(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058665
(43)【公開日】2024-04-25
(54)【発明の名称】自動車のバッテリーのDC電圧変換および充電のための電気システムの変圧器
(51)【国際特許分類】
H01F 30/10 20060101AFI20240418BHJP
H02M 3/28 20060101ALI20240418BHJP
H01F 27/24 20060101ALI20240418BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
H01F30/10 A
H02M3/28 Y
H02M3/28 V
H02M3/28 U
H02M3/28 H
H02M3/28 Q
H01F30/10 C
H01F30/10 R
H01F27/24 W
H01F27/28 147
H01F27/28 K
H01F27/28 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023178462
(22)【出願日】2023-10-16
(31)【優先権主張番号】2210624
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】522457531
【氏名又は名称】ヴァレオ、イーオートモーティブ、フランス、エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】Valeo eAutomotive France SAS
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】ウェンデル、ダ-クーニャ-アルベス
(72)【発明者】
【氏名】ケリー、リベイロ、ド、ファリア、サントス
【テーマコード(参考)】
5E043
5H730
【Fターム(参考)】
5E043AB02
5E043AB05
5E043BA01
5H730AA18
5H730AS01
5H730AS05
5H730AS08
5H730AS17
5H730BB13
5H730BB27
5H730BB61
5H730BB83
5H730BB86
5H730CC04
5H730DD04
5H730EE03
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE08
5H730EE13
5H730EE73
5H730FG22
5H730ZZ16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気システムの1つまたは複数の変圧器が電気システムの他の構成要素と協働することを可能にする変圧器設計を提供する。
【解決手段】磁気コア5を備える変圧器であって、磁気コア5は、一次巻線P1、P2、P3、第1の二次巻線S1、S2、S3及び三次巻線T1a-T1b、T2a-T2b、T3a-T3bが各々巻回された複数の肢部を備え、変圧器20は、前記巻線を備え、磁気コア5は、前記肢部の副肢部51a、52a、53a、51b、52b、53bをそれぞれ備える第1のハーフコア5a及び第2のハーフコア5bを備え、エアギャップ61が、第1のハーフコア5aに近接するか又は第2のハーフコア5bに近接してそれぞれ位置する。変圧器の巻線の一部は、リッツ線であり、また、巻線の一部は、フラット導体である。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気コア(5)を備える変圧器(20)であって、前記磁気コア(5)は、一次巻線(P1、P2、P3)、第1の二次巻線(S1、S2、S3)、および三次巻線(T1a-T1b、T2a-T2b、T3a-T3b、またはT1、T2、T3)が各々巻回された複数の肢部(51、52、53)を備え、前記変圧器(20)は、前記巻線を備え、前記磁気コア(5)は、前記肢部(51、52、53)の副肢部(51a、52a、53a、51b、52b、53b)をそれぞれ備える第1のハーフコア(5a)および第2のハーフコア(5b)を備え、前記変圧器(20)は、
エアギャップ(61)が、前記第1のハーフコア(5a)に近接して、または前記第2のハーフコア(5b)に近接してそれぞれ位置し、
前記変圧器(20)の前記巻線の一部は、リッツ線であり、前記巻線の一部は、フラット導体である
ことを特徴とする、変圧器(20)。
【請求項2】
前記一次巻線(P1、P2、P3)および前記第1の二次巻線(S1、S2、S3)は、リッツ線であり、ならびに/または
前記変圧器(20)の前記三次巻線は、フラット導体である、
請求項1に記載の変圧器(20)。
【請求項3】
前記一次巻線(P1、P2、P3)および前記第1の二次巻線(S1、S2、S3)の前記リッツ線は、複数のターンの間の直列接続で作製され、ならびに/または
前記変圧器(20)の前記三次巻線は、並列接続されたターンを備えることによってそれぞれ配置される、
請求項2に記載の変圧器(20)。
【請求項4】
前記エアギャップ(61)はすべて、前記第1のハーフコア(5a)に近接して位置し、または
前記エアギャップ(61)はすべて、前記第2のハーフコア(5b)に近接して位置し、または
前記中央肢部(52)における前記エアギャップ(61)は、前記第1のハーフコア(5a)に近接して位置し、前記中央肢部(52)に隣接する前記肢部(51または53)における前記エアギャップ(61)は、前記第2のハーフコア(5b)に近接して位置し、または
前記中央肢部(52)における前記エアギャップ(61)は、前記第2のハーフコア(5b)に近接して位置し、前記中央肢部(52)に隣接する前記肢部(51または53)における前記エアギャップ(61)は、前記第1のハーフコア(5a)に近接して位置する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の変圧器(20)。
【請求項5】
前記磁気コア(5)の前記肢部の各々について、前記対応する第1の二次巻線は、前記三次巻線の2組のターンの間に挟まれる、請求項1から4のいずれか一項に記載の変圧器(20)。
【請求項6】
前記変圧器(20)の前記三次巻線の各々は、前記三次巻線の1組のターンが前記対応する一次巻線の2組のターンの間に挟まれるように、前記一次巻線のうちの1つとインターリーブされ、および/または
前記三次巻線の各々はまた、前記三次巻線の1組のターンが前記対応する第1の二次巻線の2組のターンの間に挟まれるように、前記第1の二次巻線のうちの1つとそれぞれインターリーブされる、
請求項1から5のいずれか一項に記載の変圧器(20)。
【請求項7】
2つの隣接する肢部の一方にそれぞれ巻回された前記一次巻線は、前記一次巻線の一方が前記第1および前記第2のハーフコアの一方に近接して巻回され、前記他方の一次巻線(P1、P3)が前記第1および前記第2のハーフコアの他方に近接して巻回されるように配置され、ならびに/または
2つの隣接する肢部の一方にそれぞれ巻回された前記第1の二次巻線は、前記第1の二次巻線の一方が前記第1および前記第2のハーフコアの一方に近接して巻回され、前記他方の第1の二次巻線が前記第1および前記第2のハーフコアの他方に近接して巻回されるように配置される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の変圧器(20)。
【請求項8】
前記変圧器(20)の前記三次巻線の各々は、前記三次巻線の少なくとも1組のターンおよび前記対応する第1の二次巻線の1組のターンが前記対応する一次巻線の2組のターンの間に挟まれるように、前記一次巻線のうちの1つとインターリーブされ、ならびに/または
前記三次巻線の各々はまた、前記三次巻線の少なくとも1組のターンおよび前記対応する一次巻線の1組のターンが前記対応する第1の二次巻線の2組のターンの間に挟まれるように、前記第1の二次巻線のうちの1つとインターリーブされる、
請求項1から6のいずれか一項に記載の変圧器(20)。
【請求項9】
前記三次巻線(T1a-T1b、T2a-T2b、T3a-T3b、またはT1、T2、T3)は、2つの補助巻線(T1a、T1b;T2a、T2b;T3a、T3b)でそれぞれ構成されるか、またはそれぞれ単一の巻線(T1、T2、T3)である、請求項1から8のいずれか一項に記載の変圧器(20)。
【請求項10】
前記一次巻線(P1、P2、P3)および前記二次巻線(S1、S2、S3)は、第1の副変圧器を形成するように結合され、前記一次巻線(P1、P2、P3)および前記三次巻線(T1a-T1b、T2a-T2b、T3a-T3b、またはT1、T2、T3)は、第2の副変圧器を形成するように結合され、前記二次巻線(S1、S2、S3)および前記三次巻線(T1a-T1b、T2a-T2b、T3a-T3b、またはT1、T2、T3)は、第3の副変圧器を形成するように結合される、請求項1から9のいずれか一項に記載の変圧器。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の変圧器(20)を備える、電気自動車またはハイブリッド電気自動車用の電気システム(1)。
【請求項12】
力率改善(PFC)コンバータに接続され、前記自動車の第1のバッテリー(34)および第2のバッテリー(44)を充電および放電するように構成される、請求項11に記載の電気システム(1)であって、前記第1のバッテリー(34)は、前記第2のバッテリー(44)よりも高い定格電圧を有し、前記電気システム(1)は、
前記変圧器(20)の一次巻線(P1、P2、P3)を制御する第1の多相Hブリッジ(B1)を備えるLLC一次回路(12)であって、前記LLC一次回路(12)は、前記PFCコンバータに接続されるLLC一次回路(12)と、
前記第1のバッテリー(34)とのエネルギー交換を可能にするように、前記LLC一次回路(12)、前記変圧器(20)の第1の二次巻線(S1、S2、S3)、および前記第1のバッテリー(34)に結合されたHVDC部(30)であって、前記HVDC部(30)は、前記第1の二次巻線(S1、S2、S3)を制御するように構成された第2の多相Hブリッジ(B2)を備えるHVDC部(30)と、
前記第2のバッテリー(44)とのエネルギー交換を可能にするように、前記変圧器(20)の三次巻線および前記第2のバッテリー(44)に結合されたLVDC部(40)であって、前記LVDC部(40)は、前記変圧器(20)の前記三次巻線を制御するように構成された整流器(41)を備えるLVDC部(40)と
を備える、電気システム(1)。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の電気システム(1)を備える、電気自動車またはハイブリッド電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車(EV)またはハイブリッド電気自動車(HEV)に利用される電気システムの分野に関する。
【0002】
本発明は、特に、自動車の2つのバッテリーを充電および放電するように構成された電気システムの変圧器に関し、バッテリーの一方は、他方よりも高い定格電圧を有する。
【背景技術】
【0003】
既知のように、電気自動車またはハイブリッド自動車両は、車載高電圧電気ネットワークを介して高電圧(HV)電源バッテリーによって給電される電気駆動システムと、車載低電圧電気ネットワークを介して低電圧(LV)電源バッテリーによって給電される複数の補助電気機器とを備える。したがって、高電圧バッテリーは、自動車の推進を可能にする電動システムへの電力供給を保証する。低電圧バッテリーは、車載電子制御ユニット(ECU)、窓リフトモータ、マルチメディアシステムなどの補助電気機器に給電する。高電圧バッテリーは、典型的には、100V~900V、好ましくは400V~600Vの電圧を送達し、低電圧バッテリーは、典型的には、約12V、24V、または48Vの電圧を送達する。
【0004】
一般に、電気/ハイブリッド自動車の電気システムは、異なる電源間のインターフェースとして作用し、高電圧および低電圧バッテリーを充電する2つの電力コンバータを備える。2つの電力コンバータは、車載電気充電器(OBC)と、DC-DCコンバータとを備える。OBCは、外部電力網(例えば家庭用ACグリッド)から交流(AC)電圧を収集し、AC電圧を高直流(DC)電圧に変換して高電圧バッテリーを充電するために利用される。一方、補助電源(APM)ともみなされるDC-DCコンバータは、高電圧バッテリーからの高電圧を低電圧に変換し、自動車の低電力アクセサリおよび低電圧バッテリーに供給を行うように構成される。
【0005】
一般に、電気システムのOBCおよびDC-DCコンバータは、2つの完全に独立した装置として自動車に搭載され、各々が個々のケーシングおよび個々の冷却システムを有する。それにもかかわらず、電気システムのコンパクトな設計、例えば自動車に搭載される電気システムの体積および重量の低減、電気システムの構成要素の数の低減に対する要求が高まっている。この目的のために、最近の市場ではいくつかの解決策が提案されている。
【0006】
解決策の1つは、同じケーシング内に独立したOBCおよびDC-DCコンバータを設置することであり、これによりそれらの両方が同じ冷却システムさらには同じ電磁両立性(EMC)フィルタを使用することが可能になる。しかし、そのような電気システムの体積および重量、ならびに構成要素(例えば、半導体、磁気回路、相互接続、およびプリント回路基板(PCB))の数は、依然として低減される必要がある。
【0007】
他の既知の解決策は、電気システムがより少ない構成要素を有することを可能にし得る。しかし、そのような電気システムは、バッテリーに供給される電流中のリップル、電力散逸、電気システムの特定の構成要素間のガルバニック絶縁の欠如、電気システムの構造設計に関するモジュール性の欠如などの重要な欠点を呈する。
【0008】
これに関連して、本発明の主な目的は、上述の欠点の少なくとも一部を克服しながら自動車の高電圧バッテリーおよび低電圧バッテリーを効率的に充電および放電するために、電気システムの1つまたは複数の変圧器が電気システムの他の構成要素と協働することを可能にする変圧器設計を提供することである。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、磁気コアを備える変圧器であって、磁気コアは、一次巻線、第1の二次巻線、および三次巻線が各々巻回された複数の肢部を備え、変圧器は、前記巻線を備え、磁気コアは、肢部の副肢部(sub-limb)をそれぞれ備える第1のハーフコアおよび第2のハーフコアを備え、変圧器は、
【0010】
エアギャップが、第1のハーフコアに近接して、または第2のハーフコアに近接してそれぞれ位置し、
【0011】
変圧器の巻線の一部は、リッツ線であり、巻線の一部は、フラット導体である
ことを特徴とする、変圧器に関する。
【0012】
一次巻線および二次巻線は、第1の副変圧器を形成するように結合されてもよく、一次巻線および三次巻線は、第2の副変圧器を形成するように結合されてもよく、二次巻線および三次巻線は、第3の副変圧器を形成するように結合されてもよい。
【0013】
一実施形態によれば、一次巻線および第1の二次巻線は、リッツ線であり、ならびに/または変圧器の三次巻線は、フラット導体である。
【0014】
一実施形態によれば、一次巻線および第1の二次巻線のリッツ線は、複数のターンの間の直列接続で作製され、ならびに/または変圧器の三次巻線は、並列接続されたターンを備えることによってそれぞれ配置される。
【0015】
一実施形態によれば、エアギャップはすべて、第1のハーフコアに近接して位置し、またはエアギャップはすべて、第2のハーフコアに近接して位置し、または中央肢部におけるエアギャップは、第1のハーフコアに近接して位置し、中央肢部に隣接する肢部におけるエアギャップは、第2のハーフコアに近接して位置し、または中央肢部におけるエアギャップは、第2のハーフコアに近接して位置し、中央肢部に隣接する肢部におけるエアギャップは、第1のハーフコアに近接して位置する。
【0016】
一実施形態によれば、磁気コアの肢部の各々について、対応する第1の二次巻線は、三次巻線の2組のターンの間に挟まれる。
【0017】
一実施形態によれば、変圧器の三次巻線の各々は、三次巻線の1組のターンが対応する一次巻線の2組のターンの間に挟まれるように、一次巻線のうちの1つとインターリーブされ、および/または三次巻線の各々はまた、三次巻線の1組のターンが対応する第1の二次巻線の2組のターンの間に挟まれるように、第1の二次巻線のうちの1つとそれぞれインターリーブされる。
【0018】
一実施形態によれば、2つの隣接する肢部の一方にそれぞれ巻回された一次巻線は、一次巻線の一方が第1および第2のハーフコアの一方に近接して巻回され、他方の一次巻線が第1および第2のハーフコアの他方に近接して巻回されるように配置され、ならびに/または2つの隣接する肢部の一方にそれぞれ巻回された第1の二次巻線は、第1の二次巻線の一方が第1および第2のハーフコアの一方に近接して巻回され、他方の第1の二次巻線が第1および第2のハーフコアの他方に近接して巻回されるように配置される。
【0019】
一実施形態によれば、変圧器の三次巻線の各々は、三次巻線の少なくとも1組のターンおよび対応する第1の二次巻線の1組のターンが対応する一次巻線の2組のターンの間に挟まれるように、一次巻線のうちの1つとインターリーブされ、ならびに/または三次巻線の各々はまた、三次巻線の少なくとも1組のターンおよび対応する一次巻線の1組のターンが対応する第1の二次巻線の2組のターンの間に挟まれるように、第1の二次巻線のうちの1つとインターリーブされる。
【0020】
一実施形態によれば、三次巻線は、2つの補助巻線でそれぞれ構成されるか、またはそれぞれ単一の巻線である。
【0021】
加えて、本発明は、前述のいずれかに記載の変圧器を備える、電気自動車またはハイブリッド電気自動車用の電気システムに関する。
【0022】
一実施形態によれば、電気システムは、力率改善(PFC)コンバータに接続され、自動車の第1のバッテリーおよび第2のバッテリーを充電および放電するように構成され、第1のバッテリーは、第2のバッテリーよりも高い定格電圧を有し、電気システムは、
【0023】
変圧器の一次巻線を制御する第1の多相Hブリッジを備えるLLC一次回路であって、LLC一次回路は、PFCコンバータに接続されるLLC一次回路と、
【0024】
第1のバッテリーとのエネルギー交換を可能にするように、LLC一次回路、変圧器の第1の二次巻線、および第1のバッテリーに結合されたHVDC部であって、HVDC部は、第1の二次巻線を制御するように構成された第2の多相Hブリッジを備えるHVDC部と、
【0025】
第2のバッテリーとのエネルギー交換を可能にするように、変圧器の三次巻線および第2のバッテリーに結合されたLVDC部であって、LVDC部は、変圧器の三次巻線を制御するように構成された整流器を備えるLVDC部と
を備える。
【0026】
本発明はまた、上記で簡単に説明した電気システムを備える、電気自動車またはハイブリッド電気自動車に関する。
【0027】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴、態様、および利点は、添付の図面と併せて、本発明の好ましい実施形態を開示する以下の詳細な説明から当業者には明らかになるであろう。
【0028】
本発明は、以下の説明を読み、非限定的な例として与えられた添付の図面を参照することによって、よりよく理解されるであろう。添付の図面では、同一の参照符号が同様の対象物に与えられている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態による、AC/DC電圧変換およびバッテリーの充電のための電気システムを示す図である。
【
図2】
図1に示される電気システムの変圧器が共振インダクタおよび磁化インダクタを備えることを示す図である。
【
図3】
図1に示される電気システムの変圧器が共振インダクタも磁化インダクタも備えないことを示す図である。
【
図4】
図1に図示される実施形態とは異なる本発明の一実施形態による電気システムを示す図である。
【
図5】
図4に示される電気システムの変圧器が共振インダクタおよび磁化インダクタを備えることを示す図である。
【
図6】
図4に示される電気システムの変圧器が共振インダクタも磁化インダクタも備えないことを示す図である。
【
図7】本発明による電気システムの第1の動作モードを示す図である。
【
図8】本発明による電気システムの第2の動作モードを示す図である。
【
図9】本発明による電気システムの第3の動作モードを示す図である。
【
図10】本発明による電気システムの第4の動作モードを示す図である。
【
図11】本発明による電気システムの第5の動作モードを示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態による変圧器の磁気コアを示す図である。
【
図13】本発明による、磁気コア上に変圧器の巻線を配線するための第1の配線オプションを示す図であり、磁気コアの肢部は、エアギャップを備える。
【
図14】本発明による、磁気コア上に変圧器の巻線を配線するための第2の配線オプションを示す図であり、肢部のエアギャップは、
図13とは異なる位置を有する。
【
図15】本発明による、磁気コア上に変圧器の巻線を配線するための第3の配線オプションを示す図である。
【
図16】本発明による、磁気コア上に変圧器の巻線を配線するための第4の配線オプションを示す図である。
【
図17】本発明による、磁気コア上に変圧器の巻線を配線するための第5の配線オプションを示す図である。
【
図18】三角変圧器を形成する本発明の別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明のいくつかの実施形態を、図面を参照して以下に詳述する。本開示から当業者には明らかなように、本発明のこれらの実施形態の以下の説明は例示のみを目的として提供され、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって定義される本発明を限定する目的では提供されない。
【0031】
本発明は、電気自動車またはハイブリッド電気自動車の電気システム1に関する。電気システム1は、自動車の2つのバッテリー34、44を充電および放電するように構成される。
図1は、本発明の一実施形態による電気システム1を示している。
【0032】
電気システム1は、力率改善(PFC)部10と、変圧器20と、高電圧直流(HVDC)部30と、低電圧直流(LVDC)部40とを備える。電気システム1は、例えば220Vの電圧を送達するPFCに接続され、PFCによって給電される。PFCは、AC/DCコンバータである。電気システム1は、
図7~
図11および関連する段落にそれぞれ示されている5つの動作モードを有する。
【0033】
変圧器20は、多相変圧器である。本文中の「多相」という用語は、相の数「n」を意味し、nは、3の倍数または2の倍数である。例えば、図に示される実施形態では、nは、3に等しい(すなわち「三相」)。変圧器20は、磁気コア5と、磁気コア5に巻回された巻線とを備える。より正確には、変圧器20の巻線は、一次巻線P1~P3と、第1の二次巻線S1~S3と、三次巻線T1a-T1b、T2a-T2b、T3a-T3bとを備える。三次巻線の各々は、好ましくは2つの補助巻線で構成され、一次巻線のうちの1つおよび第1の二次巻線のうちの1つに対応する。例えば、
図1に示される実施形態では、補助巻線T1a、T1bは、一次巻線P1および第1の二次巻線S1に対応する三次巻線T1a-T1bを形成する。あるいは、
図4に示されるように、三次巻線は、それぞれ単一の巻線T1、T2、T3とすることができ、(整流器41の)3つのハーフブリッジに接続され、これについては後の説明で詳細に説明される。
【0034】
さらに、三次巻線の各々は、特に、その対応する一次巻線とその対応する第1の二次巻線を結合する磁気コア5の肢部の1つの周りを回る三次巻線を得ることによって、その対応する一次巻線およびその対応する第1の二次巻線と容易に一体化することができる。例えば、
図1(または
図4)に示される実施形態では、三次巻線T1a-T1b(またはT1)は、磁気コアの第1の肢部上の一次巻線P1および第1の二次巻線S1と一体化することができる。同様に、三次巻線T2a-T2b(またはT2)は、磁気コアの第2の肢部上の一次巻線P2および第1の二次巻線S2と一体化することができ、三次巻線T3a-T3b(またはT3)は、磁気コアの第3の肢部上の一次巻線P3および第1の二次巻線S3と一体化することができる。変圧器20の巻線の配線は、
図12~
図17および関連する段落で説明される。
【0035】
PFC部10は、DC-Linkコンデンサ11にそれぞれ接続された2つの出力端子Gと、DC-Linkコンデンサ11に接続されたLLC一次回路12とを備える。PFCは、AC-DCコンバータである。DC-Linkコンデンサ11は、出力端子Gと第1の多相HブリッジB1との間に接続される。LLC一次回路12は、変圧器20の一次巻線P1~P3を制御するように構成された第1の多相HブリッジB1を備える。第1の多相HブリッジB1は、好ましくは金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である複数の被制御スイッチLLC_S1~LLC_S6を備える。より正確には、第1の多相HブリッジB1は、
図1に示されるように、1対のスイッチでそれぞれ構成される3つのアームLLC_S1-LLC_S2、LLC_S3-LLC_S4、LLC_S5-LLC_S6を備える。
【0036】
電気システム1は、第1の多相HブリッジB1に結合された第1の共振回路を備える。第1の共振回路は、多相共振回路であり、共振コンデンサCr1~Cr3と、第1の共振インダクタLlkp1~Llkp3と、第1の磁化インダクタLm1~Lm3とを備える。一実施形態によれば、LLC一次回路12は、共振コンデンサCr1~Cr3と、第1の共振インダクタLlkp1~Llkp3とを備える。
【0037】
共振コンデンサCr1~Cr3は、第1の共振インダクタLlkp1~Llkp3と第1の多相HブリッジB1のアームのうちの1つとの間にそれぞれ接続される。第1の共振インダクタLlkp1~Llkp3は、変圧器20の一次巻線P1~P3のうちの1つにそれぞれ結合される。共振コンデンサCr1~Cr3および第1の共振インダクタLlkp1~Llkp3は、一次巻線P1~P3と直列である。一次巻線P1~P3のうちの1つにそれぞれ対応する第1の磁化インダクタLm1~Lm3は、それぞれ一次巻線P1~P3とは別個の構成要素であるか、あるいは、それぞれ一次巻線P1~P3のうちの1つの固有インダクタンスである。
【0038】
図2および
図5に示されるように、第1の共振インダクタLlkp1~Llkp3および第1の磁化インダクタLm1~Lm3は、変圧器20に一体化される。あるいは、
図3および
図6に示されるように、変圧器20は、第1の共振インダクタLlkp1~Llkp3も第1の磁化インダクタLm1~Lm3も備えない。
【0039】
HVDC部30は、第1のバッテリー34とのエネルギー交換を可能にするように、LLC一次回路12、第1の二次巻線S1~S3、および第1のバッテリー34に結合される。第1のバッテリー34は、高電圧(HV)バッテリーであり、「高電圧」は、60V、さらには80Vもしくは100Vよりも大きい、特に100V~900Vの電圧を意味する。第1のバッテリー34は、例えば400V程度の高電圧で給電される。HVDC部30は、LLC二次回路31を備える。LLC二次回路31は、二次コンデンサCs1~Cs3と、第2の多相HブリッジB2とを備える。二次コンデンサCs1~Cs3は、第1の二次巻線S1~S3と第2の多相HブリッジB2との間に接続される。
【0040】
LLC二次回路31は、第2の多相HブリッジB2によって制御される。第2の多相HブリッジB2は、好ましくはMOSFETトランジスタである複数の被制御スイッチREC_S1~REC_S6を備える。より正確には、第2の多相HブリッジB2は、
図1および
図4に示されるように、1対のスイッチでそれぞれ構成された複数のアームREC_S1~REC_S2、REC_S3~REC_S4、およびREC_S5~REC_S6を備える。二次コンデンサCs1~Cs3は、第1の二次巻線S1~S3のうちの1つ、および第2の多相HブリッジB2のアームのうちの1つとそれぞれ直列である。
【0041】
好ましい実施形態によれば、共振コンデンサCr1、Cr2、またはCr3の容量値と比較して、二次コンデンサCs1~Cs3は、各々が高い容量値、特に例えば少なくとも10倍大きい容量値を備える。二次コンデンサCs1~Cs3の容量値は、例えば、それぞれ3μF~100μFである。これにより、電気システム1のスイッチング周波数において無視できるインピーダンスを有することが可能になる。二次コンデンサCs1~Cs3の機能は、逆の動作、すなわち後述する第3および第4の動作モードにおいて変圧器の飽和を回避することである。
【0042】
加えて、電気システム1は、二次コンデンサCs1~Cs3と、第2の共振インダクタLlks1~Llks3と、好ましくは第2の磁化インダクタ(図示せず)とを備える第2の共振回路を備えることができる。第2の共振回路は、多相共振回路である。第2の共振インダクタLlks1~Llks3は、変圧器20の第1の二次巻線S1~S3のうちの1つとそれぞれ直列である。第2の磁化インダクタは、第1の二次巻線S1~S3のうちの1つにそれぞれ対応し、特に、第1の二次巻線S1~S3のうちの1つの固有インダクタンスにそれぞれ対応する。この第2の共振回路は、PFCコンバータを充電するために、すなわち後述する第3の動作モードで第1のバッテリー34を放電するために利用される。
【0043】
一実施形態によれば、第2の共振インダクタLlks1~Llks3(および場合によっては第2の磁化インダクタ)は、
図2および
図5に示されるように、変圧器20に一体化される。あるいは、変圧器20は、
図3および
図6に示されるように、第2の共振インダクタLlks1~Llks3も第2の磁化インダクタも備えない。
【0044】
別の実施形態によれば、変圧器20は、第1の共振インダクタLlkp1~Llkp3も第2の共振インダクタLlks1~Llks3も備えず、第1の磁化インダクタLm1~Lm3を備える。
【0045】
回路が第2の共振インダクタLlks1~Llks3を備える実施形態によれば、共振コンデンサCr1、Cr2、またはCr3の容量値と比較して、二次コンデンサCs1~Cs3は各々、同じ大きさの値を備える。
【0046】
好ましくは、HVDC部30は、逆スイッチ32と、出力EMCフィルタ33とをさらに備える。逆スイッチ32は、LLC二次回路31と出力EMCフィルタ33との間に接続され、OBCが誤動作した場合にHVDCバッテリーを保護するように構成される。EMCフィルタ33は、出力EMCフィルタ33と第1のバッテリー34との間に接続される。
【0047】
LVDC部40に関して、LVDC部40は、第2のバッテリー44とのエネルギー交換を可能にするように、変圧器20の三次巻線および第2のバッテリー44に結合される。第2のバッテリー44は、低電圧(LV)バッテリーであり、「低電圧」は、60V以下、さらには48V、24V、または12V以下、特に8V~15.5Vの電圧を意味する。LVDC部40は、整流器41と、バックコンバータ42とを備える。LVDC部40は、好ましくはセンタータップ整流器である整流器41に接続される。
【0048】
整流器41は、変圧器20の三次巻線とバックコンバータ42との間に接続され、好ましくはMOSFETトランジスタである複数のスイッチSR_S1~SR_S6を備える。変圧器20のLV側における整流器41は、フルブリッジ整流器であってもよく、あるいは、半波整流器であってもよい。
図1に示される実施形態によれば、スイッチSR_S1~SR_S6は、三次巻線T1a-T1b、T2a-T2b、T3a-T3bのうちの1つにそれぞれ対応する複数の組のスイッチを形成する。組のスイッチの各々は、2つのスイッチを備え、2つのスイッチの一方は、対応する三次巻線の第1の端子と整流器41のノードとの間に接続され、前記2つのスイッチの他方は、三次巻線の第2の端子と整流器41のノードとの間に接続される。例えば、整流器41の第1の組のスイッチは、スイッチSR_S1およびSR_S2で構成され、三次巻線T1a-T1bに対応する。スイッチSR_S1は、三次巻線T1a-T1bの第1の端子と整流器41のノードとの間に接続される。第2のスイッチSR_S2は、三次巻線T1a-T1bの第2の端子と前記整流器41のノードとの間に接続される。同様に、整流器41の第2の組のスイッチは、スイッチSR_S3およびSR_S4で構成され、三次巻線T2a-T2bに対応する。スイッチSR_S3は、三次巻線T2a-T2bの第1の端子と整流器41のノードとの間に接続される。スイッチSR_S4は、三次巻線T2a-T2bの第2の端子と前記整流器41のノードとの間に接続される。整流器41の第3の組のスイッチは、スイッチSR_S5およびSR_S6で構成され、三次巻線T3a-T3bに対応する。スイッチSR_S5は、三次巻線T3a-T3bの第1の端子と整流器41のノードとの間に接続される。スイッチSR_S6は、三次巻線T3a-T3bの第2の端子と前記整流器41のノードとの間に接続される。三次巻線T1a-T1b、T2a-T2b、T3a-T3bの各々は、中点を有し、すべての中点は、整流器41の第2の出力端子に接続される。整流器41の第1の出力端子は、整流器41の前記ノードに接続される。
【0049】
整流器41のスイッチSR_S1~SR_S6がそれぞれダイオードである一実施形態では、ダイオードのカソードは、整流器41のノードに接続される。これらのダイオードは、例えば、それ自体既知のいわゆる「超高速」ダイオードである。しかし、スイッチSR_S1~SR_S6がMOSFETである実施形態と比較して、スイッチSR_S1~SR_S6がダイオードである実施形態は、電気システム1の効率、特に第2のバッテリー44を充電するための電圧変換効率を低下させる。加えて、一実施形態によれば、整流器41のスイッチSR_S1~SR_S6は、同期整流を実施することができる。特に、スイッチSR_S1~SR_S6を自己制御することができるため、導通損失を低減することができる。
【0050】
あるいは、
図4に示される実施形態によれば、三次巻線T1、T2、T3は、整流器41の3つのハーフブリッジに接続される。スイッチSR_S1~SR_S6は、三次巻線T1、T2、T3のうちの1つにそれぞれ接続された複数の組のスイッチを形成する。三次巻線T1は、スイッチSR_S1およびSR_S2で構成された第1の組のスイッチに接続される。同様に、三次巻線T2およびT3は、スイッチSR_S3、SR_S4で構成された第2の組のスイッチおよびスイッチSR_S5、SR_S6で構成された第3の組のスイッチにそれぞれ接続される。
【0051】
変圧器20および整流器41は、最終的に第2のバッテリー44を充電するためにバックコンバータ42に供給を行うことが可能である。バックコンバータ42は、その入力からその出力まで電圧を降圧するように構成されたDC-DCコンバータである。バックコンバータ42は、第2のバッテリー44に供給される8V~15.5Vの出力電圧(例えば12Vの出力電圧)を生成する。バックコンバータ42は、好ましくは多相インターリーブ型バックコンバータ(例えば三相インターリーブ型バックコンバータ)であり、複数のスイッチBUCK_S1~BUCK_S6と、インダクタLb1~Lb3とを備える。スイッチBUCK_S1~BUCK_S6は、好ましくはMOSFETトランジスタであり、
図1に示されるように、インダクタLb1、Lb2、Lb3のうちの1つとそれぞれ直列の複数の対のスイッチを形成する。インダクタLb1~Lb3は、スイッチBUCK_S1~BUCK_S6とバックコンバータ42の出力との間に接続される。好ましくは、バックコンバータ42は、バックコンバータ42の入力における、またはバックコンバータ42の入力に接続されたコンデンサCbをさらに備える。
【0052】
好ましくは、LVDC部40のスイッチは、40Vおよび60VのパワーMOSFETである。一実施形態によれば、LVDC部40は、出力フィルタ43をさらに備える。出力フィルタ43は、バックコンバータ42と第2のバッテリー44との間に接続される。加えて、LVDC部40は、電流中のリップルを低減し、前記電流の連続成分のみを維持するために、第2のバッテリー44に供給される電流をフィルタリングするように構成された少なくとも1つの二次インダクタを備えてもよい。一実施形態によれば、二次インダクタは、バックコンバータ42からの、第2のバッテリー44に供給される電流をフィルタリングするために出力フィルタ43内にある。
【0053】
一次巻線P1と第1の二次巻線S1との間の変圧比、および一次巻線P2と第1の二次巻線S2との間の変圧比、および一次巻線P3と第1の二次巻線S3との間の変圧比は、それぞれ1程度であり、PFC(DCリンクコンデンサで調節されたDC電圧に既に変換されている公共電源網など)から100Vを超える電圧、特に400V程度の電圧を第1のバッテリー34に提供する。それにもかかわらず、一次巻線P1または第1の二次巻線S1と三次巻線T1a-T1b(またはT1)との間の変圧比、および一次巻線P2または第1の二次巻線S2と三次巻線T2a-T2b(またはT2)との間の変圧比、および一次巻線P3または第1の二次巻線S3と三次巻線T3a-T3b(またはT3)との間の変圧比は、LVDC部40において100V未満、特に24V~48V、さらには12Vの電圧を得るように決定される。
【0054】
本発明による電気システム1は、
図7~
図11に示される以下の5つの動作モードのうちの少なくとも1つを実施するように構成される。
【0055】
したがって、電気システム1は、PFCと第1のバッテリー34との間の電気充電器として、および第1のバッテリー34と第2のバッテリー44との間のDC-DCコンバータとして作用することが可能であり、第1のバッテリー34は、第2のバッテリー44よりも高い定格電圧を有するように構成される。
【0056】
図7は、電気システム1の第1の動作モードを示しており、電気システム1は、PFCから第1のバッテリー34を充電するように構成された車載充電器(OBC)としてのみ利用される。電流は、
図7の方向D1に流れる。
【0057】
LLC一次回路12およびHVDC部30は、第1および第2の多相HブリッジB1、B2によってそれぞれ制御される。さらに、第1および第2の多相HブリッジB1、B2は、一次巻線P1~P3をその対応する第1の二次巻線S1~S3とそれぞれ結合することによって形成された第1の変圧器ユニットを制御するように構成される。共振コンデンサCr1~Cr3、第1の共振インダクタLlkp1~Llkp3、および第1の磁化インダクタLm1~Lm3は、第1の共振回路を形成する。
【0058】
第1の多相HブリッジB1のスイッチLLC_S1~LLC_S6は、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)動作で制御される。一方、第2の多相HブリッジB2のスイッチREC_S1~REC_S6は、ゼロ電流スイッチング(ZCS)動作で制御される。バックコンバータ42のスイッチBUCK_S1~BUCK_S6は、開放されている。言い換えれば、バックコンバータ42は停止される。
【0059】
したがって、LLC一次スイッチング周波数は、第1のバッテリー34を充電するための電圧を調節するように修正される。電圧がLVDC部40の整流器41の出力に生成されるが、バックコンバータ42が停止しているため、第2のバッテリー44への電流はまだない。
【0060】
図8は、電気システム1の第2の動作モードを示しており、電気システム1は、第1のバッテリー34を充電するためのOBCとして利用されると同時に、第2のバッテリー44を充電するためのDC-DCコンバータとして利用される。第1および第2のバッテリー34、44は、両方ともPFCから充電される。電流は、
図8の2つの方向D2aおよびD2bにそれぞれ流れる。
【0061】
変圧器20の三次巻線および一次巻線P1~P3は、第2のバッテリー44に供給を行うための第2の変圧器ユニットを形成する。一次巻線S1~S3の各々とその対応する三次巻線との間の変圧比は、HVDC部30と比較して、LVDC部40内の電圧が低減されるように選択される。さらに、上述したように、LVDC部40の少なくとも1つの二次インダクタは、第2のバッテリー44に供給される電流をフィルタリングして電流中のリップルを低減する。
【0062】
第1および第2の多相HブリッジB1、B2は、第1のバッテリー34を充電するための第1の動作モードと同様に制御され、これにより電気システム1は、第1のバッテリー34を充電する主電源としての役割を果たすOBCとして機能することが可能である。一方、整流器41は、LVDC部40が第2のバッテリー44を充電する補助電力として機能するように、第1の動作モードとは異なる方法で制御される。このために、整流器41のスイッチSR_S1~SR_S6は、同期整流を実施するように制御される。バックコンバータ42は、整流器41の出力に接続され、電圧レベルを第2のバッテリー44を充電するための所望の電圧レベルに低下させる。
【0063】
第1の多相HブリッジB1のスイッチLLC_S1~LLC_S6は、ZVS動作で制御される。一方、第2の多相HブリッジB2のスイッチREC_S1~REC_S6は、ZCS動作で制御される。整流器41のスイッチSR_S1~SR_S6は、上述したように同期整流を実施し、必要に応じて、バックコンバータ42のスイッチBUCK_S1~BUCK_S6をオンまたはオフにそれぞれ強制的に切り替えるハードスイッチングが実施される。
【0064】
したがって、LLC一次スイッチング周波数は、第1のバッテリー34を充電するための電圧を調節するように修正される。16V~28Vの電圧がLVDC部40の整流器41の出力に生成され、次いでバックコンバータ42が作動されてLVDC電圧を8V~15.5Vに調節する。AC側の電流制限により、総電力は7kWに制限され、したがって総電力は第1のバッテリー34と第2のバッテリー44との間で共有される。
【0065】
図9は、電気システム1の第3の動作モードを示している。LLC一次回路12およびLLC二次回路31は対称に設計されているため、第3の動作モードは第2の動作モードと部分的に同様である。
【0066】
第3の動作モードでは、電気システム1は、第1のバッテリー34を放電してPFCおよび第2のバッテリー44を同時に充電するために利用される。言い換えれば、第1のバッテリー34からの電力は、PFCと第2のバッテリー44との間で共有される。電流は、
図9の2つの方向D3aおよびD3bにそれぞれ流れる。
【0067】
第1の多相HブリッジB1のスイッチLLC_S1~LLC_S6は、ZCS動作で制御される。一方、第2の多相HブリッジB2のスイッチREC_S1~REC_S6は、ZVS動作で制御される。バックコンバータ42のスイッチBUCK_S1~BUCK_S6は、開放されている。言い換えれば、バックコンバータ42は停止される。整流器41は、LVDC部40を補助電源として機能させ、第2のバッテリー44を充電することが可能である。このために、整流器41のスイッチSR_S1~SR_S6は、同期整流を実施するように制御される。必要に応じて、バックコンバータ42のスイッチBUCK_S1~BUCK_S6をオンまたはオフにそれぞれ強制的に切り替えるハードスイッチングが実施される。
【0068】
第2の動作モードと同様に、第3の動作モードにおけるLVDC部40は、好ましくは、電流中のリップルを低減し、前記電流の連続成分のみを維持するために、第2のバッテリー44に供給される電流をフィルタリングするように構成された少なくとも1つの二次インダクタを備える。
【0069】
したがって、LLC一次スイッチング周波数は、PFC部10における電圧を調節するように修正される。16V~28Vの電圧がLVDC部40の整流器41の出力に生成され、次いでバックコンバータ42が作動されてLVDC電圧を8V~15.5Vに調節する。
【0070】
図10は、電気システム1の第4の動作モードを示しており、電気システム1は、第1のバッテリー34を放電して第2のバッテリー44を自律的に充電するように構成されたDC-DCコンバータとしてのみ利用される。この機能は、補助電源(APM)としても知られている。電流は、
図10の方向D4に流れる。
【0071】
PFCには、電流が存在しない。
【0072】
第1の多相HブリッジB1は、停止される。第2の多相HブリッジB2は、第2のバッテリー44を充電するのに適切な電圧をLVDC部40に供給するように、デューティサイクル、例えば50%で制御される。第1の二次巻線S1~S3および変圧器20の三次巻線は、第3の変圧器ユニットを形成する。特に、バックコンバータ42は、整流器41の出力で得られ、変圧器20の三次巻線と第1の二次巻線S1~S3との間の変圧比に依存する電圧を、第2のバッテリー44に供給される所望の電圧に変換するために利用される。
【0073】
さらに、LVDC部40は、好ましくは、電流中のリップルを低減し、前記電流の連続成分のみを維持するために、第2のバッテリー44に供給される電流をフィルタリングするように構成された少なくとも1つの二次インダクタを備える。
【0074】
第1の多相HブリッジB1のスイッチLLC_S1~LLC_S6は、アクティブではない。一方、第2の多相HブリッジB2のスイッチREC_S1~REC_S6をオンまたはオフにそれぞれ強制的に切り替えるハードスイッチングが実施される。整流器41のスイッチSR_S1~SR_S6は、同期整流を実施するように制御され、必要に応じて、バックコンバータ42のスイッチBUCK_S1~BUCK_S6をオンまたはオフにそれぞれ強制的に切り替えるハードスイッチングが実施される。
【0075】
LLC二次スイッチング周波数は、LVDC部40における電圧を調節するように修正され、次いでバックコンバータ42が作動されてLVDC電圧を8V~15.5Vに調節する。
【0076】
図11は、電気システム1の第5の動作モードを示しており、電気システム1は、第2のバッテリー44を放電して第1のバッテリー34を自律的に充電するように構成された逆DC-DCコンバータとして利用される。電流は、
図11の方向D5に流れる。
【0077】
電解コンデンサ内の電流振動を回避し、かつ寿命低下を防止するために、PFC部10のDC-Linkコンデンサ11を切断しなければならない。バックコンバータ42はインターリーブ昇圧となり、電力を変圧器20のLV側に供給する。次いで、前記電力はLLC二次回路31に伝達され、これによりHVDC部30のHVコンデンサを充電または予備充電し、次いで第1のバッテリー34を充電することが可能になる。LV電流を制限するためには、LV側でソフトスタートが必要である。
【0078】
加えて、上述のものとは異なる実施形態によれば、バックコンバータ42のインダクタLb1~Lb3は互いに結合されてもよく、あるいは互いに結合されなくてもよい。さらに、前述の実施形態では、バックコンバータ42は変圧器のLV側における三相インターリーブ型バックコンバータであるが、バックコンバータ42は、3相とは異なる数の相を有することができ、かつ/または電気システム1のHVDC部30に移動することができる。
【0079】
本発明はまた、上述したように、変圧器20、および磁気コア5に巻回された変圧器20の巻線の配線に関する。
図12は、本発明の一実施形態による磁気コア5を示している。磁気コア5は、複数の肢部を備える。図に示される実施形態によれば、磁気コア5は、3つの肢部51、52、53を有する。別の実施形態(図示せず)では、磁気コア5は、3つとは異なる数の肢部を有することができる。
【0080】
磁気コア5は、第1のハーフコア5aと第2のハーフコア5bを組み合わせることによって形成されることが好ましい。第1のハーフコア5aおよび第2のハーフコア5bは、好ましくは両方とも形態Eである。第1のハーフコア5aは、第1の副肢部51a、52a、53aを備える。第2のハーフコア5bは、第2の副肢部51b、52b、53bを備える。有利には、肢部51、52、53の各々は、第1の副肢部(51a、52a、または53a)のうちの1つおよび第2の副肢部(51b、52b、または53b)のうちの1つで構成される。肢部51~53の各々は、
図12に示すように、その第1の副肢部と対応する第2の副肢部との間に位置するエアギャップ61を備える。エアギャップ61は、ヒステリシス曲線を平坦化し、磁気コア5の透磁率を低減することによってエネルギー管理を改善することができると共に、磁化インダクタの値を調整することが可能である。
【0081】
一例として1つのエアギャップ61を考えると、エアギャップ61は磁気コア5の肢部の中央に位置することができ、第1の副肢部の長さは、対応する第2の副肢部の長さに等しい。代替的かつ好ましくは、エアギャップ61は、第1のハーフコア5aに近接して、または第2のハーフコア5bに近接して位置し、変圧器20の巻線の配線を容易にする。エアギャップ61が第1のハーフコア5aに近接して、さらには第1の副肢部の底部に非常に近接して位置する場合、第1の副肢部は、対応する第2の副肢部の長さよりも短い(またははるかに短い)長さを呈する。あるいは、エアギャップ61が第2のハーフコア5bに近接して、さらには第2の副肢部の底部に非常に近接して位置する場合、第1の副肢部は、対応する第2の副肢部の長さよりも長い(またははるかに長い)長さを呈する。
【0082】
例えば、
図12、
図13、
図15、
図16に示されるように、エアギャップ61はすべて、第2のハーフコア5bに近接して位置するか、または有利には、それぞれ第2の副肢部51b、52b、53bの底部に非常に近接している。第1の副肢部51a、52a、53aは各々、対応する第2の副肢部51b、52b、53bの長さよりもはるかに長い長さで存在する。一方、
図14および
図17に示される他の例によれば、中央肢部52におけるエアギャップ61は、第1のハーフコア5aに近接して位置し(または有利には、第1の副肢部52aの底部に非常に近接している)、中央肢部52に隣接する肢部(51または53)におけるエアギャップ61は、第2のハーフコア5bに近接して位置する。あるいは、エアギャップ61はすべて、第1のハーフコア5aに近接して位置するか、または有利には、それぞれ第1の副肢部51a、52a、53aの底部に非常に近接している。あるいは、中央肢部52におけるエアギャップ61は、第2のハーフコア5bに近接して位置し(または有利には、第2の副肢部52bの底部に非常に近接している)、中央肢部52に隣接する肢部(51または53)におけるエアギャップ61は、第2のハーフコア5bに近接して位置する。
【0083】
図13~
図17は、磁気コア5上に変圧器20の巻線を配線するための5つの配線オプションのうちの1つをそれぞれ示している。5つの配線オプションの各々において、一次巻線P1~P3のうちの1つ、第1の二次巻線S1~S3のうちの1つ、および三次巻線(T1a-T1b、T2a-T2b、T3a-T3b、またはT1-T3)のうちの1つが、磁気コア5の肢部51~53のうちの1つに巻回される。
【0084】
図13~
図17における記号「x」および「●」は、2つの対向する配線方向を示す。より正確には、記号「x」は、例えば磁気コア5の前側55から後側への第1の方向71に従って、変圧器20の巻線のうちの1つの線が磁気コア5に向かって入ることを示す。記号「●」は、例えば磁気コア5の後側から前側55への第1の方向71とは反対の第2の方向に従って、変圧器20の巻線のうちの1つの線が磁気コア5を出ることを示す。
【0085】
図13は、本発明による第1の配線オプションを示している。
【0086】
好ましくは、一次巻線P1、P2、P3および第1の二次巻線S1、S2、S3は、リッツ線である。リッツ線は、撚り合わせた単一の線で作製された導電体である。一次巻線P1、P2、P3および第1の二次巻線S1、S2、S3のリッツ線は、複数のターンの間の直列接続で作製される。さらに、磁気コア5の肢部の各々について、対応する第1の二次巻線(P1、P2、またはP3)は、変圧器20の三次巻線の2組のターンの間に挟まれる。例えば、第1の二次巻線S1は、三次巻線T1a-T1bの2組のターンT1a、T1bの間に挟まれ、2組のターンT1a、T1bは、三次巻線T1a-T1bの2つの補助巻線T1a、T1bである。
【0087】
変圧器20の三次巻線は、好ましくはフラット導体である。有利には、三次巻線によって必要とされる高電流を分割するために、前記三次巻線の各々は、平行なフラット導体を備える。言い換えれば、三次巻線は、並列接続されたターンを備えることによってそれぞれ配置される。
【0088】
エアギャップ61は、第2のハーフコア5bに近接して、より正確には、第2の副肢部51b、52b、53bのうちの1つの底部に近接してそれぞれ位置する。有利には、肢部51、52、53のうちの1つにそれぞれ巻回された巻線は、第1の副肢部51a、52a、53aのうちの1つにそれぞれ巻回される。言い換えれば、
図13に示されるように、第2の副肢部51b、52b、53bには巻線が巻回されない。エアギャップ61は、一次巻線P1~P3と第1の二次巻線S1~S3との間の漏れインダクタンスによって生じる望ましくない干渉を低減または回避する。加えて、互いにインターフェースする一次巻線P1~P3、第1の二次巻線S1~S3、および三次巻線T1a-T1b、T2a-T2b、T3a-T3bのそれぞれの導体間に基本的な絶縁が必要とされ、これは電気自動車用途での実装を容易にする。
【0089】
図14は、本発明による第2の配線オプションを示している。第2の配線オプションは、磁気コア5の肢部51~53のうちの1つにそれぞれ巻回された巻線間の対称性を維持することを可能にする。
【0090】
第2の配線オプションと前述の第1のオプションとの間の唯一の違いは、中央肢部52におけるエアギャップ61の位置である。第2の配線オプションの残りの特徴は、第1の配線オプションの特徴と同一または同様であり、したがって本明細書では重複して説明されない。
【0091】
第2の配線オプションによれば、中央肢部52におけるエアギャップ61は、第1のハーフコア5aに近接して(またはより正確には、第1の半肢部52aの底部に近接して)位置し、他のエアギャップ61は、第2のハーフコア5bに近接して(またはより正確には、第2の半肢部51b、53bの底部に近接して)位置する。有利には、
図14に示されるように、中央肢部52に巻回された巻線は、実際には第2の副肢部52aに巻回され、肢部51、53の一方にそれぞれ巻回された巻線は、実際には第1の副肢部51a、53aの一方にそれぞれ巻回される。
【0092】
図15は、本発明による第3の配線オプションを示している。第3の配線オプションは、エアギャップ61の位置に関して第1の配線オプションと同一または同様である。
【0093】
変圧器20の三次巻線(すなわち低電圧側)の各々は、三次巻線の1組のターンが対応する一次巻線の2組のターンの間に挟まれるように、一次巻線P1、P2、P3のうちの1つとインターリーブされる。例えば、三次巻線T1a-T1bは、三次巻線T1a-T1bの(補助巻線T1aの)1組のターンが一次巻線P1の2組のターンの間に挟まれるように対応する一次巻線P1とインターリーブされる。三次巻線T2a-T2bは、
図15に示されるように、三次巻線T2a-T2bの(補助巻線T2bの)1組のターンが一次巻線P2の2組のターンの間に挟まれるように対応する一次巻線P2とインターリーブされる。
【0094】
加えて、変圧器20の三次巻線の各々はまた、三次巻線の1組のターンが対応する第1の二次巻線の2組のターンの間に挟まれるように、第1の二次巻線S1、S2、S3のうちの1つとそれぞれインターリーブされる。例えば、三次巻線T1a-T1bは、三次巻線T1a-T1bの(補助巻線T1bの)1組のターンが第1の二次巻線S1の2組のターンの間に挟まれるように対応する第1の二次巻線S1とインターリーブされる。三次巻線T2a-T2bは、
図15に示されるように、三次巻線T2a-T2bの(補助巻線T2aの)1組のターンが第1の二次巻線S2の2組のターンの間に挟まれるように対応する第1の二次巻線S2とインターリーブされる。
【0095】
さらに、変圧器20の一次巻線の各々は、三次巻線のうちの1つとそれぞれインターリーブされるか、または変圧器の二次巻線の各々は、三次巻線のうちの1つとそれぞれインターリーブされる。一次巻線および二次巻線は、インターリーブされていない。これにより、一次巻線と二次巻線との間の漏れインダクタンスの管理が保証される。したがって、
図2および
図5に示すように、共振インダクタを変圧器20に一体化することができる。
【0096】
第3の配線オプションで提供された上述のインターリーブ構成は、電力損失を低減することを可能にする。
【0097】
さらに、上述した第1、第2、第3の配線オプションおよび後述する第5の配線オプションでは、2つの隣接する肢部の一方にそれぞれ巻回された一次巻線は、一次巻線の一方が第1および第2のハーフコア5a、5bの一方に近接して巻回され、他方の一次巻線が第1および第2のハーフコア5a、5bの他方に近接して巻回されるように配置される。例えば、一次巻線P1(またはP3)は、第1のハーフコア5aに近接して巻回され、一次巻線P2は、第2のハーフコア5bに近接して巻回される。
【0098】
同様に、一実施形態によれば、2つの隣接する肢部の一方にそれぞれ巻回された第1の二次巻線は、第1の二次巻線の一方が第1および第2のハーフコア5a、5bの一方に近接して巻回され、他方の第1の二次巻線が第1および第2のハーフコア5a、5bの他方に近接して巻回されるように配置される。例えば、第1の二次巻線S1(またはS3)は、第2のハーフコア5bに近接して巻回され、第1の二次巻線S2は、第1のハーフコア5aに近接して巻回される。
【0099】
図16は、本発明による第4の配線オプションを示している。第4の配線オプションは、エアギャップ61の位置に関して第3および第1の配線オプションと同一または同様である。
【0100】
変圧器20の三次巻線の各々は、三次巻線の少なくとも1組のターンおよび対応する第1の二次巻線の1組のターンが対応する一次巻線の2組のターンの間に挟まれるように、一次巻線P1、P2、P3のうちの1つとインターリーブされる。例えば、三次巻線T1a-T1bは、三次巻線T1a-T1bの(補助巻線T1aの)1組のターンおよび1組の対応する第1の二次巻線S1が一次巻線P1の2組のターンの間に挟まれるように対応する一次巻線P1とインターリーブされる。三次巻線T2a-T2bは、
図16に示されるように、三次巻線T2a-T2bの(補助巻線T2bの)1組のターンおよび対応する第1の二次巻線S2の1組のターンが一次巻線P2の2組のターンの間に挟まれるように対応する一次巻線P2とインターリーブされる。
【0101】
加えて、変圧器20の三次巻線の各々はまた、三次巻線の少なくとも1組のターンおよび対応する一次巻線の1組のターンが対応する第1の二次巻線の2組のターンの間に挟まれるように、第1の二次巻線S1、S2、S3のうちの1つとインターリーブされる。例えば、三次巻線T1a-T1bは、三次巻線T1a-T1bの(補助巻線T1bの)1組のターンおよび1組の対応する一次巻線P1が第1の二次巻線S1の2組のターンの間に挟まれるように対応する第1の二次巻線S1とインターリーブされる。三次巻線T2a-T2bは、
図16に示されるように、三次巻線T2a-T2bの(補助巻線T2aの)1組のターンおよび対応する一次巻線P2の1組のターンが第1の二次巻線S2の2組のターンの間に挟まれるように対応する第1の二次巻線S2とインターリーブされる。
【0102】
第4の配線オプションで提供された上述のインターリーブ構成は、一方では、互いにインターフェースする第1の二次巻線S1~S3および三次巻線のそれぞれの導体間に必要とされる基本的な絶縁を実施することを可能にし、他方では、互いにインターフェースする一次巻線P1~P3および三次巻線のそれぞれの導体間に必要とされる強化絶縁を実施することを可能にする。このようにして、電力損失および漏れインダクタンスが低減される。したがって、第4の配線オプションは、第1の共振インダクタLlkp1~Llkp3、第1の磁化インダクタLm1~Lm3、第2の共振インダクタLlks1~Llks3(および場合によっては第2の磁化インダクタ)がすべて変圧器20の外側に載置される、
図3および
図6に示される実施形態に適用するのに適している。しかし、エアギャップの長さが調節されていれば、磁化インダクタを変圧器20内に載置することができる。
【0103】
磁化インダクタLm1~Lm3は、エアギャップ61がゼロである場合、変圧器20に含まれない。
【0104】
図17は、本発明による第5の配線オプションを示している。
【0105】
現在の第5の配線オプションと前述の第2の配線オプションとの間の唯一の違いは、三次巻線が(
図1および
図14に示されるように)2つの補助巻線でそれぞれ構成されるか、または(
図4および
図17に示されるように)それぞれ単一の巻線であるかである。第5の配線オプションの残りの特徴は、第2の配線オプションの特徴と同一または同様であり、したがって本明細書では重複して説明されない。
【0106】
磁気コア5の肢部の各々について、対応する第1の二次巻線(P1、P2、またはP3)は、変圧器20の三次巻線の2組のターンの間に挟まれる。例えば、第1の二次巻線S1は、三次巻線T1の2組のターンの間に挟まれる。同様に、第1の二次巻線S2は、三次巻線T2の2組のターンの間に挟まれる。
【0107】
同様に、
図13、
図15、および
図16に示されるように、第1、第3、および第4の配線オプションを変圧器20に適用することができ、三次巻線は、それぞれ単一の巻線である。
【0108】
本発明による電気システム1および上述の変圧器設計は、1つの多相変圧器のみを使用するEVまたはHEV用の一体型OBC/DC-DCコンバータに関し、追加の電圧コンバータを必要とせずに上述の配線オプションおよび5つの動作モードを提供する。独立したOBCおよび独立したDC-DCコンバータを備える従来の電気システムと比較して、電気システム1はより少ない構成要素を有し、これにより電気システム1は体積が小さくなり、より軽量とすることが可能になる。加えて、製造および組立コストが低減される。本発明は、例えば異なる電力レベル7kW、11kW、および22kW、ならびに例えば異なる電圧ネットワーク800V、24V、48Vに対してスケーラブルである。
【0109】
本発明の一変形例によれば、
図18は、三角変圧器20bを形成する電気システムを示している。この変形例では、変圧器の形状のみが変化し、その動作はすべて以前と同じままである。
【0110】
いくつかのその例示的な実施形態を参照して実施形態を説明したが、本開示の原理の趣旨および範囲内に入る多数の他の修正および実施形態が当業者によって考案され得ることを理解されたい。
【外国語明細書】