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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058656
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】ヨダレカケ
(51)【国際特許分類】
   A41B 13/10 20060101AFI20240418BHJP
   A41D 13/04 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
A41B13/10
A41D13/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023177546
(22)【出願日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2022175038
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522425013
【氏名又は名称】船津 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】110003650
【氏名又は名称】弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100132621
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 孝行
(74)【代理人】
【識別番号】100123364
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 徳子
(72)【発明者】
【氏名】船津 真奈美
【テーマコード(参考)】
3B128
3B211
【Fターム(参考)】
3B128QA01
3B128QA02
3B128QA03
3B211AA00
3B211AB00
3B211AC08
3B211AC17
3B211BA02
3B211BB02
3B211BB07
3B211BB09
3B211BB10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】衛生的に携帯でき、着脱が容易で、ゴミ袋としても使用できるヨダレカケを提供する。
【解決手段】肌触りが良く、吸水性と撥水性に優れ、伸縮性がある素材を使用し、2枚合わせの構造とすることで、衛生的に携帯でき、着脱が容易で、食事用エプロンとしても使用可能な便利なヨダレカケ1を実現した。また、廃棄の際には、反転して周りを汚さず廃棄できる上、そのまま、使用済の紙オムツ、お尻ふき等を入れる「ゴミ袋」として利用することもできる便利なものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1部材と第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材を、内側と表側に合わせてそれぞれの周囲を結合する結合部と、
前記第1部材と前記第2部材のそれぞれに設けられる首周り部と、
前記首周り部を結合しないことで前記内側が袋状になる袋状部と、を備えることを特徴とする、
ヨダレカケ。
【請求項2】
前記ヨダレカケは、さらに第3部材を備え、
前記第3部材は、前記結合部により前記第1部材および前記第2部材に結合され、
前記結合部と反対側の上側において結合していない開口部を有していることを特徴とする、
請求項1に記載のヨダレカケ。
【請求項3】
前記第1部材、前記第2部材および前記第3部材は、伸縮性のある素材からそれぞれ形成され、かつ一方の面が吸水性のある吸水面と、一方の面と反対側の面である他方の面が撥水性のある撥水面とをそれぞれ有し、
前記第1部材、前記第2部材および前記第3部材の前記撥水面は前記表側に配置され、
前記第1部材と前記第2部材のそれぞれの前記吸水面が対向して前記結合部で結合することで前記袋状部が形成されることを特徴とする、
請求項2に記載のヨダレカケ。
【請求項4】
前記第3部材は、前記結合部を中心として反転することで食事用ポケットを形成し、
前記食事用ポケットの表側は、前記吸水面が配置され、前記食事用ポケットの前記内側は前記撥水面が配置されることを特徴とする、
請求項3に記載のヨダレカケ。
【請求項5】
前記食事用ポケットに内側には、前記結合部と前記結合部の周りに形成される余白部とが配置されていることを特徴とする、
請求項4に記載のヨダレカケ。
【請求項6】
前記第1部材の前記吸水面と前記第2部材の前記吸水面で形成される前記袋状部において、前記首周り部から前記吸水面を表側に引き出し、表側と内側を反転させたことを特徴とする、
請求項3に記載のヨダレカケ。
【請求項7】
前記反転した状態において、前記第1部材の前記撥水面と前記第2部材の前記撥水面で形成された袋状部に、前記結合部と前記結合部の周りに形成される前記余白部とが配置されていることを特徴とする、
請求項6に記載のヨダレカケ。
【請求項8】
前記首周り部には、前記第1部材および前記第2部材の端部に向かって切欠された複数の切欠部が設けられていることを特徴する、
請求項1に記載のヨダレカケ。
【請求項9】
前記結合部の上部には、結合されていない分離部が設けられていることを特徴とする、
請求項1に記載のヨダレカケ。
【請求項10】
前記結合部は、縫製により結合されていることを特徴とする、
請求項1に記載のヨダレカケ。
【請求項11】
前記伸縮性のある素材は、マイクロフィンドライであることを特徴とする、
請求項3に記載のヨダレカケ。
【請求項12】
前記第1部材および前記第2部材は、それぞれ撥水性を有する一方面と吸水性を有する他方面とを有する伸縮性のある素材から形成され、
前記第1部材および前記第2部材には、人に装着される際に、当該人の頭部が通る孔が前記首周り部に形成され、
前記孔の周辺を除き、前記一方面同士または前記他方面同士が対面するように、前記第1部材および前記第2部材の周囲を結合させる結合部が設けられ、
前記人に装着された際に、当該人の首から垂れ下がり、胸部に沿って配置される前掛けが形成され、
前記他方面が表面に現れるように配置したした際には、涎掛けとして使用でき、かつ前記一方面が表面に現れるように配置した際には、食事用エプロンとして使用できる、ことを特徴とする、
請求項1のヨダレカケであるリバーシブル多機能ヨダレカケ。
【請求項13】
前記第1部材又は前記第2部材の前記一方面の表面に前記孔側が開口する食事用ポケットを形成するように前記第3部材が前記結合部で結合され、
前記第3部材は、前記伸縮性のある素材からなり、当該伸縮性のある素材の他方面が前記第1部材又は前記第2部材の前記一方側に配置されていることを特徴とする、
請求項12に記載のリバーシブル多機能ヨダレカケ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児向け等のヨダレカケに関し、携帯時に衛生的に保たれ、且つ、着脱が容易な構造を有し、食事用エプロンとしても使用可能なヨダレカケに関する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児は、乳歯が生え始める半年頃から、2歳位までの間、常にヨダレが出るため、ヨダレカケを必要とする。ヨダレの量は個人差が大きく、保育施設などで は1日に5~10枚を準備する。通常、ヨダレカケの素材は、肌触り、吸水性(吸ヨダレ性)の良い布製が主流である。しかしながら、布製のヨダレカケは、常に出るヨダレなどで濡れたままになり、汚れたまま不潔になりがちである。
【0003】
時間を経過して回収した使用済のヨダレカケは、雑菌なども繁殖、臭いや汚れが付着し、洗濯の際、部分洗い等の手間がかかる上、汚れそのものが取れにくくなっており、カビは黒く変色してシミになり汚らしくなりやすい。乳幼児は、衣類やタオル等洗濯物が多く、子育や生活に忙しい時期に家族の負担を大きくしている。
【0004】
一方、ヨダレカケの着脱は、乳幼児が嫌がったり、着用後に外そうとすることもあり、着脱が簡単でありながら、乳幼児自身で脱ぐことができないことが好ましい。さらに、乳幼児の外出には、ヨダレカケ、紙オムツ、ぬれティッシュ、着替え、ミルク、離乳食など荷物が多く、長時間の外出や旅行の妨げになることが多い。保育施設、病児保育などでの準備も同様である。
【0005】
このような状況において、着脱自在なヨダレカケが知られている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-266122号公報
【特許文献2】特開2003-155604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の発明においては、着脱に際し紐を結ぶ構造のため、ワンステップで簡単に装着することができない。また、1枚の薄い不織布では吸水性に乏しく、ヨダレを吸収する機能そのものが不足する上、布のような肌触りの良いものではないという問題点があった。
【0008】
特許文献2の発明においては、着脱に際し、紐を結ぶ、テープを貼るなど手間を要する構造であり、ワンステップで簡単に装着することができない。また、1枚の薄い不織布ため着用を嫌う乳幼児が自身でヨダレカケを外す可能性が考えられる。更に、薄い不織布の場合、吸水性に乏しく、ヨダレを吸収する機能そのものが不足する上、布のような肌触りの良いものではないという問題点があった。
【0009】
本発明は上述した事情に鑑み、衛生的に携帯でき、着脱が容易で、ゴミ袋としても使用できるヨダレカケを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者は、上述した問題点に関して鋭意研究開発を続けた結果、以下の様な画期的なヨダレカケを見出した。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の第1の態様は、少なくとも第1部材と第2部材と、第1部材と第2部材を、内側と表側に合わせてそれぞれの周囲を結合する結合部と、第1部材と第2部材のそれぞれに設けられる首周り部と、首周り部を結合しないことで内側が袋状になる袋状部と、を備えることを特徴とする、ヨダレカケにある。
【0012】
かかる第1の態様では、首周り部が結合されていないことで、人の頭を通しやすく着脱が簡単である。また、袋状部により携帯時の小物入れや携帯具を入れることができ、ゴミ袋としても利用できる。さらに、周囲を結合しているため、特に乳幼児に対しては乳幼児自身が容易に脱ぐことができないヨダレカケを提供できる。
【0013】
本発明の第2の態様は、ヨダレカケは、さらに第3部材を備え、第3部材は、結合部により第1部材および第2部材に結合され、結合部と反対側の上側において結合していない開口部を有していることを特徴とする、第1の態様に記載のヨダレカケにある。
【0014】
かかる第2の態様では、3つの部材による結合であり、より強度が増し、携帯中に破れるなどを防止できる。また、装着時において乳幼児が引っ張っても容易に破れることも無い。また、ヨダレが少なくなってきた乳幼児においては涎掛けやエプロンとしても利用できる。さらに、開口部があるため、小物入れとしても使用できる。
【0015】
本発明の第3の態様は、第1部材、第2部材および第3部材は、伸縮性のある素材からそれぞれ形成され、かつ一方の面が吸水性のある吸水面と、一方の面と反対側の面である他方の面が撥水性のある撥水面とをそれぞれ有し、第1部材、第2部材および第3部材の撥水面は表側に配置され、第1部材と第2部材のそれぞれの吸水面が対向して結合部で結合することで袋状部が形成されることを特徴とする、第2の態様に記載のヨダレカケにある。
【0016】
ここで、「吸水性」とは水分(ヨダレ)を吸収する性質をいい、例えば、JIS L 1907の吸水性滴下法において、水滴を吸収する時間が10秒以下のものは吸水性を有するもの(素材)とする。また、「撥水性」とは水分(ヨダレ)をはじく性質をいい、例えば、水との接触角が90度より大きいものは撥水性を有するもの(素材)とする。なお、吸水性を有する素材であっても、多少撥水性を有する場合や、撥水性を有する素材であっても、多少吸水性を有する場合があることは言うまでもない。
【0017】
かかる第3の態様では、伸縮性があることでより脱着がし易くなる。また、撥水面が表側にあることで、携帯時や保管時に表面が濡れることを防止し、衛生的に携帯でき、使用時の快適性を提供している。
【0018】
本発明の第4の態様は、第3部材は、結合部を中心として反転することで食事用ポケットを形成し、食事用ポケットの表側は、吸水面が配置され、食事用ポケットの内側は撥水面が配置されることを特徴とする、第3の態様に記載のヨダレカケにある。
【0019】
かかる第4の態様では、第3部材を反転させることで簡単に食事用のエプロンが提供できる。また、撥水面で食事用ポケット内部が構成されるため、食事用ポケット内にこぼれた水分が外に染み出ることがなく安心して使用できる。さらに、前掛け部分が撥水面であるため、濡れても速乾性があり、快適な食事時間を提供できる。
【0020】
本発明の第5の態様は、食事用ポケットに内側には、結合部と結合部の周りに形成される余白部とが配置されていることを特徴とする、第4の態様に記載のヨダレカケにある。
【0021】
かかる第5の態様では、結合部と余白部により食事用ポケットを膨らませることができ、開口部と隣接する部材とが離間して落ちてきた食物の破片や水滴などを受け入れやすい食事用ポケットを提供できる。
【0022】
本発明の第6の態様は、第1部材の吸水面と第2部材の吸水面で形成される袋状部において、首周り部から吸水面を表側に引き出し、表側と内側を反転させたことを特徴とする、第3の態様に記載のヨダレカケにある。
【0023】
かかる第6の態様では、結合されていない首周り部を利用して容易に反転でき、涎掛け用のエプロンを素早く提供できる。また、使用後は再び反転させることで、ヨダレで汚れた面を内側に入れることで周りを汚すこともなく衛生的に廃棄できるヨダレカケを提供できる。
【0024】
本発明の第7の態様は、反転した状態において、第1部材の撥水面と第2部材の撥水面で形成された袋状部に、結合部と結合部の周りに形成される余白部とが配置されていることを特徴とする、第6の態様に記載のヨダレカケにある。
【0025】
かかる第7の態様では、結合部と余白部により袋状部がより膨らみ、膨らんだ空気層を作ることで、ふっくらとした使用感を与えるヨダレカケを提供できる。特に、第1部材、第2部材および第3部材の3部材の結合部と余白部が袋状部内に配置されることで膨らみが大きくなる。
【0026】
本発明の第8の態様は、首周り部には、第1部材および第2部材の端部に向かって切欠された複数の切欠部が設けられていることを特徴する、第1の態様に記載のヨダレカケにある。
【0027】
かかる第8の態様では、人の頭を通す際、首周り部が広がり容易に脱着が可能である。また、装着時、人の首周りへの負担が軽減される。
【0028】
本発明の第9の態様は、結合部の上部には、結合されていない分離部が設けられていることを特徴とする、第1の態様に記載のヨダレカケにある。
【0029】
かかる第9の態様では、使用後人の手で容易に破ることができ、簡単に外すことができるヨダレカケを提供できる。
【0030】
本発明の第10の態様は、結合部は、縫製により結合されていることを特徴とする、
第1の態様に記載のヨダレカケにある。
【0031】
かかる第10の態様では、容易に外れることなく、しっかりとした結合のある結合部を提供できる。
【0032】
本発明の第11の態様は、伸縮性のある素材は、マイクロフィンドライであることを特徴とする、第3の態様に記載のヨダレカケにある。
【0033】
かかる第11の態様では、肌触りも良く、吸水性および撥水性に優れ、吸水性ではあるが速乾性にも優れたヨダレカケを提供できる。
【0034】
ここで、速乾性とは、水分(ヨダレ)を含んだ生地が速く乾く性質をいい、例えば、蒸散性試験(ボーケン規格BQE A 028)において、蒸散率が30%以上のものは速乾性を有する(速乾性に優れた)もの(素材)とする。
【0035】
本発明の第12の態様は、第1部材および第2部材は、それぞれ撥水性を有する一方面と吸水性を有する他方面とを有する伸縮性のある素材から形成され、第1部材および第2部材には、人に装着される際に、当該人の頭部が通る孔が首周り部に形成され、孔の周辺を除き、一方面同士または他方面同士が対面するように、第1部材および第2部材の周囲を結合させる結合部が設けられ、人に装着された際に、当該人の首から垂れ下がり、胸部に沿って配置される前掛けが形成され、他方面が表面に現れるように配置したした際には、涎掛けとして使用でき、かつ一方面が表面に現れるように配置した際には、食事用エプロンとして使用できる、ことを特徴とする、請求項1のヨダレカケであるリバーシブル多機能ヨダレカケにある。
【0036】
かかる第12の態様では、吸水性と撥水性があり、肌触りが良く、ヨダレカケとして優れている。伸縮性のある素材であるため、人の頭部を通るとき伸びるので着脱が容易である。孔の周辺が結合されていないことで、孔を利用して他方面が表面に容易に現れることで、簡単に涎掛けとして使用可能となる。また、一方面が表面に現れることで食事用エプロンとして簡単にセットでき、多機能であり、一方面と他方面の切替によるリバーシブルに利用でき、リバーシブル多機能ヨダレカケを提供できる。
【0037】
本発明の第13の態様は、第1部材又は第2部材の一方面の表面に孔側が開口する食事用ポケットを形成するように第3部材が結合部で結合され、第3部材は、伸縮性のある素材からなり、当該伸縮性のある素材の他方面が第1部材又は第2部材の一方側に配置されていることを特徴とする、第12の態様に記載のリバーシブル多機能ヨダレカケにある。
【0038】
かかる第13の態様では、第3部材を利用して食事用ポケットを形成でき、更に多機能な優れたリバーシブル多機能ヨダレカケを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明に係るヨダレカケの第1の実施形態の一例を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
図2図1のヨダレカケにおいて涎掛け用として使用する一例を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA-A概略断面図、(c)は(b)のB部拡大図である。
図3図1のヨダレカケにおいて食事用として使用する一例を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA-A概略断面図、(c)は(b)のB部拡大図である。
図4図1のヨダレカケの分解斜視図である。
図5】本発明に係るヨダレカケの第2の実施形態の一例を示す正面図である。
図6図5のヨダレカケにおいて涎掛け用として使用する一例を示す正面図である。
図7図5のヨダレカケにおいて食事用として使用する一例を示す正面図である。
図8】本発明に係るヨダレカケを外す場合の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を用いて、本発明に係るヨダレカケの具体的な実施の形態について詳述する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0041】
先の出願(特願2022-175038)に対して、構成事項を符号と共に明瞭化し、書式に沿って修正を加えたのが本願である。発明の目的、課題を解決する手段欄および図面欄は上記の通り修正されている。また、追加事項は図5から図8である。
【0042】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係るヨダレカケの第1の実施形態の一例を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA-A概略断面図である。図2は、図1のヨダレカケにおいて涎掛け用として使用する一例を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA-A概略断面図、(c)は(b)のB部拡大図である。図3は、図1のヨダレカケにおいて食事用として使用する一例を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA-A断面図、(c)は(b)のB部拡大図である。図4は、図1のヨダレカケの分解斜視図である。なお、図4において点線は結合した状態で現れることを示している。図1図4に基づいて、本発明のヨダレカケの第1の実施形態を詳述する。
【0043】
先の出願の発明を実施するための形態欄において、「本発明のヨダレカケを、伸縮性があり、吸水面と撥水面を有する素材を使用する。この素材をヨダレカケの形に裁断し、吸水面を中表にして2枚合わせに周囲を結合、首周りは結合しない構造とする」と記載した。また、先の出願の請求項1では、「素材2枚を中表に合わせて周囲を結合する一方、着脱のため首周りを結合しない袋状の構造」と記載した。上述の記載に基づき、各構成を符号と共に明確にする。
【0044】
ヨダレカケの符号を1とする。ヨダレカケ1の基本形状(外観形状)に裁断した部材は2枚あるので、「第1部材2」と「第2部材3」とする。さらに、別形状に裁断した部材が1枚あるので、「第3部材4」とする。すなわち、ほぼ同一の外観形状に裁断された第1部材2および第2部材3と、第1部材2および第2部材3の下部と下部近傍の側部とほぼ同一形状であり、上端が平らに裁断された第3部材4とでヨダレカケ1は主に構成されている。
【0045】
本実施形態を説明するに当たり、図面の上をヨダレカケ1の上部、図面の下を下部、図面の左右を側部、周端を端部と定義する(図4参照)。また、第1部材などで使用する「第1」「第2」などの記載は説明をし易くするためであり、「第1」を「第2」、「第2」を「第1」としても良く、特に位置関係などを限定する用語ではない。
【0046】
第1部材2、第2部材3および第3部材4は、それぞれ伸縮性のある素材から形成され、吸水性(ヨダレを吸収する性質)を有する吸水面5と撥水性(ヨダレをはじく性質)を有する撥水面6を有している。一方の面が吸水面5であれば、一方の面の反対側の他方の面が撥水面6である。そして、第1部材2の吸水面5と第2部材3の吸水面5とを対向するように合わせ、第3部材4と共に周囲を結合する。その際、第3部材4の撥水面6は表側に配置され、第2部材3の撥水面6と第3部材4の吸水面5が対向している。なお、「中表」は、中側になる面と表側になる面とを示しているが、本願では、表側と内側という説明をする(図4参照)。表側と内側をきちんと合わせて結合することで一つのヨダレカケ1が完成する。
【0047】
各部材2、3、4が結合している箇所を結合部7とする。首周りは、首周り部8とし、首周り部8は結合していないとする。なお、結合部7は、各図において破線で示されている。
【0048】
首周り部8は、第1部材2および第2部材3の上部側に形成されている。さらに、袋状の構造とあるので、結合部7により結合された第1部材2と第2部材3のそれぞれ対向する内面は袋状となる袋状部9が形成されるとする。この袋状部9は、結合されていない首周り部8から容易に手が入り、小物、携帯具、ゴミなどを入れることが可能である。後述するように、首周り部8から袋状部9の内側を手で掴み、内側と表側を反転させることができる。
【0049】
また、結合部7は、各部材2、3、4の端部よりもやや内側に位置しており、第1部材2、第2部材3、第3部材4のそれぞれには、結合部7と端部との間に余白部7aが形成されているとする。
【0050】
第1部材2および第2部材3の首周り部8は、開口された孔8aをそれぞれ有するとする。また、首周り部8は、端部に向かって延在する複数の切欠部8bが形成されているとする。第1の実施形態では、切欠部8bは4箇所あり、首周り部8が脱着の際広がるため、より脱着がし易くなっている。孔8aは、人の頭部が通るために形成されており、伸縮性のある素材と切欠部8bとの相乗効果により、ヨダレカケ1は脱着がし易くなっており、取り扱いも容易である。
【0051】
さらに、結合部7の上端の中央近傍には部分的に結合されていない分離部10が設けられている(図1図3および図4参照)。分離部10の近傍には切欠き部8bが形成されているので、分離部10近傍の両側を側部側方向に引っ張ることによって、分離部を簡単に左右方向に分離させることができる。その結果、人の体からヨダレカケ1を容易に外すことができる。
【0052】
第1部材2および第2部材3には、首周り部8と人の頭部が通過できる孔8aが形成されており、両部材2、3が結合部7で結合されることで、結合されていない一つの首周り部8と孔8aが形成される。孔8aを利用して人の頭部を通すことで、首周り部8から側部に至る箇所は人の両肩に載置し、首周り部8から下部に至る箇所は人の胸部に沿って配置され前掛けとして機能する。
【0053】
第3部材4は、結合部7で第2部材3の表面の下部および側部の結合部7で、第2部材3と結合されている。そして、第3部材4の結合部7の反対側の上側は結合されていない開放された開口部4aを有する(図4参照)。第1部材2、第2部材3および第3部材4の結合部7は、縫製や接着材などが選択され、安全性、衛生上の点から接合が好適である。
【0054】
上述した構成を本願の図面に符号を付記している。先の出願では乳幼児向けとあるが、被介護人、患者などにも使用できるため、人向けとし、主に乳幼児向けを実施例として説明する。
【0055】
(第2の実施形態)
第1実施形態の第1部材2および第2部材3の外観形状は、四側部は平坦であり、各側部を繋ぐ角は、R形状や楕円的形状などの曲線で形成されている。また、ヨダレカケ1は種々の色から選択でき、吸水面5および撥水面6のデザインも自由に選択できる。
【0056】
図5は、本発明に係るヨダレカケの第2の実施形態の一例を示す正面図である。図6は、図5のヨダレカケにおいて涎掛け用として使用する一例を示す正面図である。図7は、図5のヨダレカケにおいて食事用(食事用エプロン)として使用する一例を示す正面図である。図8は、本発明に係るヨダレカケを外す場合の一例を示す説明図である。図5図8に基づいて、ヨダレカケの第2の実施形態を説明する。
【0057】
第2の実施形態は、第1の実施形態に比較して、外観形状および切欠部の数が異なっているが、その他の構成は同じである。外観形状は、第1の実施形態に比較してより丸みを帯びている。また、切欠部8bの数は増えており、第2の実施形態では8箇所ある。なお、切欠部8bの数および場所は自由に選択できる。第2の実施形態は、第1の実施形態に比較して、より体に馴染みやすい外観形状であり、脱着が楽になっている。なお、図5図1と、図6図2と、図7図3と同等であるため、説明および断面図は省略する。
【0058】
涎掛けとして使用し、ヨダレカケ1を外す時にヨダレカケ1の上部に結合されていない分離部10を手で切ることにより、容易に体からヨダレカケ1の汚れた部分に手を触れることなく衛生的に外すことができる。図8は分離部10を切った状態を示している。
【0059】
以上の修正に基づき本願の請求項1は、「少なくとも第1部材と第2部材と、前記第1部材と前記第2部材を内側と表側に合わせてそれぞれの周囲を結合する結合部と、前記第1部材と前記第2部材のそれぞれに設けられる首周り部と、前記首周り部を結合しないことで前記内側が袋状になる袋状部と、を備えることを特徴としたヨダレカケ」とした。ここで、「内側」とは袋状部の内側を意味し、表側とは袋状部の表側を意味する。
【0060】
また、先の出願の請求項2は、本願では請求項2で第3部材を限定しているため本願の請求項3であり、「前記第1部材、前記第2部材および前記第3部材は、伸縮性のある素材からそれぞれ形成され、かつ一方の面が吸水性のある吸水面と、一方の面と反対側の面である他方の面が撥水性のある撥水面とをそれぞれ有し、前記各部材の前記撥水面は前記表側に配置され、前記第1部材と前記第2部材のそれぞれの前記吸水面が対向して前記結合部で結合することで前記袋状部が形成されることを特徴とするヨダレカケ」とした。なお、先の出願の請求項3および4は、本願の請求項や説明に盛り込まれている。
【0061】
ヨダレカケ1は、複数の機能を有しているが、主な機能として、涎掛けとして使用する機能と、食事用エプロンとして使用する機能がある。この2つの機能に関し、詳述する。混乱を避けるため、発明はヨダレカケであるが機能として使用する場合は漢字の「涎掛け」として説明する。
【0062】
<涎掛けとして使用>
先の出願で図2の説明および発明を実施する形態欄での説明で涎掛けとして使用する内容を記載したが、本願では各構成を含めて以下のように説明する。
【0063】
袋状に作られた袋状部9を有する第1部材2と第2部材3の首周り部8の未結合部分を利用して、内側の清潔で吸水性のある吸水面5を表側に出すことで、涎掛けとして使用可能とした。また、内側の吸水性のある吸水面5を表側に出すと、第3部材4と共に結合部7の余白部7aが内側に織り込まれ、空気層(図2参照)を作ることで、ヨダレカケ1はふっくらとした使用感を与えることができる。
【0064】
涎掛けとしての使用時は、内側を表側に反転させ、吸水面5を表側にして使用する。そのため、口元や頬など肌に触れる部分を使用時まで衛生的に保ち、使用時に初めて外側にして使用することが可能である。首周り部8は第1部材2および第2部材3の2枚を結合していない構造のため、素材の伸縮性が生かされ、乳幼児等の頭からそのまま被せて着用することが可能である。外す際も、同様に頭から容易に外すことができる。また、着脱の際に「紐を結ぶ」「ボタンをかける」「マジックテープ(登録商標)を合わせる」等の動作がなく、ワンステップで着脱が可能で便利である。加えて、首周り部8は、特に乳幼児自身が勝手に外すことができない幅、大人には簡単に手で切って外すこともできる幅に調整した。このような構造により、着脱性に優れたヨダレカケ1を実現させた。また、本構造は、製造工程をも少なくすることにつながり、生産コストダウンに貢献しうる。
【0065】
涎掛けとして使用する際は、首周り部8から内側の吸水面5を手で掴んで表側に引出し、ヨダレカケ1の表側と内側を反転させると、吸水面5が表側になり、撥水面6が内側になる(反転した図:図2参照)。同時に、第3部材4が内側に入り、結合部7および余白部7aも内側に入るため、内側に形成される空気層により袋状部9が図1の状態に比較してより膨らむ(図2参照)。
【0066】
涎掛けとして使用後は、首周り部8から内側の撥水面6を手で掴み、反転させて元の下形態に戻すことができる。そして、ヨダレで汚れた吸水面5を内側に反転し廃棄できる袋状の袋状部9が形成された構造となる。このようにヨダレで汚れた吸水面5が内側に配置されることになるので、周りを汚すことなく廃棄することができ、かつ、ゴミ袋として使用することが可能であり、利便性に優れたヨダレカケ1を提供できる。
【0067】
また、後述するように、ヨダレカケ1の素材として、株式会社ハッソー(東京都品川区西五反田2-19-3)が製造する「マイクロフィンドライ(略称MFD:Micro Fin Dry:登録商標)」を使用した場合には、吸水面5は、コットンのような肌触りと速乾性((株)ハッソーホームページより)を有するものとなる。
【0068】
<食事用エプロンとして使用>
先の出願の図面の簡単な説明欄において、「図1の状態から、食事用ポケットを逆側に返すことで、ポケットを広げて、食べこぼしなどを滞りなく受けるマチを作ることができる。結合の際の余白部が織込まれ、食べこぼしなどを受けるマチを作ることができる」と記載した。上述の記載に基づき、各構成を符号と共に明確にする。
【0069】
図1の状態から、第3部材4の開口部4aを手で掴み、側部の結合部7を中心として第1部材2側に第3部材4を折り返す(図3参照)。第1部材2の撥水面6と第3部材4の撥水面6が対向した食事用ポケット4bが形成され、結合部7および余白部7aが食事用ポケット4bの底部に位置することで食事用ポケット4bが膨らみ、食べこぼしなどを受けることが可能となる。食事用エプロンとして使用する場合は、第3部材4の吸水面5が表側に配置される一方、食事用ポケット4bの内側は撥水面6で囲まれるため、水分等が肌や洋服などに触れることがなく、快適な食事用エプロンを提供できる。
【0070】
ここまで、涎掛けおよび食事用として使用する場合を説明したが、成長して涎が少なくなった乳幼児(1歳位)においては、図1図5)の状態でもエプロンとして使用可能である。
【0071】
ヨダレカケ1の素材には、株式会社ハッソー(東京都品川区西五反田2-19-3)が製造する「マイクロフィンドライ(略称MFD:Micro Fin Dry:登録商標)」を使用した。マイクロフィンドライは、撥水性のある撥水面と、吸水性のある吸水面が表裏の構造であり、かつ伸縮性を併せ持つ素材であり、本実施形態のヨダレカケ1の素材に適している。この素材をヨダレカケ1の形に裁断し、撥水面6を外側に、吸水面5を内側になるように2枚を合わせて周囲を結合部7で結合し、首周り部8を結合しないことで、頭から被って着用できるようにする。涎掛けとしての使用時には内側を表側に返し使用する。吸水面5は、コットンのような肌触りがあり((株)ハッソーホームページより)、加えて速乾性を持つため、ヨダレカケ1の素材として非常に適している。市販品のヨダレカケとの比較評価の結果を下記の表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
表1は、マイクロフィンドライ素材で試作した本発明に係るヨダレカケ(A、B)と、市販の布製ヨダレカケ(C~F)の乾き方を比較した表である。
【0074】
試験は、室内環境で水道水3.0gをヨダレカケに滴下し、蒸散量(g)を計測して、蒸散速度(g/h)を比較した。その結果、マイクロフィンドライ製の試作品は、市販の布製のものに比べて、1.3~2.2倍早く乾くことが確認された。 また、肌触りについても、布製のヨダレカケでは、明らかに濡れている感触が感じられたが、マイクロフィンドライ製では、ヨダレカケの表面が濡れている感触は少ないことが確認できた。
【0075】
(廃棄についての配慮)
袋状の袋状部9が形成されているため、涎掛けとして使用後に再び反転し、汚れた面を内側にして廃棄が可能であり、周りを汚すこともなく衛生的である。また、使用済の紙オムツやお尻ふき等を入れる「ゴミ袋」としても利用でき、特に乳幼児との外出等にも便利である。
【0076】
以上、ヨダレカケ1について説明した。本実施形態のヨダレカケ1は、携帯性が優れており、かつ涎掛け用、食事用、ゴミ袋用などの複数の機能を備え、また、表側および内側を反転させて使用できるので、「リバーシブル多機能ヨダレカケ」と言うことができる。
【0077】
部材同士2、3、4を結合部7で結合して一つのヨダレカケ1を構成し、首周り部8を結合しないことで首周り部8から袋状部9に手を入れることができ、手で内側と表側を反転して涎掛けとして使用し、使用後は再び反転させて周りを汚すことなくヨダレカケ1を廃棄できる。また、第3部材4を反転させることで食事用エプロンとして使用できる。また、袋状部9に小物、携帯具、ゴミなどを入れることもでき、種々の機能を有する優れたヨダレカケ1を提供できる。
【0078】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0079】
1 ヨダレカケ
2 第1部材
3 第2部材
4 第3部材
4a 開口部
4b 食事用ポケット
5 吸水面
6 撥水面
7 結合部
7a 余白部
8 首周り部
8a 孔
8b 切欠部
9 袋状部
10 分離部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8