(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058689
(43)【公開日】2024-04-26
(54)【発明の名称】信号復元システム、信号復元方法、及びコンピュータに信号復元方法を実行させるためのプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20240419BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20240419BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20240419BHJP
A61B 5/327 20210101ALN20240419BHJP
【FI】
A61B5/11 110
A61B5/0245 100Z
A61B5/02 310Z
A61B5/327
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024018860
(22)【出願日】2024-02-09
(62)【分割の表示】P 2022501984の分割
【原出願日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】P 2020028681
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521369068
【氏名又は名称】データソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】大槻 知明
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸平
(72)【発明者】
【氏名】石坂 秀壮
(72)【発明者】
【氏名】廣松 亮祐
(57)【要約】 (修正有)
【課題】心拍の動作を示す信号を精度よく復元する。
【解決手段】本信号復元システムは、心拍の動作を示す第1心拍信号を取得する信号取得部1F11と、前記第1心拍信号に対して第1バンドパスフィルタ処理を行って第1信号を生成する第1バンドパスフィルタ部1F12と、前記第1信号が示す前記心拍の周波数強度を積分して積分値を計算する積分計算部1F13と、時間に対して前記積分値を示す第2信号に対して第2バンドパスフィルタ処理を行って第3信号を生成する第2バンドパスフィルタ部1F14と、前記第3信号を所定時間ごとに区切って生成される第1データに基づいて、心拍の動作を示す復元信号を生成する復元信号生成部1F17とを含む。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心拍の動作を示す第1心拍信号を取得する信号取得部と、
前記第1心拍信号に対して第1バンドパスフィルタ処理を行って第1信号を生成する第1バンドパスフィルタ部と、
前記第1信号が示す前記心拍の周波数強度を積分して積分値を計算する積分計算部と、
時間に対して前記積分値を示す第2信号に対して第2バンドパスフィルタ処理を行って第3信号を生成する第2バンドパスフィルタ部と、
前記第3信号を所定時間ごとに区切って生成される第1データに基づいて、心拍の動作を示す復元信号を生成する復元信号生成部と
を含む信号復元システム。
【請求項2】
前記復元信号生成部は、心拍の1周期におけるQ波、R波、S波、及び、T波を復元又は強調する前記復元信号を生成する
請求項1に記載の信号復元システム。
【請求項3】
前記信号取得部は、ドップラーレーダによって前記第1心拍信号を取得する
請求項1又は2に記載の信号復元システム。
【請求項4】
前記第1信号に基づいて、時間と前記第1信号に含まれる周波数強度との関係を示すスペクトログラムを生成するスペクトログラム変換部を更に含み、
前記積分計算部は、前記スペクトログラムが示す前記周波数強度を積分して前記積分値を計算する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の信号復元システム。
【請求項5】
前記第1バンドパスフィルタ処理は、前記第2バンドパスフィルタ処理より減衰の対象外とする周波数帯が広く設定される
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の信号復元システム。
【請求項6】
前記第1バンドパスフィルタ処理は、8乃至30Hzの周波数帯以外を減衰させ、
前記第2バンドパスフィルタ処理は、0.5乃至10.0Hzの周波数帯以外を減衰させる
請求項5に記載の信号復元システム。
【請求項7】
前記復元信号生成部は、LSTMを含むことを特徴とする
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の信号復元システム。
【請求項8】
前記LSTMは、3層の構造である
請求項7に記載の信号復元システム。
【請求項9】
前記LSTMは、双方向の構成であるBi-LSTMである
請求項7又は8に記載の信号復元システム。
【請求項10】
前記LSTMを用いた機械学習により前記復元信号生成部のパラメータを設定するパラメータ設定部を更に含む
請求項7乃至9のいずれか1項に記載の信号復元システム。
【請求項11】
心拍の動作を示す第3心拍信号を取得する信号取得部と、
前記第3心拍信号に対して第4バンドパスフィルタ処理を行って第4信号を生成する第4バンドパスフィルタ部と、
前記第4信号を所定時間ごとに区切って生成される第2データに基づいて、大動脈脈波を含む又は前記大動脈脈波を強調した大動脈脈波信号を生成する大動脈脈波生成部と、
前記大動脈脈波信号が示すパラメータに基づいて血圧を推定する血圧推定部と
を含む信号生成システム。
【請求項12】
信号復元システムが実行する信号復元方法であって、
信号復元システムが、心拍の動作を示す第1心拍信号を取得する信号取得手順と、
信号復元システムが、前記第1心拍信号に対して第1バンドパスフィルタ処理を行って第1信号を生成する第1バンドパスフィルタ手順と、
信号復元システムが、前記第1信号が示す前記心拍の周波数強度を積分して積分値を計算する積分計算手順と、
信号復元システムが、時間に対して前記積分値を示す第2信号に対して第2バンドパスフィルタ処理を行って第3信号を生成する第2バンドパスフィルタ手順と、
信号復元システムが、前記第3信号を所定時間ごとに区切って生成される第1データに基づいて、心拍の動作を示す復元信号を生成する復元信号生成手順と
を含む信号復元方法。
【請求項13】
請求項12に記載の信号復元方法を実行するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AIを用いた信号復元システム、信号復元方法、プログラム、及び、信号生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、AI(Artificial Intelligence)を用いて、被験者を計測したデータから、心拍の動作等の生体情報を示す信号を復元する方法が知られている。
【0003】
例えば、まず、システムは、Geophone sensorを用いて被験者を計測し、信号を生成する。そして、システムは、生成する信号に対して、RNN(Recurrent Neural Network)を適用する。このようにして、心臓の動きを示す電気的な信号を復元する方法が知られている(例えば、非特許文献1等)。
【0004】
ほかにも、計測システムが、ドップラーレーダによって計測する大動脈脈波に基づいて、pulse transit time(以下「PTT」いう。)を計算する。特に、血圧と相関の高い頸動脈-大腿骨間のPTT(carotid-femoral PTT、以下「PTTcf」という。)を計算して、収縮期血圧(systolic blood pressure、以下「SBP」という。)を求める方法が知られている(例えば、非特許文献2等)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Poster:Deep ECG Estimation Using a Bed-attached Geophone,JaeYeon Park,Hyeon Cho1,Wonjun Hwang,Rajesh Krishna Balan,and JeongGil Ko,MobiSys'19,June 17―21,2019,Seoul,Korea
【非特許文献2】Non―contact Beat-to-beat Blood Pressure Measurement Using Continuous Wave Doppler Radar,Heng Zhao,Xu Gu,Hong Hong,Yusheng Li,Xiaohua Zhu,and Changzhi Li,2018 IEEE/MTT―S International Microwave Symposium, 20 August 2018.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、心拍の動作(「心拍」又は「心臓の動作」と表現される場合もある。以下「心拍の動作」という。)を示す信号を精度よく復元することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本信号復元システムは、
心拍の動作を示す第1心拍信号を取得する信号取得部と、
前記第1心拍信号に対して第1バンドパスフィルタ処理を行って第1信号を生成する第1バンドパスフィルタ部と、
前記第1信号が示す前記心拍の周波数強度を積分して積分値を計算する積分計算部と、
時間に対して前記積分値を示す第2信号に対して第2バンドパスフィルタ処理を行って第3信号を生成する第2バンドパスフィルタ部と、
前記第3信号を所定時間ごとに区切って生成される第1データに基づいて、心拍の動作を示す復元信号を生成する復元信号生成部と
を含むことを要件とする。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、心拍の動作を示す信号を精度よく復元できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図8】学習モデルのネットワーク構造例を示す図である。
【
図12】心拍の1周期におけるQ波、R波、S波、及び、T波の例を示す図である。
【
図13】0.5Hz乃至2.0Hzのバンドパスフィルタを適用した例を示す図である。
【
図14】0.5Hz乃至10.0Hzのバンドパスフィルタを適用した例を示す図である。
【
図18】QRS間隔、QT間隔、及び、RRIの比較例を示す図である。
【
図19】QRS間隔、及び、QT間隔における誤差を示す図である。
【
図20】第1実施形態における機能構成例を示す図である。
【
図22】「PTT
cf」と血圧の関係例を示す図である。
【
図23】理想状態における大動脈脈波信号の例を示す図である。
【
図24】第2実施形態の全体処理例を示す図である。
【
図25】第2学習データの生成に用いるノイズ成分の例を示す図である。
【
図26】第2実施形態の学習データを生成した条件を示す表である。
【
図27】第2実施形態の実行用のデータを生成した条件を示す表である。
【
図28】血圧と「PTT
cf」の散布図及び近似直線を示す図である。
【
図29】第1区間「T
1」及び第2区間「ED」を計算できない波形の割合を計算した結果及び相関係数の計算結果を示す図である。
【
図30】「真値」の血圧と推定結果が示す血圧の誤差を実験した結果を示す図である。
【
図31】「真値」の血圧と推定結果が示す血圧の誤差を実験した結果を示す図である。
【
図32】第2実施形態における機能構成例を示す図である。
【
図33】ドップラーレーダで計測するIQデータの例である。
【
図34】ECG信号との比較した結果の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明を実施するための最適かつ最小限な形態について、図面を参照して説明する。なお、図面において、同一の符号を付す場合には、同様の構成であることを示し、重複する説明を省略する。また、図示する具体例は、例示であり、図示する以外の構成が更に含まれる構成であってもよい。
【0011】
<第1実施形態>
例えば、信号復元システム1は、以下のような全体構成のシステムである。
【0012】
<全体構成例>
図1は、第1実施形態の全体構成例を示す図である。例えば、信号復元システム1は、PC(Personal Computer、以下「PC10」という。)、ドップラーレーダ12及びフィルタ13等を有する構成である。なお、信号復元システム1は、図示するように、アンプ11等を有する構成が望ましい。以下、図示する全体構成を例に説明する。
【0013】
PC10は、情報処理装置の例である。また、アンプ11等の周辺機器とネットワーク又はケーブル等を介して接続する。なお、アンプ11及びフィルタ13等は、PC10が有する構成でもよい。また、アンプ11及びフィルタ13等は、装置でなく、ソフトウェアによる構成、又は、ハードウェアとソフトウェアの両方による構成でもよい。
【0014】
ドップラーレーダ12は、計測装置の例である。
【0015】
この例では、PC10は、アンプ11に接続される。また、アンプ11は、フィルタ13に接続される。さらに、フィルタ13は、ドップラーレーダ12に接続される。そして、PC10は、アンプ11及びフィルタ13を介して、ドップラーレーダ12から計測データを取得する。すなわち、計測データは、心拍の動作を示すデータである。次に、PC10は、取得される計測データに基づいて被験者2の心拍、呼吸及び体の動き等の体動を解析し、心拍数等の人体の動きを計測する。
【0016】
ドップラーレーダ12は、例えば、以下のような原理で心拍の動作を示す信号(以下「心拍信号」という。)を取得する。
【0017】
<ドップラーレーダの例>
図2は、ドップラーレーダの例を示す図である。例えば、ドップラーレーダ12は、
図2に示すような構成の装置である。具体的には、ドップラーレーダ12は、ソース(Source)12Sと、発信器12Txと、受信器12Rxと、ミキサー(Mixer)12Mとを有する。また、ドップラーレーダ12は、受信器12Rxが受信するデータのノイズを減らす等の処理を行うLNA(Low Noise Amplifier)等の調整器12LNAを有する。
【0018】
ソース12Sは、発信器12Txが発信する発信波の信号を生成する発信源である。
【0019】
発信器12Txは、被験者2に対して発信波を発信する。なお、発信波の信号は、時間tに係る関数Tx(t)で示せ、例えば、下記(1)式のように示せる。
【0020】
【数1】
上記(1)式では、ω
cは、発信波の角周波数である。
【0021】
そして、被験者2、すなわち、発信された信号の反射面は、時間tにおいて、x(t)の変位である場合とする。この例では、反射面は、被験者2の胸壁となる。そして、変位x(t)は、例えば、下記(2)式のように示せる。
【0022】
【数2】
上記(2)式では、「m」は、変位の振幅を示す定数である。また、上記(2)式では、「ω」は、被験者2の動きによってシフトする角速度である。なお、上記(1)式と同様の変数は同じ変数である。
【0023】
受信器12Rxは、発信器12Txによって発信されて被験者2で反射した反射波を受信する。また、反射波の信号は、時間tに係る関数Rx(t)で示せ、例えば、下記(3)式のように示せる。
【0024】
【数3】
上記(3)式では、「d
0」は、被験者2と、ドップラーレーダ12との距離である。また、「λ」は、信号の波長である。以下、同様に記載する。
【0025】
ドップラーレーダ12は、発信波の信号を示す関数Tx(t)(上記(1)式である。)と、受信波の信号を示す関数R(t)(上記(3)式である。)とをミキシングして、ドップラー信号を生成する。なお、ドップラー信号は、時間tに係る関数B(t)で示すと、下記(4)式のように示せる。
【0026】
【数4】
そして、ドップラー信号の角周波数を「ω
d」とすると、ドップラー信号の角周波数ω
dは、下記(5)式のように示せる。
【0027】
【数5】
また、上記(4)式及び上記(5)式における位相「θ」は、下記(6)式のように示せる。
【0028】
【数6】
上記(6)式では、「θ
0」は、被験者2の胸壁、すなわち、反射面における位相変位である。
【0029】
次に、ドップラーレーダ12は、発信した発信波の信号と、受信した受信波の信号とを比較した結果、すなわち、上記の式による計算結果に基づいて、被験者2の位置及び速度等が出力される。
【0030】
例えば、受信波から、Iデータ(同相データ)及びQデータ(直交位相データ)が生成できる。そして、Iデータ及びQデータにより、被験者2の胸壁が移動した距離が検出できる。また、Iデータ及びQデータが示す位相に基づいて、被験者2の胸壁が前後のどちらに動いたかが検出できる。したがって、心拍に由来する胸壁の移動が、送信波及び受信波の周波数変化を利用して、心拍等の指標を検出できる。
【0031】
<情報処理装置の例>
図3は、情報処理装置の例を示す図である。例えば、PC10は、CPU(Central Processing Unit、以下「CPU10H1」という。)と、記憶装置10H2と、入力装置10H3と、出力装置10H4と、入力I/F(Interface)(以下「入力I/F10H5」という。)とを有する。なお、PC10が有する各ハードウェアは、バス(Bus)10H6で接続され、各ハードウェアの間では、バス10H6を介して、データ等が相互に送受信される。
【0032】
CPU10H1は、PC10が有するハードウェアを制御する制御装置及び各種処理を実現するための演算を行う演算装置である。
【0033】
記憶装置10H2は、例えば、主記憶装置及び補助記憶装置等である。具体的には、主記憶装置は、例えば、メモリ等である。また、補助記憶装置は、例えば、ハードディスク等である。そして、記憶装置10H2は、PC10が用いる中間データを含むデータ及び各種処理及び制御に用いるプログラム等を記憶する。
【0034】
入力装置10H3は、ユーザの操作によって、計算に必要なパラメータ及び命令をPC10に入力するための装置である。具体的には、入力装置10H3は、例えば、キーボード、マウス及びドライバ等である。
【0035】
出力装置10H4は、PC10による各種処理結果及び計算結果をユーザ等に出力するための装置である。具体的には、出力装置10H4は、例えば、ディスプレイ等である。
【0036】
入力I/F10H5は、計測装置等の外部装置と接続し、データ等を送受信するためのインタフェースである。例えば、入力I/F10H5は、コネクタ又はアンテナ等である。すなわち、入力I/F10H5は、ネットワーク、無線又はケーブル等を介して、外部装置とデータを送受信する。
【0037】
なお、ハードウェア構成は、図示する構成に限られない。例えば、PC10は、処理を並列、分散又は冗長して行うため、更に演算装置又は記憶装置等を有してもよい。また、PC10は、演算、制御及び記憶を並列、分散又は冗長して行うため、他の装置とネットワーク又はケーブルを介して接続される情報処理システムでもよい。すなわち、1以上の情報処理装置を有する情報処理システムによって、本発明は実現されてもよい。
【0038】
このようにして、PC10は、ドップラーレーダ12等の計測装置によって心拍の動作を示す心拍信号を取得する。なお、心拍信号は、リアルタイムで随時取得されてもよいし、ある期間分の心拍信号をドップラーレーダ等の装置が記憶して、その後PC10がまとめて取得してもよい。また、取得は、記録媒体等を用いてもよい。
【0039】
<全体処理例>
図4は、全体処理例を示す図である。以下、全体処理を「学習処理」と「実行処理」に分けて説明する。なお、「学習処理」は、「実行処理」より前であれば実行のタイミングは限られない。すなわち、「学習処理」と「実行処理」は連続して実行するタイミングなくともよく、「学習処理」の後、「実行処理」が行われる前に時間があいてもよい。以下、「学習処理」の後に「実行処理」を連続して実行する場合を例に説明する。
【0040】
(第1心拍信号の取得例)
ステップS101では、信号復元システム1は、心拍信号を取得する。以下、心拍信号のうち、下記に示す第1データの例である「第1学習データ」を生成するために用いられる心拍信号を「第1心拍信号」という。したがって、第1心拍信号は、機械学習における学習データのもとになる心拍の動作を示す信号であり、ドップラーレーダ12が生成するIQデータである。
【0041】
例えば、第1心拍信号は、以下のような信号である。
【0042】
図5は、第1心拍信号の例を示す図である。図では、横軸が計測した時点を示す時間である。一方で、縦軸がドップラーレーダの計測結果に基づいて推定される電力である。
【0043】
(第1バンドパスフィルタ処理の例)
ステップS102では、信号復元システム1は、第1心拍信号に対してバンドパスフィルタ処理を行う。以下、第1心拍信号を対象にして行うバンドパスフィルタ処理を「第1バンドパスフィルタ処理」という。そして、第1心拍信号に対して第1バンドパスフィルタ処理を行って生成する信号、すなわち、第1心拍信号に含まれるノイズになる信号を第1バンドパスフィルタ処理で減衰させて生成する信号を「第1信号」という。
【0044】
(スペクトログラム変換の例)
ステップS103では、信号復元システム1は、第1信号に基づいてスペクトログラム変換を行い、スペクトログラム(Spectrogram)を生成するのが望ましい。例えば、スペクトログラム変換は、STFT(short-time Fourier transform、短時間フーリエ変換)等で実現する。例えば、スペクトログラムは、以下のようなデータである。
【0045】
図6は、スペクトログラムの例を示す図である。図示するように、スペクトログラムは、第1信号に含まれる信号の強度(以下「周波数強度」という。)を周波数ごとに示す。この例では、スペクトログラムは、濃淡(この例では、高濃度ほど高強度である。)で周波数強度を示し、縦軸に対応する周波数を示す。そして、この例における横軸は、時間であり、図示するように、時間ごと、かつ、周波数成分ごとに、スペクトログラムは、周波数強度を示す。例えば、このような形式のスペクトログラムが生成されるのが望ましい。
【0046】
このようなスペクトログラムに変換されると、心拍信号における心拍の動作以外の成分、すなわち、ノイズの影響を低減できる。したがって、スペクトログラムに変換することで、心拍の動作を確認しやすいデータを生成できる。
【0047】
(積分計算の例)
ステップS104では、信号復元システム1は、スペクトログラムに基づいて、周波数強度の積分値を計算する。積分計算は、心拍成分に相当する周波数領域の強度を低い周波数から高い周波数まで周波数領域上で行う。具体的には、積分計算の対象となる周波数は、「-30Hz」乃至「-8Hz」及び「8Hz」乃至「30Hz」の周波数である。これらの周波数に該当する強度を積分して積分値が計算される。例えば、積分計算が行われると、以下のような積分値が計算される。
【0048】
図7は、積分値の例を示す図である。例えば、
図6に示すスペクトログラムに基づいて、積分計算を行うと、図示するように、時間ごとに積分値が計算される。以下、図示するように時間に対する積分値を示す信号を「第2信号」という。第2信号は、所定時間ごとに計算され、図示するように、第2信号は、時間に対する積分値の変化を示す信号である。
【0049】
なお、スペクトログラム変換を行わず、第1心拍信号における振幅を周波数強度として積分計算が行われてもよい。
【0050】
(第2バンドパスフィルタ処理の例)
ステップS105では、信号復元システム1は、第2信号に対してバンドパスフィルタ処理を行う。以下、第2信号を対象にして行うバンドパスフィルタ処理を「第2バンドパスフィルタ処理」という。したがって、第2バンドパスフィルタ処理は、第1バンドパスフィルタ処理とは別に行われるバンドパスフィルタ処理であって、バンドパスフィルタ処理が行われるタイミング及び処理の対象となる信号が異なる。以下、第2信号に対して第2バンドパスフィルタ処理を行うと生成される信号、すなわち、第2信号に含まれるノイズになる信号を第2バンドパスフィルタ処理で減衰させて生成する信号を「第3信号」という。
【0051】
(第1学習データの生成例)
ステップS106では、信号復元システム1は、学習データを生成する。以下、後段のステップS107で実行する第1学習において入力して用いる学習データを「第1学習データ」という。例えば、第1学習データは、第3信号を所定時間ごとに区切って生成される。例えば、所定時間は、1秒程度にあらかじめ設定される。
【0052】
(第1学習の例)
ステップS107では、信号復元システム1は、第1学習を行う。以下、第1学習データを入力データとして行う学習を「第1学習」という。
【0053】
また、図示するように、積分計算によって積分値が計算されると、例えば、ステップS105及びステップS106と並行してステップS108乃至ステップS110の処理が実行されるとする。なお、ステップS108乃至ステップS110は、ステップS105及びステップS106と並列のタイミングでなくともよい。
【0054】
(第3バンドパスフィルタ処理の例)
ステップS108では、信号復元システム1は、第1バンドパスフィルタ処理及び第2バンドパスフィルタ処理とは別に、第2信号に対してバンドパスフィルタ処理を行う。以下、第2信号を対象にして行い、第2バンドパスフィルタ処理とは別に行うバンドパスフィルタ処理を「第3バンドパスフィルタ処理」という。
【0055】
(ピークの抽出例)
ステップS109では、信号復元システム1は、第3バンドパスフィルタ処理された信号からピークを抽出する。このピークは、R波におけるピークに対応する。
【0056】
(同期化の例)
ステップS110では、信号復元システム1は、ステップS109で抽出したピークと、ステップS112(ステップS112におけるピークの詳細は後述する。)で抽出したピークとを同期させる。
【0057】
ステップS110において、ステップS109で抽出したピークと同期させるピークは、例えば、以下のステップS121及びステップS122によって抽出するピークである。
【0058】
ステップS121及びステップS122は、例えば、ステップS101乃至ステップS110の処理と並列して実行される。なお、ステップS121及びステップS122は、ステップS101乃至ステップS110と並列のタイミングでなくともよい。
【0059】
(ECG信号の取得例)
ステップS121では、信号復元システム1は、ECG信号(Electrocardiogram信号)を取得する。例えば、ECG信号は、ECG、すなわち、心電計によって生成される信号である。したがって、信号復元システム1は、例えば、心電計又はECG信号を記憶する装置と接続し、ECG信号を取得する。
【0060】
(ピークの抽出例)
ステップS122では、信号復元システム1は、ECG信号からピークを抽出する。このピークは、R波におけるピークに対応する。
【0061】
以上のような「学習処理」によって、例えば、以下のような学習モデルの学習を行う。
【0062】
図8は、学習モデルのネットワーク構造例を示す図である。例えば、学習モデルMDLは、入力L1、多層Bi-LSTM(Bidirectional Long-Short Term Memory)L2、全結合層L3、及び、出力L4となる層を有するネットワーク構造である。
【0063】
入力L1は、「Xt-1」、「Xt」、及び、「Xt+1」のようにデータを入力する。これに対して、出力L4は、「yt-1」、「yt」、及び、「yt+1」のようにデータを出力する。なお、「t」は、各データの出現時点を示す。したがって、「t」を基準とし、「t-1」は、1つ前のサイクルで用いたデータを示し、「t+1」は、1つ後のサイクルで用いたデータを示す。
【0064】
多層Bi-LSTML2は、2層のBi-LSTMである。このように、多層Bi-LSTML2を2層の構成にすると、時系列データを処理できる。
【0065】
全結合層L3は、全結合処理を行う。具体的には、全結合処理は、全結合処理より前に行われる処理によって、複数の特徴マップが生成される場合において、それぞれの特徴マップを出力層に関連付けさせる処理である。また、最終的に出力する形式が設定されると、全結合処理は、それぞれの特徴マップに基づいて、活性化関数等によって、出力層にあらかじめ設定される出力形式のいずれに該当するかを判定する処理である。
【0066】
この例では、例えば、サンプリングレートに基づいて、全結合層L3は、3層であり、512、128、256の順になるように構成する。
【0067】
学習モデルMDLは、LSTMを含むネットワーク構造であるのが望ましい。すなわち、学習モデルMDLのネットワーク構造は、RNNの構成を含むのが望ましい。
【0068】
例えば、LSTMには、以下のようなデータが入力される。
【0069】
図9は、入力値の例を示す図である。図示する例は、横軸に時間を示し、かつ、縦軸に積分値の値を示す。また、図示する例は、1秒幅の積分値である。例えば、このように、時系列データの形式で、学習モデルMDLの入力側に積分値が入力される。これに対して、多層Bi-LSTML2及び全結合層L3による処理を経て、例えば、以下のようなデータが出力される。
【0070】
図10は、出力値の例を示す図である。例えば、図示するような1秒幅のECG信号形式で学習モデルMDLの出力側に入力される。
【0071】
LSTMでは、シグモイド関数及びtanh関数等により処理が行われる。これらの処理に対して、例えば、忘却ゲート、入力ゲート、及び、出力ゲートから入力されるデータに基づいて処理が行われる。したがって、
図9のような入力値が入力ゲートに入力され、かつ、出力ゲートに
図10のような出力値が入力される。
【0072】
そして、多層Bi-LSTML2は、
図8に示す多層Bi-LSTML2のように、BackwardとForwardの双方向に処理を行う構成(「BLSTM」等と呼ばれる場合もある。)であるのが望ましい。このような構成とすることで、高い精度を実現できる。
【0073】
例えば、以上のような処理を繰り返すことで第1学習が行われる。このような学習処理を行い、学習モデルを機械学習する。
【0074】
このように、LSTMによって機械学習が行われると、学習モデルにおけるパラメータが設定される。また、機械学習によってパラメータが最適化されるのが望ましい。このように、LSTMを用いる機械学習で復元信号生成部のパラメータを設定するパラメータ設定部を実現する。以下、学習処理で学習済みの学習モデルを「学習済みモデル」という。そして、学習済みモデルが生成できた後、以下のような「実行処理」が行われる。
【0075】
(第2心拍信号の取得例)
ステップS111では、信号復元システム1は、心拍信号を取得する。以下、「第1心拍信号」は別に取得される、「本番用」となる心拍信号を「第2心拍信号」という。したがって、第2心拍信号は、第1心拍信号と同様に、心拍の動作を示す信号であり、ドップラーレーダ12が生成するIQデータである。
【0076】
(復元信号の生成例)
ステップS112では、信号復元システム1は、学習済みモデルを用いて心拍を示す信号を復元する。以下、ステップS112によって生成される信号を「復元信号」という。
【0077】
なお、復元信号の生成には、学習処理と同様に、ステップS101乃至ステップS106等の処理が行われてもよい。例えば、復元信号は、以下のように生成される。
【0078】
図11は、復元信号の生成例を示す図である。例えば、
図11(A)に示すような第2心拍信号を取得する。これに対して、学習済みモデルを用いて「実行処理」を行うと、例えば、
図11(B)に示すような復元信号を生成できる。
【0079】
復元信号は、心拍信号と比較すると、以下のように、心拍の1周期におけるQ波、R波、S波、及び、T波等の特徴を復元又は強調できる点が異なる。
【0080】
図12は、心拍の1周期におけるQ波、R波、S波、及び、T波の例を示す図である。図示するように、第11頂点P11、第12頂点P12、第13頂点P13、第14頂点P14、第21頂点P21、第22頂点P22、第23頂点P23、及び、第24頂点P24等のような頂点が復元又は強調される復元信号を生成する。
【0081】
第11頂点P11、及び、第21頂点P21は、R波を検出するための頂点である。このような頂点がはっきりすると、例えば、RRI(R-R interval、R-R間隔)等が精度よく算出できる。つまり、第11頂点P11、及び、第21頂点P21によって、それぞれの周期(この例では、1周期目と2周期目である。)におけるR波のピーク間隔(以下「第1指標IDX1」という。)が算出できる。
【0082】
第1指標IDX1は、心拍の1周期を示す指標である。一般的に、第1指標IDX1は、600ms乃至1200msが正常範囲である。したがって、第1指標IDX1を精度よく算出できると、心拍の周期が精度よく把握できる。
【0083】
第11頂点P11、第12頂点P12、及び、第13頂点P13は、R波、Q波、及び、S波を検出するための頂点である。このような頂点がはっきりすると、例えば、QRS間隔等が精度よく算出できる。つまり、第11頂点P11、第12頂点P12、及び、第13頂点P13によって、1周期におけるQ波乃至S波の間隔(以下「第2指標IDX2」という。)が算出できる。
【0084】
第2指標IDX2は、心室の収縮における間隔を示す指標である。一般的に、第2指標IDX2は、60ms乃至100msが正常範囲である。したがって、第2指標IDX2を精度よく算出できると、心室の収縮が精度よく把握できる。
【0085】
第12頂点P12、及び、第14頂点P14は、Q波、及び、T波を検出するための頂点である。このような頂点がはっきりすると、例えば、QT間隔等が精度よく算出できる。つまり、第12頂点P12、及び、第14頂点P14によって、1周期におけるQ波乃至T波の間隔(以下「第3指標IDX3」という。)が算出できる。
【0086】
第3指標IDX3は、心室の収縮及び拡張における間隔を示す指標である。一般的に、第3指標IDX3は、350ms乃至440msが正常範囲である。したがって、第3指標IDX3を精度よく算出できると、心室の収縮及び拡張が精度よく把握できる。
【0087】
以上のように、復元信号を用いると、第1指標IDX1、第2指標IDX2、及び、第3指標IDX3等の指標が精度よく算出でき、健康状態を精度よく把握できる。すなわち、第1指標IDX1、第2指標IDX2、及び、第3指標IDX3等の指標を計算して、正常範囲と比較すると、正常範囲の範囲外であるか否かが判断できる。そして、範囲外である場合には、心臓等に異常がある場合である。ゆえに、心臓等に異常がある場合に、異常を早期に発見できる。
【0088】
<バンドパスフィルタ処理における抽出する周波数のフィルタ設定例>
学習処理及び実行処理では、第1バンドパスフィルタ処理及び第2バンドパスフィルタ処理のように、前処理としてバンドパスフィルタ処理が行われるのが望ましい。そして、第1バンドパスフィルタ処理及び第2バンドパスフィルタ処理は、以下のような関係であるのが望ましい。
【0089】
また、第1バンドパスフィルタ処理は、第2バンドパスフィルタ処理より減衰の対象外とする周波数帯が広く設定されるのが望ましい。
【0090】
例えば、積分値に対して、0.5Hz乃至2.0Hzのバンドパスフィルタを適用すると、以下のような結果となる。
【0091】
図13は、0.5Hz乃至2.0Hzのバンドパスフィルタを適用した例を示す図である。図示するように、0.5Hz乃至2.0Hzの周波数を抽出するバンドパスフィルタが適用されると、R波ピークと相関の高い波形、すなわち、心臓の収縮に相関する波形が抽出される。
【0092】
一方で、積分値に対して、0.5Hz乃至10.0Hzの周波数を抽出するバンドパスフィルタを適用すると、以下のような結果となる。
【0093】
図14は、0.5Hz乃至10.0Hzのバンドパスフィルタを適用した例を示す図である。
図13に示す結果と比較すると、
図14に示す結果の方が、R波以外の周波数成分も多く含む。したがって、
図14に示すような波形となるような周波数帯が抽出されるように、バンドパスフィルタが適用されると、R波以外のQ波、及び、S波等といった周波数の波形も復元信号で精度よく復元でき、かつ、体動等によるノイズの周波数の波形は減衰させることができる。
【0094】
<実験結果>
以下のような実験諸元で実験した結果を示す。
【0095】
図15は、実験諸元を示す表である。以下、「変調方式」、「搬送波周波数」、及び、「サンプリング周波数」に示すように、「無変調連続波」の「24GHz」周波数となる波形を「1000Hz」でサンプリングする実験の結果を示す。以下、同様に記載する。
【0096】
「測定距離」及び「測定の高さ」は、実験におけるドップラーレーダ12及び被験者2の間の距離と、ドップラーレーダ12を設置した高さを示す。
【0097】
「観測時間」は、心拍を計測した時間を示す。
【0098】
「被験者」は、「学習」の対象とした人数、及び、「テスト」、すなわち、実行処理の対象とした人数を示す。
【0099】
「測定条件」は、被験者が実験の際にどのような姿勢であったかを示す。
【0100】
「真値」は、比較対象とする、「正解」となるデータである。
【0101】
そして、評価指標は、下記(7)式で計算するRMSE(Root Mean Square Error、二乗平均平方根誤差)、及び、下記(8)式で計算する誤差平均である。
【0102】
【0103】
【数8】
図16は、実験における比較例を示す図である。図示するように、R波、Q波、S波、及び、T波におけるピークを上記(8)式で計算する誤差平均で評価すると、以下のような結果が得られる。
【0104】
図17は、ピークの誤差平均を示す図である。図示するように、Q波を示すピークでは、真値、すなわち、ECGで計測する信号と比較すると、平均で「67.1ms」の誤差となる実験結果が得られた。
【0105】
R波を示すピークでは、真値、すなわち、ECGで計測する信号と比較すると、平均で「52.7ms」の誤差となる実験結果が得られた。
【0106】
S波を示すピークでは、真値、すなわち、ECGで計測する信号と比較すると、平均で「64.6ms」の誤差となる実験結果が得られた。
【0107】
T波を示すピークでは、真値、すなわち、ECGで計測する信号と比較すると、平均で「76.4ms」の誤差となる実験結果が得られた。
【0108】
また、QRS間隔、QT間隔、及び、RRIを上記(7)式で計算するRMSEを指標にした評価結果が以下の通りである。
【0109】
図18は、QRS間隔、QT間隔、及び、RRIの比較例を示す図である。すなわち、QRS間隔、及び、QT間隔は、以下のような誤差が発生した。
【0110】
図示するように、被験者が3人に対して、QRS間隔は、「17.1ms」、「45.9ms」及び「31.9ms」の誤差があり、平均して「31.6ms」の誤差となった。
【0111】
また、QT間隔は、「48.0ms」、「91.8ms」及び「65.2ms」の誤差があり、平均して「68.3ms」の誤差となった。
【0112】
さらに、RRIは、「74.1ms」、「124.6ms」及び「80.4ms」の誤差があり、平均して「93.0ms」の誤差となった。
【0113】
なお、QRS間隔、及び、QT間隔は、図示すると、以下のような指標である。
【0114】
図19は、QRS間隔、及び、QT間隔における誤差を示す図である。図において、「QRS間隔」、及び、「QT間隔」が実験で計算された値である。これに対して、
図18の「平均」で示す誤差が「平均QRS間隔誤差」、及び、「平均QT間隔誤差」に発生した。
【0115】
<機能構成例>
図20は、第1実施形態における機能構成例を示す図である。図示するように、「学習処理」を行う状態では、信号復元システム1は、信号取得部1F11、第1バンドパスフィルタ部1F12、積分計算部1F13、第2バンドパスフィルタ部1F14、第1学習データ生成部1F15、及び、第1学習部1F16を含む機能構成である。一方で、「実行処理」を行う状態では、信号復元システム1は、信号取得部1F11、第1バンドパスフィルタ部1F12、積分計算部1F13、第2バンドパスフィルタ部1F14、及び、復元信号生成部1F17を含む機能構成である。以下、「学習処理」及び「実行状態」に用いる機能構成をすべて含む機能構成である状態を例に説明する。
【0116】
信号取得部1F11は、第1心拍信号及び第2心拍信号等の心拍信号を取得する信号取得手順を行う。例えば、信号取得部1F11は、ドップラーレーダ12等で実現する。
【0117】
第1バンドパスフィルタ部1F12は、第1心拍信号に対して第1バンドパスフィルタ処理を行って第1信号を生成する第1バンドパスフィルタ手順を行う。例えば、第1バンドパスフィルタ部1F12は、CPU10H1等で実現する。
【0118】
積分計算部1F13は、第1信号が示す心拍の周波数強度を積分して積分値を計算する積分計算手順を行う。例えば、積分計算部1F13は、CPU10H1等で実現する。
【0119】
第2バンドパスフィルタ部1F14は、積分値を示す第2信号に対して、第2バンドパスフィルタ処理を行って第3信号を生成する第2バンドパスフィルタ手順を行う。例えば、第2バンドパスフィルタ部1F14は、CPU10H1等で実現する。
【0120】
第1学習データ生成部1F15は、第3信号を所定時間ごとに区切って第1学習データを生成する第1学習データ生成手順を行う。例えば、第1学習データ生成部1F15は、CPU10H1等で実現する。
【0121】
第1学習部1F16は、第1学習データを入力して機械学習を行う第1学習手順を行う。例えば、第1学習部1F16は、CPU10H1等で実現する。
【0122】
復元信号生成部1F17は、機械学習によって生成される学習済みモデルに基づいて、第2心拍信号を取得して、復元信号を生成する復元信号生成手順を行う。例えば、復元信号生成部1F17は、CPU10H1等で実現する。
【0123】
まず、「学習処理」を行うことで、学習モデルMDLの機械学習を行う。このような学習を行うと、「学習済みモデル」が生成できる。そして、学習済みモデルを用いると、第2心拍信号を取得すると、学習済みモデルによって復元信号を生成できる。
【0124】
上記の例に示すように、信号復元システム1は、R波、Q波、S波、及び、T波等も含めて、
図11(B)のように復元信号を生成できる。すなわち、信号復元システム1は、R波、Q波、S波、及び、T波が把握しやすい復元信号を生成できる。このような復元信号を用いると、QRS間隔、QT間隔、及び、RRIの指標を精度よく計算できる。したがって、信号復元システム1は、復元信号のように、心拍の動作を示す信号を精度よく復元できる。
【0125】
また、復元信号は、R波、Q波、S波、及び、T波におけるピーク等の特徴点を強調するように生成されてもよい。すなわち、各波におけるピーク等の極値を強調させるように復元信号を生成してもよい。
【0126】
<第2実施形態>
第2実施形態は、例えば、第1実施形態と同様の全体構成及び同様のハードウェア構成である情報処理装置によって実現する。以下、第1実施形態と重複する箇所は説明を省略し、異なる点を中心に説明する。また、以下の例では、信号生成システムの例として、第1実施形態と同様の全体構成である信号復元システム1を例に説明する。
【0127】
第2実施形態では、例えば、ドップラーレーダ等で取得できる心拍信号から、以下のような大動脈脈波を検出して、血圧を推定する。
【0128】
血圧は、血管内を流れる血液の圧力を示す。そして、例えば、高血圧は、心臓病等の主要な危険因子となる可能性があり、血圧は、生体情報としてモニタリングが重要な情報である。
【0129】
従来では、聴診器を用いて、訓練を受けた検査官がコロトコフ音を聞いて血圧を測定する聴診法等が知られている。ほかにも、上腕をカフによって圧迫し、脈動を検出するお城メトリック法等が知られている。
【0130】
聴診法は、手軽に計測するのが難しい課題がある。また、これらの方法では、カフによる締め付けがあるため、不快に感じる被験者がいることが課題となる。そこで、本実施形態のように、心拍信号を用いる構成とすると、被験者に対して接触が少ないため、被験者が接触によって不快に感じるのを少なくできる効果を奏する。
【0131】
図21は、大動脈脈波の例を示す図である。例えば、大動脈脈波信号PWSは、図示するような形状の信号であって、図における「2.5sec」乃至「3.4sec」(図では、矢印で示す時間である。)を1周期とする信号である。以下、図示するような大動脈脈波信号PWSを例に説明する。
【0132】
大動脈脈波信号PWSは、大動脈の動きに起因する波形である。まず、大動脈脈波信号PWSには、図におけるピークで示す特徴的な3点(図では、第1ピーク点PK1、第2ピーク点PK2及び第3ピーク点PK3である。)が含まれる。
【0133】
第1ピーク点PK1、第2ピーク点PK2及び第3ピーク点PK3は、大動脈脈波信号PWSにおける極値である。したがって、大動脈脈波信号PWSを時間で微分(離散的には差分である。)計算して極値を特定する計算と行うと、第1ピーク点PK1、第2ピーク点PK2及び第3ピーク点PK3を特定できる。
【0134】
また、第1ピーク点PK1、第2ピーク点PK2及び第3ピーク点PK3は、一定以上の間隔があいて次のピークが出現する。したがって、例えば、第1ピーク点PK1の基準に、第2ピーク点PK2の出現がありえる時間が経過してから、以降の時間帯で第2ピーク点PK2が検出されるのが望ましい。このように、大動脈脈波信号PWSの性質上、ピーク点は、出現する間隔がある程度定まっている。一方で、あまりに近接して出現するピーク点はノイズである可能性が高い。そのため、出現がありえる間隔の範囲で、それぞれのピーク点を検出すると、精度よくピーク点を検出できる。なお、検出を行う間隔は、例えば、あらかじめ設定される。
【0135】
このように検出されるピーク点に基づいて、まず、信号復元システム1は、第1区間(以下「T1」の変数で示す。)及び第2区間(以下「ED」の変数で示す。)を特定する。
【0136】
「T1」は、脈波の立ち上がりから(この例では、第1ピーク点PK1を始点とする。)、最大振幅となるピークの直前に出現するピーク(山側に出現するピークである。この例では、第2ピーク点PK2を終点とする。)までの区間である。
【0137】
「ED」は、脈波の立ち上がりから(この例では、第1ピーク点PK1を始点とする。)、最大振幅となるピークの直後にピーク(谷側に出現するピークである。この例では、第3ピーク点PK3を終点とする。)までの区間である。
【0138】
これらの区間は、例えば、「H.Zhao,et al.,2018 IEEE/MTT-S International Microwave Symposium, 20 August 2018.」に記載されている値である。
【0139】
このように、大動脈脈波信号PWSが生成できると、大動脈脈波信号PWSに含まれるピーク点を検出することで、第1区間「T1」及び第2区間「ED」といった区間の値が計算できる。そして、大動脈脈波信号PWSが生成できると、区間に基づいて、下記(9)式に示すような計算によって「PTTcf」が計算できる。
【0140】
【数9】
そして、「PTT
cf」と血圧は、以下のような関係がある。
【0141】
図22は、「PTT
cf」と血圧の関係例を示す図である。すなわち、SBPと「PTT
cf」には、負の相関となる関係がある。そのため、「PTT
cf」が短いほど、血圧が高くなる関係となる。
【0142】
この関係を式で示すと、下記(10)式のように示せる。
【0143】
【数10】
上記(10)式において、「a」及び「b」は、1次関数の傾きと切片を示す値である。したがって、「a」及び「b」のパラメータを計算すると、上記(10)式に基づいて、「PTT
cf」と血圧の関係を示す1次関数の式(
図22における直線である。)を特定できる。そして、上記(10)式に基づいて、「PTT
cf」を特定できると、信号復元システム1は、SBP、すなわち、血圧を推定できる。
【0144】
この関係は、例えば、「H.Zhao,et al.,2018 IEEE/MTT-S International Microwave Symposium, 20 August 2018.」に記載されている関係である。
【0145】
そこで、信号復元システム1は、大動脈脈波信号PWSを生成する。まず、大動脈脈波信号PWSは、理想的、すなわち、仮にノイズがない環境下では、以下のような信号である。
【0146】
図23は、理想状態における大動脈脈波信号の例を示す図である。例えば、図示するように、第1区間「T
1」及び第2区間「ED」が計算しやすい信号の状態、すなわち、できるだけノイズを含まない、理想状態に近い大動脈脈波信号PWSが生成できると、上記(9)式及び上記(10)式に基づいて精度よく血圧が推定できる。
【0147】
このように、理想状態の大動脈脈波信号PWSは、第1区間「T1」及び第2区間「ED」が計算でき、かつ、「PTTcf」と血圧の間で強い相関のある波形である。なお、強い相関は、例えば、相関係数が「-0.7」以下の値となる波形である。特に、理想状態の大動脈脈波信号PWSは、「PTTcf」と血圧の間で相関係数が「-0.8」以下である強い相関係数の波形であるのが望ましい。
【0148】
一方で、実際には、ドップラーレーダ12で取得する信号には、ノイズが含まれる。そこで、信号復元システム1は、ノイズが含まれる心拍信号を入力して、図示するように、ノイズを少なくした信号を生成して、出力する。例えば、以下のような全体処理によって、信号復元システム1は、大動脈脈波信号PWSを生成し、血圧を推定する。
【0149】
<全体処理例>
図24は、全体処理例を示す図である。以下、全体処理を「学習処理」と「実行処理」に分けて説明する。なお、「学習処理」は、「実行処理」より前であれば実行のタイミングは限られない。すなわち、「学習処理」と「実行処理」は連続して実行するタイミングなくともよく、「学習処理」の後、「実行処理」が行われる前に時間があいてもよい。
【0150】
(第3心拍信号の取得例)
ステップS301では、信号復元システム1は、心拍信号を取得する。以下、心拍信号のうち、下記に示す第2データの例である「第2学習データ」を生成するために用いられる心拍信号を「第3心拍信号」という。したがって、第3心拍信号は、機械学習における学習データのもとになる心拍の動作を示す信号であり、ドップラーレーダ12が生成するIQデータである。
【0151】
(第4バンドパスフィルタ処理の例)
ステップS302では、信号復元システム1は、第3心拍信号に対してバンドパスフィルタ処理を行うのが望ましい。以下、第3心拍信号を対象にして行うバンドパスフィルタ処理を「第4バンドパスフィルタ処理」という。そして、第3心拍信号に対して第4バンドパスフィルタ処理を行って生成する信号、すなわち、第3心拍信号に含まれるノイズになる信号を第4バンドパスフィルタ処理で減衰させて生成する信号を「第4信号」という。
【0152】
第4バンドパスフィルタ処理は、0.5Hz乃至10.0Hz程度の周波数を抽出する設定であるのが望ましい。より望ましくは、第4バンドパスフィルタ処理は、0.7Hz乃至7Hz程度の周波数を抽出する設定であるのが望ましい。
【0153】
(第2学習データの生成例)
ステップS303では、信号復元システム1は、第2学習データを生成する。例えば、第2学習データは、第4信号を0.8秒ごとに区切って生成する。なお、所定時間は、0.8秒に限られず、例えば、0.8秒に対して±0.2秒程度になってもよい。
【0154】
また、第2学習データは、例えば、LSTMの入力側に入力するデータとして、ノイズを含ませた大動脈脈波信号PWSを生成するのが望ましい。
【0155】
図25は、第2学習データの生成に用いるノイズ成分の例を示す図である。すなわち、第2学習データは、理想状態の大動脈脈波信号PWSに対して、図示するようなガウス分布のノイズ成分を加えて生成されてもよい。このように、ノイズ成分を加えて第2学習データを生成すると、学習データの数を増やすことができる。
【0156】
また、大動脈脈波信号PWSには、ガウス分布の特性を持ったノイズが含まれやすい。すなわち、ガウス分布のノイズを減衰できるように学習モデルを学習させると、精度よくノイズを減衰させて大動脈脈波信号PWSを抽出できる。
【0157】
したがって、入力側に用いる第2学習データは、ガウス分布のノイズ成分を加えて生成されたデータが用いられるのが望ましい。
【0158】
なお、ガウス分布とは異なる分布に従うノイズが生じる環境では、その分布を考慮して学習モデルを学習させてもよい。このように、ノイズの分布に合わせて学習モデルを学習させると、精度よくノイズを減衰させて大動脈脈波信号PWSを抽出できる。
【0159】
ノイズは、例えば、以下のようにモデル化して理想状態の大動脈脈波信号PWSに付加する。
【0160】
まず、被験者ごとに、理想状態の大動脈脈波信号PWSにおける振幅値を各時間で特定し、平均値を計算する。次に、被験者ごとに、ノイズを含む大動脈脈波信号PWSにおける振幅値から、理想状態の大動脈脈波信号PWSにおける振幅値の平均値を減算すると、ノイズ成分が計算できる。続いて、想定されるSNR(S/N比、以下「SNR」という。)の範囲に基づいて、SNRを変化させ、各SNRに対して複数回ノイズ成分を理想状態の大動脈脈波信号PWSに付加する。このように、計算されたノイズ成分を理想状態の大動脈脈波信号PWSに付加して、第2学習データが生成される。このように、第2学習データは、ノイズ成分を含む大動脈脈波信号PWS及び理想状態の大動脈脈波信号PWSである。
【0161】
(第2学習の例)
ステップS304では、信号復元システム1は、第2学習を行う。以下、第2学習データを入力側及び出力側に入力するLSTMによる学習を「第2学習」という。すなわち、LSTMの学習モデルには、第2学習データとして、ノイズ成分を含む大動脈脈波信号PWSを入力側に用い、かつ、理想状態の大動脈脈波信号PWSを出力側に用いる。
【0162】
このように第2学習を行うと、ノイズを含む大動脈脈波信号PWSを入力として、ノイズを減衰させた大動脈脈波信号PWSを出力する学習済みモデルが生成できる。
【0163】
(第4心拍信号の取得例)
ステップS305では、信号復元システム1は、心拍信号を取得する。以下、「第3心拍信号」は別に取得される、「本番用」となる心拍信号を「第4心拍信号」という。したがって、第3心拍信号は、第4心拍信号と同様に、心拍の動作を示す信号であり、ドップラーレーダ12が生成するIQデータである。
【0164】
(大動脈脈波信号の生成例)
ステップS306では、信号復元システム1は、学習済みモデルを用いて大動脈脈波信号を生成する。
【0165】
なお、大動脈脈波信号の生成には、学習処理と同様に、ステップS302等の処理が行われてもよい。
【0166】
(血圧の推定例)
ステップS307では、信号復元システム1は、血圧を推定する。すなわち、信号復元システム1は、ステップS306で生成される大動脈脈波信号PWSに基づいて、第1区間「T1」及び第2区間「ED」といった区間及び「PTTcf」等のパラメータを計算する。このように、パラメータが特定できると、上記(10)式に基づいて、血圧が推定できる。
【0167】
<実験結果>
図26は、第2実施形態の学習データを生成した条件を示す表である。以下、図示するような条件で生成した第2学習データを用いて、第2学習を行った実験結果を示す。そして、「真値」を「オムロン社製 デジタル自動血圧計 HEM-907」(商標)とした。
【0168】
図27は、第2実施形態の実行用のデータを生成した条件を示す表である。以下、図示するような条件で取得した第4心拍信号を用いて、実行処理を行った実験結果を示す。
【0169】
実験では、下記(A)乃至(C)の実験評価指標で評価を行った。
(A)第1区間「T
1」及び第2区間「ED」を計算できない波形の割合
(B)「真値」の血圧と「PTT
cf」の間の相関係数
(C)「真値」の血圧と推定結果が示す血圧の誤差
図28は、血圧と「PTT
cf」の散布図及び近似直線を示す図である。図は、実験における複数の被験者のうち、1人についての実験結果を示す。図において、比較用の実験結果(以下「比較例R1」という。)と、本実施形態による実験結果(以下「提案法R2」という。)をプロットして示す。
【0170】
図29は、第1区間「T
1」及び第2区間「ED」を計算できない波形の割合を計算した結果及び相関係数の計算結果を示す図である。「比較例」は、
図28における比較例R1に相当する手法での実験結果である。一方で、「提案法」は、
図28における提案法R2に相当する手法での実験結果である。
【0171】
そして、
図29は、「被験者 1」及び「被験者 2」の2人についての実験結果を示す。そして、図における相関係数(マイナスの値で示す値である。)が、(B)「真値」の血圧と「PTT
cf」の間の相関係数を実験した結果である。また、図におけるかっこ内の「割合」が、(A)第1区間「T
1」及び第2区間「ED」を計算できない波形の割合を実験した結果である。
【0172】
図示するように、(A)第1区間「T1」及び第2区間「ED」を計算できない波形の割合は、いずれの被験者においても、提案法の方が低い値となった。したがって、提案法の方が、第1区間「T1」及び第2区間「ED」といったパラメータを計算できる波形を生成できる可能性が高い結果となった。
【0173】
(B)「真値」の血圧と「PTTcf」の間の相関係数は、いずれの被験者においても、提案法の方が高い相関を示す結果となった。
【0174】
図30は、「真値」の血圧と推定結果が示す血圧の誤差を実験した結果を示す図である。
【0175】
図31は、「真値」の血圧と推定結果が示す血圧の誤差を実験した結果を示す図である。
【0176】
図30及び
図31における「比較例」は、
図28における比較例R1に相当する手法での実験結果である。一方で、「提案法」は、
図28における提案法R2に相当する手法での実験結果である。
【0177】
図示するように、提案法は、比較例より、「被験者 1」において、「25%」程度誤差が少ない結果となった。同様に、提案法は、比較例より、「被験者 2」において、「33%」程度誤差が少ない結果となった。このように、提案法は、(C)「真値」の血圧と推定結果が示す血圧の誤差において、比較例より、血圧を少ない誤差で推定できた。
【0178】
<機能構成例>
図32は、第2実施形態における機能構成例を示す図である。図示するように、「学習処理」を行う状態では、信号復元システム1は、信号取得部1F11、第4バンドパスフィルタ部1F21、第2学習データ生成部1F22、及び、第2学習部1F23を含む機能構成である。一方で、「実行処理」を行う状態では、信号復元システム1は、信号取得部1F11、第4バンドパスフィルタ部1F21、大動脈脈波生成部1F24、及び、血圧推定部1F25を含む機能構成である。以下、「学習処理」及び「実行状態」に用いる機能構成をすべて含む機能構成である状態を例に説明する。
【0179】
信号取得部1F11は、第3心拍信号及び第4心拍信号等の心拍信号を取得する信号取得手順を行う。例えば、信号取得部1F11は、ドップラーレーダ12等で実現する。
【0180】
第4バンドパスフィルタ部1F21は、第3心拍信号に対して第4バンドパスフィルタ処理を行って第4信号を生成する第4バンドパスフィルタ手順を行う。例えば、第4バンドパスフィルタ部1F21は、CPU10H1等で実現する。
【0181】
第2学習データ生成部1F22は、第4信号を所定時間ごとに区切って第2学習データを生成する第2学習データ生成手順を行う。例えば、第2学習データ生成部1F22は、CPU10H1等で実現する。
【0182】
第2学習部1F23は、第2学習データを入力して機械学習を行う第2学習手順を行う。例えば、第2学習部1F23は、CPU10H1等で実現する。
【0183】
大動脈脈波生成部1F24は、機械学習によって生成される学習済みモデルに基づいて、第4心拍信号を取得して大動脈脈波を含む又は大動脈脈波を強調した大動脈脈波信号を生成する大動脈脈波生成手順を行う。例えば、大動脈脈波生成部1F24は、CPU10H1等で実現する。
【0184】
血圧推定部1F25は、大動脈脈波信号が示すパラメータに基づいて血圧を推定する血圧推定手順を行う。例えば、血圧推定部1F25は、CPU10H1等で実現する。
【0185】
まず、「学習処理」を行うことで、学習モデルMDLの機械学習を行う。このような学習を行うと、「学習済みモデル」が生成できる。そして、学習済みモデルを用いると、第4心拍信号を取得すると、学習済みモデルによって大動脈脈波信号を生成できる。そして、大動脈脈波信号が得られると、第1区間「T1」及び第2区間「ED」といった区間及び「PTTcf」等のパラメータが特定して、上記(10)式に基づいて、血圧が推定できる。
【0186】
以上のような構成であると、信号復元システム1は、大動脈脈波信号を生成して、血圧を推定できる。
【0187】
また、大動脈脈波信号を生成する上で、大動脈脈波生成部1F24は、大動脈脈波信号を強調するように生成してもよい。すなわち、上記のような構成では、大動脈脈波信号に基づいて、第1区間「T
1」及び第2区間「ED」等のパラメータが計算される。この計算では、大動脈脈波信号における極値、すなわち、
図21における第1ピーク点PK1、第2ピーク点PK2及び第3ピーク点PK3等がはっきりとしている方がより精度よくパラメータを計算できる。したがって、大動脈脈波生成部1F24は、極値を強調するように波形を加工する等の処理を更に行ってもよい。また、2階微分等によって、下に凸な極値であるか、又は、上に凸な極値であるか等が計算されてもよい。
【0188】
<ドップラーレーダで計測するIQデータの例>
図33は、ドップラーレーダで計測するIQデータの例である。例えば、ドップラーレーダ12は、図示するような信号を出力する。そして、arctan(Q/I)を計算すると、心拍信号となる。
【0189】
ドップラーレーダ12は、動く対象物に電波を照射することで反射波の周波数が変化するドップラー効果に基づいて対象物の動きを計測できる。このように、非接触に被験者の動きを計測できる構成が望ましい。
【0190】
<第3実施形態>
第3実施形態は、例えば、第1実施形態と同様の全体構成及び同様のハードウェア構成である情報処理装置によって実現する。以下、第1実施形態と重複する箇所は説明を省略し、異なる点を中心に説明する。また、以下の例では、信号生成システムの例として、第1実施形態と同様の全体構成である信号復元システム1を例に説明する。
【0191】
第3実施形態では、例えば、ドップラーレーダ等で下記(11)式に示すようなドップラー信号を取得して、心拍信号を再構成する。
【0192】
【数11】
そして、上記(11)式に示すドップラー信号に対して、例えば、以下のような処理を施す。
【0193】
第1に、カットオフ周波数を0.5Hz及び2.0Hzに設定してバンドパスフィルタ処理を行うのが望ましい。
【0194】
第2に、ウィンドウサイズが「256ms」又は「512ms」であって、ステップサイズが「5ms」乃至「50ms」程度のSTFTを行う。
【0195】
第3に、LSTMに基づいて復元等の処理を行う。具体的には、LSTMを用いてスペクトログラムから心拍信号を生成する。
【0196】
LSTMは、信号の時間領域における長期的な依存関係を学習できる深層学習法の例である。そして、上記の例に示すように、LSTMが双方向に処理を行う構成(Bi-LSTM)であると、時間の順方向及び逆方向の双方向において、信号の長期的な依存関係を学習できる。
【0197】
そして、LSTMには、入力データとして、スペクトログラムを数秒ずつに分割して、心拍に起因するスペクトログラムによって生じる周波数帯のパワーを入力する。
【0198】
さらに、LSTMには、出力データとして、心拍動作の検出が容易な信号を利用することが望ましい。例えば、ECG信号又はECG信号にフィルタ処理を行って生成される信号が利用されるのが望ましい。
【0199】
また、学習モデルは、例えば、入力層、Bi-LSTM層、及び、回帰層の3層があるのが望ましい。そして、Bi-LSTM層、及び、回帰層が多層であると、より詳細な特徴量に基づいて、心拍の動作を復元した信号を生成できる。
【0200】
複雑なネットワーク構造であるほど、過学習が生じやすい。そこで、3層程度の構造が単純な構造であるため、3層程度の構造が望ましい。
Bi-LSTMにおける隠れ層数及びステップサイズは、入力データ長が2のべき乗となる値であって、かつ「64」乃至「256」程度が望ましい。
【0201】
第1実施形態とは、以下のように損失関数が異なる。
【0202】
損失関数は、出力波形と真値の相関が高くなるように学習モデルを学習するため、相関係数「coef」を利用する関数が望ましい。具体的には、損失関数は、例えば、下記(12)式に示すような関数に設定される。
【0203】
【数12】
上記のような構成であると、例えば、以下のような結果となる。
【0204】
図34は、ECG信号との比較した結果の例を示す図である。この実験では、被験者は、ベッドで仰向けに寝ている状態であった。
【0205】
縦軸は、電圧を示す。一方で、横軸は、時間を示す。
【0206】
図示する評価では、計算量を考慮してSTFTのウィンドウサイズ及びステップサイズをそれぞれ「512ms」及び「25ms」と設定した場合である。そして、入力に利用する周波数帯を[-20,-8.0]Hz[8.0,20]Hzとするため、バンドパスフィルタ処理を行った。図示する信号は、構築した深層学習モデルによる出力信号の一例である。「True ECG signal」で示す線は、ECG信号である。一方で、「Reconstructed signal」で示す線は、学習モデル(すなわち、LSTMからの出力である。)による出力信号である。このように、ECG信号のピークに対応するピークが、出力信号でも確認できる。
【0207】
また、ECG信号と学習モデルによる出力信号で計算されるRRIを比較すると、以下のような結果が得られる。なお、以下の図では、ピークの対応関係を見やすくするため、ECG信号と学習モデルの出力を正規化して示す(縦軸は、正規化した値を示す)。
【0208】
【0209】
【0210】
【0211】
【0212】
【0213】
【0214】
【0215】
第1推定結果乃至第7推定結果では、被験者が異なる。なお、被験者は、第1推定結果乃至第7推定結果では、いずれも着座静止状態である。
【0216】
このように、本実施形態(図における「Estimated RRI」である。)であると、ECGに近しい特性が出せる。
【0217】
本実施形態では、入力時間幅を長くし、複数ピークが含まれる構成である。そのため、第1実施形態におけるピークの対応付け等の処理が不要にできる構成である。
【0218】
<変形例>
第1実施形態及び第2実施形態に示す構成要素は、組み合わせられてもよい。例えば、心拍信号は、第1実施形態及び第2実施形態の学習済みモデルを両方持つ信号復元システムによって取得されて両方に用いられてもよい。このように、第1実施形態及び第2実施形態のそれぞれの構成要素を一部共通して用いる構成等でもよい。
【0219】
各信号は、心拍等の1周期に揃えた間隔で生成されるのが望ましい。ただし、1つのデータに2周期以上の周期が含まれてもよい。
【0220】
<学習済みモデルの実施形態>
第2心拍信号を取得して心拍の動作を示す復元信号を生成するようにコンピュータを機能させるための学習済みモデルであって、
入力層と、
LSTMを含むLSTM層と、
全結合層と、
出力層とを含むネットワーク構造であって、
信号復元システムが、
心拍の動作を示す第1心拍信号を取得し、
前記第1心拍信号に対して第1バンドパスフィルタ処理を行って第1信号を生成し、
前記第1信号が示す前記心拍の周波数強度を積分して積分値を計算し、
時間に対して前記積分値を示す第2信号に対して第2バンドパスフィルタ処理を行って第3信号を生成し、
前記第3信号を所定時間ごとに区切って第1学習データを生成し、
前記第1学習データを入力して学習される学習済みモデルであり、
前記第2心拍信号に基づいて積分値を計算し、
学習済みモデルに対して、
前記積分値を前記入力層に入力し、
前記復元信号を生成するようにコンピュータを機能させるための学習済みモデルでもよい。
【0221】
また、第4心拍信号を取得して大動脈脈波を含む又は前記大動脈脈波を強調した大動脈脈波信号を生成し、前記大動脈脈波信号が示すパラメータに基づいて血圧を推定するようにコンピュータを機能させるための学習済みモデルであって、
入力層と、
LSTMを含むLSTM層と、
全結合層と、
出力層とを含むネットワーク構造であって、
信号生成システムが、
心拍の動作を示す第3心拍信号を取得し、
前記第3心拍信号に対して第4バンドパスフィルタ処理を行って第4信号を生成し、
前記第4信号を所定時間ごとに区切って第2学習データを生成し、
前記第2学習データを入力して学習される学習済みモデルであり、
学習済みモデルに対して、
前記第4心拍信号が入力されると、前記大動脈脈波を含む又は前記大動脈脈波を強調した大動脈脈波信号を生成し、
前記大動脈脈波信号に基づいて血圧を推定するようにコンピュータを機能させるための学習済みモデルでもよい。
【0222】
学習済みモデルは、AIにおけるソフトウェアの一部として利用される。したがって、学習済みモデルは、プログラムである。そのため、学習済みモデルは、例えば、記録媒体又はネットワーク等を介して、頒布又は実行されてもよい。
【0223】
学習済みモデルは、上記のようなデータ構造である。そして、学習済みモデルは、上記に示すような学習データにより学習したモデルである。なお、学習済みモデルは、更に学習データを入力して、更に学習が行える構造でもよい。
【0224】
<その他の実施形態>
例えば、送信器、受信器、又は、情報処理装置は、複数の装置であってもよい。すなわち、処理及び制御は、仮想化、並行、分散又は冗長して行われてもよい。一方で、送信器、受信器及び情報処理装置は、ハードウェアが一体又は装置を兼用してもよい。
【0225】
信号復元システム及び信号生成システムは、AI等を利用して機械学習を行う構成であればよい。例えば、ネットワーク構造は、GAN(Generative Adversarial Network)、CNN(Convolutional Neural Network)、RNN等といった機械学習を行う構造を含んでもよい。
【0226】
また、機能構成のうち、「学習処理」用の構成と「実行処理」用の構成は、両方を含む構成でなくともよい。例えば、「学習処理」を行う段階では、「実行処理」用の構成を含まない構成でもよい。同様に、「実行処理」を行う段階では、「学習処理」用の構成を含まない構成でもよい。このように、「学習」及び「実行」の段階に分けて、行う処理とは異なる構成を除いた構成にできてもよい。なお、「学習処理」又は「学習処理」の後等に、ネットワーク構造における様々な設定は、ユーザによって調整されてもよい。
【0227】
なお、本発明に係る各処理の全部又は一部は、アセンブラ等の低水準言語又はオブジェクト指向言語等の高水準言語で記述され、コンピュータに信号復元方法又は信号生成方法を実行させるためのプログラムによって実現されてもよい。すなわち、プログラムは、情報処理装置、信号復元システム及び信号生成システム等のコンピュータに各処理を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0228】
したがって、プログラムに基づいて各処理が実行されると、コンピュータが有する演算装置及び制御装置は、各処理を実行するため、プログラムに基づいて演算及び制御を行う。また、コンピュータが有する記憶装置は、各処理を実行するため、プログラムに基づいて、処理に用いられるデータを記憶する。
【0229】
また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されて頒布することができる。なお、記録媒体は、磁気テープ、フラッシュメモリ、光ディスク、光磁気ディスク又は磁気ディスク等のメディアである。さらに、プログラムは、電気通信回線を通じて頒布することができる。
【0230】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0231】
この出願は、2020年2月21日に出願された日本国特許出願第2020-028681号に基づきその優先権を主張するものであり、その全内容を参照により含む。
【符号の説明】
【0232】
1 信号復元システム
1F11 信号取得部
1F12 第1バンドパスフィルタ部
1F13 積分計算部
1F14 第2バンドパスフィルタ部
1F15 第1学習データ生成部
1F16 第1学習部
1F17 復元信号生成部
1F21 第4バンドパスフィルタ部
1F22 第2学習データ生成部
1F23 第2学習部
1F24 大動脈脈波生成部
1F25 血圧推定部
12 ドップラーレーダ
12Rx 受信器
12S ソース
12Tx 発信器
13 フィルタ
IDX1 第1指標
IDX2 第2指標
IDX3 第3指標
L1 入力
L2 多層Bi-LSTM
L3 全結合層
L4 出力
MDL 学習モデル
P11 第11頂点
P12 第12頂点
P13 第13頂点
P14 第14頂点
P21 第21頂点
P22 第22頂点
P23 第23頂点
P24 第24頂点
PK1 第1ピーク点
PK2 第2ピーク点
PK3 第3ピーク点
PWS 大動脈脈波信号
R1 比較例
R2 提案法
x 変位
θ 位相
ωd 角周波数
【手続補正書】
【提出日】2024-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心拍の動作を示す第1心拍信号を取得する信号取得部と、
前記第1心拍信号に対して第1バンドパスフィルタ処理を行って前記第1心拍信号に基づく第1信号を生成する第1バンドパスフィルタ部と、
前記第1心拍信号に基づく前記第1信号が示す前記心拍の周波数強度を積分して前記第1心拍信号に基づく積分値を計算する積分計算部と、
時間に対して前記第1心拍信号に基づく前記積分値を示す第2信号に対して第2バンドパスフィルタ処理を行って前記第1心拍信号に基づく第3信号を生成する第2バンドパスフィルタ部と、
前記第1心拍信号に基づく前記第3信号を所定時間ごとに区切って生成される前記第1心拍信号に基づく第1データに基づいて、前記第1心拍信号に基づく心拍の動作を示す復元信号を生成する復元信号生成部と、
前記第1心拍信号に基づく前記第1データに基づいて学習モデルの学習を行う学習部と、
を含む信号復元システムであって、
前記信号取得部が、心拍の動作を示す第2心拍信号を取得し、
前記第1バンドパスフィルタ部が、前記第2心拍信号に対して前記第1バンドパスフィルタ処理を行って前記第2心拍信号に基づく第1信号を生成し、
前記積分計算部が、前記第2心拍信号に基づく前記第1信号が示す前記心拍の周波数強度を積分して前記第2心拍信号に基づく積分値を計算し、
前記第2バンドパスフィルタ部が、時間に対して前記第2心拍信号に基づく前記積分値を示す第2信号に対して前記第2バンドパスフィルタ処理を行って前記第2心拍信号に基づく第3信号を生成し、
前記復元信号生成部が、前記第2心拍信号に基づく前記第3信号を所定時間ごとに区切って生成される前記第2心拍信号に基づく第1データを、前記第1心拍信号に基づく前記第1データで学習済みの前記学習モデルに入力し、前記第2心拍信号に基づく心拍の動作を示す復元信号を生成する、
信号復元システム。
【請求項2】
前記復元信号生成部は、心拍の1周期におけるQ波、R波、S波、及び、T波を復元又は強調する前記復元信号を生成する
請求項1に記載の信号復元システム。
【請求項3】
前記信号取得部は、ドップラーレーダによって前記第1心拍信号を取得する
請求項1又は2に記載の信号復元システム。
【請求項4】
前記第1信号に基づいて、時間と前記第1信号に含まれる周波数強度との関係を示すスペクトログラムを生成するスペクトログラム変換部を更に含み、
前記積分計算部は、前記スペクトログラムが示す前記周波数強度を積分して前記積分値を計算する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の信号復元システム。
【請求項5】
前記第1バンドパスフィルタ処理は、前記第2バンドパスフィルタ処理より減衰の対象外とする周波数帯が広く設定される
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の信号復元システム。
【請求項6】
前記第1バンドパスフィルタ処理は、8乃至30Hzの周波数帯以外を減衰させ、
前記第2バンドパスフィルタ処理は、0.5乃至10.0Hzの周波数帯以外を減衰させる
請求項5に記載の信号復元システム。
【請求項7】
前記信号取得部が、心拍の動作を示す第3心拍信号を取得し、
前記第3心拍信号に対してバンドパスフィルタ処理を行って第4信号を生成する第4信号生成バンドパスフィルタ部と、
前記第4信号を所定時間ごとに区切って生成される第2データに基づいて、大動脈脈波を含む又は前記大動脈脈波を強調した大動脈脈波信号を生成する大動脈脈波生成部と、
前記大動脈脈波信号が示すパラメータに基づいて血圧を推定する血圧推定部と
をさらに含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の信号復元システム。
【請求項8】
信号復元システムが実行する信号復元方法であって、
信号復元システムが、心拍の動作を示す第1心拍信号を取得することと、
信号復元システムが、前記第1心拍信号に対して第1バンドパスフィルタ処理を行って前記第1心拍信号に基づく第1信号を生成することと、
信号復元システムが、前記第1心拍信号に基づく前記第1信号が示す前記心拍の周波数強度を積分して前記第1心拍信号に基づく積分値を計算することと、
信号復元システムが、時間に対して前記第1心拍信号に基づく前記積分値を示す第2信号に対して第2バンドパスフィルタ処理を行って前記第1心拍信号に基づく第3信号を生成することと、
信号復元システムが、前記第1心拍信号に基づく前記第3信号を所定時間ごとに区切って生成される前記第1心拍信号に基づく第1データに基づいて、前記第1心拍信号に基づく心拍の動作を示す復元信号を生成することと、
信号復元システムが、前記第1心拍信号に基づく前記第1データに基づいて学習モデルの学習を行うことと、
信号復元システムが、心拍の動作を示す第2心拍信号を取得することと、
信号復元システムが、前記第2心拍信号に対して第1バンドパスフィルタ処理を行って前記第2心拍信号に基づく第1信号を生成することと、
信号復元システムが、前記第2心拍信号に基づく前記第1信号が示す前記心拍の周波数強度を積分して前記第2心拍信号に基づく積分値を計算することと、
信号復元システムが、時間に対して前記第2心拍信号に基づく前記積分値を示す第2信号に対して第2バンドパスフィルタ処理を行って前記第2心拍信号に基づく第3信号を生成することと、
信号復元システムが、前記第2心拍信号に基づく前記第3信号を所定時間ごとに区切って生成される前記第2心拍信号に基づく第1データを、前記第1心拍信号に基づく前記第1データで学習済みの前記学習モデルに入力し、前記第2心拍信号に基づく心拍の動作を示す復元信号を生成することと、
を含む信号復元方法。
【請求項9】
コンピュータに請求項8に記載の信号復元方法を実行させるためのプログラム。