(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058718
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240422BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240422BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240422BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20240422BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20240422BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
H01L29/78 658H
H01L29/78 657D
H01L29/78 652T
H01L29/78 652Q
H01L29/78 655G
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/91 F
H01L29/91 C
H01L29/91 J
H01L29/78 655B
H01L29/78 658A
H01L27/06 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165979
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】各川 敦史
(72)【発明者】
【氏名】三塚 要
(72)【発明者】
【氏名】小田 優喜
(72)【発明者】
【氏名】白川 徹
【テーマコード(参考)】
5F048
【Fターム(参考)】
5F048AC10
5F048BA11
5F048BA14
5F048BB05
5F048BB11
5F048BB19
5F048BC03
5F048BC12
5F048BD07
5F048BF02
5F048BF07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】トランジスタ部及びダイオード部を備える半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置100は、半導体基板10に設けられた第1導電型のドリフト領域18と、半導体基板の裏面に設けられた第2導電型のコレクタ領域22と、半導体基板の裏面に設けられ、ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のカソード領域82と、半導体基板のおもて面21に設けられた複数のトレンチ部30と、半導体基板に設けられ、キャリアの再結合中心であるライフタイムキラーを含むライフタイム制御部150と、を備える。ライフタイム制御部は、ダイオード部80に設けられた主領域156と、主領域から半導体基板のおもて面と平行な方向に延伸して設けられ、主領域よりもライフタイムキラー濃度が減衰した減衰領域157と、を有する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタ部およびダイオード部を備える半導体装置であって、
半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、
前記半導体基板の裏面に設けられた第2導電型のコレクタ領域と、
前記半導体基板の前記裏面に設けられ、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のカソード領域と、
前記半導体基板のおもて面に設けられた複数のトレンチ部と、
前記半導体基板に設けられ、ライフタイムキラーを含むライフタイム制御部と、
を備え、
前記ライフタイム制御部は、
前記ダイオード部に設けられた主領域と、
前記主領域から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸して設けられ、前記主領域よりもライフタイムキラー濃度が減衰した減衰領域と、
を有する
半導体装置。
【請求項2】
前記減衰領域は、前記ダイオード部において、前記主領域から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸して設けられる
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記減衰領域は、上面視において、前記主領域から、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸する
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記減衰領域は、上面視において、前記主領域から前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界を越えて、前記コレクタ領域の内側まで延伸する
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記主領域は、上面視において、前記カソード領域の内側から、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸し、
前記減衰領域は、上面視において、前記コレクタ領域と前記カソード領域との前記境界から、前記コレクタ領域の内側まで延伸する
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記主領域は、上面視において、前記カソード領域の内側から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸せずに終端し、
前記減衰領域は、上面視において、前記主領域から前記コレクタ領域と前記カソード領域との前記境界を越えて前記コレクタ領域の内側まで延伸する
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記主領域は、上面視において、前記カソード領域の内側から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸せずに終端し、
前記減衰領域は、上面視において、前記主領域から前記コレクタ領域と前記カソード領域との前記境界まで前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記境界で終端する
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項8】
トランジスタ部およびダイオード部を備える半導体装置であって、
半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、
前記半導体基板の裏面に設けられた第2導電型のコレクタ領域と、
前記半導体基板の前記裏面に設けられ、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のカソード領域と、
前記半導体基板のおもて面に設けられた複数のトレンチ部と、
前記半導体基板に設けられ、ライフタイムキラーを含むライフタイム制御部と、
を備え、
前記ライフタイム制御部は、上面視において、前記カソード領域の内側から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸せずに終端する
半導体装置。
【請求項9】
前記ライフタイム制御部は、
前記ダイオード部に設けられた主領域と、
前記主領域から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸して設けられ、前記主領域よりもライフタイムキラー濃度が減衰した減衰領域と、
を有し、
前記主領域は、上面視において、前記カソード領域の内側から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸せずに終端し、
前記減衰領域は、上面視において、前記主領域から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との前記境界まで延伸せずに終端する
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ライフタイム制御部は、前記半導体基板の深さ方向における中心よりも前記おもて面に近接して設けられたおもて面側ライフタイム制御領域である
請求項1または8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ライフタイム制御部は、前記半導体基板の深さ方向における中心よりも前記裏面に近接して設けられ、前記半導体基板の全面に設けられた裏面側ライフタイム制御領域を含む
請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記ライフタイム制御部は、前記半導体基板の深さ方向における中心よりも前記半導体基板の裏面に近接して設けられた裏面側ライフタイム制御領域である
請求項1または8に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記半導体基板の深さ方向における中心よりも前記半導体基板の裏面に近接して設けられた第1導電型のバッファ領域を備え、
前記バッファ領域は、前記半導体基板の深さ方向において、ドーピング濃度の1または複数のピークを有する
請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記1または複数のピークは、水素ドナーを含む
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記バッファ領域は、前記半導体基板の深さ方向において、ドーピング濃度の4つのピークを有し、
前記ライフタイム制御部は、前記半導体基板の深さ方向において、前記4つのピークのうち、前記半導体基板の裏面から2つの目の第2ピークと、3つ目の第3ピークとの間に設けられる
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記ライフタイム制御部は、前記半導体基板の深さ方向において、前記半導体基板の裏面から10μm以上、15μm以下の位置にライフタイムキラー濃度のピークを有する
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記ライフタイム制御部は、ヘリウムを含む
請求項1または8に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記主領域は、トレンチ配列方向において、前記減衰領域に挟まれる
請求項1または9に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記主領域は、前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向において、前記減衰領域に囲まれる
請求項1または9に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記主領域は、トレンチ配列方向において、前記ダイオード部の幅の8割以上を占める
請求項1または9に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記減衰領域の幅は、トレンチ配列方向において、0.1μm以上、10.0μm以下である
請求項1または9に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記減衰領域の幅は、前記主領域を形成するためのライフタイムキラーが拡散する拡散半値半幅である
請求項1または9に記載の半導体装置。
【請求項23】
前記主領域は、前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向において、一様なドーピング濃度を有する
請求項1または9に記載の半導体装置。
【請求項24】
前記トランジスタ部は、前記ダイオード部に隣接して設けられた境界領域を有し、
前記境界領域は、前記おもて面に第2導電型のベース領域を有する
請求項1または8に記載の半導体装置。
【請求項25】
前記トランジスタ部は、前記ダイオード部に隣接して設けられた境界領域を有し、
前記境界領域は、前記おもて面に設けられた第2導電型のベース領域よりもドーピング濃度の高い第2導電型のコンタクト領域を有する
請求項1または8に記載の半導体装置。
【請求項26】
トランジスタ部およびダイオード部を備える半導体装置の製造方法であって、
半導体基板に第1導電型のドリフト領域を形成する段階と、
前記半導体基板の裏面に第2導電型のコレクタ領域を形成する段階と、
前記半導体基板の前記裏面に、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のカソード領域を形成する段階と、
前記半導体基板のおもて面に複数のトレンチ部を形成する段階と、
前記半導体基板にライフタイムキラーを含むライフタイム制御部を形成する段階と、
を備え、
前記ライフタイム制御部を形成する段階は、
前記ダイオード部に主領域を形成する段階と、
前記主領域から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸して、前記主領域よりもライフタイムキラー濃度が減衰した減衰領域を形成する段階と、
を有する
半導体装置の製造方法。
【請求項27】
トランジスタ部およびダイオード部を備える半導体装置の製造方法であって、
半導体基板に第1導電型のドリフト領域を形成する段階と、
前記半導体基板の裏面に第2導電型のコレクタ領域を形成する段階と、
前記半導体基板の前記裏面に、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のカソード領域を形成する段階と、
前記半導体基板のおもて面に複数のトレンチ部を形成する段階と、
前記半導体基板にライフタイムキラーを含むライフタイム制御部を形成する段階と、
を備え、
前記ライフタイム制御部は、上面視において、前記カソード領域の内側から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸せずに終端する
半導体装置の製造方法。
【請求項28】
前記ライフタイム制御部を形成する段階は、前記ライフタイムキラーを形成するために前記半導体基板にマスクを形成する段階を有し、
上面視において、前記マスクが前記ダイオード部と重複するオーバーラップ幅は、前記ライフタイムキラーが拡散する拡散半値半幅以上である
請求項26または27に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項29】
前記ライフタイム制御部を形成する段階は、前記マスクが形成されていない一様なマスク開口部を介して、前記ライフタイムキラーを注入する段階を有する
請求項28に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トランジスタ部およびダイオード部を備える半導体装置が知られている(例えば、特許文献1-3参照)。
特許文献1 特開2013-149909号公報
特許文献2 国際公開第2012/169053号
特許文献3 特開2021-190496号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、トランジスタ部およびダイオード部を備える半導体装置であって、半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、前記半導体基板の裏面に設けられた第2導電型のコレクタ領域と、前記半導体基板の前記裏面に設けられ、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のカソード領域と、前記半導体基板のおもて面に設けられた複数のトレンチ部と、前記半導体基板に設けられ、ライフタイムキラーを含むライフタイム制御部と、を備える半導体装置を提供する。前記ライフタイム制御部は、前記ダイオード部に設けられた主領域と、前記主領域から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸して設けられ、前記主領域よりもライフタイムキラー濃度が減衰した減衰領域と、を有してよい。
【0004】
上記半導体装置において、前記減衰領域は、前記ダイオード部において、前記主領域から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸して設けられてよい。
【0005】
上記いずれかの半導体装置において、前記減衰領域は、上面視において、前記主領域から、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸してよい。
【0006】
上記いずれかの半導体装置において、前記減衰領域は、上面視において、前記主領域から前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界を越えて、前記コレクタ領域の内側まで延伸してよい。
【0007】
上記いずれかの半導体装置において、前記主領域は、上面視において、前記カソード領域の内側から、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸してよい。前記減衰領域は、上面視において、前記コレクタ領域と前記カソード領域との前記境界から、前記コレクタ領域の内側まで延伸してよい。
【0008】
上記いずれかの半導体装置において、前記主領域は、上面視において、前記カソード領域の内側から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸せずに終端してよい。前記減衰領域は、上面視において、前記主領域から前記コレクタ領域と前記カソード領域との前記境界を越えて前記コレクタ領域の内側まで延伸してよい。
【0009】
上記いずれかの半導体装置において、前記主領域は、上面視において、前記カソード領域の内側から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸せずに終端してよい。前記減衰領域は、上面視において、前記主領域から前記コレクタ領域と前記カソード領域との前記境界まで前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記境界で終端してよい。
【0010】
本発明の第2の態様においては、トランジスタ部およびダイオード部を備える半導体装置であって、半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、前記半導体基板の裏面に設けられた第2導電型のコレクタ領域と、前記半導体基板の前記裏面に設けられ、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のカソード領域と、前記半導体基板のおもて面に設けられた複数のトレンチ部と、前記半導体基板に設けられ、ライフタイムキラーを含むライフタイム制御部と、を備える半導体装置を提供する。前記ライフタイム制御部は、上面視において、前記カソード領域の内側から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸せずに終端してよい。
【0011】
上記いずれかの半導体装置において、前記ライフタイム制御部は、前記ダイオード部に設けられた主領域と、前記主領域から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸して設けられ、前記主領域よりもライフタイムキラー濃度が減衰した減衰領域と、を有してよい。前記主領域は、上面視において、前記カソード領域の内側から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸せずに終端してよい。前記減衰領域は、上面視において、前記主領域から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との前記境界まで延伸せずに終端してよい。
【0012】
上記いずれかの半導体装置において、前記ライフタイム制御部は、前記半導体基板の深さ方向における中心よりも前記おもて面に近接して設けられたおもて面側ライフタイム制御領域であってよい。
【0013】
上記いずれかの半導体装置において、前記ライフタイム制御部は、前記半導体基板の深さ方向における中心よりも前記裏面に近接して設けられ、前記半導体基板の全面に設けられた裏面側ライフタイム制御領域を含んでよい。
【0014】
上記いずれかの半導体装置において、前記ライフタイム制御部は、前記半導体基板の深さ方向における中心よりも前記半導体基板の裏面に近接して設けられた裏面側ライフタイム制御領域であってよい。
【0015】
上記いずれかの半導体装置は、前記半導体基板の深さ方向における中心よりも前記半導体基板の裏面に近接して設けられた第1導電型のバッファ領域を備えてよい。前記バッファ領域は、前記半導体基板の深さ方向において、ドーピング濃度の1または複数のピークを有してよい。
【0016】
上記いずれかの半導体装置において、前記1または複数のピークは、水素ドナーを含んでよい。
【0017】
上記いずれかの半導体装置において、前記バッファ領域は、前記半導体基板の深さ方向において、ドーピング濃度の4つのピークを有してよい。前記ライフタイム制御部は、前記半導体基板の深さ方向において、前記4つのピークのうち、前記半導体基板の裏面から2つの目の第2ピークと、3つ目の第3ピークとの間に設けられてよい。
【0018】
上記いずれかの半導体装置において、前記ライフタイム制御部は、前記半導体基板の深さ方向において、前記半導体基板の裏面から10μm以上、15μm以下の位置にライフタイムキラー濃度のピークを有してよい。
【0019】
上記いずれかの半導体装置において、前記ライフタイム制御部は、ヘリウムを含んでよい。
【0020】
上記いずれかの半導体装置において、前記主領域は、トレンチ配列方向において、前記減衰領域に挟まれてよい。
【0021】
上記いずれかの半導体装置において、前記主領域は、前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向において、前記減衰領域に囲まれてよい。
【0022】
上記いずれかの半導体装置において、前記主領域は、トレンチ配列方向において、前記ダイオード部の幅の8割以上を占めてよい。
【0023】
上記いずれかの半導体装置において、前記減衰領域の幅は、トレンチ配列方向において、0.1μm以上、10.0μm以下であってよい。
【0024】
上記いずれかの半導体装置において、前記減衰領域の幅は、前記主領域を形成するためのライフタイムキラーが拡散する拡散半値半幅であってよい。
【0025】
上記いずれかの半導体装置において、前記主領域は、前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向において、一様なドーピング濃度を有してよい。
【0026】
上記いずれかの半導体装置において、前記トランジスタ部は、前記ダイオード部に隣接して設けられた境界領域を有してよい。前記境界領域は、前記おもて面に第2導電型のベース領域を有してよい。
【0027】
上記いずれかの半導体装置において、前記トランジスタ部は、前記ダイオード部に隣接して設けられた境界領域を有してよい。前記境界領域は、前記おもて面に設けられた第2導電型のベース領域よりもドーピング濃度の高い第2導電型のコンタクト領域を有してよい。
【0028】
本発明の第3の態様においては、トランジスタ部およびダイオード部を備える半導体装置の製造方法であって、半導体基板に第1導電型のドリフト領域を形成する段階と、前記半導体基板の裏面に第2導電型のコレクタ領域を形成する段階と、前記半導体基板の前記裏面に、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のカソード領域を形成する段階と、前記半導体基板のおもて面に複数のトレンチ部を形成する段階と、前記半導体基板にライフタイムキラーを含むライフタイム制御部を形成する段階と、を備える半導体装置の製造方法を提供する。前記ライフタイム制御部を形成する段階は、前記ダイオード部に主領域を形成する段階と、前記主領域から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸して、前記主領域よりもライフタイムキラー濃度が減衰した減衰領域を形成する段階と、を有してよい。
【0029】
本発明の第4の態様においては、トランジスタ部およびダイオード部を備える半導体装置の製造方法であって、半導体基板に第1導電型のドリフト領域を形成する段階と、前記半導体基板の裏面に第2導電型のコレクタ領域を形成する段階と、前記半導体基板の前記裏面に、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のカソード領域を形成する段階と、前記半導体基板のおもて面に複数のトレンチ部を形成する段階と、前記半導体基板にライフタイムキラーを含むライフタイム制御部を形成する段階と、を備える半導体装置の製造方法を提供する。前記ライフタイム制御部は、上面視において、前記カソード領域の内側から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸せずに終端してよい。
【0030】
上記いずれかの半導体装置の製造方法において、前記ライフタイム制御部を形成する段階は、前記ライフタイムキラーを形成するために前記半導体基板にマスクを形成する段階を有してよい。上面視において、前記マスクが前記ダイオード部と重複するオーバーラップ幅は、前記ライフタイムキラーが拡散する拡散半値半幅以上であってよい。
【0031】
上記いずれかの半導体装置の製造方法において、前記ライフタイム制御部を形成する段階は、前記マスクが形成されていない一様なマスク開口部を介して、前記ライフタイムキラーを注入する段階を有してよい。
【0032】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2A】
図1Bにおけるa-a'断面を含むXZ断面の一例を示す図である。
【
図2B】
図2Aのm-m'断面におけるライフタイムキラー濃度の例である。
【
図3A】半導体装置100の変形例を示すa-a'断面を含むXZ断面である。
【
図3B】
図3Aのm-m '断面におけるライフタイムキラー濃度の例である。
【
図4A】半導体装置100の変形例を示すa-a'断面を含むXZ断面である。
【
図4B】
図4Aのm-m'断面におけるライフタイムキラー濃度の例である。
【
図5A】半導体装置100の変形例を示すa-a'断面を含むXZ断面である。
【
図5B】
図5Aのm-m'断面におけるライフタイムキラー濃度の例である。
【
図6】バッファ領域20のドーピング濃度分布の一例を示す。
【
図7A】コレクタエミッタ間遮断電流Icesと、おもて面側ライフタイム制御領域151の注入領域との関係を示す。
【
図7B】コレクタエミッタ間遮断電流Icesと、裏面側ライフタイム制御領域152の注入領域との関係を示す。
【
図7C】大電流短絡耐量と、裏面側ライフタイム制御領域152の注入領域との関係を示す。
【
図8】マスク210を用いたヘリウムイオンの注入工程の一例を示す。
【
図9A】ライフタイムキラーが拡散する拡散半値半幅Whを説明するための図である。
【
図9B】
図2A等のm-m'断面におけるライフタイムキラー濃度分布の、他の例である。
【
図11A】半導体装置100の変形例の上面図である。
【
図11B】半導体装置100の変形例の上面図である。
【
図11C】半導体装置100の変形例の上面図である。
【
図11D】半導体装置100の変形例の上面図である。
【
図12A】半導体装置100の変形例の上面図である。
【
図12B】半導体装置100の変形例の上面図である。
【
図12C】半導体装置100の変形例の上面図である。
【
図12D】半導体装置100の変形例の上面図である。
【
図13A】半導体装置100の変形例の上面図である。
【
図13B】半導体装置100の変形例の上面図である。
【
図13C】半導体装置100の変形例の上面図である。
【
図13D】半導体装置100の変形例の上面図である。
【
図14A】半導体装置100の変形例の上面図である。
【
図14B】半導体装置100の変形例の上面図である。
【
図14C】半導体装置100の変形例の上面図である。
【
図14D】半導体装置100の変形例の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0035】
本明細書においては半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は、重力方向または半導体装置の実装時における方向に限定されない。
【0036】
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。直交座標軸は、構成要素の相対位置を特定するに過ぎず、特定の方向を限定するものではない。例えば、Z軸は地面に対する高さ方向を限定して示すものではない。なお、+Z軸方向と-Z軸方向とは互いに逆向きの方向である。正負を記載せず、Z軸方向と記載した場合、+Z軸および-Z軸に平行な方向を意味する。
【0037】
本明細書では、半導体基板の上面および下面に平行な直交軸をX軸およびY軸とする。また、半導体基板の上面および下面と垂直な軸をZ軸とする。本明細書では、Z軸の方向を深さ方向と称する場合がある。また、本明細書では、X軸およびY軸を含めて、半導体基板の上面および下面に平行な方向を、水平方向と称する場合がある。
【0038】
本明細書において「同一」または「等しい」のように称した場合、製造ばらつき等に起因する誤差を有する場合も含んでよい。当該誤差は、例えば10%以内である。
【0039】
本明細書においては、不純物がドーピングされたドーピング領域の導電型をP型またはN型として説明している。本明細書においては、不純物とは、特にN型のドナーまたはP型のアクセプタのいずれかを意味する場合があり、ドーパントと記載する場合がある。本明細書においては、ドーピングとは、半導体基板にドナーまたはアクセプタを導入し、N型の導電型を示す半導体またはP型の導電型を示す半導体とすることを意味する。
【0040】
本明細書においては、ドーピング濃度とは、熱平衡状態におけるドナーの濃度またはアクセプタの濃度を意味する。本明細書においては、ネット・ドーピング濃度とは、ドナー濃度を正イオンの濃度とし、アクセプタ濃度を負イオンの濃度として、電荷の極性を含めて足し合わせた正味の濃度を意味する。一例として、ドナー濃度をND、アクセプタ濃度をNAとすると、任意の位置における正味のネット・ドーピング濃度はND-NAとなる。本明細書では、ネット・ドーピング濃度を単にドーピング濃度と記載する場合がある。
【0041】
ドナーは、半導体に電子を供給する機能を有している。アクセプタは、半導体から電子を受け取る機能を有している。ドナーおよびアクセプタは、不純物自体には限定されない。例えば、半導体中に存在する空孔(V)、酸素(O)および水素(H)が結合したVOH欠陥、格子間シリコン(Si-i)と水素が結合したSi-i-H欠陥、格子間炭素(Ci)と格子間酸素(Oi)および水素が結合したCiOi-H欠陥は、電子を供給するドナーとして機能する。本明細書では、これらの欠陥を水素ドナーと称する場合がある。
【0042】
本明細書においてP+型またはN+型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が高いことを意味し、P-型またはN-型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が低いことを意味する。また、本明細書においてP++型またはN++型と記載した場合には、P+型またはN+型よりもドーピング濃度が高いことを意味する。
【0043】
本明細書において化学濃度とは、電気的な活性化の状態によらずに測定される不純物の原子密度を指す。化学濃度は、例えば二次イオン質量分析法(SIMS)により計測できる。上述したネット・ドーピング濃度は、電圧-容量測定法(CV法)により測定できる。また、拡がり抵抗測定法(SR法)により計測されるキャリア濃度を、ネット・ドーピング濃度としてよい。キャリアとは、電子または正孔の電荷キャリアを意味する。CV法またはSR法により計測されるキャリア濃度は、熱平衡状態における値としてよい。また、N型の領域においては、ドナー濃度がアクセプタ濃度よりも十分大きいので、当該領域におけるキャリア濃度を、ドナー濃度としてもよい。同様に、P型の領域においては、当該領域におけるキャリア濃度を、アクセプタ濃度としてもよい。本明細書では、N型領域のドーピング濃度をドナー濃度と称する場合があり、P型領域のドーピング濃度をアクセプタ濃度と称する場合がある。
【0044】
また、ドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度分布がピークを有する場合、当該ピーク値を当該領域におけるドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度としてよい。ドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度がほぼ均一な場合等においては、当該領域におけるドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度の平均値をドナー、アクセプタまたはネット・ドーピングの濃度としてよい。
【0045】
SR法により計測されるキャリア濃度が、ドナーまたはアクセプタの濃度より低くてもよい。拡がり抵抗を測定する際に電流が流れる範囲において、半導体基板のキャリア移動度が結晶状態の値よりも低い場合がある。キャリア移動度の低下は、格子欠陥等による結晶構造の乱れ(ディスオーダー)により、キャリアが散乱されることで生じる。キャリア濃度が低下する理由は、下記の通りである。SR法では、拡がり抵抗を測定し、拡がり抵抗の測定値からキャリア濃度を換算する。このとき、キャリアの移動度は結晶状態の移動度が用いられる。一方、格子欠陥が導入されている位置では、キャリア移動度は低下しているにもかかわらず、結晶状態のキャリア移動度によりキャリア濃度が算出される。そのため、実際のキャリア濃度、即ちドナーまたはアクセプタの濃度よりも低い値となる。
【0046】
CV法またはSR法により計測されるキャリア濃度から算出したドナーまたはアクセプタの濃度は、ドナーまたはアクセプタを示す元素の化学濃度よりも低くてよい。一例として、シリコンの半導体においてドナーとなるリンまたはヒ素のドナー濃度、あるいはアクセプタとなるボロン(ホウ素)のアクセプタ濃度は、これらの化学濃度の99%程度である。一方、シリコンの半導体においてドナーとなる水素のドナー濃度は、水素の化学濃度の0.1%から10%程度である。本明細書では、SI単位系を採用する。本明細書において、距離や長さの単位がcm(センチメートル)で表されることがある。この場合、諸計算はm(メートル)に換算して計算してよい。10のべき乗の数値表示について、例えば1E+16の表示は、1×1016を示し、1E-16の表示は、1×10-16を示す。
【0047】
図1Aは、半導体装置100の上面図の一例を示す。
図1Aにおいては、各部材を半導体基板10の上面に投影した位置を示している。
図1Aにおいては、半導体装置100の一部の部材だけを示しており、一部の部材は省略している。半導体装置100は、トランジスタ部70およびダイオード部80を備える半導体チップである。
【0048】
トランジスタ部70は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のトランジスタを含む。ダイオード部80は、還流ダイオード(FWD:Free Wheel Diode)等のダイオードを含む。本例の半導体装置100は、トランジスタ部70およびダイオード部80を同一のチップに有する逆導通IGBT(RC-IGBT:Reverse Conducting IGBT)である。
【0049】
半導体基板10は、半導体材料で形成された基板である。半導体基板10は、シリコン基板であってよく、炭化シリコン基板であってよく、窒化ガリウム等の窒化物半導体基板等であってもよい。本例の半導体基板10は、シリコン基板である。半導体基板10は、半導体のインゴットから切り出したウエハであってよく、ウエハを個片化したチップであってもよい。半導体のインゴットは、チョクラルスキー法(CZ法)、磁場印加型チョクラルスキー法(MCZ法)、フロートゾーン法(FZ法)のいずれかで製造されよい。
【0050】
半導体基板10は、上面視において端辺102を有する。本明細書で単に上面視と称した場合、半導体基板10の上面側から見ることを意味している。本例の半導体基板10は、上面視において互いに向かい合う2組の端辺102を有する。
図1Aにおいては、X軸およびY軸は、いずれかの端辺102と平行である。またZ軸は、半導体基板10の上面と垂直である。半導体基板10は、活性部160およびエッジ終端構造部170を有する。
【0051】
活性部160は、半導体装置100が動作した場合に半導体基板10の上面と下面との間で、深さ方向に主電流が流れる領域である。活性部160の上方には、エミッタ電極が設けられているが
図1Aでは省略している。
【0052】
活性部160には、IGBT等のトランジスタ素子を含むトランジスタ部70と、還流ダイオード(FWD)等のダイオード素子を含むダイオード部80の少なくとも一方が設けられている。
図1Aの例では、トランジスタ部70およびダイオード部80は、半導体基板10の上面における所定の配列方向(本例ではX軸方向)に沿って、交互に配置されている。他の例では、活性部160には、トランジスタ部70およびダイオード部80の一方だけが設けられていてもよい。
【0053】
図1Aにおいては、トランジスタ部70が配置される領域には記号「I」を付し、ダイオード部80が配置される領域には記号「F」を付している。本明細書では、上面視において配列方向と垂直な方向を延伸方向(
図1AではY軸方向)と称する場合がある。トランジスタ部70およびダイオード部80は、それぞれ延伸方向に長手を有してよい。つまり、トランジスタ部70のY軸方向における長さは、X軸方向における幅よりも大きい。同様に、ダイオード部80のY軸方向における長さは、X軸方向における幅よりも大きい。トランジスタ部70およびダイオード部80の延伸方向と、後述する各トレンチ部の長手方向とは同一であってよい。
【0054】
ダイオード部80は、半導体基板10の下面と接する領域に、N+型のカソード領域を有する。本明細書では、カソード領域が設けられた領域を、ダイオード部80と称する。つまりダイオード部80は、上面視においてカソード領域と重なる領域である。半導体基板10の下面には、カソード領域以外の領域には、P+型のコレクタ領域が設けられてよい。
【0055】
トランジスタ部70は、半導体基板10の下面と接する領域に、P+型のコレクタ領域を有する。また、トランジスタ部70は、半導体基板10の上面側に、N型のエミッタ領域、P型のベース領域、ゲート導電部およびゲート絶縁膜を有するゲート構造が周期的に配置されている。
【0056】
半導体装置100は、半導体基板10の上方に1つ以上のパッドを有してよい。本例の半導体装置100は、ゲートパッド112を有している。半導体装置100は、アノードパッド、カソードパッドおよび電流検出パッド等のパッドを有してもよい。各パッドは、端辺102の近傍に配置されている。端辺102の近傍とは、上面視における端辺102と、エミッタ電極との間の領域を指す。半導体装置100の実装時において、各パッドは、ワイヤ等の配線を介して外部の回路に接続されてよい。
【0057】
ゲートパッド112には、ゲート電位が印加される。ゲートパッド112は、活性部160のゲートトレンチ部の導電部に電気的に接続される。半導体装置100は、ゲートパッド112とゲートトレンチ部とを接続するゲート配線130を備える。
【0058】
ゲート配線130は、トランジスタ部70のゲート導電部と電気的に接続され、トランジスタ部70にゲート電圧を印加する。ゲート配線130は、上面視で、活性部160の外周を囲うように設けられる。ゲート配線130は、エッジ終端構造部170に設けられるゲートパッド112と電気的に接続される。ゲート配線130は、上面視で、トランジスタ部70およびダイオード部80の間に設けられてよい。
【0059】
また、半導体装置100は、ポリシリコン等で形成されたPN接合ダイオードである不図示の温度センス部や、活性部160に設けられたトランジスタ部の動作を模擬する不図示の電流検出部を備えてもよい。
【0060】
本例の半導体装置100は、上面視において、活性部160と端辺102との間に、エッジ終端構造部170を備える。本例のエッジ終端構造部170は、ゲート配線130と端辺102との間に配置されている。エッジ終端構造部170は、半導体基板10の上面側の電界集中を緩和する。エッジ終端構造部170は、活性部160を囲んで環状に設けられたガードリング、フィールドプレートおよびリサーフのうちの少なくとも一つを備えていてよい。
【0061】
図1Bは、
図1Aにおける領域Aの拡大図である。領域Aは、トランジスタ部70、ダイオード部80およびゲート配線130を含む領域である。本例のゲート配線130は、ゲート金属層50およびゲートランナー部51を含む。
【0062】
半導体基板10のおもて面において、トランジスタ部70およびダイオード部80の間には、境界領域90が設けられる。半導体基板10のおもて面21とは、半導体基板10において対向する2つの主面の一方を指す。おもて面21については後述する。
【0063】
本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面21側の内部に形成されたゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、ウェル領域17、エミッタ領域12、ベース領域14およびコンタクト領域15を備える。また、本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面21の上方に設けられたエミッタ電極52およびゲート金属層50を備える。エミッタ電極52およびゲート金属層50は互いに分離して設けられる。
【0064】
エミッタ電極52およびゲート金属層50と、半導体基板10のおもて面21との間には層間絶縁膜が形成されるが、
図1Bでは層間絶縁膜を省略している。本例の層間絶縁膜には、コンタクトホール54、コンタクトホール55およびコンタクトホール56が、当該層間絶縁膜を貫通して形成される。
【0065】
エミッタ電極52は、層間絶縁膜に開口されたコンタクトホール54を通って、半導体基板10のおもて面21におけるエミッタ領域12、コンタクト領域15およびベース領域14と電気的に接続する。また、エミッタ電極52は、コンタクトホール56を通って、ダミートレンチ部30内のダミー導電部と接続される。エミッタ電極52とダミー導電部との間には、不純物がドープされたポリシリコン等の、導電性を有する材料で形成された接続部25が設けられてよい。
【0066】
ゲート金属層50は、コンタクトホール55を通って、ゲートランナー部51と接触する。ゲートランナー部51は、不純物がドープされたポリシリコン等の半導体で形成される。ゲートランナー部51は、半導体基板10のおもて面において、ゲートトレンチ部40内のゲート導電部と接続される。
【0067】
エミッタ電極52およびゲート金属層50は、金属を含む材料で形成される。例えば、各電極の少なくとも一部の領域は、アルミニウム(Al)等の金属、または、アルミニウム‐シリコン合金(AlSi)、アルミニウム‐シリコン‐銅合金(AlSiCu)等の金属合金で形成されてよい。各電極は、アルミ等で形成された領域の下層にチタンやチタン化合物等で形成されたバリアメタルを有してよい。各電極は、さらにコンタクトホール内において、バリアメタルとアルミニウム等に接するようにタングステン等を埋め込んで形成されたプラグを有してもよい。
【0068】
ウェル領域17は、ゲート金属層50およびゲートランナー部51と重なって設けられている。ウェル領域17は、ゲート金属層50およびゲートランナー部51と重ならない範囲にも、所定の幅で延伸して設けられている。本例のウェル領域17は、コンタクトホール54のY軸方向の端から、ゲート金属層50側に離れて設けられている。ウェル領域17は、ベース領域14よりもドーピング濃度の高い第2導電型の領域である。本例のベース領域14はP-型であり、ウェル領域17はP+型である。
【0069】
トランジスタ部70およびダイオード部80のそれぞれは、半導体基板10のおもて面21において、配列方向に複数配列されたトレンチ部を有する。本例のトランジスタ部70には、配列方向に沿って1以上のゲートトレンチ部40と、1以上のダミートレンチ部30とが交互に設けられている。本例のダイオード部80には、複数のダミートレンチ部30が、配列方向に沿って設けられている。本例のダイオード部80には、ゲートトレンチ部40が設けられていない。
【0070】
トランジスタ部70には、1つ以上のゲートトレンチ部40が、各トレンチの配列方向に沿って所定の間隔で配列される。ゲートトレンチ部40の内部のゲート導電部は、ゲート金属層50と電気的に接続され、ゲート電位が印加される。トランジスタ部70には、1つ以上のダミートレンチ部30が配列方向に沿って所定の間隔で配列されてよい。ダミートレンチ部30の内部のダミー導電部には、ゲート電位とは異なる電位が印加される。本例のダミー導電部は、エミッタ電極52と電気的に接続され、エミッタ電位が印加される。
【0071】
トランジスタ部70においては、配列方向に沿って1つ以上のゲートトレンチ部40と、1つ以上のダミートレンチ部30とが交互に形成されてよい。また、ダミートレンチ部30は、ダイオード部80および境界領域90において配列方向に沿って所定の間隔で配列される。なお、トランジスタ部70は、ダミートレンチ部30が設けられず、ゲートトレンチ部40のみで構成されてもよい。
【0072】
本例のゲートトレンチ部40は、配列方向と垂直な延伸方向に沿って延伸する2つの延伸部分41(延伸方向に沿って直線状であるトレンチの部分)と、2つの延伸部分41を接続する接続部分43を有してよい。
図1Bにおける延伸方向はY軸方向である。
【0073】
接続部分43の少なくとも一部は、上面視において曲線状に設けられることが好ましい。2つの延伸部分41のY軸方向における端部どうしを接続部分43が接続することで、延伸部分41の端部における電界集中を緩和できる。
【0074】
トランジスタ部70において、ダミートレンチ部30はゲートトレンチ部40のそれぞれの延伸部分41の間に設けられる。それぞれの延伸部分41の間には、1本のダミートレンチ部30が設けられてよく、複数本のダミートレンチ部30が設けられていてもよい。ダミートレンチ部30は、延伸方向に延伸する直線形状を有してよく、ゲートトレンチ部40と同様に、延伸部分31と接続部分33とを有していてもよい。
図1Bに示した半導体装置100は、接続部分33を有さない直線形状のダミートレンチ部30と、接続部分33を有するダミートレンチ部30の両方を含んでいる。ゲートトレンチ部40の延伸部分41またはダミートレンチ部30の延伸部分31が、延伸方向に長く延伸する方向を、トレンチ部の長手方向とする。ゲートトレンチ部40またはダミートレンチ部30の長手方向は、延伸方向と一致してよい。本例では、延伸方向および長手方向は、Y軸方向である。ゲートトレンチ部40またはダミートレンチ部30が複数配列された配列方向を、トレンチ部の短手方向とする。短手方向は配列方向と一致してよい。また短手方向は、長手方向に対して垂直であってよい。本例では、長手方向と短手方向は垂直である。本例では、配列方向および短手方向は、X軸方向である。
【0075】
ゲートトレンチ部40の先端における接続部分33において、ゲートトレンチ部40内のゲート導電部と、ゲートランナー部51とが接続する。ゲートトレンチ部40は、延伸方向(Y軸方向)において、ダミートレンチ部30よりもゲートランナー部51側に突出して設けられてよい。ゲートトレンチ部40の当該突出部分が、ゲートランナー部51と接続する。
【0076】
ウェル領域17の拡散深さは、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の深さよりも深くてよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30のY軸方向の端部は、上面視においてウェル領域17に設けられる。つまり、各トレンチ部のY軸方向の端部において、各トレンチ部の深さ方向の底部は、ウェル領域17に覆われている。これにより、各トレンチ部の当該底部における電界集中を緩和できる。
【0077】
配列方向において各トレンチ部の間には、メサ部が設けられている。メサ部は、半導体基板10の内部において、トレンチ部に挟まれた領域を指す。一例としてメサ部の上端は半導体基板10の上面である。メサ部の下端の深さ位置は、トレンチ部の下端の深さ位置と同一である。本例のメサ部は、半導体基板10の上面において、トレンチ部に沿って延伸方向(Y軸方向)に延伸して設けられている。
【0078】
境界領域90は、トランジスタ部70において、ダイオード部80に隣接して設けられる。境界領域90は、半導体基板10のおもて面側のメサ部において、第1導電型のエミッタ領域12が設けられておらず、半導体基板10の裏面側にコレクタ領域22が設けられた領域である。境界領域90は、おもて面21にベース領域14を有してよい。なお、
図1Bにおいては、半導体基板10の裏面側に設けられたカソード領域82について、おもて面側に投影した場合の位置を示している。境界領域90には、ダミートレンチ部30が設けられている。
【0079】
メサ部71、メサ部81およびメサ部91は、それぞれ、トランジスタ部70、ダイオード部80および境界領域90に設けられたメサ部である。本明細書において単にメサ部と称した場合、メサ部71、メサ部81およびメサ部91のそれぞれを指している。メサ部とは、隣り合う2つのトレンチ部に挟まれた半導体基板10の部分であって、半導体基板10のおもて面21から、各トレンチ部の最も深い底部の深さまでの部分であってよい。各トレンチ部の延伸部分を1つのトレンチ部としてよい。即ち、2つの延伸部分に挟まれる領域をメサ部としてよい。
【0080】
それぞれのメサ部には、ベース領域14が設けられる。メサ部において半導体基板10の上面に露出したベース領域14のうち、ゲート金属層50に最も近く配置された領域をベース領域14-eとする。
図1Bにおいては、それぞれのメサ部の延伸方向における一方の端部に配置されたベース領域14-eを示しているが、それぞれのメサ部の他方の端部にもベース領域14-eが配置されている。それぞれのメサ部には、上面視においてベース領域14-eに挟まれた領域に、第1導電型のエミッタ領域12および第2導電型のコンタクト領域15の少なくとも一方が設けられてよい。本例のエミッタ領域12はN+型であり、コンタクト領域15はP+型である。エミッタ領域12およびコンタクト領域15は、深さ方向において、ベース領域14と半導体基板10の上面との間に設けられてよい。
【0081】
トランジスタ部70のメサ部71は、半導体基板10の上面に露出したエミッタ領域12を有する。エミッタ領域12は、ゲートトレンチ部40に接して設けられている。ゲートトレンチ部40に接するメサ部71は、半導体基板10の上面に露出したコンタクト領域15が設けられていてよい。
【0082】
メサ部71におけるコンタクト領域15およびエミッタ領域12のそれぞれは、X軸方向における一方のトレンチ部から、他方のトレンチ部まで設けられる。一例として、メサ部71のコンタクト領域15およびエミッタ領域12は、トレンチ部の延伸方向(Y軸方向)に沿って交互に配置されている。
【0083】
他の例においては、メサ部71のコンタクト領域15およびエミッタ領域12は、トレンチ部の延伸方向(Y軸方向)に沿ってストライプ状に設けられていてもよい。例えばトレンチ部に接する領域にエミッタ領域12が設けられ、エミッタ領域12に挟まれた領域にコンタクト領域15が設けられる。
【0084】
ダイオード部80のメサ部81には、エミッタ領域12が設けられていない。メサ部81の上面には、ベース領域14およびコンタクト領域15が設けられてよい。メサ部81の上面においてベース領域14-eに挟まれた領域には、それぞれのベース領域14-eに接してコンタクト領域15が設けられてよい。メサ部81の上面においてコンタクト領域15に挟まれた領域には、ベース領域14が設けられてよい。ベース領域14は、コンタクト領域15に挟まれた領域全体に配置されてよい。
【0085】
それぞれのメサ部の上方には、コンタクトホール54が設けられている。コンタクトホール54は、ベース領域14-eに挟まれた領域に配置されている。本例のコンタクトホール54は、コンタクト領域15、ベース領域14およびエミッタ領域12の各領域の上方に設けられる。コンタクトホール54は、ベース領域14-eおよびウェル領域17に対応する領域には設けられない。コンタクトホール54は、メサ部71の配列方向(X軸方向)における中央に配置されてよい。
【0086】
ダイオード部80において、半導体基板10の下面と隣接する領域には、N+型のカソード領域82が設けられる。カソード領域82のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。半導体基板10の下面において、カソード領域82が設けられていない領域には、P+型のコレクタ領域22が設けられてよい。カソード領域82およびコレクタ領域22は、半導体基板10の裏面23と、バッファ領域20との間に設けられている。
図1Bにおいては、カソード領域82およびコレクタ領域22の境界62を点線で示している。
【0087】
カソード領域82は、Y軸方向においてウェル領域17から離れて配置されている。これにより、比較的にドーピング濃度が高く、且つ、深い位置まで形成されているP型の領域(ウェル領域17)と、カソード領域82との距離を確保して、耐圧を向上し、ウェル領域17からの正孔の注入を抑制できる。本例のカソード領域82のY軸方向における端部は、コンタクトホール54のY軸方向における端部よりも、ウェル領域17から離れて配置されている。他の例では、カソード領域82のY軸方向における端部は、ウェル領域17とコンタクトホール54との間に配置されていてもよい。
【0088】
図2Aは、
図1Bにおけるa-a'断面を含むXZ断面の一例を示す図である。a-a'断面を含むXZ断面は、トランジスタ部70において、エミッタ領域12を通過するXZ面である。本例の半導体装置100は、a-a'断面を含むXZ断面において、半導体基板10、層間絶縁膜38、エミッタ電極52およびコレクタ電極24を有する。エミッタ電極52は、半導体基板10および層間絶縁膜38の上方に形成される。
【0089】
ドリフト領域18は、半導体基板10に設けられた第1導電型の領域である。本例のドリフト領域18は、一例としてN-型である。ドリフト領域18は、半導体基板10において他のドーピング領域が形成されずに残存した領域であってよい。即ち、ドリフト領域18のドーピング濃度は半導体基板10のドーピング濃度であってよい。
【0090】
バッファ領域20は、ドリフト領域18の下方に設けられた第1導電型の領域である。本例のバッファ領域20は、半導体基板10の深さ方向における中心よりも半導体基板10の裏面23に近接して設けられる。本例のバッファ領域20は、一例としてN型である。バッファ領域20のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。バッファ領域20は、ベース領域14の下面側から広がる空乏層が、第2導電型のコレクタ領域22および第1導電型のカソード領域82に到達することを防ぐフィールドストップ層として機能してよい。
【0091】
コレクタ領域22およびカソード領域82は、半導体基板10の裏面23に設けられる。コレクタ領域22は、トランジスタ部70において、バッファ領域20の下方に設けられる。カソード領域82は、ダイオード部80において、バッファ領域20の下方に設けられる。コレクタ領域22とカソード領域82との境界62は、トランジスタ部70とダイオード部80との境界であってよい。
【0092】
コレクタ電極24は、半導体基板10の裏面23に形成される。コレクタ電極24は、金属等の導電材料で形成される。コレクタ電極24は、金属等の導電材料で形成される。コレクタ電極24の少なくとも一部の領域は、例えばアルミニウム(Al)等の金属、または、アルミニウム‐シリコン合金(AlSi)、アルミニウム‐シリコン‐銅合金(AlSiCu)等の金属合金で形成されてよい。
【0093】
ベース領域14は、メサ部71、メサ部91およびメサ部81において、ドリフト領域18の上方に設けられる第2導電型の領域である。ベース領域14は、ゲートトレンチ部40に接して設けられる。ベース領域14は、ダミートレンチ部30に接して設けられてよい。
【0094】
エミッタ領域12は、メサ部71において、ベース領域14とおもて面21との間に設けられる。エミッタ領域12は、ゲートトレンチ部40と接して設けられる。エミッタ領域12は、ダミートレンチ部30と接してもよいし、接しなくてもよい。なお、エミッタ領域12は、メサ部91に設けられなくてよい。
【0095】
コンタクト領域15は、メサ部91において、ベース領域14の上方に設けられる。コンタクト領域15は、メサ部91において、ゲートトレンチ部40に接して設けられる。他の断面において、コンタクト領域15は、メサ部71のおもて面21に設けられてよい。
【0096】
蓄積領域16は、ドリフト領域18よりも半導体基板10のおもて面21側に設けられる第1導電型の領域である。本例の蓄積領域16は、一例としてN+型である。蓄積領域16は、メサ部71に設けられる。蓄積領域16は、メサ部81およびメサ部91に設けられてもよい。
【0097】
また、蓄積領域16は、ゲートトレンチ部40に接して設けられる。蓄積領域16は、ダミートレンチ部30に接してもよいし、接しなくてもよい。蓄積領域16のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。蓄積領域16を設けることで、キャリア注入促進効果(IE効果)を高めて、トランジスタ部70のオン電圧を低減できる。
【0098】
1つ以上のゲートトレンチ部40および1つ以上のダミートレンチ部30は、おもて面21に設けられる。各トレンチ部は、おもて面21からドリフト領域18まで設けられる。エミッタ領域12、ベース領域14、コンタクト領域15および蓄積領域16の少なくともいずれかが設けられる領域においては、各トレンチ部はこれらの領域も貫通して、ドリフト領域18に到達する。トレンチ部がドーピング領域を貫通するとは、ドーピング領域を形成してからトレンチ部を形成する順序で製造したものに限定されない。トレンチ部を形成した後に、トレンチ部の間にドーピング領域を形成したものも、トレンチ部がドーピング領域を貫通しているものに含まれる。
【0099】
ゲートトレンチ部40は、おもて面21に形成されたゲートトレンチ、ゲート絶縁膜42およびゲート導電部44を有する。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁を覆って形成される。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁の半導体を酸化または窒化して形成してよい。ゲート導電部44は、ゲートトレンチの内部においてゲート絶縁膜42よりも内側に形成される。ゲート絶縁膜42は、ゲート導電部44と半導体基板10とを絶縁する。ゲート導電部44は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。ゲートトレンチ部40は、おもて面21において層間絶縁膜38により覆われる。
【0100】
ゲート導電部44は、半導体基板10の深さ方向において、ゲート絶縁膜42を挟んでメサ部71側で隣接するベース領域14と対向する領域を含む。ゲート導電部44に所定の電圧が印加されると、ベース領域14のうちゲートトレンチに接する界面の表層に、電子の反転層によるチャネルが形成される。
【0101】
ダミートレンチ部30は、ゲートトレンチ部40と同一の構造を有してよい。ダミートレンチ部30は、おもて面21側に形成されたダミートレンチ、ダミー絶縁膜32およびダミー導電部34を有する。ダミー絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁を覆って形成される。ダミー導電部34は、ダミートレンチの内部に形成され、且つ、ダミー絶縁膜32よりも内側に形成される。ダミー絶縁膜32は、ダミー導電部34と半導体基板10とを絶縁する。ダミートレンチ部30は、おもて面21において層間絶縁膜38により覆われる。
【0102】
層間絶縁膜38は、おもて面21に設けられている。層間絶縁膜38の上方には、エミッタ電極52が設けられている。層間絶縁膜38には、エミッタ電極52と半導体基板10とを電気的に接続するための1又は複数のコンタクトホール54が設けられている。コンタクトホール55およびコンタクトホール56も同様に、層間絶縁膜38を貫通して設けられてよい。
【0103】
ライフタイム制御部150は、半導体基板10に設けられ、ライフタイムキラーを含む。ライフタイム制御部150は、半導体基板10の内部に不純物を注入すること等により意図的にライフタイムキラーが形成された領域であってよい。一例において、ライフタイム制御部150は、半導体基板10にヘリウムを注入することで形成される。ライフタイム制御部150を設けることにより、ターンオフ時間を低減し、テイル電流を抑制することにより、スイッチング時の損失を低減することができる。
【0104】
ライフタイムキラーは、キャリアの再結合中心である。ライフタイムキラーは、格子欠陥であってよい。例えば、ライフタイムキラーは、空孔、複空孔、これらと半導体基板10を構成する元素との複合欠陥、または転位であってよい。また、ライフタイムキラーは、ヘリウム、ネオンなどの希ガス元素、または、白金などの金属元素などでもよい。ライフタイムキラーは、水素イオンを半導体基板10の注入面に注入した後に、停止した水素よりも注入面側に形成される再結合中心であってもよい。格子欠陥の形成には電子線が用いられてよい。ライフタイム制御部150を形成するための不純物のドーズ量は、0.5E10cm-2以上、1.0E13cm-2以下であっても、5.0E10cm-2以上、5.0E11cm-2以下であってもよい。ライフタイム制御部150を形成するための加速エネルギーは、100keV以上、100MeV以下であってよい。
【0105】
ライフタイムキラー濃度とは、キャリアの再結合中心濃度である。ライフタイムキラー濃度は、格子欠陥の濃度であってよい。例えばライフタイムキラー濃度とは、空孔、複空孔などの空孔濃度であってよく、これらの空孔と半導体基板10を構成する元素との複合欠陥濃度であってよく、または転位濃度であってよい。また、ライフタイムキラー濃度とは、ヘリウム、ネオンなどの希ガス元素の化学濃度としてもよく、または、白金などの金属元素の化学濃度としてもよい。
【0106】
ライフタイム制御部150は、おもて面側ライフタイム制御領域151または裏面側ライフタイム制御領域152の少なくとも一方を含む。ライフタイム制御部150は、主領域156および減衰領域157を含む。
【0107】
おもて面側ライフタイム制御領域151は、半導体基板10の深さ方向における中心よりもおもて面21に近接して設けられる。おもて面側ライフタイム制御領域151は、主領域156および減衰領域157を含んでよい。
【0108】
裏面側ライフタイム制御領域152は、半導体基板10の深さ方向における中心よりも裏面23に近接して設けられる。本例の裏面側ライフタイム制御領域152は、バッファ領域20に設けられる。裏面側ライフタイム制御領域152は、主領域156および減衰領域157を含んでよい。
【0109】
ライフタイム制御部150は、ライフタイムキラーを形成するための不純物イオンを、裏面23側から注入することにより形成されてよい。ライフタイムキラーを形成するための不純物イオンを、単に不純物イオンと称する場合がある。不純物イオンは、例えばヘリウムイオンである。これにより、半導体装置100のおもて面21側への影響を回避できる。例えば、ライフタイム制御部150は、裏面23側からヘリウムイオンを注入することにより形成される。ここで、ライフタイム制御部150がおもて面21側からの注入により形成されているか、裏面23側からの注入により形成されているかは、SR法またはリーク電流の測定によって、おもて面21側の状態を取得することで判断できる。
【0110】
おもて面側ライフタイム制御領域151および裏面側ライフタイム制御領域152の形成方法は、同一であっても異なっていてもよい。おもて面側ライフタイム制御領域151および裏面側ライフタイム制御領域152の両方を、裏面23側からの不純物イオンの注入により形成してもよい。おもて面側ライフタイム制御領域151をおもて面21側からの不純物イオンの注入により形成し、裏面側ライフタイム制御領域152を裏面23側からの不純物イオンの注入により形成してもよい。おもて面側ライフタイム制御領域151および裏面側ライフタイム制御領域152の両方を、おもて面21側からの不純物イオンの注入により形成してもよい。おもて面側ライフタイム制御領域151および裏面側ライフタイム制御領域152を形成するときの不純物イオンのドーズ量は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0111】
主領域156は、ダイオード部80に設けられる。主領域156は、不純物イオンが直接注入された領域であってよい。例えば、マスクを用いてライフタイム制御部150を形成する場合、主領域156はマスクによって被覆されていない領域である。主領域156は、おもて面側ライフタイム制御領域151と裏面側ライフタイム制御領域152とで、上面視における同一の領域に設けられてもよいし、異なる領域に設けられてもよい。
【0112】
減衰領域157は、主領域156から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸して設けられる。減衰領域157は、主領域156よりもライフタイムキラー濃度が減衰した領域である。減衰領域157は、不純物イオンが注入された領域ではなく、注入された不純物が熱拡散することによって形成された領域であってよい。減衰領域157は、おもて面側ライフタイム制御領域151と裏面側ライフタイム制御領域152とで、上面視における同一の領域に設けられてもよいし、異なる領域に設けられてもよい。
【0113】
本例の減衰領域157は、ダイオード部80において、主領域156から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸して設けられる。即ち、ダイオード部80は、主領域156および減衰領域157を有する。本例の減衰領域157は、配列方向において、主領域156からコレクタ領域22とコレクタ電極24との境界62まで延伸する。減衰領域157は、配列方向において、主領域156からコレクタ領域22とコレクタ電極24の境界62まで延伸して、境界62で終端してよい。
【0114】
ここで、ダイオード部80のトレンチ配列方向の幅Wa、減衰領域157のトレンチ配列方向の幅Wb、および主領域156のトレンチ配列方向の幅Wcとする。この場合、Wa>Wcを満たしてよく、(Wa-2Wb)>Wcを満たしてよい。主領域156のトレンチ配列方向の幅Wcは、ダイオード部80のトレンチ配列方向の幅Waよりも小さくてよい。主領域156は、ダイオード部80の内側に形成されてよい。なお、減衰領域157のトレンチ配列方向の幅Wbは、ライフタイム制御部150を形成するためのライフタイムキラーの半導体基板10のおもて面21と平行な方向の拡散半値半幅Whと同一であってよい。拡散半値半幅Whについては後述する。
【0115】
主領域156は、トレンチ配列方向において、ダイオード部80の幅の8割以上を占めてよい。即ち、0.8≦(Wa-2Wb)/Wa<1.0を満たしてよい。
【0116】
図2Bは、
図2Aのm-m'断面におけるライフタイムキラー濃度の例である。m-m'断面は、おもて面側ライフタイム制御領域151をX軸方向に通過する。主領域156は、ライフタイムキラー濃度分布が一様であってよい。減衰領域157は、ライフタイムキラー濃度が減衰する領域である。減衰領域157のライフタイムキラー濃度分布はガウス分布であってよい。
【0117】
ライフタイム制御部150の端部の位置x1およびx1'を、減衰領域157のライフタイムキラー濃度が、主領域156におけるライフタイムキラー濃度の最大値または平均濃度の半値となる位置とする。位置x2およびx2'を、主領域156のライフタイムキラー濃度が、水平方向(x軸方向)に減衰し始める位置とする。即ち位置x2およびx2'は、主領域156の端部の位置である。主領域156の幅Wcは、位置x2と位置x2'との距離である。減衰領域157の幅Wbは、位置x1と位置x2との距離か、または位置x1'と位置x2'との距離である。減衰領域157の幅Wbは、ライフタイムキラー濃度分布の半値半幅(HWHM)である。半値半幅は、拡散半値半幅Whであってよい。
【0118】
ライフタイムキラー濃度分布において、位置x1または位置x1'の濃度よりも低い濃度の部分を、染み出し部158とする。本例のライフタイム制御部150の端部の位置x1およびx1'は、境界62と一致する。即ち、ライフタイムキラー濃度分布の染み出し部158は境界領域90に位置してよく、トランジスタ部70に位置してよい。
【0119】
図3Aは、半導体装置100の変形例を示すa-a'断面を含むXZ断面である。本例の半導体装置100は、
図2Aの半導体装置100と異なる領域にライフタイム制御部150を備える。本例では、
図2Aの半導体装置100と相違する点について特に説明する。
【0120】
おもて面側ライフタイム制御領域151および裏面側ライフタイム制御領域152は、上面視において異なる領域に設けられている。本例のおもて面側ライフタイム制御領域151は、主領域156および減衰領域157を有する。裏面側ライフタイム制御領域152は、減衰領域157を有さなくてよい。本例のライフタイム制御部150は、おもて面側ライフタイム制御領域151および裏面側ライフタイム制御領域152の少なくとも一方を有してもよく、有さなくてもよい。
【0121】
おもて面側ライフタイム制御領域151および裏面側ライフタイム制御領域152は、同一の領域に設けられてよい。即ち、おもて面側ライフタイム制御領域151の主領域156は、上面視において、裏面側ライフタイム制御領域152の主領域156と同一の領域に設けられてよい。おもて面側ライフタイム制御領域151の減衰領域157は、上面視において、裏面側ライフタイム制御領域152の減衰領域157と同一の領域に設けられてよい。但し、おもて面側ライフタイム制御領域151および裏面側ライフタイム制御領域152は、異なる領域に設けられてもよい。
【0122】
主領域156は、トレンチ配列方向において、カソード領域82の上方からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端している。減衰領域157は、主領域156からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62を越えて、コレクタ領域22の上方まで延伸している。本例の減衰領域157は、主領域156から境界領域90の内側まで延伸しているが、境界領域90を越えて延伸してもよい。ここでは、おもて面側ライフタイム制御領域151の主領域156および減衰領域157として説明している。但し、裏面側ライフタイム制御領域152についても同様に、本例の主領域156および減衰領域157に対応する位置に主領域156および減衰領域157を有してもよい。
【0123】
図3Bは、
図3Aのm-m'断面におけるライフタイムキラー濃度の例である。本例では、
図2Aおよび
図2Bの半導体装置100と相違する点について特に説明する。本例の境界62は、ライフタイム制御部150の端部の位置x1(またはx1')と、主領域156の端部の位置x2(またはx2')との間に位置する。言い換えると、境界62は減衰領域157に位置する。ライフタイムキラー濃度分布の染み出し部158は、境界62よりも外側に離れて位置してよい。染み出し部158は境界領域90に位置してよく、トランジスタ部70に位置してよい。
【0124】
図4Aは、半導体装置100の変形例を示すa-a'断面を含むXZ断面である。本例の半導体装置100は、
図2Aおよび
図3Aの半導体装置100と異なる領域にライフタイム制御部150を備える。本例では、
図2Aおよび
図3Aの半導体装置100と相違する点について特に説明する。
【0125】
ライフタイム制御部150は、ダイオード部80に設けられ、トランジスタ部70には設けられなくてよい。本例においては、おもて面側ライフタイム制御領域151および裏面側ライフタイム制御領域152の両方がダイオード部80に設けられ、トランジスタ部70には設けられない。おもて面側ライフタイム制御領域151および裏面側ライフタイム制御領域152の一方は、省略してもよい。
【0126】
おもて面側ライフタイム制御領域151および裏面側ライフタイム制御領域152は、同一の領域に設けられてよい。即ち、おもて面側ライフタイム制御領域151の主領域156は、上面視において、裏面側ライフタイム制御領域152の主領域156と同一の領域に設けられてよい。おもて面側ライフタイム制御領域151の減衰領域157は、上面視において、裏面側ライフタイム制御領域152の減衰領域157と同一の領域に設けられてよい。但し、おもて面側ライフタイム制御領域151および裏面側ライフタイム制御領域152は、異なる領域に設けられてもよい。
【0127】
主領域156は、カソード領域82の上方においてトレンチ配列方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。減衰領域157は、主領域156からトレンチ配列方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。即ち、本例の半導体装置100は、減衰領域157の端部と境界62との距離Wdを有する。本例の距離Wdは、トレンチ配列方向における距離であるが、トレンチ延伸方向においても距離Wdが設けられてよい。距離Wdは、幅Wbよりも小さくてもよいし、幅Wbと同一であってもよいし、幅Wbよりも大きくてもよい。
【0128】
本例では、ダイオード部80のトレンチ配列方向の幅Waは、主領域156のトレンチ配列方向の幅Wcよりも大きくてよい。即ち、Wa>Wcであってよい。また、ダイオード部80のトレンチ配列方向の幅Waは、ライフタイム制御部150の幅Wc+2Wbよりも大きくてよい。即ち、Wa>Wc+2Wbであってよい。
【0129】
図4Bは、
図4Aのm-m'断面におけるライフタイムキラー濃度の例である。本例では、
図3Aおよび
図3Bの半導体装置100と相違する点について特に説明する。本例の境界62は、ライフタイム制御部150の端部の位置x1(またはx1')よりも外側に離れて位置する。ライフタイムキラー濃度分布の染み出し部158は、ダイオード部80に位置してよい。あるいは、染み出し部158は、ダイオード部80の内側から境界62まで延伸してよい。染み出し部158の端部が境界62であってよい。境界62は、位置x1(またはx1')よりも、トランジスタ側に向かう外側に位置してよい。
【0130】
図5Aは、半導体装置100の変形例を示すa-a'断面を含むXZ断面である。本例の半導体装置100は、
図3Aの半導体装置100と異なる領域にライフタイム制御部150を備える。本例では、
図3Aの半導体装置100と相違する点について特に説明する。
【0131】
本例の裏面側ライフタイム制御領域152は、半導体基板10の全面に設けられている。本例の裏面側ライフタイム制御領域152は、XY平面において半導体基板10の全面に設けられており、マスクを使用せずに形成できる。本例の裏面側ライフタイム制御領域152は、裏面23の全面に不純物が注入されるので、主領域156が半導体基板10の全面に設けられる。一方、本例の場合、裏面側ライフタイム制御領域152は、減衰領域157を有さない。
【0132】
おもて面側ライフタイム制御領域151は、上面視において裏面側ライフタイム制御領域152と異なる領域に設けられている。本例のおもて面側ライフタイム制御領域151は、主領域156および減衰領域157を有する。
【0133】
主領域156は、トレンチ配列方向において、カソード領域82の上方からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端している。本例の減衰領域157は、主領域156からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62を越えて、コレクタ領域22の上方まで延伸している。他の例のように、減衰領域157は、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62を越えずに終端してよく、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62で終端してもよい。
【0134】
なお、おもて面側ライフタイム制御領域151と裏面側ライフタイム制御領域152は、上述の例に限らない。例えばおもて面側ライフタイム制御領域151が
図2Aの例であって、裏面側ライフタイム制御領域152が
図3Aの例または
図4Aの例であってよい。また、おもて面側ライフタイム制御領域151が
図3Aの例であって、裏面側ライフタイム制御領域152が
図2Aの例または
図4Aの例であってよい。また、おもて面側ライフタイム制御領域151が
図4Aの例であって、裏面側ライフタイム制御領域152が
図2Aの例または
図3Aの例であってよい。
【0135】
【0136】
図6は、バッファ領域20のドーピング濃度分布の一例を示す。本例の裏面側ライフタイム制御領域152は、ヘリウムイオンの注入によって形成されるが、裏面側ライフタイム制御領域152の形成方法はこれに限らない。ここでは、裏面側ライフタイム制御領域152を形成することによって、バッファ領域20に与える影響について説明する。
【0137】
実線は、裏面側ライフタイム制御領域152を有する場合のバッファ領域20のドーピング濃度分布を示す。破線は、裏面側ライフタイム制御領域152を有さない場合のバッファ領域20のドーピング濃度分布を示す。
【0138】
バッファ領域20は、半導体基板10の深さ方向において、ドーピング濃度の1または複数のピークを有する。本例のバッファ領域20は、半導体基板10の深さ方向において、ドーピング濃度の4つのピークを有する。バッファ領域20は、半導体基板10の深さ方向において、裏面23から第1ピーク121、第2ピーク122、第3ピーク123および第4ピーク124の順でピークを有する。深さ位置D1~D4は、第1ピーク121から第4ピーク124までの、裏面23からの深さ方向における距離をそれぞれ示す。バッファ領域20は、水素イオンの注入によって形成されてよい。即ち、バッファ領域20は、水素ドナーを含んでよい。本例の半導体基板10は、MCZ法を用いて形成されているが、これに限定されない。
【0139】
2点鎖線は、裏面側ライフタイム制御領域152を形成する場合のライフタイムキラー濃度を示す。深さ位置Dkは、半導体基板10の深さ方向における、裏面23から裏面側ライフタイム制御領域152のピークまでの距離を示す。裏面側ライフタイム制御領域152は、半導体基板10の深さ方向において、第2ピーク122と第3ピーク123との間に設けられてよい。即ち、裏面側ライフタイム制御領域152の裏面23からの深さ位置Dkは、第2ピーク122の裏面23からの深さ位置D2よりも大きく、第3ピーク123の裏面23からの深さ位置D3よりも小さくてよい。本例の裏面側ライフタイム制御領域152は、半導体基板10の深さ方向において、半導体基板10の裏面23から10μm以上、15μm以下の位置にライフタイムキラー濃度のピークを有する。
【0140】
裏面側ライフタイム制御領域152の裏面23からの深さ位置Dkは、バッファ領域20において裏面23から最も浅く形成されたピークよりも浅くてよい。即ち、深さ位置Dkは、深さ位置D1よりも大きくてよい。裏面側ライフタイム制御領域152の裏面23からの深さ位置Dkは、バッファ領域20において裏面23から最も深く形成されたピークよりも浅くてよい。即ち、本例のようにバッファ領域20が4つのピークを有する場合、深さ位置Dkは、深さ位置D4よりも小さくてよい。
【0141】
ここで、トランジスタ部70においては、裏面側ライフタイム制御領域152を設けることによって再結合中心が形成され、裏面23からのホールの注入が阻害されて、裏面アバランシェ耐量が低下する場合がある。また、裏面側ライフタイム制御領域152を形成することにより、水素で形成されたバッファ領域20の1または複数のピークが高濃度化する場合がある。本例では、ライフタイムキラーの形成によって、第3ピーク123と第4ピーク124との間のドーピング濃度が高濃度化している。バッファ領域20のドーピング濃度が高濃度化すると、裏面23からのホールの注入が阻害されて、裏面アバランシェ耐量が低下する場合がある。
【0142】
半導体装置100は、ライフタイムキラーが注入される主領域156をダイオード部80の内側に設けることにより、裏面アバランシェ耐量の低下を抑制することができる。本例の半導体装置100は、バッファ領域20が高濃度化しやすいMCZ基板を用いる場合であっても、バッファ領域20の高濃度化を回避して、裏面アバランシェ耐量の低下を抑制することができる。また、半導体装置100は、ライフタイム制御部150をトランジスタ部70に設けないことにより、漏れ電流の増加および素子の熱暴走を抑制することができる。
【0143】
図7Aは、コレクタ-エミッタ間遮断電流Icesと、おもて面側ライフタイム制御領域151の注入領域との関係を示す。コレクタ-エミッタ間遮断電流Icesは、ゲート-エミッタ間を短絡した状態で、コレクタ-エミッタ間に所定の電圧を印加したときのコレクタ-エミッタ間の漏れ電流である。
【0144】
実施例1は、ダイオード部80のみにおもて面側ライフタイム制御領域151を設けた場合であって、オーバーラップ幅Wo=10μmである場合の例である。オーバーラップ幅Woは、ライフタイム制御部150を形成するためのマスクがダイオード部80と重複する幅を示す。オーバーラップ幅Woについては後述する。
【0145】
実施例2は、ダイオード部80のみにおもて面側ライフタイム制御領域151を設けた場合であって、オーバーラップ幅Wo=0μmである場合の例である。比較例1は、おもて面側ライフタイム制御領域151を半導体基板10の全面に注入した場合の例である。
【0146】
実施例2のコレクタエミッタ間遮断電流Icesを100%とした場合に、比較例1のIcesが620%となり、実施例1のIcesが97%となった。このように、おもて面側ライフタイム制御領域151をダイオード部80のみに設けることにより、漏れ電流を大幅に低減することができる。
【0147】
図7Bは、コレクタエミッタ間遮断電流Icesと、裏面側ライフタイム制御領域152の注入領域との関係を示す。
【0148】
実施例3は、裏面側ライフタイム制御領域152を設けない場合の例である。実施例4は、ダイオード部80のみに裏面側ライフタイム制御領域152を設けた場合の例である。実施例5は、裏面側ライフタイム制御領域152を半導体基板10の全面に注入した場合の例である。
【0149】
実施例5のコレクタ-エミッタ間遮断電流Icesを100%とした場合に、実施例3のIcesが80%となり、実施例4のIcesが85%となった。このように、裏面側ライフタイム制御領域152の注入領域を変更することにより、漏れ電流量を調整することができる。裏面側ライフタイム制御領域152を設ける領域は、スイッチング損失とのトレードオフ等を考慮して、適宜決定されてよい。
【0150】
図7Cは、大電流短絡耐量と、裏面側ライフタイム制御領域152の注入領域との関係を示す。大電流短絡耐量とは、一例として、ゲート-エミッタ間電圧を+15V以上に増加させて半導体装置100を短絡させた場合に、安全に遮断できる最大のゲート-エミッタ間電圧値である。
【0151】
実施例6は、ダイオード部80のみに裏面側ライフタイム制御領域152を設けた場合の例である。実施例7は、裏面側ライフタイム制御領域152を半導体基板10の全面に注入した場合の例である。
【0152】
実施例7の大電流短絡耐量を100%とした場合に、実施例6の大電流短絡耐量が167%となった。このように、裏面側ライフタイム制御領域152の注入領域を変更することにより、大電流短絡耐量を調整することができる。裏面側ライフタイム制御領域152を設ける領域は、スイッチング損失とのトレードオフ等を考慮して、適宜決定されてよい。
【0153】
図8は、マスク210を用いたヘリウムイオンの注入工程の一例を示す。本例では、マスク210を用いてライフタイム制御部150を選択的に形成している。
【0154】
マスク210は、ライフタイムキラーを形成するために半導体基板10におもて面21または裏面23に形成される。本例のマスク210は、裏面23側に設けられ、ヘリウムイオンの半導体基板10への注入を抑制する。ヘリウムイオンをおもて面21側から注入する場合、マスク210はおもて面21側に設けられる。ライフタイム制御部150は、マスク210のマスク開口部を介してヘリウムイオンが注入されることにより形成される。即ち、マスク210のマスク開口部は、ヘリウムイオンが注入される主領域156に対応する領域に設けられる。一方、減衰領域157は、マスク210で覆われている。
【0155】
本例では、マスク210が形成されていない一様なマスク開口部を介して、ライフタイムキラーを注入する。本例のマスク210は、主領域156には設けられていない。そのため、主領域156は、半導体基板10のおもて面21と平行な方向において、一様なドーピング濃度を有する。一様なマスク開口部とは、市松模様のようなマスクの開口部と非開口部が繰り返された繰り返し構造を有さないマスク開口部を指す。一方、主領域156に市松模様などの繰り返し構造を設けてライフタイム制御部150を形成すると、ライフタイム制御部150のドーピング濃度が一様とならない場合がある。
【0156】
オーバーラップ幅Woは、マスク210がダイオード部80と重複する幅を示す。オーバーラップ幅Woは、ライフタイムキラーが拡散する拡散半値半幅Wh以上であってよい。オーバーラップ幅Woは、減衰領域157のトレンチ配列方向の幅Wbと、減衰領域157の端部から境界62までの距離Wdとの和に等しくてよい。言い換えると、マスク210でダイオード部80を覆ったオーバーラップ幅Woのうち、ライフタイムキラーが拡散する幅が幅Wbであり、残りが距離Wdとなる。
【0157】
なお、本例のオーバーラップ幅Woは、トレンチ配列方向において、マスク210がダイオード部80と重複する幅を示すが、トレンチ延伸方向において、マスク210がダイオード部80と重複する幅も同様の大きさであってよい。
【0158】
図9Aは、ライフタイムキラーが拡散する拡散半値半幅Whを説明するための図である。拡散半値半幅Whは、拡散後のライフタイムキラー濃度分布の半値半幅(HWHM)であってよい。ライフタイムキラーが注入された主領域156のライフタイムキラー濃度は、分布のピークに相当するライフタイムキラー濃度となる。ライフタイムキラーが注入されていない減衰領域157では、本図のライフタイムキラー濃度分布に沿って減衰した、ライフタイムキラー濃度を有する。
【0159】
即ち、減衰領域157の幅Wbは、主領域156を形成するためのライフタイムキラーが拡散する拡散半値半幅Whである。減衰領域157の幅Wbは、0.1μm以上、10.0μm以下であってよい。減衰領域157の幅Wbは、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向とで同一であってよい。
【0160】
図9Bは、
図2A等のm-m'断面におけるライフタイムキラー濃度分布の、他の例である。主領域156におけるライフタイムキラー濃度は、平均濃度を中心に変化してよい。ライフタイムキラー濃度の変化の割合は、主領域156における最小値が、最大値の50%以上であってよい。ライフタイムキラー濃度の変化の割合は、主領域156におけるライフタイムキラー濃度の平均濃度に対して、最大値と最小値の幅が50%以下であってよい。このような場合に、主領域156におけるライフタイムキラー濃度分布は実質的に平坦である、または実質的に一様であるとしてよい。
【0161】
図10は、半導体装置100の上面図の一例を示す。本例では、
図1Aで示した半導体装置100の上面図において、主領域156および減衰領域157が設けられる領域を図示する。
【0162】
主領域156は、トレンチ配列方向において、減衰領域157に挟まれてよい。主領域156は、トレンチ延伸方向において、減衰領域157に挟まれてよい。本例の主領域156は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のそれぞれにおいて、減衰領域157に挟まれている。即ち、本例の主領域156は、半導体基板10のおもて面21と平行な方向において、減衰領域157に囲まれている。主領域156および減衰領域157は、おもて面側ライフタイム制御領域151であってもよいし、裏面側ライフタイム制御領域152であってもよい。
【0163】
主領域156は、ダイオード部80と同一の領域に設けられてよい。即ち、主領域156は、上面視で、カソード領域82と同一の領域に設けられてよい。減衰領域157は、トランジスタ部70の内側に設けられてよい。即ち、減衰領域157は、上面視で、コレクタ領域22と重複して設けられてよい。このように、本例では、上面視において、ダイオード部80に対応する領域にマスク210のマスク開口部を設けてライフタイムキラーを注入することにより、ダイオード部80に主領域156を形成し、ダイオード部80の周囲に減衰領域157を形成している。
【0164】
図11Aは、半導体装置100の変形例の上面図である。本例では、主領域156および減衰領域157の位置を図示している点で
図1Bの半導体装置100の上面図と相違する。本例では、
図1Bの半導体装置100と相違する点について特に説明する。
【0165】
主領域156は、上面視において、カソード領域82の内側から、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸する。本例の主領域156は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、カソード領域82の内側から、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸する。
【0166】
減衰領域157は、上面視において、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62から、コレクタ領域22の内側まで延伸する。本例の減衰領域157は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62から、コレクタ領域22の内側まで延伸する。減衰領域157の幅は、トレンチ配列方向とトレンチ延伸方向とで同一であってよい。減衰領域157のトレンチ配列方向における幅およびトレンチ延伸方向における幅は、いずれも拡散半値半幅Whであってよい。
【0167】
図11Bは、半導体装置100の変形例の上面図である。本例では、主領域156および減衰領域157の位置が
図11Aの半導体装置100の上面図と相違する。本例では、
図11Aの半導体装置100と相違する点について特に説明する。
【0168】
主領域156は、上面視において、カソード領域82の内側から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。本例の主領域156は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、カソード領域82の内側から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。
【0169】
減衰領域157は、上面視において、主領域156からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62を越えてコレクタ領域22の内側まで延伸する。本例の減衰領域157は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、主領域156からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62を越えてコレクタ領域22の内側まで延伸する。
【0170】
図11Cは、半導体装置100の変形例の上面図である。本例では、主領域156および減衰領域157の位置が
図11Aおよび
図11Bの半導体装置100の上面図と相違する。本例では、
図11Aおよび
図11Bの半導体装置100と相違する点について特に説明する。
【0171】
主領域156は、上面視において、カソード領域82の内側から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。本例の主領域156は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、カソード領域82の内側から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。
【0172】
減衰領域157は、上面視において、主領域156からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、境界62で終端する。本例の減衰領域157は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、主領域156からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸し、境界62で終端する。
【0173】
図11Dは、半導体装置100の変形例の上面図である。本例では、主領域156および減衰領域157の位置が
図11Aから
図11Cまでの半導体装置100の上面図と相違する。本例では、
図11Aから
図11Cまでの半導体装置100と相違する点について特に説明する。
【0174】
主領域156は、上面視において、カソード領域82の内側から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。本例の主領域156は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、カソード領域82の内側から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。
【0175】
減衰領域157は、上面視において、主領域156から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。本例の減衰領域157は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、主領域156から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界Bまで延伸せずに終端する。
【0176】
境界62から減衰領域157までの距離は、トレンチ配列方向とトレンチ延伸方向とで同一であってもよいし、異なっていてもよい。境界62から減衰領域157までの距離は、拡散半値半幅Whと同一であってもよいし、拡散半値半幅Whよりも大きくてもよいし、拡散半値半幅Whよりも小さくてもよい。
【0177】
図12Aは、半導体装置100の変形例の上面図である。本例では、トレンチ延伸方向における主領域156および減衰領域157の位置が
図11Aの半導体装置100の上面図と相違する。本例では、
図11Aの半導体装置100と相違する点について特に説明する。
【0178】
主領域156は、トレンチ延伸方向において、カソード領域82の内側からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62を越えてコレクタ領域22の内側まで延伸する。一方、主領域156は、トレンチ配列方向において、カソード領域82の内側から、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸する。このように、主領域156は、境界62との関係において、トレンチ配列方向とトレンチ延伸方向とで異なる位置まで延伸して設けられてよい。
【0179】
減衰領域157は、トレンチ延伸方向において、主領域156から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22の内側で終端する。一方、減衰領域157は、トレンチ配列方向において、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62から、コレクタ領域22の内側まで延伸する。減衰領域157の幅は、トレンチ配列方向とトレンチ延伸方向とで同一であってよい。減衰領域157は、境界62との関係において、トレンチ配列方向とトレンチ延伸方向とで異なる位置まで延伸して設けられてよい。
【0180】
本例の半導体装置100は、トレンチ延伸方向におけるダイオード部80の端部において、境界62よりも延伸してライフタイム制御部150を設けることにより、逆回復時の素子の破壊を回避しやすくなる。
【0181】
図12Bは、半導体装置100の変形例の上面図である。本例では、トレンチ延伸方向における主領域156および減衰領域157の位置が
図11Bの半導体装置100の上面図と相違する。本例では、
図11Bの半導体装置100と相違する点について特に説明する。
【0182】
主領域156は、トレンチ延伸方向において、カソード領域82の内側からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62を越えてコレクタ領域22の内側まで延伸する。一方、主領域156は、トレンチ配列方向において、カソード領域82の内側から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。このように、主領域156は、境界62との関係において、トレンチ配列方向とトレンチ延伸方向とで異なる位置まで延伸して設けられてよい。
【0183】
減衰領域157は、トレンチ延伸方向において、主領域156から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22の内側で終端する。一方、減衰領域157は、トレンチ配列方向において、主領域156からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62を越えてコレクタ領域22の内側まで延伸する。減衰領域157の幅は、トレンチ配列方向とトレンチ延伸方向とで同一であってよい。減衰領域157は、境界62との関係において、トレンチ配列方向とトレンチ延伸方向とで異なる位置まで延伸して設けられてよい。
【0184】
図12Cは、半導体装置100の変形例の上面図である。本例では、トレンチ延伸方向における主領域156および減衰領域157の位置が
図11Cの半導体装置100の上面図と相違する。本例では、
図11Cの半導体装置100と相違する点について特に説明する。
【0185】
主領域156は、トレンチ延伸方向において、カソード領域82の内側からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62を越えてコレクタ領域22の内側まで延伸する。一方、主領域156は、トレンチ配列方向において、カソード領域82の内側から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。このように、主領域156は、境界62との関係において、トレンチ配列方向とトレンチ延伸方向とで異なる位置まで延伸して設けられてよい。
【0186】
減衰領域157は、トレンチ延伸方向において、主領域156から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22の内側で終端する。一方、減衰領域157は、トレンチ配列方向において、主領域156からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸し、境界62で終端する。減衰領域157の幅は、トレンチ配列方向とトレンチ延伸方向とで同一であってよい。減衰領域157は、境界62との関係において、トレンチ配列方向とトレンチ延伸方向とで異なる位置まで延伸して設けられてよい。
【0187】
図12Dは、半導体装置100の変形例の上面図である。本例では、トレンチ延伸方向における主領域156および減衰領域157の位置が
図11Dの半導体装置100の上面図と相違する。本例では、
図11Dの半導体装置100と相違する点について特に説明する。
【0188】
主領域156は、トレンチ延伸方向において、カソード領域82の内側からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62を越えてコレクタ領域22の内側まで延伸する。一方、主領域156は、トレンチ配列方向において、カソード領域82の内側から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。このように、主領域156は、境界62との関係において、トレンチ配列方向とトレンチ延伸方向とで異なる位置まで延伸して設けられてよい。
【0189】
減衰領域157は、トレンチ延伸方向において、主領域156から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22の内側で終端する。一方、減衰領域157は、トレンチ配列方向において、主領域156から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。減衰領域157の幅は、トレンチ配列方向とトレンチ延伸方向とで同一であってよい。減衰領域157は、境界62との関係において、トレンチ配列方向とトレンチ延伸方向とで異なる位置まで延伸して設けられてよい。
【0190】
図13Aは、半導体装置100の変形例の上面図である。本例では、境界領域90がコンタクト領域15を有する点で
図11Aの半導体装置100の上面図と相違する。本例では、
図11Aの半導体装置100と相違する点について特に説明する。
【0191】
境界領域90は、メサ部91のおもて面21にコンタクト領域15を有する。本例のメサ部91は、上面視においてベース領域14-eに挟まれた領域にコンタクト領域15のみを有する。但し、メサ部91は、上面視においてベース領域14-eに挟まれた領域に、ベース領域14およびコンタクト領域15の両方を有してもよい。
【0192】
主領域156は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、カソード領域82の内側から、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸する。減衰領域157は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62から、コレクタ領域22の内側まで延伸する。本例の減衰領域157は、上面視において、メサ部91までトレンチ配列方向に延伸して、コンタクト領域15と重複した領域にも設けられる。
【0193】
図13Bは、半導体装置100の変形例の上面図である。本例では、境界領域90がコンタクト領域15を有する点で
図11Bの半導体装置100の上面図と相違する。本例では、
図11Bの半導体装置100と相違する点について特に説明する。
【0194】
主領域156は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、カソード領域82の内側から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。減衰領域157は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、主領域156からコレクタ領域22とカソード領域82との境界Bを越えてコレクタ領域22の内側まで延伸する。
【0195】
図13Cは、半導体装置100の変形例の上面図である。本例では、境界領域90がコンタクト領域15を有する点で
図11Cの半導体装置100の上面図と相違する。本例では、
図11Cの半導体装置100と相違する点について特に説明する。
【0196】
主領域156は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、カソード領域82の内側から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。減衰領域157は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、主領域156からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸し、境界62で終端する。
【0197】
図13Dは、半導体装置100の変形例の上面図である。本例では、境界領域90がコンタクト領域15を有する点で
図11Dの半導体装置100の上面図と相違する。本例では、
図11Dの半導体装置100と相違する点について特に説明する。
【0198】
主領域156は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、カソード領域82の内側から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。減衰領域157は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、主領域156から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。
【0199】
図14Aは、半導体装置100の変形例の上面図である。本例では、境界領域90がコンタクト領域15を有する点で
図12Aの半導体装置100の上面図と相違する。本例では、
図12Aの半導体装置100と相違する点について特に説明する。本例の半導体装置100は、
図13Aと同様に、境界領域90のメサ部91にコンタクト領域15を有する。
【0200】
主領域156は、トレンチ配列方向において、カソード領域82の内側から、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸する。減衰領域157は、トレンチ配列方向において、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62から、コレクタ領域22の内側まで延伸する。本例の減衰領域157は、上面視において、メサ部91までトレンチ配列方向に延伸して、コンタクト領域15と重複した領域にも設けられる。
【0201】
図14Bは、半導体装置100の変形例の上面図である。本例では、境界領域90がコンタクト領域15を有する点で
図12Bの半導体装置100の上面図と相違する。
【0202】
主領域156は、トレンチ配列方向において、コレクタ領域22とカソード領域82との境界Bまで延伸せずに終端するが、トレンチ延伸方向において、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62を越えてコレクタ領域22の内側まで延伸する。
【0203】
減衰領域157は、トレンチ配列方向において、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62を越えてコレクタ領域22の内側まで延伸し、トレンチ延伸方向において、主領域156から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22の内側で終端する。
【0204】
図14Cは、半導体装置100の変形例の上面図である。本例では、境界領域90がコンタクト領域15を有する点で
図12Cの半導体装置100の上面図と相違する。
【0205】
主領域156は、トレンチ配列方向において、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端するが、トレンチ延伸方向において、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62を越えてコレクタ領域22の内側まで延伸する。
【0206】
減衰領域157は、トレンチ配列方向において、主領域156からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸し、境界62で終端するが、トレンチ延伸方向において、主領域156から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22の内側で終端する。
【0207】
図14Dは、半導体装置100の変形例の上面図である。本例では、境界領域90がコンタクト領域15を有する点で
図12Dの半導体装置100の上面図と相違する。
【0208】
主領域156は、トレンチ配列方向において、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端するが、トレンチ延伸方向において、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62を越えてコレクタ領域22の内側まで延伸する。
【0209】
減衰領域157は、トレンチ配列方向において、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端し、トレンチ延伸方向において、主領域156から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22の内側で終端する。
【0210】
このように、半導体装置100は、
図11Aから
図14Dまでの実施例で開示したように主領域156および減衰領域157を様々な態様で配置することができる。
図11Aから
図14Dまでの実施例で開示したライフタイム制御部150は、おもて面側ライフタイム制御領域151であってもよいし、裏面側ライフタイム制御領域152であってもよいし、おもて面側ライフタイム制御領域151および裏面側ライフタイム制御領域152の両方であってもよい。ライフタイム制御部150がおもて面側ライフタイム制御領域151である場合、裏面側ライフタイム制御領域152を半導体基板10の全面に設けてもよいし、省略してもよい。
【0211】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0212】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0213】
10・・・半導体基板、12・・・エミッタ領域、14・・・ベース領域、15・・・コンタクト領域、16・・・蓄積領域、17・・・ウェル領域、18・・・ドリフト領域、20・・・バッファ領域、21・・・おもて面、22・・・コレクタ領域、23・・・裏面、24・・・コレクタ電極、25・・・接続部、・・・30・・・ダミートレンチ部、31・・・延伸部分、32・・・ダミー絶縁膜、33・・・接続部分、34・・・ダミー導電部、38・・・層間絶縁膜、40・・・ゲートトレンチ部、41・・・延伸部分、42・・・ゲート絶縁膜、43・・・接続部分、44・・・ゲート導電部、50・・・ゲート金属層、51・・・ゲートランナー部、52・・・エミッタ電極、54・・・コンタクトホール、55・・・コンタクトホール、56・・・コンタクトホール、62・・・境界、70・・・トランジスタ部、71・・・メサ部、80・・・ダイオード部、81・・・メサ部、82・・・カソード領域、90・・・境界領域、91・・・メサ部、100・・・半導体装置、102・・・端辺、112・・・ゲートパッド、121・・・第1ピーク、122・・・第2ピーク、123・・・第3ピーク、124・・・第4ピーク、130・・・ゲート配線、150・・・ライフタイム制御部、151・・・おもて面側ライフタイム制御領域、152・・・裏面側ライフタイム制御領域、156・・・主領域、157・・・減衰領域、158・・・染み出し部、160・・・活性部、170・・・エッジ終端構造部、210・・・マスク
【手続補正書】
【提出日】2023-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタ部およびダイオード部を備える半導体装置であって、
半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、
前記半導体基板の裏面に設けられた第2導電型のコレクタ領域と、
前記半導体基板の前記裏面に設けられ、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のカソード領域と、
前記半導体基板のおもて面に設けられた複数のトレンチ部と、
前記半導体基板に設けられ、ライフタイムキラーを含むライフタイム制御部と、
を備え、
前記ライフタイム制御部は、
前記ダイオード部に設けられた主領域と、
前記主領域から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸して設けられ、前記主領域よりもライフタイムキラー濃度が減衰した減衰領域と、
を有する
半導体装置。
【請求項2】
前記減衰領域は、前記ダイオード部において、前記主領域から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸して設けられる
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記減衰領域は、上面視において、前記主領域から、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸する
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記減衰領域は、上面視において、前記主領域から前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界を越えて、前記コレクタ領域の内側まで延伸する
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記主領域は、上面視において、前記カソード領域の内側から、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸し、
前記減衰領域は、上面視において、前記コレクタ領域と前記カソード領域との前記境界から、前記コレクタ領域の内側まで延伸する
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記主領域は、上面視において、前記カソード領域の内側から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸せずに終端し、
前記減衰領域は、上面視において、前記主領域から前記コレクタ領域と前記カソード領域との前記境界を越えて前記コレクタ領域の内側まで延伸する
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記主領域は、上面視において、前記カソード領域の内側から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸せずに終端し、
前記減衰領域は、上面視において、前記主領域から前記コレクタ領域と前記カソード領域との前記境界まで前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記境界で終端する
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項8】
トランジスタ部およびダイオード部を備える半導体装置であって、
半導体基板に設けられた第1導電型のドリフト領域と、
前記半導体基板の裏面に設けられた第2導電型のコレクタ領域と、
前記半導体基板の前記裏面に設けられ、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のカソード領域と、
前記半導体基板のおもて面に設けられた複数のトレンチ部と、
前記半導体基板に設けられ、ライフタイムキラーを含むライフタイム制御部と、
を備え、
前記ライフタイム制御部は、上面視において、前記カソード領域の内側から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸せずに終端する
半導体装置。
【請求項9】
前記ライフタイム制御部は、
前記ダイオード部に設けられた主領域と、
前記主領域から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸して設けられ、前記主領域よりもライフタイムキラー濃度が減衰した減衰領域と、
を有し、
前記主領域は、上面視において、前記カソード領域の内側から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸せずに終端し、
前記減衰領域は、上面視において、前記主領域から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との前記境界まで延伸せずに終端する
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ライフタイム制御部は、前記半導体基板の深さ方向における中心よりも前記おもて面に近接して設けられたおもて面側ライフタイム制御領域である
請求項1または8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ライフタイム制御部は、前記半導体基板の深さ方向における中心よりも前記裏面に近接して設けられ、前記半導体基板の全面に設けられた裏面側ライフタイム制御領域を含む
請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記ライフタイム制御部は、前記半導体基板の深さ方向における中心よりも前記半導体基板の裏面に近接して設けられた裏面側ライフタイム制御領域である
請求項1または8に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記半導体基板の深さ方向における中心よりも前記半導体基板の裏面に近接して設けられた第1導電型のバッファ領域を備え、
前記バッファ領域は、前記半導体基板の深さ方向において、ドーピング濃度の1または複数のピークを有する
請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記1または複数のピークは、水素ドナーを含む
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記バッファ領域は、前記半導体基板の深さ方向において、ドーピング濃度の4つのピークを有し、
前記ライフタイム制御部は、前記半導体基板の深さ方向において、前記4つのピークのうち、前記半導体基板の裏面から2つ目の第2ピークと、3つ目の第3ピークとの間に設けられる
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記ライフタイム制御部は、前記半導体基板の深さ方向において、前記半導体基板の裏面から10μm以上、15μm以下の位置にライフタイムキラー濃度のピークを有する
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記ライフタイム制御部は、ヘリウムを含む
請求項1または8に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記主領域は、トレンチ配列方向において、前記減衰領域に挟まれる
請求項1または9に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記主領域は、前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向において、前記減衰領域に囲まれる
請求項1または9に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記主領域は、トレンチ配列方向において、前記ダイオード部の幅の8割以上を占める
請求項1または9に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記減衰領域の幅は、トレンチ配列方向において、0.1μm以上、10.0μm以下である
請求項1または9に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記減衰領域の幅は、前記主領域を形成するためのライフタイムキラーが拡散する拡散半値半幅である
請求項1または9に記載の半導体装置。
【請求項23】
前記主領域は、前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向において、一様なドーピング濃度を有する
請求項1または9に記載の半導体装置。
【請求項24】
前記トランジスタ部は、前記ダイオード部に隣接して設けられた境界領域を有し、
前記境界領域は、前記おもて面に第2導電型のベース領域を有する
請求項1または8に記載の半導体装置。
【請求項25】
前記トランジスタ部は、前記ダイオード部に隣接して設けられた境界領域を有し、
前記境界領域は、前記おもて面に設けられた第2導電型のベース領域よりもドーピング濃度の高い第2導電型のコンタクト領域を有する
請求項1または8に記載の半導体装置。
【請求項26】
トランジスタ部およびダイオード部を備える半導体装置の製造方法であって、
半導体基板に第1導電型のドリフト領域を形成する段階と、
前記半導体基板の裏面に第2導電型のコレクタ領域を形成する段階と、
前記半導体基板の前記裏面に、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のカソード領域を形成する段階と、
前記半導体基板のおもて面に複数のトレンチ部を形成する段階と、
前記半導体基板にライフタイムキラーを含むライフタイム制御部を形成する段階と、
を備え、
前記ライフタイム制御部を形成する段階は、
前記ダイオード部に主領域を形成する段階と、
前記主領域から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸して、前記主領域よりもライフタイムキラー濃度が減衰した減衰領域を形成する段階と、
を有する
半導体装置の製造方法。
【請求項27】
トランジスタ部およびダイオード部を備える半導体装置の製造方法であって、
半導体基板に第1導電型のドリフト領域を形成する段階と、
前記半導体基板の裏面に第2導電型のコレクタ領域を形成する段階と、
前記半導体基板の前記裏面に、前記ドリフト領域よりもドーピング濃度の高い第1導電型のカソード領域を形成する段階と、
前記半導体基板のおもて面に複数のトレンチ部を形成する段階と、
前記半導体基板にライフタイムキラーを含むライフタイム制御部を形成する段階と、
を備え、
前記ライフタイム制御部は、上面視において、前記カソード領域の内側から前記半導体基板の前記おもて面と平行な方向に延伸し、前記コレクタ領域と前記カソード領域との境界まで延伸せずに終端する
半導体装置の製造方法。
【請求項28】
前記ライフタイム制御部を形成する段階は、前記ライフタイムキラーを形成するために前記半導体基板にマスクを形成する段階を有し、
上面視において、前記マスクが前記ダイオード部と重複するオーバーラップ幅は、前記ライフタイムキラーが拡散する拡散半値半幅以上である
請求項26または27に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項29】
前記ライフタイム制御部を形成する段階は、前記マスクが形成されていない一様なマスク開口部を介して、前記ライフタイムキラーを注入する段階を有する
請求項28に記載の半導体装置の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
ゲートトレンチ部40の先端における接続部分43において、ゲートトレンチ部40内のゲート導電部と、ゲートランナー部51とが接続する。ゲートトレンチ部40は、延伸方向(Y軸方向)において、ダミートレンチ部30よりもゲートランナー部51側に突出して設けられてよい。ゲートトレンチ部40の当該突出部分が、ゲートランナー部51と接続する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
コレクタ電極24は、半導体基板10の裏面23に形成される。コレクタ電極24は、金属等の導電材料で形成される。コレクタ電極24の少なくとも一部の領域は、例えばアルミニウム(Al)等の金属、または、アルミニウム‐シリコン合金(AlSi)、アルミニウム‐シリコン‐銅合金(AlSiCu)等の金属合金で形成されてよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0113
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0113】
本例の減衰領域157は、ダイオード部80において、主領域156から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸して設けられる。即ち、ダイオード部80は、主領域156および減衰領域157を有する。本例の減衰領域157は、配列方向において、主領域156からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸する。減衰領域157は、配列方向において、主領域156からコレクタ領域22とカソード領域82の境界62まで延伸して、境界62で終端してよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0117
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0117】
ライフタイム制御部150の端部の位置x1およびx1'を、減衰領域157のライフタイムキラー濃度が、主領域156におけるライフタイムキラー濃度の最大値または平均濃度の半値となる位置とする。位置x2およびx2'を、主領域156のライフタイムキラー濃度が、水平方向(X軸方向)に減衰し始める位置とする。即ち位置x2およびx2'は、主領域156の端部の位置である。主領域156の幅Wcは、位置x2と位置x2'との距離である。減衰領域157の幅Wbは、位置x1と位置x2との距離か、または位置x1'と位置x2'との距離である。減衰領域157の幅Wbは、ライフタイムキラー濃度分布の半値半幅(HWHM)である。半値半幅は、拡散半値半幅Whであってよい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0140
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0140】
裏面側ライフタイム制御領域152の裏面23からの深さ位置Dkは、バッファ領域20において裏面23から最も浅く形成されたピークよりも深くてよい。即ち、深さ位置Dkは、深さ位置D1よりも大きくてよい。裏面側ライフタイム制御領域152の裏面23からの深さ位置Dkは、バッファ領域20において裏面23から最も深く形成されたピークよりも浅くてよい。即ち、本例のようにバッファ領域20が4つのピークを有する場合、深さ位置Dkは、深さ位置D4よりも小さくてよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0154
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0154】
マスク210は、ライフタイム制御部150を形成するために半導体基板10におもて面21または裏面23に形成される。本例のマスク210は、裏面23側に設けられ、ヘリウムイオンの半導体基板10への注入を抑制する。ヘリウムイオンをおもて面21側から注入する場合、マスク210はおもて面21側に設けられる。ライフタイム制御部150は、マスク210のマスク開口部を介してヘリウムイオンが注入されることにより形成される。即ち、マスク210のマスク開口部は、ヘリウムイオンが注入される主領域156に対応する領域に設けられる。一方、減衰領域157は、マスク210で覆われている。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0175
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0175】
減衰領域157は、上面視において、主領域156から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。本例の減衰領域157は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、主領域156から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0194
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0194】
主領域156は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、カソード領域82の内側から半導体基板10のおもて面21と平行な方向に延伸し、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端する。減衰領域157は、トレンチ配列方向およびトレンチ延伸方向のいずれにおいても、主領域156からコレクタ領域22とカソード領域82との境界62を越えてコレクタ領域22の内側まで延伸する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0202
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0202】
主領域156は、トレンチ配列方向において、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62まで延伸せずに終端するが、トレンチ延伸方向において、コレクタ領域22とカソード領域82との境界62を越えてコレクタ領域22の内側まで延伸する。