(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058634
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】超電導ロータリー式発電原動機
(51)【国際特許分類】
H02N 11/00 20060101AFI20240418BHJP
H02K 99/00 20140101ALI20240418BHJP
【FI】
H02N11/00 Z
H02K99/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023176484
(22)【出願日】2023-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2022175042
(32)【優先日】2022-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522425079
【氏名又は名称】高群 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100189865
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 正寛
(74)【代理人】
【識別番号】100094215
【弁理士】
【氏名又は名称】安倍 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】高群 正和
(57)【要約】
【課題】様々な電圧波形の発電が可能な超電導ロータリー式発電原動機を提供することを目的とする。
【解決手段】所定長さを有するシャフトと、シャフトの略中央部に固着された回転子と、回転子を取り囲むように設けられたローターコアとを備える。回転子は、上面、下面及び複数の側面を有する形状である。回転子の上面及び下面に前記シャフトが刺突するようにシャフトが回転子を固着する。永久磁石をシート状に形成された永久磁石シートを回転子の一部又は全ての側面に貼付する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長さを有するシャフトと、
前記シャフトの略中央部に固着された回転子と、
前記回転子を取り囲むようにコイルが巻かれ、当該コイルが内蔵されたローターコアとを有する超電導ロータリー式発電原動機であって、
前記回転子は、上面、下面及び複数の側面を有する形状であり、前記回転子の上面及び下面に前記シャフトが刺突するように前記回転子がシャフトに固着され、
永久磁石をシート状に形成された永久磁石シートが、前記回転子の一部又は全ての側面に貼付された超電導ロータリー式発電原動機。
【請求項2】
前記回転子は、三角柱形状である請求項1に記載の超電導ロータリー式発電原動機。
【請求項3】
前記シャフトに前記回転子を複数個固着された請求項1又は請求項2に記載の超電導ロータリー式発電原動機。
【請求項4】
前記回転子と前記ロータコアにより組をなした発電部を複数有し、前記シャフトの回転により、それぞれの発電部にて発電するとともに、前記シャフトの回転によって、前記コイルと外部出力部とをつなぐ回路の接続/切断を切り替えることにより外部に供給する電流を制御する請求項3に記載の超電導ロータリー式発電原動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導ロータリー式発電原動機、詳しくは、交流・直流等、様々な電圧波形であっても発電可能な超電導ロータリー式発電原動機に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の一つであるロータリーエンジンは、一般的なレシプロエンジンのような往復動機構による容積変化ではなく、回転動機構による容積変化を利用して熱エネルギーを回転動力に変換して出力する。例えば、特許文献1に記載ロータリーエンジンのように、小型小出力を可能とするロータリー原動機は各種提案されている。
【0003】
また、超電導技術を用いたロータリーエンジンの開発も現在行われているが、一般的に、超電導ロータリーエンジンの場合、特許文献2に記載のように、超電導コイルを冷却する必要があり、この冷却のための技術を中心に研究開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-125724号公報
【特許文献2】特許第6982522号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来から開発されている超電導ロータリー式発電原動機は、回転軸(シャフト)に円形の回転子と、回転子を取り囲むように設けられたロータリーコアによって発電するところ、当該発電は直流であり、交流電源が大半を占める電気機器の使用にあっては、直流-交流変換器を介して使用する必要がある。そして、この直流-交流変換によりエネルギー損失が発生する。
【0006】
そこで、発明者は、回転子の構造に着目し、回転子の影響を及ぼす面と直行する面を多角柱形状とすることにより、超電導ロータリー式発電原動機の交流化が可能であること、そして、回転子の数を増やすことにより、様々な電圧波形の発電できることを知見し、本発明を完成させた。
【0007】
この発明は、様々な電圧波形の発電が可能な超電導ロータリー式発電原動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、所定長さを有するシャフトと、前記シャフトの略中央部に固着された回転子と、前記回転子を取り囲むようにコイルが巻かれ、当該コイルが内蔵されたローターコアとを有する超電導ロータリー式発電原動機であって、前記回転子は、上面、下面及び複数の側面を有する形状であり、前記回転子の上面及び下面に前記シャフトが刺突するように前記回転子がシャフトに固着され、永久磁石をシート状に形成された永久磁石シートが、前記回転子の一部又は全ての側面に貼付された超電導ロータリー式発電原動機である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記回転子は、三角柱形状である請求項1に記載の超電導ロータリー式発電原動機である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記シャフトに前記回転子を複数個固着された請求項1又は請求項2に記載の超電導ロータリー式発電原動機である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記回転子と前記ロータコアにより組をなした発電部を複数有し、前記シャフトの回転により、それぞれの発電部にて発電するとともに、前記シャフトの回転によって、前記コイルと外部出力部とをつなぐ回路の接続/切断を切り替えることにより外部に供給する電流を制御する請求項3に記載の超電導ロータリー式発電原動機である。
【0012】
本発明によれば、回転子が円形ではなく、上面と下面及び複数の側面を有する形状、すなわち、三角柱形状、四角柱形状など多角柱形状とし、多角柱形状の回転子の側面に永久磁石シートを貼付する。
超電導ロータリー式発電原動機による発電は、ローターコアと永久磁石シートまでの離間距離によって電圧値が決定される。本発明の構造では、シャフトの回転により、ローターコアと永久磁石シートまでの離間距離が常に変化する。このため、超電導ロータリー原動機による発電においては、交流波形の電圧や、パルス波形の電圧を生成することができる。
【0013】
そして、請求項3に記載の発明のように、回転子の数を複数設けることができる。その際、回転子のシャフト取り付け位置を中心とし、複数の回転子の角度を異ならせることで、直流電流や、三相交流のような複雑な電流波形の電圧を生成することが可能となる。
【0014】
なお、一般的な交流波形の電圧を生成するためには、回転子が三角柱形状であり、3側面全てに永久磁石シートを貼付することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シャフトの回転により、ローターコアと永久磁石シートまでの離間距離が常に変化するため、超電導ロータリー式発電原動機による発電においては、交流波形の電圧や、パルス波形の電圧を生成することができる。
【0016】
特に、請求項3に記載の発明のように、回転子の数を複数設けることができる。その際に、シャフト取り付け位置を中心とし、複数の回転子の角度を異ならせることで、直流電流や、三相交流のような複雑な電流波形の電圧を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例に係る超電導ロータリー式発電原動機の構造を示す説明図である。
【
図2】本発明の実施例に係る超電導ロータリー式発電原動機におけるシャフトと回転子との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参考にして、本発明の実施例に係る超電導ロータリー式発電原動機について詳細に説明する。
【0019】
本発明の実施例に係る超電導ロータリー式発電原動機は、シャフトと、回転子、ローターコアの3つの部材を中心に構成され、これらの基本部材は筺体に全て収容される。このほかに、生成した電圧を外部に存在する電気機器に供給する外部出力部、起動時にシャフトを回転させるために必要な外部エネルギーを供給するエネルギー供給手段(バッテリー等)、ローターコアを冷却するための冷却手段を備えている。
【0020】
シャフトは、断面円形の棒材であり、その両端が軸受構造をなしている。そして、筺体においても軸受構造が形成されている。これにより、シャフトは回転可能な状態で筐体に支持される。
シャフトは、筒状の棒材であってもよく、この場合は、このシャフト内に冷媒を流通させることにより、シャフトの冷却を可能とする。
【0021】
シャフトの長さ方向の略中央位置に回転子が2個、それぞれが離間して設けられている。
回転子は、上面と下面を有する略三角柱形状であり、側面の角取加工はなされている。回転子の上面の略中央位置、そして、回転子の下面の略中央位置にシャフトが、それぞれの面に対して垂直方向延びるように固定されている。すなわち、回転子の上面及び下面にシャフト刺突するように回転子がシャフトに固着されている。
このとき、2個の回転子の側面の端部位置は、ずらして配置されている。このため、シャフトの長さ方向の中心部において、垂直方向を基準とした場合、左右対称とはならないように回転子がシャフトに固定されている。
シャフトの3つの側面には、永久磁石シートが貼付されている。すなわち、シャフトの側面ごとに1枚の永久磁石シートが貼付されている。
永久磁石シートは、市販のネオジム磁石をシート状に加工したものである。
【0022】
ローターコアは、シャフトの外周側に設けられ、シャフトと一体に設けられている。すなわち、ローターコアは、シャフトを支持する部材であり、筐体の一部である。
ローターコアには、回転子を取り囲むようにコイルが設けられ、回転子の回転により、コイルに電気が生じ、発電した電気エネルギーは、外部出力部に供給される。
また、ローターコアには、コイルを冷却するための冷媒を供給するためのパイプが埋め込まれている。このパイプに冷媒を供給することで、コイルを冷却することが可能となる。
【0023】
本発明の本質的部分ではないが、本発明の実施例に係る超電導ロータリー式発電原動機を起動し、回転するために必要なエネルギー供給手段としてのバッテリー(図示せず)が設けられ、バッテリーによって、シャフトが回転した後は、エネルギー供給手段からのエネルギー供給は停止される。このとき、シャフトの回転速度が低下することを防ぐために、シャフトの回転により生成した電気エネルギーの一部は、シャフトの回転に用いられる。
【0024】
このように構成された超電導ロータリー式発電原動機は、シャフトを回転すると、回転子の側面からコイル(ローターコア)との離間距離が2個の回転子それぞれ異なるため、発電は、三相交流波形をとる。このため、工場での設備における電気エネルギーの供給源に、本発明に係る超電導ロータリー式発電原動機を使用することができる。
なお、回転子を2個搭載し、三相交流波形をとることができる例について説明したが、回転子の設置角度(シャフトと回転子の側面端部位置)を調整することにより、三相交流、交流または直流電源として使用することが可能となる。
【0025】
また、回転子とローターコアにより組をなした発電部とし、この発電部を直列に配列する。
すなわち、1本のシャフトに複数の回転子を設け、それぞれの回転子に対応するローターコアを独立して設けることにより、各ローターコアにて独立して発電を行うことが可能である。
その際に、ローターコアと回転子との位置関係により、電流波形が異なることから、外部出力部に供給する電流の電流波形を適切にするために、コイルと外部出力部とをつなぐ回路の接続/切断を切り替えることにより外部に供給する電流波形を制御することが好ましい。
【0026】
本発明の実施例に係る超電導ロータリー式発電原動機では、回転子を2個用いた例を挙げて説明したが、回転子を1個の場合でも、超電導ロータリー式発電原動機として使用することができる。この場合、交流波形又はパルス波形の発電が可能となり、例えば、家庭用電気機械器具を動作させるための電気エネルギーの供給源に利用することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長さを有するシャフトと、
前記シャフトの略中央部に固着された回転子と、
前記回転子を取り囲むようにコイルが巻かれ、当該コイルが内蔵されたローターコアとを有する超電導ロータリー式発電原動機であって、
前記回転子は、上面、下面及び複数の側面を有する形状であり、前記回転子の上面及び下面に前記シャフトが刺突するように前記回転子がシャフトに固着され、
永久磁石をシート状に形成された永久磁石シートが、前記回転子の一部又は全ての側面に貼付されることにより、前記ローターコアと前記永久磁石シートとの離間距離を不定とし、
前記ローターコアには、前記コイルを冷却するための冷媒を供給するためのパイプが埋め込まれ、当該パイプに冷媒を供給することでコイルの冷却可能な超電導ロータリー式発電原動機。
【請求項2】
前記回転子は、三角柱形状である請求項1に記載の超電導ロータリー式発電原動機。
【請求項3】
前記シャフトに前記回転子を複数個固着された請求項1又は請求項2に記載の超電導ロータリー式発電原動機。
【請求項4】
前記回転子と前記ロータコアにより組をなした発電部を複数有し、前記シャフトの回転により、それぞれの発電部にて発電するとともに、前記シャフトの回転によって、前記コイルと外部出力部とをつなぐ回路の接続/切断を切り替えることにより外部に供給する電流を制御する請求項3に記載の超電導ロータリー式発電原動機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項1に記載の発明は、所定長さを有するシャフトと、前記シャフトの略中央部に固着された回転子と、前記回転子を取り囲むようにコイルが巻かれ、当該コイルが内蔵されたローターコアとを有する超電導ロータリー式発電原動機であって、前記回転子は、上面、下面及び複数の側面を有する形状であり、前記回転子の上面及び下面に前記シャフトが刺突するように前記回転子がシャフトに固着され、永久磁石をシート状に形成された永久磁石シートが、前記回転子の一部又は全ての側面に貼付されることにより、前記ローターコアと前記永久磁石シートとの離間距離を不定とし、前記ローターコアには、前記コイルを冷却するための冷媒を供給するためのパイプが埋め込まれ、当該パイプに冷媒を供給することでコイルの冷却可能な超電導ロータリー式発電原動機である。