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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058708
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】蝶番
(51)【国際特許分類】
   E05D 3/02 20060101AFI20240422BHJP
   E05D 5/14 20060101ALI20240422BHJP
   E06B 7/16 20060101ALI20240422BHJP
   E06B 7/22 20060101ALN20240422BHJP
【FI】
E05D3/02
E05D5/14
E06B7/16 Z
E06B7/22 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165961
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000107572
【氏名又は名称】スガツネ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【弁理士】
【氏名又は名称】塩島 利之
(74)【代理人】
【識別番号】100119297
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 正男
(72)【発明者】
【氏名】古川 領一
(72)【発明者】
【氏名】岩田 慎平
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀
【テーマコード(参考)】
2E030
2E036
【Fターム(参考)】
2E030AB03
2E030BB05
2E030CA01
2E030CB01
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036CA03
2E036DA09
2E036DA23
2E036GA04
2E036HA03
2E036HB12
(57)【要約】
【課題】蝶番の可動部材と固定部材との間の隙間及び/又は蝶番の可動部材と枠、ガラス壁等の本体との間の隙間を効果的に塞ぐことができる蝶番を提供する。
【解決手段】蝶番1は、本体に取り付けられる固定部材4と、扉3に取り付けられ、軸6を中心に回転可能な可動部材5と、を備える。可動部材5は、扉3を前後に挟む第1挟持体7と第2挟持体8を有する。平面視において扉3の回転中心が扉3の内部に位置する。可動部材5には、扉3の前面ラインL1と後面ラインL2との間に少なくとも一部が配置される張出部12が設けられる。張出部12が可動部材5と固定部材4との間の隙間gを塞ぐ。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に取り付けられる固定部材と、
扉に取り付けられ、軸を中心に回転可能な可動部材と、を備え、
前記可動部材が前記扉を前後に挟む第1挟持体と第2挟持体を有し、
平面視において前記扉の回転中心が前記扉の内部に位置し、
前記可動部材又は前記固定部材の少なくとも一方には、前記扉の前面ラインと後面ラインとの間に少なくとも一部が配置される張出部が設けられ、
前記張出部が前記可動部材と前記固定部材との間の隙間及び/又は前記可動部材と前記本体との間の隙間を塞ぐ蝶番。
【請求項2】
前記第1挟持体は、前記扉に形成される切欠きに入る凸部を有し、
前記凸部の少なくとも一部が、前記扉の前記切欠きの小口と前記凸部とが当接するのを防止するカバーで覆われ、
前記張出部が前記カバーに設けられることを特徴とする請求項1に記載の蝶番。
【請求項3】
前記張出部が前記第1挟持体と前記第2挟持体に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の蝶番。
【請求項4】
前記張出部の外面は、水平断面において左右対称に形成されると共に、前記扉の前後方向の中央部において前記固定部材側に最も突出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の蝶番。
【請求項5】
前記固定部材には、前記扉及び前記可動部材との干渉を避けるための断面円弧状の窪みが形成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の蝶番。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室、シャワーブース等の扉に用いられる蝶番に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室、シャワーブース等の扉には、開放感のある空間を演出するために、ガラス扉が用いられる場合がある。ガラス扉を開閉するための蝶番として、枠、ガラス壁等の本体に取り付けられる固定部材と、ガラス扉に取り付けられる可動部材と、を備える蝶番が知られている(特許文献1参照)。可動部材は、ガラス扉を前後に挟む第1挟持体と第2挟持体を有する。
【0003】
浴室、シャワーブース等のガラス扉においては、浴室の内部の水分が外部に漏れることがある。例えば断面コ字状のエッジシールを扉の周囲に取り付けることで、扉の周囲の隙間を塞ぐことができる。しかし、蝶番の可動部材が邪魔になるので、エッジシールを蝶番の可動部材の部分まで延ばすことはできない。このため、蝶番の可動部材と固定部材との間に隙間が発生し、この隙間を介して水分が外部に漏れ出てしまう。
【0004】
これを解決するために、特許文献1には、第1挟持体と扉との間に介在するパッキン又は第2挟持体と扉との間に介在するパッキンに、固定部材に向かって張り出す張出部を設け、パッキンの張出部によって蝶番の可動部材と固定部材との間の隙間を塞ぐことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-307559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の発明において、パッキンは扉の前面よりも前側又は扉の後面よりも後側に配置される。このため、扉を少し開いただけで、固定部材と張出部との間の隙間が大きくなってしまう。また、扉が内開きも外開きも可能な場合、内開き又は外開きのいずれか一方の場合において、張出部がさらに強い力で固定部材に押し付けられて、張出部が変形してしまう。これを防止し、張出部の当たりを弱めようとすると、今度は固定部材と張出部との隙間が大きくなる。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、蝶番の可動部材と固定部材との間の隙間及び/又は蝶番の可動部材と枠、ガラス壁等の本体との間の隙間を効果的に塞ぐことができる蝶番を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、本体に取り付けられる固定部材と、扉に取り付けられ、軸を中心に回転可能な可動部材と、を備え、前記可動部材が前記扉を前後に挟む第1挟持体と第2挟持体を有し、平面視において前記扉の回転中心が前記扉の内部に位置し、前記可動部材又は前記固定部材の少なくとも一方には、前記扉の前面ラインと後面ラインとの間に少なくとも一部が配置される張出部が設けられ、前記張出部が前記可動部材と前記固定部材との間の隙間及び/又は前記可動部材と前記本体との間の隙間を塞ぐ蝶番である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、平面視において扉の回転中心が扉の内部に位置すると共に、扉の前面ラインと後面ラインとの間に張出部を設けるので、張出部によって蝶番の可動部材と固定部材との間の隙間及び/又は蝶番の可動部材と本体との間の隙間を効果的に塞ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態の蝶番が使用される浴室、シャワーブース等の出入口を示す斜視図である。
図2図2(a)は本実施形態の蝶番の前面側斜視図であり、図2(b)は本実施形態の蝶番の背面側斜視である。
図3】本実施形態の蝶番の分解斜視図である。
図4】本実施形態の蝶番の詳細図(図4(a)は図4(c)のA-A線断面図、図4(b)は平面図、図4(c)は正面図)である。
図5】本実施形態の蝶番の動作図である。
図6図6(a)は本発明の第2実施形態の蝶番の前面側斜視図であり、図6(b)は本発明の第2実施形態の蝶番の後面側斜視図である。
図7図7(a)は本発明の第3実施形態の蝶番の後面側斜視図(扉の閉じ位置を示す)であり、図7(b)は本発明の第3実施形態の蝶番の後面側斜視図(扉の開き位置を示す)である。
図8図7(a)のVIII-VIII線断面図である。
図9】本発明の第3実施形態の蝶番の分解斜視図である。
図10】本発明の第4実施形態の蝶番の斜視図である。
図11図11(a)は張出部の平面図であり、図11(b)は蝶番の平面図である。
図12】本発明の第5実施形態の蝶番の斜視図である。
図13図13(a)は張出部の平面図であり、図13(b)は蝶番の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態の蝶番を詳細に説明する。ただし、本発明の蝶番は種々の形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものではない。本実施形態は、明細書の開示を十分にすることによって、当業者が発明を十分に理解できるようにする意図をもって提供されるものである。
(第1実施形態)
【0012】
図1は、浴室、シャワーブース等の出入口を示す。1は本発明の第1実施形態の蝶番、2は枠等の本体、3はガラス扉である。
【0013】
蝶番1は、本体2に取り付けられる固定部材4と、扉3に取り付けられる可動部材5と、を備える。可動部材5は、軸6(図3参照)を中心に回転可能である。蝶番1は、扉3を内開きすることも外開きすることも可能なように構成される。扉3は、内開きと外開きの両方が可能なように構成されてもよいし、戸当たり等によりいずれか一方のみが可能なように構成されてもよい。
【0014】
なお、以下では説明の便宜上、閉じ位置にある扉3を浴室等の室内側から正面視したときの方向、すなわち図1の前後、左右、上下の各方向を用いて、蝶番1の構成を説明する。
【0015】
図2(a)は蝶番1の前面側斜視図を示し、図2(b)は蝶番1の背面側斜視図を示す。4は固定部材、5は可動部材、3は扉の一部である。
【0016】
固定部材4は、本体2に取り付けられる板状のベース部4aと、ベース部4aの前後方向の中央から突出して設けられる二股状の軸支持部4bと、軸支持部4b間に配置される軸支持部4cと、を備える。軸支持部4b,4cには、軸6(図3参照)が支持される。軸支持部4b,4cは、一体のブロック状に形成されてもよい。
【0017】
可動部材5は、扉3を前後に挟む第1挟持体7と第2挟持体8を備える。第1挟持体7と第2挟持体8はねじ9によって連結される。扉3を挟んだ状態でねじ9を締めることで、第1挟持体7と第2挟持体8に扉3が固定される。
【0018】
図3は蝶番1の分解斜視図である。図4は蝶番1の詳細図である。図4(a)は図4(c)のA-A線断面図、図4(b)は平面図、図4(c)は正面図である。
【0019】
図3において、4は固定部材、3は扉、7は可動部材5の第1挟持体、8は可動部材5の第2挟持体である。図3には、固定部材4に軸6を介して第1挟持体7を連結した状態を示す。
【0020】
固定部材4のベース部4aには、扉3と可動部材5との干渉を避けるための断面円弧状の窪み4dが形成される。窪み4dは、軸支持部4b,4cの上下に2つ形成される。
【0021】
可動部材5は、第1挟持体7、カバー10、第1パッキン11、第2パッキン14、第2挟持体8、張出部12を備える。以下に各部の構成を説明する。
【0022】
第1挟持体7は、正面視でコ字状のプレート部7a(図4(c)の正面図も参照)と、プレート部7aと一体に形成され扉3の切欠き3aに入る凸部7bと、を備える。凸部7bは、コ字状のプレート部7aの内周縁に沿って延びる。凸部7bには、軸6を固定するための軸収容穴7b1が形成される。軸6は、凸部7bと共に扉3の切欠き3a内に入る。扉3は軸6を中心に回転可能である。平面視において、扉3の回転中心Cは扉3の内部に位置する(図5(a)参照)。凸部7bには、ねじ9がねじ止めされるねじ穴7b2が形成される。
【0023】
第1パッキン11は、コ字状でシート状である。第1パッキン11は、凸部7bの外周縁に沿って延びる。第1パッキン11は、第1挟持体7と扉3との間に介在する。
【0024】
扉3は、ガラス扉である。扉3には、第1挟持体7の凸部7bが入る切欠き3aが形成される。切欠き3aは、凸部7bの外形と相似に形成されると共に、扉3の位置調節をできるように凸部7bの外形よりも大きく形成される。
【0025】
第2パッキン14は、コ字状でシート状である。第2パッキン14は、扉3と第2挟持体8との間に介在する。第2パッキン14は、第1パッキン11と同一形状に形成される。
【0026】
第2挟持体8は、コ字状でプレート状に形成される。第2挟持体8には、ねじ9が通る通し穴8aが形成される。
【0027】
カバー10は、コ字状に形成される。カバー10の各辺は、凸部7bの外周縁の側面と頂面を覆うことができるように、断面L字状に形成される。カバー10は、樹脂製である。カバー10は、金属製の凸部7bとガラス製の扉3の切欠き3aの小口が当接するのを防止する。カバー10には、ねじ9の通し穴10aが形成される。
【0028】
張出部12は、可動部材5側に設けられる。本実施形態の張出部12は、カバー10に一体に形成されていて、可動部材5の第1挟持体7及び第2挟持体8と別体である、張出部12は、カバー10に接着されてもよいし、カバー10にねじ等を用いて取り付けられてもよい。張出部12は、断面円弧状であり、上下方向に延びる。図4(b)に示すように、張出部12は、扉3の前面ラインL1(扉3の前面上のライン)と扉3の後面ラインL2(扉3の後面上のライン)との間にその少なくとも一部が配置される。張出部12は、扉3と固定部材4との間に生ずる隙間gを塞ぐ。張出部12は固定部材4に接触してもよいし、図4(b)に示すように固定部材4から離れていてもよい(すなわち固定部材4と張出部12との間に隙間が存在してもよい)。
【0029】
図4(a)に示すように、水平断面において、張出部12の外面は、左右対称に形成されると共に、扉3の前後方向の中央部において固定部材4側に最も突出する。図4(b)に示すように、張出部12には、扉3の位置を図4の左方向に調節できるように扉3が入る窪み13(図3も参照)が形成される。また、図3に示すように、張出部12には、カバー10との連結部分を上下に貫通する水抜き穴12aが形成される。
【0030】
蝶番1を組み立てる際、第1挟持体7の凸部7bにカバー10を嵌める。そして、第1挟持体7の凸部7bに扉3の切欠き3aを嵌め、扉3を第1挟持体7と第2挟持体8との間で挟み、ねじ9を仮締めする。扉3の位置を調節した後、ねじ9を本締めし、第1挟持体7と第2挟持体8とに扉3を強固に固定する。
【0031】
以下に本実施形態の蝶番1の作用、効果を説明する。
【0032】
図5は平面視した扉3を示す。図5(a)は扉3の閉じ位置、図5(b)は外開きした扉3の90度開き位置、図5(c)は外開きした扉3の45度開き位置、図5(d)は内開きした扉3の90度開き位置、図5(e)は内開きした扉3の45度開き位置を示す。
【0033】
図5(a)に示すように、平面視において扉3の回転中心Cが扉3の内部に位置する。そして、張出部12の少なくとも一部が扉3の前面ラインL1と後面ラインL2との間に配置される。このため、扉3を45度内開きしても外開きしても(図5(c)(e)参照)、張出部12によって固定部材4と可動部材5との間に生ずる隙間を効果的に塞ぐことができる。
【0034】
図3に示すように、張出部12を第1挟持体7の凸部7bを覆うカバー10に設けるので、可動部材5に容易に張出部12を設けることができる。
【0035】
図4(a)に示すように、水平断面において、張出部12の外面が左右対称に形成されると共に、扉3の前後方向の中央部において固定部材4側に最も突出するので、蝶番1の固定部材4と可動部材5との間に生ずる隙間gを効果的に塞ぐことができる。
【0036】
図3に示すように、固定部材4に断面円弧状の窪み13を形成するので、扉3の端面3bに固定部材4との干渉を避けるための切込みを形成する必要がなくなる。
【0037】
なお、上記実施形態では、張出部12によって可動部材5と固定部材4との間の隙間を塞いでいるが、固定部材4の上下方向の長さを短くし、張出部12によって可動部材5と枠等の本体2との間の隙間を塞ぐようにしてもいい。
(第2実施形態)
【0038】
図6は、本発明の第2実施形態の蝶番21の斜視図を示す。図6(a)は蝶番21の前面側斜視図であり、図6(b)は蝶番21の後面側斜視図である。24は固定部材、3は扉、7は第1挟持体、8は第2挟持体、12は張出部である。扉3、第1挟持体7、第2挟持体8、張出部12の構成は、第1実施形態と同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0039】
第1実施形態では、固定部材4が本体としての枠に取り付けられるのに対し、第2実施形態では、固定部材24が本体としての図示しないガラス壁に取り付けられる。すなわち、固定部材24は、ガラス壁を前後に挟む第1挟持体22と第2挟持体23を備える。固定部材24には、軸支持部25が固定される。なお、固定部材24に軸を介して軸支持部25を回転可能に連結してもよい。
【0040】
この実施形態のように、本体2をガラス壁から構成し、張出部12によって扉3とガラス壁との間の隙間を塞ぐようにしてもよい。
(第3実施形態)
【0041】
図7は、本発明の第3実施形態の蝶番31の後面側斜視図を示す。図7(a)は蝶番31の閉じ位置、図7(b)は蝶番31の90度開き位置を示す。32は固定部材、35は可動部材、36は張出部である。第1実施形態では、張出部12がカバー10に設けられるのに対し、第3実施形態では、張出部36が可動部材35の第1挟持体33と第2挟持体34に取り付けられる。
【0042】
第3実施形態の蝶番31は、本体に取り付けられる固定部材32と、扉3に取り付けられる可動部材35と、を備える。可動部材35は、図示しない軸を中心に回転可能である。
【0043】
固定部材32は、板状のベース部32aと、ベース部32aの前後方向の中央から突出する軸支持部32bと、を備える。軸支持部32bは、ブロック状に形成される。ベース部32aには、扉3と可動部材35との干渉を避けるための断面円弧状の窪み32cが形成される。
【0044】
可動部材35は、扉3を前後に挟む第1挟持体33と第2挟持体34を備える。第1挟持体33と第2挟持体34はねじ37によって連結される。ねじ37を締めることで、第1挟持体33と第2挟持体34に扉3が固定される。
【0045】
図8の断面図に示すように、第1挟持体33は、コ字状のプレート部33a(図7も参照)と、プレート部33aと一体に形成され扉3の切欠き3aに入る凸部33b(図7も参照)と、を備える。凸部33bは、コ字状のプレート部33aの内周縁に沿って延びる。第2挟持体34は、コ字状でプレート状に形成される(図7も参照)。
【0046】
扉3と第1挟持体33との間には、第1パッキン38と第1分割カバー39が介在する(図7(b)も参照)。扉3と第2挟持体34との間には、第2パッキン40と第2分割カバー44が介在する(図7(b)も参照)。第1挟持体33に取り付けられる第1分割カバー39が第1挟持体33の凸部33bを覆う。
【0047】
張出部36は、カバー39,44とは別体である。張出部36は、扉3の前面ラインL1と扉3の後面ラインL2との間にその少なくとも一部が配置されて、扉3と固定部材32との間に生ずる隙間を塞ぐ。張出部36の外面は、水平断面において左右対称に形成されると共に、扉3の前後方向の中央部において固定部材32側に最も突出する。張出部36の中央部には、断面三角形の突起36aが形成される。この突起36aは固定部材32の窪み32cに接する。
【0048】
図9に示すように、第1挟持体33と第2挟持体34それぞれには、張出部36の両端のガイド突起36bが挿入されるガイド溝33c,34cが形成される。ガイド溝33c,34cに張出部36のガイド突起36bを挿入することで、張出部36が第1挟持体33と第2挟持体34に取り付けられる。
【0049】
第3実施形態の蝶番31は、第1実施形態の蝶番1と同様な効果を奏する他、張出部36がカバー39,44と別体であるので、例えばカバー39,44を樹脂製にし、張出部36をゴム製にすることができ、張出部36を固定部材32に接触させることができるようになる。
(第4実施形態)
【0050】
図10は、本発明の第4実施形態の蝶番41の斜視図を示す。図11(a)は張出部42の平面図を示し、図11(b)は蝶番41の平面図を示す。
【0051】
図10に示すように、第4実施形態の蝶番41は、第1実施形態の蝶番1と同様に、固定部材4と、可動部材5と、を備える。固定部材4は、ベース部4a、軸支持部4b,4cを備える。これらの構成は、第1実施形態と同様であるので、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0052】
図11(b)に示すように、可動部材5は、第1挟持体7、第1パッキン11、第2パッキン14、第2挟持体8を備える。これらの構成は、第1実施形態と同様であるので、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0053】
第1実施形態の蝶番1では、張出部12が可動部材5側に設けられるのに対し、第4実施形態の蝶番41では、張出部42が固定部材4側に設けられる。
【0054】
張出部42は固定部材4とは別体である。図10に示すように、固定部材4のベース部4aには、張出部42が嵌められる収容部43が形成される。図11(b)に示すように、収容部43は、例えばベース部4aに上下方向に形成されるスリット43bと、ベース部4aの背面側にスリット43bに連通するように形成される凹部43aと、を備える。
【0055】
図11(a)に示すように、張出部42は、板状の基部42aと、基部42aから突出する略三角状の突部42bと、を備える。図11(b)に示すように、基部42aが凹部43aに嵌められ、突部42bの根元の括れた部分42cがスリット43bに嵌められる。
【0056】
張出部42はゴム製又は樹脂製である。張出部42の突部42bの先端が扉3の端面に接する。張出部42の突部42bは、扉3の前面ラインL1と後面ラインL2との間に配置される。扉3が開閉しても、張出部42の突部42bが曲がって突部42bの先端が扉3の端面に接触した状態を保つ。本実施形態の蝶番41においても、張出部42によって可動部材5と固定部材4との間の隙間gを効果的に塞ぐことができる。
【0057】
なお、図10には、張出部42を固定部材4の軸支持部4b,4cの上方と下方に設けた例が図示されているが、張出部42を固定部材4の軸支持部4b,4cの上方又は下方のいずれか一方に設け、他方に第1実施形態の張出部12を設けてもよい。
(第5実施形態)
【0058】
図12は、本発明の第5実施形態の蝶番51の斜視図を示す。図13(a)は張出部52の平面図を示し、図13(b)は蝶番51の平面図を示す。
【0059】
図12に示すように、第5実施形態の蝶番51は、第1実施形態の蝶番1と同様に、固定部材4と、可動部材5と、を備える。固定部材4は、ベース部4a、軸支持部4b,4cを備える。これらの構成は、第1実施形態と同様であるので、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0060】
図13(b)に示すように、可動部材5は、第1挟持体7、第1パッキン11、第2パッキン14、第2挟持体8を備える。これらの構成は、第1実施形態と同様であるので、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0061】
第1実施形態の蝶番1では、張出部12が可動部材5側に設けられるのに対し、第5実施形態の蝶番51では、第4実施形態の蝶番41と同様に、張出部52が固定部材4側に設けられる。
【0062】
張出部52は固定部材4とは別体である。図12に示すように、固定部材4のベース部4aには、張出部52が嵌められる収容部53が形成される。図13(b)に示すように、収容部53は、例えばベース部4aに上下方向に形成されるスリット53bと、ベース部4aの背面側にスリット53bに連通するように形成される凹部53aと、を備える。
【0063】
図13(a)に示すように、張出部52は、板状の基部52aと、基部52aから突出する略円弧状の突部52bと、を備える。図13(b)に示すように、基部52aが凹部53aに嵌められ、突部52bの根元の括れた部分52cがスリット53bに嵌められる。
【0064】
張出部52はゴム製、樹脂製又は金属製である。張出部52の突部52bの少なくとも一部は、扉3の前面ラインL1と後面ラインL2との間に配置される。本実施形態の蝶番51においても、張出部52によって可動部材5と固定部材4との間の隙間gを効果的に塞ぐことができる。また、張出部52の突部52bが円弧状に形成されるので、扉3が開閉しても張出部52と可動部材5との干渉を防止することができる。
【0065】
なお、図12には、張出部52を固定部材4の軸支持部4b,4cの上方と下方に設けた例が図示されているが、張出部52を固定部材4の軸支持部4b,4cの上方又は下方のいずれか一方に設け、他方に第1実施形態の張出部12を設けてもよい。
【0066】
本発明の蝶番は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で他の実施形態に具現化可能である。
【0067】
例えば、上記実施形態では、蝶番を浴室やシャワーブースに適用する例を説明したが、蝶番を例えば建物の内部と外部を仕切る扉に適用することもできる。
【0068】
また、上記実施形態では、扉がガラス製であるが、扉はガラス製に限られることはなく、樹脂製、木製、金属製であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…蝶番
2…本体
3…扉
4…固定部材
4d…窪み
5…可動部材
6…軸
7…第1挟持体
7b…凸部
8…第2挟持体
10…カバー
12…張出部
21…蝶番
22…第1挟持体
23…第2挟持体
24…固定部材
31…蝶番
32…固定部材
32c…窪み
33…第1挟持体
33b…凸部
34…第2挟持体
35…可動部材
36…張出部
41…蝶番
42…張出部
51…蝶番
52…張出部
C…扉の回転中心
L1…扉の前面ライン
L2…扉の後面ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13