(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058685
(43)【公開日】2024-04-26
(54)【発明の名称】ピックアンドプレース製造システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B29C 70/38 20060101AFI20240419BHJP
B25J 15/00 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
B29C70/38
B25J15/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023178037
(22)【出願日】2023-10-16
(31)【優先権主張番号】18/046,936
(32)【優先日】2022-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クローザーズ, フィリップ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】シャラスキー, マーティン アレキサンダー
【テーマコード(参考)】
3C707
4F205
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS05
3C707DS02
3C707FS01
3C707FS10
3C707FT13
3C707NS09
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG03
4F205AJ08
4F205AM29
4F205HA14
4F205HA23
4F205HA33
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HF23
4F205HK03
4F205HK04
4F205HK05
4F205HK23
4F205HT26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複合材料を正確でしわがなく時間効率に優れたやり方で複雑な形状に自動的に成形するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】ステータベース142は、電磁場を生成するように構成された一連の電気コイルをカバーする平面的なステータ面を有する。複数の移動体は、各々、電磁場に応じて複数の移動体をステータ面に対して浮上及び移動させるように構成された複数の永久磁石を含む。複数のエンドエフェクタ200が、複数の移動体に結合され、各エンドエフェクタ200は、材料シート300に関連して1以上の機能を実行する。コントローラ240は、ステータ面にわたる複数の移動体の独立した協調移動をもたらすやり方であって、複数のエンドエフェクタ200が材料シート300に係合して動作することをもたらすやり方で、電気コイルを選択的に起動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁場を生成するように構成された一連の電気コイル(144)をカバーする平面的なステータ面(146)を有するステータベース(142)、
複数の移動体(160)であって、各移動体(160)は複数の永久磁石(162)を含み、前記複数の永久磁石(162)は、前記電磁場に応じて前記複数の移動体(160)を前記ステータ面(146)に対して浮上及び移動させるように構成されている、複数の移動体(160)、
前記複数の移動体(160)に結合された1以上のエンドエフェクタ(200)であって、各エンドエフェクタ(200)は、材料シート(300)に関連して1以上の機能を実行するように構成されている、1以上のエンドエフェクタ(200)、並びに
コントローラ(240)を備え、前記コントローラ(240)は、前記ステータ面(146)にわたる前記複数の移動体(160)の独立した協調移動をもたらすやり方であって、前記1以上のエンドエフェクタ(200)を前記材料シート(300)に係合させて動作させるやり方で、前記電気コイル(144)を選択的に起動するように構成されている、製造システム(100)。
【請求項2】
前記ステータベース(142)は、互いに横並び関係で配置され且つ前記平面的なステータ面(146)を集合的に画定する複数のタイル(148)で構成され、各タイルは、一連の前記電気コイル(144)を含む、請求項1に記載の製造システム(100)。
【請求項3】
各移動体(160)は、少なくとも2つの自由度で移動するように構成され、前記少なくとも2つの自由度は、
移動体x軸(164)と移動体y軸(166)との平面内での前記ステータ面(146)に平行な平面的運動、及び
前記ステータ面(146)に垂直な移動体z軸(168)の周りの回転運動を含む、請求項1に記載の製造システム(100)。
【請求項4】
前記複数の移動体(160)のうちの少なくとも1つは、前記ステータ面(146)に垂直な方向にエンドエフェクタ(200)を延伸及び後退させるように構成された伸縮ポスト(172)を含む、請求項1に記載の製造システム(100)。
【請求項5】
前記1以上のエンドエフェクタ(200)のうちの少なくとも1つは、手首関節式機構(174)と多軸ロボット(176)とのうちの少なくとも一方を介して、前記複数の移動体(160)のうちの1つに結合可能である、請求項1に記載の製造システム(100)。
【請求項6】
前記1以上のエンドエフェクタ(200)うちの1以上は、
前記材料シート(300)を切断するように構成された切断デバイス(202)、
前記材料シート(300)のピックアップ及び配置を可能にするために、前記材料シート(300)に係合し、前記材料シート(300)から離脱するように構成されたグリッパ(206)、
ツーリング面(404)又は先に付加された材料シート(300)上の適所に前記材料シート(300)をスポット固定するように構成されたタッキングデバイス(212)、
前記ツーリング面(404)に対して前記材料シート(300)を圧密するように構成された圧密デバイス(216)、並びに
前記ツーリング面(404)上での前記材料シート(300)のピックアップ、配置、及び成形を能動的にモニタするように構成された検査デバイス(220)、のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の製造システム(100)。
【請求項7】
前記コントローラ(240)は、前記材料シート(300)をツーリング面(404)に付加する前に、前記複数の移動体(160)及び前記1以上のエンドエフェクタ(200)に、前記材料シート(300)を三次元スペース内で支持しながら、前記材料シート(300)を前記ツーリング面(404)と相補的な形状に成形させるように構成されている、請求項1に記載の製造システム(100)。
【請求項8】
ベース搬送システム(102)、
前記ベース搬送システム(102)によって移動可能に支持されたステータベース(142)であって、電磁場を生成するように構成された一連の電気コイル(144)をカバーする平面的なステータ面(146)を有するステータベース(142)、
前記ステータベース(142)に関連付けられた複数の移動体(160)であって、各移動体(160)は複数の永久磁石(162)を含み、前記複数の永久磁石(162)は、前記電磁場に応じて前記複数の移動体(160)を前記ステータ面(146)に対して浮上させて移動させるように構成されている、複数の移動体(160)、
前記複数の移動体(160)に結合され、材料シート(300)に関連して1以上の機能を実行するように構成された複数のエンドエフェクタ(200)、並びに
コントローラ(240)を備え、前記コントローラ(240)は、
前記ステータ面(146)にわたる前記複数の移動体(160)の独立した協調移動をもたらすやり方であって、材料ピックアップステーション(260)において前記複数のエンドエフェクタ(200)を前記材料シート(300)に係合させるやり方で、前記電気コイル(144)を選択的に起動すること、及び
前記ベース搬送システム(102)に、前記ステータベース(142)を運動の包絡線を通して移動させ、それによって、前記材料シート(300)を前記材料ピックアップステーション(260)から材料配置ステーション(400)へ搬送させること、を実行するように構成されている、製造システム(100)。
【請求項9】
前記ベース搬送システム(102)は、ロボットデバイス(104)、軌道システム、オーバーヘッドガントリ(112)のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の製造システム(100)。
【請求項10】
材料シート(300)を処理する方法であって、
平面的なステータ面(146)を有するステータベース(142)内の一連の電気コイル(144)を起動し、それによって、電磁場を生成すること、
複数の移動体(160)の各移動体(160)内の複数の永久磁石(162)が前記電磁場に反応したことに応じて、前記複数の移動体(160)を前記ステータ面(146)にわたり協調したやり方で浮上及び移動させること、並びに
前記複数の移動体(160)に結合された複数のエンドエフェクタ(200)を使用して、材料シート(300)に1以上の機能を実行することを含む、方法。
【請求項11】
前記ステータベース(142)内の前記一連の電気コイル(144)を起動することは、
互いに横並び関係で配置された複数のタイル(148)であって、前記ステータ面(146)を集合的に画定する複数のタイル(148)の各々内の一連の電気コイル(144)を起動することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の移動体(160)を移動させることは、少なくとも1つの移動体(160)を少なくとも2つの自由度で移動させることを含み、前記少なくとも2つの自由度は、
移動体x軸(164)と移動体y軸(166)との平面内で前記ステータ面(146)に平行な方向に前記移動体(160)を平行移動させること、及び
前記ステータ面(146)に垂直な移動体z軸(168)の周りで前記移動体(160)を回転させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つのエンドエフェクタ(200)を前記複数の移動体(160)のうちの1つに結合する伸縮ポスト(172)を使用して、前記ステータ面(146)に垂直な方向に前記少なくとも1つのエンドエフェクタ(200)を延伸及び後退させることを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つのエンドエフェクタ(200)を前記複数の移動体(160)のうちの1つに結合する手首関節式機構(174)又は多軸ロボット(176)のうちの一方を使用して、前記少なくとも1つのエンドエフェクタ(200)を方向付けることを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
1以上のエンドエフェクタ(200)を使用して、前記材料シート(300)に1以上の機能を実行することは、
切断デバイス(202)を使用して、前記材料シート(300)を切断すること、
複数のグリッパ(206)を使用して、前記材料シート(300)に係合し、前記材料シート(300)から離脱すること、
タッキングデバイス(212)を使用して、ツーリング面(404)又は先に付加された材料シート(300)上の適所に前記材料シート(300)をスポット固定すること、
圧密デバイス(216)を使用して、前記ツーリング面(404)に対して前記材料シート(300)を圧密すること、
検査デバイス(220)を使用して、前記ツーリング面(404)上での前記材料シート(300)のピックアップ、配置、及び成形をモニタすること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のグリッパ(206)を使用して、前記材料シート(300)に係合し、前記材料シート(300)から離脱することは、
平面的な構成にある材料シート(300)の全体を通して分散された対応する複数の係合ポイント(312)に前記複数のグリッパ(206)を係合させること、
前記複数の移動体(160)及び/又は前記複数のグリッパ(206)の位置及び/又は向きを調整することによって、前記材料シート(300)をピックアップすること、
前記複数の移動体(160)及び/又は前記複数のグリッパ(206)の前記位置を再調整することによって、非平面的なツーリング面(404)上に前記材料シート(300)を配置すること、並びに
前記複数の係合ポイント(312)から前記複数のグリッパ(206)を離脱させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ツーリング面(404)上に前記材料シート(300)を配置することは、
前記材料シート(300)の局所的な部分(314)を前記ツーリング面(404)に接触させるように最初に配置することであって、前記材料シート(300)の残りの部分が前記ツーリング面(404)から分離されている状態で配置すること、及び
前記ツーリング面(404)の上で前記材料シート(300)の前記残りの部分を徐々に成形しながら、対応する複数の前記グリッパ(206)を介して、複数の前記係合ポイント(312)において前記材料シート(300)に引張力(316)を加えること、
を介して、前記ツーリング面(404)の上で前記材料シート(300)を成形するようなやり方で、前記複数の移動体(160)及び/又は前記複数のグリッパ(206)を移動させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記材料シート(300)を前記ツーリング面(404)上に配置する前に、前記材料シート(300)を三次元スペース内で支持しながら、前記材料シート(300)を前記ツーリング面(404)と相補的な形状に成形させるようなやり方で、前記複数の移動体(160)及び前記複数のエンドエフェクタ(200)を位置決めし、方向付けることを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のエンドエフェクタ(200)が、前記材料シート(300)を材料ピックアップステーション(260)からピックアップし、前記材料シート(300)をツーリング面(404)を含む材料配置ステーション(400)へ移動させることを可能にする、運動の包絡線を通して前記ステータベース(142)を移動させるために、ベース搬送システム(102)を使用することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記運動の包絡線を通して前記ステータべース(142)を移動させるために、前記ベース搬送システム(102)を使用することは、
ロボットデバイス(104)、軌道システム、又はオーバーヘッドガントリ(112)のうちの1つを使用して、前記運動の包絡線を通して前記ステータベース(142)を移動させることを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、広くは、製造システムに関し、特に、複数の浮上する移動体で構成されるピックアンドプレース製造システムに関する。各浮上する移動体は、エンドエフェクタを支持し、材料シートに同時に係合して動作するような協調したやり方でステータ面にわたり移動可能である。
【背景技術】
【0002】
[0002] 複合材料は、高比強度、高比剛性、及び高耐食性といったそれらの好適な特性のため、広範な用途で使用されている。一例における複合材料は、樹脂(例えば、エポキシ)が予め含侵された繊維状材料(例えば、炭素繊維)で構成される。複合材ファブリックなどの複合材料は、概して、平坦な又は平面的な形状で製造され、機能的な最終製品を製造するためには二次成形が必要である。複合材料の二次成形には、幾つかの方法が開発されている。
【0003】
[0003] 二次成形の1つの方法は、手作業の動作である。その場合、1人以上の技術者が、プライカッターを使用して原材料から切り出された後の複合材料のシート又はプライをピックアップする。技術者は、プライカッターからレイアップ工具まで各プライを1枚ずつ手作業で運び、そこで各プライをレイアップ工具のツーリング面上に慎重に位置決めする。技術者は、各プライを手作業でツーリング面の輪郭に合わせて成形する。その成形プロセスは、ほとんど無計画であり、時間がかかり、プライを手作業で扱うため成形された製品にしわが寄ることもある。
【0004】
[0004] 別の1つの方法は、一方向テープ又はファブリックをレイアップ工具の上に自動付加するために、自動繊維配置機、輪郭テープ積層機、又はファブリック分配機などの、自動積層機(ALM)の使用を含む。このようなALMは、複合材料をツーリング面の輪郭に適合させるための機構を含む。しかし、複合材料のせん断強度とALMの嵩高性とは、複合材料を連続して成形できるレイアップ工具の形状を制限し得る。更に、ALMの材料堆積速度は、概して、ツーリング面の複雑さが増すにつれて低下する。
【0005】
[0005] スタンプ成形とダイヤフラム成形は、複合材料の単一平面成形のための、又は複雑さの程度が小さい成形のための方法である。複合材料のせん断強度は、スタンプ成形やダイヤフラム成形を使用して成形され得る形状の複雑さにおける制限要因であり得る。例えば、材料のせん断強度は、成形プロセス中に複合材料に加えられ得る力の大きさを制限し得る。複合材料の成形性が高ければ、スタンプ成形やダイヤフラム成形を使用して、複雑な形状を連続的に成形できるが、その場合、材料強度が犠牲になる可能性がある。
【0006】
[0006] 複合材料を成形する他の方法も利用可能である。しかし、このような方法は、重要なエリアにおける複合材料のブリッジや制御不能な伸長などの課題をもたらす可能性があり、成形された製品にしわや他の望ましくないフィーチャをもたらす可能性がある。ブリッジ問題を克服するためのアプローチも開発されているが、そのようなアプローチでは、複合材料を上手く成形できるレイアップ工具の形状が限られる。
【0007】
[0007] このように、複合材料を正確でしわがなく時間効率に優れたやり方で複雑な形状に自動的に成形するためのシステム及び方法が、当該技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 複合材料の自動成形に関連する上述の必要性は、電磁場を生成するように構成された一連の電気コイルをカバーする平面的なステータ面を有するステータベースを備える製造システムを提供する本開示によって対処される。加えて、製造システムは、複数の移動体を含む。各移動体は、電磁場に応じて複数の移動体をステータ面に対して浮上及び移動させるように構成された複数の永久磁石を含む。製造システムはまた、複数の移動体に結合された1以上のエンドエフェクタも含む。各エンドエフェクタは、材料シートに関連して1以上の機能を実行するように構成されている。更に、製造システムは、コントローラを含む。該コントローラは、ステータ面にわたる複数の移動体の独立した協調移動をもたらすやり方であって、複数のエンドエフェクタが材料シートに係合して動作することをもたらすやり方で、電気コイルを選択的に起動する。
【0009】
[0009] また、ベース搬送システムを有する製造システムも開示される。加えて、製造システムは、ベース搬送システムに移動可能に支持されたステータベースであって、電磁場を生成するように構成された一連の電気コイルをカバーする平面的なステータ面を有するステータベースを含む。また、製造システムは、ステータベースに関連付けられた複数の移動体も含む。各移動体は、電磁場に応じて移動体をステータ面に対して浮上させて移動させるように構成された複数の永久磁石を含む。更に、製造システムは、複数の移動体に結合された複数のエンドエフェクタであって、材料シートに関連して1以上の機能を実行するように構成された複数のエンドエフェクタを含む。製造システムは、更に、以下のことを実行するように構成されたコントローラを含む。それは、ステータ面にわたる移動体の独立した協調移動をもたらすやり方であって、材料ピックアップステーションにおいて、複数のエンドエフェクタが材料シートに係合することをもたらすやり方で、電気コイルを選択的に起動すること、及び、ベース搬送システムに運動の包絡線を通してステータベースを移動させ、それによって、材料シートを材料ピックアップステーションから材料配置ステーションへ搬送することである。
【0010】
[00010] また、材料シートを処理する方法も開示される。該方法は、平面的なステータ面を有するステータベース内の一連の電気コイルを起動し、それによって、電磁場を生成することを含む。加えて、該方法は、各移動体内の複数の永久磁石が電磁場に反応したことに応じて、複数の移動体をステータ面にわたり協調したやり方で浮上及び移動させることを含む。該方法はまた、複数の移動体に結合された複数のエンドエフェクタを使用して、材料シートに1以上の機能を実行することも含む。
【0011】
[00011] 上記の特徴、機能、及び利点は、本開示の様々なバージョンにおいて単独で実現することができ、又は、以下の説明及び図面を参照して更なる詳細が分かる更に別の複数のバージョンにおいて組み合わされてよい。
【0012】
[00012] 本開示は、添付の図面に関連して以下の詳細な説明を参照するとより良く理解することができ、図面は好適な例示的バージョンを示しているが、必ずしも縮尺通りには描かれていない。図面は例示であり、本明細書の説明又は特許請求の範囲への限定を意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[00013] ガントリとして構成されたベース搬送機構であって、平面的なモータシステムを材料切断テーブルの上で支持するベース搬送機構を有するピックアンドプレース製造システムの一実施例の斜視図である。
【
図2】[00014]
図1の線2‐2に沿って切り取られた製造システムの端面図である。
【
図3】[00015]
図3の線4に沿った平面的なモータシステムの上面斜視図であり、材料切断テーブル上に支持された材料シートの上方に配置された平面的なモータシステムを示す。
【
図4】[00016] ステータベースと複数の移動体とを備える平面的なモータシステムの下面図である。各移動体はエンドエフェクタを支持する。
【
図5】[00017] 平面的なモータシステムの一実施例の下面図である。その場合、ステータベースは、一連の横並びタイルで構成される。
【
図6】[00018]
図4の参照番号5によって特定される移動体の拡大図であり、材料シートを機械的に把持するためのグリッパとして構成されたエンドエフェクタであって、伸縮ポストを介して移動体に結合されたエンドエフェクタを示す。
【
図7】[00019] エンドエフェクタ(例えば、グリッパ)を伸縮ポストに結合する手首関節式機構の一実施例の斜視図である。
【
図8】[00020]
図6の線8‐8に沿って切り取られた平面的なモータシステムの一部分の断面図であり、ステータベースのステータ面に対して浮上した移動体を示し、ステータベース内に含まれた一連の電気コイル、及び移動体内に含まれた一連の永久磁石を更に示す。
【
図9】[00021] 材料シートをツーリング面に対して圧密するための圧密デバイスとして構成されたエンドエフェクタを支持する移動体の一実施例を示す。
【
図10】[00022] 材料シートをツーリング面上の適所にスポット固定するように構成されたタッキングデバイスとして構成されたエンドエフェクタの一実施例を示す。
【
図11】[00023] ツーリング面上での材料シートのピックアップ、配置、及び成形をモニタするための検査デバイスとして構成されたエンドエフェクタの一実施例を示す。
【
図12】[00024] 材料シートを切断するための切断デバイスとして構成されたエンドエフェクタの一実施例を示す。
【
図13】[00025] エンドエフェクタを移動体に結合する多軸ロボットを有する移動体の一実施例を示す。
【
図14】[00026] グリッパが材料切断テーブル上の材料シートと係合することを可能にする高さまで、ガントリを介して下げられた平面的なモータシステムを示す。
【
図15】[00027] ガントリを介して材料切断テーブルの上方に持ち上げられた平面的なモータシステム及び材料シートを示す。
【
図16】[00028]
図15の線16に沿った平面的なモータシステムの下面斜視図であり、グリッパによって係合された材料シートを示す。
【
図17】[00029] レイアップ工具の真上に配置された平面的なモータシステムを示す。
【
図18】[00030] 材料シートをツーリング面の上に付加するためにレイアップ工具に近接して下げられた平面的なモータシステム及び材料シートを示す。
【
図19】[00031] 材料シートがツーリング面に付加された後、レイアップ工具の上方に持ち上げられた平面的なモータシステムを示す。
【
図20】[00032] 材料シートをツーリング面に付加する初期段階中の平面的なモータシステム及びレイアップ工具の図式的な断面図である。
【
図21】[00033] 材料シートをツーリング面の上で成形する中間段階中のグリッパの再方向付け及び再位置決めを示す平面的なモータシステム及びレイアップ工具の図式的な断面図である。
【
図22】[00034] 材料シートをツーリング面の上で成形する完了時におけるグリッパの再方向付け及び再位置決めを示す平面的なモータシステム及びレイアップ工具の図式的な断面図である。
【
図23】[00035]
図20の線23‐23に沿って切り取られた材料シート及びレイアップ工具の上面図であり、ツーリング面の上で成形する初期段階中の材料シートを示し、グリッパを介して係合ポイントにおいて加えられた引張力に応じて、材料シートの移動の追跡を可能にするための材料シート上の複数の制御ポイントを更に示す。
【
図24】[00036] 対応する複数の係合ポイントにおいて材料シートに係合する比較的大量の移動体及びグリッパを含む平面的なモータシステムの一実施例の図式的な断面図である。
【
図25】[00037]
図24の線25‐25に沿って切り取られた材料シートの上面図であり、グリッパが材料シートに係合する複数の係合ポイントを示す。
【
図26】[00038] 材料シートをツーリング面の上で成形する中間段階中のグリッパの再方向付け及び再位置決めを示す
図24の平面的なモータシステムの図式的な断面図である。
【
図27】[00039]
図26の線27‐27に沿って切り取られた材料シートの上面図であり、係合ポイントにおけるグリッパを介した材料シートへの引張力の印加を示す。
【
図28】[00040] レイアップ工具の上に持ち上げられた平面的なモータシステム及び材料シートを示す。
【
図29】[00041] 材料シートがレイアップ工具の上方の三次元スペース内で支持されている間に、ツーリング面と相補的な形状に成形された材料シートを示す。
【
図30】[00042] レイアップ工具の上方で材料シートを支持する比較的大量の移動体及びグリッパを含む平面的なモータシステムの図式的な断面図である。
【
図31】[00043] レイアップ工具の上方の三次元スペース内で支持されている間の、材料シートの成形中の平面的なモータシステムの図式的な断面図である。
【
図32】[00044] レイアップ工具の上方の三次元スペース内で支持しながらツーリング面と相補的な形状に材料シートを成形することの完了時における平面的なモータシステムの図式的な断面図である。
【
図33】[00045] ツーリング面の上に下げられた後の平面的なモータシステム及び材料シートの図式的な断面図である。
【
図34】[00046] ベース搬送機構が、ロボット軌道に沿って移動可能な複数のロボットデバイスを備える、製造システムであって、材料シートに係合して動作するための複数の平面的なモータシステムを操作するように構成された製造システムの更なる一実施例の斜視図である。
【
図35】[00047]
図34の線35‐35に沿って切り取られた製造システムの側面図であり、グリッパによって係合するために材料シートの上に平面的なモータシステムを配置するロボットデバイスを示す。
【
図36】[00048] 平面的なモータシステムを操作し、それによって、材料シートを材料切断テーブルの上方に持ち上げるロボットデバイスを示す、
図34の製造システムの斜視図である。
【
図37】[00049] 材料シートを材料切断テーブルからレイアップ工具へ搬送しながらロボット軌道に沿って移動するロボットデバイスを示す、
図36の製造システムの斜視図である。
【
図38】[00050] 材料シートをツーリング面の真上に配置するロボットデバイスを示す、
図37の製造システムの斜視図である。
【
図39】[00051] 材料シートをツーリング面の上で成形するプロセスの完了時におけるグリッパの再方向付け及び再位置決めを示す、
図38の製造システムの斜視図である。
【
図40】[00052] 材料シートをツーリング面の上で成形するプロセスの完了時におけるグリッパの向き及び位置を示す、
図39の線40‐40に沿って切り取られた製造システムの側面図である。
【
図41】[00053] 材料シートを処理する方法に含まれる動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[00054] 本開示で示される複数の図は、提示されるバージョンの様々な態様を表しており、相違点のみが詳細に説明されることになる。
【0015】
[00055] 次に、開示される複数のバージョンが、添付の図面を参照しながらより完全に説明されることとなる。それらの図面には、本開示の複数の実施例の全てが示されているわけではない。実際には、幾つかの異なる実施例又はバージョンが提供されることがあり、これらは本明細書で説明される複数の実施例に限定されると解釈すべきではない。これらの実施例はむしろ、この開示が包括的なものになり且つ本開示の範囲が当業者に十分に伝わるように提供されている。
【0016】
[00056] 本明細書は、「幾つかの実施例(some example)」、「ある実施例(one example)」、又は「一実施例(an example)」への参照を含む。「幾つかの実施例」、「ある実施例」、又は「一実施例」という表現の事例は、必ずしも同じ実施例を指すわけではない。特定の特徴、構造、又は特性が、本開示と合致する任意の適切な様態で組み合わせられ得る。
【0017】
[00057] 本明細書で使用されるときに、「含む、備える(comprising)」は、非限定的な(open-ended)用語であり、特許請求の範囲で使用されるときに、この用語は、追加的な構造又はステップを排除しない。
【0018】
[00058] 本明細書で使用されるときに、「ように構成される(configured to)」は、様々な部品又は構成要素が、1以上の作業を実行する「ように構成される」として説明又は請求され得ることを意味している。このような文脈において、「ように構成される」は、部品又は構成要素が、動作中にそれらの1以上の作業を実行する構造を含んでいることを示すことによって、構造を暗示するために使用される。したがって、部品又は構成要素は、指定された部品又は構成要素が現在含まれていないときでさえも、その作業を実行するように構成されると言うことができる。
【0019】
[00059] 本明細書で使用されるときに、単語「一(a)」又は「1つの(an)」に続く単数形の要素又はステップは、複数の当該要素又はステップを必ずしも除外しないと理解されるべきである。
【0020】
[00060] 本明細書で使用されるときに、列挙されたアイテムと共に使用される「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙されたアイテムのうちの1以上の種々の組み合わせが使用されてもよく、列挙された各アイテムのうちの1つだけが必要とされてもよいということを意味する。言い換えるならば、「~のうちの少なくとも1つ」とは、列挙された中から、アイテムの任意の組み合わせ及び任意の数のアイテムが使用されてよく、列挙されたアイテムの全てが必要とされるわけではないことを意味している。アイテムは、特定の物体、物、又はカテゴリであり得る。
【0021】
[00061] 次に図面を参照すると、
図1~
図2で示されているのは、材料シート300にピックアンドプレース動作を実行するように構成された製造システム100の一実施例である。図示されている一実施例では、製造システム100が、ベース搬送システム102、平面的なモータシステム140、及びコントローラ240を含む。平面的なモータシステム140は、ステータベース142、及び1以上の移動体160(
図2)を含む。移動体160は、ステータベース142と非接触関係で浮上して移動するように構成されている。
【0022】
[00062]
図1~
図13で示され、以下でより詳細に説明されるように、平面的なモータシステム140は、移動体160に結合された1以上のエンドエフェクタ200を含む。各エンドエフェクタ200は、材料シート300に関連して1以上の機能を実行するように構成されている。例えば、エンドエフェクタ200は、材料ピックアップステーション260(例えば、
図14)において材料シート300に係合し(例えば、把持し)、材料シート300をピックアップし、ベース搬送システム102(例えば、
図15~
図17)を介して材料シート300を材料配置ステーション400へ搬送し、材料配置ステーション400(例えば、
図18)において材料シート300をレイアップ工具402の上に配置するように構成されたグリッパ206(
図4)として構成され得る。その後、グリッパ206は、材料シート300から離脱する(例えば、
図19)。例えば、各グリッパ206は、材料シート300上の予め規定された係合ポイント312(
図3)において材料シート300に係合し得る。
図20~
図27で示され、以下でより詳細に説明されるように、材料シート300は、ツーリング面404の上でのピックアップ、配置、及び/又は成形中に、材料シート300の移動の追跡を可能にする複数の予め規定された制御ポイント310(
図3)を含む。
【0023】
[00063] これに関して、平面的なモータシステム140は、材料シート300に実行されるピックアンドプレース動作の一部として、同時発生的及び/又は連続的なやり方で1以上の機能を実行する、複数のエンドエフェクタ200の独立した平面的及び面外移動のための手段を提供する。例えば、ピックアンドプレース能力に加えて、平面的なモータシステム140は、個々の材料シート300の測定、圧密、タッキング(tacking)、及び/又は切り出し(shearing)のための手段を提供する。材料シート300は、複合材プライであり得る。製造システム100は、複合材積層体(図示せず)をレイアップするプロセスの一部として、レイアップ工具402の上で各複合材プライを成形し得る。
【0024】
[00064]
図1~
図2の一実施例を参照すると、ベース搬送システム102は、平面的なモータシステム140を支持して搬送するように構成されたオーバーヘッドガントリ112として示されている。ガントリ112は、一対のオーバーヘッドビーム114を有する。ステータベース142は、オーバーヘッドビーム114と固定的に結合されている。オーバーヘッドビーム114は、両端部でガントリポスト116に結合されている。オーバーヘッドビーム114は、平面的なモータシステム140の垂直高さを位置決めするために、ガントリポスト116に沿って垂直方向に移動可能である。ガントリポスト116は、製造現場に埋め込まれ得るガントリ軌道118に沿って移動可能である。オーバーヘッドビーム114の垂直方向の移動とガントリ112の水平方向の移動とは、コントローラ240によって制御される。
【0025】
[00065] ガントリ112の代替として、ベース搬送システム102は、1以上のロボットデバイス104(
図34~
図40)として提供され得る。以下でより詳細に説明されるように、各ロボットデバイス104は、1以上の平面的なモータシステム140を支持し、移動させるように構成されている。しかし、ベース搬送システム102は、ガントリ112又はロボットデバイス104に限定されず、平面的なモータシステム140を支持して搬送するための様々な代替的ベース搬送システム102のうちのいずれか1つを含み得る。
【0026】
[00066]
図1~
図33では、ベース搬送システム102が、材料切断テーブル262を含む材料ピックアップステーション260とレイアップ工具402を含む材料配置ステーション400との間で、単一の平面的なモータシステム140(及び材料シート300)を搬送する文脈で説明される。しかし、ベース搬送システム102は、製造施設内の様々な異なる位置のうちのいずれか2つの間で任意の数の平面的なモータシステム140を搬送するように構成されてよく、材料ピックアップステーション260と材料配置ステーション400との間の移動に限定されない。
【0027】
[00067]
図1~
図8を参照すると、上述されたように、平面的なモータシステム140は、ステータベース142と1以上の移動体160とを含む。
図4は、ステータベース142にわたる4つの移動体160を示し、各移動体160は、材料シート300に係合し又は材料シート300を把持するためのグリッパ206として構成されたエンドエフェクタ200を支持する。
図3の一実施例では、材料シート300が、それぞれ4つのグリッパ206(
図4)による係合のための4つの係合ポイント312を有する。
図4は、4つの移動体160と4つのエンドエフェクタ200とを示しているが、製造システム100は、任意の数の移動体160及び任意の数のエンドエフェクタ200を含み得る。
【0028】
[00068]
図8で示されているように、ステータベース142は、一連の電気コイル144をカバーする平面的なステータ面146を有する。電気コイル144は、アレイ状に配置され(例えば、ハルバッハアレイ又は他の配置)、コントローラ240の命令を介して通電されると、電磁場(図示せず)を生成するように構成されている。ステータベース142は、正方形状を有するように図示されているが、ステータベース142は、非限定的に、矩形状、直線形状、三角形状、円盤形状、又は他の形状を含む、様々な異なる形状のうちのいずれか1つを有し得る。
【0029】
[00069]
図6~
図8を参照すると、移動体160の各々は、
図8で示されているように、水平面に配置された複数の複数の永久磁石162を含む。コントローラ240によって起動されたときに電気コイル144によって生成される電磁場に応じて、永久磁石162は、ステータ面146と非接触関係で移動体160を浮上及び移動させる。有利なことに、ステータ面146にわたる移動体160の非接触移動は、従来のピックアンドプレースシステムに関連付けられる摩擦エネルギー損失及び摩耗をなくす。
図6では正方形状を有するように示されているが、移動体160は、非限定的に、矩形状、三角形状、円盤形状、又は他の形状を含む、様々な代替的形状のうちのいずれか1つとして設けられてよい。
【0030】
[00070]
図6では、各移動体160が、移動体x軸164、移動体y軸166、及び移動体z軸168を有する。各移動体160は、移動体x軸164(例えば、左右方向)及び移動体y軸166(例えば、前後方向)の平面内のステータ面146と平行な平面的運動を含む、少なくとも2つの自由度で移動するように構成されている。コントローラ240は、無数の自由にプログラム可能な移動体経路(図示せず)に沿ってステータ面146にわたり、独立して各移動体160を誘導するようなやり方で、電磁場を精密に操作するように構成されている。一実施例では、移動体160が、秒速2メートルまで又はそれより上の速度で移動するように構成され得る。加えて、移動体160は、数十ミクロン(例えば、50ミクロン未満)のオーダーの位置再現精度で、ステータ面146の任意の位置において停止され得る。
【0031】
[00071] ステータ面146に平行な移動に加えて、各移動体160は、移動体z軸168の周りでいずれかの方向に360度回転するように構成されている。
図8で示されているように、移動体160は、更に、ステータ面146に対して制御可能な移動体‐ステータ間隙170(例えば、5mmまで)で浮上するように構成されている。更に、移動体160は、移動体x軸164の周りでの少量の傾斜運動(例えば、5度まで)及び/又は移動体y軸166の周りでの少量の傾斜運動(例えば、5度まで)が可能なように構成され得る。
【0032】
[00072]
図5を参照すると、互いに横並び関係で配置された複数のタイル148で構成されたステータベース142の一実施例が示されている。タイル148は、タイル支持フレーム152に取り付けられている。タイル支持フレーム152は、好適には、金属材料(例えば、アルミニウム)、複合材料(例えば、炭素繊維)、又は他の材料などの、剛性材料で製造された剛性構造体である。タイル支持フレーム152は、ピックアンドプレース動作中に複数タイルのステータベース142を移動させることができるように、ベース搬送システム102結合され得る。
【0033】
[00073]
図5では、各タイル148が、タイル上面150を有し、一連の電気コイル144(
図8)を含む。横並び関係で組み立てられたときに、複数のタイル148は、平面的なステータ面146を有するステータベース142を集合的に形成する。複数のタイル148はモジュール式であり、様々な異なる形状のうちのいずれか1つを有するステータ面146を形成するために、任意の数のタイル148が横並び関係で配置されることを可能にする。
図5は、正方形状を有するステータベース142を形成するように配置された複数のタイル148を示しているが、複数のタイル148は、矩形状、直線形状、又は任意の他の形状を有するステータベース142を形成するように配置されてよい。モジュール式の複数のタイル148を含む平面的なモータシステム140の一例は、ミネソタ州サベージのBeckhoff Automation社から市販されているXPlanarモータシステム(商標)である。
【0034】
[00074]
図1~
図13で示されているように、製造システム100は、移動体160に結合された1以上のエンドエフェクタ200を含む。図示されている一実施例では、各移動体160が、単一のエンドエフェクタ200を支持する。しかし、図示されていない他の複数の実施例では、単一の移動体160が、2つ以上のエンドエフェクタ200を支持してよい。各エンドエフェクタ200は、移動体160に支持され、機械的に結合されている。
図1~
図7、及び
図9~
図12は、エンドエフェクタ200を移動体160に結合する伸縮ポスト172を有する各移動体160を示している。伸縮ポスト172は、移動体z軸168(
図6)に沿って、ステータ面146に垂直な方向にエンドエフェクタ200を延伸及び後退させるように構成されている。
【0035】
[00075] 代替的に又は更に、各移動体160は、任意の数の方向におけるエンドエフェクタ200の回転を容易にするためのジョイントアセンブリを含んでよい。例えば、
図7は、エンドエフェクタ200を伸縮ポスト172に結合する手首関節式機構174を示している。手首関節式機構174は、少なくとも2つの軸の周りでエンドエフェクタ200を回転させるように構成されている。幾つかの実施例では、手首関節式機構174が、ユニバーサルジョイント、ボールアンドソケットジョイント、又は他のジョイント構成として構成され得る。ジョイントアセンブリの別の一実施例では、
図13が、エンドエフェクタ200を移動体160に結合する多軸ロボットアーム176を示している。多軸ロボットアーム176は、任意の数の軸の周りでのエンドエフェクタ200の配向を容易にするために、任意の数のアームセグメント108及びアームジョイント110を含み得る。
【0036】
[00076]
図6及び
図9~
図12を参照すると、各エンドエフェクタ200が、材料シート300(製造システム100によってレイアップされている複合材積層体の複合材プライなど)に関連して1以上の機能を実行するように構成されている。
図6は、材料ピックアップステーション260(
図1)などからの材料シート300のピックアップを可能にするために、材料シート300に係合する(すなわち、把持する)ように構成されたグリッパ206として構成されたエンドエフェクタ200の一実施例を示している。グリッパ206はまた、材料配置ステーション400においてレイアップ工具402のツーリング面404に付加された後、材料シート300から離脱する(すなわち、材料シート300を解放する)ようにも構成されている。
図6及び
図9~
図12の一実施例では、グリッパ206が、材料シート300に機械的に係合するためのグリッパプレート208から突出する複数の針又はフック210を有する。しかし、図示されていない他の複数の実施例では、グリッパ206が、材料シート300の真空係合のための複数の吸引カップを備えてよい。或いは、グリッパ206が、材料シート300の静電係合のための静電デバイス(図示せず)を備えてよい。
【0037】
[00077]
図9は、圧密デバイス216として構成されたエンドエフェクタ200の一実施例を示している。圧密デバイス216は、ツーリング面404(
図1)に対して又は先に付加された材料シート300に対して、材料シート300(
図1)を圧密するように構成されている。図示されている一実施例では、圧密デバイス216が、ツーリング面404の上を転動する最中に材料シート300上に圧密圧力を加えるように構成されたローラー218である。図示されていない他の複数の実施例では、圧密デバイス216が、圧密圧力を加えている間に材料シート300の上で摺動するように構成された圧密シューであってよい。
【0038】
[00078]
図10は、タッキングデバイス212として構成されたエンドエフェクタ200の一実施例を示している。タッキングデバイス212は、ツーリング面404又は先に付加された材料シート300に、材料シート300をスポット固定するように構成されている。材料シート300のスポット固定は、後続のレイアップ、圧密、及び/又はトリミング中に、材料シート300の移動を防止する。図示されている一実施例では、タッキングデバイス212が、スポット加熱を介して材料シート300を適所に付着させるように構成された半田ごて214である。しかし、タッキングデバイス212は、材料シート300を適所にスポット固定するための様々な他の構成のうちのいずれか1つとして設けられてよい。
【0039】
[00079]
図11は、検査デバイス220として構成されたエンドエフェクタ200の一実施例を示している。製造システム100は、ツーリング面404上での材料シート300のピックアップ、配置、及び/又は成形を能動的にモニタするように構成された1以上の検査デバイス220を含み得る。例えば、検査デバイス220は、ツーリング面404上の材料シート300の正確な位置決めを容易にし得る。それによって、材料シート300のシート縁部308(
図18)が、製造システム100と共に含まれる1以上のレーザー投影デバイス(図示せず)を使用してツーリング面404の上に投影された縁部位置406(
図1)と整列する。検査デバイス220からのフィードバックが、後続の付加される材料シート300の横たえの精度を改善するようなやり方で、コントローラソフトウェアの調整を容易にし得る。検査デバイス220は、可視光カメラ、赤外線センサ、渦電流センサ、温度センサ、並びに/又は、材料シート300上で実行され得るピックアップ、配置、成形、トリミング、及び他の動作を、能動的に測定し、観察し、及び/又は検知するための能力を有する様々な他のセンサ構成のうちのいずれか1つであり得る。
【0040】
[00080]
図12は、切断デバイス202として構成されたエンドエフェクタ200の一実施例を示している。図示されている一実施例では、切断デバイス202が、複合材プライなどの材料シート300を切断するように構成されたナイフブレード204である。これに関して、複合材プライを材料切断テーブル262上に係合させるためのグリッパ206に加えて、平面的なモータシステム140は、材料切断テーブル262からの複合材プライのピックアップ中に、移動体に取り付けられた検査デバイス220(例えば、力センサやカメラ、図示せず)によって検出された任意の未切断材料(例えば、未切断繊維)を切断するための、1以上の移動体に取り付けられた切断デバイス202を含み得る。
【0041】
[00081] 未だ
図6及び
図9~
図12を参照すると、各移動体160のサイズ(例えば、長さ及び幅)が、エンドエフェクタ200の質量によって及び/又はエンドエフェクタ200によって実行される機能によって、少なくとも部分的に決定され得る。比較的重いエンドエフェクタ200並びに/又は材料シート300及び/若しくはレイアップ工具402に大きな力を加えるエンドエフェクタ200を支持する移動体160は、より軽量なエンドエフェクタ200並びに/又は材料シート300若しくはレイアップ工具402に限られた量の力を加えるエンドエフェクタ200を支持する移動体160よりもサイズが大きくなり得る。例えば、グリッパ206(例えば、
図9)を支持する移動体160は、検査デバイス220、タッキングデバイス212、又は切断デバイス202を支持する移動体160よりもサイズが大きくなり得る。それは、ピックアップ及び配置中に材料シート300の質量の一部分を支持するためのグリッパ206の要件に起因する。それはまた、
図23及び
図25で示され、以下で説明されるように、ツーリング面404の上での成形中に材料シート300に引張力316を加えるためのグリッパ206の任意選択的な要件に起因する。同様に、圧密デバイス216を支持する移動体160は、比較的サイズが大きくなり得る。というのも、圧密デバイス216は、成形プロセス中にツーリング面404に対して材料シート300上に圧密圧力を加える必要があるからである。対照的に、検査デバイス220(例えば、
図11)、タッキングデバイス212、又は切断デバイス202を支持する移動体160は、比較的サイズが小さくなり得る。というのも、検査デバイス220、タッキングデバイス212、又は切断デバイス202は、いずれも材料シート300又はレイアップ工具402に大きな力を加える必要がないからである。
【0042】
[00082] 上述されたように、製造システム100は、コントローラ240(例えば、
図1及び
図3~
図5)を含む。コントローラ240は、ステータベース142及びエンドエフェクタ200と通信可能に結合されている。コントローラ240は、複数の移動体160をステータ面146に対して浮上させる電磁場をもたらすやり方で、電気コイル144(
図8)を選択的に起動するように構成されている。移動体を浮上させることに加えて、電磁場は、移動体160が、上述された移動体‐ステータ間隙170(
図8)を越えて、ステータ面146から垂直方向に離れるように移動することを防止する。更に、電磁場は、無限の様々な予めプログラムされた移動体経路(図示せず)のいずれか1つに沿って、ステータ面146と平行に移動体160を推進するようなやり方で操作される。上述されたように、コントローラ240は、ステータ面146にわたる移動体160の独立した協調移動をもたらす電磁場を生成するように構成されている。加えて、コントローラ240は、材料シート300に係合して動作するようにエンドエフェクタ200に命令する。ステータベース142の移動(ベース搬送システム102を介した)、移動体160の移動、及び/又はエンドエフェクタ200の移動は、連続的に及び/又は同時に行われ得る。
【0043】
[00083] 平面的なモータシステム140は、ステータ面146の配向に関係なく、移動体160がステータ面146から上述された移動体‐ステータ間隙170(
図8)で浮上するように構成されている。移動体160は、ステータ面146が水平に向いているか(すなわち、下向き又は上向きに面している)、又はステータ面146が水平に向いていないかに関係なく、移動体‐ステータ間隙170に維持され得る。
図1~
図33の一実施例では、ステータベース142が、ガントリ112に固定的に結合され、ステータ面146が下を向いた状態で水平配向に維持されている。電磁場は、移動体160がステータ面146の下方で一定の移動体‐ステータ間隙170に維持されるようになっている。
【0044】
[00084] 更に、図示されていないが、ベース搬送システム102は、ステータ面146が上を向くようにステータベース142を方向付けることができ、電磁場は、移動体160がステータ面146に対して移動体‐ステータ間隙170に維持されるようになっている。更に他の複数の実施例では、ベース搬送システム102が、ステータベース142を非水平方向(例えば、横向き)に向けることができ、電磁場は、移動体160がステータ面146に対して一定の移動体‐ステータ間隙170に維持されるようになっている。ベース搬送システム102は、
図34~
図40の一実施例で示されているように、製造システム100の動作中に、ステータ面146が異なる時間において異なる方向を向くように(例えば、上向き、下向き、横向き)、ステータベース142を再方向付けすることができる。
【0045】
[00085]
図14~
図22を参照すると、ステータベース142及び複数の移動体160を有する平面的なモータシステム140を支持するガントリ112として構成されたベース搬送システム102の一実施例が示されている。ステータベース142は、下を向いたステータ面146を有する。各移動体160は、グリッパ206を伸縮ポスト172で支持する。図示されていないが、平面的なモータシステム140はまた、1以上の検査デバイス220(
図11)及び1以上の切断デバイス202(例えば、
図12)も含んでよい。それらの各々は、移動体160で支持される。
【0046】
[00086]
図14では、コントローラ240が、材料切断テーブル262の上方の高さまでステータベース142を下げるようにガントリ112に命令する。材料切断テーブル262は、平面的な形態を採る複合材ファブリックなどの原材料302を支持するように構成されている。材料シート300(例えば、複合材プライ)は、二次元プライカッター(図示せず)などの従来の切断機械を使用して、切断ライン306に沿って原材料302から切り出されている。
【0047】
[00087]
図14で示されているように、コントローラ240は、材料シート300の全体を通して分散された対応する複数の係合ポイント312(
図3)において材料シート300と係合するように、複数のグリッパ206に命令する。材料シート300はまた、材料シート300の全体を通して分散された複数の制御ポイント310(
図3)も含んでよい。制御ポイント310は、検査デバイス220を介して、材料シート300のピックアップ、配置、及び成形の追跡を可能にする。グリッパ206は、材料シート300のピックアップ中に、計画された順序で係合位置に係合されてよい。
【0048】
[00088]
図14~
図15を参照すると、コントローラ240の命令により、ガントリ112は、平面的なモータシステム140を持ち上げ、それによって、材料シート300を材料切断テーブル262からピックアップし、スクラップ材料304のみを残す。幾つかの実施例では、材料切断テーブル262上の原材料302からの材料シート300の抽出を容易にするために、伸縮ポスト172が部分的に後退してよい。代替的に又は更に、コントローラ240は、材料シート300の抽出を容易にするために、ステータ面146にわたる移動体160の位置を互いに対して調整し、及び/又はグリッパ206の配向を調整するように構成されてよい。
【0049】
[00089] 材料切断テーブル262から材料シート300を持ち上げる初期段階中に、検査デバイス220(
図20)は、原材料302からの材料シート300の抽出を阻害する可能性がある任意の未切断材料(例えば、複合材プライの未切断繊維)について切断ライン306を検査することができる。この目的のために、検査デバイス220は視覚カメラとして構成されてよく、又はグリッパ206は力センサを有してよく、或いは、切断ライン306に沿って未切断材料を検出するための様々な他のデバイスのうちのいずれか1つが、製造システム100と共に含まれてよい。平面的なモータシステム140は、1以上の切断デバイス202(
図12)を含んでよい。各切断デバイス202は、検査デバイス220によって検出された任意の未切断材料を切断するために移動体160に取り付けられる。代替的に、任意の未切断材料は、技術者によって手作業で切断され得る。
【0050】
[00090]
図15は、材料切断テーブル262の上方にガントリ112によって垂直に持ち上げられた材料シート300を示している。
図16は、係合ポイント312においてグリッパ206に係合された材料シート300を示している。
図17は、平面的なモータシステム140及び材料シート300を、材料切断ステーションから材料配置ステーション400へ搬送するガントリ112を示している。材料配置ステーション400では、材料シート300が、レイアップ工具402のツーリング面404の上方に吊り下げられている。製造システム100は、ツーリング面404の上に縁部位置406を投影するように構成された1以上のレーザープロジェクター(図示せず)を含んでよい。縁部位置406は、ツーリング面404の上に正確に位置決めされ、ツーリング面404の上で成形されるときの、材料シート300のシート縁部308の意図される位置を規定する。
【0051】
[00091]
図18~
図19を参照すると、コントローラ240は、示されている一実施例では非平面的なツーリング面404上に材料シート300を配置するための協調したやり方で動作するように、ガントリ112、移動体160、及びエンドエフェクタ200(例えば、グリッパ206、圧密デバイス216、タッキングデバイス212、及び/又は検査デバイス220)に命令するよう構成されている。コントローラ240は、ツーリング面404上での材料シート300の配置及び成形中に必要とされるように、移動体160及び/又はグリッパ206の位置及び/又は向きの調整を命令するように構成されている。材料シート300の配置に成功した後、コントローラ240は、係合ポイント312から離脱するように複数のグリッパ206に命令する。コントローラ240は、レイアップ工具402上に先に付加された材料シート300上への配置のために、材料シート300をピックアップするプロセスを繰り返すため、
図19で示されているように平面的なモータシステム140を持ち上げ、材料ピックアップステーション260(
図14)に戻るようガントリ112に命令する。
【0052】
[00092] 幾つかの実施例では、
図20~
図23を参照すると、コントローラ240は、ツーリング面404の上での材料シート300の成形中に、制御ポイント310の移動をモニタ及び記録するよう検査デバイス220に命令する。以下で説明されるように、制御ポイントの移動の記録は、成形中及び成形後のツーリング面404上の材料シート300の位置決めの精度を特定するために分析され得る。
図20は、材料シート300が平面的な構成にある成形の初期段階を示している。
図23で示されているように、平面的な材料シート300の局所的な部分314(クロスハッチ領域として示されている)が、最初にレイアップ工具402と接触する。一方で、材料シート300の残りの部分は、最初はツーリング面404から分離されている。係合ポイント312におけるグリッパ206(
図20~
図22)を介した材料シート300への引張力316の任意選択的な印加もまた、
図23で示されている。引張力316は、ツーリング面404の上での成形中に材料シート300におけるしわの発生を低減又は最小化するやり方で加えられ得る。
【0053】
[00093]
図21は、成形の中間段階における材料シート300を示している。コントローラ240は、ツーリング面404の上で材料シート300を徐々に成形するようなやり方で、移動体160及び/又はグリッパ206の移動を命令する。例えば、コントローラ240は、材料シート300がツーリング面404の凸状湾曲に適合するにつれて、ツーリング面404の両側にある移動体160が、互いに向けて(例えば、レイアップ工具402の中心線に向けて)わずかに移動するように命令し得る。同時に、コントローラ240は、グリッパ206が材料シート300をツーリング面404と接触するような方向に徐々に移動させるにつれて、伸縮ポスト172が徐々に延伸するように命令し得る。
【0054】
[00094]
図22は、成形プロセスの完了段階を示しており、ツーリング面404の湾曲に材料シート300を適合させるための、移動体160及び/又はグリッパ206の更なる再方向付け及び/又は再位置決めを示している。
図20~
図22では、検査デバイス220が、材料シート300上の制御ポイント310の移動を綿密にモニタ及び記録する。加えて、検査デバイス220は、グリッパ206によってそれらのそれぞれの係合ポイント312に加えられる任意の引張力316をモニタ及び記録してよい。この目的のために、各グリッパ206は、その係合ポイント312に加えられる引張力316の大きさ及び向きを測定するように構成された力センサ(図示せず)を含んでよい。検査デバイス220はまた、成形プロセスの完了段階中及び/又は完了時に各材料シート300において生じる任意のしわ(図示せず)の形成を記録するようにも構成される。
【0055】
[00095] 以下でより詳細に説明されるように、成形プロセス中に検査デバイス220によって記録される上述された情報は、各材料シート300(例えば、複合材プライ)がレイアップ工具402に付加されるにつれて、継続的にコントローラ240に供給される。コントローラ240は、人工知能(例えば、機械学習)を使用するように構成されたプロセッサ(図示せず)を含む。人工知能は、成形プロセス中の各係合ポイント312における引張力316及び各制御ポイント310の移動、並びに各材料シート300において生じる結果としてのしわ(例えば、しわの量、位置、サイズ、及び方向)を分析する。この分析に基づいて、プロセッサは、コントローラソフトウェアに対する調整を行うように構成されている。コントローラソフトウェアは、引き続いて付加される材料シート300におけるしわの形成を低減させるようなやり方で、ベース搬送システム102、移動体160、及び/又はエンドエフェクタ200の移動を制御する。例えば、コントローラソフトウェアは、1以上の係合ポイント312において加えられる引張力316の向き及び/又は大きさ及び/又は順序をわずかに変えるやり方で調整されてよい。
【0056】
[00096]
図24~
図27を短く参照すると、大量のグリッパ206を含む製造システム100の一実施例の側面図が、
図24及び
図26で示されている。これらのグリッパ206は、材料シート300(
図25及び
図27)上の対応する数の係合ポイント312に係合される。
図24~
図25は、レイアップ工具402の上に平面的な材料シート300を付加し、結果として局所的な部分314(クロスハッチで示されている)がツーリング面404に接触することをもたらす、初期段階を示している。
図26~
図27は、ツーリング面404の上で材料シート300を成形する中間段階を示している。上述されたように、コントローラソフトウェアはまた、引張力316が係合ポイント312に加えられる順序を調整するようなやり方で修正されてもよい。例えば、材料シート300の初期の付加中に、局所的な部分314に最も近いグリッパ206(例えば、インボードグリッパ)は、それらの対応する係合ポイント312に引張力316を加えることができる。一方で、シート縁部308に最も近いグリッパ206(例えば、アウトボードグリッパ)は、それらの係合ポイント312にほとんど又は全く引張力を加えない。
図26及び
図27で示されている成形の中間段階では、シート縁部308に最も近いグリッパ206は、それらの対応する係合ポイント312において引張力316を加えることができる。一方で、インボードグリッパ206は、それらの係合ポイント312に引張力を加えることを停止する。というのも、そのような係合ポイント312は、成形プロセス中にそのポイントにおいてレイアップ工具402に接触しているからである。
図24~
図27の製造システム100は、検査デバイス220(移動体160に取り付けられた)を含み得る。検査デバイス220は、コントローラ240へのフィードバックのために制御ポイント310の移動をモニタするように構成されている。それによって、ツーリング面404の上に材料シート300が位置決めされる精度、及びツーリング面404の上で材料シート300が成形される精度を改善するために、移動体160及びグリッパ206の移動の調整を容易にする。
【0057】
[00097]
図28~
図33を参照すると、製造システム100の一実施例が示されている。その場合、コントローラ240(
図1)は、材料シート300をツーリング面404の上に付加する前に、移動体160及びエンドエフェクタ200に、材料シート300をツーリング面404と相補的な形状に成形することを実行させるように構成されている。例えば、
図28及び
図30では、材料シート300が、レイアップ工具402に付加される前に、平面的な構成で支持されている。
図31は、レイアップ工具402の上方の三次元スペース内で支持されている材料シート300を示す。
図31における移動体160及びグリッパ206は、ツーリング面404の輪郭に略一致する輪郭に材料シート300を成形するために、再位置決め及び/又は再方向付けされている。その後、
図32~
図33で示されているように、材料シート300は、ツーリング面404の上に下げられ得る。
図28~
図33の製造システム100は、コントローラ240へのフィードバックのために制御ポイント310の移動をモニタするための上述された検査デバイス220を含み得る。それにより、材料シート300が、ツーリング面404の上に位置決めされる精度、及びツーリング面404の上で成形される精度を改善することができる。
【0058】
[00098]
図34~
図40を参照すると、製造システム100の一実施例が示されている。その場合、ベース搬送システム102は、複数のロボットデバイス104を備える。各ロボットデバイス104は、ロボットベース106、及びアームジョイント110によって接続された1以上のアームセグメント108を有する。図示されている一実施例では、各ロボットベース106が、材料切断テーブル262を含む材料ピックアップステーション260とレイアップ工具402を含む材料配置ステーション400との間で延在するロボット軌道120に取り付けられている。図示されていない代替的な複数の実施例では、各ロボットデバイス104が、作業現場、壁、屋根、又は他の固定された構造に固定的に取り付けられ得る。
【0059】
[00099]
図34~
図40の製造システム100は、複数のステータベース142を含む。各ステータベース142は、ロボットデバイス104(すなわち、ベース搬送システム102)によって、移動可能に支持されている。上述されたように、ステータベース142は、各々、電磁場を生成するように構成された一連の電気コイル144(
図8)をカバーする平面的なステータ面146を有する。
図34~
図40は、単一のステータベース142を支持する各ロボットデバイス104を示しているが、図示されていない他の複数の実施例では、単一のロボットデバイス104が、2つ以上のステータベース142を支持するように構成されてよい。
図34~
図40における各ステータベース142は、
図4で示されているような一体構造として示されているが、各ステータベース142は、代替的に、
図5で示されているように、横並び関係で組み立てられた複数のタイル148で構成され得る。
【0060】
[000100] 製造システム100は、ステータベース142に関連付けられた複数の移動体160を含む。
図34~
図39は、2つの移動体160を有する各ステータベース142を示している。各移動体160は、それ自体のエンドエフェクタ200を有する。各ステータベース142は、単一の移動体160又は2つ以上の移動体160を含む任意の数の移動体160を含み得る。上述されたように、各移動体160は、電気コイル144によって生成された電磁場に応じて、ステータ面146に対して移動体160を浮上させて移動させるように構成された複数の永久磁石162(
図8)を含む。上述されたように、電磁場は、ステータ面146の配向に関係なく、移動体160が一定の移動体‐ステータ間隙170(
図8)で維持されるようになっている。例えば、移動体160は、ステータ面146が上向きであるか若しくは
図34~
図38で示されているように下向きであるか、又は
図39で示されているように非水平方向に向けられているかに関係なく、一定の移動体‐ステータ間隙170で維持される。
【0061】
[000101] 上述されたように、製造システム100は、移動体160に結合された複数のエンドエフェクタ200であって、材料シート300に関連して1以上の機能を実行するように構成された複数のエンドエフェクタ200を更に含む。複数のエンドエフェクタ200は、
図6及び
図9~
図12で示されている上述された複数の構成のうちのいずれか1つであり得るか、又は、複数のエンドエフェクタ200は、図示されていない他の複数の構成で設けられ得る。
【0062】
[000102]
図34~
図40では、製造システム100が、ロボットデバイス104、ステータベース142、及びエンドエフェクタ200と通信可能に結合されたコントローラ240(
図35)を含む。コントローラ240は、材料ピックアップステーション260に位置付けられた材料シート300にそれぞれ隣接した複数のエンドエフェクタ200を位置決めするために、移動体160を協調したやり方で移動させるように構成されている。
図34の一実施例では、材料シート300が、
図3で示されている上述された配置と同様に、材料切断テーブル262上に位置付けられている。エンドエフェクタ200は、上述され
図6で示されているように、グリッパ206(
図35)として示されている。
【0063】
[000103] コントローラ240は、材料ステージング位置(材料ピックアップステーション260)からピックアップするために、複数のエンドエフェクタ200(例えば、複数のグリッパ206)を材料シート300に係合させ、ロボットデバイス104に運動の包絡線を通してステータベース142を移動させ、それによって、材料シート300を材料ピックアップステーション260から材料配置ステーション400へ搬送させるように構成されている。更に、コントローラ240は、移動体160及びエンドエフェクタ200に、ツーリング面404の上で材料シート300を成形させるように構成されている。上述されたように、
図25及び
図27で示され上述されたように、移動体160及びグリッパ206はまた、材料シート300に引張力316を局所的に加えるようなやり方でも操作され得る。引張力316は、材料シート300内のしわの発生を低減させ又は最小化する順序で、複数のグリッパ206によって加えられ得る。加えて、各係合制限において加えられる引張力316の向き及び大きさは、上述されたように、材料シート300内のしわの発生を最小化するようなやり方で制御され得る。
【0064】
[000104]
図34~
図40は、ロボットデバイス104を使用して、レイアップ工具402の上で平面的な材料シート300を成形するプロセスを示している。
図34~
図35は、材料切断テーブル262の上にロボットデバイス104によって位置決めされたステータベース142を示している。グリッパ206は、材料シート300に係合する(すなわち、材料シート300を把持する)ための適所にある。
図36は、ロボットデバイス104のそれぞれのステータベース142を同時に持ち上げ、それによって、材料シート300を材料切断テーブル262から持ち上げるような協調したやり方で動作しているロボットデバイス104を示している。
図37は、ロボット軌道120に沿って移動し、それによって、材料シート300を材料切断テーブル262からレイアップ工具402へ搬送するロボットデバイス104を示している。
【0065】
[000105]
図38は、ツーリング面404の上での成形のための準備において、材料シート300をレイアップ工具402の上に位置決めするステータベース142を示している。
図39~
図40は、ツーリング面404の上で材料シート300を成形するプロセスの完了時におけるステータベース142及びグリッパ206の再方向付け及び再位置決めを示している。成形プロセスが完了した後で、グリッパ206は、材料シート300から離脱し、別の材料シート300を用いたプロセスを繰り返すために、ロボットデバイス104が材料ピックアップステーション260に戻ることを可能にする。幾つかの実施例では、グリッパ206が、所定の順序で材料シート300から離脱してよい。それは、材料シート300内のしわの発生を最小化するのに役立つことがある。
【0066】
[000106]
図1~
図33に関連して説明された製造システム100の構成要素、構成、及び/又は機能性のうちのいずれか1以上は、
図34~
図40の製造システム100の構成要素、構成、及び/又は機能性のうちのいずれか1以上に適用可能である。同様に、
図34~
図40に関連して本明細書で説明された製造システム100の構成要素、構成、及び/又は機能性のうちのいずれか1以上は、
図1~
図33の製造システム100の構成要素、構成、及び/又は機能性のうちのいずれか1以上に適用可能である。
【0067】
[000107] 次に
図41を参照すると、現在開示されているような製造システム100を使用して材料シート300を処理する方法500に含まれる動作が示されている。方法500は、ベース搬送システム102上にステータベース142を支持することを含む。
図1~
図33の例示的な製造システム100では、方法500が、ガントリ112を介してステータベース142を支持することを含む。
図34~
図40の例示的な製造システム100では、方法500が、1以上のロボットデバイス104を介してステータベース142を支持することを含む。ベース搬送システム102の構成に関係なく、方法500は、運動の包絡線を通してステータベース142を移動させることを含む。それは、エンドエフェクタ200が、材料ピックアップステーション260から材料シート300をピックアップし、材料シート300を材料配置ステーション400へ移動させることを可能にする。
【0068】
[000108] 未だ
図41を参照すると、方法500のステップ502が、平面的なステータ面146を有するステータベース142内の一連の電気コイル144(
図8)を起動し、それによって、電磁場を生成することを含む。電気コイルの起動は、上述されたように、コントローラ240の命令によって実行される。
図4のステータベース142の構成では、ステップ502が、単一のステータベース142内の一連の電気コイル144を起動することを含む。
図5のステータベース142の構成では、ステップ502が、互いに横並び関係で配置された複数のタイル148であって、集合的にステータベース142を規定する複数のタイル148の各々内の一連の電気コイル144を起動することを含む。
【0069】
[000109] 方法500のステップ504は、電磁場に応じてステータ面146にわたり協調したやり方で複数の移動体160を浮上させ、独立して移動させることを含む。上述されたように、各移動体160は、
図8で示されているように、複数の永久磁石162を含む。
【0070】
[000110] 複数の移動体160を浮上及び移動させるステップ504は、少なくとも1つの移動体160を少なくとも2つの自由度で移動させることを含む。移動体160を浮上及び移動させることは、
図6で示され上述されたように、移動体x軸164に沿って及び/又は移動体y軸166に沿って、ステータ面146と平行な方向に各移動体160を平行移動させることを含む。例えば、各移動体160は、移動体x軸164と平行な方向に、移動体y軸166と平行な方向に、又は移動体x軸164と移動体y軸166との間の任意の方向角度に移動し得る。移動体160を浮上及び移動させることはまた、移動体z軸168の周りで移動体160を回転させることも含み得る。また更なる複数の実施例では、各移動体160が、移動体z軸168の周りのいずれかの方向に回転され得、及び/又は、各移動体160が、
図7で示されているように、移動体x軸164の周りで及び/又は移動体y軸166の周りでわずかに傾斜し得る(例えば、5度まで)。
【0071】
[000111] 方法500のステップ506は、移動体160に結合された1以上のエンドエフェクタ200を使用して、材料シート300に1以上の機能を実行することを含む。材料シート300への機能の実行を容易にするために、方法500は、
図1~
図7及び
図9~
図13で示されているように、エンドエフェクタ200を移動体160に結合する伸縮ポスト172を使用して、エンドエフェクタ200をステータ面146に対して垂直な方向に延伸及び後退させることを含み得る。代替的に又は更に、方法500は、
図6で示されているように(例えば、伸縮ポスト172を介して)エンドエフェクタ200を移動体160のうちの1つに結合する手首関節式機構174を使用して、及び/又は、
図13で示されているような多軸ロボットを使用して、エンドエフェクタ200を方向付けることを含み得る。
【0072】
[000112] ステップ506では、エンドエフェクタ200によって実行される複数の機能が、材料シート300などの物体に係合すること及び/又は動作することを含み得る。例えば、ステップ506は、
図12で示されているナイフブレード204のような切断デバイス202を使用して、材料シート300を切断することを含み得る。切断デバイス202は、
図3で示されているように、切断ライン306に沿って未切断材料を切断し、複合材プライ(すなわち、材料シート300)をスクラップ材料304から分離することが必要とされ得る。
【0073】
[000113] 別の一実施例では、ステップ506が、複数のグリッパ206を使用して、材料シート300に係合し、材料シート300から離脱することを含み得る。各グリッパ206は、移動体160のうちの1つに結合されている。上述されたように、
図4~
図6は、グリッパプレート208から突出する複数のフック210を有するグリッパ206の一実施例を示している。しかし、他の複数の実施例では、グリッパ206が、材料シート300の吸引係合のための一連の吸引カップ(図示せず)、又は材料シート300の静電係合のための静電デバイス(図示せず)を含み得る。
【0074】
[000114] ステップ506はまた、圧密デバイス216を使用して、ツーリング面404又は先に付加された材料シート300に対して材料シート300を圧密することも含み得る。
図9は、圧密デバイス216を、ツーリング面404に対して材料シート300上に圧密圧力を加えるように構成されたローラー218として示している。圧密デバイス216は、材料シート300がツーリング面404の上に押し下げられたときに、成形プロセスを容易にするように計画された順序で材料シート300に適用され得る。
【0075】
[000115] また更なる複数の実施例では、ステップ506が、タッキングデバイス212を使用して、材料シート300をレイアップ工具402上の適所にスポット固定することを含み得る。
図10は、半田ごて214として構成されたタッキングデバイス212の一実施例を示している。しかし、タッキングデバイス212は、材料シート300を局所的に溶かす(例えば、複合材プライの樹脂を局所的に溶かす)ためなどに、局所的な熱を加えることができる任意の機構又はデバイスとして設けられてよい。タッキングデバイス212は、成形中に材料シート300の位置と形状を固定するために、計画された順序で及び/又は計画された位置において材料シート300上に適用され得る。
【0076】
[000116] ステップ506は、更に、1以上の検査デバイス220を使用して、ツーリング面404上での材料シート300のピックアップ、配置、及び成形をモニタすることを含み得る。上述されたように、検査デバイス220は、カメラ、赤外線センサ、温度センサ、又は、ピックアップ、配置、及び成形を、測定、観察、及び/若しくは検知することができる、若しくは材料シート300に他の動作を実行するための、任意の他のセンサ構成であり得る。成形プロセスが完了すると、材料シート300の形状を操作することができる全てのエンドエフェクタ200は離脱し得る。そして、検査デバイス220が、ツーリング面404上の材料シート300の形状及び位置を測定及び確認し得る。
【0077】
[000117] グリッパ206を使用して材料シート300に係合し、材料シート300から離脱するプロセスは、
図14~
図23を参照しながら説明され得る。例えば、
図14は、材料シート300の全体を通して分散された対応する複数の係合ポイント312に係合し、そのような複数の係合ポイント312を把持する複数の複数のグリッパ206を示している。
図14で示されているように、材料シート300は、材料切断テーブル262上に支持されたときに平面的な構成を有する。該プロセスは、ベース搬送システム102、移動体160、及び/又はグリッパ206の位置及び/又は向きを調整することによって、材料シート300をピックアップすることを含む。例えば、
図15は、材料シート300のピックアップのためにステータベースを下げた後、材料切断テーブル262から材料シート300を持ち上げるためにステータベース142を持ち上げるガントリ112を示している。
図16は、平面的なモータシステム140の下側を示し、グリッパ206によって係合ポイント312において支持された材料シート300を示している。グリッパ206の各々は、移動体160に係合されている。移動体160は、ステータベース142のステータ面146に対して浮上して(すなわち、吊り下げられて)いる。
【0078】
[000118]
図17は、運動の包絡線を通してガントリ112によって移動されているステータベース142を示している。それによって、材料シート300は、材料ピックアップステーション260から材料配置ステーション400へ搬送される。
図18は、非平面的であるツーリング面404上への材料シート300の配置を示している。上述されたように、材料シート300をツーリング面404に成形するプロセスは、
図20~
図22で示されているように、移動体160及び/又はグリッパ206の位置及び/又は向きを再調整することを含む。材料シート300がツーリング面404に成形された後、該プロセスは、グリッパ206を係合ポイント312から離脱させ、
図19で示されているように、ステータベース142をツーリング面404から離れるように移動させることを含む。
【0079】
[000119]
図20~
図25を参照すると、上述されたように、材料シート300をツーリング面404上に配置するプロセスは、ステータベース142、移動体160、及び/又は、グリッパ206を移動させることを含む。例えば、ステータベース142は、ガントリ112を介して、ロボットデバイス104を介して、又は他の手段によって垂直に平行移動され、材料シート300の局所的な部分314(
図25参照、クロスハッチ領域)をツーリング面404と接触するように最初に配置し得る。一方で、材料シート300の残りの部分は、ツーリング面404から分離されている。ツーリング面404上への材料シート300の配置はまた、移動体160をステータ面146と平行な方向に平行移動させ、ツーリング面404の上での材料シート300の成形を容易にするやり方でグリッパ206のz位置を再方向付け及び/又は再位置決めすることも含み得る。
【0080】
[000120]
図25で示されているように、プロセッサは、更に、ツーリング面404の上で材料シート300の残りの部分を徐々に成形しながら、引張力316を材料シート300に加えるように、移動体160及びグリッパ206の移動を命令し得る。上述されたように、各引張力316は、材料シート300とグリッパ206のうちの1つとの係合ポイント312において、その1つのグリッパ206によって独立して加えられる。引張力316は、ステータ面146に平行な平面内での移動体160の平行移動の結果として加えられる。引張力316は、コントローラ240によって命令されるように、同じ又は異なる大きさにおいて及び/又は異なる方向に加えられ得る。
【0081】
[000121] 方法500は、ツーリング面404の上で材料シート300を成形しながら、1以上の検査デバイス220を使用して、成形プロセスの1以上のパラメータを記録することを含み得る。例えば、検査デバイス220は、ツーリング面404上の位置を記録し得る。その場合、材料シート300の局所的な部分314が、最初にツーリング面404と接触するように置かれる。上述されたように、製造システム100は、ツーリング面404上に縁部位置406を投影するように構成された1以上のレーザー投影デバイスを含んでよい。検査デバイス220は、レーザープロジェクターによって投影された縁部位置406に対するシート縁部308の位置の画像を記録し、それによって、材料シート300がツーリング面404に付加される精度を特定することができる。
【0082】
[000122]
図23を参照すると、上述されたように、検査デバイス220は、引張力316が係合ポイント312において材料シート300に加えられる順序、並びに各引張力316の大きさ及び向きを記録し得る。係合ポイント312における引張力316の印加は、成形プロセスの完了時における材料シート300内で生じ得るしわの量又はサイズを低減させ得る。検査デバイス220はまた、材料シート300がツーリング面404の上で成形されるにつれて、材料シート300によって想定される様々な形状を記録するための手段として、材料シート300上の制御ポイント310の移動も記録し得る。成形プロセスの完了時において、検査デバイス220は、各材料シート300内の各しわの量、位置、サイズ(例えば、高さ及び幅)、並びに長さ方向を記録し得る。
【0083】
[000123] 上述されたように、コントローラ240(すなわち、プロセッサ)は、材料シート300がツーリング面404の上で成形される精度及び品質を評価するための手段として、検査デバイス220によって記録されたパラメータを分析するために、人工知能(すなわち、機械学習又は深層学習)を使用し得る。例えば、プロセッサは、成形プロセス中の引張力316の順序、大きさ、及び向き、並びに制御ポイント310の移動と、成形された材料シート300内に生じたしわの量、位置、サイズ、並びに向きとを分析し得る。プロセッサは、その後に付加される材料シート300の付加中に、移動体160及びエンドエフェクタ200の移動を制御するための、コントローラ240が動作するソフトウェアプログラムに対する調整を行い得る。これに関して、該調整は、材料シート300内のしわの量及び/又はサイズを低減させる意図で行われる。一実施例では、プロセッサが、
図24~
図25に関して上述されたように、異なる係合ポイント312において引張力316が材料シート300に加えられる順序を調整し得る。代替的に又は更に、プロセッサは、引張力316の大きさ及び/又は向きを調整し得る。各材料シート300の成形を記録し、記録されたデータを分析し、ソフトウェアを調整する上述されたプロセスは、材料シート300の全て(例えば、複合材積層体の全ての複合材プライ)がレイアップ工具402に付加されてしまうまで、各材料シート300について繰り返され得る。
【0084】
[000124]
図28~
図29を短く参照すると、幾つかの実施例では、該方法が、材料シート300をツーリング面404に付加する前に、三次元スペース内で材料シート300を成形することを含み得る。例えば、上述されたように、方法500は、材料シート300をツーリング面404上に置く前に、平面的な材料シート300(例えば、
図28)をツーリング面404(例えば、
図29)と補完的な形状に成形するようなやり方で、移動体160を位置決めし、伸縮ポスト172を延伸又は後退させ、エンドエフェクタ200を再方向付けすることを含み得る。
【0085】
[000125] 前述の説明及び関連する図面で提示された教示の利点を有する本開示が属する技術分野の当業者には、本開示の多くの変形例及び他の複数のバージョン並びに複数の実施例が想起されよう。本明細書で説明される複数のバージョン及び実施例は例示のためのものであり、限定的であることも、網羅的であることも意図されていない。本明細書では特定の用語が使用されるが、それらは、一般的及び説明的な意味でのみ使用されており、限定を目的とするものではない。本明細書において列挙されたものに加えて、本開示の範囲に入る機能的に均等な方法及び装置が先の記載から可能である。このような変形例及び変更は、添付の特許請求の範囲に入ることが意図されている。本開示は、添付の特許請求の範囲、及びかかる特許請求の範囲の権利が与えられる均等物の全範囲によってのみ限定される。
【外国語明細書】