(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058675
(43)【公開日】2024-04-26
(54)【発明の名称】可動クリーニング装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20240419BHJP
【FI】
G03G15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131212
(22)【出願日】2022-08-19
(71)【出願人】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(74)【代理人】
【識別番号】100140682
【弁理士】
【氏名又は名称】妙摩 貞茂
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 研介
(72)【発明者】
【氏名】堀 悟
(72)【発明者】
【氏名】三宅 弘二
(72)【発明者】
【氏名】池浦 俊
【テーマコード(参考)】
2H200
【Fターム(参考)】
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA45
2H200GA49
2H200HB12
2H200HB22
2H200JA02
2H200JB10
2H200JC03
2H200LA17
2H200LA23
2H200LA24
2H200LB02
2H200LB13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】可動クリーニング装置を提供する。
【解決手段】一態様のクリーニング装置は、回転面に接触するための接触部材と、接触部材を変位させるレバー装置とを備える。レバー装置は、回転面に接触するローラと、回転面の正回転に応じて回転するようにローラを支持するレバーと、を有する。レバーは、回転面の逆回転に応じて、ローラを介して回転面の力を受けて変位し、接触部材を回転面から離間させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動クリーニング装置であって、
回転面を清掃するための接触部材と、
前記接触部材を変位させるレバー装置であって、
前記回転面に接触可能なローラと、
前記回転面の正回転に応じて回転するように前記ローラを支持するレバーと、を有する前記レバー装置と、を備え、
前記レバーは、回動可能に軸支されており、
前記回転面が正回転するときに、前記ローラの摩擦力によって前記レバーに伝達される前記回転面の力を受けて、前記接触部材を前記回転面に接触する位置に変位させ、
前記回転面が逆回転するときに、前記ローラの摩擦力によって前記レバーに伝達される前記回転面の力を受けて、前記接触部材を前記回転面から離間する位置に変位させる、可動クリーニング装置。
【請求項2】
前記レバーは、前記ローラの軸を回転可能に支持する孔を有し、
前記孔は、前記回転面の正回転に応じて前記ローラを回転させる低摩擦領域と、前記回転面の逆回転に応じて前記ローラを前記レバーに摩擦係合させる高摩擦領域とを有する、請求項1に記載の可動クリーニング装置。
【請求項3】
前記レバーは、前記回転面の正回転に応じて前記ローラの前記軸を前記低摩擦領域に押し込み、前記回転面の逆回転に応じて前記ローラの前記軸を前記高摩擦領域に押し込むように構成されている、請求項2に記載の可動クリーニング装置。
【請求項4】
前記孔は、前記低摩擦領域を形成する円弧面と、前記円弧面から前記高摩擦領域を形成するテーパ面とを含むように長孔状に形成されている、請求項2に記載の可動クリーニング装置。
【請求項5】
前記接触部材は、
前記回転面に接触する接触位置と、前記回転面から離間する離間位置との間で移動可能なヘッドと、
前記ヘッドを移動させるために前記レバーによって動作される、前記ヘッドから延びるアームと、を備える、請求項1に記載の可動クリーニング装置。
【請求項6】
前記回転面は、トナーが転写される転写ベルトであり、
前記レバーは、前記接触部材によって前記転写ベルトから除去された残存トナーを回収する凹部を有する、請求項1に記載の可動クリーニング装置。
【請求項7】
前記接触部材は、前記回転面から離間する位置に変位した状態で、前記レバーの回動位置を保持するように、第1の押圧力で前記レバーを押圧し、
前記レバーは、前記回転面が正回転するときに、前記接触部材の前記第1の押圧力に抗して、前記接触部材を前記回転面に接触する位置に変位させる、請求項1に記載の可動クリーニング装置。
【請求項8】
前記接触部材は、前記回転面に接触する位置に変位した状態で、第2の押圧力で前記回転面を押圧し、
前記レバーは、前記回転面が逆回転するときに、前記接触部材の前記第2の押圧力に抗して、前記接触部材を前記回転面から離間する位置に変位させる、請求項7に記載の可動クリーニング装置。
【請求項9】
前記接触部材は、前記回転面から離間する位置に変位した状態において、前記レバーの回動軸よりも下側の位置で前記レバーを押圧している、請求項1に記載の可動クリーニング装置。
【請求項10】
搬送装置であって、
回転面を有する搬送体と、
前記搬送体の前記回転面に接触する接触位置と前記回転面から離間する離間位置との間で変位可能な接触部材と、
前記回転面に接触するローラと、
前記接触部材を変位させるレバーであって、軸孔に軸止された回動軸を有する前記レバーと、を備え、
前記レバーは、
前記ローラの軸を支持する孔を有し、
前記回転面が正回転するときに、前記ローラの前記軸と前記レバーの前記孔との間の摩擦力によって前記レバーに伝達される前記回転面の力を受けて、前記レバーの前記回動軸と前記軸孔との間の摩擦力に抗して、前記接触部材を前記接触位置に変位させ、
前記回転面が逆回転するときに、前記ローラの前記軸と前記レバーの前記孔との間の摩擦力によって前記レバーに伝達される前記回転面の力を受けて、前記レバーの前記回動軸と前記軸孔との間の摩擦力に抗して、前記接触部材を前記離間位置に変位させる、搬送装置。
【請求項11】
前記孔には、前記回転面の正回転に応じて前記ローラを回転させるための低摩擦領域と、前記回転面の逆回転に応じて前記ローラを前記レバーに摩擦係合させて、前記ローラの回転を抑制するための高摩擦領域と、がある、請求項10に記載の搬送装置。
【請求項12】
前記接触部材は、
前記離間位置において、前記レバーの回動位置を保持するように、第1の押圧力で前記レバーを押圧し、
前記接触位置において、第2の押圧力で前記回転面を押圧し、
前記レバーは、
前記回転面が正回転するときに、前記接触部材の前記第1の押圧力に抗して、前記接触部材を前記回転面に接触する位置に変位させ、
前記回転面が逆回転するときに、前記接触部材の前記第2の押圧力に抗して、前記接触部材を前記回転面から離間する位置に変位させる、請求項10に記載の搬送装置。
【請求項13】
画像形成装置であって、
回転面を有する搬送体と、
前記搬送体の前記回転面に接触する接触位置と前記回転面から離間する離間位置との間で変位可能な接触部材と、
前記回転面に接触するローラと、
前記接触部材を変位させるレバーであって、軸孔に軸止された回動軸を有する前記レバーと、を備え、
前記レバーは、
前記ローラの軸を支持する孔を有し、
前記回転面が正回転するときに、前記ローラの前記軸と前記レバーの前記孔との間の摩擦力によって前記レバーに伝達される前記回転面の力を受けて、前記レバーの前記回動軸と前記軸孔との間の摩擦力に抗して、前記接触部材を前記接触位置に変位させ、
前記回転面が逆回転するときに、前記ローラの前記軸と前記レバーの前記孔との間の摩擦力によって前記レバーに伝達される前記回転面の力を受けて、前記レバーの前記回動軸と前記軸孔との間の摩擦力に抗して、前記接触部材を前記離間位置に変位させる、画像形成装置。
【請求項14】
前記搬送体は、トナーが転写される転写ベルトであり、
前記転写ベルトがトナー像を媒体に印刷するように動作制御されているときに、前記回転面は前記正回転する、請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記転写ベルトは、印刷の動作制御の後の所定のタイミングで、前記回転面を前記逆回転させるように動作制御される、請求項14に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
画像形成システムは、印刷媒体を搬送する搬送装置と、静電潜像が形成される感光体と、静電潜像を現像する現像装置と、トナー像を印刷媒体に転写する転写装置と、トナー像を印刷媒体に定着させる定着させる定着装置と、印刷媒体を排出する排出装置と、を備える。例えば、転写装置には、残存したトナーを除去するためのクリーニング装置が設けられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1】
図1は、一例の可動クリーニング装置を示す模式図である。
【
図2】
図2は、一例の可動クリーニング装置を示す模式図である。
【
図3】
図3は、一例の画像形成装置の概略構成を示す図である。
【
図4】
図4は、一例の可動クリーニング装置を示す正面図である。
【
図5】
図5は、一例の可動クリーニング装置を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、可動クリーニング装置を含むユニットの一例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、可動クリーニング装置を構成するレバーの孔の一例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、一例のクリーニング装置の動作を説明するための図である。
【
図10】
図10は、一例の可動クリーニング装置の動作を説明するための図である。
【
図11】
図11は、一例の可動クリーニング装置の動作を説明するための図である。
【
図12】
図12は、他の例の可動クリーニング装置を示す模式図である。
【
図13】
図13は、さらに他の例の可動クリーニング装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
以下では、図面を参照して、例示的な可動クリーニング装置、当該可動クリーニング装置を含む搬送装置、及び、当該搬送装置を備える画像形成装置について説明する。なお、以下の説明において、図面については、同一の構成要素又は同一の機能を有する類似の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、「時計回り」及び「反時計回り」の用語は、
図6,7,9,10,11,12及び13の紙面正面から見た状態を基準としている。
【0004】
図1及び
図2は、一つの例示的実施形態に係る可動クリーニング装置を概念的又は模式的に示す図である。本開示に係る一例の可動クリーニング装置2は、回転面3に接触可能な接触部材4と、接触部材4を変位させるレバー装置6とを備える。レバー装置6は、回転面3に接触可能なローラ8と、回転面3の正回転に応じて回転するようにローラ8を支持するレバー9と、を有する。レバー9は、回動可能に軸支されている。レバー9は、
図1のように回転面3が正回転するときに、ローラ8の摩擦力によってレバー9に伝達される回転面3の力を受けて、接触部材4を回転面3に接触する位置に変位させる。また、レバー9は、
図2のように回転面3が逆回転するときに、ローラ8の摩擦力によってレバー9に伝達される回転面3の力を受けて、接触部材4を回転面3から離間する位置に変位させる。
【0005】
上記可動クリーニング装置2では、回転面3の正回転及び逆回転のそれぞれに応じて、回転面3からの力を受けて、ローラ8がレバー9を付勢する。回転面3が正回転している状態では、接触部材4が回転面3に接触し、回転面3が逆回転している状態では、接触部材4が回転面3から離間する。回転面3の正回転に応じて接触部材4が回転面3に接触するため、回転面3に対する接触部材4の常時接触を避けることができる。また、レバー装置6は、回転面3の力をレバー9に伝えるためにローラ8を利用しているため、回転面3とレバー装置6との間の摩擦が抑制される。
【0006】
図3は、例示的な画像形成装置を概略的に示す図である。
図3に示す画像形成装置1は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色を用いてカラー画像を形成する装置である。画像形成装置1は、印刷媒体である用紙5を搬送する搬送装置10と、静電潜像を現像する複数の現像装置20C,20M,20Y,20K(以下、個々の構成要素を区別する必要がない場合には、「現像装置20」と称する。)と、各色のトナー像を用紙5に二次転写する転写装置30と、表面に静電潜像が形成される複数の感光体40C,40M,40Y,40K(以下、個々の構成要素を区別する必要がない場合には、「感光体40」と称する。)と、積層トナー像を用紙5に定着させる定着装置50と、用紙5を排出する排出装置60とを備える。これら搬送装置10、現像装置20、転写装置30、感光体40、定着装置50及び排出装置60は、画像形成装置1の筐体15内に収容される。
【0007】
搬送装置10は、画像が形成される印刷媒体である用紙5を搬送経路12上で搬送する。用紙5は、カセット7に積層されて収容され、給紙ローラ11によりピックアップされて搬送される。搬送装置10は、用紙5に転写されるトナー像が転写領域13に到達するタイミングで、搬送経路12を介して転写領域13に用紙5を到達させる。
【0008】
現像装置20C,20M,20Y,20Kは、色ごとに設けられている。各現像装置20は、トナーを感光体40に担持させる現像ローラ45を備えている。現像装置20では、現像剤として、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤を用いる。つまり、現像装置20では、トナーとキャリアを所望の混合比になるように調整し、さらに混合撹拌してトナーを均一に分散させ最適な帯電量を付与した現像剤が調整される。この現像剤を現像ローラ45に担持させる。そして、現像ローラ45の回転により現像剤が感光体40と対向する現像領域まで搬送されると、現像ローラ45に担持された現像剤に含まれるトナーが感光体40の周面上に形成された静電潜像に移動し、静電潜像が現像される。
【0009】
転写装置30は、現像装置20で形成されたトナー像を用紙5に二次転写する転写領域13に搬送する。すなわち、転写装置30は、トナー像を搬送する搬送装置である。転写装置30は、感光体40からトナー像が一次転写される転写ベルト31と、転写ベルト31を張架する張架ローラ34と、アイドラローラ35,36と、転写ベルト31を駆動する駆動ローラ37と、感光体40C,40M,40Y,40Kと共に転写ベルト31をそれぞれ挟持する一次転写ローラ32C,32M,32Y,32Kと、駆動ローラ37と共に転写ベルト31を挟持する二次転写ローラ33とを備えている。
【0010】
感光体40C,40M,40Y,40Kは、静電潜像担持体、感光体ドラム等とも呼ばれる。感光体40C,40M,40Y,40Kは、色ごとに設けられている。各感光体40は、転写ベルト31の移動方向に沿って設けられている。感光体40の周上には、現像装置20と、帯電装置41と、露光ユニット42と、クリーニングユニット43とが設けられている。
【0011】
帯電装置41は、例えば感光体40に対して当接する帯電ローラであり、感光体40の表面を所定の電位に均一に帯電させる。露光ユニット42は、帯電装置41によって帯電した感光体40の表面を、用紙5に形成する画像に応じて露光する。これにより、感光体40の表面のうち露光ユニット42により露光された部分の電位が変化し、静電潜像が形成される。現像装置20C,20M,20Y,20Kは、それぞれの現像装置20に対向して設けられたトナータンク18C,18M,18Y,18Kから供給されたトナーによって感光体40に形成された静電潜像を現像し、トナー像を生成する。各トナータンク18C,18M,18Y,18K内には、それぞれ、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのトナーが充填されている。クリーニングユニット43は、感光体40上に形成されたトナー像が転写ベルト31に一次転写された後に感光体40上に残存するトナーを回収する。
【0012】
定着装置50は、定着ニップ領域14に用紙5を通過させることで、転写ベルト31から用紙5に二次転写されたトナー像を用紙5に定着させる。定着装置50は、定着ベルト51と、定着ベルト51の外周面に圧接された加圧ローラ52と、定着ベルト51、及び加圧ローラ52を収容するケーシング53とを備えている。定着ベルト51は、発熱体によって加熱される加熱体である。定着ベルト51と加圧ローラ52との間には定着ニップ領域14が形成される。用紙5が当該定着ニップ領域14を通過するときにトナー像が用紙5に溶融定着される。
【0013】
排出装置60は、定着装置50によりトナー像が定着された用紙5を装置外部へ排出するための排出ローラ62,64を備えている。
【0014】
一例の画像形成装置1において、上述の転写装置30は、可動クリーニング装置100を含んでいてもよい。一例の可動クリーニング装置100は、トナー像の搬送体としての転写ベルト31上に残存するトナーを除去する。例えば、可動クリーニング装置100は、転写領域13よりも下流の位置であって、最も上流の一次転写ローラ32Cよりも上流の位置において、転写ベルト31に接触可能に配置されている。図示例の可動クリーニング装置100は、張架ローラ34の近傍に配置されている。
【0015】
図4は、一例の可動クリーニング装置を示す正面図である。
図5は、一例の可動クリーニング装置を示す斜視図である。
図6は、
図4のVI-VI線に沿った断面図である。
図7は、可動クリーニング装置を含む可動クリーニングユニットの一例を示す模式図である。一例の可動クリーニング装置100は、接触部材110と、レバー装置120とを含む。接触部材110は、転写ベルト31の回転面31aを清掃するために、回転面31aに接触可能に構成される。図示例において、回転面31aは、感光体40からトナーが転写される転写ベルト31の表面である。例えば、接触部材110は、張架ローラ34の周面の一部に対向する位置において、転写ベルト31に接触可能である。なお、以下の説明においては、画像形成装置1によって用紙5にトナー像が定着されるときの転写ベルト31の回転を正回転とし、正回転と逆向きの転写ベルト31の回転を逆回転とする。
【0016】
接触部材110は、転写ベルト31に接触する接触状態と、転写ベルト31から離間する離間状態とのいずれかの状態を保持する。一例の接触部材110は、ヘッド111と、アーム113とを有する。ヘッド111は、転写ベルト31に接触する接触位置と、転写ベルト31から離間する離間位置との間で移動可能である。ヘッド111は、例えば、転写ベルト31の幅方向に延在する板状体であってもよい。
【0017】
アーム113は、ヘッド111に固定されており、ヘッド111から延びている。アーム113は、ヘッド111を移動させるために、レバー装置120によって動作される。一例のアーム113は、弾性を有する板状体であり、第1保持部材131と第2保持部材132とによって保持されている。
【0018】
第1保持部材131及び第2保持部材132は、画像形成装置1内の所定位置に収容されるブラケット150に固定されて、ブラケット150と共に可動クリーニングユニット161を構成してもよい(
図7参照)。可動クリーニングユニット161が画像形成装置1内に収容された状態において、第1保持部材131及び第2保持部材132は、転写ベルト31の下方に配置されている。接触部材110は、無負荷状態(自然状態)においてヘッド111が転写ベルト31に接触するように、第1保持部材131及び第2保持部材132によって保持されている。
【0019】
第1保持部材131は、Y軸方向に沿って見た側面視においてL字状をなしており、転写ベルト31の幅方向(Y軸方向)に延在する第1板状部131aと第2板状部131bとを有している。第2保持部材132は、転写ベルト31の幅方向に延在する第3板状部132aを有する。第1板状部131aと第3板状部132aとは互いに対面している。第2保持部材132は、第3板状部132aの両端部において第1板状部131aとは逆向きに突出する突出片132bを有している。
【0020】
図6に示すように、アーム113は、第1板状部131aと第3板状部132aとの間に配置されている。例えば、第1板状部131aと第3板状部132aとは、所定の間隔を空けて互いに対面するように、ボルト、リベット等の接続部材133によって接続されている。例えば、第1板状部131aと第3板状部132aとの間の距離は、アーム113の厚みよりも大きい。接続部材133は、第1板状部131aと第3板状部132aとを所定の位置で接続する。アーム113には、接続部材133の位置に対応する位置に貫通孔113aが形成されている。アーム113の貫通孔113aの径は、接続部材133の径よりも僅かに大きく形成されている。アーム113の貫通孔113aに接続部材133が挿通されることによって、アーム113は、第1板状部131aと第3板状部132aとの間に保持される。
【0021】
アーム113は、弾性を有するように、金属製の板体によって形成されてもよい。なお、アーム113を形成する材料は、金属に限定されず、必要な弾性を有する材料であればよい。例えば、アーム113は、樹脂材料等によって形成されてもよい。ヘッド111は、転写ベルト31を損傷しないように、樹脂製の板体によって形成されてもよい。なお、ヘッド111を形成する材料は、樹脂材料に限定されず、例えば金属材料等であってもよい。
【0022】
レバー装置120は、転写ベルト31の回転に応じて接触部材110を変位させるように構成されている。一例のレバー装置120は、ローラ121とレバー125とを含む。ローラ121は、転写ベルト31に接触可能に構成されている。一例においては、一対のローラ121が転写ベルト31の幅方向の両端に接触するように配置されている。
図5では、一方の端部のローラ121のみが示されている。
【0023】
レバー125は、接触部材110に当接可能となるように、回動可能に軸支されている。一例において、レバー125は、第2保持部材132に形成された一対の突出片132bに支持されていてもよい。図示例では、第2保持部材132の突出片132bに、レバー125を支持するための軸孔132cが形成されている。軸孔132cは、例えば円形状を呈している。レバー125は、軸孔132cに対応する回動軸125aを有している。レバー125の回動軸125aが軸孔132cに挿通されることにより、レバー125は回動可能に支持される。
【0024】
また、レバー125は、回転可能にローラ121を支持する。図示例では、レバー125の長手方向の両端部にそれぞれ一対の突出片126が設けられている。突出片126には、ローラ121を支持するための孔126aが形成されている。ローラ121の中心には、孔126aに対応する軸121aが設けられている。例えば、ローラ121と軸121aとは互いに固定されている。ローラ121の軸121aが孔126aに挿通されることにより、ローラ121は回転可能に支持される。ローラ121の軸方向は、レバー125の軸方向と同じであり、転写ベルト31の幅方向であるY軸方向に沿っている。
【0025】
なお、
図5及び
図6に示すように、レバー装置120は、第1規制部材139aと、第2規制部材139bとを有していてよい。第1規制部材139a及び第2規制部材139bは、第2保持部材132の突出片132bに設けられている。第1規制部材139aと第2規制部材139bとは、軸孔132cを中心とした放射方向に突出しており、周方向において互いに離間している。レバー125は、Y軸方向に突出する係合片129を有している。係合片129は、第1規制部材139aと第2規制部材139bとの間に配置されている。
図6の紙面正面から見て、レバー125が反時計回りに回転すると、係合片129が第1規制部材139aに係合することで、レバー125の回転が規制される。また、レバー125が時計回りに回転すると、係合片129が第2規制部材139bに係合することで、レバー125の回転が規制される。このように、レバー125は、第1規制部材139aと第2規制部材139bとの間の所定の角度範囲を揺動する。この角度範囲において、レバー125に支持されたローラ121は、転写ベルト31に常に接触している。
【0026】
図8は、レバー125に形成された孔126aを説明するための図である。ローラ121を支持する孔126aは、低摩擦領域127と高摩擦領域128とを有している。低摩擦領域127は、支持されるローラ121の軸121aとの間の摩擦力が小さい領域である。高摩擦領域128は、支持されるローラ121の軸121aとの間の摩擦力が低摩擦領域127での摩擦力よりも大きい領域である。ローラ121は、軸121aが低摩擦領域127にある状態において、回転自在に支持される。一方で、ローラ121は、軸121aが高摩擦領域128にある状態では、軸121aが孔126aに対して摩擦係合することにより、回転が停止又は抑制される。
【0027】
一例の孔126aは、長孔状に形成されている。この孔126aは、低摩擦領域127を形成する円弧面127aと、円弧面127aから高摩擦領域128を形成するテーパ面128aとを含む。例えば、孔126aは、ローラ121の軸121aに対応した径を有する円127bの一部を形成する円弧面127aと、円弧面127aの両端縁を基端として互いに近付くように形成されたテーパ面128aと、を含む。テーパ面128aの終端は、ローラ121の軸121aの径よりも小さい径を有する円128bの一部を形成する円弧面128cに接続されていてもよい。例えば、レバー125の回動軸125aの中心から円127bの中心までの距離は、レバー125の回動軸125aの中心から円128bの中心までの距離に等しい。
【0028】
円127bの径は、ローラ121の軸121aの径よりも僅かに大きいため、ローラ121の軸121aは、円弧面127aに接触した状態において、回転自在となる。一方、ローラ121の軸121aが円128b側にずれた場合、ローラ121の軸121aはテーパ面128a同士の間に摩擦係合されることによって、回転が停止又は抑制される。例えば、転写ベルト31が正回転している場合、転写ベルト31の回転に従動したローラ121が移動することにより、ローラ121の軸121aは低摩擦領域127に押し込まれる。また、転写ベルト31が逆回転している場合、転写ベルト31の回転に従動したローラ121が移動することにより、ローラ121の軸121aは高摩擦領域128に押し込まれる。
【0029】
一例のレバー125は、接触部材110を押圧するためのエッジ部125bを有する。エッジ部125bは、転写ベルト31の幅方向に沿って、すなわち、接触部材110の延在方向に沿って延在している。Y軸方向から見て、回動軸125aの中心からエッジ部125bまでの距離は、回動軸125aの中心から接触部材110までの最短距離よりも大きく形成されている。そのため、レバー125が回動されると、レバー125のエッジ部125bが接触部材110に接触し、接触部材110が変位し得る。一例においては、エッジ部125bの押圧によって接触部材110のアーム113が変形することで、接触部材110のヘッド111が変位する。
【0030】
レバー125は、接触部材110によって転写ベルト31から除去された残存トナーを回収する凹部125cを有する(
図5参照)。例えば、凹部125cは、エッジ部125bに隣接して形成されている。すなわち、凹部125cは、転写ベルト31の幅方向に沿って延在している。凹部125cは、回動軸125aを中心としたときに、径方向の外側に向かって開口している。凹部125cの開口の上方には、接触部材110のヘッド111が位置してもよい。
【0031】
以下、可動クリーニング装置の動作について説明する。
図9~
図11は、一例のクリーニング装置の動作を説明するための概略図である。
図9~
図11では、レバー装置の詳細(例えば係合片129など)が省略されている。
図9は、接触部材110が転写ベルト31から離間する位置に変位している状態を示す。この状態においては、レバー125は、係合片129が第1規制部材139aに当接した状態で停止している(
図6参照)。また、レバー125のエッジ部125bは、接触部材110が転写ベルト31から離間するように、接触部材110を押圧している。図示例では、エッジ部125bが接触部材110のアーム113を押圧している。この状態では、レバー125による接触部材110の押圧に対する反作用により、レバー125は接触部材110に押圧されている。
【0032】
図示例では、紙面正面から見てレバー125の左側に接触部材110が配置されており、この接触部材110がレバー125の回動軸125aよりも下側の位置でレバー125を押圧している。そして、接触部材110による押圧力F1のベクトルはレバー125の回動中心よりも下側に向かっている。そのため、接触部材110による押圧力F1は、レバー125を反時計回りに回転させようとする力F2を発生させる。しかし、レバー125の回転が第1規制部材139a(
図6参照)によって規制されているため、レバー125の回動位置は保持されている。
図9に示すように、接触部材110が離間位置に制御された状態のとき、ローラ121の軸121aは、回動軸125aと張架ローラ34の回転中心とを結ぶ仮想線L1よりも反時計回りの方向に位置している。図示例では、軸121aが回動軸125aの真上に位置している。
【0033】
図10は、接触部材110が転写ベルト31から離間している場合に、転写ベルト31が正回転を開始した状態を示す。
図10では、転写ベルト31の正回転しているときの、転写ベルト31及びローラ121の回転の向きを矢印D1,D2でそれぞれ示す。転写ベルト31が正回転すると、レバー125は、ローラ121の摩擦力によってレバー125に伝達される転写ベルト31の力を受けて、接触部材110を転写ベルト31に接触する位置に変位させる。この場合、転写ベルト31の回転による力は、ローラ121の軸121aとレバー125の孔との間の摩擦力によってレバー125に伝達される。ローラ121を介して転写ベルト31からレバー125に伝達された力F3によって、レバー125は、レバー125の回動軸125aと軸孔132cとの間の摩擦力に抗して、時計回りに回転しようとする。
【0034】
レバー125を時計回りに回転させる力F3は、接触部材110がレバー125を反時計回りに回転させようとする力F2よりも大きい。したがって、レバー125は、接触部材110の押圧力に抗して、時計回りに回転する。レバー125が回転することにより、レバー125のエッジ部125bが接触部材110のアーム113から離間すると、接触部材110は、アーム113の弾性力によって転写ベルト31に接触する位置に変位する。
【0035】
図11は、接触部材110が転写ベルト31に接触している状態を示す。この状態においては、レバー125は、係合片129が第2規制部材139b(
図6参照)に当接した状態で停止している。接触部材110のヘッド111は、アーム113の弾性力に基づいて、転写ベルト31を所定の力F5で押圧する。転写ベルト31が正回転している状態では、転写ベルト31に従動してローラ121が時計回りに回転している。この状態では、ローラ121の軸121aが低摩擦領域127を構成する円弧面127aに配置されている。なお、低摩擦領域127は、高摩擦領域128よりも時計回り側にずれているため、ローラ121が時計回りに回転している場合、ローラ121の位置は低摩擦領域127に保持される。
図11に示すように、接触部材110が接触位置に制御された状態のとき、ローラ121の軸121aは、回動軸125aと張架ローラ34の回転中心とを結ぶ仮想線L1よりも時計回りの方向に位置している。
【0036】
図11では、転写ベルト31が逆回転を開始したときの、転写ベルト31の回転の向きと、ローラ121の回転の向きとが矢印D3,D4によってそれぞれ示されている。接触部材110が転写ベルト31に接触している状態で転写ベルト31が逆回転を開始すると、レバー125は、ローラ121の摩擦力によってレバー125に伝達される転写ベルト31の力を受けて、接触部材110を転写ベルト31から離間する位置に変位させる。この場合、転写ベルト31の回転による力は、ローラ121の軸121aとレバー125の孔との間の摩擦力によってレバー125に伝達される。転写ベルト31が逆回転している状態では、転写ベルト31に従動してローラ121が反時計回りに回転している。この状態では、ローラ121の軸121aが高摩擦領域128を構成するテーパ面128aに配置されている。そのため、転写ベルト31の回転による力は効率的にレバー125に伝達される。
【0037】
ローラ121を介して転写ベルト31からレバー125に伝達された力F4によって、レバー125は、レバー125の回動軸125aと軸孔132cとの間の摩擦力に抗して、反時計回りに回転しようとする。レバー125を反時計回りに回転させる力F4は、接触部材110が転写ベルト31を押圧する力F5よりも大きい。したがって、レバー125は、接触部材110の押圧力に抗して、接触部材110を転写ベルト31から離間する位置に変位させることができる。これにより、接触部材110は、
図9の状態に戻る。
【0038】
上述のとおり、転写ベルト31がトナー像を用紙5に印刷するように動作制御されている場合、転写ベルト31は正回転しており、接触部材110は転写ベルト31に当接している。一例の画像形成装置1においては、印刷の動作制御が終了した後の所定のタイミングで転写ベルト31を逆回転させてから、転写ベルト31を停止させるように動作制御されてもよい。この場合、画像形成装置1が動作を停止している状態において、接触部材110は転写ベルト31から離間している。
【0039】
次に、可動クリーニング装置の変形例について説明する。以下では、可動クリーニング装置100との相違点について説明し、重複する説明は省略する。
図12は、他の例に係る可動クリーニング装置200を示す図である。可動クリーニング装置200は、レバー装置120と接触部材210とを有する。接触部材210は、ヘッド111と同様に転写ベルト31に当接するヘッド211を有する。接触部材210は、アーム113に代えてヘッド211を支持する支持部材213を有する。
【0040】
支持部材213は、ヘッド211が固定される板状部213aと、板状部213aからレバー装置120に向けて突出する押圧片213bと、板状部213aの長手方向の両端から突出する支持片213cとを有する。板状部213aは、転写ベルト31の幅方向に沿って延在している。押圧片213bは、転写ベルト31の幅方向において、レバー125と重複する位置に設けられている。支持片213cは、例えば可動クリーニングユニットを構成するブラケット等に対して回動自在に支持されている。支持部材213は、スプリング等の付勢部材によって時計回りの方向に向けて力F11が働くように付勢されている。
【0041】
可動クリーニング装置200では、転写ベルト31が正回転しているときに、レバー125が押圧片213bから離間している。この状態では、付勢部材の力F11によって支持部材213が時計回りに変位することで、ヘッド211が転写ベルト31に接触する。一方、転写ベルト31が逆回転しているときには、レバー125が反時計回りすることにより、レバー125が押圧片213bを押圧する。レバー125が押圧片213bを押圧する力F12は、付勢部材の付勢力F11よりも大きいため、支持部材213は、付勢部材に逆らって反時計回りに回動する。これにより、ヘッド211は転写ベルト31から離間する。
【0042】
図13は、さらに他の例に係る可動クリーニング装置300を示す図である。可動クリーニング装置300は、レバー装置120と接触部材310とを有する。接触部材310は、ヘッド111と同様に転写ベルト31に当接するローラヘッド311を有する。ローラヘッド311の軸方向は、転写ベルト31の幅方向に沿っている。ローラヘッド311は、転写ベルト31の幅と同程度の長さを有している。ローラヘッド311を支持する支持部材313は、ローラヘッド311を両端から回転自在に支持する一対の側板部313aと、側板部313aから突出する押圧部313bと、側板部313aから突出する軸部313dとを有する。
【0043】
側板部313aは、ローラヘッド311の回転軸311aを受ける軸孔313eを有する。一対の側板部313aは、ローラヘッド311の軸方向の両端にそれぞれ配置され、ローラヘッド311を支持する。押圧部313bは、一対の側板部313aから軸方向の外側に向かってそれぞれ突出する。押圧部313bは、例えば円弧状を呈していてよい。軸部313dは、例えば可動クリーニングユニットを構成するブラケット等に対して回動自在に支持されている。支持部材313は、スプリング等の付勢部材によって時計回りの方向に向けて力F21が働くように付勢されている。
【0044】
可動クリーニング装置300では、転写ベルト31が正回転しているときに、レバー125が押圧部313bから離間している。この状態では、付勢部材の力F21によって支持部材313が時計回りに変位することで、ローラヘッド311が転写ベルト31に接触する。ローラヘッド311が転写ベルト31に接触している場合、ローラヘッド311は、転写ベルト31の回転に従動して回転しながら転写ベルト31の表面の残存トナーを除去する。転写ベルト31が逆回転しているときには、レバー125が反時計回りすることにより、レバー125が押圧部313bを押圧する。レバー125が押圧片213bを押圧する力F22は、付勢部材の付勢力F21よりも大きいため、支持部材313は、付勢部材に逆らって反時計回りに回動する。これにより、ローラヘッド311は転写ベルト31から離間する。
【0045】
以上説明のとおり、一例の可動クリーニング装置100は、転写ベルト31を清掃するための接触部材110と、接触部材110を変位させるレバー装置120とを有する。レバー装置120は、転写ベルト31に接触可能なローラ121と、転写ベルト31の正回転に応じて回転するようにローラ121を支持するレバー125と、を有する。レバー125は、回動可能に軸支されている。レバー125は、転写ベルト31が正回転するときに、ローラ121の摩擦力によってレバー125に伝達される転写ベルト31の力を受けて、接触部材110を転写ベルト31に接触する位置に変位させる。レバー125は、転写ベルト31が逆回転するときに、ローラ121の摩擦力によってレバー125に伝達される転写ベルト31の力を受けて、接触部材110を転写ベルト31から離間する位置に変位させる。
【0046】
一例の搬送装置としての転写装置30は、転写ベルト31と、転写ベルト31に接触する接触位置と転写ベルト31から離間する離間位置との間で変位可能な接触部材110と、転写ベルト31に接触するローラ121と、接触部材110を変位させるレバー125であって、軸孔132cに軸止された回動軸125aを有するレバー125と、を備える。レバー125は、ローラ121の軸121aを支持する孔126aを有する。レバー125は、転写ベルト31が正回転するときに、ローラ121の軸121aとレバー125の孔126aとの間の摩擦力によってレバー125に伝達される転写ベルト31の力を受けて、レバー125の回動軸125aと軸孔132cとの間の摩擦力に抗して、接触部材110を接触位置に変位させる。レバー125は、転写ベルト31が逆回転するときに、ローラ121の軸121aとレバー125の孔126aとの間の摩擦力によってレバー125に伝達される転写ベルト31の力を受けて、レバー125の回動軸125aと軸孔132cとの間の摩擦力に抗して、接触部材110を離間位置に変位させる。
【0047】
一例の画像形成装置1は、転写ベルト31と、転写ベルト31に接触する接触位置と転写ベルト31から離間する離間位置との間で変位可能な接触部材110と、転写ベルト31に接触するローラ121と、接触部材110を変位させるレバー125とを備える。レバー125は、軸孔132cに軸止された回動軸125aを有する。レバー125は、ローラ121の軸121aを支持する孔126aを有する。レバー125は、転写ベルト31が正回転するときに、ローラ121の軸121aとレバー125の孔126aとの間の摩擦力によってレバー125に伝達される転写ベルト31の力を受けて、レバー125の回動軸125aと軸孔132cとの間の摩擦力に抗して、接触部材110を接触位置に変位させる。レバー125は、転写ベルト31が逆回転するときに、ローラ121の軸121aとレバー125の孔126aとの間の摩擦力によってレバー125に伝達される転写ベルト31の力を受けて、レバー125の回動軸125aと軸孔132cとの間の摩擦力に抗して、接触部材110を離間位置に変位させる。
【0048】
可動クリーニング装置100では、転写ベルト31の正回転及び逆回転のそれぞれに応じて、転写ベルト31からの力を受けて、ローラ121がレバー125を付勢する。転写ベルト31が正回転している状態では、接触部材110が転写ベルト31に接触し、転写ベルト31が逆回転している状態では、接触部材110が転写ベルト31から離間する。転写ベルト31の正回転に応じて接触部材110が転写ベルト31に接触するため、転写ベルト31に対する接触部材110の常時接触を避けることができる。また、レバー装置120は、転写ベルト31の力をレバー125に伝えるために回転可能なローラ121を利用しているため、転写ベルト31とレバー装置120との間の摩擦が抑制される。以上のとおり、可動クリーニング装置100は、転写ベルト31の損傷等を抑制しながら、転写ベルト31の残存トナーを除去できる。
【0049】
一例のレバー125は、ローラ121の軸121aを回転可能に支持する孔126aを有し得る。孔126aは、転写ベルト31の正回転に応じてローラ121を回転させる低摩擦領域127と、転写ベルト31の逆回転に応じてローラ121をレバー125に摩擦係合させる高摩擦領域128とを有し得る。この構成では、転写ベルト31が正回転するときには、転写ベルト31に当接するローラ121が回転しやすくなっており、転写ベルト31とローラ121との間の摩擦が低減される。転写ベルト31が逆回転するときには、ローラ121がレバー125に摩擦係合されることで、転写ベルト31の力がレバー125に伝達されやくなっている。
【0050】
一例のレバー125は、転写ベルト31の正回転に応じてローラ121の軸121aを低摩擦領域127に押し込み、転写ベルト31の逆回転に応じてローラ121の軸121aを高摩擦領域128に押し込むように構成されてもよい。この構成では、正回転のときには、軸121aが低摩擦領域127から移動し難く、逆回転のときには、軸121aが高摩擦領域から移動し難い。
【0051】
一例の孔126aは、低摩擦領域127を形成する円弧面127aと、円弧面127aから高摩擦領域128を形成するテーパ面128aとを含むように長孔状に形成されてもよい。この構成では、正回転のときには、軸121aが低摩擦領域127から移動し難く、逆回転のときには、軸121aが高摩擦領域から移動し難い。
【0052】
一例の接触部材110は、転写ベルト31に接触する接触位置と、転写ベルト31から離間する離間位置との間で移動可能なヘッド111と、ヘッド111を移動させるためにレバー125によって動作される、ヘッド111から延びるアーム113と、を備えてもよい。この構成では、接触部材110を容易に製造できる。
【0053】
一例のレバー125は、接触部材110によって転写ベルト31から除去された残存トナーを回収する凹部125cを有してもよい。凹部125cによって除去されたトナーを回収できるため、トナーが拡散することが抑制される。なお、一例においては、接触部材110が接触状態から離間状態に移行したときに、凹部125cに残存トナーが落下するようになっている。
【0054】
一例の接触部材110は、転写ベルト31から離間する位置に変位した状態で、レバー125の回動位置を保持するように、所定の力F2(第1の押圧力)でレバー125を押圧し、レバー125は、転写ベルト31が正回転するときに、接触部材110の力F2に抗して、接触部材110を転写ベルト31に接触する位置に変位させてもよい。この構成では、接触部材110が転写ベルト31から離間している状態を容易に保持できる。
【0055】
一例の接触部材110は、転写ベルト31に接触する位置に変位した状態で、所定の力F5(第2の押圧力)で転写ベルト31を押圧し、レバー125は、転写ベルト31が逆回転するときに、接触部材110の力F5に抗して、接触部材110を転写ベルト31から離間する位置に変位させ得る。この構成では、接触部材110を一定の力で転写ベルト31に当接させることができ、また、転写ベルト31を逆回転させることで容易に接触部材110に離間位置に制御できる。
【0056】
一例の接触部材110は、転写ベルト31から離間する位置に変位した状態において、レバー125の回動軸125aよりも下側の位置でレバー125を押圧し得る。この構成では、レバー125の回動位置を容易に保持することができる。
【0057】
一例において、転写ベルト31がトナー像を用紙5に印刷するように動作制御されているときに、転写ベルト31は正回転する。すなわち、印刷動作が実行されている際に、転写ベルト31上の残存トナーを除去することができる。
【0058】
転写ベルト31は、印刷の動作制御の後の所定のタイミングで、転写ベルト31を逆回転させるように動作制御されてもよい。この構成では、印刷終了後に転写ベルト31から接触部材110が離間するため、接触部材110による転写ベルト31の損傷が抑制される。なお、転写ベルト31を逆回転させる制御は、印刷動作の直後であってもよいし、印刷動作の所定時間経過後であってもよい。また、転写ベルト31を逆回転させる制御は、画像形成装置1の電源を落とす際に実行されてもよい。
【0059】
本明細書に記載の全ての側面、利点及び特徴が、必ずしも、いずれかひとつの特定の例及び実施形態により達成される又は含まれるわけではないことは理解されたい。実際、本明細書において様々な例を記載し示したが、他の例もその配置及び詳細について修正することができることは明らかであるべきだ。ここに請求される保護主題の精神及び範囲に包含される全ての修正及び変形を請求する。
【0060】
例えば、転写ベルト31を逆回転させる制御は、可動クリーニングユニットを交換する際に実行されてもよい。この場合、取り外される可動クリーニングユニットの接触部材によって転写ベルト31が損傷することが抑制される。
【0061】
一例においては、転写ベルトに当接可能な接触部材とレバー装置とについて説明したが、接触部材とレバー装置とは、他の回転面を有する装置に当接可能に設けられてもよい。
【0062】
一例においては、時計回り及び反時計回りに回転可能なローラ121について説明したが、レバーに支持されたローラは、時計回りの方向にのみ回転を許容する機構を有してもよい。例えば、ローラは、ワンウェイクラッチを含んでいてもよい。