(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058647
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】NGL回収による開ループ液化プロセス
(51)【国際特許分類】
F25J 3/02 20060101AFI20240418BHJP
F25J 3/06 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
F25J3/02 B
F25J3/06
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023177331
(22)【出願日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】17/965,883
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591035368
【氏名又は名称】エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】マーク ジュリアン ロバーツ
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル ビー シュニッツァー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー マイケル オット
(72)【発明者】
【氏名】アンマリー オット ウェイスト
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA10
4D047AB08
4D047BA07
4D047BA08
4D047CA03
4D047CA16
4D047CA17
4D047DA01
4D047DA04
(57)【要約】
【課題】NGL回収による開ループ液化プロセスを提供すること。
【解決手段】天然ガス供給流から液体天然ガスを除去し、液化天然ガス(LNG)流及び液体天然ガス(NGL)流を生成するように天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムが本明細書に記載される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ガス供給流から液体天然ガスを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法であって、
(a)天然ガス供給流を膨張及び/又は冷却し、前記流れを1つ以上の分離セクションを有する蒸留カラムに導入する工程であって、前記天然ガス供給流が、前記分離セクションのうちの少なくとも1つの下方で前記蒸留カラムに導入されている、導入する工程と、
(b)前記蒸留カラムの底部から液体天然ガス流を取り出す工程と、
(c)前記蒸留カラムの上部から天然ガス蒸気流を取り出す工程と、
(d)1つ以上の熱交換器セクション内の前記天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流を加温し、得られた加温流を圧縮し、前記流れを組み合わせて、圧縮冷媒を形成する工程であって、前記天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流が、加温及び圧縮される前、加温及び圧縮される間、又は加温及び圧縮された後に組み合わされ得る、形成する工程と、
(e)工程(d)において加温されている前記天然ガス蒸気流及び前記第1の膨張冷媒流との間接熱交換を介して、前記圧縮冷媒の少なくとも第1の部分を冷却して、第1の低温冷媒流を形成する工程と、
(f)前記第1の低温冷媒流を膨張させ、前記流れを蒸気相及び液体相に分離して、前記液体相から第1の液化天然ガス流を、前記蒸気相から前記第1の膨張冷媒流を形成する工程と、
(g)還流の流れを形成し、前記還流の流れを膨張させ、前記蒸留カラムの上部に導入して、前記蒸留カラムに還流を提供する工程であって、前記還流の流れが、前記第1の液化天然ガス流の一部分、工程(f)において分離された前記液体相の一部分、工程(f)において前記流れが分離される前に、前記流れから取り出された前記第1の低温冷媒流の一部分、工程(d)において加温されている前記天然ガス蒸気流及び前記第1の膨張冷媒流との間接熱交換を介して冷却された前記圧縮冷媒の更なる部分、並びに/又は液化天然ガス流若しくは前記第1の液化天然ガス流から誘導された液化天然ガス生成物の一部分から形成される、提供する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
工程(a)において、前記天然ガス供給流が、2つ以上の分離セクションを有する蒸留カラムに導入され、膨張した天然ガス供給流が、前記分離セクションのうちの少なくとも1つの下方、及び前記分離セクションのうちの少なくとも別の1つの上方で、前記蒸留カラムに導入されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、
(h)前記蒸留カラム底部の液体の一部分を再沸騰させることによって、前記蒸留カラムに沸上を提供する工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)において、前記天然ガス供給流が、前記蒸留カラムに導入される前に膨張される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)において、前記天然ガス供給流が、前記蒸留カラムに導入される前に、冷却され、次いで、膨張され、前記天然ガス供給流が、冷却された後、蒸気相及び液体相に分離され、前記蒸気相が、膨張され、前記カラムの少なくとも1つの分離セクションの下方の第1の場所において前記蒸留カラムに導入され、前記液体相が、膨張され、前記第1の場所の下方の第2の場所において前記蒸留カラムに導入され、前記第1の場所と第2の場所との間に少なくとも1つの分離セクションが存在する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)において、前記天然ガス供給流が、前記蒸留カラムに導入される前に冷却され、前記天然ガス供給流の少なくとも一部分が、前記天然ガス蒸気流及び工程(d)において加温されている前記第1の膨張冷媒流との間接熱交換を介して冷却されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(g)において、前記還流の流れが、工程(f)において分離された前記第1の液化天然ガス流の一部分及び/又は前記液体相の一部分から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の膨張冷媒流が、前記天然ガス蒸気流よりも低い温度で形成され、工程(e)において、前記圧縮冷媒の前記少なくとも第1の部分が、前記天然ガスの蒸気流及び前記第1の膨張した冷媒流との間接熱交換を介して冷却され、次いで、前記第1の膨張した冷媒流との間接熱交換を介して更に冷却されて、前記第1の低温冷媒流を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(e)が、工程(d)において加温されている前記天然ガス蒸気流及び前記第1の膨張冷媒流との間接熱交換を介して、前記圧縮冷媒の前記第1の部分及び前記圧縮冷媒の第2の部分を冷却して、それぞれ前記第1の低温冷媒流及び第2の低温冷媒流を形成することを含み、前記圧縮冷媒の前記第1及び第2の部分が、前記天然ガス蒸気流及び前記第1の膨張冷媒流に対して冷却されており、前記圧縮冷媒の前記第1の部分が、次いで、前記天然ガス蒸気流及び前記第1の膨張冷媒流に対して更に冷却されており、そのため前記第1の低温冷媒流が、前記第2の低温冷媒流よりも低い温度で形成され、
工程(f)が、前記第1の低温冷媒流を膨張させることと、前記第2の低温冷媒流を膨張させることと、前記流れを組み合わせ、蒸気相及び液体相に分離して、前記液体相から前記第1の液化天然ガス流を、前記蒸気相から前記第1の膨張冷媒流を形成することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、
(i)前記圧縮冷媒の第3の部分を膨張させて、第2の膨張冷媒流を形成する工程であって、前記第2の膨張冷媒流が、前記第1の膨張冷媒流又は前記天然ガス蒸気流よりも高い温度で形成される、形成する工程を更に含み、
工程(d)が、1つ以上の熱交換器セクション内の前記天然ガス蒸気流、前記第1の膨張冷媒流、及び前記第2の膨張冷媒流を加温することと、得られた加温流を圧縮することと、前記流れを組み合わせて、圧縮冷媒を形成することと、を含み、前記天然ガス蒸気流、第1の膨張冷媒流、及び第2の膨張冷媒流が、加温及び圧縮される前、加温及び圧縮される間、又は加温及び圧縮された後に組み合わされ得、
工程(e)が、工程(d)において加温されている前記天然ガス蒸気流、前記第1の膨張冷媒流、及び前記第2の膨張冷媒流との間接熱交換を介して、前記圧縮冷媒の前記少なくとも第1の部分を冷却して、前記第1の低温冷媒流を形成することを含み、前記圧縮冷媒の前記少なくとも第1の部分が、前記天然ガス蒸気流、前記第1の膨張冷媒流、及び前記第2の膨張冷媒流に対して冷却され、その後、前記天然ガス蒸気流及び前記第1の膨張冷媒流に対して更に冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程(e)が、工程(d)において加温されている前記天然ガス蒸気流、前記第1の膨張冷媒流、及び前記第2の膨張冷媒流との間接熱交換を介して、前記圧縮冷媒の前記第1の部分及び前記圧縮冷媒の第2の部分を冷却して、それぞれ前記第1の低温冷媒流及び第2の低温冷媒流を形成することを含み、前記圧縮冷媒の前記第1及び第2の部分が、前記天然ガス蒸気流、前記第1の膨張冷媒流、及び前記第2の膨張冷媒流に対して冷却されており、前記圧縮冷媒の前記第1の部分が、次いで、前記天然ガス蒸気流及び前記第1の膨張冷媒流に対して更に冷却されており、そのため前記第1の低温冷媒流が、前記第2の低温冷媒流よりも低い温度で形成され、
工程(f)が、前記第1の低温冷媒流を膨張させることと、前記第2の低温冷媒流を膨張させることと、前記流れを組み合わせ、蒸気相及び液体相に分離して、前記液体相から前記第1の液化天然ガス流を、前記蒸気相から前記第1の膨張冷媒流を形成することと、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の低温冷媒流が、工程(d)において前記天然ガス蒸気流及び/若しくは第1の膨張冷媒流の少なくとも一部分を圧縮するために使用される圧縮機部分を有する圧縮膨張器の膨張機部分において膨張され、並びに/又は
前記圧縮冷媒の前記第3の部分が、工程(d)において前記天然ガス蒸気流及び/若しくは第1の膨張冷媒流の少なくとも一部分を圧縮するために使用される圧縮機部分を有する圧縮膨張器の膨張機部分において膨張される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
工程(f)において、前記第1の低温冷媒流が、相分離器において蒸気相及び液体相に分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、
(j)前記第1の液化天然ガス流の少なくとも一部分を更に冷却して、液化天然ガス生成物流を形成する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
工程(j)が、前記第1の液化天然ガス流の少なくとも一部分をフラッシュさせて、前記液化天然ガス生成物流及び1つ以上のフラッシュガス流を形成することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、
(k)前記1つ以上のフラッシュガス流との間接熱交換を介して前記圧縮冷媒の第4の部分を冷却及び液化して、第2の液化天然ガス流又は液化天然ガス流のセットを形成する工程を更に含み、
工程(j)が、前記第1の液化天然ガス流及び前記第2の液化天然ガス流又は液化天然ガス流のセットのうちの少なくとも一部分をフラッシュさせて、前記液化天然ガス生成物流及び前記1つ以上のフラッシュガス流を形成することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、
(l)前記1つ以上のフラッシュガス流との間接熱交換を介して前記圧縮冷媒の第5の部分を冷却し、次いで、工程(e)における前記圧縮冷媒の前記少なくとも第1の部分の前記冷却中に、前記圧縮冷媒の前記第5の部分を前記圧縮冷媒の前記第1の部分と組み合わせて、前記第1の低温冷媒流を形成する工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記方法が、
(m)前記1つ以上のフラッシュガス流を圧縮して、圧縮フラッシュガス流を形成する工程と、工程(d)において加温されている前記天然ガス蒸気流及び前記第1の膨張冷媒流との間接熱交換を介して、前記圧縮フラッシュガス流を冷却及び液化して、第3の液化天然ガス流を形成する工程と、を更に含み、
工程(j)が、前記第1の液化天然ガス流及び前記第3の液化天然ガス流の前記少なくとも一部分をフラッシュさせて、前記液化天然ガス生成物流及び前記1つ以上のフラッシュガス流を形成することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、
(m)前記1つ以上のフラッシュガス流を圧縮し、前記天然ガス蒸気流及び前記第1の膨張冷媒流と組み合わせて、前記圧縮冷媒を形成する工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
天然ガス供給流から液体天然ガスを除去し、天然ガス供給流を液化するためのシステムであって、
天然ガス供給流を膨張及び/又は冷却して、膨張及び/又は冷却された天然ガス供給流を形成するように配置及び構成された1つ以上の膨張デバイス及び/又は熱交換器セクションと、
1つ以上の分離セクションを有する蒸留カラムであって、前記蒸留カラムが、前記膨張及び/又は冷却された天然ガス供給流を、前記分離セクションのうちの少なくとも1つの下方の前記蒸留カラムに受容することと、膨張及び/又は冷却された天然ガス供給流を、前記蒸留カラムの底部から取り出された液体天然ガス流及び前記蒸留カラムの上部から取り出された天然ガス蒸気流に分離することと、を行うように配置及び構成されている、蒸留カラムと、
前記天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流を受容し、加温することと、結果として生じる加温流を圧縮し、前記流れを組み合わせて、圧縮冷媒を形成することと、を行うように配置及び構成された1つ以上の導管、熱交換器セクション、及び圧縮段階であって、1つ以上の導管、熱交換器セクション、及び圧縮段階が、前記天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流が加温及び圧縮される前、加温及び圧縮される間、又は加温及び圧縮された後に組み合わされるように配置及び構成され得る、1つ以上の導管、熱交換器セクション、及び圧縮段階と、
前記圧縮冷媒の少なくとも第1の部分を前記1つ以上の熱交換器セクションに通過させて、前記天然ガス蒸気流及び前記第1の膨張冷媒流との間接熱交換を介して、前記圧縮冷媒の前記少なくとも第1の部分を冷却して、第1の低温冷媒流を形成するように配置及び構成された1つ以上の導管と、
前記第1の低温冷媒流を膨張させ、前記流れを蒸気相及び液体相に分離して、前記液体相から第1の液化天然ガス流及び前記蒸気相から前記第1の膨張冷媒流を形成するための1つ以上の膨張及び分離デバイスと、
還流の流れを受容することと、前記還流の流れを膨張させ、前記還流の流れを前記蒸留カラムの上部に導入して、前記蒸留カラムに還流を提供することと、を行うように配置及び構成された1つ以上の導管及び膨張デバイスであって、前記還流の流れは、前記第1の液化天然ガス流の一部分、工程(f)において分離された前記液体相の一部分、工程(f)において前記流れが分離される前に、前記流れから取り出された前記第1の低温冷媒流の一部分、工程(d)において加温されている前記天然ガス蒸気流及び前記第1の膨張冷媒流との間接熱交換を介して冷却された前記圧縮冷媒の更なる部分、並びに/又は液化天然ガス流若しくは前記第1の液化天然ガス流から誘導された液化天然ガス生成物の一部分から形成される、1つ以上の導管及び膨張デバイスと、を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然ガス供給流から液体天然ガス(NGL)を除去し、液化天然ガス(LNG)流及び液体天然ガス(NGL)流を生成するように天然ガス供給流を液化するための方法並びにシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスの液化前に、C6+炭化水素(6個以上の炭素原子を有する炭化水素)及び芳香族化合物(例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及びキシレン)などの重炭化水素(本明細書において「HHC」とも称される)を天然ガスから除去することは、多くの場合、天然ガスを液化するために使用される熱交換器におけるこれらの成分の凍結を回避するために望ましい。当該技術分野において液体天然ガス(又は「NGL」)とも称されるC2~C5+炭化水素(2~5個以上の炭素原子を有する炭化水素)もまた、典型的には、比較的高い市場価値を有するため天然ガスから分離される。
【0003】
従来、豊富な天然ガス供給流(当該成分が豊富な天然ガス供給流)からNGL(及びHHC)を除去することは、低~中圧で動作するスタンドアロンのフロントエンドNGL抽出の使用を伴っていた。次いで、追加の装置が、天然ガスを効率的に液化するため、供給圧力を増加させることに必要とされる。
【0004】
米国特許出願第US2018/0180354(A1)号は、冷媒圧縮機から出る圧縮冷媒流が、第1及び第2の部分に分割される、天然ガスを液化するための方法及びシステムを描写する。圧縮冷媒の第1の部分は、当該天然ガス供給流が、次いで予冷却器内で予冷却され、膨張機内で膨張され、相分離器(又は脱メタナイザーカラムの上部)に導入される前に、天然ガス供給流と組み合わされ、そこで蒸気及び液体留分に分離され、蒸気留分は、冷媒圧縮機に送られる前に相分離器から取り出され、第1の熱交換器内で加温されている。冷媒流の第2の部分は、第3及び第4の部分に更に分割される前に、第1の熱交換器セクションにおいて冷却され、第3の部分は、LNG生成物を提供するために第2の熱交換器内で更に冷却及び液化されており、第4の部分は、膨張機内で膨張され、相分離器内で蒸気及び液体留分に分離されており、蒸気留分は、相分離器から取り出され、第2の熱交換器内で温められ、次いで、冷媒圧縮機に送られる前に第1の熱交換器内で更に温められる。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示されるのは、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムであり、フロントエンド液体天然ガス(NGL)ユニットは、開ループ冷却サイクルを使用する天然ガス液化ユニットと一体化される。本明細書に開示される一体化されたアプローチは、供給圧縮機器の必要性を除去する一方で、スタンドアロンのフロントエンドNGLユニットを使用して達成可能なものと同様のレベルの液体天然ガス回収及び芳香族化合物抽出を依然として達成することができる。開ループ冷却サイクルはまた、(開ループ冷媒サイクルでは、供給は、冷媒の連続供給源として機能するため)液化ユニット内の冷媒貯蔵及び注入に関連する機器、配管、及び計器の必要性を除去する。かかる機器の削減及び運用の複雑さは、資本コストの削減及び運用効率の増加につながる。
【0006】
本発明に従う方法及びシステムのいくつかの好ましい態様が、以下に概説される。
【0007】
態様1:天然ガス供給流から液体天然ガスを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法であって、
(a)天然ガス供給流を膨張及び/又は冷却し、当該流れを1つ以上の分離セクションを有する蒸留カラムに導入する工程であって、天然ガス供給流が、当該分離セクションのうちの少なくとも1つの下方で蒸留カラムに導入されている、導入する工程と、
(b)蒸留カラムの底部から液体天然ガス流を引き出す工程と、
(c)蒸留カラムの上部から天然ガス蒸気流を引き出す工程と、
(d)1つ以上の熱交換器セクション内の天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流を加温し、得られた加温流を圧縮し、当該流れを組み合わせて、圧縮冷媒を形成する工程であって、天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流は、加温及び圧縮される前、加温及び圧縮される間、又は加温及び圧縮された後に組み合わされ得る、形成する工程と、
(e)工程(d)において加温されている天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流との間接熱交換を介して、圧縮冷媒の少なくとも第1の部分を冷却して、第1の低温冷媒流を形成する工程と、
(f)第1の低温冷媒流を膨張させ、当該流れを蒸気相及び液体相に分離して、液体相から第1の液化天然ガス流を、蒸気相から第1の膨張冷媒流を形成する工程と、
(g)還流の流れを形成し、還流の流れを膨張させ、蒸留カラムの上部に導入して、蒸留カラムに還流を提供する工程であって、還流の流れは、第1の液化天然ガス流の一部分、工程(f)において分離された液体相の一部分、工程(f)において当該流れが分離される前に、当該流れから取り出された第1の低温冷媒流の一部分、工程(d)において加温されている天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流との間接熱交換を介して冷却された圧縮冷媒の更なる部分、並びに/又は液化天然ガス流若しくは第1の液化天然ガス流から誘導された液化天然ガス生成物の一部分から形成される、提供する工程と、を含む、方法。
【0008】
態様2:工程(a)において、天然ガス供給流が、2つ以上の分離セクションを有する蒸留カラムに導入され、膨張した天然ガス供給流が、当該分離セクションのうちの少なくとも1つの下方、及び当該分離セクションのうちの少なくとも別の1つの上方で蒸留カラムに導入されている、態様1に記載の方法。
【0009】
態様3:方法が、
(h)蒸留カラム底部の液体の一部分を再沸騰させることによって、蒸留カラムに沸上を提供する工程を更に含む、態様2に記載の方法。
【0010】
態様4:工程(a)において、天然ガス供給流が、蒸留カラムに導入される前に膨張される、態様1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0011】
態様5:工程(a)において、天然ガス供給流が、蒸留カラムに導入される前に、冷却され、次いで、膨張され、天然ガス供給流が冷却された後、蒸気相及び液体相に分離され、蒸気相は、膨張され、カラムの少なくとも1つの分離セクションの下方の第1の場所において蒸留カラムに導入され、液体相は、膨張され、第1の場所の下方の第2の場所において蒸留カラムに導入され、第1の場所と第2の場所との間に少なくとも1つの分離セクションが存在する、態様4に記載の方法。
【0012】
態様6:工程(a)において、天然ガス供給流が、蒸留カラムに導入される前に冷却され、天然ガス供給流の少なくとも一部分が、天然ガス蒸気流及び工程(d)において加温されている第1の膨張冷媒流との間接熱交換を介して冷却されている、態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0013】
態様7:工程(g)において、還流の流れが、工程(f)において分離された第1の液化天然ガス流の一部分及び/又は液体相の一部分から形成される、態様1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0014】
態様8:第1の膨張冷媒流が、天然ガスの蒸気流よりも低い温度で形成され、工程(e)において、圧縮冷媒の少なくとも第1の部分が、天然ガスの蒸気流及び第1の膨張した冷媒流との間接熱交換を介して冷却され、次いで、第1の膨張した冷媒流との間接熱交換を介して更に冷却されて、第1の低温冷媒流を形成する、態様1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0015】
態様9:工程(e)が、工程(d)において加温されている天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流との間接熱交換を介して、圧縮冷媒の第1の部分及び圧縮冷媒の第2の部分を冷却して、それぞれ第1の低温冷媒流及び第2の低温冷媒流を形成することを含み、圧縮冷媒の第1及び第2の部分が、天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流に対して冷却されており、圧縮冷媒の第1の部分は、次いで、天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流に対して更に冷却されており、そのため第1の低温冷媒流が、第2の低温冷媒流よりも低い温度で形成され、
工程(f)が、第1の低温冷媒流を膨張させることと、第2の低温冷媒流を膨張させることと、当該流れを組み合わせ、蒸気相及び液体相に分離して、液体相から第1の液化天然ガス流を、蒸気相から第1の膨張冷媒流を形成することと、を含む、態様1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0016】
態様10:方法が、
(i)圧縮冷媒の第3の部分を膨張させて、第2の膨張冷媒流を形成する工程であって、第2の膨張冷媒流が、第1の膨張冷媒流又は天然ガス蒸気流よりも高い温度で形成される、形成する工程を更に含み、
工程(d)が、1つ以上の熱交換器セクション内の天然ガス蒸気流、第1の膨張冷媒流、及び第2の膨張冷媒流を加温することと、得られた加温流を圧縮することと、当該流れを組み合わせて、圧縮冷媒を形成することと、を含み、天然ガス蒸気流、第1の膨張冷媒流、及び第2の膨張冷媒流は、加温及び圧縮される前、加温及び圧縮される間、又は加温及び圧縮された後に組み合わされ得、
工程(e)が、工程(d)において加温されている天然ガス蒸気流、第1の膨張冷媒流、及び第2の膨張冷媒流との間接熱交換を介して、圧縮冷媒の少なくとも第1の部分を冷却して、第1の低温冷媒流を形成することを含み、圧縮冷媒の少なくとも第1の部分が、天然ガス蒸気流、第1の膨張冷媒流、及び第2の膨張冷媒流に対して冷却され、その後、天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流に対して更に冷却される、態様1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0017】
態様11:工程(e)が、工程(d)において加温されている天然ガス蒸気流、第1の膨張冷媒流、及び第2の膨張冷媒流との間接熱交換を介して、圧縮冷媒の第1の部分及び圧縮冷媒の第2の部分を冷却して、それぞれ第1の低温冷媒流及び第2の低温冷媒流を形成することを含み、圧縮冷媒の第1及び第2の部分が、天然ガス蒸気流、第1の膨張冷媒流、及び第2の膨張冷媒流に対して冷却されており、圧縮冷媒の第1の部分が、次いで、天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流に対して更に冷却されており、そのため第1の低温冷媒流が、第2の低温冷媒流よりも低い温度で形成され、
工程(f)が、第1の低温冷媒流を膨張させることと、第2の低温冷媒流を膨張させることと、当該流れを組み合わせ、蒸気相及び液体相に分離して、液体から第1の液化天然ガス流を、蒸気相から第1の膨張冷媒流を形成することと、を含む、態様10に記載の方法。
【0018】
態様12:第2の低温冷媒流が、工程(d)において天然ガス蒸気流及び/若しくは第1の膨張冷媒流の少なくとも一部分を圧縮するために使用される圧縮機部分を有する圧縮膨張器の膨張機部分において膨張され、並びに/又は
圧縮冷媒の第3の部分が、工程(d)において天然ガス蒸気流及び/若しくは第1の膨張冷媒流の少なくとも一部分を圧縮するために使用される圧縮機部分を有する圧縮膨張器の膨張機部分において膨張される、態様9~11のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
態様13:工程(f)において、第1の低温冷媒流が、相分離器において蒸気相及び液体相に分離される、態様1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0020】
態様14:方法が、
(j)第1の液化天然ガス流の少なくとも一部分を更に冷却して、液化天然ガス生成物流を形成する工程を更に含む、態様1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0021】
態様15:工程(j)が、第1の液化天然ガス流の少なくとも一部分をフラッシュさせて、液化天然ガス生成物流及び1つ以上のフラッシュガス流を形成することを含む、態様14に記載の方法。
【0022】
態様16:方法が、
(k)1つ以上のフラッシュガス流との間接熱交換を介して圧縮冷媒の第4の部分を冷却及び液化して、第2の液化天然ガス流又は液化天然ガス流のセットを形成する工程を更に含み、
工程(j)が、第1の液化天然ガス流及び第2の液化天然ガス流又は液化天然ガス流のセットのうちの少なくとも一部分をフラッシュさせて、液化天然ガス生成物流及び1つ以上のフラッシュガス流を形成することを含む、態様15に記載の方法。
【0023】
態様17:方法が、
(l)1つ以上のフラッシュガス流との間接熱交換を介して圧縮冷媒の第5の部分を冷却し、次いで、工程(e)における圧縮冷媒の少なくとも第1の部分の冷却中に、圧縮冷媒の第5の部分を圧縮冷媒の第1の部分と組み合わせて、第1の低温冷媒流を形成する工程を更に含む、態様16に記載の方法。
【0024】
態様18:方法が、
(m)1つ以上のフラッシュガス流を圧縮して、圧縮フラッシュガス流を形成する工程と、工程(d)において加温されている天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流との間接熱交換を介して、圧縮フラッシュガス流を冷却及び液化して、第3の液化天然ガス流を形成する工程と、を更に含み、
工程(j)が、第1の液化天然ガス流及び第3の液化天然ガス流の少なくとも一部分をフラッシュさせて、液化天然ガス生成物流及び1つ以上のフラッシュガス流を形成することを含む、態様15~17のいずれか1つに記載の方法。
【0025】
態様19:方法が、
(m)1つ以上のフラッシュガス流を圧縮し、天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流と組み合わせて、圧縮冷媒を形成する工程を更に含む、態様15~17のいずれか1つに記載の方法。
【0026】
態様20:天然ガス供給流から液体天然ガスを除去し、天然ガス供給流を液化するためのシステムであって、システムが、
天然ガス供給流を膨張及び/又は冷却して、膨張及び/又は冷却された天然ガス供給流を形成するように配置及び構成された1つ以上の膨張デバイス及び/又は熱交換器セクションと、
1つ以上の分離セクションを有する蒸留カラムであって、蒸留カラムが、膨張及び/又は冷却された天然ガス供給流を、当該分離セクションのうちの少なくとも1つの下方の蒸留カラムに受容することと、膨張及び/又は冷却された天然ガス供給流を、蒸留カラムの底部から抽出された液体天然ガス流及び蒸留カラムの上部から抽出された天然ガス蒸気流に分離することと、を行うように配置及び構成されている、蒸留カラムと、
天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流を受容し、加温することと、結果として生じる加温流を圧縮し、当該流れを組み合わせて、圧縮冷媒を形成することと、を行うように配置及び構成された1つ以上の導管、熱交換器セクション、及び圧縮段階であって、1つ以上の導管、熱交換器セクション、及び圧縮段階が、天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流が加温及び圧縮される前、加温及び圧縮される間、又は加温及び圧縮された後に組み合わされるように配置及び構成され得る、1つ以上の導管、熱交換器セクション、及び圧縮段階と、
圧縮冷媒の少なくとも第1の部分を1つ以上の熱交換器セクションに通過させて、天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流との間接熱交換を介して、圧縮冷媒の少なくとも第1の部分を冷却して、第1の低温冷媒流を形成するように配置及び構成された1つ以上の導管と、
第1の低温冷媒流を膨張させ、当該流れを蒸気相及び液体相に分離して、液体相から第1の液化天然ガス流を、蒸気相から第1の膨張冷媒流を形成するための1つ以上の膨張及び分離デバイスと、
還流の流れを受容することと、還流の流れを膨張させ、還流の流れを蒸留カラムの上部に導入して、蒸留カラムに還流を提供することと、を行うように配置及び構成された1つ以上の導管及び膨張デバイスであって、還流の流れは、第1の液化天然ガス流の一部分、工程(f)において分離された液体相の一部分、工程(f)において当該流れが分離される前に、当該流れから取り出された第1の低温冷媒流の一部分、工程(d)において加温されている天然ガス蒸気流及び第1の膨張冷媒流との間接熱交換を介して冷却された圧縮冷媒の更なる部分、並びに/又は液化天然ガス流若しくは第1の液化天然ガス流から誘導された液化天然ガス生成物の一部分から形成される、1つ以上の導管及び膨張デバイスと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムを描写する概略フロー図である。
【0028】
【
図1A】
図1Aは、
図1の方法及びシステムにおいて使用することに好適なコイル巻き熱交換器ユニットを描写する概略フロー図である。
【0029】
【
図1B】
図1Bは、
図1の方法及びシステムにおける使用に好適な一体型熱交換器及び相分離器ユニットを描写する概略フロー図である。
【0030】
【
図1C】
図1Cは、
図1の方法及びシステムにおける使用に好適なフラッシュガス圧縮機の配置を描写する概略フロー図である。
【0031】
【
図1D】
図1Dは、
図1の方法及びシステムにおける使用に好適な別のフラッシュガス圧縮機の配置を描写する概略フロー図である。
【0032】
【
図2】
図2は、本発明の第2の実施形態による、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムを描写する概略フロー図である。
【0033】
【
図3】
図3は、本発明の第3の実施形態による、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムを描写する概略フロー図である。
【0034】
【
図4】
図4は、本発明の第4の実施形態による、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムを描写する概略フロー図である。
【0035】
【
図5】
図5は、本発明の第5の実施形態による、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムを描写する概略フロー図である。
【0036】
【
図6】
図6は、本発明の第6の実施形態による、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムを描写する概略フロー図である。
【0037】
【
図7】
図7は、本発明の第7の実施形態による、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムを描写する概略フロー図である。
【0038】
【
図8】
図8は、本発明の第8の実施形態による、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムを描写する概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
LNG流及びNGL流を生成するために、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムが本明細書において説明される。
【0040】
本明細書において使用される際、別様に示されない限り、「a」及び「an」という冠詞は、本明細書及び特許請求の範囲内に記載される本発明の実施形態における任意の特徴に適用される場合、1つ以上を意味する。「a」及び「an」の使用は、かかる制限が具体的に明記されない限り、単一の特徴に意味を限定しない。単数形若しくは複数形の名詞又は名詞句に先行する「the」という冠詞は、特定の指定された特徴又は複数の特定の指定された特徴を示し、それが使用される文脈に応じて単数形又は複数形の含意を有し得る。
【0041】
文字が本明細書において、方法の列挙された工程(例えば、(a)、(b)、及び(c))を識別するために使用される場合、これらの文字は、単に方法工程を参照することを補助するために使用され、かかる順序が具体的に列挙されている場合を除き、及びかかる順序が具体的に列挙されている限りにおいてのみ、特許請求される工程が実施される具体的な順序を示すことを意図するものではない。
【0042】
方法又はシステムの列挙された特徴を識別するために本明細書において使用される場合、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語は、問題の特徴を参照し、区別することを補助するためにのみ使用され、かかる順序が具体的に列挙されている場合を除き、及びかかる順序が具体的に列挙されている限りにおいてのみ、特徴の任意の具体的な順序を示すことを意図するものではない。
【0043】
本明細書において使用される際、「天然ガス」という用語は、合成天然ガス及び/又は代替天然ガスも包含する。天然ガスの主な成分は、メタンである(典型的には、供給流の少なくとも85モル%、より多くの場合、少なくとも90モル%、及び平均で約95モル%を含む)。より少ない量で存在し得る生の天然ガスの他の典型的な成分には、窒素、ヘリウム、及び水素などの1つ以上の「軽い成分」(すなわち、メタンよりも低い沸点を有する成分)、並びに/又は二酸化炭素及び他の酸性ガス、水分、水銀、及びエタン、プロパン、ブタン、ペンタンなどのより重い炭化水素などの1つ以上の「重い成分」(すなわち、メタンよりも高い沸点を有する成分)が挙げられる。しかしながら、液化される前に、生の天然ガス供給流は、天然ガスが冷却及び液化される熱交換器セクションにおける凍結又は他の動作上の問題を回避するために必要とされるレベルまで存在し得るいずれの重い成分のレベルを低減させるために、必要に応じて処理される。
【0044】
本明細書において使用される際、「液化天然ガス」という用語は、液体相中にある天然ガス、又はその臨界点を上回る温度及び圧力にある天然ガス(すなわち、超臨界流体)に関連して、その臨界点密度よりも大きい密度にある天然ガスを指す。同様に、天然ガスの「液化」への言及は、天然ガスの蒸気から液体への(すなわち、ガス状相から液体相への)変換(典型的には冷却による)、又はその臨界点を上回る温度及び圧力にある天然ガスに関連して、天然ガスの密度をその臨界点密度よりも大きい密度に増加させる(典型的には冷却による)行為を指す。
【0045】
本明細書において使用される際、「間接熱交換」という用語は、2つの流体が何らかの形態の物理的バリアによって互いに分離した状態に保たれる2つの流体間の熱交換を指す。
【0046】
本明細書において使用される際、「熱交換器セクション」という用語は、熱交換器セクションの低温側を通って流れる流体の1つ以上の流れと、熱交換器セクションの加温側を通って流れる流体の1つ以上の流れとの間で間接熱交換が行われているユニット又はユニットの一部を指し、低温側を通って流れる流体の流れは、それによって加温され、加温側を流れる流体の流れは、それによって冷却される(「加温側」及び「低温側」という用語は、純粋に相対的である)。別様に示されない限り、熱交換器セクションは、限定されるものではないが、シェル及びチューブの熱交換器セクション、コイル巻き、又はプレート及びフィンタイプの熱交換器などの、任意の好適なタイプの熱交換器セクションであり得る。
【0047】
本明細書において使用される際、「コイル巻き熱交換器」及び「コイル巻き熱交換器ユニット」という用語は、シェルケーシング内に封入された1つ以上のチューブバンドルを含む、当該技術分野で既知のタイプの熱交換器を指す。「コイル巻き熱交換器セクション」は、1つ以上の当該チューブバンドル、当該バンドルの「チューブ側」、すなわち、典型的には、該セクションの加温側を表し、セクションを通る1つ以上の通路(又はチューブ回路とも称される)を画定する、バンドル内のチューブの内部、及び当該バンドルの「シェル側」、すなわち、典型的には、当該セクションの低温側を表し、セクションを通る単一の通路を画定する、シェルケーシングの内部とチューブの外部との間で、シェルケーシングの内部とチューブの外部によって確定される空間を備える。シェル側は、チューブ側よりもはるかに低い流量抵抗を提供し、チューブ側よりもはるかに大きい圧力降下を可能にし、シェル側を通過する低温冷媒の膨張した流れをはるかに効果的効率的にするため、シェル側は、略常にセクションの低温側として使用され、冷媒は、シェル側を通過するセクションに冷却デューティを提供する。コイル巻き熱交換器は、その堅牢性、安全性、及び熱伝達効率で知られるコンパクトな設計の熱交換器であり、そのため、それらの設置面積に対して非常に効率的なレベルの熱交換を提供するという利点を有する。しかしながら、シェル側は、熱交換器セクションを通る単一の通路のみを画定するため、コイル巻き熱交換器セクションのシェル側では、当該熱交換器セクションのシェル側において混合される冷媒の当該流れなしで、2つ以上の冷媒の流れを使用することはできない。
【0048】
本明細書において使用される際、「フラッシュ」(当該技術分野では「フラッシュ蒸発」とも称される)という用語は、液体(又は超臨界若しくは二相)流の圧力を低減させて、流れを冷却し、液体の一部を蒸発させ、蒸気及び液体のより低温で、より低い圧力の二相混合物をもたらすプロセスを指し、この混合物中に存在する蒸気はまた、「フラッシュガス」とも称されている。本明細書において使用される際、「フラッシュ及び分離」という語句は、流れをフラッシュさせ、フラッシュガスを残りの液体から分離するプロセスを指す。
【0049】
本明細書において使用される際、「冷媒のガス状流」及び「ガス状冷媒流」という語句は、実質的に全て、より好ましくは、全ての流れが蒸気(すなわち、ガス状相にある)である冷媒の流れを指す。好ましくは、流れは、少なくとも80モル%の蒸気である(すなわち、少なくとも0.8の蒸気留分を有する)。より好ましくは、流れは、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、又は少なくとも99モル%の蒸気である。
【0050】
本明細書において使用される際、「膨張デバイス」という用語は、膨張し、それによって流体の圧力を低下させることに好適な任意のデバイス又はデバイスの集合を指す。流体を膨張させるための好適なタイプの膨張デバイスには、流体が膨張され、それによって流体の圧力及び温度が実質的に等エントロピー様式で(すなわち、ワークを生成する様式で)低下する、膨張機(すなわち、ターボ膨張機)又は液圧タービンなどの「等エントロピー」膨張デバイス、並びに流体が膨張され、それによって流体の圧力及び温度が、ワークを生成することなく低下する、バルブ又は他のスロットルデバイスなどの「等エンタルピー」膨張デバイスが挙げられる。
【0051】
本明細書において使用される際、「分離デバイス」という用語は、二相(蒸気及び液体)流又は混合物を別々の蒸気(ガス)及び液体流に分離するために好適な任意のデバイス又はデバイスの集合を指す。分離デバイスの例としては、相分離器及び蒸留カラムが挙げられる。
【0052】
本明細書において使用される際、「蒸留カラム」という用語は、1つ以上の分離セクションを包含するカラムを指し、各分離セクションは、接触を増加させ、そのためカラム内の上向きの上昇蒸気と下向きに流れる液体との間の質量移動を増強する1つ以上の分離段階(パッキン又はトレイなどのデバイスで構成される)で構成され、そのため、カラムから出る液体及び蒸気流が平衡状態にない(上向きに上昇する蒸気中で、より高い揮発性成分の濃度が増加し、下向きに流れる液体中で、より低い揮発性成分の濃度が増加する)。「オーバーヘッド蒸気」という用語は、カラムの上部において集合する蒸気を指す。「底部液体」という用語は、カラムの底部に集合する液体を指す。カラムの「上部」は、分離セクションの上方(すなわち、最上部の分離段階又はその上)のカラムの部分を指す。カラムの「下部」は、分離セクションの下(すなわち、最底部の分離段階又はその下)のカラムの部分を指す。カラムの「中間場所」は、2つの分離セクションの間の、カラムの上部と底部との間の場所を指す。「還流」という用語は、カラムの上部から下向きに流れる液体の源を指す。「沸上」という用語は、典型的には、底部液体の一部分を沸騰させる(「再沸騰」)ことによって生成される、カラムの底部から上向きに上昇する蒸気の源を指す。
【0053】
「相分離器」という用語は、二相流がその構成成分の蒸気及び液体相に分離することができるドラム又は他の形態の容器を指し、容器から出る液体及び蒸気流は平衡状態にある(相分離器内に分離段階は存在しない)。
【0054】
例として、本発明の様々な例示的な実施形態を、図面を参照して説明する。図では、1つの特徴が2つ以上の図に共通である場合、その特徴は、同じ参照番号が割り当てられている。特徴が図面に示されている他の実施形態とは異なるものとして具体的に説明されない限り、その特徴は、それが説明されている実施形態において対応する特徴と同じ構造及び機能を有すると想定することができる。更に、後述の実施形態では、その特徴が異なる構造又は機能を持たない場合、明細書において具体的に言及されていない場合がある。
【0055】
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態による、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムが示される。
【0056】
NGL及びHHC(芳香族化合物を含む)の混合物も包含し、典型的には、周囲温度及び高圧、典型的には、50~100バラ、より好ましくは、70~95バラにおける天然ガス供給流100は、前処理セクション101に送られる。天然ガス供給の組成に応じて、前処理セクション101における天然ガス供給流100の前処理は、H2S及びCO2を除去するための酸性ガス除去ユニット、水を除去するための脱水ユニット、及び/又は水銀除去ユニットにおいて天然ガス供給流を処理することを含むことができる。
【0057】
次いで、前処理セクション101を出る前処理された天然ガス供給流102は、天然ガス供給流の少なくとも一部分を主熱交換器の第1の熱交換器セクション106Aの加温側を通過させることによって予冷却され、天然ガス供給流の当該少なくとも一部分は、第1の熱交換器セクション106Aの低温側を通過する組み合わされた天然ガス蒸気、第1の膨張冷媒、及び第2の膨張冷媒流152(以下でより詳細に説明する)との間接熱交換を介して予冷却される。例解される実施形態では、これは、前処理セクション101を出る前処理された天然ガス供給流102を、2つの流れ、すなわち、第1の熱交換器セクション106Aをバイパスする前処理された天然ガス供給流102の流量の20~60%、より好ましくは、30~50%からなるバイパス流108と、第1の熱交換器セクション106Aの加温側の回路(すなわち、1つ以上の通路)を通過し、予冷却された供給流107から-40℃~-20℃、より好ましくは、-35℃~-25℃の温度で冷却され、次いでバイパス流108と再度組み合わされ、高圧(HP)相分離器110に導入される前処理された天然ガス供給流102の残りの流量からなる供給流104と、に分割することによって行われる。
【0058】
HP相分離器110は、50~100バラ、より好ましくは、70~95バラの圧力で動作する。HP相分離器110では、前処理及び予冷却された天然ガス供給流は、蒸気相及び液体相に分離される。天然ガス供給流の蒸気相は、流れ111としてHP相分離器110から取り出され、第1の膨張機112A内で膨張して、膨張した流れ114を形成し、これは、カラムの分離セクション117Aの下方、及びカラムの分離セクション117Bの上方のカラムの第1の中間場所において蒸留カラム117に導入される。天然ガス供給流の液体相は、流れ115としてHP相分離器110から取り出され、J-Tバルブを横切って膨張され、カラムの分離セクション117Bの下方(したがって、このセクションは、第1の中間場所と第2の中間場所との間に位置決めされる)及びカラムの分離セクション117Cの上方の第2の中間場所において蒸留カラム117に導入される。
【0059】
蒸留カラム117は、好ましくは、20~40バラ、より好ましくは、25~30バラの圧力で動作する。蒸留カラム117への還流は、J-Tバルブを横切って膨張され、分離セクション117Aの上方の蒸留カラム117の上部に導入される還流の流れ162(以下でより詳細に説明する)によって提供される。蒸留カラム117のための沸上は、再沸器118内の蒸留カラム底部の液体の一部分を再沸騰させることによって提供される。再沸器118内の底部液体の一部分を再沸騰させるための加熱デューティは、蒸気の流れ、又は底部液体の一部分との間接熱交換を介して再沸器内を通過し、冷却される別の熱伝達流体によって提供され得る。代替的な実施形態では、特定の供給組成で、再沸器118は、底部液体の一部分が熱交換器セクション106Aの低温側の回路(すなわち、1つ以上の通路)を通過して加温され、底部液体の一部分を再沸騰させるための加熱デューティは、この場合、第1の熱交換器セクション106Aの加温側を通過する1つ以上の流れによって提供される状態で、第1の熱交換器セクション106Aと一体化され得る。更に別の実施形態では、再沸器118は、加温プロセス流を蒸留カラム117の底部に注入することによって、置換されるか又は補充することができる。
【0060】
蒸留カラム117内では、天然ガス供給流(すなわち、流れ114及び115)からの上向きに上昇する蒸気は、それらが蒸留カラム117内の分離段階を通過する際、還流の流れからの下向きに流れる液体と接触させられ、それによって、当該上向きに上昇する蒸気からメタンよりも重い成分を「スクラブ」する(すなわち、メタンよりも揮発性が低い当該成分のうちの少なくとも一部を蒸気から除去する)。同様に、天然ガス供給流から下向きに流れる液体は、蒸留カラム117内の分離段階を通過する際、カラムの底部から上向きに上昇する蒸気と接触させられ、それによって、メタン及びメタンよりも軽い成分を当該下向きに流れる液体から「ストリップ」する(すなわち、メタン及びメタンよりも揮発性の高い成分のうちの少なくとも一部を液体から除去する)。このように、天然ガス供給流は、蒸留カラム117内で、蒸留カラムオーバーヘッド蒸気として収集されたメタンの豊富な蒸気留分と、蒸留カラム底部液体として収集されたメタンより重い炭化水素で濃縮された液体留分と、に分離される。
【0061】
蒸留カラム底部液体から形成されたNGL流119は、蒸留カラムの底部から取り出される。NGL流119は、NGL及びHHCとともに高い芳香族化合物含有量を有し、80℃~40℃、より好ましくは、70℃~50℃の温度である。NGL流119内で回収される天然ガス供給流102からのC3+成分のパーセンテージは、90モル%よりも高い可能性がある(NGL流119内の全てのC3+成分のモル流量の合計は、天然ガス供給流102内の全てのC3+成分のモル流量の合計で割ったものから計算される)。
【0062】
蒸留カラムオーバーヘッド蒸気から形成された天然ガス蒸気流120は、蒸留カラムの上部から取り出される。天然ガス蒸気流120は、-90℃~-60℃、より好ましくは、-80℃~-70℃の温度であり、典型的には、0.1モル%未満のC5+炭化水素(すなわち、天然ガス蒸気流120中の全てのC5+炭化水素の合計は、流れの0.1モル%未満)及び1モルppm未満の芳香族化合物(すなわち、天然ガス蒸気流120中の全ての芳香族化合物の合計は、流れの1モルppm未満)を包含する。
【0063】
第1の膨張冷媒流148は、主熱交換器の第3の熱交換器セクション106Cの低温側を通過し、ここで、-100℃~-60℃、より好ましくは、-90℃~-70℃の温度に加温される。次いで、第3の熱交換器セクション106cの低温側を出る第1の膨張冷媒流149は、天然ガス蒸気流120と組み合わされて、組み合わされた天然ガス蒸気及び第1の膨張冷媒流150を形成する。組み合わされた天然ガス蒸気及び第1の膨張冷媒流150は、主熱交換器の第2の熱交換器セクション106Bの低温側を通過し、ここで、-60℃~-20℃、より好ましくは、-50℃~-30℃の温度に加温される。次いで、第2の熱交換器セクション106Bの低温側を出る組み合わされた天然ガス蒸気及び第1の膨張冷媒流151は、第2の膨張冷媒流144と組み合わされて、組み合わされた天然ガス蒸気、第1の膨張冷媒及び第2の膨張冷媒流152を形成する。次いで、組み合わされた天然ガス蒸気、第1の膨張冷媒及び第2の膨張冷媒流152は、主熱交換器の第1の熱交換器セクション106Aの低温側を通過し、ここで、当該熱交換器セクションに入る前処理された天然ガス供給流104の温度の数℃以内に加温される。
【0064】
次いで、第1の熱交換器セクション106Aの低温側から出る組み合わされた天然ガス蒸気、第1の膨張冷媒及び第2の膨張冷媒流122は、圧縮冷媒142を形成するように圧縮されるために、複数の圧縮段階を含む圧縮システムに送られる。
【0065】
より具体的には、第1の熱交換器セクション106Aの低温側を出る、組み合わされた天然ガス蒸気、第1の膨張冷媒及び第2の膨張冷媒流122は、最初に多段冷媒圧縮機124を圧縮し、例えば、15,000~10,000メートルのヘッドを出す。例解された実施形態では、多段冷媒圧縮機124は、(圧縮効率を改善する)インタークーラ125を有するが、これは、冷媒圧縮機124を横切る装置設計及び総ヘッドに応じて除外されてもよい。次いで、多段冷媒圧縮機を出る圧縮された流れ126は、3つの並列圧縮段階112B、134B、及び138Bの間で分割されて更に圧縮される前に、アフタークーラ127内で冷却され、3つの関連するアフタークーラ130、135、及び139内で冷却され、3つの更なる圧縮された流れ131、140、及び136を形成し、次いで、圧縮冷媒142を形成するために再度組み合わされる。並列圧縮段階112B、134B、138B、関連するアフタークーラ130、135、及び139、多段冷媒圧縮機124、並びに関連するインタークーラ125及びアフタークーラ127は全て、複数のストリングで実行することができる。
【0066】
100~80バラの圧力にある圧縮冷媒142は、次いで、いくつかの冷媒流155、143、173、182に分割される。
【0067】
圧縮冷媒142の第1及び第2の部分を表す、流れ155は、(天然ガス供給流104が通過する回路とは別に)第1の熱交換器セクション106Aの加温側の回路(すなわち、1つ以上の通路)を通過し、当該熱交換器セクションの低温側を通過する組み合わされた天然ガス蒸気、第1の膨張冷媒、及び第2の膨張冷媒流152との間接熱交換を介して、-40℃~-20℃、より好ましくは、-35℃~-25℃の温度まで冷却される。次いで、得られた冷却流156は、圧縮冷媒の当該第1及び第2の部分に分割され、圧縮冷媒の第2の部分は、流れ156の90~70パーセント、より好ましくは、85~75パーセントの流量からなる第2の低温冷媒流164を形成し、圧縮冷媒の形成流158の第1の部分は、流れ156の流量の残りの部分からなる。代替的な実施形態では、第1の熱交換器セクション106Aの加温側において単一の流れとして通過及び冷却する代わりに、圧縮冷媒の第1及び第2の部分は、第1の熱交換器セクションの加温側において、別々の回路を通過及び冷却されて、流れ158及び164を形成する別々の流れとして取ることができる。
【0068】
圧縮冷媒の第1の部分を含む流れ158は、第2の熱交換器セクション106Bの加温側における回路を通過し、ここで、組み合わされた天然ガス蒸気と、当該熱交換器セクションの低温側を通過する第1の膨張冷媒流150との間接熱交換を介して更に冷却され、次いで、第3の熱交換器セクション106Cの加温側における回路を通過し、ここで、当該熱交換器セクションの低温側を通過する第1の膨張冷媒流148との間接熱交換を介して更に冷却され、-105℃~-80℃、より好ましくは、-100℃~90℃の温度で第3の熱交換器セクション106Cの加温側から取り出される第1の低温冷媒流159を形成する。
【0069】
次いで、第1の低温冷媒流159及び第2の低温冷媒流164は、膨張され、組み合わされ、蒸気相及び液体相に分離されて、液体相から第1の液化天然ガス流160を、蒸気相から第1の膨張冷媒流148を形成する。
【0070】
より具体的には、
図1に例解される実施形態では、第1の低温冷媒流159は、J-Tバルブを横切って膨張され、第2の低温冷媒流164は、第2の膨張機134A内で膨張され、次いで、2つの流れは、低圧(LP)相分離器147内に導入され、組み合わされ、ここでそれらは、蒸気相及び液体相に分離され、蒸気相は、LP相分離器147から取り出され、第1の膨張冷媒流148を形成し(それから、主熱交換器の第3の熱交換セクション106cの低温側に送られ)、液体相は、LP相分離器147から取り出されて、第1の液化天然ガス流160を形成する。描写される実施形態では、第1及び第2の低温冷媒流は、別々にLP相分離器147に導入されるが、代わりに、膨張された後、LP相分離器147に導入される前に、それらを組み合わせることができる。代替的に、2つ以上のLP相分離器を使用することができ、第1及び第2の低温冷媒流は、異なるLP相分離器に導入され、及び分離され、分離器の蒸気相は、次いで取り出され、及び組み合わされ、分離器の液体相は、次いで取り出され、及び組み合わされる。
【0071】
圧縮冷媒142の第3の部分を表す流れ143は、第3の膨張機138Aにおいて膨張されて、第2の膨張冷媒流144を形成し、次いで、(上で説明されたように)組み合わされた天然ガス蒸気及び第1の膨張冷媒流151と組み合わされて、組み合わされた天然ガス蒸気、第1の膨張冷媒、及び第2の膨張冷媒流152を形成する。
【0072】
図1に例解される実施形態では、第1の膨張機112Aは、第1の圧縮膨張器の膨張機部分であり、その圧縮機部分は、3つの並列の圧縮段階の第1の圧縮段階112Bによって形成され、第2の膨張機134Aは、第2の圧縮膨張器の膨張機部分であり、その圧縮機部分は、3つの並列の圧縮段階の第2の圧縮段階134Bによって形成され、第3の膨張機138Aは、第3の圧縮膨張器の膨張機部分であり、その圧縮機部分は、3つの並列の圧縮段階の第3の圧縮段階138Bによって形成される。代替的な実施形態では、第1、第2、及び/又は第3の膨張機からの膨張ワークは、代わりに発電機で回収することができる。しかしながら、かかる配置において、第1の圧縮段階112B、第2の圧縮段階134B、及び/又は第3の圧縮段階138Bのいずれかは、異なる電源によって駆動されなければならないか、又は当該圧縮段階のうちの1つ以上を分配する場合、当該圧縮段階において生成されたヘッドは、多段冷媒圧縮機124によって構成される必要がある。
【0073】
第1の液化天然ガス流160は、流れの第1の部分が還流の流れ162を形成して分割され、還流ポンプ163によって蒸留カラム117にポンプ圧送され、次いで、前述のように、J-Tバルブを横切って膨張し、蒸留カラム117の上部に導入されて、蒸留カラムに還流を提供する。還流の流れ162は、-105℃~-80℃、より好ましくは、-100℃~-90℃の温度であり、第1の液化天然ガス流160の流量の5~20パーセント、より好ましくは、10~15パーセントからなる。代替的な実施形態では、上で説明された様式で第1の液化天然ガス流160の一部分から還流の流れ162を形成する代わりに(又はそれに加えて)、還流の流れは、LP相分離器147から第1の液化天然ガス流160として、当該液体相の第1の部分を取り出し、還流の流れ162としてLP相分離器147から当該液体相の第2の部分を取り出すことによって(したがって、第1の液化天然ガス流160及び還流の流れ162は、別々の流れとしてLP相分離器147から取り出される)、LP相分離器147内で分離された液体相の一部分からであり得る。
【0074】
当該流れの残りの部分からなる、第1の液化天然ガス流160の第2の部分166は、液化天然ガス流177、186の第2のセット及び第3の液化天然ガス流199とともにフラッシュされて、LNG生成物流192並びにフラッシュガス流171及び181を形成する。
【0075】
より具体的には、第1の液化天然ガス流160の第2の部分は、J-Tバルブを横切ってフラッシュされ、HPフラッシュガス相分離器167に導入される流れ166を形成し、ここで蒸気相及び液体相に分離される。HPフラッシュガス相分離器167は、20~10バラの圧力で動作する。液圧タービン(図示せず)は、流れ166がフラッシュし、HPフラッシュガス相分離器167に導入される前に、流れ166からワークを抽出するために使用され得る。HPフラッシュガス相分離器167から取り出された蒸気相は、第1のフラッシュガス流169を形成し、HPフラッシュガス相分離器167から取り出された液体相は、J-Tバルブを横切ってフラッシュされ、LPフラッシュガス相分離器178に導入される液体流168を形成し、ここで蒸気相及び液体相に分離される。LPフラッシュガス相分離器178は、10~2バラの圧力で動作する。LPフラッシュガス相分離器178から取り出された蒸気相は、第2のフラッシュガス流179を形成し、LPフラッシュガス相分離器178から取り出された液体相は、LNG生成物流192を形成し、これは、LNG貯蔵タンク193に送られ、貯蔵される。LPフラッシュガス相分離器178内の圧力が十分な駆動力を提供しない場合、LNGポンプ(図示せず)を使用して、LNG生成物流192をLNG貯蔵タンク193に移送することができる。
【0076】
第1のフラッシュガス流169は、第1のフラッシュガス熱交換器の第1の170A熱交換器セクション、及び第2の170B熱交換器セクションの低温側を通過し、加温され、加温された第1のフラッシュガス流171を形成する。第2のフラッシュガス流179は、第2のフラッシュガス熱交換器の第1の180A熱交換器セクション、及び第2の180B熱交換器セクションの低温側を通過し、加温され、加温された第2のフラッシュガス流181を形成する。
【0077】
加温された第1のフラッシュガス流171及び第2のフラッシュガス流181は、組み合わされ、圧縮されて、圧縮されたフラッシュガス流189を形成する。
図1に例解される実施形態では、加温された第1のフラッシュガス流171及び第2のフラッシュガス流181は、多段フラッシュガス圧縮機187及び関連するアフタークーラ188内で圧縮される。例解された実施形態では、多段フラッシュガス圧縮機187は、4つのインタークーラを備える5つの段階を有するが、段階の数は、圧縮機の設計に応じて低減(又は増加)され得る。加温された第2のフラッシュガス流181は、多段フラッシュガス圧縮機187の段階1の入口に送られる。加温された第1のフラッシュガス流171は、例示された実施形態では、多段フラッシュガス圧縮機187の段階3の入口に送られるが、この流れは、どこが最も効率的であるかに応じて、フラッシュガス圧縮機187のより早い段階又は遅い段階に送られてもよい。多段フラッシュガス圧縮機187の段階は、任意の好適な配置において配置することができ、2つのかかる配置が、
図1C及び1D内に例解されている。
【0078】
タンクフラッシュ、ボイルオフガス、及び蒸気変位からなるボイルオフガス(BOG)流194は、LNG貯蔵タンク193のヘッドスペースから取り出され、BOG圧縮機195及び関連するアフタークーラ196において圧縮及び冷却されて、圧縮されたBOGガス流197を形成する。代替的に、好ましい動作に応じて、LNG貯蔵タンク193は、気泡点で動作され得る。この場合、BOG流194及び関連するBOG圧縮機195及び関連するアフタークーラ196は、省略されてもよく、又はBOG流194は、BOG圧縮機195及び関連するアフタークーラ196がそれに応じてサイズ設定されている状態での蒸気変位のみからなり得る。
【0079】
圧縮されたフラッシュガス流189、191は、圧縮されたBOGガス流197(存在する場合)と組み合わされて、リサイクル流198を形成し、これは、主熱交換器の第1の熱交換器セクション106A、第2熱交換器セクション106B、及び第3の熱交換器セクション106Cの加温側を通過し、冷却され、及び液化されて、第3の液化天然ガス流199を形成し、これはJ-Tバルブを横切ってフラッシュされ、HPフラッシュガス相分離器167に導入され、ここで、蒸気相及び液体相に分離される。
【0080】
代替的な実施形態では、組み合わされ、次いで、組み合わされたリサイクル流198として第1の熱交換器セクション106A、第2の熱交換器セクション106B、及び第3の熱交換器セクション106Cの加温側を通過する代わりに、圧縮フラッシュガス流189、191及び圧縮BOGガス流197は、第1の熱交換器セクション106A、第2の熱交換器セクション106B、及び第3の熱交換器セクション106Cの加温側の別々の回路を通過して、組み合わされる前に別々に冷却され、液化され得る。追加的又は代替的に、冷却及び液化された圧縮フラッシュガス流及び圧縮BOGガス流(別々に冷却及び液化されたものであれ、組み合わせた流れであれ)は、HPフラッシュガス相分離器167に送られ、分離される代わりに、LP相分離器147に送られ、導入されてもよく(このため、第1の低温冷媒流159及び第2の低温冷媒流164と組み合わせられ、分離され得る)。
【0081】
冷媒圧縮機124、フラッシュガス圧縮機187、及び(存在する場合)BOG圧縮機197は、任意の好適な手段を介して電力供給され得る。
図1に例解される実施形態では、圧縮フラッシュガス流189から取り出される圧縮フラッシュガスの一部分は、(圧縮フラッシュガス流189が圧縮BOG流197と組み合わされる前に)燃料流190を形成するために取り出され、その燃料流は、当該圧縮機を直接駆動するために、及び/又は当該圧縮機を駆動するために使用される電気の生成のために、ガスタービンに電力を供給するように使用され得る。代替的に、電力がオフサイトから(例えば、電気グリッドから)利用可能である場合、これは、圧縮機に電力を供給するために使用され得、その場合、追加の燃料の必要性がない可能性があり、燃料流190は省略されてもよい。
【0082】
圧縮冷媒142の第4及び第5の部分をともに表す流れ173及び182は、第1及び第2のフラッシュガス流との間接熱交換を介して、第1及び第2のフラッシュガス熱交換器において冷却される。
【0083】
より具体的には、圧縮冷媒の第4及び第5の部分の一部を表す流れ173は、第1のフラッシュガス熱交換器の第1の熱交換器セクション170Aの加温側を通過し、及び冷却され、予冷却された流れ174を形成し、次いで、流れ175及び流れ176に分割される。圧縮冷媒の第4及び第5の部分の一部を表す流れ182は、第2のフラッシュガス熱交換器の第1の熱交換器セクション180Aの加温側を通過し、及び冷却され、予冷却された流れ183を形成し、次いで、流れ184及び流れ185に分割される。
【0084】
流れ176及び185は、ともに、圧縮冷媒の第4の部分を表す。流れ176は、第1のフラッシュガス熱交換器の第2の熱交換器セクション170Bの加温側を通過し、更に冷却及び液化され、流れが、-130℃~-100℃、より好ましくは、-120℃~-110℃の温度である、液化天然ガス流の第2のセットの流れ177を形成し、J-Tバルブを横切ってフラッシュされ、HPフラッシュガス相分離器167に導入され、ここで蒸気相及び液体相に分離される。流れ185は、第2のフラッシュガス熱交換器の第2の熱交換器セクション180Bの加温側を通過し、更に冷却及び液化され、流れが、-160℃~-120℃、より好ましくは、-150℃~-130℃の温度である、液化天然ガス流の第2のセットの流れ186を形成し、J-Tバルブを横切ってフラッシュされ、LPフラッシュガス相分離器178に導入され、ここで蒸気相及び液体相に分離される。
【0085】
圧縮冷媒の第5の部分をともに表す、流れ175及び184は、当該流れが主熱交換器の第2の熱交換器セクション106Bの加温側に導入され、通過する前に、圧縮冷媒の第1の部分を含む流れ158と組み合わされる。代替的な実施形態では、流れ175及び184は、流れ158が通過し、第2の熱交換器セクション106Bの加温側において冷却された後、当該流れが主熱交換器の第3の熱交換器セクション106Cの加温側に導入され、通過する前に、流れ158と組み合わせることができる。流れ175は、熱交換器セクション170Aを出る予冷却された流れ174の流量の60~20パーセント、より好ましくは、50~30パーセントからなる。流れ184は、交換器180Aを出る予冷却された流れ183の60~20パーセント、より好ましくは、50~30パーセントからなる。
【0086】
圧縮冷媒142の第1及び第2の部分を表す流れ155は、好ましくは、圧縮冷媒142の流量の50~60パーセントからなる。圧縮冷媒142の第3の部分を表す流れ143は、好ましくは、圧縮冷媒142の流量の30~40パーセントからなる。各々が圧縮冷媒142の第4及び第5の部分の一部分を表す流れ173及び182は、好ましくは、各々が圧縮冷媒142の流量の2~10パーセントからなる。
【0087】
主熱交換器の第1の106A、第2の106B、及び第3の106Cの第1の熱交換器セクションは、任意のタイプの熱交換器セクションであり得る。好ましい配置では、3つの熱交換器セクションは全て、例えば、
図1Aに例解されるように、コイル巻き熱交換器セクションであり得る。しかしながら、1つ、2つ、又は3つ全てのセクションはまた、例えば、シェル及びチューブ又はプレートフィンタイプの熱交換器セクションなどの別のタイプの熱交換器セクションであり得る。第1の106A、第2の106B、及び第3の106Cの第1の熱交換器セクションは、別々のユニット内に収容されてもよく(例えば、
図1Aにおいて例解されるように、第1の106A、第2の106B、及び第3の106Cの第1の熱交換器セクションは、各々独自のシェルケーシング内に収容される、各々のコイル巻き熱交換器セクションである)、又は代替的に、(例えば、第1の106A、第2の106B、及び第3の106Cの第1の熱交換器セクションは、各々コイル巻き熱交換器セクションであり、2つ又は3つ全てのセクションは、同じシェルケーシングに収容されているなど)1つ、2つ、又は3つ全てのセクションは、同じユニット内に収容され得る。加えて、主熱交換器は、代替的な実施形態では、第1の106A、第2の106B、及び第3の106Cの第1の熱交換器セクションと直列又は並列に配置されている追加の熱交換器セクションを伴い、より多くの(又はより少ない)熱交換器セクションを含むことができる。例えば、一実施形態では、第1の熱交換器セクション106Aは、並列に配置された一組の(すなわち、2つ以上の)第1の熱交換器セクションと置換され得、これらの全ては、第2の熱交換器セクション106Bに直列に接続し、一組の第1の熱交換器セクションにおいて加温及び冷却されている流れは、再度組み合わされる前に当該セクション間で分割されている。
【0088】
主熱交換器の第1の106A、第2の106B、及び第3の106Cの熱交換器セクションが、熱交換器セクションの低温側が別々の流れ(例えば、プレートフィンタイプの熱交換器セクションなど)を容易に調整することができるタイプの熱交換器セクションである実施形態では、天然ガス蒸気流、第1の膨張冷媒流、及び/又は第2の膨張冷媒流は、冷却される前に組み合わされる必要はなく、代わりに、組み合わされる前、圧縮前、圧縮中、又は圧縮後に、主熱交換器の熱交換器セクションの低温側の別々の回路において冷却されて、圧縮冷媒142を形成することができる。
【0089】
第1のフラッシュガス熱交換器の第1の170A及び第2の170B熱交換器セクション、並びに第2のフラッシュガス熱交換器の第1の180A及び第2の180B熱交換器セクションは、任意のタイプの熱交換器セクションであり得る。好ましい配置では、熱交換器セクションは、コイル巻き熱交換器セクションであり得、熱交換器セクションのいくつか又は全ては、例えば、シェル及びチューブ又はプレートフィンタイプの熱交換器セクションなどの別のタイプの熱交換器セクションであり得る。第1のフラッシュガス熱交換器の第1の170A及び第2の170B熱交換器セクションは、単一のユニット(例えば、それらがコイル巻き熱交換器セクションである場合、同じシェルケーシング内)又は別々のユニット内に収容され得る。同様に、第2のフラッシュガス熱交換器の第1の180A及び第2の180B熱交換器セクションは、単一のユニット又は別々のユニット内に収容され得る。代替的な実施形態では、第1のフラッシュガス熱交換器及び/又は第2のフラッシュガス熱交換器は、より多くの(又はより少ない)熱交換器セクションからなることができる。
【0090】
フラッシュガス熱交換器及び第2のフラッシュガス熱交換器がコイル巻き熱交換器である場合、
図1Bに示されて、例解されるように、これらの熱交換器をHP及びLPフラッシュガス相分離器と一体化することも可能である。この配置では、第1のフラッシュガス熱交換器ユニットは、予冷却されている第1の熱交換器セクション170A及び第2の熱交換器セクション170Bの両方を包含するシェルケーシングと、当該熱交換器セクションの下方に位置付けられ、HPフラッシュガス相分離器として機能する液化セクション及び相分離器セクションと、を有し、第2のフラッシュガス熱交換器ユニットは、予冷却されている第1の熱交換器セクション180A及び第2の熱交換器セクション180Bの両方を包含するシェルケーシングと、当該熱交換器セクションの下方に位置付けられ、LPフラッシュガス相分離器として機能する液化セクション及び相分離器セクションと、を有する。第1の液化天然ガス流166、第2の液化天然ガス流セットの流れ177、及び第3の液化天然ガス流199は全て、(J-Tバルブを横切ってフラッシュされた後)第1のフラッシュガス熱交換器ユニットの相分離セクションに導入され、ここで、それらは液体相及び蒸気相に分離され、液体相は第1のフラッシュガス熱交換器ユニットの底部から取り出されて、液体流168を形成し、蒸気相は第2の熱交換器セクション170B及び第1の熱交換器セクション170Aのシェル側を通って上昇する第1のフラッシュガス流を形成し、当該熱交換器セクションに冷却デューティを提供する。HPフラッシュガス相分離器からの液体流168及び第2のセットの液化天然ガス流の流れ186は、J-Tバルブを横切ってフラッシュされた後に、第2のフラッシュガス熱交換器ユニットの相分離器に導入され、ここで、それらは液体相及び蒸気相に分離され、液体相は第1のフラッシュガス熱交換器ユニットの底部から取り出されて、LNG生成物流192を形成し、蒸気相は、第2の180B及び第1の熱交換器セクション180Aのシェル側を通って上昇する第2のフラッシュガス流を形成し、当該熱交換器セクションに冷却デューティを提供する。
【0091】
図1に示される実施形態では、第1の液化天然ガス流166、第2のセットの液化天然ガス流の流れ177、及び第3の液化天然ガス流199は全て、HPフラッシュガス相分離器167に導入され、それらは組み合わされ、上で説明されたように蒸気相及び液体相に分離される。しかしながら、代替的な実施形態では、1つ、2つ、又は3つ全ての流れは、膨張された後、HPフラッシュガス相分離器167に導入される前に、組み合わされ得る。代替的に、2つ以上のHPフラッシュガス相分離器を使用することができ、2つ又は3つ全ての流れが、異なるHPフラッシュガス相分離器に導入され、分離され、次いで分離器の蒸気相が取り出され、組み合わされ、次いで分離器の液体相が取り出され、組み合わされる。
【0092】
同様に、
図1に示される実施形態では、HPフラッシュガス相分離器からの液体流168及び液化天然ガス流の第2のセットの流れ186が、LPフラッシュガス相分離器178に導入され、それらは組み合わされ、上で説明されたように蒸気相及び液体相に分離される。しかしながら、代替的な実施形態では、これらの流れは、膨張された後、LPフラッシュガス相分離器178に導入される前に組み合わされ得、又は2つのLPフラッシュガス相分離器を使用して、2つの流れが異なるLPフラッシュガス相分離器に導入され、分離され、次いで分離器の蒸気相が取り出され、組み合わされ、次いで分離器の液体相が取り出され、組み合わされ得る。
【0093】
上で説明されたように、
図1に示される配置では、還流の流れ162は、第1の液化天然ガス流160を分割することによって、第1の液化天然ガス流160の一部分から形成される(又は、代替的に、還流の流れ162としてLP相分離器147から当該液体相の一部分を取り出すことによって、LP相分離器147内で分離された液体相の一部分から形成され得る)。しかしながら、代替的な実施形態では、還流の流れ162は、代替的に(又は追加的に)以下:
(i)当該流れが膨張され、LP相分離器147に導入される前に、当該流れから取り出された第1の低温冷媒流159の一部分、
(ii)当該流れが通過し、主熱交換器の第2の熱交換器セクション106Bの加温側において冷却された後、及び当該流れが通過し、主熱交換器の第3の熱交換器セクション106Cの加温側において更に冷却される前の当該流れから取り出された、(圧縮冷媒の第1の部分を含む)流れ158の一部分、
(iii)HPフラッシュガス相分離器167において分離された液体の一部分(当該部分は、当該分離器から取り出された液体流168から別々の流れとして取り出されている)、
(iv)HPフラッシュガス相分離器167を出る液体流168の一部分であって、当該液体流168の一部分は、当該流れの残りがフラッシュされ、LPフラッシュガス分離器178に導入される前に取り出される、
(v)LPフラッシュガス相分離器178において分離された液体の一部分(当該部分は、当該分離器から取り出されたLNG生成物流192から別々の流れとして取り出されている)、
(vi)当該流れの残りの部分がLNG貯蔵タンク193に移送される前に取り出されたLNG生成物流192の一部分、及び/又は
(vii)LNG貯蔵タンク193から取り出されたLNG生成物から形成することができる。
【0094】
図1に示されるものに対する代替的な配置では、第1の低温冷媒流159は、
図1に示されるように膨張され、LP相分離器147に導入される代わりに、フラッシュされ、HPフラッシュガス相分離器167に導入され得る。
【0095】
図1に示されるものに対する代替的な配置では、蒸留カラムの上部から取り出された蒸留カラムオーバーヘッド蒸気から形成される天然ガス蒸気流120は、主熱交換器の第3の熱交換器セクション106Cの低温側を出る第1の膨張冷媒流149と組み合わされる代わりに、第1の膨張冷媒流148と組み合わされ、次いで主熱交換器の第3の熱交換器セクション106Cの低温側を通過してもよい。
【0096】
図1に示される配置の代替的な配置では、当該流れをフラッシュさせて、LNG生成物流192を形成することによって、第1の液化天然ガス流166を更に冷却する代わりに、又はそれに加えて、第1の液化天然ガス流166は、閉ループサイクル内で循環する冷媒などの別の冷媒に対して更に冷却され得る。
【0097】
図1に描写される本発明の第1の実施形態による方法及びシステムは、米国特許出願公開第2018/0180354(A1)において描写される方法及びシステムよりも様々な利点を提供する。
【0098】
具体的には、天然ガス供給流を分離するための蒸留カラム117の使用は、天然ガス供給流が、その少なくとも1つの分離セクション(117A)の下方で蒸留カラム117に導入され、相分離器又はストリッピングカラム(すなわち、還流の流れがなく、天然ガス供給流が蒸留カラムに導入される場所の上方で分離段階がない蒸留カラム)のみの使用と比較して、NGL及び芳香族化合物の改善された回収を提供する。相分離器のみを使用すると、天然ガス供給からのNGL及び芳香族化合物の回収率が低下する。NGLは高価な商品であるため、LNG生成物へのそれらの損失は財政的に非効率的であり、天然ガス供給が高い芳香族化合物含有量を有する場合、芳香族化合物の除去が不十分であると、主熱交換器内のこれらの成分が凍結し、そのため動作の停止をもたらす。ストリッピングカラムのみの使用は、相分離器の使用よりも高いNGL回収を達成し得るが、依然として天然ガス供給に高含有量の芳香族化合物を残し得る。逆に、
図1に示される様式で、天然ガス供給が導入される場所の上方に少なくとも1つの分離セクション(117A)を有する蒸留カラム117を使用することによって、LNG生成物中の芳香族化合物の含有量を1ppmモル未満に低減しながら、高いNGL回収(すなわち、C3+成分の90モル%超の回収)を達成することが可能である(このため、スタンドアロンのフロントエンドNGLユニットを使用して達成可能なものと同様のレベルの性能を提供する)。
【0099】
蒸留カラムの上部からの天然ガス蒸気流120を、第3の熱交換器セクション106Cの低温側を出る膨張冷媒流149と混合する、第2及び第3の熱交換器セクション106B及び106Cを有する主熱交換器の使用(
図1に例解される様式における)は、プロセスの比出力を低下させる。
【0100】
LP相分離器147から取得された液化天然ガス流166をフラッシュさせることによってLNG製品を製造することは、フラッシュガス熱交換器におけるフラッシュガスからの冷気の関連する回収及びフラッシュガスのリサイクルとともに、(主熱交換器に提供される必要がある冷却量を低減させることによって)プロセスの効率を改善する。
【0101】
当該流れが膨張され、分離される前に、主熱交換器の第1の熱交換器セクション106Aを使用して、天然ガス供給流102を予冷却することは、天然ガス供給流を予冷却するための別々の熱交換器ユニットの必要性を省略し、それによって設計を簡素化し、プロットスペースを低減させる。加えて、HP相分離器110を使用して、予冷却された天然ガス供給流を液体相及び蒸気相に分離し、蒸気相が、第1の膨張機112A内で膨張し、液体相がJ-Tバルブを横切って膨張してから、予冷却された天然ガス供給流を蒸留カラム117に導入することで、液体相及び蒸気相の両方を有する流れを膨張又は生成するように設計された膨張機を使用することと比較して、膨張機効率が改善され、膨張機設計が簡素化される(HP相分離器110の使用はまた、分離の別の理論的な段階を追加し、このためNGL回収を更に改善する)。
【0102】
天然ガス蒸気流120と第1の膨張冷媒流149とを組み合わせて、主熱交換器の第2の熱交換器セクション106Bの低温側で加温される、組み合わされた流れ150を形成し、当該組み合わされた流れ150と第2の膨張冷媒流144とを更に組み合わせて、主熱交換器の第1の熱交換器106Aの低温側で更に加温される、組み合わされた流れ152を形成することは、冷媒圧縮機124が(組み合わされ、加温された天然ガス蒸気、第1の膨張冷媒及び第2の膨張冷媒流から形成される)1つの入口流122のみを扱わなければならず、それによって、冷媒圧縮機124の設計を著しく簡素化することを可能にすることを意味する。更に、それらは、当該熱交換器セクションの低温側で別々に保たれる必要がある流れを受容する必要がないため、第1の熱交換器セクション106A及び第2の熱交換器セクション106Bがコイル巻き熱交換器セクションであることを可能にする。上述したように、コイル巻き熱交換器は、その堅牢性、安全性、及び熱伝達効率で知られるコンパクトな設計の熱交換器であり、そのため、それらの設置面積に対して非常に効率的なレベルの熱交換を提供するという利点を有する。しかしながら、シェル側は、熱交換器セクションを通る単一の通路のみを画定するため、コイル巻き熱交換器セクションのシェル側では、当該熱交換器セクションのシェル側において混合される冷媒の当該流れなしで、2つ以上の冷媒の流れを使用することはできない。
【0103】
第1の圧縮膨張器のそれぞれ膨張機部分及び圧縮機部分としての第1の膨張機112A及び第1の圧縮段階112B、第2の圧縮膨張器のそれぞれ膨張機部分及び圧縮機部分としての第2の膨張機134A及び第2の圧縮段階134B、並びに第3の圧縮膨張器のそれぞれ膨張機部分及び圧縮機部分としての第3の膨張機138A及び第3の圧縮段階138Bの動作は、多段冷媒圧縮機124の出口が圧縮機部分の入口に接続し、供給することにより、追加の効率もまた提供する。
【0104】
ここで
図2を参照すると、本発明の第2の実施形態による、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムが示される。
図2では、LP相分離器247の下流の機器及び流れは、これらが
図1のものと同一であるため、示されない。また、簡略化のために、
図2に描写される配置では、第1、第2、及び第3の膨張機212A、234A、238Aは、圧縮膨張器の膨張機部分ではなく、並列圧縮段階112B、134B、及び138Bは割愛され、圧縮冷媒242の生成のための全ての圧縮は、多段冷媒圧縮機224によって提供されている。
【0105】
図2に描写される方法及びシステムは、第1の熱交換器セクション206Aを出る予冷却された供給流207の全てがバイパス流208と再度組み合わされ、HP相分離器210に導入されるわけではないという点で、
図1に描写される方法及びシステムとは異なる。むしろ、
図2に描写される配置では、第1の熱交換器セクション206Aを出る予冷却された供給流207は、流れの一部分(予冷却された供給流207の流れの25~2パーセント、より好ましくは、15~5パーセントを表す)が、第2の熱交換器セクション206Aの加温側の回路を通過することによって更に冷却され、-90℃~-60℃、より好ましくは、-80℃~-70℃の温度で流れ213から冷却され、次いで、膨張した流れ214が蒸留カラム217に導入される第1の中間場所の上方の第3の中間場所で膨張され、蒸留カラムに導入され、当該第3の中間場所と第1の中間場所との間に分離セクション217Bが存在する。
【0106】
上で説明された様式で冷却された蒸留カラム217へのこの追加の供給流213の使用は、NGL回収を更に改善し、プロセスの比出力を低減させ得る。
【0107】
図1に描写される実施形態を参照して説明される変形例、代替的な実施形態、及び代替的な配置の全ては、同様に、
図2に描写される実施形態及び以下に説明される更なる図に描写される実施形態に適用される。
【0108】
ここで
図3を参照すると、本発明の第3の実施形態による、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムが示される。
図3では、LP相分離器347の下流の機器及び流れは、これらが
図1のものと同一であるため、示されない。また、簡略化のために、
図3に描写される配置では、第1、第2、及び第3の膨張機312A、334A、338Aは、圧縮膨張器の膨張機部分ではなく、並列圧縮段階112B、134B、及び138Bは割愛され、圧縮冷媒342の生成のための全ての圧縮は、多段冷媒圧縮機324によって提供されている。
【0109】
図3に描写される方法及びシステムは、主熱交換器の第3の熱交換器セクション206Cが除去され、使用されていない点で、
図2に描写される方法及びシステムとは異なる。これにより機器数は低減するが、プロセスの比出力に悪影響を有する。
【0110】
ここで
図4を参照すると、本発明の第3の実施形態による、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムが示される。
図4では、LP相分離器447の下流の機器及び流れは、以下に別段に記載される場合を除き、
図1の機器及び流れと同一であるため、示されない。また、簡略化のために、
図4に描写される配置では、第1及び第2の膨張機412A、434Aは、圧縮膨張器の膨張機部分ではなく、並列圧縮段階112B及び134Bは割愛され、圧縮冷媒442の生成のための全ての圧縮は、多段冷媒圧縮機424によって提供されている。
【0111】
図4に描写される方法及びシステムは、第3の膨張機138Aが除去された(したがって、第2の膨張された冷媒流144も存在しない)という点で、
図1に描写される方法及びシステムとは異なり、主熱交換器の第2の熱交換器セクション106Bは除去され、エコノマイザ熱交換器セクション406Bと置換され、蒸留カラム417の上部から取り出された天然ガス蒸気流420は、第3の熱交換器セクション406Cの低温側を出る第1の膨張された冷媒流449とは別に冷却され、蒸留カラム417への還流の流れ462、463は異なる供給源であり、HP相分離器110もまた除去されている。これにより機器数は低減するが、プロセスの比出力に悪影響を有する。
【0112】
より具体的には、
図4の方法及びシステムでは、前処理された天然ガス供給流402は、第1の膨張機412Aで膨張され、カラムの分離セクション417Aの下方、及びカラムの分離セクション417Dの上方の中間場所で蒸留カラム417に導入される。蒸留カラムの上部から取り出された天然ガス蒸気流420は、通過する前に、エコノマイザ熱交換器セクション406Bの低温側で通過し、加温され、第1の熱交換器セクション406Aの低温側で更に加温され、天然ガス蒸気流421は、第1の膨張冷媒流449が通過する第1の熱交換器セクション406Aの低温側の回路よりも、第1の熱交換器セクション406Aの低温側の別々の回路を通過する。第1の熱交換器セクション406Aの低温側を出る加温された第1の膨張冷媒流422は、多段冷媒圧縮機424の低圧入口に送られ、第1の熱交換器セクション406Aの低温側を出る加温された天然ガス蒸気流415は、多段冷媒圧縮機424の中圧入口に送られ、ここで、第1の膨張冷媒と組み合わされ、更に圧縮される。第1の熱交換器セクション406の加温側を出る冷却された流れ456の一部分(圧縮冷媒の第1及び第2の部分を含む)は、還流の流れ462を形成するために取り出され、この還流の流れは、膨張されて蒸留カラム417の上部に導入される前に、エコノマイザ熱交換器セクション406Bの加温側を通過し、更に冷却される。
【0113】
ここで
図5を参照すると、本発明の第5の実施形態による、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムが示される。
図5では、LP相分離器547の下流の機器及び流れは、以下に別段に記載される場合を除き、
図1の機器及び流れと同一であるため、示されない。また、簡略化のために、
図5に描写される配置では、第1及び第2の膨張機512A、534Aは、圧縮膨張器の膨張機部分ではなく、並列圧縮段階112B及び134Bは割愛され、圧縮冷媒542の生成のための全ての圧縮は、多段冷媒圧縮機524によって提供されている。
【0114】
図5に描写される方法及びシステムは、第3の膨張機138Aが除去された(したがって、第2の膨張冷媒流144も存在しない)こと、主熱交換器の第3の熱交換器セクション106Cが除去されたこと、及びHP相分離器110も除去されたという点で、
図1に示される方法及びシステムとは異なる。これにより機器数は低減するが、プロセスの比出力に悪影響を有する。
【0115】
より具体的には、
図5の方法及びシステムでは、前処理された天然ガス供給流502は、第1の膨張機512Aで膨張され、カラムの分離セクション517Aの下方、及びカラムの分離セクション517Dの上方の中間場所で蒸留カラム517に導入される。例解された実施形態では、蒸留カラムの上部から取り出された天然ガス蒸気流520は、通過する前に、第2の熱交換器セクション506Bの低温側を通過し、加温され、第1の熱交換器セクション506Aの低温側において更に加温され、天然ガス蒸気流520は、第1の膨張冷媒流548が通過する当該熱交換器セクションの低温側の回路よりも、第2及び第1の熱交換器セクション506B及び506Aの低温側における別々の回路を通過する。第1の熱交換器セクション506Aの低温側を出る加温された第1の膨張冷媒流522は、多段冷媒圧縮機524の低圧入口に送られ、第1の熱交換器セクション506Aの低温側を出る加温された天然ガス蒸気流515は、多段冷媒圧縮機524の中圧入口に送られ、ここで、第1の膨張冷媒と組み合わされ、更に圧縮される。代替的な実施形態では、天然ガス蒸気流520は、
図1に示されるものと同じ様式で、組み合わされた流れの加温及び圧縮の前に、第1の膨張冷媒流548と組み合わせることができ、このアプローチは、第1及び第2の熱交換器セクション506A及び506Bのためのコイル巻き熱交換器セクションの使用を可能にし、多段冷媒圧縮機524の設計を簡素化するが、これは、比出力のわずかな更なる増加をもたらし得る。
【0116】
ここで
図6を参照すると、本発明の第6の実施形態による、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムが示される。
図6では、LP相分離器647の下流の機器及び流れは、以下に別段に記載される場合を除き、
図1の機器及び流れと同一であるため、示されない。また、簡略化のために、
図6に描写される配置では、第1及び第2の膨張機612A、634Aは、圧縮膨張器の膨張機部分ではなく、並列圧縮段階112B及び134Bは割愛され、圧縮冷媒642の生成のための全ての圧縮は、多段冷媒圧縮機624によって提供されている。
【0117】
図6に描写される方法及びシステムは、
図5に描写される方法及びシステムとは、主熱交換器の第3の熱交換器セクション606Cが再導入され、天然ガス蒸気流620が、組み合わされた流れを
図1に示されるのと同じ様式で加温及び圧縮する前に、第1の膨張冷媒流649と組み合わされる点で異なる。このアプローチは、
図5に示されるものよりも良好な比出力を有する。
【0118】
ここで
図7を参照すると、本発明の第7の実施形態による、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムが示される。
図7では、LP相分離器747の下流の機器及び流れは、これらが
図1のものと同一であるため、示されない。また、簡略化のために、
図7に描写される配置では、第2及び第3の膨張機734A及び738Aは、圧縮膨張器の膨張機部分ではなく、並列圧縮段階712B、734B、及び738Bは割愛され、圧縮冷媒742の生成のための全ての圧縮は、多段冷媒圧縮機724によって提供されている。
【0119】
図7に描写される方法及びシステムは、HP相分離器110が除去されたという点で、
図1に描写される方法及びシステムとは異なり、第1の膨張機712Bは、圧縮膨張器の膨張機部分であり、ここで当該圧縮機の圧縮機部分は、膨張前に天然ガス供給を圧縮するために使用される。
【0120】
より具体的には、
図7の方法及びシステムでは、前処理された天然ガス供給流702は、第1の圧縮膨張器の圧縮機部分を構成する供給圧縮段階712B内で最初に圧縮され、関連するアフタークーラ707内で冷却されてから、第1の圧縮膨張器の膨張部を形成する第1の膨張機712A内で膨張され、カラムの分離セクション717Aの下方、及びカラムの分離セクション717Dの上方の中間場所において蒸留カラム717に導入される。
【0121】
膨張前に天然ガス供給流を圧縮することにより、
図7に描写される配置は、主熱交換器の1つ以上の熱交換器内の天然ガス供給流を予冷却する必要性を除去し、そのため、当該交換器の設計を簡素化する。
図2に示される配置と比較して、第2の熱交換器706B内で凍結する重質供給成分の可能性もまた除去される。更に、HP供給分離器110を除去し、蒸留カラムへの供給流の数を低減させることは、システムの設計を簡素化する。
図2に示される配置と比較して、
図7に示される配置は、より良い比出力を有する。
【0122】
ここで
図8を参照すると、本発明の第8の実施形態による、天然ガス供給流からNGLを除去し、天然ガス供給流を液化するための方法及びシステムが示される。
【0123】
図8に描写された方法及びシステムは、圧縮されたBOGガス流897及び圧縮されたフラッシュガス流889が、主熱交換器の第1の熱交換器セクション106A、第2の熱交換器セクション106B、及び第3の熱交換器セクション106Cの加温側を通過し、冷却及び液化されて、J-Tバルブを横切ってフラッシュされ、HPフラッシュガス相分離器167に導入される第3の液化天然ガス流199を形成するリサイクル流198を形成するように組み合わされていない点で異なる。代わりに、
図8に示される配置では、圧縮BOGガス流897及び圧縮フラッシュガス流889は、第1の熱交換器セクション806Aの低温側を出る組み合わされた天然ガス蒸気、第1の膨張冷媒、及び第2の膨張冷媒流822と組み合わされ、天然ガス蒸気、第1の膨張冷媒、第2の膨張冷媒、フラッシュガス、及びBOGの組み合わされた流れ899は、次いで多段冷媒圧縮機824の入口に送られている。
【0124】
図7に示される実施形態と同様に、
図8の方法及びシステムでは、HP相分離器110もまた除去されており、第1の膨張機812Bは、圧縮膨張器の膨張機部分であり、その圧縮機部分は、当該供給が第1の膨張機812B内で膨張され、分離セクション817Aの下方、及びカラムの分離セクション817Bの上方の中間場所において蒸留カラム817に導入される前に、天然ガス供給802を圧縮するために使用される。結果として、
図8に示される配置では、並列圧縮段階は、2つの段階834B及び838Bのみからなり、第1の段階112Bは省略されている。
【0125】
図8に示される具体的な配置では、主熱交換器の第1、第2、及び第3の熱交換器セクション806A、806B、806Cは、全てコイル巻き熱交換器セクションであり、第3の熱交換器セクション806Cは、第2の熱交換器セクション806Bの下方に位置付けられている(同様にして、第1の熱交換器セクション806Aの下方に位置付けられる)。
【0126】
かかる配置において、代替的な実施形態では、LP相分離器847を、第3の熱交換器セクション806Cを包含するコイル巻き熱交換器ユニット(
図8に例解される特定の実施形態では、第3の熱交換器セクションを包含するコイル巻き熱交換器ユニットは、第2の熱交換器セクション806Bも包含する)と一体化することが可能であろう。より具体的には、かかる配置において、コイル巻き熱交換器ユニットは、第3の熱交換器セクション(及び任意選択的に、その上方に第2の熱交換器セクション、又は第2及び第1の熱交換器セクション)を包含するシェルケーシングと、第3の熱交換器セクションの下方に位置付けられた相分離器セクションと、を有する。第1の低温冷媒流及び第2の低温冷媒流は、膨張され、コイル巻き熱交換器ユニットの相分離セクションに導入され、ここで、液体相及び蒸気相に分離され、液体相は、コイル巻き熱交換器ユニットの底部から取り出されて、第1の液化天然ガス流を形成し、蒸気相は、第3の熱交換器セクションのシェル側を通って上昇する第1の膨張冷媒流を形成する。
【実施例0127】
実施例1
この実施例では、Aspen Technologies,Inc.から入手可能なAspenシミュレーションソフトウェア、バージョン10を使用して、
図1に描写されるような天然ガスを冷却及び液化するための方法及びシステムをシミュレートした。
【0128】
表1は、模擬例からの流れデータを示す。この実施例では、多段冷媒圧縮機124は、2段階を有し、2つのストリングで動作し、各ストリングは、48.8MWのおおよそのガス馬力を有する。フラッシュガス圧縮機187及びBOG圧縮機195は、それぞれ、36.6MW及び12.0MWのおおよそのガス馬力を有した。模擬プロセスでは、天然ガス供給からのC3+成分の90モル%が、蒸留カラム117の底部から取り出されたNGL流119中で回収される。
表1:
【表1A】
【表1B】
【表1C】
【表1D】
【表1E】
【表1F】
【表1G】
【表1H】
【表1I】
【0129】
本発明は、好ましい実施形態を参照して上で説明された詳細に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に定義される本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、多数の修正及び変形を行うことができることが理解されよう。