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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058700
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
A61M25/00 532
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165953
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桂田 武治
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267AA28
4C267BB02
4C267BB38
4C267FF01
4C267HH02
4C267HH07
(57)【要約】
【課題】カテーテルの先端チップの耐久性を向上する方法を提供する。
【解決手段】カテーテルは、中空のシャフトと、先端チップとを備える。先端チップは、第1樹脂からなる第1部分と、第1部分に接合され、第1樹脂よりも硬度が低い第2樹脂からなる第2部分とを有し、シャフトの先端に接合される。先端チップの先端は、第1部分によって構成され、第1部分と第2部分との接合面は、先端チップの中心軸に対して傾斜した部分を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルであって、
中空のシャフトと、
第1樹脂からなる第1部分と、前記第1部分に接合され、前記第1樹脂よりも硬度が低い第2樹脂からなる第2部分と、を有し、前記シャフトの先端に接合される先端チップと、
を備え、
前記先端チップの先端は、前記第1部分によって構成され、
前記第1部分と前記第2部分との接合面は、前記先端チップの中心軸に対して傾斜した部分を有する、
カテーテル。
【請求項2】
請求項1に記載のカテーテルであって、
前記先端チップは、先端部に、基端側から先端側に向かうにつれて外径が縮小する縮径領域を有する、
カテーテル。
【請求項3】
請求項2に記載のカテーテルであって、
前記縮径領域における前記第1部分の体積は、前記第2部分の体積よりも大きい、
カテーテル。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のカテーテルであって、
前記接合面の先端は、前記縮径領域に含まれる、
カテーテル。
【請求項5】
請求項4に記載のカテーテルであって、
前記接合面は、基端側から先端側に向かうにつれて、前記先端チップの前記中心軸との距離が大きくなるように傾斜した部分を有する、
カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、血管等の生体管腔内に挿入され、生体管腔内を診断または治療するために使用される長尺状医療機器である。カテーテルは、中空のシャフトと、シャフトの先端に接合される中空の先端チップとを備える。シャフトおよび先端チップの中空部は、例えばガイドワイヤを挿通させるためのルーメンとして機能する。
【0003】
カテーテルをはじめとする生体管腔内に挿入される長尺状医療機器は、術者によって長尺状医療機器の基端部に対して、先端側へ移動する操作(押し込み操作)が行われる際に、管腔の壁面を損傷もしくは穿孔させるおそれがある。このような課題に対応するため、先端部が比較的軟質な材料によって形成されたダイレーターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-51953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、カテーテルにおいても上述のような比較的軟質な材料で形成された先端チップが適用されているが、このような先端チップでは耐久性に課題がある。具体的には、例えば石灰化病変等の硬い病変を通過する際、病変との接触によって先端チップの先端部が潰れて、先端チップが病変を通過できない場合がある。なお、このような課題は、貫通カテーテルやマイクロカテーテル等、中空のシャフトと、シャフトの先端に接合された先端チップとを備えるカテーテルに共通の課題である。
【0006】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示される技術は、例えば以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
(1)本明細書に開示されるカテーテルは、中空のシャフトと、先端チップとを備える。前記先端チップは、第1樹脂からなる第1部分と、前記第1部分に接合され、前記第1樹脂よりも硬度が低い第2樹脂からなる第2部分と、を有し、前記シャフトの先端に接合される。前記先端チップの先端は、前記第1部分によって構成され、前記第1部分と前記第2部分との接合面は、前記先端チップの中心軸に対して傾斜した部分を有する。
【0009】
本カテーテルによれば、先端チップの先端が、比較的硬度が高い樹脂によって構成されることにより、石灰化病変等の硬い病変を通過する場合における先端チップの耐久性を向上することができ、病変に対する通過性を向上することができる。
【0010】
また、例えば先端チップの全体が比較的硬度が高い樹脂によって構成される場合、屈曲した血管や病変内の蛇行に対する追従性が悪化し、かえって病変に対する通過性が低下する。これに対し、本カテーテルによれば、先端チップの先端以外が比較的硬度が低い樹脂によって構成されることにより、追従性を保持したまま、先端チップの耐久性を向上することができ、病変に対する通過性を向上することができる。
【0011】
また、本カテーテルによれば、比較的硬度が高い樹脂と、比較的硬度が低い樹脂との接合面が、先端チップの中心軸に対して傾斜した部分を有することにより、接合面の面積を大きくすることができる。そのため、接合強度を向上することができ、先端チップを構成する異種の樹脂間での破断を抑制することができる。
【0012】
(2)上記カテーテルにおいて、前記先端チップは、先端部に、基端側から先端側に向かうにつれて外径が縮小する縮径領域を有する構成としてもよい。本カテーテルによれば、先端チップの先端に、基端側から先端側に向かうにつれて外径が縮小する部分を有することにより、病変に対する通過性をより効果的に向上することができる。
【0013】
(3)上記カテーテルにおいて、前記縮径領域における前記第1部分の体積は、前記第2部分の体積よりも大きい構成としてもよい。本カテーテルによれば、縮径領域において、比較的硬度が高い樹脂の体積が、比較的硬度が低い樹脂の体積よりも大きくなるような構成とすることで、先端チップの耐久性をより効果的に向上することができる。
【0014】
(4)上記カテーテルにおいて、前記接合面の先端は、前記縮径領域に含まれる構成としてもよい。本カテーテルによれば、比較的硬度が高い樹脂と、比較的硬度が低い樹脂との接合面の先端が、先端チップの先端部を構成する縮径領域に含まれることにより、接合面の傾斜をより緩やかにすることが可能になる。従って、接合面の面積をより大きくすることができ、接合強度をより効果的に向上させることができる。
【0015】
(5)上記カテーテルにおいて、前記接合面は、基端側から先端側に向かうにつれて、前記先端チップの前記中心軸との距離が大きくなるように傾斜した部分を有する構成としてもよい。本カテーテルによれば、先端チップにおける比較的硬度が高い部分の外周面への露出を抑制しつつ、先端チップの先端部を比較的硬度が高い部分によって構成することができる。従って、先端チップの追従性を保持したまま、先端チップの耐久性を向上することができる。
【0016】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、カテーテルおよびカテーテルの製造方法等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態におけるカテーテル110の構成を概略的に示す説明図
図2図1のII-IIの位置におけるシャフト150の横断面の構成を示す説明図
図3図2のIII-IIIの位置におけるシャフト150の縦断面の構成を示す説明図
図4】第1実施形態におけるカテーテル110の先端チップ180の構成を概略的に示す説明図
図5】先端チップ180の製造方法を模式的に示す説明図
図6】第2実施形態におけるカテーテル110aの先端チップ180aの構成を概略的に示す説明図
図7】第3実施形態におけるカテーテル110bの先端チップ180bの構成を概略的に示す説明図
図8】変形例におけるカテーテル110cの先端チップ180cの構成を概略的に示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
A.第1実施形態:
A-1.カテーテル110の構成:
図1は、第1実施形態におけるカテーテル110の構成を概略的に示す説明図である。図1には、カテーテル110の側面の構成を示している。図1では、カテーテル110の一部の図示が省略されている。図1において、Z軸正方向側が、体内に挿入される先端側(遠位側)であり、Z軸負方向側が、医師等の手技者によって操作される基端側(近位側)である。図1では、カテーテル110が全体としてZ軸方向に略平行な直線状となった状態を示しているが、カテーテル110の少なくとも一部の構成は、湾曲させることができる程度の柔軟性を有している。これらの点は、以降の図においても同様である。本明細書では、カテーテル110およびその各構成部材について、先端側の端を「先端」といい、先端およびその近傍を「先端部」といい、基端側の端を「基端」といい、基端およびその近傍を「基端部」という。
【0019】
カテーテル110は、血管、消化管、尿管等の人体の体腔や体内組織中に挿入されて使用される長尺状医療機器である。カテーテル110の全長は、例えば1000(mm)~2000(mm)程度である。カテーテル110は、シャフト150と、先端チップ180と、コネクタ160とを備える。
【0020】
シャフト150は、長尺状の中空部材である。図2は、図1のII-IIの位置におけるシャフト150の横断面の構成を示す説明図である。図3は、図2のIII-IIIの位置におけるシャフト150の縦断面の構成を示す説明図である。シャフト150は、中空の内層158と、内層158の外周側に配置された中空の外層159と、内層158と外層159との間に埋設された中空のコイル体190とを有する。
【0021】
内層158は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂により形成されており、外層159は、例えばナイロン等の樹脂により形成されている。コイル体190は、素線を螺旋状に巻き回したコイル状の部材であり、例えばSUS304等の金属により形成されている。シャフト150の中空部と、後述の先端チップ180の中空部とは、例えばガイドワイヤ(図示せず)が挿入されるルーメン170を形成している。シャフト150の各位置における横断面の形状は、任意の形状を取り得るが、例えば略円環状である。シャフト150の外径は、基端から先端にわたって略一定であり、例えば0.2(mm)~1.5(mm)程度である。なお、シャフト150の外径は、基端から先端にわたって略一定である必要はなく、例えば基端側から先端側に向かって徐々に縮径していてもよい。
【0022】
先端チップ180は、シャフト150の先端に接合され、カテーテル110の最先端部を構成する中空の部材である。先端チップ180の詳細な構成については後述する。
【0023】
コネクタ160は、シャフト150の基端に接続され、カテーテル110の最基端部を構成する中空の部材である。コネクタ160には、シリンジ等との接続のためのポートが設けられていてもよい。コネクタ160は、例えば樹脂により形成されている。
【0024】
なお、カテーテル110の少なくとも一部に親水性コーティングが施されていてもよい。また、カテーテル110の先端部に放射線不透過マーカが設けられていてもよい。
【0025】
A-2.先端チップ180の詳細構成:
図4は、第1実施形態におけるカテーテル110の先端チップ180の構成を概略的に示す説明図である。図4では、カテーテル110の中心軸AXを含む縦断面(YZ断面)の構成が示されている。カテーテル110の中心軸AXは、シャフト150および先端チップ180の中心軸にも等しい。以降の説明では、シャフト150および先端チップ180の中心軸についても中心軸AXと呼ぶ場合がある。先端チップ180は、第1部分181と、第2部分182とを備える。
【0026】
第1部分181は、先端チップ180における先端側に位置している。第1部分181の先端は、先端チップ180における先端に位置し、第1部分181の基端部は、第2部分182の先端部と接合している。すなわち、先端チップ180の先端は、第1部分181によって構成される。第1部分181は第1樹脂によって形成されている。第1樹脂は、例えばポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー等である。
【0027】
第2部分182は、先端チップ180における基端側に位置している。第2部分182の先端部は、第1部分の基端部と接合しており、第2部分182の基端は、シャフト150の先端と接合している。第2部分182は、第1部分181よりも硬度が低い第2樹脂によって形成されている。第2樹脂は、例えばポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー等である。
【0028】
なお、第1樹脂および第2樹脂は、同種の材料を選択してもよく、そのような場合、同種の材料であってグレードの異なる材料を選択することで、第1部分181および第2部分182の硬度を調整することができる。
【0029】
第1部分181と第2部分182との接合面である接合面184は、カテーテル110における中心軸AXに対して傾斜している。「傾斜している」とは、中心軸AXに対し、接合面184が平行でなく、かつ、垂直でないことを意味している。具体的には、縦断面に垂直な方向視において、接合面184と、中心軸AXとがなす角を傾きθ(0°≦θ≦90°)とすると、0°<θ<90°が成り立つようにして、第1部分181と、第2部分182とが接合される。第1実施形態のカテーテル110では、第1部分181と、第2部分182とは、接合面184が基端側から先端側に向かうにつれて、中心軸AXとの距離が大きくなるようにして接合されている。傾きθは、上述の範囲内において任意の値を取り得るが、例えば10°<θ<60°であることが好ましく、25°<θ<45°であることがさらに好ましい。
【0030】
先端チップ180は、先端部に、基端側から先端側に向かうにつれて外径が縮小する縮径領域186を有している。第1実施形態のカテーテル110では、縮径領域186の外周面の形状がテーパ状になっており、基端側から先端側に向かって略一定の割合で外径が縮小している。接合面184の先端は、縮径領域186に含まれている。すなわち、縮径領域186は、第1部分181と、第2部分182とを含んでいる。このとき、縮径領域186において、第2部分182よりも第1部分181が占める体積が大きくなるように構成されている。
【0031】
A-3.先端チップ180の製造方法:
図5は、先端チップ180の製造方法を模式的に示す説明図である。まず、第1樹脂からなる第1樹脂チューブ181Pおよび第2樹脂からなる第2樹脂チューブ182Pをそれぞれ準備する。第1樹脂チューブ181Pおよび第2樹脂チューブ182Pのそれぞれの一方の端部は、他方のチューブとの接合箇所が形成されるように加工する。具体的には、第1樹脂チューブ181Pの一方の端部は、例えば外周面側を切削することによって、基端側から先端側に向かって外径が縮小するよう、テーパ状に加工する。第2樹脂チューブ182Pの一方の端部は、例えば内周面側を切削することによって、基端側から先端側に向かって内径が拡大するよう、テーパ状に加工する。このとき、第1樹脂チューブ181Pのテーパ部と、第2樹脂チューブ182Pのテーパ部とが嵌合する形状となるよう、双方のテーパ比が等しくなるように加工する。
【0032】
次に、第1樹脂チューブ181Pと、第2樹脂チューブ182Pとを接合する。第1樹脂チューブ181Pにおけるテーパ部と、第2樹脂チューブ182Pにおけるテーパ部とを重ね合わせ、例えば熱溶着によって第1樹脂チューブ181Pと第2樹脂チューブ182Pとを接合する。これにより、第1樹脂チューブ181Pと、第2樹脂チューブ182Pとが混合した領域を有する複合チューブ180Pを作製することができる。
【0033】
次に、先端チップ180における縮径領域186の成形を行う。先端の表面がテーパ状になるよう、複合チューブ180Pの切削を行う。このとき、先端チップ180の先端が第1部分181によって構成されるように加工する。また、縮径領域186における第1部分181の体積が第2部分182の体積よりも大きく、かつ、接合面184の先端が縮径領域186に含まれることが好ましい。以上の工程によって、カテーテル110に適用される先端チップ180が完成する。
【0034】
A-4.第1実施形態の効果:
以上説明したように、カテーテル110は、中空のシャフト150と、先端チップ180と、を備える。先端チップ180は、第1樹脂からなる第1部分181と、第1部分181に接合され、第1樹脂よりも硬度が低い第2樹脂からなる第2部分182と、を有し、シャフト150の先端に接合される。先端チップ180の先端は、第1部分181によって構成され、第1部分181と第2部分182との接合面184は、先端チップ180の中心軸AXに対して傾斜した部分を有する。
【0035】
このように、本カテーテル110によれば、先端チップ180の先端が、比較的硬度が高い第1樹脂によって構成されることにより、石灰化病変等の硬い病変を通過する場合における先端チップ180の耐久性を向上させることができ、病変に対する通過性を向上することができる。
【0036】
一方、例えば先端チップ180の全体が比較的硬度が高い樹脂によって構成される場合、屈曲した血管や病変内の蛇行に対する追従性が悪化し、かえって病変に対する通過性が低下する。これに対し、本カテーテル110によれば、先端チップ180の先端以外が、比較的硬度が低い第2樹脂によって構成されることにより、追従性を保持したまま、先端チップ180の耐久性を向上させることができ、病変に対する通過性を向上することができる。
【0037】
また、本カテーテル110によれば、第1部分181と、第2部分182との接合面184が、中心軸AXに対して傾斜した部分を有するような構成をとる。これより、第1部分181と第2部分182との接合面積を大きくすることができ、第1部分181と第2部分182との接合強度を向上させることができる。そのため、例えば先端チップ180が血管の狭窄部等にトラップされた場合においても、手技者によるカテーテルの回転操作に伴う、第1部分181と、第2部分182との破断を抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態のカテーテル110では、先端チップ180は、先端部に、基端側から先端側に向かうにつれて外径が縮小する縮径領域186を有する。本カテーテル110によれば、先端チップ180の先端に、テーパ状の縮径領域186を施すことにより、病変に対する通過性をより効果的に向上することができる。
【0039】
また、本実施形態のカテーテル110では、縮径領域186における第1部分181の体積は、第2部分182の体積よりも大きい。本カテーテル110によれば、縮径領域186において、第1部分181の体積が、第2部分182の体積よりも大きくなるような構成とすることで、先端チップ180の耐久性をより効果的に向上することができる。
【0040】
また、本実施形態のカテーテル110では、接合面184の先端は、縮径領域186に含まれる。本カテーテル110によれば、接合面184の先端が先端チップ180の先端部を構成する縮径領域186に含まれることにより、接合面184の傾斜をより緩やかにすることが可能になる。これにより、第1部分181と、第2部分182との接合面積をより大きくすることができ、第1部分181と、第2部分182との接合強度をより効果的に向上させることができる。さらに、接合面184の傾斜をより緩やかにすることによって、先端チップ180における基端側と先端側の剛性ギャップを緩やかにすることができる。これにより、第1部分181と第2部分182との境界部分において、剛性ギャップに起因するキンクの発生を抑制できる。
【0041】
また、本実施形態のカテーテル110では、接合面184は、基端側から先端側に向かうにつれて、先端チップ180の中心軸AXとの距離が大きくなるように傾斜した部分を有する。本カテーテル110によれば、先端チップ180における比較的硬度が高い部分の外周面への露出を抑制しつつ、先端チップ180の先端部を比較的硬度が高い部分によって構成することができる。これにより、先端チップ180の追従性を保持したまま、先端チップ180の耐久性を向上することができる。
【0042】
B.第2実施形態:
図6は、第2実施形態におけるカテーテル110aの先端チップ180aの構成を概略的に示す説明図である。以下では、第2実施形態のカテーテル110aの構成のうち、上述した第1実施形態のカテーテル110と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0043】
第2実施形態のカテーテル110aでは、先端チップ180aにおける縮径領域186aの外周面の形状が、第1実施形態のカテーテル110と異なっている。具体的には、第2実施形態のカテーテル110aでは、縮径領域186aの外周面の形状が曲線状になっており、基端側から先端側に向かって外径が縮小している。これにより、外周面の形状がテーパ状の構成と比較して、病変をいなすことが容易となる。従って、第2実施形態のカテーテル110aによれば、先端チップ180aの先端に、曲線状の縮径領域186aを施すことにより、病変に対する通過性を向上することができる。
【0044】
C.第3実施形態:
図7は、第3実施形態におけるカテーテル110bの先端チップ180bの構成を概略的に示す説明図である。以下では、第3実施形態のカテーテル110bの構成のうち、上述した第1実施形態のカテーテル110と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0045】
第3実施形態のカテーテル110bでは、先端チップ180bにおける縮径領域186bの外周面の形状が、第1実施形態のカテーテル110と異なっている。具体的には、第3実施形態のカテーテル110bでは、縮径領域186bの外周面の形状が二段テーパ状になっており、先端側から基端側に向かって外径が縮小している。これにより、外周面の形状がテーパ状の構成と比較して、病変をいなすことが容易となる。従って、第3実施形態のカテーテル110bによれば、先端チップ180bの先端に、二段テーパ状の縮径領域186bを施すことにより、病変に対する通過性を向上することができる。
【0046】
D.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0047】
上記実施形態におけるカテーテル110の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、シャフト150は、内層158と、外層159と、コイル体190とを有する構成であるが、シャフト150がこれらのうちの少なくとも1つを有さない構成であってもよいし、これら以外の部分を有する構成であってもよい。
【0048】
上記実施形態では、先端チップ180において、第2部分182がシャフト150と接合されているが、第1部分181がシャフト150と接合される構成であってもよいし、第1部分181と第2部分182のそれぞれがシャフト150と接合される構成であってもよい。
【0049】
上記実施形態では、接合面184の全体が傾斜している構成であるが、接合面184の一部に中心軸AXに平行もしくは垂直な部分を含むような構成であってもよい。
【0050】
上記実施形態では、接合面184は、基端側から先端側に向かうにつれて、中心軸AXとの距離が大きくなるように傾斜している構成であるが、基端側から先端側に向かうにつれて、中心軸AXとの距離が小さくなるように傾斜している構成であってもよい。
【0051】
上記実施形態における縮径領域186の形状は、あくまで一例であり、種々変形可能である。図8は、変形例におけるカテーテル110cの先端チップ180cの構成を概略的に示す説明図である。図8のように、縮径領域186は、基端側から先端側に向かうにつれて外径が縮小する構成であれば任意の形状をとってもよい。
【0052】
上記実施形態における各部材の形成材料は、あくまで一例であり、種々変更可能である。また、上記実施形態における先端チップ180の製造方法は、あくまで一例であり、他の方法により先端チップ180が製造されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
110、110a~110c:カテーテル 150:シャフト 158:内層 159:外層 160:コネクタ 170:ルーメン 180、180a~180c:先端チップ 180P:複合チューブ 181:第1部分 181P:第1樹脂チューブ 182:第2部分 182P:第2樹脂チューブ 184:接合面 186、186a~186c:縮径領域 190:コイル体 AX:中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8