(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005875
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】演算方法、プログラム及び演算装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240110BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106302
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若杉 一幸
(72)【発明者】
【氏名】土坂 祐太郎
(72)【発明者】
【氏名】後藤 良介
(72)【発明者】
【氏名】林 千春
(72)【発明者】
【氏名】釘宮 諒
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電力市場における取引を適切に支援する演算方法、プログラム及び演算装置を提供する。
【解決手段】演算方法は、電力市場への入札条件を設定するステップと、電力市場への電力供給量と電力市場での電力需要量と電力市場での電力価格との少なくとも1つである市場環境の予測値を算出するステップと、入札条件及び市場環境の予測値に基づき、入札条件を用いて電力市場で取引した場合の損益の予測値を、確率分布を持つように算出するステップと、を含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力市場への入札条件を設定するステップと、
前記電力市場への電力供給量と前記電力市場での電力需要量と前記電力市場での電力価格との少なくとも1つである市場環境の予測値を算出するステップと、
前記入札条件及び前記市場環境の予測値に基づき、前記入札条件を用いて前記電力市場で取引した場合の損益の予測値を、確率分布を持つように算出するステップと、
を含む、
演算方法。
【請求項2】
前記市場環境の予測値を算出するステップにおいては、確率分布を持つように前記市場環境の予測値を算出する、請求項1に記載の演算方法。
【請求項3】
前記市場環境の予測値を算出するステップにおいては、前記市場環境がとり得る範囲である予測範囲を、前記市場環境が前記予測範囲内となる確率毎に算出し、
前記損益の予測値を算出するステップにおいては、前記確率毎の予測範囲のいずれかを用いて前記損益の予測値を算出する処理を繰り返すことで、前記損益の予測値を、確率分布を持つように算出する、請求項2に記載の演算方法。
【請求項4】
前記市場環境の予測値を算出するステップにおいては、
前記市場環境の基準値と時間帯との対応関係を機械学習済みの第1学習モデルに、前記入札条件に示された入札時間帯を入力することで、前記市場環境の基準値を算出し、
前記市場環境の基準値からのずれ量と時間帯との対応関係を機械学習済みの第1学習モデルに、前記入札条件に示された入札時間帯を入力することで、前記ずれ量を算出し、
前記市場環境の基準値と前記ずれ量とに基づいて、前記確率毎の予測範囲を算出する、請求項3に記載の演算方法。
【請求項5】
前記損益の予測値を算出するステップにおいては、
前記予測範囲毎に算出した前記損益の予測値のそれぞれを、前記損益がとり得る複数の数値範囲のいずれかに分類して、
前記数値範囲に分類された前記損益の予測値の頻度を、前記数値範囲毎に算出することで、前記損益の予測値を、確率分布を持つように算出する、請求項3又は請求項4に記載の演算方法。
【請求項6】
前記損益についての評価関数を設定するステップをさらに含み、
前記入札条件を設定するステップにおいては、前記評価関数に基づいて、前記損益の予測値が収束しているかを判断して、前記損益の予測値が収束しない場合には、前記入札条件を設定し直す、請求項1又は請求項2に記載の演算方法。
【請求項7】
前記入札条件は、前記電力市場での電力の取引量であり、
前記市場環境は、前記対象設備以外の設備からの前記電力市場への電力供給量と、前記電力市場での電力需要量と、前記電力市場での電力価格とである、請求項1又は請求項2に記載の演算方法。
【請求項8】
電力市場への入札条件を設定するステップと、
前記電力市場への電力供給量と前記電力市場での電力需要量と前記電力市場での電力価格との少なくとも1つである市場環境の予測値を算出するステップと、
前記入札条件及び前記市場環境の予測値に基づき、前記入札条件を用いて前記電力市場で取引した場合の損益の予測値を、確率分布を持つように算出するステップと、
をコンピュータに実行させる、
プログラム。
【請求項9】
電力市場への入札条件を設定する入札条件設定部と、
前記電力市場への電力供給量と前記電力市場での電力需要量と前記電力市場での電力価格との少なくとも1つである市場環境の予測値を算出する市場環境算出部と、
前記入札条件及び前記市場環境の予測値に基づき、前記入札条件を用いて前記電力市場で取引した場合の損益の予測値を、確率分布を持つように算出する損益算出部と、
を含む、
演算装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、演算方法、プログラム及び演算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力を取引する電力市場においては、取引者は、電力の販売価格や供給量を予め決めて入札する。例えば特許文献1には、予め与えられた市場の電力供給曲線と電力需要曲線に対して、市場で落札される電力量あるいは収益あるいは供給高が最大となるように、市場への入札曲線を決める入札支援システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、予め設定した電力供給曲線及び電力需要曲線に基づいて収益の予測値を算出している。しかしながら、電力供給量や電力需要量などは、気象条件や設備の稼働状況などにより変動するため、損益の予測値が実際の損益から乖離して、電力市場での取引を適切に支援できなくなるおそれがある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、電力市場における取引を適切に支援可能な演算方法、プログラム及び演算装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る演算方法は、電力市場への入札条件を設定するステップと、前記電力市場への電力供給量と前記電力市場での電力需要量と前記電力市場での電力価格との少なくとも1つである市場環境の予測値を算出するステップと、前記入札条件及び前記市場環境の予測値に基づき、前記入札条件を用いて前記電力市場で取引した場合の損益の予測値を、確率分布を持つように算出するステップと、を含む。
【0007】
本開示に係るプログラムは、電力市場への入札条件を設定するステップと、前記電力市場への電力供給量と前記電力市場での電力需要量と前記電力市場での電力価格との少なくとも1つである市場環境の予測値を算出するステップと、前記入札条件及び前記市場環境の予測値に基づき、前記入札条件を用いて前記電力市場で取引した場合の損益の予測値を、確率分布を持つように算出するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0008】
本開示に係る演算装置は、電力市場への入札条件を設定する入札条件設定部と、前記電力市場への電力供給量と前記電力市場での電力需要量と前記電力市場での電力価格との少なくとも1つである市場環境の予測値を算出する市場環境算出部と、前記入札条件及び前記市場環境の予測値に基づき、前記入札条件を用いて前記電力市場で取引した場合の損益の予測値を、確率分布を持つように算出する損益算出部と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば電力市場における取引を適切に支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、電力市場を説明するための模式図である。
【
図2】
図2は、演算装置の模式的なブロック図である。
【
図3】
図3は、市場環境の予測値の一例を示すグラフである。
【
図4】
図4は、市場環境の予測値の一例を示すグラフである。
【
図5】
図5は、損益の予測値の一例を説明するためのグラフである。
【
図6】
図6は、損益の予測値の一例を説明するためのグラフである。
【
図7】
図7は、損益の予測値の算出フローを説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る演算装置の模式的なブロック図である。
【
図9】
図9は、入札条件の最適化処理のフローを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0012】
(第1実施形態)
(電力市場)
図1は、電力市場を説明するための模式図である。
図1に示すように、電力市場Mは、電力を購入する主体と電力を販売する主体とが、入札により電力を取引するための市場である。すなわち、電力を購入する主体は、電力市場Mを介して電力を購入し、購入時に指定時間帯に、購入した量の電力が、その主体に属する需要設備12に供給される。需要設備12とは、例えば工場などの、電力を消費する設備である。また、電力を販売する主体は、電力市場Mを介して電力を販売し、販売時に指定した時間帯に、販売した量の電力が、その主体に属する供給設備14から供給される。供給設備14とは、例えば発電所や自然エネルギ発電装置などの、電力を供給する設備である。ここで、1つの電力市場Mには、複数の需要設備12(電力を購入する主体)と複数の供給設備14(電力を販売する主体)とが属する場合がある。また、電力市場Mそのものも複数存在する場合があり、それぞれの需要設備12や供給設備14は、複数の電力市場Mで取引を行う場合もある。例えば、電力市場Mとしては、電力が供給される前日に取引を行う前日市場や、電力が供給される当日に取引を行う当日市場や、電力量の調整に用いられる調整市場などが挙げられる。
【0013】
ここで、電力市場Mを介して電力を販売する供給設備14(電力を販売する主体)と電力市場Mを介して電力を購入する需要設備12(電力を購入する主体)との少なくとも一方について、電力市場Mでの電力の取引を適切に支援することが求められている。取引を支援する対象となる供給設備14又は需要設備12を、以下、対象設備10と記載する。本実施形態においては、演算装置20により、対象設備10による電力の取引についての演算を実行することで、電力市場Mでの取引を適切に支援することを可能としている。以下、演算装置20について説明する。
【0014】
(演算装置)
図2は、演算装置の模式的なブロック図である。演算装置20は、コンピュータであり、
図2に示すように、入力部22と、出力部24と、通信部26と、記憶部28と、制御部30とを有する。なお、演算装置20は、単体の装置で構成してもよいし、他の装置と一体に構成してもよいし、演算回路及びデータサーバ等の各種装置を組み合わせたシステムとして構成してもよく、特に限定されない。
【0015】
入力部22は、ユーザの入力を受け付ける機構であり、例えば、マウス、キーボード、タッチパネルなどであってよい。出力部24は、情報を出力する装置であり、本実施形態では、画像を表示する表示装置であってよい。なお、出力部24として、例えばスピーカなど、表示装置以外が設けられていてもよい。通信部26は、外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナなどである。演算装置20は、無線通信で外部の装置と通信を行うが、有線通信でもよく、通信方式は任意であってよい。記憶部28は、制御部30の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。記憶部28が記憶する制御部30用のプログラムは、演算装置20が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0016】
制御部30は、演算を実行する処理装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む。制御部30は、入札条件設定部32と、市場環境算出部34と、損益算出部36と、出力制御部38とを含む。制御部30は、記憶部28からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、入札条件設定部32と市場環境算出部34と損益算出部36と出力制御部38とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部30は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、入札条件設定部32と市場環境算出部34と損益算出部36と出力制御部38との処理の少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0017】
(入札条件設定部)
入札条件設定部32は、対象設備10から電力市場Mへの入札条件を設定する。入札条件とは、電力市場Mを介した電力の取引量(入札電力量)を指し、本実施形態では、販売を予定する電力量(電力の販売量)と購入を予定する電力量(電力の購入量)との少なくとも一方を指す。対象設備10からの電力供給に関する条件を指す。入札条件の種類は、対象設備10が求める支援の内容に応じて適宜決められてよく、入札条件設定部32は、その決められた種類の入札条件の値を設定する。また、入札条件として、入札電力量に加えて、入札電力量分の電力を供給する時間帯を示す情報(入札時間帯)も含めてよい。ここでの時間帯とは、月、日、及び時刻の単位における時間長さ(例えば1月1日13時~1月1日15時など)を指してよく、以降でも同様である。これにより、季節や昼夜の影響を加味することが可能となる。
【0018】
入札条件設定部32は、任意の方法で入札条件を設定してよい。例えば、入札条件設定部32は、自動で入札条件を設定してよいし、ユーザによって入力された入札条件を、入札条件として設定してよい。また、入札条件設定部32は、電力市場M毎に入札条件を設定してもよい。
【0019】
(市場環境算出部)
市場環境算出部34は、入札時間帯における市場環境の予測値を算出する。市場環境算出部34は、入札条件で示された入札時間帯に基づいて、その入札時間帯における市場環境の予測値を算出する。市場環境とは、電力市場Mを介して電力を取引した際の損益に影響を及ぼすパラメータである。ここでの損益とは、電力を販売する際には、電力販売による収益を指し、電力を購入する際には、電力購入による損失(支払額)を指す。市場環境算出部34は、電力市場M毎に、市場環境の予測値を算出してもよい。
【0020】
市場環境は、電力市場Mへの電力供給量と、電力市場Mでの電力需要量と、電力市場Mでの電力価格との少なくとも1つである。さらに言えば、本実施形態では、市場環境は、電力供給量、電力需要量、及び電力価格の全てを指す。すなわち、本実施形態では、市場環境算出部34は、入札時間帯における電力供給量の予測値と、入札時間帯における電力需要量の予測値と、入札時間帯における電力価格の予測値とを、市場環境の予測値として算出する。入札時間帯における電力供給量の予測値とは、入札時間帯において、対象設備10以外の供給設備14から、電力市場Mを介して供給されると予測される電力量を指す。また、入札時間帯における電力需要量の予測値とは、入札時間帯において、対象設備10以外の需要設備12から、電力市場Mを介して需要されると予測される電力量を指す。また、入札時間帯における電力価格の予測値とは、入札時間帯における、電力市場Mでの単位量当たりの電力の価格を指す。
【0021】
図3及び
図4は、市場環境の予測値の一例を示すグラフである。本実施形態においては、市場環境算出部34は、確率分布を持つように、市場環境の予測値を算出する。言い換えれば、市場環境算出部34は、市場環境がとり得る数値範囲である予測範囲と、市場環境がその予測範囲内に収まる確率とを示す情報を、市場環境の予測値として算出する。より詳しくは、市場環境算出部34は、市場環境がとり得る予測範囲を、市場環境がその予測範囲内に収まる確率毎に算出する。
図3及び
図4は、算出される予測範囲の一例を示している。
図3では、ある確率における予測範囲AR1が示されており、
図4では、
図3での確率とは異なる確率における予測範囲AR2が示されている。なお、市場環境算出部34によって算出される確率毎の予測範囲の数や、予測範囲を算出する際の確率の値は、任意であってよい。例えば、市場環境算出部34は、市場環境が予測範囲内に収まる確率を1%から99%までの1%刻みとして、確率毎の予測範囲を算出してよい。なお、市場環境が予測範囲内に収まる確率が高い程、予測範囲の幅は広くなる。
【0022】
本実施形態では、市場環境算出部34は、機械学習の手法を用いて、市場環境の予測値(確率毎の予測範囲)を算出する。具体的には、市場環境算出部34は、予測区間推定の手法を用いて、市場環境の基準値と、基準値からの市場環境のずれ量とを算出することで、確率毎の予測範囲を算出する。以下、より詳しく説明する。
【0023】
市場環境算出部34は、市場環境の基準値と、その基準値が得られた時間帯との対応関係を機械学習済みの、第1学習モデルを取得する。第1学習モデルを機械学習させる主体は任意であってよく、演算装置20によって行われてもよいし、他の装置によって行われてもよい。また、市場環境算出部34は、学習済みの第1学習モデルを記憶部28から読み出してもよいし、通信部26を介して、外部の装置から学習済みの第1学習モデルを受信してもよい。第1学習モデルを機械学習させる方法は任意であってよい。例えば、市場環境の基準値と、その基準値が得られた際の時間帯とを1セットの教師データとして、複数セットの教師データを未学習の第1学習モデルに入力することで、第1学習モデルを学習させてよい。これにより、第1学習モデルは、時間帯と市場環境の基準値との対応関係を機械学習して、入札時間帯が入力されたら、その入札時間帯における市場環境の基準値の予測値を算出可能なモデル(プログラム)となる。なお、市場環境の基準値は、任意に取得されてよい。例えば、互いに重複する時間帯における市場環境の実際の値を複数取得して、それらの複数の値に基づいて(例えば平均をとることで)、その重複する時間帯における市場環境の基準値を算出してよい。また、第1学習モデルを機械学習させる際には、異なる時間帯における教師データを用いることが好ましい。これにより、様々な時間帯における市場環境の基準値を高精度に予測できる。
【0024】
市場環境算出部34は、機械学習済みの第1学習モデルに、入札条件で示された入札時間帯を入力することで、入札時間帯における市場環境の基準値を取得する。
図3及び
図4の線L1は、入札時間帯における市場環境の基準値の例を示している。
【0025】
また、市場環境算出部34は、市場環境のずれ量と、そのずれ量が得られた時間帯との対応関係を機械学習済みの、第2学習モデルを取得する。第2学習モデルを機械学習させる主体は任意であってよく、演算装置20によって行われてもよいし、他の装置によって行われてもよい。また、市場環境算出部34は、学習済みの第2学習モデルを記憶部28から読み出してもよいし、通信部26を介して、外部の装置から学習済みの第2学習モデルを受信してもよい。第2学習モデルを機械学習させる方法は任意であってよい。例えば、市場環境のずれ量と、そのずれ量が得られた際の時間帯とを1セットの教師データとして、複数セットの教師データを未学習の第2学習モデルに入力することで、第2学習モデルを学習させてよい。これにより、第2学習モデルは、時間帯とずれ量との対応関係を機械学習して、入札時間帯が入力されたら、その入札時間帯におけるずれ量の予測値を算出可能なモデル(プログラム)となる。なお、ずれ量は、任意に取得されてよい。例えば、互いに重複する時間帯における市場環境の実際の値を複数取得して、それらの複数の値の偏差に基づいて、その重複する時間帯におけるずれ量を算出してよい。また、第2学習モデルを機械学習させる際には、異なる時間帯における教師データを用いることが好ましい。これにより、様々な時間帯におけるずれ量を高精度に予測できる。
【0026】
市場環境算出部34は、機械学習済みの第2学習モデルに、入札条件で示された入札時間帯を入力することで、入札時間帯におけるずれ量を取得する。なお、第1学習モデル及び第2学習モデルとしては、任意のモデルが適用でき、例えばCNN(Conventional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)モデルを用いてよい。
【0027】
市場環境算出部34は、以上のようにして算出した入札時間帯における基準値と、その入札時間帯におけるずれ量とに基づいて、その入札時間帯における、確率毎の予測範囲を算出する。例えば、市場環境算出部34は、第2学習モデルを用いて算出したずれ量から、予測範囲の算出対象となる確率でのずれ量を抽出して、基準値から、そのずれ量だけ離れた数値範囲を、その確率における予測範囲として算出する。すなわち例えば、
図3の例では、基準値である線L1から、
図3での確率におけるずれ量だけ離れた範囲が、予測範囲AR1として算出される。同様に、
図4の例では、基準値である線L1から、
図4での確率におけるずれ量だけ離れた範囲が、予測範囲AR2として算出される。なお、第2学習モデルを用いて算出したずれ量から、ある確率でのずれ量を抽出する方法は任意であってよい。例えば、第2学習モデルを用いて、確率毎のずれ量を算出しておき、第2学習モデルを用いて算出した確率毎のずれ量から、予測範囲の算出対象となる確率でのずれ量を選択してもよい。また例えば、第2学習モデルを用いて、確率とずれ量との対応関係を示す値を、ずれ量として算出してもよい。この場合、市場環境算出部34は、確率とずれ量との対応関係を示す値と、予測範囲の算出対象となる確率とに基づいて、予測範囲の算出対象となる確率でのずれ量を算出してもよい。
【0028】
なお、本実施形態では、市場環境の予測値として、電力供給量の予測値と電力需要量の予測値と電力価格の予測値とを算出する。電力市場Mでは、複数の供給設備14から電力供給されたり、複数の需要設備12から電力が需要されたりする場合がある。そのため、市場環境算出部34は、それぞれの供給設備14からの電力供給量の合計値についての、確率毎の予測範囲(確率分布を持つ予測値)を算出してもよいし、供給設備14毎に、確率毎の電力供給量の予測範囲を算出してもよい。同様に、市場環境算出部34は、それぞれの需要設備12の電力需要量の合計値についての、確率毎の予測範囲(確率分布を持つ予測値)を算出してもよいし、需要設備12毎に、確率毎の電力需要量の予測範囲を算出してもよい。
【0029】
市場環境算出部34は、以上で説明した方法により、確率毎の予測範囲(確率分布を持った市場環境の予測値)を算出する。ただし、確率毎の予測範囲の算出方法は以上の説明に限られず任意であってよい。例えば、1つの学習モデルを用いて、確率毎の予測範囲を算出してもよい。さらに言えば、市場環境算出部34は、確率分布を持った市場環境の予測値を算出することに限られず、市場環境の予測値を、固定値として算出してもよい。この場合例えば、市場環境の設定値を、時間帯毎に予め設定しておき、市場環境算出部34は、入札時間帯における市場環境の設置値を、市場環境の予測値として算出してもよい。
【0030】
(損益算出部)
損益算出部36は、入札条件と市場環境の予測値とに基づいて、損益の予測値を、確率分布を持つように算出する。言い換えれば、損益算出部36は、損益の予測値と、実際の損益がその予測値になる確率を示す情報とを、損益の予測値毎に算出する。なお、ここでの損益の予測値とは、入札条件を用いて電力市場Mで取引して、入札時間帯において電力を供給した場合に得られる損益の予測値を指す。損益算出部36は、電力市場M毎の損益の予測値の合計を、損益の予測値として算出してよい。
【0031】
なお、上述のように、損益とは、電力を販売した際の収益、又は、電力を購入した際の損失を指す。従って、損益算出部36は、電力の販売量を入札条件として設定した場合には、入札条件と市場環境の予測値とに基づいて、収益の予測値を算出する。一方、損益算出部36は、電力の購入量を入札条件として設定した場合には、入札条件と市場環境の予測値とに基づいて、損失の予測値を算出する。
【0032】
図5及び
図6は、損益の予測値の一例を説明するためのグラフである。本実施形態においては、損益算出部36は、市場環境算出部34によって算出された、確率毎の予測範囲のいずれかを用いて、損益の予測値を算出する処理を繰り返すことで、確率分布を持つ損益の予測値を算出する。確率毎の予測範囲のうちから演算に用いる予測範囲の選択方法は任意であってよい。例えば、本実施形態では、損益算出部36は、所定の乱数を用いて、確率毎の予測範囲から1つの予測範囲を選択する。損益算出部36は、選択した予測範囲と入札条件とに基づいて、損益の予測値を算出する。
【0033】
本実施形態においては、入札条件として入札電力量が設定され、市場環境の予測値として、電力供給量の確率毎の予測範囲(電力供給量の予測値)と電力需要量の確率毎の予測範囲(電力供給量の予測値)と電力価格の確率毎の予測範囲(電力価格の予測値)とが算出されている。入札条件を電力の販売量とし、損益を収益とした場合の例では、損益算出部36は、選択した予測範囲と入札条件とに基づいて、次の式(1)を用いて、損益の予測値を算出してよい。
【0034】
【0035】
ここで、E(t)は入札時間帯tにおける収益の予測値であり、Mpi(t)は、電力市場Miでの、入札時間帯tにおける電力の販売量を指す。また、Mci(t)は、電力市場Miでの、入札時間帯tにおける電力価格の予測値を指す。電力価格の予測値Mci(t)は、所定の乱数で抽出された電力価格の予測範囲の範囲内の値であり、抽出された電力価格の予測範囲に基づいて、任意に設定されてよい。また、MpK(t)は、調整市場での、入札時間帯tにおける電力の販売量を指す。また、Si(t)は、電力市場Miでの、入札時間帯tにおける電力供給量の予測値を指す。電力供給量の予測値Si(t)は、所定の乱数で抽出された電力供給量の予測範囲の範囲内の値であり、抽出された電力供給量の予測範囲に基づいて、任意に設定されてよい。また、Di(t)は、電力市場Miでの、入札時間帯tにおける電力需要量の予測値を指す。電力需要量の予測値Di(t)は、所定の乱数で抽出された電力需要量の予測範囲の範囲内の値であり、抽出された電力需要量の予測範囲に基づいて、任意に設定されてよい。すなわち、式(1)の右辺の第1項は、調整市場を除いた各電力市場Mにおける収益の予測値の合計を指し、式(1)の右辺の第2項は、調整市場における収益の予測値を指す。
【0036】
ただし、収益の予測値を算出する方法は、式(1)を用いることに限られない。
【0037】
また、以上の例では、電力の販売量を入札条件としたが、入札条件を電力の購入量とした場合においても、損益算出部36は、入札条件と市場環境の予測値とに基づいて、損益(損失)の予測値を、確率分布を持つように算出する。また例えば、入札条件設定部32により、入札条件(販売量又は購入量)に加えて、対象設備10での発電量と対象設備10での電力需要量との少なくとも一方についても設定して、損益算出部36により損益を算出してもよい。例えば、入札条件及び電力供給量を設定場合、損益算出部36は、設定した入札条件及び電力供給量と、市場環境の予測値とに基づいて、損益の予測値を、確率分布を持つように算出する。また例えば、入札条件、電力供給量及び電力需要量を設定する場合、損益算出部36は、設定した入札条件、電力供給量及び電力需要量と、市場環境の予測値とに基づいて、損益の予測値を、確率分布を持つように算出する。これらのパターンでの損益の予測値を算出する方法は、例えばパターン毎に適切な算出式を設定するなど、任意に行うことができる。
【0038】
損益算出部36は、予測範囲を選択する処理と、損益の予測値の算出処理とを繰り返すことで、確率分布を持つ損益の予測値を算出する。本実施形態では、損益算出部36は、損益の予測値の算出回数が所定の条件を満たしたかを判断して、所定の条件を満たさない場合には、所定の乱数を用いて予測範囲を選択する処理と、損益の予測値の算出処理とを繰り返す。一方、損益の予測値の算出回数が所定の条件を満たした場合には、損益算出部36は、これまでに算出した損益の予測値を用いて、確率分布を持つ損益の予測値を算出する。具体的には、損益算出部36は、損益の予測値のそれぞれを、損益がとり得る複数の数値範囲のいずれかに分類する。そして、損益算出部36は、数値範囲に分類された損益の予測値の頻度を、数値範囲毎に算出することで、確率分布を持つ損益の予測値を算出する。すなわち、損益算出部36は、頻度が高いほどその損益となる確率が高くなる確率分布を持った、損益の予測値を算出するといえる。
図5は、数値範囲に分類された損益の予測値の頻度の一例を示しており、
図6の線L2は、確率分布を持つ損益の予測値の一例を示している。なお、算出回数についての所定の条件は、適宜設定されてよい。
【0039】
損益算出部36は、このようにして、設定された入札条件を用いて電力市場Mで取引した場合における損益の予測値を、確率分布を持つように算出する。損益算出部36は、入札条件が設定される毎に、すなわち入札条件毎に、確率分布を持つ損益の予測値を算出してよい。
【0040】
(出力制御部)
出力制御部38は、損益算出部36によって算出された、確率分布を持つ損益の予測値を示す情報を、出力する。例えば、出力制御部38は、確率分布を持つ損益の予測値を示す情報を、出力部24に出力(表示)させてもよいし、通信部26を介して他の装置に送信してもよい。
【0041】
以上説明したように、本実施形態においては、設定された入札条件と、算出した市場環境の予測値とから、確率分布を持つ損益の予測値を算出する。本実施形態によると、確率分布を持たせて損益を予測することにより、気象条件や設備の稼働状況などの環境が変動するケースも加味して、設定した入札条件での損益を予測することが可能となるため、電力市場への入札を適切に支援することが可能となる。さらに言えば、本実施形態においては、環境により変動する可能性がある市場環境に対して確率分布を持たせるため、環境が変動するケースを適切に加味して、損益を予測することが可能となる。
【0042】
(処理フロー)
次に、以上で説明した損益の予測値の算出フローを、フローチャートに基づき説明する。
図7は、損益の予測値の算出フローを説明するフローチャートである。
図7に示すように、演算装置20は、入札条件設定部32により入札条件を設定し(ステップS10)、市場環境算出部34により、市場環境の予測範囲を、確率毎に算出する(ステップS12)。そして、演算装置20は、損益算出部36により、確率毎の損益の予測値の演算に用いる予測範囲を選択し(ステップS14)、選択した予測範囲と入札条件とに基づいて、損益の予測値を算出する(ステップS16)。そして、損益の予測値の算出回数が所定条件を満たさない場合には(ステップS18;No)、ステップS14に戻って、予測範囲の選択と損益の予測値の算出を繰り返し、損益の予測値の算出回数が所定条件を満たす場合には(ステップS18;Yes)、損益算出部36は、確率分布を持つ損益の予測値を算出する(ステップS20)。
【0043】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る演算装置20は、確率分布を持つ損益の予測値と評価関数に基づいて、入札条件の最適化計算を行う点で、第1実施形態とは異なる。第2実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0044】
図8は、第2実施形態に係る演算装置の模式的なブロック図である。
図8に示すように、第2実施形態に係る演算装置20の制御部30は、評価関数設定部37を含む。
【0045】
第2実施形態における損益算出部36は、第1実施形態と同様の方法で、設定された入札条件における損益の予測値を算出する。そして、第2実施形態における評価関数設定部37は、損益の予測値を評価するための評価関数を設定する。評価関数は、取引支援の目的に応じて適宜設定されてよい。例えば、目的毎に評価関数が複数設定されており、評価関数設定部37は、複数の評価関数のうちから、今回用いる評価関数を選択してよい。例えば、ユーザにより評価関数を選択する旨の入力がなされたら、評価関数設定部37は、ユーザが選択した評価関数を、今回用いる評価関数として選択してよい。なお、目的毎の評価関数としては、例えば、収益の予測値を最大とするものや、収益の予測値が低くなる確率を最小にするものなどが挙げられる。
【0046】
第2実施形態における入札条件設定部32は、損益算出部36により算出された損益の予測値と、評価関数設定部37により設定された評価関数とに基づき、その損益の予測値の算出に用いた入札条件が適切であるかを判断する。具体的には、入札条件設定部32は、評価関数に基づいて、確率分布を持つ損益の予測値が収束しているかを判断する演算を実行する。損益の予測値が収束している場合、入札条件設定部32は、その入札条件が適切である(その入札条件が最適化されている)と判断する。一方、損益の予測値が収束していない場合、入札条件設定部32は、その入札条件が適切でない(その入札条件が最適化されていない)と判断して、入札条件を設定し直す。そして、演算装置20は、設定し直された入札条件について、同様の方法で損益の予測値を算出して、損益の予測値が収束しているかの判断を行う。
【0047】
第2実施形態に係る出力制御部38は、最適化されていると判断された入札条件を出力する。例えば、出力制御部38は、最適化されていると判断された入札条件を、出力部24に出力(表示)させてもよいし、通信部26を介して他の装置に送信してもよい。
【0048】
以上説明した入札条件の最適化処理のフローを説明する。
図9は、入札条件の最適化処理のフローを説明するフローチャートである。
図9に示すように、演算装置20は、入札条件設定部32により入札条件を設定し(ステップS30)、第1実施形態と同様の方法で、その入札条件における損益の予測値を、確率分布を持つように算出する(ステップS32)。演算装置20は、評価関数設定部37により、評価関数を設定し(ステップS34)、評価関数と損益の予測値とに基づき、その損益の予測値が収束しているかを判断する(ステップS36)。なお、ステップS34、S36の実施順序は任意であってよい。損益の予測値が収束していない場合(ステップS36;No)、ステップS30に戻り、入札条件を設定し直して、その後の処理を繰り返す。一方、損益の予測値が収束している場合(ステップS36;Yes)、演算装置20は、その損益の予測値の算出に用いた入札条件を、最適化された入札条件として設定する(ステップS38)。
【0049】
以上説明したように、第2実施形態においては、評価関数を用いて、損益の予測値が収束しているかを判断する最適化計算を行って、入札条件を最適化する。そのため、目的に応じた最適な入札条件を設定することが可能となり、入札をより好適に支援できる。
【0050】
(効果)
本開示の第1態様に係る演算方法は、電力市場Mへの入札条件を設定するステップと、電力市場Mへの電力供給量と電力市場Mでの電力需要量と電力市場Mでの電力価格との少なくとも1つである市場環境の予測値を算出するステップと、入札条件及び市場環境の予測値に基づき、入札条件を用いて電力市場Mで取引した場合の損益の予測値を、確率分布を持つように算出するステップと、を含む。本開示によると、確率分布を持たせて損益を予測することにより、環境が変動するケースも加味して、設定した入札条件での損益を予測することが可能となるため、電力市場への入札を適切に支援することが可能となる。
【0051】
本開示の第2態様に係る演算方法は、第1態様に係る演算方法であって、市場環境の予測値を算出するステップにおいては、確率分布を持つように市場環境の予測値を算出する。本開示によると、環境により変動する可能性がある市場環境に対して確率分布を持たせるため、環境が変動するケースを適切に加味して、損益を予測することが可能となる。
【0052】
本開示の第3態様に係る演算方法は、第2態様に係る演算方法であって、市場環境の予測値を算出するステップにおいては、市場環境がとり得る範囲である予測範囲を、市場環境が予測範囲内となる確率毎に算出し、損益の予測値を算出するステップにおいては、確率毎の予測範囲のいずれかを用いて損益の予測値を算出する処理を繰り返すことで、損益の予測値を、確率分布を持つように算出する。本開示によると、環境により変動する可能性がある市場環境に対して、確率毎の予測範囲を設定して、そのいずれかを用いて損益を予測するため、設定した入札条件での損益を、変動を加味して適切に予測することができる。
【0053】
本開示の第4態様に係る演算方法は、第3態様に係る演算方法であって、市場環境の予測値を算出するステップにおいては、市場環境の基準値と時間帯との対応関係を機械学習済みの第1学習モデルに、入札条件に示された入札時間帯を入力することで、市場環境の基準値を算出し、市場環境の基準値からのずれ量と時間帯との対応関係を機械学習済みの第1学習モデルに、入札条件に示された入札時間帯を入力することで、ずれ量を算出し、市場環境の基準値とずれ量とに基づいて、確率毎の予測範囲を算出する。本開示によると、機械学習により算出した基準値とずれ量から、確率毎の予測範囲を設定するため、設定した入札条件での損益を、変動を加味して適切に予測することができる。
【0054】
本開示の第5態様に係る演算方法は、第3態様又は第4態様に係る演算方法であって、損益の予測値を算出するステップにおいては、予測範囲毎に算出した損益の予測値のそれぞれを、損益がとり得る複数の数値範囲のいずれかに分類して、数値範囲に分類された損益の予測値の頻度を、数値範囲毎に算出することで、損益の予測値を、確率分布を持つように算出する。本開示によると、損益の予測値が属する数値範囲の頻度から、確率分布をもつ損益の予測値を算出するため、設定した入札条件での損益を、変動を加味して適切に予測することができる。
【0055】
本開示の第6態様に係る演算方法は、第1態様から第5態様のいずれかに係る演算方法であって、損益についての評価関数を設定するステップをさらに含み、入札条件を設定するステップにおいては、評価関数に基づいて、損益の予測値が収束しているかを判断して、損益の予測値が収束しない場合には、入札条件を設定し直す。本開示によると、評価関数を用いて、損益の予測値が収束しているかを判断する最適化計算を行って、入札条件を最適化する。そのため、目的に応じた最適な入札条件を設定することが可能となり、入札をより好適に支援できる。
【0056】
本開示の第7態様に係る演算方法は、第1態様から第6態様のいずれかに係る演算方法であって、入札条件は、電力市場Mでの電力の取引量であり、市場環境は、対象設備10以外の供給設備14からの電力市場Mへの電力供給量と、電力市場での電力需要量と、電力市場での電力価格とである。本開示によると、これ等のパラメータを用いて、設定された入札電力量における損益を予測するため、入札を適切に支援することができる。
【0057】
本開示に係るプログラムは、電力市場Mへの入札条件を設定するステップと、電力市場Mへの電力供給量と電力市場Mでの電力需要量と電力市場Mでの電力価格との少なくとも1つである市場環境の予測値を算出するステップと、入札条件及び市場環境の予測値に基づき、入札条件を用いて電力市場Mで取引した場合の損益の予測値を、確率分布を持つように算出するステップと、をコンピュータに実行させる。本開示によると、電力市場への入札を適切に支援することが可能となる。
【0058】
本開示に係る演算装置20は、電力市場Mへの入札条件を設定する入札条件設定部32と、電力市場Mへの電力供給量と電力市場Mでの電力需要量と電力市場Mでの電力価格との少なくとも1つである市場環境の予測値を算出する市場環境算出部34と、入札条件及び市場環境の予測値に基づき、入札条件を用いて電力市場Mで取引した場合の損益の予測値を、確率分布を持つように算出する損益算出部36とを含む。本開示によると、電力市場への入札を適切に支援することが可能となる。
【0059】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0060】
20 演算装置
32 入札条件設定部
34 市場環境算出部
36 損益算出部
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