも一方によってホイルシリンダ81~84を加圧する制御である。通常制御は、準備制御と通常加圧制御とを含む。
【0054】
準備制御は、いわゆるバイワイヤモードを形成する制御である。準備制御では、ユニット制御部91は、マスタカット弁62を閉じさせ、連通制御弁61およびシミュレータカット弁44を開かせる。準備制御は、車両用制動装置1が設けられている車両が発進可能な状態になった場合に実行される。発進可能な状態になった場合とは、例えば、車両のイグニッションがオンされた場合や、電気自動車が起動された場合である。より詳細には、準備制御は、第1ブレーキECU901が起動(電源オン)した場合に実行される。
【0055】
通常加圧制御は、バイワイヤモード(準備制御完了状態)でホイルシリンダ81~84を加圧する制御である。通常加圧制御において、ユニット制御部91は、ストロークセンサ71および圧力センサ72が検出するデータに基づいて目標出力圧を設定し、設定した目標出力圧に基づいて、電動シリンダ2を制御する。このように通常制御では、設定された目標値を基に、電動シリンダ2が制御されることで、ホイルシリンダ81~84の液圧が調整可能となる。
【0056】
具体的には、電気モータ22の回転運動が、直動機構20を介して直線運動に変換されてピストン23に伝達される。ピストン23のX1方向の直線運動(直線移動)によって、液圧室24内の液圧が高まると、制動液がホイルシリンダ81~84に向けて圧送される。これにより、ホイルシリンダ81~84のホイル圧が増加される。
【0057】
〔モータ駆動装置〕
図3は、モータ駆動装置100の構成を示すブロック図である。
図4は、モータ駆動装置100におけるインバータ6を構成するスイッチング素子を示す回路図である。
【0058】
図3に示すように、モータ駆動装置100は、電気モータ22を駆動する装置である。モータ駆動装置100は、モータ電源回路5(電源)と、インバータ6と、短絡スイッチ7と、回転検知部8(検知部)と、ON電圧判定部9と、スイッチ制御部10と、作動許可部12と、モータコントローラ13と、コントローラ14と、コンデンサCとを有している。
【0059】
電気モータ22は、3相のブラシレスモータであり、U相、V相、W相のそれぞれコイルを有している。電気モータ22の3つのコイルの一端は互いに接続されて、中性点を形成している。
【0060】
モータ電源回路5は、バッテリの電源電圧(+BM)を電気モータ22に与える電圧に変換する電源回路である。モータ電源回路5は、例えばFETなどのスイッチで構成され、任意のタイミングで+BM電圧をインバータ6に供給する。
【0061】
インバータ6は、モータ電源回路5からの電力を電気モータ22のU相、V相、W相のコイルに供給することにより電気モータ22を駆動する駆動回路である。インバータ6は、モータ電源回路5の正極端子と接続されるハイ側のスイッチング素子61UH,61VH,61WHと、モータ電源回路5の負極端子(グランド)と接続されるロー側のスイッチング素子61UL,61VL,61WLとを有している。
図3において、スイッチング素子61UH,61VH,61WH,61UL,61VL,61WLをそれぞれ「SW」にて示す。
【0062】
スイッチング素子61UH,61ULは直列に接続され、スイッチング素子61UH,61ULの接続点は電気モータ22のU相のコイルの他端に接続されている。スイッチング素子61VH,61VLは直列に接続され、スイッチング素子61VH,61VLの接続点は電気モータ22のV相のコイルの他端に接続されている。スイッチング素子61WH,61WLは直列に接続され、スイッチング素子61WH,61WLの接続点は電気モータ22のW相のコイルの他端に接続されている。
【0063】
具体的には、スイッチング素子61UH,61VH,61WH,61UL,61VL,61WLは、
図4に示すようにスイッチング素子61によって構成されている。スイッチング素子61は、FET(Field Effect Transistor)61aと、ボディダイオード61bと、を有している。ボディダイオード61bは、FET61aと並列に接続されている。スイッチング素子61UH,61VH,61WH,61UL,61VL,61WLについては、以降の説明においてこれらを特定しない場合、スイッチング素子61と称する。
【0064】
短絡スイッチ7は、電気モータ22の端子間を短絡するスイッチであり、例えばFETによって構成されている。短絡スイッチ7は、電気モータ22における3つのコイルの内の1つのコイルの他端(端子)とグランドとの間に設けられており、短絡スイッチ7の一端は例えばU相のコイルの他端に接続され、短絡スイッチの他端はグランドに接続されている。短絡スイッチ7は、電気モータ22の1相のコイルの他端とグランドとを短絡することにより、他の2相のスイッチング素子61のボディダイオード61bを介して他の2相のコイルの他端(端子)に電流を流すことで、電気モータ22の各端子を短絡する。
【0065】
コンデンサCは、モータ電源回路5の正極端子とグランドとの間に接続されている。コンデンサCは、電気モータ22で発生する誘起電圧を平滑化する。
【0066】
回転検知部8は、電気モータ22が外力で駆動されることを検知する。具体的には、回転検知部8は、電気モータ22のトルクが失陥したときに電気モータ22が発生するV相(またはW相)電圧を平滑化した電圧が所定値を超えることで回転を検知する。また、回転検知部8は、所定電圧を下回ることでモータが(ほぼ)停止したことを検知する。
【0067】
回転検知部8は、例えば、V相(W相)電圧が上記の所定値として設定された電圧を超えると、電気モータ22が回転していると判定する。このような閾値は、回転検知部8において判定の動作を行うトランジスタ類を動作させるための回路動作可能な最低電圧として設定される。
【0068】
ON電圧判定部9は、回転検知部8によって電気モータ22の回転が判定されると、インバータ6におけるボディダイオード61bによって整流され、さらに、コンデンサCで平滑化された3相誘起電圧が閾値を超える期間に基づいて、短絡スイッチ7をON(オン)させるON期間を判定する。
図3に示す例では、ON電圧判定部9は、インバータ6における上記の3相誘起電圧を用いて上記の判定を行う。
【0069】
ON電圧判定部9は、ツェナーダイオードを用いることにより設定電圧に到達すると素早く短絡スイッチ7(FET)をONすることができ、誘起電圧にしたがった期間で行うことによる短絡スイッチ7の発熱を低減することが可能となる。さらに、ON電圧判定部9は、誘起電圧が上昇するときには閾値を上げ、誘起電圧が下降するときには閾値を下げるように閾値を変更することで閾値付近における不要なスイッチのON/OFFを抑制することができる。
【0070】
スイッチ制御部10は、ON電圧判定部9によって判定されたON期間において、ON電圧判定部9が短絡スイッチ7をONする期間を判定するために用いた誘起電圧に同期させて、短絡スイッチ7を断続的にONさせるゲート駆動信号を生成する。具体的には、スイッチ制御部10は、当該誘起電圧の上昇部分が設定された閾値を超えると短絡スイッチ7をONし、誘起電圧の下降部分が当該閾値未満となる短絡スイッチ7がOFFするようなパルス電圧を生成し、ON期間にゲート駆動信号として出力させる。
【0071】
作動許可部12は、スイッチ制御部10と短絡スイッチ7との間のゲート駆動信号を伝送する伝送信号線に設けられている。作動許可部12は、スイッチ制御部10による短絡スイッチ7の制御を、コントローラ14の指令に基づいて、伝送信号線を導通させることにより許可し、当該信号線を遮断することにより禁止する。
【0072】
モータコントローラ13は、コントローラ14の指令に基づいて、インバータ6のスイッチング素子61UH,61VH,61WH,61UL,61VL,61WLのスイッチング動作を制御することにより、電気モータ22への供給電流を制御する。
【0073】
コントローラ14は、マイクロコンピュータなどによって構成されており、モータ駆動装置100を監視および制御する。コントローラ14は、電気モータ22がトルク失陥するような異常発生時に、作動許可部12に作動許可指令を与え、正常時に作動許可部12に作動禁止指令を与える。コントローラ14は、バッテリの電源電圧(+BS)によって動作する。
【0074】
電気モータ22がトルク失陥する事例としては、モータ電源回路5が動作を停止した電源失陥状態、モータコントローラ13によるインバータ6の制御が不可能になった状態などが挙げられる。また、コントローラ14が電源再投入後にシステムの正常を判定できたときに、作動許可部12の作動禁止状態から作動許可状態への復帰が行われる。
【0075】
〔異常時のモータ制御〕
続いて、ホイル圧が高圧である状況で電源失陥が発生した場合のモータ駆動装置100による電気モータ22の制御について説明する。
図5は、モータ駆動装置100の短絡ブレーキ動作時の各部の動作を示す波形図である。
図6は、比較例に係るモータ駆動装置の短絡ブレーキ動作時の各部の動作を示す波形図である。
【0076】
電源失陥状態でホイルシリンダ81~84のホイル圧が高まると、ホイル圧によってピストン23が急激に戻されることにより、電気モータ22が正常動作時とは逆方向に回転する。この場合、直動機構20は逆効率を有する。回転運動が直線運動に変換される場合の効率が正効率であり、直線運動が回転運動に変換される場合の効率が逆効率である。したがって、電気モータ22は、ホイル圧によって回転され得る。
【0077】
電気モータ22は、逆回転すると3相交流の誘起電圧を発生する。これらの誘起電圧は、いずれもが、インバータ6におけるスイッチング素子61のボディダイオード61bによって整流され、
図5において一点鎖線にて示すように、さらにコンデンサCによってほぼ直流の電圧に平滑化される。
【0078】
回転検知部8は、平滑化された電圧が所定値を超えると、電気モータ22が回転していると判定する。ON電圧判定部9は、その判定を受けて、インバータ6におけるV相の誘起電圧が閾値を超えている期間があると当該期間をON期間と判定する。スイッチ制御部10は、当該ON期間において、当該誘起電圧に同期させてゲート駆動信号を生成し、出力する。
【0079】
コントローラ14は、例えば電源失陥により電気モータ22のトルク失陥状態を認識すると、
図5において太い実線にて示すように、出力信号の電圧をハイレベル(例えば、数V程度)からローレベル(ほぼ0V)に低下させる。ハイレベルの出力信号は、作動許可部12に作動禁止指令として与えられ、ローレベルの出力信号は、作動許可部12に作動許可指令として与えられる。
【0080】
作動許可部12は、ローレベルの出力信号すなわち作動許可指令を受けて、伝送信号線を導通させる。これにより、
図5において細い実線にて示すように、スイッチ制御部10から出力されるパルス状のゲート駆動信号が短絡スイッチ7のゲートに与えられる。短絡スイッチ7は、ゲート駆動信号によって断続的にONする。
【0081】
この状態で、短絡スイッチ7を介して電気モータ22のV相に流れる短絡電流は、
図5において破線にて示すように変化する。また、電気モータ22のW相には、
図5において二点鎖線にて示す電流が流れる。短絡電流が電気モータ22に流れることにより、電気モータ22は、短絡ブレーキ動作をする。これにより、電気モータ22の逆回転が減速するので、ピストン23の戻りを短い距離に抑えることができる。また、短絡スイッチ7が断続的にONするので、電流経路のインバータ6のスイッチング素子61(FET)、短絡スイッチ7(FET)、および、電気モータ22の発熱を低減することができる。
【0082】
ここで、モータ駆動装置100からスイッチ制御部10を省いたモータ駆動装置を比較例とする。当該モータ駆動装置では、
図6において細い実線にて示すように、ON電圧判定部9から出力されるON期間を示す信号がローレベルからハイレベルに変化することにより、短絡スイッチ7がONする。これにより、電気モータ22には、
図6において太い二点鎖線にて示すようにW相に電流が流れるので、
図6において破線にて示す短絡電流は、
図5に示す短絡電流よりも長い期間流れる。よって、
図6に示す短絡電流のピーク値は、
図5に示す例(破線にて示す)と比較して十数パーセント程度、大きくなる。
【0083】
このように、モータ駆動装置100は、短絡スイッチ7を断続的にONさせることにより、短絡スイッチ7を持続的にONさせる比較例のモータ駆動装置と比べて、短絡電流のピーク値を低減させることができる。
【0084】
〔モータ駆動装置による効果〕
以上のように、本実施形態に係るモータ駆動装置100は、短絡スイッチ7と、回転検知部8と、スイッチ制御部10とを備えている。短絡スイッチ7は、電気モータ22の端子間を短絡する。回転検知部8は、電気モータ22のトルクが失陥したときに電気モータ22が発生する誘起電圧によって、電気モータ33が回転していることを検知する。スイッチ制御部10は、電気モータ22が回転していることが回転検知部8によって検知されると、短絡スイッチ7を誘起電圧に同期して断続的にONさせる。
【0085】
上記構成によれば、モータ電源回路5から電気モータに電力を供給できないときなどの電気モータ22のトルク失陥時に、短絡スイッチ7を断続的にONさせる。これにより、短絡スイッチ7を介して電気モータ22の端子間に流れる電流(短絡電流)のピーク値を低減することができる。
【0086】
また、モータ駆動装置100において、短絡スイッチ7は、3相モータである電気モータ22の任意の1相、例えばU相の端子間を短絡する。加えて、モータ駆動装置100において、スイッチ制御部10は、端子間が短絡されたU相の次の位相のV相の電流のゼロから最大値までの期間で前記短絡スイッチをONさせてもよい。
【0087】
上記の構成によれば、減速トルクが大きく発生する期間でのみ短絡スイッチ7をONさせることができる。これにより、短絡電流をピークに達する前に遮断することができる。
【0088】
また、モータ駆動装置100において、スイッチ制御部10は、誘起電圧によって動作してもよい。これにより、電源失陥時でも、短絡スイッチ7の駆動を行うことができる。
【0089】
なお、本実施形態に係るモータ駆動装置100は、上述した電気モータ22のトルク失陥状態(電源失陥状態、インバータ6の制御不能状態など)に電気モータ22を短絡ブレーキ動作させることに有用である。また、モータ駆動装置100は、電源停止時に慣性で回転を維持するモータの停止時間を短縮するという一般的な短絡ブレーキ動作を電気モータ22に行わせる場合にも有用である。
【0090】
また、本実施形態に係る車両用制動装置1は、電動シリンダ2と、モータ駆動装置100とを備えている。電動シリンダ2は、電気モータ22によって駆動されるピストン23がシリンダ21内の液圧室24を移動することによって生じる液圧でホイルシリンダ81~84を加圧する。
【0091】
上記の構成によれば、制動液圧(ホイルシリンダ81~84の液圧)が増加している途中で電気モータ22のトルク失陥が生じた場合、電気モータ22の回転速度が低減される。これにより、制動液圧が増加している途中、または制動液圧が保持されている間で電源失陥が生じた場合において生じるピストン23の戻りによる衝撃荷重が抑制される。
【0092】
また、本実施形態に係る車両用制動装置1は、直動機構20を有する電動シリンダ2を備えている。直動機構20は、ナット20b、ねじ軸20dおよびボール20eを含むボールねじと、電気モータ22の駆動軸22bの回転駆動力を駆動軸22bとナット20bの回転中心とが一致する方向に伝達する遊星歯車機構とを有している。
【0093】
上記の構成によれば、ナット20bと電気モータ22とを一致する方向に配置することができる。これにより、電動シリンダ2が配置されるスペースを小さくすることができる。
【0094】
〔付記事項〕
本件は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。また、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本件の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0095】
1 車両用制動装置
2 電動シリンダ
5 モータ電源回路(電源)
7 短絡スイッチ
8 回転検知部(検知部)
10 スイッチ制御部(制御部)
21 シリンダ
23 ピストン
24 液圧室
81~84 ホイルシリンダ
100 モータ駆動装置